【再】真姫「水無月の 夜雨に散りゆく 深縹」

シェアする

真姫-アイキャッチ30
1: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:05:46.56 ID:ux/fMQmC.net
真姫「中学で数学を教えていた」

真姫「先生先生と慕ってくれる子どもたちは本当に可愛くて、成長を見届けることが楽しみだった」

真姫「しかし…」

真姫「突然、気がついてしまった」

真姫「私は人を育てることには向いていなかったことに」

元スレ: 【再】真姫「水無月の 夜雨に散りゆく 深縹」

スポンサーリンク
2: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:06:17.72 ID:ux/fMQmC.net
真姫「いつの間にか教員を辞めていた」

真姫「どんなことを言って辞めたかは覚えていない」

真姫「公務員が退職することは非常に難しい。無茶をしたのだと思う」

真姫「そして、いつの間にかメンタルサポートの仕事を始めていた」

真姫「性格に一癖ある自分にはどう考えてもまだ教員の方がマシなはずが」

真姫「意外にもやり甲斐を感じている…」

真姫「このままずっと続けるのもありだろう、なんて…」
3: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:06:49.18 ID:ux/fMQmC.net
真姫「帰宅の時間は割と遅い」

真姫「大抵電話で対応の仕事な故に長引くことが多いからで」

真姫「遅くなった帰り道は無意識のうちにかつて自分が教えていた中学生くらいの年の子どもを探してしまう」

真姫「補導対象になる子の1番多い年頃だからだと思う」
4: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:07:29.99 ID:ux/fMQmC.net
真姫「6月、梅雨も酣の夜雨の帰り道」

真姫「その日も目を泳がせていた」

真姫「ふと、公園が目に映ったその時に…心臓がきゅっと掴まれるようなほどの驚きと緊張が走った」

真姫「藍色の着物を着た、綺麗な長髪の女の子が、蹲って泣いていた」
5: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:08:02.80 ID:ux/fMQmC.net
真姫「どうしたの?こんなとこで傘もささずにいたら風邪引くじゃない!それに夜中よ?」

海未「家に帰りたくないです」

真姫「どうして?ご両親も心配してるわ」

海未「父が他界し、母は日舞の先生を辞めざるを得なかったのです。その後お金が…無くて…母が…水商売に…うっ…うっ…」

真姫「と、なるとあなたのお家には今誰もいないってことになるわね…仕方ないからうちに来なさい」

海未「ですが…びしょ濡れです」

真姫「そんなことどうでもいいの!」

真姫「来て!」

海未「はい…」

真姫(こういうぶっきらぼうな物言いが私の悪い癖だ…)
6: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:08:37.89 ID:ux/fMQmC.net
真姫「夏に近づいたとは言っても寒いでしょ?紅茶淹れたから、飲みなさい」

海未「………」

真姫「あ、もしかして飲めない?」

海未「いえ、いただきます」

海未「温かい…」

海未「うっ…うう…」グスン

真姫「どうしたの?なんでもいいから、あなたのことを聞かせて」

海未「私には…居場所がないのです」

真姫「…学校は?」

海未「行きたくないです」

真姫「どうして?」

海未「みんな、私を見ては売女の娘だの、汚いだのと言い、暴力を振るいます」

海未「そして最後には必ず服に鋏を入れられるのです…」

真姫「私服登校制なのね…それで着るものがないの?」

海未「はい…これが、最後の1着です」

真姫「お母さんが買ってくれたの?」

海未「はい…小さい頃に言われました。いつか大きくなったらこれを着て踊り、立派な大和撫子になるのですよ、と…」

真姫(なんて声をかけてあげようか)

真姫(今まで関わってきたどの子よりも、重い…)
7: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:09:03.88 ID:ux/fMQmC.net
真姫「久しぶりに徹夜で仕事ね」

真姫「疲れたとか言っていられない」

真姫「この子は、私がなんとかしなければいけないから」

真姫「誰も、手を差し伸べてくれないから…」


真姫「今日はもう遅いからここで寝なさい」

海未「いいんですか?」

真姫「当たり前じゃない。ほら、おやすみ」

海未「おやすみなさい…」

真姫「泥のように眠った…よほど疲弊していたのね」

真姫「さて、私は今からが本腰入れての頑張りどころか、よし」

真姫「あ、まだこの子の名前聞いてなかった…」
8: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:09:44.10 ID:ux/fMQmC.net
真姫「悪いけど鞄開けさせてもらうわ」

真姫「連絡先載ってるのは…あった、不幸中の幸いね」

真姫「とりあえず朝イチで欠席の連絡入れなきゃ…」

真姫「園田海未ちゃんね…名前は覚えたわ」

真姫「これテストかしら…」

真姫「…‼」

真姫「ほとんど満点じゃない!」

真姫「やっぱり根はすごく真面目なのね…」
9: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:10:10.89 ID:ux/fMQmC.net
真姫「着物ってどう干せばいいの…」

真姫「一応乾かすだけ乾かしておいて、海未に聞かないと」

真姫「さて、まず親に連絡…」

真姫「………やめた」

真姫「あの子が嫌がっているのに私が勝手に介入しては駄目ね」

真姫「と、するともうやることないわね」

真姫「私も寝よ」
10: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:11:06.34 ID:ux/fMQmC.net
真姫「園田海未の叔母ですが…熱が出たため本日海未はお休みさせていただきます」

