穂乃果「死んだ人達が歩いてる…」

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1: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:00:41.33 ID:Ek0+q9Ie
真姫「私の調べによると原因不明のウィルスによって死後、脳内の一部だけが機能して動き出したみたいね」

穂乃果「まるでゾンビみたいだね…」

真姫「私はこれをウォーカーと名付けたわ」

凛「ゾンビにゃ!ゾンビにゃ!」

真姫「ウォーカーよ」

花陽「ひぃぃっ…とんでもない世界になっちゃったね…」

穂乃果「治す方法はあるの?」

真姫「この数ヶ月で文明は滅んでしまったわ絶望的ね」

花陽「じゃあ私達…」

真姫「ただ生きながらえるしかないわね」

穂乃果「どこか無事な所があるかも…そこを皆で探そうよ!」

真姫「それはオススメ出来ないわ、隔離地域があったとしても私達がノコノコ近付いていけば感染の危険性があると思われて射殺されるはずよ」

穂乃果「そんな…」

真姫「それに他に私達みたいな生き残りが村や町を作っていたとしても、受け入れてくれるかは疑問だし」

凛「世紀末だにゃ~」

花陽「じゃあ、この病院に引き込もってるしかないの?」

凛「ここの非常食も飽きてきちゃったにゃ~」

真姫「その事なんだけど、ここも近々出ていかないといけないみたいね」

元スレ: 穂乃果「死んだ人達が歩いてる…」

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2: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:01:16.60 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「どうして!」

真姫「ウォーカーの数が増えてきているのにバリケードも簡単な物しか貼れてないじゃない。それにこれを乗り切っても、この病院は大きいし、いずれ略奪者達がやってくるでしょうね」

花陽「じゃあどうするの…?」

凛「こういう時の鉄板はショッピングモールにゃ!」

真姫「モールは一番危険よ、凛みたいなのが調子に乗ってピンチになったり噛まれたりするのが容易に目に浮かぶわ」

凛「凛がもし噛まれてもゾンビになるまでは殺さないでね」

真姫「ウォーカーよ」


絵里「みんな」

後ろから猟銃を持った絵里が現れる。

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「バリケードの確認をしてきたけど今日の夜は越せないわね。補強する道具も材料もないし、私達5人だけじゃ手におえないわ」

花陽「そんな…」

凛「あははは!」

真姫「なら牧場に行きましょう」

絵里「牧場?」

真姫「牧場主が知り合いにいるのよ、人里離れてるからきっとここより安全のはずよ」

凛「だと良いけどにゃ」

真姫「さっそく行くわよ」
4: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:03:04.45 ID:Ek0+q9Ie
~牧場~

真姫「着いたわ」

凛「ちょっと早くないかにゃ~?」

絵里「立派な牧場ね」

花陽「わぁ!田んぼもあるよ!」

穂乃果「アルパカもいるね」

絵里「まるで別の世界みたいだわ……あら?あそこに人が…」

絵里が警戒し猟銃に手をかけるが、真姫は「大丈夫よ」と制止した。

真姫「希!私よ!真姫!」

希「……?…あ!真姫ちゃんやん!どうしたんこんなところまで」

真姫「匿って貰いたくてね」

希「なに?なんか悪いことでもしたん?」

真姫「違うわよ、外の世界を見ればわかるでしょ」

希「?」

真姫「?」


にこ「ちょっとあんた達!何なのよ!」

奥の民家からやかましく小さい女の子が駆け寄ってくる。

希「あ!にこっち、この子はな?西木野さんのお子さんやで」

にこ「はぁ?西木野?」

睨み付けるように真姫の姿を見る。

にこ「ちょっとこっち来なさいよ!」

真姫「なによ、引っ張らないで」

にこ「何か余計な事、希に言ってないでしょうね?」

真姫「?」

にこ「希はね、外があんなことになってるなんて知らないの」

真姫「はぁ?意味わかんない」

にこ「わかんなくてもいいわ、とにかく外の様子は希に教えない事!わかった?」
5: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:03:38.09 ID:Ek0+q9Ie
真姫「なんでよ」

にこ「それが希のためだからよ」

絵里「あまり良い判断とは思えないわね」

絵里が二人の間に割って入る。

にこ「はぁ?誰よ、あんた…」

絵里「外の事なんて、いつか解ることでしょ?このまま待っていても世界が元通りに戻る事なんて絶対ないんだから」

にこ「うっさいわね!この牧場は私達の牧場よ!言うことが聞けないなら出ていってもらうわ!」

絵里「……そう」

絵里が静かに猟銃に手をかけようとするが、真姫が制止するように間に立つ。

真姫「わかったわ、言う通りにするからここに置いてちょうだい」

絵里「……」

真姫「おねがいよ」

にこ「ふん!西木野の子供だかなんだか知らないけど、ここに住まわせる以上は働いてもらうわよ!そこの生意気なロシア人も!そこの3人組も!」

絵里「……」

花陽「ひっ…」

凛(チビが意気がってるにゃ~)

穂乃果「わ、わかりました!」

にこ「さっそく来なさい!」
6: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:04:28.81 ID:Ek0+q9Ie
にこ「あんたがこのグループのリーダー?」

真姫「別に誰がリーダーとかないけど」

にこ「なら今からあんたがリーダーよ、何か問題起こしたら畑の肥料にしてやるんだから!あんたが統率しなさい!」

真姫「……」

軽く絵里の方を見るが当人は無表情でどこか遠くを見つめていた。

真姫「わかったわよ」

にこ「なら本題に入るわよ、正直言ってこの人数を養えるほど食料も豊かではないわ」

凛「あんなに広いのに~?」

にこ「言い方が悪かったかしら?無償で振る舞うほどお人好しじゃないの」

真姫「ええ、理解してるわ」

にこ「うちに住まわせる条件に牧場の整備と警備、食料に関しては物資と交換か自分達で狩りをしなさい」

凛(めんどくさ~)

にこ「でも畑仕事を手伝ってくれるなら、お米くらいなら分けてあげても───」

花陽「お米!」

にこに詰め寄るように花陽が飛び出してくる。

花陽「やります!私、手伝います!」

にこ「近いわね!離れなさいよ!」

凛「かよちんはお米に目がないんだにゃ」

花陽「ごっごめんなさい!」

にこ「まったく卑しいわね……この条件でいい?嫌なら出ていってもらうだけだけど!」
8: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:05:08.95 ID:Ek0+q9Ie
真姫「わかったわ、その条件でオッケーよ」

にこ「なら早速──」

絵里「なら私は狩りに行ってくるわ」

にこ「割り込むじゃないわよ!」

絵里「ふふ、そこのおちびちゃんの手伝いは貴方達に任せるわ」

にこ「誰がチビよ!」

穂乃果「絵里ちゃん…一人は危険だよ私もついてく」

絵里「好きにしなさい、来てとも来るなとも言わないわ」

穂乃果「…うん」

猟銃を背負った絵里は山の中に消えていく、穂乃果も走ってその後をついていった。

にこ「ふん!なによあいつ!絶対トラブルの種だわ」

真姫「大丈夫よ、迷惑はかけないわ」
9: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:05:47.86 ID:Ek0+q9Ie
にこ「ぬわにぃが迷惑はかけないよ!」

クワを壊した花陽を怒鳴り付けるように言う。

花陽「ごめんなさい!」

凛「あははは!」

後ろでは飼育小屋から逃げ出したアルパカと追いかけっこに興じる凛がいた。

にこ「余計な仕事ばかり増やしてくれて!どんだけ不器用なのよあんた達!」

真姫「最初は誰だってミスをするわ、大目に見てちょうだい」

にこ「あんたが言う台詞じゃないのよ!自分の立場がわかってないの?」

希「まーまー、にこっち」

後ろからゆっくりと希が近寄ってくる。

希「お客様なんやから、もてなさなあかんよ?」

にこ「希!あんたは黙ってなさい!」

希「怒鳴らんといてよ、うち悲しい気持ちになるわぁ…」

にこ「ふん!とにかく逃げたアルパカを小屋に戻しなさい!壁と屋根のある場所で寝たかったらね!」

花陽「はい!」
10: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:08:38.63 ID:Ek0+q9Ie
~山中~

絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん…あんまり奥まで行くと迷っちゃうよ」

絵里「誰が?」

穂乃果「えぇ?」

絵里「…穂乃果、生き抜く気があるなら観察力を磨きなさい、太陽の位置で自分がどの方角に進んでるかくらいわかるでしょ」

穂乃果「えぇっと…」

絵里「ついてくるのは勝手だけど足は引っ張らないでね」

穂乃果「……うん」

絵里「……」

穂乃果(最近、絵里ちゃん厳しいな…もう昔みたいには戻れないのかな…)

絵里「……」

穂乃果「……ねぇ、絵里ちゃ──」

絵里「静かに!」

突然、口を手で塞がれる、険しい顔の絵里の視線の先を見ると。

穂乃果(…人?)


千歌『まだ歩くの?果南ちゃん』

果南『う~ん、もうじき牧場が見えてくるはずなんだけどな~』


絵里(牧場に向かってるの…?不味いわね…)

猟銃を二人の人影に向け背の高い方に狙いを定める。

穂乃果「絵里ちゃん!何やってるの!」
11: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:09:41.50 ID:Ek0+q9Ie
絵里「黙りなさい」

穂乃果「ダメだよ!あれは生きた人間だよ!」

絵里「………」

躊躇なく引き金に指をかける。
本気で撃つ気だとわかり穂乃果は大声で二人の人影に声をかける。

穂乃果「危ない!逃げて!」

『!?』

絵里「っ穂乃果!貴方ねっ…!」

穂乃果の声を聞くと二人は素早く別れて別々の木に隠れていた。

絵里(……よくないわね…こういう状況は)


果南「なんだ!あんた達!」

穂乃果「奥の牧場の人間です!」

果南「牧場の?…隣の金髪に銃を下ろさせろ!」

穂乃果「わかりました!絵里ちゃん…」

絵里「お断りよ」
12: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:10:21.01 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「そんな!人間同士だよ!」

絵里「だからよ、死人よりも厄介だわ」

果南「私達は別に危害を加えるつもりはない!」

絵里「どうかしらね?」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里は銃口を木に隠れている橙色の髪の少女に向ける。

絵里「貴方の相棒ちゃん素人ね!ここから丸見えで、すぐにでも撃ち殺せるわよ!」

千歌「ひゃ!」

果南「待て!やめろ!」

穂乃果「ダメだよ!」

果南「わかった!ここから立ち去るから…物資も置いてく…だから」

絵里(信用できないわ、ここで帰したら集団で攻めてくるかもしれない)

果南「ここで殺しあっても、お互い損するだけだ!」

絵里(でもここで始末しても、こいつらの仲間が探しに来るかもしれないわね…)

穂乃果「同じ人間同士だよ!話し合おうよ!」

果南「そうだ!同じ人間同士だ!」

絵里「黙りなさい!」

穂乃果「……うぅ」

果南「……っ」
13: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:11:03.16 ID:Ek0+q9Ie
絵里(…まるで1対3ね、厄介だわ)


絵里(一先ず…穂乃果を納得させるしかないみたいね)



絵里「………二人を牧場に連れていくわ」

穂乃果「え、絵里ちゃん…!」

絵里「彼女達と話し合いをしてあげる、だけど条件があるわ」

穂乃果「条件?」

絵里「穂乃果、あの二人を縛りなさい。それが牧場に連れていく条件よ、皆が危険になるかもしれないのはわかるでしょ?」

穂乃果「う…うん!そうだよね……わかったよ!」

絵里「………」
14: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:12:02.77 ID:Ek0+q9Ie
~納屋~

凛はアルパカに股がりながら気味の悪い納屋を見つける。

凛「これは何の小屋かにゃ~?」

アルパカ「……」

凛「中からうめき声みたいなのが聞こえるにゃ…お前の仲間かにゃ?」

アルパカ「フーン」

凛「あそこに窓があるにゃ、お前ちょっとあそこにつけろにゃ」

アルパカ「フーン」

アルパカの上に立ち窓から納屋の中を見る。

凛「ふーん」

アルパカ「……」

凛「ゾンビがたくさんいるにゃ~飼ってるのかにゃ?」


にこ「ちょっとあんた!!何やってるの!」

にこが遠くから慌てふためいたように駆け寄ってくる。

にこ「見たの!納屋の中!?」

凛「まぁ見たっちゃ見たかにゃ~」

にこ「あんた、この事は内緒にしなさい。誰にも言っちゃダメよ」

凛「なんで~?」

にこ「ここにいたかったら絶対内緒にするのよ!わかった?」

凛「ふーん」

花陽「あっ!凛ちゃん!こんなところにいたの?」

凛「あっ!かよちんだー聞いて聞いて!この中にゾンビがいっぱいいるんだにゃ!」

花陽「えぇぇ!」

にこ「あんた!私の話聞いてたの!」

凛「凛、嘘はつけないんだにゃ~」

にこ「黙っとけば良いだけでしょ!」
15: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:13:07.00 ID:Ek0+q9Ie
~牧場~

