希「私がウチになれたのは。」 一期

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希-アイキャッチ31
1: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 20:56:01.43 ID:fjN6Slda.net
東條希です。よろしくお願いします。」


4月----

入学式を終え、始業式を迎える

転勤族の両親について回って、ここで何校目だろう

何となく気に入ったこの土地で、過ごそうと思った

ただそれだけの理由

内気な性格のせいなのか

転校ばかりのせいなのか

私には友達と呼べる人がいない

ましてや、親友なんて---

ここでなら、変われるかも

そんな淡い期待を抱いて入学したこの場所で

早くも壁にぶつかっていた

元スレ: 希「私がウチになれたのは。」

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2: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 20:56:24.66 ID:fjN6Slda.net
希のifストーリーです

まったり更新して行きます
3: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:00:45.11 ID:fjN6Slda.net
ガタッ

「…では次、○○さん。」


自分の席に座り直し、巡らない頭で考える


---私には、特別だと思える物が何も無い

人によっては、足が速かったり

絵が得意だったり、歌がうまかったり

大なり小なり、誇れる物があるのだと


---私には、それが無い

転勤族の両親を盾にしてか

人の顔色ばかり伺う毎日

仲良くなりたい気持ちと裏腹に

すぐに引っ越すから、と避けて来た
5: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:08:03.54 ID:fjN6Slda.net
そんな私には、自己紹介という限られた時間の中で

言葉にできる物なんてありはしなかった

みんな、思い思いを口にする

お調子者の子だったり

笑顔が素敵な子だったり

まるでテレビの中のアイドルみたいに

きらきら、光って見えた


「遠いなあ…」

自分の意志では無く、そう、呟いた

誰にも聞こえない、小さな声で
7: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:14:13.81 ID:fjN6Slda.net
やっぱり私は、ここでも一緒なのか

変われるかも、なんて期待を胸にしながら

何をどうすればいいかも分からない

どんな話をすれば良かったのか

自分に興味を持ってもらうには

仲良くするためのハウツー本があれば

ぐるぐる回る頭の中を無理矢理に自己完結させる


…これが、私自身なのだから

変われる訳なんてない

そう、悟ったような目で自己紹介を聞き流す

まるで、自分はこの場にいないように





「矢澤にこです!にっこにっこに~♪」





…鈴の音が、聞こえた気がした
8: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:25:58.70 ID:fjN6Slda.net
ガチャッ

キィ…バタン


パチッ




ここで暮らすって決めて、借りた部屋

帰ってくると、実感する


---私は、ひとりなのだと


制服のブレザーを壁にかけ、ソファに座る

何だか頭がぼーっとして

ぽすっとソファに横たわる

ひんやりするソファを頬に感じながら

今日の事を思い出す


-----
9: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:30:42.40 ID:fjN6Slda.net
「矢澤にこです!にっこにっこに~♪」

「にこの将来の夢は、アイドルになる事!」

「だから、にこはアイドル研究部をつくります!!」

「歌って踊るのが好きな人は、にこと一緒にアイドルを目指すニコ!!」



静まりかえった教室で

彼女だけは笑顔だった

それまで見た他の誰よりも

あの笑顔は輝いていた

…少なくとも私には、そう思えた


目が、離せなくなっていたから
12: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:35:19.75 ID:fjN6Slda.net
「矢澤さん…」

そう、たしかそんな名前だった

お世辞にも、美少女って感じじゃなかった

本当に、どこにでもいる女子高生って感じ


なのに、なんだろう

胸の奥が、熱い


彼女の言葉を聞いてから

彼女の事が、頭から離れない




…これが、初恋?
13: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:36:57.66 ID:fjN6Slda.net
「…ぷっ。」

誰もいない部屋の真ん中で、吹きだした


要はこれは、羨ましいのだ

自分に出来ない事を平然とやってのけて

皆の注目を集める

あの中で、彼女の言ってる事を真剣にとらえた人などいないと思う

もちろん、私自身も


でも、彼女は笑ってた

恥ずかしがりもせず

嫌な顔もせず


…ただ、笑ってた



「アイドル、かあ…」
14: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:42:35.06 ID:fjN6Slda.net
ぱちっ

ふと、思い出したように目を開ける

外は真っ暗だ

「えっ!?今何時!?」

慌ててケータイの画面を付ける


[21:42]


「あちゃあ~…」


やってしまった

晩ご飯の支度も出来ていない


「…ふう。まずは、この生活に慣れないと。」

一息ついて、すっと立ち上がる


今日は、うどんをつくろうかな
15: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:50:37.26 ID:fjN6Slda.net
---あれから数日後

私はまだ、クラスに馴染めないでいた


話題が、無いのだ

皆が笑って話をするテレビ、音楽

そう言った物に、私はまるで興味が無い

これも、いままで避け続けて来た代償だろうか

勉強に関してしか、話は膨らまなくなっていた


まだ始まって数日で、息の詰まりそうな教室を出る

向かう先は、階段を上った先にある
16: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 21:51:18.60 ID:fjN6Slda.net
…ガチャン


少し重たい扉を開けて、外に出る

春の風に吹かれ、私の髪が揺れる


特に思い入れがある訳ではないこの長い髪をなびかせ

屋上の隅っこにちょこんと座る


…ああ、一人のときでも、私はこうなんだ

分かっていたとはいえ、改めて感じて落ち込んだ


---私は、みんなの中心にはなれないんだ
17: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:00:29.08 ID:fjN6Slda.net
色んな人に囲まれたり

頼られたり

そんな人に、なりたいと思ったことがあった


…でも、そんな人たちと私は根本的に違っていて

そんな自分が嫌いだった

何も変われない自分が嫌になった


…だから、足をとめたんだ




この、音ノ木坂で



過去に思いを馳せていた私は

扉の空いた音に気付いていなかった


---可能性が、手を伸ばした所まで来ている事に
18: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:24:25.60 ID:fjN6Slda.net
「あれ?アンタ…」


「ふぇっ!?」


急にかけられた声に心底驚きつつ、声の出所を探す


それは、すぐ真後ろにあった


「あ、えっと…矢澤さん…だよね?」

「ええ、そうよ。あなたは、えっと…」


「ごめん。思い出せないや。」

「でも、クラスの子よね?見た事ある。」


…ほら、やっぱり

この矢澤さんでさえ、私の事を覚えていない

当たり前の事なのに


…少し、胸が痛んだ
19: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:25:08.36 ID:fjN6Slda.net
「あのさ…名前、教えてくれる?」

「あ…うん。」

「東條…希です。」

あの自己紹介のときのように、ただ自分の名前を告げる

ただ、機械的に

「…で、希。こんな所で何をしてたの?」

「え…?」

「?…ああ、いきなり名前呼びは失礼だった?」

「あ、ううん…そうじゃなくて…」


少し、ドキッとした

今まで、下の名前で呼んでくれるのは、家族だけだったから
20: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:30:59.89 ID:fjN6Slda.net
「…で、希って呼んでいいの?」

「!あ、うん、もちろん。」

「そう?…じゃ、希。」
「ここで何してたの?」

何って…

何だろう?


「えっと…空を、見てた。」

「空?」

「…うん。」

「ふ~ん…」


そして、沈黙

ああ、やっぱり私といても…

そんな言葉が喉元まで溢れてくる
21: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:31:42.14 ID:fjN6Slda.net
それをぐっと飲み込んで、質問してみる

「…矢澤さんは、どうしてここに?」

「にこでいいわよ。」

「…え?」

「だから、にこでいいって。」
「矢澤さんって、どんだけ他人行儀な言い方なのよ。」

「えっと…あの…ごめんなさい!」


やってしまった…

せっかく、仲良くなれるかと思ったのに


恐る恐る顔を上げると、彼女は何とも言えない顔をしていた
22: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/15(日) 22:38:00.90 ID:fjN6Slda.net
「…クスッ。」

「…え?」

「アンタ、自分に自信が無いんでしょ。」


なんで…バレたの?

「名前の事くらいでビクビクして…くくっ。」

「きっと、今まで苦労してきたのね。」

そう言って、矢澤さん…もとい、にこちゃんは笑った


端から見たら、馬鹿にされているだけかもしれない


でも、彼女の言葉は、何故か暖かかった
28: 寝れないので少しだけ(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:15:47.68 ID:JSNwUD9E.net
「ねえ、希。」

「なに…?に、にこちゃん///」

「なんで、ちょっと恥ずかしがってるのよ…」

「だ、だって、初めてだし…」

「そのくらい、慣れなさいよ。」

「あ、うん…」

にこちゃんは、何が言いたいんだろう?


「お昼、一緒に食べよっか。」


「…はぇ?」


思わず、素っ頓狂な声が出た


「…もしかして、嫌だった?」


不安そうなにこちゃんに向けて

ぶんぶん、ぶんぶん首を振る
29: 寝れないので少しだけ(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:23:07.50 ID:JSNwUD9E.net
「よ、よろしくおねがいします…」

蚊の鳴くような小さな声は

ちゃんと、届いたようだった


「それじゃ、こんなはしっこにいないで、あっちに行こ?」

「日当りバツグンなんだから!」



-----


「…へえ、それじゃ今、一人暮らししてるんだ。」

「うん。」

「寂しくないの?」

「寂しい…けど、自分で選んだから。」

「そっか…」

「うん。」
30: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:28:20.55 ID:JSNwUD9E.net
…なんだろう

今日、初めて喋ったのに

いつのまにか、自分の事話してる


話題も、尽きてない


やっぱり、にこちゃんはすごいなあ…

私とは、大違いだ


「…」

「…?どうしたの?」

「う、ううん!」


危ない、危ない

また、自分の嫌なところがでてきちゃった



---にこちゃんには、嫌われたくない
31: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:33:20.60 ID:JSNwUD9E.net
「…アンタ、今自分の事考えてる?」

どきっ

心臓が飛び上がった

…どうして、にこちゃんは気付くんだろう


「…分かりやすいのよ、アンタは。」

「自分に、自信がなくて。」

「だから、自分の気持ちを後に回してる。」


「…すごいね、にこちゃんは。」

「なにがよ?」

「今日会った私の事、よく見てくれてる」

「これだけ喋ってたら、普通じゃない?」

「普通なんかじゃ…ないよ。」


少なくとも、私は---
32: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:37:58.61 ID:JSNwUD9E.net
「私には…良い所なんて、なんにもないから。」

「いつも、人の顔色見て…」

「自分で何かをした事って、ないんだ。」


…恥ずかしい

誰にも言った事の無いこの気持ち

にこちゃんに、話しちゃってる


「めんどくさい…よね。」

「こんなに、自信のない私なんて。」


「…は?」


あ、またやった…


嫌われちゃったかな…
33: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 00:38:44.65 ID:JSNwUD9E.net
「…今日、時間ある?」

「え?今日?」

「無理なら、良いんだけど。」

なんだろう…?

にこちゃんの考えてる事が、全然分からない

「えっと…その…」

言葉に詰まる


「だああぁぁぁ!!」

「!?」

「はっきりしなさい!時間あるの!?無いの!?」

「あ、あります!!」

うわずった声で、かろうじてそう伝える

やだ、恥ずかしいよ…

「…そう。それじゃ今日、家に来なさい。」



…え?
40: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:16:41.12 ID:JSNwUD9E.net
ガチャガチャ

キィ…


「さ、入って?狭いけどね。」

「お、おじゃまします…」

初めて入る、人の家

しかも、話したのも初めてで

右手と右足が同時に動くんじゃないかってくらいの、緊張


そんな私を気にもとめず

にこちゃんは奥へと歩を進める

3歩後ろに着いて行って、リビングへと続くドアへ




こころ「お姉様、お帰りなさいませ。」




…にこちゃんが増えた
41: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:17:25.14 ID:JSNwUD9E.net
「はじめまして、矢澤こころです。」

ペコッとお辞儀をしたその姿は

にこちゃんがそのまま小さくなったみたいだった

「お姉様の、ご友人ですか?」

「は、はい、えっと…」

丁寧すぎる受け応えに、少しどぎまぎする

まるで、某アニメの泉に落ちたにこちゃんみたいだ


「…アンタ今、失礼な事考えなかった?」


ぎくっ


にこちゃん、するどいなあ…
42: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:24:24.98 ID:JSNwUD9E.net
「東條希、よ。仲良くしてあげてね。」

「よ、よろしくお願いします!」

ちっちゃな二人に囲まれて

おっきな声で挨拶する

いきなりの大きな声に少しビクついたこころちゃん

でも、笑顔で答えてくれた

「改めまして、よろしくおねがいします♪」

ニコっと笑うその顔は、にこちゃんと同じ顔だった


「…ただいま~。」


振り向くと、また同じ顔がそこにはあった
43: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:32:17.37 ID:JSNwUD9E.net
「あれ、お姉ちゃんの友達?」

「と、東條希です。」

良かった、今度はちゃんと言えた

「…もしかして、お姉ちゃんのバックダンサーの人?」

…ん?

ハテナが頭に流れた

「あ~…違うわよ、ここあ。」

「にこの、友達。」

バックダンサー?が、何なのかは分からないけど…

にこちゃんが、さらっと『友達』っていってくれた

ただそれだけでも、飛び上がるくらい嬉しかった


「それじゃ希、こっちに来て?」
44: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:39:20.62 ID:JSNwUD9E.net
短い廊下を抜けて、にこちゃんの部屋に


---そこは、アイドルグッズで溢れていた

「うわぁ…すごい。」

素直に、口からその言葉がでた

カラフルな衣装、可愛い化粧をした女の子達

そんなポスターがいっぱい張られたかわいらしい部屋

私の部屋とは、180度違っていた

「…ごめんね、片付いてなくって。」

そう言いながらも、にこちゃんはどこか誇らしげだった

「これ…全部、アイドルの?」

「大半はそうね。」

「でも、中にはスクールアイドルのもあるわ。」
46: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:55:28.61 ID:JSNwUD9E.net
スクールアイドル…

聞いた事がある

確か、学校内で作ったアイドルグループ

あの大きなUTX学園も、それで募集してたっけ…


「…ま、座りなさいよ。」

「あ、うん、ありがとう。」

少し大きめのソファのはじっこに、ちょこんと座る

「アンタは…」

にこちゃんは、少しあきれた顔で私を見た

「ま、いいわ。」

「お茶、いれてくるわね。」

「お、おかまいなく…」
47: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 14:55:57.57 ID:JSNwUD9E.net
「こころー。お茶入れてくれるー?」

ドアの向こうで、にこちゃんの声が聞こえる

---ここが、女の子の部屋

同じ女の子のはずなのに、この違いはなんだろう

甘い香りがして、可愛いものがそこかしこにあって

小さなお城の一室みたい

ここで、にこちゃんが暮らしてるんだ…

周りをきょろきょろ見回していると

ドアの開く音がした

「…おまたせ。どうしたの?」

「あ、えっと…可愛い、部屋だなって。」

「そりゃあ、このにこにーの部屋だもん。」

「にこにー…」

「な、なによ?可愛いでしょ?///」
48: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 15:06:33.64 ID:JSNwUD9E.net
あ、にこちゃんが照れてる

やっぱり、可愛いなあ


そんな私の思いを知って知らずか

にこちゃんは私の隣に座る

「に、にこちゃん…?」

「なによ?」

「ち、近くないかな…?」

「…いやなの?」

「い、嫌な訳じゃないけど…///」


これは駄目だ

にこちゃん、いいにおいする

「…なに?まだ緊張してるの?」
49: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 15:16:59.84 ID:JSNwUD9E.net
「初めて…なんだもん///」

「…は?」

聞けば、ほぼ間違いなく誤解されるような言葉を発した

「と、友達ができるのも…部屋に、案内されるのも。」

ぼそぼそと、思っている事を話した

「アンタ、ほんとに今までどんな暮らししてきたのよ。」

うう…こんな性格のせいで…

「ね、希の話、聞いても良い?」

「え?」

「希がどんな子なのか、興味があるの。」

「た、多分、面白くはないよ…?」

「いいから。」
50: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 15:27:49.77 ID:JSNwUD9E.net
そう言うにこちゃんの目は真剣で

私は、ぽつりぽつりと話しだした

両親の事

子供時代の事

今までの暮らし

好きな食べ物

苦手な事

今の…気持ち


にこちゃんは、うなずきながら

ちゃんと、目を見て聞いてくれた

私の、寂しい過去の事
51: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 15:28:27.63 ID:JSNwUD9E.net
話し終わって、思った

ああ、なんてつまらない人間なんだろう…私は


---少し、時間をおいて

にこちゃんはぽつりと、こう言った


「そっか。苦労してるのね…アンタも。」


その時私は、その意味をまだ理解出来なかった

少し寂しそうな目で微笑む、にこちゃんの顔も


---見間違いだと、思えるほどに
52: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 16:40:00.05 ID:JSNwUD9E.net
それから、リビングで少し、にこちゃんの妹たちと遊んだ

こころちゃんも、ここあちゃんも可愛くて

私もたどたどしくも、笑顔になれた

そんな私を、にこちゃんはどんな顔で見ててくれたのかな

目の前がいっぱいいっぱいだった私に

それを知る術はなくって


「ママー。」

にこちゃんの一番下の弟、虎太郎くん

まだあどけなさが残るその顔で、私に抱きついて来た

「ま、まま!?」

いきなりの発言に、私は驚く

だってまだ…15歳、なんだよ?
53: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 16:40:53.93 ID:JSNwUD9E.net
それでも、抱きついて来た虎太郎くんは離れない

どうしようか悩んでいると、虎太郎くんは私の膝で眠りだした

「…かわいい。」

そっと、頭をなでてみる

柔らかな髪質の小さな頭

すっと手が入って、さらさらと流れる

…少し、喜んでるようにも見えた

「ごめんね、虎太郎が。」

にこちゃんが、私に告げる


「…うち、お母さんいつも仕事で忙しいから。」



初めて、にこちゃんの家の事を知った
54: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 16:58:16.17 ID:JSNwUD9E.net
お父さんは…

そう言いかけた口を、ぎゅっと閉じる

それらしき面影は、この家に無かったから

そこは、まだ触れてはいけない

…なんとなく、そう感じた


ギュッ

柔らかい感触が、腕に伝わる

見ると、ここあちゃんが抱きついていた

「へへっ。柔らかい♪」

ふ、太ってるって訳じゃ…ないよね?

なんとなく、ここあちゃんの頭に手を伸ばす

くしゃっと触れた所から、にこちゃんと同じシャンプーのにおい

「えへへ~。」
55: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:00:29.12 ID:JSNwUD9E.net
なでなで…

たどたどしくも、しっかりとなでてみる

柔らかいここあちゃんの体からは

元気なお日様の香りがした

「…あら、気に入られたみたいね。」

にこちゃんが後ろから声をかける

「そ、そうなのかな…?」

照れながらここあちゃんの頭をなでていると

向こうの方で、こころちゃんがこっちを見ていた

「…来る?」

自然に、声が出た

「い、いえっ!!」

断られた

「め、迷惑…ですので…///」

嫌われては、いなかった
57: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:10:04.27 ID:JSNwUD9E.net
「私は…大丈夫だよ?」

にこっと、こころちゃんに笑顔を送る

不思議だ

引きつった笑顔じゃない、本当の笑顔

心地、良かった


とことこ、こころちゃんがこっちに来た

服の裾を、きゅっと握る

にこちゃんも、甘えるときはこんな感じなのかな?

そう思いながら、こころちゃんに手を伸ばす


ぎゅっと閉じた目を見てると、なんだか自分の子供の頃を思い出した
58: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:10:47.48 ID:JSNwUD9E.net
固く閉じられた目が、徐々に緩んでくる

こころちゃんは、みんなよりも少しお姉さんみたい

なんだか、にこちゃんに似ている

「本当に、ママみたい。」

ぽつりと、ここあちゃんが呟いた

両手で二人をなでながら、膝の上には虎太郎くん

自分に子供が出来たなら、こんな感じなのかな?

「…ふふっ。」

そうやって微笑む私を見て、にこちゃんが口を開く



「…あるじゃない、希にもいいところ。」




はっと、息を飲んだ
59: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:17:47.69 ID:JSNwUD9E.net
「いい?希。」

にこちゃんは続ける

「誰にだって、どんな人にだって。」

「いいところはあるものよ。」

「希のその、人を包み込む優しさは、まぎれも無く貴女の良い所。」

「母性…とでも、言うのかしら?」

「少なくとも、それは誇っていいものよ。」


そう言ったにこちゃんの顔は、優しかった


「ちょ、ちょっと!なんで泣いてるのよ!?」


言われて、気付いた


いつのまにか、私は涙を流していた
60: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:22:32.03 ID:JSNwUD9E.net
-----


「…」

「…」

は、はずかしい…

今日初めて話した子の前で

その子の家で、泣いた

恥ずかしくて、何も言葉が出なかった

どうして、泣いたのかも

どうして、泣いたのにほっとしているのかも

私には、分からなかった


そんな私の頭を、にこちゃんがなでる


…とても、暖かかった
61: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:28:40.64 ID:JSNwUD9E.net
どさっと、ソファに座る

またあの、ひんやりした感触


でも何故か今日は、気にならなかった

にこちゃん達と分かれて、自宅へ

また、一人になったこの部屋


昨日までは、とても寂しかった

私は、どこにいても一人なんだと

そう、思ってた




でも今日は…

ぐっすり、眠れそうな気がするよ
63: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:38:06.13 ID:JSNwUD9E.net
それから数日

私はお昼になると、屋上に向かう

青く澄んだ空の下

春の空気が、顔に当たる


…今日は、私が先みたい


日当りバツグンの待ち合わせ場所

特に決めた訳じゃない

でも、何故かふらりとここに来てしまう

私とにこちゃんの、初めて話したこの場所


すーっと息を吸い込んで

ごろん、と横になってみる

ぽかぽかした日差しの下で

そっと、目を閉じた
64: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:39:05.82 ID:JSNwUD9E.net
---どれくらい経っただろう

またあの鈴の音が、聞こえた


「お待たせ。」


別に待ってた訳じゃない…とは、言えないけれど

約束した訳じゃない、この場所で

私たちは、ご飯を食べる

いつの間にか、それが日課になっていた


まだ、にこちゃんの笑顔は眩しくて直視できないけど


少しだけ、私に笑顔が増えた
65: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:51:56.96 ID:JSNwUD9E.net
「どうしてにこちゃんは、私を気にかけてくれるの?」

にこちゃんに、聞いてみた

ずっと、それが気になってた

確かに、初めて会ったときよりは笑顔も増えた

でもそれは、にこちゃんのお陰で

にこちゃん自身に、メリットなんて一つもないからだ

「…」

また、あきれられちゃったかな?

そう思った時、にこちゃんが口を開く

「…似ていたから。」


その真意はまだ分からない

でも、何となく…近づけた気がした
67: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 17:59:53.37 ID:JSNwUD9E.net
月日は少し流れて、5月---


世間で言えば、ゴールデンウィーク

私は、神田明神にいた

生活をするためには、お金が必要なわけで…

ここで、アルバイトをさせてもらっている

なんとなく、雰囲気が気に入って

不思議な力を、もらえるような

そんなこの場所が、好きだった

にこちゃんに、この話をした時

彼女は、自分の事のように喜んでくれた

私も、気に入っている

なんて言うか…不思議なチカラ

英語で言うとスピリチュアル

そんな、場所だった
68: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 18:01:35.29 ID:JSNwUD9E.net
「…ふう。」

境内の掃除をして、一休み

にこちゃんは今、どうしているだろうか


…にこちゃんは、先月の末にアイドル研究部を立ち上げた

誘われたけど、私はそんなに可愛くないし

何より、あんな可愛い衣装、似合うはずがないし

にこちゃんは少しがっかりしたみたいだけど

「いつでも、来て良いんだからね?」

そういってくれた


いつか、私にも自信がついたら…

あのきらきらした場所に、足を踏み入れる事ができるのだろうか

そんな眩しい夢を、降り注ぐ日差しに重ねてみる
69: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 18:09:20.63 ID:JSNwUD9E.net
たったったっ

神田明神に続く男坂

坂と言うけれど実際は長い長い階段の方から

心地のよい足音が聞こえて来た


運動部かな?

たまにここを使って練習する運動部もいるみたい

足腰を鍛えるにはもってこいの場所だそうだ


…足音が、近づいてくる


なんとなく、振り向いてみた

ただの気まぐれ


でも、彼女はそこにいた


「…おはよう、希。」
71: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 18:42:50.85 ID:JSNwUD9E.net
「…おはよう、にこちゃん。」

「今日も、バイトだったのね。」

「うん。休日は、家でじっとしてることが多いから。」

「アンタも、たまには運動しなさいよ?」

「…うん、ありがとう。」

たわいもない会話

その辺の女子高生がするような

そんな言葉を投げ交わす

あの日と比べて、幾分言葉がすらすらと出るようになった


目の前の、小さな人のお陰で
72: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 18:43:24.66 ID:JSNwUD9E.net
「にこちゃんは、どうして走ってたの?」

素朴な疑問

「そりゃあ、アイドルは体作りが大事だからね!」

…なるほど、ごもっとも


結局の所、にこちゃんの原動力は全てアイドルという目標なのだ

「すごいね、にこちゃんは。」

「あ、当たり前でしょ///」

「ふふっ。そうだね。」


にこちゃんと一緒に過ごし始めて

ふと思った事が口から出るようになった

にこちゃんが言うには

『良い方に変わってるからよ。』

…だ、そうだ
73: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 19:17:13.05 ID:JSNwUD9E.net
「ん~。それにしても、気持ちがいいわね。」

そよそよ吹く風に、にこちゃんの愛らしいツインテールが揺れる

「ね、希。」

「バイト何時まで?」

「えっと…あと、1時間くらいかな?」

「そう。なら、どこかカフェでもいきましょ?」

「私ももう少し体動かしたら、着替えてくるから。」

「えっと…」

「来るの?来ないの?」

「い、いきます。」

にこちゃんは、たまにこうして私を誘ってくれる

私はそれが嬉しくて、心の中で飛び跳ねる
74: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 19:24:13.58 ID:JSNwUD9E.net
私服に着替え、駅前で待ち合わせ

お昼をちょっと過ぎた時間

くうぅ…と鳴くお腹をかかえ、にこちゃんを待つ

「なにか少し、つまんでくれば良かったかな…?」

でも、にこちゃん待たせちゃったら悪いし…

逡巡してると、隣から視線を感じた


「…真横に立ってるのに、気付かないってどういうこと?」

むっとふくれた顔が、そこにはあった

「ご、ごめんなさい!」

慌てて頭を下げる

「…ま、別にいーけど?」

「でも、何か悩む事があるなら…相談しなさい。」
75: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 19:24:55.79 ID:JSNwUD9E.net
こういうのが…ツンデレ?って言うのかな?

あんまり、知らないけど…

でも、これがにこちゃんの魅力なんだと思う

そこに惹かれている、私

「さ、とりあえずどこか入りましょ?」

「にこも、おなか空いてきちゃった。」

あ、にこちゃんもなんだ…

「ふふっ。」

「…なによ?」

何の変哲も無い事が、とても嬉しく感じる

小さな、本当に小さな幸せが

私を包み込んでくれる

そんな毎日


こんな日々が、ずっと続けば良いな、って



---そう、思ってた
79: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:05:34.95 ID:JSNwUD9E.net
「ねえ、希。」

「行ってみたいカフェがあるんだけど、いいかしら?」

「うん、いいよ?」

「そう?それじゃ…」


カランカラーン…

「お帰りなさいませ、ご主人様♪」

こ、ここはいわゆる…

「こちらのお席へどうぞ♪」

メイドカフェ?

「メニューをどうぞ♪」

にこちゃん、ここに来たかったの…?

「あ、あの!サインください!!」

サッと色紙を出して、目の前のメイドさんに頼むにこちゃん

「あ、いいですよ~♪」

うん、メイドさんも普通にサインするんだ…
81: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:06:45.55 ID:JSNwUD9E.net
あっけにとられている私

目を輝かせているにこちゃん

二人の温度差に首をかしげるメイドさん


なんともいえない30秒---



「わ、悪かったわね…」

注文を終え、にこちゃんが口を開く

「ううん?ちょっとビックリしちゃったけど…」

「あの人、そんなに有名なメイドさんなの?」

テーブルの上に、さっきの色紙が見えた


「ええ…今、秋葉で一番人気のメイドなの。」

そう言ったにこちゃんは、どこか誇らしげだ
82: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:13:27.91 ID:JSNwUD9E.net
「今日、出勤してるってSNSに流れてたから…」

「付き合わせて、ごめんね。」

ちょっとしゅんとなるにこちゃん

「ううん。こういう所初めて来たから…」

「新鮮で、楽しいよ?」

「にこちゃんも、嬉しそうだし。」

「…///」

にこちゃんの顔が、ゆでだこみたいに赤くなる


…こんな顔もするんだ

意外な発見だった
83: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:21:11.85 ID:JSNwUD9E.net
軽い食事を終え、まったりとした時間が流れる

ふいににこちゃんが口を開いた

「アンタ、趣味とか無いの?」

「…え?」

「好きな食べ物とか、苦手な物とかは聞いた。」

「でも、趣味って聞いてなかったでしょ?」

「何が好きって、聞いた事も無いし…」

にこちゃんは、むむむって顔で悩んでる

「…もし、何かしたい事とかあるなら、言ってよ?」

「付き合わせてばっかりも、悪いし…」


本当に、こうやって気にかけてばっかり

嬉しくもあり、なんだか申し訳なくなる

私、にこちゃんにしてもらってばっかりだ
84: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:34:16.13 ID:JSNwUD9E.net
「趣味、かあ…」

思わず、口をつぐむ

言いかけて、やめる


「…あるの?」

「あ、あるには…あるんだけど…」

「なによ。言えないの?」

「え、えっと…その…」

「言っても、引かないかな…?」

「?引く訳ないじゃない。」

にこちゃんの真面目な顔を見て、心を決める

呼吸を整えて、鞄をあさる

がさごそ、がさごそ


そして、それが手に当たった
85: 名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:35:42.24 ID:JSNwUD9E.net
「これなんだけど…」

「これ…タロットじゃない。」

ああ、やっちゃった…

にこちゃんが真顔になる

やっぱり、見せなきゃよかったかな?


「…できるの?」

「へ?」

「だから…タロット占い、できるの?」

「あ…うん、一応。」

「じゃあ、にこの事占ってみて!」

「え?」

「だって、出来るんでしょ?占い。」

「なら、占ってみてよ♪」

そう言って、にこちゃんはニッと歯を見せた
87: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:40:48.59 ID:JSNwUD9E.net
「じゃ、じゃあ…」

そう言って、カードに手を伸ばす

テーブルの上にクロスを敷いて

その上にカードを置く

「占うのは…にこちゃんの今と、未来どっちが良い?」

「それって、どっちも選べるの?」

「出来ない事は無いけど…一つに絞った方が、精度は上がるって言われてるよ?」

「そう…なら、未来を占ってみて?」

「うん、やってみるね。」

カードに手を置いて、心の中で念じる


…にこちゃんの、未来はどうですか?


目を開けて、カードをシャッフルする

「プール、って言うんだけどね。」

「こうする事で、完全に運命に身を任せるって表してるの。」
88: 名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:47:07.76 ID:JSNwUD9E.net
「へえ…」

にこちゃんの顔は、真剣だ

ちゃんと、私に向き合ってくれてる


---にこちゃんの思いに、応えたいな


シャッフルした手を止めて、また一つにまとめる

束ねたカードを、左手で3つに分ける

そしてまた、順番を変えて一つに

…さあ、ここからだ


一番上から一枚、カードを取る

それを裏向けた状態で中心に置く
89: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:47:40.56 ID:JSNwUD9E.net
「…できたよ。」

ぼそっと告げる

「これで終わり?」

「もっといっぱいカード置いたりしないっけ?」

「うん、今回は略式だから。でも、ちゃんと占ったよ。」

「そう…それで、結果は?」

「うん、今から開けるね。」


ふうーっと息を吐いて、目を閉じる


「…いくよ。」

カードに手をかけ、ゆっくりとめくった

結果は…






フォーチュン---運命の輪
90: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 20:52:36.91 ID:JSNwUD9E.net
「フォーチュン…」

正位置の、運命の輪

示すのは…


「好転・変化の時。」


「つ、つまり…?」

「くすっ。つまり…きっと、上手くいく、って事。」

「ほ、ホント!?」

「うん。私の占いでは、そう出てる。」

「ありがとうっ!!」

私が言い終わると同時に、にこちゃんがお礼を言った

今までで一番の、笑顔

「希!アンタ最高よ!!」

そう言って、にこちゃんは私の手をとった




初めて、報われた気がしたよ
91: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 21:05:48.03 ID:JSNwUD9E.net
嬉しくって、つい顔がほころぶ

「なんで今まで隠してたのよ?」

にこちゃんが問いかける

「だ、だって、怪しい感じの趣味だし…」

「もし、はずれたらって思うと…」

すこしずつ、小さくなる私の声

「別に、外れたからって何とも思わないわよ。」

「それより希は、にこに希望を与えてくれたの!」

「きっと、それで全てが決まる訳じゃない。」

「それでも、にこにとっては最高の結果なのよ♪」


にこちゃんのその言葉が、嬉しかった

なにより、私の趣味を受け入れてくれた

すごいって、言ってくれた
92: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 21:06:47.00 ID:JSNwUD9E.net
なんだろう

とっても、気分がいい

今なら、何だって出来るような

そんな気さえする

にこちゃんは、私が希望をあげたって言ってるけど

私も…いつもにこちゃんから、もらってるんだよ

その笑顔が---私に力をくれる


二人して、笑顔になって

会話が弾んでいく




だからかな?

私は気付かなかったんだ





---二枚目が、逆位置の愚者のカードであったことに
93: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 21:26:51.15 ID:JSNwUD9E.net
6月某日---

今日は、にこちゃんが家に来ます

前に、にこちゃんの家に行ったから

今度は、家に来てもらおうかなって


たいしたおもてなしは、出来ないけど…


「あ、もうこんな時間…」

私は急いで、掃除機をかける

もうすぐ、にこちゃんが来ちゃう



ピンポーン

「…!」

そわそわしてると、チャイムが鳴った
99: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 17:52:05.36 ID:sT27vInT.net
「にっこにっこに~♪」

すっごく元気にアイドルポーズ

すっかりお馴染みになったこの台詞


にこちゃん、今日もげんきだなあ…

「おはよう、にこちゃん。」

自然な笑みで、招き入れる


あの日以来、私は少しずつだけどクラスに溶け込み始めた

もちろん、にこちゃんのおかげ


『こんな趣味、隠しておくにはもったいないって!』

そんな言葉を受けて、半信半疑で皆にやってみせた



…結果、大成功
100: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 17:52:58.90 ID:sT27vInT.net
その日から私は、少しずつ、少しずつ馴染み始めた

流行のテレビや…音楽なんかも聞いてみた

占いも、よく当たるって評判になった

少し、後ろめたさはあったけど…

だって、仲良くなるための道具に、占いを使ってるみたいで

でもその結果、クラスの子達と笑顔になる事が、増えて来た


ガチャッ

「…お待たせ、にこちゃん。」


それでも、お昼は屋上に来る

単に、ここが好きなんだ

にこちゃんの隣で、こうしていられる事が
101: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 18:00:44.72 ID:sT27vInT.net
-----

「ありがと、にこちゃん。」

そんな日々を振り返りながら、にこちゃんに告げる

「別に。」

「もともと希が、それだけの力を持ってたってだけでしょ?」

にこちゃんは、あの日以来少しひねくれた発言をするようになった


…でも、分かってる

きっと、照れくさいだけなんだ

にこちゃんも、私の性格を分かっているからこそ

この関係で続いてる

みんなの知らない、にこちゃん

みんなの知らない、私


すっごく、心地がいい
102: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 18:08:42.22 ID:sT27vInT.net
「どうぞ、にこちゃん。」

「ありがと、希。」

お茶とお菓子をだして、椅子に腰掛ける

「…なんにもない、部屋でしょ?」

「そう…ね。」

少しの沈黙

でも、悪い気はしなかった

「にこちゃんの部屋みたいに、可愛いお部屋だったらいつでも呼べるんだけど…」

ちょっと意地悪っぽく、呟いてみた


「そうよ!!それなのよ!!」

カッと目を見開いて、にこちゃんは吠えた

「えっ…?」

「希!アンタに足りない物が分かったわ!!」


「キャラよ!!!」
103: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 18:10:10.98 ID:sT27vInT.net
「キャラ…?」

私は頭をひねった

それって…にこちゃんみたいに作れってこと?


「言っとくけど!!」

にこちゃんがまた吠えた

「にこのは…キャ、キャラ作りとかじゃないから…」

そしてそっと目をそらす

ああ、なんだかにこちゃんの事が分かって来たかも


「と・に・か・く!」

「何か無いの?アンタのキャラ。」


そ、そんなこといきなり言われても~…
104: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 18:12:30.64 ID:sT27vInT.net
「アンタは、だいぶ皆に受け入れられるようになった。」

「でも、もっと仲良くなりたいとは思わないの?」

「そ、それは…」

「占いだって、いつかは飽きられてしまうかもしれない。」

「そんな時、今の希に何が残るの?」

「その内気な性格を変えないと、結局今まで通りよ!」


そんなの…分かってる

だって、今まではにこちゃんがいたから

だから、叶ってきた理想なんだから
105: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 19:48:20.45 ID:sT27vInT.net
「…そこで、キャラよ。」

「もっと、明るく、可愛くなるの。」

「どんな事だっていい。アンタが、この先も変わって行くための物よ。」




にこちゃんの顔は、真剣だ

くだらない事を言ったかと思えば

いきなり核心をついてきたり

こういう所は、未だに分からない

きっと、にこちゃんだけのもの


「キャラ、かあ…」


変われるようなきっかけ、今の私にあったかな?
106: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 19:55:09.92 ID:sT27vInT.net
そういえば…と、顔を上げる

「なにかあった!?」

にこちゃん…すっごく嬉しそう

「えっと…キャラってほどでもないけど…」

キラキラした目で見てくるにこちゃん

い、言わなきゃよかったかな…なんて


「か、関西弁…かな…?」

うう…期待された分、視線が刺さる…


「い…」

「い?」

「いいじゃない、それ!!」
107: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:00:57.38 ID:sT27vInT.net
「え?あの、えと…」

「いいじゃない、関西弁!」

「美味しすぎるじゃない!!」

に、にこちゃんの顔が恐い…

「で、でもね!」

私は続ける

「各地を転々としてきたから、いろいろ混ざっちゃってて…」

「ちゃんとした、関西弁じゃないの。」

「…つまり?」

「え、エセ関西弁というか、なんというか…」


「…ちょっと、それで喋ってみて?」
108: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:09:53.71 ID:sT27vInT.net
「ええ!?あ、あの、いきなりすぎて…」

「はい、自己紹介スタート!!」


にこちゃんの勢いに負けちゃった


「えっと、その…」

「んん…ごほん。」


…もう、どうにでもなれっ


「初めまして!ウチの名前は東條希。」

「転勤族の両親について回っとったら、こんな喋り方になってしまってん。」

「でも、自分では案外気に入ってるん♪」

「趣味は昼寝と占いで…」

「ウチの占いは、めっちゃ当たるって評判なんよ♪」

「占ってほしい人がいたら、是非ウチの所まで!」

「どうぞ、よろしくしてな~。」




「…」



「…」
109: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:10:39.27 ID:sT27vInT.net
-----

ガサゴソ


「ねえちょっと、希ってば…」

「うう…そっとしといてよ…」


「べ、別に悪くなかったからさ!」

「絶対変だったもん!!」

「ちょ、ちょっと雰囲気が変わりすぎて圧倒されただけだからさっ。」

「違うもん、絶対滑ってた!!」

「と、とりあえず押し入れからでて?ね?」

「いーやー!!」

ジタバタ


恥ずかしすぎて顔から火が出そう…///



にこちゃん…私にはまだ、早すぎました…
112: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:26:20.69 ID:sT27vInT.net
「…」

「…」

「…わ、悪かったわよ。」

「いきなり、あんな事させて…」


「う、ううん…」


空気が、一瞬にして重くなる

にこちゃんが、元気づけてくれたのに


やっぱり私には、これ以上は無理なのかな…?



「でも、さっきのアンタ…可愛かったわよ。」


「…!///」


耳が熱い

あんなに、恥ずかしい思いをしたのに

それが、可愛い…なんて
113: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:27:45.13 ID:sT27vInT.net
「…うそ。」

少しだけ、反抗してみる

だって、私はにこちゃんみたいに可愛くないから

「ほ、ホントだって!」

「うそ!!」

「可愛かったわよ!」

「可愛くなんかないもん!!」

「私が可愛いって言ってんのよ!?」


「に、にこちゃんだけやもん!!」


「「…あ。」」



「…ほら、普通に可愛いじゃない。」
114: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:35:02.50 ID:sT27vInT.net
そう…なのかな?

自分じゃ、分からない


「私は…」


それでも、何かが吹っ切れた気がした


にこちゃんが、聞く

「…希は、どうなりたい?」

「私は…」

言いかけて、口を閉じる


ううん、変わらないと…




「ウチは…変わりたい!!」




「…合格♪」



またあの、鈴の音が聞こえた
115: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:50:39.87 ID:sT27vInT.net
8月---


夏休み明け


今日から、私は…

ううん、ウチは変わる

あの日からずっと、今日の事を考えてた

引かれたり、しないかな…

変に思われたりしないかな…

その度に、あの子に励まされた


「希なら、出来る」って

何度も、何度も言ってくれた


だから…

もう、今日で卒業する

どう思われたって

このウチが、なりたかったウチやから
116: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:58:45.97 ID:sT27vInT.net
ガラッ

教室の扉を開けて、ウチの机へ

「おはよう、希ちゃん。」

クラスの子達が、挨拶してくれる

これだけでも、ウチはだいぶ変われたと思う


「おはよう!」

挨拶を、返す

「…あれ?」

「希ちゃん、久々に占ってほしい事があるんだけど!」

「うん、ええよ~♪」

「あれ、希ちゃん、喋り方変わった?」

気付いて、くれた

「そうなんよ。実は、転校ばっかりしてたら、この喋り方が染み付いちゃって…」

「そうだったんだ?」

「あれ?でも、前は標準語だったよね?」



…ここが、ウチのターニングポイント
117: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 20:59:39.30 ID:sT27vInT.net
「…うん。」

「この喋り方やと、ちょっと浮くかなって、思ってたんよ。」

「でも…」

「でも?」

「み…」


ほら、ちゃんと言うんや、ウチ!

「皆と、もっと仲良くなりたくて…///」

「…」

あ、あかん…

顔から火が出るくらい恥ずかしい


変に、思われたりせんかな…?
118: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:10:02.55 ID:sT27vInT.net
ぎゅっ


「何この子!可愛い~♡」

そう言って、ぎゅーって、抱きしめられた

「…え?」

「もっと早く言ってくれたら良かったのに!」

「そしたら、夏休みだってどっかに遊びに行ったり…」

「え?え?」

あかん、思考が追いついてない

「えっと…変じゃない?」

「全然!」

「むしろ、すごい喋りやすくなった!」

「…ほんま?」

「うん!」
119: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:16:27.86 ID:sT27vInT.net
「良かった…」

ぎゅっ

また違う子に、抱きつかれた

「うん、可愛いよ♪」

「それに柔らかい。」

「さ、流石に恥ずかしいよ…///」

顔が、赤くなる

「…今までの希ちゃんってさ。」

「笑ってはいるんだけど、どこか私たちと違うって言うかさ。」

「なんか、見えない壁があるように思えて。」

「学校以外だと、誘いづらかったんだよね。」

「えへへ…いきなりこんな事言ってごめんね?」

「でも、今の希ちゃん…すっごく優しい感じがする♪」
121: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:27:20.86 ID:sT27vInT.net
不意に、涙が出た

「の、希ちゃん!?」

「あ、ううん、違うんよ…」


転校ばっかりの人生が駄目なんだと思ってた

仲良くなれないのは仕方ないと思ってた


…でも、違ってた


人との距離が遠いのは

自分で、壁を作ってたからやった


やっと、気付いたよ


…気付かせてくれて、ありがとう



ね?


---にこっち
122: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:30:19.56 ID:sT27vInT.net
-----


「と、言う訳で。」

「にこっち、ありがと♪」


屋上で、ご飯を食べる

これは、あの時から変わらない

「見てたわよ。」

「まったく、世話が焼けるわね。」

「えへへ…///」

「でも、よかったじゃない。」

「これでもう、怖い物なんて無いでしょ?」

「…うん。」


「ホンマにありがとう、にこっち。」
123: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:34:42.24 ID:sT27vInT.net
「…で、何よそのにこっちって。」

「にこっちの、新しい呼び方。」

「なんか、馬鹿にされてるみたい。」

「そんなことないよ?」

「ウチの、感謝の気持ちや!」

「…もうちょっと、他の物で返してよね。」

ぷくーっとふくれる、にこっち


うん、分かってるよ

ちゃんと、いつか


今度はウチが、にこっちの力になるからね
124: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:37:54.21 ID:sT27vInT.net
-----

今日も、屋上に向かう

また、にこっちとお昼ご飯

今日は、どっちが先に着くんやろ?


そんなことを考えていると、前方ににこっちを発見した


「おーい、にこ…」


言いかけて、やめる


二人の女の子が、にこっちに話しかけていた

そういえば、にこっちがウチ以外の子と喋ってるの、初めて見たかも


ウチにかまってばっかりやったからなあ…

今日は、先に行っとこか♪

そう思い、屋上へ足を進める
125: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:42:13.32 ID:sT27vInT.net
屋上に続く扉を開けると、今日は先客がいた


炎天下の日差しのもと

その綺麗な金色の髪の毛を揺らして

まるで空をそのまま映したかのような青い瞳が、ウチを見た

「あら?貴女は確か…東條さんね。」

「あ、えっと…絢瀬、さん。」

「…ふふ。朝の貴女達は、見ていて楽しかったわ。」

「あ、あの、えっと…」

「貴女の事は4月から知ってたけど…」

「あんなに楽しそうな貴女を見たのは初めて。」

「…一体、何があったのかしらね?」


「それは…///」
127: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/17(火) 21:43:10.03 ID:sT27vInT.net
「ふふ、ごめんなさい。」

「いきなりこんな話をして。」

「でも、そうね…」

「貴女とは、仲良くなれそうな気がする。」

「これから、よろしくね?」

「あ、うん…!」

「それじゃ、また午後に♪」

そう言って、絢瀬さんは屋上から出て行った

「綺麗な、ひとだなあ…」

そう呟いた時、大きな音を立てて扉が開いた

「希!!」

「ど、どうしたん?にこっち…」

「はぁ…はぁ…」

「に、入部希望者が…!!」





---運命の輪が、向きを変えて回りだした
132: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 18:17:39.12 ID:5QnZT6EP.net
「「かんぱーい!!」」

ウチの家で、祝杯をあげる

なんと、にこっちのアイドル研究部に

新入部員がはいったのだ!