事務「わかりました、お大事にしてください」

真姫「失礼します」ガチャ

真姫「…冗談でもこんな嘘つきたくなかった」

真姫「仕方ないか、この子のためだし」

海未「おはようございます」

真姫「あっおはよう。もう学校には欠席の連絡したから、もっとゆっくり寝ていてくれていいわ」

海未「ですが、もう目が覚めてしまいました」

真姫「そ、ならいいわ。朝ごはんにしましょ」

真姫「…どうしたの?」

海未「なんだか、朝ごはん食べるの久しぶりだと思って…」

真姫「…当たり前が当たり前でなくなることは、何よりも怖いわ」

真姫「こんな話しながら食べても美味しくないわ。パンとごはんどっちにする?」

海未「えっと…パンで」

真姫「わかったわ。ちょっと待ってて」


真姫「勝手にバターにしたけどいい?」

海未「もちろんです」

海未「いただきます…む、美味しい…!」

真姫「そ、そんなに喜んでくれるなら私も嬉しいわ」

海未「初めて食べました!焼きたてのバタートースト…美味しいです!」

真姫「普段ごはんなの?」

海未「はい、前までは…最近は朝ごはん自体がないので」

真姫「っ…そう」
11: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:12:34.09 ID:ux/fMQmC.net
海未「何をしているのですか?」

真姫「メール読んでるのよ」

真姫「私、こう見えてメンタルケアが仕事だから」

真姫「今日死にますってストレートな内容が来ることもあるわ」

海未「そういう時はどう返しているのですか?」

真姫「死んだらみんなに忘れられてしまう、私にも。でも、生きてさえいれば、少なくともあなたの家族と私は決してあなたのこと忘れない、って言ってるわ」

真姫「こうして踏み止まってくれる子が大半なんだけど…」

真姫「20人に1人くらいは…自殺しちゃうわ…」

海未「………」

真姫「海未は…どうしたい?死にたいと思う?」

海未「私は…死にたいとは思いません」

真姫「ならよかったわ」
12: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:13:04.01 ID:ux/fMQmC.net
海未「あの…」

真姫「何?」

海未「なんて呼べはいいですか?」

真姫「んー真姫先生でいいわ」

海未「先生、やることがありません」

真姫「そうね…今から海未用の服買ってくるから、そこのパソコンで自分の気になることを調べておいて。操作はわかる?」

海未「わかります」

真姫「帰ってくるまでの課題ね。あっサイズはMでいい?」

海未「はい、お願いします」

海未「気になること…」
13: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:13:33.64 ID:ux/fMQmC.net
真姫「ただいま。人の服なんて選んだことなかったから地味なものにしたわ」

海未「すいません、3着も…」

真姫「別にいいのよこれくらい。それより調べた?まとまったら見せてよ」

海未「あ、はいっこれです」

真姫「どれどれ………⁉」

真姫(一枚の紙に書かれた彼女の世界)

真姫(中央に書かれた全ての始まりは、愛、だった)

真姫(そして愛から派生し、絆や仲間といった関係性から、つくるという言葉が派生し産業にも根を伸ばし、最後は…アイドル…?)

真姫(まだ10数年しか生きていない少女が創り出したとは思えない程盛大な興味の連鎖)

真姫(網状に広がる形で書かれた彼女の世界は、まさにネットワークそのもの)

真姫(この歳でここまで理解しているとは…これが所謂天才ってやつね…)

海未「どうですか?」

真姫「私の想像を遥かに超えた内容で驚いたわ…これ、取っておいていい?」

海未「恥ずかしいですが…いいですよ」

真姫「こんなに書いてくれたのに悪いけど、一つに絞れるかしら」

海未「一つ…難しいです」

真姫「アイドルは?」

海未「あっ…もぅ、恥ずかしいです!」

海未「じゃあ、アイドルで…」
15: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 00:35:13.00 ID:ux/fMQmC.net
真姫「アイドルのことならもちろんなんでもいいから、さっきみたいに興味を広げていって」

海未「わかりました」

真姫「嫌になったらアイドルじゃなくてもいいわ。何より大事なのは好きを見つけることだから」

海未「………」

真姫「良い集中力してるわね」

真姫「じゃあ私は仕事の続き…」


真姫(児童相談所なんかもそうだけど、こういうSOSを送ってくる子供の相手をする仕事は本当に言葉選びが難しい)

真姫(私たちの何気ない一言がきっかけで自殺してしまう子が後を絶たないから)

真姫(たまにいるのよね…メンタルケアをする自分が精神的に参っちゃって鬱になる人が…)

真姫(あっこの子は部内でイジメに遭った……!学校行けるようになったのね!よかったわ)

真姫(海未は…時間かけてゆっくり付き合っていかなきゃ)

真姫(そっと触れてあげないと簡単に壊れてしまうのよ。この世代の子どもの心は…)
22: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 01:02:10.94 ID:ux/fMQmC.net
真姫「今どんな感じ?」

海未「わっ⁉」ビクッ

真姫「そんなに驚かなくてもいいじゃない」

海未「急に来られるとびっくりしてしまいますよ…」

真姫「ふーん、スクールアイドル?」

海未「はい、高校生のアイドルなんです。自分たちで曲を作り歌詞を書いて、振り付けを考えて踊るんです。みんなキラキラしていてとても素敵だと思いました」

真姫「なるほど…海未、やってみたら?」

海未「私がですか?無理無理無理ですっ!まず私はまだ中学生で、うじうじとはっきりしませんしキラキラ輝いてもいませんから…私とはまるで対極の存在です」

真姫「じゃあ海未は彼女たちがスクールアイドルを始める前はどんな子たちだったか知っているの?」

海未「それは…」

真姫「誰もが最初からこういったことを出来るわけではない…ううん、出来る人の方が稀ね」

真姫「もしかしたら海未みたいに元は控えめな性格の子だっているはずよ。だから、何でも最初から無理と言うのはやめなさい」

海未「はい、すいません…」

海未「ですが私は、やはり応援する方がいいです」
26: 名無しで叶える物語 2017/06/14(水) 01:12:34.65 ID:ux/fMQmC.net
真姫「そう…なら、彼女たちを応援することを自分の趣味、楽しみにするのは?」

