千歌「ずっと一緒に」曜「ずっと一緒に」

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ようちか-アイキャッチ12


Side千歌:こたつの中で

千歌「ねえ曜ちゃん」

曜「んー?」

千歌「暇だね」

曜「そうだねー……」

曜「どこか行くー?」

千歌「ううん、このままが良い」

千歌「外、寒いし」

曜「そうだねー……」

pixiv: 千歌「ずっと一緒に」曜「ずっと一緒に」 by あめのあいまに。

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千歌「もう、さっきから曜ちゃんそればっかり」

曜「ごめんごめん。おこたが気持ち良くてぼーっとしちゃった」

千歌「むー。せっかく千歌と一緒にいるんだからもっとシャンとしてよ」

曜「あはは、ごめんね。っしょ、と」ゴソゴソ

曜「ほら、こうやって千歌ちゃんの近くにいれば、ドキドキして目も冴えるよ」

千歌「せまい……」

曜「じゃあ、やめる?」ギュー

千歌「……意地悪」ギュー

曜「ふふっ、困ってる顔の千歌ちゃんが見たくなっちゃって」

千歌「さいてー。そんな曜ちゃんなんて嫌いだよ」

曜「私は千歌ちゃんのこと、好きだけどね」

千歌「……知ってる」

曜「……」

千歌「……」

曜「あったかいね」

千歌「うん、あったかい」

曜「千歌ちゃん」

千歌「んー?」

曜「私たちさ、ずっとこうしていようね。いつまでもどこまでも、こうして二人一緒に」

千歌「うん……」

曜「約束だよ。約束」

千歌「うん、約束」



千歌「ねえ、曜ちゃん」

曜「なあに? 千歌ちゃん」

千歌「あのね、嫌いって言うのは嘘。私、曜ちゃんのこと大好きだよ」

曜「知ってるよ、そんなこと」

曜「千歌ちゃんのことは、なんだって分かるんだから」

千歌「そうだよね」

千歌(曜ちゃんのことが好き。それは本当)

千歌(小さい頃からずっと一緒で、いつしかかけがえのない自分の一部になってて)

千歌(だからこれからもずっと一緒にいられたら、それはきっととても素敵なことだ)

千歌「ねえ、曜ちゃん」

曜「なあに? 千歌ちゃん」

千歌(でもね、曜ちゃん。千歌はきっと、さっきの約束を守ることはできないよ)

千歌(曜ちゃんは凄いから、いつか私が枷になる時が来る)

千歌(たとえ曜ちゃんが気にしなくても、そんなの千歌は耐えられない。そうなる前に、逃げ出しちゃう)

千歌(だから、せめて今だけは)

千歌「……ありがとう」

曜「千歌ちゃん?」

千歌「生まれてきてくれて。いつも側にいてくれて。辛いとき励ましてくれて。楽しいとき一緒に笑ってくれて」

曜「ええ。いきなり小っ恥ずかしいこと言わないでよ」テレテレ

千歌「うるさい!」ギュー

曜「ちょ、千歌ちゃん。苦しいって」アタフタ

千歌「……ふん」

曜「もう、どうしちゃったの?」ナデナデ

千歌「知らない」

曜「急に子供みたいになるんだから。まあ、私はそんな千歌ちゃんも好きだけどね」ギュッ

千歌「馬鹿……」ギュッ

曜「はいはい、バカ曜ですよ」

千歌「ほんと、ばか……」

曜「あれ、千歌ちゃん? 寝ちゃった? 本当に子供みたい」クスクス

曜「……おやすみ、千歌ちゃん」

千歌(少しでも多く、曜ちゃんの温もりを感じさせて……)