お昼に見たあの二人は、入部届けを出しに来てたみたい


「…ホント、長かったわあ~。」

「よっ、部長!」

「ぶ、部長かあ~…///」

このにこっちの、にやけた顔…

思わず、写真を撮りたくなる


「…希。」

「ん?」

「ありがとね。」
133: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 18:23:43.04 ID:5QnZT6EP.net
「へ?」

「なんで、にこっちがお礼言うん?」


「…ほら、前に希が占ってくれたでしょ?」

「きっと、あれのおかげよ。」


「…いやいや。」

「あれは、単に未来を占っただけなんよ?」

「こうなったのは、にこっちがずっと頑張ってきたからやん。」


「…それでも、感謝してる。」

「これまで続けて来れたのは、希がいたからでもあるから。」


…そんなわけ、ないのに

今までも…

今でも、ずっとウチがにこっちに助けられてるのに
134: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 18:31:35.12 ID:5QnZT6EP.net
「ほら、そんな顔しない!」

「あ…うん。」

「希も、今までおつかれさま。」

「…アンタは、変われたわ。」

「思い描いた夢を、ちゃんと叶えたのよ。」

「にこっち…」


「ま、にこはまだまだのし上がるけどね!」

「部員も増えたし、ライブやるわよ!」

「…ふふ。絶対、見に行くな?」

「アンタには、一番前の特等席よ!」

「このにこにーの一番可愛い姿、一番近くで見せてあげる!」


「うん、ほんとに楽しみ。」

「…頑張って。」
135: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 18:41:09.47 ID:5QnZT6EP.net
「…ほら、言葉遣い戻ってるわよ。」

「あ…えへへ。」

「にこっち、頑張ってな?」

「トーゼン!!」

ウチもにこっちも、新しいスタートを切った

にこっちは、占いのお陰って言ってるけど…

つかみ取ったのは、にこっち自身

この先、例え険しい道のりでも…

一緒に頑張って行こうな?


ね、にこっち♪



「さ、料理が冷めちゃうわ!」

「いただきま~す!!」
136: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 19:42:15.33 ID:5QnZT6EP.net
週末---

今日は、バイトの日

夏の日差しに負けじと、境内を掃除する

たまに吹くそよ風が、気持ちいい


「今頃、頑張ってるんやろなあ…」

にこっちは今、新入部員と練習中らしい

二人とも、すごく頑張ってるみたい

これなら、ライブも大成功かな?

「ふふっ。」

あの、にこっちの部屋にあったポスターみたいに

可愛い衣装を着たにこっちが思い浮かぶ

…うん、やっぱり似合ってる


早く、見たいなあ---
137: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 19:56:01.59 ID:5QnZT6EP.net
たっ…たっ…たっ…

男坂の方から、足音が聞こえる


…あれ?

練習、終わったんかな?

今日来るって話は、聞いてなかったけど


ま…そんなこともあるか

そう思って、振り向いてみる

もしかしたら、ただの運動部員かもしれへんし


振り向くと同時に、突風が吹いた

「んっ…」

思わず目を閉じる


風が止んで、目を開ける

瞳に映ったのは


綺麗な、青い瞳だった---
138: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 20:16:58.84 ID:5QnZT6EP.net
「…また、会ったわね。」

「絢瀬さん…」

「ここで、バイトしてるの?」

「うん。」

「ふふ。それ…よく似合ってるわ。」

「ええっ!?///」

「…?何か、変な事言ったかしら?」

「あ、ううん…ありがとう///」

「…あんまり、言われ慣れてないのね。」

そう言って、絢瀬さんは笑う

その笑い方にさえ、どこか気品を感じた



「あの…どうしてここに?」
139: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 20:17:43.15 ID:5QnZT6EP.net
「少し、おつかいを頼まれてね。」

おつかい…?

何だか、絢瀬さんに似合わない言葉だ

「そうだ!」

「ね、一緒に行かない?」

「え?」

「バイト、終わってからで良いから。」

「少し、付き合ってくれない?」

えっと…

これは、仲良くなるチャンス…だよね?


「う、ウチでええの…?」

「もちろん♪」

その笑顔は、にこっちと同じぐらい眩しかった
140: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 20:22:50.71 ID:5QnZT6EP.net
「…お、お待たせ。」

着替えて、絢瀬さんと待ち合わせ

絢瀬さんは、ずっと待っててくれた

「お疲れさま。」

「それじゃ、行きましょうか。」

歩く度に、揺れる髪

きらきら光って、まるで昼間にお月さんが出たみたい

遅れないように、歩調を合わせる

にこっちよりも、歩くの早いんやね
141: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 20:30:47.83 ID:5QnZT6EP.net
「…さ、着いたわ。」

「ここって…」

なんだか、老舗の和菓子屋さん

聞いた事がある名前だ…

「うちの家族、みんなここのおまんじゅうが大好きなのよ。」

「へえ~…」

おまんじゅうかあ…


じゅるり


いけない、いけない

よだれたらした顔なんて、見せられへん
143: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 20:54:08.16 ID:5QnZT6EP.net
ガラガラッ

中に入ると、甘い香りが立ちこめていた

「…あら、いらっしゃい。」

「ご無沙汰してます。」

中には、綺麗な割烹着姿の人がいた

「今日も、おまんじゅうを買いに。」

「ええ、ありがとう。」

「いつものでいい?」

「はい。」

ものすごく、常連さんの会話

それにしても、美味しそうやなあ…


「そっちの子はお友達?」

「…へっ?」
144: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:05:10.37 ID:5QnZT6EP.net
「はい、そうです。」

「今日は、付き合ってもらっちゃって。」

「あら、そうなのね?」

「…なら、二つおまけしちゃう♪」

「後で二人で食べなさい?」

「え、いいんですか?」

「もちろん♪」

「お友達連れて来たとこ、初めて見たし。」

そう言って、彼女は別の包みをくれた

「あ、ありがとうございます!!」

ぺこりと、頭を下げる

「いいのよ?」

「それより、仲良くしてあげてね。」

「その子、とっても良い子だから♪」
145: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:12:56.19 ID:5QnZT6EP.net
お店を出て、二人で顔を見合わせる

「…なんだか、申し訳ないわね。」

絢瀬さんが苦笑する

「でも、せっかくもらったのだから…」

「どこかで、食べましょうか。」

「…うん!」



近くの公園に、足を向ける

なんだか今日は、いいことがありそうな予感♪
146: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:30:02.97 ID:5QnZT6EP.net
がさがさっ

絢瀬さんが、包みを開ける

「うわぁ…!」

まんまるなおまんじゅうに、『ほ』の文字

「さ、頂きましょ?」

「うん!」

手元には、さっき自販機で買ったほうじ茶

すっごく、美味しそう


「…はい、希。」

「はい?」

「…やっぱり、いきなり呼び捨ては失礼だったかしら?」


なんか、前もこんなことあったな
147: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:39:09.65 ID:5QnZT6EP.net
くすっと笑って、絢瀬さんを見る

少し、顔が赤くなってる

「…///」

こんな一面も、あるんやね

何だか意外


「ありがと。…絵里ちゃん。」


「…!!!」


パアッと、顔が明るくなる

子供みたいやなあ…


そう思いながら、差し出されたおまんじゅうを手に取る
148: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:40:03.18 ID:5QnZT6EP.net
「…では、いただきます。」

そう言って、それを口に運ぶ

柔らかい弾力が歯に当たって

すっと噛み切れる

程よい甘さが口いっぱいに広がって

…もう一口が欲しくなる

「んん~。ハラショー!」

「はらしょー?」

「…ロシア語よ。」

「え、絵里ちゃんってロシア人!?」

にしては、日本語が上手すぎるけど…

「クォーターよ。」

「おばあさまが、ロシア人なの。」
149: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:48:49.19 ID:5QnZT6EP.net
「ああ…」

だからか

気品のある顔立ちも

その艶のある金の髪も

まるで吸い込まれるような青い瞳も


「とっても、美人さんやもんね♪」


「ふぇっ…?」


あ、訂正

とっても、間抜けそうな顔
150: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:58:27.23 ID:5QnZT6EP.net
「「ごちそうさまでした!」」

ふたりで、手を合わせる

「はあ、美味しかった~。」

「ホント?気に入ってくれたなら嬉しいわ。」

「絵里ちゃんの手柄じゃないやん?」

「…ま、たしかにね♪」

ふたりで、くすくすと笑い合う

なんだか、まったりとした雰囲気


「ねえ、希。」

「改めて、聞いても良い?」

「なあに?」

「貴女に、なにがあったの?」
151: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:03:02.50 ID:5QnZT6EP.net
「なにって…」

「実を言うとね。」

「貴女の事、最初は興味がなかったの。」

「なんにでも消極的で、周りを見て。」

「自己主張の、かけらもなかった。」

う…心に刺さる…

「傷つけてしまったのなら、謝るわ。」

「…でもね。」

「いつからだったかしら。」

「貴女は、変わり始めた。」

「いつのまにか、貴女の周りには人が集まって。」

「それこそ、感極まって泣いちゃうぐらい、仲良くなってた。」

「訳が…分からなかったわ。」
152: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:17:45.84 ID:5QnZT6EP.net
少し寂しそうな顔の、絵里ちゃん

「…だから、知りたくて。」

「貴女に、何があったのか。」

「どんなきっかけで、貴女が変わったのか。」


ふと、疑問に思った

「どうして…?」

何故絵里ちゃんは、ウチにそれを聞くんやろう?


「私も…」

「いえ、純粋に興味があったからよ。」

そう言って、にこっと笑う


あの輝きは、そこには無かった
154: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:24:42.45 ID:5QnZT6EP.net
なんとなく、放っておけなくて

ウチの事を話した

過去の事

入学したときの事

そして…


にこっちと、出会えた事


話を聞く絵里ちゃんは

とても、とても真剣やった


「…って事があって、今のうちがあるん。」

「この性格も、喋り方も、にこっちのおかげ。」
155: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:31:50.63 ID:5QnZT6EP.net
「そう…」

「矢澤さんって、そんな人だったのね。」

「てっきり、私の苦手な能天気なタイプかと…」

「いつか、謝らなくちゃね♪」

そう言って、くすっと笑う


…あ、よかった

あの笑顔だ


「ふふっ。それにしても…」

「貴女、案外強いのね。」



…はて?
156: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:32:41.11 ID:5QnZT6EP.net
「ウチが…強い?」

「違うかしら?」

「いや…むしろ、弱かったからこうなったっていうか…」

「それは、タイミングの問題でしょ?」

「現に、貴女は願って変われたのだから。」

あ、にこちゃんと同じ事…

やっぱり、ウチが分かってないだけなんかな?


「少し…羨ましいわ。」

「羨ましい?」

「ええ。」


…?

むしろ、ウチは絵里ちゃんが羨ましいや
157: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:38:49.24 ID:5QnZT6EP.net
---

さて、午前の授業もこれでおわり

またにこっちと、ご飯やな~

能天気にそんな事を考えていると、にこっちが来た

「ごめん、希。」

「ん?どーしたん?」

「今日は、部のメンバーとお昼に練習する事になってて…」

ああ、なるほど

「うん、かまへんよ?」

「ありがと。」

「…それと、これからもこうなると思う。」

「うん、気にせんといて?」

「ウチがそうやったみたいに。」

「にこっちの、したい事をしたらええんよ?」

「うん、ありがと。」

「また、どこか遊びにいきましょ。」

そう言って、にこっちはかけて行った
158: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:46:34.22 ID:5QnZT6EP.net
ふふっ…にこっちも、楽しそうやなあ

それにしても、ウチはご飯どうしようか…


机に座ってぼーっとしてると

向かいの席に誰かが座った


「一人?なら、一緒に食べない?」

「絵里ちゃん…」

「駄目…かしら?」

「う、ううん!ありがと!」

絵里ちゃん、気を使ってくれたのかな?

…でも、嬉しい


「「いただきます。」」


初めて、にこっち意外とのお昼ご飯
159: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:52:33.97 ID:5QnZT6EP.net
「ごちそうさまでした。」

「美味しかった~。」

「でも、食べたら眠くなるなあ…」

「ふふっ、太るわよ?」

ぎくっ

「え、絵里ちゃん…」

「冗談よ。」

「それじゃ私、先生に呼ばれてるから。」

「あ、うん。お昼、一緒に食べてくれてありがとう!」

「私こそ、楽しかったわ。」


絵里ちゃんが教室からでていった途端

クラスメイトが話しかけて来た
160: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:59:20.03 ID:5QnZT6EP.net
「の、希ちゃん!」

「ん?どーしたん?」

「いつの間に、絢瀬さんと仲良くなったの!?」

「いつのまにか、やなあ…」

重たいまぶたをこすりながら、返す

「だって、あの絢瀬さんだよ!?」

「…あの?」

眠気が覚める

「なんて言うか、孤高の存在っていうか…」

「とにかく、皆とは格が違うっていうか…」

「容姿端麗、スポーツ万能、おまけに学力も上位。」

「私たちとは、住む世界が違うっていうか…」
161: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:03:54.64 ID:5QnZT6EP.net
ああ、なるほど…

今、理解した


絵里ちゃんが、ウチをうらやましがったワケ


絵里ちゃんも、私と一緒で…

変わりたいんだ


今の自分とは違う、新しい自分に


皆と、仲良く出来るように


…ごめん、気付けなくて



もう一度、ちゃんと話そう

今度は、向き合える気がする
162: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:09:27.18 ID:5QnZT6EP.net
放課後---


にこっちは、放課後も練習らしい

そうと決まったら…

行くしかないやん?



ぎゅっ

「ひゃあっ!?」


「えーりーちー♪」

「え、なに!?」


「ちょっと、遊びにいこっか♪」


「…へ?」
163: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:10:04.26 ID:5QnZT6EP.net
駅前、モール内の喫茶店に入る

とりあえず、驚かせた事を謝る

結構真剣に怒られちゃった


…こういうところが、固いって思われるんかな?


「で、いきなりどうしたの?」

えりちには、紅茶が似合うなあ…


って、違う違う

見とれてる場合じゃない!


「ねえ、えりち。」

「…?」

「改めて、ウチと友達になって?」
164: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:22:49.73 ID:5QnZT6EP.net
「改めて…の意味が分からないんだけど。」

「ていうか、えりちって呼び名…」

「あ、えりちは何となく呼びやすいから!」

「あ、そう…」

うーん、伝え方が悪かったかな?

「…言いたい事は何?」

やっぱり、えりちは賢いね

「…うん。」

「もし、間違ってたら申し訳ないんやけど…」

「えりち、変わりたいんと違う?」


鼓動が、早くなる

せっかく仲良くなれたから
165: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:27:01.28 ID:5QnZT6EP.net
「…どうして、そう思ったの?」

真剣な表情

嘘は…つきたくない


「今日、クラスの子に驚かれてん。」

「えりちと、普通に話せてるのがすごいって。」

「そう…」

「それ聞いて、思った。」

「ウチは、内気な自分を変えたいって。」

「それと同じように。」

「えりちは、自分のイメージを変えたいんかな、って。」


返事が帰ってくるのが、とても遅く感じる

一秒が一分に感じられるくらいに




…えりちが、口を開いた
166: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 23:34:13.83 ID:5QnZT6EP.net
「バレちゃった…か。」

やっぱり…

「ウチら、似た者同士やってんね。」

「…そうね。」

二人とも、自分を変えたいと願った

だからこそ、惹かれたのかもしれない

「…なんとなく、えりちがウチに興味を持ってくれた理由が分かった気がする。」

「あら、本当?」

「ただ…なんとなくやけど。」


根っこが、似てるんやと思う
175: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:02:48.89 ID:Nmq5dePz.net
「…ねえ、希。」

「なに?」

「私…変われるかしら。」

「…ウチが、変われたんやもん。」

「えりちなら、きっと変われる。」

「…本当?」

「うん、ウチが保証するよ♪」

「ありがとう、希。」

「お礼は、必要ないよ。」

「ウチも、感謝しないといけない側やし…」

仲良くなるきっかけを与えてくれたえりちに

そして、ウチを変えてくれたにこっちに
176: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:17:00.07 ID:Nmq5dePz.net
「…でも、具体的にどうすればいいのかしら?」

「それは…」

言葉に詰まる


こんな時、にこっちやったら何て言うんやろう…?


ウチがした事とは、また違う事やしな…

あ、でも、趣味とかなら…!

「えりちの趣味ってなに?」

「趣味?」

「えっと…キルティングやアクセ作りかしら。」

「え…すごい。」

「そう?案外簡単よ?」

「今度、希もやってみる?」

「いいの?」

「もちろん♪」
177: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:18:03.95 ID:Nmq5dePz.net
アクセかあ…うまく出来るかなあ?


「…じゃなくて!」

「!?」

あ、驚かしてしもた

「あの、えと…趣味なら、みんな近づきやすいかなって。」

「ああ、なるほどね。」

「でも、伝える時って仲良くなってからよね、こういうのは。」

「うーん…」

確かに、ウチのタロットみたいに見せれる物じゃないし…


あれ?もしかしてウチって役に立ってない?


そんなあ~…
178: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:22:39.38 ID:Nmq5dePz.net
「…ごめん、えりち。」

「ウチ、せっかく力になれると思ったのに…」

しょんぼりした顔で、えりちを見る

「ふふ、いいのよ。」

「その気持ちだけで十分だから。」

「でも…」

何か、えりちの力になりたい

ウチに出来る事、ないかなあ…?

「でも…そうね。」

「希には、私と皆との橋になってもらおうかしら。」


「橋?」
179: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:30:58.43 ID:Nmq5dePz.net
「きっと私は今のままだと…」

「仲良くなる前に、近寄りがたい印象しか無いと思うから。」

「希に、間に入ってほしいの。」

「えりちと皆の、間に…」


「変われた貴女なら…」

「皆の気持ちも、私の気持ちも理解してもらえそうだから。」

「ウチが…」

出来るんかな?

「それにね?」


えりちは続ける



「私って、案外人見知りなのよ。」
180: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:47:42.74 ID:Nmq5dePz.net
目を丸くする、というのはこういった時に使う物なんだろう

思わず、聞き返したくなるほどに


「人…見知り?」

「へ、変かしら…///」

「いや、流石にそれは信じられないと言うか…」

こんなに凛々しくて

気品がよくて優等生なえりちが…

人見知り?


「ぷっ…」

思わず、吹き出してしまった


「なっ…///」


えりちが、一気に赤くなる
181: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:56:14.13 ID:Nmq5dePz.net
「ちょ、ちょっと希!」

「いきなり笑うのは失礼でしょ!?」

…あかん

怒ってるけど、顔真っ赤やん

「ご、ごめんえりち…」

「だって…ククッ。」


「も、もう!」


あ、これ以上はまずい…


「いや、だって…えりちが、ものすごく可愛くて。」


「へっ!?///」


…百面相を見てるみたい
182: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 22:56:57.15 ID:Nmq5dePz.net
「やって、人見知りのえりちって想像つかないんやもん…!」

必死に笑いをこらえる

「話してきたえりちは、とってもかっこよくて。」

「クラスのみんなに、住んでる世界が違うとまで言われて。」

「それくらい、完璧超人のイメージやったから、つい…」


「そ、そんなになんでも出来る訳じゃないわよ…」

「私にだって、苦手な物くらいあるし…」


「そうなん?苦手な物って?」

「…」

「…まだ、教えない。」

そう言って、えりちはそっぽを向いた



えりちの苦手な物って、何やろ…?


気になる
183: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/19(木) 23:15:02.71 ID:Nmq5dePz.net
「と、とにかく!」

「希には、皆との間に入ってもらうから!」


「け、決定事項なん?」

「もちろん!」

「私の事、笑った罰よ。」

にや…っと、えりちが笑う


これは…かしこくない


「…それに。」

「希とも、もっと仲良くなりたいから…///」

真っ赤な顔で、上目遣い



こんなん…反則やん
192: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 21:46:19.99 ID:Q+HJRGaZ.net
「…」

「…」

「えっと…///」

「な、なに…?」

「何か、言ってくれなきゃ恥ずかしいじゃない…///」

「えっと…」


「か、かわいいよ…?」


「そっ…そうじゃなくて///」


た、耐えられへん…


「そ、そろそろ出ましょうか!」

「そうやね!」
194: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 21:52:30.23 ID:Q+HJRGaZ.net
薄暗くなってきた帰り道

二人の歩調は、ぴったり合ってた


涼しい風に吹かれて、ちょっとだけ落ち着いて来た


「改めて…よろしくね、希。」

「…うん。」

「えりちが、望んだらきっと変われるから。」

「ありがとう。」

「本当に…声をかけてよかったわ。」

「そう言ってもらえると…ウチも嬉しいよ。」

訪れる、分かれ道


「それじゃ、また明日。」

「またね、えりち。」
195: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 21:57:58.17 ID:Q+HJRGaZ.net
「ふう…」

荷物をおろし、ソファに座る

「あ…そうや。」

「にこっちに…」

今日の事、伝えよう

きっと、にこっちも喜んでくれる


スマホを出すと、ランプがついていた

「ん…にこっち?」

トークアプリを起動してみる

「あ、やっぱりにこっちからや…」

「なになに…?」
196: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:02:35.10 ID:Q+HJRGaZ.net
============
来月、ライブ決まったわ

講堂でやるわよ
絶対、見に来なさい

============


「うそ…」

にこっち、いつの間に…

思わず、電話をかける

prrrr

prrrr


出るまでの時間がもどかしい


pi


…でた
197: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:07:50.00 ID:Q+HJRGaZ.net
『にっこにっこにー!』

「…」

『…ちょっと、何か言いなさいよ。』

「にこっち、おめでとう。」

『…ありがと。』

「?あんまり、嬉しくないん?」

『嬉しいに…決まってるじゃない。』

『毎日毎日、部員達と理事長に頭下げてたんだから。』


そうやったんや…


『でも…』

「でも?」

『現実味が、無くて…』
198: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:15:10.21 ID:Q+HJRGaZ.net
『ホントは、飛び跳ねたいくらい嬉しいはずなのに。』

『なぜか、すっごく冷静なの。』

「でも、今まで頑張って来たんやろ?」

『それは、もちろんよ。』

『でも、何て言うか…』


『緊張?してるのかな…』


「ふふっ。」


『な、なによ…?』

『いくらこのスーパーアイドルにこちゃんと言えど、緊張はするのよ?』


あ、また肩書き増えてる


「うん、知ってる。」
199: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:24:54.84 ID:Q+HJRGaZ.net
『…絶対、見に来なさいよね。』

「もちろん。」

「何があっても、絶対行くよ。」

『トーゼン、よ。』


「…一番前、行くな?」

『ええ。』

「頑張って、にこっち。」

『…ありがと、希。』

『終わって落ち着いたら、またご飯でも行きましょ。』

「うん、約束やで。」


『それじゃ、また明日学校で。』

「うん。おやすみ、にこっち。」

『おやすみなさい。」
200: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:25:32.63 ID:Q+HJRGaZ.net
pi


「…あ。」

今日の事、話すの忘れてた

「まあ、でも…」

「頑張ってるみたいやし。」


これからいつでも、伝えられる

いっそ、にこっちとえりちが友達になれば…


みんなで、楽しく遊べるやん♪



とりあえず、明日は学校やし…

お風呂入って、今日は寝よう


今日も、ぐっすり眠れそうや
201: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:34:26.22 ID:Q+HJRGaZ.net
次の日


ウチは朝、直接にこっちにおめでとうって言った

にこっちは吹っ切れた顔してて

まんざらでもないようやった


それでも、それ以外に特に変わった事がある訳ではなく…

普段通りの学校生活を送っていた

にこっちは、部活を


そしてウチは…
202: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:35:19.17 ID:Q+HJRGaZ.net
「ねえねえ、希ちゃん!」

「今日は一緒にご飯たべない?」

「ん?ええよ~。」

「あ、でも、もう一人誘ってもええ?」

「うん、私たちはいいよ!」

「それじゃ、お言葉に甘えて…」


「えりちー!」


一瞬、えりちの肩がビクッとなる


ちょ、そんな、「今から…?」みたいな顔せんといてよ


「え…絢瀬さん…?」


ほら、怖がっちゃうやんか
203: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:40:31.46 ID:Q+HJRGaZ.net
「の、希…。」

「ほら、変わりたいって思うだけじゃ駄目なんよ?」

「行動せんと。」

「そ、それは分かってるけど…」

「ほら、こっちおいでって♪」

「ちょ、希、引っ張らないでよ…!」

えりちの腕をつかんで、ぐいぐい引っ張る

しまいには、観念したように引きずられながらもついて来た


「ほら、まずは自己紹介♪」

「え?えっと…絢瀬絵里です。」

「そんなん、皆知ってるやんか。」

「希がしろっていったんでしょ!?」
204: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:41:18.56 ID:Q+HJRGaZ.net
「まあまあ、落ち着いてや、えりち。」

「誰のせいでこうなったと…」


「あ、あの…希ちゃん?」

「ああ、みんなごめんな。」

「実は、えりちも一緒に食べたいらしいんよ。」

「ちょっ…!」

「えりち、人見知りさんやからな。」

「皆と仲良くしたいのに、つんけんしちゃってただけなんよ。」

「の、希!!」

「こっちに来て!!」

「あーれー…」



教室の隅まで連れてかれた

えりち、案外力あるんやね…
205: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:47:12.88 ID:Q+HJRGaZ.net
「はあ…はあ…」

「えりち、大丈夫?」

「早くしないと、ごはんの時間無くなっちゃうで?」

「のーぞーみー。」

「へ?」

「この口が悪いのね…」

「ひゃい!?ひ、ひひゃいよ、へりひ…!」

「いきなり全部暴露する事ないでしょう…?」

「ひゃ、ひゃって…」

「ひょのほうひゃひいひゃほおもっへ…」


「…希。」

「な、なに…?」



「もう一回言って?」
206: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:47:48.50 ID:Q+HJRGaZ.net
ほんとにもう…

この子は、頭がいいのか悪いのか…


「とにかく、一緒に食べようや。」

「そ、それはいいんだけど…」

「ほら、みんな待ってるよ?」

「う、うん…」


そうして、みんなの輪に入る

うーん…やっぱり、緊張してるなあ…


よーし、こんな事もあろうかと…


がさごそ


「…?何してるの、希ちゃん。」
207: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:51:40.66 ID:Q+HJRGaZ.net
「じゃーん!!」

そう言って取り出したのは

あの「ほ」のついたおまんじゅう

「え、いつの間に…」

「昨日、えりちと別れた後に買いに行ってん。」


「あ、それ知ってる!美味しいよね!」

「絢瀬さんも、このおまんじゅう好きなの?」

「え、ええ…うちの家族、みんなこれが好きで…」

「よく、おつかいに行かされるのよ…」

少し困った顔して言う、えりち

「「…ぷっ。」」


皆が、吹き出した
208: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 22:52:49.15 ID:Q+HJRGaZ.net
「…え?ええ??」

えりち、混乱してる

「ほら、だから言ったやん?」

「えりちにおつかいなんて言葉、似合わんねん。」

「た、たしかに…」

「むしろ、おつかいさせる側って言うか…くく。」

「そ、そんなになのかしら…?」


困り顔のえりちも、美人さんやなあ…


「ほな、緊張も溶けた所で、ごはんにしよか♪」

「えっと…いいの?」

「いいから、いいから♪」


そんなこんなで、お昼ご飯がスタートした
215: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:05:18.54 ID:xkpk+nwn.net
実際、食べ始めてみたけど…

なんてことはない


みんなが明るいのもあって、すぐにえりちはとけ込んだ


ウチは、必要なかったみたいに

…なんてな

少しでも、えりちがみんなと話すキッカケになれたなら

それだけで、ウチは幸せなんよ


「…あら?でもそれは…」

仲良くしたいからって話に流される訳じゃなく

ちゃんと、自分の芯を持ってる

ここは、素直に尊敬できるとこ
216: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:08:20.00 ID:xkpk+nwn.net
「ふふっ…そうね。」

話も弾んで、えりちの笑顔も見れる

「やっぱり絢瀬さん、頭良いね!」

「ほんとほんと!」

「そ、そんなこと…///」




…なんかちょっと…ジェラシー?

えりちの照れた顔は、ウチが初めて見たのになー


とか、考えてしまう

それくらい、すてきなんよ、えりち
217: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:14:49.31 ID:xkpk+nwn.net
でも、よかった

えりちも、キッカケが出来て

これからきっと、少しずつやけど変わって行ける

…ウチが、そうであったように


「…!」

ウチが微笑んで見てるのに、えりちが気付く

えりちも、笑ってくれた


ん?なんやろ…?





(あ・り・が・と・う)



えりちの口が、そう動いた…気がした
218: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:21:57.51 ID:xkpk+nwn.net
あれからえりちは、皆とずいぶん仲良くなった

…とは言っても、みんなのお姉さんポジションにいるみたい

みんながえりちを頼って

えりちも、それに応える


これは、才能やなあ…

ウチの周りには、楽しんでる人が

えりちの周りには、楽しみたい人が


そして、そんなみんなが集まる、お昼休み


人数が少ないからこそ


いつのまにか…ひとつの家族みたいになってた




にこっちも、ここにいたらなあ…
219: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:28:22.03 ID:xkpk+nwn.net
そして9月

にこっちのライブが、始まる---




9月に入って

にこっちたちは、積極的にアピールしだした

ビラ配りや、公開練習とかもして

少しずつやけど、知名度も上がってるみたいやった


「アイドル研究部です!よろしくお願いします!」

「「よろしくお願いします!」」


…お、やってるやってる♪


こうして頑張ってるのが目に見えると

思わず、顔がほころんでしまう



…にこっち、頑張れ
220: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:39:12.86 ID:xkpk+nwn.net
ライブ当日---


「にこっち、どんな感じー?」

楽屋…もとい、更衣室を覗きに来た

「客席に、いればいいのに。」

「せっかくやから、声だけかけに来ようと思って。」

「…全く、暇人なのね。」

「にこっちが、今日は必ず来いって言ったんやんかー。」


よかった、余裕はあるみたい


「…はやく座らないと、埋まっちゃうわよ?」

「ふふ。そうなるように祈ってるわ♪」


「ほら、早く客席行ってなさい。」

「打ち合わせするから。」


「うん。それじゃ、楽しみにしてるな!」
221: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:47:12.37 ID:xkpk+nwn.net
客席の、一番前に座る

お客さんも、何人かちらほらいるみたいや

「にこっち、全然緊張してなかったな。」

やっぱり、自分からやりだしたことはある

電話した時、緊張してたのが嘘みたいや

ライブの事だけ、考えてた



ただ…

後ろの二人は、やっぱり緊張してたみたい


どうか…うまく行きますように
222: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:47:48.04 ID:xkpk+nwn.net
腕時計を見る

開演、20分前


…お客さんは、まだあんまり入ってない

えりちも、今日は用があるとかで


友達は、何人か来てくれたけど…

そもそも、あんまりにこっちと話した事無い子らやったし


それでも、ここがにこっち達にとって

新しいスタートになる


いままで練習して来たのも知ってる

何度も理事長に頭下げたことも

いっぱい、頑張ったんやもん…



ウチは、ちゃんと見てるよ
223: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 22:54:03.64 ID:xkpk+nwn.net
講堂が、静まり返る

…開演、5分前


さっきよりも、人は増えた

もうすぐ、始まる---



舞台袖から、かわいらしい衣装の子が走ってくる


にこっち、やっぱり衣装似合うな♪

後に続く、二人の子達

二人とも、にこっちに負けないぐらい、可愛い



三人揃って、ペコリと頭を下げる


にこっちが、マイクのスイッチを入れた
225: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:09:51.88 ID:xkpk+nwn.net
「初めまして!アイドル研究部です!」

にこっちの元気な声が、スピーカーから聞こえる

「今日は、私たちのライブに来てくれて、ありがとうございます!」

「やっぱり、初めてだし私たちの事を知らない人が多いと思います。」

「それでも、今日来てくれた人たち皆が私たちのファンになってもらえるように。」

「精一杯、頑張ります!」

「そしていつの日か!」

「この講堂を、ファンの皆でいっぱいにしてみせます!!」


「それでは聞いてください!」


また、仲良く揃ってお辞儀する




照明が…落ちた
226: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:25:07.61 ID:xkpk+nwn.net
ライトアップと共に

スピーカーからアップテンポな曲が流れる

よくテレビでみる、アイドルの曲

とってもダンサブルな、ナンバー


それでも、笑顔で踊るにこっち

後ろの二人も、しっかり踊れてる


…やっぱり、杞憂やったかな?


歌いだしも、しっかり声が出てる

なにより、楽しそう


お客さんも、笑顔な気がする
227: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:25:38.63 ID:xkpk+nwn.net
ステップを踏んで

ターンして

ジャンプして


それでもぶれずに、歌う


にこっち…ほんまに真剣なんやね


改めて、実感する

にこっちの、アイドルへのひたむきさ

目指している、夢



よかったね、にこっち

大きな大きな、第一歩や
228: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:28:43.34 ID:xkpk+nwn.net
一曲目が終わった

精一杯、拍手をする

三人とも、肩で息をしてる

それでも、笑顔は絶やさない


うん、上手く行ってる

あと一曲、がんばって



呼吸を整え、配置に付く

しん…となった講堂


また、次の曲が始まる
229: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:29:55.32 ID:xkpk+nwn.net
次の曲も、ダンスが激しい

それでも、笑顔で

それでも、たのしそうに

三人は踊る

「…すごい。」


ほんとに…頑張ったんやね、にこっち


曲も終盤に差し掛かり

一層、ダンスが激しくなる



Cメロが終わって、サビに入る時


ターンして、真ん中に集まる



…はずやった
230: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:33:56.45 ID:xkpk+nwn.net
それは、緊張したからなのか

それとも、疲れ果てたからなのか

一番後ろの子が、つまづいた


それにぶつかって、二人目も倒れる


手を伸ばした先には、にこっちの衣装


「にこっち…!!」


どさっ…


その小さな体じゃ二人を支えきれずに

にこっちも、倒れてしまう



流れ続ける、曲


ざわつく、講堂内
232: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:41:18.59 ID:xkpk+nwn.net
慌てて駆け寄ろうとすると

にこっちが、立ち上がった

そしてまた…


踊り始める

それにつられて、後ろの二人もすぐに起き上がる

もう曲が終わるというのに

にこっちは、諦めてはいなかった



ポーズをとって、曲が終わる

にこっちがマイクの前に立つ


「今日は、どうもありがとうございました!!」
233: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:43:29.07 ID:xkpk+nwn.net
「最後、すこし失敗しちゃったけど…」

「ここに立って、ライブが出来た事が何よりの幸せです!」

「私たちアイドル研究部は、これからもこうして頑張って行きます!」

「どうぞ、応援よろしくお願いします!!」


少ないながらも、大きな拍手が鳴り響く

ウチも、精一杯拍手した


ぺこりとお辞儀をして、舞台袖に向かう三人





…にこっち、まだ、お客さんの前やから


まだ…泣いたらあかんよ
235: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/22(日) 23:49:50.51 ID:xkpk+nwn.net
ライブが終わって、少し経って

ウチは、にこっちの所に向かってた


仕方が無い事とは言え

あんなに、頑張ってたんやから


まだ、なんて声かけていいのか思いつかんけど…

それでも、ウチが行かないと駄目な気がした



更衣室の扉の前に立って

覚悟を決めて、ノックする

「アンタ、それ本気で言ってるの!?」

帰ってきた返事は、にこっちの怒鳴り声やった


「にこっち…!?」


慌ててウチは、扉を開けて飛び込んだ
241: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 20:52:57.76 ID:YndxuiG1.net
「にこっち!!」

いきなり入ってきたウチに、にこっちは戸惑ったみたい

でも、すぐに表情が元に戻る

「一体、何があったんよ…?」

「それは…」

一番後ろで、おびえてる子が口を開く

…この子、さっきつまづいた子や



ん?てことは…

にこっちが怒ってるのはもう一人の方か
242: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 20:53:40.53 ID:YndxuiG1.net
「その子は…悪くないわ。」

「失敗はしちゃったけど…」

「それでも、頑張ってた。」

「最後まで、笑顔で踊り続けようとした。」

うん、ウチも…同じ気持ち


「失敗は…誰にだってあるわよ。」

「私だって、完璧なわけじゃない。」

「それを練習して、頑張って出来るようになったとき。」

「それが一番楽しくて、嬉しいんじゃない。」


にこっちの言ってる事は正しい

でも…もう一人の子は、腑に落ちてない顔してる
243: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 21:01:22.79 ID:YndxuiG1.net
「だけど…」

「ううん、だからこそ…」


「さっきのアンタの言葉は、許せない。」


「失敗した事が悔しくないの!?」

「成功させたかったって思わなかったの!?」

「次は…次は、もっと頑張ろうって!!」

「そう思わないの!?」



「なんで…」

「なんで、『たかが部活だから』なんて言葉が出るのよ!!」
244: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 21:11:52.63 ID:YndxuiG1.net
「にこっち…」


「必死にやるから、楽しいんじゃない!!」

「必死にやるから、輝けるんじゃない!!」


「入部の時に言ってた、『憧れ』って何なのよ!!」

「本心じゃなかったの!?」


「にこっち…あかんよ…」


「自分の足で、ステージに立って。」

「キラキラしたいって言ったのはアンタじゃない!!」

「そのために、一生懸命頑張りたいって言ったのは!」

「他でもない、アンタ自身じゃない!!」


「なのに、どうしてそんな言葉が出るのよ!!」

「勝手に、諦めてるんじゃないわよ!!」

「そんなこと言うくらいなら、アンタなんか…!」





パァン…!
245: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 21:22:39.33 ID:YndxuiG1.net
「え…」

にこっちが、頬を押さえる


叩く方も…すごく痛いんやね


「にこっち…」

「今、何言おうとしたん?」

「…ッ!」

「たとえそれが本心でも、そうじゃないにしても。」

「言って良い事と、悪い事があるのは…」

「かしこいにこっちなら、知ってるやろ。」

「だけど…」


「…ウチは、にこっちの言ってる事は分かるよ。」

「だったら…ッ!!」




「でも、にこっちは間違ってる。」
246: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 21:30:28.20 ID:YndxuiG1.net
「どういう…意味よ。」


「にこっち…前に、言ってくれたよね。」

「いつでも、来ていいからって。」

「もしウチがそれで参加してたら…」

「きっとウチは、今のこの子と同じ事を言ってたと思う。」

「その時、にこっちは…うちの事も、同じように怒る?」


「それは…」


「友達だから、とかじゃなくて…」

「あの時のにこっちは、ちゃんとウチを見ててくれてた。」


「今…にこっちは何を見てるん?」

「何が…目の前にあるん?」
247: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:06:56.56 ID:YndxuiG1.net
「…」

「にこっちの思いは、知ってるよ。」

「本気で、アイドルやりたいって。」

「それがにこっちの原動力なのも…」


「やけど…」

「言い方は悪いかもしれないけど。」

「この二人にとっては、ただの、高校時代の部活なんよ?」


「…!そんなの…」


「…部長、なんやろ。」

「引っ張ってく人が、周り見れなくてどうするんよ。」

「足並み揃えなくて、どうするんよ。」


「…ちゃんと、向き合ってあげてよ。」


あの時、ウチにしてくれたみたいに
248: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:07:45.36 ID:YndxuiG1.net
「…」


長い沈黙が、続く

お互い、思う所はあるんやろう


それでも、今は…

「…ほら。今日はもう帰り。」

「そんで、また三人で、ちゃんと話し合って。」

「どうしたいのか。」

「これから…どうしていきたいのか。」


「同じ方向、向かないと…な?」


「…」


にこっちが、鞄を持って出て行く

「あ…」

「…今は、そっとしといてあげて?」
249: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:16:16.88 ID:YndxuiG1.net
「あの…」

「うん?」

「ごめんなさい。」

「ええんよ。」

「確かに、言い方は良くは無かったけど…」

「それでも、にこっちも貴女も、間違ってはないから。」

「…それに、励まそうとしたんやんね?」


「それは…」


「きっと、にこっちも分かってる。」

「でも、自分の夢を否定されたみたいで辛かったんやと思う。」

「…はい。」

「また、ちゃんと話するんよ?」

「それでも…にこっちの気持ちは、知っててあげてほしい。」


「…はい。ありがとうございます。」
250: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:23:09.57 ID:YndxuiG1.net
「…ふう。」

帰る前に、神田明神に来てみた

夕日に目を細めながら今日の事を思い出す


右手が、じん…と熱くなった


「ウチ…最低やな。」

にこっちのこと、分かった風に

気持ち知ってるなんて、無責任なこと…


一番辛いのは、きっとにこっち

でも、何も言えんかった



…まだ、じんじんする


心が、痛いよ
252: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:28:29.98 ID:YndxuiG1.net
「…ぐすっ。」


…初めて、怒鳴った

初めて、手をあげた


そんな資格、ウチにないのに


恩を、仇で返したみたい


結局ウチは、にこっちに何もしてあげられてない


ぼーっと遠くを眺めていると

ふいに顔を覗き込まれた

「…なにしてるの。」

「ひゃあっ!?」



「こんばんは、希。」

「こんばんは…えりち。」
253: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:34:57.91 ID:YndxuiG1.net
「…はい、えりち。」

「ありがとう。」


何となく、一人になりたくなくて

えりちを家まで連れて来てしまった


「はは…なんもない、部屋やろ?」

無理矢理明るく、そう言ってみる

「そう…?」

「希らしい感じよ。」


「え…?」

ウチ…らしい?

「何て言うのかしら…?」

「まだまっさらで、色がついてないような。」

「でも、だからこそ誰にでも合う…そんな感じの部屋。」
254: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:40:07.81 ID:YndxuiG1.net
「誰にでも…合う…」


「ほら、私の部屋って言われても、違和感ないでしょ?」

「希は、変わったんだから。」

「これから、もっともっと変わって行ける。」

「この部屋のように。」


「そんなん…初めて言われた。」

まあ、にこっち意外が来るの、初めてやけど

でも、えりちはウチにいつも新しい発見をくれる


少しだけ…

体が軽くなった気がした
255: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 22:43:11.21 ID:YndxuiG1.net
「…それで、一体今日はどうしたの?」

「うん…実は…」

-----


「そう、それで…」

「うん。」

「やっぱり、言い過ぎたかな…って。」

「それに、叩いちゃったし…」


「そうね。」

「まず…手を出した事は、どんな理由があっても駄目。」

「激高したときこそ、冷静に物事を見ないと。」

「そこは…必ず、謝る事。」

「…うん。」

「それで、気持ちの面だけど…」
257: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 09:43:59.97 ID:6NxxIuzU.net
「…それは、どうする事も出来ないわ。」

「考え方や捉え方は十人十色。」

「同じように見てても、実際は違う事が多々あるわ。」

「だからきっと…今日じゃなかったとしても。」

「いつか、そのことで衝突したはずよ?」

「…むしろ、早いうちで良かったんじゃない?」


「でも…」


「矢澤さんの気持ちは、私にも分かるわ。」

「私も…そうだったから。」

「えりちも…?」

「ええ。」
258: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 09:50:21.72 ID:6NxxIuzU.net
「希の言った事は、正しい。」

「足並み揃えて、同じ方向を見る事。」

「それが出来たら、何だって出来るはずよ。」

「でもね…そうなれるのは、ほんの少ししかいないの。」

「ほとんどは、今日みたいに意識のズレが原因になる。」

「でも…でも、頑張ったら!」

「話し合って、皆で力を合わせたら!」


「そう、なれなかったから…今日の事が起こったんじゃない?」


「…」


ウチ、ほんとに何も分かってなかったんやね…
259: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 09:55:05.43 ID:6NxxIuzU.net
「…バタフライ効果って、知ってる?」

「…」

ウチは、首を横に振った

「ほんの、些細な事から、大きな結果が生まれる事よ。」

「例えば…今日の事があったから、部活を辞めちゃうのか。」

「それとも、今日の事があったから、団結して前を向けるのか。」

「さっきの話をしといてなんだけど…」

「可能性は、誰にだってあるわ。」

「ただ、それをモノに出来るかどうかは、些細なキッカケなのよ。」

「希が…そうであったように。」


ウチの…キッカケ

にこっちと…屋上で会えたから
260: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 10:01:31.95 ID:6NxxIuzU.net
「だからこそ。」

「この状況をどう変えるのかは…」

「結局は、彼女達自身の問題なのよ。」


「それは…そうやけど。」


「だから、希が出来る事は…見守る事。」

「もし、何か言いたい事があるなら言っても良いけど…」

「その一言が…未来を変えるかもしれん、てこと?」

「大げさに言うとね。」


「もちろん、選ぶのは彼女達だから。」

「でも…だからこそ、彼女達が決めなきゃ駄目なのよ。」

「進むか、止まるか…ね。」



えりちはそう言うと、紅茶を飲んだ
271: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 22:36:46.45 ID:6NxxIuzU.net
「…」

ウチは、何も言えなくなった

「…ごめんなさい。」

えりちが、謝る

「なんで…」

そう言いかけたけど、口を閉じた

きっとえりちは、分かってる

ウチの気持ちも、全部


ウチがにこっちに言おうとしてる事

それを言う事で、起こりそうな事

そして…手を差し伸べてくれたにこっちに、してあげたい事



全部考えた上の…事やから

だから、えりちは謝ったんだと思う
272: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 22:37:41.52 ID:6NxxIuzU.net
「ふう…ごちそうさま。」

そう言って、えりちはカップを置いた

「あ…」

飲み終えたという事は

えりちが、帰るという事



…ウチ、こんなに寂しがり屋やったかな?


