千歌「ドール」

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千歌-アイキャッチ16
暑い暑い夏休みのある日。

私、高海千歌と、親友の曜ちゃんは、私の部屋で寛いでいました。

千歌「あっ 見て見てー! この服可愛いよー♪」

スマホで見つけた洋服の広告を、曜ちゃんに見せます。

曜「お、可愛い! 千歌ちゃんに似合うと思うよー!」

千歌「えっへへー♪ でしょー?」

曜「・・・でも千歌ちゃん、今月ピンチって言ってなかったっけ?」

千歌「うっ・・・そうなんだよねぇ・・・外は暑いのに、私の懐は極寒の真冬・・・でも乙女の物欲は抑えることが出来ない・・・どうしたら良いのぉ~!」

曜「そうだ! 2人で何かバイトしようよ! 短期で出来るやつ!」

千歌「なるほど! よし、探そう!」

pixiv: 千歌「ドール」 by 矢部野たかひろ

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私たちはバイトの求人広告を眺め、良さそうなバイトが無いか探します。

千歌「これは・・・いや、お給料がパッとしないなぁ・・・こっちは・・・うぅん、私の体力じゃ無理だな・・・」

千歌「うーん! 楽にたくさんのお金を稼げるお仕事は無いもんかなぁ~」

曜「アハハハ、世の中そんなに上手くはいかないって」

しばらく探してもいまひとつピンと来るものが無くて、諦めかけた時・・・。

千歌「・・・んっ? これは・・・」

曜「何かあった?」

それは、広告の一番端の方に、小さく書かれていました。

本当に注意して見ないと見逃してしまうくらい小さく。

『部屋の掃除をしてくれる人を募集しています。報酬は一部屋5万円。全部で3部屋あります。』

千歌「ごごごごご5万んんんーーー!?!?!?」

目を疑いました。とんでもない金額です。

曜「しかも一部屋でだよ・・・ということは、合計15万円貰える・・・!?」

千歌「・・・じゅうごまんえん?????」

曜「信じられない・・・掃除するだけで15万・・・」

千歌「・・・部屋が凄く広いとか、相当汚れてるとか?」

曜「それでも異常だよ・・・」

千歌「よっし!!! これしかない!! これやろう!!」

曜「でも・・・なんか怪しくない? こんな小さな広告で、明らかにおかしいバイト料・・・ねぇ」

千歌「大丈夫大丈夫! 2人で億万長者になろうよぉ♪」

曜「うーん・・・まぁ千歌ちゃんがそう言うなら・・・」

私は意気揚々と、その広告の番号に電話しました。

電話に出たのは、女の人の声でした。

『どなたかしら?』

千歌「もしもし! あの、バイトの広告を見たんですけど・・・」

そして詳細を聞き、2日後に曜ちゃんと2人で向かうことになりました。




今思えば、曜ちゃんの言う通り、このバイトは怪しすぎました。

お金に目が眩んだせいで、私たちはとっても恐ろしい体験をしてしまったんです・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



