SS 矢澤にこの誕生日

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にこ-アイキャッチ56
1: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 21:57:54.41 ID:pM6yREB4.net
今日は7月22日

世間一般では特になんてことのない普通の日
毎日なにかしらの意味を無理やり作りたがるこの国の風習にあててみても、意識するような日ではない
一部この日に騒ぐ人達がいるが、世界規模でみるとやっぱり普通の日なのである

しかしその一部騒ぐ人達と同じように、私にとっても普通の日ではなくなった特別な日だったりする
 

元スレ: SS 矢澤にこの誕生日

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2: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 21:58:59.22 ID:pM6yREB4.net
もうじきにこちゃんが帰宅する時間
彼女の事だから今日という日をちゃんと覚えているかどうか怪しいところ
しかし仕事柄、自身の誕生日に触れる事もあるかもしれない

そうした場合、このサプライズは若干効果を薄めてしまうかもと危惧する
まぁそれでもここまで準備をしたからにはきっちりとサプライズは決行するのだけど


しばらくして玄関の鍵を開ける音がする
この部屋の主のご帰還である

玄関からこのリビングまでは何もいじっていない。私の痕跡は一つとして無い
だからこの真っ暗な部屋に彼女はいつものように歩いて、電気のスイッチを押す
 
3: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:00:19.02 ID:pM6yREB4.net
 パーーーーン!


にこ「っ!!?」ビクッ

不意に響くクラッカーの音に全身で反応するにこちゃん
その驚き具合から、どうやら今日という日を意識していなかったと思われる

にこ「え…な、なんでいるの? 今日掃除の日だっけ?」

クラッカーの音に驚いた後に、私がここにいる理由に疑問を抱く
週に2日ほど部屋の掃除に来ている私だけど曜日は決まっているし、それは今日じゃない

リビング一面に飾られた装飾と、テーブルに置かれたケーキに添えられたメッセージを目にするにこちゃん
そして満面の笑みで出迎えた私とを合わせて、ようやく今日という日を思い出したようだ
 
4: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:00:59.31 ID:pM6yREB4.net
にこ「すっかり忘れてたわ……」

お誕生日おめでとうと、私からささやかだけどプレゼントを手渡す
昔からこういう時のにこちゃんは、少し照れた様子で視線を泳がせる
全身を使って喜びを表現するタイプではないけれど、とても喜んでくれているのを感じる

にこ「わ、悪かったわね…知っていればもう少し早く帰れるようにしたんだけど」

それじゃサプライズの意味がないと、お互い顔を見合わせて笑う


今日は私の大好きなアイドル、矢澤にこの誕生日
 
5: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:04:40.61 ID:pM6yREB4.net
明日もアイドルとしての仕事があるにこちゃんは、あまり遅くまで騒げない
昔のようにみんなで集まるにしてもなかなかタイミングが合わないのも仕方がない

だから、私が代表してにこちゃんの誕生日を祝う役目を任された

にこ「え、これみんなから?」

ソファの上に山積みにされたにこちゃん宛ての贈り物
今日どうしてもこれなかったみんなからのものだ

それに、にこちゃんには今や全国から誕生日のお祝いとして様々な贈り物が届けられているはず

にこ「そういえば明日事務所に顔をだしてから現場に向かうって言われてたけど…」

マネージャーさんからのメールを確認し、その要件の内容を概ね理解したようだ
きっと事務所にたくさん届いたプレゼントの受け取りと、仕分けに忙しいのだと思う

にこちゃんはアイドルで、私だけの特別ではないから
 
6: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:05:24.35 ID:pM6yREB4.net
二人だけの誕生日パーティー
にこちゃんにとってはみんなとなかなか会えない日々の中で、繋がりを確認できた嬉しい日
私にとっては今日という日ににこちゃんを独占できている最高の日

