μ's 「虎太朗君とバレンタイン」

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虎太郎-アイキャッチ1
にこ 「ほらー!早く支度しなさーい!遅刻するわよー!」

虎太郎 「はいはーい…」フクキガエ

こころ 「お姉様、昨日は手伝って貰ってありがとうございました」ペコ

ここあ 「ありがと姉ちゃんっ!」ニカッ

にこ 「とうぜんでっしょー!にこの可愛い妹のためなら死ぬ気で手伝うわよ!」ナデナデ

虎太郎 「おはよ…」ファァ

こころ 「おはようございます、虎太郎」

ここあ 「おはよーコタロー!今日は頑張ってきなよ!」

虎太郎 「…分かったよ」

虎太郎 (そう、今日はバレンタインデーなのだ)

pixiv: μ's 「虎太朗君とバレンタイン」 by アルト

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にこ 「頑張りなさいよー!矢澤家で唯一の男なんだから!」

こころ 「とはいえ、毎年沢山のチョコレートを貰ってきてきますよね」

ここあ 「虎太郎意外とモテるんだよなー」

虎太郎 (自慢じゃないけど確かに僕はモテる)

虎太郎 (…まあお姉ちゃん達がこれだけ美形なら当たり前といえば当たり前なのかも知れないが…)

虎太郎 (にこにーはもちろん、こころ姉もここあ姉も学校ではトップレベルで可愛いらしいし)

こころ 「それでは行ってきます、お姉様」

ここあ 「私もー!行ってきまーす!」

にこ 「行ってらっしゃーい!…ほら!アンタも早く朝ごはん食べちゃいなさいよ!」

虎太郎 「いただきます」モグモグ

にこ 「あんたももう中3なのねー、来年から高校生じゃない、時間がすぎるのって早いわー」ハァ

虎太郎 「にこにーもいつの間にか三十路だもんね」ズズ

にこ 「はったおすわよっ!まだ28よ!」

虎太郎 「…まあ、まだ高校生って言っても通じそうだけどね」

にこ 「…それって褒め言葉なの…?」

虎太郎 「僕もよく分かんない、じゃあ行ってきます」ガチャ

にこ 「ったく…行ってらっしゃーい!気をつけなさいよー!」

にこ 「…ほんっと、時間が過ぎるのって早いわね…」クスッ

ーー
ーーー
虎太郎 「すー、はぁ…」ガチャ

バサバサ

虎太郎 「…はぁ…やっぱり…」

虎太郎 (毎年のことだけどやっぱり下駄箱にも入ってた…)

虎太郎 (机の中も…やっぱり…)

虎太郎 (凄く贅沢な悩みなんだろうけどあんまりいっぱい貰うのも困りものだよなぁ…)


──昼休み──


女子1 「あ、あの…矢澤先輩…これ…」

虎太郎 「うん…ありがと」

女子1 「わ、私矢澤先輩のことが…す、好き…です…///」

虎太郎 「…気持ちは嬉しいんだけど、恋愛とかは今あんまり興味なくて…ごめんね…」

女子1 「…ですよね…私なんかじゃ…」

虎太郎 「そういう訳じゃないよ!ただ…ほんとに恋とか分からなくて…ごめん」スタスタ

ウッ…ウッ…
ダイジョウブダヨ、ナカナイデ

虎太郎 「…」


──放課後──


虎太郎 (はぁ…ほんとにバレンタインって憂鬱な気分になるなぁ…)

??? 「こったろーくーんっ♪」ダキッ

虎太郎 「うわっ!…何だ、凛姉ちゃんか…」

凛 「もうー!その呼び方はここではダメだって言ったでしょー!」ニャー

虎太郎 「…なんですか凛先生…」

凛 「なーんでさっきの子断っちゃったのー?あんなに可愛いのにー」

虎太郎 「…のぞき見してたんですか…?趣味悪いですよ…」

凛 「偶然通りかかっちゃっただけだよー、それよりどうしてっ?」

虎太郎 「…僕がにこに…にこ姉ちゃんの弟だからって理由で近寄って来てるんですよ、なんて言うか…僕じゃなくてにこ姉ちゃんが好きっていう感じで…」

凛 「…ふーん、そうなんだ」

虎太郎 「だからちょっと嫌なんです…」

凛 「やっぱり虎太郎君は可愛いなぁー」ツンツン

虎太郎 「…やめてくださいよ」バシッ

凛 「そんな可愛い虎太郎君にプレゼント!はいコレ!」

虎太郎 「…なんですか、これ?」

凛 「言わなくても分かるでしょー?テンションが上がるおまじない付きだからねっ♪」

虎太郎 「…先生が生徒にこんなことしていいんですか…?」ハァ

凛 「ちょうど17時過ぎたところだから今渡した凛は凛先生じゃないもんねー」ニヤー

虎太郎 「…屁理屈ですよ…」

凛 「屁理屈も理屈だよっ♪バイバーイ」タタッ

虎太郎 「はぁ…」

凛 「あっ!そうだ!言い忘れてた!」

虎太郎 「?」

凛 「This chocolate is gift with my true love」

凛 「…なんて、凛やっぱり英語苦手だにゃ…///」テヘッ

虎太郎 「…どういう意味なんだろう…後で調べてみよっと…」


──凛編 終──


虎太郎 「凛姉ちゃんと話してたら遅くなっちゃった、早く帰らないと」タッタッ

虎太郎 (まさか凛姉ちゃんが保健体育の先生としてうちの学校に来るとは思ってなかったなぁ)

虎太郎 (μ'sの影響もあってか男女問わず大人気なのに、僕にじゃれてくるからいつも妬まれるし…)

虎太郎 (…にこにーの弟だからって羨ましいって言われるんだよな…)

虎太郎 「…はぁ、なんか今日ため息ついてばっかりだなぁ…僕」

ドンッ

??? 「いったっ!ちゃんと前見て歩きなさいよっ!」

虎太郎 「あっ!ごめんなさい!大丈夫ですか…って、真姫さん!?」

真姫 「あら?虎太郎君じゃないっ!ちょうど良かったわ!久しぶりねっ!」


──帰り道──


真姫 「随分大きくなったわねぇ、虎太郎君」

虎太郎 「ええ、まあ中3ですから…」ハハ

真姫 「にこちゃんを男の子にしたらこんな感じなのかしらね」フフ

虎太郎 「やっぱりにこに…にこ姉ちゃんに似てるんですね、僕」

真姫 「虎太郎君ってにこちゃんのことにこにーって呼ぶんだぁ」ニヤニヤ

虎太郎 「やめてくださいよ、恥ずかしいですから…///」

真姫 「大きくなったのは体だけなのかしらね」フフ

虎太郎 「ハハハ…もしかしたら本当にそうなのかもしれないですね…」

真姫 「…前言撤回、やっぱ虎太郎君はにこちゃんに似てないわ」

虎太郎 「え?」

真姫 「にこちゃんはそんなに暗くないし素直じゃないわー、ほんと苦労したわよ、あなたのお姉さんには」

虎太郎 「素直じゃないのは真姫さんも…ですよね」ハハ

真姫 「アンタも随分言うようになったわね…」ハァ

虎太郎 「確かににこ姉ちゃんは素直じゃないですよね、僕はにこ姉ちゃんとは違いますから…」

真姫 「そりゃそうよ、虎太郎君は虎太郎君でしょ?むしろアンタなんかににこちゃんは務まらないわ」

虎太郎 「…ありがとうございます、なんか元気出ました」ニコ

真姫 「どんなタイミングで元気でてんのよ…」ジトー

虎太郎 「はは…ちょっと色々あって…」

真姫 「はい、コレ」スッ

虎太郎 「えっ、これって…」

真姫 「チョコレート、今日はバレンタインなんだから当たり前でしょ?」

虎太郎 「えっ、それって…///」

真姫 「コレを渡したかっただけよ、それじゃあね」スタスタ

虎太郎 「あっ…」

真姫 「そうそう」クルッ

真姫 「やっぱり虎太郎君はにこちゃんとは違うわよ」

虎太郎 「?」

真姫 「だって、にこちゃんはこんなに可愛いお姉さんの手作りチョコ貰えなかったもの」フフ

虎太郎 「…真姫さん、今日は随分素直なんですね///」ハハ


──真姫編 終──


虎太郎 (僕はにこにーとは違う…か)

虎太郎 「へへ…」

虎太郎 (…素直に嬉しい言葉だったなぁ)