それに、こんなの…

ずるいやん



きゅっと、机の下で手を握る


「きょ、今日はごめんな?」

「近くまで、送って行くよ!」


そう言って、席を立つ


甘えちゃ…いけない
273: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 22:44:02.30 ID:6NxxIuzU.net
「ねえ…希。」

「どうしたん?」


「私ね…今日、遅くなるって言って来たの。」

「そうなん?」

「まだ夕方やから、大丈夫…なんかな?」

「何か用事あるのに、付き合わせてしまってごめんな?」


「…ご飯も、食べて帰るって言って来たの。」

「だ、誰かと待ち合わせ?言ってくれたら…」


「…」

「えりち?」


クスッ


「…へ?」


「貴女…もしかして、天然なの?」


天然って…なんやっけ?
275: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 22:50:22.05 ID:6NxxIuzU.net
「もし、お邪魔じゃなければ…」

「一緒に、ご飯たべましょう?」


「…?」

「え、どういう事…?」


あ、えりちがため息ついた


「はあ…エリチカ、おうちに帰る…」

そう言って、支度をして出て行こうとする、えりち


「…!!」


「ちょっ、えりち!」

慌ててえりちの裾を掴む

「い、一緒に食べても…いいん?」
276: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 22:58:07.88 ID:6NxxIuzU.net
「だから…そう言ってるじゃない。」

「ま、回りくどいんよ!!」

むっとふくれるウチに、えりちは続ける

「…きっと希の事だから、私が帰ったらふさぎ込むんじゃないかと思って♪」

「そんなことないもん!」

「いいえ。私が見て来た希は、そんな子よ?」


「う、ウチかって変わったんやもん!!」


「そう?…なら、帰ろうかしら。」

「うっ…」


「えりちの…イジワル。」

「なっ…!?///」

「…」


「…ほら、もう良い時間だし、何か食べにでも行きましょ?」

「…うん!」



ありがと…えりち
277: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:17:02.28 ID:6NxxIuzU.net
次の日---


えりちと話して、すこし落ち着いたけど…

問題が解決した訳じゃない


にこっち達が…決める事

ウチは、信じるしか出来ない


…ううん、えりちと約束したから

にこっちを…三人を、見守るって


頬をパチンと叩いて、気合いを入れる


…よし、いつも通りに行こう!

ガラッ


「おっはよー…ぉ…」


「おはよう、希。」

「ちょっといい?」

あはは…

これは、想定してなかったなあ…
278: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:36:54.98 ID:6NxxIuzU.net
「…」

屋上で、にこっちは向こうを向いてる

話しかけた方が、いいんかな…?

「あ、あの…」


「希…」

「昨日は、ごめん。」

そう言って振り向いたにこっちは、頭を下げた

「に、にこっち!?」

「正直…自分でも、どうかしてたって思ってる。」

「頭に血が上って、あんな事…」


「希に止められてなかったら、きっともっと酷い事、言ってたと思う。」

「だから…」

「ありがとう。」

「それに、ごめん。」


「にこっち…」
279: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:41:15.28 ID:6NxxIuzU.net
「ウチもごめん!!」

同じように、頭を下げる

「全然みんなの気持ち考えんと、怒鳴ったりして。」

「それに、にこっち叩いちゃったし…」


「ああ…あれは、痛かったわ。」

「や、やっぱり…!」

「にこっち、ウチも叩いて!」


「…は?」

「だ、だって、結構力一杯やっちゃったし…」

「顔は、アイドルの命なのにね。」

「ほ、ほんとにごめん…」


「…でも、目が覚めたわ。」

「ちゃんと、伝える。あの二人に。」




「だから…ありがとう。」
280: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:48:40.94 ID:6NxxIuzU.net
「にこっちぃ…」

「な、なんでアンタが泣いてんのよ!!」

「だって…だって、嫌われたかと…」

「はぁ?そんな事で嫌う訳無いじゃない!」


「だって…恩を、仇で返したみたいで…」

「…はあ。そんなこと気にしてたの?」

「やっぱりアンタ、まだまだネガティブね。」

「今からでも、入りなさいよ。」

「そ、それとこれとは話が…」

「…」

「…でも。」


ぎゅーっ


「ちょっ!?」

「にこっち、ありがと…」
281: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:49:16.78 ID:6NxxIuzU.net
「ちょっと、苦しいって…」

「…」


「ほら…」

そう言ってにこっちは、ウチを撫でてくれた

「ふふ…ありがとう、にこっち。」

少し、手に力を込める

…ウチの気持ち、伝わってるかな?


「…ほら、もう離れなさい。」

「えー?」

「アンタに抱きつかれてると、敗北感を感じるのよ。」

「なんで?」

「…その、無駄に大きい存在のせいよ。」

「なっ…!?」


「一体、何を食べたらこんなに…」

「に、にこっちのヘンタイ!!」
282: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:52:50.27 ID:6NxxIuzU.net
「あの…」


そうしていると、後ろから声がかかった


「あ…」

昨日の、あの子達

「こ、ここにいるって、聞いて…」

「そう…」


「…にこっち。」ボソッ

「わかってるわよ。」ボソッ


…よかった

ウチは、三人の邪魔にならないように、そっと屋上を出る



「…上手くいったみたいね。」

階段の下に、えりちがいた

「えりちが、伝えてくれたんやね。」

そう言うと、えりちは静かに微笑んだ
283: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/24(火) 23:55:58.58 ID:6NxxIuzU.net
「…あとは、彼女達が決める事よ。」

「うん、分かってる。」

「ウチは…みんなを、信じるよ。」

「…希らしいわ。」



「それはそれとして…」

「覗くのは、関心せんよ、えりち。」

「べ、別に覗いてなんかないわよ?///」


「ふ~ん…」

「今日のお昼は、えりちにおごってもらお!」

「へっ?」



「何食べよっかな~?」

「ま、待ちなさい、希!」



ファイトやで、三人とも♪
289: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:18:00.23 ID:SL6jXQbv.net
そして、昼休み


「うーん…結局あのあと、どうんなったんやろ…?」

「やれることはやったんだし…」

「あとは待つしかないわ。」

「それは、そうやけど…」

「とりあえず、お昼食べましょう?」


そんな話をしていると、教室の扉が開いた

「あの…東條さん、いますか…?」


あ、あの子達…


「希ちゃん、呼んでるよー?」

ウチに気付くと、頭を下げた
290: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:18:32.35 ID:SL6jXQbv.net
「あの…少し、時間いいですか?」

「あ、うん、でも…」


ポンっと、背中を押された

「えりち…」

「行ってきなさい。」

「ちゃんと、聞いてあげないと。」

「…うん!」


そう言って、ウチは彼女達と屋上に向かった


---


「お昼休みに…ごめんなさい。」

「ううん、いいよ?」

「どうしても…私たちから、伝えたくて。」
291: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:26:17.05 ID:SL6jXQbv.net
「…うん。」

「あのあと、にこちゃんと話して…」

「もう少し、続けてみようって決めました。」

「正直、今でも迷ってる部分はあるけど…」

「それでも、東條さんに言われて。」

「にこちゃんと…話して。」


「やっぱり、歌って踊るのが好きだから。」

「だから…続けます。」


「…そっか♪」


「にこちゃんの意識には、まだまだおよばないけど…」

「でも、にこちゃんも、まずは楽しめ、って言ってくれて。」

「部活だけど…もっと、真剣に取り組んでみようって。」


「…私たち二人で、決めました。」
292: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:27:19.13 ID:SL6jXQbv.net
そう聞いた途端、一気に脱力した


「よかった~…」

ぺたん、とその場に座り込む

「と、東條さん?」

「あ…ごめんな?」

「なんか、一気に疲れが…」


「正直、出しゃばりすぎたかなって、思ってたん。」

「にこっちたちの問題なのに、首突っ込んで。」


「…でも、東條さんのお陰でも、あるんです。」

「…え?」



「にこちゃんから、東條さんの事聞きました。」

「…変われた事。」
293: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:37:27.99 ID:SL6jXQbv.net
「あ…そうなん?」

「勝手に聞いちゃって、ごめんなさい!」

「ううん?別に隠すような事と違うし…」


「…不思議だったんです。」

「どうして、あんなに真剣に怒ったのか。」

「私たちの事、気にかけてくれたのか。」


「…私たちも、東條さんと同じだから。」

「ウチと、同じ…」


「この子なんか、特にそうで。」

「…うん。私も、人前に立つの苦手で…」

「そうやったんや…」


「だから、東條さんが私たちを気にかけてくれた事が、嬉しかったんです。」



「私たちも…変われるのかなって。」
294: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:38:01.43 ID:SL6jXQbv.net
また…言われた

ウチは、そんなに感謝されるようなこと、してないのに


ウチが今までしてもらった事

それを、ただ返そうとしてるだけなのに


でも…



これで、にこっちも…この子達も

これからも頑張って行けるなら…



「…ありがとう。」

「その言葉だけで…十分や。」



ウチはいっつも、誰かに何かをもらってる。
295: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:44:02.83 ID:SL6jXQbv.net
「…希でいいよ。」

「…え?」

「ウチの事。」

「…改めて、これからよろしくな?」

「にこっちに言いにくい事とかあったら、ウチが聞くから。」


「…はい!!」

「ありがとうございます!」


ふふっ…やっと、上手く行く

これから、もっと楽しくなる


そんな予感がする



楽しい事も、辛い事も

みんなでなら、乗り越えられる

そう感じた、夏の終わりやった
296: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:47:35.53 ID:SL6jXQbv.net
-----


「うう…寒いなあ…」

「お布団から…出たくない…」


ピンポーン


「…」


ピンポーン


「…」


「…」


ドンドンドン!!

<ハヤクアケナサイヨ!!


「ああ…やっぱりにこっちか…」

布団にくるまりながら、玄関を目指す
297: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:52:41.85 ID:SL6jXQbv.net
「おはよーにこっちー…」


「アンタ、休みだからって堕落しすぎじゃない!?」

「とにかく入れてよ、寒いんだから!!」


「いらっしゃい~。」

そう言って、ウチはまた布団のとこに戻ろうとする


「…」

「ん?どうしたん、にこ…」

ガバッと布団から放り出された

「いい加減シャキッとしなさい!!」

「遅れるわよ!?」


「にこっちのいけずぅ~。」

「可愛くない!!」
298: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:53:14.72 ID:SL6jXQbv.net
「ほら、さっさと支度する!」

「はーい…」

冷たい床の上を歩いて、洗面台へ

「うう…寒い…」

「ていうかアンタ、ちゃんと掃除してるの!?」

「えっと…一昨日…?」


あ、にこっちが引いた顔してる

「アンタ、一応女子なのよ!?」

一応って…ひどいなあ、にこっち


「とにかく、こっちは勝手にやってるから…」

「アンタは準備しなさい!」


「はーい…」


冷たい水で、顔を洗う

ようやく、意識がハッキリしてきた
299: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 09:57:40.16 ID:SL6jXQbv.net
「…ほら、待ち合わせてるんでしょ?」

「早く支度して、行くわよ?」


「あ、それなら大丈夫…」

「は?」


ピンポーン

「…ほら♪」



----

「希、入るわよー?」

えりちが入ってくる


「アンタ、信じらんない!」

「いくらめんどくさいからって、普通遊んでくれる人家に呼ぶ!?」


「はい…すみませんでした…」


絶賛しかられ中

ほら…えりちにも引かれたやん…
300: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 10:01:06.81 ID:SL6jXQbv.net
「…」

うう…気まずい…


「…はあ。アンタには飽きれたわ。」

「うう…」

「まさか、二人とも呼んでるなんて…」

えりち、そんな目で見んといてよ…


「…ともかく。」

「矢澤にこよ。希がお世話になってるみたいね。」

「こちらこそ。絢瀬絵里よ。」


「…で、絵里。こいつどうする?」

「そうね、にこ。とりあえず、お昼は希のおごりかしら?」


すぐに打ち解けられる二人を見て

これが普通なんやね…とか考えながら




ウチは財布の中身を確認してた
301: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 10:01:49.39 ID:SL6jXQbv.net
「…さ、やっとウチの準備もできたし。」

「ええ、行きましょうか♪」


「…」

にこっちを間に挟んで、街に出る

「…ちょっと。」

「どうしたん?にこっち。」

「この配置…絶対わざとでしょ。」


「あら…そんなに変かしら?」

「にこが惨めに見えるでしょっ!?」

「そんな訳…ないやん?」

「目をそらすなぁ!!!!!」


「…とにかく、カフェにでも入ろっか♪」

「話を聞けー!!」



そう言って、ウチはにこっちイチオシのお店に向かった
302: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 00:30:38.68 ID:ltVXZPNf.net
「ここって…」

「ん?にこっちオススメの場所♪」


「お帰りなさいませ、ご主人様♪」


「希…アンタ何考えてんの?」

「いやあ…えりちに、にこっちを知ってもらうには一番の場所かなって♪」

「バカ言ってんじゃないわよ!」

「よりによって、なんでここなのよ!?」


「ご主人様、メニューをどうぞ♪」


「あ、どうも…」

「じゃなくて!!」


「ほらほら、可愛いメイドさんがいっぱいおるよ?」

「…」
303: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 00:37:48.35 ID:ltVXZPNf.net
「見なさい。」

「当人の絵里は、呆れて声も出ないじゃない。」

「…」


「ハラショー…」


「…へ?」


「すごいわ、にこ!」

「日本に、こんな所があったなんて!!」

「え…」

「メイドさーん!」

「この『にゃんにゃんパフェ』ひとつ!」

「かしこまりましたぁ~♪」


「…すごい、楽しんでるけど?」

「…そうね。」
304: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 00:38:31.53 ID:ltVXZPNf.net
「お嬢様方はいかが致しますか?」

「あ…ウチは、このミルクティーで。」


「…って、アンタも順応し過ぎでしょ!!」

「にこっちは?」

「人の話を聞きなさい!」

「…あ、この『ほっぺが落ちちゃう ましゅまろチーズケーキ』で。」


「人のお金やからって、あんまり高いもの選ばんといてやー。」

「いいじゃない、美味しいんだから。」

「…あ、食べた事あるんやね。」


「もちろん!全メニュー制覇したわ!」

「…もうちょっと、他に目を向けたら?」


「うっさい!!」
305: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 00:39:22.82 ID:ltVXZPNf.net
「って言うか、絵里!」

「何枚も写真撮らないの!」


「だって、可愛いじゃない!」

「もうちょっと、節度をもって…」


「おまたせしました~♪」

「特製、にゃんにゃんパフェで~す♪」

「さ、お嬢様も一緒に!」

「ええ、任せて!」

「せ~のっ。」


「「にゃんにゃん♪」」


「うわ~!お嬢様、とっても可愛いです~♡」

「か、可愛いだなんて、そんな…///」
306: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 00:40:29.22 ID:ltVXZPNf.net
「…ねえ、希。」

「な?見てて飽きないやろ?」

「ちょっと、今までのイメージが…」


「すっごく美味しい!!」

「ハラショーよ!!」



-----

「…落ち着いたのかしら?」

「…ええ。」

「えりち、可愛かったで?」

「の、希…///」


「絵里の見方が変わる一日ね。」

「あら?私は至って普通よ?」


「「…」」
307: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:01:52.01 ID:ltVXZPNf.net
「…ま、とにかく。」

「部活、続けられそうでよかったわね。」

「…ふん、こんな所で諦めなんかしないわ。」

「それはよかった♪」

「希が、ずっとオロオロしてたから。」

「ちょっ、えりち!?」


「はあ…アンタ、そういうとこは変わらないわね。」

「だって、にこっちが頑張ってたの、知ってるし…」

「…分かってる。」

「ありがとう。」



「ほら、辛気くさいのはもう終わり。」

「せっかくこうして会えたんだから、楽しみましょう♪」
308: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:02:35.40 ID:ltVXZPNf.net
それから、色んな所に遊びに行った


「ほら、一緒に!」

「にっこにっこにー☆」

「にっこにっこに~…///」

パシャッ


プリクラに行ったり


「ねえ、こういうのが似合うんじゃないかしら?」

「あら、いいんじゃない?」

「なら、合わせるスカートはこっちで…」


服を見に行ったり
309: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:13:10.19 ID:ltVXZPNf.net
「ハラショー!クレープって、初めて食べたわ!」

「え、本気?」

「えりちは、少しずれてるからなあ…」

「はい、希!食べてみて?美味しいわよ!」

「え…ええっ!?///」


女子高生らしく、買い食いもした



楽しい時間は、あっという間に過ぎて…


「そろそろ、妹達のご飯作らないと…」

「あ、そっか…」

「なら、今日はここまでかしら?」

「別に良いわよ?アンタ達で楽しんで来たら。」

「そういう訳にもいかんよ。」

「気にしなくていいのに。」
310: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:13:51.50 ID:ltVXZPNf.net
「こころちゃん達、元気にしてる?」

「もう、手がつけられないほど元気ね。」

「希にも、また会いたがってたわよ。」

「いやあ、何か嬉しいなあ…」


「ふふっ。鼻の下伸びてるわよ、希。」

「でも…希がここまでにやける子達、私も一度会ってみたいわね。」


「…なら、今度うちにご飯来る?」

「迷惑じゃないかしら?」

「全然。むしろ、お客さんが来たってテンション上がるわ。」

「にこっちも、大変やねえ。」


「ま、昔からこうだからね。」

「もう慣れたわ。」
311: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:37:19.60 ID:ltVXZPNf.net
「…さ、そろそろにこは帰るわ。」

「別に、気にしなくていいんだから。」

「たまの休みくらい、遊びなさいよ?」

「それじゃあね。」


「ありがと、にこっち。」

「今日は楽しかったわ。」

「これからも、よろしくね?」


「…こちらこそ。」


にこっち、少し照れてるみたい

えりちは、何にでも直球やもんなあ…


「それじゃ、またね!」

「うん、ばいば~い♪」

ヒラヒラと手を振る
312: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:37:57.44 ID:ltVXZPNf.net
「…さて、ウチらはどうしよっか?」

「それなら、少しお茶して行かない?」

そう言って、えりちは駅の方向を指す


「うん、いいよ。」

近くのカフェに入る

「レモンティーで。」

やっぱり、紅茶なんやね

くすくすと笑いながら、ウチも注文する

「ミルクコーヒーで。」


「ふふっ。」

ふいに、えりちが笑う

「どうしたん?」


「いいえ?ただ…」

「こんな事になるなんて、予想もしてなかったから。」

えりちはまた、目を細めてクスクスと笑う
313: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:44:14.24 ID:ltVXZPNf.net
「確かに、珍しいメンバーやなあ…」

アイドルを目指すにこっちと

内気な自分を変えたかったウチ

そして、皆のお姉さんの、えりち


「普通は、関わる事の無い性格やね、みんな。」

「ええ。だからこそ…こうして出会えた事に感謝しているわ。」


「…ウチも。」

「ウチも、皆と出会えてよかったよ。」

「…幸せって、今は胸はって言える。」

「えりちたちが、いたから。」


「…ありがとう、希。」

「ウチも、ありがとう。えりち。」
314: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:45:09.65 ID:ltVXZPNf.net
「「ふふっ。」」

二人で笑い合っていると、飲み物がきた

「…頂きましょうか。」

「うん!」

でも、少し熱いから…息を吹きかけて、冷ます

ふーっ…ふーっ…


そろそろいいかなあ…?

「ねえ、希。」

「ん?なあに、えりち。」

「希は…この学校、好き?」

唐突な、質問

「ん~、えりちが何を考えてるかは分からんけど…」

「ウチは、好き。」

「ここに来たから、にこっちと会えた。」

「ここに来たから、えりちと仲良くなれた。」

「そして…」


「ここに来たから、変われたん。」
315: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 09:45:59.47 ID:ltVXZPNf.net
今まで、色々あった

それらを思い出して、目頭が熱くなる

「そう…」

えりちが続ける

「私も…同じ。」

「ここに来て、変われたの。」

「希たちが、いたから…」


穏やかな顔で、えりちはそう言った



「…ねえ、希。」

「なあに、えりち。」

「…」



「…生徒会に、興味はないかしら?」
319: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 00:53:00.03 ID:UI0lIYot.net
「!…あつっ!!」

思わず、やけどしてしまった


えりち…今、なんて?


「大丈夫!?」

「あ、うん…」

「でも、なんで?」


「…やっぱり、変かしら?」

「ううん、そういうことやなくて…」

「なんで、生徒会なん?」

「それは…」



「私たちが、変われた場所だから。」
320: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 00:53:55.13 ID:UI0lIYot.net
「それは…確かにそうやけど。」

「それと、生徒会がなんで…」


「私たちが、変われた場所だから…」

「だからこそ、この場所はずっとあってほしいの。」

「…ずっとって?」



「私たちが卒業したら、廃校になるかもしれないのよ。」




え…


廃校?




「ちょ、えりちそれって!!」

「…前に、先生に呼ばれたでしょ?覚えてる?」
321: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:06:31.29 ID:UI0lIYot.net
呼ばれたって…

あ、初めてご飯食べた時


「あの時、その話を聞かされて。」

「でも…だからこそ、やってみないか、って。」

「生徒会?」

「会長を…ね。」

「生徒…会長…」


「…どうやら私は、先生からしたら品行方正な子に見えるらしくて。」

「そんな状況だから、誰もやる人がいないし。」

「もし、よかったら…なんて。」


「そう…なんや…」



頭の中が、ぐるぐる回る

廃校になるって…

それに、生徒会…
322: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:10:47.58 ID:UI0lIYot.net
「まだ、決めてはいないけど…」

「もしやるなら、私は希とやりたいの。」

「ウチも…?」

「この場所で変われた私たちだからこそ。」

「やる意味が…あると思うの。」


何も、言葉が出てこない

だって、そんないきなりやし…


「…今すぐ、って訳じゃない。」

「選挙は、二年の秋にあるから。」

「でも…よかったら、考えてみてくれないかしら?」


「そして、出来れば…」

「廃校にならない学校作りを、したいと思ってるの。」


廃校に、ならない…?
323: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:19:01.48 ID:UI0lIYot.net
「詳しく聞けば、廃校の理由は生徒数の減少らしいのよ。」

ああ、確かに

こんなに大きいのに、クラスは少ないし…

「だから、次の入学希望者さえ増やせば…」

「学校が、存続できる!?」

「かも…ね。」

「確証はないわ。」


…でも、えりちの言う事は一応筋が通ってる

ウチらが変われた場所

そのきっかけをくれたこの場所は

今のウチにとっては大好きな場所

あの屋上も

過ごした教室も

…無くなるなんて、嫌
324: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:19:47.73 ID:UI0lIYot.net
「でも…」

一生徒のウチらに、そんなこと出来るんかな?

それに、えりちはそういうの向いてそうやけど

ウチは…



「…ごめん。」

「ウチには、そんなの向いてないよ。」

「何か手伝える事があるなら、協力するけど…」


「…そう。」

「うん、ごめんな?」

「いいのよ。」

「でも、もし希が来てくれるなら…歓迎するわ。」

「…うん、ありがと。」


えりちは少しだけ寂しそうな顔をした

けど、それ以上は言ってこなかった
325: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:20:25.63 ID:UI0lIYot.net
「さ、そろそろ帰りましょうか。」

「付き合わせてしまってごめんなさい。」

「ううん。」

「それでも、私は…」

「?」

「ううん、何でも無い。」

「あ、それと。」

「この話はオフレコだからね?」

「まだ、生徒には伝えてないらしいから。」

「うん、分かった!」

「それじゃ、また明日ね。」

「うん、またね、えりち。」


カフェを出て、逆方向に歩く

やっぱり、寒くなったなあ…
326: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:29:49.55 ID:UI0lIYot.net
-----

12月、大晦日

あれからえりちは、一度も生徒会の話をしてこなくなった

何度も断るのは悪いから

ウチとしてもありがたいんやけど…


お昼や放課後に、先生に呼ばれる事が増えたから

多分、準備はしてるんやと思う


ピンポーン

「…お、きたきた。」



「にっこにっこにー☆」

「こんばんは、にこっち。」

「流石に、夜は起きてるわね。」

「前に怒られたしなあ…」
327: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:38:25.50 ID:UI0lIYot.net
「…でも、絵里も呼んでるんでしょ?」

「うん、もうすぐ来ると思うよ?」


「それにしても…年越しに誰かといるなんて、初めてかも。」

「毎年、外には出ないん?」

「妹達の世話があるからね。」

「それに…」

にこっちが、ちらっとウチを見た

「…誰かさんが、家に一人だと寂しいんじゃないかなって。」

そう言って、そっぽを向く

「素直じゃないなあ…」

くすくす

にこっちの気持ちは、ちゃんと分かってるよ♪
328: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:38:58.77 ID:UI0lIYot.net
ピンポーン

「…来たわね。」

「それじゃ、いこっか♪」




「にっこにっ…」

「こんばんは、えりち。」

「ちょっと!喋らせ…」

「こんばんは、希、にこ。」

「だああ!もう!!」


「…ふふっ。冗談よ。」

「年内最後のにこにこにーよ?」

「目に焼き付けなさい!」

「いやー、もう見飽きたかなって。」


「正直すぎるわよ!!」
329: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:47:39.48 ID:UI0lIYot.net
「…さ、混む前に着かんとな。」

「そうね。それに…」

「甘酒も楽しみだわ♪」

「そんな、期待するほどのものでも無いでしょうに…」

「日本の年越しと言えば、甘酒でしょ!?」

「除夜の鐘とかもあるで…えりち。」

「でもやっぱり、美味しい物がいいじゃない。」

「ホント、そんなに食べてどうして太らないのかしら?」


「そりゃあ…」

ふにっ

「こっちに行ってるからやん?」

そう言って、えりちのを手のひらに収めてみる

「むむっ…えりち、また大っきく…」


「のーぞーみー?」

「…」

「にこっち、後は任せたっ!」

「あっ、ちょっ、待ちなさい!!」
330: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 01:52:37.39 ID:UI0lIYot.net
えりちに追いつかれんように

男坂を駆け上がる

「待ちなさい、希!」

あ、えりちが追いついて来た

運動してないのに、なんでそんなに早いん?


「ここまでおいで~♪」

また、駆け出す

実はウチも、そこそこ動けるんよ♪




登りきって、息を整える

少し遅れて、えりちがきた

「の…希…」

「はいはい、少し休み?」

えりちに、ペットボトルの水を差し出す
331: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 02:03:03.43 ID:UI0lIYot.net
えりちがカチッとふたを開けると、にこっちが追いついた

「アンタ達…帰宅部のくせに、早すぎでしょ…」

にこっち、肩で息してる

「ほら、にこっちもお水。」

もう一つ、ペットボトルを差し出す

「て言うかアンタ、息切れもしてないじゃない…」

「ま、先に着いたからね♪」


「…ホント、うちに入ればいいのに。」

「運動神経は悪くなさそうなんだし、即戦力よ?」

にこっちが目で合図をする

「それを言うなら、えりちのが適任やん?」

「見た目よし、運動神経よし。」

「中身は、歌ってるだけじゃバレないし♪」


「希…よほどお仕置きしてほしいみたいね。」
332: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 02:26:09.69 ID:UI0lIYot.net
「さ、お参りいこか~。」

ウチは向きを変えて、歩き出す

「もう…」

そう言いながらも、二人とも着いて来てくれる

「ウチらがもうちょっと大人やったら、年越しも迎えれるんやけど…」

「またそうなった時に、来たら良いじゃない。」

「そうね…」

「これから先、いくらだって機会はあるんだし♪」

何気ない二人の一言でも、嬉しく感じる



チャリーン

カランカラン

「…」

「…」

「…」


神さんに思いを告げて、目を開ける
333: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/02/28(土) 02:32:37.85 ID:UI0lIYot.net
「…終わった?」

「にこはばっちりニコ♪」

「うん、ウチも。」


「それじゃ、甘酒でも飲んで帰りましょ?」

「にこっちも、意外と楽しみにしてたん?」

「…なにかしら、気分を味わいたいじゃない。」

「ふふっ。それじゃ、行きましょうか。」

「…おみくじは、また明日やね♪」

「ええ、また明日。」

「そうね。」




『また明日』と言える喜び

この二人といれる、幸せ

ずっとずっと続いてほしい

そう思えるような一年になった


「にこっち。えりち。」

「ほんとに…ありがとう。」




そしてまた、ウチら三人にとって

新しい年が来る---
338: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 00:37:36.28 ID:5L3ZvZIx.net
「んーっ。」

「もう春やなあ…」

両手を合わせて伸びをして

カーテンを開けて外を見る


「…ふふっ。」

いつからやろ?

この景色が色づいたのは

いつからやろ?

学校に行くのが楽しみになったの


一年前の自分を思い出す

「…もう、一年経ったんやね。」

あの頃から


「…おっと、そろそろ出ないとな。」
339: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 00:42:04.70 ID:5L3ZvZIx.net
学校に続く桜並木

そのアーチをくぐり抜けた先にある、音ノ木坂


色んな事があった去年

今でも、ちゃんと思い出せる

ウチがして来た事


全部、ここで起こった事

その中で、出会えた人・もの

それが、今のウチを作るなにもかも。



ポン、と肩を叩かれた

「…おはよう、希。」

「おはよ、にこっち。」


黒いツインテを揺らして、横に並ぶ
340: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 00:43:10.91 ID:5L3ZvZIx.net
「今年もよろしくな?にこっち。」

「それは、初詣の時に言ったじゃない。」

「えへ、何となく♪」

「…まあいいわ。」

「それより、クラス替えに寄ってはアンタ一人なのかもよ?」

「あ、忘れてた。」

「…にこっち、遊びに行ってもいい?」


「…アンタ、ほんとに変われたの?」

「にこ離れしなさいよね。」

そうは言っても、にこっちも嬉しそうやん?


「そりゃあ、他の皆とも仲良くするけど…」

「にこっちは、トクベツやん?」


「なっ…!?///」
341: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 00:49:35.92 ID:5L3ZvZIx.net
「…あら?そのトクベツに、私は入っていないのかしら。」

「おはよ、えりち。」

「ちゃんと、入っとるよ?」

「…にこっちもえりちも、大好きやもん♪」


「「…!///」」


「ん?照れてるん?」

ニヤっと笑って、二人を見る


「…はあ。希は今日も絶好調ね。」

「ホント、いつのまにこんなひねくれた性格になったのよ。」


「変えてくれた人のが、うつってしまっただけやもーん。」

「ちょっと、それどういう意味!?」
342: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 00:50:42.96 ID:5L3ZvZIx.net
たわいない話をして、並木道を抜ける

この門をくぐれば、新しい一年が始まる

ここにいる二人といれば、何だって出来る


もう、あのときとは違う

振り返らない


ここがまた、新しいスタート

どんな事があっても、今のウチらなら乗り越えられる

本気で、そう思える


…ここに来て、良かった



校舎を見上げると、春風が吹いた


「さ、いこっか♪」


そう言って、足を踏み出した
343: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 10:39:09.50 ID:5L3ZvZIx.net
「クラス分け、張り出されてるわよ。」

生徒が、掲示板の前に集まってる

「今になって緊張して来た…」

もし、二人と離れてしまったら…


「今更どうしようもできないし…」

「とにかく、見てみない?」

えりちに言われて、三人で掲示板の前に


「えーっと…」


「…」


あ、ウチの名前、あった!

同じクラスは…


「あ。」


「ふふっ。今年も、よろしくね?」

えりちがウインクした
344: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 10:39:37.46 ID:5L3ZvZIx.net
「にこっちは?」


「に…」

「にこだけ、違うクラス…」


「に、にこっち…」

まさか、言ってた本人がそうなるなんて

「あ、でも、部員の子は同じクラスやん!」

「え、ほんと!?」

「うん、ほら!」

掲示板を指差す


「…よかった。」ボソッ


なんだかんだ、にこっちも不安なんやね


「それじゃ、教室に行きましょうか。」
345: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 10:40:07.28 ID:5L3ZvZIx.net
階段を使って、今までとは違う階に

見慣れた風景でも、高さが変わると新鮮に思える


「…さ、ここでお別れね。」

「にこっち、寂しくなったらいつでも来るんよ?」

「べっ、別に寂しくなんか…!」


「…でも、たまにはお邪魔するわ。」


「もう、にこっちも素直じゃないなあ♪」

ぎゅっと、抱きしめてみる

「ちょっと、離しなさい!!」


じたばたするにこっちを離して

服の乱れを軽く直す
346: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/01(日) 10:42:05.43 ID:5L3ZvZIx.net
「…それじゃ、行くわ。」

「またね、にこっち。」

にこっちは、教室に入って行った


「私たちも、行きましょうか。」

「うん♪」


ガラッと扉を開け、中に入る

見知った顔や、初めて見る顔もそこにはある


みんなと、早く仲良くなりたいなあ…


数人が、こっちに近づいてくる

「おはよう!希ちゃん、絵里ちゃん。」

「今年も、同じクラスだね!」

「ええ、よろしくね。」


ここで、今年は一体どんな事が起こるのか

今からワクワクしてる

楽しい一年に、なりますよーに♪
347: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:49:32.83 ID:t3ItBqDd.net
-----


「…」

「どうしたの?希。」

「楽しい…一年に、なるはずやったのに…」

「勉強、ここまで難しいん…?」


学校が始まって一ヶ月

新しい友達もできて、順風満帆!

…やったはずが

まさか勉強でつまずくなんて


「…でも、意外ね。」

「希は、案外勉強できると思ってたのに。」

えりちが、くすくす笑う


「赤点は、回避できてるけど…」

「あんまり、楽しくないんよ…」
348: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:50:13.00 ID:t3ItBqDd.net
「まあ、確かに一年生の頃に比べれば難しくはなってるわね。」

「えりちが羨ましいよ…」

「私は、ちゃんと予習と復習をしてるから。」

「希は、家に帰ったらだらけきっちゃうんでしょう?」


「うん…なんとなく、気分が乗らなくて。」

「もうすぐ、定期考査があるのに…」


「…仕方ない。」

「放課後、一緒に勉強しましょうか。」

「ほんま!?」


神さんは、ここにおったんやね

「その代わり、ちゃんと勉強するのよ?」

「はーい!」
349: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:50:46.76 ID:t3ItBqDd.net
「それに…」

「どうやら危ないのは、希だけじゃ無いみたいだし。」

そう言って、えりちは視線を向ける


「…にこぉ。」


「にこも、どうにかしないと…ね。」


まさか、赤点取ったら部活が一時禁止になるなんて…な


「それもあるわ…」

「でも、それ以上に。」

「部長が赤点なんて…流石に笑えないでしょ?」


にこっちの顔に、覇気が無い


て言うか、にこっちよく進級できたね
350: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:51:19.82 ID:t3ItBqDd.net
「…絵里。」

「私もお願いしていい?」

「もちろん。」


「部活のためにも、ここは頑張らなきゃ…!」


「うんうん、にこっち頑張って♪」

「アンタも似たり寄ったりじゃない…」

「ウチは、ぎりぎり赤点だけは回避してるから。」


「…どんぐりの背比べ、ね。」


「「うっ…」」


流石えりち

痛いとこを突いてくるなあ…


「ほら、喋ってる暇はないわよ?」

「うん、それじゃあ頑張ろかー。」

「おー…」
351: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:51:59.19 ID:t3ItBqDd.net
---

某ファーストフード店で教科書を開く



開いて…閉じた


「…希?」

「あはは…」


いや、流石に全教科危ないってことは無いんよ?

英語とか、国語はまだ出来る方やし…

ただ、理科はちんぷんかんぷん

摩擦係数やら、molやら熱化学方程式やら…


だいたい、こんなの覚えて使うときが来るとは思わんし…


「ほら、教科書開いて。」

「理科は、暗記さえすれば7割とれるんだから。」

「うう…頑張ります…」
352: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 02:52:36.73 ID:t3ItBqDd.net
「…にこも、やるわよ?」

「!?あ、うん…!」

さっと何かをポケットに入れた

「…えりち、右ポケット。」


「う、裏切り者!」

「はい、没収ー。」

「ま、待って!」

「せめてフォロワーに返事してから…」


あ、えりちがめっちゃニコニコしてる

これは…あかんで、にこっち


「…ねえ、部長さん。」

「部活、どうなってもいいのかしら…?」


「に…」

「にっこにっこにー!」


…ぷちん

「あ、終わった。」

思わず、口からでた
360: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 18:40:09.89 ID:arhhvZHq.net
そこからのえりちはすごかった

冷静に、にこっちを追いつめて行く

「私がいてもしないってことは…」

「帰っても問題ないという事よね?」

「え…」

「さ、希。行きましょうか。」

そう言ってえりちは荷物をまとめる


「え…にこは…?」

「え?私がいなくても勉強できるんでしょ?矢澤さん♪」

「に、にこぉ…」


ごめん、にこっち

ウチも必死なんよ…

にこっちの視線を感じつつ、えりちの後に着いて行く
361: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 18:47:43.39 ID:arhhvZHq.net
たたたっと、にこっちが追いかけてくる

「ご、ごめんって絵里!」

「あら?別に怒ってはないわよ?」

「それに、一人で勉強する邪魔になっちゃだめだから…」

えりちはまた、歩を進める

「ちょ、ちょっと待って!にこには、絵里ちゃんが必要ニコ♪」

決めポーズ…も、むなしく

えりちは一切振り返らない

「わ、悪かったって!」

「お願いだから、勉強教えて…!」

「何でもするから!」


ピタっと、えりちが立ち止まる

「…本当に?」
362: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 18:48:29.71 ID:arhhvZHq.net
「ほ、ほんとほんと!」

「今なら、すっごく頭に入る気がするの!」


くるっと、えりちが振り返る

「そう?」

「なら、一人でやっても大丈夫ね♪」

「そ、そんなぁ…」

そしてえりちはスピードをあげた


見かねたウチが、えりちに声をかける

「え、えりち…」

「ウチも、にこっちと一緒にしたいかな~…なんて。」

「…」

「う、ウチも頑張るから!」

「…そう。」

「それじゃ、この課題を全部やりましょうか♪」


ニコニコしながら、分厚い冊子をとりだした


…にこっち、ウチも恨むで
363: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 18:54:13.73 ID:arhhvZHq.net
カリカリ…と鉛筆が走る音だけがする

鬼教官…もとい、えりちは

ウチらの後ろで仁王立ちしてる


一切妥協を許さない雰囲気に

ウチらは手を止めず書き続ける


「えりち、ここがちょっと…」

「どれ?」

「質量パーセント濃度って…」

「ああ、食塩水ね。」


聞いたら、ちゃんと教えてくれる

こういうとこは、やっぱりすごいなあ…


「…ほら、ちゃんと聞いてるの?」

「は、はい!」
364: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:03:28.63 ID:arhhvZHq.net
「溶液とか溶質とか、言葉が…」

「難しく考えるから、分からなくなるのよ。」

「溶液は、お湯。」

「そこに溶質である紅茶葉を入れたら、何パーセントの紅茶が出来るのか、ってだけ。」

「ってことは…?」

「だから、分母は出来上がった紅茶の量。」

「分子は、入れた紅茶葉の量。」

「それに100をかけるだけよ。」


おお、わかりやすい…!

「じゃ、じゃあ、これは!?」

にこっちが、横から割り込んでくる


『40%の食塩水200gに300gの水を入れると何%の食塩水ができるか』


「…自分で考えなさい。」

えりち、まだ許してないみたい…
365: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:09:42.90 ID:arhhvZHq.net
「う、ウチも知りたいかなーって。」

実際、ウチもわからんし

「…これも、さっきの応用よ。」

「今、濃度は分かってるのよね?」

「40%…」

「そう。って事は、まずは最初の食塩水に入れた溶質の質量を求めるの。」

「じゃあ、分母は200?」

「そうよ。で、分子が分からないから、xと置く。」

「それで、xについて解けばいいのよ。」

「えーっと、x/200、かける100=40%やから…」

紙に書いて、計算してみる

「そうか、x=80や。」

「…正解。」

「それじゃ、次も求められるでしょ?にこ。」


「え!?ええっと…」
366: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:28:13.03 ID:arhhvZHq.net
にこっちが、うんうん唸りながら悩む

「…これが解けたら、許してあげる。」

「え!?えっと…じゃあ…」


「さっきの食塩水に、水を300g混ぜるから…分母は500。」

「それに、溶質の質量が…80g?」

「そう。」

「えっと、分子に80を置いて、100をかける…」


カリカリ…と動いた、にこっちの手が止まる


「分かった!16パーセント!!」

にこっちが立ち上がる

「…」

「…あれ?」




「くすっ。正解。」
367: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:28:45.79 ID:arhhvZHq.net
「よ、よかったぁ~…」

ドサッと、にこっちが椅子に座る

「これで、もう覚えたでしょ?」

「た、多分…」


「…ちゃんとやれば、出来るんだから。」

「最初から、ちゃんとやる事。」

「…はい。」


えりち、にこっちのお姉さんみたい


くすくすと笑ってると、えりちが口を開く


「…で、希。」

「手が止まってるようだけど?」

「や、やります!!」




…やっぱり、鬼教官や
368: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:36:20.95 ID:arhhvZHq.net
-----


「…それじゃ、今日はここまでにしましょうか。」

「お、終わった…」

「疲れたにこぉ…」

「ふふっ。二人とも、お疲れさま。」

「やれば出来るじゃない。」


も、もうこりごりや…


「…えりち、ありがとな?」

「うん…これだけ勉強したら、テストだって…」


「何言ってるの?」

「これからテストまで、毎日続けるわよ?」

「そ、そんな…」

「当たり前じゃない。」



学生って…大変なんやね
369: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:42:59.22 ID:arhhvZHq.net
-----

そして、定期考査も終わって、テストも帰って来た

ウチは、えりちのお陰で

自己最高点を10点も超える事ができた

「頑張ったじゃない、希。」

「うん、ありがとな。」

「でも…当分、勉強はいいかな…?」

「へえ…?」

「う、うそうそ!ちゃんとやるよ!!」


「…にこは、どうだったかしら?」

「赤点は、無いと思うけど…」


「とりあえず、屋上で待ってよっか。」
370: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:43:35.54 ID:arhhvZHq.net
屋上で、えりちとにこっちを待ってる

「…にこっち、遅いなあ。」

「先に、お昼食べてた方がいいかしら?」

「うーん、もうちょっと待ってみよか…」


そんな話をしていると、屋上の扉が開いた

にこっちが、とぼとぼ歩いてくる


「に、にこっち…?」

にこっちの目は、遠くを見てる


「にこ、もしかして…」

まさか、にこっち…




「…てた。」


「え?」



「全部…平均点、超えてた。」
372: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:13:28.45 ID:arhhvZHq.net
「や…」

「やったやん、にこっち!」

「希…」


「お疲れさま、にこ。」

「絵里。」

「良かったわね。」


「あ、ありがと…」

「アンタのお陰よ。」


「ふふっ。」

えりちは笑って、にこっちの頭を撫でた

「なっ…!?」

「よく…がんばったわね。」

「…///」


えりちって、飴と鞭の使い方が上手いよな…
373: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:14:44.13 ID:arhhvZHq.net
「さて、無事にこっちも赤点免れたことやし。」

「お昼食べよっか。」

「そうね♪」


こうして、三人でお昼を食べた

いつか一人でいたこの屋上が

二人になって、三人になって


こうして日なたに座る事も、普通になった



「にこっち、これも~らいっ!」

「ちょっと!」

「じゃあ、私はこれを…」

「せ、せめてにこにも何かちょうだいよ!」


毎日毎日がたのしくて

まるで、これから来る梅雨のじめっぽさも

吹き飛ばしてくれるように
374: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:24:03.29 ID:arhhvZHq.net
-----

…とは、言ったものの


「やっぱり、梅雨は好きじゃないなあ…」


無駄に長い髪の毛が爆発するし

お手入れだって大変やし…

なにより、毎日暗いと気が滅入りそう


にこっちも、外で練習できないって文句言ってる

「ああ、今すぐ晴れんかなあ…」


「…どうしたの、ぼーっとして。」

「…えりちの髪、綺麗やね。」

「いきなり何?」

「いやあ…ウチの髪、湿気でぼさぼさやから。」

「ちゃんとトリートメントはしてるの?」

「うん、してるけど…」
376: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:33:03.84 ID:arhhvZHq.net
「希の場合、お風呂上がりに髪の毛を乾かしてないとか…」

「まあ、流石にそれはないわね。」


「え、なんで分かったん?」

「…もう少し、女子だって自覚してみたら?」


…だって、めんどくさいし


「えりち、乾かしに来て?」

「貴女が堕落の一途をたどるから、だめね。」

「えりちのいけず~。」


6月になって、気分は下がる一方で

なにか、楽しいことでも起こらんやろか…
377: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:33:42.05 ID:arhhvZHq.net
そんな期待は、降り続く雨にかき消される


雨、雨、雨


ずっと、雨が続く


「今日も雨、かあ…」

呟くと、机に突っ伏した


何か…眠気が…

自習なのも手伝ってか、まぶたが重くなる

起きてないと、えりちに怒られるのに…


そうは思っても、眠気に誘われるウチ


そっと、目を閉じた----
379: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:42:43.37 ID:arhhvZHq.net
「…ちゃん。」

「…ぞみちゃん!」


声につられて、がばっと飛び起きる

「…あれ?」

教室の時計は、お昼の時間を指していた


「ぐっすりだったね♪」

「…そうね。」

「涎の後がつくぐらい…ね。」


「え、えりち…」

やってもうた…って顔のウチと

にこやかな顔のえりち


「…そんなに余裕なら、次の試験は一人で大丈夫そうね♪」

「そっ…!」
380: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:43:16.24 ID:arhhvZHq.net
そんなあ…と、言いかけて

ふと窓の外を見た


「…にこっち?」

渡り廊下に、にこっちの姿


「希、聞いてるの?」

「え!?えっと…」


チラッと目を戻すと、にこっちはいなくなってた

「…まだ、寝ぼけてるの?」

「むぐっ!?」

えりちに、鼻をつままれた

「…さ、ご飯にしましょう?」

「ふぁーい…」
381: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:46:47.96 ID:arhhvZHq.net
「…ごちそうさまでした。」

手を合わせた後、お弁当をしまう

いつもなら、ここで一眠り…やけど

授業中寝たせいか、あんまり眠くない

「それじゃ、私は職員室に行って来るわね。」

「いってらっしゃい、えりち。」

うーん、えりちもいないとなると…



ガラララッ

「ごめーん、にこっちいるー?」

隣のクラスに顔を出してみた

「あ、希ちゃん…」

「お、久しぶり!にこっち、どこ行ったか知ってる?」

「え?えと…あの…」


「…にこちゃんなら、知らないよ。」

「おお、二人ともいたん?」

「でもそっか、知らなかったら仕方ないか…」
383: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:52:36.87 ID:arhhvZHq.net
「あの、希ちゃん…?」

「ん?どしたん?」

「あの、えっと…」

「?」


「う、ううん!何でも無い!」

「それじゃあね!」


そう言って、急ぎ足で教室を出て行った

「…?」


どうしたんやろ?


とりあえず、ウチも教室を出た
384: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 20:53:21.48 ID:arhhvZHq.net
「う~ん…」

えりちも、にこっちも捕まらんとなると…


考えながら歩いていると

屋上に続く階段についた


「…そういえば。」

「雨の日に屋上って、上がった事ないなあ…」

まあ、屋根が無いからそもそも出ても意味ないんやけどね


「あれ?でも…」


屋上の扉の前が、少し濡れてる

誰か、外にでたんかな…?

