千歌「私、ゾンビなんだ」

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千歌-アイキャッチ19
ー放課後・学校近くの公園ー

千歌「・・・・・・」

曜「うりゃ」ピタッ

千歌「ひゃあっ!?」

曜「ふふ、ちーかちゃん。ヨーソロー♪」

千歌「よ、曜ちゃん?」

pixiv: 千歌「私、ゾンビなんだ」 by 無気力さん

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曜「こんな暑いのに帽子も被らないでぼーっとしてるなんて。熱中症で倒れちゃうよ?」

千歌「確かにちょっとクラクラするかも・・・」

曜「はい、このジュースあげる」

千歌「い、いいのっ!? えへへ、やったぁ♪」

千歌「って、あれ? 曜ちゃん、部活は?」

曜「んー? 今日はお休み」

千歌「あー。そうだったんだ」

曜「だから千歌ちゃんと一緒に帰ろうと思ったのに、いつの間にかいないんだもん」

千歌「ごめんね? 私、帰宅部だから帰るのばっかり上手くなっちゃって」

曜「ふふ、なにそれ」

千歌「えへへ♪」

曜「・・・ところでさ。千歌ちゃん、こんな所でどうしたの? ひとりでベンチ座ってさ。黄昏るにはまだちょっと早い時間じゃない?」

千歌「え? んー、特に何もないよ。ただの考えごと」

曜「ふーん」ジィー

千歌「・・・な、なに?」

曜「あのさ、千歌ちゃん」

曜「最近なんか悩んでること、あるでしょ?」

千歌「・・・えっ?」

曜「私で良かったら相談、乗るよ?」

千歌「な、悩みごとなんてーーー」

曜「悩みごとなんてないんだったら、さっき千歌ちゃんは何を考えてたの?」

千歌「うっ・・・」

曜「ほら、諦めて話した方が良いよー?」

千歌「で、でも・・・」

曜「それとも、相手が私じゃ頼りない?」

千歌「そっ、・・・その言い方は卑怯だよ」

曜「こうでも言わないと、話してくれないでしょ?」

千歌「・・・引かない?」

曜「引かない」

千歌「そっか」

千歌「・・・・・・」

千歌「あのね、曜ちゃん」



千歌「私、ゾンビなんだ」

曜「・・・へ?」



千歌「ほら、引いた」

曜「ひ、引いてないっ! っていうか、え? どういうこと? 千歌ちゃんがゾンビ? 映画とかゲームとかに出てくる?」

千歌「曜ちゃん、落ち着いて」

曜「いやいやいや! 無理でしょ!?」

千歌「ビックリしすぎ」

曜「当たり前だから!」

千歌「どうせ『最近、体重が増えてきたなぁ』とか『今度のテストどうしよう』とか、私の悩みなんて、その程度だと思ってたんでしょ?」

曜「・・・正直」

千歌「曜ちゃんきらい」プイ

曜「っ!? ご、ごめっ---」

千歌「ふふ、ウソだよ♪ さっきの仕返し」

曜「もぉ・・・」

曜「・・・じゃなくて! 千歌ちゃんがゾンビってどういうこと?」

千歌「えっとね」

千歌「曜ちゃんは『生きてる』ってどういうことだと思う?」

曜「えっ?」

千歌「聞き方、変えるね」

千歌「心臓が動いてだけいれば『生きてる』って言っていいと思う?」

曜「えっと・・・ダメ、なの?」

千歌「私はね、それだけじゃ生きてるって言えないと思うんだ」

千歌「『死んでない』だけなんだよ。それじゃ」

曜「・・・千歌ちゃん?」

千歌「私ね?『生きてない』と思うんだ。最近」

千歌「小学校の時とか、中学校の時とか、ずっと感じてた『特に何もなくても毎日ワクワクして、楽しい』っていう気持ちが」

千歌「生きてるー!って気持ちが」

千歌「全然なくなっちゃったの」

曜「・・・だから、ゾンビ?」

千歌「うん」

