真姫「私は犬を飼う、犬は私を買う」

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真姫-アイキャッチ11
1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:07:12.79 ID:6wgIJzTL.net
花陽「あ、見て。わんちゃんだ」

凛「かわいい~。撫でさせてもらおう!」

花陽「うん!」


真姫「…」


凛「ねえ、真姫ちゃんも一緒に撫でようよ」

花陽「かわいいよ?」

真姫「遠慮するわ。犬、あんまり好きじゃないし」

花陽「そっかー、残念。こんなにかわいいのにねー?」

凛「ねー」

真姫「…」

元スレ: 真姫「私は犬を飼う、犬は私を買う」

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2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:08:20.94 ID:6wgIJzTL.net
凛「…でも真姫ちゃんさ。ちょっと前まで、犬飼ってなかった?」

真姫「え?」

凛「真姫ちゃんから、ドッグフードとグルーミング薬の匂いがする時期があったからさ、てっきり犬を飼ってるのかと思ってたよ」

真姫「なんでわかるのよ…。鼻が効きすぎでしょ」


凛はドヤ顔になった。


花陽「凛ちゃんの嗅覚はすごいからね。地下数十メートルに埋まってる不発弾を探し当てるくらいだから」


凛の鼻は高々と伸びていった。

私は、それをへし折った。


凛「うぎゃあ!!」
3: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:11:36.11 ID:6wgIJzTL.net
真姫「確かに、私はつい最近まで犬を飼っていたわ」

花陽「今は飼ってないの?」

真姫「ええ。そもそも、そんなに犬が好きなわけじゃなかったし」

凛「ほんとかなー?真姫ちゃんはなんだかんだで、ペットレスになるくらい溺愛してそうだけど」

真姫「…」


私は凛の鼻を摘まみ上げた。


凛「痛い!鼻がもげる!」

真姫「凛。私は勘のいい人が嫌いなの」

凛「だからって、酷いにゃ…」


凛は自分の鼻をさすさすした。

私は、凛の頭をよしよしした。

凛はごきげんになった。

ちょろい。
4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:12:57.23 ID:6wgIJzTL.net
花陽「ねえ、真姫ちゃん。もっとその話を聞きたいからさ、今から私の家に来ない?」

真姫「別にいいけど。そんなに私の話が面白かった?」

花陽「面白い、というよりは、新鮮だったんだよ」


花陽と凛は目配せする。


花陽「私と凛ちゃんはさ、ずっと猫がいる世界で生きてきたんだ。だから、犬の世界を過ごしてきた真姫ちゃんの話に興味があるの」

真姫「ふーん。そういうものなのかしら?」

凛「真姫ちゃんも、猫の世界に興味があるでしょ?」

真姫「ないわよ」

凛「えー!もっと凛たちに興味を持ってよ」


凛は頬を膨らました。

私は、凛の頬を突いた。

ぷしゅー。と音がなった。
5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:14:02.18 ID:6wgIJzTL.net
その後、私と凛は、花陽の家にお邪魔することになった。


真姫「おじゃまします」

花陽「どうぞ上がって。小さい家だけど」

真姫「…小さくなんて、ないわよ」

凛「うわっ、絶対そんなこと思ってないよ」

真姫「うるさい」


花陽「お茶淹れてくるね」

真姫「ありがと」


花陽が部屋を出ると、部屋は私と凛の二人だけになった。
6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:14:48.02 ID:6wgIJzTL.net
真姫「…ねえ、凛」

凛「なに?」

真姫「私はこれから、私の飼っていた犬の話をするのよね?」

凛「そうだね。かよちんが興味持ってるみたいだし」

真姫「…誰かに話すような話じゃないんだけど、いいの?」

凛「別にいいよ。聞きたいのは、犬のことだけだから」

真姫「ああ、そう…」
7: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:15:45.46 ID:6wgIJzTL.net
花陽「お待たせー」

凛「待ってたよ」

花陽「じゃあ、お茶を飲みながら、真姫ちゃんの話を聞こうか」

真姫「大した話じゃないんだけど」

花陽「大丈夫だよ。聞きたいのは、犬のことだけだから」

真姫「…」


犬の話は概してつまらないものだ。

私は犬の世界の人間だから、そのことをよく知っている。
8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:16:59.39 ID:6wgIJzTL.net
真姫「私が飼っていたのは、ゴールデンレトリーバー。私が中学3年の頃に飼い始めたの」

真姫「最初は仔犬だったから、手に乗るくらい小さかったわ」

花陽「かわいかった?」

真姫「ええ、あの頃はね。まさかあんなに成長するとは思わなかったわ」

真姫「あの頃の私はずっと、犬は人と同じスピードで成長するものだと思っていたのよ」

真姫「だから私はてっきり、親が毎日犬を入れ替えてるんじゃないかって疑ってたの」


凛はけらけらと笑っていた。

私は、凛の頭を弾いた。
9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:18:59.75 ID:6wgIJzTL.net
真姫「私は、その犬と共に暮らしてきたわ。トイレの躾をしたのも私だし、餌やりも欠かさなかったし、毎日散歩に連れて行ったわ」

真姫「だけど、その時私は受験生だったの。受験が終わるまで、犬の面倒は見なくていいって親から言われたわ」

真姫「その間、犬の面倒を見る為だけに、メイドを一人雇ったの」


真姫「メイドは毎朝8時に来て、私が家に帰ってくる16時まで、ずっと犬と散歩に出掛けて、18時に帰ったわ」

真姫「メイドと両親が家にいない間、私はその犬といっぱい遊んだわ。でも、犬は私よりもメイドに懐いていたの」


真姫「私の受験が終わった後も、メイドは犬の世話を継続したわ」
10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:20:12.65 ID:6wgIJzTL.net
真姫「…あれは、犬がもう大人になった頃だったかしら」


