希「えりちが大好き」

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のぞえり-アイキャッチ4
1: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 21:53:41.50 ID:eQHf46Ui.net
「絵里ちゃん!この後ひま!?」

練習終わり、部室で着替えてるうちの横で、まだ練習着姿の穂乃果ちゃんがえりちの腕を掴んだ

「もう絵里ちゃんしかいないの~!みんな冷たいんだよぅ!」

がっちりとえりちの腕を掴んで離さない穂乃果ちゃんの声は、今にも泣きそう

「あ、えっと、穂乃果────私は」

チラ、とえりちが困った顔でうちを見る

ついさっき、うちと一緒に帰る約束をしてしまったばっかりに、思わぬ板挟みに会ったようやん

だからうちは反射的に、なるだけ笑顔で

「ああ、うちのことはええよ、穂乃果ちゃんと遊んできて」

つい─────そう言った

元スレ: 希「えりちが大好き」

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6: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 22:03:04.71 ID:eQHf46Ui.net
「はぁ……」

うちらのμ'sが通う学校、音ノ木からの帰り道

うちは一人でとぼとぼ、歩いてたん

「はぁ……」

ああ、駄目や駄目やと思っててもため息が零れていく

こんなことやったら、うちも一緒に行けば良かったかなぁ

本当やったら今頃、えりちと二人で秋葉原のほうに遊びにいくつもりやってんけど───────

「あぁーあ……」

駄目や……止まらんし


のぞみん────絶賛不調のようやん
8: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 22:11:00.16 ID:eQHf46Ui.net
大体、どっちの約束を優先しなあかん、なんて決まりは無いのに

うちは昔からの癖で、波風立たせんように、遠慮して引いてまうん

「変わらんなぁ……うちも」

μ'sに入ってから、こんなうちでも少しは変われたと思ってたんやけど─────ううん、それは気のせいやったみたいや

「うちも一緒に行っていい?」

誰もいない道で、ひとりごち

虚しい言葉が、青い空に吸いこまれて、消えていく

ああん、もう───────何でこれがさっき言えなかったんや、うちのばか!
9: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 22:25:14.08 ID:eQHf46Ui.net
「はぁー……ふうー……」

神田明神の境内で、大きく深呼吸

スピリチュアルなパワーを、体の中に取り込む

胸の奥がスッと軽くなった気がして、少しだけ気持ちが落ち着いた

なんか、新たなパワスポを探す元気もなくて、手っ取り早くここに来たんやけど、思いのほか効果があったみたいやん

いつもμ'sの練習にも使ってる場所やからかな、知らず知らずいろんなええ気が集まってたんやろか?

クッと胸を張って、姿勢を正す

「うん、大丈夫」

いつものうちや

別に元から誰のことも怒ってないし、ただ、少しモヤモヤしただけで───────
10: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 22:34:39.07 ID:eQHf46Ui.net
「何が大丈夫なの?」

ふと背中から掛けられた声、振り向くとそこには

「えりち?」

どこにいても目を引く金色の髪に、くりっとした碧眼

すらりと伸びた足に、きゅっと持ち上がったお尻

うちのよく知ってる、えりちがそこにいた

「や、やだ…何でそんなにジロジロ見るのよ」

「あ────ああ、ごめんごめん、見惚れてたん♪」

「何よそれ」

ふふっ、とえりちが笑う
12: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 22:48:24.43 ID:eQHf46Ui.net
「それより、穂乃果ちゃんとの用事はいいん?」

もしかしたら気を使ってくれたんかな?と思って聞くと、えりちは呆れたように肩をすくめた

「ああ、それなら、もういいの」

「そうなん?」

「ええ、何かすぐに終わっちゃった」

穂乃果ったら新しくできたパン屋につくとすぐにね、とえりちが話し始める

要約すると、穂乃果ちゃんは店で色んなパンを買ったはいいものの、「これ全部食べたら夜ご飯が食べられない!」と気付いてすぐにお開きになったんやって

穂乃果ちゃん、相変わらず天然やね
13: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 23:01:46.47 ID:eQHf46Ui.net
「それでほら、これ、半分貰っちゃった」

ガサリと、右手に持っていた袋を上げて見せるえりち

「あぁ、なんやさっきから良い匂いすると思ったら、それやったんか♡」

「ええ♪ 希との約束を破っちゃったし、埋め合わせってわけじゃないんだけど……もし良かったら、一緒に食べない?」

「くすくす♪ うん!喜んで!」

うちのこと探してくれたんかな、と思うと、笑うのを我慢できんかった

「ほんと?良かったぁ────私てっきり希は怒ってるんだと思って」

「え?」
16: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 23:32:48.40 ID:eQHf46Ui.net
「だって希、部室で私のことじーっと見てたから」

「ええ!?」

う、うち、そんなにえりちのこと見てた!?

