善子百面相

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善子-アイキャッチ36


【怒】

 今日も今日とて爽やかな秋晴れ。運動日和にお散歩日和。そして同時に堕天日和でもあるわ。
 というか学校で人目を気にせず儀式が出来るのって屋上くらいだから、天気が悪いと困るのよね。
 部室でやるとダイヤたちがうるさいし。

「さあ、デイモスの書よ。堕天使ヨハネの呼びかけに答えなさい」

「で、なんでオラとルビィちゃんも付き合わされてるの?」

 ちょっと、今良いところなんだから邪魔しないでよ。
 ほんと、ずら丸ってば空気読めないんだから。

pixiv: 善子百面相 by あめのあいまに。

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「あんた達は私のリトルデーモンなんだから、ヨハネの儀式を見守るのは当然でしょ」

「意味わかんないずら」

 こうも即答されると、なんだかがっくしきちゃうわね。
 まあ、ずら丸が理解してくれるとも思ってなかったんだけど。

「そもそもリトルデーモンってオラたちだけじゃないでしょ?」

「いいの。この儀式は特別だから選ばれし者だけで行うの」

 もちろん、そんなの嘘だけど。
 わざわざ呼び出してやるほどのことでもないし、二人が暇そうにしてたから都合が良いと思って連れてきただけ。
 でも、ヨハネの儀式はいつだって本気よ。奇跡の目撃者になれるかもしれないと思えば、むしろ喜んで見に来たっておかしくないんじゃない?

「えへへ、花丸ちゃん。ルビィたち特別だって」

「違うわよ、特別なのは儀式!」

「善子ちゃん照れてるずらー」

 ヨハネよ! と言い出すとキリがないのでこらえる。一回くらいなら誤射かもしれないし。
 それにしてもこの二人といるとなんかペースを乱されるわ。マイペースというか、なんというか。
 ……よく考えたらAqoursの大半に私のペースは乱されてる気がする。あれ、もしかして私の立場弱すぎ?

「まったく、これじゃ儀式が進まないじゃない」

「そもそも何の儀式なの?」

「よくぞ聞いてくれたわ! 今日行うのは魅了の儀式。人々の心をこの堕天使ヨハネに釘付けにしてしまう恐るべき魔術よ」

「ふーん」

 ちょっと、なんでそんな興味なさそうなのよ。
 ノリノリで答えたこっちが恥ずかしいじゃない。

「でもさ、善子ちゃん。ううん。ヨハネ様」

 ずら丸が私のことをヨハネって呼ぶなんて珍しいわね。
 明日は雪でも降るのかしら……じゃなくて、やっとヨハネのリトルデーモンとしての自覚が芽生えたのね。
 って、なんで二人してこっちに来るの。

「ヨハネ様、そんな儀式なんてしなくても」

「ルビィたち、もうヨハネ様の虜だよ」

 え、なんか二人とも様子がおかしくない。目の色を変えてじりじりと。

「え、え?」

 ついに壁際まで追い詰められて、次第に二人の顔が近づいてくる。
 嘘、これってもしかして……本当にヨハネの魔力に魅了されちゃったの?
 こんな、友達同士でなんて駄目よ。
 心の叫びもむなしく、二人との距離はどんどん縮まっていく。二人の顔が、唇が、私のすぐ目の前まで来ている。
 私は堪え切れなくなって目を瞑る。

 しかし、何秒経ってもその後が来なかった。

「ふ、ふふ」

「ぷっ、くくく」

 変わりに聞こえてきたのは、必死に我慢したような笑い声で。

「な、な……」

 からかわれた、そう気付いた瞬間怒りに体が震えた。

「こらー!」

「わー、善子ちゃんが怒ったー」

「逃げろー」

 キャッキャとはしゃぐ二人を私は追い駆けまわす。
 リトルデーモンのくせにこのヨハネを罠にはめようなんて、百年早いわよ!