Side曜:雪降る街で

曜「ほら、千歌ちゃん。アイスクリーム売ってるよ! 食べよ食べよ」

千歌「ええ、寒いからいいよ……」

曜「そんなこと言わないでさ。雪見アイスなんて風流じゃん」

千歌「全然風流じゃないし、曜ちゃんテンション高すぎ」

曜「だってこんなに雪が積もってるんだよ! 沼津じゃ全然降らないしさ」

千歌「雪ではしゃぐとか子供だよー。千歌はそういうの卒業したのー」

曜「ええっ、千歌ちゃんどっちかって言うと子供」

千歌「は?」ギロッ

曜「いえ、なんでもないです」

曜「あっ、そうだ。せっかく雪があるんだから、今しかできないことをしたいよね」

曜「かまくらに雪だるま、それからそれから~」

千歌「なんでも良いけど、千歌はあっちでコンポタでも飲んで待ってるよ。雪なんて触ったら凍死しちゃう」

曜「……」

曜「そうだ」キュッキュッ

曜「えいっ」

千歌「わふっ」ボフッ

千歌「ちべた……急に何するの!」

曜「雪合戦だよ! えいっ」ポイッ

千歌「わわっ。やったなあ! もう千歌は怒ったよ。後悔しても遅いんだから」ポイポイッ

曜「こっちこそ、千歌ちゃんなんかには負けないよ!」

千歌「むきーっ」



曜「はあ、疲れた」

千歌「ね。雪合戦なんてしたの何年ぶりだろ。手なんてもう冷えきっちゃったよ」

曜「本当だ。冷たい」ギュッ

千歌「曜ちゃんの手は、あったかいね」

曜「鍛えてますから」

千歌「なにそれ」ケラケラ

千歌「はー。高校生にもなってなにやってるんだろ」

曜「私、こうやって千歌ちゃんと馬鹿やってはしゃぐの、好きだよ」

千歌「凄く頭悪そうな台詞だよ、それ。まあ千歌も好きだけど」

曜(千歌ちゃんとは昔から、くだらないことで笑い合えて、たまにやり過ぎて大人たちに怒られたりもして)

曜(けして特別なことはなかったけど、でもそれだけで幸せだった)

曜「ふふっ、おんなじだね」

千歌「うん、そうだね」

曜(私は欲張りだから、もっと千歌ちゃんと一緒に何かをしたいって、密かに思ってたけど)

曜(スクールアイドルを始めて、一緒に全力で何かをやることができて、願いも叶って、千歌ちゃんともより近づけた気がした)

曜(ううん、確実に近づけたよ。私たち、ずっと一緒なんだって思えるくらいに)

曜「ねえ千歌ちゃん」

千歌「なあに? 曜ちゃん」

曜(でもさ、きっとそれは錯覚なんだ)

曜(なんの根拠もないけれど、予感みたいなものを感じるから)

曜(私はいつまでも千歌ちゃんと一緒にいたいけど)

曜(でもきっとあなたは、私の側からいなくなる)

曜(だから、いつか来るその日までは)

曜「また、こうやって馬鹿みたいにはしゃいで遊ぼうね。来年も、再来年も、そのまた来年も……ずっと、ずーっとさ」

千歌「おばあちゃんになっても?」

曜「おばあちゃんになっても!」

曜(少しでも多く、千歌ちゃんとの思い出を作るんだ……)







おまけ

志満「ちょっと千歌ちゃーん。手が空いてるなら大広間の片付けしてちょうだーい」

千歌「もうちょっとだけ待ってー!」

千歌(私は待ちきれなくて何分も前からテレビの前に待機していた)

千歌(CMが明けるとスポーツニュースが流れ始める)

千歌(今日は最近あった世界水泳の特集、高飛込のハイライトが放送される日)

千歌(映し出されるのは、渡辺曜――かつて隣にいた幼馴染の姿)

千歌(高校を卒業した日、曜ちゃんは私を呼び出して言った)

曜『ずっと一緒に、いてほしいんだ』

千歌(曜ちゃんはこの時高飛込みの強化指定選手として、本格的な指導を受けるために東京へ行くことが決まっていた)

千歌(私は、断った。十千万のこともあるし、やっぱり曜ちゃんの隣に立ち続ける自信がなかったから)

千歌(曜ちゃんは私の答えを聞くと、そっか、とだけ言って微笑んだ)

千歌(曜ちゃんは多分、分かってたんだと思う。私が断るって……)

千歌(その後、曜ちゃんは沼津を出て、それきり一度も会ってない)

千歌(それでも、ニュースや何かで活躍が取り上げられて名前を見るたびに、まるで自分のことのように嬉しかった)



千歌(一瞬の静寂の後、曜ちゃんの体が宙を舞った)

千歌(結果はもともと知っていたけど、一瞬の間で誰よりも優雅に、気高く、自由に飛ぶその姿に、そんなの関係ないくらい感動した)

千歌「凄いなあ……」

千歌(表彰台でメダルを掲げる曜ちゃんの姿は、もう千歌なんかじゃ届かないくらい、遠くへ行ってしまったんだって改めて気付かされて)

千歌「ほんと、凄いよ。曜ちゃんは……」

千歌(ほら、やっぱり千歌なんかが一緒にいても、辛いだけだったよ)

千歌(画面越しでも目を背けたくなるほど眩しく輝く曜ちゃんを見て、そう言い聞かせているのに)

千歌「どうして」

千歌(涙が止まらないんだろう。そんなこと、自分が一番わかってるけど)

千歌「千歌が、曜ちゃんと一番遊んだんだ。千歌が、曜ちゃんと一番仲が良かったんだ。千歌が、曜ちゃんと一番一緒にいたんだ。千歌が……」

千歌「千歌が、曜ちゃんの一番近くにいた、のに……」

千歌「どうして、どうして今更」

千歌(自分から怯えて手放したのに、今更一緒にいたかっただなんて、あまりに自分勝手すぎる)

千歌(だけどまるで自分の半身を失ったかのように、私の心は寂しかった)

千歌(今までずっと頑張って見ないようにしていたけど、気付いてしまった)

千歌(私は曜ちゃんがいないと駄目なんだって)

千歌(だけどもう遅いんだ。失ったものは取り戻せない)

千歌「馬鹿だね、千歌は。バカ千歌だ」

千歌(私はテレビを消して部屋を出た)