2日後。私と曜ちゃんは、電車で1時間ほど行った所にある港町にやってきました。

千歌「うぅーん! 絶好のバイト日和ですなー!」

曜「アハハ、何それ・・・えっと、ファックスで送ってもらった地図によると・・・『南條山』っていう山を少し登った所にあるお屋敷に行けば良いみたい」

千歌「よーし! 出発だー!」




数分後。

千歌「うーん・・・どこだろう・・・南條山・・・」

曜「この地図分かりにくいなぁ・・・ねぇ、地元の人に聞いた方が早くない?」

千歌「そうだね あのお店の人に聞いてみよう」

私たちは、とあるお店に入りました。

看板には、『和菓子屋 穂むら』と書いてありました。

店員「いらっしゃいませー!」

店番をしていたお姉さんに、道を尋ねます。

千歌「すいません、南條山という山がこの辺にあるって聞いたんですけど、どこにありますか?」

店員「あぁ、南條山ならここから河に沿って10分くらい歩くとあるよ 頂上にとても高い針葉樹が立ってるから、それが目印だよ」

曜「河と針葉樹・・・なるほど! ありがとうございます!」

道だけ聞いて出ていくのは悪いので、お饅頭を一箱買ってお店を後にしました。

店員「今日は暑いから、熱中症にならないように、ファイトだよ!」

千歌「どうもありがとうございましたー!」てくてく・・・




店員「・・・あの子たち、あんな何も無い山に何しに行くんだろう?」




お姉さんに教えてもらった通り河沿いを歩くと、小高い山が見えてきました。言われた通り、てっぺんに大きな針葉樹があります。

そして少し山道を登っていくと・・・煉瓦造りの大きなお屋敷が見えてきました。ついに目的の屋敷に到着です。

曜「こ、ここが・・・」

千歌「さぁ到着だ! 中に入ろう!」

曜「う・・・うん・・・」

曜(鬱蒼とした山の中にいきなりこんな屋敷があるなんて・・・何だか不気味だなぁ・・・)

千歌「さーてお仕事頑張るぞ・・・」

コツッ

歩いていると、何かが足に当たりました。

千歌「ん?」

足元を見てみると・・・。

千歌「ぎゃあああぁぁぁぁーーーー!!!」

曜「ど、どうしたの!?」

千歌「な、な、な、生首ぃぃぃーー!!」

私の足の先には、男の人の頭がゴロンと転がっていました。

曜「わあぁっ!! ・・・ん、千歌ちゃん、これマネキンの頭だよ」

千歌「うえぇっ? ま、マネキン・・・?」

よく見ると、それは作り物でした。床屋に行くとたまに見かけるようなやつ。

千歌「な、なぁ~んだ・・・びっくりしたぁ・・・」ホッ

曜「も~、誰がこんな所に捨てていったんだろう?」

千歌「さ、さてと・・・気を取り直して、バイトを始めよう!」

『絢瀬』と書かれたゲートをくぐり、お屋敷へ。




ギィィィィィィ・・・・・・

「ようこそ 私の屋敷へ」

私たちを出迎えてくれたのは、ドレスに身を包んだ金髪のお姉さんでした。

曜(わぁっ・・・綺麗な人・・・)

千歌「こんにちは! 私が高海です!」

曜「わ、渡辺です・・・」

「ふふ、こんにちは 私がこの屋敷の主よ ここまで結構歩いたでしょう? まずはお茶にしましょう」

千歌「はーい! お邪魔しまーす!」



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大広間でお茶を頂いた後、お姉さんに連れられて部屋を見にいきました。

主人「貴方たちにお願いしたいのは、ここの客室3つのお掃除なの」

曜「おぉぉ・・・結構広いですねぇ・・・」

主人「ごめんなさいね 大変でしょうけど、お願い出来るかしら?」

千歌「お任せくださいっ! その為に遥々ここまで来たんですから!」

主人「ハラショー♪ 元気なのは良いことね じゃあ、お願いするわ」ニコッ♪




お姉さんが去った後、私たちは早速掃除の準備に取り掛かりました。

千歌「ねぇ見た? あのお姉さんの笑顔! 素敵な人だよねぇ・・・///」

曜「うん・・・とっても綺麗な人・・・正直、ここまでかなり不安だったんだけど、ちょっと安心したよ」

千歌「あんな素敵な笑顔の人が悪い人な訳ないよ!」

曜「・・・そうだよね!」

そして私たちは部屋の掃除を始めました。

部屋が広いので1日で3部屋全部を掃除するのは不可能です。

だから、1日目は1部屋と半分を掃除し、残りの半分と1部屋は次の日やることにしました。



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夕食後。

千歌「ふあぁぁ~~美味しかったぁ~~・・・」

主人「ふふふ♪ 気に入ってもらえて嬉しいわ」

曜「あの、ちょっとこの屋敷の中を見て回っても良いですか?」

主人「えぇ、構わないわ」

千歌「やったぁ!」

主人「あ、でも・・・西棟2階の一番奥の部屋には入らないでもらえるかしら」

千歌「え? なんでですか?」

主人「・・・・・・その部屋、他と比べて古くなっていてね・・・床が抜けると危ないから」

曜「なるほど・・・分かりました」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そして、私たちは屋敷内を探検しました。

