果南「アザレアを咲かせて」

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果南-アイキャッチ12
松浦家

千歌「聞いてない」

果南「いやー、まあ言わなかったし」

千歌「ダイヤちゃんや鞠莉ちゃんには言ってたって」

果南「そりゃ同じ学年で10年以上の付き合いだし…」

千歌「わたしは生まれてからずっとだもん」

果南「……ごめん」

pixiv: 果南「アザレアを咲かせて」 by 鷹南。

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千歌「果南ちゃんのことだから、そのままお家継ぐと思ってた」

果南「ウチは継ぐよ。けど、そのためにはちゃんと資格も取らなきゃ」

千歌「この辺りは無理でもさ、なんで外国なの?日本じゃダメなの?」

果南「本場で習わないとわからないこともあるしさ。ウチのためにもなるし」

千歌「おじさんたち許したの?」

果南「わたしが決めたならって許してくれたよ、父さんも母さんも」

千歌「ふーん…」

果南「千歌、怒ってる?」

千歌「…」

果南「千歌…?」

千歌「知らない」

果南「えっ」

千歌「果南ちゃんなんか、知らないッ!」

果南「あっ、ちょっと!千歌ッ!」

千歌「外国でもどこでも行って喋れなくて困っちゃえばいいんだぁぁぁーーー!!!」

果南「去り際にそれっ!?」

果南「千歌ってばー!!」

果南「…………ごめんね、千歌」





千歌の部屋

曜『最近元気ないと思ったら…』

千歌「はぅ…」

曜『あちゃー、やっちゃったね』

千歌「やっちゃいました…」

曜『確かに言われた時はびっくりしたよね。果南ちゃんまで留学しちゃうなんて』

千歌「正直な話そこはそんなに気にしてないんだ、わたし…」

曜『あれ、そうなんだ?じゃあ、なんで果南ちゃんに怒っちゃったの?』

千歌「怒ってない!」

曜『怒ってるじゃん…』

千歌「怒ってないもん!こう、なんか…ムシャクシャするというかイライラすると言うか!」

曜『それを怒ってると言わずしてなんと言うんでありましょうか…』

千歌「違うもん」

曜『はいはい。じゃあ、千歌ちゃんはなんでムシャクシャしてるの?』

千歌「わかんないー!わかんないけどムシャクシャするのッ!」

曜『あはは…』

千歌「なに笑ってるのさ!もーっ!」

曜『あー、ごめんごめん。なんか昔のこと思い出してさ』

千歌「昔のこと?」

曜『ちっちゃい頃から一緒だったけどさ、わたしたち果南ちゃんの取り合いしてさ。結局、千歌ちゃんに取られちゃうの』

千歌「そうだったっけ?」

曜『そうだったよ!悔しかったから覚えてるもん、わたし!』

千歌「なんかごめん…」

曜『今さら謝られても…っていうか果南ちゃんの方から千歌ちゃんのこと選んでた気がするなー、たぶん』

千歌「そうなの?」

曜『ごめんね、曜って何回も言われたし』

千歌「わからなかったなー」

曜『わたしと同じなんじゃないかな?』

千歌「同じ?なにが?」

曜『果南ちゃん、3年生の2人との方が仲良いでしょ?』

千歌「…まあ、そだね」ムスッ

曜『……今、ムスッてしたでしょ?』

千歌「な、なんでわかったの!?」

曜『言ったじゃんさっきも!同じって!』

千歌「だからなにが!?」

曜『千歌ちゃん、果南ちゃん取られて悔しいんだよ、きっと』

千歌「ふぇ…」

曜『当たり前だったから気づかなかったんだろうね、その…嫉妬みたいな感情?』

千歌「いや、いやいやいや」

千歌「なに言ってるの、よーちゃん?わたしがダイヤちゃんや鞠莉ちゃんに嫉妬?あるわけないじゃん!」

曜『果南ちゃんがわたしたちに黙って2人とスクールアイドルしてたことは?』

千歌「うっ…」

曜『ほらね?』

千歌「た、確かにスクールアイドルしてたの隠してたのは腹立ったけど!でも…」

曜『MIRACLE WAVE』

千歌「ぐっ…」

曜『あの時、すごくこだわったよね?千歌ちゃんさ?』

千歌「そりゃ廃校がかかってたし、果南ちゃんたちが成し遂げられなかったことを成功させようと…」

曜『表向きには…それは違うか。千歌ちゃんは本気でそうしてたもんね』

千歌「でしょ?だから嫉妬とか『でも!』

曜『無意識に果南ちゃんに自分を見てもらいたいって思ったんじゃないかな?歌詞だって、君に見せるんだ!ってね?』

千歌「うぅ…//」

曜『観念した?』

千歌「……よーちゃんはずるいなー」

曜『わたしも千歌ちゃんの幼馴染みだもん!ちゃんと見てるよ!』

千歌「参りました…」

曜『ふふんっ!よろしいよろしい!』

千歌「…」

曜『……それで千歌ちゃんは果南ちゃんにどうしてほしいの?』

千歌「えっ…?」

曜『だーかーらっ!ムシャクシャしてるんでしょ?どうしたげたら果南ちゃんを許せるの?』

千歌「いや…よ、よーちゃん?わたしは別に果南ちゃんになにかしてほしい訳じゃないよ、実際!」

曜『…』

千歌「果南ちゃんも果南ちゃんでお家のために、将来のために……輝くために一歩踏み出すんだよ?それに文句言っても意味がないに決まってるよ!」

曜『……千歌ちゃん』

千歌「やっぱりすごいよね、果南ちゃん!勉強はそんなに得意じゃないのに急に海外なんてさ!」

曜『…千歌ちゃん』

千歌「きっと海ばっか潜るはずだしさ!身体が日焼けしちゃって困るよ、果南ちゃん!その時は写真催促しなきゃだね!」

千歌「それn『千歌ちゃん!』…はぅ」

曜『……ほんと似た者同士というかなんというか』

曜『わたしたちってどうして本音を隠しちゃうんだろうね。いっつも相手のこととか余計なこと考えちゃってさ…』

千歌「わ、わたしはほんとのことを…」

曜『千歌ちゃん』

千歌「な、なに…?」

曜『すぅー、はぁー……よしっ』

千歌「よーちゃん?」

曜『わたし!渡辺曜は果南ちゃんが大好きです!友だちとか幼馴染みとか女の子だからとか関係なく、本気でだいだいだーいすきであります!』

千歌「……ふぇ」

曜『千歌ちゃんにだって絶対に負けないッ!これだけは絶対に譲らない!!』

千歌「…」

曜『ふぅー……』

千歌「そ、そんなこと言われても、わ、わたしは…」

曜『自分の気持ちに素直になりなよ!本当にこのまま果南ちゃんを行かせていいの?後悔するよ?』

千歌「わかんない………わかんないよっ!」

曜『……なんでわかんないの?』

千歌「そんなのわかんないに決まってるじゃん!急にそんなこと言われても…」

曜『違うよ』

千歌「えっ…」

曜『じゃあ、さ…しっかり果南ちゃんのこと思い浮かべてみて?』

千歌「果南ちゃんの、こと…」


──千歌っ!ほら、こっちおいで!──

──ほんと、しょうがないんだから…──

──大丈夫だよ!さぁ、千歌っ!──


千歌「あわ、あわわ…//」

曜『あ、あれ?』

千歌「あわわわわわわわ!!!///」

曜『ち、千歌ちゃん!?』

千歌「ど、どうしよ!よーちゃん!」

曜『……うん、どうしたの?』

千歌「果南ちゃんのこと考えたら、なんかドキドキして来ちゃったよ!//」

曜『うんうん』

千歌「い、今までこんなことなかったのに…」

曜『……やっぱりね』

千歌「ど、どうしよ?わたし病気なのかな?」

曜『そうだね。とっても大変な病気』

千歌「う、嘘!病院とか行った方がいいのかな?」

曜『意味ないんだなー、これが…』