虎太郎 「ただいまー」

にこ 「おかえり、遅かったわね」

虎太郎 「凛姉ちゃんに絡まれてて…」

にこ 「そういえばあの子アンタんとこの中学の先生なんだっけ」

虎太郎 「うん、男女問わず大人気だよ」

にこ 「とうぜんでっしょー!このにこにーと同じμ'sのメンバーでにこにーには及ばなかったけど可愛かったんだからぁ~」

虎太郎 「…やっぱ真姫さんの言う通り、にこにーは素直じゃないな」クス

にこ 「なんか言った?」

虎太郎 「何でもないよ、帰り道には真姫さんにも会ったんだ」

にこ 「へぇー、アンタ今日μ'sのメンバーによく会う──あっ!」

虎太郎 「どうしたの?」

にこ 「…忘れてた」

虎太郎 「?」

にこ 「虎太郎、悪いんだけどちょっとおつかい頼んでいいかしら…?」

虎太郎 「えぇー、いや──」

にこ 「こたろぉ~?おつかいたのんでもいいかしらぁ~?」ニコニコ

虎太郎 「…はい」

にこ 「今すぐ穂むらでほむまん買ってきてっ!」

虎太郎 「…分かったよ」

にこ 「ごめんね、その間に夕飯作っとくから!」

虎太郎 「ん、行ってきます」ガチャ

虎太郎 (…バレンタインって心身ともにこんな疲れるものだったっけなぁ…毎年ここまで疲れないんだけど…)

コツ

虎太郎 「ん?なんだこれ…お財布?」

虎太郎 「…仕方ない、交番まで持っていくか…」

??? 「あっ!すみません、そこの方!」タタッ

虎太郎 (僕…だよな)

??? 「それ私のお財布なんです!」ハァハァ

虎太郎 「そうだったんですか、良かったです」

??? 「あ、ありがとうございます…」

虎太郎 (あれ…?)

虎太郎 「海未…先生?」

海未 「…へ?虎太郎?」

虎太郎 (…ほんとにμ'sのメンバーによく会う日だなぁ)ハハ


──住宅街──


海未 「まさか虎太郎が私のお財布を拾っているとは思っていませんでしたよ…」

虎太郎 (海未さんは結局家を継いだ、今では僕の武術と剣道をみてくれている先生だ)

虎太郎 「海未先生が落としものって珍しいですね、そんなこと滅多にしないのに」

海未 「わ、私だってたまにはそういうことをしてしまいますよっ!///」フイッ

虎太郎 「意外と抜けてる所もあるんですね」ハハ

海未 「お、怒りますよ!虎太郎!」ムッ

虎太郎 「あはは、すみません、本当に意外だったので…」

海未 「…ほ、穂むらに少し用があってですね、帰る途中に無くしたことに気づいて戻ってきたんです」

虎太郎 「ほむまんでも買いに行ったんですか?」

海未 「えっと…まあそんな感じです。そ、それより虎太郎はなぜここに?」

虎太郎 「にこ…姉ちゃんに穂むらまでおつかい頼まれちゃって…」

海未 「ちょうど良かったです、私もことりに呼ばれているので途中まで一緒に歩きましょうか」


──穂むら道──


海未 「虎太郎は偉いですね、しっかりと言う事を聞いていて」

虎太郎 「あはは…(脅されたとは言えないなぁ)」

海未 「虎太郎ももう中学3年生ですもんね、時間の流れとは早いものです」フフ

虎太郎 「にこ姉ちゃんと同じこといってますよ先生」ハハ

海未 「…こうして虎太郎と話していると変な気分になりますね、昔はバックダンサー、などといっていた少年が今では私の一番弟子なのですから…」ニコ

虎太郎 「小さい頃の話はやめてくださいよ…なんか、こう…恥ずかしいですから…///」

海未 「ふふふ…その顔、にこの恥ずかしがっている時にそっくりです」

虎太郎 「え?」

虎太郎 (…そっくりか)

海未 「…羨ましいですよ、虎太郎」

海未 「そうやって可愛い所ばかりにこに似ていて、謙虚な所はこころに似ていて、人当たりの良さはここあにでも似たのでしょうか…」フフ

虎太郎 「海未先生…」

海未 「どうしました?」

虎太郎 「僕が…何に見えますか?」

海未 「…虎太朗?」

虎太朗 「…」

海未 「ふふ…」クス

虎太郎 「…突然変ですよね…僕」

海未 「そういう訳ではありませんよ。そうですね、ではそこの空き地に行きましょうか」スタスタ

虎太郎 「…」スタスタ


──空き地──


海未 「少し稽古をつけてあげます」

虎太郎 「稽古?」

海未 「私に一撃当ててください」

虎太郎 「…そんなの…無理ですよ」

海未 「それはやってみなければ分かりませんから、行きますよっ!」タッ

虎太郎 「っ!」サッ

海未 「避けるだけではいつまで経っても私に攻撃を当てられませんよ!」ブン

虎太郎 「くっ…!」フッ

虎太郎 「はぁっ!」バン

海未 「うっ!」ヨロッ

虎太郎 「はぁ…はぁ…あっ!ごめんなさい!大丈夫ですかっ!?」ザッ

海未 「ほら、当てられたじゃないですか」ニコ

虎太郎 「…!」ドキッ

海未 「似ていたっていいじゃないですか、虎太郎は虎太郎ですから」

虎太郎 (真姫さんと同じことを…)

海未 「心配しなくても大丈夫ですよ、私は虎太郎をしっかり見ていますから」ニコ

虎太郎 (僕を…虎太郎を見てくれてるんだ、先生は…)

海未 「さて、ここの別れ道なので私はこれで失礼します、気をつけて行ってくださいね」スタスタ

虎太郎 「あっ!せ、先生!この小さい袋忘れてますよ!」タッタッ

海未 「それは先生の物ではありませんよ?」

虎太郎 「えっ?でも先生が持ってきた物でしたよね?」

海未 「いいえ、それは私が持っていた物です」

虎太郎 (…?)

虎太郎 (先生は何を言ってるんだ…?)

海未 「そして、私から虎太郎への贈り物です」

虎太郎 「先生からの…?」

海未 「いいえ、先生ではなく──」

海未 「園田海未、からの贈り物です」ニコ

海未 「それでは」ペコリ

虎太郎 (先生じゃなくて…海未さん…から…?)

虎太郎 「あ…」

虎太郎 「///」ウツムキ

虎太郎 「…こういうの苦手だったじゃないですか…海未さん…」

虎太郎 「こういうのを破廉恥…っていうんですよ…///」


──海未編 終──


虎太郎 (僕は僕…か)

虎太郎 (みんな僕のこと気にかけてくれたり見てくれたりしてるんだな…)

虎太郎 (はぁ…それに比べてこんなこと考えてる僕はまだまだ子供だよな…)

虎太郎 (…やっと穂むらに着いた)ガラガラ

??? 「いらっしゃいませ…って虎太郎君っ!」

虎太郎 「雪穂さん、お久しぶりです」ペコ

雪穂 「おっきくなったねぇ…そうだ、お茶出すからそこ座ってて!」

虎太郎 「あ、いえ!今日は少し急ぎなので大丈夫です」

雪穂 「そっか!じゃあまた今度暇な時にねっ!」

虎太郎 「すみません、ありがとうございます」

虎太郎 (えっと…これとこれと…)

??? 「ごめんくださーい」

雪穂 「いらっしゃーい、あっ!来ましたね!」

??? 「ありがと雪穂ちゃん!」

虎太郎 (あれ?もしかして──)

??? 「あら?虎太郎君じゃない!」

虎太郎 (…やっぱり)

虎太郎 「…今度は絵里さんか」

絵里 「久しぶりねぇ〜!また背伸びた?」

虎太郎 「って言っても最後に会ったの三ヶ月前くらいだったと思いますけど…背は2cmくらい伸びました」


──穂むら──


絵里 「にこには私から言っておくから、少しお茶しましょ」

虎太郎 「すみません、ありがとうございます」

雪穂 「はいどうぞー」コトッ

虎太郎 (和菓子屋なのにチョコ…?)

