つながり

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真姫-アイキャッチ38
『ことりちゃん、宿題見せて!』

 学年は離れている。

『じゃあね真姫ちゃん、また明日~』

 帰り道も別だ。

『今日はユニット練習だよ!』

 ユニットも違う。

『今度のライブではデュオ曲をやろう!』

 少人数で一緒に歌う曲すらない。
 私と穂乃果の間にはつながりがない。作ろうともしてくれない。

「穂乃果は私のこと嫌いなのかしら……」

pixiv: つながり by わた

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「そ、そんなことないよ!」

 補習でいない凛を除いた、花陽と2人きりの帰り道。

「だって私たち、まったくつながりがないじゃない」

「いや、希ちゃんやことりちゃんも同じような感じだよね」

「穂乃果は別よ」

「そ、そう……」

「幼馴染以外で、最初に誘ったはずの私にこの扱い……」

「え、そうだったの?」

「そうよ、ファーストライブの前に誘われたの」

 運命的な出会い方をしたはずなのに、あんなに情熱的だったのに。
 それなのに、ほとんど話す機会すらない。まあそこに関しては私が自分から話しかけるのが苦手なだけかもしれないけれど……。

「穂乃果は釣った魚に餌を与えないタイプなのかしら」

「真姫ちゃん釣られちゃったの?」

「ち、違うわよ! イミワカンナイこと言わないで!」

「いや、だって真姫ちゃんが――」

「し、知らないわ!」

 ああもう、変なことを呟いてしまった。恥ずかしい。

「真姫ちゃん、本当に穂乃果ちゃんのことが好きだよね」

「う、うるさいわね! ちょっと黙りなさい」

 花陽の柔らかいほっぺたを口封じも兼ねてぷにぷにとつねる。

「ま、真姫ちゃん――ダレカタスケテ~」

「誰もいないわよ」

 一緒に居ることが多い、普通の友達の花陽相手ならこんな風にスキンシップもできるのに。本当に私は人見知りというか、ヘタレというか……。

「……」

 それにしても、花陽のほっぺたをいじるのも楽しくなってきた。止められない止まらない、花陽のほっぺた。

「ま、真姫ちゃん、そろそろ本当に」

「本当に柔らかい、気持ちいいわね」

「ふぇ!」

「可愛いわ、花陽」

「ちょ、ちょっと真姫ちゃん」

 花陽もやっぱりとっても可愛いらしい。困り顔の彼女は最高だ。
 でももし、これが穂乃果だったらどうなっていただろうか。
 怒るってことはないはず、反撃してきて逆にほっぺたをぷにられたりしちゃうのかしら。意外と強い力に抵抗できずに、蹂躙されていく私のほっぺた。

「悪くないわね」

「な、なにが?」

 おっと、つい漏れてしまった。

「また穂乃果ちゃん絡みなの」

「そ、そんなことないわよ」

「穂乃果ちゃんが絡まないとカッコいいのにね……」

「……花陽の前だからこうなるだけよ。信頼してるからつい気が抜けちゃうっていうか」

「嬉しいけど、そういうものなのかなぁ」

「貴女ぐらいだもの、信用できそうなの」

 希やことり、凛、にこちゃん辺りは面白がってからかわれたり、言いふらされたりしそうだし、海未と絵里はうっかり漏らしそうだし。本人に話せるわけはないので、そもそも消去法的に花陽しかいない。

「あはは、まあそうだね」

 花陽も私の言いたいことを察したのか、苦笑いしている。
 まあ諸々の事情を抜きにしても、花陽のことは信じているけど。

「それでどうすればいいと思う? このまま卒業まで微妙な関係なんて嫌なのよ」

「あ、話が戻るんだね」

「当たり前でしょ、今日の重要議題よ」

「いつもそうな気もするけど。それに穂乃果ちゃんとは十分仲良しだと思うよ」

「多少仲が良いだけじゃダメよ。つながりがなきゃ深い関係にはなれないわ」

「そんなにつながりって大事かなぁ。例えば絵里ちゃんとか、真姫ちゃんとのつながりが多いけど、穂乃果ちゃんより仲がいいって言える?」

 エリーね。確かにユニットも一緒だし、トリオ曲も歌った。センター投票の順位も性格的も近いし、何かと共通点は多く、つながりも強い。だけど――

「確かに、特別仲が良いとはいえないかもしれないわね」

「でしょ。だからつながりなんてあんまり関係ないんだって」

 あれ、でもよく考えたら、そもそもμ’s内で仲が良い人があまりいない気が。
 2年生は論外、3年生も、仲が良いと言われるにこちゃんだって喧嘩が多いし、凄い親密な感じはしない。1年生だって、凛と花陽の仲の良さの中で置いてきぼりにされがち……。

「うぅ」

 余計なこと考えたら泣きたくなってきた。というか、本当に涙が出てきた。

「ま、真姫ちゃん!? どうしたの急に」

「私、μ’sで孤立してるんじゃないかしら」

「こ、孤立!? してないよ!」

「そもそも嫌われてる? 面倒くさい子だと思われて……」

「ちょ、ちょっと落ち着いて」

「花陽だって凛に比べたら私なんてどうでもいいって――」

「思ってないよ! 真姫ちゃんも凛ちゃんも同じぐらい大事だよ」

「……本当?」

「うん、本当だよ」

「じゃあユニット変わってくれる?」

「なんでそうなるのぉ」

「だって穂乃果のユニットだし……」

「やっぱり真姫ちゃんは面倒くさいかも……」

 呆れたようにうなだれる花陽。
 それでもこの子は私を見捨てたりしない、やさしい友達。

「まあ花陽をからかってたらすっきりしたし、今日はこの辺でやめておきましょうか」

「えぇ、からかってたのぉ」

 本当は嘘だけど、そういう事にしておいた方が都合はいい。

「あんまりやると私も怒るよ~」

「ふふ、ごめんね。今度おにぎり買ってあげるから許して」

「お、おにぎり! それなら許しちゃいます!」

 とりあえず、今はこのつながりがあればいいかな。
 大好きな花陽との、穏やかなつながりがあれば。
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『つながり』へのコメント

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