千歌「よーちゃんはなんでわかるのさ…?」

曜『わたしがその病気にかかってたことがあるからだよ』

千歌「え?え??」

曜『じゃあ、さっきと同じこと言うからさ。素直に感じたことを言葉にしてみてね』

千歌「さっきと同じ…?」

曜『わたしは果南ちゃんが好き!本気の本気で!果南ちゃんのことが大好きッ!』

千歌「!?」

千歌「だ、ダメっ!!ダメだよ!果南ちゃんはわたしの…」

曜『……わたしの?』

千歌「わたしの…たいせつな……」


──ありがとう、千歌…!──


千歌「…あっ」

曜『…』

千歌「そっか、そうなんだ。そうなんだね…」

曜『……じゃあ、改めて聞きます!』

曜『千歌ちゃんは果南ちゃんにどうしてほしいの?』

千歌「わたしは……果南ちゃんが好き!」

千歌「だから、遠くに行ってほしくなかった。ずっとそばにいてほしかった…けど、ちょっと遅いから!」

曜『うん』

千歌「わたしの気持ちを聞いてほしいッ!ずっと、ずっと秘めていたこの気持ちを果南ちゃんに届けたいッ!!」

曜『うんうん!そうそう!!』

千歌「そうだ!そうだよ!!わたしはちっちゃい時から果南ちゃんが大好きだったんだ!当たり前すぎて気づかなかったけどずっとずっと好きだったんだよ!」

曜『うわぁ…気づいた瞬間すんごい勢い……』

千歌「…って、卒業式まであと少しじゃん!?ど、どうしよ、よーちゃ~ん……あっ!よーちゃんはライバルなんだった!」

曜『ふふっ、そうだよ!負けないもんね~!!』

千歌「む~っ!確かによーちゃんには色々負けっぱなしだけど、果南ちゃんのことなら負けないもん!!」

曜『そうかな~?でもわたしだけじゃないかもよ~?果南ちゃんと言えば…』

千歌「はっ…!鞠莉ちゃんとダイヤちゃん……!!強敵だらけじゃ~ん!?」

曜『ヘタしたらAqoursのみんな果南ちゃんのことを…!』

千歌「そ、そんな~~~!!?」

曜『果南ちゃんは誰のモノかな~?』

千歌「ダイヤちゃんたちの曲みたいにすんな~!!」

曜『あははッ!うん!いつもの千歌ちゃんだ!』

千歌「あはっ、あははっ!やっぱりよーちゃんはすごいや!でも、わたしも負けないよ~!」

曜『こっちこそ!』

千歌「よーっし!明日からいつも以上に果南ちゃんに甘えるぞ~!」

曜『ち、千歌ちゃん…甘えちゃ今と変わんないよ』

千歌「そっか!どうしたら…」

曜『自分で考えて♪』

千歌「わ、わかってるよ!聞こうとなんてしてないもん!ほ、ほんとだよ?」

曜『はいはい。じゃ、切るね』

千歌「うん!ありがと、よーちゃん!お互い頑張ろーね!」

曜『千歌ちゃんったら…バイバイ!』

千歌「ばいば~い…んしょ!」ピッ

千歌「……ドキドキしてる。ラブライブ!決勝の時とはまた違うドキドキ!」

千歌「くーーーっ///なにこれなにこれ!?果南ちゃんのこと考えるだけで胸が苦しくなってくるよ!//」

千歌「はぁ……」ゴロンッ

千歌「えへへ…//」



渡辺家

曜「……ふぅ」ピッ

曜「お互い頑張ろーってやっぱり千歌ちゃんだなー」

曜「ちょっと風にでも当たろうかな…」カラカラ…

曜「うっ!やっぱまだ寒いな~」

曜「あはは…」ジワッ

曜「あ、あれ?涙…?」


『ごめんね、曜…』


曜「か、かなんちゃん……う、うぅ」グスッ


『好きな人いるんだ。わたしはその子の2番目じゃなくて1番目になりたいんだ』


曜「うっ、ひぐっ……あ、あはは。やっぱ敵わないや…」


『けど、その子はそういうのは興味ないみたいだし。わたしも片想いなんだけどね。あはは…』


曜「好きな人には幸せになってほしいもん。あの2人ならなおさら、ね…」

曜「頑張れ、2人とも…!」


曜「……星、キレイだなー」





2年教室

千歌「…」ダラー

梨子「よ、曜ちゃん!」

曜「んー?どしたの、梨子ちゃん」

梨子「千歌ちゃんどうしたの?」

曜「さあ……なんでかなん?」

千歌「果南ちゃん!?」ガタッ

梨子「ひゃっ!?」

千歌「……あれ?」

曜「あはは」

千歌「梨子ちゃん、よーちゃん?何してるの?」

梨子「何してるのはこっちの台詞よ!千歌ちゃんこそ、どうしたの?ボーッとしちゃって…」

千歌「あ、あー……はぅ」

梨子「えっ…?ち、千歌ちゃん!?」

千歌「ど、どうしよー……」

梨子「な、何かあったの?悩み事??」

千歌「あ、いやー!そのぉ…」

曜「ふふっ」

梨子「さっき果南ちゃんとか言ってたし」

千歌「え、えーっと…」

梨子「むむむっ…」

曜「ほら、梨子ちゃん!果南ちゃんたち3年生は卒業式まで基本学校にもういないじゃん?ラブライブ!も終わっちゃったし…」

梨子「ああ…なるほど」ニヤニヤ

千歌「な、何にやにやしてんのさ」

梨子「ううん。千歌ちゃんは寂しがり屋なんだなーって」

千歌「なっ!」

梨子「ふふっ。ほらほら!私たちはまだ授業あるんだし、ボーッとしてちゃダメよ?」

千歌「あっ!……むぅー」

曜「千歌ちゃんったら…」

千歌「な、なんかごめんね、よーちゃん」

千歌「ライバルなのに」ボソッ

曜「ライバルって…気に入ったの、それ?」クスッ

千歌「よーちゃんとは一緒に輝けたし、次は競う番なのです!」

曜「…変なの!」

千歌「でも、実際どうしよ?果南ちゃん学校にいないし…」

曜「鞠莉ちゃんとダイヤちゃんはいるのにね」

千歌「それはまあしょうがないでしょ。手続きやらなんやらしてるんでしょ?」

曜「だねー。でも鞠莉ちゃん、すぐに仕事終わらせてはダイヤちゃんとこ行ってるみたい」

千歌「やはりエリートか」

千歌「てか!なんで一緒にいないかなー!」

曜「まあお家手伝ってるんでしょ?」

千歌「そうだろうけどさ…」

曜「……千歌ちゃん?これは逆にチャンスなんじゃない?」

千歌「ふぇ?チャンス?なんで?」

曜「3年生が集まってるとこで果南ちゃんにだけアピールできる?」

千歌「…………あ」

曜「でしょ?でも、今果南ちゃんはお家にいる。前みたく果南ちゃんち遊びに行けばいいんだよ」

千歌「そっか!…って果南ちゃんちそういえばあれ以来行ってなかったなー」

曜「あはは…」

千歌「よしっ!じゃ、学校終わったら行ってみよ!」

千歌「よーちゃんはどうする?」

曜「わたし、今日は用事が…」

千歌「……気は使ってないよね?」

曜「ないよ♪」

千歌「なら、いいんだけど…今度は一緒に行こうね!」

曜「うん!」



松浦家

千歌「とうちゃーくッ!」

千歌「この前来たのになんか違う感じ…」

千歌「(果南ちゃんに伝えなきゃ!わたしの想いを!)」

千歌「よーっし…」

千歌「果南ちゃーーーーーんッ!!!」

シーン…

千歌「ありゃ?果南ちゃーん?」

千歌「いないのかな?」

千歌「果南ちゃ」

果南「ハグぅぅぅ!!」ギュー

千歌「んんんんんんんんんんんん!!?///」

果南「久しぶりに千歌にハグできたー♪」

千歌「あわ、あわわ、あわわわわわ//」ドキドキ

果南「あれ?どうしたの、千歌?なんかいつも以上にあったかいよ?」

千歌「(なに?何?ナニ?これはいったいなんなの?)」オーイ

千歌「(こんなの日常茶飯事じゃん!なんでこんなにドキドキしてんのさ!)」チカァ?

千歌「(しかも、この昔から変わらない安心できる匂い。その中に包まれてるっていうこの幸福感。それに果南ちゃんの体温とか顔とか近くて…)」ンー?

