零れた輝きの始まり

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千歌-アイキャッチ41
千歌「……zZZ」

千歌「……あれ?」キョロキョロ

千歌(ベッドも部屋も豪華でまるでホテルみたい……どうして私、こんな所に?)

千歌「とりあえず外に……」ムクリ……ヨロヨロ…ガチャ

曜「……千歌ちゃん?」

千歌「曜ちゃん、おはようっ」

曜「千歌ちゃんやっと出てきたんだね!……大丈夫?」

千歌「ちょっとぼうっとするけど、それよりここどこ?もしかして十千万、ホテルに改築しちゃった?」

曜「どこって……え?」

千歌「もしかして曜ちゃんも知らないの?」

梨子「曜ちゃん、大声なんか……出し、て……」テクテク…

千歌「あ、梨子ちゃんもいたんだ」

梨子「……み」

千歌「み?」

梨子「皆来てーっ!」

pixiv: 零れた輝きの始まり by 二三

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—五分後・千歌部屋—


果南「ほ、本当に大丈夫なの?」

花丸「オラの事わかるズラ?」

ルビィ「ルビィは?」

善子「自分で名乗ってるじゃないの」

千歌「急にどうしたの?ひょっとして私、また何かやっちゃった?っていうかここどこ?」

鞠莉「な、何も覚えてないの?」

千歌「頭がボンヤリしてて……よくわかんないや」

ダイヤ「……なるほど」

鞠莉「とにかく一つずつ答えてあげるわ。ここは小原家所有の……リゾート地デースッ!」

千歌「リゾート?」

鞠莉「えぇ。ラブライブのあと、忙して皆で遊ぶ事もできなかったから、ゴールデンウィークを使って皆で旅行に来たのよ」

千歌「ま、待って。鞠莉ちゃんや果南ちゃんは海外に行ったはずだよね?帰ってきたの?」

果南「皆と旅行なんて聞いたら戻ってくるよ。今年のゴールデンウィークは長いから調整しやすかったし」

千歌「そっか……それで、私どうしちゃったの?

