穂乃果「海未ちゃん、時間反転演算子はどうして反ユニタリ・反線形演算子で定義されるの?」

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1: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:33:12.57 ID:gFoN+BDc
海未「はぁ~……穂乃果、貴女ちゃんと授業を聞いていたのですか?」

穂乃果「えへへ…途中から寝ちゃって…」

海未「もう…高校の頃から全然変わりませんね…」

穂乃果「だってぇ~、先生ったら穂乃果が理解できないまま話し進めちゃうんだもん!」

海未「手を挙げて質問すればいいのでは?」

穂乃果「質問を考えてる間にもバンバン進んじゃって質問しようがないよ!」

海未「まぁ、その点は同意ですが…」

元スレ: 穂乃果「海未ちゃん、時間反転演算子はどうして反ユニタリ・反線形演算子で定義されるの?」

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2: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:34:54.00 ID:gFoN+BDc
海未「まず、物理法則はどの座標系から見ても同じ形になってほしい、という考えが根本にあります」

海未「今の話で言えば、まず例えばΨ(x,t)という波動関数がシュレディンガー方程式を満たすとしますね」

穂乃果「うん」

海未「シュレディンガー方程式が時間反転に対して不変な形になってほしい、つまり時間反転Tを施した波動関数Ψ'(x,t')=TΨ(x,t)もまた、シュレディンガー方程式を満たしてほしいんです」

海未「つまり、そうなるように時間反転演算子の性質を定義してやる必要があるんです」

穂乃果「うんうん!…ていうか海未ちゃん、穂乃果そこまで馬鹿じゃないよ!」

海未「順を追って説明しているんですから黙って聞いてください!」

穂乃果「…はい」
3: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:39:22.86 ID:gFoN+BDc
海未「では、まず古典論での時間反転t→-tを考えてみましょう」

海未「穂乃果、古典論において、位置と運動量を時間反転するとどうなりますか?」

穂乃果「確かこうだよね?」

t→-t

x → TxT^{-1} = x
p → TpT^{-1} = -p

海未「そうですね。時間反転は『運動の反転』を意味するので、運動量のみが反転するのでした」
5: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:44:07.58 ID:gFoN+BDc
海未「ついでに、何故こうなるか、せつめいできますか?」

穂乃果「う~ん、忘れちゃった…」

海未「おやおや…まぁそこは今度復習しておいて下さいね」

海未「簡単に言えば、時間反転とはビデオテープの逆回し(t→-t)に例えられます。右に進んでいる車の映像を逆回しすれば、位置関係はそのままで(x→x)、逆向きに等速で(p→-p)動き出しますね」

穂乃果「ほーほー!」

海未「この辺りについての議論は、J.J.サクライ先生の『現代の量子力学 2巻』の時間反転の章で分かりやすく簡潔に載っているので、オススメですよ」

穂乃果「後で図書館で探してみよーっと」

海未「とにかく、この時間反転の要請を量子力学においても、演算子となったx、pに対して流用します」
7: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:50:03.98 ID:gFoN+BDc
海未「で、どうして量子論では時間反転Tが反ユニタリ・反線形で定義されるか、という話ですね」

穂乃果「うんうん」

海未「ではとりあえず、時間反転演算子Tは反ユニタリ・反線形であると仮定します。つまり」

a,bを任意の複素ベクトル、c1,c2を複素定数、(,)を内積として、
(Ta,Tb)=(a,b)^(*) =(b,a) (反ユニタリ)

T(c1a+c2a)=c1^(*)a + c2^(*)b (反線形)

穂乃果「この仮定の下、上手く妥当な結論を導ければ、この仮定が正しいことになるんだね」

海未「そうです」
8: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:55:32.15 ID:gFoN+BDc
海未「では、シュレディンガー方程式を書きます」

ih∂tΨ = HΨ

海未(hはバーがないですが、エイチバーのつもりでお願いします)

海未「先ほど定義した時間反転演算子Tを両辺に左から掛けます」

T(ih∂tΨ) =THΨ
-ih∂tTΨ = THΨ (Tが反線形であることに注意)

海未「tを変換後のt' = -tで書き換えましょう」

ih∂t' TΨ = THΨ

海未「そして、T^{-1}T=1 をHとΨの間にねじ込みます」

ih∂t' TΨ = THT^{-1} TΨ

穂乃果「出た、常套テクニック!穂乃果これ好き~」

海未「ふふっ、何か裏技みたいな感じがして楽しいですよね」

海未「Ψ'(x,t')=TΨ(x,t) を代入して、THT^{-1}もH'と書いておきましょうか」

ih∂t'Ψ' = H'Ψ'

穂乃果「お、らしい形になってきた!」
11: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 20:59:36.87 ID:gFoN+BDc
海未「さて、ここでTHT^{-1}というものが出てきましたが、穂乃果、これはなんですか?」