「いやいや、今日は土砂降りやし…」


ガチャッと、ノブを回してみる

冷たい扉が、開いた
385: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:02:46.20 ID:arhhvZHq.net
「うわ…やっぱり、すごい雨。」

風に吹かれて、雫がウチの顔にも当たる

「やっぱり、こんな時に外に出る子はいないよな。」


振り返ろうとした時

目の端に桃色の何かが映った


「…にこっち?」


次の瞬間、駆け出した


「にこっち!!何してるん!?」

「にこっち!!」


揺すぶっても、反応がない

ずっと、虚空を見つめてる


「と、とりあえず中に…!」
386: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:03:21.75 ID:arhhvZHq.net
ぐいっと、引っ張ろうとした手が止まる

…にこっちは、動かない


「にこっち…」

「…ほっといて。」

「出来ると思う?」

「いいから。」

「こんなとこいたら、風邪ひくやん。」

「とりあえず中入ろう?な?」

手を引っ張ろうとした…けど

はらわれた


「いいから、ほっといて。」

「もう…いいの。」


「一体、何があったんよ…?」
387: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:04:04.31 ID:arhhvZHq.net
雨の中動かないにこっち

足下に目をやると

雨でぐしゃぐしゃになった紙があった

「これ…」

拾い上げて、開いてみる

所々、読めなくなってる…けど


「……届?」

なんやろ…

入部届け?

え、でも、入部届けに『しんにょう』ってあったっけ?



え?しんにょうって…


「にこっち!!これ!!」



にこっちの目は、遠くを見ていた
390: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:39:31.68 ID:arhhvZHq.net
「一体、何があったんよ…」

にこっちはまだ、目を合わさない


「…な、にこっち。」

「とにかく、中入ろ?」

「…いいから。」

「良くないって!風邪引くやん!!」


「良いって言ってんでしょ!?」


急な大声に、ドキッとする


「もう…ほっといて。」

そう言ってまた、宙を見つめる


雨が、顔にかかる


…泣いてるん?にこっち
391: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:40:06.01 ID:arhhvZHq.net
「…早く、帰りなさいよ。」

にこっちが、口を開いた

「だから、にこっちも…」

「私は、いいから。」


「…服、びしょびしょやん。」

「早く、着替えよ?」


「…別に。」


キーン…コーン…


「…ほら、授業始まるで?」

「いいから、ほっといてって。」


「嫌や!!」


「…」


「…にこっちが入るまで、ウチもここにいる。」
392: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:41:15.49 ID:arhhvZHq.net
どれくらい、時間が経ったんやろ

お互い、黙りっぱなしで


雨に濡れて、びしょびしょになっても

そんなの…気にしてられんかった


「私は…」

にこっちが、告げる

「…」

「アンタには、関係な…」

「…?」


どさっ…




「にこっち!!!」


ウチには、全てがスローに見えた---
393: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:45:49.12 ID:arhhvZHq.net
「希!!」

勢い良く保健室の扉を開けて、えりちが飛び込んでくる

「えりち…」

ウチは、口に指を当てる

「あ…にこ…」

にこっちは、まだ目を覚ましてない

「ごめんな?授業勝手に休んで…」

「そうじゃなくて!」

「教室にいたら、クラスの子が飛び込んで来て!」

「二人とも、びしょ濡れで保健室に、って…」


「一体、何があったのよ…!」


「…ウチも、詳しくは分からん。」

「でも…」

ウチは、あの紙をえりちに差し出す





「これって…!!」
394: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:46:33.01 ID:arhhvZHq.net
「退部…届…」

「やっぱり、そうやんなあ…?」

「…にこは、何て?」

「…なにも。」



「なにも…言ってくれんかった。」


「…そう。」


無言の時間が、続く


「…あのとき。」

「?」

「屋上に行く前、あの子達に会ったんよ。」

「あのとき、少し様子がおかしかった。」

「もっと早く気付いて、聞いてれば…」
395: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 21:47:45.43 ID:arhhvZHq.net
「そしたら…」

「そしたら、こんな事には…!」


ぎゅっ


「…まずは、泣き止みなさい。」

「それと…希のせいなんかじゃないわ。」

「にこが、自分でしたことよ。」


「でも…でも!」


「貴女には、まだ出来る事があるでしょう?」


「…」


「今は…私がいるから。ね?」


「えりち…ッ!!」



言葉にならなかった

ただただ、枯れるまで---泣いた
400: 時間があるので少しだけ(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:46:34.52 ID:C/MpjZGx.net
「…落ち着いた?」

「…」

ウチは、こくりと頷く

「…にこ、まだ目を覚まさないわね。」

「…うん。」


コンコン…

誰かが、ドアをノックした


「はい。」

えりちが答える


「…すみません。」

「貴女達は…!」


「にこちゃん…希ちゃん…」





「「ごめんなさい!!」」
401: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:47:34.72 ID:C/MpjZGx.net
「…ちょっと、説明してもらえるかしら。」

えりち…怒ってる



「貴女達の事は、希から聞いた。」

「一度、諦めようとした事も。」

「続けようって、決めた事も。」

「…だからこそ、分からない。」


「どうして今、またこうなってるのか。」

「どうして今、にこが倒れているのか。」

「私は直接貴女達と関わった事は無い。」

「でも…教えてくれないかしら?」



「中途半端な気持ちなら。」

「…私は、貴女達を許せない。」
402: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:53:10.85 ID:C/MpjZGx.net
「えりち、さすがに…」

「いいんです。」

「本当の、事ですから…」


「…希ちゃん。」

「あの時、言った事覚えてる?」

「…うん。」


「私たち、変わりたいって、思ってた。」

「にこちゃんみたいに、可愛くなって。」

「歌ったり、踊ったり…それが、大好きだった。」

「…でも。」



「…」




「…限界は、あるんだよ。」
403: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:53:43.34 ID:C/MpjZGx.net
「え…?」


「いくら頑張っても。」

「どれだけ練習しても。」

「私たちじゃ、無理だった。」

「にこちゃんに追いつけなくて。」


「…前に、意識の問題だ、って言ってもらったけど。」

「私からすれば、その意識だって才能だよ。」


「絢瀬さんの事も、クラスの子達から聞きました。」

「今までのイメージより、もっと丸くなったって。」

「親しみやすくなった、って。」



「…」



「…結局、全ては才能なんだよ。」
404: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:54:40.89 ID:C/MpjZGx.net
「頑張れば報われる、なんて言うけど。」

「それは、その人の才能が開花しただけ。」

「希ちゃんや、絢瀬さんみたいに。」

「…ましてや、もともとその才能があったにこちゃんに。」

「私たちが、並べる訳無かったんだよ…」


「そ、そんなん、頑張ってみんと…!」


「にこちゃんにも、言われたよ。」

「頑張っていれば、いつか芽を出す、って。」

「だったら…!」

だったら、もう少し頑張ってみたら…




「いつかっていつ?」

「後、一年とちょっとしか無くて。」

「それでも耐えていれば、本当に?」
405: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:55:32.96 ID:C/MpjZGx.net
「…!」


「ここにいても、私たちは変われなかった。」

「変わりたかったけど、無理だった。」


「…そんな才能、持ってないんだもの。」


「そんなの…」


「…変わろうと思えば、変われる。」

「にこちゃんが、言ってました。」


「…けど結果は、同じ。」

「意識の差が埋められる訳でもなく。」

「努力が、実る訳でもなく。」



「ただ…ただ、どんどん差が開いて行くだけだった。」






「…もう、疲れたよ。」
406: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:57:01.40 ID:C/MpjZGx.net
「…」

「…」

ウチもえりちも、何も言えんかった

この子達が、頑張ってたこと、知ってるから



「…それじゃ、これで失礼します。」

「あっ…!」


「…ごめんね、希ちゃん。」

「ばいばい。」

無機質な扉の音を聞いて

ウチは、口を開いた


「…ウチのした事は、間違ってたんかな。」

あの時、ウチが楽屋に飛び込んでなければ

にこっちに、同意していれば

あの子達を、元気づけていなければ…




ここまで辛くはならなかったんかな…
407: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:57:54.30 ID:C/MpjZGx.net
「希…」


「ごめん、えりち。」

「ちょっと…にこっちと、二人にしてくれん?」


「…分かった。」

「放課後、迎えに来るわ。」


そう言って、えりちも出て行く


「にこっち…」


「にこっちは今、悲しいん?」

「…それとも、怒ってる?」


「ウチの、せいなんかな?」


「ウチが…ウチが、余計な事したから…」



にこっちの手に、雫が落ちる

この小さな手で

一体、どれほどの物を抱えて来たんやろ
408: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/04(水) 09:58:30.54 ID:C/MpjZGx.net
「ん…」


「!…にこっち!?」

「あれ?屋上にいたんじゃ…」


ぎゅっ


「…希?」

「にこっちのあほ…」


「…なんで、泣いてるのよ。」

「にこっち、倒れたんよ?」


「…ああ。」

「馬鹿ね…自業自得なのに。」


「にこっちの、あほ…」


それ以外、言えなかった

抱きしめる以外、何もできんかった
411: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:21:38.47 ID:WSpOzB9d.net
「…もう、大丈夫だから。」

「…なにがよ。」

「いいから、離して。」


そっと、にこっちから離れる


「…」

「…もう、私の事は放っておいて。」

「…なんで?」

「なんでそんなこと言うん?」


「…」

「ウチじゃ、にこっちの力にはなれんの?」

「にこっちが、ウチを変えてくれたやん。」

「だから、今度はウチが…」




「もういいって言ってんでしょ!?」
412: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:22:19.89 ID:WSpOzB9d.net
「え…?」


「もう、ほっといてよ!!」

「確かに、希は変わった!」

「私がしたことかもしれない!!」

「でも!」

「それじゃあ、希は何が出来るって言うのよ!!」


「それは…」


「希がいたら、あの子達が帰ってくるの!?」

「また、部員が増えるの!?」


「また…!」

「また、笑えるようになるの…?」




泣き叫ぶにこっちが

ウチには、とても小さく見えた
413: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:32:01.64 ID:WSpOzB9d.net
「なにか…なにかできるかも…」

「なんにも出来ないわよ!!」

「私がアンタを変えたように!」

「アンタは私を変えてくれるの!?」

「私は…!」

「私は、何一つ変われなかった!!」

「ずっと一人だった!!」



「そして…また、一人になるのよ。」

「…」


「こんな夢、叶うわけないじゃない…」


「で、でも!!」

これからもきっと頑張れば…!




「アンタの占いみたいには、なれないのよ…」
414: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:32:51.97 ID:WSpOzB9d.net
「…ッ。」

「アンタ言ったわよね。」

「変化があるって。」

「きっと上手く行く、って。」


「…何一つ、上手くなんていって無いじゃない。」

「所詮、占いなのよ。」


「結果、変われなかったんだから!!!」


「…」

「…」


「…出てって。」

「でも…」


「出てってってば!」
415: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:44:09.71 ID:WSpOzB9d.net
「こんな事言うの、間違ってるって分かってる。」

「アンタの気持ち、踏みにじってるのも分かってる。」


「…でも。」

「結果上手く言ったアンタの顔を、今は見たくない。」


「…」


「私の事、許さなくて良い。」

「でも、お願い。」


「…一人にして。」



「…分かった。」

「ごめんな、にこっち。」


「…ばいばい。」



不思議と、この時涙は出んかった

ただただ、悔しかった



そして、もう会えないかのように

静かに、扉を閉めた---
416: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:45:33.74 ID:WSpOzB9d.net
「…希。」

保健室を出たら、えりちがいた


「…ごめんなさい。」

「…」

「聞くつもりは無かったのだけれど…」

「…」


何も言わず、首を振る


「…とりあえず、帰りましょう?」

「…」

「希…!」

「…」


ぐいっと、腕を引っ張られる



…ごめん、えりち


今は…何もしたくないんよ
417: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:53:21.74 ID:WSpOzB9d.net
気付いたら、家の前まで来てた

どうやって帰って来たかも、覚えてない


でも、えりちがずっと繋いでくれてる

左手の暖かさは、覚えてる


「…希。」

「…」

「家、着いたわよ。」

「…ひとりで、大丈夫?」

「…」



何も、考えられん

えりちが、何て言ってるのかもわからない


ただ、にこっちの言葉が頭を埋める
418: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 00:53:57.58 ID:WSpOzB9d.net
「ねえ、希!」


ごめんなあ…えりち

そんな顔、せんといてよ



えりちは、笑ってる顔が…

一番、綺麗なんやから…



…あれ?


えりち…どこ行ったん?

何も、見えない



「…希っ!!」


ウチの記憶は、そこで途切れた---
419: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:00:21.73 ID:WSpOzB9d.net
---ふと、目が覚めた

ここは…?


ウチの、家のベッド?

あれ?

いつの間に家に入ったっけ…?


当たりを見渡す

ベッドのそばに、えりちがもたれて寝てた


「えりち…」


だんだん、思い出す


…そっか、家まで来て、倒れたんや


運んでくれたんやね、ありがとう


そっと、えりちの頭を撫でる


「んん…」

「えりち、ごめんな?」
420: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:01:02.23 ID:WSpOzB9d.net
「…ん。」

「希…?」

「おはよう、えりち。」

えりちが、ガバッと飛び起きる

「嘘!?寝てた!?」

「…みたいやね。」

「それより、大丈夫なの!?」


「…うん、ありがと。」

「はあ…ビックリさせないでよ…」


そう言って、えりちは大きなため息をつく


ウチ、心配かけさせてばかりやな…



「…きっと、疲れてたのよ。」

「そう…なんかな。」


「色々…あったから。」

「…うん。」
421: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:01:33.68 ID:WSpOzB9d.net
「それより、お腹空いてない?」

「おかゆ、作っておいたんだけど…」


「何から何まで、ごめんなあ…」

「いいのよ。」

「そのかわり、早く元気になりなさい。」


「…うん。」


「とりあえず、温めて持ってくるから。」

「もう少し、横になってて?」


「…うん。ありがとう。」



時計を見たら

もう夜の10時過ぎ


えりち、ずっと看病してくれてたんやね

ウチなんかのために
422: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:02:04.84 ID:WSpOzB9d.net
「…ごめん。」

ぽつりと、呟く

誰に対してなのかは、自分でも分からなかった


-----

「…ごちそうさま、えりち。」

「もう、いいの?」

「…うん。」

「残しちゃって、ごめんな?」

「いいのよ。」

「無理して、食べる必要ないわ。」

「…うん。」


「それじゃ、そろそろ私は帰るから。」

「…」

「…希?」



きゅっと、えりちの裾を掴む
423: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:02:35.97 ID:WSpOzB9d.net
「…」

「…」

「…しょうがないわね。」

えりちは、電話をかけ始めた


「もしもし?亜里沙?」

「今日、友達の家に泊まるから。」

「…うん、そう。」

「戸締まりしっかりして…うん。」

「それじゃ、朝に帰るから。」



「えりち…」


「ほら、そんな泣きそうな顔しないの。」

「でも…」

「いいから。」

「今日は一日、そばにいるから。」


「…うん。」
424: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:03:11.04 ID:WSpOzB9d.net
---


えりちとベッドで肩を並べる

シングルは、二人には少し狭いけど…


「ねえ、希。」

「やっぱり、私ソファで寝るわよ?」

「…」

えりちの腕にしがみつく

「もう…」

そう言いながらも、えりちは頭を撫でてくれた


「…ほら、もう寝ましょう?」

「…うん。」


「おやすみなさい、希。」

「おやすみ、えりち。」
425: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 01:03:43.73 ID:WSpOzB9d.net
---


えりちの寝息が聞こえ始めた頃

すうっと、目を開ける


「…」

目に入るのは、天井

浮かぶのは、にこっちの顔


「…ッ。」


声を押し殺して、泣いた

隣にいるえりちに、感づかれないように


この手の温かさを、消してしまわないように


枕に顔を埋めて、泣いた



どうか、気付かれませんように---
433: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 00:50:51.75 ID:Rn09ipq/.net
---

「38度2分、かあ…」

あの日から高熱が出て

ウチは家でごろごろしてる

そりゃ、あれだけ雨に打たれたらな…


「…これも、自業自得、か。」


自虐的に呟いても、誰も返してはくれない


「えりちに笑われそう。」

…あかん、あかん

一人でいると、独り言が増えるってホントなんやね


ウチの意思とは裏腹に、体は言う事を聞いてくれない

起き上がるのもしんどくて

ずっとベッドに横たわってる
434: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 00:52:15.29 ID:Rn09ipq/.net
pipi…


「…返事も無いなあ。」


ウチが熱を出した日から

にこっちも、学校を休んでるみたい

大丈夫?ってメールにも、返信は無い


「…もう、これで終わりなんかな。」


浮かぶ涙を必死にこらえる

「…ううん。」

「きっと、またあの頃みたいに戻れる。」


三人で、笑い合ったあの時みたいに


ごろん、と寝返りをうって

えりちが買って来てくれた水に手を伸ばす
435: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 00:53:11.47 ID:Rn09ipq/.net
「…ん。」

美味しい


熱を出したからなのか

それとも、気持ちが沈んでるからなのか

…お腹が全然減らない


「喉は乾くのになあ…」


えりちが色々買って来てくれたけど

どれも、食べれんかった


「えりちにも、いっぱい迷惑かけてるなあ…」


何かしてあげたいとこやけど

体が動かないからどうしようもない



「…寂しい。」
436: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 00:54:00.68 ID:Rn09ipq/.net
prrrr


「…電話?」

「もしかして…!」

pi


『希?起きてた?』

「あ、うん…」

『何か、買って来てほしいものある?』

「ううん、大丈夫。」

『…何か食べた?』

「えっと…」

『…流石に何日も食べないと治らないわよ?』

「…うん、分かってる。」

『じゃ、もう少ししたらそっちに行くから。』

「うん。ありがと、えりち。」


pi


「…そんな訳、無いやんな。」
437: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:01:36.45 ID:Rn09ipq/.net
コンコン

「…希、起きてる?」

「あ、えりち。いらっしゃい。」


「一応、ゼリーとか買って来たけど…」

「…今は良いかな。」

「冷蔵庫、入れといて?」


「…寝込んでから、ずっとそれじゃない。」

「あはは…ごめん。」


「…」

「…」


「…ねえ。」

「お願いだから、何か食べて?」


「…」


「ごめん、えりち。」
438: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:02:42.72 ID:Rn09ipq/.net
「…いいのよ。」

「それじゃ、また明日来るから。」


「別に、いいのに。」

「元気なったら、ちゃんと学校行くから。」

「だから、無理して来なくても…」


「無理してるのは希じゃない!!」

「たった数日でこんなに痩せて!!」

「辛いのは分かる!」

「けど、こんな希を見たくなんかない!!」


…えりちの泣くとこ、初めて見た


「お願いだから…」

「お願いだから、早く元の希に戻ってよ…」


「ごめんなあ、えりち。」

「自分でも、分かってはいるんやけど…」
439: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:04:24.68 ID:Rn09ipq/.net
「希…」

「多分、もう少し。」

「時間が、欲しいんやと思う。」


「でも、希の体が…!」


「心配してくれて、ありがと。」

「でも…もう、ウチの事は気にしなくてええよ。」


「えりちまで、辛い思いする必要は無いから。」


ウチが、してしまったことやし


「…」

「…」

「大丈夫、だから。」

「心配、せんといて。な?」


えりちの手を、握る
440: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:05:10.88 ID:Rn09ipq/.net
「えりちには、迷惑かけてばっかりでごめん。」

「いつか、ちゃんと何かで返すから。」


「そんな事いいから。」

「早く、元気になって…」


「うん。」

「だから、また学校で会お?」

「このままやと、えりちに甘えてしまうだけやもん。」


「でも…!」


「…大丈夫。」

「ウチは、大丈夫だから。」


「希…」


「な?えりち。」


頑張って、笑顔を作る

ちゃんと、笑えてるかな?


---だから、えりちも笑って?
441: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:29:57.18 ID:Rn09ipq/.net
「…ふう。」

えりちが帰って、また一人になる


「…ほんとは、辛いよ。」

ひとりは、寂しい


ひとりが嫌やから、変わったのに

結局また、ひとり


「…にこっち、どうしてるんやろう。」


ウチより長い間雨に打たれて

その後、あんなに無茶したんやもん


「…心配なんよ、にこっち。」


えりちもウチを見て、同じように思ってるんかな?


水を取ろうとして目に入る

やせ細った右手


…今、にこっちよりも軽いんちゃうかな?
442: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:39:06.11 ID:Rn09ipq/.net
---

「ん…」

いつの間にか、寝てたみたい


悪夢でも見たんじゃないか、ってくらい

汗びっしょりになってる


「ああ、気持ち悪い…」


でも、一人で動く元気も無い


時計を見ると、夜の8時過ぎ

えりちが帰って、3時間くらいか…



「んん…べとべとする。」

重たい体を起こして、洗面所に向かう


「ああ…あかん。」

言うのが早いか遅いか

廊下に倒れ込む


床、ひんやりして気持ちいい…
443: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:39:53.13 ID:Rn09ipq/.net
-----


「んん…」

不意に、目が覚める

「…あれ?」

いつのまにか、ベッドに戻ってる

服も、着替えてるし…


「それに、なんかいいにおい…」


ガチャッ


「…目が覚めた?」


「うそ…」


だって、そんな…

きっと、夢やんな?

だって…



「何よ?」


「にこっち…」
446: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:51:25.44 ID:Rn09ipq/.net
「…ほんとに、にこっちなん?」

「はぁ?」

「にこじゃなかったら、誰なのよ。」


…間違いない

やっぱり、にこっちや


「にこっち…!」

思わず、飛びつく


「ちょっ!?」

「にこっち…」


ぎゅっと、力いっぱい抱きしめる


「…アンタ、痩せ過ぎ。」

「にこがお姫様だっこ出来るって、相当よ?」


「だって…だって…」

「はいはい。」

「まずは、ちゃんとベッドに座りなさい。」
447: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:52:01.74 ID:Rn09ipq/.net
にこっちに、ベッドに戻される


「ちょっと待ってなさい。」

そう言うとにこっちは、キッチンの方に向かった


---

「…はい。」

「おかゆ作ったんだけど…食べれる?」


「…多分。」

「あれから、何も食べてないんだって?」

「そりゃあ、こんなに痩せる訳よ。」

「何日経ったと思ってんの?」


「うん…」


「ほら、冷めないうちに食べて。」

「…残したら、許さないから。」
448: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:52:40.45 ID:Rn09ipq/.net
スプーンに、少しだけ掬ってみる

「ふーっ…ふーっ…」

おそるおそる、口にいれる


「…あつっ!」


「…はあ。」

「貸しなさい。」

「え…?」


「ふーっ…ふーっ…」

「…はい。」


「に、にこっち…!?」

「いいから、口開けなさいよ。」


「え、えっと…」

「ほら、早く!」


「う、うん…///」
449: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 01:59:32.00 ID:Rn09ipq/.net
「…美味しい?」

「…うん。」


「ま、このにこにーが作ったんだから、トーゼンだけど!」

「…」

「な、何か言いなさいよ…///」


「…にこっち、なんで来たん?」

「…」

にこっちは、答えない


「…ごめん、変な事聞いて。」

「でも…」


「…絵里が、ウチに来たのよ。」


「…えりちが?」


「…」
450: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:00:14.34 ID:Rn09ipq/.net
-----


「…何しにきたのよ。」


「…正直。」

「にこのした事、私は許せない。」

「希が、どんな気持ちでにこの事を見て来たか。」

「どんなに、にこに感謝しているか。」

「知らない訳じゃないでしょう?」


「…そんなことを言いに、家まで来たの?」


「…」

「…それでも、希にはにこが必要なのよ。」


「…はあ?」

「もう、終わった事じゃない。」



「…にこ、お願い。」

「希を…助けてあげて。」
451: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:00:57.15 ID:Rn09ipq/.net
「ちょ、ちょっと!!」

「何でアンタが頭下げるのよ!?」


「今!!」

「…今、希を助けてあげられるのは、にこだけなのよ…」

「あの日から高熱が出てる。」

「なのに、何も口にしてくれない。」

「日に日に痩せて行く希を、もう見たくないの!!」

「あんなにやせ細って…」

「なのに、にこの心配ばかりしてる!!」


「…正直、悔しいわよ。」

「あんなに酷い事言われて、それでもにこの事しか考えてないんだもの。」



「希が…?」
452: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:02:55.38 ID:Rn09ipq/.net
「…でも。」

「だからこそ…」

「希が元気になってくれるなら。」

「また笑ってくれるなら!」

「…私は、いくらでも頭を下げるわ。」


「希が変われたきっかけが、にこであるように。」

「私にとってはそれが希なの。」

「感謝しても、しきれない。」


「そんな希が、これ以上苦しんでるのを見るのは嫌なの!」

「だから…!!」



「だからお願い、にこ。」

「希を…助けてあげて。」


「お願い…」



-----
454: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:12:25.79 ID:Rn09ipq/.net
「にこっち?」


「…何でも無いわ。」


「…ありがとな、にこっち。」

「…別に。」


「…」

「…」


「…また、一緒に笑える?」

「にこっちと、えりちと三人で…」


「色んなとこ遊びに行ったり、勉強したり。」

「また、買い食いしたりとか…」


「元気なったら、いっぱい二人としたいんよ。」

「だから…」


「だから、また…!」


前が、見えないや…
455: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:18:40.51 ID:Rn09ipq/.net
ぎゅっ


「…!にこっち…」


「…あの時は、ごめんなさい。」

「希が悪いんじゃない。」

「こうなってしまったのは、にこのせい。」


「にこっち…」


「初めてのステージの時。」

「あの時に、もう結果は出てたのよ。」

「だから、今回みたいな事があっても、仕方なかったの。」


「…所詮、高校の部活なんだから。」



「あの子達に言われて、思ったの。」

「…にこの意識は、才能だって。」

「でもそれは、にこの中でだけなの。」
456: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 02:20:39.20 ID:Rn09ipq/.net
「だから…」

「にこも、変わらなくちゃいけない。」

「変われなかったんじゃ、ない。」

「変わろうと、してなかったの。」

「希と知り合って。」

「一人でいる事が少なくなって。」

「…それに、甘えてた所もあると思う。」

「でも…」

「でも、希がいてくれたから…」

「毎日が、楽しかった。」

「笑える日が、増えた。」

「幸せって、こういう事なのかな、って。」


「じゃあ…!」



「…だから。」








「これで…お別れよ。」
463: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:16:12.82 ID:Rn09ipq/.net
「え…?」

にこっち…今なんて?


「今日で、私たちはおしまい。」

「明日からは、それぞれの道を進むの。」


「なんで…」

「これからだって、一緒に…!」



「…それじゃ、だめなのよ。」


「え…」


「私は、私の目指す物のために。」

「一人で、やらなきゃいけないの。」


「アンタ達がいると、甘えちゃうから。」

「逃げ道を、作っちゃうから。」



「だから…終わりにしましょ?」
464: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:16:54.79 ID:Rn09ipq/.net
「いやや…」

「そんなん、嫌!」


「わがまま言わないの。」


そう言って、にこっちはウチから離れる


「にこっち…行かんとって…」

にこっちに、追いすがる


「…希。」

「…」


「私、言ったわよね。」

「希は変われた。」

「でも…」


「私がいなくちゃ元に戻るなら。」

「それは変われたとは言えないわ。」


「…」



「だからここで、終わりにするの。」
465: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:17:28.58 ID:Rn09ipq/.net
「お互い、頼らずに。」

「一人で、歩いて行くために。」


「でも…」


「希の気持ちは、正直嬉しい。」

「あんな酷い事言ったのに、受け入れてくれるんだもの。」


「…だから、終わりにするの。」


「そんな…」


「いつからか…」

「いつの間にか、共依存みたいになってたのよ。」

「私たちは。」



「だからこそ、ここで終わりにしなきゃいけないの。」

「私たち自身のために。」
466: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:33:13.20 ID:Rn09ipq/.net
「今すぐ理解してとは言わない。」

「…でも、分かって。」


「これから学校に行って、会ったとしても。」

「挨拶ぐらいはするわ。」

「それでも、一緒にはいない。」


「…それぞれが、自分の道を進むの。」



「そんなん…」



「生徒会、誘われてるんでしょ?」

「なんでそれ、知って…」


「前に、少し聞いちゃったのよ。」
467: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:33:55.35 ID:Rn09ipq/.net
「ここで離れても、嫌いになった訳じゃない。」

「…希の事を、嫌いになんてなれない。」


「でも、そういうのは今日で終わり。」


「だから…」



「…もういい。」

「希…?」


「もういい。」

「そこまで言うんやったらもう知らん。」


「にこっちの勝手にしたらいい。」


「…」


「そのかわり、ちゃんと叶えて。」

「したい事、にこっちの夢を。」


「…」
468: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:34:25.90 ID:Rn09ipq/.net
「…でも、ウチは信じてる。」

「いつかまた、三人で笑えるって。」


「…」

「…ありがとう、希。」


「アンタは…」

「私の一番の、親友だったわ。」


「…」


「それじゃあね。」

「ちゃんと、ご飯食べるのよ?」



「…またね。」



にこっちが出て行く


『またね』って言葉が

『さよなら』に聞こえた
469: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:44:18.41 ID:Rn09ipq/.net
-----


どれくらい、時間が経っただろう

ふいに、ドアをノックされた


「にこっち…?」


「ごめんなさい、私よ。」

「えりち…」



「にこが、来たみたいね。」

「えりちが、呼んでくれたんやね。」

「…たいしたことは、してないわ。」

「…」

「…」


「…なあ、えりち。」

「何?希。」


えりちは、なんで…


「何でえりちは、こんなにウチを気にしてくれるん?」
470: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:45:08.38 ID:Rn09ipq/.net
「…正直、えりちに嫌われても仕方ないと思ってる。」

「色々、してくれてるのに…」

「ウチは、にこっちの事しか考えれてないし。」

「なのに、なんで…」


ぎゅっ



「…希。覚えてる?」

「私を変えてくれたのが、希だって。」


「あれは、えりちが変わりたいって思ったから…」


「もしかしたら、そうなのかもしれない。」

「でも、そんな私に手を差し伸べてくれたのは、希なの。」


「私を、変えてくれた人。」

「私に…力をくれた人。」



「そんな人が辛い時は、助けてあげないと。」

「そう思うのは…私だけじゃないでしょう?」
471: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:45:57.92 ID:Rn09ipq/.net
「…!」


「…ごめん、えりち。」


えりちも、今のウチと同じ気持ちやったんやね


「ウチ、自分の事で精一杯で…」


例えれば、それは三角関係みたいに


「…いつもウチの事を見ててくれて、ありがとう。」


それぞれが違う人を見てた



「やっと、分かった。」

「ウチが、何をしないとあかんのか。」

「希…」


「えりち。」

「いつも支えてくれて、ありがとう。」


「…今度は、ウチが支えるから。」








「生徒会、手伝うよ。」
472: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 10:46:40.47 ID:Rn09ipq/.net
「希…!」


「…ほら、泣かんとって?」

「待たせて、ごめんな。」


えりちが、首を振る


「その言葉で、十分よ…」

「十分、私は救われた…」


ほんとに、何も見えてなかった

こんなに、大切に思ってくれる人がいることも


何を、すべきなのかも

…ありがとう、にこっち

ウチも、また歩き始めるよ




「…ありがとう、えりち。」


「…ただいま。」



「おかえり…希。」
476: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 01:54:04.39 ID:CxxXurtO.net
---

それからウチは、えりちと一緒に

生徒会に向けて、動き出した


この学校を、存続させたい

ウチらの気持ちは、その一つだけやった



ウチらが変われたこの場所を

きっかけをくれた場所を守るために


水面下での活動が始まった




「…けど、なかなか進まんなあ。」

「そんな簡単に事が進むなら、そもそも廃校にはならないでしょう?」

「それはそうやけど…」
477: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 01:54:33.84 ID:CxxXurtO.net
「とにかく。」

「この話はタブーなんだから、絶対に言っちゃ駄目よ?」

「それは分かってるよ。」

「でも、それが言えん事には…」


「まあ、いきなり皆に声をかけるのもおかしいし…」

「そもそも、ウチらまだ生徒会役員と違うから。」

「あんまり表立った行動もできんしね。」


「…とにかく、出来る事から始めましょう。」

「時間は、幾ばくもないわ。」


「…うん!」
478: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 01:55:17.99 ID:CxxXurtO.net
あの決別の日から、ひと月

季節は、夏に突入した


生徒会選挙は9月

そこから何かが出来たとして

ウチらの卒業まで一年とちょっとしかない


だからこそ、今から何かをしないといけないんやけど…



「やっぱり、無理があるよな…」

「泣き言言わないの。」

「…やるって、決めたんでしょう?」


「…うん。」
479: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 02:00:46.05 ID:CxxXurtO.net
にこっちとえりちが、示してくれた道

今のウチが、出来る事


にこっちが始めた活動を、終わらせないために

えりちの思いの詰まった場所を、消さないために


そして何より、ウチ自身のために


この学校は、続いてほしい


…ウチみたいな子は、きっといる

そんな子達に、この場所で

変わるきっかけが出来るように
480: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 02:01:17.25 ID:CxxXurtO.net
果てしない夢を語ってるだけなんかも

…でも、もしもそれが叶うなら


その可能性がゼロじゃないなら

ウチは、頑張ってみたいんよ


また、三人で笑える日がくるように


三人の思い出の詰まった、この場所で




「…ふう、こんなところかしら。」

「アンケート?」


「ええ。まあ、目安箱みたいな物だけど。」

「少しでも生徒から、こんなのがあれば、って話が出ればと思って…」
481: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 02:01:54.10 ID:CxxXurtO.net
「でも、これをどうするん?」

「理事長から生徒に向けて、配ってもらおうと思って。」

「ああ、あの綺麗な人やね。」

「廃校の話を出すのは無理だから…」

「せめて、学校をより良くするために、って名目で。」


「なるほど…」


「もうすぐ夏休みだし。」

「この機会を逃したら、二ヶ月ほど猶予が無くなっちゃうのよ。」


むむ…それは、由々しき事態やん?

こんなん、協力するしかないやんな♪
486: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 10:54:08.14 ID:CxxXurtO.net
---

えりちの目論みは、半分成功した

生徒のみんなも、いろいろ思う所があるらしく

アンケートは予想以上の結果が帰って来た


…ただ、実現できそうなのはほとんど無かったけど

それでも、生徒の気持ちがわかっただけでも、収穫やった


夏休みに入って、時間の出来たウチらは

それをまとめる作業に入った訳やけど…


まとめているうちに

やらなあかん事がいっぱいでてきて


ブルーな気持ちを一新すべく

今日はそれから少し離れてみることにした
487: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 10:54:49.53 ID:CxxXurtO.net
---


「…で、どうしてプールなの?」

「だって、夏なんよ?」

「照りつける日差し、熱い砂浜。」

「塩のにおいと、はしゃぐ女の子達。」


「これこそ夏の醍醐味やんか!!」


「…プールだけどね。」

「それはほら、お金の関係で…」



ちょびーっと生活費が苦しくて

学生に無料開放してる市民プールに来た


「…まあ、確かに夏らしい事はしてないからね。」

「そうそう!」

「ウチら、女子高生なんやから!」
488: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 10:55:44.94 ID:CxxXurtO.net
「とにかく、早く着替えて泳ぎましょう?」

「はーい♪」


そう言って、脱ぎ始めるえりち

うーん…やっぱり、スタイルいいな


つるっと、お腹を触ってみる

「ひゃあっ!?」


…うん、すべすべしてる


「ちょっと希!何やってるの!?」


えりちは脱いでる途中で、うちの事が見えてない


それにしても…


この目の前で揺れるものは、けしからんなあ…
489: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:02:21.57 ID:CxxXurtO.net
誰にも見せられないような顔をして

えりちの背後に回る


「うう、脱げない…」

「ちょっと希、手伝って?」

「…ちょっと待っててなー。」


えりちが、万歳した状態で止まってる

この機、逃す訳にはいかんやん?


それっ


「わしわし~♪」


「いやあぁぁぁ!?」
490: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:02:58.28 ID:CxxXurtO.net
「おお…!これは…!」

思わず、驚きの声を上げる

メリハリのついたスタイルなのに

ここはすごく柔らかくて…


「ウチ、もう死んでも良い…」



「…じゃあ、死になさい。」

いつの間にか、えりちは脱ぎ終わってた


「あ、あははー…」

「覚悟は、出来てるんでしょうね?」

「に…にっこにっこにー☆」


「…」


「す、すみませんでした…」
491: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:03:31.07 ID:CxxXurtO.net
「…」

えりちが、すごくニコニコしてる

これは…終わったな


「…さあ、希。」

「こういう事をするってことは。」

「される覚悟もあるんでしょう?」


「い、いや、ウチはそんなに柔らかくないし…?」


がしっと腕を掴まれて、壁際に追い込まれる

「今なら、まだ誰もいないし…」


えりちがそっと、お腹を撫でる

「ひゃっ…!?」



あかん、変なスイッチ押してしまったかも…
493: 名無しで叶える物語(たこやき【11:03 震度1】)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:19:30.94 ID:CxxXurtO.net
「さて、ちゃちゃっと終わらせちゃいましょうか♪」

えりちは、ウチのチャームポイントに手を伸ばす


「え、えりち。待っ…」

「すぐ、終わらせるわ♪」


「あッ…///」

「なによ、希もすごく柔らかいじゃない。」


片手でウチの腕を押さえつつ

もう片方がウチの体を這う


「やっ…ちょお…ッ///」

「…あら、案外かわいらしいのね。」

「えりち…待っ…ンッ///」

「どうしたの?希。」

ウチに構わず、えりちは手のひらを動かす
494: 名無しで叶える物語(たこやき【11:03 震度1】)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:20:08.10 ID:CxxXurtO.net
「…そろそろ、懲りたかしら?」

「ちがっ…えりち…」

「?」

「みんな…見てるんよ…///」

周りには、他の学生達

こんなん…ただの痴女やん…


「あっ…///」


えりちも、分かってなかったみたいで…


「「…」」


------


「希、悪かったわよ…」

「ウチ、もうお嫁に行かれへん…」


「も、元はと言えば、希が…!」
495: 名無しで叶える物語(たこやき【11:03 震度1】)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:20:48.05 ID:CxxXurtO.net
「「…はあ。」」


「来て早々、何してるんだろ…」

「えりちに辱めをうけるし…」

「の、希が始めたんでしょ!?」

「でも、あんな舐めるようには触ってないもん。」

「う…だ、だって、希色っぽいんだし…」


「初めてやったのに…」

「待って、その発言はどうかと思うわ。」


「…えりち、場合に寄っては責任とってな?」

「なっ…!?///」



ばしゃっと、えりちに水をかける

「ッ…!?」

「えりちのあほー!」


まだ少し冷たいプールに、飛び込んだ
496: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:33:01.71 ID:CxxXurtO.net
「…ふう。」

「いやー、結構遊んだなー。」

「そうね。そろそろ、お腹もすいて来たし…」

「一旦、お昼にしましょうか。」


「…あれ?希ちゃん?」

「え…?」

「あ、絵里ちゃんもだ!久しぶりー!」


「あ、クラスの…」


「なーんだ、来るなら言ってくれたらよかったのに!」

「なんや、皆もきてたんやね。」

「最近暑くなってきたからさ、たまにはね♪」


「よかったら、一緒にご飯行かない?」

「…えりち?」

「ええ、行きましょうか♪」
497: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:33:52.47 ID:CxxXurtO.net
---

更衣室に、財布を取りに来る

「いやー、まさか皆来てるなんてな。」

「まあ、この辺でプールはここしか無いし。」

「案外、これが普通なのかしら。」


「それにしても…」

「なんかこういう所のごはんって、美味しく感じん?」


「ああ…確かに。」

「プラスチックの、いかにもマズそうって感じの見た目なのにね。」


「ああ、なに食べよっかな~♪」


「食べるのは良いけど、お腹出してるのよ?」

「食べ過ぎたら…」


「うっ…」


冷たい、汗が流れた

えりち、よく見てるなあ…
498: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:41:04.72 ID:CxxXurtO.net
「…!」

「どうしたの?希。」


「ごめん、えりち。」

「先に行っといてくれん?」


「いいけど…どうしたの?」

「いやあ…お花を摘みに…」


「…はいはい。」

えりちが、苦笑する


「待ってるから、早く来なさい。」

「ありがと、えりち。」




えりちを送り出して、トイレに向かう


トイレを通り過ぎて、お子様プールの方へ
499: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:41:49.98 ID:CxxXurtO.net
「…やっぱり。」


「げっ…。」


「あ!希さん!お久しぶりです。」

「希おねーちゃん、久しぶりー♪」


子供用プールで、同じ顔が三人並んでた



-----


「まさか、アンタ達も来てるなんて…ね。」

「…さっき、クラスの子達にも会ったで?」

「うわ、まさか…」

「今日は、虎太郎くんは?」

「流石にまだ危ないし、今日はママと家にいるわ。」

「そっか…」


「「…」」


「…最近、どう?」

「漠然とした質問ね。」

「…ごめん。」


「そうね…」



「まだ、諦めてないわよ。」
500: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:42:23.83 ID:CxxXurtO.net
「…そっか。」

「何?アンタ、まさかにこが諦めると思ってたの?」

「ううん、違うよ!」

慌てて、手を横に振る


「…ただ。」

「寂しく、無いんかなあ…って。」

「…」


「…そうね。」

「心配しないで、とは…」

「とてもじゃないけど言えないわ。」

「でもね。」


「私は一人でも、絶対に諦めない。」

「アイドルになる、それが私の目標。」



「…うん。」

やっぱり、にこっちや

ぶれずに、しっかり前向いてる
501: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:42:48.40 ID:CxxXurtO.net
「ねーねー、希お姉ちゃん!」

「一緒に遊ぼー?」

ここあちゃんが、駆け寄って来た


「ごめんな?」

「人、待たせてるから…」

「また今度、一緒に遊ぼ?」


「えー。」

「…ほら、ここあ。迷惑かけないの。」

「はーい。」


「希さん。また、うちに来てくださいね♪」

「ありがと、こころちゃん。」


「…それじゃ、にこっち。」

「行くね?」


「ええ。またね。」

「うん。頑張ってな。」


「…ありがとう。」
502: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/07(土) 11:47:41.28 ID:CxxXurtO.net
「お待たせー!」

「希ちゃん、遅ーい!」

「ごめん、ごめん。」

「トイレ混んでてさあ…」


「…本当?」

「うっ…」

やっぱり、えりちは鋭いなあ…

「ま、とにかく。」

「お昼にしましょうか。」

「「はーい!!」」


こうして皆といる、日常も

話す事はめっきり減ったけど

にこっちとの、静かに過ごす時間


どっちもウチにとっては大切で

どっちも、無くしたくないもの


だからウチは

やれる事を、やる


改めて、心に誓った
507: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:11:10.82 ID:A9TWSb6M.net
9月---


夏休み開け

ウチらは教室で、ポスター作りに取りかかってた


「…よし、これで完成かしら。」

「いい感じやない?」

「それじゃ、先生の所まで持って行きましょうか。」


『絢瀬絵里に清き一票を』

…なんて、書く日が来るとは夢にも思わんかった♪


でも、初めて二人で作ったポスター

何となく、思い入れが強くなってしまう



えりちと廊下を歩いていると

理事長とばったり出くわした
508: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:11:56.74 ID:A9TWSb6M.net
「あら。絢瀬さんと…東條さんね?」

「え?ウチの名前、知ってたんですか?」


「もちろん♪」

「生徒の事は、ちゃんと頭に入ってるわ。」

「貴女の名前も、持つ雰囲気が変わった事も。」


「…!」


「まあ、生徒数が少ないから覚えられる、ってだけの話なんだけれど。」

くすくすと笑いながら、理事長は続けた



「…そういえば、今は何をしていたのかしら?」


「あ、生徒会選挙に使うポスターを…」
509: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:12:35.62 ID:A9TWSb6M.net
理事長の目が丸くなる

「…?」

えりちと二人で、顔を見合わせる

なんか、変な事言ったかな…?



「えっと…理事長?」

「ああ、ごめんなさい。」

「一応、見せてもらってもいいかしら。」

「これです。」

そう言って、丸めていたポスターを広げる


「あら、素敵じゃない!」


一瞬で明るくなったその顔は

まるでウチらと同じ学生のように見えた
511: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:24:26.36 ID:A9TWSb6M.net
「これを、今月の選挙で使いたいのですが…」

「そうねえ…」

理事長はまた、難しい顔をする


「あの、何か…?」

「その、頑張ってこんなに良い物を作ってくれて。」

「非常に申し訳無いんだけれど…」




「会長の立候補者は絢瀬さんだけだから。」

「選挙をせずに、就任なのよね…」




今度はウチらの目が丸くなる


…そんなこと、すっかり忘れてた
512: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:25:05.99 ID:A9TWSb6M.net
「でも、せっかく作ってくれたんだから…」

「思い切って、校内に張っちゃいましょうか♪」


「え、でも…」

「なにより、皆に知ってもらえるチャンスでしょ?」

「それは…」

確かに、そうやけど


二人で、目を合わせる


「「…ふふっ。」」


「いやあ、すっかり忘れてたなー。」

「本当ね。希に振り回されたわ。」

「ちょっと、えりち…?」
513: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:36:44.43 ID:A9TWSb6M.net
---


理事長にポスターの事を頼んで、学校を後にする


「…本当、なんで気付かなかったのよ?」

「完全に、選挙に向けて準備してたもんなあ…」


「全く…」

「選挙に勝つには、運気が必要だ、って誰かさんが言うから。」

「デザインまでこだわったのに。」


「おっと、乗ったえりちも同じやで?」

「背景の色とか、めっちゃこだわってたくせに…!」



「ふふっ。でも…いいじゃない。」

「これも、私たちの思い出でしょ?」


「…そうやね。」
514: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:37:27.04 ID:A9TWSb6M.net
「こうして、小さな事でも。」

「誰かと思い出が作れる学校。」

「どこの学校もそうかもしれないけど…」

「私たちにとっては、ここしか無いのだから。」


「…廃校させる訳には、いかないもの。」


「そうでしょ?希。」


振り返るえりちの顔が夕日に照らされて

思わず、見とれてしまう


「…?どうしたの?」

「ううん!」


「生徒会、がんばろーなっ♪」

えりちの腕に飛びつく

「もう…」


夕焼けのその向こうへ、ウチらは向かった
515: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:45:19.59 ID:A9TWSb6M.net
----

えりちの生徒会就任から2週間


やはりえりちには人前に立つ才能があるようで

そのカリスマ性とも言うべき力で

ウチら生徒会のメンバーを引っ張ってくれてる


たまに、常識知らずな所もあるけど…ね


「希、話を聞いてるの?」

「えっ?も、もちろん聞いてるよ!」


「…そう。それじゃ、希の意見を聞かせてもらおうかしら?」


「えっと…」


あかん

何の話してたっけ…?
516: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/08(日) 01:50:59.85 ID:A9TWSb6M.net
「…はあ。」

「ちゃんと聞いてよね、副会長さん。」

「…はーい。」


「それじゃ、もう一度説明するわよ?」

「部活動の予算管理だけど…」


やっぱり、えりちはすごいなあ…

成り行きで副会長になったけど…

ウチがいなくても回る気がする


「で、希はどう思う?」

でも、こういう最終決定はちゃんと聞いてくれるとことか

やっぱり、性格やね


「うん、いいと思うで?でも、例えば…」


同調しつつも、自分の意見はしっかり伝える

…えりちから、教わった事
519: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:28:35.27 ID:uZUNMv5T.net
<生徒会長の絢瀬絵里さん

<校内におられましたら、職員室までお越し下さいませ

<繰り返します…


「あら?何かしら?」

「えりち、まさか非行を…?」

「希は私をなんだと思ってるのよ…?」

「正直に話すなら今やで、えりち。」

「だから、話すも何も…」


「とにかく、行ってくるから。」

「ん、わかった。」

「申請する書類のまとめ、やっとくよ。」


「本当、仕事ができるんだか出来ないんだか…」

「でも、よろしくね。」


「いってらっしゃ~い。」



よし、それじゃ始めよか!
521: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:32:22.17 ID:uZUNMv5T.net
「ん~…だいたい、こんなもんやね。」

後はウチだけで出来るからって

他の役員たちには帰ってもらった


…一応、副会長としての仕事はせんとな

「えりち、遅いなあ…」


今すぐやらないといけない分は終わったし

えりちが来るまで何をしようか…


鞄から、カードを取り出す

「久々に、やってみよかな。」


カードをプールして、ひとつにまとめる


「さて、今の状況は…」

一番上のカードを、めくる
522: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:33:27.99 ID:uZUNMv5T.net
『塔』のカード

それも、逆位置

意味するのは…


緊迫・突然のアクシデント


「なんなん、これ…」

タロットの中で唯一

正位置でも逆位置でも悪い意味を持つカード

それが、なんで今…?



