花陽(26)「凛ちゃんとはなよ酒」

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りんぱな-アイキャッチ10
2: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 18:57:40.76 ID:+b7UnuUV.net
代行ありがとうございます。

花陽(26)「夏のはなよ酒」
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1468216829/l50

の後日談みたいな感じです。
よろしければお付き合いください。

元スレ: 花陽(26)「凛ちゃんとはなよ酒」

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4: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 18:58:23.13 ID:+b7UnuUV.net
花陽「〜〜〜♪」

仕事も終わって午後8時、私は今鼻歌まじりに台所でお料理をしています。

花陽「薬味も準備できたし、お出汁も・・・うん!おいしい♪」

いろいろ悩むこともあったけれど、今となってはこうして待つ時間すら楽しく過ごせていて・・・
今は自分の選択は間違ってはいなかったと胸を張って言えます。

タンッタンッ

花陽「この音・・・ふふ」

軽やかにアパートの階段を駆け上がる音が聞えてきます。
間違えるはずなんてありません。きっとこの音は・・・

凛「かよちんっ、ただいまぁ!」

花陽「おかえり、凛ちゃん♪」

勢いよくドアを開けた凛ちゃんを、私は笑顔で出迎えました。
5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:00:12.19 ID:+b7UnuUV.net
いろいろあって、夏から付き合うことになった私たち。
お互いお仕事もあるし、会う時間は自然と仕事終わり、どちらかの部屋だったわけで・・・
気がつけば、私の部屋で半同棲状態になっていました。

花陽「着替えは洗濯機の上に用意してあるから、先にお風呂入っちゃってね」

凛「は〜い」

部屋を見れば、かなり凛ちゃんの私物も増えていて、もう自分の部屋というより二人の部屋って感じです。
少し手狭になったように感じるけれど、なんだか前よりも温かく感じます。

花陽「さてと、凛ちゃんがお風呂に入っている間に、こっちも仕上げちゃおうかな」

今日のおつまみは牡蠣!
これからの季節は食卓のメインとして大活躍の食材だよね。
7: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:02:05.42 ID:+b7UnuUV.net
花陽「まずは荒塩を振って優しく揉み洗い・・・」

牡蠣に限らず、貝類はわりと汚れが付いていたりするんです。
荒塩や片栗粉を使って汚れをしっかりと落とすのが、お料理の味をワンランク上げるコツなんだ。
それから水でお塩を流して、濃い目の鰹出汁で軽く湯がいていきます。

花陽「う〜ん、お出汁と牡蠣の香りが合わさって、すっごくいい匂い」

茹で時間は1,2分かな・・・
浅めの火入れだから生食用を使うのがいいかもしれないね。

花陽「これくらいでいいかな?牡蠣を取り出して・・・残ったお出汁は炊飯器に入れちゃいましょう♪」

少しだけお醤油を足して、他に余計な味付けは無し、お出汁とお米の旨みで勝負だね。
そして、炊飯器のスイッチをオン!
牡蠣はおつまみ用と、ご飯用に分けておいて、蒸らす時に炊飯器に戻せばOKです。

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
8: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:03:43.12 ID:+b7UnuUV.net
〜〜〜〜〜〜


花陽「あ、おかえり!ちょうど準備できたところだよ」

ちょうど準備ができたころ、洗面所からパジャマ姿の凛ちゃんが出てきました。
前と比べて少し伸びた髪は、まだしっとりと濡れていてなんだか色っぽい感じかも。

凛「いつも任せきりでごめんね、今度凛もご飯作るから」

花陽「いいよいいよ、気にしないで」

ちょっと過保護かもしれないけど、凛ちゃんに包丁を持たせるのも不安だし・・・

凛「今日のおつまみは牡蠣なんだね」

花陽「うん!最近涼しくなってきたし、冬の味覚を先取りしてみたんだ。ちょっと待っててね、今お酒も出すから・・・」

冷蔵庫を開けて、合わせるお酒を選びます。
今日はどのお酒にしようかな〜♪

花陽「う〜ん・・・ちょっと冒険だけど、これにしようかな」

取り出したのは、私たちにはお馴染みのこのお酒
9: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:05:45.75 ID:+b7UnuUV.net
花陽「『花陽浴 純米大吟醸 八反錦 無濾過原酒』今日はこれにしましょう!」

けれど、私が嬉々として取り出した瓶を見て、凛ちゃんは少し浮かない顔。

凛「えー、牡蠣に花陽浴ってちょっと甘すぎないかにゃ?」

凛ちゃんの意見もごもっとも。
確かにフルーティーな花陽浴と牡蠣はミスマッチに思えるよね。

花陽「まあまあ、まずは飲んでみようよ。もし合わなければ違うお酒にすればいいんだし」

凛「かよちんがそう言うなら・・・」

そんな凛ちゃんをよそに、二人分のグラスにお酒を注いで準備完了です!

