サンタクロースを信じてる

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ダイヤ-アイキャッチ12
始まりはダイヤの、何気得ない一言だった。





「いい子にしてないと、サンタさんが来てくれませんよ?」

pixiv: サンタクロースを信じてる by やまたたーん

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次のライブの打ち合わせをしようとメンバー全員が集まった部室

部屋の空気が一気に変わり皆、思い思いの表情をしている


千歌、梨子、花丸は目を丸く見開いて信じられないものを見たという表情。


曜、善子はどう誤魔化したものか……苦い顔をしている。


果南は『何がおかしいの?』とでも言いたげな顔、鞠莉とルビィは笑顔だ
最も、ニヤニヤとニコニコだが。




数秒の沈黙を破ったのは千歌だった。

「あ、あの…ダイヤさん…サンタさんは……」


「ストップ千歌ちゃん!その先はダメ!」


「そうよ!その先を言うのは重罪よ!」


「ンー!ンー!」



千歌の凶行を他の二年生が止める。





「なんですの……さっきから騒々しい…」


「と、とにかく!今日中に曲の方向性と衣装のイメージだけ決めないと!さ、集中、集中!」


この場は曜の発言で強引に締められ、その後話を蒸し返す者はいなかった。








日が落ち、あたりも暗くなってきたころで作業もひと段落し、皆で帰路につく。




帰り道の途中、千歌は皆の半歩後ろを歩くダイヤに歩幅を合わせ、こっそりと聞いた



「あの……ダイヤさん、ホントに、ホントにサンタさんは居ると思いますか?」



千歌はどうしても気になってしまった、冷静で、どこまでもリアリストな先輩が、よりにもよって小学生のような夢見る少女だなんて、とても思えなかった。

帰ってきた答えは意外なものだった。





「……まさか、わたくしが信じてると?」


「え?」

思わず聞き返す。



「ルビィじゃなくて……よりによってわたくしがそんな純に見えまして?」


「えぇ……ダイヤさんならありえるかな~…なんて」


「まったく……」


「じゃあなんであんなことを?……あ、やっぱり信じてたりして!」


「違いますわ!」



軽いやりとりを交わした後、ダイヤが話し始める。





「……千歌さんは正射必中って言葉を知っていて?」


「せーしゃひっちゅう?」


「そう、正射必中……弓道の言葉ですわ」


「どんな意味なんですか?」


「『正しい姿で射れば自ずと的に当たる』という意味ですわ、外れる要素が無くなるくらい完璧な姿勢を追求しなさい、とも言えますわね」


「なるほど~!……なんで今その話をしたんですか……」


いまいち要領を得ない千歌に、ダイヤは穏やかな声色で語る。





「……ずっと正しい行いをした人の元には、必ずサンタさんがくるのですわ」


「……」




「……千歌さんには難しい話だったようですわね」


「あ!馬鹿にしましたね!?これでも今色々考えてたんです!」


抗議の色を見せる千歌を見てダイヤは優しく、微笑んでみせた


「ふふっ……ではここで、千歌さんまた明日」


「あっ……さようなら…」


ルビィと共に家に入っていくダイヤを千歌は暫く見つめてた。







ダイヤさんの言葉はあまりよくわからなかった

夕ご飯の時も、お風呂の時も、寝る前も、ずっと考えても分からなかった。

もし、私がもっと質問したらダイヤさんはなんて続けただろうか。

『だからわたくしは正しく生きるのですわ』なんて、続けただろうか。

だとしたら誰がダイヤさんにプレゼントをあげられるんだろう、誰がサンタになってあげられるんだろう。


背を向けたダイヤさんの、背筋の通った後姿だけが、妙に頭に焼き付いて離れなかった。

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