夢の跡に咲いた花

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曜-アイキャッチ4
 影があるから、光はより眩い輝きを放つ。


『98』


 これが私たちの残した、現実を見せつけられる数字。

 届かなかったのは何故?
 輝けなかったのは何故?

 どうすればよかったの、私たちは。

pixiv: 夢の跡に咲いた花 by わた

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ではここまでにしましょうか」

 ダイヤさんの声に、一斉に座り込むメンバー。

「うぅ、疲れたずら……」

「も、もうダメぇ」

 すっかり疲れ切っている一年生。

「ラブライブまであと1ヶ月もありませんからね、気は抜けませんわ」

「そーんなこと言って、ダイヤだってフラフラの癖に~」

「ま、鞠莉さん!」

「あはは、確かに元気そうだね」

 仲良さげに戯れる三年生の姿は、まだまだ余裕がありそうで、体力の差を感じられる。

「曜さんは本当に元気そうですわね」

「みんなよりも早くから鍛えてるからね~」

 腕まくりしてボディビルダーのような恰好をしてみる。
 うーん、我ながら良い筋肉。

「むぅ。花丸ちゃん、ルビィたちもがんばルビィしないと!」

「ま、マルはもう限界ずら……」

「まあまあ、無理は駄目だよ。それで身体を壊しちゃったら元も子もないんだから」

 ルビィちゃん、体力もそうだけど、結構根性があるから目を離すと無理をしてしまいかねない。

「そうよ。私たち5人は誰一人として欠けるわけにはいかないんだから」

「うゅ、ごめんなさい……」

「謝ることはないのですよ。やる気があるのは良いことですから」

 ダイヤさんが頭を撫でると、ルビィちゃんは嬉しそうに目を細める。

「でも花丸もよく頑張ってるわよ! マリーが褒めてあげるわ」

「そ、そうかな」

「それに私たちはあの姉妹と違って、余計な重りをつけてるんだからっ」

「……鞠莉さん、何か言いましたか」

「おおぅ、ジョークよ、ジョーク」

 以前に比べたらよっぽどハードな練習をしているのに、何だかんだみんな元気だし、良い雰囲気。

「大丈夫、私たちはちゃんと練習を積んできた。5人なら絶対に勝てるよ!」

「ふふ、曜さんが言うと、不思議な説得力がありますわね」

「一応これでもリーダーですからね」

「頼りになるなぁ。曜さんがリーダーで、本当に良かったです!」

 本当に嬉しそうなルビィちゃんの顔。

「じゃあ今日は解散にということで。明日も朝早いですし」

「「「「はーい」」」」




 放課後、他の4人と別れて、私は1人、ある場所へ向かう。

「こんにちはー」

 千歌ちゃんの家。昔から何度も訪れていたこの場所に、私は通い続けている。

「あら曜ちゃん。いらっしゃい」

 出迎えてくれるのは志満さん。

「いつも悪いわねぇ」

「いえいえ、好きでやってることですから!」

 千歌ちゃんの部屋の前。

 いつものように、ほとんど手をつけられていないご飯が置きっぱなしになっている。

「千歌ちゃん、ヨ―ソロー!」

「あっ、曜ちゃん……」

 私の声を聴き、のっそりと布団から起き上がる千歌ちゃん。

 生気がない表情、ボサボサになった髪、以前とは比べ物にならないぐらい、やせ細った身体。

 浦の星の廃校が決まった後、千歌ちゃんは立ち直れなかった。

 輝くことを諦めて、部屋に引きこもり、あらゆる気力を無くして、抜け殻みたいになって、学校を残せなかった自分を延々と責め続けていた。

「今日は遅かったね」

「練習がちょっと長引いてね。ほら、みんな気合いが入ってるから」

「そっか……」



 千歌ちゃんはあの日、みんなが集まった屋上でAqoursの解散を宣言した。
 学校を残せないなら、スクールアイドルを続ける意味はないと言い放って。

 皆が騒然としたけど、私はそれを受け入れる気だった。

『パァン』

 その気持ちを変えたのは、1人の後輩の行動。

「馬鹿にしないで……」

 気が弱くて、人見知りで。だけど誰よりもアイドルを好きな子の、まさかの行為。

「スクールアイドルは――ラブライブは廃校を阻止するための道具じゃない!」

「る、ルビィちゃん……」

 そこにいる誰もが言葉を失った。

 あの大人しい子が、こんなにも感情を爆発させて。

「……元々、輝くための道具だったのが、廃校を阻止するための物に変わっただけだよ」

『パァン』

 さらに一度、乾いた音が響く。

「千歌ちゃんがそんな人だとは思わなかった。最低だよ」

 ルビィちゃんは泣いていた。
 本気でアイドルを志した彼女からしたら、裏切られた気分だったのだろう。

 そしてその涙は深く刺さる。千歌ちゃんと一緒の事をやりたいという理由だけでアイドルを始めた、私の心にも。

「ごめんね、ルビィちゃん」

 屋上から去ろうとする千歌ちゃん。

「待って!」

「る、ルビィちゃん、落ち着いて」

 追いかけようとするルビィちゃんと、必死に止める花丸ちゃん。
 私はそれを茫然と見つめることしかできない。

「何で、何でこんなことになったの」

 鞠莉ちゃんがすすり泣く声が聞こえる。

「ち、千歌!」

 追いかける果南ちゃん。

 無言で俯くダイヤさん、声を殺して泣く善子ちゃんに、怒ったように千歌ちゃんが去っていったあとは見つめる梨子ちゃん。

「離して、離してよ、マルちゃん!」

「駄目だよ、絶対に」

 私は許せなかった。

 周囲の気持ちを考えずに、自分の意志だけで勝手に解散を決めようとした千歌ちゃんのこと。そしてそれを、千歌ちゃんの意志だからという理由で受け入れようとした私のことが。