千歌「近くて…」コツンッ

果南「んーっと……熱はないか」

千歌「ひ、ひゃっ///」カァァ

果南「あれ?また熱くなった?」

千歌「ば、ばばば、バカっ!//」ドンッ

果南「きゃっ」

千歌「な、何すんのさ!いきなり!//」

果南「何って…いつもみたく熱計っただけだけど」

千歌「手を当てるとかでいーじゃん!わざわざおでこ当てなくても…」

果南「今さらどうしたの?千歌や曜にはいっつもこうやって計ってあげてるじゃん…」

千歌「よ、よーちゃんにも!?」ズキッ

果南「いや、見てたでしょ…やってたの」

千歌「見てたけど…見てたけどぉ!」

千歌「(なにこれぇ!?よーちゃんが果南ちゃんに計ってもらってるの思い出しただけなのに、胸がモヤモヤして…!)」

千歌「う、うーっ!」

果南「何唸ってるの?急に駆け出して帰ってったと思ったら、なんか変になっちゃって…まだ怒ってるの?」

千歌「そ、そうだよ!果南ちゃんが悪いんだもん!」プイッ

果南「もーう!だから謝ったでしょ?」

千歌「う、うるさいっ!わたしがこうなったのも全部果南ちゃんが悪いッ!」

果南「ご、ごめん…」

千歌「あっ、ちがっ、そうじゃなくて…」

千歌「(なんで果南ちゃん相手にこんなになっちゃってるの、わたし…)」グスッ

果南「えっ!?ちょ、ちょっと!?」

千歌「わかんない!わかんないよー!」ヘタリッ

果南「ほんとどうしちゃったの千歌…」

果南「あー、よしよし」ギュー

千歌「う、うぅ…かなんちゃぁ……」

果南「立てる?よいしょ…」

千歌「…」

果南「もう、怒ったり泣いたりせわしないんだから…」ナデナデ

千歌「かなんちゃ、のばか…」

果南「はいはい、ごめんごめん」

千歌「…」

千歌「チカのことはなんでも知ってるくせに、自分のことは勝手に決めてチカには教えてくれない…」

果南「…」

千歌「ダイヤちゃんや鞠莉ちゃんとももっと早くにお友だちになれてたかもしれないのに…」

千歌「スクールアイドルももっと早く大好きになれたかもしれないのに…」

千歌「もっと、もっと果南ちゃんとたくさん笑ったり、泣いたり、喧嘩したりできたかもしれないのに…」

千歌「果南ちゃんはズルい、ズルいよ…」

果南「……ごめん」

千歌「ゆるさない、ゆるさないもん…」ギュー

果南「弱ったな」

千歌「でも…」

千歌「そんな遠回りと果南ちゃんの優しさのおかげでこの気持ちに気づけた」

果南「千歌…?」

千歌「果南ちゃん、チカね?今すごく安心してる。昔から果南ちゃんのハグは安心できるから…」

千歌「でも、今はそれだけじゃないんだ。それに負けないくらいドキドキしてるの」

千歌「き、聞こえる…かな?//」ウワメ

果南「うっ//」

果南「き、急に何言ってんのさ千歌!ど、どうせまたドラマとか見て影響受けたんでしょ?」

果南「ほんとにそういうとこ昔から変わってない…」

千歌「勝手に決めないでってば!!」

果南「ぐっ…」

千歌「…………好き」

果南「す、好き?わたしも千歌のこと好きだよ…?」

千歌「違う、違うよ!よーちゃんにだって負けないくらいにチカは本気で…!」

果南「曜…?」

果南「(あの子…)」

果南「余計なことを…」ボソッ

千歌「果南ちゃん…?」

果南「千歌、その気持ちはたぶん一時の気の迷いだよ」

千歌「そんなこと…!」

果南「もう1回落ち着いてから来なよ。わたしは卒業まではここにいるからさ…」

千歌「でも、この気持ちはほんとに…!」

果南「千歌ッ!」

千歌「うぅ」ビクッ

果南「今日はもう帰った方がいいよ」

千歌「チカは…わたしは……!」

千歌「くっ…」タタッ

果南「…」

果南「はぁ…」スッ

プルルルル…

果南「やっほ。悪いんだけど今から来てくれる?帰りは父さんに頼んで送ってもらうからさ…」



果南「……久しぶり、だね」

曜「…うん」ウツムキ

果南「顔上げてよ?曜にそんな態度取られると、さすがに寂しいよ」

曜「だってわたし、果南ちゃんと合わせられる顔なんてないもん…」

果南「…」

果南「千歌になにか言ったでしょ?ここ数日来なくて、今日来た瞬間にあんな態度なんて…」

曜「…」

果南「わたしが悪いとこもあると思うけどさ。曜のそのなんて言うんだろ…ああっ、もう!」

曜「あはは…やめてよ、果南ちゃん。変に優しくしようとしないでよ…」

果南「……ごめん」

曜「なんで?なんで謝るの?果南ちゃんはなんにも悪くないじゃん!」

果南「だとしても曜を傷付けたことにはかわりないんだし…わっ!?」

曜「…」ギュー

果南「曜…?」

曜「だから…さぁ!」ギュッ

曜「優しくしないでって言ってるでしょぉ…!せっかく人が必死に諦めようとしてるのにさぁ…!」

曜「そんな態度取るからいつも苦しくなるんだよぉ…!まだわたしにも、わたしにもチャンスがあるかもって勘違いしてさぁ…!」

果南「…」

曜「優しすぎるんだよ!果南ちゃんはいつもいつも!!」

果南「ちょ、ちょっと曜!落ち着いて…」

曜「昔からそう…!自分の方がうまくできるのにわざと負けたり、悲しいのにヘラヘラしたり!いつもわたしたちに合わせようってしてくれてたり!」

果南「…!」

曜「そんな優しさ逆にウザったいんだよ!果南ちゃんは松浦果南でいればいいのに!無理にお姉ちゃんぶらないでよ!」

果南「………まれ」

曜「それにわたしたちには自分に起きてたこと1つも教えてくれなかった!鞠莉ちゃんたちのこと!スクールアイドルのこと!廃校の危機にあったこと!」

果南「…黙れ」

曜「人のことには首突っ込むくせに、自分のことは自分で勝手に決めて!口には出さないだろうけどきっと鞠莉ちゃんやダイヤちゃんだって本当はその時…」

果南「黙れッ!!!」ガシッ

果南「あんたに…!あんたにわたしの何がわかるって言うのよ!」

曜「ぐっ…!」キッ

曜「わかるよ!鞠莉ちゃんたちにしたことは優しさ?そんな優しさ間違ってるに決まってるじゃん!わたしたちにしてることと変わらないじゃんかぁ!」

果南「そんなこと言われなくてもわかってるよ!誰かが苦しむ…!そんなの見たくないに決まってる!」

果南「それにあんただって今、勝手に決めて自分だけ傷つこうとしてるだろ!人のこと言えないじゃんか!」

曜「確かに自己犠牲かもしれない…!でも、これは自分で決めて自分のためにやったことだもん!」

果南「だったら…!だったらわたしも同じじゃん!自分で決めて、行動に移した!そうでしょ!?」

曜「ぜんっっっぜん違うッ!!」ドンッ

果南「きゃっ」ドサッ

曜「果南ちゃんはッ!」ガバッ

果南「どけっ!」キッ

果南「…………曜?」

曜「果南…ちゃんは……!」グスッ

曜「いつも…人のためにばっかり頑張ってる!!」

曜「その優しさはいつも自分以外の人に向いてる…!」

曜「そうやって自分にすべて溜め込んで…」

果南「…」

曜「自分に厳しいのはいいよ…。でも、でもそれと同じくらい自分には優しくあってよ!」

曜「もう果南ちゃんはたくさん…たくさん頑張ったんだからさ、自分の気持ちに素直になってよ!」

曜「隠さないでよ…!」

果南「もう…なんでこうなる、かなぁ…」グスッ

果南「…………わ、わたし……は!」

果南「千歌が好きぃ…好きなのぉ……!」

果南「でも、でも…伝えたら壊れちゃう……」

果南「今まで積み上げてきたものがすべて壊れちゃう…」

果南「曜だけじゃない。きっと鞠莉やダイヤ、Aqoursのみんなともたいへんになる…」

果南「そんなことになるくらいなら、この気持ちは蓋をしてしまった方が良いって…」

果南「海外に行くのも目的は確かにある…けど、遠く離れればこの気持ちも薄れていくと思って……」

果南「わたしは優しくなんかない。強くもない。わたしは理由をつけて逃げ出そうとする臆病者でしかないの…」

曜「うん…でも、大丈夫。もう、大丈夫。自分のためにも、わたしのためにも、千歌ちゃんに想いを伝えたげて」

果南「でも、それだと曜が…」

曜「わたしがしてって言ってるの。確かに果南ちゃんがわたしを選んでくれないのは悔しいけど…」

曜「大好きな2人が幸せになるんだもん!嬉しいに決まってるでしょ?」

果南「でもぉ…」

曜「そーれーにっ!何年の付き合いだと思ってるの?これくらいじゃ切れないよ、この関係はさ!」

曜「でも千歌ちゃんにはちゃんとどっちが大事か言いなよ?鞠莉ちゃんたちと仲良くしてたの見て、無意識に嫉妬してたみたいだし…」

果南「そ、そうなの…?」

曜「……ぷふっ」

果南「な、なによぉ?」

曜「いや。さっきまですごい剣幕だったのに、今はこんな弱々しい果南ちゃんになっちゃって……」

曜「んしょっと…ごめんね?押し倒しちゃって…」スッ

果南「びっくりしたけど大丈夫…あ、ありがと」ギュッ

曜「普段は王子さまポジションなのに、これじゃお姫さまだね!」クスッ

果南「うっさい…//」

曜「今アタックしまくれば果南ちゃんはわたしを選んでくれたりして」

果南「無理!わたしの心は千歌でいっぱいなの。曜が入る場所はありません!」

曜「言うようになったじゃん」

果南「バカな幼馴染みが貪欲になれって言ったからね」

曜「ふふっ」

曜「そっか!大バカな幼馴染みにやっと伝わったみたいだね!良かった良かった!」ニッ

果南「ごめんね、曜」

果南「それから…」


果南「ありがとね」ニコッ


曜「…!」ビクッ

曜「ズルいなぁ、果南ちゃんはぁ……」グスッ

果南「うん」ギュ-

曜「明日からはいつもの元気なわたしでいるからさ…きょうだけは、こうさせて…」

果南「うん、いいよ」ギュッ

曜「かなん…ちゃぁ……」

曜「だいすき…だった」

果南「うん」

曜「ずっと…ずっとぉ……」

果南「わたしを好きになってくれて、ありがと…」

果南「曜…」ギュー

曜「うわあああぁぁぁぁぁん!!」

果南「そういえば曜は…」

果南「昔から泣き虫だったね」クスッ

曜「(ありがと、果南ちゃん…)」

曜「(あなたのことが本当に大好きでした…)」



千歌の部屋

千歌「…」ゴロンッ

千歌「落ち着いて…か」

千歌「確かによくわかんないまま突撃してたもんなー」

千歌「でも考えるとドキドキするのは確かだし…」

千歌「うーーーーーーーん」

バンッ!

