ルビィ「赤鬼と呼ばれた男とその娘の話」

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ルビィ-アイキャッチ8
1: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:07:25.09 ID:qUKXAysv.net
私の名前は黒澤ルビィ、 浦の星女学院に通う高校一年生の女の子です。
お姉ちゃんの名前は黒澤ダイヤ、 浦の星女学院の生徒会長をしている、自慢のお姉ちゃんです。

お姉ちゃんは黒髪、私は赤髪

よく、友達からは「なんで姉妹で髪の色が違うの?」とよく言われます。
なので、今日は私の赤髪について少しお話をしたいと思います。

赤鬼と呼ばれていた父とその娘の話。

元スレ: ルビィ「赤鬼に呼ばれた男とその娘の話」

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2: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:08:26.36 ID:qUKXAysv.net
父は寡黙な人です。
父が談笑している姿は見たことが無いし、食卓を家族で囲む時も私たちの話を黙って聞いています。
少し気になることがあると「....学校はどうだ?」みたいに聞いてくることもあります。

こういうことを話すと厳しい人なのかな?と思われたりするかもしれませんが、父は優しい人です。
だって、私たちのアイドル活動に否定的では無いのですから。
私が父にAqoursのことを話した時、姉が話した時も父はただ一言「頑張りなさい」と励ましてくれました。

話すのは苦手だけど、優しい父親。
それが、私から見える父の姿です。
3: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:09:35.47 ID:qUKXAysv.net
そんな父も昔はやんちゃだったみたいで。

生まれ持った赤髪とその喋らない性格から、中学時代はよく不良に絡まれたらしいです。
父は不器用な人ですから逃げることは出来ず、売られた喧嘩を買う日々を過ごしていたらしいです。
父は腕っぷしも強く、かかってくる不良達をバタバタと倒して行きました。
そんな日々を過ごす内に、その喧嘩の強さと特徴的な赤色の髪から父はこう呼ばれるようになりました。

「赤鬼」と。
5: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:10:38.36 ID:qUKXAysv.net
高校に入ってからも、父の喧嘩の日々は終わりませんでした。
「赤鬼」の名は地域中に響き渡り、関わろうとする人は誰一人いませんでした。

そう、母以外は。

母は、その高校で生徒会長をしていました。
赤鬼と呼ばれた父を更正させようと母は父に会いに行きました。
最初は話も聞かなかった父でしたが、何度も会いにくる母に折れて父は母と話をするようになりました。
6: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:12:31.37 ID:qUKXAysv.net
母は父を琴曲部に誘おうとしていました。
黒澤家は琴の名家です。母は高校の琴曲部にも入っていたので、父を琴曲部に入れようとしていたのです。
父は最初乗り気ではありませんでしたが、母の演奏を聴いてみることになりました。

母の演奏は、素晴らしい物でした。

華やかで美しい、私や姉が母の演奏を聴いた時はそんな印象を抱きました。
そんな素晴らしい演奏を聴いた父は琴曲部に入部しました。
最初は部に馴染めず苦労していた父でしたが、母の努力あってか部員との意思疎通も図れ、母の指導の元、父は技術をめきめきと高めていきました。
7: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:14:33.64 ID:qUKXAysv.net
母が高校を卒業し、大学へ進学しても母は時折高校を訪れ、父に琴を教えていました。
この頃から母は父に惹かれていたのかもしれませんね。
そして、父は高校最後の年での大会で父は優勝しました。

優勝後、父は母に告白し二人は付き合うようになったらしいです。

数年後、父は母にプロボーズし、二人は結婚することになりました。

幸せの道を歩み始めた二人ですが、そこから二人の厳しい道が始まったのです。
8: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:16:19.77 ID:qUKXAysv.net
父の両親は離婚し、母子家庭として育てられてきました。
父の母はとても優しい人であり、彼女の赤髪を自分が受け継いだことを父は誇りに思っています。
一方、母は昔から続く琴の名家の一人娘です。
二人が結婚の許可を求めて黒澤家に訪ねた時、母の両親が出した条件は「黒澤家への婿入り」でした。
これに対しては二人はさほど反対せず、条件を飲んだそうです。
しかし、結婚した後も非難や中傷の声が二人を責めたそうです。
「赤鬼」と呼ばれ不良時代があった父と、古くから歴史のある黒澤家の一人娘の結婚を認めない、という声が多かったのです。
周りは父を責めました、「赤髪など野蛮だ、黒澤家に相応しくない」と。

父に髪を黒く染めろ、ということを言ってくる者もいました。
しかし、父は髪を染めることなどはしませんでした、「これは私の誇りだ」と。
そんな父を私は誇りに思います。
母もそんな父を誇りに思っていました。父は何度も母に「私のつまらない意地のせいで苦労をかける」と言うと母は父の手を取り、「私はあなたが優しい人だと言うことを知っている、だから大丈夫よ。」と。
9: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:17:46.21 ID:qUKXAysv.net
そして、しばらく生活し母は父の子を宿しました。
その子の名前にはもう私たちのように黒澤家のしがらみに捕らわれてはいけない、そしてこのような逆境にも負けない硬い意思を持つ子に育って欲しいという願いから、片仮名でダイヤ、という名を授けました。
二年後、また子を授かった二人は同じようは気持ちを込め、今度はルビィと名付けました。

