果南「私がお茶会の正客さん?」

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果南-アイキャッチ26

2月上旬

ダイヤ「ええ、果南さんの誕生日に合わせ、果南さんのためにと黒澤家でお茶会をしますの。もちろん来てくれますわよね?」

果南「え??ありがとう!せっかく用意してくれてるんだしもちろん行くよ!皆も連れてくる?」

ダイヤ「それがなんですけれど…鞠莉さんは鞠莉さんでホテルオハラで果南さんの為に立食パーティーをするそうで…」

果南「…2人とも私に一声かけないとさぁ……それで、それが皆に何かあるの?」

ダイヤ「果南さんにお話しする前に、残りのメンバーには準備を兼ね、どちらかに来ていいと伝えていまして、二手に分かれてもらいましたの。」

果南「あぁ、皆既に来るつもりだったんだね…流石というか……」

ダイヤ「と、いうことで、皆さん既に招待済みということになりますし、果南さんはお腹だけ空かせて待ってくださいね?」

果南「ははは…楽しみにしてる。」

pixiv: 果南「私がお茶会の正客さん?」 by 朝霧ユウ

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2月10日

果南「えーと、ダイヤの家に9時集合でいいんだよね…あ!千歌!」

千歌「おっ!果南ちゃん!!おはよ〜!お誕生日おめでとう!!」

果南「ふふっ、ありがと千歌!千歌はこっちに来てくれたんだ?」

千歌「そーだよ!果南ちゃんに一番におめでとう言いたかったし、美味しい和菓子とお茶も飲めるからね!」

果南「はは…千歌らしいと言えば千歌らしいか…」

果南「そういえば、お茶会の方に来るのは千歌だけ?そんなことないよね?」

千歌「ううん!花丸ちゃんも来てるはずだけど…迷子かな?」

果南「迷うことはないと思うけど……」

ダイヤ「あら、お二人とも、来ていらしたのですね?」

千歌「あ、ダイヤちゃん!おはようーー!!」

果南「ご盛会おめでとうございます。」

ダイヤ「ええ、ありがとうございます。花丸さんは少し準備を手伝ってもらっていますわ。先に待合に案内しますわね?」

果南「分かった、ありがとね!」

千歌「………え?ごせ……なに??」

果南「ご盛会、んー…まぁ晴れ晴れとしたお茶会を催すことが出来てめでたいですね!みたいな…そんなことだよ。」

千歌「へぇ……?」

ダイヤ「では、芳名録にお名前を。」

果南「はーい、あ、あと水屋見舞いです。」

ダイヤ「あら、わざわざご丁寧に、頂戴しますわ。」

千歌「……??」

ダイヤ「…はい、それではこちらで荷物は預からせていただきますわね、荷物札をお渡ししておきますので、…まぁ間違えることはないですけれど、記念に。」

果南「おぉ…イルカ型の折り紙…嬉しいなぁ…!!」

ダイヤ「本日は本席でお濃茶、それから点心席を挟みそのまま薄茶席という運びです、正客は任せて良いですわね?」

果南「うん!任せて!」

ダイヤ「頼もしい限りですわ、それではこちらが待合です。少々お待ちくださいな。」

千歌「……ねぇ果南ちゃん、何が起こってるの…?」

果南「千歌はこういうの初めてだっけ?」

千歌「出来た方がいいのかなぁって思ってるけど…うん…」

果南「そっかそっか。えっと、さっき貰ったイルカの折り紙、荷物札って言って、受付で荷物を預けて返してもらう時に番号を振って分かるようにしてあるんだ。ほら、数字付いてるでしょ?」