鞠莉「ちかっちは風邪をひいたのよ」

千歌「風邪?」

鞠莉「疲労が溜まっていたちかっちが、ホテルに着くなりバタンキューしてずっと眠っていたの」

千歌「もったいない事しちゃったなぁ……でも何だか、ゴールデンウィークって感じしないね」

果南「そんな事言っても、私達は卒業しちゃったし千歌達は三年生、ルビィ達は二年生になったんだよ?」

千歌「そっかぁ。早いねぇ」

ルビィ「ルビィ達も二年生になって一ヶ月経ったよ」

善子「未だに新たなるリトルデーモンは現れない……どこにいるのルシフェル……」

花丸「後輩まで変にしちゃダメズラよ」

善子「変って何よ!」

鞠莉「何だか話が逸れちゃったね。とにかくちかっちが倒れて、皆で心配していたの」

千歌「そうなんだ……皆ごめんね」

曜「……」

梨子「……」

千歌「二人とも暗い顔しないでよ。もう大丈夫だってば」ニコニコ

ダイヤ「特に熱もないようですし、本当に大丈夫みたいですわね。本当に良かった」

ルビィ「お姉ちゃん、ずっと千歌さんが起きないですわ……って泣きそうになってたもんねっ」

ダイヤ「こらルビィ///」

鞠莉「ほーらダイヤ。ちかっちの前で騒いだらノンノン。一度出直しましょ」

千歌「ちょっと待って鞠莉ちゃん」

鞠莉「ホワイ?」

千歌「一つ聞きたい事があるんだけど……ラブライブってどうなったの?」

鞠莉「……どうって?」

千歌「なんかぼんやりしてて、ラブライブ決勝の少し前くらいから思い出せなくてさ……決勝には行ったよね?」

果南「千歌の頑張りのおかげでちゃんと行ったじゃん」

千歌「それで決勝は?私達……輝けた?」

ダイヤ「そんな事まで忘れるとは……千歌さん」

千歌「は、はい」

ダイヤ「Aqoursは優勝を勝ち取ったのですよ。私達は……私達の輝きを見付けたのです」

千歌「よ、よかったぁ。ありがとうございますダイヤさん」ペコッ

ダイヤ「いえ、お気になさらず」

果南「まだ本調子じゃないみたいだね……千歌、もう少し休んで動けそうだったら、すぐそこの階段を下ってロビーに降りてきてね」

千歌「皆はどうするの?」

善子「せっかく旅行に来たんだから悪魔的プランをたてるのよ!まずは儀式をして、」

花丸「一人でやるズラー」テクテク…

善子「冷たっ!?ちょ、話くらい聞きなさいよー!」

ルビィ「ま、待ってー!」トテトテ…

ダイヤ「こらルビィ!廊下は走るんじゃありません!」ダダダ...!

果南「ダイヤもねー」

鞠莉「階段に気を付けてネー」

梨子「……千歌ちゃん」

千歌「うん」

梨子「……また後でね」

曜「梨子ちゃん待って……」タッタッタ...

千歌「……何だか皆も変な感じ。それに頭もぼんやりするし風邪のせいかなぁ」

千歌(ラブライブの事まで忘れるなんて……きっと泣いて喜んだんだろうなぁ。皆と抱き合って笑い合って……)

千歌「……早く治さないと」


—一時間後・廊下—


千歌「ひょっとして貸切……?」テクテク…

千歌(全然寝れないから部屋から出てみたけど、誰とも会わない……さすがにロビーには皆いるよね)

千歌「……あ、鞠莉ちゃーん」

千歌(すっごく広いロビー……お花や美術品、それにピアノまで?ここ超高級ホテルなんだねぇ)

鞠莉「ちかっち、体の方は大丈夫?」

千歌「まだぼんやりするけど大丈夫だよ。皆は?」

鞠莉「部屋にいたりビーチを散歩したり色々ね。花丸は図書室、果南と曜は温水プールで泳いでるわ」

千歌「何でもあるんだね……」

鞠莉「リフレッシュを目的に、小さな島一つを丸々リゾート開発したからね。完全に世俗をシャットアウトしたのよ」

千歌「世俗?」キョトン

鞠莉「世の中と隔離されていて、ネットやテレビ、もちろん電話も繋がらないわ。しかも貸切だからここにいるのは私達と従業員だけよ」

千歌「そ、そうなの?」チラッ

スマホ『圏外』

千歌「ほんとだ……」

鞠莉「まぁ緊急時に備えて、私の部屋だけは回線が繋がっているけどね。あとで島専用のガラケーを渡すわ」

千歌「いいなぁ。呟くのもダメ?」

鞠莉「リフレッシュするのにそんなのイリマセーン。世の中の事なんか忘れて、今だけはAqoursで楽しみましょ?」

千歌「わかったぁ……皆を集めて何かする?」

鞠莉「そろそろお昼だから、ランチでもとりながらガールズトークでもどう?久し振りに曜のラブラブストーリーが聞きたいわ」ニコニコ

千歌「べ、別に曜ちゃんとはそんな仲じゃないもん!ま、まだ早いっていうか……」モジモジ

鞠莉「それも含めてあとで聞かせてね。さてと、ダイヤとルビィから探しましょうか」

千歌「島専用の携帯電話で呼んだらすぐ来るんだよね……待ってる間、少し良いかな」

鞠莉「えぇ」

千歌「ラブライブの後、どうなったのかなって」

鞠莉「あぁ……ちかっちが泣いて喜んで、その夜は私の家で朝までパーティだったわ。その時にちかっちと曜が……ふふっ」ニヤニヤ

千歌「な、何があったの!?私と曜ちゃん何したの!?」

鞠莉「私の口からはここまでっ。続きはガールフレンドに聞いてみてね」

千歌「だからガールフレンドじゃないってば!」


—数時間後・深夜—


千歌「寝過ぎたかなぁ」

千歌(お昼から皆とワイワイ遊んで、疲れてたはずなのにね。スクールアイドルの練習で鍛えられたのかも)

千歌(でも終わったんだよね。浦の星女学院の名前を刻んで違う学校で……あぁ、どんな学校かも思い出せないや)

千歌「変な病気になってないよね……ちょっと散歩してこ」スタスタ...ガチャ

シーン...