千歌「こんなおっきなお屋敷初めてだから、わくわくしちゃう!」

しばらくいろいろな部屋を見て回っていたら、曜ちゃんが言い出しました。

曜「・・・ねぇ千歌ちゃん なんか妙じゃない?」

千歌「何が?」

曜「こんなに大きなお屋敷なら、使用人というか、メイドさんというか・・・このお屋敷の中で仕事してる人が居てもいいはずだよ」

千歌「うん」

曜「でも・・・ここに来てから出会った人は、あの主人のお姉さんだけ・・・他に誰も居ないのかな?」

千歌「あー・・・確かに あれじゃない? そういう使用人さんがみーんなお休み中で、その間の掃除をしてもらう為にバイト募集してるんじゃない?」

曜「なるほどね そういうことか」

そんなことを話しながら歩いていると、他とは違うドアが目に入りました。

綺麗な装飾を施された、一際大きな扉です。

千歌「この部屋は・・・?」

曜「・・・あっ! 千歌ちゃん、この部屋は駄目だよ! さっき入らないでって言われた部屋が、これだ!」

千歌「あぁ、これか・・・駄目って言われると入りたくなるなぁ・・・中には何があるんだろう?」

曜「ダメダメ! 危ないって言ってたじゃん!」

千歌「じ、冗談だよ 入ったりしないって」



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夜。 私たちは、屋敷のお風呂に入れてもらいました。

とっても広い大浴場で、まるで銭湯みたい。

千歌「うっひゃ~ こーんなに広いお風呂初めてだぁ うちの温泉もこれくらいあれば、お客さんもっとたくさん来るのに・・・」

曜「アハハ、流石に大きすぎるよ・・・ふぇぇ~~掃除頑張ったから疲れちゃったぁ・・・このお風呂で疲れを取って、また明日頑張らなきゃ!」

千歌「・・・それにしても曜ちゃん・・・ちょっと胸大きくなった?」

曜「え? そうかな?」

千歌「そうでしょ~・・・えいっ!」むぎゅーっ!

