告白に告白を

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曜-アイキャッチ9
「じゃあ返事、聞かせてくれる?」

「うん。私も梨子ちゃんのことが好き。一目見たときからずっと好きでした。付き合ってください!」

私の初恋。叶わないと思っていた恋。でも叶ってしまった。本当に突然だった。まさか私の誕生日に告白してくるなんて梨子ちゃんも思い切ったことするよね。

そう、私渡辺曜は昨日誕生日を迎えると同時に、好きな人から告白を受けた。これはそんなお話。

pixiv: 告白に告白を by 桜の人

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「曜ちゃん、お誕生日おめでとーーー!!」

「「「「おめでとう!!」」」」

「みんなありがとう!」

今日は4月17日。私の為にみんなが誕生日会を開いてくれている。残念ながら卒業してしまった果南ちゃん、鞠莉ちゃん、ダイヤさんは新生活が始まったばかりで来れなかったけれど、こうしてみんなからお祝いされるのは嬉しい限りであります。

「それじゃあ早速曜ちゃんへ私からプレゼント!」

「わぁありがとう千歌ちゃん! 早速開けていい?」

「もちろん!」

千歌ちゃんからのプレゼントは新しい帽子。

「前にあげたのずっと大切に使ってくれてたからそろそろ新しいのあげようかなって」

「嬉しい! ありがとう千歌ちゃん」

次は私、私と次々とみんなから誕生日プレゼントを貰っちゃって本当に嬉しすぎる。みんなそれぞれが私のことを思って準備してくれたのだと思うと幸せな気持ちでいっぱいになる。

「それじゃあ最後は梨子ちゃんだね」

「う、うん!」

そう言って勢いよく立つ梨子ちゃん。気合の入りようが何やら他のみんなとは違うことがなんとなく分かる。そして梨子ちゃんは部屋を出て行ってしまった。
もしかして相当大きかったりするするのかな? 一体どんなプレゼントが出てくるのか期待せずにはいられない。
部屋を出て数分が経ち扉が開かれる。そこから現れたのは看護師姿の梨子ちゃん。

「ど、どうかな曜ちゃん?」

「……」

あまりの破壊力に言葉が出て来なくて口をぱくぱく動かすことしかできない。昔梨子ちゃんに看護師のコスプレしてほしいなんて言ったことがあったけど、その時は恥ずかしいからダメって断られちゃった。だけど誕生日というこの日に念願の看護師姿の梨子ちゃんを見れるなんてもはや感無量。

「な、何か言ってよ曜ちゃん!」

「はっ! すっごく可愛いよ梨子ちゃん!! ほんと可愛すぎて狡い位だよねみんな!?」

「確かに梨子さんのナース姿すっごく可愛いです!」

「かーわいいずら」

「なんだか私たちのプレゼントよりもイキイキしてない?」

「うんうん、絶対曜ちゃん喜ぶと思ったんだよね」

「嬉しいけどやっぱりちょっと恥ずかしいな」

「あーもー我慢できない! 梨子ちゃん写真撮らせて!!」

「い、いいけどちょっと落ち着いてよー!」



楽しい時間というのは本当にあっという間に過ぎて行っちゃう。バスの時間もあるし今日はこれで解散。

「今日はみんなありがとうね。すっごく嬉しかったよ!」

「喜んでもらえたならよかったよ。それじゃーまた明日ね、曜ちゃん」

「うんっまた明日ね千歌ちゃん」

そう言って会場となっていた千歌ちゃんの家からみんなで帰る。梨子ちゃんもバス停まで一緒についてきてくれている。
バスの時間まで少しあるね何てみんなで話していると突然善子ちゃんが忘れ物をしたーって言って花丸ちゃんとルビィちゃんを連れて千歌ちゃん家に戻っちゃった。それも凄い勢いで。