 ……でも、本当に魅了されたんじゃなくて良かった。
 二人の心が私のせいで変わっちゃったんだって思ったら、とても嫌な気持ちになったから。



【照】

 季節の変わり目っていうのは天気がコロコロ変わって、こないだまで暑いくらいだったのに、今日は冬みたいに冷える。
 堕天使的にはこういう不安定さもアリなんだけど、人間の身にはやっぱり堪えるわ。

「っくしゅん」

 人は噂をされるとくしゃみをするなんて言うけれど、堕天使の場合も同じなのかしら。
 くしゃみをするのは呪いのせいって考え方から来てるらしいけど、堕天使に呪いってどうなのよ。

「善子ちゃん大丈夫?」

「ヨハネよ。っくしょん」

「呼び名より体調を気にした方が良いずら」

 余計なお世話よ。この体は所詮仮初の器。堕天使たる私にとっては名の方がよほど大事。
 でも今日は温かくして寝ましょう。仮初だろうと大切にする。エコロジー&エコノミー。それが堕天使の心意気だから。

「最近急に冷え出したもんね」

「そうね。不覚だったわ」

 本当、まだ大丈夫だろうと薄着で寝ていたら、風邪をひいてしまうなんて。
 やっぱりヨハネってば不幸ね。え、天気予報くらい見ろって? 余計なお世話よ。

「うわあ。善子ちゃんの手冷たい」

「どれどれ……ほんとずら」

「ちょっと、なんなのよ」

 急に両側から手を握られる。二人の手はとても温かかった。
 何食べたらこんなに温かくなるのよ。
 まあ子供は体温が高いって言うし、無邪気な二人が体温高くてもなんとなく納得できるか。
 同い年だけどね。

「こうすれば手、温かいよ」

「そういえば、手が冷たい人は心が温かいって言うよね」

 その俗説だとあんた達は心が冷たい人になっちゃうんだけど、それで良いのかしら。
 まあそこまで考えてないんでしょうね。

「はあ。好きにすれば」

 私は溜め息を一つ、秋の寒空を見上げた。

「あ、善子ちゃん照れてる」

「照れてない! あとヨハネよ!」

「だってお顔が赤くなったよ」

 なんなのよ、もう。
 風邪かもって話してたんだから、赤くなったら熱を疑うべきでしょ。
 そもそもどうして私が照れなきゃいけないわけ。

「~~! やっぱ手を繋ぐのなし、走って温まるわよ!」

「ああ、待ってよ善子ちゃん!」

 生意気なリトルデーモンたちを置いて、私は高く澄んだ空の下を駆け出した。
 空いた両手が寂しい気がしたのは、きっと風邪のせいに違いない。



【素】

 うー、頭が重い。寒気がする。
 こないだの風邪が思いのほか悪化してしまったみたい。
 夏風邪は馬鹿がひくというけど、今は秋だからヨハネはセーフ。
 むしろ一周回って頭が良い証拠なのでは。
 ……熱のせいか、我ながらなんだか変な思考回路になってるわ。

 とりあえず学校に休みの連絡はしたけど、今日はママも仕事が遅くなるって言ってたし、大丈夫かな。
 まあ寝てるだけだしなんとでもなるわよね。
 ご飯を食べて薬を飲んで、大人しく横になってましょう。

「今頃皆、何してるのかしら」

 ゆっくりと流れる雲を見つめて、入学してから今までのことを思い返す。
 この半年で、私も大分変わった気がする。
 学校を休んでなんだか寂しいって感じる日が来るなんて、思ってもみなかった。
 ルビィや花丸は、今頃授業を受けてるのかな。私がいなくて寂しいなんて、少しは思ったりするのかな。
 そんなことを考えてたら、なんだか眠くなってきちゃった。





 目が覚めると、外はもう薄暗くなってきた。
 全身汗だくで、寝間着までぐっしょりだった。
 このままじゃ体に悪いし着替えたいけど、起き上がるのも億劫だった。
 シャワーとか浴びても平気かしら。熱もちょっと上がってる気がするけど。