海未「それなら、いいかもしれません」

真姫「ふふっ決まりね」

海未「スクールアイドルですか…以前の自分には全く想像がつかないものに興味を持つことが出来てなんだか不思議な気持ちです!」

真姫「高校…スクールアイドル…あ、ここの高校の文化祭でスクールアイドルのライブやるらしいわ。行ってみたら?」

真姫「音ノ木坂学院ね、近いし行ってみなさいよ。土曜空いてる?」

海未「空いています。行ってみたいです…!」

真姫「よかった…」

海未「どうしたんですか?」

真姫「なんでもないわ」

真姫(微かにだけど、ようやく目に光が戻ったわね…)
27: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/14(水) 02:25:29.04 ID:ux/fMQmC.net
真姫「明日は学校行けそう?」

海未「頑張ります…」

真姫「辛くなったらまた来なさい…ってどうせ明後日文化祭行くからまた会うんだったわね」

海未「ありがとうございました。帰って親と話してきます!」

真姫「頑張って」

真姫「そろそろ他の子も見てあげなきゃ…」

プルルル

真姫「はい、こちらココロの窓口です。…久しぶりね。上手くやれてる?また辛くなったらいつでも来なさいよ」

真姫「え、友達が出来た…⁉よかったじゃない!自分から声掛けられるようになるとは、成長したわね」

真姫「また電話して、いつでも待ってるわ。はーいありがとう」ガチャ

真姫「よかった…心配だったから本当によかったわ…」

プルルル

真姫「はい、こちらココロの窓口です。ああ、どうしたの?」

『最近、イジメが酷いんです』

真姫「またか…止まないわね。どんなことされたの?」

『埋められました』

真姫「埋められた?何が埋められたの?」

『僕自身です。公園に呼び出されて仕方なく向かったらいきなり掴まれて落とし穴に入れられました。上から押さえつけられてる間に土を被せられて出られなくなりました』

『お巡りさんが見つけてくれなかったら僕は今日ずっと公園に埋められたまま出られませんでした』

真姫「酷いわね…」

真姫「子どもは私たち大人には考えつかないようなことをするから怖いのよ」

真姫「呼び出したのは学校の子?」

『はい、同じクラスのやつです』

真姫「心当たりはある?」

『なんか見ててムカつくって言われています』

真姫「そんなこと理由にならないわ。これ、本当に危険ね…一歩間違えれば殺人になり得ないわ」

真姫「今日は電話してくれてありがとう。私の方から学校に連絡するから、学校名とあなたの名前を教えて」

真姫「うん、うん…わかったわ、今日は勇気出して電話してくれてありがとう。また心が折れそうだったらいつでも連絡して」

『はい、お願いします。失礼しました…』カチャン
28: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/14(水) 02:30:33.18 ID:+aHfZ63p.net
真姫「まさか生き埋めとは…立派な犯罪じゃない」

真姫「あ、メール…」

また手首切りました。流れ出る血を見た時にしか生きた心地がしません

真姫「この子は3度目…そろそろあぶないわね」

真姫「毎回切ったって報告以外ほとんど教えてくれないから困ったわね…何か訳ありだし」

真姫「せめて今何してるかは聞き出せたらいいんだけど…」
34: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/14(水) 23:23:15.67 ID:+aHfZ63p.net
『学校が嫌で嫌でしかたないです』

真姫「そう、どうして?」

『私ではないんですけど、なんかみんな誰々うざいとかきもいとかそんな話しかしていなくて楽しくないです』

『前はみんなもっと面白い話してたのに…』

真姫「そうだったのね…あなたは個人的に嫌だと思う相手がいるの?」

『だからそういうことなのっ‼』ガチャン!

ツ-ツ-ツ-…

真姫「またやっちゃった…なんて言えばよかったのかしらね」

真姫「大人な子なんだなって思ってストレートに聞くとああいった風にいきなり怒りだしちゃう子はよくいるのよね」

真姫「人の悪口を言っても何の利益もないことがわかっているから自分は陰口に参加しない。でも、そうすることでつまらないやつだと思われて周りから友達がいなくなる…」

真姫「結果何故学校に行くか意味を見出せなくなる…この連鎖が毎日どこかで生まれている」

真姫「誰も攻められないから困ったわね…」

プルルル

真姫「はい、こちらココ…

『死にたい。明日死にます』

真姫「どうして?」

『誰も信じられなくなりました』

真姫「何か辛いことがあったなら教えて。声に出すことでスッキリするかもしれないわ」

『親友に彼氏を盗られました』

真姫(またこの類…)
36: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/15(木) 00:16:46.28 ID:Dx14I4EN.net
真姫「納得はいかないかもしれないけど、親友なら応援してあげなきゃ」

『私悪い人間だしそんなに優しくない』

真姫「いや、相当いい子ね」

『えっ…?』

真姫「どんな形でかはわからないけど、彼氏を盗られて尚その子のこと親友って言ってあげることは中々出来ないわ」

『………』

真姫「私だったらムカついて刺し殺すわね」

『…ふふっ』

真姫「もちろん冗談よ、でも憎くても恨んでも心の奥底では親友でい続けたいんでしょ?」

『そうかも…』

真姫「ならかえって思いっきり応援してあげなさい。それがあなたに出来る1番の彼女への復讐なんだから」

『そうしてみます。今日はありがとうございました』

真姫「失敗したっていいの。また死にたくなるほど嫌な思いをしたらいつでも電話して」

『はい、失礼します…』ガチャ

真姫「優しい子ね。でも本当早まったことしなくてよかった」
37: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/15(木) 00:32:08.59 ID:Dx14I4EN.net
真姫「そうこうしてたらもうこんな時間…」

真姫「海未どうかしら…」

ピンポ-ン

真姫「はい、どちら様で」

海未「こんにちは…」

真姫「海未どうだった?学校は」

海未「机の落書きが増えただけでした…」

真姫「そう…他に何もないならよかったわ」

真姫「今日はちょっと大事な話したいんだけど、いい?」

海未「あ、どうぞ」

真姫「玄関で立ち話もあれだし、入って」

海未「お邪魔します…」
38: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/15(木) 01:14:18.73 ID:Dx14I4EN.net
真姫「最後にお母さんと話したのはいつ?」