占いの結果に呆然としていると

えりちが、飛び込んで来た
523: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:41:04.68 ID:uZUNMv5T.net
「…希!!!」


「えりち!?」


えりちは、肩で息をしてる

「ど、どうしたん…?」

占いの結果が、頭をよぎる


「…はあ、はあ。」


この短い時間が、じれったい


「…ごめん。」

「何があったん…?」



「落ち着いて聞いてね?」

「アイドル研究部が…」






「…廃部になるって。」
524: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:49:19.79 ID:uZUNMv5T.net
「…は?」

「だから…」

「ちょっと待って!」

「なんで!?」


えりちに詰め寄る

「…だから、落ち着きなさい!!」


えりちの大声で、少し正気に戻る


「…ごめん、えりち。」


「いいのよ。ただ、ちゃんと聞いて。」

「さっき先生から、廃校がほぼ決定する事を伝えられたの。」

「だから、それをウチらでどうにかしようって…」

「言ったわよ!!」


「…言ったからこそ、こうなったの。」
525: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 00:50:05.03 ID:uZUNMv5T.net
「どういう…こと?」

「私たちが、なんとかするって。」

「廃校を阻止するために、生徒会に入ったって。」

「だから、決定するのはもう少し待ってほしい、って。」

「私は…そう、伝えたわ。」


「…うん。」


「先生方の答えは、イエス。」

「絢瀬さんが言うなら、もう少し賭けてみる、って。」


「よかった…」


「でも…」

「ぎりぎりまで決定を伸ばすには、予算が足りないのよ。」

「だから、先生は。」


「廃校を決定しないのなら…」

「部員のいない部活は今年度いっぱいで、廃部にするって。」
526: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:04:12.05 ID:uZUNMv5T.net
「そんな…」


「…現時点で廃部が決まってるのは5つ。」

「そのなかに、アイドル研究部も入ってるの。」


「なんで、廃部なんかに…」

「どんなに小さな部活でも。」

「存在するだけで部費を捻出しないと駄目なのよ。」

「だから…」


「そんなん、大人の事情やんか…」

「ただ、例外があって。」


「今年中に部員が増えるか。」

「何かしら大きな業績を残せば、廃部は無くなるそうよ。」


「大きな、業績…」
528: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:11:09.74 ID:uZUNMv5T.net
「それすら、私たちの理想が実現しなければ。」

「一年足らずの話だけど…」



「それでも、その二つのどちらかを満たさないと…」

「…廃部になる。」


業績…

アイドル研究部の、業績って…?


「にこに関して言えば…」

「前みたいにライブをして、お客が一定数以上いれば。」

「そして、その子達がもっと見たいって思えれば。」

「…きっと、存続できるはずよ。」


「ライブ…」


苦い記憶が、よみがえる

また、あんな事になったら…
529: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:17:58.14 ID:uZUNMv5T.net
「…とにかく。」

「もう決まってしまった事を話してもしょうがないわ。」


「このことは…」

「希から、にこに伝えて。」


「ウチから…?」

えりちが、困った顔をした


「…私が言うと、非情になりすぎてしまう気がするの。」

「学校の決定を、私たちが変えることは出来ない。」


「私じゃ、従って、としか言えないと思うから。」

「だから…お願い、希。」


「えりち…」


ウチが、伝える?

どうやって…?
530: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:26:08.86 ID:uZUNMv5T.net
その日は一日、何も考えれんかった

えりちと、生徒会室の戸締まりをして

学校からでた


…けど、どうも家に帰る気がしなくて


公園のベンチに、腰を下ろした


「なんで、廃部になんか…」


あんなに頑張ってるにこっちが

にこっちの夢が、消えてしまう…


そんなの…




「…こんな所で何してるのよ?」


「にこっち…」


一番会いたくない時に

一番会いたい人に会ってしまった
531: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:33:43.32 ID:uZUNMv5T.net
---


「…ほら、入って。」

「お邪魔します…」

なんとなく断れずに、家まで招かれてしまった


「あ、希さん!お久しぶりです♪」

「希おねーちゃん、こんばんはー。」


「…二人とも、久しぶり。」

「元気やった?」


「はい♪」

「あ、虎太郎は寝ちゃってるんですけど…」

「そっか、起こさんようにしないとな。」



にこちゃんの部屋に、通される

「…久しぶりね、ここにアンタが来るのも。」

「…うん。」
532: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 01:38:00.88 ID:uZUNMv5T.net
「…で、何があったの?」

ウチの隣に座って、にこっちが尋ねる

「それは…」


…口から、出てこない

引き延ばしても、いいことないのに…



「…部活の事?」

「え…」



「…やっぱり。」

「なんで…?」


「前に言ったでしょ?」

「アンタは、分かりやすいって。」

「今日会ってから一度も、目を見て無いじゃない。」


…そんな事、言われるまで気付かんかった
533: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:06:43.38 ID:uZUNMv5T.net
「…詳しく、教えて?」

「…うん。」

言葉を選びながら、にこっちに伝える


---


「…そう。」

全部聞き終わると、にこっちが呟く

「にこっち…」


「…そんな、心配そうな顔しないの。」

「なんとなく…分かってた事だから。」

「でも…」


「要するに、結果を出せばいいんでしょ?」

「…ライブ、やるわよ。」


「でも…」


「一人じゃ出来ないって、誰が決めたの?」

「私は、やってみせる。」

「自分の、夢のために。」
534: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:07:17.93 ID:uZUNMv5T.net
「にこっち…」

「教えてくれて、ありがと。」

「言ってくれたのが、希で良かったわ。」

「…先生に言われたら、きっと反発しちゃうから。」


「…」


「…ほら、元気だしなさいよ。」

「変わったんでしょ?」

「もっと、笑いなさい。」


「にこっちぃ…」

思わず、抱きつく

「…まったく。」


にこっちが、頭を撫でてくれる

「私の前では、いつまでもあの頃のままね。」


にこっちの笑顔、久々に見た気がする
535: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:24:20.07 ID:uZUNMv5T.net
部屋の扉を、ノックされる


「お姉様、そろそろ…」

「はいはい、今行くわよ。」


「…よかったら、ご飯食べてく?」

「え?」

「どうせアンタの事だから、またコンビニとかでしょ?」

「う…」


「準備するから、リビングで待ってて。」

「でも…」

「いいから。」


今日のにこっち、すごく優しい

ウチが…沈んでるからかな
536: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:24:59.90 ID:uZUNMv5T.net
---

「…ごちそうさまでした。」

「はい、お粗末様。」


にこっちのご飯はすごく美味しくて

思わず、顔が緩んでしまう


「ねーねー、希おねーちゃん。」

「ん?どうしたん?」

「今日、泊まって行きなよ!」

「へっ?」


「…ホント、希ってば気に入られてるわね。」

「にこっち…」


「私は、構わないけど?」

「でも…」


「…お布団、もう一枚出しておきますね。」

こころちゃんが、テキパキと動く

「…みんな、アンタの事が好きなのよ。」
537: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:25:33.23 ID:uZUNMv5T.net
にこっちの言葉に泣きそうになりながらも

みんなとお風呂に入って、パジャマに着替える


「にこっち…」

「何よ!?」

「それしかないんだから、仕方ないじゃない!」


にこっちの服を借りたけど、胸元が…


「悪かったわね、誰かさんみたいに大きくなくて!」


そんなこと言ってないのに…


---


皆で、川の字で布団に入る

「明日も学校だから、もう寝るわよ。」
538: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:26:13.88 ID:uZUNMv5T.net
「えー!」

「まだ、希おねーちゃんと話したいのに!」

「駄目。」

「…はーい。」

こういう所は、やっぱりお姉ちゃんなんやね


「…ほら、希も早く寝なさい。」

「いつもより早く起きないと、家に帰れないわよ?」


「…ありがと、にこっち。」

「おやすみなさい。」



---


「…絶対、廃部になんかさせない。」

「私が作ったんだから…」
539: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:35:27.99 ID:uZUNMv5T.net
それからにこっちは

以前にも増して活動的になった

ビラ配りや、告知をいっぱいして

ライブだってした


一人でも、とても大きく見えた

どんな時だって、笑顔やった


「…上手く行くといいわね。」

「…きっと、上手く行くよ。」

「あんなに、頑張ってるんやもん。」


そう

にこっちなら、大丈夫


きっとまた、笑顔で乗り越えられる


そう、信じてる









-----信じてた
540: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:39:55.26 ID:uZUNMv5T.net
---11月

年末度、活動報告


先生方とえりち、ウチで生徒会の活動報告を行う


淡々と進められた報告会は

最後の議題である部活動の報告だけになった


「えー。それでは。」

「以前話していた廃部の件ですが…」


にこっち…!



「変更は無し。」

「よって該当する部活動は、本年度をもって廃部とします。」





あんなに、頑張ったのに…?
541: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:40:33.44 ID:uZUNMv5T.net
「ちょ、ちょっと待ってください!!」

「希…」


「アイドル研究部は、もうちょっと待ってもらえませんか!?」

「きっと…きっと、後少しで…!」


「そうは言っても…」

「先日のライブも、お客さんは少なかったみたいじゃない。」

「それに、未だ部員は一人。」

「…むしろ、今までよく保った方よ?」


「そんな…!」


「…東條さん。」

「貴女が、アイドル研究部と密な関係であることは知ってるわ。」
542: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 02:41:05.08 ID:uZUNMv5T.net
「…それでも。」

「生徒会役員としてここにいる以上。」

「感情ばかりで動くのは、賢いとは言えないわよ?」


「それは…」


「とにかく。」

「この決定は覆る事はありません。」


「以上の部活動は、今年で廃部とします。」



「…」



「それでは、報告会を終わります。」

「…おつかれさまでした。」
545: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 03:58:34.83 ID:uZUNMv5T.net
「…」

「ねえ、希…」


「…ウチ、理事長先生のとこ行ってくる。」

そう言って、理事長室に向かう


「ちょっと、希!?」

えりちが、慌てて着いて来た


「…気持ちは分かるけど。」

「今更、無理よ。」


「提示された条件も、クリア出来なかったんだし…」


「…」


「ちょっと、希ってば!」

えりちに、腕を掴まれた
546: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 03:59:08.33 ID:uZUNMv5T.net
「…落ち着いて。」

「…落ち着いてるよ。」

「でも、納得がいかん。」

「だから、直接理事長にかけあってみる。」


「無理に決まってるでしょう!?」

「やってみんと分からんやん!!」



「…ウチが、したくてしてることやから。」

「えりちは、生徒会室に戻ってて。」


「…無理ね。」

「希が行くなら、私も行く。」

「えりち…」


「今更、水臭い事言わないでよ。」

「…聞いてみなくちゃ、分からないものね。」
547: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 03:59:50.11 ID:uZUNMv5T.net
---


「どうにか、なりませんか!?」


「貴女の気持ちも分かるけど…」

「廃校か、廃部か。」

「どちらかに決めないと、八方ふさがりなのよ。」

「…ごめんなさいね。」

理事長は、続ける


「…それに。」

「もし、アイドル研究部だけを存続させてしまうと…」

「他の廃部になった部活に、顔向けできないでしょう?」


「それなら、他の部活も…という形には出来ませんか?」

「部費の件だって、話せばきっと…!」


「えりち…」
548: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:07:22.04 ID:uZUNMv5T.net
「それは無理よ。」

「例え、部費がゼロでも構わないという部活がいたとしても…」

「校内で活動する以上、設備にお金はかかるのよ。」

「貴女達高校生に、大人の事情を伝えるのはいけない事だけど…」

「それほど、この学校が窮地に立たされているという事を理解して頂戴。」


「…」


「…私だって、できるなら生徒達の夢を壊したくはない。」

「でも、そうする事で訪れるのは廃校よ。」

「だったら私は、理事長として。」

「より多くの生徒を守らなければならない。」

「…言ってる意味、貴女達なら分かるでしょう?」


「…はい。」
549: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:07:44.33 ID:uZUNMv5T.net
-----

「駄目…だったわね。」

「…」

「…もう、どうしようも無いわ。」

「…」

「…ウチは、諦めん。」

「あんなに頑張ってるの見て来たんやもん。」

「許してくれるまで、何度だって頼みに行く。」


「希…」





それからウチは、何度も

毎日、理事長室に向かった


何度断られようと

何度も、何度も、頭を下げた

無理なのは分かってた

でも、何もせずにはいられなかった
550: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:09:02.12 ID:uZUNMv5T.net
---


「…今日も、だめだったのね。」

「…うん。」


「ほら、落ち込んでどうするの?」

「…」

「…ふう。今日はもう、帰りなさい。」

「えりちは?」

「私はもう少し、整理してから帰るわ。」

「なら、ウチも…」

「いいから。」

「貴女は、ちゃんと休みなさい。」


「…目の下のクマ、目立つわよ。」

気付かれちゃってたか…


「…ごめんな、えりち。」

「いいのよ。」


そう言って、ウチは生徒会室から出た







「…よし。」
551: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:20:28.61 ID:uZUNMv5T.net
-----

コンコン

「…はい。」

「失礼します。」


「…絢瀬さん。どうしたの?」

「今日は、私もお願いに来ました。」


「…廃部の事ね。」

「…」


「…貴女は、肯定的なんだと思っていたわ。」

「…そうですね。」

「以前までの私なら、希を抑える側にいたと思います。」


「でも、今は…」


「彼女達を、応援したいんです。」


「彼女…達?」
552: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:21:08.75 ID:uZUNMv5T.net
「希は…」

「彼女は、まっすぐで。」

「いつも、人の事を考えて動いています。」

「誰かのためって決めたら、それに向かって一直線で。」

「周りの意見や、声なんて気にせずに、ぶつかって行くんです。」

「…そんな、馬鹿な子なんです。」

「…」


「…でも、彼女がこうなったのは、ある人の背中を見てたからです。」

「その子は、いつだって前向きで。」

「胸を張って、信念をもって生きています。」

「諦める事を知らない、辛くても笑顔でいる。」

「…希が目標とする、馬鹿な子です。」


「…でも、そんな馬鹿な彼女達だから…出きる事が、あるんじゃないか、って。」


「…そう、思えるんです。」
553: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:27:23.28 ID:uZUNMv5T.net
「…貴女は、もっと達観してる人だと思ってたわ。」

「もちろん、良い意味でね。」


「…そうですね。」

「馬鹿な子達と、一緒に馬鹿な事をしてると…」

「私まで、馬鹿になってしまったみたいです。」


「ふふっ。若いって、すばらしいわね。」

「…でも、思いだけじゃどうにもならない事だってあるのよ。」


「…」

「分かってます。それでも、私は彼女達に賭けてみたいんです。」

「…これを、見てください。」

「…これは?」

「嘆願書です。」




「…廃部の危機に晒されている、部活。」

「その部長さんから、預かってきました。」
554: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 04:28:08.29 ID:uZUNMv5T.net
「…もっと、続けていたい。」

「もっと、こんなことがしたい。」

「自分たちには、こんな夢がある。」


「…そういった事が、書かれています。」


「…」


「…これを出したからって、どうにかなるとは思いません。」

「こんなのは、ただの理想論です。」


「…ですが、私たち生徒会が目指すのも。」

「そんな、理想の学校なんです。」



「廃校は、私たち生徒会がなんとしても阻止してみせます!」

「だからどうか、廃校が決まる最期のその時まで!」

「彼女達に、夢を追いかけさせてあげてください!」



「お願いします!!」



「…」
559: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 17:59:57.92 ID:uZUNMv5T.net
-----


「うそ…?」

「本当よ。」

「理事長から、正式に通達が来てね。」

「廃部の話が、無しになったわ。」


「ほんまに…?」

「ええ。」


「やったー!!」

思わず、飛び跳ねる


「さっそく、にこっちに伝えんと!!」

「あ、でも…」

「?」

「どうして理事長は、辞めてくれたんやろ?」

「あんなに、反対してたのに…」
560: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:00:34.99 ID:uZUNMv5T.net
「…きっと、希が何度も頭を下げたからじゃ無いかしら。」

「うーん…」


「まあ、どうしてかは分からないけれど。」

「とにかく、部の存続は決まった。」

「まずは、にこに伝えて来なさい。」

「きっと、さっきの希と同じ反応するわ♪」


「…うん!」

「行ってくる!!」



やった…!

やったやった…!


にこっち、これからもアイドル続けられる!!




おめでとう、にこっち…!
561: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:11:34.75 ID:uZUNMv5T.net
---


「にこっち!!」

「どうしたの、希?」

「ちょっと、こっちに…!」

「ちょっ!?引っ張らないでよ…!」




「…で、一体なんなの?」

にこっちを、屋上に連れて来た

「えっと…えっとな!」


「廃部の話、無くなったんよ!!」


「…え?」

「理事長が、取りやめてくれてん!」

「だから、これからも活動できるんよ!」
562: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:23:46.91 ID:uZUNMv5T.net
「うそ…」

「ほんとやって!!」


「…」

「…にこっち?」



「…グスッ。」

「…泣いてるん?」


「べ、別に!?」

「きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!」


「無駄じゃ…なかったんだ…」


「にこっち…」


本当に、そうなんかな…?

あんなに、先生達に否定されてたのに…
563: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:24:23.04 ID:uZUNMv5T.net
…ううん、きっと努力が実ったんや!


「にこっち、おめでとう。」

「これからも、頑張ってな♪」


「トーゼンよ!!」

「もっと頑張って、学校一のアイドルになるんだから!」

「そこから、もっと有名になってやるわ!!」



「うん、楽しみにしてる。」

「みてなさい、希。」

「一人でも出来るってことを、証明してみせるわ!」


「…よし!」

「もっともっと、アピールしなきゃ…!」


「まずはライブね!!」

「客席を、にこのファンで埋め尽くすわよ!!」
564: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:24:56.08 ID:uZUNMv5T.net
こんなに笑顔のにこっち、久々に見た


…これできっと、大丈夫


後は…ウチらが、頑張る番


にこっちが作り上げた部活を

皆が頑張る部活を


ウチらが、守るんや!


「本当におめでとう、にこっち。」

「ウチも、頑張るな?」


「ええ!」

「最高の学園生活にするわよ!!」


「…うん!!」
565: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:34:49.85 ID:uZUNMv5T.net
---


「…あ。」

「こんにちは、矢澤さん。」

「どうも…」

「これからも、頑張ってね?」



「あ、あの、理事長!」

「…はい?」

「部活の事…ありがとうございました!!」


「感謝する相手が、違うわよ?」

「…え?」


「感謝するなら、貴女の友達に…ね。」


「どういう…事ですか?」



「あの二人がいなかったら…」

「私は、取りやめてなんかいなかったから。」
566: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:38:39.63 ID:uZUNMv5T.net
「それって…」

「東條さんはね。」

「毎日、私の所に来て頭を下げてたの。」

「絶対に、努力は実るから。」

「もう少し、待ってほしい、って。」


「絢瀬さんは、他の部活に掛け合って…」

「みんなが何をしたいか。」

「どんな夢を叶えたいか。」

「それぞれの部活から、嘆願書を持って来たわ。」


「…それに。」

「あの生徒会長が、声を荒げてまで頭を下げたのよ?」

「…信じてみたいと、思うじゃない。」
567: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:39:12.59 ID:uZUNMv5T.net
「そんな…」


「いい友達を、持ったわね。」

「私も…期待してるのよ?」

「あの子達に、そこまで言わせる貴女の事。」


「頑張ってね♪」


「ありがとう…ございます。」


「それじゃ、私はここで。」







「希…」

「絵里…」


『きっと、このにこの活動が認められたって事よね!!』


「…ッ!」




「バカ…みたい。」
568: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:55:10.04 ID:uZUNMv5T.net
-----


「いやー…それにしても、良かったなあ♪」

「ふふっ…さっきから、そればっかり。」

「だって、嬉しいやんか。」


「…でも、それとこれとは話が別。」

「これで、私たちは今まで以上に頑張らなきゃいけなくなったのよ?」


「…分かってる。」

「それでも、やっぱり良かった。」

「…」

「…そうね。」



「それじゃ、書類の整理、終わらせるわよ?」

「はーい!」



ガラッ

「…」

「…あれ、にこっち?」
569: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:55:43.82 ID:uZUNMv5T.net
「どうしたん、生徒会室まで来て…」


「…どういう事よ。」

「え…?」


「一体…何様のつもりよ…」

「ど、どうしたん?にこっち…」


「理事長から聞いたわよ!!」

「アンタ達が、影で動いてたって!!」


「…!」

「それは…」


「アンタ、毎日理事長に頭下げたんだって!?」

「努力はきっと実る、って!」


「でもそれは、にこっちが…」

「アンタに私の何が分かるのよ!!」
570: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:56:22.85 ID:uZUNMv5T.net
「にこ、そんな言い方…!」

「アンタもよ、絵里!!」


「他の部活と嘆願書まで作って!!」

「みんなの想いを無駄にしないでほしいって!」

「夢を追いかけさせてあげてほしいって、頭下げたそうじゃない!!」


「えりち、それって…」

「…」


「何勝手な事してんのよ!!」

「結局、アンタ達のお陰じゃない!!」


「良い友達を持った、って…」

「そんな事、私は望んでない!!」


「にこっち!!」
571: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 18:57:11.55 ID:uZUNMv5T.net
「これじゃ、私が馬鹿みたいじゃない!!」

「結局、私ひとりの力じゃ何も出来ない!!」


「理事長のお情けで、活動を続けられるだけじゃない!」

「私は、何もできてない!!」


「にこっち…」


「いつだって、そう!」

「私は、アンタ達に頼りたくない!」

「自分自身の力で、勝ち取りたいの!!」

「なのに…」

「なのに最後は、いつもアンタ達が入ってくる!!」


「こんなの…」

「こんなので、私が喜ぶと思う…?」


「いつまでも、私はアンタ達に支えられて…」

「それで、胸はってアイドルやります、なんて言えると思う…?」
573: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:04:16.16 ID:uZUNMv5T.net
「…だったら、辞めなさい。」

「えりち!?」


「私たちがした事が、間違ってるとは思わないわ。」

「現に、他の部活の人たちも、活動を再開してる。」


「私は、私ができる事をしただけよ。」

「もし、それが嫌だと言うなら…」

「辞めなさい。」


「アンタ、何様のつもりよ!」

「自分が何でも出来るからって、こんなことしたの!?」

「ありがた迷惑よ!」


「…私は。」

「生徒会長になった時に決めたの。」

「この学校を、守るって。」

「ここにいる生徒達のために、動くって。」
574: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:05:12.92 ID:uZUNMv5T.net
「その生徒の中に、貴女も入ってる。」

「ただ…それだけの理由よ。」


「…だから。」

「嫌なら、辞めなさい。」

「人の好意を否定してまで、やりたくないと言うのなら。」

「貴女は、そこまでの器でしかなかったという事よ。」


「…好き勝手言ってんじゃないわよ!!」


「なら、努力しなさい!!」

「…結果がどうあれ、貴女には一年の猶予が与えられた。」

「それをどうするかは、貴女次第よ。」


「このまま変な意地を張ってチャンスを無駄にするのか。」

「それとも、成功を目指すのか…」


「…ッ!!」


「にこっち、待って…!」

「放っておきなさい。」
575: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:05:47.23 ID:uZUNMv5T.net
「えりち…」

「できるだけの事はやった。」

「これから先は、にこ自身の問題よ。」

「でも…」


「これ以上は、余計惨めな気持ちにさせるだけよ。」

「…」


「希も、薄々感づいてはいたんでしょう?」

「にこの頑張りだけじゃ、無理だって。」

「それは…!」

「だから、あんなに必死に頭を下げたんじゃないの?」

「自分が、なんとかしないと、って…」


えりちは…間違ってない
576: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:06:21.12 ID:uZUNMv5T.net
「…結局は、何だって自己満足なのよ。」

「相手のためを思っても。」

「相手には伝わらない事がある。」

「にこっち…」


「私たちは、みんな傲慢なの。」

「全て上手く行くなんて事、ありはしない。」

「…フィクションじゃ無いんだから。」



「…だから。」

「もう、にこの事は放っておきなさい。」


「そんな…!」
577: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:11:34.64 ID:uZUNMv5T.net
「…希。」

「貴女が生徒会に入ったのは、なぜ?」

「それが揺らぐなら…」


「貴女も、辞める事を勧めるわ。」

「え…?」


「もう一度、自分がどうしたいかを考えなさい。」

「時には、今日みたいに何かを捨てなければならない時が来る。」

「思いだったり、友情だったり…」

「自分の中の、曲げられない物を守るために。」

「時には…非情にならないといけないの。」


「曲げられない、物…?」


「私は、この学校を守ると誓った。」

「貴女がくれた想いを、守ると決めたの。」
578: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:12:14.56 ID:uZUNMv5T.net
「それこそが、私の曲げられない物。」

「信念…とも、言うべき物よ。」


「だから、選びなさい。」

「自分が、何をしたいか。」

「何を、望むのか。」

「そして…」


「何を、捨てるのかを。」


何かを、捨てる…?

そんな事、出来ないよ

だって…


だって、全部大切な物なんよ…?
579: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 19:13:09.41 ID:uZUNMv5T.net
「えりち…」


「…ごめんなさい。」

「貴女は、悪くないわ。」

「そんなんと違うよ…」

「えりちは、これでよかったん…?」


「良かったも何も。」

「私は、私がするべきと思った事をしただけよ。」


本当に…?

にこっちに嫌われてまで

えりちがやりたかった事がこれなん…?


「…さあ、仕事を終わらせましょう?」

「あと、一年しかないんだから。」






ウチらの間に大きな溝が出来たまま

それを修復する事はできなかった

…そのやり方が、ウチには分からなかった



そして、そんな傷跡を残したまま

18の、春が来た---
584: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:04:09.46 ID:uZUNMv5T.net
-----


あれから、ウチらがやったいくつかの案もむなしく

時間だけが過ぎて行った


そして、時間が経つにつれて…

えりちから、笑顔が消えた


まるで、何か焦ってるみたいな…

そんな感じ


それでも、ウチはウチのために

そして、えりちのために


えりちの隣に、立つって決めた
585: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:04:37.06 ID:uZUNMv5T.net
えりちが一生懸命頑張るのなら

ウチが、えりちの息抜きになろう

えりちが迷ってる時は

えりちの背中を押そう

そう…決めたんよ


そう思った、矢先…

校内に、廃校の張り紙が張り出されるようになった



「なんで…」

「まだ、時間は…」

「行くわよ、希。」

「私たちが出来る事が、まだあるでしょう?」

「…」
586: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:05:13.41 ID:uZUNMv5T.net
---

それからウチらはまず

理事長の娘である、後輩の南さんの所に向かった

「いくらなんでも、私たちに報告無しに生徒に発表なんて急すぎるわ。」

「…でも、流石に娘さんも知らんのとちゃうかな?」

「だから、聞きにいくんでしょ?」

「動かなければ、何も変わらないわ。」

「…うん!」





それでも、やっぱり聞かされてはいないようやった

悪い事、しちゃったかな?


…でも


あの、真ん中にいた子

あの子だけは、どこか違う所を向いてた気がする



…昔の、えりちみたいやった
587: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:11:28.04 ID:uZUNMv5T.net
コンコン

「失礼します。」

「…?」

えりちと、理事長の前に並ぶ

あんな事が発表された後やけど…

「…生徒会としても、学校存続に向けて。」

「活動していこうと思います。」

「発表には、入学希望者が定員を下回った場合…」

「廃校という決定をせざるを得ない、とありました。」


ウチも、続ける

「つまり、定員を上回れば…」


「…たしかに。」

「ですが…そう簡単に生徒が集まらないからこそ。」

「この結果なんです。」
588: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:12:06.89 ID:uZUNMv5T.net
「なにか良い方法があるんですか?」

「…」

何も…ない

だって、どれも成功なんてしなかったから…


「思いつきで行動しても、簡単に状況は変わりません。」

「…生徒会は、今いる生徒の学園生活を。」

「よりよくする事を考えるべきです。」

「でも、このまま何もしない訳には!」

「えりち!」

思わず、止める

「…ありがとう、絢瀬さん。」

「貴女が、そこまで学校の事。」

「生徒の事を考えてくれているのは、知っています。」
589: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:12:48.79 ID:uZUNMv5T.net
「…だからこそ。」

「あの時、貴女を信じてみようと思ったの。」

「結果が伴わなくても。」

「貴女の努力は、確かにこの学校のためにあった。」

「それは事実よ。」

「…だから。」

「その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくわ。」


「…」

えりちが、下を向く


…そう、えりちは頑張った

何があろうと、前を向いて来た

でも…やっぱり

ウチらだけじゃ、無理なんかな


なにか、変化があれば…
590: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:22:03.01 ID:uZUNMv5T.net
---

生徒会室で、今後の事を考える

「…」

なんて声をかけて良いかも、分からない


すると、ドアをノックされた

「失礼します。」


あれ?この子らは、お昼の…



「生徒会長に、お願いがあって来ました!」

「…お願い?」

「これです!」

そう言って、彼女は一枚の紙を机に置いた


「…これは?」

「アイドル部、設立の申請書です。」
591: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:22:47.82 ID:uZUNMv5T.net
「…それは見れば分かります。」

「では、認めて頂けますね?」

「いいえ。」

「え…?」

えりちの返答に、三人がたじろぐ

「部活は同好会でも、最低5人は必要なの。」

ロングヘアの子が、口を開いた

「…ですが、校内には部員が5人以下のところも沢山あるって聞いてます。」

「…私たちが入学した頃は、それも可能だった。」

「でも今は、最低5人いないと認められないの。」

「そんな…」


確かに、それは本当の事

入学したての頃は、にこっち一人で部活を立ち上げたんやから
592: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:23:15.97 ID:uZUNMv5T.net
でも…

なんとなく

ここで、終わらせたら駄目な気がした

そんな目を、真ん中の子はしてたんよ


「あと二人やね…」

何となく、助け舟をだしてみた

ほんの小さな、気まぐれ

でも、何かが起こる気がした

「あと、二人…分かりました。」

「行こ。」

三人が、出て行こうとする

「…待ちなさい。」


えりちが、そんな彼女達を呼び止めた
593: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:24:21.81 ID:uZUNMv5T.net
「どうしてこの時期にアイドル部を始めるの?」

「貴女達2年生でしょ?」

「廃校をなんとか阻止したくて…!」

「スクールアイドルって、今すごい人気があるんですよ?だから…」

彼女の言葉を、えりちが遮る

「だったら、例え5人揃えて来ても…」

「認める訳にはいかないわね。」

「ええっ!?どうして…」

「部活は生徒を集めるためにやる物じゃない。」

「思いつきで行動した所で、状況は変えられないわ。」

…そう

ウチらは、見て来たから

自分の夢に向かってひたむきに努力するにこっちを

努力しても、結果を変えられない、自分たちを
594: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:30:17.79 ID:uZUNMv5T.net
そうしてえりちは、彼女達を返しちゃった

もちろん、えりちの言ってる事はもっともや

3年間、変えようと必死になって来たのが、ウチらなんやもん

それでも、気付いてる?


自分を変えたいって言った時の、えりち

さっきの子と、そっくりなんよ…?


どんな事があっても、頑張るんと違うん?


「…さっきの。」

「誰かさんに聞かせたい台詞やったなあ…」

ちょっと意地悪に、えりちに言ってみる

「いちいち一言多いのよ、希は…」

「ふふっ。それが、副会長の仕事やし…♪」

よかった

えりちも、思う所はあるみたい


「でも…」

「「どうすればいいの…?」」
595: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:38:31.41 ID:uZUNMv5T.net
---

次の日になって

彼女達は、またやってきた

「…朝から何?」

えりちも、朝やからか少し機嫌が悪い

「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして!」

「部活動に関係なく。」

「生徒は自由に講堂を使用できると、生徒手帳に書いてありましたので。」

…この子、もしかしたらすごい真面目な子なんかも

だって、ウチはそんなの知らなかったし…?

えりちに隠れて、苦笑する

それで、時間は…

「新入生歓迎会の日の放課後やなあ…」

「…何をするつもり?」

「ライブです。」

彼女は、恥ずかしがる事も無く、そう言った

…だれかに、そっくりやね
597: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:56:27.81 ID:uZUNMv5T.net
えりちが疑いの目を向けるから…

ちょっと、この子らの味方をしたくなった

…まあ、部活と違って、単に使用許可を申請してるだけやしね


えりちを制して、許可を出す

3人は笑顔で、生徒会室を出て行った



「…なぜあの子達の味方をするの?」

えりちに聞かれる

ウチは、窓を開けて…こう答えた

「…何度やっても、そうしろって言うんや。」

「カードが…」

部屋に、風が舞い込む

「カードが、ウチにそう告げるんや!」
599: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:56:55.41 ID:uZUNMv5T.net
風に舞ったタロットが

壁に打ち付けられる

一枚のカードだけが、表を向いていた

『太陽』のカード

意味するのは…


「成就・兆し。」


「なんとなく…」

「なにかが、変わる気がするんよ。」


「…」


「もちろん、頑張るのは彼女達や♪」
600: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:57:32.20 ID:uZUNMv5T.net
そして、いつの間にか校内には

彼女達のポスターが貼られるようになった

手書きの、なんとも可愛らしいポスター

そして下には、グループ名募集の文字

「ふふっ。名前はまだ、無い…か。」


今日は、生徒会の仕事も一段落したし

早めに、バイトに向かう

結局、居心地が良くて

3年間、ここでずっとバイトしてる


境内を掃いて回ってると、

男坂の方で声が聞こえた


…あ、あの子たちや
601: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 21:58:15.42 ID:uZUNMv5T.net
頑張ってる姿がなんとなくほっとけなくて

思わず、声をかけてみた


…せっかくこんなとこにいるんやから

しっかり、お参りしとかんとね♪


真剣に手を合わせる3人を見て

にこっちの事を思い出す


「…初ライブ、上手く行きますように。」

「「上手く行きますように。」」




「…あの3人、本気みたいやな。」


応援、したくなってしまった
602: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:04:32.51 ID:uZUNMv5T.net
…だからかな?

ほーんのちょっと、魔が差して

小さく丸めた手紙を、廊下のボックスに入れてみた


なんとなく、励みになればと思って



…えりちが、お昼に彼女達に会って来たみたい

「いざやってみて、出来ませんでした…じゃ、意味が無いでしょ。」


えりちは、そう言って仕事をする

確かに、それはその通りやけど…



えりち、可能性は誰にでもある、って言ったよな


…ならウチは、その小さな可能性を、信じてみたいんよ
603: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:09:24.12 ID:uZUNMv5T.net
---

風の噂に聞く所によると

彼女…高坂穂乃果ちゃん達は作曲者を探してるみたい


いろいろ探ってみると

一年生の子が、ピアノがうまいって話やけど…

どうも、断られたらしくて



そんなある日、バイトをしてると

男坂の下から、練習中の穂乃果ちゃんたちを覗く

赤い髪の女の子を発見した


…ああ、なるほど

どっかの誰かさんと一緒で、素直じゃないんやね♪
604: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:10:01.62 ID:uZUNMv5T.net
後ろからそーっと近づいて

その小さめの物をもみしだく


おお、これはなかなか…

可能性を秘めてるな?


驚く彼女に、少しだけ声をかける


「…恥ずかしいんなら、こっそりという手もあると思うんや。」

「だから何?」

「…分かるやろ?」


ウチが言えるのは、ここまで

それでも、彼女に響かなかったら…


ま、それはその時考えよっか♪
607: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:23:49.76 ID:uZUNMv5T.net
数日後、彼女らはすごく元気になってた

いつでも笑顔で練習してるとこを見ると


…上手くいったみたいやね♪


それから、校内のポスターにも変化があった

『グループ名募集中』

の文字が消されて

『みんな来てね~』

に、変わってた


そして、その上に大きく…


『μ's』の文字が



「…ふふっ。」

思わず、笑みがこぼれる

まさか、こうなるなんて…な
608: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:24:21.08 ID:uZUNMv5T.net
そして、初ライブの日がやってきた---


新入生歓迎会を終え

生徒会室で帰る準備をしていると

ふいに、えりちが講堂の方を見た


「気になる?」

「希…」

「…ウチは、帰ろうかな♪」

そう言って、生徒会室から出る


…もちろん、向かう先は

あの子達が立つ、あの場所へ
609: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:31:07.13 ID:uZUNMv5T.net
「これは…!」

お客さんは、ゼロやった


想定してた事の一つとは言え

これじゃ、流石にあの子達でも…


「にこっち…」

あの時を思い出して

少し、辛くなる

…そんな、時やった




<~♪

曲が、流れ出した

「まさか…!」


「…」


「…ふふっ。」

やっぱり、すごいなあ…
610: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:31:53.87 ID:uZUNMv5T.net
そっと、壁に寄りかかる


…彼女達なら、大丈夫

きっと、ウチらが出来なかった事を

届かなかった夢に、手が届く

そんな、気がした


そして、きっとそれは…

そこの壁に隠れてる、素直じゃない子も

…きっと、えりちにだって伝わる



精一杯、突き進んで

諦めなくて

そんな子達が、学校を守るために動いてる


…なあ、えりち

こんな子達、えりちに止められる…?
612: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:41:55.88 ID:uZUNMv5T.net
----曲が終わる

肩で息をする彼女達の前に、えりちが来た

「…どうするつもり?」

えりちの問いかけに、穂乃果ちゃんは迷い無く答えた

「続けます。」

「なぜ…?」

「これ以上続けても、意味があるとは思えないけど。」

「やりたいからです!」

「今、私…もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。」

「きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも。」

「こんな気持ち、初めてなんです!」

「やってよかったって、本気で思えたんです!」



「…今は、この気持ちを信じたい。」
613: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/09(月) 22:44:39.64 ID:uZUNMv5T.net
「このまま誰も、見向きもしてくれないかもしれない。」

「応援なんて、全然もらえないかもしれない。」

「でも、一生懸命頑張って。」

「私たちがとにかく頑張って、届けたい…!」

「今、私たちがここにいる…この想いを!」

「いつか…」

「いつか私たち、必ず…!」

「ここを満員にしてみせます!!」




…やっぱり、面白い子達やなあ

「ふふっ。完敗からのスタート、か…♪」



なあ…にこっち、えりち

ウチ、この子達と、共に歩んでみたい

きっと、もっと楽しくなる

そして、廃校の事だって…


ウチも、今感じたこの気持ちを…信じてみたいんよ





---そして、ウチは講堂を後にした
625: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:15:01.90 ID:MTTp9GXt.net
数日経って

どうやらあの日、何人か見てた生徒がいるみたいで

穂乃果ちゃんは、その子達を誘ってるみたいやった

…ほんと、行動力はあるんやね



一方、ウチらはと言うと…

えりちが、理事長に進言するって息を巻いてた


「先日のライブですが…」

「生徒は全く集まりませんでした。」

「彼女達の活動は、音ノ木坂学院にとってマイナスだと思います。」

「…そんな人たちの頑張りを認めてほしいと言ったのは、絢瀬さん自身でしょう?」

「だからこそ、学校の事情で生徒の活動を制限するのは…」

「でしたら…!」

「学院存続のために生徒会も独自に活動させてください!」
626: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:15:46.34 ID:MTTp9GXt.net
「…それは駄目よ。」

「何故ですか!?」

「…それに。」

「全然人気がない訳じゃないみたいですよ?」

そう言って理事長は、パソコンの画面を見せた

「…!この前のライブの…」

あの子達3人が必死に歌ってる姿が、そこにはあった


「誰かが撮ってたんやなあ…」

えりちは、その動画を見つめる



…なあ、えりち

何で、理事長は生徒会に活動させたくないか分かる?

…今のえりちには

見えてないものがあるって、気付かん?
627: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:16:31.89 ID:MTTp9GXt.net
「…失礼しました。」


理事長室を出て、生徒会室へ

「…」

えりちが、イライラしてるのが分かる

…こんな時は。ウチの声は届かない


ちょっと、一人にさせようか

「えりち、ウチちょっと用事あるから…」

「…分かった。」



えりちがしてる事は

今までのえりちを否定する事

それに…早く気付いてよ、えりち


ウチが一言、言えば済むんかもしれん

でも、それでえりちは変われる?


…えりちには、ウチみたいになってほしくない
628: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:26:34.79 ID:MTTp9GXt.net
荷物を持って、屋上へ


「ん~。気持ちいいなあ…」

屋上にある、はしごを上ってさらに上へ

最近見つけた、お昼寝ポイント


…ひとりになりたい時は、たまに来るん



と、思ってたけど

穂乃果ちゃんたちが来た


「…ここで、練習してるんか。」

何となく、隠れて覗く


…いや、別にそういう趣味はないんやけど
629: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:27:26.03 ID:MTTp9GXt.net
ストレッチをして、基礎練

なんだか、まだ日は浅いのに様になってるやん?


…すると、二人の女の子に連れられて

眼鏡をかけた子が屋上に来た

いや、引っ張られて来た、って方が正しいんかな?


ショートカットの、かわいい子が口を開く

「かよちんも、参加させてあげてください!」


なるほど、そうきたか…


「…つまり、メンバーになるってこと?」

南さんが、聞き返す


途端に、連れて来た二人がまくしたてる

アイドルをやりたがってた

歌唱力がある

そんな事を、口々に穂乃果ちゃん達に伝える
630: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:28:30.83 ID:MTTp9GXt.net
当の本人はと言うと…

「わ、私はまだ…なんて言うか…」


…なんだか、昔のウチを見てるみたい

自信が無くて、表に立てなくて…


二人に励まされつつ、向き合うその子

「えっと…私…こ、こいずみ…」


その時、二人が背中を押した

「がんばれ」って、言ってるみたいに


「私、小泉花陽と言います。」

「一年生で、背も小さくて。」

「声も小さくて、人見知りで…」

「得意な物は何もないです。」
631: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:29:20.94 ID:MTTp9GXt.net
「でも…でも…!」

彼女は、顔を上げる

「アイドルへの想いは、誰にも負けないつもりです!」

「だから…」


「μ'sのメンバーにしてください!」

深々と、頭を下げた


「…こちらこそ。」

穂乃果ちゃんが、手を差し出す

「よろしく♪」

その手を取った彼女の顔に

さっきまでの、不安さは少しも感じんかった


…まるで、穂乃果ちゃんの元気が

彼女に、伝わったみたいに
632: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 20:30:08.95 ID:MTTp9GXt.net
「…それで、二人は?」

南…ことりちゃんが、尋ねる

「二人は、どうするの?」

「「えっ?」」

「「どうするって…ええ!?」」


「まだまだメンバーは…募集中ですよ?」

海未ちゃんと、ことりちゃんが手を伸ばした


顔を見合わせて、手を取る二人


…こうやって君たちは

周りの人を、巻き込んでいくんやね


見てるウチまで、あったかくなる





…こんな3人みたいに

ウチは、なりたかったんよ


なあ?にこっち…えりち…
633: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:14:38.66 ID:MTTp9GXt.net
---


「んん~…」

「朝は気持ちいいなあ…」

何となく早く目が覚めたから

神田明神の掃除でも…と思ってやってきた


…それに

あの子達が頑張ってるの

近くで見れるしね♪





…と、思った矢先

懐かしいツインテールをした不審者がおった


あれは…にこっちやんな?
634: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:15:18.97 ID:MTTp9GXt.net
なんとなく、様子を見る

「もしかしてにこっち、勧誘に…?」


そうなったら、きっと絶対上手く行く!

にこっちと穂乃果ちゃん

二人がいれば、きっと…!