なんや恥ずかしい!

あ、駄目───頬が赤くなってるかも

「えっと、そりゃちょっとは怒ってるけど…」

もちろん怒ってるわけないんやけど、照れ隠しで嘘をつく

「や、やっぱり…ごめんなさい、私が至らなかったから……」

しゅん、とうちの言葉を真に受けるえりち

ああもう、またそんな落ち込んだような顔して……

「もう、えりちは乙女心が分かってないなぁ!」
19: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/23(土) 23:51:08.82 ID:eQHf46Ui.net
「乙女心?それって…」

「あ、違う」

つい口を出た言葉に、首を傾げるえりち

乙女心なんて、そんなんまるで───────恋する女の子みたいな台詞やん


「と、とにかく!はよパン食べよえりち!」

「あ、そうね、あはは…」

「む、向こういこか…あはは…」

目を合わせて、なんとなーく気まずい空気を感じながら、うちとえりちは境内の端に移動する

心なしか、えりちが早歩きな気がする
20: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/24(日) 00:12:52.85 ID:pIVzkTK+.net
「よっこらしょっと」

「えりち、お年寄りみたいやな」

「失礼ね、まだ現役の女子高生よ」

「ふふっ、それももうあと少しやけどな」

おっとりした会話をしながらその場に座り込むうちとえりち

ガサゴソと袋の中をさぐるえりち

やがて一つのパンを取り出したかと思うと───────

「はい、希」

うちの分やったんか

ありがとー、と受け取ろうとすると、ひょい、とうちの手を避けるえりち

「え?」

「ほら希、あーん」
23: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/24(日) 00:51:56.34 ID:pIVzkTK+.net
「あ、あーん」

「ふふ♪」

ぱくり、手のひらサイズのクロワッサンをくわえる

「…………」

「ん?」

いやいや、手ェ離してや、えりち……

いったん噛み切って、クロワッサンを自分で掴もうとしたら、さらにくちの中に押し込まれた

「むぐぐ…!」

「どう?」

どうって、これ明らかにうち、からかわれてるん……

えりち……うちを相手にからかおうなんて、百年早いやん!

「ぱく」

「ひゃっ!」

「あむあむ」

「え、ちょっ…希!?指まで食べてるわよっ?ああ!な、舐めるなんて…!」

「んふふ♪」
28: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/25(月) 22:28:00.60 ID:ih6SRmnE.net
「あみゃい~♪」

「ばか!あ、甘いわけないでしょっ!離しなさい~!」

その場でジタバタと暴れ出すえりち

指を引っ込めればいいだけなのに、よほど混乱してるねんな

「ちょっとぉ~!もー!」

ああ♡

えりちが涙目になってる~!

あの生徒会長を(元、やけどね)相手に!

やった!うちの大勝利~!
29: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/25(月) 22:31:46.56 ID:ih6SRmnE.net
ちゅるん♡

「はぁ…!はぁ…!ああああ、もー!」

満足したので、えりちの指を解放

口の端からたらりと垂れたよだれを、舐めとる

「どうやった?」

「何がよぉ~!」

顔を真っ赤にして、ポカポカと叩いてくるえりち

もう、何て言うか、可愛いん

「ごめんなぁ、許して~」

ドサクサに紛れて、えりちに抱きつくうち

えりちはどこも柔らかいんよ♪
30: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/25(月) 22:51:35.82 ID:ih6SRmnE.net
「はぁ…すっかりパンが冷めちゃったわ」

「大丈夫♪ 冷めてても美味しいやん!」

「だ・れ・の・せ・い・か・し・ら!」

「あ、あはは…!」

それから、暫くしてからうちとえりちはちゃーんとパンを全部食べた

「いやー!めっちゃ美味しかったん♪」

「でも、少し甘過ぎるかもね、食べ過ぎると太っちゃいそう」

ダベりながら、二人で、肩を並べて

「あ、そうや!」

「ん?」
31: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/25(月) 22:55:43.74 ID:ih6SRmnE.net
「わざわざうちのこと探してくれて、ありがとうな♪」

「?」

えりちがキョトンと首を傾げる

あれれ?伝わってないみたい

「パンを一緒に食べるために、うちのこと探してくれたんやろ?それで…」

「何言ってるの、希」

えりちは、それが当然って感じで言う

「別に探してないわ、一番最初に、ここに来たもの」

「え?」

今度は、うちが首を傾げた
32: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2014/08/25(月) 23:00:21.02 ID:ih6SRmnE.net
「どういうことやろ…?」

「もー、何言ってるの、希」

呆れたように笑って、

「希の行きそうなところくらい、分かるわよ」

えりちがそういった

「う……」

あ───────


ああ……あかんあかん…!

な、何や不意を突かれた感じや……!

「そ、そうなん…!」

とりあえず、えへへと笑った
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