これが、私たち姉妹です。

名家にそぐわない名前として非難を浴びましたが、二人はその名を誇って名付けたと言い続けました。

私も姉も、この名前が大好きです。
10: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:20:52.08 ID:qUKXAysv.net
姉は母の髪色を継いで黒髪に、私は父の髪色を継いで赤髪になりました。
その影響なのでしょうか、私は父の演奏に心を惹かれるようになりました。

父の琴は、母のとは対称的に激情的な演奏です。
恐怖や悲しみ、全ての感情が入り混じり聞き手の心に襲いかかってきます。
母の演奏と比べて聞くと、本当に母から教えてもらっていたのだろうかと怪しんでしまうほど、二人の演奏は正反対でした。

姉は母の演奏を、私は父の演奏を気に入り各々琴を教わるにことになりました。
12: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:22:02.69 ID:qUKXAysv.net
しばらくして、私の体格が他よりも小さいことに気が付きました。
父のような激しい演奏をするためにはこの小さな身体では難しい....
そう思い始めた私は身体を大きくするために色々と工夫をし始めました。
男らしく振る舞ったり、武術を学んだり....やれることは何でもしてきました。
頑張ろうとわさびを大量につけ、食べようと無茶をしたせいでわさびが食べられなくなったなんていう笑い話もあります。

他にも覚えている思い出としては東京に行った時、姉が迷子になっていたのを探し、泣いている姉を引っ張って戻ったことでしょうか?
周りからは「どちらがお姉ちゃんかわからないね」なんて言われたりもしました。

こうして、私は父から受け継いだ赤髪を誇り、演奏を受け継ぐことが出来るよう努力していたのです。

あの時までは....
13: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:23:20.82 ID:qUKXAysv.net
その時は、新年の挨拶で黒澤家の知人のところへ挨拶に行った時でした。
「ルビィちゃん、ちょっといいかい?」とその家の、私がおばちゃんと呼んでいる人が私を呼んでいました。
私は何も警戒せず、その人の後を付いていきました。

通された部屋は脱衣場でした、鏡の前には椅子が置いてあります。
「ここに座ってごらん」と言われました。訳がわからないまま、私はその席へ座りました。
「ルビィちゃん、髪を切ってあげるよ」と言われ、おばちゃんがごそごそと用意をし始めました。
おかしいな、この前髪を切ったばかりだから伸びてないのに....
そう思いながらふとおばちゃんの手に持った物を見ると

それは鋏ではなく泡のような物でした。
14: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:27:23.93 ID:qUKXAysv.net
「お、おばちゃん...その泡、何?」
私は恐る恐る聞きました。
「これかい?先にシャンプーしなきゃって思ってねぇ」
絶対に可笑しい、そう思い椅子から離れ逃げ出そうとしました。
しかし...
「待ちなさいよっ!!」
と肩を掴まれ、私はその場で尻餅を付きました。
泡を持っていた手で掴まれ、掴まれた服が黒く染まっていきます。
15: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:31:02.52 ID:qUKXAysv.net
「な、何これっ...」
私は思わず、呟きます。おばちゃんはあははっ、と笑いました。
「これはね、黒染めだよ!あんたの髪を黒色に染めるのさ!」
私は戦慄しました。
私が誇らしいこの赤髪を、父から受け継いだこの赤髪を黒く染めるなんて!!
「や、ヤダっ!!」
私は何とか抵抗しようと試みます。
しかし相手は大人、尻餅をついた状態で上から体重をかけられれば子供の私には抗う術はありません。
16: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:32:44.72 ID:qUKXAysv.net
「黒澤家のくせにこんなふざけた髪して!認めない...私はあんなやつ認めないわよ!!」
「嫌あ"あああああああ!!」
私は上から覆い被せるようにしてきて髪を触ろうとしたおばさんの腕を掴み必至に抵抗しますが、どんどん押されていきます。
私は泣き叫んで助けを求めることしか出来ませんでした。

「ルビィ!!」

悲鳴を聞き付けて、父が駆け付けてきました。
そこにいるのは、押さえ付けているおばちゃんと泣き叫ぶ私。
17: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:35:16.01 ID:qUKXAysv.net
「貴様あああああ!!」
父が叫び、おばちゃんを突き飛ばしました。
「ひぃっ!!」
「お前が....お前があああっ!!」
父が激昂し、おばちゃんを殺してしまうのではないかと思ってしまうぐらいに向かっていくのを掴みを母が、その家の人がしがみついて止めます。
それでも叫び続ける父を見て、これが中学時代「赤鬼」と呼ばれた父なのかな、と人ごとながら思いました。