 ママ――は遅くまで帰ってこないんだった。
 静かな一室に一人でいるのが、なんだか無性に心細かった。

 ピンポーン。

 その時、チャイムが鳴った。
 こんな時に誰よ、もう。
 宅配便? でもママはあまり通販しないはずだし、私も最近は何も注文していないと思ったけど。
 重い体を起こして何とか扉を開けると、そこにはずら丸がいた。

「お見舞いに来ました……って、善子ちゃん大丈夫ずら!? びしょ濡れずら」

「え。ええ」

 私の姿を見て驚きの声を上げるずら丸。
 先に着替えるべきだったかしら。
 よくよく考えたら人様の前に出る格好じゃなかったかもしれないけど、そんなとこまで頭が働かなかったわ。

「おうちの人はいないの?」

「今日は遅くまで帰ってこないのよ」

「そうなんだ。じゃあお邪魔させてもらうね。着替えとタオル用意するから善子ちゃんは寝てて」

 いつものふわふわした雰囲気はどこへやら。ずら丸は有無を言わせぬ勢いで私の看病を始めた。
 ぼけーっとしてるようでいて、意外としっかり者なのよね、こいつ。

「体くらい自分で拭くわよ」

「いやいや、マルがやるよ。ちゃんとしないと風邪治らないよ」

 着替えやタオルを用意してくれたのは嬉しかったけど、裸を見られるのは恥ずかしかった。
 まあずら丸は気にしてないみたいだけど。別に着替えとか一緒にしたりするし、そんなもんかもしれないけど、風邪で弱ってるからか自宅だからか。

「晩ご飯は?」

「マ……お母さんが帰ってきたら作ってくれるわ」

「そっか。でも帰り遅いんでしょ? お腹減ってない?」

 言われて、自分がとても空腹なことに気付いた。

「そういえばお昼食べてなかったわね」

「じゃあ軽めに何か作るね。うどんとおじや、どっちが良い?」

「おじやかな」

 花丸の作ったおじやをいただく。
 汗をかいて冷えたせいか、その温かさがとても落ち着く。

「そう言えば、あんた部活はどうしたのよ」

 放課後、Aqoursの練習は夕方いっぱいまであったはず。
 それならどうして花丸はここにいるんだろう。

「お休みしちゃった。善子ちゃんが心配だったから」

「ちょ、大丈夫なの?」

「うん。その分明日から頑張るから。それに善子ちゃんのことが気になって、練習に出ても身が入らなかったと思うし」

 なんだろう。結局迷惑かけちゃったのね。
 練習や済ませちゃって、とっても申し訳なかった。
 でも、その心遣いが嬉しかった。一人で心細かったから花丸が来てくれて安心したし、看病のおかげか体も少し楽になってきた。
 だから、伝える言葉はごめんなさいじゃなくて。

「ありがとう、花丸」

 普段だったら言えないけど、風邪のせいかな。
 不思議と素直に気持ちを言葉にできた。
 そのことを話したら。

「ずっと風邪ひいてれば良いのかな」

 ですって。ははは、こやつめ。
 元気になったら絶対堕天龍鳳凰縛喰らわしてやるんだから。



【泣】

 堕天使と言えば、やっぱりイメージ的に明るいところよりは暗いところ、広いところよりは狭いところとか隅の方とか、そういうのがイメージにあってるとは思う。
 だけどそれはけして今私がいるような、お寺の隅にある古びたホコリっぽい蔵の中ではないと思うの。
 ずら丸に蔵の掃除を頼まれて安請け合いしたヨハネもヨハネだけど、当の本人が私を放っぽって別の場所の掃除に行っちゃうなんて聞いてないわ。

 そこまで広くはないけど、明かりもほとんど入ってこないし荷物はぎゅうぎゅう詰めだし、何より。

「ここの蔵、その昔偉いお坊さんが悪霊を封じこめたお札があるという噂ずら。見つけても絶対イタズラしちゃ駄目だよ」

 なんでわざわざ不安になるようなことを言ってから一人にさせるわけ?
 そんな危ない場所一人で掃除させないで。いや、別に怖くないけどね。堕天使的に悪霊はむしろ味方と言えなくなくなくなくもないし?