美渡「ったく、うっせーぞ!バカ千歌ァー!」

千歌「あっ、ごめん美渡姉」

美渡「お、おう…」

美渡「(なんだ、張り合いないな)」シュンッ

千歌「あれ?どうかしたの?」

美渡「別になんもねーよ」

千歌「…」

美渡「んだよ、らしくないな…」

千歌「美渡姉」

美渡「あん?」

千歌「恋って、なんなのかな?」

美渡「…………は?」

千歌「うん」

美渡「ど、どうした?頭でも打ったか?」

千歌「みたいなものかも。まるで思いっきり頭叩かれたみたいにボーっとしちゃってさ」

美渡「そ、そうか…。お前みたいなちんちくりんが恋だとか、早すぎるだろ!」

千歌「でも、知りたいなー…恋」

千歌「こんな感情初めてだからさ」マクラギュー

美渡「…」

美渡「(は、はぁ…?千歌が恋って、嘘でしょ?からかっても全然張り合ってこないし…)」

美渡「(誰だろ?曜か?それとも隣に住んでる梨子ちゃん?もしくは…)」

美渡「ちなみに誰なんだよ…気になるヤツって」

千歌「えっ!?//」ガバッ

美渡「わっ!びっくりした…」

千歌「い、言わなきゃダメ…?」

美渡「そりゃ妹の恋路だぞ?気になるに決まってんじゃん!教えろって!」

千歌「ダメだよ!まだわかんないし!ほんとに気になるかなーってくらいだしさ!」アタフタ

美渡「いーじゃんか!減るもんじゃないし!」

千歌「そーかもだけど!美渡姉もよく知ってる人だからダメなの!!//」

美渡「…ってことは昔からの付き合いってことだから」

千歌「…」

美渡「曜」

千歌「…」

美渡「果南」

千歌「…」

美渡「…………果南」

千歌「//」カァァ

美渡「ほぉーん…?果南かぁ…」ニヤニヤ

千歌「ち、違うしッ!//勝手に決めつけないでくれる?」

美渡「さっきまで淡白な返しだったのに、なに急にマジになってんの?」ニシシ

千歌「うーっ!うーーーっ!!//」ブンッ

美渡「こらっ!投げんな!」

千歌「もう!閉めてよ!!今、真剣に果南ちゃんのこと考えてるんだから!」ガッ

美渡「んだよ!面白くねーな~…」

千歌「ほら!手退けてよ!閉めれないでしょ?」グーッ

美渡「おっと…」

美渡「(なんかこの1年で見違えたな…)」

美渡「ふふっ」クスッ

千歌「なにぃ?まだなんかあるの?」

美渡「いーや、なんでも!……千歌?」ニッ

千歌「ん?」

美渡「恋に理由なんていらねーと思うぞ?そうやってマジで考えるってことが答えになってると思うし…な?」ワシャッ

千歌「……なにそれ」クスッ

美渡「以上ッ!これでもダメなら大バカ千歌な?」

千歌「むーっ!一言余計!」プクー

美渡「恋せよ乙女ってな♪んじゃ!」

バンッ

千歌「ちょっ!…もう!いっつも美渡姉は~!」ボスンッ

千歌「……えっへへ♪」

千歌「ありがと…美渡姉」ニコッ






2年教室

千歌「ふわぁ~~……」

梨子「なんか眠そうだね?夜更かししたの?」

千歌「ん~…ちょっと考え事ぉー」

梨子「歌詞は?」

千歌「うわぁっ!?……って、もう!」

梨子「ふふっ、ごめんごめん♪」

曜「なになに?なんの話?」

梨子「ううん、なんか色々あったなーって」

曜「どうしたの、急に?」

梨子「なんとなくよ♪それより朝から気になってたんだけどさ…」

曜「んー?なに?」

梨子「曜ちゃん、なにかあったの?なんかファンデいつもより厚い気がしてさ…」コソッ

曜「あ、あー…ちょっと泣いちゃって」

梨子「泣い……だ、大丈夫なの?」

曜「いや~久々に海上保安官の映画観てたらなんか泣けてきちゃって…」

梨子「び、びっくりしたぁ……でも、確かに泣けるよね!あの映画!」

千歌「あっ!よーちゃんが梨子ちゃん取った~!わたしも混ぜろ~!!」

梨子「千歌ちゃんがまたボーっとしてたんでしょ!」

曜「あははッ!」

千歌「むーっ!……あれ?」ピロンッ

曜「千歌ちゃん、マナーにしときなよ…」

千歌「あはは、失敗失敗…どれどれ」スッ

千歌「…………あ」ガタッ

ようりこ「ん?」

千歌「ん~~~っ…!」

千歌「やったぁぁぁーーーーー!!!」

梨子「ち、千歌ちゃん…?」

千歌「はっ!?//」カァァ

曜「…」クスッ

曜「どうしたの、千歌ちゃん?」

千歌「あのね!あっ、いや!えと、そのぉ」

梨子「お家にみかんでも届いた?」

千歌「みかん届くの!?」

梨子「いや知らないわよ!」

千歌「なんだ~」

梨子「全く…じゃあ、なんだったの?」

千歌「そ、それはー……な、ないしょで//」

梨子「えー」

千歌「う、うまくいけば教えるからさ!」

梨子「うまくいけば…?またなにか変なこと考えてる訳じゃないわよね?」

千歌「あー!もうッ!わたしのことはもういいから!」

曜「…」ニコニコ

曜「がんばれ、2人とも」ボソッ



高海家前バス停

千歌「…」ソワソワ

千歌「ま、まだかな…?」

千歌「果南ちゃん…!//」


かなん:今日話したいことあるから家の用事済ませたらそっち行くね。泊めてくれると助かる。邪魔なら泳いででも帰るからさ。


千歌「大丈夫、だいじょーぶ…」

千歌「あっ、来た」

千歌「へ、変じゃないよね?髪とか!見た目とか!!」

千歌「いや!相手果南ちゃんだよ?そこまで…」

千歌「でもでも…逆に果南ちゃんだからこそというか」

果南「ちーかっ♪」

千歌「ひゃいっ!」

果南「やっほ♪なに1人で百面相してるの?」

千歌「い、いや!なんでもないよ!なんでも!」

千歌「…ってなに持って来たの、それ?」

果南「これ?これはねー…」



砂浜

千歌「おーっ!」

千歌「すごいよ!お星さまの色がちょっとずつだけどみんな違うよ!」

果南「そんな変わんないのに…」

千歌「でもほら!みかん色っぽかったり、青っぽかったり!それがこんなはっきり見えるんだよ!すごいじゃん!」

果南「そうかもしれないけどさ…そんなに大事なこと?」

千歌「だってさ…!」バッ

千歌「こんなに綺麗に輝いてるお星さまぜぇーんぶ!わたしたちにはおんなじ色に見えるでしょ?」

千歌「でも、わたしたちが見えてなかっただけで実際は1つ1つが違う輝きを放ってるんだよ…!」

千歌「わたしたちもそうだった!みんな違う輝きを持って、重なって、Aqoursっていうお星さまになれた!」

千歌「自分たちのことお互いによーく見て、そして知れたからわたしたちはひとつになれた!」

千歌「それってとっても素敵なことだと思わない?」

果南「ふふっ…」

果南「さすが作詞担当様。なかなかに素晴らしい感性を持ってるね!」

千歌「うぅ、茶化さないでよぉ…//」

果南「ごめんごめん♪」

千歌「それを言うなら果南ちゃんだってそうでしょ!Aqours作詞担当初代さん?」ムスッ

果南「昔のことは知りませ~ん」

千歌「あーっ!ずる~い!!」

果南「あははッ!」

果南「………座ろっか?」

千歌「う、うん」

果南「寒くない?」

