穂乃果「愛は太陽じゃない」

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穂乃果-アイキャッチ60


穂乃果「ねえねえ、おかーさん」

『なあに、穂乃果』

穂乃果「けっこんって、好きな人同士でするんでしょ? おかーさんもおとーさんのこと好きなの?」

『ええ。大好きよ。とっても愛してるわ』

穂乃果「ふぅん。"あい"ってどんなものなの?」

『そうねぇ。その人のことを考えると胸がポカポカと温かくなるような、太陽みたいなものかしら』

穂乃果「そっかぁ。じゃあほのか、おとーさんとおかーさんのことあいしてる!」

『ありがとう、穂乃果。私も穂乃果のこと愛してるわよ』

pixiv: 穂乃果「愛は太陽じゃない」 by あめのあいまに。

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ことり「ねえねえ、海未ちゃん」

海未「なにか用ですか、ことり?」

ことり「えへへ、呼んでみただけ」

海未「なんですか、それ」

ことり「だって海未ちゃんの名前を呼ぶと、とーっても幸せな気持ちになるんだもん」

ことり「海未ちゃんは、ことりに名前を呼ばれるの、いや?」

海未「嫌なわけありません! 私だってことりに呼ばれたら嬉しいし幸せです」カァァ

ことり「海未ちゃん照れてる。かわいい」

海未「も、もうっ。からかわないでください」

ことり「はーい」

穂乃果「……」

穂乃果「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

海未・ことり「!」ビクッ

海未「どうしたのですか、穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん、どこか具合でも悪いの?」

穂乃果「元気だよ! これ以上ないくらいにねっ」ウガー

海未「なんですか、脅かさないでくださいよ」

ことり「良かった。でも穂乃果ちゃんすぐに無理するから……辛くなったらちゃんと言ってね?」

海未「むしろ穂乃果はすぐに言う方じゃないですか? ことりの方が、大変でもなかなか弱音を口にしないじゃないですか」

ことり「えー、そうかなぁ? それを言ったら海未ちゃんだって」

海未「まあ、以前はそうだったかもしれません。ですが今はちゃんと、悩みがあればことりに打ち明けます」

海未「心配をかけたくありませんから。だからこそ、ことりにも言ってほしいというか……有り体に言えば、頼られたいのです。というのは、格好つけすぎですかね」

ことり「ううん、そんなことない! 私も海未ちゃんに頼って頼られて、辛いことも嬉しいことも分け合えたらなって思うよ」

海未「ことり……」

ことり「海未ちゃん……」

穂乃果「あー、もう! それだよ、それ! 二人の空気が甘すぎて胸焼けしちゃうんだってば」

ことり「ええっ?」

海未「そんなにですか? 以前と変わらないよう努めているつもりなのですが」

穂乃果「全然だよ! 大違いだよ! すぐ二人の世界に入っちゃってさ……」

ことり「もしかして穂乃果ちゃん、寂しいの?」

穂乃果「ぐっ……いやいや、寂しくなんかないよ? ただ二人にはもうちょっと節度あるお付き合いをしてほしいっていうか」

海未「寂しいならそう言えば良いんですよ」

穂乃果「私の話を聞いて!?」

ことり「でも、確かに最近は穂乃果ちゃんと話す機会が減っちゃってたかも。ごめんね?」

海未「そうですね。私も少し浮かれすぎていたかもしれません。何分、初めての交際で……しかもその相手がことりなものですから」

穂乃果「二人とも……ううん。二人が悪いんじゃないってわかってはいるんだよ」

穂乃果「だって二人は付き合ってるんだし」

海未「いえ、皆でいる時はやはり控えなくては。やはり私たちが軽率でした」

海未「それにことりと二人の時間は、二人きりの時にいくらでも作れますから」

ことり「海未ちゃん、素敵!」ダキッ

海未「こ、ことり。やめてください。恥ずかしさと嬉しさで死んでしまいそうです」

穂乃果(本当にわかってるのかなあ……)ハァ

穂乃果(でも、本当に変わっちゃったよね)

穂乃果(昔は穂乃果が真ん中にいて、私が三人組の中心だったのに、今は二人だけで楽しそうにしちゃうことも多くて)

穂乃果(……ああ、駄目だ。そんなこと考えちゃうなんて、穂乃果は嫌な子だなあ)