千歌「死んでないだけで生きてない、ただのゾンビ」

千歌「・・・曜ちゃんはすごいよ。水泳部すごく頑張ってるし、クラスの子みんなから好かれてるし。毎日を楽しんでて、本当に生きてるー!って感じがする」

千歌「私とは全然違う」

曜「でも、千歌ちゃんだって!」

千歌「?」

曜「千歌ちゃんだって、毎日頑張ってるでしょ?」

千歌「・・・そんなことないよ」

曜「でも毎日、家の仕事を手伝ってるんでしょ? 旅館の仕事なんて、私にはできないよ?」

千歌「あんな仕事、言われてやってるだけだもん。本当は私がやる必要もないし」

曜「なら友達は? 友達が多いのは千歌ちゃんだって一緒でしょ?」

千歌「高校に入ってからの友達は、みんな曜ちゃんがきっかけだよね?」

曜「そ、それはいつも私と千歌ちゃんが一緒にいるからでしょ?」

千歌「違うよ」

千歌「私はいつももらってばっかり」

千歌「ひとりじゃ、何もできない」

千歌「挙げ句の果てには曜ちゃんがせっかく誘ってくれた部活も、断ったりして」

千歌「自業自得だよ。全部私のせい」

千歌「こんなんじゃない。私は、本当はこんなことしたいんじゃないのに・・・!」ポロポロ

曜「千歌ちゃ---」

千歌「優しくしないで? また頼っちゃう。これ以上、曜ちゃんに迷惑かけたくないんだよ・・・」

曜「迷惑なんて思ってない!」

千歌「思ってなくてもそうなの!」

千歌「今日だって!」

曜「今日・・・?」

千歌「今日だって・・・。本当は曜ちゃん、私のために水泳部、休んでくれたんでしょ?」

曜「えっ・・・」

千歌「そのバッグ、水着入れにしてるんだったよね? 今日、体育の授業なかったのに、どうして持って来てるの?」

曜「こ、これは・・・」

千歌「元気のない私を見て、水泳部より私を優先してくれたんだよね?」

曜「・・・・・・」

千歌「本当にすごいね、曜ちゃんは」

千歌「優しくて、格好良くて」

千歌「本当に、私なんかとは全然違う」

曜「『私なんか』・・・?」

千歌「うん、私なんか」



曜「私の好きな千歌ちゃんを、そんな風に言わないで」



千歌「えっ・・・?」

曜「千歌ちゃんは全然わかってない」

曜「私のことも、千歌ちゃん自身のことも」

千歌「それってどういう・・・」

曜「私が千歌ちゃんを部活に誘ったの、なんでだか、わかる?」

千歌「それは・・・私が部活入ってなくて、ひとりだったから」

曜「違う」

曜「ただ私が千歌ちゃんと一緒にいたかっただけ」

千歌「嘘だよ・・・」

曜「嘘じゃない。なら、今日私が部活を休んだ理由はわかる?」

千歌「それは、さっき言ったとおりで---」

曜「なら不正解」

曜「千歌ちゃんの元気ない姿が気になって、練習になんて絶対集中できないって分かってたから、だよ」

曜「どう? 自分勝手な理由でしょ?」

千歌「そんなの・・・!」

曜「でも、それが本当なの。私は別に千歌ちゃんのためにこんなことしてるんじゃない。私が好きで千歌ちゃんと一緒にいるだけ」

曜「引いた?」

千歌「引くわけない・・・! だけどっ!」

曜「もうひとつだけ」

曜「さっき、私の前で千歌ちゃんが笑ってくれたのは、なんで?」

千歌「さっき?」



曜『はい、このジュースあげる』

千歌『い、いいのっ!? えへへ、やったぁ♪』



千歌『ごめんね? 私、帰宅部だから帰るのばっかり上手くなっちゃって』

曜『ふふ、なにそれ』

千歌『えへへ♪』



千歌『曜ちゃんきらい』

曜『っ!? ご、ごめっ---』

千歌『ふふ、ウソだよ♪ さっきの仕返し』




千歌「楽しかった・・・から」




千歌「あれ?」