千歌「へーき」

果南「そかそか…」

千歌「うん…//」

ちかなん「…」

ちかなん「……」

ちかなん「………あのっ!」

果南「ご、ごめっ…千歌からどうぞ!」

千歌「いや!果南ちゃんから…!」

ちかなん「…………ぷふっ」

ちかなん「あはははは!」

千歌「こんな漫画みたいにタイミングが被るなんて!」

果南「いつもはどっちかが察して話す方と聞く方と自然と分かれるんだけどね」

千歌「おっかしぃ」

果南「でも…」

果南「今はそんな余裕ないくらいドキドキしてる…!」

千歌「…!」

果南「千歌もおんなじだったら……その、嬉しいな//」ニコッ

千歌「…//」

千歌「え、えっと…さ?」

千歌「果南ちゃんはさ…なんでドキドキしてるの?」

果南「うーん…」

千歌「じれったいなー」

果南「じゃあ千歌はなにを期待してるの?」

千歌「お、おしえない…」

果南「なにそれ…」クスッ

千歌「知らないっ//」プイッ

果南「…………普通怪獣、だっけ?」

果南「千歌は自分のことをそう言ってたって曜たちが言ってたけど」

千歌「まあ、うん…」

果南「今は違うでしょ?」

千歌「…………うん!」

果南「よかった」

果南「その時、曜たちも言ってたんだ。千歌は普通なんかじゃない。特別な力を持ってるんだって」

果南「それを聞いて思い出したの。わたしが千歌から少し距離を置いて鞠莉たちといるようになったことを」

果南「確かに年齢的なことはあったかもしれないけど。わたしはたぶん逃げたんだ、千歌から」

千歌「どうして…?」

果南「千歌自身は気づいてないと思うけど、千歌は人一倍なにかに憧れる力が強かったんだよ」

果南「曜にしてもそう。梨子ちゃんにしてもそう。他のみんなも千歌の憧れるのに匹敵する力を持ってた」

千歌「それなら果南ちゃんだって…!」

果南「そりゃ、今のわたしなら胸を張って千歌に威張れるところはあるよ!体力とかダンスとか!」

果南「でも…まだ幼かったわたしは千歌と同じ普通の女の子だった。海が好きで、千歌や曜より1つ歳上なだけの普通の女の子」

果南「怖かった。千歌に飽きられるんじゃないかって。曜に嫉妬したりしてた。わたしにないものを持ってるって」

千歌「果南ちゃん…」

果南「そんな時、鞠莉に出会った!輝いてるって一目見ればわかる女の子!わたしも千歌みたいに憧れたんだ、鞠莉に!」

果南「鞠莉と、そしてダイヤと過ごすことで変われた!でも、そんな毎日が楽しくて千歌や曜をほったらかしにしちゃった…」

果南「千歌や曜といる時は昔と変わらないわたしでいるようにした。もう千歌を追い込みたくなかったから…」

千歌「…」

果南「そして、わたしたちは高校生。そこでスクールアイドルをやることになった。これなら千歌にも輝きを伝えられる。特別な力が無くても輝けるんだって!でも結果は…」

果南「輝きを結果的にわたしは壊してしまった。スクールアイドルと、そして友情も…。わたしはまた普通の女の子に戻った」

果南「誰かを傷付けるくらいなら、自分は輝かなくていい。傷付くのも自分だけでいい。そう思った…」

果南「でも…!」ギュー

千歌「わっ!」

果南「千歌がそんなもの全部引っくるめて拾い上げてくれた!あの時にはなかった綺麗な瞳を輝かせて!」

果南「その時、気づいたんだ。わたしが本当に憧れたのは…何事にもまず挑戦しようっていう千歌の姿だったんだって!」

果南「なにかするって言ったら、2番目はいつもわたしで…千歌がやることは全部やって来たもんね?」

千歌「ご、ご迷惑を…」

果南「いーの!…だからこの気持ちに気づくのも遅れちゃったんだと思う。わたしにとっては当たり前だったからさ」

果南「前置きが長くなっちゃったね」パッ

果南「千歌?」

千歌「……なーに?」


果南「あなたのことが好きです。今も昔も変わらない。わたしの憧れたあなたのことが大好きです…!」


千歌「…」

果南「ど、どうかな…?」

千歌「はぁ…」

果南「え、えぇ!?」

千歌「自分こそ長々語っちゃって。なーにが作詞担当様だよ、こんちくしょー…」

果南「ち、千歌…?」

千歌「あーっ!せっかく色々考えたのにぃ!!果南ちゃんのせいで台無しだよぉー!」

果南「う、うぅ………ひゃっ」

千歌「ズルいよ、果南ちゃん…!」ギュー

千歌「そんな想いぶつけられたら、もっともっと大好きになっちゃうじゃんかぁ…」

果南「千歌…」


千歌「ありがとう、ずっと…ずっと見守ってくれて!チカ、こんなに強くなれたよ!」ニコッ


果南「うん…!」ジワッ

果南「あ、あれ?」ポロポロッ

千歌「か、果南ちゃん!?」

果南「お、おかしいなぁ…なみだがとまんな、ひっぐ…う、うぅ……」

果南「よかった…よかったよぉ……」グスッ

千歌「あはは…どっちがお姉さんなんだか……」

果南「うぅ…」

千歌「よしよーし…」ナデナデ



高海家

千歌「ただいまー」

志満「お帰りなさ~い!星は綺麗に…」

果南「お邪魔しまーす…//」ギュッ

志満「あら?あらあらあら~?」ニコニコ

千歌「えへへ…♪」スッ

果南「は、恥ずかしいからやめよって言ったじゃん!志満姉の前で恋人、つなぎ…とか//」カァァ

千歌「だってやりたいって言ったの果南ちゃんでしょ?ほれほれ~!憧れの恋人繋ぎだぞッ♪」

果南「うっさい!バカぁ!!///」

千歌「果南ちゃん、ウブなんだねぇ…」ニヤニヤ

果南「ふ、ふんっ!」プイッ

志満「にしても、困ったわねぇ…」

果南「あっ…やっぱりわたしじゃ千歌には……」

志満「ご飯もう炊いちゃった、お赤飯炊けない…」

千歌「そ、そんなぁ…!」

果南「志満姉ぇ!!!///」

ガララッ

美渡「ただい……ま」

志満「お帰り、美渡ちゃん!遅かったね!」

美渡「あ、うん…」チラッ

果南「え、えと…」

美渡「果南」

果南「は、はいっ!」ビクッ

美渡「ちょっと付き合え。あっ、千歌はここにいな」

千歌「や、やめてよ?喧嘩とか…」

美渡「するかよ。確認確認。だいたい昨日の時点でわかってたっつーの」ニヤニヤ

千歌「バカ姉…」

美渡「ほら、行くぞ」

果南「うん」パッ

千歌「あっ」

果南「どうかした?」

千歌「そっかそっか………えへへ//」

果南「ん?まあ、行ってくるね」

千歌「うん♪」ニコッ

ガララッ

志満「めでたいもの…めでたいもの……鯛あったかな?お父さーん?」トトッ

千歌「志満姉ってば…」クスッ

千歌「…」ジーッ

千歌「(果南ちゃんと手を離した瞬間、胸がきゅーって締め付けられるみたいだった。今までには感じなかったもの。これが恋なんだ…!)」

千歌「えっへへ…♪」

千歌「ふっふ~ん、ふっふーふふっふ、ふっふふ~ん♪」



美渡「まどろっこしいのはいいから単刀直入に言うわ」

美渡「お前、卒業したら留学するんでしょ?こんなタイミングで付き合いだすってどういうことかわかってるよな?」