花陽「うん、それでは・・・」

りんぱな「かんぱ〜い」

今日も二人で晩酌のはじまりだよっ
10: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:08:35.04 ID:+b7UnuUV.net
凛「ほんとに大丈夫なのかな・・・?」チビリ

ブツブツとそんなことを言いながら、凛ちゃんがお酒を口に含みます。

凛「・・・あれ?甘いんだけど思ったほどじゃないし、香りも少ない?それにちょっぴり苦味もある・・・のかな?」チビチビ

花陽「うん、秋の花陽浴は火入れだから生酒ほどフレッシュじゃないんだ・・・うん、おいしい♪」チビリ

秋の花陽浴は他の季節とは違い、火入れのお酒なんです。だから、味ももちろん違ってくるんだよね。
火入れによって穏やかになった甘味、それに八反錦特有の苦味と渋味が加わってちょっぴり大人しい感じ。
甘味同様香りも控えめながら、花陽浴らしいパイナップルのような含み香は健在です。

凛「これなら牡蠣にも・・・合う、のかな?」

恐る恐るといった感じで、お箸で牡蠣を摘む凛ちゃん。
ちなみに牡蠣の味付けは柚子ポン酢、薬味に万能葱と紅葉おろしを用意してます。

凛「いただきます・・・」パクッ

そして牡蠣を食べた凛ちゃんは、しばらく口をモグモグと動かした後、グラスに手を伸ばして・・・
11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:10:10.44 ID:+b7UnuUV.net
凛「これ・・・アリだにゃ。牡蠣も生臭くないし、結構合うよ」チビリ

花陽「ほんとっ?よかったぁ」

凛ちゃんに続いて私も一口食べてみます。

花陽「うん、我ながら美味しい♪やっぱり濃い目のお出汁がいい仕事をしてくれてるね」チビチビ

ふわりと香る鰹出汁の香り、そして牡蠣の旨みを葱とポン酢でサッパリと・・・これはいい肴です。

花陽「生臭さもないし、お酒との相性も悪くないね」チビチビ

牡蠣と合わせるなら辛口のお酒といったイメージだけど、これはこれで悪くないです。
でも、決して牡蠣との相性がいいわけじゃなくて・・・

花陽「むしろ柚子ポン酢との相性がいいのかな・・・?」チビチビ

凛「う〜ん、そうかもしれないね」チビリ

やっぱりこの手のお酒に合うおつまみを探すのって難しいです・・・。
12: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:13:54.27 ID:+b7UnuUV.net
〜〜〜〜〜〜

凛「ねえねえ、かよちん。さっきから気になってたんだけど、なんかすごく良い匂いがしない?」チビリ

お酒を飲みつつ、クンクンと部屋の匂いを嗅ぐ凛ちゃん。
飲むか嗅ぐかどっちかにすればいいのに、凛ちゃんって変なところで器用だよね。

花陽「ああ、それはね・・・」

ピーピーピー!

凛ちゃんの質問に答えようとしたところで、台所から電子音が聞えました。

花陽「あっ、ごめんね凛ちゃん、ちょっと台所行ってくるね」

凛「えぇ〜」

私がそう言って立ち上がると、凛ちゃんはすこし不満そうな声を出します。

凛「ねえねえ、これ何の匂いなの?」

少し酔っ払っているのか、子供みたいに尋ねる凛ちゃんに私は

花陽「十分後のお楽しみだよ♪」

悪戯っぽく笑いながらそう答えました。
13: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:19:21.07 ID:+b7UnuUV.net
そして十分後・・・

凛「かよちーん、もう十分経ったよ?」チビチビ

お酒を飲みながら、少しとろんとした目つきで凛ちゃんがそう言います。
一升瓶の中にはもう4分の1程しかお酒は残っていません。
結構なペースで飲んじゃってるね・・・。

花陽「うん、じゃあこれで〆にしよう。ちょっとまっててね・・・」

私は足早に台所に向かい、二人分のお茶碗に例のモノを用意します。

花陽「おまたせ、凛ちゃん。今日のご飯は牡蠣飯だよっ」
14: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:22:27.94 ID:+b7UnuUV.net
凛「うわぁ、美味しそう・・・それにすっごくいい匂い・・・」

花陽「うん、この香り・・・たまらないよね」

芳しい牡蠣と鰹出汁の香り、そしてその裏にはほのかにご飯とお醤油の匂い・・・

花陽「薬味に万能葱と大葉を用意してるから、お好みで使ってね」

凛「うん、でもやっぱり・・・」

花陽「まずはそのまま、だよね?」

二人で軽く視線を合わせて

りんぱな「いっただっきまーす!」

牡蠣飯、食べちゃいます♪
15: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:25:36.88 ID:+b7UnuUV.net
凛「あ、薄味だけど美味しい!」

花陽「うん、味付けは控えめで、素材の味で勝負してみたんだ」

薄味でも、牡蠣とお出汁の濃厚な味わいを吸ったご飯は最高に美味しいです!
牡蠣の塩気がご飯の甘味を引き出してるようにさえ感じるね。

花陽「今度はちょこっと薬味を乗っけて・・・」

凛「牡蠣と一緒に・・・」

思い切り頬張ると、磯の香りと一緒に爽やかな葱と大葉の香りが口いっぱいに広がります。

花陽「う〜ん、最高だね♪」

凛「染みる味だにゃ。〆のラーメンもいいけどこれも結構いけるね」

それから二人でおかわりして、〆と言いつつまたお酒を飲んで・・・
16: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/29(土) 19:26:50.95 ID:+b7UnuUV.net
凛「・・・」