 家に帰ってから考えた。
 これからどうするか。今までアイドルをして、どんなことを感じたか。

 一晩考えて結論は出た。

 私は楽しんでいた。アイドルをしてみんなと輝くことを、ただ単純に。

 それをここで終わらせたくなかった

 同時に、泣いていたあの子をこれ以上悲しませたくもなかった。
 変わった、私がスクールアイドルを続ける目的は。

「続けよう、Aqoursを」

 屋上での出来事の三日後。

 千歌ちゃんと梨子ちゃん以外のみんなが話し合うために集まった場所で、私は開口一番言い放った。

「な、なにを言ってるの。千歌があんな状態じゃ――」

「本人が嫌がるなら、千歌ちゃん抜きで続ける」

 私の言葉に、胸倉を掴んでくる果南ちゃん。

「自分が何を言っているのか、分かってるの?」

「もちろんだよ。やる気のない人を引き留める暇なんてないよ」

「でも私たちは9人で――」

「辞めてもいいんだよ、納得できないなら。たとえ一人でも私は続ける」

「なっ」

 果南ちゃんは言葉を失い、私を突き飛ばす。

「痛いなぁ」

 ホワイトボードにぶつかり、くっついていたものが降りかかってくる。

「か、果南。落ち着いて」

「よ、曜さん。大丈夫ですかっ」

 唖然とする一年生と違い、動揺しながらも動く鞠莉ちゃんとダイヤさん。

「大丈夫です、すいませんダイヤさん」

「流石に言い過ぎですわ。曜さんらしくもない」

「そうだよ。突き飛ばしたのは悪かったけど、そんなやり方じゃ誰も――」

「――そんなことはないと思うよ」

 私は一年生、ルビィちゃんに目を向ける。

「ルビィも続けるよ、千歌ちゃんがいなくても」

 私の時より、衝撃を受けたような表情を見せる果南ちゃん。

「る、ルビィ!? 貴女は自分が何を言っているのか、分かっているのですか!」

 それ以上に動揺するダイヤさん。ここまで取り乱す姿は、後にも先にも見たことがなかった。

「分かってるよ。ルビィは絶対に辞めたくない、諦めたくない、捨てたくない。Aqoursを、お姉ちゃんと一緒にアイドルをできる、この場所を」

「ルビィ……」

 言葉を失うダイヤさん。その様子に、空気が変わる。

「……私もよ」

「鞠莉?」

「私だって、辞めたくない」

「な、なにを――」

「失った時間を取り戻すために、ダイヤと果南と一緒にスクールアイドルをやるために戻ってきたのに、こんなところで終わりたくない! まだ一緒に、アイドルを続けたい!」

「っ」

 鞠莉ちゃんからのまさかの言葉。それは果南ちゃんを打ちのめすには充分すぎるもので。

「今日の放課後。Aqoursを続ける意思のあるメンバーはいつもの練習場所に集まって」

 私はそれだけを言い残し、部室を去った。


 そして放課後になり、やってきたのが、今のメンバーたちだった。





「今日はみかんを持って来たんだ。お母さんが美味しいの貰ってきてさぁ」

「わぁ、ありがとう曜ちゃん」

 千歌ちゃんの意志に反してアイドルを続ける。
 それは心苦しいことだったし、千歌ちゃんも最初は受け入れてくれなかった。

 今だって認めてくれたわけではない。

 それでもこうして、自分の部屋にやってくる私を拒否しないのは、仲良しの幼馴染で、彼女の傍に来てくれる、貴重な人間だから。

 だから千歌ちゃんも私を拒否できない、受け入れるしかない。

 1人になりたくないから。少し前までスポットライトを浴びて輝いていた人間が、そんな状況に耐えられるわけがない。

「曜ちゃん。最近のAqoursは、どう?」

 千歌ちゃんはこうして、時々Aqoursについて尋ねてくる。
 どうしても気になるのだ、自分から辞めていったとしても。

「うーん、やっぱり人数が減っちゃったからなぁ」

「……」

「リーダーの千歌ちゃんもいなくなったし、そんなに上手くはいかないよね」

「そうだよね……」

 沈んだように、だけど同時に嬉しそうな千歌ちゃんの声。
 当たり前だ。自分が抜けても上手くいってますだと、あまりにも立場がない。気になるのは、当たり前なのだ。

 5人になった部活

 でも活動には特に支障をきたしていない。

 作曲は鞠莉ちゃん、作詞は花丸ちゃん、衣装と振り付けはダイヤさんとルビィちゃん、私が担当している。

 作曲の鞠莉ちゃんは有名な作曲家に師事を受けて、レベルの高い曲を作る。

 作詞の花丸ちゃんは文学少女だ。文字と縁が薄かった千歌ちゃんより立派な歌詞を作る。

 衣装は作る人数が減ったのでより高いクオリティの物を作れる。

