ほんの少し未来の眩しいキミ!

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花丸-アイキャッチ18
学校には、さまざまな音が響く。

とりわけ、放課後には賑やかな生徒たちの声に包まれる。

そんなたくさんの声に交じり、リズミカルな音楽と少女たちの元気な声が耳に入ってくる。

そんな音と声にスクールアイドル部の部室の扉の前で足止めされてしまい、耳を傾けてしまう。

「1、2、3、4」

pixiv: ほんの少し未来の眩しいキミ! by ホイミン小川

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「腕が遅れてるよ」

「うう……」

「疲れたー」

「よーし。ちょっと休憩しようか」

「お腹すいたー」

「みかん、食べる?」

「持ってきたのっぽパンが……」

「私にも少し頂戴!」

「二人とも、太っちゃうよ」

「「え?」」

「おーい!休憩したら、通しでもう一回ね!」

「はーい!」

ああ。これが『きっと青春が聞こえる』という状況なんだろうか。

なにかの曲名だったかな。よく覚えていない。

少しノスタルジックな気持ちに浸っていると、私に気が付いた少女に声を掛けられてしまった。

「あれ?先生!見に来てくれたんですか?」

「え?いや、私は……」

「今から、通しで踊るんです。見ていってください!」

「ちょ、ちょっと……」

やや強引に手を引かれて、部室の中へに促される。なんというか、パワーのある娘たちだ。

自分を輝く世界に連れ出した先輩をふと思い出した。

「それじゃあ、今から通しで踊りまーす!私たちの輝く姿、見てください!」

軽快な音楽に合わせて、少女たちがステップを刻む。

ちょっとつたないステップや、逆になってしまう腕の振り。

でも、そんなことを忘れさせてしまうような、みんなの輝く笑顔。

眩しい。素直にそう思った。私たちもこんな感じだったんだろうか。

そんなことを思っているうちに、音楽が止み、少女たちの息遣いだけがBGMになった。

「はあ……はあ……どうでしたか?」

「みんないい笑顔だったわ」

「えへへ。ありがとうございます」

彼女たちの眩しさにあてられて、ついついお節介な気持ちも芽生えてしまう。

「でも、いくつか気になったことがあったかな」

「え?」

「例えば、サビ前のステップ。こうやったほうが綺麗に見えるんじゃない?」

10年以上ぶりに、あの時のステップを踏んでみる。うん、なんとか体は動く。

高校1年生の時に、嫌になるくらいに踏んだステップだ。時間がたっても、身体は覚えていた。

「「「「「おおー!!」」」」」

「先生、おっとりしているのに華麗な足さばき~!」

「国語の先生とは思えない俊敏なステップ!!」

「あれ?先生のステップ、どこかで見たことあるような……?」

国語の先生への偏見を吹き飛ばしついでに、もう一お節介。

「それと、腕の振りが揃ってなかったところもあったかな……えーっと……」

ダンスがそこまで得意でなかった自分が差し出がましいかな?と思いつつ話していると、部室の前の廊下に一人の先生が通る。

そうだ。彼女は自分よりもダンスが得意だったはずだ。

「あ、いいところにダンスの専門家が!ヨハネ先生~!!」

自分に注目していた少女たちの視線が、一気に廊下に向く。

「善子!ってあってるじゃない!!……って何やらせるのよ、ずら丸!!」

部室中、どころか学校中に届きそうな声が響く。

「『ずら丸』って呼ばれるの懐かしいずら。あっ、『ずら』って言っちゃった」

「懐かしいわね、アンタのその語尾」

「もう。津島先生のせいなんだからね」

ついつい、生徒たちの前なのに高校生のころのようなやり取りをしてしまう。今日は気持ちが高校生に戻ってしまっているのかな。

「えっと……。あ、あの先生……?」

少女の声に先生モードに引き戻される。

「あっ。ごめんなさいね。津島先生は私よりもダンスが得意だったから、もっといいアドバイスができるかも」

「はい?国木田先生、どういうこと?話がよく見えないんだけど」

津島先生が困惑している。それもそうか。

そんな中、一人の少女がずいと前に出てきた。

「あの!!もしかして、先生たちもスクールアイドルだったの?」

お節介すぎちゃったかな。そう思っていると、隣から声が響く。

「あなた達?スクールアイドル部なのに、『浦の星女学院スクールアイドル部~活動日誌~』をしっかり読んでないわけ?」

「え?」

「仕方ないよ。津島先生が中二病な表現を満載にしちゃったんだから。あんなおどろおどろしい本、誰も読まないよ」

「いいじゃない!そうでもしないと、ダイヤがルビィの成長日誌にしちゃいそうだったんだから!!」

「そうだっけ?」

ちょっと記憶があいまいだ。一応、製本した活動日誌を図書館においてあるんだけど。

「え、えっと、もしかして、先生たちって」

「そうよ。『浦の星女学院』のスクールアイドル」

「『Aqours』の最初で最後のメンバーよ!」

「「「「「「えーーーーー!!!」」」」」

沼津中に響きそうな声。やっぱり、Aqoursって凄いんだ。そう思うと、胸が熱くなる。

やり残したことなんてない。

私たちは夢をつかんだ。

そういうことなんだと思う。

千歌ちゃんに手を引かれて、輝く海を見つけた。そして、『浦の星』の名前を残せた。

こんな自分を誇ってもいいのかな。

国木田花丸は、胸の花丸みかんを強調するように胸を張った。





善子「ん?」

梨子「よっちゃん。どう?」

善子「どうもこうも……。なんか、最後の最後に牙をむいたような……」

梨子「花丸ちゃんが女教師って、ヤバくない?絶対に胸が熱盛の女教師よ!!」

善子「リリー、受験勉強が辛いからって現実逃避はよくないと思うわ」

梨子「……正論を言うよっちゃんが眩しすぎる……つらい……」

善子「もう。センター試験が近いんだから、ほら、頑張リリー!」

梨子「……録画するから、もう一回やってもらってもいい?」スマホトリダシー

善子「とっとと勉強しろ!!!」

おわり
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