希「にこっちがごめんな?」

真姫「別に平気よ、お世話になるんだし」

希「前はあそこまで怒りっぽくはなかったんやけどな」

真姫「そう」

希「病気が流行り出してからかな、ああなったのは」

真姫「…病気?」

病気とは何の事か聞こうとしたが希が何かに気付いたように一点を見つめていた。

真姫「?」

希の視線の先を見ると牧場の入口付近に人影が見える。

真姫「絵里かしら…」

希「あっ病気の子や」

真姫「えっ?」

希は特に警戒することなく近付いていく。真姫もその後に続きその人影を視認すると……

真姫「ウォーカー!」

希「最近、多いんよね。流行り病なんやって」

真姫「あなた、知ってるの?」

希「うん?病気なんやろ苦しくて徘徊しだす」

真姫「……?」
16: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:13:51.01 ID:Ek0+q9Ie
希「この子もあの納屋に閉じ込めておかんとな」

真姫「閉じ込める?」

希「にこっちがいつか治るから、それまで閉じ込めておかなあかんって」

真姫「……治るって、もう彼等は死んでるのよ?」

希「?死んどったら歩き回れるわけないやろ?何言っとるん?」

希はとても不思議そうな顔をしていた。

真姫(……そういうことね)

希「さて、連れていかんと」

まるで友達を抱き締めるようにウォーカーに近付いていく希を見てぎょっとした。

真姫「ちょっと!あんまり近寄っちゃダメよ」

希「真姫ちゃん!そんなこと大きな声で言ったらあかんよ?あの子傷付いちゃう」

真姫「えぇっと…そうじゃなくて…接触感染しちゃうから」

希「そうなん?」

真姫「今まで運んだ経験はないの?」

希「全部にこっちがやってくれたからな」

真姫「…私がやるわ丁度良い棒みたいなのない?」

希「そこにピッチフォークならあるけど」

真姫「?」

希「牧草とかかきあつめたりする農具。イラストで農夫がよく持ってるやつよ」

真姫「あぁ…あれね」
17: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:14:49.59 ID:Ek0+q9Ie
~納屋~

花陽「こんな所にウォーカーがいるなんて聞いてません!」

にこ「教える義務なんてないでしょ?」

花陽「どれだけ危険かわかってないんですか!」

にこ「文句があるなら出て行けばいいでしょ!突然やってきてうるさいのよあんた達!!」

凛「あっ!絵里ちゃんだ」

にこ「げっ…」

花陽「絵里ちゃん!聞いてください、この納屋に!」

にこ「ちょっと黙りなさいよ!」

絵里「どうしたの…?揉め事かしら?」

にこ「あんたには関係ないわ」

絵里「だと良いのだけど」

凛「あれ?その二人は誰にゃ?」

絵里から少し遅れて手を拘束されている二人組とそれを先導する穂乃果が見えた。

絵里「後で話すわ、とりあえず監禁しないといけないの」

穂乃果「監禁!?」

絵里「そこの納屋を借りても良いかしら?」

にこ「良いわけないでしょ!」

穂乃果「監禁ってどういうこと?絵里ちゃん」

絵里「そう、なら別にここじゃなくてもいいから人間二人閉じ込められるスペースをお借りしたいんだけど」

にこ「そんな物騒な事に協力出来ないわ!いったい何するつもりよ」
18: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:16:03.33 ID:Ek0+q9Ie
絵里「二人には質問にいくつか答えてもらいたいのよ、正確にね?」

にこ「あんた…拷問でもするつもり?」

穂乃果「!?」

果南「ちょっと待ってよ!本当に私達は危害なんて加えるつもりなんてないんだって!」

絵里「喋って良いなんて言ってないわよ」

穂乃果「やめてよ!絵里ちゃん!」

絵里「急いでるの、そこの納屋をお借りするわ」

にこ「ダメって言ってるでしょ!」

凛「あの納屋、ゾンビがいるから開けない方が良いよ」

絵里「……どういうこと?」

花陽「あの中にウォーカーを匿ってるんです!この人達おかしいんですよ!」

にこを指差しながらそう叫ぶ。

にこ「失礼な連中ね!もう出ていって!耐えられないわ!」

絵里「………」

絵里は納屋に近付き中の音を聴く。
何かのうめき声が10体以上は確認出来た。

納屋をノックすると凄まじい勢いで扉が揺れる。
ドンドンと今にも突き破られそうだった。

花陽「きゃー!」

凛「あははは!」

千歌「あっあぁ…」

果南「中にバイターがいるのか!」

穂乃果「……!」

取り乱したように果南は穂乃果に詰め寄った

果南「ちょっとどういうことだよ?私達をあの中に閉じ込めるつもりなのか?」

穂乃果「ち…違います…えぇっと……」

果南「君はまともなんだよな?仲間を説得してくれ!千歌だけでもいいから助けてくれないか?頼む!」

穂乃果「おっ…おち…ついて」
19: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:17:28.45 ID:Ek0+q9Ie
希「なんや、皆して騒がしいなー」

険悪とした雰囲気を和ますような声がして、その場の全員が振り返った。
しかし、そこでもっと恐ろしい光景を目の当たりにする。

絵里「真姫、何をしてるの…」

ウォーカーを棒で抑えながら自分の体を餌のようにして誘導している真姫の姿だった。

絵里「真姫!」

真姫の元に駆け寄り問い詰める。

絵里「何をしてるの?質問に答えなさい!」


果南「うわぁぁっ!今ここでやるのか?あいつに私達を食わせるのか?」

穂乃果「違います!落ち着いてください」

千歌「いやぁ!!なんでこんなことに!」

果南「お願いします!千歌だけでも良いから!私はどんな目にあってもいいから」

絵里「真姫!」

絵里は真姫が連れてるウォーカーに銃口を向ける。

希「ちょっとあんた、そんなもん人に向けたらあかんで?」

絵里「人?これが人間だって言うの?生きてる人の姿だっていえるの?」

銃口をウォーカーの左腕に向け容赦なく撃った。
後ろにふっ飛んでいく左腕の肉塊。

希「なにしてんの!」

にこ「ちょっと!希の前でやめて!」

絵里「よく見なさい!」

今度は右腕に発砲する。

真姫「絵里、やめなさい!」

今度は左足に向けて発砲した。

希「あっ…あっ」

にこ「希!見ちゃダメ、見ちゃダメよ」

ウォーカーは頭部、胴体、片足だけになっても真姫に喰らいつこうとあがいていた。
20: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:19:04.06 ID:Ek0+q9Ie
絵里「こいつらは生きてなんかいないわ」

最後に頭へ1発ぶちこんで止めを刺す。

絵里「あの中にいる連中もね」

希「あぁ…」

にこ「希…大丈夫よ…大丈夫だから…」

絵里「凛!その納屋を開けなさい!」

凛「いいのかにゃ~?」

絵里「始末しないと安心して眠れないでしょ」

凛「たしかに~」

絵里「花陽も手伝って」

花陽に拳銃を渡す。

花陽「えぇ!わ、私…銃なんて」

絵里「これから必要になる事よ、練習だと思いなさい」

凛「開けるよ~!」

納屋の扉の鍵を開けると勢いよくウォーカーが飛び出してきた。

千歌「いやぁぁ!」

果南「千歌!大丈夫だ…私が…私が守るから」

花陽「こっちにこないで!」バンッバンッ

凛「あははは!お祭りみたいだにゃ!」

アルパカ「フーン」

絵里「よく今までこんなのの近くで平然と暮らせてたわね」

希「……」ガタガタ

にこ「もうやめてよ!」

真姫「絵里!わざと見せつけなくたって良いでしょ!」

絵里「そう?ならやめるわ」

真姫「なっ…」

絵里「ほらどんどん近付いてくるわよ?貴方達の事を食べたがってるみたい」

希「……ぅう!」ガタガタ

にこ「あんたね…!」

絵里「これが今の現実よ」
21: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:20:09.77 ID:Ek0+q9Ie
ウォーカーを殲滅した後、空になった納屋に余所者の二人を縛り付けた。

絵里「さて、話し合いましょうか?」

穂乃果「絵里ちゃん…暴力は許さないよ」

絵里「穂乃果、居ても良いけど邪魔はしないでね?」

果南「頼む…千歌だけでも…」

絵里「それは貴方次第よ」

凛「なんか面白そうな物が見れそうだにゃ~」

アルパカ「フーン」

絵里「なぜ牧場を目指してたのかしら?」

果南「新しい仲間を探しに来たんだ…」

絵里「仲間?」

果南「…そう、私達は町を再興してそこで暮らしてるんだ」

穂乃果「町…?」

果南「良いところだよ、こんな世界になってしまったけど、あの中だけは平和なんだ…」

絵里「それは凄いわね」

果南「そうなんだ!食事だって毎日食べれる、バイターに怯えなくてもいい、素晴らしい町なんだ!」

絵里「そう、でもこの世界でそんな暮らしするには相当な物を毎日奪わないといけないわね?」

果南「そ、そんなことは!」

絵里「してないわけないでしょ」ガチャッ

銃口を果南に突き付ける。

穂乃果「絵里ちゃん!」

果南「……そ、れはやるさ!そうしないと皆が暮らしていけないんだから…」
22: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:21:03.66 ID:Ek0+q9Ie
絵里「そうよね」

果南「でも襲うのは犯罪者のグループだけだ!善良なグループを襲って奪ったりはしてないよ!物資調達も基本は人がいない所しか狙って…」

絵里「どうかしらね」

千歌「私達は本当に、皆さんを襲うつもりなんてないんです!」

絵里「………」

果南「信用できないならさ?牧場はバイターに占拠されてたって事にするからさ?そういえば誰もここには来ないよ」

絵里「あら、それは助かるわ」

果南「なら!」

絵里「でも本当にそう報告するとは限らない」

果南「するって!本当に誓うから!」

絵里「貴方を解放したって、ここで殺したって抗争になる」

果南「そうならないように上手くするから……」

穂乃果「信じてあげようよ!」

絵里「黙ってなさい」

穂乃果「だってそれしかないじゃん!戦いが始まらない道は」

絵里「………」


絵里(…戦いが始まれば私達に勝ち目はないでしょうね)

絵里(でもこの二人から情報を聞き出して、さらにこの二人を人質にすれば)

絵里(勝機はあるかもしれない)
24: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:23:30.09 ID:Ek0+q9Ie
絵里「凛!」

凛「ん~?にゃに?」

絵里「穂乃果をここから追い出してくれる?」

凛「穂乃果ちゃんを?あっひょっとして拷問でも始めるのかにゃ?」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「………」

果南「待ってくれ!私はどうなっていいから……千歌にだけはチャンスを与えてくれないか?」

千歌「果南ちゃん…そんなの…」

絵里「彼女が大切なのね」

果南「そうだ、妹みたいな存在で……大切な家族なんだ…だから」

絵里「そういうのは弱味になるのよ?」

銃口を今度は千歌に向ける。

千歌「あっ…あぁ…!」

果南「やめて!!やめてぇぇ!!!」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里の体が穂乃果に吹っ飛ばされ倒れていく。

絵里「っ!……穂乃果…!」

穂乃果は絵里が今まで持っていた猟銃を構えていた。

穂乃果「銃を持ってる人に従うんだよね、こういう世界じゃ」
25: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:24:46.37 ID:Ek0+q9Ie
~牧場の家~

真姫「大丈夫?希は」

にこ「あんた達のせいで滅茶苦茶よ!いつ出ってくれるのかしら!」

真姫「それは困るわ、出ていく訳にはいかないの」

にこ「はぁ?あんたいったいどういう神経してんのよ!あんな事しといてよく居座ろうと思えるわね?」

真姫「皆で協力しましょう」

にこ「出来るわけないでしょ!」

花陽「あははは!」

突然、笑い声をあげる花陽。
さっきから時折銃を構えたりしては笑ってばかりいた。

花陽(銃を撃つ感覚…!あんなに素晴らしい物だったなんて!)

にこ「……なによあいつ」

真姫「……」

にこ「とにかく!今日中に出ていってもらうから、まだ時間も15時くらいだし日が沈むまで時間もあるわよ」

絵里「それは困るわね」

突然聞こえた声の主に、にこの怒りは爆発寸前だった。

にこ「っ!元はといえばあんたがね!」

振り返ると絵里に銃口を突き付けた穂乃果が目に入る。

真姫「…穂乃果?」

にこ「…なに?今度は仲間割れ?……お願いだから他所でやってよね」

花陽(穂乃果ちゃんも銃の魅力に気付いたのかなぁ?)