「あんなに急ぐなんて何か見られたらまずいものでも持ってきてたのかな?」

「そ、そうね……ねぇ曜ちゃん、バスが来るまでまだ少し時間あるしちょっとそこでお話ししない?」

「そうだね」

私たちは少し歩いて砂浜まで来た。夕日に照らされる海はみかん色に染まっていて綺麗だ。青い海も好きだけど、夕方にしか見ることのできないこの海もまた好きだった。
隣に立つ梨子ちゃんに目を向けてみる。真っ直ぐと海を見つめる彼女の瞳には何か覚悟のようなものを感じる。

「梨子ちゃん?」

彼女は何も発しない。どうしたのだろう。何を言おうとしているのだろう。梨子ちゃんにとって大切なことということは分かる。だったら私は静かに待つだけ。

「こんなにも一年経つのが早く感じたのは初めて。それはきっとこの町に引っ越してきてみんなに出会えたからだと思う。本当によかった」

「私も梨子ちゃんと出会えて良かったよ」

「ありがとう曜ちゃん。私この町に引っ越してきてたくさんの初めてを経験することができた。なかでも私、初めて恋をしたの」

「恋?」

「そう、恋。こんなにも本気で人のこと好きになったのは生まれて初めてで、自分でもどうしたらいいのか分からなかった。そんな私の恋のことを自分のことのように考えてくれた人がいたの。一緒に悩んで、どうしたらいいのか考えたの。そして決めたの。今日告白しようって。曜ちゃん、好きです。付き合ってください」

頭が真っ白になった。私梨子ちゃんに告白された? 私どうしたらいいの? 頭が回らない。何を考えたらいいのか分からない。そもそも何かを考えなきゃいけいないのだろうか?

「いきなり過ぎて困っちゃうよね。返事はいつでもいいから」

そう言って梨子ちゃんは去っていってしまった。



気づいたら自分の部屋に帰っていた。まさに心ここにあらず。だって誕生日に好きな人から告白されちゃったんだもん。告白、されちゃったんだよね……。

「んぁ~///」

思い出しただけで恥ずかしくなる。今になって何度も頭の中で梨子ちゃんの言葉がリピートされる。

『好きです。付き合ってください』

「んっー!///」

恥ずかしさと嬉しさでどうにかなってしまいそうで、夕飯のときもお風呂に入ってるときもずっと梨子ちゃんのことしか考えられなかった。
梨子ちゃんのことは一目見たときから好きになった。東京から転校してきた美少女。ピアノが弾けて、優しくて、犬のことがちょっぴり苦手だったりする可愛い女の子。私にとって初恋の人。
最初は気の迷いなんだって自分に言い聞かせてたりしたけど、一緒に学校生活を過ごしたり、Aqoursとして練習していくうちにどんどん好きになっていった。そんな梨子ちゃんから告白されちゃうなんて夢のような誕生日だったと思う。

「そういえばなんて返事すればいいんだろう」

告白されたからにはちゃんと返事を伝えないと。でもなんて言えばいいのだろう。

「ありがとう梨子ちゃん、私も大好きだよ」

これじゃなんか普通過ぎるかな?

「嬉しいっ! 梨子ちゃんだーいすき!!」

違う違うこんなの私じゃない! じゃあ……

「ありがとう梨子。もう、逃がさないから」

これも違ーう! いきなり呼び捨てで呼び始めるなんておかし過ぎるよ! もういっそ

「私、渡辺曜は梨子ちゃんのことが全速前進ヨーソロー!」

もう訳わかんないよ! もう何が何だか分からなくなってきちゃった……。
いっそ千歌ちゃんに相談してみようかな? いやいやいや、梨子ちゃんに告白されたからなんて言って返事すればいいなんて聞けるわけないっ。でも待って、友達が困ってるということにして聞けば大丈夫かな? このまま悩んでても仕方ない!

pirrr...pirrr...