穂乃果「ねえ、ことりちゃん。今日この後遊ばない? 練習もお休みだしさっ」

ことり「ごめん、穂乃果ちゃん。今日は予定があって……」

穂乃果「そっかぁ。それなら仕方ないね。海未ちゃんは?」

海未「私も生憎と用事がありまして」

穂乃果「うーん、残念。また今度ね」

海未「すみません。次は必ず」

ことり「私も絶対次は行くから!」

穂乃果「もう、そんな気にしなくて良いって。急に誘った私が悪いんだし」





穂乃果「とは言ったものの」

穂乃果「今更まっすぐ帰る気にはなれないよね」

穂乃果「寄り道しちゃお!」

穂乃果「一人クレープ~、一人プリクラ~、一人ウインドウショッピング~♪」

穂乃果「……虚しい」

穂乃果「雪穂はー……そう言えば亜里沙ちゃんと遊ぶって言ってたっけ」

穂乃果「なんか、一人で出かけるのって久しぶりな気がする」

穂乃果「昔から海未ちゃんやことりちゃんとは一緒だったし」

穂乃果「最近はμ'sの皆も誰かしらいたからね」

穂乃果「そう考えると今日は貴重な日に思えてきたよ」

穂乃果「うん! せっかく出かけるんだから、楽しまなくっちゃだよね!」

穂乃果「とりあえずゲームセンターにでも行こっかな」





穂乃果「うーん、遊んだ遊んだ」

穂乃果「もうすっかり夕方だよ。そろそろ帰らないと暗くなっちゃう」

穂乃果「って、あれは……ことりちゃん?」コソッ

穂乃果(思わず隠れちゃったけど、お店から出てきて……用事って駅前で買い物とかだったのかな?)

穂乃果(それなら穂乃果のことも誘ってくれたら良かったのに)

穂乃果(もう一人出てくる。誰かと一緒だったのかな)

穂乃果「あ……」

穂乃果(一緒にいるの、海未ちゃん……だよね)

穂乃果「そっか、二人は……っ」ダッ

穂乃果(そうだよね。二人は付き合ってるんだもん)

穂乃果(二人きりで、いたいよね。穂乃果、お邪魔だったよね)

穂乃果(それなのに空気読まずに二人の間に入ろうとして……。バカだなあ、私。ごめんね、鈍くて)

穂乃果(でも、二人でいたいなら、穂乃果がお邪魔なら、そうだとはっきり言ってほしかったよ)

穂乃果(いたたまれなくなって逃げ出した私は、流れる涙で頬を濡らしながら自宅へと帰った)

穂乃果(自室に閉じこもると私は、一晩中泣き続けた)

穂乃果(二人が付き合ってるって知った時も、一緒にいる時間が減った時も、こんなに悲しい気持ちになったことはなかった)

穂乃果(きっと私はこの時初めて、二人が付き合ってるんだってことを、実感したんだと思う)



穂乃果(あれから、私は二人と少しずつ距離を取り始めた)

穂乃果(二人の邪魔をできるだけしたくなかったし。今は近くにいても、穂乃果も辛いだけだし)

穂乃果(避けてる、とまではいかない。今までどおりお話だってするし、一緒にお昼だって食べるし)

穂乃果(それでも、今までとは何かが違うということに二人ともすぐに気づいたみたいだった)

穂乃果(だけど、結局二人とも何か言ってくることはなかった)

穂乃果(やっぱり穂乃果はお邪魔だったんだなあ。良かった、迷惑かけ続けずに、気づくことができて)

穂乃果(良かったんだよね、これで……)

ことり「ねえ、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「なに、ことりちゃん?」

穂乃果(あれ、海未ちゃんがいない。このところはいつも二人一緒だったからなあ)

穂乃果(ことりちゃんと二人きりって、とても久々な気がする)

ことり「ことり、なにかしちゃったかな?」

穂乃果「っ!」

穂乃果(なんで今頃になってそんなこと聞いてくるんだろう)

穂乃果(せっかく頑張って、新しい関係に慣れようって思えたのに)

穂乃果(穂乃果の決心を、揺らがせようとしないでよ……)

穂乃果「なにも」

ことり「うぅ」

穂乃果(どうして、ことりちゃんが泣きそうな顔をするの?)