絵里「穂乃果から話があるそうよ」
26: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:26:08.66 ID:Ek0+q9Ie
牧場にいる人間を全て集めて、これからどうするべきか話し合う場所が設けられた。

穂乃果「穂乃果はこの二人を解放してあげるべきだと思う」

絵里「危険よ」

穂乃果「信じようよ!」

凛(綺麗事ばっかだにゃ~)

穂乃果「それが一番上手くいくんだよ?誰も傷付かない」

絵里「そいつらが約束を守ればね」

果南「守るよ!」

絵里「私に考えがあるわ」

穂乃果「聞きたくない!」

絵里「そう、なら凛は何か意見ある」

凛「えぇ?凛は面白い方で良いにゃ~」

絵里「じゃあ私の意見に賛同しなさい」

凛「いいよー」

穂乃果「凛ちゃん!」

絵里「花陽、あなたは?」

花陽「皆さんの考えはわかりませんが、もし殺すのに躊躇しているのなら、この場でその二人を私が始末しても良いですよ」ガチャッ

悪意もなく果南に銃口を向ける花陽。
それを制止するように穂乃果が花陽に銃口を突き付ける。

穂乃果「やめて」

絵里「花陽、今殺すのはダメよ」

穂乃果「今じゃなくたってダメだよ!」

絵里「他のお三方はどう思うのかしら?」

にこ「状況が全く飲み込めないわね、とにかくそこの二人もあんた達もこの牧場から出ていって、私達は関係ないわ」

希「………」

絵里「だから、それは困るのよ。お互いにね」
27: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:27:24.21 ID:Ek0+q9Ie
にこ「にこ達に困る要素なんてないわよ!」

絵里「もうすぐここで戦争が始まるのよ」

にこ「はぁ?戦争ですって!」

絵里「これは私達がここに来てようと来てまいと起こってた事よ、そして私達が来てなかったらそこの二人に殺されてた」

果南「そんなつもりないって!」

にこ「物騒な連中ばっか!もうどうでもいい!私達の家から出ていって!」

穂乃果「話を聞いて!二人を開放したら戦争は始まらないんだってば!」

絵里「保証がないって言ってるでしょ」

にこ「にこは誰も信じない!出ていって!」

真姫「出ていきましょう!」

今まで黙っていた真姫が大声を出す。

穂乃果「えっ?」

真姫「出ていきましょう。希達も一緒に」

にこ「はぁ?にこ達も?冗談じゃないわよ」

絵里「だったらここで、あいつらの仲間に犯されるのを黙って待ってなさい」

果南「そんなことしない!」

凛「出ていこうなんて、急にどうしたんだにゃ?真姫ちゃん」

真姫「安全じゃない場所に長居する理由がないじゃない」

凛「まぁそうだけど」

真姫「誰も傷付かないしね?」

穂乃果「真姫ちゃん…」
28: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:28:26.53 ID:Ek0+q9Ie
絵里「宛はあるのかしら?」

真姫「この地域の地図はあるかしら?」

にこ「あるわよ」

真姫「見せてもらっていい?」

にこ「地図ごとあげるから今すぐ出ていってちょうだい」

真姫「貴方達も一緒に行くのよ」

にこ「嫌だって言ってるでしょ!」

凛(騒がしいにゃ~)

凛が退屈そうにしてると、ふいに袖を引っ張る感触がした奴だ。
そちらを見てみると先程のアルパカがこちらを見ている。

アルパカ「フーン」

凛「お前まだいたのかにゃ」

アルパカ「フーン」クイクイ

凛「こっちに来いって?なんにゃ~もう」

アルパカについていき家の外を見ると牧場に一人人影が見えていた。
29: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:29:19.18 ID:Ek0+q9Ie
凛「外にお客さん来てたよ」

絵里「なんですって?」

にこ「客?」

果南(……まさか)

絵里「……貴方のお仲間かしら?」

果南「さぁ…わかんないけど…」

絵里「とぼけないで」

果南「…たぶん納屋のバイターを殺したときの銃声を聞き付けたんじゃないかな……」

絵里「近くに仲間がいたのね、どうして黙っていたの」

果南「待って、今私達に何かあったら本当にまずいから」

絵里「はぁ?」

果南「皆が酷い目に合わされちゃうってこと…」

絵里「合わすつもりなんでしょ?」

果南「そうじゃなくて、平和的解決を私は」

絵里「さっきから何を焦ってるの?」

千歌「皆、殺されるって言ってるんだよ!」

急に大声を出し全員から注目を集める。

千歌「ダイヤちゃんが……私達のリーダーが助けにきた…」

絵里「ダイヤ…」

凛(まさか本名かにゃ?)

千歌「ダイヤちゃんは仲間のためなら手段を選ばない人だよ……幸い私達は傷1つ付いてないから何とか平和的に解決出来ると思う…」

絵里「思う?」

千歌「……絶対に平和的に解決します」
30: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:30:13.38 ID:Ek0+q9Ie
絵里「信用できないわね悪いけど人質になって貰うわ」

果南「洒落になんないってそんなことしたら…」

絵里「花陽、その二人を連れて外に出るわよ」

穂乃果「何するつもり!」

絵里「交渉するのよ」

果南「えーと、穂乃果ちゃんだっけ?その人を止めて…穏便にすませないと不味いことに…」

絵里「さっきからよく喋るわね」

穂乃果「二人を解放しよ?上手く話をつけてくれるって言ってるし」

絵里「そんなの信用できないわ、花陽準備なさい」

穂乃果「銃を持ってるのは私なんだよ!」ガチャッ

絵里に銃口を突き付けた。
それでも絵里は眉1つ動かさずに花陽に合図を出す。

絵里「撃てないわよ、貴方には」

鼻で笑うように言うと腰に手をやり拳銃を取り出した。

穂乃果「銃…もう一丁持ってたの?」

絵里「花陽はそっちの小さい子をお願い。私はこっちを連れていくわ」
31: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:31:36.54 ID:Ek0+q9Ie
~牧場~

ダイヤ「遠くで銃声が聴こえたので来てみましたが、果南さん達は無事でしょうか…」

ダイヤ「もし彼女達に何かあったら…」ブルブル

ダイヤ「あの家にいるのかしら?しかし、敵が潜んでいる危険もありますし…」

ダイヤ「あら?誰か出てきましたわ」

~~~

絵里「…あれがダイヤ?」

果南「うん、そうだよ銃は隠した方が良い…」

絵里「黙ってなさい」ガチャッ

果南「あーあ…」