千歌「んー?あ、ほんとだ!なるほどぉ…」

果南「大勢の人が来るときは管理が大変だからね、席の順番も席札っていう別のもので分かりやすくしたりするんだけど…まぁ私たちだけだからね。今日は無いみたい。」

千歌「茶道ってややこしいんだね…」

果南「お客さんで見てるぶんには大したことないと思うよ!多分…」

千歌「果南ちゃんは茶道してたっけ?」

果南「あぁいや、ダイヤに連れて引き回されてたらお客さん側は結構分かるようになってきて…」

千歌「すごい……」

ズッ ス---ッ ス---

花丸「失礼するず……します」ペコ

千歌「あ、花丸ちゃん!」

花丸「熱くなっておりますのでお気を付けて。」コトッ

果南「ありがとうございます。」

千歌「あ、ありがとうございます…」

花丸「………」スタスタ

千歌「果南ちゃんこれは…?」

果南「待合茶。まぁ来てくれたんだからお茶くらい出さないと…ってとこだよ。マルはお運びのお手伝いしてるみたいだけど…席には戻って来るかな。」

千歌「お茶ばっかり…」ズズッ

果南「まぁまぁ、お茶といってもこれは昆布茶だし、全然違うものと思えば…」

ス--ッ

花丸「失礼します、お席の準備が整いましたのでご案内します、どうぞお足のよろしい方からお立ちください。」

果南「ん、OK!マルはもう席入りするの?」

花丸「…うん!これでマルはお役御免ずら〜!」

千歌「なんかちょっと違う意味な気がするけど…おわっとと!」

果南「わっ!!気を付けてよ?立つ時に無理にやると捻挫したりするんだから…」

千歌「えへへ…ごめんごめん…」

果南「痺れる前に跪座にした方がいいよ、転けるよりよっぽど…」

千歌「そうだね…」

花丸「本席まではマルが連れて行くけど、入ったらマルが末客さんやるね?」

果南「その方がいいね、お願い!」

千歌「まっきゃく…さんも何かあるの?」

花丸「正客ほど色んなことをする必要はないけど…少しだけ、やらなきゃいけないことがあったりするから…初めて参加する人は避けなきゃ大変なんだ。あ、ここに入ってね!」

千歌「ふーん…なら2人にお任せなのだ!頼りにしてるーー!!」

果南「どうも!じゃ、座って待ってよ??」

千歌「はーい!」

ズズッ ス----ッ

ダイヤ「……」スタスタ

千歌「あ、始まるのかな?」

コトン

ダイヤ「……」ペコ

果南「……」ペコ

ダイヤ「………」

ダイヤ「どうぞお取り回しを。」

果南「……」ペコ

花丸「千歌ちゃん、総礼だよ。」

千歌「うぇ?あぁ…」ペコ

果南「さぁ千歌、私がこのお重みたいなやつの一番上をずらして取るから、千歌も真似して?」

千歌「うん…えーっと、こう?」

果南「そう!それから、上の長い楊枝みたいなやつを2人分入れて?」

千歌「うん……はい出来たよ!」

花丸「じゃあ、懐紙にお菓子を移したらマルに回して?引きずらないようにね!」

千歌「よいしょ…っと!はいどうぞ!」

花丸「完璧ずら!」

千歌「えへへ…なんとか出来たよぉ……」

果南「上出来上出来♪濃茶はかなり渋いと思うから、今のうちにお菓子食べてていいよ?」

千歌「わーい!……ん!美味しい〜〜♪松月のやつかな?」

果南「あとで聞くから分かるよ。多分合ってると思うけど…」

ズッ ス---ッ ス---

ダイヤ「……」スタスタ

花丸「亭主さんが来たから、そろそろ本格的に始まるよ。」

千歌「うーん、今までなんとなくお菓子を食べて、おほほーってお茶を飲んでってだけなのかなって思ってたけど…ややこしいね…」

花丸「一度やってしまえばそんなことないよ♪例えば…千歌ちゃん、この部屋は小間?広間?」

千歌「え?…えっと……狭いし…小間?」

花丸「当たりずら!小間は四畳半、それ以降は広間として扱われるんだよ。」

千歌「ふーん…なんで四畳と半分なの?」

花丸「それはね?亭主さんが通る茶道口、点前座と、マルたちお客さんが座る方と、あと釜を置くために畳を切ってる分があるから、半分が付いてくるんだ。」

千歌「ほぇー……」

果南「場合によっては二畳しかなかったり、お床とかの位置が変わってて正確にはそうじゃない時もあるけど…まぁ四畳半以下は小間って覚えてたらいいよ♪」

千歌「両端からどんどん豆知識が…」

コトン

果南「あ、総礼ね。」ペコ

千歌「おぉっ、っと…」ペコ

千歌「こういうのって…どんなタイミングですればいいの?」

果南「まずはお菓子を取り回すよう促されたとき、それから、今みたいにダイヤがお道具を用意してきて、柄杓を蓋置きに置いた音を聞いた時、……それから皆が飲みおわってお茶椀をダイヤが引いたあと、だったかな?」