 振り付けだって、アイドルとしての踊りなら知識が豊富な黒澤姉妹がいる時点で負けていない。そしてこれも、人数が減ったことでやりやすくなっている。

 なにより新しいセンターの私は、千歌ちゃんより容姿は上、身体能力、センスはもっと上。千歌ちゃんが苦戦するような派手なアクションだって、あっさりこなしてみせる。

 私たちが以前のグループに負けているところなど、人数以外にない。

「まあ大変だけど頑張るからさ、応援しててよ」

「うん、もちろんだよ」

 嘘だよね、応援する気なんてないのに。

 いや、するのかな。千歌ちゃんは私の言葉を信じ切っているから。私たち5人が、Aqoursが、あんな紛い物だった当時より劣っていると。

 勝ってほしくなくても、勝てる可能性がないなら安心して応援できるもんね。

 こんな冷めた見方をする自分が嫌だ。
 だけど事実、そんな感情が透けて見えてしまう、今の千歌ちゃんはもっと嫌だ。

 千歌ちゃんの事が好きだから、高海家に毎日足繁く通っている。

 だけど私の中に、それ以外の感情があることは、確かだった。
 



 バスの時間が近づいたこともあり、千歌ちゃんの家を出ると、すぐ隣の家から見知ったお団子が出てくるのが見える。

「おーい、よーしこー!」

「だからヨハネ――って曜さん」

 会うのは久しぶりだけど、変わらない反応。まるで実家のような安心感だ。

「梨子ちゃんの家に遊びに来てたの?」

「え、ええ。お互いに暇だから」

「その言い方だとよく来るのかなぁ~」

「何よ、変な笑い方して。悪い?」

「ううん、全然」

 善子ちゃんも梨子ちゃんも、スクールアイドル部を辞めた。

 当然その後、どの部活にも入っていない。暇を持て余した仲良しの2人が親密になるのは自然な事。

 ただでさえ彼女たちを見る周囲の視線は、冷めているのだから。
 当たり前だ。学校の誇りだったのに、それを捨て去ろうとした人たち。

 しかも肩書が、その張本人、休学やトラブルを繰り返す問題児、よそ者の2人。

 方や地元の権力者の娘×3、寺の娘、地元の人気者、生徒会長に理事長――肩書だけでも、周囲がどちらの味方をするかは一目瞭然。

 疎まれている者同士、肩を寄せ合うのは必然だろう。

「今から帰りなんでしょ、久しぶりに一緒に帰ろうよ!」

「ええ」

 善子ちゃんにはそこまで嫌われてないはずだし、このバスを逃せば次は一時間後、断られる理由はない。



 バスに乗り込むと、昔の私たちの定位置、一番後ろの席に座る。

「懐かしいね、この感覚」

「ふふ、そうね」

「楽しかったなぁ、善子ちゃんと2人で帰る時間」

 この言葉に嘘偽りはない。

 千歌ちゃんや梨子ちゃんとの関係で悩んでいた時も、気楽に話をできる善子ちゃんにどれだけ助けられたか。

「私も好きだったわよ、この空間」

「おやおや。今日は偉い素直だね」

「久しぶりだし、感傷に浸ってもいいでしょ」

 ぷいっと窓の方を向いてしまう善子ちゃん。
 だけどガラスに反射して、照れた顔がまるわかり。こういうところが本当に可愛い。

「ルビィと花丸は元気?」

「うん、頑張ってるよ。普段教室では喋らないの?」

「……仕方ないでしょ。気まずいのよ」

 私が善子ちゃんの立場でも同じことを考えるだろうから、仕方ないのだろう。

「他のみんなだって、似たようなもんでしょ」

「うーん。果南ちゃんは千歌ちゃんほどじゃないけどあんまり学校に来てないみたいだし、梨子ちゃんとは今でも普通に接してるよ」

 元々千歌ちゃん絡みの件もあって、特別仲良しだったわけじゃない。

 ある程度割り切った関係だったからこそ、部の分解程度じゃ変わらないのかもしれない。

「そうなんだ。リリー、休み時間とかよく私の所に来てくれるから、てっきり――」

「仲良しになったんだね、本当に」

 懐いてくれていた後輩の変化は、少し寂しくもある。

「リリーは大事なリトルデーモンだからね、当然よ」

「ふーん。じゃあリトルデーモンじゃない私は仲良くないと」

「えっ、曜さんはリトルデーモンじゃなかったの?」

「うん」

 なった覚えはない。結構マジで。

「仕方ない。仲良しじゃないから善子ちゃんとは……」

「べ、別にリトルデーモンじゃなくても私は――」

「冗談だよ~。私もちゃんとリトデだよん」

「略さないでよ!」

 善子ちゃん、からかうと本当に可愛い。
 この手のタイプ、Aqoursには上級生のダイヤさんぐらいしか残ってないから、久しぶりの感覚だった。

「でもリトルデーモン、最近減ってるんじゃないの?」

