鞠莉「"Yes"と」果南「"No"」

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かなまり-アイキャッチ3

Aqoursが9人になって一週間。私、松浦果南はようやく幼なじみとのわだかまりを解消して、彼女たちと仲良く学校生活を送る……はずだった―――――


鞠莉「果南、今日もお疲れさま!一緒にgo homeしましょう!」

果南「お疲れ、鞠莉。今日はダイヤ、いないの?」

鞠莉「Ah~、ダイヤなら、『今日は生徒会の仕事が残っているので、お先にお帰りになってかまいませんわよ』だって。」

果南「ふ~ん、そうなんだ。よし、じゃあ支度も済んだし帰ろっか。」

pixiv: 鞠莉「"Yes"と」果南「"No"」 by すぎ

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そう言って歩き始めるものの、私は基本的に鞠莉の突拍子もないマシンガントークに付き合わされているぐらいで、時間は過ぎていく。

いつもはダイヤが何かとツッコミ役になってくれているけど、今日はちょっと疲れそうかな…


鞠莉「もう、聞いてるの、果南?さっきからresponseがないけど。」

果南「ごめんごめん、少し考え事しててね。それで、何だったっけ?」

鞠莉「だから、この間ダイヤが昔みたいに"ピギャ!"なんて言うものだから、そんなcuteなダイヤを飼いたいなぁ~なんて思っちゃった話!」

果南「まあ、さすがに高3にもなってそれはなかなかないよね。」

鞠莉「はぁ~、またダイヤのかわいらしい鳴き声を聞きたいわぁ!何かいい作戦はないかな?」


ふと、考える。そういえば、今日の鞠莉ってダイヤの話しかしていない?いくら仲がよくて反応も面白いとはいえ、ちょっと嫉妬しそうになる。

でも、しばらく私があのような冷たい態度をとっていたせいなのか、はたまた接点が少なかったからなのか、何にせよ原因は私にあるのかな。


鞠莉「ダイヤの好物の抹茶プリンで釣って…って果南!また上の空?」

果南(わがままかもしれないけど、少しは私にも振り向いてほしい…!)

果南「鞠莉はほんとにダイヤのことが好きなんだね。」

鞠莉「それってどういう意味?」

鞠莉「確かに、私はダイヤのことが大好きだよ?like、ううん、loveと言っても過言じゃないわ!」


彼女が発した他意のないはずの言葉は、あの瞬間の私には、心の壁を意識せざるを得ないものに感じられた。


果南「もう、口を開けばダイヤ、ダイヤって…」

果南「どうせ鞠莉は私のことなんてそんなに好きじゃないんでしょ!?」


ふてくされて強く言い放つ。


鞠莉「ずるいよ、果南は…こんな質問するなんて…」

鞠莉「そんな…そんなこと聞かれたって、答えは"Yes!"に決まってるじゃない!」


その日、この後のことはあまり覚えていない。予想と正反対の鞠莉の返答にどうしたらいいのかわからなくなって、気づいたときには自分の部屋のベッドで泣いていた。

どうして鞠莉は否定してくれなかったんだろう?やっぱりダイヤと違ってつまらない…とか?

自分が都合よく期待していただけなんだと思うと、今まで素直になれなかったことがより一層悔しかった。


――――――――――


鞠莉 Side


ダイヤ「一体何ですの?わざわざ理事長室まで呼び出すなど…」

ダイヤ「よもやこの忙しい時にまた些細なことで、だなんて言いませんよね?」


ため息ばかりついていた私は、この言葉を聞き終わらないうちに、


鞠莉「些細なんかじゃない!」


と、声を荒立ててしまった。


ダイヤ「す、すみません。……とすると、やはり果南さんのことですね?朝からお二人とも違和感だらけで、クラスでも話題になっていたことにはお気づきでしょうけれど。」

鞠莉「え、ちょっとダイヤ、それって本当?really?」


とは言うものの、思い当たる節はある。一緒にAqoursに入ったあの日以来、果南とハグしていない日はなかったはずだ。


ダイヤ「時に鞠莉さん、今日は普段のように、わたくしにコーヒーをねだったりしませんのね。特別にいれて差し上げてもよいのですが…要りませんの?」

鞠莉「"No"だよ、ダイヤ~。今はこれ以上、bitterな思いをしたくはないもの…」

ダイヤ(……?)


――――――――――


果南 Side


果南「二人とも、課題は進んだ?」

曜「数学はなんとか終わったよ。でも英語の方は……」

千歌「も~!全然わっかんないよ~!」

果南「どうしたのさ、千歌?」

千歌「何で英語ではこういうとき反対に答えるの?尋ねられた通りに答えればいいのに!」

曜「ん~、確かに和訳したらあべこべだよね。」

果南「まあ、こればっかりはネイティブの考え方の違いだ、か…ら…?」

曜「ん、果南ちゃんどうかしたの?」

果南(……なんだ、そうだったんだ。)