果南「うん、わかってる」

美渡「…………よしっ、んじゃいい!」ニッ

果南「えっ?終わりっ!?」

美渡「確認だけつったろ?それに…」ワシャッ

美渡「昔から果南には千歌を任せっきりだったしな!心配するこたあねーだろ!」ナデナデ

果南「美渡姉…!」

美渡「ただし」ガシッ

果南「あだっ!?」

美渡「いくらお前と言えど、アイツを泣かしたらただじゃおかねーからな…?」

果南「は、はい…!」

美渡「へへっ!頼んだぞ?」ニッ

果南「いってて……もうッ!昔から千歌のいないところではむきになるんだからぁ…」

美渡「は、はぁ?//なに勝手なこと言ってんだよ!」

果南「美渡姉は千歌のこと大好きだもんねぇ~?」

美渡「こんのっ…!」

果南「あっはは!さぁっ、早く中に入ろ!」タタッ

美渡「おまっ…果南ッ!」

美渡「…ったく、妹分が義妹になるかもってか」クスッ

美渡「…」

美渡「今日は志満姉と父さん誘って晩酌でもすっかな」



千歌の部屋

千歌「電気消すねー」

果南「あ、うん…」

千歌「んしょ…あっ!みかん色ね!」カチカチッ

果南「別に暗いのが怖いわけじゃ…」

千歌「知ってる知ってる。単純に怖がりなんだよね?」

果南「うっさいなー」

千歌「嫌いなBGMはタモさんの番組の…」

果南「い、言わなくていいから!思い出しちゃうでしょ!あれほんと無理なんだから!」

千歌「じゃあ、一緒のお布団で寝る?」

果南「はい!?」

千歌「だって思い出して怖いんでしょ?」

果南「べ、別にぃ…」

千歌「わかったー、おやすみー」

果南「もーうっ!」ガバッ

千歌「ふふっ、なーに?」

果南「千歌ってこんな意地悪だったっけ…」

千歌「わかんない!でも、果南ちゃんいつもと違ってなんか可愛くてさ…♪」

果南「バカ千歌…//」プイッ

千歌「えへへ、どーんっ!」ギュー

果南「な、なに!?」

千歌「なんだろう…」

千歌「会話は今までとあんまり変わんないのにさ。なんかすんごいぽかぽかして、ドキドキして…嬉しい!」

果南「……そうだね」ニコッ

千歌「大好き、果南ちゃん…」

果南「うん、わたしも…」コツンッ

ちかなん「えへへ♪」ニッ

果南「あっ、千歌?明日わたしたちのことを伝えたい人がいるから学校一緒に行くね!」

千歌「伝えたい人……うん、わかった!」





2年教室

千歌「えへへ、んふふ…あはーっ♪」ニパーッ

梨子「昨日とうってかわって上機嫌なんだけど…」

曜「そうだね」

梨子「今日は朝果南ちゃんも一緒だったし嬉しかったのかな?昨日お泊まりしてたみたいだし…」

曜「なるほど…♪」

曜「(うまくいったのかな?よかった…)」

千歌「むっ!」ピクッ

果南「千歌~?来たよ~!」

千歌「果南ちゃんっ!」パァッ

千歌「どーんっ!」ギュー

果南「おっと…もう!危ないでしょ?」

千歌「えへへ、ごめん…」

梨子「久しぶり、果南ちゃん!」

果南「梨子ちゃん!やっほ♪」

梨子「相変わらず仲良いですね」ニコッ

果南「まあね♪」

曜「…」ニコニコ

果南「…」

果南「みんなってご飯まだ?」

梨子「今から食べようとしてたんだけど」

曜「そだね」

果南「じゃあさ、梨子?悪いんだけど千歌と曜、借りてっていい?」

梨子「えっ…」ピタッ

果南「あっ、ごめん」

梨子「い、いやいやいや!大丈夫!大丈夫ですから!」

梨子「わ、私はむーちゃんたちと食べますから気にしないで!」

千歌「よーちゃん!」ギュッ

曜「えっ…」

果南「今度お詫びはするから!行くよ!」

千歌「おー!」

曜「ちょ、ちょっとぉ!?」

タタタッ

梨子「…」

梨子「い、いいもん!……むーちゃ~ん!よしみちゃ~ん!いつきちゃ~ん!」



屋上

千歌「んーっ!気持ちいい!」

果南「そうだね、そして懐かしい…」

曜「うん…」

ようちかなん「…」

曜「それで、なんのお話?」

曜「梨子ちゃんを誘わなかったってことは2人に共通してて話しづらいことなんでしょ?」

千歌「まあ…ね」

果南「………曜」

果南「わたしたち…」ギュッ

千歌「あっ…えへへ♪」

果南「付き合うことになりました!」

曜「そっか、よかった…!」ニコッ

果南「曜にとっては辛いことだと思うけど、やっぱり1番に曜に知ってほしくて…」

千歌「果南ちゃんに聞いて知った。よーちゃん、わたしの背中を押してくれた時にはもう…。それなのにわたし、余計な気を使って…ライバルだのなんだの……」

曜「余計な気を使ったのはわたしの方だよ!確かに悔しいし、辛かったけどさ。わたしの大好きな2人だもん!嫌いになれる訳ないよ!」

千歌「ありがとう、よーちゃん…」ニコッ

曜「うん!」

果南「それとわたしたちからもはっきり言っとかないといけないことがあってね!」

千歌「手、こっち出して!」

曜「ん?こう?」

果南「両手両手!」

曜「両手?……ひゃっ!?」グイーッ

果南「よいしょっ!」ギュー

千歌「んふふ~♪」ギュー

曜「えっ?え??な、なに…?」

果南「曜!」

曜「は、はいっ!」

千歌「わたしたちの関係は絶対切れない!」

ちかなん「ずっと!」

曜「…………ふぇ?」

果南「やっぱりなんにも伝えずに別れちゃうのは1番辛いって身をもって痛感したからね」

千歌「確かに、わたしと果南ちゃんはこれまで以上に仲良しになるかもしれない。でも、そこで気使わずによーちゃんは割り込んで来ていーからね?」

曜「…」プルプル

果南「まあ、あからさまな邪魔はやめてほしいけどさ…」

千歌「こらっ!そんなの今言わなくていーでしょ!」

曜「うぅ…」グスッ

果南「……だからさ?曜は変わらずにわたしたちといてね。今までとおんなじようにさ」

千歌「あっ!今!曜とおんなじようにを…!」

果南「かけてないッ!千歌ー?」

曜「あはは…」

曜「わたし、最近ずっと泣いてばっかだなー…」グスッ

曜「果南ちゃん、千歌ちゃん…!」

果南「……うん?」

千歌「なーに?」

曜「本当におめでとう…それから!」


曜「ありがとう!いっぱいい~~~~~っぱい!!ありがとうっ!!」


果南「うん!」

千歌「どういたしまして!」

曜「あはは!それーっ!」ギュー

果南「やったなー!」ギュー

千歌「わわっ!力強いよ、2人とも~!」

ようちかなん「あははははっ!!」





沼津駅

千歌「まさか果南ちゃんが発つ前の日に初めてのデートだなんてなー…」

千歌「変なとこないよね?」スマホスッ

千歌「(というか、バスに乗り遅れておじさんに送ってもらうとか果南ちゃんってば…)」

果南「千歌~!遅れてごめん!」

千歌「果南ちゃん!もう!恋人を待たせるとかぶっぶー……です…わ」

果南「え、えと…お待たせ//」

千歌「う、うん…//」

千歌「(す、すっごい綺麗…!髪も下ろしてて大人っぽさも増して……)」