雪穂 「今日は特別な日なので、それに絵里先輩も好きですもんね!」ニコ

絵里 「流石にこの歳になって先輩は恥ずかしいから止めてよ〜!」

雪穂 「あっ!そうだった…まだ昔の癖が抜けなくて…」テヘ

絵里 「気をつけてよね…っと、そういえば穂乃果は?最近雪穂ちゃんしか見ないけど…」

雪穂 「…お姉ちゃんは和菓子の修行で今はこの街にはいないんです」

絵里 「えっ!?初耳だわ…」

雪穂 「家族以外には何も言わなかったみたいです、お姉ちゃん変なところだけ気を遣うから…」ハハ

絵里 「はぁ…最近見ないと思ったらそんな事しにいってたのね」

雪穂 「お姉ちゃんったら『日本一の和菓子職人になって帰ってくるっ!』とか言っちゃって」フフ

絵里 「まあ穂乃果らしいと言えば穂乃果らしいんだけど…」アハハ

虎太郎 (僕とは会うこと多いけどやっぱりみんなとは仕事の都合であまり連絡も取っていないんだな、にこ姉ちゃんも全然連絡取ってなさそうだし…)

雪穂 「少し仕事片付けたらご一緒してもいいですか?」

絵里 「もちろんよ、虎太郎君もいいかしら?」

虎太郎 「はい、構いませんよ」

雪穂 「先にお茶しててください!」トタトタ

虎太郎 (絵里さんは大学卒業後、通訳の仕事に就いた)

虎太郎 (大学在学中にはモデル事務所からもスカウトされ、今でも若者のファッションリーダーになっている)

虎太郎 (だけど、μ'sの中では会う機会が多い方で一ヶ月に一回くらいは会っていた)

虎太郎 (というのも、僕が勉強で分からないところを仕事の合間を縫って教えてくれていたからだ)

虎太郎 (おかげで僕はなんとか都立高校に入学することが出来た)

虎太郎 (…だけど英語だけがあまりにも苦手で絵里さんに申し訳なかったっけ…)

虎太郎 (でもそれがきっかけで絵里さんに教えてもらうようになったから一概に悪かったとはいえないけど…)

絵里 「なんか数ヶ月見ない間に大人になっちゃって…」

虎太郎 「そんなことないですよ…」

絵里 「ほら、ちょっと前までそんな事言わなかったわよ〜?」アハハ

虎太郎 「一応今年から高校生ですから…」

絵里 「なんか今日の虎太郎君反応が冷たいわねー、何かあった?」

虎太郎 「…いえ、特に何も無かったですよ」

絵里 「バレンタインで女の子にチョコ貰えなかったとか?」

虎太郎 「バカにしないで下さいよ!ちゃんと貰ってます!」

絵里 「ハラショー!モテモテねぇー、虎太郎君がモテモテでお姉さん妬いちゃうわー」イヤーン

虎太郎 「…はぁ」

絵里 「…なーんてねっ」

絵里 「虎太郎君、今絶対悩み事あるでしょ?」

虎太郎 「…どうしてそう思うんですか?」

絵里 「長い間見ているんだから顔みたらすぐ分かっちゃうわよ」

虎太郎 「…敵いませんね、μ'sの皆さんには」

絵里 「お姉さんでよければ話聞くわよ?」

虎太郎 「…実は僕も何に悩んでいるのかはあまりハッキリしないんです」

絵里 「そうなの?」モグモグ

虎太郎 「はい、なんだか凄く複雑な気持ちで…僕は僕でありたくて、でもお姉ちゃん達にそっくりで…それも嬉しくて…」

絵里 「…そうね、言いたい事は分かったわ」ゴクン

絵里 「でも、その答えに虎太郎君も少し気づき始めているんじゃないかしら?」

虎太郎 「…」

絵里 「難しく考えなくていいのよ、自分の思った通りに行動してみなさい」

絵里 「道を間違えた時はお姉さん達が全力で止めてあげるから」

虎太郎 「絵里さん…」

絵里 「なーに泣きそうな顔してるのよ、泣いちゃダメよ?男の子なんだから」

虎太郎 「だ、大丈夫です!泣きませんよ!」

絵里 「さてと、私はこの後も仕事があるからそろそろ行くわね、虎太郎君もにこが待ってるんだから早めにね」

虎太郎 「そうだった!早く帰らないと!」

絵里 「ゆっくり食べてから帰りなさいよ?慌てて食べると喉に詰まっちゃうわよ?」

虎太郎 「…子供じゃないんですから!」モグモグ

虎太郎 (僕は…子供じゃない…のかな…?)

絵里 「どう?」

虎太郎 「すごく美味しいです!」パァァ

絵里 「…ふふっ、よかった」ニコ

絵里 「お金はいいわよ、ここに置いておくから」

虎太郎 「それは悪いですよ、僕も出します」

絵里 「大人に恥かかせないの、ここは任せなさい」

虎太郎 「…分かりました」

絵里 「じゃあ行くわね」カツカツ

虎太郎 「──あっ!そういえば今日凛姉ちゃんに言われた言葉があって…」

絵里 「あら、今日凛にも会っていたのね、私も久しぶりに会いたいわー」

虎太郎 「えーっと、This chocolate is gift with my true love、って言われたんですけど…これってどういう意味なんでしょうか?綺麗に訳せなくて…」

絵里 「…へぇ」

絵里 (…凛ったら)

絵里 「ふふっ」クス

虎太郎 「?」

絵里 「そうねぇ、お姉さんなら簡単に分かるけど…それは自分で調べないとダメね」

虎太郎 「どうしてですか…?」

絵里 「私が教えちゃうとなんの意味もないから」ニコ

虎太郎 「絵里さんのケチ…」

絵里 「なんとでもいいなさーい、虎太郎君も早く帰るのよー」ガラガラ

虎太郎 「言われなくても帰りますよ!」ムッ

絵里 「そうだ、最後にもう一つ!」スタスタ

虎太郎 「なんです──」クルッ

絵里 「…」チュッ

虎太郎 「──か…」

絵里 「今のがヒント♪」パチッ

絵里 「またね、虎太郎君っ♪」ガラガラ

虎太郎 「…」カァァ

雪穂 「終わったぁ〜」トタトタ

虎太郎 「!」ガタッ

雪穂 「あれ?絵里さんは?」

虎太郎 「あっ、え、えっと、さ、先に帰りましたっ!」

雪穂 「どうかした?虎太郎君?顔赤いけど…熱でもある?」

虎太郎 「い、いえ!大丈夫ですっ!」

虎太郎 「そ、それじゃあ僕も失礼しますね!これお代です!」ソソクサ

雪穂 「お代?いらないよ?」

虎太郎 「え?でもチョコレート食べましたし…」

雪穂 「あちゃー、絵里さん言わなかったんだ」

虎太郎 「どういうことですか?」

雪穂 「さっきのチョコ絵里さんの手作りチョコだったんだよ」

虎太郎 「手作りチョコ…?」

雪穂 「どうしてもまとまった時間が取れなくて仕事終わったあと、よくうちに作りに来てたんだよ」

雪穂 「うちならいつでも道具使えるからねー」

虎太郎 「絵里さんが…」

雪穂 「結構失敗してて何日か通いに来てたんだよ、偉いよね〜絵里さん」

雪穂 「いっつも美味しいって言ってもらえるかな〜、なんて心配してたし」

虎太郎 「…そうだったんですね…」

雪穂 「あれ?虎太郎君のほっぺたになんかついてるよ?」

虎太郎 「!」

虎太郎 「な、何でもないです!大丈夫です!」バタバタ

虎太郎 「それじゃあこの辺で失礼します!ごちそうさまでした!」ガラガラ

雪穂 「…ふふ、またおいでね」


──絵里編 終──


虎太郎 「はぁ…はぁ…!」

虎太郎 (まさかあんなことされるなんて…)

絵里『…』チュッ

虎太郎 (…)カァァ

虎太郎 (ヤバイヤバイ!絶対また顔赤くなってるよっ!)ブンブン

ヤダ…アノコヒトリデアタマフッテル…
キモチワルイ…

虎太郎 (う…周囲の視線がイタイ…)

虎太郎 「…早く帰ろ」

ポツポツ

虎太郎 「やば…雨降ってきた」

ザー

虎太郎 「仕方ない、少し雨宿りしていくか」

虎太郎 「このままだとにこにーのやつ濡れちゃうな…」

??? 「あれぇ〜お困りのようやねぇ〜」

虎太郎 (そうだな、この関西弁風の人は一人しか知らない)クルッ

希 「ウチが相合傘してあげよか?」

虎太郎 「希さん…しかいないよな」


──帰路──


希 「いやぁ〜、大きくなったねぇ〜」

虎太郎 「…みんなに言われました」ハァ

希 「みんなに会ったん?」

虎太郎 「希さんで5人目です」

希 「そんなに!?…スピリチュアルやね〜」

虎太郎 (希さんについては僕もあまり知らない)