しばらくしたら、凛ちゃんは座ったままこくんこくんと舟を漕いでいました。

花陽「ふふ、疲れてるのかな?お酒もいっぱい飲んじゃったもんね」

さらりとした髪を軽く撫でてから、凛ちゃんの肩を揺すります。

花陽「凛ちゃん、こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ?ちゃんとベッドで寝なくちゃ」

凛「う、うん・・・」

目を覚ました凛ちゃんは、とろんとした瞳で上目遣いに私を見ながら

凛「・・・一緒にベッド行こ?」

なんて言いました。
・・・もう、可愛いなぁ。

花陽「うん、一緒に行こ。でも、その前に歯磨きしなくちゃね?」

寝ぼけ眼の凛ちゃんと一緒に、洗面所で歯を磨いて、二人で一緒にベッドに入って・・・
少し肌寒い中、体を寄せ合って私たちの秋の夜は過ぎていくのでした・・・。
33: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:40:06.78 ID:xXGTK6wC.net
ガチャッ

花陽「ただいま〜」

今日は休日だけど、ちょっとだけお仕事をして、それからお買い物をしたりして帰ってきました。

花陽「凛ちゃんは職場の飲み会って言ってたから、久しぶりに一人なんだよね」

そう考えるとなんだかちょっと寂しいかも・・・
いつのまにか、二人で一緒にいるのが当たり前になってしまっていたのかもしれません。

花陽「とりあえず、凛ちゃんが帰ってくるまで、のんびり飲んでようかな・・・」

そんなわけで、今日は一人酒です!
34: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:42:11.35 ID:xXGTK6wC.net
花陽「う〜ん、どれを飲もうかなぁ・・・」

冷蔵庫を開けてみると、中に入っているお酒はどれも二人で飲もうと思って買ってきたものばかり・・・

花陽「あっ、そういえばあのお酒が・・・」

ふと思い出して、冷蔵庫を閉めて、戸棚の中から四合瓶を取り出します。

花陽「これも秋酒だし、今日はこの子にしちゃいましょう♪」

そんなわけで、本日はこのお酒・・・

花陽「『黒龍 純米吟醸 純吟三十八号』黒龍の秋限定酒です!」

黒龍といえば、日本酒ファンには言わずと知れた人気銘柄ですよね。
そんななかでも、この純吟三十八号は秋上がりの限定酒です。
通常の純米吟醸が五百万石を原料米としているのに対し、こちらは兵庫県産山田錦を使ってるみたいだね。
35: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:45:48.96 ID:xXGTK6wC.net
花陽「あわせるおつまみは、作り置きしておいたイクラの醤油漬けにしましょう!」

秋の味覚のひとつとして、秋鮭、そしてイクラは外せないものだと思います。
今年は鮭の漁模様があまりよくないみたいで、ちょっぴりお値段高めだけど・・・それでも秋のおつまみで自家製イクラは絶対作らなくちゃだよね。

花陽「今年の味付けは、かなりあっさり、お上品に仕上げてみました」

白醤油、昆布出汁、そして日本酒で漬け込んだイクラは、綺麗なオレンジ色。
濃口醤油を使うと、この色味は出せないんだよね・・・

花陽「小鉢にイクラをたっぷりいれてっと・・・」

うん!今日も楽しい晩酌になりそうです♪
36: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:50:53.75 ID:xXGTK6wC.net
花陽「さぁ、準備できましたよ♪」

秋酒の瓶、小鉢には綺麗なイクラ・・・これぞ飲兵衛の正しい秋の姿だね。

花陽「さっそくお酒をお猪口に注いで・・・」

ひやのお酒を、瓶から手酌でお猪口に注ぎます。
こうやって自分でお酒を注ぐのも、なんだか久しぶりかもしれません。

花陽「それでは、いただきます♪」チビリ

花陽「はぁ・・・いいですねぇ、癒し系です。しっかりと味が乗ってて、上品な香りと優しい甘味がたまりません・・・」チビチビ

レギュラー品の純米吟醸と比べると、かなりまろやかで円熟した味に感じます。
そんな旨みを感じさせながらも、飲み口は軽快・・・とてもよくできた造りです。

花陽「じんわりと広がる旨みを、軽いタッチですいすい飲ませてくるね・・・さすが黒龍さんです・・・」チビリ

上立ち香も微かな果実感がある程度で穏やかな感じ・・・。
秋の夜長にのんびり飲むのにはピッタリのお酒だね。
38: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:55:03.62 ID:xXGTK6wC.net
花陽「さてさて、今度はイクラを食べちゃいましょう♪」

木製のスプーンで小鉢のイクラをすくって、口に運びます。

花陽「う〜ん、これも美味しい!薄味だからかサラッとしてて、こっちも癒し系な味だね」

薄い味付けだからこそ、濃口醤油や塩で漬けた時には味わえないような素朴な味わいがあるんだよね。

花陽「お酒との相性も抜群だね。これは癒されます・・・」チビチビ

なんだか日本人に生まれてよかったって思っちゃうよね。

ピーピーピー!

花陽「あ、ご飯炊けたみたい!お酒の残りも・・・、蒸らし時間にちょうどよさそうだね♪」

部屋中に充満したご飯の匂い、美味しいおつまみ、美味しいお酒・・・。

花陽「これが、今日という日を生き抜いたごほうびです・・・」
39: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:55:55.58 ID:xXGTK6wC.net
花陽「そういえば、去年は確か塩イクラにしたんだっけ・・・」チビチビ

お酒を飲みつつ、イクラを眺めていたらふとそんなことを思い出しました。

花陽「それで、やっぱりこんな感じでお酒を飲んでたんだよね・・・」チビリ

丸々一年経っても、人間ってなかなか変わらないものだよね。

花陽「変わらなかったり、変われなかったり、変わってしまったり・・・時間の流れって不思議です」

なんだかしんみりした気分になっちゃうのも、やっぱり秋のせいかな?
40: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/30(日) 16:56:50.67 ID:xXGTK6wC.net
タンッタンッ

なんて一人で考えていたら、外から聞きなれた足音が聞えてきました。

花陽「ふふ、この感じだとまだまだ元気そうだね」

私は立ち上がって、戸棚からもうひとつお猪口を取り出して

ガチャッ!