千歌(月明かりと間接照明だけ……本当に私達九人だけなんだ。ずっと走り続けてきたから変な感じ……この時間はとっくに眠って朝練に備えてたのに。スクールアイドル……楽しかったなぁ)

千歌「最後は全然覚えてないけど……」

千歌(何だか逆に目が冴えてきたね。一度戻って……ん?)

ドウシテ……ソンナコトノゾンデ……

千歌(何か聞こえる……)トテトテ...

千歌(この部屋かな……ドアに耳くっ付けたら聞こえるかも)ピトッ

『いつまでも黙ってるなんておかしいよ!』

『どうしようもないじゃない!』

千歌(この声、曜ちゃんと鞠莉ちゃん?喧嘩してるみたいだけど……)

『ずっとそばで見てた。だから大丈夫だって!』

『あんな状態になったのを忘れたの?ダメ、危険過ぎるわ』

『でも、』

『二人だけで何とかならなかったのに、今度は傷つけるの?今日のところは帰って。また良い案が浮かんだら話すから』

『……うん』スタスタ...

千歌(こ、こっちに来る!?離れないと!)ササッ

曜「……」ガチャ...

曜「……どうして」


—翌日・お昼—


千歌「今日からここに住む」モグモグ...

ダイヤ「テラスで食事をしながら、急に何を言ってますの?」

果南「千歌、食べながら話したら喉に詰まるよ?」

千歌「だってさ、こんな超高級ホテルに泊まって遊んだりご飯食べたりしたら、うちに帰りたくなくなるもん」

果南「わからなくもないけど……ご飯は美味しいよね」

ダイヤ「まさか和食もあるとは思いませんでしたわね。この焼き魚、いい塩加減ですわ」モグモグ...

千歌「昨日はステーキ、今朝はパンケーキ、お昼は和食……ねぇねぇ、夜はフランス料理にしようよ!フルコースとか食べてみたい!」

果南「鞠莉に相談したら、コックさんが作ってくれるかもね」

千歌「でもイタリアンも捨てがたい……中華も良いし……もう一度縦だか横だかわかんないステーキも……全部とかダメかな?」

ダイヤ「千、歌、さ、ん?」ゴゴゴ...!

果南「ふふっ……っ……」ウルウル...