「もしもし曜ちゃん?」

「もしもし千歌ちゃん。今ちょっと時間大丈夫?」

「大丈夫だけどどうしたの?」

「ちょっと相談したいことがあって。こ、これは私の友達から受けてる相談なんだけど……す、好きな人から告白されたらしくてなんて言って返事したらいいのか分からなくなっちゃったんだって!」

「……はい?」

「だ、だからね? 好きな人から告白されて、なんて言って返事したらいいのかなって?」

「そんなの私も好きです。これからよろしくお願いしますとか言えばいいんじゃないの?」

「あ、うん。まぁそうだね」

「それだけ? じゃあ切るね。おやすみ曜ちゃん」

「おやすみ千歌ちゃん……」

私は何をバカな質問していたのだろう。ほんとあたしってバカ曜だ。



「もう朝か……」

あの後落ち着いたは落ち着いたけど、全然眠れなかった。

「おはヨハネ! あら元気なさそうじゃない。どうかしたの?」

「あ、善子ちゃんおはヨーソロー。昨日全然眠れなくて……」

「もしかして眠れなくなるほど私たちのお祝いが嬉しかったの? 流石、このヨハネが全力を出して祝福した甲斐があったわね」

「あーうん。そーだねー」

「何よその返事。本当に大丈夫なの?」

「だーいじょーぶだよー」

別に眠気は全然ない。むしろ頭はすっきりしている。だからこそ梨子ちゃんのことを考えてしまう。梨子ちゃんに会って、会う約束をして、返事をする。私が今日すべき3つの行動をひたすら自分に言い聞かせる。
大丈夫、私が告白した訳じゃない。むしろされた方で、OKの返事をするのだ。フラれると言った不幸な事態は起こり得ない。大丈夫、普段通りに会って普段通りに言えば何の問題もない。



「りりり、梨子ちゃん! きょ、今日の放課後! お、屋上でまま待ってるから!」



ぜんっぜん普通に言えなかったー……。なんで私の方がこんなに緊張してるの。返事を待ってる梨子ちゃんの方が普通緊張する筈なのに……。
自分で自分が嫌になりそうだよ……。こんなんでちゃんと返事できるのかな?

授業は全然手につかなくて気が付けばもう放課後。屋上に向かわないといけない。緊張が止まらない。心臓がバクバク鼓動してる。
落ち着け私。私はただ返事をするだけ。私も梨子ちゃんのことす、好きだって伝えるだけ。それだけなんだから!

「曜ちゃん」

「千歌ちゃん? どうしたの?」

「ちょっとだけお話ししない?」

「これから屋上で梨子ちゃんと話があるからそれからじゃ駄目かな?」

「大丈夫、すぐ終わるから。お願いっ」

「うん、わかったよ。それで話って?」

「それはね、今日の曜ちゃんすっごく変!」

「ぐぅ」

やっぱり変だよね私。分かっていたこと。でも改めて言われるとへこむ。

「曜ちゃんがこんなに変なのは今までで初めてだね」

「そ、そうかな?」

「そうだよ。ずーっと一緒にいた私が言うんだよ。間違いないよ」

「あははは、そうだよね。自分でも自分がうまくコントロールできないんだ」

「そっか。曜ちゃんは何をそんなに恥ずかしがってるの?」

「そ、それはそのー」

「告白されたんでしょ」

「ど、どうして!?」

「それ位分かってるよ。それで、どうしてそんなに恥ずかしがってるの?」

「それは……自分でもよく分からないんだ。嬉しくて素敵なことの筈なのにどうしようもなく恥ずかしくなっちゃうの」

「うん。曜ちゃんはさ、気持ちをさらけ出すのが恥ずかしいんじゃないかな?」

「気持ちをさらけ出す?」

「そ、曜ちゃんってなかなか自分の本当の気持ちを伝えるのってすごく苦手でしょ? 今回もそうで、大好きな人に自分の大好きを、自分の全部をさらけ出すのを恥ずかしがっちゃてるんだよ」

「じゃあ私はどうすればいいの?」

「そんなの決まってるよ。覚悟を決めるんだよ」

「か、覚悟……」

「確かに恥ずかしいのかもしれない。でもね、告白する方がもっと恥ずかしくて、怖かったはずだよ。だって拒絶されちゃうかもしれいんだもん。曜ちゃんだってそれは分かってるんだでしょ?」