凛「かよちんっ、ただいまぁ!」

花陽「おかえり、凛ちゃん♪」

私たちの夜は過ぎていったのでした・・・。
47: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:25:57.89 ID:2uSHnNA3.net
凛「〜〜〜♪」

今日もお仕事が終わり、凛はかよちんの待つ部屋へと急いでいました。
疲れているはずなんだけど、かよちんのことを考えると体は軽くって・・・なんだか恋ってすごいなぁなんて思っちゃったり。

そんなことを考えながら速足で歩いていたら、もう部屋は目の前。
外階段をリズムよく2段飛ばしで駆け上がって・・・

ガチャッ!

凛「かよちん、ただいまぁ!」

花陽「あ、凛ちゃんおかえりなさい」

凛「・・・へ?」

出迎えてくれたのは、いつものかよちんではなく、可愛らしい魔女さんでした・・・。
48: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:27:42.94 ID:2uSHnNA3.net
凛「か・・・かよちん?そのかっこ・・・」

今一度かよちんの姿をよーく見てみる。
オレンジのとんがり帽子に、ひらひらとしたマント姿、それにいつものフリルの付いた白いエプロン・・・

花陽「うん!見て見て、かわいいでしょ?」

そんな姿のかよちんは、なんだかいつもよりも生き生きとしていて、笑顔も可愛くって・・・

凛「かよちんにこんな趣味があったなんて知らなかったにゃ・・・」

きっとかよちんはコスプレが好きなんだね。
道理でことりちゃんと仲が良かったわけだ。

花陽「え?趣味って・・・」

凛「これからは思う存分コスプレしていいからね・・・凛、どんなかよちんでも受け入れるから!」

花陽「・・・」

凛のそんな言葉に、かよちんは少し困惑したような表情をしてから、顔を真っ赤にして・・・

花陽「ち、違うの!これは、そうじゃなくって!」

早口に弁解を始めたのでした。
49: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:32:20.80 ID:2uSHnNA3.net
花陽「これはね、ハロウィンの仮装なの!気分だけでもと思って・・・だからそんな、趣味でコスプレしてるわけじゃないの!」

パタパタと手を動かしながら、真っ赤な顔でそう言うかよちん。
そんな必死にならなくてもいいのに・・・

凛「あのね、かよちん。ハロウィンは昨日で終わったんだよ?」

花陽「凛ちゃん、それ本気で言ってる?」

凛「うん!だって、昨日仮装パレードやってたもん」

昨日の街はハロウィン一色。
外では仮装パレードをやってたし、飲み会で入ったお店もハロウィン限定メニューがあったりしたもんね。

花陽「あのね、凛ちゃん。ほんとのハロウィンは10月31日、今日なんだよ?」

なんだかかわいそうな人を見るような目で、こっちを見るかよちん。

凛「もう、コスプレがばれたのが恥ずかしいからって、そんなウソに凛はだまされな・・・」

花陽「凛ちゃん、これ見て」

かよちんが差し出したスマホの画面、ハロウィンの説明ページに書かれていたのは、まぎれもなく今日の日付。

凛「・・・」

花陽「仮装、凛ちゃんの分も用意してあるから、シャワー浴びたら着替えてね?」

凛「はい・・・」

それ以上、凛は何も言えるわけもなく、かよちんに言われるがままトボトボとお風呂へ向かったのでした・・・。
50: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:37:21.42 ID:2uSHnNA3.net
〜〜〜〜〜〜

凛「なにこれ・・・」

お風呂上り、かよちんの用意した衣装に着替えた凛は、思わずそう呟いていました。
凛の衣装はなんていうか・・・化け猫?みたいな物で・・・猫耳に猫尻尾、そして黒を基調としてふわふわとしたお洋服。

花陽「わぁ!凛ちゃん可愛いよ!あっ、写真写真・・・」

そんな凛を見て、かよちんがスマホを手に駆け寄ってきました。

花陽「こっそり採寸してことりちゃんに頼んでおいた甲斐があったね・・・眼福です・・・」カシャカシャ

ブツブツと何かを呟きながら、凛の写真を撮るかよちんはなんだかえっちなことを考えてるおじさんみたいでした。

凛「ね、ねえ、写真も撮ったんだしもう着替えてもいいよね?」

花陽「え?そんなもったいないことしないよ?もう準備もできてるから、冷めないうちに晩酌にしよ?」

凛「えぇ・・・」

ノリノリなかよちんに引っ張られて、そのまま席について・・・
26歳魔女と化け猫、ちょっぴり痛々しい晩酌が始まったんだにゃ。
51: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:38:17.22 ID:2uSHnNA3.net
花陽「今日はハロウィンだから、ちょっぴりお洒落に洋風おつまみにしてみたよ♪」

テーブルの上のおつまみは、お洒落に盛り付けられたワンプレート。

花陽「カボチャ入りのマッシュポテトとキノコのバターソテー、それからメインはローストビーフです!ローストビーフは少し前に流行ったフライパンで作るやり方で作ってみたよ」

向かいに座った魔女さんが丁寧にお料理の説明をしてくれました。

凛「うわぁ美味しそう・・・かよちんこういうのも作れるんだね」

花陽「ちょっぴりネットの力も借りちゃったけどね」
52: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:41:22.26 ID:2uSHnNA3.net
花陽「それでこのお料理に合わせるお酒だけど・・・こっちもちょっとお洒落な感じにしてみたよ」

お肉料理に合わせる、お洒落な感じのお酒といえば・・・やっぱり赤ワインとかなのかな?