「……否定はしないわ。ルビィや花丸もそうだけど、ネットとかでも、Aqoursの津島善子じゃなくなったら、消えてしまった人が多いから」

 スクールアイドルの津島善子と、女子高生の津島善子では商品価値が違う。差が出るのは仕方のないこと、彼女にはどうしようもない。

 それを解決する唯一の手段があるとすれば――

「戻ってきなよ、善子ちゃん。まだAqoursの席は空いてるよ」

 私の言葉に、困ったような表情を見せる善子ちゃん。
 この感触は失敗かな。

「ごめんなさい。私は千歌さんが居てこそのAqoursだと思う。堕天使の私を認めてくれて、外に引っ張り出してくれたあの人が嫌がっているのに、私だけなんて」

 千歌ちゃんに対する恩義。この子は義理堅いところがあるから、それは裏切れないのか。

「でもさ、ルビィちゃんとか花丸ちゃんと、元の関係に戻りたいでしょ」

「……代わりにリリーが構ってくれるから、そんなに寂しくはないわよ」

「寂しがり屋だもんね、強がってみせるけど」

「う、うるさいわねぇ」

「……寂しくなったらいつでも私の所においでよ。Aqoursに関係なくても、待ってるから」

「うん……」

 千歌ちゃんがいないAqoursを拒否するなら、善子ちゃんが戻ってくることはあり得ない。


 だって千歌ちゃんは絶対に戻ってこないから。




 翌日、朝練の為に屋上へ行くと、寝転がって本を読んでいる先客の姿が見えた。

「おはヨ―ソロー!」

「ふわぁ、おはようずら~」

「花丸ちゃん、ずらってるよ」

「あっ」

 ずっと気にしてはいるみたいだけど、幼少期に染みついてしまったものを直すのは難しい。
 本人には悪いけど、一生直らないんだろうなぁ。

「他のみんなは?」

「まだだよ。ダイヤさんからは『愚妹を起こしてから行きます』ってLINEが来てたけど」

「そっか。まだ練習開始まで時間があるから、気長に待つしかないね」

 やることもないし、床に寝そべる。ひんやりとしていて気持ちいい。

「でも花丸ちゃん、すっかりスマホを使いこなせるようになったね。少し前までは『未来ずら~』とか言ってたのに」

「流石に慣れたよ。ルビィちゃんと毎日お話してるから」

「仲良しなのはいいことだねぇ~」

 そういえば、あの日も最初に来ていたのは花丸ちゃんだった。
 こうして2人で、他の人が来るのを待っていたっけ。



「あれ、花丸ちゃんだけ?」

「うん」

 啖呵を切った放課後、屋上で私を待っていたのは花丸ちゃんだけという予想外の事態。

 花丸ちゃんがいるならルビィちゃんがセットだと思い込んでいたから。

「ルビィちゃんは来ないの?」

「今ね、善子ちゃんを説得してるとこ。マルはお邪魔みたいだから先に来ちゃった」

「なるほどね、了解」

 この時点で、私は善子ちゃんが加入することを諦めかけていた。

 あっさり説得に折れなかった時点で、善子ちゃんの意志は相当固い。思い込んだら一直線で頑固な彼女が、友人の説得ぐらいで考えを変えるとは思えなかったから。

「一応確認だけど、ここにいるということは、花丸ちゃんはAqoursを続けるって事でいいんだよね?」

「うん」

 この時点では、正直意外だった。

 花丸ちゃんは強硬派に加わるより、もっと落ち着いた立場から諭す側の人間だと思っていたから。

「どうして続けようと思ったの、Aqours?」

 だから思わず尋ねていた。

「ルビィちゃんが、続けることを決めたから」

「ルビィちゃんが?」

「元々、ルビィちゃんの為に始めたスクールアイドル。その後動機が変わったとしても、根本的な部分が変わったわけじゃないから」

「なるほどね、ルビィちゃんの為か……」

「それに曜ちゃんがいるからね。マルにとって、曜ちゃんは憧れみたいな人だったから」

「あはは。そんなこと言っても、何も出ないよ~」

「むぅ、冗談じゃないのに」

 スクールアイドルを始めた時、心に秘めていた動機は私と同じ。
 それなのに、解散が決まってから出した結論は違うのだから面白かった。

 千歌ちゃんの為に始めたのに、彼女を裏切った私。
 ルビィちゃんの為に始めて、彼女の為にアイドルを続ける花丸ちゃん。

 どちらが正しくて、どちらが間違っているということはない。

 共に自分で考えて出した結論。

 何より私にとって、動機など不問だった。人数を集めることが最優先だったから。

 それに花丸ちゃんは、ルビィちゃんが折れない限りアイドルを続けるはず。そしてルビィちゃんが折れることはない。だって千歌ちゃんと違って、小さい頃からずっと好きで、憧れ続けていた夢だ。捨てることなどできない。