千歌「…」ボーッ

果南「へ、変かな?」

千歌「そ、そんなことないよ!思わず見とれちゃってた…」

果南「ありがと…///」カァァ

千歌「えーっと、それじゃどうしよっか…?」

果南「どうしよっか…?」

千歌「おうむ返しされても…じゃ、とりあえず手繋ぐ?」スッ

果南「そ、それもいいけど、…っ//」ゴニョゴニョ

千歌「えっ?なに?」

果南「だ、だから!千歌の腕に…捕まりたいって///」

千歌「……ふぇ?//」

果南「わ、悪い…?//」チラッ

千歌「(待って待って!果南ちゃん可愛すぎない!?ギャップヤバすぎだって!)」

千歌「い、いいよ…?けど身長的に見た目不恰好にならないかな…?」

果南「いいの!関係ないッ!」

千歌「じゃ、じゃあ…」スッ

果南「えへへ♪」ギュー

千歌「あわわわわわ…///」カァァ

果南「じゃ、行こっか」ニコッ

千歌「(想像以上にヤバいぞ、これぇ…!)」


カフェ

果南「これがカップルジュース…!」

千歌「か、片方ずつ飲むんだよね?」

果南「なに言ってるの!一緒に飲むの!ほら、そっちくわえて!」

千歌「うぅ…//」ハムッ

果南「…」ハムッ

ちかなん「…」

千歌「(ち、近い…!近いよ!)」

果南「(勢い任せだったけどめちゃくちゃハズい!)」

千歌「い、いっせーの…で!」

果南「わわっ!」

ちかなん「~~~!」チュー

千歌「(なんでこんなストローの構造してんのさ!すっごい時間が長く感じちゃうよ!//)」

果南「(必死に吸ってる…可愛いなぁ♪)」


千歌「…」グデー

果南「あはは、大丈夫?」

千歌「(全然味がわかんなかった。ただ甘かったのは覚えてるけど、それ以上に果南ちゃんに目がいっちゃって…)」

千歌「///」プシュー

果南「ほら、千歌!顔上げて!」

千歌「ん?」

果南「ほら、あ、あーん…//」スッ

千歌「ふぇ…?」

果南「みかんのタルト!ほーら!口開けて!さあ!//」

千歌「ま、待って!色々準備が…」

果南「いいからッ!」

千歌「あ、あーん…」

果南「…」スッ

千歌「んぐっ……」モグモグ

果南「…美味しい?」

千歌「ちょ、ちょっとごめん、無理…//」

果南「そ、そっか…//」

千歌「(あーんとか今まで普通にしてたのに!なんなの!なんなのさ、これぇ…//)」


カラオケ店

千歌『……僕はダ~ッシュ♪』

果南「おおお!!」パチパチ

千歌「ふぅ…!やっぱりμ'sの曲はいーね!」

果南「そうだね♪」

千歌「いつかわたしたちの歌も入ればいーなー」

果南「だといいね!」ニコッ

千歌「えへへ!果南ちゃんはなに歌うの?」

果南「わたしはねー…」

デーッデッデー♪

千歌「え…?」

果南「いやぁ、ダイヤに何回かデュエットせがまれてさ。よく歌ってたんだよね」

千歌「そうなん……だっ!?」ドンッ

果南「この状態で歌うね」ズイッ

千歌「いや、これ壁ドン…//」

果南『憧れを語る目が遠くを探してる時~♪』

千歌「~~~///」カァァ


公園

千歌「…」

果南「大丈夫?」

千歌「誰のせいだよぉ…//」

果南「ごめんごめん!じゃ、ちょっと休憩してて!わたし、ちょっと買いたいものがあるから!」

千歌「わかったー…」

千歌「はぁ…」ポスンッ

千歌「(まさか、これだけ幼馴染みに振り回されることになるなんてなー。しかも、お姉ちゃんみたいに感じてた人に…)」

千歌「でも、楽しいや!」ニコッ

「あ、あの!すみません!」

千歌「はい?」


果南「ごめーん、千歌!お待た…せ……人だかり?」

生徒A「ラブライブ!凄かったです!」

生徒B「感動しました!ほんと綺麗でした!」

千歌「いやー!ありがとね!」ニコニコ

生徒C「学校は残念でしたけど…」

千歌「ううん!わたしたちはしっかり学校はのこせたんだ!だから、大丈夫…だか……ら」チラッ

果南「…」ムスッ

千歌「あっ…」

果南「行くよ、千歌…」ガシッ

千歌「あ、うん…それじゃー」

生徒たち「…」

生徒たち「今の綺麗な人誰…?」



高海家前の砂浜

千歌「ねぇ、果南ちゃ~ん?まだ怒ってるの?」

果南「別にぃ…」

千歌「そんなに嫉妬深かったんだ、果南ちゃん…」

果南「そうみたい…」

千歌「素直に答えちゃうんだ」

果南「肩、借りるよ?」

千歌「え?」

果南「んしょ…」コテンッ

千歌「う、うぅ…//」カチコチ

果南「だってさ、こんなに好きな気持ちを千歌にぶつけていいんだって思うと嬉しくてさ…」

千歌「また、さらっと恥ずかしいことを…//」

果南「恋の力と今までの反動ってやつかな?」

千歌「そう…」

果南「うん…」

ちかなん「…」

千歌「楽しかったね…」

果南「そうだね。たくさんの輝きを千歌と、みんなと見つけられた…」

千歌「Aqoursで、あの9人で良かった…」

果南「うん、本当に…」

千歌「…」

果南「しばらくこの景色ともお別れか~、寂しくなっちゃうな~!」

千歌「どうせ英語喋れなくて鞠莉ちゃんとかに助け求めるのが目に見えてるよ…」

果南「そこでそれ掘り返すか…」

千歌「そうなるに決まってるよ、果南ちゃんだし」

果南「失礼な…」

千歌「……そういえばさ!もう少しで花丸ちゃんの誕生日じゃん?明日はキャンセルして花丸ちゃんの誕生日祝ってからにしない?」

果南「今さらキャンセルできないってば…」

千歌「ダイヤちゃんや鞠莉ちゃんもさ、その日は一旦帰って来るって言ってたしさ!そこに果南ちゃんだけいないのは嫌じゃん?」

果南「…」

千歌「さ、最悪飛行機取れなくてもさ!鞠莉ちゃんに頼めばなんとかしてくれるって、たぶん…」

果南「……千歌?」ムクッ

千歌「4月からなんでしょ?まだ半月以上あるじゃん!だったらまだ一緒に…」

果南「千歌…!」ギュー

千歌「う、うぅ…」

千歌「やだ、やだよぉ…」ギュッ

千歌「やっと…やっと気づけた想いなのに……こんな一瞬なんてやだよぉ……」

千歌「かなんちゃぁ……」グスッ

果南「…」ナデナデ

果南「こうなることはわかってたよ。わたしもさ、同じくらい寂しいし悔しい…」

千歌「だったらぁ!」

果南「でも、それじゃ今までと変わらない。わたしにとっても、千歌にとっても…」

千歌「変わらないならいーじゃん!わたしは…チカはただ、果南ちゃんとずっと一緒に……」

果南「…」スクッ

千歌「果南ちゃん…?」

果南「すぅー…」


MY NEW WORLD

新しい場所 探すときがきたよ

次の輝きへと 海を渡ろう

夢が見たい想いは いつでも僕たちを

つないでくれるから 笑っていこう


イマを重ね そして

ミライへ向かおう


果南「ふぅ…」

果南「千歌が書いてくれた曲、そのまんまなんだ」

果南「こうやって同じ場所にいるのは心地いいかもしれない。けど、次の幸せにはたどり着けない」

果南「踏み出せば何が起こるかわからない。辛いことや苦しいこともあるかもしれない」

