ルビィ「梨子ちゃんとお菓子作り♪ 」

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ルビィ-アイキャッチ15
ルビィ「梨子ちゃん、今日は何のお菓子作るの? 」

梨子「今日は……パンケーキ、かな」

ルビィ「わぁっ♪ じゃあ早く作ろ♪ 」

pixiv: ルビィ「梨子ちゃんとお菓子作り♪ 」 by アルフォート

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梨子「まずは生地作りだから……ルビィちゃんは、溶かしバターと卵を混ぜてくれる? 私は粉の方やるから」

ルビィ「え? パンケーキってパンケーキの素みたいなの使うんじゃないの? アレ……えっと、そうだ、ほっとけーきみっくす? だっけ」

梨子「……一から作らないと、いい物が作れないんだよ? 」

ルビィ「そっか、そうだよねっ! 」

梨子「二つとも混ざったら、牛乳とみりんを入れて、よく混ぜてね」

ルビィ「みりん? 何で、お酢なんて入れるの? 酸っぱくなっちゃうよ? 」

梨子「……」

ルビィ「ん? どうかした? 」

梨子「ああっ、何でもない何でもない。あのね、みりんは酢じゃないよ。れっきとした料理酒で、パンケーキのほんのりした甘さと生地のきつね色を出してくれるんだ」

ルビィ「ふぅん……流石、梨子ちゃんは何でも知ってるんだね~♪ 」

梨子「……混ぜ終わった? 」

ルビィ「あ、まだ」

梨子「今喋ってる間何もしてなかったの? 」

ルビィ「いいじゃん、時間はいくらでもあるんだし……」

梨子「まぁ……それもそっか」

――

ルビィ「まぜまぜ……う~ん、バターが溶けないよ~……」

梨子「は? 」

ルビィ「えっ? 何かまずい事しちゃった感じ……? 」

梨子「私、“溶かしバター”って確かに言ったんだけれど……はぁ……」

ルビィ「あ――ははは、ごめんなさい」

梨子「とりあえず、このままでも出来るから、ほら、牛乳とみりん入れちゃって? 」

ルビィ「ん、ありがと」

梨子「……美味しく出来るかな」

ルビィ「出来るよ、きっと」

梨子「……そうだね、うん」

――

ルビィ「まぜまぜ終わりましたっ! 」

梨子「うん、じゃあ粉の方と一緒に混ぜようか」

ルビィ「またまぜまぜするんだ」

梨子「良く混ぜないと焼き上がりが汚くなっちゃうから。ルビィちゃんやる? 」

ルビィ「うん♪ 」

梨子「あっ、あんまり混ぜすぎてもフワフワにならないから気をつけて」

ルビィ「え~……難しいよぉ……」

梨子「美味しいのを作らないといけないんだから、ね? 」

ルビィ「う~ん、まぜまぜ……これくらい? 」

梨子「もう少しかな、まだダマが多いから」

ルビィ「だま? 」

梨子「粉が固まっちゃってる所の事だよ、でも三分の一くらいはダマが残ってていいかな、消えちゃうくらい混ぜたらふわふわにならないし」

ルビィ「ダマ……まだダマ……くすっ♪ 」

梨子「何で笑ってるの? 」

ルビィ「まだダマって、何か面白いなって――ダジャレみたいで」

梨子「……」

ルビィ「ダマがまだまだ残ってる……くすくす♪ 」

梨子「黙って」

ルビィ「ぷっ……梨子ちゃん、今のもダジャレ? 」

梨子「そういうのいいから、早く焼きましょ」

ルビィ(面白いと思うんだけどなぁ~……)

梨子「焼くのは私がやるから、ボウルちょうだい? 」

ルビィ「もうまぜまぜおしまいなの? 」

梨子「言ったでしょ? 塊がある程度残ってる方がふわふわになるって」

ルビィ「ふわふわの方が美味しいよね♪ 」

梨子「そういう事。でもここからの方がもっと大事なの」

ルビィ「焼く時? 」

梨子「うん。弱火でしっかり焼くんだけれど、返すタイミングを見極めないと、綺麗に焼き色がつかないから……」

ルビィ「難しそう……この前もドーナツ作る時焼き加減失敗しちゃったしね」

梨子「やめて」

ルビィ「えへへへ、つい……」

ルビィ(……流石にやばいかな、これ)