シャンパンやカクテル、にこちゃんの好きなものを可能な限り用意し、一緒に他愛のない話で盛り上がる

にこ「そういえばさ、ね、聞いてよ~」

いい感じにお酒がまわってきたのか、にこちゃんがソファに埋もれるようにして倒れこむ
私もいつものようにその隣にお邪魔する

にこ「今度映画にでるんだけどさ、私この年で中学生役よ!? 信じられる?」

余裕で信じられるんだけど、にこちゃん曰くスクールアイドルをやっていた時から10倍は大人っぽくなったと…
 
7: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:06:18.00 ID:pM6yREB4.net
にこちゃんが大学在学中から本格的に始めたアイドル活動
もともとスクールアイドルとしての実績から声をかけてくれていた事務所に所属することになる
私にも同じような誘いがあったけど、スクールアイドルと本業のアイドルでは事情がまるっきり違うのでお断りした

にこ「あんたもアイドルやってれば…ぅぃ……ぜ~ったい売れっ子になったのに~もったいない……」

ソファの端に座る私の膝に頭を置いてグチる。いつも酔ったときのにこちゃんがすること
私の中で矢澤にこがただのアイドルではなくなった時もこうだった
 
8: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:07:01.11 ID:pM6yREB4.net
アイドル活動を始めたものの、最初はなかなか上手くいかなかった
スクールアイドルとして頂点にたったという話題性も、数年たてばただの経歴
今を輝くトップアイドル達の中にはなかなか入れず、苦悩していたにこちゃん

自立の意味もこめて始めた一人暮らしも次第にその生活リズムが崩れ、ゴミも溜まりがちになる
たまたま休みの日に遊びに来た私がそれを発見していなかったらと思うと、想像はしたくない

にこ「忙しいんだからしょうがないじゃない…」

当時のにこちゃんの言い訳
新人アイドルとして、頂ける仕事すべてに全力で取り組んでいた結果だというのは理解できる
 
9: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:07:56.21 ID:pM6yREB4.net
じゃあこのまま荒れたままでいいのかという指摘に、にこちゃんが驚く事を提案してきた

にこ「たまにで…いいからさ、ちょっと……手伝ってくれない?」

にこちゃんからすればそれは部屋の片づけをちょっと手伝って欲しいというお願いだったのかもしれないけど
私がこの言葉で色々と決意したのをにこちゃんは知らない

どうせなら仕事に行ってる間、週2日くらい掃除しに来てあげるという私の申し出に喜んでくれた
そうしてその週末、私はにこちゃんの部屋の合鍵を貰う事になる

アイドル矢澤にこを私生活の面で支えるという私の願い……願望?野望?
とにかくそれはこういう形で叶うのだった
 
10: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:08:35.89 ID:pM6yREB4.net
にこ「あんたも物好きっていうか、普段なにしてるの?」

掃除の日には二人でちゃんとしたご飯を食べるというやり取りが恒例になったある日に質問された事
私の生活は特にかわりなく、大学行って友達とおしゃべりしたり、好きなテレビの話題で盛り上がる程度

にこ「ある意味充実してるのねぇ……」

一般人としての生活からはかけ離れたにこちゃんなりの感想
充実してると言えばそうかもしれない

アイドル矢澤にこの私生活を知っている人なんてそうそういないこの優越感は、私だけひっそりと楽しむもの
 
12: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:09:16.65 ID:pM6yREB4.net
そんな生活が半年ほど続き、アイドルとしても忙しさが増してきたにこちゃん
明日はひさしぶりの休みというのでその日、ちょっと気合をいれて豪華な夕食を用意する

にこ「なにこれ、なにかのお祝い?」

理由としては深く考えていなかったので、適当に付け加えてみる

にこ「矢澤にこの休日前夜祭って……私は休むたびにお祝いされるわけ?」

もちろん冗談だっていうのをわかった上で笑い合う私達
この時間は大切にしたいと、改めて思った
 
13: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:10:11.45 ID:pM6yREB4.net
酔いが回ったのか、着替えることなくソファに突っ伏すにこちゃん
やっぱり疲れているんだなと思い、膝枕でもしてあげようと隣に腰掛ける