~~~

ダイヤ「果南さんと千歌さんが捕まってる……銃を突き付けられてる!何て事…」

ダイヤ「あぁ!あの疲れきった顔、乱暴されたに違いありませんわ…」

ダイヤ「許せない…私の仲間に…」ブルブル

ダイヤ「銃を持った相手には交渉の余地はありません」

ダイヤは片手で何らかの合図を送る。

~~~

果南「あれは…」

千歌「伏せて!」

直後、家の左側に鉄の塊突っ込んでくる。それは家の壁を破壊して中で爆発した。
32: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:32:48.94 ID:Ek0+q9Ie
絵里「普通いきなり撃ってくる?」

花陽「そんなことより絵里ちゃん、あの二人逃げてくよ?始末する?」

絵里「家の中に隠れなさい。どこから狙われてるか、わからないわよ」


~半壊した室内~

にこ「なんなのよ!いきなり!」

凛「死ぬかと思ったにゃ…」

真姫「げほっげほっ」

絵里「皆、無事?」

にこ「無事じゃないわよ!」

穂乃果「絵里ちゃんのせいだよ、こうなったのは!」

絵里「今はそれどころじゃないわ」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「今する話じゃないって言ってるの!この家は隠し通路的な何かない?」

にこ「あるわけないでしょ!ここを何だと思ってるのよ!」

希「……地下通路があるよ」

にこ「な、なによそれ!私、知らないわよ」

希「……教えへんかったからな」

絵里「どこにあるの?」

希「…台所の床下収納、中に入って左の棚を倒してみ」

絵里「わかったわ、行くわよ急いで!」

希「………」
33: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:33:37.62 ID:Ek0+q9Ie
絵里「貴方も急ぎなさい!」

希「…うちはここに残るよ、生まれ育った家やもん…死ぬときも一緒や」

にこ「………希」

絵里「…………そう」

穂乃果「ちょっと待ってよ!見捨てるの?」

絵里「自分の事は自分で選ぶべきよ」

希「にこっちも行き…」

にこ「は?なんでにこが出ていかないと行けないのよ!」

希「にこっち」

にこ「私もここに残るわ」

希「あかんよ」

にこ「私が決める事よ!指図しないで!」


~牧場~

果南「ダイヤ!」

千歌「やりすぎだよ!」

ダイヤ「あぁ!お二人とも無事でしたか?酷い目には合わされませんでしたか?」

果南「合わされてないって」

千歌「良くしてくれたよ」

ダイヤ「銃を突き付けるような人達に良くしてくれたわけないでしょう!」

果南「本当に何もなかったって」

千歌「良い人達だったんだから!」

ダイヤ(……これはストックホルム症候群?)

果南「ダイヤ?」

千歌「私の話を聞いて」

ダイヤ(そこまで追い詰められたなんて…)

千歌「あのね…」

ダイヤは千歌の言葉を聞かず、家に歩いていく。

ダイヤ(私の手で全員始末しますわ)
34: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:34:53.27 ID:Ek0+q9Ie
~半壊した室内~

穂乃果「二人を置いていったり何て出来ないよ!」

にこ「別にそこまでの仲じゃないでしょ」

穂乃果「目の前で死のうとしてる人を見捨てて行くなんて出来ないでしょ!」

にこ「うるさいわね」

絵里「私はもう行くわ、時間がないもの」

穂乃果「……そうすれば、穂乃果もここに残る」

にこ「はぁ?」

絵里「………」

希「皆、はよ行き…にこっちも…穂乃果ちゃんも…」

にこ「なんでよ!」

穂乃果「貴方と一緒じゃなきゃ行けません」

絵里「………穂乃果!」

ダイヤ「おじゃましますわ」

ドアを勢いよく蹴り飛ばして一人の人影が乗り込んでくる。


絵里は咄嗟にダイヤに向けて拳銃を構えるも左胸に強い衝撃を受けて倒れてしまう。


絵里「…ッ!」

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里(……撃たれた…?一瞬で…急所を…)

防弾チョッキを着ていたので致命傷にはならなかったが、骨にヒビくらい入っているかもしれない。
35: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:35:46.25 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「やめてください!」

応戦しようと穂乃果がダイヤに銃口を向けるも、それを掴まれ後ろに押し倒されてしまう。
ダイヤは倒れた穂乃果を見ながら後ろにいる花陽に向けて拳銃を向ける。

絵里「花陽!伏せなさい!」

花陽「ッ!!?」

咄嗟に伏せて助かったが、あのままだったら額に風穴が空いていただろう位置に弾道の軌道が見える。

凛(もう滅茶苦茶だにゃ)

アルパカ「フーン」


果南「ダイヤ!」

千歌「やめて!」

蹴り飛ばされた扉から二人が入ってくる。

ダイヤ「離しなさい!」

二人がダイヤを羽交い締めにする。

果南「今のうちに逃げろ!」

千歌「急いで!」
36: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:36:31.88 ID:Ek0+q9Ie
一行は転がるように台所へ駆け込む。

絵里「この中ね!」

床下収納の中に絵里、凛、花陽は滑り込むように入っていった。

希「ちょっと離してって」

穂乃果「ダメです、一緒に行かなきゃ!」

にこ「勝手に決めるんじゃないわよ!」

希「真姫ちゃん、この二人連れてさっさと行き」

にこ「だから私は行かないってば!」

穂乃果「真姫ちゃん!この二人引きずっていくの手伝って!」

希「聞き分けのない子らやな」

穂乃果「聞き分けのないのはどっちですか!」

真姫「穂乃果、本人の意思を尊重すべきよ」

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「こんな世界だもん、死に方くらい自分で決めたって良いじゃない」

穂乃果「良くないよ!……来てくれないなら私はここでこの二人を守る!」

希「あんたも死ぬわよ」

穂乃果「それでもいい!」

希「……」

真姫「なら、私も付き合うわ」

希「……ちょっと」

穂乃果「真姫ちゃん…!」

にこ「ふん、バカばっかね」

穂乃果「私が皆を守る!」

希「…………あーもう!」
37: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:37:30.19 ID:Ek0+q9Ie
ダイヤ「どこにいったんですわ?」

確かに台所の方へ逃げて行ったのだが、形跡がここで消えてる。

ダイヤ「窓や扉から出ていった様子もありませんし」

辺りを見回しても、隠れられるような場所もない。

ダイヤ「……」

床に敷いてある小さなキッチンマットに目が行く。
それを剥がしてみると床下収納の扉が現れた。


~牧場郊外の車内~

凛「間一髪だったにゃ~」

アルパカ「フーン」

凛「お前もついてきたのかにゃ」

3列シートの車に7人と1匹の大所帯で車は走り出す。
38: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:38:12.06 ID:Ek0+q9Ie
にこ「今日は散々な日よ」

絵里「これからよ、もっと大変な目にあうのは」

にこ「はぁ、ついて行くんじゃなかった」

穂乃果「皆で力を合わせれば平気だよ!」

にこ「冗談でしょ、合わせられる気がしないわ」

希「………」

真姫「希、怪我してるじゃない。見せて」

希「………お礼は言わないよ」

真姫「良いわよ別に」

花陽(撃たれた瞬間…とってもスリリングでした…あれが殺し合い…)フフフッ

絵里「これからどこに向かえばいいのかしら?」

真姫「このまま真っ直ぐ行きましょう」

穂乃果「何かあるの?」

真姫「刑務所があるみたいよ」

にこ「はぁ?刑務所?」

絵里「なるほど、もし占拠できれば一番安全かもしれないわね」

にこ「刑務所で暮らすなんてごめんよ!」

絵里「ならここで降りなさい」

穂乃果「絵里ちゃん!」

凛「うるさいにゃ~」

アルパカ「フーン」

車は刑務所に向けて走り続けている。
この先どんな運命が待っているのか誰もわからないまま。

真姫(それでも生きていくしかないのよね)

外を見て草原を一人歩くウォーカーを見ながら思った。

真姫(この世界で…)
39: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:44:48.50 ID:Ek0+q9Ie
~刑務所~

牧場の件から数日後、途中で空き家に泊まりつつ一行は刑務所に辿り着いていた。
四方を壁で覆われた刑務所の数少ない扉の鍵をこじ開け中に入り込む。

にこ「ピッキングなんてどこで習ったのよ」

絵里「どこでもいいでしょ」

真姫「ウォーカーはいるけど、牢屋に入ってるし思ってたより安全みたいね」

絵里「始末する?」

真姫「鉄格子は破れないだろうしほっときましょう、襲撃された時は奴等を使って足止めにも使えるだろうし貴重よ」

凛「ほれほれ~」

凛が牢に閉じ込められてるウォーカーに自分の手を餌のようにしておちょくっている。

穂乃果「凛ちゃん!ふざけないで!」

絵里「ひとまずはこの錬の最上階に居住スペースを建てましょう」

真姫「そうね」

絵里「その階のウォーカーは全て始末するわよ」

真姫「構わないわ、流石に一緒には寝たくないし」

花陽「花陽も手伝います!」ガチャッ

絵里「頼りにしてるわ」

にこ「なんで、にこがこんなところに…!」
40: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:45:52.00 ID:Ek0+q9Ie
~最上階~

絵里「静かね」

花陽「ウォーカーはいないみたいですね」ガッカリ

絵里「……妙だわ」

凛「どうしたのかにゃ?絵里ちゃん」

絵里「皆、警戒して」

にこ「どうしたのよ急に」

絵里「…………」



海未「ていやあぁぁ!!」

壁の影から突然、日本刀を持った長髪の女が斬りかかってきた。

絵里は咄嗟に猟銃で受け止め、脇腹に蹴りを入れる。
床に倒れ込んだ海未に猟銃を突き付けようとするが穂乃果に制止される。

穂乃果「絵里ちゃん…」

絵里「………花陽!」

絵里に声をかけられると花陽は素早く拳銃を構え海未に標準を合わす。

穂乃果「花陽ちゃんもやめて!」

海未を庇うように穂乃果が立ち塞がる。
その背後で海未は落とした日本刀を拾い構えていた。
穂乃果は軽く振り返り「やめて…?」と諭すように訴える。

海未「………」

訴えが通じたのか、分が悪いと悟ったのか日本刀を鞘にしまう海未。

その瞬間、凛が海未の顔に蹴りをいれた。

凛「おりゃー!」

海未「っ!」

穂乃果「凛ちゃん!貴方は何がしたいの!」
41: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:46:44.97 ID:Ek0+q9Ie
ことり「何してるの!あなた達!」

奥からショットガンを構えた女が現れる。

穂乃果「おっ落ち着いて!皆で話し合おうよ!」

ことり「海未ちゃんを離して!」

穂乃果「大丈夫だから!」

穂乃果はゆっくりと海未を見ながら「あの子の所に行っていいよ」と語りかける。

海未はこちらの目を見ながら、ことりの元にゆっくりと後退する。

ことり「海未ちゃん、大丈夫だった?」

海未「えぇ…なんとか」

絵里「いきなり斬りかかってきて被害者面しないでもらえる?」

穂乃果「黙って!絵里ちゃん!」

ことり「なんなんですか!あなた達!」

絵里「それはこっちの台詞よ、こんなところで何してるの」

海未「それこそ、こっちの台詞です」

穂乃果「落ち着いて!先に居たのは彼女達だよ、私達が余所者なんだから…」

凛「ひょっとしたらあいつら囚人なのかにゃ?怖いにゃ~!」

ことり「私達はここの看守よ!私達の刑務所なの!だから出ていって!」

穂乃果「わかった、出ていく…だけど、隣の錬に住まわせて貰うことは出来ないかな?」

ことり「ダメ!この刑務所から出ていって!」

穂乃果「外はどうなってるかわかるでしょ?私達を追い出さないでお願い……」

ことり「………無理だよ、信用できない」
42: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:47:41.02 ID:Ek0+q9Ie
絵里「私もいきなり斬りつけてくる野蛮な人間とは眠れないわ」

穂乃果「絵里ちゃん喋らないで!」

ことり「こっちだって海未ちゃんを蹴り飛ばした人達なんかと一緒にいられない!」

穂乃果「凛ちゃん、二人に謝って!」

凛「はぁ?トサカにきちゃったのかにゃ~??」

ことり「さっきから何なのよその子!」

穂乃果「もう!いい加減にしてよ!」

絵里「いい加減にして欲しいのはこっちだわ、穂乃果?貴方のワガママにはいい加減付き合ってられない」

穂乃果「ワガママ…?」

絵里「この世界で生き残りたかったら、他の命を殺して奪うだけよ」

穂乃果「なんで直ぐ諦めるの!私達9人が仲間や家族になれる可能性だってあるかもしれないじゃん!」

絵里「そんな未来は」

穂乃果「こんな世界になっても人間らしさは忘れちゃダメだよ!」

絵里「………」

ことり「………」

穂乃果「話し合おう?大丈夫…何もしないから」

ことり「……貴方達と一緒に暮らすのは無理よ」

海未「こちらにメリットがありませんし」

穂乃果「手伝いをするよ、二人だけだと色々大変でしょ?」

にこ「あんま期待できないわよ、こいつら不器用だし」

海未「別に困っていません」
43: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:48:55.32 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「仲間がいたら出来る事も増えるし、互いに支えあえる!」

ことり「人が増えると危険もあるよ、特にそこの3人」

凛「何ガンつけてるにゃこいつ」

絵里「私にとっては貴方達の方が危険因子だわ」

花陽「早く引き金が引きたい…」ブルブル

穂乃果「説得するから!」

にこ「いや無理でしょ」

穂乃果「お願いします!私達を信じて!」



ことり「………」

海未「………」


↓信じるor信じない
44: 名無しで叶える物語(四国地方) 2018/01/15(月) 07:51:43.30 ID:tMaqv/A8
急に選択できるんかい!

信じる
47: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:54:40.77 ID:Ek0+q9Ie
海未「貴方は穂乃果と言いましたね」

穂乃果「うん、私は高坂穂乃果」

海未「この世界で貴方はどう生きていきたいです?」

穂乃果「……私は、こんな世界でも…皆と仲良く生きていきたい。争いたくないし、誰も殺したくないよ…」

絵里「不可能ね」

海未「貴方は黙ってください」

穂乃果「……皆と…貴方達と平和に暮らしたい」

海未「………」


海未(……彼女に賭けてみましょう)


海未「………私はもう一度……文明的な暮らしがしたいと思ってるんです…」

ことり「……海未ちゃん」

海未「その協力をして貰えませんか?穂乃果」

穂乃果「……信じてくれるの?

海未「えぇ…」

ことり「海未ちゃんが信じるなら私も信じるよ…」

穂乃果「ありがとう!」
50: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:55:38.10 ID:Ek0+q9Ie