花陽「『KINOENE APPLE 純米吟醸 秋のらいすわいん』どう?お洒落なラベルでしょ?」

そう言ってかよちんが取り出したのは、一見洋酒のように見えるお洒落な瓶。
でも純米吟醸ってことは・・・

凛「あはは、お洒落だけど結局日本酒なんだね」

花陽「らいすわいん!お米のワインなの!なので今日は酒器もお洒落にワイングラスです!」

こんなところで変にこだわるのは、なんだか子供みたいで可愛らしい。
そのワイングラスにお互いにお酌して・・・

りんぱな「かんぱ〜い♪」

お洒落ならいすわいんを飲んじゃうにゃ♪
53: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:46:09.05 ID:2uSHnNA3.net
凛「らいすわいんかぁ・・・」

でも、結局のところただ呼び方が違うだけで普通の日本酒だよね?
こんな洋風なお料理と合うのかなぁ・・・?

凛「いただきます・・・」チビリ

ちょっと疑いながらお酒を口に含んでみる。
あれ?この味・・・確かに日本酒の味なんだけど・・・

凛「なんだか白ワインっぽい・・・?」

柔らかな甘味をかき消すような、強めの酸味。
なんだかその酸味が日本酒っぽくない感じなんだよね。

花陽「うん、それがこのお酒の特徴なんだ。・・・うん、美味しい♪」チビチビ

お酒を一口飲んで幸せそうに微笑んだ魔女さんは、お酒の説明をしてくれました。
54: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:51:07.33 ID:2uSHnNA3.net
花陽「ワインの主な酸味成分のひとつにリンゴ酸っていう成分があってね、このお酒はそのリンゴ酸を多く生成する酵母を使って造られているんだ」

凛「へぇ、それでワインみたいな味なんだね」チビチビ

花陽「うん!柔らかな甘味と、爽やかなリンゴ酸、そして最後には五百万石の渋味・・・ほんとにワインみたいなお酒だよね」チビリ

まさに、らいすわいんだね!

凛「このお酒なら、お肉にも合いそう・・・」

そう思って、ソースを絡めたお肉をぱくっと一口・・・

凛「う〜ん!美味しいにゃ!お肉の旨みに爽やかなお酒がよく合うね!」チビチビ

もしかしたら本物のワインよりも合うんじゃないかな?

花陽「えへへ、ありがとうございます♪」

凛の言葉を聞いて、満面の笑みを見せてくれた魔女さんは、とっても魅力的で・・・コスプレしながら飲むのもたまにはいいかな、なんて思ってしまったのでした。
55: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:56:25.89 ID:2uSHnNA3.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「・・・」ニコニコ

凛「・・・」チビリ

あれからしばらくして、二人ともお料理を食べ切って、今はチビチビとお酒を飲んでいました。

凛「かよちん・・・あんまり見られるとちょっと恥ずかしいっていうか・・・」

かよちんはニコニコ笑顔で凛を見つめながらお酒を飲んでいて・・・正直居心地が悪い。

花陽「いいじゃん、可愛い凛ちゃんを見ながらだとお酒が進むんだぁ」チビチビ

酔ってる、こんなセリフを平然と言うなんて・・・今日のかよちんは絶対に酔ってるよ!

花陽「えへへ、凛ちゃんは可愛いなぁ・・・私だけのネコちゃんにしちゃいたくなっちゃう」チビリ

凛「にゃっ!?」

そう言いながらこっちに手を伸ばして、凛の髪を撫でるかよちん。

花陽「私だけの可愛いネコちゃん・・・」

いくら酔ってるとはいっても・・・これ完全に誘ってるよね・・・?
夏から付き合い始めて、それでもキスから先のことはなかった凛たちだけど
凛、もう我慢しなくてもいいよね・・・?
56: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/10/31(月) 16:58:50.04 ID:2uSHnNA3.net
花陽「ん・・・」

そう思った瞬間、凛は頭を撫でていたかよちんの手を掴んで、強引に引き寄せてキスをして・・・

花陽「もう、いきなりすぎるよぉ・・・」

・・・後になって思うと、この時は凛もきっと相当酔っ払ってたんだにゃ。

凛「ネコになるのは凛じゃなくて、かよちんの方だよ」

なんて言ってしまいました。

花陽「へ?私が・・・ネコ?」

かよちんは少し困惑した表情を見せた後・・・

花陽「〜〜〜!!!」

すぐに意味を理解したみたいで・・・

花陽「り、凛ちゃんのばかぁ!!」

顔を真っ赤にしてベッドの中に潜り込んでしまいました。

凛「やっちゃった・・・はぁ、今日はソファで寝よ」

かよちんの叫びでなんだか酔いもさめてしまって・・・
ちょっとした罪悪感と、自分は悪くない、なんて思いを抱えながら、凛はソファで一人寂しく眠りについたのでした・・・。
61: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:01:46.98 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「お酒もおつまみも・・・うん!準備よし!」

