【SS】花丸「怖い話、ずら?」

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花丸-アイキャッチ6
1: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:21:42.89
こんばんは。国木田花丸です。

お盆を過ぎたとはいえまだまだ残暑厳しい今日この頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

次にやるライブの用意のために今日はみんなで千歌ちゃんの家にお泊まりしています。

時刻は午後十一時過ぎ。

けっこう前にルビィちゃんはおうちの都合で帰ってしまいましたが、しなければならないことはまだまだ残っています。

元スレ: 【SS】花丸「怖い話、ずら?」

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2: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:24:38.50
さっきまではみんな真面目に衣装やパートの話なんかをしていたのですが、

千歌「よーちゃん疲れない?」

曜「……よーはよーそろーのよー……」

千歌「あーあー上の空だー。梨子ちゃんは?」

梨子「私はまだ大丈夫よ」

千歌「…………つーかーれーたー!なにか夏っぽいことしようよ!夏っぽいこと!」

梨子「夏っぽいことって?」

千歌「海はもう夜だし花火はないし……そうだ怪談!怪談だよ!」

曜「まだ準備終わってないぞー?」

千歌「いーじゃん夜は長いんだから。それに明日は土曜日、今夜は寝かさないぜ☆」
3: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:28:37.13
みたいなことがあって、とつぜん怪談を始める運びになりました。

そうと決まってからの千歌ちゃんの動きには目を見張るものがありました。

ろうそくと夏みかんを五つずつ、それにお姉さんが念のため持っていけとおっしゃったらしいバケツの水。

これらをどこからともなく集めてきてさあやるぞ今すぐやるぞと意気込む千歌ちゃんに、梨子ちゃんが「待って誰から話すの?」と異を唱え、厳正なるくじ引きが行われたところ、

曜→梨子→千歌→私→善子

という順番になりました。

皆が静まるのを待って千歌ちゃんは明かりのスイッチに手を伸ばし、厳かに宣言しました。

「それじゃあ始めようか」

そういうことになりました。
4: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:30:39.96
ところで、さっきから静かだなあと

「よしこちゃんはどう?」

と目を向けてみると、作業中の手元を見つつも耳はダンボになっていました。

目もとってもキラキラしてる。

大丈夫かなあ……
5: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:34:56.85
一『船幽霊』渡辺曜

生命の起源が海にあるって話は聞いたことあるかな。

今地球上にいる全ての生き物の祖先をたどっていくと、何億年も前に海で生まれた小さな生き物に行き着くんだって。

どうしてそれが人間にまで至ったかって考えてみてもちょっと想像しきれないよね。

そんな風に何でも受け入れてくれるような懐の広さを感じるところがあって、私は昔からずっと海が好き。

子どもの頃には幼なじみとよく飛び込みして遊んでいたなあ。

あっでも梨子ちゃんはこの前も制服で、だっけ?

ふっふっふ。
6: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:36:37.93
でも、海にはもちろん良くないものもいる。

たとえば……お父さんはその一つを船幽霊(ふなゆうれい)と呼んでいたんだけど、海で死んでしまった人が他の人を引きずりもうとすることがある。

霧の夜に船を進めていると、とつぜん船が進まなくなってしまうことがあるんだって。

どうしたんだろうと困っていると、どこからか声が聞こえてくるんだ。

「船に水が入ったからひしゃくを貸してくれ」

って。

これは地方によって様々だけど、声の方を見ると甲冑姿の人や白い影のようなものがぼうっと……
7: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:41:46.57
でもその声に従っちゃ駄目なんだ。

それはひしゃくで船に水を入れ始めて、ついには沈めてしまう。

これも地域によるけれど、誰かを殺すことで船幽霊の一人が成仏できるなんて話もあるらしいよ。

さっきも言ったけど、目的は乗っている人を死なせること。

そうやって乗員を海に引きずり込んで彼らは仲間を増やしていくの。

だから海に出るときは底の抜けたひしゃくを持っていくといいんだって。

それを渡せば汲んでも汲んでも船が沈むことはないから、船幽霊もやがて消えてしまう。
8: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:43:25.23
私のお父さんが「それ」に行き遭ったのは今の仕事に就くずっと前のこと。