千歌「おめでとう、曜ちゃん」

千歌(それは夢を叶えた曜ちゃんへ、夢から覚めた千歌からの決別の言葉)

千歌(さて、仕事は山ほど溜まってるんだ。いつまでも感傷に浸ってる暇なんてない)

千歌(それに手を動かしていれば、その時だけは全部忘れられるから)

志満「ちょっと千歌ちゃんー? お客さんよー」

千歌「あ、ごめん志満ねえ。どのお部屋に案内すれば?」

志満「そうじゃなくて、千歌にお客さん」

千歌「え?」

千歌(誰だろう? 特に誰か来る用事はなかったはずだけど)

志満「待たせるのも悪いし、仕事はこっちでやっておくから、行ってらっしゃい」

千歌「う、うん。ありがとう、志満ねえ」

志満(去り際に、頑張るのよ、と声をかけてくれたけど、むしろ大変なのは志満ねえの方じゃ?)



千歌「どうも、お待たせしまし……た」

曜「お久しぶり、千歌ちゃん」

千歌「曜、ちゃん?」

曜「千歌ちゃんは変わらないねー。いや、でもちょっぴり大人っぽくなったかな」

千歌「曜ちゃんは、変わったね。テレビで見たから知ってたけど」

曜「見てくれてたんだ。嬉しいな」

千歌「ねえ、どうして来たの? いろいろ、忙しいんじゃないの?」

曜「うん、忙しいよ。練習練習また練習で、他のことなんて考えられないくらい。大会やなんかで世界中飛び回らなきゃならないし」

千歌「じゃあ、どうして」

曜「決まってる。千歌ちゃんを迎えに来たんだよ」

千歌「でも……」

曜「断ったのに、って? 関係ないよ。渡辺曜は、千歌ちゃんの一番の幼馴染は、とってもとーっても諦めが悪いんだ」

曜「千歌ちゃん、私は夢を一つ叶えたよ。全力で高飛び込みをやって、誰よりも上手くなって、メダルを取って」

曜「だから次の夢を叶えに来たんだ」

曜「それはね、千歌ちゃんがいないとできないことなんだ」

曜「だからさ、一緒に来てよ。千歌ちゃん」

千歌「できないよ。きっと千歌、曜ちゃんにいっぱい迷惑かける」

曜「そこはおあいこだよ。私だって、千歌ちゃんにいっぱい辛い思いをさせると思うから」

千歌「曜ちゃんの役に立てること、なんにもできないし」

曜「私が駄目なんだ。千歌ちゃんがいてくれないと」

千歌「外国語だって全然分からないよ」

曜「私も。通訳さんがいないと買い物一つできないんだ」

千歌「本当に、千歌で良いの?」

曜「千歌ちゃんじゃなきゃ、意味がないよ」

千歌「……曜ちゃん!」ダキッ

曜「千歌ちゃん!」ギュッ

千歌「曜ちゃん、曜ちゃぁあああん」

曜「よしよし、千歌ちゃんは泣き虫だなあ」ナデナデ

千歌(曜ちゃんは私が泣き止むまで、静かに頭を撫で続けてくれた)

千歌(久々に感じる曜ちゃんの温もりに、私の中にあったわだかまりは、すーっと溶けて消えていった)





千歌「それじゃ、行ってきます」

美渡「おう、二度と帰ってくんなよ」

千歌「あ、ひどーい。美渡ねえには絶対お土産買ってあげないかんね」

美渡「なんだとー」

志満「ほらほら、美渡も千歌ちゃんも今日くらい大人しくしてなさい」

千歌・美渡「はい……」

曜「すみません。旅館の方もいろいろと忙しいでしょうに、人手を減らすような真似をして」

志満「良いのよー。子供じゃないんだし、千歌ちゃんが自分で行くって決めたんだもの」

志満「こちらこそ、千歌ちゃんがいろいろ迷惑かけると思うけど、優しくしてあげてね」

曜「もちろんです! 私は千歌ちゃんのことが大好きですから」

志満「あらあら。曜ちゃんったら随分頼もしくなって」

美渡「テレビ見てずびずび泣いてた千歌とは大違いだね」

千歌「なんだとー」

志満「いい加減にしなさい?」

千歌・美渡「はい……」

曜「あ、そろそろ行かないと」

志満「あら、もうそんな時間。引き止めちゃってごめんなさいね」

曜「いえ……。出来るだけ顔を出すようにします」

志満「無理はしなくて良いから、体にだけは気をつけてね」

曜「はい、ありがとうございます。……さ、行こうか。千歌ちゃん」

千歌「……うん!」

千歌(ばいばい、お姉ちゃん。ばいばい、内浦)

千歌(別に今生の別れってわけじゃないけど、寂しくないと言ったら嘘になる)

千歌(それに、新しい生活への不安だってある)

千歌(だけどきっと、どんな困難だって乗り越えてみせるよ)

千歌(だってこれから私の隣には、いつだって曜ちゃんがいるんだから!)

おまけおしまい
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