梨子「小料理屋『桜』」???「「「第3夜!」」」

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梨子-アイキャッチ5
空の高くなっていくのが夏の終わり、秋の訪れを感じさせる。

Aqoursの活躍によって一躍有名になった内浦は、今となっては夏に観光客でいっぱいになるくらいの超人気観光スポットになっている。

千歌が継いだ十千万に宿をとり、果南の経営するダイビングショップや、鞠莉のいる小原グループが経営する淡島マリンパークをはじめとする水族館など、のどかな内浦ならではの旅行を目的として来る人が多いのだろう。

しかし、そんな内浦も夏を過ぎれば一息、秋を迎えると観光客も次第に落ち着いてくる。


秋の風物詩の一つに、キンモクセイがある。そのキンモクセイの香りは普段と違う何かを呼び寄せる、そんな風に感じる。

小料理屋「桜」女将である桜内梨子は、いつだか善子にもらったキンモクセイの花の香りをかぐと、そんなことを思っていた。

キンモクセイの花言葉の一つに、「気高い人」というものがある。

はてさて、今夜はなにがおこるのか...

pixiv: 梨子「小料理屋『桜』」???「「「第3夜!」」」 by アセロラソーダ

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―――――――――

~都内某所~

「そういえば明日から三日間は久々のオフね。どうする?」

「どうするもなにも、たまには家でのんびりするつもりさ。身体がもたないだろう。」

「あなたらしいと言えばあなたらしいわね、でも、ちょっと私のワガママに付き合ってほしいなあなんて。」

「〇〇〇、何かあるの?」

「ええ、実はあのAqoursの元メンバーが経営してる居酒屋があるっていうウワサを小耳にはさんだものだから、ちょっと行ってみたくって。」

「私はいいけど、どこにあるの?」

「そりゃもちろんあの子たちの地元よ。」

「おい〇〇〇、それはつまり、静岡までいくということか?」

「もっちろ~ん、△△△、運転お願いね。」

「はあ、わかったよ。こないだのツアーの打ち上げ代、これでチャラだからな。」

「じゃあ、決まりね。」

――――――――――

~9月某日、内浦~

「ありがとうございました~」

最後の客を見送ると、ため息を一つついてカウンターに腰を下ろす。

比較的客も少なめだったため、それほど疲れてはいない...はずだったが、昨晩なぜか善子と鞠莉から呼び出され、カラオケでオールしたせいか、少しだるいようだ。

なんでそんな日に店を開けたかというと、特に意味はない。

この店は個人経営、女将の梨子の気分次第。

「さて、お皿下げて洗い物しちゃいますかね!」

そう思って私が立ち上がった時、店の戸を叩く音が。

もう、お店終わりなんだけどなあ...少人数ならいいけど、団体さんだったら帰ってもらおう。

ガラガラガラッ

???「すみません、もう終わっちゃいました?」

梨子「えっと、ちなみに何名様でしょうか...?」

???「三人なんだけど...店じまいだったら無理にとは言わないわ。」

梨子「あ、いえいえ、お料理が簡単なものになってしまいますが、それでもよろしければどうぞカウンターへ。」

???「ありがとう、お邪魔するわね。」

ん?あの声、どこかで聞いたような??
気のせいよね?

梨子「あ、コートはそちらにおかけになってください。」

???「ありがとう、Aqoursの元メンバー、桜内梨子さん?」

梨子「な、どうしてそれを......ってあなた方...も、ももももしかして!?」

紫紺色の長い髪、ふわっとした癒し系、そしてベージュのショートヘアの三人組...間違いないよね!?

梨子「あ、ああああA-RISEのみなさん!?!?」

ツバサ「あら、知っていてもらえたなんて嬉しいわ。」

梨子「そ、それはもちろん!確か今はアイドルから歌手に転向されたそうで...。」

英玲奈「ほんの半年前だがな。」

梨子「っていうかなんで私のこと...このお店のことまで......」

あんじゅ「私たちも元スクールアイドル、ラブライブ優勝グループくらいは毎回チェックしているわ。このお店のことを知ったのは、風のウワサなんだけどね?」

梨子「あ、ありがとうございます...。あ、お席のほうにどうぞ。」

ま、まさかあのA-RISEが来るなんて...緊張しちゃうよぉ...

ツバサ「ここって日本酒おいてる?」

梨子「え、ええもちろん。何にします?こっちにおいてあるのは一応冷やしてあるのでみんなありますけど...」

ツバサ「あ、じゃあ私は紀土で。二人は?」

あんじゅ「私は同じのでいいわ。」

英玲奈「すまないが、そちらの羅生門、いただけるか?」

梨子「少々お待ちください。」

――――

梨子「お注ぎしますね」

ツバサ「ありがとう。あ、あなたも一緒にどう?私たちが入った後暖簾おろしてたってことは今日はもうおしまいなんでしょ?」

梨子「え、ええ...。じゃあ少しだけお言葉に甘えて...」

あんじゅ「そんな固くならなくてもいいのに...」

梨子「な、なんていうかその緊張しちゃってっていうか...」

英玲奈「すまないな、店じまいの時間に突然...」

梨子「い、いえいえ、そんなことは」

ツバサ「今度はちゃんとアポとるわ。今回はあんじゅがどうしてもっていうもんだから...」

あんじゅ「んもう、ツバサだって『はああ久々にゆっくりお酒飲めるうううう』っていってなかったっけ?」

ツバサ「な、そんなことないわよっ!」

英玲奈「まあ二人とも落ち着いたらどうだ。せっかくのお酒もおいしくいただけないぞ。」

あんじゅ「そうね、今日はのんびりいきましょうか。」

ううう...やっぱり緊張する......うち個人経営だし...そんなに期待されても困るしぃ...

