曜「キスがしたい」

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曜-アイキャッチ12
1: スレ立て代行(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:50:51.53 ID:XqOPmrX4.net
曜(水曜午後の3時過ぎ)


曜(私は静かに頬杖をつく)


曜(隣の席に目をやると、小さなくせ毛が揺れていた)


曜(6時間目の自習時間、隣の千歌ちゃんはぐっすり寝ている)


曜(窓から入る昼風が、小さな頭に桜を乗せた)


曜(私はこっそりそれをつまんで、机の端にゆっくり置いた)


曜(千歌ちゃんは静かに寝息を立てて、伏せた頭をこちらに向けた)


曜(少しびっくりしてたけど、彼女はぐっすり眠ってる)


曜(そういえば、顔に風が当たるとくすぐったいて、少し前に、話してた)


曜(私は1人でそっと笑って、隣の席の子を見る)


曜(キスがしたいと思った。)

元スレ: 曜「キスがしたい」

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4: >>1ありがとうございます。(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:52:11.22 ID:omVewnqa.net
曜(坂道に)


曜(最近桜が咲いている)


曜(朝に登校するときに、千歌ちゃんはぱたぱた走ってく)


曜(海から光が反射して、桜の裏側も光ってる)


曜(花の隙間から差し込んだ、朝の日差しに目を細めた)


曜(風が吹いて桜が舞うと、千歌ちゃんは笑って振り返る)


曜(「みてみて曜ちゃん、風みたい!」、両手を広げてくるりと回る)


曜(「かわいいね」と私が言うと、「次の衣装は桜だね!」と千歌は言う)


曜(「そっちかぁ」と私は言うけど、千歌ちゃんは気づかず走り出す)


曜(私は、自分のセリフを飲み込むと)


曜(片手をパタパタあおいで、熱い頬を風で冷ました)
5: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:55:05.67 ID:omVewnqa.net
曜(昼風が)


曜(国語のワークをぱらっとめくって私ははっと目をさます)


曜(眠ってたことに気がつくと、私はワークをぱたんと閉じた)


曜(静かに息を吸い込むと、冷たい風が、喉を冷やした)


曜(昨日前髪を切ったせいか、おでこがやけに涼しい)


曜(隣の席をちらりと見ると、千歌ちゃんは静かに寝息を立てた)


曜(晴れ日和)


曜(くるりと部屋を見渡すと、クラスのみんなもウトウトしてる)


曜(1つ前の梨子ちゃんも、こくりこくりと揺れている)


曜(私は窓の外を見る)


曜(視界に入る千歌ちゃんの唇が、はむはむと動いた。)
6: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:56:20.81 ID:omVewnqa.net
曜(前の時間は体育で、クラスのみんなでドッチをやった)


曜(チーム分けはじゃんけんで、私と千歌ちゃんは、別チーム)


曜(千歌ちゃんは「勝つぞー!」と意気込んで、小さな両手でボールを持った)


曜(私は、はじめは外野に回ってる)


曜(その日もはじめは外野に出てて、2回に1度は当てていた)


曜(相手のチームは少し弱くて、はじめて5分で残りは1人)


曜(私はそのとき内野にいて、みんなの壁になっていた)


曜(千歌ちゃん1人、相手のチームは負けそうだった)


曜(「当てるよ!」と、千歌ちゃんは笑顔でボールを握り、私に向けて投げてきた)
7: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:56:52.91 ID:omVewnqa.net
曜(私は少し考えて、それから本気でボールをよけた)


曜(少し後ろでむっちゃんの、「いてっ」の声がこだました)


曜(後であやまる、ごめんむっちゃん)


曜(千歌ちゃんは悔しそうに後ろに下がった)


曜(私の目を見てにへっと笑う)


曜(私は千歌ちゃんを知っていた)


曜(弱気を出すと、怒るって)


曜(対等でなくてもかまわないから、なるべく本気でぶつかりたいと)


曜(昔の千歌ちゃんが、そう言っていた)
8: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:57:26.73 ID:omVewnqa.net
曜(後ろから、いつきちゃんがボールを投げて、千歌ちゃんはササッとそれを避けた)


曜(外野がそれを受け止める)


曜(私は外野に目配せをして、上からそれを投げてもらった)


曜(千歌ちゃんは私の目を見て後ろに下がり、「さあこいっ」とその場に立った)


曜(私は右手でボールをつかみ、千歌ちゃんに向かって本気で投げた)


曜(千歌ちゃんは一瞬目をつぶったけど、すぐに開いて、ボールを止めた)


曜(外野がわっ、と、ざわめいて、千歌ちゃんは嬉しそうに、握り直した)


曜(私はその場に立ち止まり、千歌ちゃんはぶんっ、とボールを投げた)


曜(私はそれを受け止めて、今度も本気で投げ返す)


曜(千歌ちゃんは左に避けたけど、肩にかすって、笛がなった)


曜(千歌ちゃんは「あーっ」と倒れこみ、私に向かってにまっと笑った)


曜(私もにまっと笑い返す)
9: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:59:22.15 ID:omVewnqa.net
曜(風が吹く、窓から桜が舞い込んで、誰かが「おぼせだ」と呟いた)