穂乃果(これじゃ穂乃果が、悪いみたいじゃん)

穂乃果(泣きたいのは私の方なのに……)

穂乃果(ああ、駄目だ。また私はそんなこと考えて。こんな穂乃果だもん。二人と一緒にいる資格、やっぱりないよね)

穂乃果「そんな顔、しないでよ……本当になんでもないからさ」

ことり「……穂乃果ちゃんは、ことりには話してくれないんだね」

ことり「ことり、穂乃果ちゃんのためなら、できるだけのことしてあげたいの」

ことり「お願い、穂乃果ちゃん。ことりが悪いなら、謝るから。ちゃんと直すから……」

穂乃果(なんでもないって言ってるのに、どうして私に構うの。二人のために我慢してるのに、どうして分かってくれないの)イラッ

穂乃果「ことりちゃんには海未ちゃんがいるでしょ! 穂乃果のことはもう放っておいてよ!」バンッ

ことり「え……?」

穂乃果「あ……」

穂乃果「ご、ごめん。その、今のは違くて」

穂乃果(どうしよう、ついカッとなって、私とんでもないこと言っちゃった。これじゃ本当に、ことりちゃんに嫌われちゃう……)

ことり「穂乃果ちゃん……やっぱり、ことりが、ことりたちが原因だったんだね」

ことり「ごめんね、ごめんね……」ギュッ

穂乃果「ことりちゃん……」

穂乃果(ことりちゃん、泣いてる。私がいけないのに、ことりちゃんはこんなに穂乃果のこと考えてくれてたのに)

穂乃果「謝らないで、ことりちゃん。穂乃果が悪かったから……」

穂乃果「あのね、実はこないだ遊びに誘った日にさ、偶然見ちゃったんだ。ことりちゃんと海未ちゃんが駅前で一緒にいるとこ」

穂乃果「穂乃果、バカだからさー。二人が付き合ってたのに今まで通りでいられるなんて思ってさ」アハハ

穂乃果「でも、それを見て気づいたんだ。今までとは違うんだって。だから、ちょっとだけ二人と距離を置こうとしてた」

ことり「そっか……見られてたんだ」

ことり「ごめんね。隠すつもりは……ううん、隠してた。それは事実」

ことり「でもね、穂乃果ちゃんを仲間外れにするつもりはなかったの。あれにはちゃんと理由があるの」

穂乃果「聞きたくない!」

穂乃果「どうせ穂乃果なんていらない子なんだ。邪魔なだけなんだ」

穂乃果「慰められても辛いだけだよ! はっきり言って……んんっ」

ことり「んっ……はぁ」

穂乃果「こ、ことりちゃん!?」

穂乃果(今のって、キスだよね?)

穂乃果「どうしてこんなこと……駄目だよ、ことりちゃんには海未ちゃんがいるのに」

ことり「穂乃果ちゃん」

ことり「ことりは、確かに海未ちゃんとお付き合いしてます。海未ちゃんが大好きで、大切です」

ことり「でも、気づいちゃったんだ。海未ちゃんと同じくらい、穂乃果ちゃんのことも好きだって」

ことり「ことり、いけない子だよね?」

ことり「でも、だから、穂乃果ちゃんが邪魔なんてこと、絶対にないよ。それに、私が好きな穂乃果ちゃんのこと、たとえ穂乃果ちゃん自身にでも、悪く言ってほしくないの」

穂乃果「ことりちゃん……」

ことり「ごめんね、穂乃果ちゃん。突然こんなことして」

穂乃果(その目に涙を溜めて、謝りながらことりちゃんは私を押し倒した)

穂乃果(違う、穂乃果が、ことりちゃんにこんなことをさせてしまったんだ)

穂乃果(穂乃果が、悪い子だから……)

穂乃果(分かっていても、拒めなかった)

穂乃果(久々に感じることりちゃんの温もりに、安らぎすら覚えてしまっていた)



穂乃果(一度一線を越えてしまうと、弱い私はズルズルとことりちゃんに甘え続けてしまった)

穂乃果(ことりちゃんは、そんな私をいつも優しく受け止めてくれた)

穂乃果(だから、いけないと分かっていても、その関係はいつまでも終わらなかった)

穂乃果(最初は罪悪感に震えていた私も、だんだんその状況に慣れていって)

穂乃果(いつしか物足りなさすら感じるようになっていた)

海未「お泊まり会ですか?」

穂乃果「うん! まあ会っていうか、久しぶりに海未ちゃん家に泊まりたいなあって」

穂乃果「最近、海未ちゃんといる時間も減ってたしさ」

穂乃果(一時は自分から離れようとしていたのに、今はそれをエサにこうして海未ちゃんに近づこうとしている)

穂乃果(穂乃果って、こんなに浅ましい人間だったんだ)

