善子「チョコレートな私」

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善子-アイキャッチ2


善子「ふふふ。刻んだ漆黒の結晶を温めながら溶かし、混ぜること幾ばくか」

善子「なめらかになったら型に流し込んで魔力を込める」

善子「……あとは冷やすだけ、か」

善子「なんだ。お菓子作りって案外簡単なのね」

善子「今まで失敗し続けてきたのは、単に慣れていなかっただけに違いないわ」

善子「これだけじゃ芸がないし、せっかくだから一工夫してみましょう」

pixiv: 善子「チョコレートな私」 by あめのあいまに。

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善子「ふーん、ベイクドチョコレートなんてものがあるのね」

善子「でも、オーブンなんて家にはないんだけど」

善子「そうよ。料理番組で見たことあるわ。なんかお酒を垂らして一瞬火をつけるやつ。フランベだっけ?」

善子「あれならさっと焼き色つけられるんじゃないかしら」

善子「確かこのあたりにお酒が……」ゴソゴソ

善子「あった! す、すぴらいてゅーす? なんか格好良い!」

善子「これならきっと最高のベイクドチョコレートができるに違いないわ」

善子「こうやって少しずつお酒を垂らして……火はライターで良いかしら」カチッ

ボフン

善子「ケホ、ケホッ」

善子「あ……」

善子「また……また駄目だったわ」ガクッ





ルビィ「おはよう」

花丸「善子ちゃん、おはよう」

善子「おはよ……ヨハネよ」グッタリ

花丸「大丈夫、善子ちゃん?」

ルビィ「なんだかお疲れモードだね」

善子「いえ、まあ平気よ。最近ちょっと寝るのが遅くってね」

花丸「ただでさえ夜更かしの善子ちゃんが遅いって言うなんて、もうほとんど寝てないんじゃ……」

善子「ずら丸基準で考えないでよ。普通よりちょっと遅いくらいよ」

ルビィ「あはは……でも、あんまり無理しないようにね。体壊してからじゃ遅いから」

善子「ありがと。気をつけるわ」

花丸「そもそもどうして夜更かしなんてしてたの? お勉強?」

善子「んなわけないでしょ」

善子「本来であればこれは秘儀中の秘儀。たとえリトルデーモンであっても知ることはないのですが……」

善子「くくく、あなたたちには特別に教えてあげましょう」

善子「ヨハネは毎夜、聖者の命日に捧げる暗黒の供物を錬成していたのです」

花丸「何を言っているのかさっぱりずら」

善子「ふふふ、やはりまだ未熟なリトルデーモンにはこの意味を理解することはできないようですね」

ルビィ「聖者……命日……あー、バレンタインか!」

善子「ちょ、ルビィ! 声が大きいわよ」

ルビィ「あー、ごめんね。でも、そっかあ。バレンタインかあ」

花丸「善子ちゃんも隅に置けないずら」

ルビィ「ふふ、素敵だね」

善子「あんたたち、からかってるでしょ?」

花丸「いやいや、全然?」

ルビィ「そうそう。むしろ応援してるよ」

善子「にやにやしながら言われても全く説得力ないわよ!」ウガー

花丸「わあ、善子ちゃんが怒ったー」

ルビィ「逃げろー」

善子「待ちなさーい」



果南「はい、今日の練習はここまで」

千歌「疲れたー」

曜「お疲れ様。はい、タオル」

千歌「ありがとー。曜ちゃんは余裕だねー」

曜「いやいや、私だって疲れてるよ?」

善子「お二方、随分仲が良さそうね」ズイッ

曜「うわぁ……って、善子ちゃんか」

千歌「ごめんごめん。妬いちゃった?」

善子「なっ、別に妬いてなんかいないわよ」

善子「千歌と曜は幼馴染なんだし、いちいち気にしてなんかいられないし」

曜「そっか……善子ちゃんは私が他の子と親しくしてても何も思わないんだね……」シュン

善子「ちがくて……もう! 妬いてました。認めるわよ」

曜「やっぱり。かわいいなー、善子ちゃん」ヨシヨシ

善子「むー」

善子(落ち込んでたのは演技だったのね、からかってくれちゃって)

曜「それにしても、本当に疲れたよ」

千歌「疲れた時には甘いものが食べたくなるのはなんでだろ」

曜「不思議だよね。でも確かに甘いもの食べたいなあ。チョコとかさ」

千歌「なにそれ曜ちゃん、フリのつもり?」

曜「へ?」

千歌「だって、もうすぐバレンタインじゃん」

曜「あー、もうそんな時期か」

曜「千歌ちゃんは今年もくれるの?」

千歌「あげなーい」

曜「ええっ!? なんで?」

千歌「だって曜ちゃんはいつもいっぱいもらってるし。それに」チラ

善子「!」

千歌「今年は大事な彼女さんからもらえるでしょ」

曜「ああ!」

曜「善子ちゃん、もしかしてチョコくれるの?」

善子「どうだかね」

曜「ええー、教えてよ~」

善子「ふふ、当日までのお楽しみよ」

善子(それにしてもやっぱ曜って人気なのね)

善子(これは他の子に負けないくらい、すごいのを作らないと!)



