千歌「そしてこれからも」

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千歌-アイキャッチ11
ダイヤ「千歌さん…年が明けたら結婚しましょう」



クリスマスイブから日付が変わる頃、私の所にはサンタさんからのプレゼントではなく真面目な顔をしたダイヤさんからの言葉が届いた。

そしてその言葉には指輪という決断が添えられていた。

pixiv: 千歌「そしてこれからも」 by TAKEZO

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千歌「えっ、あっ…えっ?」



突然の事に動揺して言葉がうまく出てこなかった。

『クリスマスが終わればすぐダイヤさんの誕生日だなぁ、今年はどんな事をしようかなぁ』

これからをしっかりと見ていたダイヤさんと違って、そんな近い未来の事しか考えてなかった自分が少し恥ずかしくなる。

こうして返事ができずにいると、ダイヤさんの表情が柔らかくなって…



ダイヤ「フフッ…言い方が紛らわしくてごめんなさい」

ダイヤ「年が明けたら、と言っても元日にという意味ではありませんよ」

ダイヤ「貴女が大学を卒業してから良いタイミングで、という意味です」

ダイヤ「返答はすぐにではなくて構いません、ゆっくり考えておいてください」



…と告げられた。



いわゆるプロポーズというものを受けてとても嬉しかった。

なのに何故かすぐに返事ができなかった。

急な事でビックリしたから?

それも理由の一つだと思う…けど、もし他に理由があるとしたらそれは一体…。





私が高校二年生の時、つまりスクールアイドルとして活動を始めた年に付き合い始めた。

告白は私からした、ダイヤさんに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい心臓の音がうるさく感じたのを今でも覚えてる。