海未「まあ、私は構いませんが。ですが、大したもてなしはできませんよ?」

穂乃果「大丈夫、海未ちゃんがいるだけで十分満足だよ」

海未「また適当なことを言って。ですが、良かったです」

穂乃果「なにが?」

海未「いえ、最近穂乃果はどこか調子が出てないようでしたから。ですが今は元気そうで安心しました」

穂乃果「あ……」

穂乃果(海未ちゃん、私のこと、気にかけてくれてたんだ)

穂乃果「あはは、そうだったかな? 最近寒かったし、それでかも」

穂乃果(ごめんね、海未ちゃん。穂乃果はそんな海未ちゃんに黙って、ことりちゃんを……)

穂乃果(それにきっと今日、海未ちゃんにもっと酷いことをする)





海未「ほら、そろそろ寝ますよ」

穂乃果「ええー、まだ早いよー。もっと起きてようよ」

海未「いいえ、駄目です。早寝早起きは園田家のルールです。郷に入っては郷に従ってもらいます」

穂乃果「なにそれ。海未ちゃんは穂乃果の家に泊まっても夜更かししないじゃん」

海未「それは……穂乃果みたいにはなりたくないですからね」クスッ

穂乃果「ひどーい、穂乃果のどこがいけないのさ!」ウガー

海未「冗談ですよ。さ、そろそろ本当に寝ましょう。電気も消しますよ」カチッ

穂乃果「はーい……」

穂乃果「……」

海未「……」

穂乃果「ねえ海未ちゃん、寝た?」

海未「はい、寝ました」

穂乃果「寝てる人はそんなこと言わないよ」

海未「そうですね。嘘をつきました」

穂乃果「なんだか今日の海未ちゃん、ちょっとノリが違うね」

海未「そうでしょうか? もしかしたら、浮かれているのかもしれませんね」

穂乃果「?」

海未「穂乃果と二人きりで過ごすのは、とても久しぶりのことですから」

海未「ことりと過ごす時間が増えて、気にしていたんです。穂乃果のこと。寂しい思いをさせていないか、なんて」

海未「……」

海未「すみません、やっぱり浮かれてるみたいですね。今日はもう寝ましょう」

穂乃果「……」

穂乃果「ねえ、海未ちゃん」

穂乃果「二人はさ、どこまでしたの?」

海未「どこまで、とは?」

穂乃果「もう、深夜のガールズトークだよ。決まってるでしょ」

海未「……っ! 破廉恥です!」

穂乃果「どっちが。海未ちゃんはそういうことしたんだよね? そっちの方が、よっぽど破廉恥だと思うよ」

海未「だとしても、そう安々と人に話すことではありません」

穂乃果「ふぅん」

穂乃果「ねえ、海未ちゃん。穂乃果をもらってよ」

海未「は?」

穂乃果「だから、穂乃果と寝てほしいの。ことりちゃんにしたみたいなこと、穂乃果にもしてほしいの」

海未「正気ですか?」

穂乃果「こんなこと、冗談で頼めると思う?」

海未「……できません。私にはことりがいます。それに穂乃果を傷つけたくありません」

穂乃果「傷ついてるよ! もう、私、傷ついてるよ」

海未「穂乃果……」

穂乃果「優しくされたって、慰められたって、もう駄目なんだよ。穂乃果、辛いよ」

穂乃果「だから、お願い。拒まないで、これ以上穂乃果を傷つけないで」

穂乃果「一度だけで良いの、海未ちゃんを感じさせて……」ギュッ

海未「穂乃果……本気、なのですか?」

穂乃果「何度も言わせないでよ」

海未「わかりました……」

穂乃果(明かりの差さない真っ暗な部屋で、静かに海未ちゃんと穂乃果の影が重なりあった)





穂乃果(それから結局、私は今ことりちゃんとも海未ちゃんとも秘密の関係を続けている)

穂乃果(ことりちゃんは、私を好きだって言ってくれる)

穂乃果(海未ちゃんも、私を大切だって言ってくれる)

穂乃果(穂乃果だって、二人のことは好きだし大切だ)

穂乃果(だからきっと私は幸せに違いない)

穂乃果(でも、どうしてこんなに胸の奥が寒いんだろう)

穂乃果(これが愛なのかな)

穂乃果(もしそうだとしたら、こんなの全然太陽じゃないよ……)



穂乃果(歪んだ関係が長続きするはずもなく、それは突然訪れた)