穂乃果「時間反転の変換を受けたハミルトニアン?」

海未「そうですね。ではハミルトニアンは時間反転によってどのような変換を受けているかみてみましょう」

海未「穂乃果、ハミルトニアンの表式を書いて」

穂乃果「ハミルトニアン?こういうこと?」

H=p^{2}/2m + V(x)

海未「そうです」

海未「いま、ポテンシャルは時間依存しないとします」

海未「Hの変換を見るために、xとpの変換を代入します」
13: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:05:48.63 ID:gFoN+BDc
H=p^{2}/2m + V(x)

海未「ここでp→-pになったところで、運動エネルギー項p^2/2mは不変です。xはもとより不変ですから、ポテンシャルV(x)も不変」

H → H' = (-p)^{2}/2m + V(x)
     = p^{2}/2m + V(x) = H

海未「よってハミルトニアンも不変で」

H → H'=THT^{-1} = H

海未「ということです。したがって」

ih∂t'Ψ' = THT^{-1} Ψ'

ih∂t'Ψ' = HΨ'
16: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:10:18.62 ID:gFoN+BDc
海未「では、元の式と変形した式を比べて見ましょう」

元のシュレディンガー方程式
ih∂tΨ = HΨ
上を変形した式
ih∂t'Ψ' = HΨ'

穂乃果「…ハミルトニアンHの形が変わっていないということは式全体の形が変わっていないってことだから…ΨがTの変換を受けたΨ'も、シュレディンガー方程式を満たしているってこと?」

海未「ええ、ですからシュレディンガー方程式は時間反転について対称な式になっているということです

海未「これは正に『時間反転の下に物理法則が不変である』という我々の要求を満たしていることに他なりません」
19: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:15:55.39 ID:gFoN+BDc
海未「では、もしTが反ユニタリ・反線形でなくユニタリ・線形だったらどうでしょう?」

穂乃果「複素数にTをかけた時に*が付かないんだよね?」

海未「そうです。つまり先ほどの計算で、シュレディンガー方程式の左辺のiの符号が反転せず」

T(ih∂tΨ) =THΨ
+ih∂tTΨ = THΨ

海未「先ほどと同様に計算を進めると」

-ih∂t'Ψ' = HΨ'

穂乃果「マイナスがついてる…」

海未「ええ。マイナスのせいでシュレディンガー方程式ではなくなってしまっています」

海未「ですからシュレディンガー方程式が形を変えないためには、反ユニタリ・反線形である必要があるわけです」

穂乃果「なるほど…」

海未「ね、簡単だったでしょう?」
21: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:22:26.88 ID:gFoN+BDc
穂乃果「…でもさ、海未ちゃん」

海未「はい?」

穂乃果「それを満たしたいなら、反線形でありさえすればいいんじゃないの?」

海未「…?」

穂乃果「だって、iの符号が反転してほしいだけなら、反線形の必要があっても、反ユニタリじゃなくてユニタリでもいいんじゃないの?」

海未「あ、あぁ……」

穂乃果「海未ちゃん、反ユニタリ・反線形って言ってるけど、今の議論ではユニタリか反ユニタリとかいう話は出てこないよね?」

海未(あ、確かに…)

穂乃果「そこら辺はどうなの?」

海未「…う~ん…すぐにはよく分からないです…」

穂乃果「そっかぁ~…」

海未(そういえばそこら辺の議論は見落としてましたね…それなのに得意げに語ってしまって、馬鹿みたいで恥ずかしいです…///)

海未(穂乃果にちゃんと説明出来ないのが悔しいです…)
22: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:26:21.53 ID:gFoN+BDc
穂乃果「じゃあさ、これから図書館に行って一緒にそのJ.J.サクライさんの本で調べてみようよ」

海未「でも、それでは午後に予約していた映画に遅れてしまいますよ?また今度でいいのでは?」

穂乃果「でも、このままじゃ気持ち悪いもん…。映画に集中出来ないよ」

海未「でも、調べるのに5分やそこらで済む保証はないですし…」

穂乃果「う~ん、じゃあ借りるだけ借りて映画が終わってから喫茶店にでも寄ってやろうよ」

海未「…ええ、それならいいですが…」

穂乃果「よしっ!」

海未(…穂乃果がここまで勉強に意欲を見せているのは初めてです…)

海未(というか穂乃果って、結構こういう細かいところを気にする性質なんですね…。いえ…これは私が気にしなさすぎなだけですかね…反省ですね…)

穂乃果「じゃあ早く図書館行こう、海未ちゃん!映画に間に合わなくなっちゃうよ!」タッタッタッタッ

海未「あ、待ってください!」

海未(穂乃果とは案外良い勉強仲間になれそうですね…♪)

おわり
26: 名無しで叶える物語(たこやき) 2017/12/10(日) 21:37:37.74 ID:gFoN+BDc
ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
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2018年5月26日
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