と、いう甘い期待は

にこっちの言葉にかき消された



「アンタ達…」

「とっとと解散しなさい!」



…いきなり何を言ってるん?にこっち
635: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:15:59.74 ID:MTTp9GXt.net
---


「これで…」

「…何してるん、にこっち。」


「の、希…!?」


「さっきの、どういう事?」

「アンタ、見て…?」


「ウチはてっきり、一緒にやろうって言いに来たんかと…」

「ありえないわ!!」


「にこっち…?」

「私を、あんなやつらと一緒にしないで!」

「私はただ…!」


「…いいえ。何でも無いわ。」

「とにかく、邪魔しないでよね。」


そう言って、にこっちは走っていった

…何をするつもりなんよ
636: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:37:51.63 ID:MTTp9GXt.net
---


今日は、雨

屋上が使えないから

穂乃果ちゃん達も練習は取りやめみたい


何より…


「どうやらあの子ら…」

「辞めるつもりはないようやで?にこっち。」

「…ふんっ。」



にこっちが、何をしたいんかは、分からない

でも…にこっちには悪いけど

あの子らの邪魔は、させたくないんよ
637: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:38:28.86 ID:MTTp9GXt.net
「…と、言う訳で。」

「あの子らに、にこっちに会いに来るように伝えたから♪」

「なぁ~にが、と、言う訳で。よ!」

「だって、あれこれ考えんのめんどいし…」

「直接、ちゃんと話し合った方がいいと思って。」

「大きなお世話よ!!」

「…なあ、にこっち。」

「なんで、そんなにあの子らを嫌うん?」

「あの子らは…」


「…分かってる。」

「希の言いたい事、何となく分かる。」


「なら…!」

「だからこそ、よ。」

「…もう、あんな思いはしたくないの。」


にこっち…
638: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:39:08.01 ID:MTTp9GXt.net
---

「…やっぱり追い出されたみたいやねえ。」


穂乃果ちゃんたちなら、もしかしたら…って期待もあったけど

やっぱり、断られたみたいやった



そもそも事の発端は

えりちがアイドル部はすでにある、って焚き付けたから

穂乃果ちゃん達がにこっちの部活に入ろうとした訳で



えりちはえりちで

穂乃果ちゃん達に諦めてほしいのか

そうじゃないのか


…でも

もし本当に、にこっちと穂乃果ちゃん達が一緒にアイドルやったら…

こんなに心躍る事、応援せずにはいれんやん?
639: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:58:17.96 ID:MTTp9GXt.net
「…スクールアイドル?」

「にこ先輩が?」

…順番は逆になってしまったけど

やっぱり、伝えないと進まないと思ったん

だから、穂乃果ちゃん達には話しておかないと


「…だった、が一番正しいかな。」

「それって…」


「…ちょっと、話が長くなるから。」

「よかったら、空いてる教室で話そうか。」



認めたくないけど…

ウチじゃ、にこっちの力にはなれんかった

でも、穂乃果ちゃんなら…

なんとか、してくれるかも
640: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:58:55.23 ID:MTTp9GXt.net
「…一年の頃。」

「にこっちは、アイドル研究部を立ち上げたんよ。」

「理由は、にこっちの夢のため。」

「夢…?」

「にこっちは、本気でアイドルを目指してた。」

「…いや。」

「今も…目指してるんよ。」



「でも…」

言葉に、詰まる


…でも、伝えんと


「だからこそ、にこっちは穂乃果ちゃん達を認めたくないんやと思う。」
641: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 21:59:33.91 ID:MTTp9GXt.net
「どういう…事ですか?」

「…」

「初めて穂乃果ちゃんを見たとき、思ったんよ。」

「にこっちと、似てるなあ…って。」

「え…?」

「いつだって前向いて。」

「どんな事にだって、挑戦して。」

「決して諦めずに、自分のしたい事をやってた。」


「…それが、ウチの憧れやった。」



「希先輩…」


「…話を戻すな?」
642: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:00:17.50 ID:MTTp9GXt.net
「にこっちが活動をはじめてしばらくしてから。」

「部員が二人、増えたんよ。」

「…二人とも、すっごく真面目で。」

「この間の穂乃果ちゃん達みたいに、講堂を借りて。」

「3人で、小さなステージをしたんよ。」


「にこ先輩も…?」

「そう。」

「結果は…少し、心残りがあったけど。」

「それでも、ウチにはにこっち達が輝いて見えた。」


「まさか、にこ先輩も…同じ事をしていたなんて。」

「ふふっ…今の意地悪なにこっちからは、想像できんやろ?」

「…でも、頑張ってた。」



「自己紹介の時に…」

「にこっちは、こんな事を言ったんよ。」


『この講堂を、ファンの皆でいっぱいにしてみせます!!』



「それって…!」

「な?そっくりやろ?」

くすくすと、笑う
643: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:00:55.37 ID:MTTp9GXt.net
「…ライブ中に、ぶつかって倒れてしまったんよ。」

「プレッシャーも、すごかったと思うし…」

「それでも、にこっちは立ち上がって、最後まで踊り続けた。」

「最後まで、必死に頑張ってた。」

「悔しくて、終わってから泣いてしまうぐらい…」

「にこっちにとって、アイドルはそれだけの物なん。」


「…」


「…だからこそ、あんな事になってしまったんよ。」


思い出すのも、辛い事

ウチらが変わってしまった、原因


それでもウチは、彼女達に伝えた

あの日から…今まで、起こった事を
644: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:01:51.10 ID:MTTp9GXt.net
「…」

…やっぱり、話したのは間違いやったかな?

誰も、一言も喋らない


ガタッと音を立てて、穂乃果ちゃんが立ち上がる


「…もう一回、にこ先輩のとこ行ってくる。」

「穂乃果ちゃん!?」


「だって…だって、悔しいよ!」

「それだけ、真剣にアイドルの事考えてるんだよ!?」

「そんな人が、穂乃果達には必要なんだよ!」


「ですが…!」

「…きっと。」

「きっと、にこ先輩だって…!」


そう言って、穂乃果ちゃんは走り出した
645: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:15:26.75 ID:MTTp9GXt.net
---

「上手く、いってるかなあ…」

中庭のベンチに、腰掛ける


「…上手く行く訳無いでしょ。」

「えっ?」


「…にこっち。」

「アンタが、けしかけたんでしょ。」

「一緒にアイドル目指しましょう、って。」

「…はは。」


やっぱり、そう上手くは行かんか…

えりちにも言われたもん

フィクションなんかじゃない、って。



「…ごめんな。」


「…」
646: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:16:01.08 ID:MTTp9GXt.net
「…別に。」

にこっちが、横に座る

「なあ、にこっち。」

「一つだけ、聞かせて?」

「…なによ。」


「なんで…穂乃果ちゃん達じゃ駄目なん?」

「あの子らなら、きっと…」


「…あの時も、そう思ってた。」

「あの二人となら、どんな事だって…」


「…」


にこっちは、まだ引きずって…


「…意識が、足りないのよ。」

「あれじゃ…きっと、同じようになる。」
647: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:16:36.46 ID:MTTp9GXt.net
「あいつらは、廃校にしないために頑張ってる。」

「それは…嫌というほど、知ってるわ。」

「だからこそ…」

「私との意識が、違うのよ。」

「やりたい事が…ね。」


「結局は、そこよ。」

「意識のズレが、あの結果を招いた。」

「きっと…今度だってそう。」

「いずれ、私について来れなくなる。」


「そうなったら…苦しむのはあいつらよ。」

「…」


「また、そうなるくらいなら…」

「私は、一人でいい。」
648: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:17:19.84 ID:MTTp9GXt.net
「…」

にこっちの、手を握る

「希…?」



「…聞いて、にこちゃん。」

「アンタ…!」


「私は、にこちゃんのおかげで変われたの。」

「にこちゃんは、私の憧れだった。」


「…いつだって前向きで。」

「明るくて、笑顔で。」

「周りに何を思われたって…」

「可能性が無くたって。」

「自分が決めた事に向かって、突き進む。」


「…そんなにこちゃんに、憧れてたんだ。」
649: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:17:57.66 ID:MTTp9GXt.net
「あの時のにこちゃんは。」

「絶対に、後ろを振り向いたりはしなかった。」

「常に、前だけを見てた。」


「…私がくじけそうになったとき。」

「頑張れ、頑張れって、励ましてくれた。」


「…そんなにこちゃんが、好きだったんだよ。」


「なのに。」


「今のにこちゃんは、後ろばかり向いてる。」

「失敗を恐れて。」

「過去にとらわれてる。」


「…いつから、そんなに臆病になったの?」


「…ッ!」
650: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:18:36.85 ID:MTTp9GXt.net
「きっと、あの頃のにこちゃんなら。」

「穂乃果ちゃんの手を取って。」

「行こう!って、皆を引っ張って行くと思う。」


「どれだけその道のりが辛くても。」

「諦めずに、突き進むと思う。」


「…もう、辞めようよ。」

「意地張るの、辞めよう?」


「可能性が、すぐそこにあるんだよ?」


「そんなの…!」



「逃げ道を作ってるのは、自分だって気付いてよ!!」
651: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:19:11.03 ID:MTTp9GXt.net
「…」

「にこちゃん、言ったよね?」

「私たちといると、逃げ道を作っちゃゃう、って。」

「作ってるのは自分じゃない!」


「何のために、離れたの?」

「…」


「ただ、逃げたかっただけ?」

「やめて…」

「怖かったの?」

「やめてよ…」

「これ以上、大事な物を失いたくないから?」

「…やめてってば!!」




「にこちゃんの、曲げられない物って…なに?」
652: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:19:50.49 ID:MTTp9GXt.net
「曲げられない…物…?」

「これだけは譲れない、って物。」


「にこちゃんにとって、それは…」


「自分一人の力で頑張る事?」

「それとも…」



「夢を叶える事?」



「それは…」



「…そこが同じなら。」

「きっと、願いは叶うよ。」


「一緒に叶えてくれる、仲間がいるんだから。」
653: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 22:20:45.00 ID:MTTp9GXt.net
「でも、にこは…」

「…」

「…一人の力じゃ、無理な時もある。」

「どんなに頑張っても、到底越せない壁だってある。」

「なら、諦めるん?」


「…力を貸してくれる人たちが、そこにおるんよ?」

「ウチも、穂乃果ちゃんも…そして、きっとえりちも。」

「みんなが、いるんやから。」

「みんなでなら、叶えられるんよ。」


「込める想いは違っても…」

「目指してるのは、同じアイドルやろ?」

「…なら、きっと大丈夫や。」



「にこっちの夢は…叶うよ。」
654: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 23:01:14.10 ID:MTTp9GXt.net
---

「にこの…夢。」

「アイドル…」


「曲げられない物…か。」


ガチャッ

…パタン



パチッ


「「おつかれさまでーす!」」


「…!なっ…」

「お茶です、部長!」

「部長!?」

「今年の予算表になります、部長!」

「…っ!?」

「部長ー!ここにあったグッズ、邪魔だったんで棚に移動しておきましたー。」

「こら!勝手に…!」
655: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 23:01:56.51 ID:MTTp9GXt.net
「さ、参考に…ちょっと貸して。」

「部長のオススメの曲。」

「な、なら迷わずこれを…!」

「ああー!!だからそれは…!」

「ところで、次の曲の相談をしたいのですが、部長!」

「やはり次は、更にアイドルを意識した方が良いかと思いまして…」

「それと~、振り付けも何か良いのがあったら…♪」

「歌のパート分けもよろしくお願いします!!」


「…」


「…こんな事で押し切れると思ってるの…?」



「…押し切る?」

「私はただ、相談しているだけです。」



「音ノ木坂アイドル研究部所属の…」

「μ'sの7人が歌う、次の曲を。」
656: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 23:02:29.76 ID:MTTp9GXt.net
「7人…?」


「…」


「にこ先輩!」

「…」

「みんなで、叶える…ね。」ボソッ



「…いい?」

「アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない。」

「笑顔にさせる仕事なの!」

「それをよーく自覚しなさい!」


「そして…」

「自分の曲げられない想いを、アイドルとしての自分に込めなさい!」
657: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 23:03:17.26 ID:MTTp9GXt.net
「曲げられない、想い…?」

「そうよ!にこなら、必ず本物のアイドルになる事!」


「…なら、穂乃果は廃校を阻止する事!」


「…そうよ。」

「それがあれば、例え苦しい事があっても絶対に乗り越えられる!」

「目指すのは同じ、アイドル!」

「想いは、そのための原動力よ!!」


「「…はい!!」」


「それじゃ、練習よ!」

「着替えて、屋上に集合!!」

「「はい!!」」
658: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/10(火) 23:04:27.94 ID:MTTp9GXt.net
「…希。」

廊下で、にこっちと会う

「…決めたんやね。」

「悩むのは、後にする事にしたの。」


「うん。」


「…ありがとね。」

「にこっち…」


「それじゃ、行くわ。」

そう言って、にこっちは屋上へと駆けて行った



「…アンタも、叶えなさいよ!」


「…え?」


---

えりちと、穂乃果ちゃん達の入部申請を受理する


「えりち。」

「…?」

「見てみ。」



「…雨、止んでる。」



やっと、ピースが7つ揃った

…あと、1つ


最後のピースは…
666: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:23:32.22 ID:4dnOGkgI.net
「…どうするつもり?」

理事長室から出て来たえりちに、問いかける

「決まってるでしょう?」


理事長からのお話で

今度のオープンキャンパスの結果で

廃校が決定するらしい

逆に言えば、いい結果をだせれば

存続が決定するかもしれん、と言う事



「…えりち。」

「さ、戻って会議よ。」


生徒会室に戻って、会議を始める

「これより生徒会は独自に動きます。」

「なんとかして、廃校を食い止めましょう!」
667: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:24:07.41 ID:4dnOGkgI.net
「…」

役員に、動揺が見えた

多分…きっと


ウチと、同じ事を考えてるんちゃうかな?

「…何か?」

「…言いたい事あったら、言った方がええよ?」

「…はい。」

「あの…これって、この学校の入学希望者をふやすために。」

「何をするかの話し合い、ですよね…?」

会計の子が、答える

「…ええ。」

「だったら…!」

「楽しい事を、いっぱい紹介しませんか?」
668: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:25:06.52 ID:4dnOGkgI.net
「学校の歴史や…」

「先生が良いってことも大事だと思うんですけど…」

「ちょっと、今までの生徒会は堅苦しい気がしていて…」

「例えばここの制服って、可愛いって言ってくれる人多いんですよ…?」

書記の子も、それに続く

「…それいい!」

「そう言うのを、アピールして行きましょうよ!」

「スクールアイドルとかも、人気あるよね。」

「いいねえ!うちらの学校にもいるし!μ'sだっけ?」

「あの子達に頼んで、ライブやってもらおうよ…!」

「いいね!!」



「…他には!?」

えりちの言葉に、みんなが萎縮する


…やっぱり、壁はえりちやね
669: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:25:46.51 ID:4dnOGkgI.net
だからウチは

ちょっとだけお手伝いをする事にした

一年の頃、えりちが見せてくれた映像

…それを、あの子に託してみたん



「嫌でしょう?自分の学校が廃校になったら…」

「あんなに、頑張ってきたのに…!」

えりちが、聞いてくる

「それはそうやけど…」

だからこそ、頑張って来た訳やし

でも…

「廃校をなんとか阻止しなきゃ、って…」

「無理しすぎてるんやない?」


…なんでえりちは、廃校を阻止したいんやっけ?
670: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:26:32.32 ID:4dnOGkgI.net
「そんな…無理なんて…」

「…えりちも頑固やね。」


「私はただ…学校を存続させたいだけ。」

「なんで?」

「なんでって…」

えりちの顔が、変わる


コンコン

「…?」

「はい…」


えりちが、扉を開ける


「貴女達…!」


…やっぱり、託して正解やったかな?
671: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:27:12.53 ID:4dnOGkgI.net
「お願いします!」

「私たちに、ダンスを教えてください!」


「…私にダンスを?」

「はい!教えて頂けないでしょうか?」

「私たち、上手くなりたいんです!!」


「…どうして、私に?」

「生徒会長のバレエ、見させてもらいました!」

「なっ…!?」


ちょっ…そんな睨まんといてよ、えりち


「だとしても…」

「貴女達は、私に目の敵にされてるのよ?」

「なのになぜ…」


「この学校を、存続させたいからです!!」
672: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:27:46.32 ID:4dnOGkgI.net
「私が、良い顔をしないと知ってて、頼みに来たの?」

「…私、考えたんです!」

「どうして、生徒会長が認めてくれないのか!」

「…」


「それは、私たちが認めてもらえるレベルにいないからじゃないか、って。」

「だったら!」

「そのレベルになれるまで、頑張りたいんです!」


「だから…お願いします!」

「私たちに、ダンスを教えてください!」


「…」



「…わかったわ。」
673: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:28:21.20 ID:4dnOGkgI.net
「本当ですか!?」

「…貴女達の活動は理解できないけど。」

「人気があるのは間違いないようだし。」


「…引き受けましょう。」


「「ありがとうございます!!」」

「…それじゃ、放課後に。」

「はいっ!!」

笑顔で、彼女達は帰って行った


「…さ、教室に戻るわよ。」

「…なあ、えりち。」

「認めたくない理由って…」

「さっきので、合ってるん?」


「…」



「…そんな訳ないじゃない。」
674: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:57:45.14 ID:4dnOGkgI.net
---


「…どうやった?初めての練習。」

教室に戻って来たえりちに、声をかける


「…駄目ね。」

「むしろ、良くこれまでやって来た物よ。」

「…じゃあ、もう見限るん?」

「…それは。」


ふふっ

なんだかんだで、えりちも期待してくれてるんかな?



「…ほら、帰りましょう。」

「うん♪」
675: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:58:23.78 ID:4dnOGkgI.net
---

今日も、えりちはみんなの練習に行ったみたい

あんまり覗くのも悪いから、待ってるけど…

えりちが凛ちゃん達に連れられて、入って行くのが見えた


ちょーっとだけ、耳を傾けてみると…


「…辛くないの?」

「昨日あんなにやって、今日また同じ事をするのよ?」

「…第一、上手くなるかどうかも分からないのに。」

「やりたいからです!」

第一声は、穂乃果ちゃん

「確かに、練習はすごくきついです。」

「身体中痛いです。」

「…でも、廃校をなんとか阻止したいと思う気持ちは!」

「生徒会長にも負けません!」

「だから今日も!」

「よろしくお願いします!!」

「「お願いします!!」」
676: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:59:03.04 ID:4dnOGkgI.net
「…!」

えりちが飛び出してくる

ウチはあわてて、隠れた


…なんで、認めたくないん?

あんなに…

あんなに、同じ想いを持ってるのに





もしかして、えりちは…



えりちが立ち止まった所で、声をかける


「…ウチな?」


「希。」
677: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 19:59:43.98 ID:4dnOGkgI.net
「えりちと友達になって。」

「生徒会やってきて。」

「ずぅーっと思ってた事があるんや。」

「…えりちが、本当は何がしたいんやろう、って。」

「…え?」

「一緒にいると、分かるんよ?」

「えりちが頑張るのは、いつも誰かのためばっかりで。」


にこっちのときだって…そう


「…だから、いつも何かを我慢してるようで。」

「全然自分の事を考えてなくて…!」


初めて会った頃の

あの、自分を変えたがってたえりちに戻ってほしくて…!
678: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:00:20.61 ID:4dnOGkgI.net
えりちが、歩き出す

聞きたくないと、言わんばかりに

「学校を存続させようって言うのも。」

「生徒会長としての義務感やろ!?」

「だから理事長は!」

「えりちの事を、認めなかったんと違う!?」


「えりちは…」

「えりちは、何のために生徒会長になったん!?」

「何が、えりちの曲げられないものなん!?」


「えりちの本当にやりたい事は…!?」




また…

笑う、えりちが見たいよ
679: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:01:04.67 ID:4dnOGkgI.net
「…」

「…なによ。」

「なんとかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!!」


「私だって、好きな事だけやって…!」

「それだけでなんとかなるんだったらそうしたいわよ!!」


えりちの目から、それが溢れる


「自分が不器用なのは分かってる…!」

「でも!」

「今更アイドルを始めようなんて…」

「私が言えると思う…?」


「それが出来ないから、生徒会を頑張ってるんじゃない!!」

「認めてしまったら…」

「認めたら、私たちが今までやって来た事は何だったのよ!?」

「にこを突き放してまでやって来た事は、一体何だったのよ!?」
680: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:01:48.80 ID:4dnOGkgI.net
「あっ…」

えりちは、走って行っちゃった


…やっぱり

えりちは、いつも人のために動いてるんやね

だからこそ、えりちがμ'sには必要なんよ…?


…にこっちは、そんなのもう、分かってるんやから




「…よし。」


足早に、屋上に向かう


えりち…待ってて?
681: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:23:09.49 ID:4dnOGkgI.net
-----


「…そうだったんだ。」

「てっきり…」


「えりちは、きっとみんなとやりたいんよ。」

「でも、今までの自分が足かせになってる。」

「えりち自身が、自分を縛ってるん…」


「…今も昔も、えりちは誰かのために動いてる。」

「だからこそ、悔しいんやと思う。」

「自分が出来なかった事を、すんなりやってのけようとする、みんなが。」



「だから…!」


「分かってます。」

「だからこそ、私たちには絵里先輩が必要なんです。」
682: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:23:43.59 ID:4dnOGkgI.net
「この学校のために、頑張って来た人だから。」

「だから…」


「一緒に、叶えたい。」

「ここにいるみんなの想いは、一つです!」


「穂乃果ちゃん…」


「…まあ。」

「やってきた事は強引だけど、間違ってないし…」

「そのお陰で、にこは今ここにいるんだし?」


「…今更、恨んだりなんかしないわよ。」

「にこっち…」


「行こう、絵里先輩の所へ!!」


みんなが、走り出した


「…頼むな、みんな。」







「…なに言ってるのよ?」
683: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:24:28.55 ID:4dnOGkgI.net
…そっと、肩に手を置かれる

「アンタも、行くんでしょ?」

「え?でも…」


「アンタがいたから、私はここにいる。」

「アンタがいたから、絵里も素直になれたんでしょ。」


「…今更、部外者ヅラしてんじゃ無いわよ。」


「ウチは…」


「アンタが、μ'sを作り上げたのよ。」

「もっと、胸を張りなさい。」


「いつも、どんな時も、私たちのために動いてたのは知ってる。」

「結成時も、講堂でのライブも。」



「…そして、私の事だって。」
684: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:25:02.94 ID:4dnOGkgI.net
「…出来る事を、しただけやし。」

「…そ?」

「なら、アンタの曲げられない物って、なに?」

「…え?」

「教えてよ、希の曲げられない物。」


「それは…」


ウチの曲げられない物…

それは、誰かを支える力に…



「それは、μ'sにいちゃ、叶えられない物なの?」


…え?



「少なくとも私には、アンタが必要よ。」

「…」


「また私の隣にいてよ、希。」
685: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:25:40.45 ID:4dnOGkgI.net
「にこっち…」

手を、伸ばされる


「…今まで、ありがとう。」

「今、にこがここにいるのは。」

「絵里と…希の、おかげなんだから。」


「そ・れ・に!」

「μ'sなんて神話の名前付けるのはアンタぐらいでしょ?」

「にこっち、気付いて…!」


「…だいたい、自分も入りたかったんじゃないの?」

「わざわざ、9人の女神、なんてつけてさ。」


「…気付いて、欲しかったんじゃないの?」

「頑張ってる8人を、支える存在として。」


「…」
686: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:26:23.19 ID:4dnOGkgI.net
「…まあ、余計な詮索はしないわ。」

「今、目の前には可能性があるの。」

「…掴むの?掴まないの?」


「…ふふっ。それ、ウチの台詞やん?」


「い…いいでしょ、気に入ってるんだから…///」

「だから…ほら。」


「…うん、ありがとう。」


にこっちの手を、掴む


「行きましょ?」

「…絵里が待ってるわ。」



「…うん!」
687: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:31:28.17 ID:4dnOGkgI.net
---


「私の…やりたい事。」

「そんな物…」


「…」


「…えっ?」

穂乃果ちゃんが、手を伸ばす


「…貴女達。」

「生徒会長…いや、絵里先輩。」

「お願いがあります。」


「…練習?」

「なら、昨日言った課題をまず全部こなして…」

「絵里先輩!」







「μ'sに入ってください!!」
688: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:32:07.34 ID:4dnOGkgI.net
「え…」

「一緒にμ'sで歌ってほしいです!」

「スクールアイドルとして!」


…こんな笑顔、なかなか見られんよ、えりち

向けられてる好意に、気付こうよ


「…な、何言ってるの?」

「私がそんな事する訳無いでしょ?」


「…さっき希先輩から聞きました。」

…海未ちゃん


「やりたいなら素直に言いなさいよ。」

「…にこ先輩に言われたくないけど。」

「むっ…!」


「ちょっと待って!別に、やりたいなんて…」

「だいたい、私がアイドルなんておかしいでしょう?」






…じれったいなあ
689: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:32:51.27 ID:4dnOGkgI.net
「…やってみればいいやん?」

「特に理由なんか必要ない。」

「やりたいからやってみる。」

「本当にやりたい事って…」


「そんな感じで始まるんやない?」


「希…」



「…誰も、えりちを恨んでなんかないんよ。」

「えりちは、叶えたい物のために何かを捨てないとあかん、って言ったけど。」

「捨てなくても…叶えられる事もあるん。」


「みんなと一緒に…叶えてみいひん?」

「想いは…同じやろ?」


---廃校を、阻止する事


「…!」


…えりちが、穂乃果ちゃんの手をとった
690: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:33:21.44 ID:4dnOGkgI.net
「…絵里さん。」

「これで、8人…!」


「いや。」


…そう

やっぱりウチも、みんなと一緒がええんよ


「…9人や、ウチを入れて。」

「え、希先輩も…?」



「…占いで、でてたんや。」

「このグループは9人になった時…」

「未来が開ける、って。」


言い訳に、使うけど…いいよね



「…だからつけたんや。」

「9人の歌の女神…μ'sって。」
691: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/11(水) 20:33:55.02 ID:4dnOGkgI.net
「じゃ、じゃあ…」

「あの名前付けてくれたのって、希先輩だったんですか…?」


「…ふふっ。」


「希…」

「…まったく、呆れるわ。」

…にやついてる、くせに


そう言って、えりちは出て行こうとする


「…どこへ?」


「…決まってるでしょ?」


「練習よ!」




…これで、本当の本当に、ピースが揃った

ありがとう…


にこっち

えりち



…笑顔に、なれたよ
704: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:39:05.18 ID:rJbhM2JK.net
-----

「んん~っ…」

晴れた日の放課後

練習後の屋上


そこには、9人の笑顔があって


その中に、にこっちとえりちがいる


憧れてた、幸せ

望んでた景色が、ここにある


「…よし!」

オープンキャンパスは大成功した

理事長も、廃校までもう少し猶予を、って決めてくれた


ラブライブに向けて、やっと一つになった、ウチら
705: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:39:47.32 ID:rJbhM2JK.net
…そうそう

ラブライブ、って言うのが開催されるみたいで

詳しい事は、ウチもよく分からんけど…


とにかく、注目されるに越した事は無い

この学校を守るために

この学校を、存続させるために

なにより、みんなで楽しむために


…この9人なら、叶えられるって信じてる


みんなの目標を改めて決めて

今、ウチら9人はスタートした!





…はず、やったんやけど
706: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:40:31.35 ID:rJbhM2JK.net
「あつい…」

「そうだね~…」

にこっちと穂乃果ちゃんの、困り果てた顔


ウチらの熱が伝わったみたいに

夏がやってきた

当然、練習場所である屋上は炎天下になる訳で…


「っていうか、バカじゃないの!?」

「この暑さの中で練習とか…!」

「そんな事言ってないで…早くレッスンするわよ?」

「は、はい…」


凛ちゃんの影に隠れる、花陽ちゃん


…やっぱり、下級生にはえりちの怖いイメージが染み付いてるみたい
707: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:40:59.03 ID:rJbhM2JK.net
「は、花陽…」

「これからは、先輩も後輩もないんだから…ね?」

ちょっと、困り顔のえりち

もっと仲良く、団結するためには

ここらへんをどうにかしないとなあ…


「そうだ!」

穂乃果ちゃんの、元気な声

「合宿しようよ、合宿!」

まーた、穂乃果ちゃんの思いつき

…でも、不思議と悪い気はしないんよね
708: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:41:35.23 ID:rJbhM2JK.net
穂乃果ちゃんの勢いに負けて

真姫ちゃんが別荘の手配をしてくれる事になった


お金持ちって…すごいなあ


と、素直に感心する




「…そうだ。」

「…?」

「これを機に、やってしまった方がいいかもね。」

えりちが、にこっと笑う


ああ…多分

前に、えりちが言ってた事


…それにしても

えりちもずいぶん柔らかくなったなあ…
709: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:42:03.12 ID:rJbhM2JK.net
---


「ええ~!?」

集合場所の駅に、穂乃果ちゃんの驚いた声が通る

「先輩…禁止?」

「前から、ちょっと気になっていたの。」

えりちが、続ける

「先輩後輩はもちろん大事だけど…」

「踊ってる時に、そういう事気にしちゃ駄目だから。」


「…そうですね。」

「私も、3年生に合わせてしまう所がありますし…」

えりちと一緒に、メニューを作ってる海未ちゃんが同意する

「…そんな気遣い、全く感じないんだけど?」


そりゃあ…

にこっちは、見た目がね?
710: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:42:36.32 ID:rJbhM2JK.net
「それは…にこ先輩は上級生って感じじゃないからにゃ。」

あ、凛ちゃんが同じ事思ってた

「上級生じゃなきゃなんなのよ?」

「う~ん…後輩?」

凛ちゃんの、特大スマイル

「…っていうか、子供?」

無邪気な穂乃果ちゃん

少しばかり苦笑しながら、ウチも加わってみる

「マスコットかと思ってたけど…」

「どーゆー扱いよ!?」


…こんな感じで

最後に、するっと入ったウチも歓迎してくれてる

正直、何で?って言われるかと

最初はドキドキしてたけど…


みんな、受け入れてくれた
711: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:43:11.46 ID:rJbhM2JK.net
「…じゃあ早速、今から始めるわよ?」

「穂乃果?」

「あ、はい!良いと思います!」

「え…え…」

「ぅ絵里ちゃん!」

「…うん♪」


ま、そう簡単にはいかんよな

それでも、メンバーの空気は

どことなく柔らかくなった気がする


そして

「しゅ、しゅっぱあ~つ…」

にこっちの気の抜けた一言で、合宿は始まった
712: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:43:37.15 ID:rJbhM2JK.net
「「おお~っ!!」」


別荘の前で、気の抜けた声を出す

だって…想像してたより、ずっと大きくて

なんか…悪い気がしてくるやん?



「ここなら、練習もできそうね…!」

リビングで、えりちが言う

みんなは、他の部屋を見に行ってるみたい

「そうやね~♪」

「でも、せっかくなんやし…」

「外の方がええんやない?」

「海に来たとはいえ…」

「あまり大きな音を出すのも迷惑でしょ?」


「もしかして、歌の練習もするつもり…?」
713: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:44:05.57 ID:rJbhM2JK.net
「もちろん♪」

「ラブライブ出場枠が決定するまで…」

「あと、一ヶ月無いんだもの。」

「…やる気やね♪」


「…で、花陽ちゃんはどうしてそんな端にいるん?」

「なんか…広いと落ち着かなくって…」

そう言うと、観葉植物に隠れちゃった


…まあ、確かに広いよなあ


---

そんなこんなで、集合したけど

海未ちゃんの変なやる気スイッチから逃げ出して

ウチらは海で楽しむ事にした
714: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 01:44:43.15 ID:rJbhM2JK.net
海では、みんなすっごく笑顔で

何度も、感謝したくなる


受け入れてくれて

一緒にいてくれて、ありがとう、って


みんなでビーチバレーをしてると

にこちゃんにボールをぶつけちゃった

せっかくやし、穂乃果ちゃんが誘うけど…

隣にいた真姫ちゃんは、我関せず、と言った顔で…


「…なるほどね。」

「真姫はなかなか大変そうねえ…」

そういうえりちに、ウチは吹き出す

「何か、おかしい事言った?」

「…別に?」

あーんなに、みんなと敵対してたの…

誰やったかな?
720: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:34:51.03 ID:rJbhM2JK.net
「…買い出し?」

「なんか…スーパーが結構遠いらしくて。」

海で遊び尽くしたウチらは

真姫ちゃんの別荘に戻って来てた

で、もうすぐご飯という事で買い物に行く話をしてたんだけど…

「じゃあ、いくいく!」

元気に穂乃果ちゃんが手を挙げる

「…別に、私一人で行ってくるから良いわよ。」

真姫ちゃんが、止める

「私以外、お店の場所分からないでしょ?」


…やっぱり、難しい子やね

そんなときは…


「じゃあ、ウチがお供する♪」

「たまにはいいやろ?」

「こういう組み合わせも。」


…仲良く、なりたいから
721: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:35:24.96 ID:rJbhM2JK.net
別荘を出て、路肩を歩く

「おおーっ!」

「綺麗な夕日やねえ…」

どこか少し緊張してる真姫ちゃんに、声をかける

「…どういうつもり?」

「別に?」

「真姫ちゃんも面倒なタイプだなーって。」


「…本当はみんなと仲良くしたいのに。」

「なかなか素直になれない。」


「私は普通にしているだけで…」

「そうそう♪」

「そう言って素直になれないんよね。」


「…っていうか、どうして私に絡むの!?」

「う~ん…」
722: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:35:59.79 ID:rJbhM2JK.net
「…ほっとけないのよ。」

「よく知ってるから。」

「貴女に似たタイプ。」

真姫ちゃんと同じで

素直になれなくて、誤解を生んで

…結果、一人になった子を


「…なにそれ。」

「ま、たまには無茶してみるのもいいと思うよ?」

「…合宿やし♪」


ここにいるみんなは

…きっと、真姫ちゃんの事も受け入れてくれるから


あの、不器用な子だって、受け入れたんやから
723: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:36:39.22 ID:rJbhM2JK.net
そうやってカレーとサラダの材料を買って

ウチらは元来た道を戻る


「ねえ、希せん…」

「どうしたん?真姫ちゃん。」

「えっと…」


「…言葉使いなら、無理しなくてええんよ?」

「徐々に、慣れて行けば良いんやから。」


「…うん。」

「…でも。」

「?」

「真姫ちゃんが仲良くなりたいと思うなら、意識は変えんとね♪」


「わ、わかってるけど…」

「…ふふっ。」
724: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:37:17.50 ID:rJbhM2JK.net
そしてにこっちの作ったカレーを食べた

にこっち…

隠そうとしてても、ウチとえりちは知ってるからな?


ていうか…

前よりも猫かぶってるのは何でなんやろ?


なんにせよ

そんな事を考えてる間に

この後の事でみんなが揉めだした


これは、収拾つかなそうやなあ…

仕方ないから、ちょっとだけ先輩らしく

「じゃあ、もう今日はみんな寝ようか。」


「「え?」」
725: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:37:52.87 ID:rJbhM2JK.net
「みんな疲れてるでしょ?」

「練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜する事にして…」


あんまり、こうみんなに意見をするのは

ウチの柄じゃないけど…


せっかく合宿に来てるんやし

楽しく終わりたいやん?


「じゃあ、決定やね♪」


そして、みんなでお風呂に入って


さあ、寝る準備や!





…の、はずが…
726: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:38:32.34 ID:rJbhM2JK.net
「いっくぞー!」

「にゃあ~!!」

穂乃果ちゃん、凛ちゃんの元気コンビ

…プラスにこっちが布団の上でゴロゴロする


この元気っ子たちは、見てて気持ちええなあ…


とりあえずみんなの寝る場所を決めて

電気を消したけど…

やっぱり、みんな元気な子達で、そうそう眠れる訳も無く…


せっかくやし、きっかけでも作ってみよか♪


「さっさと寝るわ…ぶっ!?」

面白い顔のにこっち目掛けて

ウチの枕を投げつける


「真姫ちゃんなにするのー?」

…さあ、どうなる?
727: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:39:00.65 ID:rJbhM2JK.net
「えっ?何言ってるの…?」

「アンタねえ…!」

「いくらうるさいからって…」

今度は真姫ちゃんの枕に手を伸ばす

「そんな事しちゃ駄目…やんっ?」

それを今度は凛ちゃんに

…おお、ナイスキャッチ!


「何する…にゃっ!」

凛ちゃんはそれを、穂乃果ちゃんの顔に

「…よぉ~しっ!!」


穂乃果ちゃんの投枕を、真姫ちゃんが防ぐ


「投げ返さないの?」

「貴女ねえ…!」
728: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:39:25.68 ID:rJbhM2JK.net
そんな真姫ちゃんに、まさかのえりちが投げつけた

「…ふふっ。」

「…」

「もぉ~!!」

「良いわよ、やってやろうじゃない!!」


枕投げ、スタートやね♪


空中を舞う枕

下で一人寝る海未ちゃん


みんな、すっごく笑顔になったけど…

海未ちゃんを怒らせちゃって、まさかの暴走


止めるためには…

「…!」

真姫ちゃんと目を合わせる

「…せーのっ!」
729: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:39:56.48 ID:rJbhM2JK.net
「…よしっ。」

なんとか、海未ちゃんを倒す事が出来た


「全く…」

「でも、元はと言えば真姫ちゃんが始めたにゃ…」

「ち、ちがうわよ…!」

「あれは希が…」

「ウチは何にも知らないけどねー?」

「アンタねえ…!」

真姫ちゃんが何か言う前に、枕で口を塞ぐ

「ッ…!」

「って何するの希ー!」


「…自然に呼べるようになったやん。」

「…名前。」
730: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:40:30.42 ID:rJbhM2JK.net
「…えっ。」


「本当に面倒やなっ♪」

「べっ…別に。」

「そんな事頼んでなんかいないわよっ!!」

真姫ちゃんに投げられた枕をひらりとかわす


「…そ?」

「なら、もう大丈夫やね♪」


「そ、それは…」


「さ、寝よっか。」


-----


「んっ…」

朝日に、目を覚ました

「…みんな、寝顔可愛いなあ。」

起こすのも悪いから、外に出てみる
731: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:41:12.40 ID:rJbhM2JK.net
「…やっぱり、海は気持ちいいなあ。」

ゆっくり、伸びをする


「…みんなと、もっと仲良くなれたかな?」

風が、塩の香りを運んでくれる

「…ふふっ。」

「応援…してくれてるん?」


何も答えてはくれないけど

何かが、そこにはあるような気がした


「…ん?」

足音に、振り返る


「…お、早起きは三文の徳♪」

「お日様から、た~っぷりパワーもらおっか。」
732: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:42:00.97 ID:rJbhM2JK.net
「…どういうつもり?」


「別に真姫ちゃんのためや無いよ?」

海に向き直る

「…海はいいよね。」

「見ていると大きいと思ってた悩み事が。」

「小さく見えて来たりする。」

「…」

「…ねえ、真姫ちゃん?」

「?」

「…ウチな、μ'sのメンバーの事が大好きなん。」

「ウチはμ'sの誰にも欠けてほしくないの。」

「確かに、μ'sを作ったんは穂乃果ちゃん達だったけど。」

「ウチもずっと見て来た。」

…支えて、あげたくて

「何かある度に、アドバイスもしてきたつもり。」
733: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:42:38.51 ID:rJbhM2JK.net
「…それだけ、思い入れがある。」

ウチらを、受け入れてくれたから


「…あ、ちょっと話し過ぎちゃったかも♪」

「みんなには秘密ね?」


…真姫ちゃんも、そんな大事な人のひとり、って事


「…めんどくさい人ね、希。」


真姫ちゃんの、笑顔が見れた

…伝わって、くれたんかな?

「あ、言われちゃった♪」



「真姫ちゃーん!希ちゃーん!」


穂乃果ちゃん達が、駆けてくる
734: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 22:43:10.65 ID:rJbhM2JK.net
朝日に向かって一列にならんで

何となく、手をつないでみる

まるで、決意したみたいに


「…ねえ、絵里。」

真姫ちゃんが、口を開く

…うん♪


真姫ちゃんに、目配せする



「…ありがとう。」


「ハラショー!」





「よーしっ!ラブライブに向けて。」

「μ's、がんばるぞー!!」




「「おーっ!!」」
735: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:18:37.38 ID:ctOqhNZ8.net
真姫がなぜ絵里に礼をいったのかがわからん
アニメでもそうだったんだが、なぜ希じゃないんだろう
736: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:20:24.23 ID:rJbhM2JK.net
>>おk
俺なりに勝手に補足する
ちょっと待ってて
739: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:31:36.74 ID:rJbhM2JK.net
「…さあ、朝ご飯を食べたら練習です!」

「よーっし、いっぱい食べるにゃー!!」


「…さ、行こっ?希ちゃん。」

「うん、花陽ちゃん♪」


みんなで、別荘に戻る






「…行きましょ、絵里。」

「ええ、そうね。」


「…ねえ、真姫。」

「?」

「ひとつだけ、聞いてもいいかしら?」

「何よ、改まって。」


「どうして、私に言ってくれたの?」
740: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:32:13.14 ID:rJbhM2JK.net
「…え?」

「…だって、希のお陰でしょ?」

「それは…」


「確かに、話せるようになったのは希のお陰だけど…」

「私のためじゃない、って言われちゃったし。」


「…それに。」

「希から聞いたわ。」

「いつだって不器用で…」

「素直になれない、誰かさんのことを。」


「それって…!」


「そんな誰かさんが。」

「…私の事に気付いて、行動に移してくれた。」

「先輩禁止も…そうでしょ?」
741: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:32:49.86 ID:rJbhM2JK.net
「…買いかぶりすぎよ。」

「…でも、そうね。」


「私も、おせっかいな誰かさんに助けてもらったから。」


「そのおせっかいな誰かさんは。」

「私を、変えてくれたの。」

「…だから今度は。」

「私が、誰かの力になれたら、って。」

「…そう、思ったのよ。」


「…そっか。」


「…でも、それこそ。」

「真姫のため、だけじゃないわ♪」


「ふふっ…そうね。」


「さ、行きましょう、真姫♪」

「分かったわ、絵里。」




「おーい!えりち、真姫ちゃーん!」


「おせっかいな誰かさんも、呼んでることだしね♪」

「ふふっ…そうね♪」
742: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/12(木) 23:34:57.17 ID:rJbhM2JK.net
俺としては、こんなイメージで脳内変換してる

それでは、時間をおいて本編に戻ります
745: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:20:08.69 ID:k/pdpXsp.net
---

合宿から帰って来て数日

ネットの速報で

ウチらμ'sがランキング20位以内に入った事が知らされた

…これはつまり

ラブライブ出場の切符を手に入れたという事で…

穂乃果ちゃんも、みんなも喜んでた

もちろん、ウチも嬉しいよ?

でも、やっぱり簡単に行く訳じゃなくって…


「…まだ喜ぶのは早いわ。」

「決定した訳じゃないんだから。」

にこっちの言う通りや

「ラブライブ出場チームは。」

「2週間後の時点で20位以内にはいったグループ。」

「どのスクールアイドルも、最後の追い込みに必死なん。」
746: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:20:45.88 ID:k/pdpXsp.net
「…20位以下に落ちた所だって。」

「まだ諦めてないだろうし。」

えりちが、ウチに続く


「…つまり、これからが本番、って訳ね。」

「ストレートに言えばそう言う事よ、真姫。」

「喜んでる暇はないわ。」


…とは言え

今ウチらに出来る事は限られてる訳やし

まずは、もうすぐある学園祭で最高のステージをすることが一番



…と、言う訳で

ウチらは、ある教室に来てた


「なんで講堂がくじびきなワケ…?」

「昔から伝統らしくて…」
747: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:21:24.52 ID:k/pdpXsp.net
なんにせよ、講堂が使えんと厳しいのは事実やし…

にこっち、頼むで!


「…では次、アイドル研究部。」

にこっちが、前に出る


「見てなさい…!」

「が、頑張ってください…」


「にこちゃん、頼んだよ!」

「講堂が使えるかどうかで。」

「ライブのアピール度は大きく変わるわ!」

よし、ウチのスピリチュアルパワーも…!

手を合わせ、念を送る



結果は…!
748: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:21:50.66 ID:k/pdpXsp.net
----

「どーしよー!?」

結果を受けて、ウチらは屋上に来てた

「だ、だってしょうがないじゃない!」

「くじびきで決まるなんて知らなかったんだから…」

「あー!開き直ったにゃ!!」

「うるさーい!!」


どうしよう…空気が重い…


「にこっち…」

「ウチ、信じてたんよ…?」

「うるさいうるさいうるさーい!」

「悪かったわよ…!」



ず~ん…って音が聞こえてきそうな屋上で

穂乃果ちゃんが叫んだ
749: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:22:21.13 ID:k/pdpXsp.net
「…じゃあ、ここ!」

「「えっ?」」

「ここに簡易ステージを作ればいいんじゃない?」

「お客さんもたくさん入れるし!」

「…屋外ステージ?」

たしかに、それなら…

「なによりここは。」

「私たちにとってすごく大事な場所。」

「ライブをやるのに、ふさわしいと思うんだ♪」


…ふふっ

思わず、笑みがこぼれる


そう、いつだって

ウチらはこうして、進んで来た

穂乃果ちゃんが引っ張って来てくれた道

支えるのが、ウチら
750: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:22:59.25 ID:k/pdpXsp.net
「…さて、何を歌おうかしら?」

解散して、近くのカフェに

「…やっぱり、μ'sらしいのがええんかな?」

「ここは、このにこがセンターでぇ…」

「何曲披露するのかにも寄るわよね…」

「ちょっと、絵里!?」


「…ふふっ。」


…まさか

この3人でこんな事を話すなんて

昔のウチらに言ったら誰が信じたやろ?


別々の道を歩き出したはずが

今、同じ場所で同じ事をしてるなんて


「…希は、何がいいと思う?」
751: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:23:28.02 ID:k/pdpXsp.net
「う~ん、そうやなあ…」

3人で、思いを膨らます


…さて、どんな曲がいいかな


---

二人と別れて、部屋に戻る

「…ふう。」


結局、決まらずに個人で考える事になった


「…こういう時は♪」

鞄から取り出す、青いカード

「さて、今のウチらの運勢は?」

プールして、一枚を引く

「さて、これは……!?」


『死神』のカード

意味は---試練・別れ
752: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 00:23:56.28 ID:k/pdpXsp.net
「よりにもよって、このカードか…」


でも、あんまり悲しくはなかった

それは多分、μ'sにいるから


どんな困難だって、ウチらは乗り越えて来た

…むしろ、困難しか無かった気がする


それでも、ウチらはここまで来たんよ

だから…


怖くない

きっと、道は開ける


「…うん、大丈夫。」

自分に、言い聞かせる

まずは、学園祭や!







---そしてそれは、唐突に訪れた
754: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:42:12.23 ID:k/pdpXsp.net
---


「ええっ!?曲を?」

学園祭に向けたミーティングで、穂乃果ちゃんが言う

「うん!」

「昨日、真姫ちゃんの新曲聞いたら、やっぱり良くって!」

「これ、一番最初にやったら盛り上がるんじゃないかな、って。」

「…まあね。」

「でも、振り付けも歌もこれからよ…?」

えりちが、少し穂乃果ちゃんを抑える

「…間に合うかしら。」


「頑張ればなんとかなると思う!」

「…でも、他の曲のおさらいもありますし。」

海未ちゃんも、どうやら乗り気じゃないみたい


…ウチとしては、面白そうとは思うけど
755: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:42:41.52 ID:k/pdpXsp.net
「わ、私、自信ないな…」

花陽ちゃんも、弱気になってる

ここは、何か言った方がいいかな?