ことり「穂乃果ちゃん、話があるの」

穂乃果(ことりちゃんにそう言われて呼び出された先には、海未ちゃんの姿があった)

海未「……」

穂乃果(海未ちゃんはこれ以上ないくらい悲痛な面持ちで、それを見て全てわかってしまった)

海未「すみません、穂乃果。ことりに全て、話してしまいました」

ことり「違うの! 穂乃果ちゃん、ごめんね。私が海未ちゃんに無理やり聞いたの。それで……」

海未「よしてください。私が耐えきれずに打ち明けてしまったんです。ことりは悪くありません」

穂乃果(どうしてだろう。悪いのは私なのに、どうして二人が謝るの。どうして誰も私を責めないの)

穂乃果(ことりちゃんが海未ちゃんを、海未ちゃんがことりちゃんを、二人がお互いを裏切ったのは穂乃果のせいなのに)

ことり「ことりが……」

海未「いえ、私が」

穂乃果(なんで二人が喧嘩するの。なんで私を怒らないの? 私がほしかったのはこんなんじゃない。私はこんなの、望んでない)

穂乃果「もうやめて!」

穂乃果「もう、やめてよ……。どう考えたって悪いのは穂乃果じゃん。二人とももう話し合って、全部知ってるんでしょ?」

海未「穂乃果……」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「二人が付き合ってるのを知って、優しいから拒めないのを知って、穂乃果が強引に迫ったんだよ。二人のどっちが悪いとかじゃないよ」

海未「ですが、穂乃果にそうさせてしまったのは私たちの……」

穂乃果「それでも!」

穂乃果「それでも、悪いのは穂乃果でしょ……誤魔化しちゃ駄目だよ」

穂乃果「穂乃果が、二人の仲を知ってたのに、っ……無闇にかき乱し、て」

穂乃果「取り返しのつかないこと、っしちゃ、って」

穂乃果「ごめん、なさい……ごめ゛んなさあ゛あ゛い」



穂乃果「本当にすみませんでした」

穂乃果「謝って済むことじゃないと思う。何かで償えるものでもないと思うけど、二人が言うならなんだってするから」

穂乃果「どうか二人の気の済むようにしてください」

穂乃果(涙が枯れるまで泣き尽くして、それから私は二人に改めて謝った)

海未「顔をあげてください、穂乃果」

ことり「そうだよ、穂乃果ちゃん。私達、もう怒ってないよ」

穂乃果(どんな罰を言い渡すでもなく、二人は困ったような声でそう言った)

穂乃果「でも……」

海未「それでは穂乃果の気が済まないというのなら、それが私達からの罰です」

ことり「穂乃果ちゃん。穂乃果ちゃんは自分だけが悪いって言うけど、やっぱりことりたちも間違ってたよ」

ことり「だから穂乃果ちゃんだけを責めるなんてことはできないよ」

海未「そうですね。あの時、私達は穂乃果を受け入れるのではなく、受け止めて向き合うべきでした」

海未「普段厳しいことを言っておいて、私もまだまだ未熟だったということです」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん……」