――

梨子「……」

ルビィ「……」

梨子「……」

ルビィ「……ねぇ、まだ焼けないの? 」

梨子「まだよ、全体に気泡が出来るまで……」

ルビィ「え~……焼き始めてから結構経ったよ? 」

梨子「いいの。ちゃんと作らないと駄目なんだから」

ルビィ「もう返さないと焦げちゃってるかも……」

梨子「だから……全体に気泡が出来るまで」

ルビィ「また失敗しちゃうかも……」

梨子「……いい、いいって言ってるでしょ」

ルビィ「あ――あぁ、ごめん」

ルビィ(う~ん……自制が効かなくなっちゃってる、落ち着かなきゃ……)

梨子「いいの。いい、これで……失敗しないから……いいの。今日こそ、今日こそ上手く作るんだから、美味しく作るんだから……」

ルビィ(梨子ちゃんも久しぶりにぐるぐるモードだし……落ち着かないと――何されるか分かんないからね )

梨子「ふーっ……返すね」

ルビィ「どきどき……」

ルビィ(さて、今日はどっちかな? )

梨子「……やった」

ルビィ「す、すごいっ♪ お店のパンケーキみたいだよっ!! 」

梨子「やった、出来た……今度こそ、上手く出来た……っ!! 」

ルビィ「うんっ♪ これならきっと――」

梨子「ルビィちゃん? 」

ルビィ「お店も出せちゃうよっ、きっと! 」

梨子「えぇっ……そ、それ程でも……」

ルビィ「久しぶりに嬉しそうだね♪ 」

梨子「だって……こんなに上手く出来たの、二ヶ月ぶりくらいだもの♪ 」

ルビィ「そっか……そういえばそんな前だった様な、気がする」

ルビィ(毎回美味しいから分かんないけど、どれが上手くいったやつだったか)

梨子「裏も……うん、上手く焼けてる♪ 」

ルビィ「後は……味だけだね」

梨子「……美味しいかな」

ルビィ「美味しいよ、これだけ上手く出来たんだもん」

梨子「そう……そうだよね、うん、そう。大丈夫、今日は大丈夫……よね。大丈夫? ほんとに大丈夫かな……材料の配分を間違えてたら? 一グラム多かったら? 少なかったら? 混ぜ方が足りなかったら? 多過ぎたら? 」

ルビィ(不安定だなぁ)

ルビィ「り、梨子ちゃんっ! ひとまず取り出さないと、せっかく上手くいったのに焦げちゃうっ!! 」

梨子「あ――ひ、ああああああああああっ!! 」

ルビィ「だ、大丈夫、出来てるから! 上手く!! 」

梨子「はっ、はぁっ……あ、ほんとだ、良かった~……」

ルビィ「美味しそうだなぁ……じゅる」

梨子「後は切り分けて盛り付けするだけね」

ルビィ「お姉ちゃんの分と、後は……」

梨子「上手く出来てたら……千歌ちゃんにも、食べてもらいたいから……四つに分けようか」

ルビィ(ふぅん、ここはいつも通りなんだ……

まぁ、今日も駄目なんだろうけど)

――

りこルビ「いただきます♪ 」

ルビィ「もぐもぐ……うまっ! 美味しいっ♪ めちゃくちゃ美味しいよ梨子ちゃんっ! 」

梨子「話にならない」

ルビィ「……あぁ」

ルビィ(ほんとに美味しいし――ほんとにお店出せるくらいだと思うけどなぁ……)

梨子「こんな……こんなの、クソだっ、あの時と同じ、また捨てられるだけ、不味い不味い不味い、何で、何でっ、失敗なのっ、クソっ、クソがっ!! 」

ルビィ(あ……またお皿投げた……お姉ちゃんに怒られちゃうなぁ、これ。パンケーキだから、掃除が楽なだけマシだけど)

梨子「ああああああああああああああああああああっ、うああああああああああああああああっ!! 何で、何で何で何で? こんなんじゃ……こんなんじゃまた……捨てられる……うぅうっ……ぐすっ、うっ、捨てられて……全部台無しになる……」

ルビィ「……大丈夫、大丈夫だよ、梨子ちゃん」

梨子「ひっ、うぅっ……ルビィ、ちゃん? 」

ルビィ「『次のバレンタインデーまで、まだ四ヶ月と十二日あるんだから、一緒に美味しいお菓子作れる様に頑張ろ? 』」

梨子「……」

ルビィ「『ルビィは絶対、捨てたりしないから、ね? 』」

梨子「……」

ルビィ(ふうっ……今日はこれでおしまいかな――)