その晩は同僚と二人で小さな船に乗って沖に出ていたんだけど、ガタンという音とともに船が突然動かなくなってしまった。

変だなあと首をかしげていると、どこからか

「ひしゃく貸せ」

と声が聞こえてくる。

なんだかわからないけれどまずいものに遭ってしまった。

そう思って慌てて船のエンジンをかけようとしたんだけど、何度やってもうまくいかない。
9: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:45:24.60
声はどんどん増えていく。

それだけじゃない。船底からがりがりという音も

おびただしい数の人が船底にしがみつこうとしている。

そんな光景が頭に浮かんできた瞬間……

それまでは眠っていた同僚がこれでも持ってけ、と叫んで何かを海へ放り投げたんだって。

そうしたらその何かはふっと消えてしまい、何度やっても駄目だったエンジンもかかるようになった。

それから同僚はさっきしたような話をお父さんにしてくれたそうだよ。
10: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:47:14.53
でもね、最近は彼らも生きづらくなったんじゃないかなと思う。

霧や雨の夜にはどうしても事故が起こりやすくて、それを恐れる気持ちから船幽霊は生まれてきたんだろうってお父さんは言ってた。

焦っているとかかるエンジンもかからなくなるかもしれない。

私にはよく解らなかったけど、船が進まなくなるのも科学的に説明できる場合があるって。

怖い話によくある火の玉もそう。

あれも骨の燐に火がついたものだって捉える話があるらしいよ。
11: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:49:18.09
幽霊の正体見たりなんとやら。

幽霊やお化けがどんどんその不思議さを奪われてしまってるのは少し寂しいかもしれないな。

私がお化けだったらどうしよう。

この恨み晴らさでおくべきか……なんてね。

そうそう、最後に一つだけ。

この話をしてくれた時、一つだけお父さんが不思議がっていたことがあるんだ。

船幽霊を見てしまうこと、船が動かなくなることは確かに科学で説明できるかもしれない。

でも船底にびっしりとついた爪痕のような傷はなんだったんだろうって。

ろうそく消すよーそろー。
12: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:52:02.12
二『つながる』桜内梨子

私のは怖いというよりは不思議な話になるかな。

何年も前に亡くなってしまったけれど、私は祖父のことが好きだった。

優しい人だったし、私の見たことないものをたくさん見せてくれた。

ピアノを楽しそうに聞いてくれた姿は今でもはっきりと思い出せるわ。

だからお葬式をすませた後も私は泣いてばかりだった。

あと一度でいいから会いたい、せめて話だけでもしたい。

「昔はものを」ってなるのはわかっていたけれど、毎日そんなことばかり思っていたの。

彼氏みたいって?からかわないでよ!
13: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:55:37.13
祖父が亡くなった次の年の、ちょうど今頃だったかな。

ピアノを弾きおえてふと携帯を見たら不在着信があったの。

名前は祖父のもの。時刻はほんの数分前だった。

かけ直してみようかって迷った時間はほんの少しだったと思う。

しばらく呼び出し中の音が続いた後、ガチャッと音がして……
14: 名無しで叶える物語 2016/08/26(金) 23:59:20.26
出たのはまったく縁もゆかりもないおばさまだった。

私に電話したことはないって断った上でその方が教えてくれたんだけど、携帯って解約されてからしばらく経つと、番号が他の人に割り振られる仕組みになっているんだって。

だから私がかけた電話はその方につながった。


でも、一つだけわからないことがあるの。

どうして私のところに着信があったのかしら。

おばさんが嘘をついていたようには思えなかった。

それに、もしそうだったとしてもその方が私の電話番号を知っているはずはない。
15: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:00:06.76
だからね。

私はちょっとだけ希望を持ってみたい。


もしかしたら……って。
16: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:09:22.22
曜「その後はなにも……?」

梨子「うん。祖母にこの話をしたら『そそっかしいところがあったからお盆の時期を間違えたんじゃないか』みたいなことを言っていたわ」

千歌「きっとおじいちゃん、今でも空から梨子ちゃんを見守っていてくれるよ」

梨子「ありがとう、そうだといいな」

…………
17: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:10:58.47
三、『海の見える道』高海千歌