海未「まずは畑を作りたいと思ってるんです、食料の自給自足が出来ればあらゆるリスクを軽減することが出来ます」

真姫「農作業なら詳しいのが二人いるわよ」

にこ「はぁ?なんで私がそんなことしなきゃいけないのよ!」

海未「家畜なんかも将来的には飼育して」

凛「すでにいるにゃ」

アルパカ「フーン」

海未「この刑務所を小さな村のようにして、暮らしていきたいんです」

穂乃果「とっても素敵だね!穂乃果もそうしたい!」

海未「では手伝ってください」
51: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:56:52.74 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

海未、穂乃果、真姫のメンバーで物資調達に向かう。

海未「死人の相手は慣れています、これを着て私の後についてきてください」

穂乃果「うっ……これは…?」

真姫「死臭が凄いわね」

海未「奴等の臭いを染み込ませたジャケットです」

穂乃果「なんでこんなものを…?」

真姫「なるほど、奴等は嗅覚で生きてる人間を識別してるのね」

海未「そうです、死人相手なら逃げる時も戦う時もこれで対処できます」

真姫「死人相手ならね」

海未「はい、生きた人間相手となると、そうは行きません」

真姫「そうね」

海未「それに先程は斬りかかってしまいましたが、やはり私には人を殺す覚悟はなかったみたいです。寸前で迷ってしまいました」

穂乃果「それが普通だよ」

海未「えぇ、人としては」

穂乃果「……」

海未「ですが、この世界で生きるには不向きだ」

穂乃果「…そんなこと」
52: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:57:40.33 ID:Ek0+q9Ie
海未「でも、私は人間として生きていきたいです、人を殺さないで生きていきたい」

穂乃果「…私もだよ」

真姫「私も出来ればね」

海未「ですから二人を連れてきました、もし他の生存者と出会っても穏便にすませまられるように」

真姫「無理だったら?」

海未「その時は諦めましょう」

真姫「……そう」

穂乃果「……」

真姫「まぁ、私はもう生きる目的もないし、それで死んでも構わないわ。人を騙したり殺したりして醜く生きていきたくもないしね」

穂乃果「私は信じるよ、話し合えばわかりあえるって……最後まで」

海未「……では行きましょうか」
53: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:59:08.75 ID:Ek0+q9Ie
~刑務所~

にこ「ここの土はダメね、あんまりいい作物は出来ないかもしれないわぁ~」

希「………」

ことり「肥料あげたらどうかな?」

にこ「まぁそれもいいけど物がないから何も出来ないわね」

希「………土が乾いてる」

にこ「なに?」

希「……土が乾いてるうちに耕せば、幾分ましになるよ」

にこ「う~ん、でも土が固いから3人じゃ大変よ、そこのバカ共が手伝ってくれないと」

凛「あはは!バカ共だって二人とも」

絵里「……」

花陽「お米は作れないんですか?」

にこ「水が足りないわよ、外から引いてくるにも壁に囲まれてるし無理ね」

花陽「そんなぁ~」

希「……もうすぐ雨降りそうやし…今うちに耕せるだけ耕しとくべきや」

にこ「…まぁ、やるだけやりましょうか」

凛「凛は手伝わないからね~」

ことり「あの子、本当ムカつく!」

絵里「私は少し出てくるわ」

にこ「一人で?危険よ」

絵里「あら、心配してくれるの?」

にこ「ふん!冗談でしょ」

絵里「暗くなるまでには帰るわ」

にこ「別に帰ってこなくてもいいわよーっだ!」

花陽「私も行きます」

凛「そんじゃあ凛も~」
54: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 07:59:48.02 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

海未「物資集めもこれくらいにしましょう」

真姫「あまり大荷物になると帰りが大変だしね」

穂乃果「本当に私達に見向きもしないね、ウォーカー」

海未「動きも単調ですし1匹2匹ならこちらに勘づいても対処できます」

真姫「こんな方法があったなら物資調達もたいしたことないわね」

海未「ただ一番厄介なのは他の生存者です、彼らには通用しませんからね」

真姫「まぁ出会わないよう祈りましょ」

穂乃果「…なんだか向こうの方が騒がしいよ」

海未「はい?」

穂乃果が指さす方を見るとウォーカーが何かを追いかけている。

真姫「ネズミでも追いかけてるんじゃない」


『キャーーー!』


穂乃果「!!人だ、助けないと…」

真姫「…穂乃果」

穂乃果「私は行くよ」

真姫「別に止めてないわ」

海未「見殺しには出来ませんしね」

真姫「ただ警戒はしなさい、あまりこちらの情報を喋らないこと」

穂乃果「うん、わかってる」
55: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:00:42.20 ID:Ek0+q9Ie
善子「もう終わりね……こいつらに食われるくらいなら自分で……」ガタガタガタッ

穂乃果「大丈夫?こっちに来て!」

善子「へっ?」

穂乃果「早く!」


~~


善子「はぁはぁ…」

穂乃果「大丈夫?」

善子「えぇ…ありがとう」

海未「顔色が悪いですね」

穂乃果「この子、怪我してる!」

真姫「奴等に噛まれたの?」

善子「違うわ……撃たれたのよ…」

真姫「とにかく見せなさい、私は医者よ」
56: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:01:29.58 ID:Ek0+q9Ie
~森中~

絵里「タイヤ跡だわ……」

花陽「この先に何かあるの?」

絵里「何重にもある……恐らく生存者の暮らしてる町があるんじゃないかしら」

凛「行ってみるかにゃ?」

絵里「様子だけは見た方が良いわね、脅威になるかもしれないし」

花陽「戦いになったらどうしよう……」ワクワク

絵里「目立たないよう私の後に続きなさい」

凛「凛は銃持ってないからちゃんと守ってね」

花陽「凛ちゃんには渡さないんですか?銃」

絵里「……行くわよ」
57: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:03:09.33 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

穂乃果「仲間とはぐれたの?」

善子「えぇ…恐らくもう死んだと思われてるんじゃないかしら」

海未「誰に撃たれたんですか?」

善子「対立グループよ」

穂乃果「対立?」

善子「えぇ、奇襲を仕掛けたんだけど失敗してこの様…皆無事だと良いけど」

穂乃果「貴方はどこで暮らしてるの?名前は?」

真姫「穂乃果、あまり詮索はやめましょう」

穂乃果「あっ……うん、ごめんなさい」

善子「いいのよ……でも住んでるところは教えられないわ」

穂乃果「うん、そうだよね…」

真姫「治療は終わったわ、出来れば2、3日はおとなしくした方がいいのだけど」

善子「ありがとう、お世話になったわね」

穂乃果「しばらく、穂乃果達の所で休まない?」

真姫「穂乃果…」

穂乃果「だって安静にしなきゃいけないんでしょ?ここに置き去りにしていくの?」

真姫「そういう事は皆で決めないといけないわ」

善子「気持ちは嬉しいけど、そこまでお世話にはなれないわよ…」

穂乃果「ダメだよ、それじゃ結局見殺しにするのと一緒じゃん…」

真姫「聞きなさい穂乃果…」

穂乃果「なんのために助けたの!」

真姫「穂乃果!……私は連れていけないとは言ってないわ」

穂乃果「え…?」

真姫「ただ、どうするにも話し合って決めないといけないって言ってるの、彼女も含めて四人でね?」

穂乃果「……ごめんなさい…そうだよね、ちゃんと話し合わないと」

真姫「そうよ」

穂乃果「一人であれこれ言っちゃってごめんね…」
58: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:04:14.50 ID:Ek0+q9Ie
~町の外壁~

車やトタン板、鉄板、土嚢等で作られたバリケードが周囲を覆う町を発見する。
その上で見張りが無駄なく配置されている。

絵里「良くできてるわね、ウォーカーは勿論、人も外から侵入するのは難しそう」

花陽「絵里ちゃん、あの人見覚えありません?」

絵里「?」

花陽の指さす方を見ると、見張りの一人に青い髪をポニーテールにした女を見つける…

絵里「あの時の…」

凛「絵里ちゃんが牧場に拉致してきた奴だ」

絵里「見つかると厄介ね、早いところおいとましましょう」

凛「瓶でも投げつけてやろうかにゃ」

絵里「やめなさい、急ぐわよ」


ダイヤ『そんなこと言わず、ゆっくりして行きません?』


絵里「なっ!?」

後ろを振り替えると花陽のこめかみに銃を突きつけたダイヤが立っていた。

花陽「うぅ…ごめんなさい…」

ダイヤ「人質よ動かないで」

絵里(…まずいわね)

凛「この野郎!凛が相手だにゃ!」

ダイヤに向けて瓶を投げつける凛。
それは見事に花陽に的中する。

花陽「痛っ!」

絵里「凛!」

ダイヤ「ちょっと!人質だって言ってるでしょう!」ガチャ


果南『そこに誰かいるのか~?』


瓶が割れた音が響き見張りがこちらを見ている。

絵里(まずいわ…)
59: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:05:31.25 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

穂乃果「話し合った結果、連れていくってことで良いのかな?」

海未「私は別に構いません、話してみて悪い方には思えませんし」

善子「正直、この状態じゃ一人で帰れないだろうし…そうしてくれると助かるわ」

真姫「ただし彼女を連れていく条件に耳栓と目隠しをして運ぶ事」

海未「場所がわからないようにですね」

真姫「えぇ、別に貴方を信じてない訳じゃないのよ?」

善子「私は平気よ、ただ足を引っ張るかもしれないから危なくなったら置いていってちょうだい」

穂乃果「そんなこと…!」

善子「それが私側の条件よ」

穂乃果「……わかったよ」

海未「ジャケットは3人分しかありませんが、3人で囲めば1人くらい気付かれないと思います」

真姫「もう夕方だから奴等も活発になってるわ、急ぎましょう」

穂乃果「うん、行こう!」
60: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:07:13.22 ID:Ek0+q9Ie
~町の中の屋敷~

花丸「お茶どうぞずら~」

凛(ぷっ変な語尾だにゃ)

花陽「あ、ありがとう…」

絵里「……何が目的かしら?」

ダイヤ「そう構えないでください」

絵里「凛、飲まない方が良いわよ」

凛「ん~?」ゴクゴクゴク

ダイヤ「毒なんて入ってませんわ、そんな物騒な」

絵里「いきなり砲弾を撃ってくるのは物騒ではないのかしら?」

ダイヤ「だからさっきから謝ってるじゃありませんか、お互い誤解していたと」

絵里「別にこっちは誤解なんてしてないわ」

ダイヤ「私達はあの牧場には保護のためでしたの」

絵里「保護?」

ダイヤ「えぇ…最近危険な集団が現れたんです」

絵里「そりゃゴロゴロいるでしょうね」

ダイヤ「集団は自分達の事を救世主と呼んでいますわ」

絵里「それは危険思想でも持ってそうな連中ね」

ダイヤ「力を誇示し、他のグループから物資の供給を求めている連中ですわ」

凛「断ったらどうなるんだにゃ?」

ダイヤ「良くて皆殺し…でしょうね」

花陽「…恐ろしいねぇ」
61: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:09:20.75 ID:Ek0+q9Ie
ダイヤ「そんな連中に見つかる前に私達の町で保護しようと牧場へは向かいました」

絵里「何故、保護なんてしてるのかしら?」

ダイヤ「人手が必要なんですわ」

絵里「救世主と争うために?」

ダイヤ「えぇ、無理やり兵士として使うつもりはありませんが、向こうの駒になるのは防げます」

絵里「…賢い判断ね」

花陽「どうして戦うんですか?」

ダイヤ「彼らの要求は次第に大きくなっています、最近では人材まで要求してきましたわ」

ダイヤ「私にとって一番大切なのは、この町の住民達ですわ。それを奪われる訳にはいきません…」

ダイヤ「昨夜、奇襲を仕掛けたのですが失敗してしまいまして兵士の一人が行方不明なんですの…」

花丸「………」
62: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:10:05.64 ID:Ek0+q9Ie
ダイヤ「救世主には私達が攻めたとはまだバレてないようですが、時間の問題でしょうね…早く手を打たないと」

絵里「それで結局何が言いたいの?」

凛「話が長いにゃ~」

ダイヤ「協力してください、私達に」

絵里「断るわ、面倒事には関わりたくないの」

凛「即答だにゃ」

花陽(戦わないんだぁ)ガッカリ

ダイヤ「報酬も出しますわ」

絵里「欲しいものなんてないのよ、こんな世界じゃ」

凛「凛はラーメンが食べたい」

花陽「私はお米が…」テレ

絵里「帰らせてもらうわ」

ダイヤ「……そうですか、残念です」

絵里「没収してくれた武器を返して貰える?」

ダイヤ「もう夕方です、送って行きましょうか」

絵里「結構よ」

ダイヤ「一晩ここに泊まってもいいですよ?」

絵里「お断りするわ」

ダイヤ「…そうですか、ならしばらくここで待ってください」

絵里「早くしてね」
64: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:10:56.15 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

穂乃果「流石に多いね…ウォーカー」

真姫「喋らないの奴等に不信がられる」

海未「あと少しです頑張りましょう」


ポツリ


海未「…?」


ポツリ


海未「雨?」


善子「ひゃっ!」

視覚、聴覚を奪われた善子が冷たい雨に驚き声を出す。

雨の勢いはドンドンと強くなっていった。

真姫「強雨ね、足下に気を付けましょう」

海未「………」

ジャケットについた血肉が雨に流されて落ちていく…

海未「…まずい」

今まで見向きもしてなかったウォーカー達がこちらを見ている。

海未「…二人は彼女を連れて先に行ってください!」

刀を抜きながら海未が叫ぶとウォーカーの注目は全て彼女に向いた。

穂乃果「そんな!置いてけないよ!」

海未「死人には遅れをとりません!行って!」

穂乃果「でも!」

真姫「信じましょう、海未を」

穂乃果「………絶対来てよ!待ってるから!」

海未「えぇ、また後で…!」
65: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:11:45.98 ID:Ek0+q9Ie
~町の屋敷~

花陽「雨降って来ちゃったね」

凛「いつまで待たせるにゃあいつら」

絵里「ちょっと見てくるわ」

屋敷の客室から出ると右側に出口がある。
出口の方へ向かって歩くと上から微かな物音が聞こえる。

ドタン…ドン……ドン!ドタンドタン!………ドン

規則性はなく何か生き物が暴れてるような印象を持つ。