 まあ、結局手を動かさないわけにもいかず、私は掃除を始めたわ。
 一度やり始めたらお札のことなんてすっかり忘れて、ひたすら蔵を綺麗にするマシーンと化した。
 いかに効率的に、速くやるか。ゲーム感覚でテキパキと。でもそれがいけなかったのかも。
 速く動くことに意識が行き過ぎて、注意力散漫になっちゃったのかな。
 ビリッ、と。
 その音を聞いて私は一気に青ざめた。

「まさか、ね」

 恐る恐る音の方に目をやると、そこには破けたお札があった。
 やってしまった。でもずら丸の話なんてどうせ嘘に――。

 ドンドンドン!

「ひいっ」

 急に蔵全体に何かを叩くような音が響き渡って、続いてバタンと扉が勝手に閉じてしまった。
 そして蔵の中は一気に真っ暗になる。

「じょ、冗談じゃないわよ」

 こんなところに一秒でもいたくなかった。
 私は手探りでなんとか扉の前まで辿り着くと、思い切り力を込めて押した。

「嘘、開かない……」

 だけど、扉は何度やっても開かなかった。
 めいいっぱい力を込めても、びくともしない。
 確かに力がある方じゃないけど、こんなことってあるわけ?

 ドンドンドン!

 扉から何かを叩くような音がして、私は飛び退いた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 私は膝を抱えて震えていた。
 何に謝ってるのか分からないけど、口からは自然と謝罪の言葉が零れてくる。
 それでも扉の音は止む気配がない。
 でも、私はそのうちその音に紛れて声が聞こえてくることに気が付いた。

「花丸? 花丸なの?」

「善子ちゃん!? やっぱりここにいたんだ。ちょっと待ってて……んしょ」

 しばらくして開いた扉から、眩しいくらいの光とともに花丸の姿が飛び込んできた。

「花丸ー!」

「ちょ、善子ちゃん。どうしたの?」

 私は涙ながらに花丸に飛びついた。
 いつもは生意気なリトルデーモンだけど、今の花丸は天使に見えるわ。

「どうしよう、お札破っちゃった」

 私はそっちを見ないようにして蔵の中を指差した。

「んー? これのことずら?」

「ちょっと。そんな簡単に扱って良いものなの?」

 ぴらっと破けたお札をつまんで持ち上げる花丸に私は驚きを隠せない。
 怖いもの知らずにもほどがあるわ、ほんと。

「これ、普通のお札ずら。多分お焚き上げから漏れちゃっただけの」

「え、封印のお札じゃないの?」

「だって、古くて読みづらいけど安産祈願って書いてあるよ。まあ破っちゃったら罰当たりかもしれないけど」

 確かに、目を凝らして見るとそう読めなくもない。
 とはいえ、あの暗い蔵の中ではなんて書いてあるかまで判別するのは不可能だったけど。

「そんな。でもそれなら扉は? 私何度も開けようとしたのにビクともしなかったわ」

「あー。ごめんね善子ちゃん。ここの扉立てつけが悪くなってて、持ち上げるようにしないと開かないんだ」

 私はそれを聞いて、全身から力が抜けてへなへなとその場に座り込んでしまった。
 良かった。いや、良くはないけど。
 今回はずら丸がすぐに来たけど、閉じ込められたままだった可能性はあったわけだし。
 というか、扉の開け方とか、そういうの先に言っておきなさいよ。

「本当にごめんね。今日はもうお掃除は終わりにしよう? あっちで焚き火をしてるから」

 私も誤解だったとはいえ流石に掃除を続ける気分じゃなかったので、ずら丸の意見に賛成した。
 焚き火では焼き芋を焼いていて、ずら丸ったら一人で四つも食べちゃうのよ。
 三年生に言いつけて特別練習メニュ組んでもらおうかしら。