海未「えーと…1週間くらい前です…」

真姫「そう…顔も合わせていないってこと?」

海未「はい…」

真姫「いつ家にいるのかはわかる?」

海未「水曜日の昼間にしか家にいません」

真姫「大変ね、それじゃ身体壊すわ…」

海未「人との会話がほとんどありません。家に帰っても誰もいない。学校に行ってもみんな無視する。私に存在価値なんてあるのでしょうか」

真姫「だから行くんじゃないの?明日」

真姫「別に誰かが決めた幸せである必要はないし、つまらない人生にも何処かに価値が隠れているだけ」

真姫「だから海未、そんな下ばっか向いては駄目よ」

真姫「あ、あとこれだけはお願い」

真姫「お母さんに連絡して。どんな趣旨でもいいから」

海未「え…う、わかりました」


海未「…出ません」

真姫「そっなら仕方ないからいいわ、ありがとう」
42: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/16(金) 21:10:20.47 ID:we4CPZcm.net
真姫「今日はもう遅いから、お風呂入っちゃいなさいよ」

海未「いいんですか?ありがとうございます」

真姫「あ、でも寝巻きないのか…」

真姫「まぁ私の着ればいいでしょ?少し大きいけど」

海未「はい、ではお言葉に甘えて…」


真姫「タオル持っていってあげなきゃ」

真姫「湯加減はどう?背中流してあげるわ」

海未「…⁉だだだ大丈夫です!お気遣いありがとうございます‼」

真姫「ごめん、中学生だと流石に恥ずかしいわね。タオル置いておくわ」

海未「いえ、別に、そういうわけでは…ん…やはりそうなのでしょうか…」
43: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/16(金) 21:14:55.92 ID:we4CPZcm.net
真姫「あっ…!」

真姫「そっか…だからあんなに慌てたのね…残酷なことしようとして悪かったわ…」

真姫「でもいつか見せてくれないと私が悲しい…」

海未「お先に失礼しました…どうしたのですか?」

真姫「ん?ああっなんでもないわ。じゃあ私入ってくる。布団置いてあるから自分で敷いてよ」

海未「わかりました。準備しておきます」
44: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/16(金) 21:32:29.25 ID:we4CPZcm.net
海未「すーすー…」

真姫「寝ちゃってる。今日疲れたのかしらね」

真姫「…ごめんね、やっぱ背中見せてもらうわ」

真姫「………酷いわね」

真姫「痣だらけで真っ青じゃない…」

真姫「誰がここまで執拗に傷つけるの…」

真姫「やる方は気楽でいいわね。やられた方の気も知らないで…!」

真姫「これ新しい傷ね…軟膏塗っといてあげましょ」

海未「っ…!いた…い…」

真姫「ごめん!すぐ効くから…

海未「もう、やめてください…どうして私ばかり…」

真姫「可哀想に…夢の中にも出てくるのね…」

真姫「大丈夫、あなたは1人じゃないわ…」ギュッ
45: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/16(金) 22:37:50.83 ID:we4CPZcm.net
海未「…おはようございます」

真姫「おはよう。どうしたの?」

海未「悪い夢を見ました…」

真姫「うっ…」ズキ

真姫「所詮は夢だから、あんまり気にしちゃダメよ」

真姫「今日楽しみにしてたんでしょ?もう忘れちゃいなさい」

海未「はい、引きずっても良いことはないですからね」

真姫「ええ、そうよ…」

真姫「顔洗ってきなさい。朝ごはん食べて準備出来たら行くわ」

海未「わかりました。今行きます」
46: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/16(金) 22:39:43.93 ID:we4CPZcm.net
真姫「着いたわ。古い学校ね」

海未「伝統校だそうです」

真姫「ライブ何時から?」

海未「午後の部は1時からです」

真姫「それならまだ時間あるから校内見て回りましょ」

海未「そうします」


真姫「制服が中々可愛いわね。どう?」

海未「私が着ても似合いませんよ」

真姫「またそう自分を卑下しても良いことないわよ」

海未「すいません…」

真姫「そうやってすぐ謝らないの」

海未「はい!」

ザワ...

海未「うう…恥ずかしいです…!」

真姫「初めて?お腹から声出したのは」

海未「はい…」

真姫「別に誰かに迷惑かけたわけじゃないなら大きな声を出すことは悪いことじゃないわ。ちょっとスッキリしたでしょ?」

海未「まぁ、少しは…」

真姫「明るく生きなきゃ…難しいことかもしれないけど」
49: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/19(月) 03:31:34.33 ID:3wo+WL2k.net
花陽「私たち、音ノ木坂学院スクールアイドルです!」

凛「今日は学祭に来てくださってありがとうございました!」

にこ「最高のライブにするので、応援よろしくお願いしまーす!」

にこ「最初はこの曲…これからのsomeday!」

海未「これから…」

海未「私はどうなっていくのでしょうかね…」
50: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/19(月) 03:43:50.97 ID:3wo+WL2k.net
凛「ありがとうございましたー!」

花陽「みなさんのおかげで今日も最高のライブにすることができました!」

にこ「次も絶対来てよね!にこからのお・ね・が・い♪」

真姫「なにあれ…よくやれるわね…」

真姫「まぁそれはいいとして…海未、どうだった?」

海未「みんなキラキラ輝いていて、自信に満ち溢れていて、とても可愛らしかったです」

絵里「もしかして、入学を希望されていますか?」

海未「あっえっと…考え中です…」

絵里「そうですか。でしたら是非うちの学校も選択肢の一つに入れてくれたら嬉しいです」

海未「あなたは…?」

絵里「この学校の生徒会長であり、彼女たち”にこりんぱな”のプロデュースを担当する絢瀬絵里です。っとこんな堅苦しいと厳しい学校だと思われちゃうわね…よろしくね。あなたは?」