曜(おぼせは伊豆の方言で、春に吹く風をみんなそう呼ぶ)


曜(「だね」と返して隣を見ると、くせ毛に桜が咲いていた)


曜(くすっ、と笑って少し見て、風が止んでから手を伸ばす)


曜(千歌ちゃんはすーすー寝てるから、たぶんまだ目を覚まさない)


曜(机の端に花を置き、腕で風をさえぎった)


曜(私も伏せて、目を閉じる)


曜(人差し指で自分の唇に触れると、乾いたそれは、普通の肌とは違う感触を指に伝えた。)
10: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 20:59:48.84 ID:omVewnqa.net
曜(春一番が吹く前に、通学路の雑草が、近所の人に刈られてた)


曜(「すっきりしたねー」って千歌ちゃんが言って、刈られた上を歩いてた)


曜(風が吹くと、草の青い匂いが、私の鼻をツンとつく)


曜(「夏の匂いだ」と、千歌ちゃんが大きく深呼吸する)


曜(「まだ春だよ」と、私は返した)


曜(草の青い匂いをかぐと、昔のことを思い出す)


曜(空が一番高い時期、まだランドセルも持ってなかった頃)


曜(「秘密基地だ」ってはしゃぐ千歌ちゃんと、背の高い草むらに入ってく)


曜(背高草をかきわけて、たまに見える青い空を仰いで、空いてる場所を見つけたら、周りの草を上の方で結ぶ)


曜(秘密基地の完成だ)


曜(ただの狭いテントだけど、千歌ちゃんと私はくすくす笑って中に隠れた)
11: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:00:28.50 ID:omVewnqa.net
曜(「ここでお泊まりしよう!」なんて言う千歌ちゃんに、「だめだよ」って返事して)


曜(「まくらとか持ってくる!」ってはしゃぐ千歌ちゃんに、「楽しそう」ってつられちゃって)


曜(でも実行したことはなくて、遠くの蝉の声を聞きながら、草の隙間から海を見た)


曜(水筒の蓋にお茶をそそいで、2人で少しづつまわし飲み)


曜(ただのぬるいお茶なのに、2人で飲むと、どんなお茶より美味しかった)


曜(バッタがテントに入ってくると、私はそれを捕まえる)


曜(千歌ちゃんと交代で観察して、隙間から外へ出てもらう)


曜(不思議と、昔は触れたのに、今は何故だか触れない)
12: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:00:57.57 ID:omVewnqa.net
曜(空が水色からみかん色に変わる頃、私たちは千歌ちゃんの家に向かって歩く)


曜(今では5分で歩ける道も、あの頃は今よりずっと長く感じた)


曜(向こうが見えないくらい高い堤防に、どっちが早く登れるか競争してた)


曜(結局どっちが先に登れたのか、もう覚えていないけど)


曜(波の音を聞きながら、2人で後ろを振り返る)


曜(影がぐぅっと長く伸びてて、背伸びをした千歌ちゃんが、「わたしのほうがたかーい」って喜んだ)


曜(あのころは、私のほうが少し身長が高かった)


曜(今ではもう、肩を並べるくらいになっちゃったけど)


曜(太陽の影が見えてるうちは、わたしたちはめいっぱい遊んでた)


曜(刈ったばかりの、青い匂いを覚えてる)


曜(だから私は、昔のことを思い出す)
13: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:02:03.25 ID:omVewnqa.net
曜(風が吹いて、体を起こす)


曜(今日の宿題だけでもやっておこう)


曜(一度閉じたワークを開いて、国語の小説を読む)


曜(なかなか頭に入ってこないから、同じ文章を何度も読み返す)


曜(小説の主人公の名前が、要だった)


曜(こういうとき、少しはっとなる)


曜(自分の名前が文章にあると、少し気恥ずかしさと不思議な感覚を覚える)


曜(この場合はかなめ、なんだろうけど、私は自然によう、って読んでしまう)


曜(……千歌ちゃんが、家で宿題するとき、これ読んで、私のこと思い出すのかなぁ)


曜(そう考えていると、自然と頬が上がっていることに、遅れて気づいた)


曜(左手でほっぺたを挟んで、にやける頬を下にさげる)


曜(頭をさげると、昨日切りすぎた前髪が視界に入らないことに、違和感を覚えた)
14: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:02:41.58 ID:omVewnqa.net
曜(前髪といえば)


曜(一昨日だったっけ)


曜(練習のとき、いつもと違う髪留めを、千歌ちゃんが嬉しそうにつけてきた)


曜(見覚えのある髪留めだった)


曜(千歌ちゃんは走って寄ってきて、「みてみて曜ちゃん、似合ってる?」)


曜(私は思い出したけど、「昔あげたやつ?」)


曜(自分の選んだ髪留めよりも「うん!」って、嬉しそうな千歌ちゃんの表情が、目に入った)


曜(練習中、落ちないように気を使っている千歌ちゃんを見て、可愛いなぁって思った)
17: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:10:05.44 ID:omVewnqa.net
曜(……集中できない)