絵里(誰か捕まってるの?)

出口近くに上へ続く階段があり、ゆっくりと上がりその音の鳴る方へ向かう。

絵里(この扉の奥ね)

ゆっくり扉を開けて部屋を見るとカーテンで隠されていてすぐには部屋の奥は見えなかった。

だがこちらの気配に気付いたのか助けでも呼ぶように物音は大きくなる。

絵里「誰かいるの?」

部屋の中に入りカーテンを開ける。

絵里「なっ…!」

ルビィ「…ピ…ピギィ…!」



絵里「ウォーカー!!」
67: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 08:14:28.32 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

真姫「穂乃果!車を探して!」

穂乃果「運転できるの?」

真姫「出来るわ、ただ絵里みたいにピッキングは出来ない!鍵がかかった車を探して!」

穂乃果「ちょっと待ってて!」

目に入った車を手当たり次第に開けようとする。

穂乃果「開かない!…これも開かない!」


真姫「はぁ…はぁ…」

善子を背負いながら走ったせいで息を上がる。

真姫「雨でどんどん重くなってく……」

先行する穂乃果から少し遅れながら続く。
雨で視界も悪く必死で穂乃果の姿を追っていると、突然何かに足下を拐われる。

真姫「っ!」

勢いよく転び体をアスファルトに叩きつける。
足下を見るとウォーカーが真姫の足を掴んで爪先に噛みついていた。

穂乃果「真姫ちゃんっ!!!」

真姫「くっ……やぁっ!」

真姫はナイフを取り出しウォーカーのこめかみに突き刺す。

穂乃果「真姫ちゃん!…そんなぁ…噛まれて……!」

真姫「…平気よ…大丈夫…これ安全靴だもん」

穂乃果「…………よ、よかったぁぁあ……」

真姫「それより彼女が」

先程転んだ衝撃で2、3メートル吹き飛んだ善子を指す。

穂乃果「あぁ!大丈夫!?」

真姫「………はぁ…はぁ」

真姫(……痛い)

真姫(凄い噛む力ね…貫通はしてないけど、骨を砕かれたわ…)

真姫(アクセル踏めるかしら…)

穂乃果「真姫ちゃん!」

真姫「…何?」

穂乃果「この子、傷口が開いてる!気絶してるよ!」
95: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:27:29.84 ID:Ek0+q9Ie
~町の屋敷~

絵里「何よこれ」

ルビィ「ピギィ…」

絵里(鎖に繋いだウォーカー?飼っているの?)

ダイヤ「勝手に人の部屋を見ないでくださいな?」

背後に気配なくダイヤが現れる。

絵里「……ふん、あれは貴方の趣味?」

ダイヤ「そんな物ではありません」

絵里「だから他人は信用できないのよ」

ダイヤ「………」

絵里「何とか言ったら?」

ダイヤ「…あれは私の妹ですわ」

絵里「……妹?」

ダイヤ「治療法がいつか見つかるまで、あそこで待ってもらっているんです」

絵里「………治療法なんて見つかる訳ないじゃない」

ダイヤ「見つけます、この町ではその研究もしている」

絵里「彼女は死んでるの、死んだ人間は生き返らないわ」

ダイヤ「何故そう決めつけるんですの?」

絵里「私が困るからよ!!」

ダイヤ「………何が困るんですの?」
96: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:28:55.20 ID:Ek0+q9Ie
花陽「なんの騒ぎですか!?」

凛「どうしたにゃ?」

花丸「ダイヤさん…」

下から3人が心配そうに駆け寄ってくる。

花陽「あっ!あれはウォーカー!」

凛「うわぁグロテスクだにゃ」

花丸「…ッ!ルビィちゃんに酷い事言わないで!」

花丸がおもいっきり凛をビンタする。

凛「っ!……このズラ野郎!」

絵里「凛!やめなさい」

花陽「…貴方のお友達なの?」

花丸「………」コクン

花陽「…そう、ごめんね……」

凛「………悪かったにゃ」

絵里「…帰るわよ」

ダイヤ「申し訳ありませんが、帰らせる訳にはいきません」

絵里「……私達が救世主側につくかもしれないから?」

ダイヤ「……えぇ、流石ですね、貴方には…本当に仲間になって欲しかった」

絵里「高く評価してくれてありがとう」

ダイヤ「今からでも遅くはありませんか?」

絵里「無理よ」

ダイヤ「……残念です」スッ

懐から無線機を取り出した。
仲間を呼ぶつもりだろう。

絵里「凛!花陽!逃げるわよ!」
97: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:30:45.45 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

真姫「とにかく止血するわ、早く車を探して!」

穂乃果「でも……もうないよ…」

真姫「諦めないで!」

穂乃果「………うん!探してくる」

真姫「………」

真姫(……もう、ここで終わりかも知れないわね)

真姫(…私が囮になって穂乃果だけでも逃げられないかしら)

真姫(…ふふ…あの子は私を置いて逃げてはくれないわよね)

ピチャピチャ

真姫の背後に気配を感じる。

真姫「囮にもなれなそうだわ」

後ろを振り返るとウォーカーが2体こちらを見ていた。

真姫「…お手上げね」


海未「真姫、大丈夫ですか?」

真姫「…え?」

ウォーカーの背後に海未が立っている。
98: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:31:42.61 ID:Ek0+q9Ie
海未「これはさっき私が繕ったウォーカーです」

よく見ると、その2体のウォーカーは手と顎が切り落とされていた。

真姫「…なに?」

海未「刑務所で実験をしてたんです、殺傷能力を奪うと彼等はおとなしくなる」

真姫「……そう」

海未「そして彼等を連れてると他のウォーカーに気付かれなくなるんです」

真姫「……?」

海未「何度も試しました安心してください」ドヤッ

真姫「……ごめんなさい頭が混乱してるの」

海未「あぁ!いえ、こちらこそすいません、いきなりこんなことを……」

真姫「とにかく彼等の側にいれば安全なの…?」

海未「えぇ!そうです」

真姫(本当かしら…)



穂乃果『真姫ちゃん危ない!!』

銃を構えた穂乃果がこちらに向かって叫んでいる。

海未「あぁっ…大丈夫です!穂乃果!落ち着いて!」
99: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:32:44.84 ID:Ek0+q9Ie
~町~

町の中に警報が鳴り響く。

花陽「どうやって逃げるんですか?」

絵里「今の私達には銃がない。誰かに出会ったらまず終わりね」

凛「二人とも慎重に進まないとね~」

絵里「タイミングを見て一気に見張り台まで走りましょう、そこから飛び降りれば逃げ切れるわ」

花陽「タイミングといっても…」

絵里「何かで気をそらせれば良いのだけどね」

凛「なら凛が囮になるにゃ」

花陽「えぇ!無茶だよ!」

凛「へーきへーき、凛は二人と違って身軽だから」

花陽「それ、どういう意味!」

凛「にゃはは!じゃあ行ってくるにゃ」

絵里「待ちなさい」

凛「なんにゃ?」

絵里「そんなに死にたいの?」

凛「……なんの事にゃ」

絵里「別に、ただ最近の貴方の行動は死にたがってるようにしか見えないから」

凛「……」

花陽「凛ちゃん……」

凛「……ふん…絵里ちゃんだって…!」

絵里「なによ」

凛「………何でもないよ」


兵士『おい!いたぞ!』


絵里「見つかったわ逃げるわよ!」

花陽「でもどこに?」

絵里「………くっ!」

凛「…二人とも、あれ」

千歌『こっちです!こっちに来てください』
100: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:33:26.47 ID:Ek0+q9Ie
~廃町~

穂乃果「この子達の後をついて歩けば大丈夫なの?」

海未「えぇ、恐らく同類の近くで動いてるものには注目しないんでしょうね」

真姫「……っ!」

海未「?…足どうかしたんですか?」

真姫「何でもないわ」

海未「歩き方が…」

真姫「…平気よ」

海未「とてもそうは見えませんが…」

真姫「静かにして、穂乃果に余計な心配かけさせないで」

海未「……わかりました」

穂乃果「真姫ちゃん呼んだ?」

真姫「呼んでないわ」

穂乃果「そう?」
101: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:34:13.74 ID:Ek0+q9Ie
~町~

千歌「ここは非常用の避難通路なんです。ここを真っ直ぐ通れば町から出れます」

絵里「なんのつもり?」

千歌「え?」

絵里「こんなことして貴方に何になるのよ」

千歌「元はと言えば私達のせいですし…」

絵里「あぁ、そうだったわね」

花陽(そうなのかな?)

絵里「なら、遠慮なく行かせて貰うわ」

千歌「どうぞ」

絵里「あぁ、それと…」

突然、絵里は千歌を羽交い絞めにした。

花陽「絵里ちゃん!」

千歌「んっ……ああっ!……ぁ」ガク

花陽「………」

絵里「気絶しただけよ」

花陽「どうして…」

絵里「これなら、私達に脅されたって言い訳出来るでしょ」

花陽「あっ…そっか…」

絵里「ただ、今度会ったら敵同士よ」

花陽「次会ったら殺すんですか?」

絵里「えぇ、極力そうならないように町の連中とは今後一切関わらないようにしましょう」

花陽「………」

絵里「どっちが残念?」

花陽「…何がです?」

絵里「戦えないのと、この町で暮らせない事よ」

花陽「…どっちでもありませんよ」
102: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:35:12.27 ID:Ek0+q9Ie
~刑務所~

ことり「腕が痛い…」

希「雨が完全に乾くまでは次の作業もなしや、ゆっくり休もう」

にこ(希、少しは元気出たみたいね)

ことり「海未ちゃん達遅いなぁ」

希「先にご飯食べとく?」

ことり「ううん、海未ちゃんが戻るまで待ってる」

希「そう」

ことり「二人は先に食べてて良いよ」

希「うちらも待つわ」

にこ「いや、私は今すぐ食べたいんだけど…」


ガチャン


ことり「帰ってきたかな?」

希「噂をすればやね」

絵里「……」

ことり「………なんだ、貴方達か」

絵里「あら、ガッカリされちゃったわ」

花陽「…ただいまです」

ことり「……おかえりなさい」
103: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:36:35.55 ID:Ek0+q9Ie
凛「びしょ濡れで気持ち悪いにゃ」

希「ずぶ濡れやん、はよ着替えんと風邪引くで」

にこ「ちょっとそのままこっちに入って来ないでよ!世話がかかるわね!」

絵里「……ねぇ貴方」

ことり「なに?」

絵里「ここから五キロくらいしか離れてない場所に生存者の町があるんだけど知ってる?」

ことり「?知らない…」

絵里「そう、ならこれから先も、そこの連中とは関わらないように」

希「何の話なん?」

凛「牧場をぶっ壊した奴等の町だにゃ」

にこ「はぁ?こっち方面にいたグループだったの?ついてないわね」

ことり「?」

絵里「とにかく関わらないように、奴等と争っても勝てないわ」

ことり「うん、わかった」

希「偶然ここに来たりせぇへんかな?」

ことり「たぶん刑務所なんて、来ないと思うよ物資も豊富にあったわけじゃないし」

絵里「だと良いけど」


ガチャン


希「おっ…もう一組様のお帰りかな?」
104: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:37:26.17 ID:Ek0+q9Ie
刑務所の扉が開き全員がそちらを見る。
ゆっくりとウォーカーが2体入り込んできた。

絵里「…ウォーカー!」

にこ「きゃーー!」

ことり「皆、落ち着いて…あれは」

花陽「誰か銃を!」

希「……」ガタガタガタ

凛「あいつら普通の奴よりグロテスクにゃ」



海未「大丈夫です!」

海未達が後ろからひょっこり顔を出す。

海未「これはえぇっと」

穂乃果「ペット!ペットなんだよ!」

絵里「………はぁ?頭でもおかしくなったの?」

穂乃果「違うの!ウォーカーのね?腕とか顎がなくなるとおとなしくなるんだって」

絵里「………削ぎ落とされてる、貴方がやったの?」

穂乃果「これは海未ちゃんが…」

絵里「悪趣味ね、狂ってるわ貴方」

ことり「ちょっと!海未ちゃんに何て事言うの!」

海未「いいんです、ことり」

絵里「こんな狂った人と一緒に生活なんて出来ないわ」

穂乃果「絵里ちゃん落ち着いて、これはウォーカーから身を守るためで」

絵里「穂乃果、死人の体を弄んで玩具にするのは貴方の言う人間の行いかしら?」

穂乃果「……それは」
105: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:38:32.44 ID:Ek0+q9Ie
真姫「やめなさいよ、絵里」

絵里「………ふん、ところで…貴方達が後ろに隠してるものは何?それも玩具にした死体かしら?」

穂乃果「これは……」

絵里「どきなさい」

穂乃果達をどかすとそこには目隠しと耳栓をされた少女が立っていた。

善子「………?」

絵里「……穂乃果!!」

穂乃果「…っ!」

真姫「これは皆で決めたことよ」

絵里「皆?貴方達3人が話し合って決めた事は皆で決めたとは言わないのよ?」

海未「落ち着いてください」

絵里「落ち着いてられないわよ、私は貴方みたいに死体を刻んで平然としてられるほど異常者じゃないんだから」

ことり「あなたね!」

海未「ことり、大丈夫です」

絵里「それと真姫、その足はどうしたの」

真姫「はぁ?何の話よ」

絵里「ふん」

絵里は真姫を軽く突き飛ばす、突然の事によろけてしまい咄嗟に怪我をした方の足で踏ん張ってしまう。
106: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:39:56.37 ID:Ek0+q9Ie
真姫「ッ!!」

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「…平気よ」

穂乃果「やっぱりあの時…」

真姫「大丈夫だっていってるでしょ」


絵里「……もう、うんざりだわ」


穂乃果「絵里ちゃん…?」

絵里「それを寄越しなさい」

穂乃果「あっ!」

絵里は穂乃果から無理やり銃を奪い取り、その銃口を全員に向ける。

絵里「これから私が統率するわ、私の許可なく勝手な真似はさせない」

穂乃果「……絵里ちゃん」

絵里「その子の対処も私が考える、私の考えに従ってもらうわ全員!」


善子の目隠しと耳栓を乱暴に外す。

善子「ひゃっ!……眩しい…」

穂乃果「その子さっきまで気絶してたんだよ、優しくしてあげて」

絵里「貴方どこの人?」

善子「えっ…えっ……誰ですか…貴方」

絵里は乱暴に壁を蹴りつける。
107: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:40:40.00 ID:Ek0+q9Ie
絵里「どこのグループにいたかって聞いてんのよ!」

善子「ひぃっ!い、い、言えましぇん…」

穂乃果「やめて!」

絵里「言わないならっ!」

善子の髪を掴んで海未達が連れてきたウォーカーの前に顔を差し出す。

絵里「こいつらの餌にしてあげる」

善子「うわぁぁ!バイター!!」

絵里「………」

善子の口からその単語が出た瞬間、髪の毛から手を離した。