海未「最寄りの中学に通っている園田海未です…」

絵里「海未ちゃん、よろしくね。これ、私の幼馴染みのお店のお饅頭。よかったら食べて」

海未「あ、ありがとうございます」

海未「美味しい…」

絵里「気に入ってくれた?後でお店教えてあげるわ」
51: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/19(月) 04:11:48.18 ID:3wo+WL2k.net
絵里「今日は誰かと一緒に来たの?」

海未「はい…えっと…親戚と」

絵里「そうなんだ、わざわざありがとう!そのリボンからして2年生よね。音ノ木坂への入学を考えているわけではないみたいだから、今日はスクールアイドル目当てだったり?」

海未「ええ、はい。実は私はスクールアイドルの存在自体ごく最近まで知らなかったのですが…」

絵里「なるほどね。学祭はこの音ノ木坂のプロパガンダが一番の目的なんだけど、彼女たち目当てに来たというのもプロデューサーを兼任している立場上すごく嬉しいわ」

海未「絵里先輩は、スクールアイドルとして活動しないのですか?」

絵里「生徒会長であってプロデューサーであっていつも忙しいから…それに、うちのスクールアイドルはにこと凛と花陽、この3人であることが大事なのよ」

絵里「私の好きなにこりんぱな、その中に私の姿はないの。元々裏方の仕事が好きだから丁度いいわ」

絵里「私は私にしか出来ないことをするの…それで彼女たちを支えていられるから十分満足。だからこれ以上望むことはない」

海未「裏方…」

絵里「そう、縁の下の力持ちよ。自分がサポートしてきた子たちがこうして大勢のお客さんたちを笑顔にするのはすごく誇らしいわ。0から始まったんだから…あ、でも、他にもスクールアイドルをやりたいって子がいるみたいだし、そろそろ増員もありかもしれないわね」

絵里「そうしたら海未ちゃんスクールアイドルになってくれないかしら?あ、別に音ノ木坂に無理に入学しろってわけではないわ…」

海未「私は…人前に出ることが苦手ですので…応援していられたらそれでいいです」

絵里「そっか。少し残念だわ。せっかく可愛いのに」

海未「可愛い…?」
52: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/19(月) 04:32:37.66 ID:3wo+WL2k.net
海未「私が…?」

絵里「ええ、日本人形みたいでとっても素敵よ」

海未「可愛い…」

海未「そんなこと…」ポロ...ポロ...

絵里「えっ?ご、ごめんなさい!気にさわるようなこと言っちゃったかしら」

海未「そんなこと…初めて言われました」グスン

絵里「………どうして?」

海未「今まで…うざい、死ね、消えろ、そんな言葉しか言われたことなかったです…先生と話すまで」

絵里「先生?学校の?」

海未「学校の先生ではないです…普段は心の窓口という場所でメンタルサポートの活動をしているそうです。私は…偶然知り合いました…」

海未「教育委員会の職員に身を置きながら個人で子どもと向き合っていると聞きました」

海未「ごめんなさい…私は嘘をつきました。本当は先生と一緒に来ました」

絵里「そうだったのね、本当のことを教えてくれてありがとう」

絵里「私の妹がね、あなたと同じ学校の2年生なの。もしよかったら仲良くしてあげて。亜里沙っていうんだけど、知ってる?」

海未「多分隣のクラスです…」

絵里「少し抜けているところはあるけど、やる時はやる子だからきっと何か役に立ってくれるわ」

海未「ありがとうございます。今日は…楽しかったです」

絵里「こちらこそ本当にありがとう。亜里沙のこと、よろしくね」
56: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/22(木) 01:58:31.32 ID:c2cnb9ew.net
悩んだ結果話を分岐させることにしました

ここからルートAです
57: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/22(木) 02:17:37.02 ID:c2cnb9ew.net
真姫「おかえり、何話してきたの?」

海未「えっとまぁ、いろいろです」

真姫「そう、何か得るものがあったなら良かったけど」

真姫「まだ見たいところある?」

海未「いえ、特にはないです」

真姫「じゃあ早いけど帰りましょ」

─────

真姫「わかってると思うけど今日も私のとこ来なさい」

海未「すいません、度々ご迷惑をおかけします」ペコ

真姫「ふん」

真姫「馬鹿ね、仕事の上でって訳じゃなくて私個人が未成年放っておくことなんて出来ないし許せないの。だから何も遠慮とかはいらないわ」

海未「わかりました…私今日はもう寝たいです」

真姫「わかったわ。明日少し早めに起こすから」

海未「………」

真姫(私の見てないうちに何かあったみたいね…)
58: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/22(木) 03:04:27.10 ID:c2cnb9ew.net
真姫「ふあぁ…眠い…」

真姫「海未、起きて。学校よ…海未⁉」

真姫「おかしいわね…いつもしっかり起きてくるのに」

フ-ッ...フ-ッ...ゼェ...ゼェ...