っていうかどうしよう、これサインとかって言ったら怒られるかなあ...オフじゃないと来ないよねえ...

ツバサ「あ、梨子さん、色紙持ってる?」

梨子「えっと...一応ありますけど...」

ツバサ「もしよかったらサイン、飾ってくれない?」

えええええええええええ!?!?!?ま、まさかの申し出!?
嘘!これは夢、そう夢よ!落ち着きなさい梨子、夢なんだから動揺する必要はないのよ...

梨子「......」

英玲奈「おい、大丈夫か?」

梨子「...はっ!これは夢!?」

あんじゅ「げ、現実よ...?」

梨子「え、えーっと...い、いいんですか?」

ツバサ「ええ、もちろんよ」

梨子「あ、ありがとうございます!!!」

――――――――――

梨子「すみません、今日ほとんど材料使っちゃってて...お造りなら出せるんですけど...」

あんじゅ「じゃあお願いできるかしら?」

梨子「かしこまりました。」

よかったあ...果南さんからもらったのまだ残ってて...

梨子「おまたせしました。」コト

あんじゅ「このお魚はここの?」

梨子「はい、友人がそっちの方面なので安く仕入れさせてもらってるんです。」

あんじゅ「やっぱり海がきれいなだけあって、魚の身も綺麗ね。透きとおったようで。」

よ、よかった...これで『ちょっと、私たちの舌を満足させてくれるんじゃないの?とんだ期待外れね』なんて言われたらどうしようかと...

ツバサ「この店はいつから?」

梨子「大学卒業してしばらくしてからですね...。最初は音楽学校に通っていたんですけど、そのあとで商業科のある学校に...。私、高校時代に引っ越してからここに住むうちに、好きになっちゃって。それで、ここでお店をやろうかなって。」

ツバサ「ふぅ~ん、音楽って、ピアノ?」

梨子「え、ええ。小さいころからやっていたので...」

ツバサ「和風な造りになんでピアノかなって思ったら、そういうことね。」

梨子「ピアノを弾いてると心が落ち着くというか、安らぐというか...。心の支え、みたいなものなんですよ。」

英玲奈「おいてある、ということはやっぱり弾いているのか?」

梨子「ま、まあたまにリクエストしてくれる方がいると...」

英玲奈「そうか...一曲、お願いできないか?」

梨子「い、いやいやいや、プロの歌手の前でそんなことはさすがに...」

あんじゅ「あら、今の私たちはただのお客よ?」

梨子「...な、何かリクエストは?」

ツバサ「そうね...じゃあ、スクールアイドル時代の曲、お願いできる?」

梨子「...わかりました。」

梨子「もっとなにか~探して どんどん そ~とへゆくんだ~♪」

――――――

梨子「Singing my song for my dream~♪」

あんじゅ「ユメ語るよりユメ歌おう、だったかしら」

梨子「し、知ってるんですか?」

英玲奈「今となってはうちの中で一番スクールアイドルに詳しいのはあんじゅだからな。特に目を付けたグループのことは結構調べ上げているぞ。」

あんじゅ「あら、英玲奈こそ私がAqoursのこと教えてあげた後すごい私にきいてきたわよね?」

英玲奈「いや、その~なんだ、9人、というところでな。彼女たちを思い出してさ。」

ツバサ「彼女たちって、穂乃果さんたちのこと?」

英玲奈「うむ。スクールアイドルは人数にとらわれないことはあるが、ここ数年はどのグループも多くて5人だった。そこで9人となればおのずと、な。」

梨子「穂乃果さんって、あのμ'sの?」

ツバサ「ええ。私は今でもよく連絡とってるんだけどね。」

あんじゅ「なにも比較してるわけじゃないわ。あなたたちに、μ'sと重なるものを見たような気がしてね。」

梨子「そんな、重なるだなんて...」

英玲奈「君たちがたどった軌跡は、間違いなく君たちの輝きだ。誇りに思って、受け止めてほしい。」

梨子「わ、わかりました。」



梨子「あ、あの、全く関係ないことをお願いしてもいいですか...?」

ツバサ「私たちでできることなら、なんでもどうぞ」

梨子「あ、あの!実は私大ファンで!!こないだのPrefect Albumにさ、サインもらえませんかっ!?一人のファンとしてっ!!」

ツバサ「ふふっ、そんなことでよかったら全然、何枚でも書くわよ?」

梨子「ありがとうございます!!!」

ふあああ...直筆...もう泣いちゃいそう...

あんじゅ「あ、もう一杯いただける?」

梨子「もちろんですっ!いくらでもっ!」

――――――

ツバサ「そろそろいい時間だし、行きましょうか。」

あんじゅ「そうね、旅館の人にもご迷惑だろうし。」

英玲奈「梨子さん、いくらだ?」

梨子「ふふっ、お代は結構ですよ。」

英玲奈「し、しかし」

あんじゅ「まあまあえれなあ~いいじゃないここは~」

英玲奈「...完っ全にできあがってるな」

ツバサ「でもいいの?結構飲んだわよ?」

梨子「皆さんとお話しできたこの一夜がお代、ということでもいいですか?」

ツバサ「随分とかっこいいこというじゃない、それじゃあ甘えさせていただこうかしら。」

梨子「ええ。また来てくださいね!」

ツバサ「もちろんよ!必ず来るわ!」

―――――――――――――――

こうして、A-RISEの皆さんは帰っていった。
私としてはサインもらえてお忍びで来てもらってもううれしいことこの上ないんだけどね♪

Saint Snowの二人に話したらうらやましがるかしら、なんてね♪



翌日、私は家の庭に一本のキンモクセイを植えた。
またあの人たちに出会えるようにとお願いをして。


-続く-
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