虎太郎 (どこで働いているかも聞いたことがないし、ほとんど話した事もない)

虎太郎 (…だけど近くにいると不思議と安心するような感覚を覚える)

虎太郎 (…なんていうか…お母さんみたいな…)

ザー

希 「なんか雨強くなってきたね」

虎太郎 「…そうですね」

希 「あちゃー、雨だとこっちからは帰れないか」

虎太郎 「ここまでで大丈夫ですよ、ここからは走って帰りますから」

希 「こんな雨の中一人で帰らせるほどウチは酷い人間やないよ」ハハ

虎太郎 「でも悪いですし…」

希 「そうだ!ウチの家ここのすぐ近くだから雨が止むまでウチの家で待ってなよ!」

虎太郎 「…もっと悪いですよ」

希 「いいっていいって、にこっちにはウチから連絡入れとくから」

虎太郎 「…それじゃあお言葉に甘えて」

虎太郎 (そういえば希さんの家に上がるのって初めてかも…どんな家なんだろ)


──希宅──


虎太郎 「おじゃましま──」

虎太郎 「!」

虎太郎 (…なんか凄い家だな…家がお面やら御守りやらで埋め尽くされてる…?)

希 「あはは…ごめんね、ビックリさせちゃったかな」

虎太郎 「…いえ、そんなことは──」

虎太郎 「…」

虎太郎 「ないです」

希 「今の間はなんや」

虎太郎 「…すみません、ビックリしました」

希 「実はね、今は神社で働いてるんよ」

希 「お祓いしたり御守りを売ったりしてるからね、そのために家に置いてあるんよ」

虎太朗 (それだけ聞くとなんか胡散臭いな…)

希 「その他にも個人的に占いをしたり、相談にのったりもしてるからそのための物が置いてあったりもするってこと」

虎太郎 「なるほど、納得しました」

希 「お茶とコーヒーと紅茶とココア、どれがいい?」

虎太郎 「なんでもありますね…でも大丈夫です」

希 「気使ってる〜?風邪ひかせてにこっちに怒られるのウチなんだよ〜?」ジトー

虎太郎 「…わかりました、それじゃあコーヒーでお願いします」

希 「おおー、随分大人なんやね、ちょっと待っててね」スタスタ

虎太郎 (本当に色々あるなぁ…)

虎太郎 (…ん?この写真…μ'sの時の写真か)

虎太郎 (10年前か…)

虎太郎 (ぷっ、にこにーほんとに変わってないなぁ……うん、色々と変わってない…)

虎太郎 (絵里さんって昔はポニーテールだったんだっけ、今はいつも髪下ろしてるからなんか新鮮だな)

虎太郎 (そういえば真姫さんも昔は毛先がくるくるしてたんだったな)

虎太郎 (凛姉ちゃんは昔からショートなんだ、確かにロングの凛姉ちゃんは想像できないや)ハハ

希 「出来たでー」

虎太郎 「!」ガタッ

希 「何やっとったん?」

虎太郎 「えっと…この辺のものを見ていただけです」

希 「ふーん…」

虎太郎 「さ、冷めないうちに飲んじゃいましょうよ!」

希 「そうやね、飲んじゃおっか」

希 「あれ?ミルクとお砂糖入れへんの?」

虎太郎 「はい、最近はブラックの方が好きなんです」ズズ

希 「へぇ〜10年前からは想像できないね」

虎太郎 「っ!」

虎太郎 「げほげほっ!」

希 「ど、どうしたん?大丈夫?」サスサス

虎太郎 「…はい、少しむせただけです」

希 「ならええけど…」

虎太郎 「…」

絵里『自分の思った通りに行動してみなさい』

虎太郎 「…希さん」

希 「どうしたん?」

虎太郎 「…僕の悩みを聞いてくれますか?」

希 「…!」

希 「…もちろん、それがウチの仕事やから」フフ

虎太郎 「…ありがとうございます」

虎太郎 (それから僕は希さんに今まで抱えていたものを全て吐き出した)

虎太郎 (希さんは話している僕を無言で見つめるだけだった)

虎太郎 (時々「そっか」といって微笑んで、また僕の話を真剣な眼差しで聞いてくれた)

虎太郎 (気づけば僕は泣きながら希さんに抱きついていた)

虎太郎 (希さんはそんな僕を優しく抱きしめてくれた)

虎太郎 (僕はその包容力のなせる抱擁力に負けていつの間にか眠っていた)

虎太郎 (目が覚めると僕は──)

希 「おっ、起きた?大丈夫?」

虎太郎 (…あれ?僕何してたんだっけ…?)

虎太郎 (…あ、思い出した)

虎太郎 「あ、あの…」

希 「ん?」

虎太郎 「どうもありがとうございます」

希 「え?何のこと?」

虎太郎 「え?だって僕──」

希 「ウチは何もしとらんよ」

希 「虎太郎君の話を聞いとっただけやで」フフ

虎太郎 「希さん…」

希 「ほら、コーヒー冷めちゃったから入れ直そうか?」

虎太郎 「…いえ、もう大丈夫です、ありがとうございます」

希 「そっか」フフ

希 「それじゃあ…はい、コレ!」

虎太郎 「これは?」

希 「この中には食べると元気の出るおまじないがかかった食べ物が入っとるんよ、お家帰ったらゆっくり食べてな」

虎太郎 「はは…ありがとうございます」

希 「ふふっ、また今度ね」フリフリ

虎太郎 (──そう言われた僕は少し開いたカーテンから外を覗いた──)

虎太郎 (──外はもう晴れていた)


──希編 終──


虎太郎 (なんか凄く気が楽になったな)

虎太郎 (さて、早く帰らないとにこにーに本当に怒られそうだから少し早足で帰ろっと)

オネーチャーン、アソボウヨー
ヤ、ヤメテクダサイ…!

虎太郎 (…見ちゃったら放っておけないよな)

不良1 「買い物の帰り?俺らと一緒に遊ぼうぜぇ〜」

不良2 「悪いようにはしないからさぁ〜」

女の子 「い、嫌です!やめてください!」

虎太郎 (あいつら…学校の不良か、先生達も手を焼いてるとかいう…)

不良1 「いいじゃーん、お姉さん凄い綺麗だから少しお茶したいだけなんだよ〜」

女の子 「お茶は嫌です…」

虎太郎 (僕が出ていかないとあの女の子は大変なことになる、でも…)

虎太郎 (いや、僕はあの人を助けようと思った、それなら──)

不良1 「いいから来いつってんだよっ!」グイッ

女の子 「きゃぁぁぁぁ!ダレカタスケテェ!」

虎太郎 「おい、その子嫌がってるだろ、やめろよ」

虎太郎 (思ったように行動すればいいっ!後のことは後で何とかする!)

不良2 「あん?んだクソガキ、うちの制服だな?邪魔すんならぶっ殺すぞ!」

虎太郎 「やれるもんならやってみろよ」

不良2 「…テメェ、調子のんな!」ブン

虎太郎 「そんなの先生に比べたら止まって見えるよ!」ドス

不良2 「うっ!」

不良1 「テメェ!何しやがる!」タタッ

虎太郎 「はっ!」ドス

不良1 「いって!」

虎太郎 「次こんなことしてるの見かけたらこんなんじゃすまないからな、覚えとけよ」

不良1 「クソ…!行くぞ!」ササッ

不良2 「ま、待ってくれよ!」タタッ

女の子 「あ、あの…ありがとうございました」

虎太郎 「いえ、怪我はないですか?」

女の子 「は、はい…全然大丈夫です」

虎太郎 「それなら良かったです」

女の子 「…お茶じゃなくてご飯だったら食べに行きたかったんだけどなぁ…」

虎太郎 「そういう問題なん──」

虎太郎 (──あれ?もしかして…)