真姫「海未…?どうしたの⁉」

海未「はぁっ…はぁ…!」

真姫「あっ!大丈夫よ、落ち着いて…ゆっくり繰り返すのよ。そう…ゆっくり吸って、はい、1,2,3,4…うん、で次はゆっくり吐くのよ…はい、1,2,3,4…よしよし偉いわ」サスサス

海未「ふぅーっふぅーっ」

真姫「まだゆっくり呼吸しなさい…よし、落ち着いたわね」

海未「ごめん…なさい…」

真姫「駄目じゃない、1人で抱えこんじゃ嫌よ…!」ギュ

海未「はい…」

真姫「…話してくれる?何があったのか」

海未「う…っ…!」ポロポロ

真姫「大丈夫。私はずっと待ってるから。言えたらでいいの」

海未「実は…」
59: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/23(金) 01:57:11.87 ID:OaIjfO36.net
海未「昨日、音ノ木坂の生徒会長に会ったんです」

真姫「そうだったのね」

海未「とても良い方でした…」

真姫「うん、続けて」

海未「私と同い年の妹さんがいるそうで…」

真姫「……⁉」

海未「名前、聞いたんですよ……」

真姫「うそ………」

海未「音ノ木坂生徒会長、絵里先輩の妹は……私を虐めてくる主犯にあたる、あの…綾瀬亜里沙だったのです……」

真姫「そんなこと…あるのね……」

海未「もう誰を信じていけばいいのかわからなくなりました」

真姫「でも…まだそうとは限らないじゃない?」

海未「私はあの時絵里先輩に少しだけ憧れに近い感情を抱いたのに…その妹が今世界で一番憎い人間なんですよ…!」

海未「私は…私はっ…!」ダッ!

真姫「待ちなさい!行く宛はあるの?」

海未「っ…!知りません!何もかも!もう私なんていなくなればいいんです‼」

真姫「馬鹿言うんじゃないわよ‼」

真姫「マズイわね…どっち曲がったかわからない…」
61: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/23(金) 23:55:57.20 ID:OaIjfO36.net
海未「はぁっはぁっ…」

海未「酷いです!みんな私を騙して…陰で笑っていたのですね」

海未「はぁ…はぁ…」

海未「どうしたのでしょうか…胸が…く、苦しい…!」

海未「はぁ…!はぁ…!」

大丈夫ですか?息が荒いですよ?

海未「ぁ…ありがとうございます…すこし休めば治りますから…!」

どうして下向いてるんですか?顔色がわからないから見せてください

海未「す、すいません…今気分が悪いので…」

わかりました。落ち着いたら顔上げてください!

海未「ふぅ…よくなってきました。本当にありがとうございます」

よかったぁ…顔見せてください

海未「わかりました………⁉」

亜里沙「え…海未…」

海未「いやぁぁぁあああ‼」
62: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/24(土) 00:02:52.82 ID:mBTR74Al.net
亜里沙「海未!待って!」

海未「来ないでください!」

亜里沙「私海未と1回話さなきゃいけないの!」

海未「金輪際私とは関わらないでください‼」

亜里沙「海未……⁉止まって!行っちゃダメっ!」

海未「もう私は騙されませんから!」

亜里沙「横から車来てるって!止まって!」

亜里沙「ダメーーーっ‼」

海未「あっ…」

グシャ...
63: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/24(土) 00:52:02.28 ID:mBTR74Al.net
真姫「海未…どこかしら…」

真姫「あの子が行く宛なんて全くわからない…母親のとこってことはないし…」

真姫「救急車…なんだか胸騒ぎがするわね…」

真姫「結構近くに停まったわね。野次馬根性は嫌いだけど見に行きましょ」



真姫「事故ですか?」

なんだか女の子が信号無視して飛び出したみたいでね、思いっきりトラックに跳ねられちゃったんだよ

真姫「…その女の子の特徴は…?」

んー髪が長くてストレート?だね、後服は上下ジャージで…あれ?どうしたのかな

真姫「…!海未!海未‼」

真姫「すいません、どいてください!」

ちょっと!近づかないでください!

真姫「海未…どうして…」

離れてください‼

真姫「私はこの子の保護者です‼」

なら一緒に乗ってください!

救急車出します‼周囲の確認‼

真姫「…わかりました」
73: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 11:33:00.46 ID:IYgODoBS.net
真姫「海未…どうして…」

真姫「1人で抱え込まないで、なんでも言ってって言ったじゃない…」

海未「ん…」

海未「先生…ごめんなさい」

真姫「馬鹿!心配したんだから…!」

真姫「あなたは1人じゃないってこと、もっと自覚しなさい」

海未「すいません…」

真姫「謝るの禁止よ」

海未「じゃあどうすればいいのですか」

真姫「決めたんでしょ?やりたいこと」

真姫「スクールアイドルを応援したいんでしょ?」

真姫「だったら、もっと笑う、もっと我が儘を言う」

真姫「応援する人が笑顔じゃなかったらステージに立つ子たちも嬉しくないわ」

海未「そうですよね、全部私に足りないです」

真姫「足りない物をどう補うかは自分で考えなさい。それがわかった時何をすべきか気がつくはずよ」
74: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 12:12:24.81 ID:IYgODoBS.net
海未「先生、思ったんです」

真姫「何か見つけた?」

海未「ファンとして応援すること以外にもやりたいことがあるのでは、と」

真姫「それはいいわ」

海未「えーと…私…作詞とかやれたらなって…」

真姫「ふふっ」

真姫「やってみなさい。なんでも挑戦するに越したことはないわ」

真姫「自分が作った歌が誰かに愛されるって中々素敵じゃない」

海未「でも…その…やっぱり恥ずかしいです」

海未「私なんて句でも詠んでいればいいです」

真姫「またそうやって…」グイッ

真姫「…⁉」

真姫「海未の手…冷たい」
77: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 22:57:44.22 ID:IYgODoBS.net
海未「難しいですね…何も思いつきません」

真姫「焦らなくていいのよ。ゆっくり考えなさい」

海未「はい……」

真姫「どうしたの?」

海未「すごく眠たいです」

真姫「疲れてるのよ。一回ゆっくり休みなさい」
78: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:03:39.52 ID:IYgODoBS.net
真姫「おはようう…寝てたか」

真姫「ふぅ…最近ずっと寝てるわね」

真姫「起きるまでどのくらいかしら…」



真姫「今日はそろそろ仕事行かなきゃ…」

真姫「ごめん、帰るわ。また明日ね」

海未「待って…ください」

真姫「あら!起きたの」

海未「一つ、お願いしてもよろしいでしょうか?」

真姫「いいわよ、何?」

海未「私の着物…ここに持ってきてもらえますか?」

真姫「わかったわ。明日起きたらここに置いてあるようにするから」

海未「…お願いします」
79: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:18:35.51 ID:IYgODoBS.net
真姫「今日は起きてるのね」