言い出しっぺだけど私も実は怪談が得意ってわけじゃないんだ。

霊感なんてものもないし、これといって特別な体験をしたこともない。

でも一度だけ怖い思いをしたことがあって、今日はその話をするね。

曜ちゃんに負けないぐらい、私もこのあたりの海が好き。

お陽さまは明るいし、風は気持ちいいし、波の音は穏やかだし。

海沿いを自転車で走ってるとびゅーんってどこまでも行きたくなっちゃう。

みんなもやったことない?坂道を海に向かってまっすぐ。

なんだかいつまでも飛べるような。

……ええーっ、ないの?うそだよー。
18: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:13:22.10
子供だった頃のある夏の日、私はしいたけを連れて海への坂を下っていたんだ。

空の色はオレンジから紫に変わろうとしていて、早く帰らなきゃってちょっと焦ってたかも。

ちょうどそんな時だった。

海沿いの道をとつぜんものすごいスピードの車が。

飛ばしすぎている、危ないと叫ぶ間もなかった。

次の瞬間にはその車はハンドルを切り損ねて急ブレーキの音とともに海へ突っ込んでいた。
19: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:14:42.01
もちろん何も出来ないってことはわかっていたんだけど、なにかせずにはいられなかった。

それで海の方へ走っていったんだけど……

不思議なことに道路やガードレールはそのままで、水面も穏やかなままだったんだ。

まるでなにもなかったみたいに。

見間違えかなあ、なんだったんだろう。

そう思ったとたんに、しいたけがいきなり海の方を振り向いて吠え始めた。

それまで聞いたこともないような声だった。
20: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:15:57.46
次に気がついた時には暗い部屋で小さくなっていた。

窓を全部閉めて、カーテンも引いて。

覚えていたのは時々振り返って吠えるしいたけを必死に引っ張って走ったことだけ。

それでどうなったかって?

犬には人に見えないものが見えるって言うけど、あれはもしかして……

なんて考えちゃうこともあるけど、なにも無かったんだと思いたいな。
21: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:16:47.65
あ、そうだ。しいたけって梨子ちゃんにだけはよく向かっていくよね……なんちゃって。

でもね、どうしても忘れられないことがあるの。

ガードレール、あそこだけほんとうに新品だったんだ。

もしあそこで何かあったのだとしたら、その人は何度も何度も事故の瞬間を繰り返しているのかもしれない。

その苦しさや恐ろしさを考えると……

これでおしまい。やっぱり怖くないなあ。
22: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:20:59.24
四、『蔵の話』国木田花丸

マルの家はお寺です。

それなりの由緒はあるみたいで、いろんな人がいて、いろんな出来事があったんだろうなあと思っています。

中にはきっとこの内浦の人たちを支え導けるような徳のある人もいたでしょう。

でもお寺だからって皆が皆そういう人だってわけではありません。

大事なのは生まれがどうであるかではなく、何をするかということ。

オラはそんな風に考えています。
23: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:22:12.84
マルの家にある蔵を見ましたか?あの建物だけ他よりも古いんです。

子どもの頃からそれが気になっていて、どうしてどうしてってお父さんに聞いてみたんですが、なかなか教えてくれませんでした。

どうしてあそこだけ古いのか。そんな話をします。

むかしむかしーー
24: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:23:54.35
むかしむかし、このお寺も荒れに荒れていたことがあったそうです。

その頃の住職は、なんというか……奔放な人だったみたいで、飲む打つ買うと教えに反することばかりしていたと聞いています。

その住職は妻を持つだけでなく、蔵にこっそりと別の女の人を住まわせていました。

夜になるとこっそり食事なんかを持っていき、こっそり逢ってまたこっそりと戻ってくる。

昼間は妻と素知らぬ顔で暮らし、日が暮れると人目を忍んで蔵に通う。

その女の人がどんな素性だったかは分かりません。

でもそれで問題になることがなかったのですから、きっと身寄りの無い方だったのではないでしょうか。

こんなの誰に対しても酷い仕打ちだと思いませんか。

「犬畜生にも劣る所業」とはいいますが、そんなの犬にも他の生き物に失礼です。

人間ほど技巧的、芸術的に残酷な振る舞いをすることなんて彼らにできはしないのですから。
25: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:26:18.91
そうです。あの蔵だけは当時のものです。

実は本殿なんかはその後――そんなに遠くない昔に――建て替えられています。

どうして蔵だけが残ったのか?