虎太郎 「…お米といえば?」

花陽 「新米の季節のコシヒカリ!白米以外は認められません!」

花陽 「はっ!つい癖で…って何で知ってるんですかぁ!?」

虎太郎 「やっぱり…僕の事分かります?」

花陽 「…赤目の黒髪ってまさか…虎太郎君!?」

虎太郎 「正解です」

花陽 「オッキクナッチャッタノォ!?」

虎太郎 「僕も最初全然気づかなかったですよ」

虎太郎 「髪も伸びてるし、メガネもかけてますし」

虎太郎 「黒タイツも履いてないですし…」ボソッ

花陽 「え?何か言った?」

虎太郎 「いえ…でもご飯って言ったから多分花陽さんだろうなって思って」

花陽 「そっかぁ、嬉しいような悲しいような…」

虎太郎 「どうしてこんなところ一人で歩いていたんですか?危ないですよ」

花陽 「うぅ…ごめんなさい…」ウルッ

虎太郎 (…なんか僕悪いことしたかな…)

虎太郎 「あ、えっと…良かったら家まで送りましょうか?」

花陽 「えっ!?そんなの悪いよぉ」

虎太郎 「大丈夫です、まだそこまで暗くなってないですから」

花陽 「それなら私も大丈夫だよ?」

虎太郎 「どの口がそれを…ちょうど今絡まれてたじゃないですか」

花陽 「あうぅ…」ウルッ

虎太郎 (…何だろうこのどうしようもない罪悪感は…)

虎太郎 「と、とにかく!心配なんですよ!だから送らせて下さい!」

花陽 「そ、そこまで言うならいいけど…」

虎太郎 「…なんで僕が頼みこんでるんだろう…」


──帰路──


花陽 「そうなんだぁ、海未ちゃんが師匠ならあの強さも納得だなぁ〜」

虎太郎 「僕なんて全然まだまだです、先生の最高組手数は測りきれてないんですから」

花陽 「ドウイウコトナノォ!?」

虎太郎 「先生を倒す前に僕達全員がやられてしまって…」アハハ

花陽 「ヤラレチャッタノォ!?!?」

花陽 「もしかして…その海未ちゃんってバーサク状態だったんじゃ…」

虎太郎 「ばーさく?分かりませんけど組手をやるきっかけが合宿中の夜、先生が寝静まった後に肝試しをやる事になって──」

虎太郎 「──テンションが上がってふざけ始めた時に枕投げをしたんです」

花陽 (…ああ、このパターンは…)

虎太郎 「そうしたら先生の顔に枕が当たってしまって──」


──回想──


生徒1 「肝試しやったからかさ──」

生徒5 「うん」

生徒1 「なんかテンション上がってきたんだけど」

生徒2 「だよね!テンション上がるよね!」

生徒9 「おい、お前ら…もう寝ないとダメだろ?先生を見てみろ、こんなにぐっすり寝てるんだぞ」

海未 「…」スヤスヤ

生徒1 「いやぁー、せっかくみんなでいるのに寝るのもったいなくて」

生徒4 「明日は朝から練習だって先生が言ってただろ?早く寝ろ」

生徒5 「そんなこといってお前実は暗いの怖いんだろ?」クスクス

生徒4 「は、はぁ!?」

生徒2 「確かにさっき肝試しの時怖がってたよね」

生徒4 「こ、怖くないに決まってんだろ!」

生徒9 「おいおい、やめろよ…」

虎太郎 「うるさいなぁ…全然寝れないじゃん…」

生徒9 「ほら、虎太郎起きちゃったじゃんかよ」

生徒4 「お前らこんなんだと明日動けなくなるぞ?だいたい今は合宿であって遊びに来てるわけじゃ──」

ボフッ

生徒5 「こうすれば少し静かになるかな?」クスクス

生徒4 「テメェ…」ゴゴゴゴ

生徒9 「お前らその辺にしとけって、ふざけあってる時間帯じゃねえ──」

ボフッ

生徒1 「こうしたらあいつも少しは静かになるかな?」クスクス

生徒9 「…」ゴゴゴゴ

生徒2 「…な、なんか嫌な予感…」

生徒4 「いいだろう!やってやるよ!」ブン

生徒9 「俺ももう許さねえ!お前ら全員沈めてやる!」ブン

生徒1 「ひゃー!危ねぇ!」

生徒5 「避けろ避けろー!」

虎太郎 「お、おい!ちょ、お前ら!流石に騒ぎすぎ──」

ボフッ

生徒 「「うるさい!」」

虎太郎 「…よし、分かった、僕も参戦してやるっ!」ブン

生徒5 「虎太郎まできた!」

生徒1 「イェーイ!楽しくなってきたー!」

ドタドタドタバタコメディー

アブネッ!
オット!
クラエッ!

ボフッボフッ

海未 「うっ……」

虎太郎 「あ…」

海未 「……何やってるんですか?」ゴゴゴゴ

生徒1 「あ…えっと…」

海未 「…早朝練習のために早く寝るように言いましたよね…?」ゴゴゴゴ

生徒2 「は、はい…」ゴクリ

海未 「…それならどうして寝ていないのでしょうか…?」

生徒9 「そ、それは…」

海未 「…ふふ、うふふふ…」

生徒4 「せ、先生…?」

海未 「またですか…また枕投げですか…なんなんですか…全く…」

生徒5 「こ、これは…本当にヤバそうな予感…」コソコソ

海未 「ふんっ…!」ブン

生徒5 「うぎゃっ!?」

生徒2 「…超音速…いや…超光速枕…!」

海未 「…さて、それでは皆さん…これから組手をしましょうか」

生徒1 「え…?だって先生は寝ろって──」

海未 「あれ…?聞こえませんでしたか?」

生徒1 「…はい」ブルブル

海未 「私が倒れるまでエンドレスで…」フフフ


──回想 終──


花陽 (…あの時希ちゃんと真姫ちゃんが海未ちゃん倒してなかったらどうなってたんだろう…)

虎太郎 「ちなみに生徒5はたたき起こされて相手をさせられました」

花陽 「こ、虎太郎君はどうだったの…?」

虎太郎 「僕は本気で倒すつもりで闘いましたが指一本触れる事は出来ませんでした」

花陽 「そっかぁ…最終的に海未ちゃんはどうしたの?」

虎太郎 「全員が動けなくなった後に、今回はこれで許してあげます、次はありませんから、と言い放ってまた眠りにつきました」

虎太郎 「その日は真夏にも関わらず全員の震えがとまりませんでした」

花陽 (うん…凄くわかるよ…)

花陽 「あ、着いちゃった」

虎太郎 「ここなんですか、僕のマンションから割と近いんですね」

花陽 「送ってくれてありがとうね、虎太郎君の話聞いてて凄く懐かしい思いができたよ」

虎太郎 「こちらこそ聞いて頂いてありがとうございました、では──」

花陽 「あ!チョットマッテテ!渡したいものがあるんだぁ!」

花陽 「はい!コレ!」

虎太郎 「花陽さん、こういうのは恥ずかしがらなくなったんですか?」

花陽 「今日は女の子の日ですから、今日くらいはみんな大胆にならないとダメなんですよ」フフ

虎太郎 (今日くらいは…ね)ハハ

花陽 「もう随分暗くなってきちゃったから気をつけて帰るんだよ?虎太郎君は男の子だけどまだ中学生なんだから」

虎太郎 「…されど中学生、ですから」ニコ

花陽 「ふふっ、そっか」

虎太郎 「それでは…」ペコ

花陽 「虎太郎君っ!」

虎太郎 「はい?」

花陽 「本当に強くなったんだね」ニコ

虎太郎 「…かもしれないですね」ニコ


──花陽編 終──


虎太郎 (本当に暗くなっちゃったなぁ)

虎太郎 (花陽さんは結構変わったよな、なんて言うか…少し大胆になったっていうか…)

虎太郎 (…天然の男殺しみたいなとこあったって言うか…)

虎太郎 (まず声からして結構殺しにきてると思うし)

虎太郎 「ただいまー」ガチャ

??? 「おかえりー、虎太郎君♡」

虎太郎 (…こっちも声からして殺しにきてるんだよなぁ)

虎太郎 「もうそんな時期でしたっけ、ことりさん」

ことり 「えへへ、少し早めにやっておきたくてー」

にこ 「アンタ随分時間かかったわね…?」ギロッ

虎太郎 「い、いや!雨降ったりとか人に会ったりとか色々あって──!」

にこ 「…あっそ、本当はことりにもほむまんあげるつもりだったのよ」

虎太郎 「ご、ごめん…」

にこ 「ふん、私はとっくに終わったからずっとアンタ待ちだったのよ」

虎太郎 「本当ごめん…」

ことり 「にこちゃん!アイドルなんだからそんな怖い顔しちゃダメっ!」

にこ 「…い、今はプライベートだからいいでしょ」

ことり 「にこちゃん昔プライベートでもアイドルらしくって言ってたよっ!」

にこ 「うっ…な、何のことかわからないニコ☆」

ことり 「へぇ…分からないんだぁ?」ニコニコ

にこ 「う、うそうそ!思い出したってば!」

虎太郎 (実はことりさんはμ'sの中で一番会う機会の多い人だ)