千歌「おーい、果南ちゃーん!」

果南「あ、ごめんごめん、何でもないよ」

果南「それと突然で悪いんだけど、私すぐに行かなきゃいけないところがあるから抜けるね。」

曜「えっ?」

千歌「今日は暇だから課題みてくれるって言ってたじゃん!」

果南「だからごめんって!今度必ずこの埋め合わせはするからさ?」

果南「たった今、急な用事ができたんだ!」


――――――――――


鞠莉 Side


ダイヤ「…その、"要らない"ということでよろしいのですか?」

鞠莉「そうだよっ、ちゃんと"No"って、要りませんって言ったつもりだよ?」

ダイヤ(ひょっとして、これは…)

鞠莉「もう、ダイヤも変な受け答えするなんて、どういうことなのかさっぱりわからないわ」

ダイヤ「話は変わりますが鞠莉さん、わたくしもすっかり忘れていたのですが、あなた、しばらく英語圏にいらしたんですよね?」

鞠莉「何なの?いきなりそんなこと聞くなんて」

鞠莉「まあ、確かに私はこの2年、英語ばかり使っていたけど…」

ダイヤ「確証は持てませんが、わたくしこの事件の真相がつかめてきましたわ…!」

鞠莉「そんなに嬉しそうにされてもなぁ…こっちはわりと真剣なんだけどぉ……」

ダイヤ「すみません、つい……と、とにかく!」

ダイヤ「鞠莉さん、よく聞いてくださいね…」


勿体ぶった口調で前置きし、鞠莉へと近づこうとした矢先のこと。

バンッ!と威勢のいい音を立てて、暗かった部屋に光が差してきた。


ダイヤ「どなたですの!?そんなに乱暴に振る舞って……って果南さん?」

果南「はぁ、はぁ、鞠莉、ちょっと話、できない?」

鞠莉「ええ、大丈夫よ。」


落ち着いた口調で、しかし戸惑いからか若干震えた声で返事があった。

一呼吸置いて、口を開く。


果南「鞠莉、昨日は本当にごめん!」

果南「私、早とちりして嫌な思いをさせちゃって、何て言って謝ればいいのかわからないよ。」

鞠莉「そうだよ!確かに私はダイヤのことがloveだけど、それと同じように果南もloveなんだよ!?」

鞠莉「それを一週間も昔のことをくよくよして、果南らしくないっ!」

果南「鞠莉……」

鞠莉「まあ、昨日はダイヤの話ばかりしていた私にも責任はあるけど…」

果南「もう、だから変に勘違いするんだよ。」

鞠莉「それについてはsorryね。でも、私はちゃんと言ったはずだよ!?果南の質問に、"Yes!果南のことが大好きだよ!"って!!」

ダイヤ「少し落ち着いてください、鞠莉さん。」

ダイヤ「割り込むようですみませんが果南さん、昨日の質問を覚えていますか?」

果南「えっと、たしか『どうせ鞠莉は私のことなんてそんなに好きじゃないんでしょ?』だったかな?」

ダイヤ「果南さんはおそらくわかっているのでしょうけれど、鞠莉さんはこの質問に"Yes"と答えました。そうですわね?」

鞠莉「ええ、間違いないわ!」

ダイヤ「先ほどわたくしが言いかけたことですが、これは鞠莉さんが"英語で考えているから"出てきた答えでしょう。」

果南「ダイヤの言うとおりだね。日本語では、このとき"いいえ"って答えるはずだから…」

ダイヤ「しかし英語圏では、否定の疑問に対する肯定的な答えには"Yes"で返すのが一般的。」

ダイヤ「偶然が重なった不運。これが、この事件の真相ですわ!」

鞠莉「そういうことだったのね……ごめんね果南、私のmistakeで……」

果南「いいよ、謝らなくて。ダイヤが言ったように、ただの偶然。これでいいでしょ?」

鞠莉「果南……そうね!これからは気をつけるわ!」

まりかな「それはそれとして……」


ふたりでダイヤの方に向く。息もぴったりに。


ダイヤ「……どうか、されましたの?」


意地悪そうに笑って向き直る。


果南「見た?さっきのダイヤのドヤ顔!」

鞠莉「そうそう!『これが、この事件の真相ですわ!』だって!もう、大袈裟なんだから!」

果南「いかにもダイヤらしいけど、やっぱりあれは笑えるね。」

ダイヤ「なっ…!いいじゃありませんの!」

鞠莉「そういう顔は耳まで真っ赤だけどぉ~?」

果南「なんか、鞠莉がダイヤの話をするのもわかる気がするよ。」

ダイヤ「鞠莉さんはいつもですが、今日は果南さんまで……あなたがたという人は…!」

鞠莉「果南、こうなったら逃げるわよ!Let's go!」


鞠莉に手を引かれて駆けだす。


ダイヤ「待ちなさ~い!!」

鞠莉「『待て』と言われて待つ人がいると思いマ~スカ~?」


なんだかんだあったけど、やっぱりこの3人の関係は変わらないんだろう。そう思うと、自然と笑みがもれてくる。


鞠莉「このまま2人でどこまで行く?」

果南「ううん、3人で、どこまでも!でしょ?」

果南「鞠莉はまたこのメンバーに戻れて、最高だと思わないの?」

鞠莉「"Yes!"そして"いいえ"、もちろん3人の方がいいに決まっているじゃない!」




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