海未「いつまでもへこんでるなんて穂乃果らしくないですよ」

ことり「ことりも、明るい穂乃果ちゃんの方が好きだな」

穂乃果「うん。ありがとう、二人とも」







海未「ところで、穂乃果はどうして急にあんなことをしたんですか?」

穂乃果「どういうこと?」

海未「いえ、私とことりが付き合ってること自体は前から知っていたじゃないですか」

海未「ですから、何らかのきっかけがあったのかと思って」

穂乃果「あー、そこはことりちゃんから聞いてないんだ」

海未「ことりですか? ええ、穂乃果と、その……逢引をしていたというのは聞きましたが」

穂乃果「逢引って……まあ、うん」

穂乃果「覚えてるか分からないけど、前に穂乃果が二人を遊びに誘って断られた日があるでしょ」

穂乃果「その日の夕方にさ、二人が一緒に駅前にいるとこ見ちゃったんだよね」

海未「え?」

穂乃果「だから、二人が一緒にいたいのに穂乃果は邪魔しちゃってるんだなあって思って」

穂乃果「それで距離を置こうとしたらことりちゃんに問い詰められちゃってさ」

穂乃果「そこで穂乃果がパニックになったところからなし崩し的に、みたいな?」

海未「ちょっと待ってください」

海未「その日のことは覚えています。ですが、ことりから何も聞かなかったんですか?」

穂乃果「うん……いや、ことりちゃんは何か言おうとしてたんだけど、穂乃果が遮っちゃって」

海未「はあ、そういうことですか」

ことり「ごめーん、海未ちゃん。ことりも動転しちゃって」

ことり「その後は、その、切り出す雰囲気じゃなかったし」

海未「いえ、それは仕方ないのですが……」

穂乃果「ちょっと、何二人で通じ合ってるのさ! 穂乃果ちっとも分からないよ」

海未「すみません。あのですね、穂乃果。穂乃果が私達を目撃した日なのですが」

ことり「実は私達、穂乃果ちゃんにプレゼントを買いに行ってたの」

穂乃果「へ?」

海未「あの頃、穂乃果の様子がおかしかったのは明らかでした。その原因が私達だということも」

ことり「それに色々迷惑もかけたし、辛い思いもさせちゃったろうから」

ことり「ごめんね、と、これからも一緒にね、の意味を込めて贈り物をしようって」

穂乃果「ええええええっ」

海未「まあ、今考えればあのタイミングに穂乃果の誘いを断って二人で一緒に行動するのは些か軽率というか、誤解されても仕方ありませんでしたね」

ことり「あの時はことりたちも、目の前のことしか見えてなかったね」

穂乃果「二人とも……」

穂乃果「ちなみにプレゼントって?」

海未「あぁ。結局渡せずじまいでしたが、実は今も持ってますよ」

穂乃果「ほんと、見せて!」

海未「大したものではありませんが……どうぞ」

穂乃果「これは……イルカとふくろうのぬいぐるみ?」

ことり「ことりが選んだんだ。イルカは海未ちゃん、ふくろうはことりをイメージしてるの」

穂乃果「うわあ、ありがとう! 穂乃果、大事にするね」

ことり「うん!」

海未「喜んでもらえたようでなによりです」

穂乃果「そうだ!」

穂乃果「もらってばっかりじゃ悪いし、二人にも穂乃果から、はい!」

海未「これは?」

ことり「熊さん?」

穂乃果「あの日、ことりちゃん達を見かける前にUFOキャッチャーで取ったんだ」

穂乃果「ちょうど二つあるし、これを穂乃果だと思って持っていてほしいな」

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん」

海未「なんだか、プレゼント交換会みたいになりましたね」

穂乃果「確かに」

ことり「渡すまでに、大分遠回りしちゃったけどね」

海未「良いんじゃないですか。それもまた、私達らしくて」

ことり「そうだね。私達は私達のペースで進んで行けば良いんだよね」

穂乃果「うー、海未ちゃん! ことりちゃん」ダキッ

海未「わわっ、なんですか。急に」

ことり「どうしたの、穂乃果ちゃん」

穂乃果「私、二人が大好き! 穂乃果、二人に迷惑いっぱいかけちゃったし、これからもきっとかけちゃうけど、これからもずっと一緒にいてほしいな」

海未「もう、何かと思えば。そんなの当たり前じゃないですか」

ことり「私たちも、穂乃果ちゃんのことが大好きだよ」

ことり「それにね、海未ちゃんとも話し合ってわかったんだけど、やっぱり私達には穂乃果ちゃんが必要なんだって」

海未「いろいろあって気付かされましたが、私がことりを好きなように、ことりが私を好きなように、私もことりも穂乃果のことが好きなんです」

海未「それは世間から見たら変なことかもしれませんが、ですが、そんなの関係ないじゃないですか」

海未「だって好きなんですから」

穂乃果「海未ちゃん……」

ことり「だからさ、もし穂乃果ちゃんが良かったら、なんだけど」

ことり「穂乃果ちゃん、ことりたちと、お付き合いしませんか?」

穂乃果「ことりちゃん……」

海未「さ、穂乃果。そんな呆けた顔をしていないで」

ことり「穂乃果ちゃん。また三人で、一緒にいよう」

穂乃果「あ……あぁ」ポロポロ

海未「ちょ、穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん? またことり達、穂乃果ちゃんを傷つけちゃった?」

穂乃果「違う、違うの……嬉しくて、安心して」

穂乃果(穂乃果が欲しかったもの、こんなに近くにあったんだ)

穂乃果(穂乃果、バカだから気づけなかったけど)

穂乃果「ありがとう、海未ちゃん、ことりちゃん……」

穂乃果(ありがとう、二人とも。穂乃果、今、とっても温かいよ)

おしまい
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