虎太郎 (…その割には少し苦手だったりするんだけど…)

虎太郎 (高校卒業と共にパリの大学に入学、卒業後は新ブランド『chunn's』をパリで立ち上げた)

虎太郎 (だけど、本店は日本に作ったようだった、みんなと会えないのが寂しいらしい)

虎太郎 (『chunn's』は瞬く間に全世界へと知れ渡り、ことりさんは『美しすぎる社長』として有名だ)

ことり 「虎太郎君!じゃあまたお願いねっ!」

虎太郎 「分かりました」

虎太郎 (実はことりさんの洋服作りを手伝っている)

虎太郎 (月に一度家を訪ねてきて新作の服を僕やにこにー、こころ姉やここあ姉が着てみてことりさんがそれをどうするかを考える)

ことり 「うーん…この辺を変えた方がいいかなぁ…」サワサワ

虎太郎 (んっ…くすぐったい…)ピクッ

ことり 「ん?どうかした?」

虎太郎 「い、いえ、何でもありません」

ことり 「…この辺…?」サワサワ

虎太郎 「っ!」ビクッ

ことり 「あれぇ〜?どうしたの虎太郎君〜?」ニヤ

虎太郎 「…な、なんでもないです」カァァ

ことり 「うふふ…もっといじめたくなっちゃう…♡」ウットリ

にこ 「アンタ警察呼ぶわよ!?」ガラガラ

ことり 「えぇっ!?ただくすぐってただけだよっ!?」

にこ 「アンタは言動が怪しいのよっ!」

ことり 「ひ、酷いよぉ、にこちゃぁ〜ん」ウルッ

にこ 「うっ…い、いいから早く終わらせちゃってよっ!」

虎太郎 (苦手なのはこういう所だ…なんというか…いやらしいというか…)

ことり 「はぁ〜い」

にこ 「はぁ…アンタ昔こんなんじゃなかったと思ったんだけど…」

ことり 「昔は昔!今は大胆になったの!」フフン

ことり 「…今日はいつもよりも…ね」ボソ

にこ 「ん?なんか言った?」

ことり 「ううん、なんでもない、すぐに終わらせるねっ!」ガラガラ

にこ 「あっ!ちょっ──」ピシャ

ことり 「にこちゃんっ!開けちゃダメだからねっ!」

にこ 「ぬわぁんでよっ!」

ことり 「集中したいからっ!」

にこ 「…分かったわよ、アンタのこと信じる事にするわ」

ことり 「ありがとにこちゃんっ!」

ことり 「さっ、続きやろっか♡」

虎太郎 「は、はい…」

にこ (この時点で怪しいと思うのはにこだけかしら…?)

ことり 「この辺と…ここと…」

虎太郎 「ん…ちょっ…あっ…」

にこ (明らかに怪しい声が聞こえるんだけどぉぉ!?)ソワソワ

ことり 「はい!終わりっ!」

虎太郎 「はぁ…はぁ…疲れた…」

ことり (お疲れ様♡これはご褒美だよ♡)

虎太郎 「えっ、そんなの──」

ことり (にこちゃんにはナイショ)クチノマエニユビ

にこ 「何!?なんかあったわけ!?」ソワソワ

ことり 「ううん、何でもないよ」

にこ 「本当でしょうねっ!?」

虎太郎 (お礼なんて大丈夫ですよ!僕は何もしてないですから!)

ことり (モデルになってくれてるだけでありがたいんだから貰って!)

虎太郎 (ダメですよ!)

ことり (…分かった、それじゃあ──)

ことり (──私からのプレゼントを受け取ってくれる?)ウワメヅカイ

虎太郎 (そんな…)

ことり (女の子にこんな事言わせて貰わないなんて失礼なこと言わないよね?)

虎太郎 「…」

にこ 「アンタ達何やってんのよ!?」ソワソワ

虎太郎 「…ズルいです、ことりさん」ハァ

ことり 「あ〜、懐かしいそのセリフっ!」

虎太郎 「懐かしい?」

ことり 「じゃあもう行くねっ!今日はありがとっ!」ガラガラ

にこ 「やっと出てきたのねっ!アンタ──」

ことり 「ゴメンにこちゃん!もう私行かなきゃいけないから!」

にこ 「ちょ、ちょっとー!?待ちなさーい!!」

ことり 「バイバーイ!」ガチャ

ことり 「あ、そうだ!虎太郎君!」

虎太郎 「は、はい!」

ことり 「また会いに来るからね♡」

虎太郎 「…そうですね、是非」

にこ 「アンタたち凄くアブナイ予感がするような意味深な会話しないでくれない…?」ムカッ

ことり 「後はよろしく♡」バタン

虎太郎 「後って──」

にこ 「こ〜た〜ろ〜?全部話すまでアンタを自由にしないから☆」ニコッ☆

虎太郎 「…ことりさん…」

虎太郎 「前言撤回!二度と来ないでくださいっっ!」

ことり 「えへへ、少しは有言実行できたかなぁ〜?」


──ことり編 終──


虎太郎 「はぁ…どんだけパシられるんだ僕は…」


ーー
ーーー

にこ 「まあ大したことはしてないってわかってたけどね、なんか隠されてるのが気に食わなかったわ」

虎太郎 「…あ、あのさ、それってかなり言いがかりじゃない…?」

にこ 「…何?文句でもあんの…?」ギロ

虎太郎 「…いえ、ありません…」

にこ 「それじゃあもう一つお願い聞いてもらうんだけどいいかしら?」ニコッ☆

虎太郎 「…分かりました」
ーーー
ーー

虎太郎 (最近のにこにー怖いんだよなぁ…なんていうか、服従しないと生命の危機を感じるというか)

虎太郎 (やっぱりお姉ちゃんには逆らえないように出来てるんだな、弟って…)

虎太郎 「サンマルクカフェでコーヒー買ってきて、って…」

虎太郎 「…本格的にパシリじゃん…」

虎太郎 「…まあいっか、僕の分も買っていいって言われたし」


──カフェ──


ガヤガヤ

虎太郎 (やっぱこの時間は人多いな…)

虎太郎 「えっと、これとこれと…」

店員 「あっ…こちらの商品だと結構お時間頂いちゃうんですけど大丈夫ですか?」

虎太郎 「はい、大丈夫です」

店員 「ありがとうございます、ではそちらのお席でお待ち下さい」

虎太郎 (自分の分は買えたし、それ飲んで待ってるか)

虎太郎 (…なんか本格的に混んできたな、少し早めに入れてよかった)

女性 「すみません、これください」

店員 「こちらの商品だと結構お時間頂いちゃうんですけど、大丈夫ですか?」

女性 「はい、大丈夫です」

店員 「申し訳ございません、ただいま席が満席状態でして…相席でならお座りいただけるのですが…」

女性 「はい、全然構いませんよ」

店員 「あの辺りのお席が空いていますので、どうぞご利用くださいませ」

女性 「ありがとうございます」

虎太郎 (まだできないのかな…)

女性 「すみません、前よろしいですか?」

虎太郎 「あ、はい。どうぞ」

虎太郎 (そっか、混んできちゃったから相席になっちゃうのか…少し気を使うな…)

女性 「ありがとうございま…す…ん?」

虎太郎 「え?」

女性 「あれ!?虎太郎君!?」

虎太郎 「は、はい、そうですけど…」

女性 「私!分かる?穂乃果だよ!」

虎太郎 「ほ、穂乃果さん!?」

虎太郎 「…こんな大人っぽい雰囲気だったっけな…」

穂乃果 「ひ、酷い!心の声出てるよっ!」


──カフェテーブル──


虎太郎 (なんていうか、穂乃果さんは凄く変わっていた)

虎太郎 (元気なところは今でも昔のままなんだけど、どことなく落ち着きがある)

虎太郎 (大人の余裕というか…)