それがこれからのお話です。
ーーーーー
住職と妻と蔵の女性。こんな生活は長くは続きませんでした。

ある日住職が酔うか何かして崖からころげ落ちてしまったのです。

このあたりで崖というとあそこでしょうか。

みんなも知っているようにかなりの高さがありますし、下には岩場が広がっています。

引き揚げられた時、それはひどいあり様だったでしょう。
26: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:28:01.19
葬儀が済み、家のものは妻の手に渡りました。

もちろん蔵の鍵も。

蔵の女性が住職を愛していたか……ということは分かりませんが、住職が死んでしまった今、女性は少なくとも蔵を出た行くなどするはずでした。

でもそれは叶わなかったのです。

どういうわけか、残された妻は頑として蔵の扉を開けようとしませんでした。

蔵からは何かをひっかくような音とすすり泣く声のようなものと数日続き、やがて静かになりました。

女の人の姿が見られないと、もしかしたら噂にはのぼったかもしれません。

でも、人の噂は七十五日といいます。

よほどの理由がないとすぐに忘れられてしまうのです。
27: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:29:04.17
それから何年か何十年かが経ち、蔵の建て替えが検討されました。

でも、いざ工事に取りかかろうとすると、そのたびに事故が続いたり、病がはやったり、工事に関わった大工が「女が塩漬けになっている」と発狂して蔵の中で首を吊ってしまったりと不審な出来事が続きました。

大工は死の直前まで、爪のない女が腐ることもなく死んでいた、壁が血まみれになっていたとうわごとをもらしていたそうです。

人々は恐れ、工事は中止になりました。

こうして蔵は残されたまま今に至ります。
28: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:30:20.17
はい、マルの話はこれでおしまい。とっても緊張したずら。

でも、それから長い年月が過ぎたというのに、今でも風が吹くと、どこからか蔵の壁をひっかくような音が聞こえてくることがあります。

ときにはすすり泣くような声と、白粉のような香りも。

だからせめてもと、今でもマルの家ではその女の人の供養を続けています。

ほら、こんなふうに。その人を忘れてしまわないように……


ポリ


ポリポリ
29: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:33:18.15
千歌「そ、そssれええれってって」

梨子「骨壺じゃないの、なんてものを!!??」

花丸「みんなも食べるずら?」

曜「だめえ……」

善子「ずらまる、そのあたりにしておきなさい」

花丸「ごめんなさい、これはただの金平糖」

千歌「ほんと……?」

梨子「よっちゃんは知ってたの!?」

善子「長い付き合いだから……あとこれは普通の壺よ」

花丸「ろうそく、消します」
30: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:34:53.32
五、『怪語るより怪歌おう』津島善子

それじゃあ最後は私ね。

怪談話をやるなんて聞いてなかったから、私のも怖いというよりは単に気になってることだけど、そんなのでいいのかしら。

よしこちゃんいちいち前置きはいいって?誰よ今の!ヨハネ!
31: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:36:11.78
さて。

子供の頃、千歌ちゃんってばよくみかんをつまみぐいして怒られてたそうね。

「なんで食べちゃいけないの?」なんてむくれてたんですって。ふふふ。

みかんを食べ過ぎると手が黄色くなるっていうけど大丈夫かしら。

どうしてそれをって?夜空はなんでも知ってるの、なんて。

夜空はともかく――みかんのこともともかく――

ある人々がりんごを食べたせいでどんな厄介が起きたかはみんなも知っているでしょう?
32: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 00:37:18.36
人は死すべき運命を背負うことになった。

エデンの園より追放されし堕天使ヨハネが……ごほんごほん。ずらまるありがとう。

人はいつ死ぬのか。

脳がとか心臓がとか難しいことは私にもわからない。

人々から忘れ去られてしまった時が死だという人もいるわね。

そうすると、誰かの記憶にとどまっている限り人は生き続けるといえるかもしれない。
34: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:46:50.82
ちょっと話題を変えてみましょうか。

私たちにおじいさんがいたことを、どうして私たちは知っているのかしら。

リリーみたいにおじいさんぐらいなら確かに面識があるわね。

でもおじいさんのおじいさんのそのまた……となったらどう?

本当にいたかどうか私たちにはわからないんじゃない?

なるほど、私たちがいるからにはそうした人も確かにいたはず。

戸籍をたどることができるってのもそうね。でも、そうすると……
35: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:47:48.27
今川義元って小学校で習ったわよね。

1560年に織田信長に桶狭間の戦いで討たれた駿河国の大名?

花丸やるじゃない。それじゃあもう一つ問題。

どうして今川義元がこの世に存在していたと言えるの?