「うん……」

「自分の好きな人がその恥ずかしさ、恐怖に打ち勝って告白してくれたのに曜ちゃんだけ恥ずかしいなんてそんなの、狡いよ」

「千歌ちゃん……」

「曜ちゃんはそんな狡い人じゃないよ。曜ちゃんはずっと私の憧れの人で、どんなことだって完璧にこなす凄い人なんだよ。だから曜ちゃん、恥ずかしがるのはもうやめよう。しっかりと好きな人のことを考えて、向き合おう」

「……そうだよね。分かってたはずなのにずっと逃げてたよ私。でも千歌ちゃんのお陰で目が覚めたよ。私ちゃんと向き合ってくる!」

「いってらっしゃい、曜ちゃん!」

「いってきます、千歌ちゃん!」

覚悟を決めろ渡辺曜。梨子ちゃんが頑張ってくれたんだから私もそれに答えないと!
急いで階段を駆け上がる。梨子ちゃんはきっともう屋上に来ている。これ以上待たせたくない。これ以上待ちたくない。
ダイヤさんに見つかったら凄く怒られそうだけど今は梨子ちゃんの為に急がせてもらう。

「梨子ちゃん!」

「よ、曜ちゃん!? どうしたのそんなに慌てて」

「はぁ……はぁ……こっちから呼んどいて待たせてたら悪いなって思って」

「そんなに待ってないから大丈夫だよ。それよりちゃんと息整えて」

「はぁ……うん。ちょっと、待っててね」

深呼吸を1回、2回と行う。これで大丈夫。緊張もしてないし、梨子ちゃんの顔もちゃんと見れる。
そういえば梨子ちゃんの顔をちゃんと見るのって今日はこれが初めてかもしれない。いくら変に緊張して恥ずかしがっていたからって失礼だったな。

「ごめんね、梨子ちゃん」

「えっ」

「あ、違う違う! 今のごめんは今日全然顔合わせられなくてってことだから!」

「び、びっくりしたぁ……いきなり断られちゃったかと思ったよ」

「勘違いさせちゃってごめんね。ちゃんと返事、伝えるから」

「……昨日今日で返事しちゃっていいの? 私は全然待つよ?」

「大丈夫。返事は最初から決まってたから」

「そっか。じゃあ返事、聞かせてくれる?」

「うん。私も梨子ちゃんのことが好き。一目見たときからずっと好きでした。付き合ってください!」

告白に告白で返すっておかしかったかな? でもこれが私の返事。私が伝えたいと思った言葉。ほかの誰でもない、私が持ってる気持ちを言葉にした。梨子ちゃんに伝わったかな?

「曜ちゃん……ありがとうっ!」

そういって私のことを抱きしめてくれた梨子ちゃんの目には涙が浮かんでいたような気がする。きっとそれは見間違いなんかじゃない。だって私の目にも自然と涙が浮かんできているんだもん。

「これからよろしくね、曜ちゃん!」

「こちらこそ、梨子ちゃん!」



恋人として一緒に帰る初めての道。

「でも梨子ちゃんが私のこと好きだなんて全然思ってなかったよ。ずーっと千歌ちゃんのことが好きなんだと私思ってたよ」

「どうしてそんな風に思ってたの?」

「だって梨子ちゃん、千歌ちゃんとすーぐに仲良くなって毎晩電池が切れるくらい電話したりしてたんでしょ? もう既に付き合ってたりーなんて考えたりしたことだってあったんだよ」

「あーそれねー」

「電池が切れるまでって相当だよ? 毎晩千歌ちゃんと何話してたの?」

「実はね、千歌ちゃんと曜ちゃんの可愛さについて毎晩語り合ってたの」

「え?」

「最初はお互いの昔話とか話したりしてたんだけど、千歌ちゃんの話の中によく曜ちゃんの話が出てきたの。その話の曜ちゃんがすっごく可愛くて、私も学校であった曜ちゃんの話とかしだすようになったら止まらなくなっちゃって……分かるでしょ?」

「いや分からないから! てか何それすっごく恥ずかしいんだけど!?」

「あ、せっかく付き合えたんだしお互いの好きなところについて語り明かさない?」

「いやいや恥ずかしいって!」

「そう言わずにこれから毎晩語りましょうよ♪」

「か、勘弁してよぉ~」
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