穂乃果 「いやー、虎太郎君随分大きくなったねぇ〜」

虎太郎 「まあ成長期ですし」

穂乃果 「あれ?虎太郎君に会うの何年ぶりだっけ」

虎太郎 「多分…5年振りくらいだったと思います、前回会った時が第1回μ's同窓会の時だったので」

穂乃果 「そっか、あれからもう5年もたっちゃったのか、早いなぁ…」

店員 「お待たせしました!番号札803のお客様、出来上がりましたのでレジへお願いします」

穂乃果 「あ、私だ!ちょっと待ってて貰ってくる!」

店員 「お待たせしました!番号札にこに…252番のお客様、出来上がりましたのでレジへお願いします」

虎太郎 「ちょうど僕(?)も呼ばれましたね」バンゴウハアッテルケド


──聖橋付近 ベンチ──


穂乃果 「とりあえずそこに座ろっか」

穂乃果 「混んでくると邪魔になっちゃうから早めに出てあげないとね」

虎太郎 「…穂乃果さんがそんな気を使えるようになってるなんて…」

穂乃果 「虎太郎君って私のことどんな目で見てたの!?さっきから酷くない!?」

虎太郎 「あはは…ごめんなさい…」

虎太郎 (こういうところは穂乃果さんっぽいんだよなぁ)

穂乃果 「…まあ、そりゃあ5年も経てば変わるよー」

穂乃果 「見た目も、心もね」

虎太郎 「心?」

穂乃果 「ううん、何でもない…それより虎太郎君は今やりたいことってある?」

虎太郎 「今やりたいこと…?」

穂乃果 「うん、今やりたいこと」

虎太郎 (…考えたこともなかったな、僕が今やりたいこと)

穂乃果 「…私はね、これからまた歌を歌おうと思うんだ」

虎太郎 「…」

穂乃果 「私ね、気づいたんだ。ううん、本当は気づいてた。私ね、やっぱり歌うことが好きなの」

穂乃果 「自分の思いを歌詞にして、メロディーにのせてみんなに届けたい、そう思ったんだ」

虎太郎 「でも和菓子の修行にって…」

穂乃果 「あ、雪穂から聞いた?」

虎太郎 「はい」

穂乃果 「…実はね、あれ嘘なんだ」

虎太郎 「…え?」

虎太郎 「えぇっーーー!?」

穂乃果 「てへっ☆」ペロッ

虎太郎 「か、家族に嘘ついてたんですか…?」

穂乃果 「で、でも!和菓子の修行してたのも本当だよっ!」

穂乃果 「…1年だけだけどね…」

虎太郎 「はぁ…なんていうか…流石穂乃果さんですね、凄い行動力です」

穂乃果 「修行中に思ったの、私やっぱり歌いたいって」

穂乃果 「昔、ニューヨークにライブに行った時に、何のために歌ってるのかって聞かれたことがあったんだ」

穂乃果 「その時は私も全然分からなかったんだけど、今はあの人の言いたかったことがなんとなくわかるんだ」

穂乃果 「私は今歌いたい、そしてあの人の言っていたことを色々な人に伝えたい。それが何になるのかは分からないけどみんなのために歌いたい」

穂乃果 「今日はそれを家族のみんなに言いに来たんだ」

穂乃果 「修行1年しかしないで途中で帰ってきちゃって…私みんなに怒られると思ってた」

穂乃果 「でも、みんな快く承諾してくれた、穂乃果のやりたい事をやりなさいって」

穂乃果 「それが…すごく嬉しかったんだ」

虎太郎 「穂乃果さん…」

穂乃果 「なーんて、穂乃果ばっかりごめんね、虎太郎君には関係ない話なのに」

虎太郎 「…にこ姉…いや、μ'sのみんなには伝えたんですか?」

穂乃果 「…ううん、伝えてないよ」

虎太郎 「伝えないつもりですか?」

穂乃果 「…うん」

虎太郎 「…どうしてですか?もう全然会えなくなるんですよ?」

穂乃果 「うーん…なんでだろ、穂乃果もよく分かんない」ニヘ

虎太郎 「えぇ…」

穂乃果 「なんていうか、大丈夫な気がするから」

穂乃果 「またきっと会えるよ」ニコ

穂乃果 「こんなこと言うとまた海未ちゃんに雑で大雑把でお気楽な性格が〜とか言われちゃうかもしれないなぁ〜」アハハ

虎太郎 「…今度はビンタじゃすまないかもしれないですね」ハハ

穂乃果 「えっ!?なんで虎太郎君そのこと知ってるの!?」

虎太郎 「…あっ、しまった…にこにーに言っちゃいけないって言われたんだった…」ボソッ

穂乃果 「さてはにこちゃんから聞いたな〜?絶対言わないって約束したのに!」

虎太郎 「あはは…」

穂乃果 「……それじゃあ、いくね」

虎太郎 「本当に行っちゃうんですか…?」

穂乃果 「…もう決めたことだから」スッ

虎太郎 「…僕知ってます、こういう時の穂乃果さんは絶対止まらないって」

穂乃果 「…また戻ってくるよ」

虎太郎 「…昔、にこにーがこんなことを言ってました」

穂乃果 「?」

虎太郎 「穂乃果には感謝してるわ、私達を伝説と言わせるきっかけを作ったのはあの子だったから。まあでもにこがいなかったら伝説なんて呼ばれなかったでしょうけど☆」

虎太郎 「…そういえばこれも秘密の事でした」ニコ

穂乃果 「…にこちゃん」クス

穂乃果 「虎太郎君にこちゃんの真似上手なんだね」アハハ

虎太郎 「…姉弟ですから」ニコ

穂乃果 「笑った顔もにこちゃんそっくり、なんか凄く懐かしい気分だなぁ〜」

穂乃果 「…やだ、少し寂しくなってきちゃったよ…」ウルッ

穂乃果 「ねぇ、虎太郎君」

虎太郎 「はい」

穂乃果 「…やっぱり伝えるべきなのかな…?」

虎太郎 「…さあ、どうでしょうね?もう自分の中で答えは出てるんじゃないですか?」

穂乃果 「はぁ…そういうイジワルなところもにこちゃんそっくり」ハハ

虎太郎 「ええ、姉弟ですから」ニコ

穂乃果 「…お別れ言ったら寂しくなると思ってた、でもみんなに感謝の気持ちを伝えなきゃダメだよね」

虎太郎 「…それでは僕はこれで失礼しますね」スッ

穂乃果 「ありがとね、虎太郎君」

虎太郎 「頑張ってください…いや」

虎太郎 「ファイトだよ!…です」

穂乃果 「ふふっ、ありがとう」

虎太郎 「大人びたと思ってましたけどやっぱり穂乃果さんは穂乃果さんでしたね」ハハ

穂乃果 「ひ、酷い!」ガーン

穂乃果 「穂乃果だって大人なんだから!」

穂乃果 「…あ、そうだ」

虎太郎 「?」

穂乃果 「それじゃあ…」

穂乃果 「ちょっと大人なお姉さんからの…ステキなプレゼント」メツムリ

虎太郎 (!?)

虎太郎 (こ、これって…絵里さんと同じやつの…その…えっと…唇同士!?)

虎太郎 (どどどど、どうしよう!?こういうの全然なれてないから…!?)

虎太郎 (…ええい、ままよ!)メツムリ

チュッ

虎太郎 (…ん?)