ダイヤ「えぇ、合っていますわよ。」

果南「やった♪」

千歌「え、ダイヤちゃんしゃべっていいんだ…」

ダイヤ「まぁ…貴女たちしかいないのですから…退屈なさるでしょう?特に千歌さん。」

千歌「あ、ははは…ちょっとだけ…」

ダイヤ「すぐにお点てしますから、辛抱くださいな。」

千歌「はぁーい!」

果南「その棚なんだっけ?」

ダイヤ「よくある丸卓ですわ。大したものじゃありませんけれど。」

果南「そっかそっか…」

千歌「なになに?」

花丸「茶道で使うお棚、っていうお道具も種類がいっぱいあるずら。あれは二本足で丸い形をしてるから丸卓(まるじょく)。他にも色んなお棚があるんだけど…」チラッ

果南「千歌はもうお腹いっぱいかな?」クスッ

千歌「眠くなっちゃう…」

ダイヤ「なら、そろそろ嫌でも目覚めますわよ?」

果南「あれ、紙小茶巾は…?」

ダイヤ「あら、失礼…まだ出ていませんでしたわね…」

ス---ッ

花丸「茶道口から手が伸びてきたずら…」

果南「入ってくればいいのに…ルビィかな?」

ダイヤ「全く…運んでおいてもらえたと思っていた私が浅はかでしたわ。確認不足というか…はいどうぞ、果南さん、お願いします。」

果南「ん、OK!」

果南「千歌、お茶を飲んだあとに、飲み口をこれで拭いてね、拭き方はまぁ…綺麗にやってくれたら大丈夫!」

千歌「そういえばこれってお茶碗何個あるの?」

ダイヤ「一つですが?」

千歌「一つなの!!?」ガタッ

花丸「静かに。」

千歌「あ…ごめん……でもさ、それってつまり…」

果南「気にしちゃダメだよ、うん、カテキンパワーでなんとかなるって。」

千歌「期待されるカテキンの身にもなった方がいいと思うんだけど…」

ダイヤ「面白いことを言いますわね……はい、点ちましたわ。」

果南「うん…お点前ちょうだいします。」

果南「…ん、千歌。」

千歌「え?」

千歌「飲むときは、お茶椀を左手に受けて、右手を添えてまず一礼、正面を避けるように二回回してね。これだけ覚えてれば大丈夫だよ。」

千歌「う、うん!」

果南「あとは普通に飲んでね、3人分だから多すぎたり少なすぎたりすると大変だけど……んっ」ズズッ

ダイヤ「お服加減は。」

果南「大変結構でございます。」

千歌「……??ねぇマルちゃん、あれ千歌もやるの?」コソコソ

花丸「亭主さんとお話しするのは正客さんだけで大丈夫だよ。千歌ちゃんは飲むことだけに集中してて大丈夫!」コソコソ

千歌「ほぅ……??」

果南「千歌、ちょっとだけ膝をこっちに向けて?」

千歌「え、うん…?」スリスリ

果南「じゃあお茶椀を渡すから、私の腕より上から横を持ってね。」

千歌「うん、持ったよ。」

果南「落とさないでね、はい、送り礼と受け礼ね、千歌は普通にお茶椀を持って一礼。」

千歌「はい……」ペコ

果南「送った側の私が同時に一礼ね、千歌もマルに渡すときにやって?」

千歌「はーい、じゃあいただきます……」ズズッ

千歌「ん゛っっ!!苦っ…!」ゲフッ

花丸「慣れたら美味しいよ?」

千歌「お茶ってこんな味したっけ…?」

ダイヤ「古来はむしろこちらが主流だったこともありますけれど、千歌さんは苦手ですか?」

千歌「にがい……」

花丸「千歌ちゃん、あとは私が飲むから、果南ちゃんがやったみたいに器を拭いてね。」

千歌「話してて見てなかったよぉ……こんな感じ?」

花丸「うん、いいよ!拭いたのはそのままそれが乗ってた器の中に入れてね。」

千歌「はーい、じゃあ渡せばいい?」

花丸「うん、もらうずら♪」

千歌「送り礼と受け礼…っと。」ペコ

花丸「さすが千歌ちゃん♪」

果南「お練り加減大変結構でございました、茶銘は?」

ダイヤ「幾代の昔でございます。」

花丸「ん゛っっ!?」ゴフッ

千歌「花丸ちゃん!?」ビクッ

果南「お詰は?」

ダイヤ「静岡茶園でございます。」

果南「先ほどのお菓子も美味しくいただきました、御製は?」

ダイヤ「松月でございます。」

果南「ありがとうございました。」

千歌「あ、やっぱり松月のお菓子だった…花丸ちゃん大丈夫?」

花丸「まさか幾代の昔を飲んでたとは思わなくて…びっくりしたずら……」

千歌「いいやつ?」

果南「……すっごくいいやつ…」ポカ-ン

ダイヤ「……ふふっ♪」

果南「何回来てても問答は緊張するなぁ…」

ダイヤ「上手く出来ていましたわ。あとは定型文ではなく会話を楽しめればなおよろしいかと。」

果南「はは…先生みたい。」

ダイヤ「まだまだです。」クスクス

千歌「あ、花丸ちゃんがお茶椀を返したから総礼…だっけ?」

果南「そう!いい感じだね♪」

ダイヤ「なかなか覚えがいいと思いますわ。今度稽古なさりますか?」

千歌「いいの!?」