曜「わっ! キャハハハ、くすぐったいよ~」バシャバシャ

主人「お2人さ~ん? 湯加減はどうかしら?」ガラッ

千歌「あ、お姉さん! 最高ですよ!」

主人「そう、なら良かったわ・・・・・・」

ジーーーーッ・・・・・・

主人「・・・・・・・・・」

曜「どうしました?」

主人「あ、いえ 何でもないのよ そうだ、脱衣所にミルクを置いておくから、お風呂上りにでも飲んでね」

曜「ありがとうございます!」

主人「じゃ、明日も頑張ってね」

千歌「はーい! おやすみなさーい!」

ガラッ




主人「・・・・・・2人とも・・・綺麗ね・・・・・・」ジュルリ・・・




お風呂から上がって、置いてあるミルクを2人で飲みました。

千歌「プハーッ! 冷たくて美味しいー!」

曜「だねー 最高だよ!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



寝室にて、寝る準備をする私と曜ちゃん。

千歌「明日頑張れば、たっくさんのバイト代が私たちの手の中に・・・うししししし♪」

曜「もー、千歌ちゃんったら・・・」

千歌「んー・・・夕食の時間が早かったせいか、小腹が空いたなぁ・・・そうだ! あの和菓子屋で買ったお饅頭食べちゃおー」

曜「えぇー? 太るよー?」

千歌「平気平気♪ 1個くらい・・・あむっ♪ んんー! 餡子が甘くておいしー!」

曜「やれやれ・・・じゃ、おやすみー」

千歌「おやすみ!」

映画でよく見るお姫様のベッドで、すやすやと夢の中へ・・・。




ここまでは良かったんです。 ここまでは・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



真夜中。

千歌「ぐぅ・・・ぐぅ・・・」

曜「むにゃむにゃ・・・」

ぐっすり眠っている私たちの部屋に・・・。

ガチャッ・・・

主人「・・・・・・」

主人「・・・ふふふ・・・」ニヤリ

お姉さんは、寝ている曜ちゃんをお姫様抱っこします。

曜「ZZZzzz・・・・・・」すやすや・・・

主人「ふふっ♪ 流石は私の作った睡眠薬・・・ちょっとやそっとのことじゃ起きないわね ミルクに混ぜておいて、正解だったわ♪」

主人「ハァ・・・なんて美しい肌・・・ハラショォ・・・♥」

主人「まずはこの子・・・千歌ちゃんは後でね♪」

お姉さんは曜ちゃんを抱き抱えたまま、部屋を後にします・・・。




数分後。

千歌「・・・・・・んがっ?」

私はふと、目を覚ましました。

千歌「うぅーん・・・トイレぇ・・・」

トイレに行って用を足し、戻ってくると、曜ちゃんが居ないことに気付きました。

千歌「・・・あれ? 曜ちゃんは?」

部屋を出て、曜ちゃんを探しにいきます。

千歌「おーい・・・曜ちゃーん・・・」

しばらく歩くと、廊下に何かが落ちています。

曜ちゃんが着ていた寝間着でした。

シャツ、ズボン、下着・・・全部バラバラと落ちていました。

千歌「・・・なんで???」

千歌「お風呂にでも入ってるのかな・・・さっき入ったのに・・・」

散らかされた曜ちゃんの寝間着を拾いながら、私は歩きます・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



曜「・・・うぅ・・・うーん・・・んん?」

主人「あら? お目覚めかしら?」

曜ちゃんが目を覚ますと、そこは薄暗くジメジメした部屋でした。

壁にハサミやらノコギリやらが掛けられています。

そして曜ちゃんは、一糸纏わぬ全裸で、手足をロープで縛られ、板に貼り付けられていました。

曜「・・・・・・ひゃああっ!?!?」

主人「うふふふ♪ 驚いた顔も可愛いわね♥」

曜「なっ えっ 何!? 何が起こってるんですか!?」

主人「ふふふふ・・・貴方が眠っている間に、ここへ運んだのよ 私が作った睡眠薬をミルクに混ぜておいたおかげで、少しくらい身体を動かしても起きなかったのよ♪ 凄いでしょ? さすがわたしね♪」

曜「えぇっ!? あのミルクに!?」

主人「でもねぇ、何故か私の睡眠薬、小豆を混ぜると効き目が弱くなっちゃうの 改善しなきゃ・・・」

曜(小豆? ということは・・・餡子が入ったお饅頭を食べた千歌ちゃんは・・・)

曜(千歌ちゃん! 早く目を覚まして!)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



千歌「曜ちゃーん・・・あれぇ、ここにも居ない・・・」

私はまだ、曜ちゃんを探していました・・・。

千歌「どーこ行っちゃったんだろ・・・んっ?」

ふと、大広間の暖炉の位置が少しずれていることに気付きました。

千歌「・・・? えいっ!」

ゴゴゴゴッ!