千歌「か、果南ちゃん?もしかしてワサビでも入ってたの?」

果南「そうじゃなくてさ。何だか懐かしくて」

千歌「……海外の学校だったんだよね。連休とは言えよく戻ってこられたね」

果南「そりゃあ久しぶりにAqoursの皆と会えるんだもん。何とかスケジュール合わせて来たよ」

ダイヤ「私も、皆さんが怠惰な生活を送ってないか確認する為に強行スケジュールで来ましたわ」

千歌「二人とも……何だか嬉しくなっちゃうね」ニコニコ

果南「それに千歌の声を聞くのも久しぶりだし」

千歌「そうなの?私、電話とかしなかったの?」

果南「あ、えと、何回も電話くれたけど、私の方が忙しくて……ごめん」

千歌「う、ううん。あんまり覚えてないから気にしないで」アセアセッ

ダイヤ「まだ、思い出せませんの?」

千歌「なんか靄がかかったみたいにボヤけてて……ラブライブで優勝した時の気持ちを味わいたいのに不思議ですよね」

ダイヤ「……えぇ。でもいつか必ず良くなりますわ」ニコッ

千歌「ありがとうございます……ダイヤさんは東京でどうですか?」

ダイヤ「人の多さに驚きますわ。いつどこに行っても大勢の人がいて、常に緊張状態です。まぁ一人暮らしには慣れましたけど」エッヘン

果南「最初の頃はルビィと私と鞠莉に毎日電話して、寂しいって泣いてたくせに」ニヤニヤ

ダイヤ「な、泣いてはいませんわ!弱気にはなってましたけど……でも今は立派に東京人として生きています!」

果南「とりあえず私もダイヤも頑張ってるよ。故郷が寂しくなるけど、こうやってたまに皆に会えるから大丈夫」

ダイヤ「えぇ。離れていても心は一つ。私達は繋がっていますから……千歌さん」ガシッ

千歌「へ?」

ダイヤ「貴女は……一人ではありませんからね」

千歌「あ、は、はい」

ダイヤ「……ごめんなさい。少しお手洗いに」スタッ……タッタッタ…

千歌「どうしたのかな」

果南「病み上がりの千歌が心配なんだよ」

千歌「そっかぁ……そういえば果南ちゃん、ラブライブの事で一ついい?」

果南「うん」

千歌「ラブライブの後、鞠莉ちゃんに告白とかされなかったの?」ニヤニヤ

果南「こくっ///!?な、何言ってるのさ!」

千歌「だってもうすぐくっ付きそうだったし」

果南「そんな暇あるわけないじゃん……十千万でパーティした後は、卒業式やら引越しの準備やらで鞠莉ともあまり会えなかったし」

千歌「十千万?」

果南「優勝記念でパーティだよ……ってそっか、覚えてないんだっけ」

千歌(果南ちゃんもパーティの事か……)

千歌「鞠莉ちゃんの家でもパーティしたんだよね」

果南「してないよ?」

千歌「……そうなんだ。パーティした時に告白すれば良かったのにね」ニヤニヤ

果南「まだ言うの……?千歌のいじわる」ジトー

千歌「ごめんごめんっ」チラッ

鞠莉「」スタスタ...

千歌(あ、鞠莉ちゃんだ。ちょうど良いし、フルコースの話を聞いてみよ)

千歌「まり、」

鞠莉「」スッ……ペチャクチャ

千歌「あー……」

果南「何で落ち込んでるの?」

千歌「向こうに鞠莉ちゃんが見えてね、フルコースの話をしてみようと思ったんだけど、タイミング悪く電話し始めちゃって」

果南「あちゃー……あとで一緒に聞きに行ってみようか。そのまま遊びに誘っちゃおうよ」

千歌「良いね良いね!たしかテニスコートあったよね?私やってみたい!」

果南「ビーチバレーは?」

千歌「まだ海のそばは寒いと思うけど……」

果南「じゃあダイビングでいいや」

千歌「じゃあって」

果南「ダイヤが戻って来たら三人で考えよっか」パクッ

千歌「あー!私のアジフライー!」

果南「最後まで取ってあるからだよ。ん〜美味しい///」

千歌「……すぅ……」

果南「?」

千歌「果南ちゃんはー!小さい頃にお漏、」

果南「待って待って待って!お代わり取ってくるから!」ダダダ!

千歌(行っちゃった……さっき鞠莉ちゃんと言っている事が違ってたけど、何でだろ)


—数時間後・千歌部屋—


千歌(図書館もプールも一通り遊び尽くしたし、次は何しようかなー。夕焼けを見にビーチに行くのもアリかもね)

千歌(ロビーの近くにプレイルームがあったなぁ……でも一人でやってもねぇ)

千歌(曜ちゃんと鞠莉ちゃんの喧嘩を見てから、曜ちゃんに話しかけるのも気まずい……はぁ)

千歌「……カフェで何か飲みながら考えよ」ガチャ…テクテク…

千歌(他に誰かいるかもしれないし。鞠莉ちゃんとか優雅にコーヒーを飲んでいたりして。ロビーを抜けて……)

〜♪

千歌「あれ、梨子ちゃん?」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「カフェで何か飲もうかなって。皆どこ行ったか知らない?」