ダイヤ「せっかく触れてみたなら、やってみたいでしょう?」

千歌「やるやる〜〜っ!」パァァ

果南「これ絶対割稽古が永遠に続くやつだ…」

花丸「想像に易いずら。」

果南「あ、お茶入れお茶杓お仕覆の拝見を。」スッ

ダイヤ「忘れるかと思ってたのですけれど。」

果南「なかなかやるでしょ?」ニヤッ

ダイヤ「ふふ。」

千歌「おぉ…なんかすごい…」

花丸「ダイヤさんが使ってたお道具を見せてもらうの。多分すごくいいやつだと思うけど…」

果南「こういう時、黒澤家ってそういえば網元なんだなぁって思うよね。」

ダイヤ「そういえばとはなんですの、そういえばとは…」

果南「ダイヤがお道具を出し終わって、一旦茶道口から退いたら拝見するからね、千歌は私のやったことをそのまま真似して?」

千歌「うん、頑張る!」

花丸「…にしても、果南さん本当によく覚えてるんだね…?」

果南「まぁね、ほんと…あの2人にはよく引っぱって色んなところに連れてかれたからさ…和洋のお茶会のことならなんとなくは出来るようになってきたかなぁ…って。」

千歌「千歌も昔から勉強しておけば良かったな…」

果南「今からでも充分早いよ。まずは興味を持つことが大事だからね、小さいときにやって飽きちゃってもさ。」

花丸「果南さんは飽きなかったの?」

果南「うん、だってさぁ…ダイヤも鞠莉も、私が来たら本当に嬉しそうな顔するから…行かないわけにはね?」

花丸「愚問だったずら。」ウンウン

千歌「お道具は全部マルちゃんまで渡したけど、これってどうしたらいいの?」

花丸「正客さんに預けて返してもらうのが普通なんだけど、今回はちょっと動きづらいからマルが返すよ。」

果南「ありがとね!」

花丸「いえいえ。」

千歌「なるほど、一番最後の人も動いたりするから難しいんだ…」

果南「そゆこと♪」

ダイヤ「……」スタスタ

果南「あ、戻ってきた。」

花丸「また問答だね。」

果南「ありがとうございました。」ペコッ

ダイヤ「ありがとうございました。」ペコッ

果南「お茶入れの御成は。」

ダイヤ「肩衝でございます。」

果南「お窯元は。」

ダイヤ「瀬戸でございます。」

果南「お茶杓のお作は。」

ダイヤ「坐忘斎お家元でございます。」

果南「御銘は。」

ダイヤ「貴女の誕生日ですから、佳日でございます。」

果南「ありがと♪」

千歌「お家元……偉いのは分かる…」

花丸「とんでもない物を使ってるずら…」ゾッ

果南「お仕覆のお裂地は。」

ダイヤ「白極緞子でございます。」

果南「ありがとうございました。」

千歌「いいやつ?」コソコソ

花丸「拝みたくなるくらいに。」スリスリ

千歌「へぇ…」スリスリ

果南「さ、あとは点心をいただいて薄茶を頂けばおしまいだよ?」

千歌「長い……」

ダイヤ「またすぐ部屋にお連れしますから、立てるようにしてくださいな、失礼しました。」

スタスタ

ス----ッ ゴトッ

果南「っふぅ……ひと段落だね。痺れてない?」ノビ-

千歌「感覚がない……」

花丸「無理しないでね?足捻ったら大変だよ。」

千歌「うん……ありがと!」




ダイヤ『はぁ?つべこべ言わずに準備!!』

『嫌よ!!もう飽きた!長い長い長い!!!』

ダイヤ『貴女が手伝うと言ったから用意してるんですのよ!?大人しく席の準備!』

『やだ!もう果南はパーティー会場に攫うから!』

ダイヤ『おだまらっしゃい!!お茶会をなんだと思って…!』

『私たちのお茶会だってあるんだから…!』




果南「うわ………」

花丸「わびさびも何もないずら…」

千歌「あれ…鞠莉ちゃん…だよね?」

果南「絶対そうだよ…ごめんね、多分薄茶席はなしかな…鞠莉も譲る気なさそうっていうか、飽きてるし……」ハァ

花丸「足、崩してていいよ千歌ちゃん。しばらく来ないだろうし。」

千歌「あはは……そうするね……」


ブッブ--デスワァァァァァ!!!!


果南「止めてくる…」スタスタ

花丸「健闘を祈るずら。」

………

『いい加減に、しなさぁぁぁい!!!』

花丸「一喝………」

………

千歌「このお魚おいしーー♪♪」

ダイヤ「この度は本当にお騒がせして申し訳ありません……」

果南「いやいや、鞠莉がこう言うのもある程度想定内…鞠莉がいるとは思わなかったけど。」

鞠莉「だってぇ!手伝ってもいいって言うから…でもやっぱり私のパーティーに早く来て欲しいの!」

ダイヤ「本当は鞠莉さんに薄茶席の半東を務めていただいて、皆さんを驚かせるつもりだったのですが…」

千歌「はんとう?」

花丸「薄茶の時の、お点前の進行役みたいな人のことずら。さっきみたいにお道具の紹介をしたり…それから、決まった問答だけじゃなくてお客さんのその場その場に合ったニーズを叶えなきゃいけないんだ。」