「ご、ごめんなさい。遅れました!」

 少しうとうとし始めた、ちょうどいいタイミングで屋上に駆け込んでくるルビィちゃん。

「大丈夫だよ、まだ練習時間前だし」

「おはよう、ルビィちゃん」

「マルちゃん! 今日も早いねぇ」

 仲睦まじくじゃれ合い始める2人、微笑ましい。

「そういえばダイヤさんは?」

「あ、そうでした。お姉ちゃんと鞠莉ちゃんは、何かお仕事が入っちゃったみたいで、朝練には来られなくなったみたいで」

「そっかぁ、統廃合で色々と大変な時期だもんね」

 理事長の鞠莉さんはもちろん、生徒会長のダイヤさんも色々と手伝わなければならないことがあるのだろう。

「それなら人数揃ってるし、練習始めちゃおうか。ルビィちゃんは大丈夫?」

「はい! いつでも準備万端です!」

「気合入ってるね~」

「うん、がんばルビィだよ!」

 Aqoursが5人になって、ルビィちゃんは変わった。

 以前は常に花丸ちゃんかダイヤさんの後ろに隠れていたような子が、自分から前に出て、積極的にみんなを引っ張るようになった。

『ルビィは、自分がやりたいからアイドルを続けてるの』

『それを邪魔する人は、誰であろうと許さない。最後までAqoursのみんなと駆け抜けたいから』

 5人のAqoursが始動する前、ルビィちゃんが言った言葉を思い出す。

 厳密には変わったわけではなく、元々内には秘めていた部分が表に出てきたということ。
 千歌ちゃんの言葉がそのきっかけになったのだろう。

「あれ、練習着の裏表逆だよ」

「ピギィ! 本当だ……」

 まあ、まだちょっぴり抜けているところはあるけど、それはご愛敬。





「ちょっといいかな」

 朝練を終え、教室に戻ろうとする途中、見知った顔を見かける。

「果南ちゃん、元気だった?」

 正直面倒くさかったけど、彼女も大切な幼馴染。無視するわけにはいかない。

「あんまり、実家の方も忙しくて」

 果南ちゃんはAqoursの解散以来、学校に姿を見せることが減った。
 理由は家業が忙しくなった為と噂で聞いたけど、どこまで本当かは分からない。

「今日も練習してたの?」

「うん。流石にこの時期になると寒くて――」

「何で曜は平然と活動に参加してるの」

 ああ、始まった。最近は顔を合わせればいつもこれだ。

「幼馴染だよね、私と同じか、それよりも距離の近い」

「果南ちゃんが言うなら、たぶんね」

 千歌ちゃんと距離の近い幼馴染、ここだけなら悪い気分ではないのに。

「それなら千歌のことを考えてあげなよ。飛び込みに集中するとか、いくらでも辞める理由は作れたはずなのに」

 少しは私の気持ちも考えてほしい。

 彼女の視点から見れば私は完全に悪役なので、どうしようもないことだけど。

「千歌がいるから始めてたスクールアイドルでしょ?」

「それなのになんでまだ続けて、千歌を苦しめるようなことをするの?」

 何度話しても理解してくれない、この人だけは本当に。

 私が考えを変えた理由、ちゃんと以前説明したのに。

「私たちは9人でAqoursだよね」

 そしてどこまでも9人にこだわる。諦めたくないのか、千歌ちゃんに気を使っているのか。

 だけどもう、9人揃うことはあり得ない事を、私は知っている。

「私は辞めないよ。それに今の5人こそ、本当のAqoursのメンバーだと思ってる」

「なにそれ、信じられないよ」

「第一ね、元メンバーの中には、千歌ちゃんの事を嫌いで一緒にやりたくないって子がいるんだよ」

「……それは曜なの?」

「ううん、今のAqoursにもいない子」

「梨子? 善子? どっちなの」

「言えるわけないじゃん。今の果南ちゃんに」

 千歌ちゃんの事を想うばかり、冷静さを欠いた彼女に。

「ごちゃごちゃ言ってないで、話して」

 あの時みたいに、胸倉を掴まれる。

 叩きつけられるのは、本気で痛かったからもうごめんだけど、これでもスクールアイドル、喧嘩するのはあまりよろしくない。

「今は怪我をしたくないから、暴力は勘弁してほしいんだけど」

「……怪我したら、Aqoursの活動を辞める?」

「辞めないよ、私がいなくなったぐらいじゃ、みんな立ち止まったりしない」

「でも曜は、辞めるよね」

 結局叩きつけようとする果南ちゃん。ああもう、滅茶苦茶だ。

「果南、それぐらいにしておきなよ」

「鞠莉……」

 鞠莉ちゃん割って入ってくれたおかげで、途中で止まる動き