果南「でも、そうやって積み重ねた『イマ』が新しい『ミライ』へ連れていってくれる」

果南「そうでしょ?」ニコッ

千歌「もう…」スクッ

千歌「わたしが書いた歌詞で言われちゃったら反対のしようがないじゃん…」

果南「ふふっ!じゃあ、ついでにもう言っておくね!」

千歌「なーに?」

果南「千歌…」


果南「わたしが帰って来た時、まだわたしのことを変わらずに好きでいてくれるなら…」

果南「わたしと家族になってください」


千歌「え…」

果南「もう後悔なんてしたくないし、やるからには全力でいたい。だから、わたしの本気を『イマ』伝えるって」

果南「その先の『ミライ』を千歌と一緒に見たいから」

千歌「かなん、ちゃ…」グスッ

果南「どうかな?」ニコッ


千歌「はい、喜んで…!」

千歌「ここで、ずっと…ずっと待ってる!果南ちゃんが帰って来るのを、ずっと…!」


果南「千歌…」

千歌「果南ちゃん…」メツムリ

果南「…」

千歌「…」

果南「はい、お預け♪」コツンッ

千歌「うにゃっ」

千歌「へっ?なんでー!?今のは、ち、ちゅーの流れじゃないの…?//」

果南「わたしもムードとか状況とか大事にしたいしさ」

千歌「いや、今だったでしょ!」

果南「まあまあ!お楽しみは最後まで取っておくってことでさ、ね?」

千歌「がっかりだよ!あー、もう!がっかりだよ!」

果南「ごめんって!それより受け取ってほしいものがあるんだ!」

千歌「……なに?」

果南「ちょっと手を出して」

千歌「こう?」

果南「指輪とかならカッコ良かったかもしれないけどさ、約束も込めてこれを送ります!」スッ

千歌「これって……ヘアゴム?みかん色と緑色の…」

果南「一応わたしたちのイメージカラーのヤツ。気に入ってくれるといいんだけど…」

千歌「すっごく嬉しいけど、わたし、髪こんなだしあんまり似合わないよ?」

果南「そこでなんだけどさ…」

千歌「ん?」

果南「千歌はさ、髪伸ばす気ってある?」

千歌「ふぇ…?」

果南「自分でも変だと思うけど。さっきの約束ついでにさ、わたしみたいなポニーテールが出来るくらい髪伸ばして迎えてほしいな…って」

千歌「…」

果南「ほら!決勝の時、髪下ろしてたでしょ?あれ見て思ったんだよ!千歌は髪伸ばしても似合うって!」

千歌「ふふっ…」クスッ

千歌「つまり、果南ちゃんは髪もわたしも縛って離さないって言いたいの?」

果南「そ、そこまでじゃ…!いや、でもそれくらい千歌のことは好きだし……//」ゴニョゴニョ

千歌「じゃあ、わたしからも条件」

果南「は、はい!」

千歌「浮気しないこと」

果南「しないし、千歌しか見えない」

千歌「む、向こうでチヤホヤされないように気を付けて生活すること…//」

果南「だから、千歌しか興味ないってば!」

千歌「ああっ、もう!最後に!」

千歌「帰ってくるまでわたしと連絡取らないこと!」

果南「取らな……はっ?」

果南「えっ?なんて言った、今…?」

千歌「だから!資格取って帰って来るまではわたしと連絡を取らないこと!電話はもちろんメールや手紙もなし!他の子経由で聞くのもなし!」

果南「はい?わたしに死を選べって言ってるの?」

千歌「人にめんどくさい条件付けるんだから、これくらい耐えなさい!ちゅーをあの時しなかった罰!」ビシッ

果南「ち、千歌ぁ~~~!!」ウルウルッ

千歌「まあ……ほんとにヤバい時だけ1時間だけ電話を認めるとします」

果南「ありがと~~~!!!」グスッ

千歌「はぁ…とっとと資格取ってきてさ、そして!」


千歌「チカを果南ちゃんのお嫁さんにしてください!」


果南「…」ゴシゴシ

果南「うん!約束ッ!」

千歌「よしっ!じゃあ、ちゅー!」

果南「しません」

千歌「だからなんでだぁぁぁーーー!!!」






それから、約3年…。

わたし、高海千歌は約束通り髪を伸ばして

この内浦で果南ちゃんの帰りを待った。

約束はわたしと果南ちゃんだけの秘密で

なぜ髪を伸ばしたのか不思議がられたけど

そんなこと気にせず伸ばした。

そりゃ伸ばし放題って訳じゃないけどさ。

よーちゃんにはなんかバレてたみたい。

さすがは長年の幼馴染み、侮れない。

わたしから出した条件だけど

果南ちゃんは耐え凌いで

わたしに1本も連絡を寄越さなかった。

絶対限界が来るって思ったのに!

逆にわたしが果南ちゃんに電話を…

いや、耐えたけどね?さすがに!


それで本日、果南ちゃんが帰国する…

のですが!千歌さん少々気がたってます!

聞いてくださいよ、あのバカなん!

キスをどのタイミングでするかと思えば

沼津駅でみんなでお見送りする時に

『千歌!忘れ物!』

とか言って無理矢理みんなの前で唇を…。

わたしのファーストキスはアホな恋人に

最も恥ずかしい初体験にされました。

ま、まあ今じゃいい思い出だけど…さ。

とにかく!

わたしは果南ちゃんに仕返しをしてやるのだ!

みんなで沼津駅で待ってると伝えて

わたしは果南ちゃんが降りる東京の空港まで

秘密でお出迎えすることにしました。

とっておきの仕返しと共に…!



『Good afternoon passengers. This is the pre-boarding announcement for…』

「Thanks!」

「……なんてね。もう日本だもんなー」

「3年かー。長いようで短かったな。必死に1年分早めて帰って来たわたしを褒めてもらわなきゃ…!」

「うんうん、日本語は大丈夫!」

「じゃあ、いとしのお嫁さん候補に…」


「果南ちゃんッ!!」


「え…?なんでここに……んっ!?///」


わたしの仕返し。

この大勢の人の前での2回目のキス。

びっくりして目を見開く果南ちゃんを無視して

わたしは唇を重ね続けた。

わたしの3年分の想いをくらえ!


「ぷはっ」

「ち、ちちち、千歌!?な、なんでここに!?ていうか、こんなとこであんな…///」

「ふふっ、知りませ~ん♪」

「くぅ……//」


わたしの後ろでゆらゆら揺れるポニーテール。

果南ちゃんにはあの長い髪は無く

さっぱりとしたショートヘアに。

すっかり髪の長さは逆になっちゃった。

お揃いになると思ったのにな~。

後で切った理由を問い詰めてやる…。

まあ、今は一言。

ちゃんと伝えることにしよう!


「おかえりなさい、果南ちゃん!」

「ふふっ…」

「ただいま、千歌ッ!」



『イマ』わたしたちの『ミライ』が始まる。



おしまい


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『果南「アザレアを咲かせて」』へのコメント

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