明日は休みなんだし、このまま寝ちゃうのもありかもしれない
にこちゃんの寝顔を見ながら明日何をしようとか考えてきた時だった

にこ「ん………ママぁ……ん……」


寝言なのか、にこちゃんが不意に呟いたその言葉に私は衝撃を受ける
それは懐かしい高校の卒業式の日に、一度だけ聞いたにこちゃんの可愛らしい部分
 
14: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:10:55.05 ID:pM6yREB4.net
アイドル矢澤にこは、気丈で、カッコよく、それでいて最高に可愛いアイドル
彼女の発する言葉にはいつも信念が備わっており、後輩達にも多くの影響を与えた
そんなアイドル矢澤にこが不意にもらした……もしかしたらと思う言葉……

ママに甘えている夢でも見ているのだろうか、コロコロと笑う表情は、幼い女の子そのもの
彼女はアイドルの世界で必死に戦いながらも、どこかでまだ甘えたい気持ちもあるのかもしれない

そう思った瞬間、目の前の女の子が……カッコいいアイドル矢澤にこが、たまらなく愛おしく感じた
そしてその気持ちは行動にもでる


私は眠るにこちゃんを優しく包み込むように抱いていた

この時、私の中の矢澤にこは特別になったのだ
 
15: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:11:33.68 ID:pM6yREB4.net
かつては一緒にスクールアイドルとして駆け抜けた仲間であり、誰よりも尊敬できる人
それでもこの感情はアイドルとしてがんばるにこちゃんを応援したい、支えたいというだけじゃ説明できない

アイドルじゃないにこちゃんの支えになりたい。不意に見せるその気持ちを受け止められる存在になりたい
そう……あの日にこちゃんの寝言を聞いた私は決めたのである


矢澤にこのママになろうと!


にこ「何言ってんのよ!?」ガバッ


いつのまにか寝ていたと思っていたにこちゃんが起き上がる
というか私は回想をそのまま口にだしていたらしい。少し恥ずかしい
 
16: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:13:24.16 ID:pM6yREB4.net
にこ「はぁ、私が寝言で?」

私の独り言に経緯を求めたにこちゃんにあの日の出来事を語って聞かせる
案の定というか、顔を真っ赤にしたにこちゃんが否定しようとするけどそれは逆効果

にこ「えっちょっ…わぁ!」ドサ

再び私の膝枕にお招きする。どこかまだむすっとしているようで、ほんのり赤い頬がたまらなく可愛い
ママというのは確かに少し飛躍しすぎだったかもしれないけど、私がにこちゃんの支えになりたいのは本心

私には芸能界の事はよくわからないけど、そこでがんばるにこちゃんが安らげる存在でありたい
その気持ちをにこちゃんに伝えると、いつもは目を反らすにこちゃんが真っすぐにこちらを見つめる

そっと、にこちゃんの手が私の頬を撫でる……


にこ「ママより先に、なるべき関係があるでしょ」
 
17: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:14:14.56 ID:pM6yREB4.net
矢澤にこ。一緒にスクールアイドルとして活動した仲間であり、最高にかわいいアイドル

友情と愛情をすべて注ぎ込み、ずっと傍で応援したいアイドル

私達の中で一番小柄で可愛らしく、けれど誰よりも強かった女の子

あの日、その名前は私の中の特別となり、なにより優先すべき対象となった


今日は7月22日。矢澤にこちゃんの誕生日

誰にも知られてはいけない、アイドル矢澤にこが少しだけスキャンダルを犯した日

そして、私だけの特別になってくれた日



 SS 矢澤にこの誕生日  end
 
18: 名無しで叶える物語(しか)@\(^o^)/ 2017/07/22(土) 22:16:08.18 ID:pM6yREB4.net
今日だと思い出して急いで書いたから短いけどオメデトウ
ぷ れ ぜ ん とがNGワードなのはなぜ?
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