「いい加減にして、暴力に出るのは最低だよ」

「……裏切り者の鞠莉の言うことなんて聞きたくない」

「裏切り者って、そんな言い方――」

「だってそうじゃん! 鞠莉は絶対私に賛成してくれると、9人じゃないAqoursなんて認めないと思ってたのに」

 喚く果南ちゃんの姿は、まるで子どもの様に滑稽で。

 だけど気持ちは分かる。たぶんルビィちゃんの勇気を出した行動無しで、誰かが千歌ちゃん抜きでAqoursを続けると言い出したら、私も同じような状態になっていただろうから。

「果南の気持ちは分かる。私だって、果南に賛成したい」

「だけど自分の気持ちは違う。最後に――ダイヤやみんな、残ったメンバーとだけでも、スクールアイドルとして頑張りたい」

「うるさい!」

 今度は鞠莉ちゃんに掴みかかる。

「……暴力に訴えようとするなら、理事長権限で退学にするよ」

「ふん、やれるもんならやってみなよ」

 不穏な空気、明らかに周囲の注目も集めてしまっている。

 止めなくてはならないけど、情けないことに私ではどうにもできそうにない。

「2人とも、少し落ち着きなさい」

 そんな中に平然と割り込んでくるのは、いつもどおり綺麗な黒髪を靡かせる生徒会長。

「でも果南が――」

「鞠莉さん、貴女は理事長なのですよ。少し冷静になりなさい」

「……そうね」

 素直に引き下がる鞠莉ちゃん。

「果南さんも、一度自分の行動を鑑みてごらんなさい。これ以上は、擁護できませんわよ」

「嫌だ、ダイヤも裏切り者だもん、言うことなんて聞きたくない」

「裏切り者、私が?」

「だってそうじゃん。最初はこっち側だったのに――」

「黒澤ダイヤ個人としてのスクールアイドルへの愛。そして大切な妹の強い意志。続ける理由としては、十分でしょう」

「っ」

 有無を言わさないダイヤさんの口調に、流石の果南ちゃんも黙り込むしかない。

「さあ皆さん、教室へ戻りましょう。授業が始まりますわ」

 ダイヤさんの言葉に、何事もなかったかのように解けていく周囲の輪。

「曜さん、怪我はありませんか」

「ええ、おかげさまで」

「それなら急いだ方がいいですよ。授業に遅刻してしまいます」

「……ヨ―ソロー」

 果南ちゃんは、その場に立ち尽くしている。それがどうしても気になってしまう。

「あとは私の方で処理しておきますから、安心してください」

 確かに、今の私じゃ何もできないどころか、手を出すのは逆効果だろう。

「わかりました、お願いします」

 少し後ろめたさを覚えながらも、私は急いで教室へ戻る。



 結局これが、学校で果南ちゃんと話した最後の機会だった。
 

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 年が明け、徐々に気温が上昇していくと、ラブライブ本番が迫ってくる。

 果南ちゃんは、浦の星を中退して、内浦から消えてしまった。
 風の噂では、ダイビングを本格的に学ぶために、海外へ行ったらしい。

 私たちを取り巻く環境も、だいぶ変わった。

 きっかけはとあるSNSで私たちについて発信された情報。

 スクールアイドル界に彗星の如く現れた新鋭グループを襲った廃校という悲劇。それをきっかけとしたグループ解散の危機からの復活。

 優勝候補グループの予選敗退、冬休み中、クリスマスやお正月を返上して作成した5人でのPVの高評価なども相まって、世間から大きな注目を集めるようになったのだ。

 浦の星の名前はネット上でも話題になったし、地元の新聞に載ったりもした。

 その中でも、飛び込みで多少名前が売れていた私は大きな注目を集めた。

 個人でインタビューなどを申し込まれることも多く、私は積極的にそれを受けた。

 そこで話したのだ、私たちにとっての真実を――辞めたメンバーからすれば、私たち側に都合の良い見方のそれを――素直に、思うままに。

 その結果、世間から見た構図は、正義の新生Aqours、悪の高海千歌となった。

 それでも千歌ちゃんと私の関係は続いている。

 私はそれを誘導しただけで、自分から話したわけではない。それに果南ちゃんがいなくなった今、彼女を構ってくる家族以外いなくなった。

 その家族ですら、美渡さんは千歌ちゃんの姿に耐え切れなくなって家を出た。
 ご両親は忙しいし、美渡さんがいなくなった結果負担の増えた志満さんも千歌ちゃんを構うのが難しくなっている。