海未「はい。これ、ありがとうございます」

真姫「別にいいのよそれくらい」

真姫「それにしてもすごく綺麗ね。久しぶりに袖通す?」

海未「私の唯一大切にしているものですから…あ、少し着てみたいです」

真姫「ふふっ可愛いじゃない!写真撮ってあげる」パシャ

海未「うう…恥ずかしいです!」

真姫「海未にぴったりの色ね」

海未「深縹というそうです。紺色の中でも濃く勇ましい色合いで、男物の衣装によく用いられると聞きました」

海未「私もこの色のように…強くなれるでしょうか」

真姫「きっとなれるわ。だから、夢を持つのよ」

海未「夢、ですか?」

真姫「そうよ。私にもあるわ。あなたを自信持って前に進むことができるようにすること!」

海未「先生…」

真姫「海未!あなたも一つ夢を持ちなさい。目標だっていいわ。明日必ず聞かせてよ。久しぶりの私からの課題、しっかりね」

海未「はい、考えておきます」

真姫「じゃあね。また明日…」

海未「ありがとうございました」ニコッ


真姫「笑ってたわね…よかった」

真姫「明日どうかしら」
80: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:31:19.90 ID:IYgODoBS.net
真姫「私の夢は、叶わなかった」

真姫「あまりに突然であまりに悲しい現実だった」




真姫「ちょっと遅くなっちゃった…」

真姫「ちゃんと考えたかしら」コンコン

真姫「あれ?誰も出ないなんておかしいわね」

園田さんの知り合いの方でしょうか

真姫「ええ、そうです」

残念ながら、園田さんは今朝亡くなりました

真姫「………⁉」

真姫「どういうことよ⁉」

朝食を運びに行った時には既に亡くなっていたようです

真姫「何してんのよ…‼あの子昨日も私と喋っていたのよ⁉」

事故後、衰弱が止まらなかったそうです

真姫「…!そういえば…ここ数日よく寝てた…」

ですから、残念ですが…

真姫「そこをどうにかするのがあんたたちの仕事でしょ‼こんなに若い子が…日に日に弱っていくのをどうしてっ…」

真姫「どうして…私は気がつかなかったのよ…‼」

真姫「ううっ…本当…情けないわ‼何が保護者よ…!」

真姫「結局身近にいた子を助けることも出来ないじゃない…!」ポロ

真姫「馬鹿よ…偉そうなことばっかり言って…何もしてあげられなかった」

真姫「…ごめんね、海未」ポロポロ
81: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:34:56.33 ID:IYgODoBS.net
真姫「葬儀はひっそりと行われた」

真姫「来たのは私の同業者数人」

真姫「海未の…友人はおろか、母親すら来なかった」


真姫「全て終わったのは、あの日…初めて海未と出会った時と同じ」


真姫「6月の終わり、夜雨の降る、深縹の紫陽花に囲まれた場所だった」
82: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:36:01.37 ID:IYgODoBS.net
おしまい

ここからルートBです
83: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/28(水) 23:59:26.47 ID:IYgODoBS.net
亜里沙「おはよう!」バシ-ン

海未「ひゃっ⁉」ビクッ!

海未「だ、誰…ですか…?」

亜里沙「誰って私だよ、亜里沙だよ?」

海未「あっ…絵里先輩の妹さんの…」

亜里沙「そう!…ってあ!そっか初めてだったんだ!」

亜里沙「ごめんなさい‼私絢瀬亜里沙!よろしくね」

海未「えと、よろしくお願いします」

亜里沙「ねぇ今日の放課後暇?」

海未「暇…ですが」

亜里沙「ならさ、私と遊びに行こうよ!いいよね?」

海未「うえぇ…わかりました」

亜里沙「決まりね!じゃあ放課後公園にしゅーごー!」

海未(なんだか少し苦手なタイプかもしれません)
84: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 00:22:33.46 ID:MletbU7u.net
海未「彼女がもたらした幸運でしょうか、今日は本当に何事もなく1日終わりました…考えられません」

海未「集合場所に到着しましたが…少し早かったかもしれませんね」

亜里沙「ごめ~ん!待ったかな?」

海未「いえ、その、私も今来たところです」

亜里沙「そっか、じゃあ早速行こっか!」

海未「わわっ待ってください!」


亜里沙「いたいた!お~い!」

雪穂「あっ亜里沙!と…そっちの子は?」

亜里沙「海未だよ!今日から友達!」

雪穂「はぁ?また適当なこと言ってない?…あっどうも、高坂雪穂です。よろしくね」

海未「よろしく…お願いします」

海未(亜里沙とは対照的…と言っては彼女に悪いですが、しっかりした方です)

亜里沙「今日雪穂の家行っていい?」

雪穂「まぁ、そんなことだろうと思って綺麗にしといたよ。どうぞ」

亜里沙「大体いつも綺麗じゃん雪穂の部屋」

海未「あの、私は…」

亜里沙「行くの!当然だよ~」

海未「すいません、よろしくお願いします」

雪穂「まぁまぁそんな丁寧にしなくてもいいって」

雪穂「それじゃ、行こっか」
85: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 00:34:13.46 ID:MletbU7u.net
雪穂「上がって上がって~」