もちろん歴史上の記録はたくさん残っている。

私のひいひいおじいさんとは比べ物にならないほどね。
36: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:48:29.89
そうすると、別の問題が浮かび上がってくるの。

天使は存在する。幽霊も、あるいはダイダラボウシも。

古今東西にこれらについての記録が山のようにある。

私のひいひいおじいさんと今川義元。

今川義元と幽霊。

この二つ存在の確かさはいったいどれほど違うのかしら?
37: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:49:51.69
もうちょっとだけ寄り道をするわ。みんなちょっと目を閉じてみて。

たとえばリリー、あなたは本当にそこにいるの?

私は確かにリリーを感じることができる。

リリーだけじゃない。花丸も、ルビィも、千歌ちゃんも、曜ちゃんも。

もちろん気配だけじゃなくて、声や暖かさ、香りまではっきりと。
38: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:51:00.90
でも私たちが見ている世界なんてもの、本当にあるの?
たとえば姿――色と形――を私たちは別々に考えることは出来ない。

片方には必ずもう片方が伴う。形だけ、色だけのものなんて想像できないでしょう?

犬には人に見えないものが見えているってのは本当らしいわね。

彼らの目や耳、鼻は人よりもよほど広い世界を捉えているそうよ。

私たちに見えるみんなの色はほんとうに心の外にあるのか。

もし色が心の中にしかないのだとしたら、形も同じなんじゃないか。

そんな風に考えていくと、なんてものは全て心の中にしかないものだってことになる。

「本物の世界」なんてものがあったとしても、きっとそれは私たちが感じているものとは全く違うんでしょう。

心の外なんて存在するとはいえないんじゃないか。

この世に確かに存在すると言えるものはなんなのか。
39: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:55:36.11
ここまで言う必要は無かったかもしれないわね。

でも私たちの世界なんて案外ゆらぎやすい。

「幽霊の正体見たり」、とっても洒落た言い回しじゃない。

枯れ尾花と幽霊の境目なんてそうでなくても曖昧なのかもしれない。

人はいつ死んでしまうのか?

もしかしたら私たちは何かを忘れないでいることで、新しく知ることで、「何か」をつくりだしてしまうことがあるかもしれない。

どこにって?それはどこかに。
40: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:55:57.29
たとえば

風が吹くと

白粉の香り。

あるいは

しいたけ
41: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 09:56:37.43
私たちは怪談を始めてしまった。

「何か」が「どこか」に生まれる準備はとっくに整っている。

それじゃあ、そろそろ夜も更けて涼しくなってきたから。

窓を開けましょうか。

風が……


蝋燭を。
42: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 10:05:39.71
梨子「誰よ!?ひっかいてるの」

千歌「わ、私じゃないよ……」

曜「それにこの匂いは……?」

美渡「じゃーん、美渡お姉ちゃんでしたー」

千歌「ええーっ、なにやってるのー!?」

曜「びっくりしたー」

美渡「部屋の前通ったらなんか面白そうなことやってたからつーいね?」

善子「つーいねじゃないわよ……」

美渡「準備、まだまだやることあるんでしょう?ちゃっちゃとやっちゃいなさい」

五人「はーい」
43: 名無しで叶える物語 2016/08/27(土) 10:10:10.82
千歌「じゃあ電気つけるね」

花丸「びっくりしたずら」

善子「ちょっとお手洗いを借りてくるわ」

美渡「私ももう戻ろうっと。ついでに案内しよっか?」

善子「ありがとうございます」
……

善子「ところでお姉さん、あの香りは何だったんですか?」

美渡「なんのこと?私は何もしてないわよ?」

善子「……」

美渡「ほんとだって」
44: 名無しで叶える物語 2016/08/28(日) 14:08:30.48
お姉さんから感じた香りはさっきのとは全く違っていた。

そもそもこの時代にあんな古風な香りを手に入れる方が難しいだろう。

そうするともしかして……否。

まだしなければならないことは多いのだ。枯れ尾花は枯れ尾花のままでいい。

Aqoursがお化けをモチーフにしたライブをすることになるのはまた別のお話。

おしまい
45: 名無しで叶える物語 2016/08/28(日) 14:11:13.31
駄文失礼しました。

いくつか下敷きにしたものはありますが、あえて間違ったことを言っているところもあります。
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