 千歌ちゃんには私しかいない、私に依存するしかないのだ。

「ねえねえ、ネットでまた曜ちゃんの記事が出てたよー」

「えへへ、照れるなぁ」

 だからこうやって、千歌ちゃんは必死に私の気を引こうとする。

 千歌ちゃんを中傷するコメントもある、ネットニュースの記事を見せてまでも。

「でもこんなに持ち上げられるとプレッシャーが凄くてさ」

「えー、曜ちゃんは飛び込みで慣れてるでしょ?」

「その比じゃないよ。ファンの数も世間の注目度も全然違うから」

「そうだよね……」

 私が立っているのは、最初に千歌ちゃんが目指していた場所。

 皆が憧れる、輝いている舞台。

「だからさ、応援してよ。千歌ちゃんの応援があれば、私は頑張れるから」

「うん、もちろんだよ……」

 同じ言葉でも、世間から注目される以前とは明らかに違う。

 見てしまったから、5人になってからの方が、世間の注目もパフォーマンスも高まっているという現実を。

 それでもまだ応援するフリを続けられるのは、千歌ちゃんなりの意地なのか、それほどまでに私の事を大切に想ってくれているのか。

 自分勝手だけど、後者だといいなと思わずにはいられなかった。




 千歌ちゃんの家をいつもより早く出て、やってきたのはお隣、梨子ちゃんの家。

「ごめんね、遅くなっちゃって」

「気にしないで、別に時間がないわけじゃないから」

 今日は約束していたのだ、東京に戻る彼女の引っ越しの手伝いを。

「案外スッキリしてるね」

 手伝いを頼まれた割に、部屋は綺麗に片付いていた。

「あんまり物が多いタイプでもないしね。ピアノとかは専門の業者さんがやってくれるから」

「凄いね、専門の人とかいるんだ」

「繊細な物だからね、細心の注意を払わないと」

 私には考えられない世界、梨子ちゃんもお嬢様なんだなぁ。

「なら私は何をすればいいの?」

「えっと、そこに並んでる薄い本を段ボールに詰めてもらうとか」

「了解、同人誌とかだよね!」

「楽譜よ、それ」

「えっ」

 見てみると、確かにそれは楽譜だ。表紙だけ変えているなんてこともなく、中身もちゃんと私には理解できない線や記号が羅列されている。

「もう、酷い偏見ね」

「あはは、ごめんよーそろー」

 同人誌が見当たらないのは、もう既に片付けたからかな。

「あれ、でもこれ――」

「えっ、全部片付けたはずなのに」

 やっぱり。

「やっぱり持ってたんだね」

「し、知らない」

「隠さなくてもいいのに。今さらだし、私と梨子ちゃんの仲なんだから」

「そうは言っても、恥ずかしいでしょっ」

 照れてる梨子ちゃん、可愛い。

「もう。からかうだけなら手伝わなくていいわよ」

「怒らないでよー、ちゃんとやるから」

 とはいえ、本当にやることは少ない。
 楽譜は話している間に詰め終わってしまった。

 あと整理が必要そうな場所は――

「これ……」

 目についたのは、梨子ちゃんの机の上。

 梨子ちゃんと、私、千歌ちゃんが三人並んで、笑顔を見せている写真。

「曜ちゃん、何を見てるの?」

 梨子ちゃんは言いながら、私の目線の先に気づいたみたいで。

「梨子ちゃん――」

「別に未練があるわけじゃない。もうどうでもいいの、千歌ちゃんの事なんて、正直軽蔑したから」

 梨子ちゃんはAqoursを続けなかった。
 だけどそれは千歌ちゃんの味方をしたからではない。

『みんなには感謝してる。おかげでピアノを弾けるようになったし。でもね、冷めちゃったの、スクールアイドルへの熱が』

 以前話していた言葉に、嘘偽りはなかったとおもう。
 梨子ちゃんの気持ちは離れてしまったのだ、スクールアイドルという舞台から。

「昔は千歌ちゃんの事、大好きだったよ。だけど今の千歌ちゃんは嫌い。周囲を、私を巻き込みながら、勝手に辞めて、全てを諦めてしまった千歌ちゃんは、大嫌い」

 口で語る以外にも、理由はあるのかもしれない。
 だけど私と梨子ちゃんは、そこまで深い仲ではないから。

「でも写真はね、どうしても捨てられないの。3人の大切な思い出だから」

 きっと梨子ちゃんにとって、千歌ちゃんと、みんなと過ごした時間は本当にかけがえのなかったのだろう。

 だからこそ、それが苦い思い出に変わってしまっても、捨て去れないんだ。

「決勝、もうすぐだよね」

「うん」

「頑張ってね。みんなが優勝できるように、影ながら応援してるから」

「うん」


 結局、私はあまり片付けを手伝うことなく帰った。

 机に置いてあった写真は、最後までそこに残ったままだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ラブライブの決勝は、圧勝だった。