千歌「わぁっ! 暖炉が動いた!」

中を見てみると、階段が地下へ続いていました。

千歌「・・・曜ちゃん・・・まさかこの下に・・・?」




曜「わ、私に何をするつもりですか!?」

主人「うふふふ・・・私ねぇ・・・貴方たちがここへ来てくれて、とっても嬉しいの・・・」

曜「・・・?」

主人「ハァ・・・可愛い・・・♥」さわっ

曜「ひあっ!!///」ビクッ

主人「綺麗な肌・・・恵まれた身体つき・・・芸術品のようね・・・ふぅーーっ♥」

曜「いやぁぁっ/// やめてくださいぃ!///」

主人「本当に最高だわ・・・貴方も千歌ちゃんも・・・」

主人「・・・私のお人形に相応しいわ!」

曜「なっ・・・!? こ、来ないで!!」

主人「アハハッ♪ こんなに素晴らしいカラダなのに、時間と共に衰えてしまうなんて・・・神様ってなんて残酷なの!? そんなの私が許さない! 私が永遠にしてあげる!」

曜「く・・・狂ってる・・・そんなの・・・」

主人「大丈夫よ・・・貴方の後に、千歌ちゃんもすぐに一緒にしてあげる♪ 他にもたくさん友達が居るわ・・・さぁ・・・パラダイスへ行きましょう・・・♥」

曜「いやあぁぁーーっ!! 千歌ちゃあーーんっ!!」




千歌「なっ 何してるの!?」

曜「ち、千歌ちゃん!?」

主人「あら? 睡眠薬が効いてるはずなのに・・・」

曜「千歌ちゃん! 逃げて!」

千歌「お、お姉さん!? これはどういうことですか!?」

主人「ふふふふふふ・・・貴方たちは私のものよっ!!」

寝る前までの優しい笑顔とはまるで別人のように、お姉さんの顔は邪悪な笑みに変わっていきました。

千歌「!!!!」

私は、部屋に置いてある箒を見つけました。そしてそれを持ち・・・。

千歌「曜ちゃんから離れろぉぉぉーーー!!!」

バキィッ!!!

主人「がぁっ!!」バタッ

お姉さんが気を失っている間に、壁に掛かっていたノコギリを取りました。

そして曜ちゃんの手足を縛っているロープを切り、地下室から逃げ出します。

千歌「曜ちゃん! 早く!」

曜「ち、千歌ちゃんっ!」

部屋に戻って曜ちゃんが服を着たら、荷物を持って一目散に逃げ出します。




千歌「あの人普通じゃないよっ! 逃げよう!」

曜「うんっ!」

玄関の扉までやってきましたが・・・。

ガチャガチャッ

千歌「ぐぅぅ・・・何となくそんな気はしてたけど、鍵かけられてる・・・」

曜「どこか別の出口を見つけよう!」


「どこへ行くのぉ???」


千歌「!!!!」

振り返ると、あの人が迫ってきました。私が殴ったせいか、額から血が流れています。

そして手には大きなハサミが・・・。

主人「うっふふふふふ・・・アキレス腱を切っちゃえばもう逃げられないわよねぇ・・・♥」

千歌「ひぃっ・・・」ゾクッ

主人「・・・あぁ・・・曜ちゃん・・・どうしてそんな繊維なんかを身に付けてしまったの・・・?」

曜「は・・・?」

主人「千歌ちゃんも・・・貴方たちの美しい肌・・・そんな布なんかに包まれてるなんて耐えられない・・・早く人工物から解放してあげたい・・・」

主人「人間は、神様から貰ったそのままの姿・・・人工物の何もかもを排除した裸体こそが最高に美しいのよ・・・アッハハハハハ!!」

千歌「い・・・異常だよ・・・こんなの・・・・・・」

主人「さぁおいで? ずっとずっと可愛がってあげる♥」

シャキン・・・シャキン・・・

千歌(やばいやばいやばいやばい!!! 何とかしなきゃ!)

曜「ぐっ・・・来るなら来いっ!」

千歌「曜ちゃん!?」

主人「・・・ふんっ!!」ビュオンッ!

突き出されたハサミをギリギリで躱して、曜ちゃんがお姉さんを投げ飛ばしました!

曜「ていやぁっ!」

主人「ひゃっ!」ドターン!