あとは凛ちゃんが帰って来てから、仕上げをするだけだね。
私は台所で大きく頷きました。

花陽「凛ちゃん、早く帰ってこないかなぁ・・・」

今日は特別な日なんです!
お仕事も早めに片付けて、お酒も前々から用意して・・・待ち望んだ一大イベントの日なんです。

タンッタンッ

花陽「あ、この足音・・・」

間違いなく凛ちゃんです。
私は足早に玄関に向かって・・・

凛「かよちんっ、ただいまぁ!」

花陽「おかえり、凛ちゃん♪お誕生日おめでとう!」

今日は凛ちゃんのお誕生日です!
62: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:02:35.80 ID:J2Gf/bvM.net
〜〜〜〜〜〜

花陽「と、いうわけで、今日は腕によりをかけて作ってみたよ!」

凛「わ〜!」パチパチ

おつまみは簡単なものから、手の込んだものまで数種類。凛ちゃんが好きそうな焼きラーメンやサラダスパならぬラーメンサラダも用意してみました!
凛ちゃんがシャワーを浴びている間に全部のお料理を仕上げて、今は二人でテーブルを囲んでいます。

花陽「今日はお酒も『凛ちゃん』をテーマにいろんなものを用意してみたんだ」

凛「そうなの?嬉しいにゃ!」

花陽「凛ちゃんといえば〜?」

凛「・・・え?」

花陽「・・・」

あ、あれ?予定だとここはノリノリで返してくれるはずなのに・・・
でも、花陽は挫けません!もう一回チャレンジです!
63: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:09:08.00 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「り、凛ちゃんといえばぁ〜?」

凛「え・・・?イエロー・・・だよ?」

成功です!

花陽「そう!凛ちゃんといえばイエロー!そんなわけで今日は何となくイエローっぽいお酒を用意してみました!」

凛「なんだか無理やりだにゃ・・・」

確かに無理やりだけど・・・これでも私なりにいろいろ考えたんだよ?

花陽「まずは乾杯用にこちらのお酒『五橋 発泡純米酒 ねね 白麹』通常のねねと違って黄色ラベルです!」

凛「イエローなお酒って、そういう意味だったんだね」

ねねは山口県の銘酒、五橋のスパークリング日本酒です。
レギュラー品のねねは白ラベルだけど、この白麹のねねは黄色ラベルなんだ!
発泡性、低アルコールのお酒で、食前酒にはピッタリなんじゃないかな?

花陽「薄にごりのお酒だから優しく攪拌して・・・はい、凛ちゃん」

凛「ありがとー♪かよちんのは凛が注ぐにゃ」

花陽「ありがとう♪」

そうやって二人でお酌して

りんぱな「かんぱ〜い!」

二人だけのお誕生日会の始まりです♪
64: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:13:30.39 ID:J2Gf/bvM.net
凛「食前酒ってことは、食べる前にお酒を飲んだほうがいいんだよね?」

花陽「うん、甘くて低アルコールだから、最初にぐぐっと一杯って感じのお酒かな?」

凛「そうなんだ。じゃあ、さっそくいただきます」ゴクリ

私に促されるが通り、凛ちゃんはぐぐっとお酒を飲みます。

凛「甘くて美味しい!軽い感じでなんだか日本酒じゃないみたい!」ゴクゴク

花陽「うん、チューハイみたいに軽く飲めちゃうお酒だよね」ゴクゴク

低アルのスパークリングらしく、とっても飲みやすい味わいです。
白麹仕込みのお酒らしいクエン酸の酸味と、濃厚な甘味が合わさって、まるでイチゴみたいにも感じるね。

凛「美味しいけどすぐ飲み終わっちゃうし、ちょっと物足りないね」ゴクゴク

そう言いながら凛ちゃんはグラスのお酒を飲み干しました。
二人で300mlを分け合って飲めば、ビールと同じくらいの度数のこのお酒はすぐになくなっちゃいます。

花陽「じゃあ早速二本目を飲んでみる?」

凛「うん!」

食前酒で体を慣らして、これからが本番です!
65: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:20:32.94 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「二本目はこのお酒」

凛「あれ?今度は黄色いラベルじゃないんだね」

私が取り出した瓶を見て、凛ちゃんが首を傾げます。

花陽「うん、でもこのお酒もちゃんとイエローなお酒なんだよ?ここを見て」

凛「・・・「黄水仙」?」

私が指差した場所には、黄色い花の模様と「黄水仙」の文字。

花陽「『加茂錦 荷札酒 純米大吟醸 黄水仙 ver.2』ね?ちゃんと黄色でしょ?」

凛「・・・ちょっと無理やりじゃないかにゃ?」

このお酒は平成4年生まれの若い蔵元が新潟で造っているお酒です。
酒質も最近流行の若手の酒といったもので、中でもこの黄水仙 ver.2は原酒ながら13度と飲みやすく仕上げられています。

花陽「まあまあ、まずは飲んでみようよ」

凛「う〜ん、それもそうだね」

そして本日2回目、お互いにお酌をしまして・・・

りんぱな「かんぱ〜い♪」

二本目のお酒を飲んじゃいます。
66: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:24:37.44 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「さっそく飲んでみましょう・・・」チビリ