そう考えていると…


「μ'sの集大成のライブにしなきゃ!」

「ラヴライブの出場がかかってるんだよ?」

やっぱり、穂乃果ちゃんやね

「…まあ確かに、それは一理あるね。」

「でしょ!?」

「ラブライブは、今の私たちの目標だよ!」


「…そのためにここまで来たんだもん!」


みんな、同じ気持ちなんかな?
756: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:43:03.70 ID:k/pdpXsp.net
「私、頑張りたい!」

「そのために、やれる事は全部やりたい!」

「…ダメかな!?」


誰も、反対なんてしなかった

ここにきて、みんなの気持ちは一つやもん


絶対、上手く行く

そのために、頑張ろうって

ラブライブに向けて

学園祭に向けて


ウチら9人は、同じ方向を向いてた











…はずやった
757: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:43:31.69 ID:k/pdpXsp.net
「…海未ちゃん、どうしたん?」

「…希。」


練習後

なんとなく海未ちゃんの様子が気になって

声をかけてみた


「穂乃果ちゃんの事?」

「…確かに、それもありますが。」


「ことりの雰囲気が、どこか…」

「ことりちゃん?」


「希から見て、ことりはどうですか?」

「うーん、特に目立った所は何も…」

「…そうですか。」

「やはり、私の気のせいでしょうか。」
758: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:44:04.37 ID:k/pdpXsp.net
「でも、幼なじみしか分からん事もあるやろうし…」

「ウチも、気にはかけてみるよ。」


「ありがとうございます、希。」


「それに、穂乃果ちゃんも心配や。」

「以前よりやる気になったのはいいことやけど。」

「オーバーワークの可能性もあるから、気をつけて。」


「…はい、分かってます。」


「でも、何かあったら相談してな?」

「…ふふ。希は本当に、お姉さんみたいです。」


「海未ちゃんさえ良ければ、来てもええよ?」


「なっ…!?///」


「それじゃあね~♪」
759: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:44:34.21 ID:k/pdpXsp.net
---

学園祭当日

土砂降りの雨の中

それでも、みんなで頑張ろう、って意気込んでた


ウチは、生徒会の方で少し用事があって

みんなとは別行動してたんやけど…


だから、気付けなかってん


ことりちゃんと、海未ちゃんが話してた事に

そして、穂乃果ちゃんの様子に



「…全然弱くならないわね。」

「って言うか、さっきより強くなってない?」

「これじゃあ、例えお客さんが来てくれたとしても…」
760: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:45:04.76 ID:k/pdpXsp.net
「やろう!」

「…ファーストライブの時もそうだった。」

「あそこで諦めずにやって来たから。」

「今のμ'sがあると思うの。」

「だからみんな…行こう!!」


「…そうだよね。」

「そのためにずっと、頑張って来たんだもん。」

花陽ちゃんの、笑顔

「後悔だけはしたくないにゃ!!」


「…泣いても笑っても、このライブの後には結果が出る。」

えりちに、ウチも続く


「なら、思いっきりやるしかないやん♪」

「進化した私たちを見せるわよ!」

「やってやるわ♪」
761: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:45:30.37 ID:k/pdpXsp.net
そして始まったウチらのライブ

曲は『No brand girls』

いつだって、前を向いてきたウチら

どんな壁だって、壊していける

この、9人なら


新曲なのに、ばっちり揃って

ステップも、ターンも大丈夫

土砂降りの中でも、笑顔で、声だして


最高の、ステージやった

ラブライブに、手が届く


そう、本気で思えるステージやった
762: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/13(金) 15:46:15.13 ID:k/pdpXsp.net
アウトロに合わせて、ポーズをとる

最後まで、笑顔で


曲が、終わる


…そのとき、穂乃果ちゃんが倒れた


「穂乃果!!」








…壁は、いつだって壊せる

この、9人なら


それじゃあ、この9人じゃなかったら?


1人でも、欠けてしまったら…?




夢は、追えるんかな---
766: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:06:50.60 ID:RQsI5dkY.net
ライブは中止

急いで穂乃果ちゃんを保健室に連れて行く


…幸い、風邪がこじれただけみたいで

寝ていれば、回復するみたい

でも…


「とりあえず、私は理事長に呼ばれてるから、行ってくるわ。」

「今日は、解散しましょう。」


「「…」」


無理も無い

ほんとに、いきなりの事で

ウチらも、どうして良いか分からなくなったから
767: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:07:17.92 ID:RQsI5dkY.net
---


「…おかえり、えりち。」

「希…にこ…」


えりちが理事長室から帰ってくるのを

ウチとにこっちは待ってた

「みんなには、帰ってもらったよ。」

「…そう。」


「…話さなきゃいけないんでしょ、これからの事。」

「…そうね。」


「理事長から、言われたわ。」

「無理しすぎたんじゃないか、って。」

「こういう結果を招くために、アイドル活動をしていたのか、って。」
768: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:07:55.99 ID:RQsI5dkY.net
「…」

「…だから。」

「活動、休止ってこと?」

「いいえ。」

「これからも、続けていいそうよ。」

「でも…」


「ライブイブの事?」

えりちに、聞いてみる

「ええ。」

「穂乃果が倒れた事で。」

「μ'sのみんなのメンタルも心配よ。」

「それに、次誰がこうなるか分からない。」


「…そうやね。」

海未ちゃんが言ってた、ことりちゃんの事も気になる
769: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:08:32.65 ID:RQsI5dkY.net
「…なら、ラブライブの出場は辞退ね。」

「にこっち…!?」

「何よ?」

「てっきり、にこは反対するかと思ってたから。」


「別に。」

「これが、にこ一人の問題なら、絶対に諦めないわ。」

「でも…今は、一人じゃないから。」


「…そうね。」

「活動できなくなる訳じゃない。」

「ラブライブに出れなくても、廃校を阻止する事は出来るはずよ。」


「…」


仕方ない、のかなあ…?
770: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:09:09.49 ID:RQsI5dkY.net
「珍しく、希が弱気じゃない。」

「…だって。」

「ここまで、頑張って来たから…」


「確かに、私たちは今まで精一杯頑張って来た。」

「でも、この結果になってしまったのは。」

「私たち全員のミスよ。」


「…それに。」

にこっちが続ける

「もう…あんな事には、なりたくない。」


「…そうやね。」


本当は、にこっちが一番辛いはずやのに
771: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:09:43.47 ID:RQsI5dkY.net
「…とにかく。」

「きっと、この先続けても。」

「どこかで無理が来るはずよ。」

「…うん。」


「意思の統一が出来なくなったチームは。」

「ほんの少しの事で瓦解するわ。」


「私たちが私たちであり続けるために。」

「ここは、耐えるべき時よ。」


「…にこも、賛成。」

「確かに、ラブライブに出れなくなった事は悔しい。」

「…でも、それでμ'sがμ'sで無くなるくらいなら。」

「出場出来ない事ぐらい、諦められる。」
772: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:10:36.43 ID:RQsI5dkY.net
「…こう、考えられるようになったのは。」

「希、アンタのおかげよ。」

「だから、今度は私たちを信じなさい。」


「…うん、そうやね。」


実際に経験したにこっちやからこそ

どうするのが最善か、分かってると思う

なら、ウチもそれを信じるよ


「…ごめん、感傷的になって。」

「ウチも、みんなと一緒にまだまだ楽しみたいもん。」

「だから、その次を考えよう。」


「ええ、もちろんよ。」

「それに…」
773: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:11:10.91 ID:RQsI5dkY.net
「えりち?」

「…いえ。」

「理事長が、何か言おうとしてたのよ。」

「何かって…?」


「…ごめんなさい、分からないわ。」

「でも、今私たちは出来る事をすべきよ。」


「…それが、最上級生として。」

「μ'sに受け入れてもらった私たちが出来る事よ。」


「うん。」

「そうね。」


「この事は、明日みんなと相談しましょう。」

「そして、放課後に穂乃果のお見舞いに…ね?」
774: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:11:38.60 ID:RQsI5dkY.net
「そうやね。」

「とにかく、うじうじ悩んでても、仕方ないわ!」

「私たちまで暗くなってちゃ駄目でしょ?」

「まだ半年あるんだから!」


「にこの言う通りね。」

「さすが、部長やね♪」


「ふふん!」




「それじゃ、帰りましょうか。」

「何があっても、私たち3人は後ろを向かない事。」

「…分かってる。」

「…うん。今度は、ウチらが支える番やね♪」


「さ、行きましょう?」
775: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:39:16.35 ID:RQsI5dkY.net
----


「申し訳ありませんでした!」

えりちが、穂乃果ちゃんのお母さんに頭を下げる

あの、良く来てた和菓子屋さん

「貴女達…」

やっぱり、無茶させちゃったし…

「なーに言ってるの?」

「あの子がどうせ、できるできるって。」

「全部背負い込んだんでしょう?」

「昔からずっとそうなんだから…」

怒られは、しなかった

それが本気なのか

ウチらに気を使ってくれてるからなのかは分からなかったけど


とにかく、上がらせてもらって

穂乃果ちゃんの部屋に
776: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:39:48.60 ID:RQsI5dkY.net
「あ、海未ちゃん!ことりちゃん!」

ベッドにいる穂乃果ちゃんは、思ったより元気そうやった


でも、穂乃果ちゃんが言った

『もう一度ライブ』の言葉に

みんなの顔が曇る


「…穂乃果。」

「?」

「ラブライブには、出場しません。」

「…え?」

えりちが、理事長に言われた事を話す

「それで、みんなで相談して。」

「エントリーを辞めたの。」






「…もうランキングに。」

「μ'sの名前は…無いわ。」
777: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:40:20.84 ID:RQsI5dkY.net
「そんな…」

落ち込む穂乃果ちゃんに、海未ちゃんが声をかける

「私たちがいけなかったんです。」

「穂乃果に無理をさせたから…」

「…ううん。」

暗くなってる子たちを、えりちが制する

「誰が悪いなんて話してもしょうがないでしょう?」


「…あれは全員の責任よ。」

「体調管理を怠って、無理をした穂乃果も悪いけど。」

「それに気付かなかった私たちも悪い。」


「…えりちの、言う通りやね。」

「今は、少しでも早く治す事に専念しよ?」

「これで、終わりじゃないんだから。」


「…うん。」
778: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:40:53.22 ID:RQsI5dkY.net
穂乃果ちゃんのお母さんに再度頭を下げて

ウチらは帰路についた



「…少し、強く言いすぎちゃったかしら。」

「そんなことないよ。」

「誰かが、言うべき事やから。」

「そう…なのかも知れないけど。」


「…」


「…なあ、えりち。」

「なに?」




「ちょっと、気になる事があって…」
779: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:41:25.43 ID:RQsI5dkY.net
-----


それから数日経って

穂乃果ちゃんも登校してくるようになった


…けど


「…相変わらずやね。」

「学校復帰してから、ずっとあんな感じじゃない。」

ラブライブのポスターが学区に張り出されてから

穂乃果ちゃんは、立ち止まってそれを見る事が多くなった

…そんなすぐには、吹っ切れんよなあ


「…希?」

「任せといて♪」


そっと穂乃果ちゃんに近づき

その膨らみに手をかける
780: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:42:16.01 ID:RQsI5dkY.net
「うわあああぁぁぁぁああ!?」

「希ちゃん!?」


「ぼんやりしてたら、次はアグレッシブなの行くよー?」

「い…いえ、結構です…」


よかった、ちょっとだけ気を紛らわせられたみたい


「…アンタも諦め悪いわねー。」

「いつまでそのポスター見てるつもりよ?」

にこっち、言い方…


「うん、分かってはいるんだけど…」

「けど?」

「けど…」

また、暗くなる


「希?」
781: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:42:55.21 ID:RQsI5dkY.net
にこっちの声に合わせて

ウチはさっきみたいに両手を上げる

「けっ、結構ですー!!」


「…そうやって元気にしていれば。」

「みんな気にしないわよ?」

えりちが励ます

「それともみんなに気を使ってほしい?」

「そういう訳じゃ…」


「今日から練習にも復帰するんでしょ?」

「そんなテンションで来られたら。」

「迷惑なんだけど?」


…まあ、この言い方がにこっちらしいかな?


「…そうだね。」

「いつまでも気にしてちゃ、しょうがないよね!」
782: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:43:32.89 ID:RQsI5dkY.net
「そうよ?」

「それに、私達の目的は。」

「この学校を存続させる事、でしょ?」


「うん!」


そう言って、穂乃果ちゃんは友達の所に駆けていった



「…大丈夫そうやね♪」


うん、きっと大丈夫

これでまた、9人揃ったんやし


このメンバーなら


きっと廃校だって…



そう思っていた時

一年生組がドアから飛び出して来た


「た、助けて…」
783: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:44:09.65 ID:RQsI5dkY.net
何事かと思って、廊下の掲示板の所に行くと


『来年度入学者受付』のお知らせが

その下には

『このたび音ノ木坂学院は』

『来年度の入学者受付を行う運びとなりました』


「「これって…!!」」

「中学生の希望校アンケートの結果がでたんだけど…」

「去年より志願する人がずっと多いらしくて…!」

花陽ちゃんと、真姫ちゃんが答える

「ってことは…」

「学校が…」

思わず、叫んでしまった

「存続するってことやん!!」
784: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 17:44:44.26 ID:RQsI5dkY.net
遅れて来たことりちゃんに

穂乃果ちゃんが抱きつく


本当に嬉しそうな二人を見て…

思わず、目が潤む


「…ハラショー。」

えりち、泣いてる

にこっちも…顔は見えないけど

肩が、少し震えてる


二人を、後ろから抱きしめる

「…何一つ、無駄なんかじゃなかったんよ。」


「「…うん。」」

こぼれそうな涙を我慢して

二人を、力いっぱい抱きしめた




…諦めなくて、良かった
785: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:00:04.68 ID:RQsI5dkY.net
-----


「では、とりあえず…」

「にっこにっこにー☆」

「みんなー?グラスは持ったかなー?」

「学校存続が決まったという事で。」

「部長のにこにーから一言。」

「挨拶させて頂きたいと思いまーす!」


次の日

ウチらは学校存続を祝って小さな祝賀会を開催した

えりちが理事長から聞いてきた話やと

あの時、理事長が言いかけたことはこの事やったらしい

「…でも、どうして最初に言ってくれなかったのかしら?」

「…例えばやけど。」

「あの状況で、ウチらの目標が無くなってしまったら。」

「μ's、解散してた可能性があるからとか?」


「…まさか。」
786: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:00:31.80 ID:RQsI5dkY.net
「…ま、今は気にしなくていいやん?」

「せっかくやし、楽しもっ?」

「…そうね♪」


でも、ウチは不安を拭えないでいた

何故、理事長はその時に言わなかったのか

もし、もし本当にそんな理由だったら


…そして、それが今のウチらに大事な事だったら



「…流石に、考え過ぎかな。」

自分の頭を整理するように

小さな声で、呟く


あかん、あかん

今は、楽しまないと!
787: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:01:04.56 ID:RQsI5dkY.net
みんなが、食事したり

笑い合ったり

楽しんでるのが見て取れる



「…ほっとした様子ね、えりちも。」

「…まあね。」

「肩の荷が下りた、って言うか…」

「μ's、やってよかったでしょ?」

「…どうかしらね。」

「正直、私が入らなくても。」

「同じ結果だった気もするけれど。」


「…そんな事ないよ。」

「えりちが、今までやって来た事、ウチは全部知ってる。」

「だからこそ、今、ウチらはここにおるんよ?」


「…そうかしら。」

「絶対、そう。」

「カードがウチに、そう告げるんよ♪」

そしてそれは、きっとにこっちも…
788: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:01:34.52 ID:RQsI5dkY.net
「…ごめんなさい。」

海未ちゃんが、立ち上がる

どうしたんやろ?


「みんなにちょっと話があるんです。」


「…聞いてる?」

「…ううん。」


えりちも、聞いてないってことは…

まさか…


「…実は。」







「突然ですが、ことりが留学する事になりました。」
789: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:25:27.35 ID:RQsI5dkY.net
「…2週間後に、日本を発ちます。」



「…なに?」

「うそ…」

動揺が、連鎖する

いきなりすぎて、思考が追いつかない


「ちょっと、どういう事…?」

ことりちゃんが、口を開いた

「…前から、服飾の勉強したいって思ってて。」

「そしたら、お母さんの知り合いの学校の人が。」

「来てみないか、って…」

「ごめんね?」

「もっと早く話そうって、思っていたんだけど…」


「学園際のライブでまとまってる時に言うのはよくないと。」

「ことりは気を使っていたんです。」
790: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:25:51.75 ID:RQsI5dkY.net
「それで、最近…」

海未ちゃんが気にしてたのは、その事やったんや

「…行ったきり、戻って来ないのね?」

えりちが、尋ねる

「…」

「高校を卒業するまでは、多分…」

それじゃあ、もう…



「どうして…」

穂乃果ちゃんが、立ち上がる

「言ってくれなかったの?」

「だから、学園祭があったから…」

「…海未ちゃんは知ってたんだ。」


「それは…」
791: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:27:06.96 ID:RQsI5dkY.net
穂乃果ちゃんが、跪いてことりちゃんの手を握る

「どうして言ってくれなかったの…?」

「ライブがあったから、って言うのは分かるよ…?」

「でも、私と海未ちゃんとことりちゃんは、ずっと…!」


「…穂乃果。」

「ことりちゃんの気持ちも分かってあげなよ。」

ウチとえりちで、フォローしてみたけど…


「…分からないよ!!!」

「だって、いなくなっちゃうんだよ!?」

「ずっと一緒だったのに、離れ離れになっちゃうんだよ!?」

「なのに…」





「…何度も、言おうとしたよ?」
792: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:27:37.70 ID:RQsI5dkY.net
「…!」

「でも…穂乃果ちゃん、ライブやるのに夢中で。」

「ラブライブに夢中で…」

「だから…ライブが終わったら、すぐ言おうと思ってた。」

「相談に乗ってもらおうと思ってた…!」


「でも…」

「あんな事になって。」

「…聞いてほしかったよ?」

「穂乃果ちゃんには、一番に相談したかった…!」

「だって、穂乃果ちゃんは…」

「初めて出来た友達だよ!?」

「ずっとそばにいた友達だよ!?」


「…」


「そんなの…」

「そんなの、当たり前だよっ!!」


「…ことりちゃんっ!!」


ことりちゃんは、走って出て行ってしまった
793: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:28:08.78 ID:RQsI5dkY.net
「…ずっと、行くかどうか迷っていたみたいです。」

「いえ…むしろ行きたがってなかったようにも見えました。」


「ずっと穂乃果を気にしてて。」

「穂乃果に相談したらなんて言うか、ってそればかり。」


「…黙っているつもりは無かったんです。」

「本当にライブが終わったら、すぐ相談するつもりでいたんです。」


「…分かってあげてください。」

そう…海未ちゃんは告げる



「そんな…」

「そんなの、全然…」


「…ッ!!」

「穂乃果っ!?」


穂乃果ちゃんも、出て行ったきり戻らなかった
794: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:29:17.10 ID:RQsI5dkY.net
「みんな、今日はもう…」

えりちが、お開きにしようとする


「ねえ、海未。本当なの…?」

「…はい、真姫。」

「知っていて、黙っていた事はすみませんでした。」


「海未が…悪いんじゃないわ。」

「ことりちゃん…海外に行っちゃうの?」

「…そう、みたいだね。」


「…」

こんなときに、みんなにかける言葉が見つからない

こんなときに支えるために、ウチは今ここにいるのに


なんで、何も言えんの…?

なんで、何も言葉が出てこないん…?



これじゃ…ウチのいる意味は…
795: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:29:59.33 ID:RQsI5dkY.net
「…ライブ、するわよ。」


えっ?


「アンタ達、このままでいいの?」

「ことりと、もう会えなくなるのよ?」

「もう、μ'sじゃ無くなるのよ!?」


「ことりが、自分の夢のために頑張るって言うなら。」

「そう決めたのなら!」

「応援してあげるべきでしょう!?」


「にこっち…」


「私は、このバラバラな状態のまま終わるのは嫌よ。」

「例えどんな理由があっても。」

「今まで私達の仲間だったことりを。」

「…笑顔で、旅立たせてあげたいじゃない。」


「じゃなきゃ…きっと、後悔するわ。」
796: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 18:31:14.25 ID:RQsI5dkY.net
「にこ…」

「ほら、絵里も、希もシャキッとする!」

「私達が下向いてどうすんのよ!?」


「今までの私達が無くなる訳じゃない。」

「なら、その仲間の門出ぐらい…」

「笑顔で送り出してあげましょ?」




「凛は賛成!!」

「は、花陽も…」

「やっぱり、このみんなで笑いたいです。」


「…にこちゃんにしては、いい事言うじゃない。」

「ちょっと真姫ちゃん!?」




「…ふふっ。」

「流石、にこっちやね。」

「ええ、悲しんでる場合じゃ無いわ。」

「…みんなで、最高のステージにしましょう!」


「「おーっ!!」」
803: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:36:11.20 ID:RQsI5dkY.net
放課後

えりちが、穂乃果ちゃんを呼びに行った

昨日みんなで話した事

穂乃果ちゃんがいないと、始まらんもん♪


「…お待たせ。」

「みんな…どうしたの?」

「穂乃果、ライブをしましょう?」

えりちが、伝える

「…ライブ?」

「そう!みんなで話したの。」

「ことりがいなくなる前に、全員でライブをやろう、って。」

「来たらことりちゃんにも言うつもりよ♪」

「思いっきりにぎやかなのにして、門出を祝うにゃ!!」


「…にゃっ!?」

飛び出した凛ちゃんの頭に

にこっちのチョップが落とされる

「はしゃぎすぎないの!!」
804: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:36:51.18 ID:RQsI5dkY.net
2人のほのぼのしたやりとりを見て、笑う


…でも、穂乃果ちゃんだけは違った

「…まだ落ち込んでいるのですか?」

穂乃果ちゃんは答えない

「明るく行きましょう?」

「これが9人の、最後のライブになるんだから。」

えりちが、励まそうとする

「…」


…穂乃果ちゃん、どうしたんやろ

見た事無い…顔


「…私がもう少し周りを見ていれば。」

「こんな事にはならなかった。」


「そ、そんなに自分を責めなくても…!」

「自分が何もしなければ、こんな事にはならなかった…!!」
805: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:45:03.24 ID:RQsI5dkY.net
花陽ちゃんのかけた言葉にも、反応しない

「アンタねえ…!」

「そうやって、全部自分のせいにするのは傲慢よ…?」

「でも…!」

「それをここで言って、何になるの?」

「何も始まらないし、誰も良い思いをしない。」


…そう

それを変えたくて

次に繋げたくての、提案

このままじゃ…

「…ラブライブだって、まだ次があるわ。」

真姫ちゃんも、穂乃果ちゃんを気遣ってる

「そう、今度こそ出場するんだから。」

「落ち込んでる暇なんて無いわよ?」

にこっちのやせ我慢も…

その想いも、穂乃果ちゃんには届かない
806: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:45:45.91 ID:RQsI5dkY.net
「…出場して、どうするの?」


「…えっ。」

「もう学校は存続できたんだから。」

「出たってしょうがないよ。」


…なんで

なんで、今それを言うん?

それじゃ、ウチが予想したみたいに…


「…それに、無理だよ。」

「A-RISEみたいになんて。」

「いくら練習したって、なれっこない。」


今、それはあかん…!

「ほのかちゃ…!」




「アンタそれ…本気で言ってる…?」
807: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:49:49.57 ID:RQsI5dkY.net
「本気だったら許さないわよ…?」

「許さないって言ってるでしょ!?」


真姫ちゃんが、慌てて止める

それでもにこっちは、止まらない


「にこはね…!」

「アンタが本気だと思ったから!」

「本気でアイドルやりたいんだ、って思ったから!」

「μ'sに入ったのよ!!」

「ここに賭けようって思ったのよ…!!」



「アンタ、希から聞いたんじゃないの!?」

「私が、今までどんな思いでやって来たか…!!」

「それを知って、にこの所に来たんじゃないのっ…!?」
808: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:50:19.47 ID:RQsI5dkY.net
「これじゃ…」

「これじゃ一緒じゃない!!」

「うちを辞めてった連中と一緒じゃない!!」

「こんな事くらいで諦めるの!?」




「…一緒だよ。」

「にこちゃん、前に言ったよね。」

「曲げられない想いを、アイドルに込めろって。」




「…私にとっての曲げられない物は。」


「海未ちゃんとことりちゃんと一緒に。」

「この学校を廃校から守ること。」




「…!」
809: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 22:50:52.84 ID:RQsI5dkY.net
「…廃校を阻止できた事は、嬉しいよ。」

「だって、それが夢だったんだもん。」

「そのために、スクールアイドル始めたんだから。」


「だったら…!!」


「やってみて、すごく楽しかった。」

「ずっとずっと歌ってたい、踊ってたいって思えた。」

「すっごく…楽しかったんだよ。」





「…この、9人でいる事が。」


「…」



「でも、そこにはもうことりちゃんはいないんだよ?」

「曲げられない物って…なに?」

「その2つが無くなっちゃったら…私はどうすれば良いの?」

「教えてよ、にこちゃん…!」


「…ッ!」
810: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:01:07.80 ID:RQsI5dkY.net
「…じゃあ穂乃果はどうすればいいと思うの?」

「どうしたいの?」


「…」


「…答えて。」


…なんで、こうなったんやろ

いつから…?

ことりちゃんの様子に気付かなかったから?


穂乃果ちゃんが無理してることに気付けなかったから?


それとも…


穂乃果ちゃんの譲れない物が

無くなるなんて思わんかったから…?



ウチは、どうしたら良かったん…?

もう二度と、こんなとこなんか見たくなかった

そのために、頑張って来たはずやのに…
811: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:01:29.80 ID:RQsI5dkY.net
「…辞めます。」


その言葉を聞いて

ウチの時間は止まった

…ううん、壊れたん


気付けなかった自分に

支えてあげられなかった自分に

何の力も無い自分に


…ただただ、嫌悪感しかなかった


「穂乃果ちゃん…」


なにも出来ないのに

届かないと分かってるのに

自然に…声が出た




引き止める力なんて…無いのに
812: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:02:04.09 ID:RQsI5dkY.net
走り出す長い髪と

乾いた音が響く


数秒経って

それが海未ちゃんである事と

穂乃果ちゃんを叩いた音であると理解した



「…!」


「貴女がそんな人だとは思いませんでした…」

「最低です…!」


「貴女は…」


「貴女は最低ですっ!!」



駆け出す穂乃果ちゃんと

座り込む海未ちゃん



ウチは…一体、何が出来るんよ
813: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:02:39.72 ID:RQsI5dkY.net
-----


「…希。」

また、心配かけてる

こんなこと、もう無いように、って決めたのに


「…えりち。」

「ウチ…ウチな?」


えりちが、そっと抱きしめてくれた


「希の気持ち、分かってる。」

「にこの事も…」

「他のみんなの、事も。」


「何が、間違ってたんやろ…?」

「どうすればよかったん…?」


「希は、間違ってないわ。」

「もちろん、みんなも。」


「…前に言った事、覚えてる?」
814: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:03:17.90 ID:RQsI5dkY.net
「…?」

「バタフライ効果の話。」

「小さな、きっかけ…?」


「…そう。」

「ことりの様子に。」

「穂乃果の想いに。」

「私達は、誰も気付けなかった。」


「その結果が、今よ。」

「これは、受け止めなきゃ駄目な事。」

「…!」


そんな事、今言われても…


「ごめんなさい。」

「でも…聞いて?」


「…?」
815: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:04:38.85 ID:RQsI5dkY.net
「未来は、可能性の集まりよ。」

「ちょっとした選択から、始まって。」

「…やがてそれは、大きな結果を生む。」


「その選択は、誰にでもあるわ。」

「そこに気付けるか、気付けないかなの。」

「私達は、気付く事が出来なかった。」

「全てが、上手く言ってると思ってた。」


「…そう、上手く行き過ぎてたのよ。」


「もっと、周りを見なければならなかった。」

「そうやって失敗をして来た私達だから。」

「そこに気付けた私達だったから、気付くべきだった…!」



「えりち…」


えりちも、悔しいんだ
816: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:05:52.14 ID:RQsI5dkY.net
「だからこそ…」

「だからこそ、私達なの。」


「次は、見落としちゃいけない。」

「そのきっかけに、ちゃんと気付くの。」

「もう二度と…」

「もう二度と、こんな事起こさないように…!」


「だから…ッ!」


「…」


えりちも、ウチと同じ

ただ必死に、どうすればいいかを考えてる

気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいやのに


思わず、下を向いてしまう



『私達が下向いてどうすんのよ!?』


「…!」


ハッと、顔を上げる
817: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/14(土) 23:06:32.43 ID:RQsI5dkY.net
「…そうやね。」

えりちの頭を、撫でる

「希…?」


「もう大丈夫、えりち。」

「でも…」


「大丈夫、もう泣かない。」

「もう、下は向かない。」


「次こそ、ちゃんと掴み取ってみせる。」


「…もう、誰も悲しまないように。」


「ウチらに出来る事、しよう…!!」



ウチらの出来る事

ウチらにしか、出来ない事がきっとある



前を向こう

もう一度、みんなで笑うために
825: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 02:19:13.91 ID:OeDux/sn.net
-----

「活動休止!?」

にこっちが叫ぶ

「ええ…それで少し、見つめ直して見た方が良いと思うの。」


「…ラブライブに出場できないどころか。」

「活動も休止なんて…」


「何も、ずっとなんかやない。」

「今一度、ウチらは考える必要があると思うんや。」

「何が、ウチらにとって一番大事なのかを。」


「…今のままで続けても、意味があるとは思えないわ。」

真姫ちゃんが、賛同してくれる

「μ'sは穂乃果がいなければ、解散したような物でしょ?」


「…ッ!」
826: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 02:29:03.79 ID:OeDux/sn.net
「…にこっち。」


「…?」

「少しだけ、時間をくれん?」

「どういうこと?」


「…ウチは。」

「μ'sは、9人揃ってこそやと、思ってる。」

「それって…!」

「…」


「…いいわ。」

「いつか言ってた恩返し。」


「楽しみにしてるわよ。」


「…うん♪」


絶対…叶えてみせる
827: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 02:40:03.70 ID:OeDux/sn.net
---

「正直、穂乃果が言いださなくても。」

「この問題にはぶつかっていたと思う。」


「…そうやね。」

ウチらの気持ちは

『廃校を阻止する』

それに、みんなが向いていた


それじゃ、それが無くなったら…?

穂乃果ちゃんの言う通り、そこでおしまい?




…そんな訳ない!!

今だからこそ、見つめ直せる

今だからこそ、向き合える



ウチらの、これからに
828: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 02:49:58.80 ID:OeDux/sn.net
「…そっか。」

「ええ。」

「にこ達は、このまま練習を続けるわ。」

「にこの曲げられない物は、変わらない。」

「最初から、ずっと。」


「…だから。」


「信じてるわよ、希。」

「…!」


「たとえ結果がどうなったって。」

「アンタの出した結論に、私達は従う。」


「にこっち…。」


「元はと言えば、アンタと一緒に出来たら私は満足だったのよ!」


「…ッ。」

「それでも、信じてるから。」


「…うん!」
829: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 02:51:04.46 ID:OeDux/sn.net
「海未には、断られたみたいね。」

「えりち…」


「…海未ちゃんにとっても。」

「二人の存在は大きかったみたいなんよ。」


「そう…」

「やっぱり、あの二人をどうにかせんと。」


「…諦めてないのね?」

「もちろん!」


「諦めるとしたら、ことりちゃんが出発してしまうまで。」

「その瞬間まで、ウチは信じたい。」



「…今まで、そうやって叶えて来たんやもん。」

「奇跡みたいな、ウチらの今を。」
830: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:04:32.47 ID:OeDux/sn.net
-----

「…きっと、すごいアイドルになるんだろうなあ。」



「…今度は、誰も悲しませない事をやりたいなあ。」

「自分勝手にならずに済んで。」

「…でも、楽しくて。」

「沢山の人を笑顔にするために、頑張る事が出来て。」


「そんな物、あるのかなあ…?」


「…あるよ。」


「えっ…?」


「…希ちゃん!」


「こんにちは、穂乃果ちゃん。」




「…今、少し時間あるかな?」
831: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:05:08.42 ID:OeDux/sn.net
-----


「…!凛ちゃん、花陽ちゃん!」

「穂乃果ちゃん…」

「練習、続けてるんだね?」

「うん…」


「当たり前でしょ?」

「…スクールアイドル続けるんだから。」

「…えっ?」

「悪い…?」

「いや…」


「μ'sが休止したからって。」

「スクールアイドルやっちゃいけない、って決まりは無いでしょ?」


「でも、なんで…?」





「…好きだから。」
832: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:05:35.31 ID:OeDux/sn.net
「…!」

「…にこはアイドルが大好きなの!」

「みんなの前で歌って、ダンスして。」

「みんなと一緒に盛り上がって。」

「また明日から頑張ろうって。」

「そういう気持ちにさせる事が出来るアイドルが…」


「私は大好きなの!」


「穂乃果みたいないい加減な好きとは違うの。」


「違う!私だって…!!」

「どこが違うの?」

「…」








「…穂乃果ちゃん、行っちゃったね。」

「うん、でも…」

「希ちゃんの、言った通りだった。」


「…」

「にこちゃん?」


「いいえ。」

「さ、練習するわよ!」


「うんっ!」
833: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:15:37.96 ID:OeDux/sn.net
-----


「…ごめんね?」

「いえいえ、お気になさらず♪」

「今、お茶を…」


「違うわ!」

「μ's、活動禁止にしようなんて言った事。」

「本当は私にそんな事言う資格ないのに…つい。」


「…ごめんなさい。」


「そ、そんな事ないよ。」

「って言うか…私が辞めるって言ったから。」


「…私ね?」

「すごくしっかりしてて、いつも冷静に見えるって言われるけど。」

「本当は全然そんな事ないの…」




「絵里ちゃん…」
834: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:16:05.73 ID:OeDux/sn.net
「いつも迷って、困って、泣き出しそうで…」

「希に実際、恥ずかしい所を見られた事もあるのよ?」


「…でも、隠してる。」

「ううん、隠してた。」


「自分の、弱い所を。」


「私は、穂乃果が羨ましかった。」

「素直に自分が思っている気持ちを。」

「そのまま行動に起こせる姿が…すごいな、って。」


「そんなこと…」



「…美味しい。」

「…」


「ねえ、穂乃果。」

「私には、正直何を言ってあげれば良いのか分からない。」
835: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:16:34.20 ID:OeDux/sn.net
「私達でさえ、ショックなんだから。」

「海未や穂乃果の気持ちを考えると、辛くなる。」


「…でもね。」

「私は、私が見て来た貴女達を信じたい。」


「いつだって前向きで。」

「自分の想いを押し出して。」

「それで、夢を叶えて行けるような…」

「…」


「そんな姿が、羨ましかったの。」


「絵里ちゃん…」


「私ね?」

「穂乃果達に教えられたの。」




「変わる事を恐れないで、突き進む勇気。」
836: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:17:10.55 ID:OeDux/sn.net
「…私のこの手は。」

「貴女達みんなに救われたの。」


「希に、変わる勇気をもらって。」

「にこに、想いと向き合う勇気をもらって。」

「そして…あの時の穂乃果の手に、救われたの。」


「だから、今度は私が救いたいの。」

「何が出来るのかも分からない。」

「それでも…」


「何か一つ、力になれれば、って…」



「…」

「穂乃果。」


「…希ちゃんも、同じ事言ってた。」


「希が…?」
837: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:25:45.62 ID:OeDux/sn.net
「自分は今まで、自分の事が嫌いだった。」

「何一つ変われない、自分の事が。」


「でも、にこちゃんや絵里ちゃんと会って。」

「手を、引いてもらえて。」


「ずっと…ずっと、助けてもらって来た、って。」


「希…」


「そうやって、いっぱいもらった幸せを。」

「今度は、返したいんだ、って。」

「前を向いて、歩く楽しさを知って。」

「誰かと笑える喜びを知って。」


「そんなみんなが、大好きだから…って。」



「…先を越されちゃったわね。」
838: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:26:09.07 ID:OeDux/sn.net
「絵里ちゃん…」


「私の想いは、希と一緒よ。」

「私も、希も、にこも…」

「お互いがいたから、ここまで来れた。」

「お互いに、感謝してもしきれないのよ。」


「…貴女達、3人みたいに。」


「…!」


「私達も、喧嘩する事だってあった。」

「口を聞かなくなった時期もあった。」

「すれ違う日々が続いた時もあった。」



「じゃあ、どうやって…?」
839: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:26:32.71 ID:OeDux/sn.net
「…簡単よ。」

「素直に、なる事。」

「断られたっていい。」

「嫌われたって良い。」


「自分の、本当の気持ちを言葉にするの。」


「本当の、気持ち…」



「私達は、そうやって乗り越えて来た。」

「だから…」


「きっと貴女達も、そうだと信じてる。」


「伝えても、それでも駄目なときは…?」

「それは、そのとき考えなさい。」

「まずは、やってみないと始まらないわよ?」
840: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:26:59.21 ID:OeDux/sn.net
「…」


「希の、押し売りだけどね。」

「可能性は今、目の前にある。」

「穂乃果は、それを掴む?掴まない?」


「私は…」


「無数にあるチャンスの、どれを貴女の物にするか。」

「それは穂乃果自身が決める事よ。」


「その手助けができるなら。」

「私達は、いくらでも力になるわ。」


「…」


「選ぶのは、穂乃果。」

「でも、叶えるのは…私達がいる。」


「もう…一人で抱え込むのはやめて。」

「みんなで…叶えるんでしょう?」
841: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:40:12.90 ID:OeDux/sn.net
-----


「…」


「…ごめんね、急に呼び出したりして。」

「いえ…」

「ことりちゃんは?」

「今日、日本を発つそうです。」


「…そうなんだ。」

「穂乃果…」



「私ね、ここでファーストライブやって。」

「ことりちゃんと海未ちゃんと歌った時に思った。」

「もっと歌いたい、って。」

「スクールアイドル、やっていたい、って。」



「…やめるって言ったけど、気持ちは変わらなかった。」
842: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:40:46.27 ID:OeDux/sn.net
「学校のためとか、ラブライブのためとかじゃ無く。」

「私…好きなの!」

「歌うのが!」


「…それだけは譲れない。」

「だから…」



「ごめんなさい!!」


「これからも、きっと迷惑かける。」

「夢中になって、誰かが悩んでるのに気付かなかったり…」

「入れこみすぎて、空回りすると思う。」


「だって私…不器用だもん!」


「…でも、追いかけていたいの!」

「わがままなのは分かってるけど…」

「私…!」
843: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:51:09.73 ID:OeDux/sn.net
「ぷっ…くくく…」

「…ふぇ?」


「…海未ちゃん!なんで笑うの!?」

「私、真剣なのに…!」


「…ごめんなさい。」

「…でもね。」


「はっきり言いますが…」

「穂乃果には、昔からずっと迷惑かけられっぱなしですよ?」


「…うぇっ?」


「ことりとよく話していました。」

「穂乃果といると、いつも大変なことになる、と。」


「どんなに止めても、夢中になったらなんにも聞こえてなくて。」


「…だいたい、スクールアイドルだってそうです。」
844: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:51:33.73 ID:OeDux/sn.net
「私は本気で嫌だったんですよ…?」


「海未ちゃん…」


「…どうにかして辞めようと思っていました。」

「穂乃果を恨んだりもしましたよ?」

「全然、気付いてなかったでしょうけど。」


「ごめん…」


「…ですが。」

「穂乃果は連れて行ってくれるんです。」

「私やことりでは、勇気がなくて行けない、すごい所に。」


「…海未ちゃん。」


「私が怒ったのは、穂乃果がことりの気持ちに気付かなかったからじゃなく…」

「穂乃果が自分の気持ちに嘘をついているのが分かったからです。」
845: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 03:52:12.47 ID:OeDux/sn.net
「穂乃果に振り回されるのは、もう慣れっこなんです。」

「だからその代わりに、連れて行ってください!」

「…私達の知らない世界へ!」


「…」

「それが穂乃果のすごい所なんです。」

「私もことりも…μ'sのみんなもそう思っています…!」


「それって…」


「希から、聞きました。」

「みんなが、これからどうしたいのか。」


「…」


「…私達、9人そろってこそ…だそうです。」

「希ちゃん…」



「…」
846: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:03:44.70 ID:OeDux/sn.net
「だって、可能性感じたんだ。」

「そうだ進め---」

「…!」

「後悔したくない。」

「目の前に…」


『僕らの道がある---』



「希から、教えて頂きました。」

「穂乃果は、掴むんでしょう?」

「今ある、9人の未来に繋がる可能性を。」



「…!」


「さあ、ことりが待っています!」

「迎えに行って来てください!」


「ええっ!?」

「でも、ことりちゃんは…!」
847: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:04:19.71 ID:OeDux/sn.net
「…私と一緒ですよ。」

「ことりも引っ張って行ってほしいんです。」

「わがまま言ってもらいたいんです!」


「…わがまま!?」


「そうですよ。」

「有名なデザイナーに見込まれたのに、残れなんて…」


「でも、そんなわがままを言えるのは…!」



「…行ってくる!!」

「必ず、つれて帰ってきてくださいね!!」


「任せてっ!!」

------

「ええと、空港まで…」


「穂乃果ちゃん!」


「の、希ちゃん!?」
848: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:04:49.26 ID:OeDux/sn.net
「やーっぱり、来ると思った。」

「なんで…」


「決まってるやん?」

「カードがウチに、そう告げたんよ♪」


「行き先は伝えてある。」

「さあ、行って?」


「いつのまに…」


「時間無いんと違うん?」


「あっ!えと…!」


「…ほら、急いで!」

穂乃果ちゃんの背中を、押す


「絵里ちゃん…にこちゃん…」


「行きなさい、穂乃果!」
849: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:05:32.63 ID:OeDux/sn.net
「…全く。急に呼び出したりして。」

「ちゃっかり、タクシーも呼んでるし。」


「…やってみたかったんよ。」

「これが…?」

「ふふっ。」


あの時の、凛ちゃん達みたいに

誰かを、応援する力

誰かの力に、なる力


「…信じてるよ、穂乃果ちゃん。」


「それじゃ、私達はステージの準備よ。」

「…絶対、二人で帰ってくるんでしょうね!?」


「…だーいじょうぶ♪」


「穂乃果ちゃんなら、きっと…!」
851: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:14:23.31 ID:OeDux/sn.net
「うう…緊張する…」

「それより、凛達制服のままだよ…?」

「…スクールアイドルらしくていいんじゃない?」

慌てる二人を、真姫ちゃんがまとめる


「穂乃果とことりは間に合うの…?」

「…絶対来ます、必ず。」


「って言ってる間にそろそろ時間やけど…」

「お客さんを待たせる訳にはいかないわ。」

そんな話をしていると


穂乃果ちゃんが飛び込んでくる


「…いったーいっ!」


「穂乃果ちゃん!?」
852: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:14:50.27 ID:OeDux/sn.net
「ことり…!」

「えへへ…」

「くぅ~…お待たせー!」


「…まったく、ハラハラしたにゃー。」


「…じゃあ、全員揃った所で。」

「部長?一言っ。」


「ええーっ!?」

「…なーんてね♪」

「ここは考えてあるわ。」



「…今日みんなを、一番の笑顔にするわよ!?」

にこっちが、ピースサインを前に出す


…ウチらも、それに合わせる
853: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:27:44.66 ID:OeDux/sn.net
「…みんな、ありがとう。」

「穂乃果?」


「私…みんなと出会えて、良かった。」

「これからは、このみんなと!」

「一緒に、夢を追いかけて行きたい!」

「みんなと、同じ夢を見たい!!」


「トーゼンでしょっ?」

「にこ…」


「…そうね。」

「この9人なら、何だって叶えられる。」



「…ありがとう、みんな。」

「この9人で、夢を追いかける事!」

「それが今の穂乃果の、曲げられない物!!」
854: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:28:01.56 ID:OeDux/sn.net
「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「6!」

「7!」

「8!」

「9!」



「よーし…行こう!!」
855: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:29:02.01 ID:OeDux/sn.net
曲が始まり、幕が開く

まばゆいほどに光る、ペンライト

…埋まる、客席


今までやってきて、本当によかった

諦めなくて、本当によかった


これからも、きっと何度も壁に当たる

…でも、この9人なら

ウチの信じる、この子達となら…!


そのためなら、ウチは何だって出来る

みんなを、影で支える

それがウチのやる事でいい


前に立てなくていい

気付かれなくてもいい

ただ、みんなの為に



…それが、ウチに出来る事
856: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:29:40.85 ID:OeDux/sn.net
曲が終わって、ポーズをとる


「…もう、アンタは変われたわ。」

「影の存在なんかじゃない。」

「一人の…アイドルよ。」



今…

今、そんなこと言われたら


溢れる涙を、必死に押し殺す


…ありがとう


おかげで、ウチはここまで来れた








…ね?