曜「今だっ! 逃げるよ!」

千歌「うんっ!」

ダダダダダダ・・・・・・

主人「くぅぅ・・・良いわ・・・良いわよ・・・ますます欲しくなっちゃう/// ハラッショォ・・・♥」うっとり・・・

主人「待ちなさぁ~~い?」




私と曜ちゃんは走って走って、ある部屋の前までやってきました。

装飾が目立つ、大きな扉。入るなと言われた、あの部屋でした。

千歌「床が抜けたって構うもんか! ここに隠れよう!」

曜「よしっ!」

バタンッ!

曜「・・・こ・・・これは・・・」

千歌「なっ 何これ!?」



その部屋で私たちが見たもの。

それは・・・部屋を埋め尽くす程の、マネキンのような人形たち。

小さな女の子から大人の女性まで・・・大量の全裸の人形が、静かに整列していました。

曜「あ・・・あわわわ・・・何なの・・・これ・・・」ガクガクガク

千歌「部屋が古くなってるっていうのは嘘だったんだ・・・本当は、これを見せたくなかったんだ・・・!」



その時。




「・・・・・・・・・た・・・す・・・・・・・・・け・・・・・・て・・・・・・・・・」




「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」


ガシャアアンッ!!!

私たちは部屋にあった椅子で窓ガラスを割り、飛び降りました。

ダンッ!

飛び降りた下が柔らかい草地だったので怪我せずに済みましたが、着地した衝撃でふらふらします。

千歌「うぅぅ・・・!?!? あ、あれは!?」

曜「何!?」


庭の片隅で、私たちが見たのは・・・また、大量の人形。

でも、さっきのとは全然違う。手足、胴体、頭、全部がバラバラに壊されて、ゴミ溜めのように山積みにされていました。

そして、その捨てられた人形は・・・全て、男性でした。


千歌「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!」ダッ

曜「ひゃあああ!!! あああぁぁぁぁーーーー!!!!!」ダダッ

ここで、私たちの中の恐怖心が頂点に達しました。

まだバイト代貰ってないけど、そんなことはもうどうでもいい。

1秒でもこの屋敷に居たくない。 何が何でもここから離れたい。

その一心で無我夢中で走りました。

私より運動神経の良い曜ちゃんが、私の手を引いて全速力で走ります。

曜「うわああああーーーー!!!!!」

千歌「ハァッ・・・ハァッ・・・!!」

逃げている途中で、私は一瞬後ろを振り返ってしまいました。

その時見えたのは・・・屋敷の窓からこっちを見るお姉さんと・・・その隣にもう一人誰かの影。

あの屋敷のもう一人の住人か、それとも人形か。

そんなことを考える暇も無く、私たちは山を下りました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



しばらく走ると、とある建物が見えてきました。

それは、昨日道を尋ねた、あの和菓子屋『穂むら』でした。

千歌「・・・ハァ・・・ハァ・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」

曜「こ・・・ここまで来れば・・・もう・・・・・・」

お姉さんは、追いかけてはきませんでした。

立ち止まると、一気に足の力が抜け、ヘナヘナと座り込みました。

千歌「・・・うぅぅ・・・うえぇぇ・・・」

曜「ぐすっ・・・うぐぅぅぅ・・・」

「うわああぁぁぁぁーーーーん!!!」

私たちは2人して、大声で泣き出しました。

2人とも生きているのが奇跡のようで・・・真夜中だっていうのにわんわん泣き喚きました。

店員「こらぁー! 夜中に騒いでるのは誰だぁー!」

千歌「あっ・・・お姉さん・・・」

店員「あれっ 君たちは昨日の・・・」

曜「うわぁぁぁぁーーー! 怖かったよぉーー!!」

千歌「うえぇぇーーーーん!!!」

店員「わわわわ、どうしたのどうしたの!?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



店の中に入れてもらって、お茶を貰ったら、少し落ち着きました。

私たちの身に起こったことを、何から何まで全部話しました。

店員「えぇっ・・・君たち、絢瀬邸に行ったの!? 何しに行ったのかと思ったら・・・」

千歌「あの・・・あそこは何なんですか? あそこで行われていることは・・・?」

店員「私にも分からないよ あの屋敷はずっと昔からあの山の中にあるんだけど、薄気味悪いから町の人は誰も近付かない・・・みんな極力関わらないようにしてるんだ」



もしあのまま屋敷に居たら、一体何をされていた?