穂乃果 「ふふっ、引っかかったね!」

虎太郎 「…箱」

穂乃果 「私をバカにしたおかえしだよ〜」フフン

虎太郎 「酷いですよ…///」

穂乃果 「でもプレゼントはほんとだよ、はいコレ!」

虎太郎 「…ありがとうございます」

穂乃果 「じゃあね〜」スタスタ

穂乃果 「それと──」

穂乃果 「穂乃果のキスサイン付きだからね♡」

虎太郎 「!?」クルッ

虎太郎 「…箱を隔ててキスしてたのか…///」

虎太郎 「…なんだかんだで大人なんですね…穂乃果さんも…」


──穂乃果編 終──


虎太郎 (…嫌だなぁ)

虎太郎 (またにこにーに怒られる…)

虎太郎 (…ドアを開けるのが躊躇われるな…)

虎太郎 (…よし)

虎太郎 「た、ただいま…」ガチャ

にこ 「…何か言うことはあるかしら?」

虎太郎 「…言い訳をさせ──」

にこ 「なにかいうことはあるかしら?」

虎太郎 「…ごめんなさい」

にこ 「…はぁ…座んなさい」

虎太郎 「…」スッ

にこ 「正座じゃないわよっ!」

虎太郎 (…正座じゃなくて良かった)スッ

虎太郎 (こころ姉とここあ姉は二人で入浴中か、お風呂場から二人の話し声が聞こえる)

にこ 「で、何があったの?」

虎太郎 「…え?」

にこ 「何があったのかって聞いてんのよ」

虎太郎 「えっと…穂乃果さんに会った」

にこ 「…まあ、そうよね」

にこ 「いい?アンタまだ中学生なのよ?流石に外に出てていい時間じゃないわ」

虎太郎 「で、でもにこにーが買ってこいって…」

にこ 「それとこれとは話が別よ」

虎太郎 (理不尽だ…)

にこ 「…まあでも…今回は許してあげる…」

虎太郎 「え?」

虎太郎 「ど、どうして…?」

にこ 「な、なんでもいいでしょ!今回はいいって言ってんのよ!」プイッ

虎太郎 「…」ジーッ

にこ 「…穂乃果から連絡がきたわ」ハァ

虎太郎 「穂乃果さんから…?」

にこ 「あの子ニューヨークで一人で歌うって言ってた」

虎太郎 (…よかった、穂乃果さん、ちゃんと言ったんだ)

にこ 「…アンタのことも言ってたわ、虎太郎君がいなかったら私は誰にも言わず日本を旅立ってた、って」

虎太郎 (穂乃果さん…)

にこ 「…だから今回は怒らないわ、穂乃果を助けてくれてありがと」フイッ

虎太郎 「にこにー…」

にこ 「…随分やるようになったじゃない、アンタも」ニコ

にこ 「…さすが虎太郎ね、アタシの弟なだけあるわ」ナデナデ

虎太郎 「…ありがとう、お姉ちゃん」ニコ

虎太郎 (…今日のにこにーはなんだかしっとりしてる)

虎太郎 (なんというか…乙女だ)

虎太郎 (凄く素直で…少しやりづらい…)

虎太郎 (だから──)ポロ

虎太郎 「あ…あれ?」ポロポロ

虎太郎 「どうして──」

にこ 「…」ギュッ

虎太郎 (にこにーは何も言わずに抱きしめてくれた)

虎太郎 (希さんとはまた違う感じ──)

虎太郎 (優しさに包まれて──)

虎太郎 (僕は──)

虎太郎 「──ありがとう、にこお姉ちゃん」

虎太郎 (僕はまた泣いてしまった)

にこ 「アンタ…泣き虫な所は治ってないわね」クス

虎太郎 「僕は…にこにーの弟で、良かったんだね…」

にこ 「…当然でしょ」ニコ

虎太郎 (そっか──)

虎太郎 (海未先生の羨ましいという理由が初めて分かった──)

虎太郎 (真姫さんの務まらないって言った意味がやっと分かった──)

虎太郎 (やっぱりお姉ちゃんには──)

虎太郎 (敵わないや──)

にこ 「ほら、泣き止みなさい」

虎太郎 「…情けないね、僕」

にこ 「…アンタまだ中三よ?泣きたくなる時だってあるわよ」

虎太郎 「ありがと…」

こころ 「お姉さま、お風呂出ましたよ」

にこ 「グッドタイミングよ、二人とも」

にこ 「虎太郎、お風呂入っちゃいなさい」

虎太郎 「う、うん…」タッタ

虎太郎 (お風呂につかり今日一日を思い返す)

虎太郎 (凛姉ちゃん、真姫さん、海未先生、絵里さん、希さん、花陽さん、ことりさん、穂乃果さん)

虎太郎 (凄い長い一日だったなぁ…)

虎太郎 (凄く疲れた分、自分に充実感もあった)

虎太郎 「This chocolate is gift with my true love…」

虎太郎 (結局まだわからない言葉だった)

虎太郎 「…こんな簡単そうな文を解けない自分が恥ずかしい…」

虎太郎 (そんなこと言いつつお風呂をでる)

虎太郎 (着替えも済ませ、浴室をでると──)

三姉妹 「「「ハッピーバレンタイン!!!」」」

虎太郎 「!?」

こころ 「私達から虎太郎へ、です!」

ここあ 「大変だったんだからなー!」

にこ 「にこにー達からの手作りチョコなんだから、感謝しなさいよ!」

虎太郎 「…は、はは…」

虎太郎 「…ほんと、ありがとう」

虎太郎 (そういって食べたチョコレートは──)

虎太郎 (僕の一番大好きな優しいお姉ちゃんの味だった)


──にこ編 終──


にこ 「虎太郎ー、朝よー」

虎太郎 「…はぁ」

虎太郎 (昨日は本当にいろんなことがあった)

虎太郎 (肉体的にも精神的にもかなり疲れていたせいか爆睡してしまっていた)

にこ 「アンタあんまり顔色良くないわね、大丈夫?」

虎太郎 「大丈夫、昨日の疲れがまだ残ってるのかも」

にこ 「それならまあいいけど…」

虎太郎 (座ってテレビを見る)

虎太郎 (うちは毎朝ニュース番組を見る決まりなのでいつも通りのニュースを見る)

キャスター『さて、昨日は何の日でしたでしょうか』

アナウンサー『バレンタインですね!』

キャスター『いやー、いっぱいチョコ貰っちゃってお返し困っちゃうなぁ』

タレント『昨日あなた誰にももらってなかったでしょ?』

ハハハハハ

虎太郎 (なんだか逆に実感がない)

虎太郎 (昨日の事が夢だったんじゃないかって思ってしまう)

タレント『そういえば昨日はこんな言葉が使われていたようですね』

タレント『This chocolate is gift with my true love』

虎太郎 「!?」ガタッ

にこ 「うわっ、突然なによ」

キャスター『それってどういう意味なんですか?』

タレント『実はいくつか意味があってですね──』

タレント『私が知っているのは、あなたに贈る本当の愛、つまり──』

タレント『本命チョコ、ってことらしいですよ』

虎太郎 (…そっか)

虎太郎 (凛姉ちゃんがそんな目で僕を見てたとは思え──るかも…)

虎太郎 (はぁ…僕のバレンタインはまだ終わってないみたいだな…)


──体育館──


虎太郎 (はぁ…昨日の今日で体育は辛いものがあるな…)

凛 「こたr──矢澤くん!動き鈍いにy──よ!」

虎太郎 (完全に凛先生の威厳が消えてるよ!)

生徒1 「これは凛先生じゃなくて凛ちゃんだな」

生徒5 「凛ちゃん可愛いにゃ〜」

凛 「こら〜、そこ!やめるにゃ〜!」ハッ

凛 「また言っちゃった…」

生徒2 「やっぱり凛ちゃんだね」


ーー
ーーー

凛 「それじゃあ授業終わり!」

全員 「ありがとうございました!」

凛 「解散!」

パンッ!

ガヤガヤ

虎太郎 「凛姉──先生」

凛 「ん?どうしたの?」

虎太郎 「ちょっといいですか?」


──体育倉庫──


凛 「話ってなんにゃ?」

虎太郎 「凛姉ちゃんに戻ってる…」

虎太郎 「まあそっちの方がいいか」

虎太郎 「昨日の返答なんですけど…」

虎太郎 「いくら凛姉ちゃんと僕でもそういうのはまずいと思います…///」

凛 「え?何が?」

虎太郎 「そ、その…付き合うとかは…///」

凛 「えっ!?そ、そんなこと一言も言ってないにゃ!///」

虎太郎 「え!?だって昨日This chocolate is gift with my true love、って…」

凛 「あ、ああ〜それはね」

凛 「今年はこのチョコにしか愛を含んでいませんよ、って意味だったの」

凛 「つまりね、今年あげたチョコは昨日の虎太郎君のだけだったってことにゃ」

凛 「みんなそうだって言ってたにゃ〜」

虎太郎 「みんな?」

凛 「そうにゃ、みんな虎太郎君にしか作ってないって…」

凛 「にゃぁぁぁー!」ハッ

虎太郎 「うおっ、びっくりした!」ビクッ

凛 「ななななんでもないにゃ!次の授業も頑張ってね!」タタッ

虎太郎 (…これがバレたら凛姉ちゃんはみんなに怒られるんだろうなぁ…)

虎太郎 (なにはともあれ──)

虎太郎 (これでやっと僕のバレンタインが終わったみたいだ)


──虎太郎君とバレンタイン 終──
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2018年5月26日
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