千歌「難しそう…」

果南「もしかしてさっき出てきた手だけって鞠莉?」

鞠莉「そうよ!ルビィと思ったでしょ?でもルビィには私の会場の方に先に行ってもらってるわ。」

果南「ふーん…半東、鞠莉が出来るの…??いつもみたいにしゃべってるだけじゃダメだよ?」

鞠莉「失礼するわね…私だってある程度稽古はしてるのよ?お茶も。」

果南「えっ?そうだったの?」

鞠莉「小原家を甘く見ちゃダメよ♪」

果南「はぁ…お嬢様たちめ……」ウムム

ダイヤ「んんっ、では、鞠莉さんがあまりにも、やかましいので薄茶席は取り止めということで、今食べている点心をいただき次第向こうの会場にお願いしますわね。」

花丸「マルと千歌ちゃんも行ってもいいの?」

鞠莉「もちろん!貴女たちの分まで用意してるわよ?大切な友人を招かないなんて、ノンノンでしょ?」

千歌「やったぁ!皆こっちに来てた方がお得だったかもね!」

ダイヤ「その分わたくしが大変なのですけれど。」ボソッ

果南「皆まで来てたら多分初心者が多すぎて収拾付かなかったかも…」

花丸「これで良かったと思う…ずら。」

鞠莉「さ、早く食べちゃって行きましょう〜〜♪」

ダイヤ「こら!急かすものではありません…!!」

果南「まったく…賑やかで仕方ないんだから…」

果南「私の誕生日だから、ダイヤも鞠莉も…もてなすのに全力なのかな、感謝してもしきれないなぁ……」クスッ


………


善子「クックック、魔の饗宴に招かれた我が眷属よ。今宵は存分に楽しんでいくといいわ。」

ルビィ「善子ちゃん、まだお昼だよ。」

善子「っだ、そういうのはいいのっ!!」クワッ

曜「いや…そもそもこれ鞠莉ちゃんが用意してくれたわけだし…」

梨子「鞠莉ちゃんだけじゃなくて、ホテルオハラの従業員さんが準備してくれてるからね……」

果南「あぁ…なんか私が来るまでの様子が大体分かった……」

鞠莉「これだけ盛り上げてくれてたら寧ろありがたいわ!さぁメインゲストが来たわよ!!」パンパンッ!!

ガラガラガラガラ......