口に含むと、優しく程よい甘味が広がります、含み香はほのかにパイナップル。

凛「これ飲みやすいね。なんだか落ち着く味だなぁ」チビチビ

花陽「うん、穏やかな感じの味だよね」チビリ

円い味わい・・・とでも言えばいいのかな?
とがった部分が無くて、スルスル飲めちゃうお酒です。

凛「あ、ラーメンサラダと結構合う・・・」もぐもぐ

花陽「そう?よかった♪」

凛ちゃんが食べているラーメンサラダは、お野菜多めの冷やし中華みたいな感じのものです。
流水で締めた麺と、たっぷりのお野菜を和風ドレッシングで和えてあります。

花陽「穏やかな味だから、サッパリしたお料理とは相性いいね」もぐもぐ

自分でも食べてみると、これがなかなか好相性。
サラダと日本酒というのも案外アリだね。

凛「でも、焼きラーメンにはあまりあわないかも・・・お酒の味がわかんなくなっちゃった」もぐもぐ

う〜ん、鶏がら味であっさり目に仕上げたつもりだったんだけど・・・
それでもさすがに、このお酒だと焼きラーメン相手にはパンチが弱いかな?

花陽「じゃあここで本日三本目の登場だね」

今度はもう一段味の強さを上げてみましょう!
67: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:28:47.27 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「と、いうわけで三本目のお酒です!」

凛「あ、今度はまた黄色いラベルだ」

花陽「うん『正雪 純米大吟醸 天満月』静岡は清水のお酒だね」

この正雪は全国的に知られる名杜氏、山影純悦杜氏が造るお酒として有名です。
現在は第一線は退いたそうですが、それでも未だに正雪には「山影純悦」の名を冠したお酒もあり、まさに名杜氏によって造り守られてきた銘柄と言えます。

凛「じゃあ、今度は凛からだね」

花陽「ありがとう♪」

またこうやって二人でお酌しあって・・・

りんぱな「かんぱ〜い♪」

三本目、いってみましょう!
68: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:34:48.43 ID:J2Gf/bvM.net
凛「あ、すごくいい香りがする・・・おいしそう・・・」チビリ

匂いをクンクンと嗅いでから、凛ちゃんがお酒を口に含みます。

凛「フルーティーで美味しい!でも、後味はスッキリなんだね」チビチビ

花陽「甘いけど力強さもあるお酒だよね」チビリ

まず感じるのはメロンとバナナを合わせたような魅惑的な果実感、その後はそれに負けない渋味と辛さが後味を引き締めてくれます。
力強い味わいでも、全体像は落ち着きのある感じで・・・強さと優しさの両方を併せ持った感じかな?
そして何よりこのバナナを思わせるような素晴らしい上立ち香、これこそ正雪の魅力だよね。

凛「このお酒なら焼きラーメンにも負けないにゃ」もぐもぐ

花陽「うん、お酒の味もお料理の味もしっかりとわかるね」もぐもぐ

でもこれが普通の屋台風の豚骨味だったら、このお酒も負けちゃうよね・・・
あっさり鶏がら味にしておいてよかったです。

それからはお料理に合わせて二種類のお酒を飲み比べながら、楽しい時間は過ぎていきました・・・。
69: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:37:28.98 ID:J2Gf/bvM.net
〜〜〜〜〜〜

凛「ごちそうさまでした〜!」

花陽「お粗末さまでした」

あれから一時間ほど経った頃、お酒も空けて、お料理も全部無くなっていました。

凛「ありがとう、かよちん。お料理もお酒もおいしかったにゃ」

台所で洗い物をしている私に、凛ちゃんはそう言葉をかけてくれました。

花陽「えへへ、よかったです♪」

誰かに自分の作ったお料理や、選んだお酒が美味しかったって言ってもらえるのって、凄く嬉しいことだよね。
それが好きな人からの言葉なら尚更です。

花陽「ねえ、凛ちゃん。まだお酒飲めそう?」

最後の食器を流し終えて、ベッドに腰をかけてのんびりしている凛ちゃんにそう尋ねます。

凛「飲めるけど・・・まだ何か用意してあるの?」

花陽「うん、実はあと一本用意してあるんだ」

そう、後一本・・・本日四本目のお酒があるんです!
71: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:42:02.26 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「今日の締め、食後の一杯はこのお酒です!」

凛「あっ、花陽浴だね!」

瓶を持って凛ちゃんが座っているベッドに向かうと、そんな声が聞えてきました。

花陽「うん♪『花陽浴 純米大吟醸 美山錦 無濾過原酒』銀黄ラベルの花陽浴だよ」

綺麗な銀色のラベルには、黄色で「雫」の文字が入っています。
本当は黄色ラベルの純米吟醸が欲しかったんだけど、手に入らなかったんだよね・・・。

食後ののんびりした空気にあわせて、陶器の酒器にお互いお酌して・・・

凛「えへへ、もういっかい乾杯だね」

花陽「うん!」

りんぱな「かんぱ〜い♪」

最後に締めの一杯です♪
72: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:46:01.67 ID:J2Gf/bvM.net
凛「さっそく飲んじゃおうかな・・・」チビリ

ウキウキした感じで凛ちゃんがお酒を口に含みます。

凛「あ、この前飲んだ八反錦のやつよりも甘いんだね。これも火入れのお酒なの?」

花陽「うん、そうだよ。でも、美山錦は渋味や苦味の少ないお米だから、八反錦よりも甘く感じるんじゃないかな?」チビチビ

凛「そうなんだ・・・こっちの方が花陽浴らしくて凛は好きだなぁ」チビリ

生酒と比べると少々物足りなさはあるものの、鮮烈な甘さや花陽浴らしいパイナップルのような強い含み香が感じられます。
凛ちゃんの言うとおり、八反錦の純米大吟醸と比べると「らしい」味かもしれません。