止められた父に対し、おばちゃんも叫びます。
「あんたのせいだっ!!あんたが黒澤家に来なきゃ私の息子はっ!!」
18: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:38:11.25 ID:qUKXAysv.net
騒動の後、私たちは家に帰らされました。
あのおばさんの息子は父や母と同じくらいの年齢らしく、成人したら息子と母を結婚させようと考えていたらしいです。
父に手が出せないと考えたおばさんは私を狙いにし、父の誇りであり、私の誇りでもある赤髪を染め、小さな復讐をしようと考えていたのでした。

当の私はショックを受けて、ずっと考え込んでいました。
必至で習った武術もまるで役に立たず、ただ泣き叫ぶことしか出来なかった。
私が描く父親の姿に、私は一歩も近付けた気がしなかった。
その日は一晩泣き続けるしかなかった。
19: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:40:31.16 ID:qUKXAysv.net
泣き疲れて寝ていて、起きると朝になっていました。
洗面所に向かうのは気が引けたけど、顔も洗いたかったために私は洗面所に行きました。

洗面所には父と母がいた。
いつもと違うのは父が椅子に座り、母が泡を手につけていること。
昨日のことから私はすぐに父が髪を黒く染めようとしていることがわかった。

「ダメっ!!」
私はがむしゃらだった。
母の手へ飛び付き必至に止めようとした。

次の瞬間、私の足が宙に浮いた。
父に持ち上げられたからだ。

「ルビィ、私の部屋に来なさい。」
21: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:41:33.78 ID:qUKXAysv.net
父の部屋は和室だ。
私も、父も、母も座布団に座り、父が話し出すのを待っていた。
「......守るためだった」
父が口を開いた。
「私の髪色でお前を傷つけるなら、私は....」
父はその言葉を続けなかった。
私が父に飛びかかったからだ。

泣きながら、父の胸を叩く。

そんな私を父は優しく抱き締めた。
22: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:45:11.69 ID:qUKXAysv.net
「すまん....」
父が呟く。

違うんだ、違うんだお父さん。
私は悔しいんだ。

お父さんの髪はこんなに綺麗なのに。
私はこの髪が大好きで、こんなにも誇らしいのに。

それでも、父に頭を下げさせてしまうなんて。
謝罪の言葉を口にさせてしまうなんて。

そんな自分の無力さが、私は悔しいんだ。
23: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:46:16.49 ID:qUKXAysv.net
父と別れた後、一人部屋で考える。

私は父のようにはなれない。
この体格では、女では父のような激しい感情を込めた演奏は出来ない。

でも、私は父のように素晴らしい人になりたい。
別に琴でなくてもいい、この赤髪を誇りにして私は凄いと、父は凄いと言わしめるような物は....

「うーん....」
さっぱり何も思い付かなかった。

しょうがないので気分転換に居間にいく。
居間に行くと、誰もいないのにテレビがつけてあった。

そこにはアイドルが映っていた。
24: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:47:40.45 ID:qUKXAysv.net
アイドル
まだ、スクールアイドルなんて言葉が出ていない時のアイドル。

でも、そこに映る景色は輝いていた。
男らしくなろうとこういう物は全く見ていなかった自分にはとにかく新鮮だった。

そこに映るアイドルはみんな輝いている。
みんな個性的でみんな違う、顔や髪型、髪色でさえも....
25: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:50:52.76 ID:qUKXAysv.net
バタバタと廊下を走り、父の部屋の扉を開ける。
「お父さん!」
そこには驚いて目を丸くさせた父がいた。

「お父さん、私、アイドルになる!!」

今度は父が咳き込んだ。
当たり前だ、今まで言っていたことが正反対違うのだから。
それでも、私は続ける。

「アイドルになって、とびきり可愛くなるの。赤髪はカッコいいってだけじゃなく可愛い、って知ってもらうの!!」
カッコ良さだけじゃなく、可愛さを知ってもらうんだ。
カッコ良さと可愛さ、両方兼ね揃えれば無敵だ!

「.....」
父は少し黙った後「頑張りなさい」と声をかけてくれた。
「はい!」と返事をし、部屋から出た。
部屋を出る時に父は
「ありがとう」
と声をかけた。それが私にはたまりなく嬉しかった。

アイドルになる

新たな目標を持って私は駆け出したのだった。
26: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:52:05.20 ID:qUKXAysv.net
これでルビィの話はおしまい。
どうだったかな?
意外だったかな?
え、性格が今と全然違うって?
そりゃそうだよ、ルビィはこのあと急なキャラ転換に自分が付いていけなくてどんどん自信がなくなって臆病な性格になっちゃうんだもん。
お姉ちゃんは可愛いから昔真似しようと頑張って、昔のお姉ちゃんの悲鳴が私に移っちゃったりね。
だから、そんなルビィに手を差し伸べてくれた花丸ちゃんやAqoursのみんなにはとても感謝してるんだ。

だから、私はこれからも頑張っていく

可愛くなれるように

輝けるように

この赤髪に恥じないように。


赤鬼と呼ばれた男の、娘として生きていく。
27: 名無しで叶える物語(こんにゃく)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 17:53:17.15 ID:qUKXAysv.net
おしまい
初手誤字って言われたけどどこかわからなかった...
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