にこっち
857: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:30:45.43 ID:OeDux/sn.net
観客の前に、整列する

穂乃果ちゃんが、口を開く


「私達のファーストライブは、この講堂でした!」

「その時、私は思ったんです。」

「いつか、ここを満員にしてみせる、って!」

「一生懸命頑張って…」

「今、私達がここにいる!」

「この想いを…いつかみんなに、届けるって!」


「その夢が今日…叶いました!」


「だから…」

「私達はまた駆け出します!」




「新しい夢に向かって!!」
858: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:31:22.36 ID:OeDux/sn.net
「穂乃果…!」

「穂乃果ちゃん…!」


「皆さん!」

「今日は本当にありがとうございました!!」



「あっ、そうだ!」

「大事な事を言い忘れてました…!」


「…?」



「…さあ、皆さん!ご一緒に!!」





『μ's!』

『ミュージック…スタート!!』






新しい夢の扉が開く---音がした
859: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 04:36:47.93 ID:OeDux/sn.net
ここまでありがとうございました

手帳に書き留めてた話がここまで広がって
アニメクロスなんかもしちゃったりして
約1スレ分、お付き合いありがとうございます

ここから、話は2期に
そして希の成長に、進んで行きます

区切りが良いので、このスレはここまでにします
明日、一日休んで月曜日から新スレで始めたいと思います

ここがまだ残っていれば、ここにurl張りますので
無くなっていたら、同じスレタイで探してください

それでは、長い間ありがとうございました
また次のスレでお会いしましょう

あと、なにか質問あるなら答えますし
欲しいエピソードがあれば
サイドで展開するかもしれません

それでは、本当にありがとうございました
865: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:18:17.81 ID:OeDux/sn.net
スレ埋めがてら
リクエストのあった修学旅行編上げます

短編ですがお楽しみください
866: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:19:01.50 ID:OeDux/sn.net
Side Story

修学旅行編


-----


「青い海!白い砂浜!」

「来たで、沖縄!!」


「…もう、テンション上がり過ぎよ。」

「だって、沖縄なんよ!?」

「修学旅行なんよ!?」

「テンションあげない方が無理やん!」


「…ふふっ。」


夏休み明け早々に、ウチらは修学旅行先である沖縄に来てた

これが終わったら、生徒会選挙もあるし

廃校の事だって…
867: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:19:22.33 ID:OeDux/sn.net
「…今は、考えるのは辞めましょう?」

「せっかく、来たんだから。」


「…そうやね。」

「よし、行くでえりち!」



「希ちゃーん!絵里ちゃーん!」

「一緒にビーチバレーしよー?」


「…さっそくお誘いやね♪」

「あら?負けないわよ?」


「それじゃ、負けた方はジュースな!」


「望む所!!」
868: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:19:45.52 ID:OeDux/sn.net
クリアブルーの海をよそ目に

ウチらの対決が始まった


「…希ちゃんっ!」

「任せてっ!!」


思いっきりジャンプして、腕を振り下ろす


「ふっ!」


「…甘いわ!」


えりちに、軽く受けられた

「…そっち!」


「えーいっ!!」


「なんの、まだまだっ!!」
869: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:20:07.30 ID:OeDux/sn.net
「…ふう、お疲れさま。」

「お疲れさま、えりち。」


「結局、勝ち負け着かなかったわね。」

「えりちが負けず嫌いやからやん?」


「なっ…!?///」

「希も、精神的に揺さぶりをかけて来たじゃない!」


「…こういう事?」

にやっと笑って両手を挙げる


「…また、夏休みのプールみたいになりたいのかしら?」


「あー、シークワーサージュース美味しーなー。」


「…もうっ。」
870: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:20:34.46 ID:OeDux/sn.net
---


「シーサーの色付け体験だって。」

「自分で好きな色塗れるんやね♪」


「ちょっと、やってみましょうよ。」

「ええよ~。」

「ほな、えりちが塗った奴ウチにちょーだい?」


「え?」

「ウチのを、えりちにあげるから。」

「なんかその方が、守ってくれそうやし♪」


「…いいわよ。」

「とびきりすごいの、作ってあげるんだから!」
871: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:20:54.59 ID:OeDux/sn.net
「…えりち、これ…」


「…何も言わないで。」

「でも…」


「し、仕方ないじゃない!///」

「いや、個性的というかなんと言うか…」


「だ、だって意外に難しくて…」


「ごめんなさい。」



「…じゃあこれ、えりちに。」

「え?でも…」


「えりちの、もらうな?」

「…悪いわよ。」


「いいんよ。」

「世界に一つだけの、えりちが作ってくれたものやから♪」


「希…」
872: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:29:20.87 ID:OeDux/sn.net
楽しい時間はすぐ過ぎるとは良く言う物で

いつの間にか、明日が最終日になってた


「…早かったわね。」

「そうやなあ…」

「でも、楽しかったな♪」


「ふふっ、そうね。」

「生徒会選挙前の、良い息抜きになったわ♪」


暗くなった夜道を、二人で歩く

涼しい風が、気持ちいい


「…それじゃ、そろそろホテルに戻りましょうか。」

「うん!」

ホテルに向かって、歩き出す


「?あれ…」



「にこっち…?」
873: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:29:38.98 ID:OeDux/sn.net
ホテルへと帰る道の途中

にこっちが、一人で何かをしていた


「にこっち。」

「…!」

「なんだ、希か…」

「私もいるけど?」


「げっ!絵里…」

「なによ、その反応は…」


「…それより、どうしたん?」


「え?ええっと…」

にこっちが、言葉を濁す

「何か、探してたみたいだけど…?」
874: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:30:02.08 ID:OeDux/sn.net
「…ふ。」

「え?」


「財布…無くしたの。」

「うそっ!?」


「いくら探しても、見つからなくて…」

「どこかで落としたのかもしれないって、探してたけど…」


「この暗さじゃ、もう…」


「にこっち…」



「どこまではあったの?」

「…?」

「いつ無くしたか、分かる?」


「えっと…国際通りのモールで買い物した時はあって。」

「そのあと裏路地から出て自販機でジュースを買ったとこまでは覚えてる。」
875: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:30:22.80 ID:OeDux/sn.net
「…なら、その間のどこかね。」

「希はにこと、この当たりを探して?」

「私は、通りの方に行ってくる!」


「えりち!一人は危ないで!」

「大丈夫、すぐ戻ってくるから!」

そう言うと、えりちは走って行っちゃった


「いいわよ、私一人で…」

「もう、関わっちゃったんやから。」

「力に、なりたいんよ。」



「…ありがと。」



にこっちと、探すのを再開した
876: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:30:43.41 ID:OeDux/sn.net
「やっぱり、こう暗いと…」

「…もういいわ、希。」


「でも…」

「無くしたのは私のミスだし。」

「中身も、あと千円くらいしか入ってないから…」


「千円くらい、って何!?」

「お金はお金やん!」

「無くなっていい物なんてない!」


「なにより、修学旅行やもん!」

「こんな嫌な思い出で、終わらせたくないやん!!」



「希…」


「ちゃんと、見つけるから。」

「だから、もうちょっと頑張ろ?」


「…うん。」
877: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:31:10.81 ID:OeDux/sn.net
それでもやっぱり

そう簡単に見つかる訳もなく

大通りの方に出て来てしまった

「やっぱり、もう…」

諦めるしかないんかな…

そう思ったとき、それは目に入った


「…なによ、希。」

にこっちの背中を、叩く


「…だからなに?」

上手く…言葉にできずに、もっと強く叩く


「痛いって!!」

「一体なんなのよ!?」


ウチの目線の方に、指を指す

「…?」


何度も、ポスターで見た

にこっちの、大好きな…




「綺羅…ツバサ?」
879: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:39:00.45 ID:OeDux/sn.net
「…?」

彼女が、こちらに気付く


「貴女たちは…?」

言うのが早いか

にこっちが、手帳とペンを取り出した


「あああああああの!!」

「綺羅ツバサさんですよね!?」

「大ファンなんです!!」

「よ、よろしければ、サインを…!!」



「…ふふっ。良いわよ?」

「本当ですかっ!?」

無くした財布の事なんて気にも止めずに

にこっちのテンションは、うなぎ上りや


「名前、教えてくれる?」

「い、いいんですかっ!?」
880: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:39:23.95 ID:OeDux/sn.net
「もちろん♪」

「私達を、知ってくれてるファンだもの♪」


「あ、ありがとうございますっ!!」

「や、矢澤にこですっ!」


「ええっと、や・ざ・わ…あら?」

「…?」


「もしかして、いつもお花届けてくれてる…」

「し、知ってるんですか!?」


「…結成当初から、ずっと届けてくれてるんだもの。」

「流石に覚えるわ♪」


「そう…貴女だったのね。」

「いつも、ありがとう。」


「そ、そんな!」

「とんでもないです!!」
881: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:39:50.59 ID:OeDux/sn.net
「…はい、どうぞ♪」

「あ、ありがとうございますっ!!!」


にこっちの笑顔が見れて、よかった

あとは、財布だけやね…


「そういえば、こんな夜遅くに何をしていたの?」

「あ、にこっちが、財布無くしちゃって…?」


「財布?」

「はい、長いピンクの財布なんですけど…」

「…もしかして。」


ツバサさんが、何処かに電話をかける


「…もしもし、あんじゅ?」

「貴女さっき…ええ。ええ、そうよ。」

「それで、良かったら…」


「ありがとう。」

「それじゃ、お願いね?」
882: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:40:15.29 ID:OeDux/sn.net
「「…?」」

「矢澤さん。」

「は、はいっ!!」


「貴女の財布、ウチのメンバーが拾ってたみたい。」

「今、警察署の近くらしいから、待っててくれるって。」


「本当ですか!?」

「だから、良かったら…」

「一緒に行かない?」


そう言って、ツバサさんはタクシーを止める

動きの一つひとつが凛としてて


…これが、オーラなんかな?


「じゃあ、お言葉に甘えて…」

暴走するにこっちを抑えながら

タクシーに乗り込む
883: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:40:48.62 ID:OeDux/sn.net
「…~~~!!!!!」


A-RISEの他のメンバーとも合流して

にこっちのメーターは、もう振り切ってた


えりちにもメールしといたし

もう時間遅いから、帰らんとなあ…


「ほら、にこっち。」

「もう帰るよ?」


「で、でも…!」


「ふふっ。こんなに応援してくれて、私達も嬉しいわ♪」

「…そうだな。」

「これからも、よろしく頼む。」


「精一杯、頑張るからね♪」


「は、はい!!」

「もちろんです!!」
884: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:41:09.91 ID:OeDux/sn.net
「それじゃ、そろそろ行こうか。」

「応援よろしくね♪」


「は、はいっ!!」



「あの…ありがとうございました。」

「いいえ?これも、何かの縁だもの。」


「それでも、ありがとうございます。」

3人に、頭を下げる


「…貴女、名前は?」

「え?」

「貴女の、名前。」

「あ…」

「東條…希です。」


「希さんね?」

「また、どこかで会いましょう♪」


「…はい!」
885: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:41:47.61 ID:OeDux/sn.net
----

ホテル前に帰ると、えりちが待ってた

「…おかえり。」

「えりち…」


「財布、見つかったんでしょ?」

「…うん。」

「ほら、にこっち。」

「何て言うん?」


「その…」

「あ、ありがと…///」


「…ふふっ。」

「どういたしまして、にこ。」


「さ、もう遅いから。」

「行きましょう?」


「うんっ!ただいま、えりち♪」

「おかえり、希…にこ。」

「た、ただいま…///」





今までの関係から外れて

少し、素直になったウチら

学校に戻ったら、今までみたいに戻ると分かってても

思わず、顔が緩む

…そんな、夏の南の島



そして、現在へと時を進める

いつかの、3人での夏の記憶---
886: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/15(日) 15:42:45.19 ID:OeDux/sn.net
これにてリクエスト終了です

短くてすみません
またなにかあったら、答えます
904: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:03:32.48 ID:Apxev1Un.net
Side Story

とあるファミレスでの風景



「…ほら、希。」

「手が止まってるわよ?」


「…だって、面白くないもん。」

「またそんな事言って…」


「もうすぐ夏休み終わるのに、課題出来てないんでしょ?」

「それはそうやけど…」


「まったくー。」

「もっとちゃんと計画性を持ってやらないとぉー…」


「…その計画の中に英語は入ってなかったのかしら?」

「ちょ、ちょっと忘れてただけよ!!」


「はいはい、とにかく終わらせる。」
905: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:04:13.30 ID:Apxev1Un.net
夏休みも気付けばあと数日

ウチらは終わらない課題を片付けていた


…といっても一人じゃやる気が続く訳も無く

えりちに監督してもらってるけど…



「…ちょっと、休憩しない?」

「まだ、初めて1時間でしょ?」


にこっちも、英語の課題を忘れてたみたいで…

せっかくやし、誘ってみた


断られるかと思ったけど

こと、勉強に関してはえりちを信頼してるみたい



「…もう、どうすればやる気を出してくれるのかしら。」
906: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:05:08.79 ID:Apxev1Un.net
「にこはぁ、この甘ーいスイーツを食べれば頭が冴えるかもっ♪」


「…なら、ちゃんと出来たら食べさせてあげる。」

「えー!!今食べたいにこっ!!」


「…ほら、アイドル作ってる暇があったら手を動かしなさい。」


「作ってなんかないわよ!!」


「…ふふっ。」

「…?どうしたの、希?」


「いやあ、案外仲いい二人なんかな、って。」


「…ッ///」

「べ、別に、希が誘ったから来ただけだし?」

「そもそも、アンタ達と一緒にする必要なんか…」
907: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:11:21.88 ID:Apxev1Un.net
「…ひゃあっ!?」

「そんな事言うにこっちには…」


「な、なによ…!」

「ちょおーっと犠牲になってもらおうか♪」


にこっちの凹凸のないそれをまさぐる


「…~~!!!」


声にならない声をあげる、にこっち

「まだまだ~!!」


そんなウチの頭を、えりちが叩く


「…ここをどこだと思ってるの?」

えりちの頭に、怒りマークが見える


「そんな…」

「えりちだって、ウチを辱めたくせに…」
908: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:19:37.45 ID:Apxev1Un.net
「なっ!?///」

「ウチ…あれが初めてやったんよ?」

「なのに…」


「ちょ、ちょっと希!?」


「絵里…あんた、サイテーね。」


「にこまで…!」


「あんなに、他の人の前で身体を弄ばれて…」

「ウチ、すっごく恥ずかしかったんやから…」


「誤解を招く発言は辞めなさい!!」


「…絵里、ちゃんと責任とりなさいよね?」


「も、もう!」


「エリチカ、おうちに帰る!!」
909: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:20:03.43 ID:Apxev1Un.net
ウチらは、手を止める


「よしよし♪」

えりちの頭を撫でる

「…って、こうさせたのは希じゃない!!」

「いやあ…息抜きがほしくて。」


「…もう。」


「…ほんと、絵里ってばいつもそうしてたら可愛いのにね。」

「なんか、刺のある言い方ね、にこ。」


「別に~?」

「これが、にこっちの言ってたギャップ萌え、ってやつなんかな?」


「…なに、それ?」

えりちまで、興味を持って聞いてくる
910: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:27:00.81 ID:Apxev1Un.net
「…じゃなくて!」

「課題、やるんでしょう!?」


「ちょっとだけ、休憩せん?」

「そもそも、日本人のにこ達がそんな長時間外国語なんか見てられないわよ!!」


「…でも、アイドルを目指すなら英語が出来た方がいいんじゃないの?」

「そっ、それは…」


にこっちが、目をそらす


「…そもそも。」

「英語の何が面白いのか、わからないし…」


うーん、確かに

親しみが無さ過ぎて、あまり興味が持てないというか…



「…仕方ないわね。」
911: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:27:26.32 ID:Apxev1Un.net
「それじゃ、英語に興味が持てれば、ちゃんとやるのね?」

「そ、そうそう!」

「なにか、面白い話してよ!」

「英語が好きになるような!」


「あ、それ、ウチも賛成!」


「とは言っても…」

「なにか、あるかしら?」

えりちが、思考を巡らせる


「…一旦、休憩しましょうか。」


あ、えりちも諦めた


「すいませーん!この、デラックスパフェ1つ!」

すかさずにこっちが注文する


「…もう。」

そう言いながらも、えりちもケーキのポップを見てた
912: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:38:13.29 ID:Apxev1Un.net
「お、来た来た!」

にこっちの前に、大きなパフェが置かれる


「ハラショー…」

流石にえりちも驚いてる

えりちはタルト

ウチは、ショコラケーキを頼んだ


「それじゃ!いっただっきま~…」

にこっちが、止まる


「…どうしたの?にこ。」


「…ふとした疑問なんだけど。」

「英語で、頂きます、って何て言うの?」


「あ、確かに…」

「えりち、知ってる?」
913: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:38:43.85 ID:Apxev1Un.net
「…そうね。」

「確かに、英語圏じゃあんまり聞かないフレーズね。」

「でも、一応あることにはあるのよ?」


「なんか、難しいん?」

「いいえ?『Let's eat.』よ。」

なんか、拍子抜け

「…そんな簡単なの?」


「まあ、特にアメリカだと家族で食卓を囲むって言うのが普通だし…」

「だいたい、料理が揃ったら主である父親が。」

「よし、食べよう!って感じで始まるらしいの。」

「熱心なクリスチャンだと、お祈りなんかもあるし…」


「あまり、使う時はないのかもね。」


「「へえ~。」」

にこっちとふたりで、話を聞く
914: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:39:29.46 ID:Apxev1Un.net
「じゃあじゃあ!!」

「ごちそうさま、は?」

にこっちが、尋ねる


「…そうね。」

「希、どう訳してみる?」


「ええっ!?いきなり!?」

「だて、勉強しにきてるんだし…」

「頭のリフレッシュだと思って…ね?」


中身の無い頭で考える

「えっと…食べ終わった、って事やろ?」

「なら…食べる…eat?」


「どういう風に文を作る?」

「食べ終わった、やから…」

「『Finish eating.』とか?」
915: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:40:06.10 ID:Apxev1Un.net
「…まあ、直訳するとそうかしら?」

「ホテルなんかで、ウェイターに下げてもらう時なんかはそれでも良いかも。」

「でも、正解じゃないわ。」


「…なら、正解は?」


「それじゃあ、にこ。」

「『ごちそうさま』って、誰に言う?」


「え?作ってくれた人にじゃ無いの?」

「そう。」

「って言う事は、感謝を表したいのよね?」


「まあ、そう言う事…じゃない?」


「英語では、それを伝える時は直球なの。」

「とっても、美味しかった、って。」



「え?じゃあ…」
916: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:41:01.83 ID:Apxev1Un.net
「『That was delicious.』が、正解。」

「これに、副詞…」

「『so』とか付けると、とっても美味しかったです、ってなるの。」


「じゃあ、日本みたいに定型があるわけじゃないん?」

「そうよ。」

「へえ…」

またひとつ、賢くなった気がする


「日本語みたいに複雑じゃないからこそ。」

「直情的に伝えるのが英語ね。」


「だから、難しい文章でも、伝えたい事は一つだったりするの。」

「長文を解く時でも、主語と動詞さえ分かれば。」

「あとは、無くても意味が通じたりする物よ。」


「…たとえば?」
917: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:47:21.62 ID:Apxev1Un.net
「たとえば…そうね。」


『The girl who reading a book which I gave her is my sister.』


「これ、どういう意味か分かる?」

「え?えっと…」

にこっちが、必死にペンを動かす


「焦らなくて良いわ。」

「まず、主語は何?」


「『The girl』?」

「そうよ。」

「それじゃ希、動詞は?」


「え?『reading』じゃないん?」

「…そう、ここがひっかけなの。」
918: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:47:51.52 ID:Apxev1Un.net
「『The girl』…主語は、少女でしょ?」

「うん。」

「確かに、少女は本を読んでいる。」

「でもここでは、関係代名詞の『who』が使われてるの。」

「関係代名詞?」

「難しい話は置いておいて…」

「ここでは、詳しく説明してる、って考えておいて?」


「…と、なると。」

「その後の『which』は、何を指してる?」

「…本?」


「正解よ。」

よかった、当たってた…


「ここでは、本と少女を詳しく説明してるだけ。」

「無くても、意味は通じるのよ。」
919: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:48:47.00 ID:Apxev1Un.net
「それじゃあ動詞は、『is』?」

「…そういうこと。」


「『The girl』が、何か?」

「『is my sister』…私の妹です、って事でしょ?」


「あ、そっか…」

「ね?真ん中の長い文章を抜いても、意味は通じるのよ。」


「…それじゃあ、にこ。」

「この文、もう訳せるわよね?」


「え?えっと、少女は私の妹で…」


「『who reading…』が、少女の説明で。」

「『which I gave…』が、ほんの説明だから…」


「ひとつずつ、分けて考えるの。」
920: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:49:30.26 ID:Apxev1Un.net
「少女は、私の妹です。」

「その少女は、何をしていますか?」

「その本は、どんな本ですか?って具合よ。」


「えっと…」

「少女は、私があげた?本を読んでいます。」

「だから…」


『あの、私があげた本を読んでいる少女は私の妹です』


「正解よ、にこ。」


「やった!!」

「おお~…」

素直に、感心する


「ね?」

「ここで一番言いたい事は、少女は私の妹、って事。」

「あとは、無くてもだいたい分かるのよ。」


…なるほど
922: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:57:56.54 ID:Apxev1Un.net
「…どう?」

「少しはやる気になったかしら?」


「…」

「も、もうちょっとだけ…」

「…仕方ないわね。」


「なあ、えりち。」

「他にも、何か面白い事とか知らないん?」

「さっきの、いただきます、みたいに。」


「何かのフレーズ、って事?」

「そう。」

「ああいう、パッと言えるフレーズって、使えたらかっこいいやん?」

「動機が不純だけど…そうね。」



「『It's a piece of cake.』は、どう?」
923: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:58:34.79 ID:Apxev1Un.net
「一切れのケーキ?」

「ええ、直訳はそうね。」

「でも、意味が違うってこと?」

「そう。」

「…」

一体、何やろ?

にこっちと二人で、考え込む


「…まあ、これは熟語みたいな物だから。」

「意味は、『朝飯前』って意味よ。」


「はああ!?なにそれ!!」


「ちょっ…落ち着きなさい、にこ。」

「だって、それらしい言葉どこにも無いじゃない!」


「…だから、言ったでしょ?」

「これは熟語だって。」
924: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 22:59:15.73 ID:Apxev1Un.net
「簡単に言うと…そうね…」

「『一切れのケーキ程度のもの』って事になるのかしら?」

「それが転じて、そんなの朝飯前だ。」

「そんなの、簡単だ。」

「…って意味になるみたいなの。」


「そういうのも、あるんやね。」

ケーキを口にほおばって、えりちの話を聞く


「まあ、諸説あるようだけど…」

「それでも、面白いでしょ?」


「って事は、他にもあるん?」

「ええ、もちろん♪」

「例えば希は、信じられない、って英語で何て言う?」


「え?アンビリーバブル…とか?」
925: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:08:22.02 ID:Apxev1Un.net
「そう。」

「『believe』に、否定の『un』がついて。」

「『~することが出来る』って意味の『able』を付けた複合語ね。」

「『unbelievable』。」

「…でも、おしゃれじゃないでしょ?」


「いや、英語におしゃれも何もないでしょ…」

「ふふっ、そうね。」

「でも、これを意味して『Blue Rose』なんて言葉が出来たの。」

「ブルーローズ?」

「青い…薔薇?」


「日本語ではそうね。」


「でも、これも『信じられない』って意味になるの。」


「…」

頭が、こんがらがって来た
926: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:08:51.29 ID:Apxev1Un.net
「元々、青い薔薇なんて存在しなかった。」

「だから、そんなの存在しない、って意味で使われだしたの。」


「…ややこしいわね。」


「あれ?でも、青い薔薇って…」


「…希の言う通り。」

「最近じゃ品種改良されて実際に『青い薔薇』が開発されちゃったのよね。」


「…ますますややこしい。」


「まあ、言葉遊びだと思って頂戴?」

「『I scream ice cream.』なんて言葉遊びもあるんだし。」


「ええ?アイスクリーム、アイスクリーム?」


「ふふっ。」

「文字にすると…こうね。」


「ああ、なるほど…」
927: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:12:45.14 ID:Apxev1Un.net
「直訳すると、『アイスクリームって叫ぶ!』…に、なるわね。」

「なんか、だじゃれみたいやね。」


「そう、そんな感じよ。」

「他には…」


「『desert in the desert』…とか?」

「デザートの中のデザート?マスクメロンとか?」


「にこっち…」

「な、何よ…///」


「ふふっ。音だけ聞くと、確かにデザートの中のデザートね。」

「でも、このデザートは砂漠って意味よ。」


「砂漠の中の砂漠?」


「これも、さっきのだじゃれと一緒で。」

「『desert』には意味が何種類かあって。」

「『desert in the desert』で、砂漠で見捨てる、って意味なの。」


「なにそれ、酷い。」

「いや、にこっち。」

「言葉遊びやから。」
928: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:18:16.39 ID:Apxev1Un.net
「…とまあ、こんな感じよ。」


「なるほどなあ…」

「さて、食べ終わったみたいだし、続きをしましょうか。」


「え、もう!?」

「さんざん休んだでしょう?」

「さ、始めるわよ。」


「にこっち、諦めよ?」

「うう…」


「…!」

「そういうときは、これね♪」

「『Break a leg』。」


「絵里ってば、酷い!!」

「いくら、にこが勉強できないとはいえ、足を折れ、だなんて!!」


「…ふふっ。」

「これも、熟語よ。」


「『Break a leg』…頑張って・幸運を祈る。」
929: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:20:37.52 ID:Apxev1Un.net
「…ふう。こんな物かしら?」


「や、やっと終わったー…」

「希は、もう少しかかりそうね。」


「…まあでも、だいぶはかどったよ。」

「ありがと、えりち。」


「どういたしまして。」


「…ありがと。」

「あら、今日は素直ね。」


「に、にこはいつも素直で可愛いんだからっ!!」

「…はいはい。」


「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。」
930: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:22:27.05 ID:Apxev1Un.net
「…」


「にこっち。」

「…?」


「アイドルの事…」

「諦めないわよ。」

「プールで、言った事は変わらないわ。」

「絶対に、叶えてみせる。」


「…うん、分かった。」




「『Break a leg』やで、にこっち♪」


「…!」


「『It's a piece of cake』…よ!!」





…頑張って、にこっち


…ありがとう、希
931: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/16(月) 23:24:14.03 ID:Apxev1Un.net
勉強会、これにて終了
満足してもらえたかな?

それじゃ、本編にとりかかります
スレ立て&更新は1時を目処に行います
941: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:07:48.16 ID:Bjq1I4IS.net
Side Story

一年生の夏休み編

>>114の続きから


「うう…大丈夫かなあ…?」

せっかくの夏休みという事で

にこちゃんと夏祭りに行く事になった

でも…


「こ、言葉遣いも…本当に、あれでいいのかな…」


にこちゃんがいないと、やっぱり不安になる

待ち合わせ場所に近づくに連れて

前から押し寄せる人の波


「え、えっと…」

「ここで、いいんだよね…?」
942: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:08:37.52 ID:Bjq1I4IS.net
「…本当に、変われるかな。」

エセ関西弁なんて…

余計、反感を買ったりしないだろうか

…それに、夏休み開けから早々なんて

やっぱり、変に思われたり…


一人でいると、やっぱりネガティブになる

下を向いて待っていると

ピンクの鼻緒が目に入った



「まーた、下向いてるの?」

「…!」


「お待たせ、希。」

「わあ…!」
943: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:09:04.00 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃん、可愛い!」

可愛らしいピンクの浴衣

自分の可愛さを知ってるように

にこちゃんの姿はアイドルのそれのようだった


「…っていうか、何で私服なのよ?」

「え、だって…」

「似合わ、ないし…」


「ほら、口調戻ってるわよ。」

「あ…うん。」


「…諦めるの?」

「でも…」


「せっかく出来た、希の個性よ?」


「個性…」
944: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:09:37.32 ID:Bjq1I4IS.net
「まあ、強要はしないわ。」

「でも、変わりたいと言った気持ちは、忘れないで。」

「にこちゃん…」


「うん、ごめん。」

「…ウチ、頑張るから。」


「…♪」

にこちゃんのテンションが、少し上がったみたいやった


「それより、希もきっと浴衣似合うわよ?」

「そ、そんな、ウチなんて…!」


「大丈夫、このにこにーが保証するわ!」

「だから、もしよかったら…」

「…」

「来年、また一緒に来ましょ?」

「二人で、浴衣着て…///」
945: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:10:05.77 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃん…」

「と、とりあえず今日は行くわよ!?」

「ほら早く!」


赤くなった顔を見せないように

にこちゃんはウチの前を歩く

いつも大きく見える背中が

今日はとっても可愛く見えた


「…ほら、何してんの?」


「ふふっ。にこちゃん、可愛いなあ…って。」

「なっ!?///」


なんとなく

にこちゃんの弱い所が分かって来たような気がした
946: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:17:37.16 ID:Bjq1I4IS.net
「…でも、すごくにぎわってるね。」

「まあ、この辺で一番のお祭りだからね。」

「はぐれないように、気をつけなさいよ?」

「う、うん!」


そう言って、にこちゃんの後を着いて行く


「何か食べる?」

「あ、うん…でも、いっぱいありすぎて、迷っちゃうね。」

「そうねえ…お祭りと言えば、やっぱり焼きそばかしら?」

「あ、いいね!」


「それじゃ、焼きそばにしましょうか。」

「確か、あっちにあったと…」


「…」


「…?」
947: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:17:56.39 ID:Bjq1I4IS.net
「どうしたん?にこちゃん。」


「…あー。」

「何でも無い。」

「さ、行くわよ?」

「はーい。」


人ごみをかき分けて、前に進む

この辺りは出店が集中してるみたいで

他の場所より人が多い


「あっ、すみませ…」

人に肩をぶつけて、立ち止まってしまう


「…!」


にこちゃんと、はぐれちゃった…
948: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:18:25.07 ID:Bjq1I4IS.net
「に、にこちゃ…」

辺りを見回しても、にこちゃんの姿は無い

「嘘…」


「にこちゃん…」

人前で

それもこんなに多い人の前で

大きな声なんか、今の私には出せなくて


人の流れに流されて、どんどんその場から離れていく


「…ッ。」

視界が、曇る






そんなとき


手を、掴まれた
949: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:18:49.02 ID:Bjq1I4IS.net
「はあ…探したじゃない。」

「にこちゃん…」


「ちょっ、何で泣いてるのよ!?」

「にこちゃあん…」

思わず、飛びつく


「こ、怖くて…」


「…ったく。」

「ほら、ここだと目立つから。」

「あっちの陰に行きましょ?」


「…うん。」


---



「ほら、はぐれたぐらいで泣かないの。」

「だ、だって、いっぱい人がいて…」
950: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:19:22.90 ID:Bjq1I4IS.net
「にこちゃんも、どこか行っちゃうし…」

「どうしていいか、分かんなくて…」


「…ああもう、分かったから。」

「とにかく、落ち着きなさい。」


そう言って、頭を撫でてくれた

にこちゃんの手、あったかい




「…泣き止んだ?」

「…うん。」

なんだか、にこちゃんには

自分の恥ずかしい所ばっかり見られてる気がする



「…それじゃ、行きましょ?」

にこちゃんは、手を繋いでくれた

「にこちゃん…」

「これなら、もうはぐれないでしょ?」



「…うん!」
951: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:20:02.33 ID:Bjq1I4IS.net
それから、にこちゃんと焼きそばを食べて

金魚すくいをして

初めてやる型抜きに、苦戦したりして


それでも、ずっと隣にいてくれた

笑っていて、くれた



「…どう?楽しい?」

「うん、すっごく楽しいで♪」


「少し、喋り方もマシになってきたじゃない。」

「あ…」

「気付いてなかったの?」


「うん…でも、今すごく楽しいもん!」


「なら、よかった。」

「ほら、今度はあっち行ってみましょ?」
952: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:25:49.04 ID:Bjq1I4IS.net
「…だいぶ、遊んだわね。」

「ふふっ。もう、全部の店回ったんと違う?」

「…それは言いすぎよ。」


「それより、いつの間にそれ買ってたのよ?」

「りんご飴、食べた事無くて…」

「さっき、にこちゃんが射的してる時に、横で。」


「ふーん…美味しい?」

「うん♪」


「あ、にこちゃんも食べてみる?」

なーんて…


「…ん、甘いわね。」

差し出したそれを、何のためらいも無く

にこちゃんは一口ほおばる


「なっ…///」

「…?どうしたのよ。」




「に、にこちゃんのアホっ!!///」
953: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:26:15.69 ID:Bjq1I4IS.net
「はあ?なによいきなり。」

「な、なんでも無いもん///」


「一体どうしたのよ…」

「…」


にこちゃんは、ウチの天敵かもしれん



「でも、そろそろ良い時間ね。」

「あ、もうそんな時間?」


「いくら夏休みって言っても。」

「私達まだ学生だからね。」


「…そっか。」


せっかく、楽しめたのに

何となく、この今の楽しさが

お祭りの熱と一緒に消えてしまいそうで


…少し、寂しくなった
954: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:26:41.29 ID:Bjq1I4IS.net
「…ひゃに?」

にこちゃんに、ほおを引っ張られる

「…にほひゃん?」


「そんな暗い顔しないの。」

「これから、何度だってにこと遊びに行けるんだから。」


「…うん。」


「それとも、キャラの事?」

「…それも、ある。」


本当に、上手くいくのかな、って




「…こんな事、にこが言うのはどうかと思うけど。」

「希は、にこの事信じてくれる?」
955: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:27:35.89 ID:Bjq1I4IS.net
「…?もちろん。」


「にこは、希がきっとうまくいく、って信じてる。」

「だから、自分が信じれないのなら。」

「自信が無いのなら。」


「希を信じてる、にこの事を信じなさい。」

「にこは、希なら出来るって、本気で思ってる。」


「にこちゃん…」



「…絶対、できるから。」



「ありがとう。」

これだけ、想ってくれてる

期待してくれてる

その、想いに応えたい


にこっちが信じてくれた、自分を信じる


「それじゃ、帰ろっか♪」

「…!いきなり元気になったわね。」

「ふふっ。さ、手繋いで帰ろ♪」



「…今日だけだからね?」

「ありがとう、にこちゃん。」




夏の終わりと

新たな自分のスタートでした
956: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/17(火) 20:29:15.74 ID:Bjq1I4IS.net
短編夏祭りリクエスト
これにて終了です

このあとは、2スレ目で本編を開始しますので
また2スレ目で会いましょう
961: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:13:02.31 ID:AQ86FPon.net
せっかくだし、埋めちゃいます

急に書いたから誤字とかあったらごめん


Short Drama

Another Side: E
962: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:13:26.55 ID:AQ86FPon.net
「…来たわね、にこ。」


「…一体、どういう事よ?」

「それを、語る必要はあるかしら?」

「昨日、電話で話した事そのままよ。」


「…まったく、本当にやるつもり?」

「ええ、もちろん。」

「そのために、にこを呼んだのよ。」


「…はあ。」

「賢いアンタはどこに行ったのよ?」


「あら?まだ賢さは失われていないと思ってるわ。」

「なにより、にこも興味あるでしょう?」


「…まあ、無いとは言えないけど。」
963: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:13:48.53 ID:AQ86FPon.net
「…確かに、ここまで来たのはにこのお陰よ。」

「でも…」


「ま、言いたい事は分かるわ。」

「…それが普通になったからでしょ?」


「そう。」

「その方がいいと思ってそうしてきた。」


「…でも、なんというか。」

「本音が、分からない…と?」


「…」


「ま、私も面白いとは思うし。」

「何より、いつも余裕な感じなのがね。」



「それに、いつの間にか手玉に取られてたしね。」

「…そういう事よ。」







「「希を標準語に戻す…!」」
964: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:14:16.57 ID:AQ86FPon.net
なんとなく、感じていた

希があの話し方になってから


希が何を考えてるのかが分からなくなる時があった


…希の本音を引き出したい


にこに聞けば

アイドル研究部に穂乃果達が加入するとき

希がにこを説得したらしい


本音を話したとき、希は標準語だったと聞く


…なら

希を標準語に戻す事が出来れば

彼女の本音を聞くことが出来るかもしれない



…意味が分からない事を言ってるのは分かってる

一番の理由は、標準語に戻った希を見てみたい


ただ、それだけ
965: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:14:42.03 ID:AQ86FPon.net
「…そういえば。」

「絵里が希と仲良くなったのって。」

「話し方を変えてからよね?」


「…そうよ。」

「だから私は、初々しい希を知らないの。」


「…結局は、絵里が希のそれを見たいだけじゃ無い。」


「だ、だって、にこばっかりずるいじゃない!」

「希の秘密というか…」

「にこだけが、知ってるって言うか…」


「何?アンタ、希の事が好きなの?」

「ちっ、違うわよ!!」


「その…」


「私といる時も、本当に希は楽しいのかな、って…」
966: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:15:08.85 ID:AQ86FPon.net
「…今更、どこに気を使う事があるのよ。」

「そもそも、嫌なら3年間一緒にいないでしょうが。」


「それは…そうだけど…ね?」


「…まあいいわ。」


「にこ…!」

「手伝ってあげるわよ。」


「希の本音を知るため…」


「もとい。」


「アイツの鼻を明かすためにね!!」




こうして、私とにこは

互いの目的の為に

共同戦線を張る事にした
967: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:15:35.45 ID:AQ86FPon.net
「まずは…そうね。」

「にこの時と同じ。」

「何か、真剣な話をしてみる…とか?」


「…思ったんだけどね。」

「私がμ'sに加入した時も。」

「希は…あの喋り方だったのよね。」


「…なるほど。」

「って事は、それ以上の事が無いと。」

「希の標準語は聞けそうにない、か…」


「それ以上の事って?」

「例えば…μ'sを辞める…とか?」



「い、嫌よ!?」

そんな、μ'sを辞めるなんて…!


「だから、フリだって言ってるでしょ?」

「本当に辞める訳じゃないじゃない。」
968: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:15:57.45 ID:AQ86FPon.net
「そう…そうよね。」


「だいたい、ホントに辞めて、なんて言う訳ないでしょ?」

「ええ…」


それに、もし、誰にも引き止めてもらえなかったら…


「…なにテンション下がってるのよ?」

「ねえ、にこ!」

「私、μ'sにいて良いのよね?」

「誰にも、嫌われてないわよね?」



「…は?」


「あ、その…ごめんなさい。」


「…まあいいわ。」

「これは却下、と…」
969: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:16:26.13 ID:AQ86FPon.net
「…なにより。」

「冗談でこんな事言ったって希にバレたら…」


思わず、生唾をのむ


「…と、言う訳で。」

「他の事をしてみましょ?」



「そうね…」

何が、良いのかしら?



「それじゃ、脅かしてみる?」

「え?」

「本音を聞ける…かは分からないけど。」

「驚いたら、標準語に戻らないかしら?」


「そもそも、元は標準語で喋ってたんだし。」
970: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:16:51.05 ID:AQ86FPon.net
「…なるほど。」

「やってみる価値はありそうね。」


「それじゃ、にこは希を連れてくるから。」

「絵里は、部屋の電気を消して、何処かに隠れてなさい。」

「希が部屋に入って来たら、驚かして。」


「…え?」

「何か、不満でも?」


「二人でやるんじゃ無いの?」

「だって、それじゃ誰が希を連れてくるのよ?」


「あ…」


「ってことで、行って来るわ。」


出て行こうとするにこを、呼び止めた

「ま、待ってにこ!」



「…なに?」
971: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:17:11.36 ID:AQ86FPon.net
「に、にこが驚かさない?」

「なんで?」


「な、なんとなく…」


「背の低いにこより、アンタの方が驚きそうじゃない。」

「で、でも…」


「何?アンタまさか怖いの?」


「…!」

「べ、別に怖い訳じゃ…」


急に、電気が消える



「…ひっ!?」


思わず、にこに飛びつく


「…はあ。」


そう言うと、明かりがついた
972: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:17:34.76 ID:AQ86FPon.net
「いきなり消すなんて、酷いじゃない!!」


「…はあ、分かったから。」

「アンタが、希を連れて来なさい。」

呆れた顔で、にこが言う


…ごめんなさい、にこ


-----


「ところで、いきなりどうしたん?」

「何か、にこが面白い物があるって…」

希を教室から連れてくる


「…と、ついた。」

「入っていいんかな?」

「え、ええ。もちろんよ!」
973: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:18:01.72 ID:AQ86FPon.net
部屋を開けると、中は真っ暗


にこは、一体どうやって…

「おーい、にこっち…?」


希と一緒に、中に入る


「えりち、どうしたん?」

「え、何が?」

「いや、肩に手を置くから…」


「…え?」


希の肩を見ると、確かに手がある


「…!」


「どうしたん、えり…」








「~~~~~!!!!!!」
974: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:18:24.37 ID:AQ86FPon.net
「…ちょっと!アンタが驚いてどうすんのよ!?」

希の後ろから、にこが出てくる


「だって…だって…」


耐えきれず、その場にしゃがみ込む


「…もう、失敗じゃない。」

「ご、ごめんなさい…」


そ、そうだ、希は…?



「…クスッ。」

「えりち…おばけ、苦手なん?」


くすくすと笑いながら、私を見下ろしてる

「…///」


作戦は失敗

私が恥ずかしい思いをしただけだった
975: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:18:53.16 ID:AQ86FPon.net
「…で、一体どうしたん?」


「…へ?」

「ウチに見せたかったものってこれ?」


「い、いや、えっと…」

「にこっち?」


「な、何でもないわよ!」

「ただのお遊び、っていうか…」


「ふ~ん…」

「お遊び、ね…?」


「の、のぞみ…?」


「それじゃあウチも、遊ぼっかな♪」

にこが希に捕まる


「ちょ、ちょっと待って…?」

「ふふっ…ワシワシMAXやー!!」




「いやああぁあぁぁああぁ!!!!」
976: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:19:22.41 ID:AQ86FPon.net
「…なるほど。」

「ウチに、標準語を喋らせたいと…」


「…はい。」

意識がもうろうとしてるにこに変わって

私が答える


「別に、不安にさせたつもりは無かったんやけど…」

「それに、今じゃこの喋り方に慣れてしまって。」



「…どんな喋り方でも、ウチはウチやで?」

「えりちの知ってる、お調子者で。」

「にこっちの知ってる、内気な女の子やで♪」



「…これのどこが内気なのよ。」

にこが、復活した


「ん?まだ足りんのかな?」


「ひぃっ…!」
977: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:19:46.98 ID:AQ86FPon.net
「…それに、今更標準語にしてみた所で。」

「多分、変に感じると思うし。」


「そんな事ないわよ?」

「そんなことあるって。」

「だいたい、そんなに器用じゃないし。」

「そんなに、可愛くないから…」



「何言ってんの?」

「…へ?」

「アンタ、可愛いに決まってるじゃない。」


「い、いや、そんなことない…やん?///」


「…!」


これは…


にこと、目を合わす
978: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:20:09.47 ID:AQ86FPon.net
「そうよ、希は可愛いわよ?」

「え、えりちまで…///」


「スタイルだって良いし、歌ってる所も可愛いし。」

「なにより、その笑顔が一番可愛いじゃない。」



「なっ…そっ…///」


…もう一息ね


にことアイコンタクトして分かった

希は、褒められるのに弱い


…そういえば、褒められ慣れをしてないって

前に言っていたものね


さて、ここからどうしよう…



「…えっ?」
979: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:20:38.41 ID:AQ86FPon.net
考えていると、後ろからにこに突き飛ばされた


「きゃっ!?」

希を押し倒す形で倒れる



「…いたた。」

「…!」

「の、希、大丈夫!?」


「…うん、大丈夫。」

「…けど。」


「けど?」


「えりち、顔が…///」

「えっ…」


確かに、顔が近い

鼻と鼻がふれあう距離


それよりも…


「…流石に恥ずかしいよ、えりち///」





私の中の何かが崩壊した
980: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:21:08.19 ID:AQ86FPon.net
「希…」


じっ…と希の目を見つめる

「え、えりち…?」


「…可愛い。」

「えっ、ちょっ…えりち?」

「ふふっ。」

「可愛いわ…希。」


希の髪の毛に指を通す

さらさらと流れるそれから

希のにおいが漂ってくる


「…いいにおい。」

すうーっと、息を吸ってみる


「だ、駄目!えりち!」

「恥ずかしいからっ///」


また、希と目を合わせる


「駄目って言ってるのに…///」




…やったわ

希を標準語に出来た
981: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:21:31.70 ID:AQ86FPon.net
…でも、そんなことはどうでも良くなってた

「…」


真っ赤になって、目を瞑る希

その顔が、とても色っぽくて


その下に、目を向ける

やわらかそうなそれに、目が止まる


希の…くちびる


そんな気はさらさら無くて

ただ、希の可愛い顔が見たかっただけなのに


なぜか、頭の中は希のそれでいっぱいになっていた


…もっと、可愛い顔をしてくれるのかしら?


そんな思いからか

無意識にそれとの距離を縮める




…あと、3センチ
982: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:21:56.56 ID:AQ86FPon.net
不意に、目の前が真っ暗になる


「はい、しゅーりょー!」


にこに、顔を離される

「…アンタ、人の目の前で何しようとしてんのよ。」


「あっ、えと、これは…///」

急に、思考が戻る

一体私は、ナニをしようとしていたのか


「…そういうことは、付き合ってから。」

「人に見えない所でやりなさい。」


「そ、そんなんじゃ…!」


そう言えば、希は…?



涙目でこちらを睨む、希と目が合った
983: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:22:22.45 ID:AQ86FPon.net
「の、希…」

「…か。」

「えりちのばか!!」


「怖かったんだから!」

「いきなりあんな事されて…」

「…それに。」


「初めて、なのに…///」



涙目でうずくまる希に

不意にきゅんとしてしまったのは秘密だけれど



「…はいはい。」

「アンタ達の痴話げんかは他でやってもらうとして…」



「ち、痴話げんかって…///」

「…えりち?」


照れる私を、希が睨む

いいえ、私は正常よ

決して、希がいいとかそんなのじゃ…
984: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:22:57.23 ID:AQ86FPon.net
「…ま、これで絵里の願いも叶ったわけだし?」

「良かったじゃない、絵里。」


「ええ、まあ…」


「と、言う事で。」

「後は二人でよろしくっ♪」


逃げようとするにこを、希が捕まえる


「そうはいかんよ、にこっち♪」

「の、希…?」

「ウチを辱めた罰を、ちゃ~んと受けてもらわないと♪」


「に、にこぉ…」

希の手がにこを後ろからホールドする

い、いまなら…

出て行こうとした時、希が口を開いた

「…えりちも、逃げたらあかんよ?」

「逃げたら、嫌いになるで?」
985: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:23:34.05 ID:AQ86FPon.net
本気で言ってる訳ではないのは分かってるけど

それ以上、足は動かなかった

笑顔のプレッシャーに、思わず後ずさりする


「…さて。」

「ウチの恥ずかしい所を存分に見た分。」

「ふたりの恥ずかしい所も見せてもらおか♪」


にこを上手くホールドしながら

ゆっくり、希が近づいてくる


「の、希…ここはひとつ、穏便に…」


「一緒に楽しい事しよ、えりち♡」


逃げられないと、観念する

とっても笑顔な希を見ながら


ああ、やっぱり笑ってる希が一番可愛い


薄れ行く意識の中で

それだけはしっかり頭にあった




そして、二人仲良く女神の制裁を受ける事になった



To Be Continued...
986: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/03/19(木) 18:24:56.48 ID:AQ86FPon.net
気の向くままに書いたので
矛盾点とかあったらごめんなさい

あくまで、この世界のifとしてとらえて頂けたら満足です
ちなみに、ここでの百合要素は本編に一切関係ありません
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