梨子「プレイルームにいるみたい。皆で集まるのは記念パーティ以来だからって、よっちゃんが進んでゲームに誘ったの」

千歌「私呼ばれてない……」ショボン

梨子「ひょっとしたら部屋で休んでるかもって、心配して声をかけなかったとか」

千歌「だと良いけど……記念パーティって、優勝記念だよね?」

梨子「えぇ」

千歌「……どこでやったのか教えてもらって良いかな」

千歌(鞠莉ちゃん家か十千万か。梨子ちゃんなら本当の事教えてくれるはずだよね)

梨子「部室でやったの。思い入れがある場所でやりたいって千歌ちゃんが言い出して……早く思い出せると良いね」

千歌(……あとで鞠莉ちゃんに、きちんと聞いてみなくちゃ)

千歌「このホテル、ピアノ置いてあって良かったね」

梨子「えぇ。ピアノを弾くと何もかも忘れて集中できるから」

千歌「それにしても相変わらず上手だよね。さすがコンクール優勝者だよ」

梨子「私一人の力じゃなくて、皆と気持ちを一つにできたからよ。あの時は本当にありがとう」

千歌「いやいや、梨子ちゃんが諦めずに頑張ったおかげだって。沼津に逃げてきたなんて言っていたけど、また続けて本当に良かったと思うよ」

梨子「……どうして続けられたのかしら」

千歌「え?」

梨子「たまに思うの。ピアノが弾けなくて逃げた私が、もう一度弾き始めても結果を残せなかったら、どうなってたのかなって」

千歌「それは……何度でも諦めずに続けていたんじゃないかな」

梨子「本当にそうかしら。私ってそこまで強くないよ」

千歌「ベランダを飛び越えたり善子ちゃんに関節決めたり、相当強いけどね」

梨子「精神的にって事よ。運良く成功したけど、失敗する可能性だってあった。でもそれも悪くないのかもね」

千歌「う、うん?」

梨子「失敗したら失敗したなりに、他の道を選べるだろうし終わりじゃないから」

千歌(言ってる意味がよくわかんない……)

梨子「だから……ね」ウルウル...

千歌(泣いてる……)

梨子「逃げてもいいんだよ……強すぎる輝きから顔を逸らしてもいいの……っ」ギュッ

千歌「っ……」

梨子「千歌ちゃんのお陰でここまで来られたから。結果なんてどうでもいい。私たちは充分輝けたから……!」

千歌「な、何か嫌な事でもあったの?話なら聞くから落ち着いて……」オロオロ…

梨子「ごめんね……ごめんね……」ボロボロ…


—数時間後・千歌部屋—


千歌(梨子ちゃん一体どうしたんだろ……何とかなだめて皆で夕ご飯食べたけど……元気なかったし)

千歌(何か嫌な事でもあったのかな。私は全然覚えてないけど……っていうかどうして覚えてないんだろ)

千歌(ラブライブ決勝から五月までの記憶がすっぽり抜けて……記憶喪失?私が?ふざけ過ぎて頭でも打ったのかな?)

千歌(それにラブライブの事を聞いても、パーティの事しか答えてくれないし……しかも全部違う場所。どうして嘘を?)

千歌「……鞠莉ちゃんに聞いてみよ」ガチャ…テクテク…

千歌(曜ちゃんも誘いたいけどまだ喧嘩してそうだし……一人でいいかな)

千歌(確かこの部屋……今日は静かだね)コンコンッ

シーン…

千歌(さっき部屋に戻ってたのに入れ違いかな?)

ガチャン!