花陽「バイターって」

凛「あの町の……」

絵里「悪いけど、この子には死んでもらうわ」

銃口を無抵抗の善子に突き付ける。

穂乃果「やめて!」

それを庇うように穂乃果が制止する。

穂乃果「……話し合おう?ね?」
108: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:41:31.78 ID:Ek0+q9Ie
絵里「どきなさい」

穂乃果「……」フルフル

絵里「……貴方ごと撃つわよ」

真姫「絵里!待って…穂乃果にちょっとだけ時間を上げて」

絵里「…命令しないで」

真姫「命令じゃないわ、お願いよ」

絵里「……」

真姫「すぐに殺さなくたって良いでしょ?」

絵里「……」

真姫「ここで殺したら穂乃果はこの事をずっと引きずるわよ」

絵里「……」

真姫「私が穂乃果に決心を付けさせるから……ね?」

絵里「……日の出までにしなさい、朝になり次第始末するわ」
109: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:42:15.38 ID:Ek0+q9Ie
~独房~

穂乃果「穂乃果、納得しないよ」

真姫「わかってるわよ、そんなこと」

善子「私は良いわ、どうせあそこで死んでた命だし」

穂乃果「そんなこと言わないでよ…」

海未「どうするんですか真姫」

真姫「なにが?」

海未「何か考えがあるんでしょ?」

真姫「まぁね」

穂乃果「?」

真姫「貴方のいた町の近くに刑務所はある?」

善子「えっ?えーと」

真姫「貴方がどこの人間か、絵里達は気付いてるみたいだし隠さなくていいわよ」

善子「ちょっと離れた所にあったと思う」

真姫「ここは多分その刑務所よ」

善子「そうなの?へぇ~凄いところに住んでるわね!」キラキラ

真姫「こっから帰れそう?」

善子「う~ん多分、帰れると思うけど……まさか…」

真姫「えぇ、貴方をここから逃がすの」
110: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:43:22.19 ID:Ek0+q9Ie
~数時間後~

絵里(日の出まであと一時間を切った)

絵里(穂乃果達そろそろ行動を移すでしょうね)

絵里(出来ればおとなしくしていてもらいたいけど)


ガチャン!と刑務所の扉が開く音が響く

絵里(そうもいかないわよね)


~外~

二人の人間が黒い袋を担ぎながら走っていた。

絵里「待ちなさい!」

呼び掛けても止まらない。

絵里「………」ガチャ

空に向けて威嚇射撃を行った。
すると観念したのか二人の人間は動きを止めた。

絵里「……貴方達、こんなことして覚悟は出来てるの?」

海未「……」

希「怒らんといてぇな」

絵里「……その袋に隠してる物を出しなさい」

海未「……どうぞ」

絵里「ふん」ビリリ

袋を破るとその中には、先程のウォーカーが入っているだけだった。

絵里「……あの子はどこにやった?」

希「何の事?」

絵里「答えなさい!」
111: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:44:07.13 ID:Ek0+q9Ie
~絵里達の反対方向~

穂乃果「向こうで銃声が聞こえたけど大丈夫かな?」

真姫「威嚇射撃でしょ気にしないの」

穂乃果「私達は善子ちゃんの記憶と逆方向に向かったけどあってたみたいだね」

真姫「絵里は町がどの方向にあるかわかっていたからね」

穂乃果「多少遠回りになるけど大丈夫?」

善子「平気よ……ここまでしてくれてありがとう」

穂乃果「気にしなくて良いよ」

真姫「………」

穂乃果「真姫ちゃん、足大丈夫?」

真姫「……正直言うと、かなりキツいの」

穂乃果「そんな…」

真姫「だからここで絵里の足止めをするわ」

穂乃果「危ないよ!」

真姫「流石に絵里も私を撃ったりしないわよ」

穂乃果「でも…」

真姫「…信じなさい」

穂乃果「……」

真姫「早く行って」

穂乃果「……うん、また後でね」

真姫「えぇ」
112: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:44:47.06 ID:Ek0+q9Ie
夜の草原を二人で駆ける。

穂乃果「ちゃんと大回り出来てるかな」

善子「わからないわ」

穂乃果「絵里ちゃんに言われて、気を付けてきたけど……方向感覚全然鍛えられないや」

善子「……貴方達、こんなことして本当に大丈夫なの?」

穂乃果「……大丈夫だよ、きっとわかってくれる」

善子「……そう」

穂乃果「……きっと」



突如、バンッ!という銃声が鳴り響いた。

穂乃果「……?」

隣を走っていた善子が地面にだらしなく倒れる。

穂乃果「………」


絵里『手間をかけさせてくれたわね』
113: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:45:38.15 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「……ねぇ?大丈夫…?」

善子「……ぅぅ」

銃弾は善子の太股を貫通していた。
血がおびただしい量溢れる。

絵里「可哀想ね、楽にしてあげましょう」

穂乃果「っ!」

善子の前に立ち塞がる。

絵里「本気で撃つわよ」

穂乃果「……真姫ちゃんはどうしたの?」

絵里「怪我してるんだから適当に突き倒せば終わりよ」

穂乃果「……海未ちゃんと希ちゃんは?」

絵里「なにもしてないわ、戻ったらどうするか考えないといけないけど、長い付き合いでもないし…」

穂乃果「…殺すの?」

絵里「…かもね」

穂乃果「この子も?」

絵里「えぇ」

穂乃果「……私も?」

絵里「…そうならないと良いなぁーとは思ってるのよ?」

穂乃果「……どかないよ」

絵里「…残念ね」
114: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:46:27.74 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「………なんで?」

絵里「……」

穂乃果「なんで!あんなに優しかったのに!」

絵里「……」

穂乃果「皆の事…一番に考えてたのに!」

絵里「……」

穂乃果「ずっと皆を守ってくれたのに!」

絵里「……」

穂乃果「どうして!」

絵里が穂乃果を殴り飛ばす。

穂乃果「……かはっ」

絵里「どうして?それはこっちの台詞よ!」

絵里「どうして私の言うことが聞けないの?」

絵里「私は皆のために戦ってきたわ!病院にいる時だって、ただガタガタ震えてるだけの貴方のために命をかけてきた!」

絵里「一番お姉さんだからって明るく振る舞って皆を安心させてきた!」

絵里「皆を守るために私は強くなった!」

絵里「そんな貴方達のせいで!本来守ってあげないといけない妹を守れなかった!」

穂乃果「……そ、れは…」

絵里「貴方達のせいじゃないって私、言ったわよ」

絵里「でもそんなわけないじゃない」

絵里「貴方達のせいで妹は噛まれて、貴方達を守るために私は亜里沙を撃ったのよ?」

絵里「これ以上、私に何をしてほしいの…」

絵里「ねぇ?穂乃果……」

穂乃果「…わ、わ…たしは…」

絵里「答えなさいよ!」バンッ!

銃弾が頬をかすめる。
115: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:47:26.77 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「………」

絵里「その子を素手で殺しなさい」

穂乃果「………」

絵里「その後は裏切った連中も貴方が殺すの」

穂乃果「………」

絵里「そしたら貴方だけでも助けてあげる」

穂乃果「…………ぁぁ」

絵里「出来ないなら、ここで二人とも死んでもらうわ」

穂乃果「……ぁぁっ」

絵里「早くやりなさい!」

穂乃果「……ぁああっ!」

絵里「早くっ!」


決心したように穂乃果は立ち上がり走り出す。
善子の方にではなく絵里の方に突っ込んでいった。

絵里「穂乃果ぁっ!!」

絵里は銃を向けるが穂乃果はそれを左手で払いのけて、右手に握り締めたナイフで絵里の腹を突き刺した。
116: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:49:42.26 ID:Ek0+q9Ie
絵里「っ………」

穂乃果「……はぁ…はぁ…」

絵里「……ぁあっ」

穂乃果「…絵里ちゃんが悪いんだ!」

絵里「……ぁ…ぁ」

穂乃果「絵里ちゃんが私に、こうさせたんだ!」

絵里「………ぅ」

穂乃果「こうしないと皆を殺すって脅すから!」

絵里「………」

穂乃果「…ああああああっ!」


穂乃果「…………」


穂乃果「………あ」


穂乃果「…………」


穂乃果「………ははっ」


穂乃果「………」


真姫「穂乃果!」


穂乃果「………真姫ちゃん?」
117: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:50:42.44 ID:Ek0+q9Ie
真姫「…これは絵里!?どうしたのこれ!?」

穂乃果「知らないっ!こいつが悪いんだ!全部全部こいつが!」

真姫「穂乃果落ち着きなさい!」

穂乃果「……こいつがぁっ!…」

真姫「穂乃果!」

穂乃果「………」

真姫「……あの子はどこにいったの?」

穂乃果「………」

善子「……ぁぁっ」

真姫「……そこにいたのね」

善子「……ぁ」

真姫「ちょっと…凄い血じゃない!早く止めないと!」

穂乃果「………」
118: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:51:30.95 ID:Ek0+q9Ie
~刑務所前~

海未「上手くいったでしょうか?」

希「きっと大丈夫やろ」

海未「絵里が帰ってきたらどんな目にあうのやら」

希「おっかない目しとったもんなぁ」

海未「恐ろしい人ですよ」

希「ほんま怖すぎて腰が抜けてしもうたもん」

海未「…そろそろ動けます?」

希「まだ無理や」

海未「手を貸します」

希「ごめんな?」

海未「良いんですよ」

希「重くない?」

海未「大丈夫ですよこれくらい」

希「そう?ありがとう」


ダイヤ『でも念のため私も手を貸しましょうか?』


海未「…貴方は?」

希「……誰や?あんた」

ダイヤ「……」
119: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:52:36.10 ID:Ek0+q9Ie
~草原~

真姫「血は止まったけど早く輸血しないと不味いわ……」

穂乃果「……」

真姫「とにかく刑務所まで運ぶわよ」

穂乃果「……」

真姫「手伝って!一人じゃ無理よ!」

穂乃果「……」

真姫「……そう!」

穂乃果「……」

真姫「先行ってるから早めに追い付いてよ」

穂乃果「……」




穂乃果「……?」

穂乃果「真姫ちゃん?どこいったの?」

穂乃果「……?」
120: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:53:42.45 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「……」


絵里「……ァ」

穂乃果「……」

絵里「……アアッ!」

穂乃果「……あれ、絵里ちゃんが動いてる」

絵里「……ァアアッ!」

穂乃果「絵里ちゃん…」

ウォーカーに転化した絵里が穂乃果にじわりじわりと近付く。

穂乃果「……絵里ちゃん!生きてたんだね!」




静寂な森の中で銃声が4発響いた。


真姫「!……穂乃果?」

振り返っても彼女の姿は見えなかった。

真姫「………」
121: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:54:32.72 ID:Ek0+q9Ie
善子を背負ながら片足を庇ったまま歩行を続ける。

真姫「………」

少し時間が経って後ろから声がする。

穂乃果「真姫ちゃん待って!」

真姫「……穂乃果」

穂乃果「手伝うよ!」

真姫「……えぇ」

穂乃果「早く帰ろう!」

真姫「……大丈夫?」

穂乃果「何が?」

真姫「……何でもよ」

穂乃果「平気!平気!」

真姫「……」

穂乃果「あはは!」
122: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:55:35.38 ID:Ek0+q9Ie
~刑務所前~

真姫「はぁ……はぁ…」

穂乃果「真姫ちゃん!ここで待ってて中に入って皆に手伝って貰うから」

真姫「えぇ……お願い……」

駆け足で刑務所の中に入っていく。
そして早々目に飛び込んで来たのは、牧場で出会ったダイヤとその足下に跪かされている海未と希であった。

ダイヤ「お邪魔していますわ、リーダーの……絵里さんはお見えになられる?」

ダイヤは海未から奪ったであろう刀を手にしていた。

穂乃果「………」

上では、ことり達が心配そうに下の様子を見ていた

ダイヤ「聞いてます?」

穂乃果「……絵里ちゃんはいないよ」

ダイヤ「いつ頃戻られます?」

穂乃果「……もう戻ってこないよ」

ダイヤ「……?」

穂乃果「死んだからね」

海未「なっ!」

希「……」

ダイヤ「そうですか……残念ですわ」

穂乃果「用がすんだなら早く帰ってほしいな」

ダイヤ「……いえ、すんでません皆さんにお願いがあるんですから」

穂乃果「お願い?」
123: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:57:46.44 ID:Ek0+q9Ie
ダイヤ「一緒に戦って欲しいのです」

穂乃果「戦うって?」

ダイヤ「我々の脅威と」

穂乃果「人間?」

ダイヤ「そうですわ」

穂乃果「人とは戦えないよ…」

ダイヤ「でも戦わないと貴方の仲間達が傷付くかもしれません」

穂乃果「戦ったって傷付くよ……」

ダイヤ「戦わないなら地獄が待っていますわ」

穂乃果「穂乃果は戦いたくない」

ダイヤ「なら」

持っていた刀を希の首筋に当てる。

希「……」

にこ『ちょっと!やめなさいよ!!』

穂乃果(あ……希ちゃんが殺されちゃう…)

穂乃果(どうしよう、どうしよう)

穂乃果(この人を殺さなきゃ……絵里ちゃんみたいに…)

穂乃果(絵里ちゃんみたいに!)

ダイヤ「ここで失うだけですわ」


善子「やめて!!」


ダイヤ「……善子さん…?」
124: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 15:59:08.19 ID:Ek0+q9Ie
希「ふぅ~間一髪やったな」

にこ「ひやひやさせんじゃないわよ!」

ことり「海未ちゃん大丈夫?」

海未「えぇ何ともありません」

花陽「真姫ちゃん!足平気ですか?」

真姫「平気よ」

凛「痩せ我慢ばっかだにゃ」


ダイヤ「仲間を助けていただきありがとうございますわ」

穂乃果「…気にしないでください」

ダイヤ「それなのに私は何て過ちを犯そうとしてしまったのでしょう」

穂乃果「…それで、さっきの協力の話ですけど」

ダイヤ「えぇ先程、詳しく話した通り救世主に目を付けられれば平穏な暮らしは送れなくなるでしょうね」

穂乃果「……でも」

ダイヤ「貴方の要望の妥協案として生け捕りにするという条件ならどうでしょう」

穂乃果「出来るんですか?」

ダイヤ「多少リスクはありますが貴方達の協力があれば十分可能でしょうね」

穂乃果「………」