梨子「黙れ」

ルビィ「え」

梨子「黙れよ」

ルビィ「……ダジャレ? 」

梨子「黙れって、言ってんのッ!! 」

ルビィ「あ――」

ルビィ(あ、首絞めはやばい、やばいって、梨子ちゃん……っ)

梨子「分かってる、分かってる分かってる、全部っ、私が悪いんだもの、そんなの、知ってんのよ……でも、戻れる訳無いじゃない……こんな、頭がおかしいって、思っ、思っても、知らないふりしてるのが、一番楽だって、楽なんだもの! 全部私が悪いの! だから黙っててよ、黙っててよ……ッ! 」

ルビィ(ほん、と……に、死? 死ぬ? 待って待ってまだ今日の梨子ちゃんの泣き顔ちゃんと見てないのに、あ――くるし……)


ダイヤ「梨子さんッ!? 何やって――や、辞めなさいッ!! 」

梨子「不味い不味い、不味いのは嫌なの! 千歌ちゃんに捨てられる、捨てられる捨てられる捨てられる」

ダイヤ「いいから……離れなさい……! 」

梨子「……あ――わ、私、また……あ……ルビィちゃん……大丈夫? 」

ルビィ「はっ、は……うっ、ごほっ、だ、だいじょう、ぶ……」

ルビィ(な訳無いでしょばーか――って、まぁ今日はルビィがやり過ぎちゃったせいもあるか……反省)

ダイヤ「とりあえず、部屋を片付けますから、一旦居間に行ってください」

ルビィ「うん……」

梨子「私……私……また失敗しちゃった……」

ダイヤ「……『大丈夫ですわ』」

梨子「……ごめんなさい」

ルビィ「いこ、梨子ちゃん」

梨子「……ごめんね、ルビィちゃんも。もうここに居ちゃいけないよね、私」

ルビィ「良いんだよ。梨子ちゃん。誰にだってそゆとこはあるんだから」

梨子「でも……」

ルビィ「……それに、ここ以外、梨子ちゃんの居場所ってあるの? 」

梨子「は――」

ダイヤ「ルビィっ!! 」

ルビィ「うっ、分かったよ……気を付けるから。じゃ、片付けよろしくね」

ダイヤ「……」


ダイヤ(わたくしは、一体何をしているのでしょうか)


――――


そのパンケーキは、冷めてもふわふわで、お店で出されても素人が作ったとは気付かない程の出来でした。

しかし、彼女は納得しない。

どんなに上手く作っても。
同じものでも、違うものでも、何度作っても。

彼女はそれを不味いと言って捨ててしまう。

……誰かに捨てられる前に、自分で捨ててしまっている――というのは、流石に邪推でしょうか。


ほんの些細な事で、人間は狂ってしまう。

例えば、毎日みかんを食べないと気が済まない人間が居たり。

例えば、ほんの一言を告げないだけでがらっと性格が変わってしまう人間が居たり。

例えば、失敗したお菓子を渡してしまった事がトラウマになって、いつまでも引きずり続ける――


あの日、もしもあと一分長くドーナツを焼いていれば。

もしも千歌さんが部室にそれを忘れなければ。


もしも――わたくしがそれをゴミ箱に捨てていなければ…………


わたくしの罪滅ぼしという名の、只の現状維持の日々は、明日も明後日も――四ヶ月と十二日後のバレンタインデーの日まで続くのでしょうか。

それとも、その前に何かのきっかけで終わりを迎えるのでしょうか。


それとも――


――――


【録画ファイル 再生】

梨子『こんな……こんなの、クソだっ、あの時と同じ、また捨てられるだけ、不味い不味い不味い、何で、何でっ、失敗なのっ、クソっ、クソがっ!! 』

ルビィ「ん……はぁっ♡ ……いい、可愛いよぉ……りこちゃん……♡ 」

梨子『分かってる、分かってる分かってる、全部っ、私が悪いんだもの、そんなの、知ってんのよ……でも、戻れる訳無いじゃない……こんな、頭がおかしいって、思っ、思っても、知らないふりしてるのが、一番楽だって、楽なんだもの! 全部私が悪いの! だから黙っててよ、黙っててよ……ッ! 』

ルビィ「あっ♡ やばい、やばいっ、今までの中で一番いいかもっ♡ 」


やっぱり……ルビィの勘は間違ってなかった♪
あの日の梨子ちゃんの顔見て、ピンと来たんだ♪


この子は、きっと凄く“いい顔”をするだろうって♡

だから――

明日も明後日も、いつまでも……
ルビィの事、楽しませてね? 梨子ちゃん♡



(Not)Fin.
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