袖摺り会うも他生の縁

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花丸-アイキャッチ4
花丸「うう...困ったズラ...完全に、迷子ズラ...」

(千歌ちゃんは、「スクールアイドルならわかる!」って言ってたけど、やっぱり行ったことのない場所で現地集合なんて、無茶だったんだよぉ...)

花丸「まだ、集合時間には余裕があるとはいえ、このままじゃジリ貧ズラ...」

花丸「あ、ちょうどいい所に人が。仕方ない。あのひとに道を聞いてみよう」

花丸「すいませー...」

「ああ!ダメです!何も浮かびません!!」

花丸「うわぁ!?」

pixiv: 袖摺り会うも他生の縁 by massue

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「え?」

花丸「あ、あの...えっと...」

「あぁ。これは、お恥ずかしい所を見せてしまいましたね。」

花丸「は、はあ…」

「あの、大丈夫ですか?」

花丸「い、いえ。ちょっとびっくりしちゃっただけズラ...いや、だけです。」


花丸「その、何か、書いてたんですか?」

「え?ああ。これは、詞を考えていたんですよ」

花丸「へぇ。詩、ですか」

「はい。ここから見る景色は皆楽しそうで、何か書いてみようかと。ですが、しばらく書い
ていない内に、アイデアが浮かびにくくなってしまいまして」

花丸「ああ~、わかります。ぼんやりイメージは浮かぶんだけど、こう、言葉にしようとすると、しっくりくるのが浮かんでこないんですよね」

「そうなのです!もしかして、あなたも何か物を書いているのですか?」

花丸「えっと、実は、私も作詞を少し…」

「作詞ですか!奇遇ですね。」

花丸「えへへ。何かのご縁かもしれないですね」

「こうやって何も浮かばない時間が続くと、自分のしていることは、何か意味のある行為な
のだろうかと、不安になる事があるんです。」

花丸「そうなんですか...」

「私は、以前かなりの数の詞を書いていました。書くだけではなく、自分や仲間と、それに
音を付け、楽曲を作成していました。」

花丸「へぇ...」

「私たちの姿を見て、多くの人が喜んでくれました。応援もしてくれました。そんな声や、
仲間にこたえたくて、私は詞を書いていました。」

「今はそのような事はしていません。ですが、それでもなお、私は詞となりそうな言葉を探
し、光景を探し、体験を探そうとしている。これは、むなしい営みなのでしょうか...」

花丸「えっと...」

「ああっ!ごめんなさい!初対面の人に、こんな話をしてしまうなんて...疲れているのですね...」

花丸「あの、「草枕」を読まれた事は、ありますか」

「夏目漱石ですか。いえ、恥ずかしながら。ああ、ですが、冒頭の文章は覚えていますよ。
「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住み
にくい」と。それが、一体」

花丸「その後、こう続きます」

花丸「住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟
った時、詩が生れて、画が出来る。」

花丸「住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。あるいは音楽と彫刻である。」

花丸「マル達の生きている世界は、きれいなものばかりじゃないズラ。嫌なこともあるし、
見たくないものに出会うこともある。暗いニュースを見ると、どうしたらいいんだろうって、
わけもなくやるせない気持ちになるズラ。」

花丸「でも詩を書く人は、そんな世界の美しい部分を表現する言葉を持っている人ズラ。オ
ラは、そういう人、すごいと思うし、オラもそんな詞が書ける人になりたいと思っているズ
ラ。」

「世界を、美しく。」

花丸「あなたのしていることは、むなしくなんてないズラ。世界のきれいな部分をさがそう
とするあなたの心はとてもきれいで、そんなあなたの詞は、読んだ人の心に、きっと綺麗な
景色を見せていると思います。」

「ありがとうございます。すごく励まされました。」

花丸「えへへ。あなたの書いた詞、いつかオラも読んでみたいです。」

「ところで、何やら私に尋ねようとしていたのでは?」

花丸「へ?あぁぁ〜〜!!忘れた、オラ、TDCに行かないといけないんだった!でも、道
がわかんなくて困ってたズラァ…」

「TDCですか?それなら、わかりますよ。よければ、一緒に行きますか?」

花丸「ほ、本当ですかぁ!良かったぁ、これでステージに出られるズラ」

「TDCでステージ...もしかして、スクールアイドルをやっているのですか?」
花丸「へ?はい!aqoursっていう、内浦の学校から来た、スクールアイドルです!今日は、
TDCで合同イベントがあって、それに参加しないといけないんですけど。オラ、東京なん
て来たことなくて…」

「なるほど。しかし、最近のスクールアイドルには、あなたのような方もいるのですね。」

花丸「あの…やっぱり、オラみたいな地味な子がアイドルなんて…変ですよね…」

「いえいえ!!すいません、そういう意味ではないのです!その、文学的と言いますか。こ
ういう派手な活動は、あまり好みそうではなかったので」

花丸「ああ。それは、はじめはそうでしたけど、でも、μsっていうスクールアイドルが大
好きな友達がいて。その子と一緒にいるうちに、オラもこんな風にキラキラしてみたいって、
憧れるようになったんです」

「μsに憧れて…ですか…なるほど。本当に、不思議な縁があるものですね。」

花丸「もしかして、あなたもμsの事、知ってるんですか?」

「ええ。まあ。それなりには」

花丸「ふわぁ!これはすごい偶然ズラ!ま、マルは全然だけど、他のみんなはとっても可愛
いから。オラたちのこと、よろしくお願いするズラ」

「ええ。もちろん」


「着きましたよ。控え室は、ここを曲がったところに、案内が出ていると思います」
花丸「ありがとうございます〜〜!!」

「いえ。私も、あなたに励まして貰いました。本当にありがとうございます」

花丸「えへへ。あ、あの。」

「はい?」

花丸「オラ、内浦の浦の星女学院からきた、aqoursの国木田花丸といいます。今日はあり
がとうございました」

「ああ、ご丁寧にどうも。これは、私も名乗った方がいいでしょうね」

花丸「いえ。そんな、そういうつもりじゃ」

海未「私は、園田海未、と申します。今日は頑張ってくださいね」

花丸「そのだ…うみ…?聞いた事がある気が…いやでもまさかそんな…」

ルビィ「あ!マルちゃん!…と…」

千歌「よかったぁ。間に合わないかと思っ…た…」

「「うわぁあぁぁあぁ!!」」

千歌「な、なななな何で!」

ルビィ「何でマルちゃんと、み、μ'sのう、う、うみちゃんが!?!?」

花丸「ひょうわぁあぁあぁあ!?!?」

海未「ど、どうしました!?」

花丸「み、みみみみ、μsの園田海未といったら、高坂穂乃果さんと南ことりさんと共に、
立ち上げに貢献したという、あの!?」

ルビィ「マルちゃん!どういうことなの!?」

花丸「ち、違うズラ!!これには、海よりも深い訳が!」

海未「海未は私ですが?」

花丸「は、はい!存じ上げておりますぅぅ!」

海未「ええと…」

花丸「はっ!!まさか、そんな人に、あんな偉そうな事を…?お、お、おぉおぉぉオラは、
何と言う事をぉぉおおお」


海未(あれから、何とかなだめて落ち着いてもらえました。何枚かサインを書くことになりましたが)

海未「この世界の、美しい部分を見せる、ですか。」

海未「もしもし。穂乃果ですか?その、一つお願いしたい事がありまして」

海未「あなたの楽曲の作詞を、私にさせていただけませんか?」
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