 圧倒的なストーリー性。

 逆境に打ち勝った、仲間と離れ離れになりながらも、最後まであがいて手に入れた称号。

 普通に勝つのでは残せないレベルのインパクト、輝き。

 私たちは手に入れたのだ、それを。

 沼津に帰ると、私が真っ先に向かったのは、千歌ちゃんの家。

「千歌ちゃん、私たちは勝ったよ」

「曜ちゃん……」

 トロフィーを片手に現れた私を迎えた千歌ちゃんは、今までとは違い、自分を偽ることもできていない。

 泣きはらした痕が見える顔、荒れた室内。どんな様子だったのか、手に取るように分かる。

「決勝の動画、見てくれた? 会心のパフォーマンスだったんだよ」

 私は動画を見せる。あえてコメントが流れてくる仕様の動画を。

『5人になって、9人の時より良くなった』
『まるでプロのアイドルみたいに輝いている』
『センターが変わったのは大正解。前の子は地味で微妙だった』
『キラキラ輝いていて、引き込まれる』
『こんな子たちの通う高校へ行きたかった』

「あ、ぁぁ」

 泣きじゃくる千歌ちゃん。もう喋ることすらできそうにない。
 それでも私は続ける。

「千歌ちゃんが欲しがっていた輝き、私たちは見つけたよ」

 貴女がいないからこそ、見つけられた輝きだよ。

「学校には抗議が殺到して、もう意味はないのに、入学希望の問い合わせも来ているみたい」

 これができた? 千歌ちゃんに。

「千歌ちゃんと一緒にAqoursを辞めた3人もお祝いのメッセージをくれたんだよ。ちょっとうらやましいなんて言われたりもしたけどさぁ」

 可哀想だよねぇ。裏切り者、いらなかった子扱い。あんなに頑張ったのに、千歌ちゃんの所為で全部台無しにされちゃって。

「でも実際、みんな心配だよね。善子ちゃんね、教室でぼっちなんだって」

 ずっと一人だった子に、せっかく友達もできたのに、可哀想だよねぇ。

「梨子ちゃん、アイドルは辞めてピアノを続けるために東京に帰るみたいだよ」

 貴重な青春の無駄遣いになっちゃったのかな。

「果南ちゃんはね、学校辞めた後、海外で資格を取ってるんだよね」

 中卒だよ、最終学歴。このハンデを取り戻すのはそう簡単じゃないはずだよ

「みんな頑張ってほしいよね」

 今頃みんな恨んでるんじゃないかな、千歌ちゃんの事

「でも嬉しかったなぁ。みんな、私がセンターになって良かったなんて言ってくれて」

 つまり千歌ちゃんはいらなかったんだよね。

「千歌ちゃんのおかげだよ」

 千歌ちゃんがいなくなってくれたおかげだよ。

「千歌ちゃんが私を応援し続けてくれたおかげで、私は頑張れた、輝けたんだよ」

 大会が終わって、千歌ちゃんへの世間の目は厳しくなっている。

 廃校決定を喜んでいた、幼馴染を使って新しいAqoursの活動を妨害しようとした、スクールアイドルが好きではないのに、目立つためにやっていたetc.

 嘘と真実が、世間に都合のいいように混じり合っている。
 千歌ちゃんはもう、その偏見から逃れられない。

 でも大丈夫だよ。私はそれでも千歌ちゃんを見捨てないから

 私と千歌ちゃんの、歪な関係は終わらない。

 私に依存するしかない千歌ちゃんと、千歌ちゃんへの愛憎を深めていく私。

 沼津の高校でも、きっと私はAqoursを続ける。

 ルビィちゃんと花丸ちゃんと。もしかしたら他にメンバーが加わるかもしれないけど。

 続ける理由は、自分でもはっきりとはわからない。

 自分がアイドルをやりたいからか、ルビィちゃんや花丸ちゃんの為か、続けることで千歌ちゃんを手放さない為か。

 きっと全てが当てはまるのだろう。
 ただ一つ間違いないのは、続けることでそれらすべてが手に入るということ。
 自らの願望を満たし、後輩たちは喜び、千歌ちゃんは私から離れられない。

 それだけは、間違いない。

 私はかけがえのない物を手に入れたのだ


 高海千歌という、私の大切な幼馴染を。
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『夢の跡に咲いた花』へのコメント

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2018年5月26日
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