 ちなみに破けたお札はお焚き上げと称して焼き芋と一緒に焚火の中へ。
 ずら丸は平気って言ってたけど、こっちの方が罰当たりなのでは?
 なんだか怖がっていた私が馬鹿みたいね。



【好】

 夜の浜辺で私とずら丸は向かい合っていた。
 というか私が呼び出したんだけど。

「ねえ、ずら丸。月にいるのはなんだと思う?」

「何って、うさぎずら?」

 ふ。月並みな答えね。月だけに……ってこれは千歌さんのお家芸だったわ。

「正解はウサギ型のリトルデーモン、よ」

「意味わからないずら。そんなこと聞くために呼び出したの?」

 もちろんそんなわけないんだけど、なんというか容赦がないわね。
 もうちょっと心の準備というか、勇気が出るのを待ってほしいんだけど。

「今日呼んだのは他でもない。ずら丸、あなたと堕天使ヨハネとの契約を結ぶためよ」

「それ今じゃなきゃ駄目?」

 人の話は最後まで聞きなさいよ。
 幼稚園の時に習ったでしょ?

「今日の儀式は特別なの。月の満ち欠け、潮の満ち引き。全ての条件が揃うは今日だけ。次のチャンスは百年後よ」

 まあこれも嘘なんだけど。
 どちらかといえばこれは自分に言い聞かせるため。
 臆病な私が逃げないように、自ら退路を断つために。
 こう言えばもう、私は今日それをやるしかなくなるから。

「で、どんな内容ずら?」

「よくぞ聞いてくれたわ! これは私とずら丸の新たな契約の儀式。ここで契りを結べば最後、ずら丸はもうただのリトルデーモンじゃなくて、ヨハネの守護者として一生私の傍にいなくてはならないわ」

 私は一気にまくしたてる。そうしないと、途中で恥ずかしくて止めてしまいそうだから。

「それ、マルに何か良いことある?」

 いつもの調子で、ずら丸が突っ込んでくる。
 まあそうくると思ったけどね。だって伝わるように言うのが怖くて、わざとそういう言い方したわけだし。
 それでももしかしたら、なんてことも考えたけど。やっぱりずら丸はずら丸ね。
 と思ってたのに。

「マル、何も分からないから、善子ちゃんに騙されて契約しちゃうかもしれないなぁ」

 どうしてそんなに真っ赤なの。
 なんでそんなにそわそわしてるの。
 その答えは、聞くまでもなかった。

「良い? 嫌ならちゃんと言いなさいよ」

「嫌なはずないよ。善子ちゃんと一緒に居れるなら」

 私は目を瞑る花丸の肩を抱き、ゆっくりと顔を近づけた。

「っ……」

「え。おでこ?」

 最後の最後で、へたれてしまったわ。
 さっきまで茹で蛸みたいだったずら丸が、今は呆れた目でこちらを見ている。

「うるさい! 儀式はこれで終了! とにかくこれでアンタは私とずっと一緒なんだから」

「はいはい。善子ちゃんに期待したオラが馬鹿だったずら」

 何よ、ずら丸のくせに生意気な。これでも精一杯頑張ったんだから。
 それに"はい"は一回って小学校で習ったでしょ!?

「あ、そうだ善子ちゃん」

「何よ……っんん」

 呼ばれて振り向いた瞬間、花丸の顔が私の目の前にあった。
 私の唇が花丸の唇で塞がれていた。

「っぷは……ななな、何するのよ!」

「今のはマルから善子ちゃんへの契約。これで善子ちゃんは一生マルの傍にいなきゃならないね」

 まさかあの花丸に、儀式ネタでやり返される日が来るなんて。
 えへへ、と恥ずかしそうに照れ笑いする花丸に、私は一生こいつに勝てないかもしれない、なんて考えてしまう。

 でもまあ。それも悪くないかも。
 そんな風に思うのは、惚れた弱みってやつかしらね。

おしまい
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