鞠莉「オウッ!ちかっちいたの?」

千歌「ノックしたのに……あのね、少し話が、」

鞠莉「ソーリー!ちょっと急ぎの用があるから戻ってきてからねっ!」タッタッタ…

千歌「えー……」チラッ

ギィ...バt

千歌(ドアの隙間に足突っ込んじゃった。勝手に入るのはダメなのはわかってるけど……ラブライブの事が気になって仕方ないし……)

千歌「す、少しだけお邪魔しまーす」コソコソッ

千歌「広いし金ピカ……さすが鞠莉ちゃんだね。パソコンは……あったあった」ポチッ

千歌(パスワードとかあったらどうしよ。まぁ諦めるしかないか)

prrr prrr prrr

千歌「うわっ!って電話か」ピッ

曜『千歌ちゃん、今どこ?』

千歌「え、あー、ホテルの周りを散歩してるの」

曜『部屋にいないと思ったらどうりで……今、時間ある?』

千歌「あ、あるよ」

曜『良かった。話したい事があるの』

千歌「す、少しだけ待ってね。ホテルの裏の方だから行くのに時間かかりそうだから」

曜『わかった。じゃあビーチで待ってるからね』ピッ

千歌「夜に話だなんて……とりあえずささっとラブライブの事調べて行かなくちゃ。鞠莉ちゃんが戻って来る前にやらないと」カタカタ…

千歌(検索画面でラブライブ、Aqoursって打ち込んでっと」

千歌(泣いて喜んでる私の姿が映ってたりして……それを見たらいろいろ思い出せそうだけど)

千歌「結果は……」


—十五分後・ビーチ—


曜「千歌ちゃんまだかな……」キョロキョロ

千歌「……」スタスタ…

曜「千歌……千歌ちゃん?」

千歌「……遅れてごめんね」

曜「う、ううん。それより顔色が悪いけど……また今度にする?今日は部屋に戻って、」

千歌「大丈夫……私も聞きたい事があるから」

曜「そ、そう?じゃあえっと、ラブライブの事なんだけど……実はね……私達、」

千歌「優勝……できなかったんだよね」

曜「っ……し、知って、たの……?」

千歌「鞠莉ちゃんと果南ちゃんと梨子ちゃんにラブライブの事を詳しく聞いたら、三人とも違う事言っててさ……気になって鞠莉ちゃんの部屋のパソコンで調べたんだ。それで全部……思い出した」

曜「……そっか」

千歌「……転んで泣き出しちゃって、何もできなかったなんて」

曜「あ、あれは仕方ない事で……雲の演出で足元が見え辛かったし……」

千歌「何回もリハーサルして、何回も踊って、何回も確かめ合ったのに……ごめんなさい」ペコッ

曜「ち、千歌ちゃんだけのせいじゃないよ!私達も転ぶ可能性を、」

千歌「私が奪っちゃったのっ!」

曜「っ!」

千歌「浦の星を……皆の夢を……皆の輝きを私が消したんだよ!」

曜「……」

千歌「どうして……こんな大事な事忘れてたのかな」

曜「……大事過ぎるからだよ」

千歌「な、何か知ってるの?」

曜「あの後……千歌ちゃんは引き篭もって四月になっても不登校状態だったんだ」

千歌「毎日曜ちゃん達がうちに来てくれたよね」

曜「鞠莉ちゃん達には心配かけたくなくて、私と梨子ちゃん、それと一年生の皆で励まし続けたけどダメで……ついにルビィちゃんがダイヤさんに話してバレちゃって」

千歌「それで傷を癒す為に……ここに来たんだっけ」

曜「うん。この島に来たのも、千歌ちゃんはある意味有名人だから、きちんと療養できるように世間とは隔離しようって鞠莉ちゃんが手配してくれた」

千歌「でも記憶を失うのと関係ないような……」

曜「私には千歌ちゃんの辛さをわかってあげる事はできないけど……全部一人で背負っていたんじゃないかな。そのせいで昨日の朝……突然何もかも忘れたんだよ」

千歌「突然?」

曜「ホテルに着いても部屋に篭っていた千歌ちゃんが、いきなり何も思い出せないなんて言い出して……皆びっくりしてたんだよ」

千歌「そうは見えなかったけどね

曜「皆で必死に誤魔化して部屋を出た後、鞠莉ちゃんにロビーに集められて少し待った後、何が起きたか教えてもらったんだ」

千歌「……」

曜「人間の脳にはね、自分の心が壊れる寸前に、嫌な記憶を消して自分を守る防衛機能ってものがあるんだって。それが今の千歌ちゃん……解離性健忘っていうみたい。鞠莉ちゃんとダイヤさんが調べてくれたの」