花陽「日本酒に限ったことじゃないけど、全く同じ造り方をしても、材料が違えば味も変わっちゃうし、同じ材料でも造り方が違えばやっぱり違う味になるんだよね」チビリ

凛「お酒って奥が深いよね」チビチビ

そんなことを話しながら、二人でのんびりとお酒を飲んでいたんだけど・・・

花陽「私ね、凛ちゃんに謝らなくちゃいけないことがあるんだ・・・」

そう、どうしても今日凛ちゃんに伝えなくちゃいけないことがあって、私はそう切り出しました。
73: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:51:30.37 ID:J2Gf/bvM.net
凛「謝らなくちゃいけないこと?かよちんが?凛に?」

花陽「うん、そうなの・・・」

うう、やっぱり自分が情けなくて言い辛いなぁ・・・
なんて考えて私が少し黙っている間に、なぜか凛ちゃんは勘違いしちゃったみたいで・・・

凛「も、もしかして・・・他に好きな人ができた・・・とか?」

見るからに動揺した顔で、そんなことを言い出しちゃいました。

花陽「え?そうじゃな・・・」

凛「じゃあ、凛のこと好きじゃなくなっちゃったとか・・・?それで最後の思い出にこうして・・・やだ!そんなの嫌だよ!」

な、なんでそんな泣きそうな顔になってるのぉ!?
私、そんなこと全然思ってないのに・・・

凛「かよちんと一緒じゃなきゃやだ・・・やだよぉ・・・」

ついに凛ちゃんは泣き出しちゃって・・・
ああもう・・・どうしよう・・・
74: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 16:54:12.87 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「凛ちゃん、よく聞いて?花陽は凛ちゃんのことが大好きだし、他に好きな人もいないよ?」

泣き出しちゃった凛ちゃんに、子供をなだめるような口調で私はそう言います。

凛「ほんとに・・・?」

花陽「うん、ほんとだよ?」

凛「じゃあ、謝らなくちゃいけないことって・・・?」

花陽「それは・・・ちょっと情けないんだけど・・・」

ここで口ごもると、また凛ちゃんに勘違いさせちゃうかもしれないし・・・
仕方ありません、ちゃんと言いましょう。
76: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 17:05:43.01 ID:J2Gf/bvM.net
花陽「その・・・お料理を考えたり、お酒を用意したりするのに夢中でね・・・お誕生日プレゼント、用意してなかったの・・・だから、今度のお休みにでも一緒に選びに出かけたいなぁ・・・なんて」

凛「え・・・?そんなことだったの?」

花陽「そんなことじゃないよ!凛ちゃんへのお誕生日プレゼントを忘れるなんて、花陽一生の不覚です」

ほんと、私ったらなにやってるんだろう・・・
大事なことを忘れたうえに、凛ちゃんを不安な気持ちにさせたりして・・・

凛「ほんとに?ほんとに凛のこと嫌いになったんじゃない?」

花陽「うん、嫌いになったりなんてしないよ」

凛「そうだったんだ・・・よかったぁ・・・。昨日かよちんを怒らせちゃったっから、凛てっきり嫌われちゃったのかと・・・」

花陽「え?昨日?」

そういえば私「凛ちゃんのばかぁ!!」 って叫んで、ベッドに潜り込んじゃったんだっけ・・・?

花陽「あ、あれはその・・・酔っ払ってたし、いきなりのことでびっくりしちゃって・・・」

凛「じゃあ・・・怒ってない?」

花陽「うん、怒ってないよ。それに・・・」

気が動転してあんなことを言っちゃったけど、私も満更でもなかったし・・・
77: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 17:12:31.67 ID:RLDDODu+.net
花陽「凛ちゃんなら・・・いいかなって思ってるし・・・」

お酒の力って、恐いんです。
こんな感じで、言わなくてもいいことまで口からポロポロと出てきちゃって・・・

凛「ほんとに?」

花陽「うん」

凛「だったら凛はプレゼントなんていらないや」

花陽「でも・・・」

凛「その代わりにね・・・。凛、かよちんが欲しい」

花陽「・・・え?」

気がつけば逃げ場の無い状況になってました。
78: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 17:18:23.96 ID:RLDDODu+.net
凛「プレゼントなんていらないから、凛はかよちんが欲しい」

花陽「ちょ、ちょっと待って!」

そ、それって「そういう」意味だよね?

花陽「明日だってお仕事だし、いまパジャマだし、下着も可愛いのじゃないし、せめて着替えだけでもっ」

凛「そんなのどうだっていいよ・・・凛はどんなかよちんだって大好きなんだから」

抵抗むなしく、私は凛ちゃんに押し倒されちゃって・・・

凛「大好きだよ・・・かよちん」

そんな凛ちゃんの少しかすれた声を聞いたら
なんだかどうでもよくなって・・・

花陽「うん・・・私も、大好きだよ」

翌日、二人仲良く遅刻することになったのは、また別のお話・・・。


おわり
79: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/11/01(火) 17:20:22.18 ID:RLDDODu+.net
おわりです。
凛ちゃんお誕生日おめでとう!
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『花陽(26)「凛ちゃんとはなよ酒」』へのコメント

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