曜「ほら、楽しいって気持ち、千歌ちゃんはちゃんと持ってる」

曜「千歌ちゃんの間違いは、ひとりでずっとそんな悩みを抱え込んでたこと、それだけだよ」

曜「ひとりでそんなことばかり考えていたら、寂しくなる。悩みもする。当たり前だよ。私だってそうだもん」

曜「誰かに頼るのは悪いことじゃない」

曜「もともとひとりじゃ『生きられない』のが人間なの」

曜「だから千歌ちゃんは、ゾンビなんかじゃない」

千歌「曜・・・ちゃ・・・」ポロポロ

曜「よしよし・・・」ギュッ




曜「千歌ちゃんのやりたいこと、本当に楽しいと思えること。一緒に探そう?」

曜「私はずっと千歌ちゃんと一緒だから、ね」




〜〜〜〜〜〜

〜〜〜





千歌「ん、んぅ・・・?」

千歌「あれ・・・?」

ダイヤ「目が覚めましたか?」

千歌「ダイヤさん?」

果南「練習中に倒れたんだよ、千歌は」

鞠莉「今日は太陽がとってもシャイニー☆だったから無理もないわ」

千歌(じゃあさっきのは・・・)

千歌(夢?)

千歌(そっか、・・・懐かしい夢だったな)

ルビィ「うゅ・・・良かったぁ・・・!」

善子「ヨハネは何も心配していなかったわ。千歌さんの無事はこのルルイエ異本によって預言ーーー」

花丸「静かにするずら」

善子「ひどくないっ!?」

梨子「でも、千歌ちゃんは少し頑張り過ぎだったから・・・。今日はこのまま横になってた方が良いね」

ダイヤ「そうですわね。無理に練習に戻ってこられて、体調が更に悪化したりしたら困りますし」

鞠莉「ダイヤったら、憎まれ口ばっかり。さっきまであんなに焦って---」

ダイヤ「は、早く練習に戻りますわよっ!!」

果南「そうしよっか、ほらほら、早く部屋を出る。あー。曜?」

曜「んー? 果南ちゃん、なに?」

果南「曜はもうしばらく、千歌についててあげてくれる? 千歌のことだから、無理に戻ってくるかもしれないし」

曜「ヨーソロー! 了解であります!」

千歌(あ・・・。曜ちゃん・・・)

曜「もう、千歌ちゃん? 梨子ちゃんも言ってたけど、少し頑張り過ぎだよ? ラブライブ前に体を壊しちゃ元も子もないんだから」

千歌「うん、ごめんね」

曜「・・・分かれば良いんだけど」

千歌「さっきね、夢を見てたんだ」

曜「夢?」

千歌「うん、ちょうど1年前くらい。まだ私がやりたいことを見つけられなくて、ひとりで悩んでた時の夢」

曜「・・・それって」

千歌「うん、曜ちゃんが勢い余って告白してくれた時の---」



曜「ストップ!!」



曜「は、恥ずかしいから、やめよ?」

千歌「なんで!? 私、すっごく嬉しかったのに!」

曜「恥ずかしいものは恥ずかしいの!!」

千歌「もう・・・。あの時の格好良い曜ちゃんはどこに行ったのかな・・・」

曜「うぅ・・・」

千歌(ふふ・・・。まあ、そんなところも、大好きなんだけど)



千歌「ね、曜ちゃん?」

曜「ま、まだ何か・・・?」



千歌「私ね、今、すっごく楽しいよ」ニコ



曜「・・・ふふ、そっか!」

千歌「曜ちゃんと一緒だから、見つけられたんだよ? 私のやりたいこと」

千歌「だから、絶対に優勝したいんだ! ラブライブ!」

曜「うん! 絶対に優勝しようね!」

千歌「・・・だから」



千歌「そろそろ練習に戻っていい?」

曜「絶対にダメ」



千歌「もう! 曜ちゃんきらい!」

曜「ええっ!?」

千歌「あはは♪ 嘘だよっ♪」




千歌(ねえ、曜ちゃん)




私を生き返らせてくれて、ありがとうー--




終わり
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