千歌「か、かいりせい……?」

曜「私はきちんと伝えた方が良いって言ったんだけど……無理に思い出させて傷付けない方が良いって言われたから……ずっと黙ってた」

千歌「でも、打ち明けようとしたんだよね」

曜「信じてたから」ニコッ

千歌「?」

曜「千歌ちゃんなら乗り越えられるって信じてた。けど傷付けるのが怖くてずっと迷ってて……それでもこのままじゃダメだって我慢できずに呼び出したの」

千歌「そうだったんだ……ごめんね、迷惑ばっかりかけて」

曜「迷惑だなんて思ってないよ。仕方ない、それに終わった事だから」

千歌「……本当は私の事、嫌いになったでしょ」

曜「なってないよ。もしもね、私が決勝でミスして結果を残せなかったら……怒る?責める?絶交する?」

千歌「しないよ!曜ちゃんがどれほど頑張ってきたか知ってるし」

曜「皆、一緒なんだよ。千歌ちゃんの頑張りを知っている。千歌ちゃんの軌跡を知っている。千歌ちゃんの輝きをずっと見てきたんだもん」ニコニコ

千歌「私の輝き……」

曜「優勝できなくてもいいって言ったら嘘になるけど、輝くって結果じゃなくてどうしたかだと思うんだ。0の状態から1にして、1の先を少しだけ見られた。それで満足だし、私達は私達の輝きを見付けたから」

千歌「そうなの?」

曜「うんっ!私の輝きはね……」トテトテ…ギュッ

千歌「っ……」

曜「千歌ちゃんと……ずっと一緒にいる事だからっ」

千歌「でも……浦の星女学院の名前……残せなかったよ……?」ウルウル…

曜「優勝を逃して、浦の星女学院は少しだけ広まった程度……でも、だからこそ次はどうするの?」

千歌「次……」

曜「塞ぎ込んだまま?また引き篭もる?それとも……新しい場所を目指す?」

千歌「……」

曜「次の輝きを求めて一歩踏み出そうよ。どんなに怖くても、どんなに遠くても……今動き出さないと明日はこないから!私でよかったらずっとそばにいるからっ!」

千歌「……」

曜「……やめる?」

千歌「……ふふっ、ズルいよ曜ちゃん。そんな事言われたら……やるしかないじゃん!」ニコッ

曜「さっすが千歌ちゃん!それじゃあ次はどうしようっか。そうだ、一緒に高飛び込みでもする?それともバンド?最近流行りの、」

千歌「曜ちゃん!」

曜「は、はいっ!」

千歌「一緒に、ううん。もう一度だけ!」

曜「……やっぱりそうなるよね」ニコニコ

千歌「……アイドル、始めませんか!」


—数年後—


梨子「……ん、そろそろ時間ね」ピッ

『では今日のゲストは最近話題のアイドルユニット、CYAineのお二人でーす』

『ど、どどどどうもっ』

『ふふっ、緊張していますね。ところでこれはシャインで合ってますか?パッと見、チャインって呼んじゃいそうですが……』

『わ、私が輝くって意味のシャインのスペルを間違えちゃったんですけど、こっちの方が良いねって事になったんです』

『なるほど、お二人は元スクールアイドルだそうで。どちらの学校だったんですか?』

『沼津にある浦の星女学院です。今はなくなって統廃合になっちゃいましたが……』

『それは残念ですね』

『皆とたくさん青春して……すっごく輝いていましたから良い思い出ですっ!それに沼津はすっごく良い所なので、是非遊びに行ってみてください!』

『わかりました。では、昨日リリースした新曲の方をお願いしたいと思います。タイトルは……』

『零れた輝きの始まり』

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