ダイヤ「うわ……」スン

花丸「芸術……って言っていいのかなぁ…??」

鞠莉「果南に素敵なプレゼントを用意したのっ!受け取って!!」

果南「いやいやいやこれは…え??」

千歌「これ…果南ちゃん?」

梨子「えぇ……?」

鞠莉「そう!果南を象った肖像よ!等身大!!」

曜「鞠莉ちゃんの家でも鞠莉ちゃんのやつがあったけど…」

善子「ヨハネでも流石に受け取りづらいわね…」

鞠莉「え、そう…??」シュン

ルビィ「いや!でもっ、こんなに大きいものをわざわざ果南ちゃんのためだけに作ってきたんだから…あんまり変な言い方するのも…」

果南「うーん…私もこれをもらうってなるとちょっと大変だけど…これを作ってくれたことは本当に嬉しい!ありがと、鞠莉!!」

鞠莉「お、怒られるかと思ってた……こちらこそ!喜んでもらって嬉しいわ!果南っ!」

果南「鞠莉の家の像の隣に飾っててくれる?また見に行くよ!」

花丸「ルビィちゃんがこんなにしっかり意見を…!」

ダイヤ「成長しましたわね、ルビィ。」

ルビィ「そんなことないよ。お手伝いしてるときチラッと見えちゃって、鞠莉さん...見たことないくらいキラキラな笑顔だったから…」

鞠莉「あ、見えてた??なんか恥ずかしいなぁ…」

善子「鞠莉…その、ちょっと引いちゃって…ごめんね?」

鞠莉「いいのよ♪これは私なりの愛の表現だから♪ヨハネにも作ってあげる!」

善子「堕天使の彫像…!?流石マイリトルデーモンマリー……!!」

梨子「あんまり調子乗っちゃダメよ?善子ちゃん…」

曜「ねぇ鞠莉ちゃん…あれ本当にやらなきゃダメ?」コソッ

鞠莉「当たり前でしょ?何のために練習したの?」

曜「それは…まぁ…」

千歌「ねぇねぇ?何のこと?」

鞠莉「今から立食パーティーをするわけだけど、何もないんじゃつまらないでしょ?だから来てもらってたメンバーに劇を仕込んだの!」

梨子「教えたらすぐダイヤさんのお茶会に飛んでっちゃったけど…」

ルビィ「ちょっと恥ずかしいなぁ…」モジモジ

果南「劇やるの?ふふっ、楽しみだねぇ?」

鞠莉「後戻りはさせないわよ?じゃあ…んんっ…」

鞠莉「本日はお集まりいただきありがとうございマース!!小原家主催の愛しの果南お誕生日おめでとうパーティー、始めるわ!!」

ダイヤ「もう少しまともな題はないんですの…?」

果南「ま、いいんじゃない?楽しそうっ!」

花丸「ルビィちゃん、善子ちゃん、よく分からないけど劇、楽しみにしてるね?」

ルビィ「うん!頑張るよ!」

善子「ヨハネにしか出来ない役…演じてみせるわ!」ダテ-ン

鞠莉「はい!それでは今からAqours有志による演劇、『桃太郎ー竜宮編ー』の始まり始まり〜〜!」パチパチパチ

千歌「なんか強そう…?」


……

ルビィ「むかーしむかし、鬼ヶ島で鬼を退治した事で有名な桃太郎さんがいました。」

梨子「お、おーーっ!桃太郎だぞーーっ!!」

果南「ふっっ、顔固い……」クスッ

ルビィ「桃太郎さんは、鬼を退治したあと、財宝を村の皆で分け合って暮らしていました。」

ルビィ「それを見ていたのは………」

善子「ククッ、陸の生物の分際で富を得るなど…見過ごすわけにはいかないわね…」

ルビィ「亀さんでした。」

善子「アペシュよ!!……っとにかく、これは我が君に伝えねば…」