主人のお姉さんに、あの無数の人形のうちの一体にされていた?

まさかそんな、魔法使いじゃあるまいし!

でもあの地下室のもっと奥には、それを可能にする何かがあった?

あの部屋で聞いた声は幻聴か、それとも本当に人形が?



千歌「・・・・・・いや・・・考えた所で、どうにもならない・・・忘れよう・・・・・・」

曜「・・・そうだね・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



翌朝。

私たちは結局、穂むらに泊まらせてもらい、朝ごはんまでご馳走になってしまいました。

私たちはお世話になったお礼に、穂むらの仕事をお手伝いしました。

考えてみれば、ここで買ったお饅頭を食べたおかげで、私は眠りから覚めることが出来たんです。

もしここを訪れていなかったら・・・そう思うと、感謝してもしきれません。

店員のお姉さんは明るく元気で、絢瀬邸で消耗してしまった私たちの精神を、優しく癒してくれました。




夕方。

店員「今日はありがとう! また遊びにおいでよ」

千歌「はい! じゃあ、さようなら!」

曜「お元気でー!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから1週間。

私と曜ちゃんは、平和に暮らせています。

今回の体験は、とても怖い目に逢ったけど、悪いことばかりではありませんでした。

一つは、穂むらのお姉さんと仲良くなれたこと。

また今度、曜ちゃんと一緒に遊びにいきたいな、と思っています。

そしてもう一つ、「うまい話には裏がある」という教訓を身を以て学ぶことが出来ました。



ただ、あれからマネキンが怖くなってしまい、それだけは困ってます・・・・・・。






おわり








曜「おーい! 千歌ちゃーん!」

千歌「ぐぅ・・・すぅ・・・」

曜「あっ! 千歌ちゃんったらこんな所で寝てる! 風邪引くよー」

千歌「ZZZzzz・・・」

曜「・・・・・・・・・・・・」



曜(千歌ちゃん・・・こうやってじっくり顔を見るのは、何だか久しぶり・・・)


曜(・・・千歌ちゃん・・・可愛いなぁ・・・綺麗だなぁ・・・・・・)


曜(・・・・・・千歌ちゃんの・・・綺麗な肌・・・・・・)


『人工物の何もかもを排除した裸体こそが最高に美しいのよ・・・』


曜(・・・・・・確かに・・・そうかも・・・・・・)ユラァ・・・


曜(千歌ちゃんの顔・・・肌・・・髪・・・身体・・・・・・もっと見たい・・・もっと・・・もっと・・・!)フラ・・・フラ・・・




曜(・・・・・・千歌ちゃんを・・・私だけのお人形に・・・出来たら・・・・・・)




千歌「うぅぅん・・・むにゃむにゃ・・・もう食べられないよぅ・・・」むくり

曜「・・・・・・ハッ!!!」ビクッ!

千歌「・・・なんだ夢か・・・うー・・・あれ、曜ちゃん? どしたの?」

曜「な、ななな何でもない!! 何でもないよっ!」ビクビク・・・

曜(な、何考えてるんだ私!? 駄目だ・・・そんなの駄目・・・!)

千歌「?? なんか顔色悪いよ? 大丈夫?」

曜「う、うん・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・・・・」

千歌「そう? ならいいけど・・・さ、部活に行こうよ」

曜「うん」

タタタッ・・・







曜(・・・・・・千歌ちゃん・・・・・・・・・大好き♥)







本当に おわり
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