善子(と、気張ってみたものの)

善子「結局、あれから一度も上手くいかなかったわね……」

善子(とびっきり特別なチョコを作ろうと試行錯誤してみたけれど、失敗続きで)

善子「まあでも、なんとかチョコは間に合ったわ。普通に溶かして型に入れただけだけど」

善子「昨晩冷蔵庫に入れておいたから、忘れないように……」

善子「ママ、どうしたのよ。冷蔵庫の前で突っ立って」

善子ママ「あら、善子。それが冷蔵庫が壊れちゃったみたいで」

善子「え?」

善子ママ「とりあえず今日修理の人が来てくれるって言うから、それまで冷蔵庫は開けないで」

善子「っ!」バッ

善子ママ「ね……って、言ってる側から何してんの!」

善子「ええええええええっ!?」





ルビィ「おはよう、善子ちゃん」

善子「おはよ……」

ルビィ「? なんだか元気ないね」

花丸「それが、冷蔵庫が故障してバレンタインのチョコが固まらなかったんだって」

ルビィ「ええ……それは災難だったね」

善子「ふふ、ふふふ……私は不幸に魅入られし堕天使。聖なる日に希望を抱くのが間違いだったのよ」

ルビィ「善子ちゃん……」

花丸「壊れちゃったずら」

曜「おはヨーソロー!」

ルビィ「よ、曜ちゃん!?」

花丸「どうして一年生の教室まで?」

曜「いやあ、善子ちゃんからのチョコが貰えると思ったら居ても立ってもいられなくってさ」

花丸「それで朝っぱらからここに来たと」

曜「そういうこと!」

善子「……」ズーン

曜「善子ちゃんは一体どうしちゃったの?」

ルビィ「それが……」カクカクシカジカ

曜「ふんふん、なるほど」

曜「そっかあ。残念。でもそういうことなら仕方ないよね」

善子「本当、ごめんなさい」

曜「もう、善子ちゃんが謝ることじゃないでしょ」

善子「ありがとう……」

善子「ちなみにその手に抱えてるのは」

曜「これ? あはは、なんか道中皆から貰っちゃって」

ルビィ「これ全部チョコなの?」

花丸「曜さん、モテモテずら……」

曜「それほどでもー」

善子「ふーん」

善子(なによ、嬉しそうにしちゃって)

曜「もちろん、善子ちゃんからのチョコが一番だけどね!」

曜「今日じゃなくても良いから、今度食べてみたいな」

善子「曜……」

善子「わかった! 冷蔵庫直ったら今度こそ食べさせてあげるから」

曜「うん! 楽しみにしてるね」

善子「ところで、その」

曜「どうしたの?」

善子「曜から、私へのチョコレートは……」

曜「えっ」

善子「え?」

曜「あー、ごめん! 用意してないや」

曜「言われてみれば、そうだよね。なんかいつもバレンタインデーってもらってばっかりだったから」

曜「ホワイトデーで良いかなって、勝手に思ってた」

善子「私だって、曜さんからのチョコレート、ほしかったのに」

曜「本当にごめん。善子ちゃん、チョコレート好きだもんね」

善子(そうじゃないのよ。いや、それもあるけど、この日に曜から貰うってのが大事だったのに)

善子(なんか私、一人で浮かれてただけなのかな)

善子(あげたら喜んでもらえるかなってワクワクしたり、上手くできるかなってドキドキしたり)

善子(曜はそういうの、なかったのかな……)ハァ

曜「ねえ、善子ちゃん」

善子「なに?」

曜「こっち向いてよ」

善子「だから何よ」クルッ

善子「ん!? んんんっ……!」

曜「っぷは」

善子「っは、はぁ、はぁ。い、いいいいきなり何するの! き、キスするなんて」

曜「えへへ、バレンタインデーのプレゼント。お互いにね」

曜「善子ちゃん。私、善子ちゃんのことが本当に好きだよ」

曜「だからキスだってできるし、善子ちゃんのこと考えると胸がドキドキするんだ」

曜「今日は用意してなかったけど、ホワイトデーには絶対あげるから」

善子(曜……)ウルッ

善子「……っふん、せいぜい堕天使を満足させられるように頑張りなさい」

善子「私も、その……曜がびっくりするほど素敵なもの、用意するから」

曜「善子ちゃん!」ダキッ

善子「っ、ちょっと。苦しいって」

曜「照れてる善子ちゃんが可愛すぎて、我慢できないよー」ギュー

善子「照れてない!」

善子(曜、天真爛漫でちょっぴりおバカな私の恋人)

善子(彼女のせいで落ち込んでも、好きって一言言われただけですぐに機嫌を直しちゃうんだから)

善子(あーあ、私って甘々ね。それこそ、チョコレートみたいに)

おしまい





曜「んー、善子ちゃん善子ちゃん」スリスリ

善子「ちょっと、そろそろ離れなさいよ」

善子(というか、なんか騒がしくない)

ザワザワ

ルビィ「善子ちゃん、大胆だね……」

花丸「暦の上ではまだ春なのに、暑すぎるよ。時と場所はわきまえてほしいずら」

善子(忘れてた! そういえば、ここ教室だった)

曜「やあやあ、私と善子ちゃんのことをよろしくね」

キャーキャー

善子(なんで曜は順応してるのよ)

善子(ああ、最悪。これからどんな顔をしてクラスに通えば良いのよ。ルビィと花丸には当分からかわれるだろうし)

善子(私ってやっぱり、不運な堕天使だわ……。けっして不幸じゃないけどね)

おまけおしまい
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2018年5月26日
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