125: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 16:00:55.88 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果(協力しなくても善子ちゃんを助けた恩で私達には手を出さないと約束してくれた)

穂乃果(でもその場合、私達の安全は保証されないって)

穂乃果(でも協力したら永遠に保証されるの?)

穂乃果(協力したら皆が死ぬかも知れない……)

穂乃果(それでも救世主と戦った方が良いのかなぁ…)


↓戦うor戦わない
127: 名無しで叶える物語(世界最後の大陸) 2018/01/15(月) 16:04:14.20 ID:ag+UvGmt
戦う
136: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:42:13.92 ID:Ek0+q9Ie
~3日後~


花陽「ドキドキしますね……」

にこ「なんで私まで…」

希「おいたが過ぎる子らを懲らしめるんやろ?腕がなるなぁ」

海未「このまま進んでいけば敵のキャンプ地ですね」

ことり「ダイヤさんのグループと私達で周囲を囲って降服させるんだよね」

凛「上手くいくかにゃ~」

真姫「まぁ何とかなるでしょう」

穂乃果「………」

ことり「穂乃果ちゃん?」

海未「穂乃果大丈夫ですか?」

穂乃果「……?」

海未「穂乃果?」

穂乃果「ごめん、ボーッとしてた」

ことり「平気?」

穂乃果「うん、しっかりするから……しっかりするから…」
137: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:42:56.84 ID:Ek0+q9Ie
凛「あのアルパカに今日エサ上げて来たっけ」

花陽「忘れてきちゃったの?」

真姫「大丈夫よ、凛が忘れてたから私が上げといたわ」

凛「流石、真姫ちゃんだにゃ」

花陽「流石だね!」

真姫「普通よ」

凛「……あはは、凛は普通の事すら出来ないにゃ…」

真姫「…?」

花陽「…凛ちゃん?」

凛「うん?なんでもな~い」

海未「そろそろですね」

ことり「……敵はどこ?」
138: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:43:46.74 ID:Ek0+q9Ie
にこ「何よ誰もいないじゃない」

しばらくして反対側からダイヤ達が現れる。

ダイヤ「…どういう事ですか?」

果南「遅かったのかな?」

にこ「情報が間違ってたんじゃないの?」

ダイヤ「そんなはずは…」

凛「名家育ちは自分の非を認めたがらないにゃ~」

にこ「全くとんだ無駄足だったわ!早く帰るわよ」

海未「………」

ことり「どうしたの?海未ちゃん」

海未「…囲まれてます」

ダイヤ「はい?」

海未「私達、囲まれているみたいです」
139: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:44:46.00 ID:Ek0+q9Ie
周囲を見渡すとゆっくりと人影が近付いていた。
人の数は100を超えている。

海未「……これは勝ち目がありません」

ダイヤ「……降参ですわね」



救世主に囲まれ全員跪かされる。
完全に囲まれているので逃げることは不可能だ。

ツバサ「どうもごきげんよう」

バットを持った小柄な女が出てくる。
そのバットには有刺鉄線を巻き付けられ、ほんのり血に濡れていた。

ツバサ「このバットはあんじゅ、私の相棒よ」

女はバットを擦りながら言う。

ツバサ「あんじゅは可愛い女の子が好きなの、そして定期的に血肉で潤わせてあげないといけない」

穂乃果の顔にバットを向ける。

ツバサ「これは吸血バットなのよ」

穂乃果「………」
140: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:45:50.42 ID:Ek0+q9Ie
ツバサ「ところで貴方達は、とても良くない考えを持ってここに集まったらしいわね」

ダイヤ「………」

ツバサ「この前、奇襲を仕掛けてきたのも貴方達ね」

にこ「にこ達は無関係よ」

ツバサ「静かになさい」

にこ「……」

ダイヤ「彼女達は別のグループです、本当に関係ありません」

ツバサ「横槍を刺さないで、こっちからしたらそんなのどうでもいいから」

ツバサ「…それで、今回の落とし前よね。未遂で済んだとはいえ…」

ツバサ「犯そうとした罪の報復は受けて貰わないといけないわね…」

ツバサ「……今からこの中の一人を、あんじゅの餌食にするわ」

ツバサ「つまり殺すって事ね」

穂乃果「……」

ツバサ「どうやって決めようかしらね~」
141: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:46:34.09 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果(……どうしよう)

ツバサ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な・」

穂乃果(……この人数差じゃ抵抗してもすぐに殺されちゃう)

ツバサ「か・み・さ・ま・の・」

穂乃果(せめて私が選ばれれば…!)

ツバサ「い・う・と」

凛「ぺっ!」



ツバサ「………これは唾かしら?血が混じってるわね」

花陽「凛ちゃん!」

真姫「凛!なにやってるの!」

凛「お望み通り美少女の血へどを引っかけてやったにゃ」

ツバサ「血が欲しいのは私じゃなくて、あんじゅよ」

凛「そうだったかにゃ?~」

ツバサ「ふふ、でも要望に答えてくれるなら、貴方にするわ!」

あんじゅと名付けられたバットが凛の頭を叩き割る。
142: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:47:17.81 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果(……あっ……あっ)

真姫「凛!」

花陽「凛ちゃん!」

凛「……ごふっ!ごふっ!」

ツバサ「あら、タフね1発で仕留めたと思ったのに」

凛「……ま…ぎぢゃん、がよぢん…」

真姫「凛!しっかりして!」

花陽「喋っちゃだめ!」

凛「…ありがど…にゃ……いまま…で」

真姫「凛!」

花陽「凛ちゃん!」

ツバサ「泣かすわね……それじゃあさようなら!」

ツバサがバットを大きく振り上げる。
次の瞬間、今度こそ凛の頭は粉々に砕け散った。
143: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:48:04.58 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果(あの後、記憶は定かじゃないけど)

穂乃果(私達は毎月、生活品や嗜好品の供給を求められた)

穂乃果(でもそんなのどうでもいいや)

ダイヤ「申し訳ありません……このような結果になってしまい」

穂乃果「………」

ダイヤ「やはり勝ち目などなかったのですわ」

穂乃果「………」

ダイヤ「私達もおとなしく救世主に降服することにしました」

穂乃果「………」

ダイヤ「仲間達があんな目にあうと考えると歯向かう気もなくなりましたわ…」

穂乃果「………ちょっと近くに来て」

ダイヤ「はい?」

寄ってきたダイヤの髪の毛を掴み地面に叩きつける。

ダイヤ「いっ!」

穂乃果「都合よく1抜けた!ってするつもりじゃないよね?」

ダイヤ「………」

穂乃果「今度は私に協力してもらうよ?そっちの仲間が何人死のうがね…」
144: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:49:15.35 ID:Ek0+q9Ie
~町~

穂乃果(救世主達は毎日供給を集めている)

穂乃果(そして今日はダイヤさんの町に奴等は来る)

穂乃果(私達は町の中に潜んで奴等を殺す)

穂乃果(その為ならこの町の住民が何人死んだって…私には関係ない)


にこ「希、びびってるなら刑務所に待機してれば良かったのに」ブルブル

希「にこっちこそ」ガタガタ

にこ「ふん、私は別に、まぁ乗り掛かった船なんだから最後まで付き合ってやるわよ」ブルブル

海未「ことりも刑務所に待機した方が」

ことり「私は海未ちゃんに最後までついていくよ、それにあいつらも許せないしね」

真姫「………」

花陽「……真姫ちゃん…足、大丈夫?」

真姫「痛み止め飲んだから平気よ、勝てるなら手足の1本や2本くれてやるわよ」


穂乃果(もう時間だ…)
145: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:50:13.35 ID:Ek0+q9Ie
町の中に上機嫌で入ってくるツバサを見つける。

穂乃果(終わらせてやる!)

ツバサは右手にあんじゅ左手に拡声器を持っていた。

ツバサ『この前、注意したのにお仕置きが足りなかったみたいねー?穂乃果さ~ん』

穂乃果(……バレてる?……どうして?)

ダイヤ「ごめんなさいね、穂乃果さん」

穂乃果「………裏切ったんだ」

ダイヤ「おとなしく降服すれば被害も少ないですわよ」

穂乃果「……ふん」

町の住民全てに囲まれる穂乃果達。

ダイヤ「詰みですわ」
146: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:51:10.33 ID:Ek0+q9Ie
ツバサ「貴方達7人の無謀さを称賛するわ」

ツバサ「でもそれも今日まで」

ツバサ「何故なら今日は二人も殺します」

ツバサ「そして残りは手足の骨を粉々にして2度と私に逆らえないようにしてあげる!」

ツバサ「まずは貴方達からやってあげるわ」

真姫「……」

花陽「……」

ツバサ「反抗的な目付きが気に入っちゃった、この前の子のお友達よね?」

ツバサ「なら早いところ送ってあげるわ、同じ所に行くかわかんないけど」

ツバサ「なにか言い残した事は?」

真姫「復讐は必ず果たすわ」

花陽「絶対ね」

ツバサ「そう、応援してるわ。じゃあ赤髪の子から行くわよ!」

真姫「……まだ仲間はいるもの」
147: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:51:54.62 ID:Ek0+q9Ie
『うわぁー!アルパカだ!』

『助けてくれ!』


ツバサ「はぁ?」

呆気に取られているツバサを穂乃果がすかさず駆け寄って殴り飛ばす。
小さな体か地面をゴロゴロと転がり、ふっ飛んだ衝撃でバットを落としてしまう。

穂乃果「これで…!」

穂乃果は、バットを拾い上げツバサに向かって降り下ろそうとした。

ツバサ「……っ!それに触るなぁっ!」

バットを降り下ろすよりも先に穂乃果を殴り倒し血走った目でバットを奪い取る。

倒れこんだ穂乃果の体に容赦なくバットを叩きつけた。

穂乃果「……がぁっ!!」

ツバサ「貴方には仲間を痛め付けるのを見せてから殺したかったけど予定変更よ!」

穂乃果「……ふーっ!ふーっ!」

ツバサ「一番に死んでもらうわ!」

穂乃果「……ふーっ!」
148: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:52:38.99 ID:Ek0+q9Ie
突如、銃声が響きわたる。
6発の銃声が鳴り6人の救世主が倒れた。

ツバサ「何よ……スナイパー?」

~~

善子「あんた達に撃たれた借りは返したわよ」

~~

ダイヤ(まさか善子さん?)

果南「私も救世主と戦う!」バババババン!

ライフルを使って海未や真姫達についていた救世主をなぎ倒していく。

ダイヤ「果南さん!なんて事を……」

果南「いつまでも虐げられるなんてごめんだよ!」

花丸「マルもずら」ヒョイ

花丸が車の隙間から現れ救世主達に爆弾を投げつける。

ツバサ「…ウソでしょ」

爆弾は勢いよく弾け周囲にいた救世主をまとめて吹き飛ばした。
149: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:53:22.98 ID:Ek0+q9Ie
真姫「これで形勢は逆転したわね」

ツバサ「………全部計算通りってわけ?」

真姫「あんたの人望のなさと穂乃果の人望のおかげよ」

ツバサ「……そう」

穂乃果「はぁ…はぁ……」ガチャ

ツバサ「……」

穂乃果は光のない機械的な目をギョロギョロとさせながらツバサの眉間に拳銃の焦点を合わす。

ツバサ「ふふ、こんな目付きの人より人望がないなんてね…」
150: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:54:06.48 ID:Ek0+q9Ie
~数ヵ月後~

~独房~


穂乃果「………」カラン

ツバサ「あら?ご飯かしら、ありがとう」

穂乃果「………」スッ


穂乃果(彼女を結局殺さなかった)

穂乃果(彼女を殺しても救世主は止まらない)

穂乃果(だったら人質として生かして救世主達を牽制しようというのが真姫ちゃんの考えだった)

穂乃果(私よりアイツを憎んでる真姫ちゃんがそう判断したんだから)

穂乃果(これでいいんだよね)
151: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:54:50.35 ID:Ek0+q9Ie
にこ「良いトウモロコシが出来たわ」

ことり「焼いて食べたいね」

希「真姫ちゃん見てみトマト綺麗に色づいてるで」

真姫「私が育てたんだから当然よ」

希「どう料理しよ?」

真姫「トマトラーメンが良いわ」

海未「刑務所の死人を観察し続けた結果わかったんですが、彼等は段々弱っていってるようです」

花陽「そうなの?」

海未「体がどんどん風化していってるみたいです、知能もどんどん衰えてますし」

花陽「たしかに、病院にいた頃、あの子達って石持ってガラス叩き割ったりしてたのに、今のは全然してない!」
152: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:55:33.63 ID:Ek0+q9Ie
穂乃果「…………」

絵里『ツバサを殺しなさい』

穂乃果「…………」

絵里『また仲間が死ぬわよ』

穂乃果「…………」
153: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:56:15.75 ID:Ek0+q9Ie
海未「穂乃果!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「うん?なぁに?」

ことり「向こうで焼きトウモロコシ作ったの!」

海未「皆で食べますよ!」

穂乃果「……うん!」

花陽「早く来ないとなくなっちゃうよ」

にこ「あんた食べ過ぎなのよ」

希「どう?トマトラーメン」

真姫「イケるわね」

穂乃果「あははは!口の回り真っ赤だよ」

真姫「なによぅ!」



穂乃果(あぁ…)

穂乃果(……こんな日々が)

穂乃果(ずっと続きますように)


おわり
155: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/01/15(月) 18:56:59.00 ID:Ek0+q9Ie
以上、ウォーキング・デッドのパロディでした
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『穂乃果「死んだ人達が歩いてる…」』へのコメント

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