曜(私は大きく伸びをした)


曜(ギィ、ときしむ音がして、焦って隣を見るけれど、千歌ちゃんはぐっすり眠ってた)


曜(机の端に並べた桜に、なんとなくふーっと息を吹きかける)


曜(桜は少し上に舞って、それから一枚、千歌ちゃんの頭の上に乗った)


曜(もう一枚は、床に落ちた)


曜(また取ろうかな、とも思ったけど、なんだかそんな気分じゃなくて、私はそのまま桜を眺めた)


曜(……そういいながら、視界に千歌ちゃんが入っていることに、気付いていた)


曜(頬に机を感じながら、私は自分の唇に指で触れる。)
18: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:10:48.75 ID:omVewnqa.net
曜(昨日の朝)


曜(行きしに猫とじゃれあった)


曜(私が呼ぶと寄ってきて、それから千歌ちゃんに甘えてた)


曜(猫がにゃーと見上げると、千歌ちゃんも「にゃー」と返事する)


曜(私がクスッとわらうと、千歌ちゃんは恥ずかしさを誤魔化すように頬を膨らませた)


曜(たぶん、自然と口をついたんだろう)


曜(私が、「猫は指を出すと鼻をくっつけてくるらしいよ」と言うと、千歌ちゃんは細い人差し指を差し出した)


曜(猫は少し近づくと、右手でそれをはたいた)


曜(「ネコパンチ」と私が笑うと、千歌ちゃんは「だまされたー!」と頭を抱えた)


曜(猫より、千歌ちゃんを可愛いと思った)


曜(好きなのは、猫より……)
19: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:11:37.34 ID:omVewnqa.net
曜(うつ伏せになって考える)


曜(なんでキスしたいんだろう)


曜(千歌ちゃんを見る)


曜(眠っている顔も綺麗で、少し見とれる)


曜(どうしてだろう)


曜(別に、女の子が好きなわけじゃない。昔からそうではなかったはず)


曜(でも、私の好きな人は……)



曜(私の好きな人は、千歌ちゃんだ。)


曜(いつからだろ。覚えてないや。)


曜(一緒にいて楽しいから、尊敬になって、いつの間にか好きだった)


曜(いや、好きなのかどうかわからない。本当に人を好きになるのなんて初めてかもしれないし、これは違うのかもしれない)


曜(でも、キスしたいと思う。)
20: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:12:32.48 ID:omVewnqa.net
曜(授業の終わりの鐘がなる)


曜(先生はこないから、みんな勝手に自習を終えて、カバンに荷物をしまう)


曜(今日は掃除はないから、すぐに放課後)


曜(千歌ちゃんはまだ寝てる)


曜(私はぼーっとそれを眺める)



梨子「曜ちゃん、まだ行かないの?」


曜「……うん、先行ってて」



曜(千歌ちゃんお願いね、と、梨子ちゃんは部室に向かった)


曜(教室から次々と人がいなくなる)


曜(最後に残った人は、窓閉めていかないと)


曜(そんなことを考えて、2人きりの教室で、少し胸が高鳴る)
21: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:13:28.20 ID:omVewnqa.net
曜(水曜午後の、放課後の教室)


曜(私は静かに頬杖をつく)


曜(隣の席に目をやると、小さなくせ毛が揺れていた)


曜(寝てる千歌ちゃんの頬を、少しためらいながらつつく)


曜(「ん……」と声をあげて、千歌ちゃんは静かに目をさます)


曜「おはよう」


千歌「ん……おはよ……」


曜(私は立ち上がって、教室の前の方の窓を閉めた)


曜(千歌ちゃんも立ち上がって、近くの窓に手を伸ばす)


曜(居眠り後の千歌ちゃんは、やけに寝起きがいい)


曜(私は風を浴びながら目を細める千歌ちゃんに、ぼーっと見惚れていた)


千歌「あれ、曜ちゃん」


曜(眠たいであろう目をこすりながら、千歌ちゃんはこっちを向いた)



千歌「前髪、切った?」


曜「うん。」



曜(キスがしたいと思った。)
22: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:14:54.70 ID:omVewnqa.net
千歌「どーかしたの?」


曜(ぼーっとしてる私の顔を、千歌ちゃんが下から覗き込む)


千歌「よーちゃん」


曜(名前を呼ばれて、不思議と気持ちが軽くなる)


曜(閉めかけの窓から風が入って、千歌ちゃんの前髪を撫でる)


曜(目を細めて、耳に髪をかける千歌ちゃんをみて、好きだと思って、心臓が跳ねた)


曜(その場に根が張ったかのように動けなくなって、私は少し震えるのどで、名前を呼ぶ)


曜「ちかちゃ……」



曜(なんでもない、と言おうとして、私は言葉を飲みこんだ)


千歌「?」


曜(代わりに、ずっと言いたかったことを、声に出そうと思った。)








曜「……ねえ、千歌ちゃん」



曜(その後の顛末は、語るべきではないと思う)


曜(……みかんの味がした。)
23: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2017/04/15(土) 21:15:17.53 ID:omVewnqa.net
おしまい。
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