海未「お邪魔します…」

亜里沙「ふふふふ!」

海未「…?」

亜里沙「なんだかコソコソして海未泥棒みたい!」

海未「なっ…す、すいませんでした」

雪穂「こら亜里沙!冗談キツいよ」

亜里沙「あーそうだったかも…ごめんね、悪く言った訳じゃないの!」

海未「いえ、大丈夫です…」

あれっ?うち来るの初めてじゃない⁉

雪穂「あっお疲れ~」

海未「あっはい、初めまして。園田海未と申します」ペコ

穂乃果「しっかりしてて偉いねぇ!私穂乃果!雪穂の姉だよ~」

雪穂「海未ちゃん、面倒だと思ったらスルーしていいからね」

穂乃果「ちょっとそれ酷くない⁉もっと海未ちゃんとお話ししたいのに!」

穂乃果「あっ亜里沙ちゃんもいらっしゃい!」

亜里沙「お邪魔してます~」

雪穂「はぁ…ホントにこの姉は…」

海未「私は別に嫌じゃないですから」

穂乃果「あぁ~本当良い子!うちの冷めた妹とは大違い‼」

雪穂「何を~!」

亜里沙「あはは…まあまあ」

海未「…ふふ」

亜里沙「あ!海未ようやく笑った!」

海未「賑やかで…楽しいです」

雪穂「…そっか、よかった。ゆっくりしてってね」
86: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 00:46:33.49 ID:MletbU7u.net
亜里沙「あはは!それでね~」

雪穂「またやったの?本当懲りないねぇ…」

亜里沙「ね、海未はどう思う⁉」

海未「わっ私は…」

亜里沙「ねぇ、海未ってさ…」

海未(マズいです!私がはっきり物を言わない所為で…)

海未「あわわわ…」

亜里沙「本当可愛いよね‼綺麗な髪!お雛様みたい!」

雪穂「うん!私も、そう思うよ」

海未「あの…恥ずかしいです!」

亜里沙「あ…そう?良いことだよ」

海未「実は絵里先輩にも同じように褒められて…恥ずかしかったです」

海未「でも…この前も、今も、すごく嬉しいです」

雪穂「へへ、流石姉妹ってとこだね」

亜里沙「うん、海未は笑った方が可愛いよ」

海未「またそんな…」

雪穂「あ、そういえばだけどさ、海未ちゃんは何か好きなことある?」

雪穂「突然でごめんね」

海未「私は…」

海未(今までと同じように殻に閉じ籠っていてはいけません!)

海未(自分を変えるのは…自分です!)

海未「私は、スクールアイドルが好きです」
87: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 01:07:36.98 ID:MletbU7u.net
穂乃果「本当っ⁉」バタン!

海未「きゃっ⁉」

雪穂「もう!びっくりしてるじゃん‼」

穂乃果「ごご、ごめん!海未ちゃんスクールアイドル好きなの⁉」

海未「ええ、はい。この前音ノ木坂の学祭で、スクールアイドルのライブを観に行きました。みんなキラキラ輝いていて…とても眩しかったです」

穂乃果「ふっふーん♪」ドヤ

海未「穂乃果さん…?」

穂乃果「あの時の衣装ね、穂乃果と友達のことりちゃんと2人で作ったんだ‼」

海未「そうだったんですか…すごく、可愛いです…!」

穂乃果「ありがとう‼なにせ穂乃果の幼馴染がプロデューサーだからね!是非協力させてって頼んだんだよ。自信作だったから嬉しいなぁ~!」

海未「すごいです!いつも作っているのですか?」キラキラ

穂乃果「えへへ、そうだよ!昨日ね、丁度次のライブの為の衣装が1着完成したんだよ!海未ちゃん、よかったら着てみて‼」

海未「わ…私が、ですか?」

亜里沙「もちろん!」

雪穂「似合うと思うよ!」

海未「ありがとうございます…!」


穂乃果「うぅ~んやっぱ可愛いー!海未ちゃん絶対スクールアイドルになりなよ!」

亜里沙「ハラショー!すっごく良いよ!」

雪穂「うんうん!」

海未「これが…私…」

海未(恥ずかしいですが…すごく心地いい気がします…)

海未「やはり、スクールアイドルはすごいです」

海未「こんな私でさえも、キラキラ輝いている…」

穂乃果「元々輝いているんだよ、今迄気がつかなかっただけで!」

穂乃果「誰かの魅力を最大限引き出す、スクールアイドルはとっても素敵なものだよ」

穂乃果「自分が笑顔に、誰かを笑顔に!そうやってみんなを幸せにするんだよ」

海未「みんなを…幸せに…」

海未「私は…どうなのでしょうか」
88: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 01:10:29.57 ID:MletbU7u.net
海未「私も、もっと前に出てもいいんですか?」

真姫「ふふ、当然よ」

海未「みんなを笑顔に出来るでしょうか?」

真姫「当たり前じゃない。みんな誰だって可能性に満ち溢れているんだから」

海未「先生…ありがとうございました」
89: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 01:16:04.86 ID:MletbU7u.net
海未「みなさんこんにちは!私は音ノ木坂学院のスクールアイドルμ'sのリーダー、園田海未です‼」

海未「今日も最後まで楽しんでいってください‼」



真姫「ふふっやってるやってる」

真姫「あれからもう2年も経つのね…月日が経つのは本当早くて嫌になるわ」

真姫「まぁ、嫌なことばかりじゃあないんだけど」

真姫「あんなに暗い目をしていた女の子が、今はみんなを明るくしているとはね…」

真姫「今日は気持ちのいい晴れの日」

真姫「だけど雨の日と同じように、紫陽花は綺麗な深縹に染まり、元気に咲き誇っている」
90: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2017/06/29(木) 01:17:12.43 ID:MletbU7u.net
終わりです
不具合中も保守ありがとうございました
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

『【再】真姫「水無月の 夜雨に散りゆく 深縹」』へのコメント

当サイトはコメントシステムとしてDisqusを使用しています。
ゲストでの投稿も可能ですがアカウントの登録を推奨しています。詳しくはDisqusの登録、利用方法をご覧下さい。
表示の不具合、カテゴリーに関する事等はSS!ラブライブ!Disqusチャンネルにてご報告下さい。