そして、オッケーの返事をもらえた時の嬉しさも…。



私が大学に進学してからはダイヤさんが借りていた部屋で一緒に暮らし始めた。

『一人暮らしには広すぎたと思っていたのに、二人だと少し狭く感じますね』

とダイヤさんが困った顔をしながら、でもどこか嬉しそうに言ってたっけ。

それから長かったようで短かったような、短かったようで長かったような時間を過ごしてきた。

卒業する年とは言えまだ大学生、結婚なんて正直まだ遠い先の事だと思ってた。

でも付き合って約五年って考えるとそういう事を意識するのは全然おかしくはないのかもしれない。

なのに全く実感が湧かない…どうしたらいいんだろう…。



千歌「という事で相談させてください」アタマサゲー

梨子「久しぶりに連絡してきたと思ったら、相談の内容が結婚だなんてビックリだよ」

千歌「うん、私もビックリしてる」

梨子「そういう素振りとか、千歌ちゃん自身がそういう事を考えたりとかはしてなかったの?」

千歌「両方とも全然、だからこそどうしていいかわからなくて」

梨子「まぁまだ学生だしね…でも同棲し始めて長いし、タイミングを逃すとこのままずるずる行きそうだし良い機会なんじゃないかな?」

千歌「そうなのかなぁ…?」

梨子「それは本人達にしかわからないでしょう」

千歌「ですよねー」

梨子「すぐに結婚するっていうワケではないみたいだし、まずは意思を伝えるだけでもいいんじゃないかな?」

千歌「意思、か…梨子ちゃんはプロポーズされた時にどうしてすぐにOKできたの?」

梨子「わ、私っ?」

千歌「私達よりも後からお付き合いし始めたのに、まさか先を越されるなんて思ってなかったよ…」

梨子「まぁタイミングも良かったしプロポーズのシチュエーションも良かったのもあるし…」

千歌「あ~、そういう事ちゃんと考えてくれそうだもんね」

梨子「でもそんな事は関係なくて、いつかそうなりたいって考えは前からあったから…だからすぐに返事ができたのかもね」

千歌「ほぇ~、みんなちゃんと考えてるんだなぁ」



相談という名目で梨子ちゃんと会ったものの、久々に会ったからかこの後も色々な話で盛り上がった。

高校卒業後の話から、お互いの近況まで本当にたくさんお喋りした。

そしてそうこうしているうちにあっという間に帰る時間が近付いていた。



千歌「相談にのってくれてありがとね、梨子ちゃん」

梨子「ううん、私こそ久しぶりに会えて嬉しかったよ」

千歌「今度はもっと大人数で集まれるといいね」

梨子「その時には二人のお祝いができるといいな♪」

千歌「うっ、しっかりと考えておきます…」

梨子「ふふふ…あ、そうだ」

千歌「?」

梨子「私が結婚を考える時に参考になった言葉があるから教えておくね」

千歌「何なに!?」

梨子「結婚は『その人と幸せになれるか』ではなくて『その人となら辛い事も一緒に乗り越えていけるか』が大事なんだって」

梨子「私たちはお互いの都合でなかなか一緒にはいられないけど、でもその覚悟ができてたから全然大丈夫」

梨子「…や、やっぱり少しは寂しいけどね」アハハ

梨子「誰にでも当てはまるワケではないと思うし、参考程度にしておいてね」

梨子「それじゃ、またね」

千歌「あ…うん、またね~」



一緒に幸せになれるかではなく辛い事も一緒に乗り越えていけるか、かぁ…。

梨子ちゃんは"覚悟"って言ってたけど、でも確かにその通りで私はそういった覚悟ができてなかったような気がする。

いや、そもそも考えてすらいなかったような…。

数ヶ月後には学生じゃなくなっているというのにこんなに楽観的?でいいのだろうか…や、マズいよね。



しかし付き合い始めてもう五年か~、本当に色々あったなぁ。

ダイヤさんが高校を卒業する時には離れ離れになるのが寂しくて泣いちゃったり…

大学に合格した時にはお互いに自分の事のように喜び合ったり…

ステキな景色を見ては一緒に感動したり、映画を見ては同じシーンで泣いたり…

くだらない事で喧嘩をしては意地を張りあったり、別れに怯えて泣いたり…

その後で必死に謝りあったり…

ちょっと重い風邪をひいた時には大学を休んで看病してくれたり…

笑いあった事も、流した涙も、その全てが二人の思い出をより鮮やかに彩る出来事だったね。

初対面もその後も決して好印象ってワケじゃなかったのに、今ではダイヤさん無しの生活なんて考えられないよ…。





…え、それってつまり…。





タタタ...
ガチャッ バァーン!!

千歌「ダ、ダイヤさん…」ハァハァ

ダイヤ「おかえりなさい千歌さん、そんなに息を切らしてどうしたんですか?」

千歌「すぐじゃなくていいって言ってたけど、今ちゃんと答えるね!」

ダイヤ「!」

千歌「まだそんなに日は経ってないけどあれからじっくり考えたんだ」

千歌「ダイヤさんとの"おはよう"で一日が始まって、そして"おやすみ"で一日を終える、今では当たり前になっているこの生活がどんなに幸せな事か…」

千歌「付き合ってからの数年間は良い事も悪い事もたくさんあったけど、そのどれもが良い思い出だよ」

千歌「そしてこれからも、もっともっとたくさんの二人の思い出を作っていきたい!」

千歌「だから…こちらこそ、よろしくお願いします!」



高校生の時、ダイヤさんに告白した時と同じくらい心臓がドキドキしてる…。

でもあの時と違って今回は返事をする側、同じドキドキでもあの時と今とでは全然違う。

今回はダイヤさんの反応も解って…わかって…アレ、返事がないような…?



ダイヤ「えっと…そんなすぐに返事をしてもいいんですか?」

千歌「ふぇ?」

ダイヤ「急ぎませんからもっとじっくり考えてからでもいいんですのよ?」



あれ~!?こんな反応は予想外!

てっきり喜んでくれるかと…っていうか泣いちゃうダイヤさんを優しく抱きしめるところまで想像してたのに!

うわっ、急に恥ずかしくなってきた///



ダイヤ「な~んて、冗談ですわ」フフッ

ダイヤ「少し遅いクリスマスプレゼントか、それとも少し早い誕生日プレゼントか…」

ダイヤ「千歌さんの返事、とても嬉しいです」



真っ赤になっているであろう私の顔を、優しい目をしたダイヤさんが見ていた。

そしてその目には薄っすらと涙が…。



ダイヤ「今までの人生、あなたがいたから生きてこれました」

ダイヤ「そしてこれからも、あなたがいるから生きてゆける…決して大げさでは無く」

ダイヤ「夏の綺麗な星空も、切なさ感じる秋も、冬の厳しさも、その後に訪れる春も…何度でも一緒に経験していきましょう」

ダイヤ「改めて、これからもよろしくお願いします」





今年のクリスマスプレゼントは目に見える物は無かった。

でも、見えない物だけどお互いにとって今までで一番嬉しいプレゼントだった。
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2018年5月26日
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