私は、そこで話を止め、壁に貼られたアイドルの壁紙を見つめた。

花陽は私に壁紙を見つめられるのが恥ずかしいようだった。

凛は話の続きを催促した。

私は、凛にチョップした。


真姫「朝、起きた時にはもう、犬はいなかったの」

花陽「いなかった?そんな猫みたいなこと、犬にもあるの?」

真姫「あり得ないことよ。勝手にケージを出たら、それはオーナーの命令違反だもの。犬はオーナーの命令には絶対なの」

凛「それじゃあ、なんでいなくなったの?」

真姫「考えられるのは一つ。メイドが、犬を誘拐した」
11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:21:33.47 ID:6wgIJzTL.net
メイドはその時点で、犬からの絶大な信頼を得ていた。

メイドが命令すれば、犬はひょいひょいと付いて行っただろう。


花陽「それで、その後はどうなったの?」

真姫「メイドも犬も、行方不明よ」

凛「怖い話だね。犬を誘拐するなんて」

花陽「誘拐して、それでどうするつもりなんだろう?」

凛「身代金でも要求するんじゃない?」

真姫「そうね。そうしてくれていたらよかったのに」


私はもう一度、アイドルの壁紙を見つめた。

花陽はそわそわし始め、落ち着かない様子だった。


真姫「話は以上よ。どう?つまらなかったでしょ」

花陽「ううん。犬の話が聞けたし、私は満足だよ」

凛「それじゃ、今日はもう、お開きだね」

真姫「ええ。じゃあね」

花陽「またね~」
12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:23:01.23 ID:6wgIJzTL.net
花陽の家を出て、私と凛は二人きりで帰路につく。

しばらく、無言が続いた。


凛「…ねえ、真姫ちゃん」

真姫「なに?」

凛「凛はさ、鼻がよく効くんだよ」

真姫「そうみたいね」

凛「だからさ、今日の真姫ちゃん家の夕食が何か、わかるんだ」

真姫「…そう。だからなによ」

凛「真姫ちゃんの今日の夜ごはんは、魚介のカルパッチョだよ」

真姫「ああ、そう」
14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:24:10.80 ID:6wgIJzTL.net
凛「…嘘を吐いたらさ、それは匂いでわかるんだよ。知ってた?」

真姫「何が言いたいの?」

凛「真姫ちゃん。さっきの話、嘘だよね?」

真姫「そんなわけないでしょ。私は犬を飼っていたわ。それを見破ったのは、凛の鼻でしょ?」

凛「そうだね。ごめん。真姫ちゃんは、一割の嘘を吐いてたんだ」

真姫「一割、ね」


凛の言う通りだった。

私は、一割の嘘を吐いていた。


真姫「私は、鼻のいい人は嫌いよ」

凛「へへっ」


凛は悪戯っぽく微笑んだ。
15: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:25:18.48 ID:6wgIJzTL.net
真姫「私が嘘を吐いたのは、話のオチの部分よ。嘘がないと、誰も話を理解できないと思ったのよ」

凛「ふーん。それは、どんな嘘なの?」

真姫「犬が、誘拐されたって件よ。あれは適当に言っただけ」

凛「それじゃあ本当のところ、犬はどこに行っちゃったの?」

真姫「それがわからないから、嘘を吐いて話を補ったんじゃない」

凛「あー、そういうことね」

真姫「ったく…」


私たちは、空を見上げた。
16: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:28:58.79 ID:6wgIJzTL.net
真姫「犬がいなくなる前の日の夜、メイドが家に来たの。だいたい22時くらいかしら?『忘れ物をした。』って言っていたわ」


親はまだ帰ってなかった。

私はメイドを家に通した。


真姫「メイドが、『忘れ物をするならここしかない。』と言って、犬のいるケージに直進して行ったのを、よく覚えているわ」


メイドは犬を撫でた後、『忘れ物』を探し始めた。

私はソファに座り、アイスを食べながら、テレビを見ていた。

メイドはずっと、『あれぇ、ないなぁ?』と呟いていた。


真姫「私は、メイドのことなんて気にもかけてなかった。ずっと、テレビの方に視線をやっていたわ」


私がアイスを食べ終わった頃に、メイドは突然、『あった!』と叫んだ。

私は、メイドの方に視線をやった。


真姫「犬は真っ赤に染まっていた。いや、内臓がむき出しになっていたのね。メイドの頭部は、その犬の中に入っていたわ。メイドの体は、赤ちゃんみたいに小さく縮んでいた」

真姫「次の瞬間には、何もなくなっていた。そして、何かが光っていたの。メイドと犬は、ひとつの光になったのよ」


私は、持っていたアイスの棒を捨て、テレビを消し、自分の部屋に向かった。リビングにはまだ、小さな光があった。
17: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:29:40.90 ID:6wgIJzTL.net
凛「じゃあね」

真姫「またね」


凛と別れた後、私はまっすぐに帰った。

家に着くと、美味しそうな匂いが玄関にまで充満していた。

今日の夜ごはんは、魚介のカルパッチョだった。
18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/11/05(土) 21:32:42.33 ID:6wgIJzTL.net
地の文を話の本筋に絡まないよう頑張ったがダメだった。

終わり
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