ルビィ「陸の村が財宝で溢れかえっているのを見た亀さんは、鬼から奪ってしまったのと変わらない、と怒り、海の国の姫、乙姫に陸の現状を知らせに行きました。」

ダイヤ「どこか話が重たいような…?」

善子「我が君。陸では魔族から財宝を取り返したという勇者がいるそうですが…どうやら彼らはそのまま自分たちで富を分けるようです。…これでは魔族の迫害と代わり無い事…如何されますか?」

曜「ヨーソロー!乙姫だよ〜!そうだなぁ…本当にそうだったら、こらーって言わないといけないけど、一回見に行ってからでよくないかな?」

善子「承知、ではこのアペシュが斥候を…」

曜「あ、私が行くよ。」

善子「…え?」

曜「よしっ!じゃあミュージックスタート!」

♪〜『恋になりたいAQUARIUM 』


花丸「マルたちの歌がこんなところで…」


ルビィ「あぁもう…全然違う流れなんだけどぉ…えっと、乙姫様と亀さんは、すいすい泳いで村の様子を見に行きました。」

梨子「え?なんでこの曲…?曜ちゃんアドリブしたの!?」

曜「おーい桃太郎さーん!」

梨子「あ、…はい!どちら様ですか……?」

曜「こんにちは、乙姫ですっ!海からはるばる遊びに来ちゃったよ♪」ヨ-ソロ-

梨子「あ、遊びに…とは言ってもうちには特に何も…」

善子「ダウトよピーチガール……貴女が魔族の血を流し、取り返したという金銀財宝…村の人間だけで独占しているのでしょう?」

梨子「え?」

曜「今日はね、それが気になって見に来たんだけど…どうかな?」

梨子「あの…実はもうないんです…」

ルビィ「なんと、桃太郎さんは財宝が無いと答えたのです。」

曜「そうなの?使っちゃった?」

梨子「えーと…どうしようかな…そう!果南さ…人魚姫の為に綺麗な衣装を用意したかったんです!」

果南「え?わたし?」

ルビィ「あ、なるほど…!」

鞠莉「んん、よく考えたわねぇ〜♪」ニヤニヤ

ダイヤ「鞠莉さん、貴女元々の台本…作ってないでしょう?」

鞠莉「バレた?練習もその場の出任せで作ったストーリーを言ってたの。こういうアドリブが楽しみでね?」

ダイヤ「はぁ……」

曜「人魚姫?あー…うちのお隣さんだね!もしかして恋しちゃったとか?」

梨子「なっ!?あぁ…はい、そうです…素敵な衣装を渡して想いを伝えたくて、村の皆で探し回って色んな材料と交換して作って…」

梨子「でもっ!!恋をしてるのは私じゃないんです…」

善子「貴女ではない…?ならば誰かしら?」

梨子「北風と太陽…の2人です…」チラッ

花丸「なるほど…お客さんはマルと千歌ちゃんだけになりそうだね?」コソコソ

千歌「あぁ…なるほどねぇ…!」コソコソ

曜「なるほどねぇ…?じゃあ北風さんと太陽さんに来てもらおっか!おーーいっ!」

ルビィ「あっ、乙姫さまが空に向かって呼びかけると、なんと北風さんと太陽さんがやってきました!」

鞠莉「ふふっ、シャイニー!!呼んだかしら??いつも輝く太陽よ〜!」シャイニ-

ダイヤ「……」モジモジ

鞠莉「ほら、ダイヤ?」

ダイヤ「あ…えぇ……」

ダイヤ「っっ…びゅっびゅーーっですわ!!わたくしは寒さを来たから運んでくる北風です。ど、どうぞよしなに。」

善子「…確かに寒いわね今の。」サスサス

ダイヤ「あ?」ギロッ

善子「なんでもないです。」

曜「ねね、北風さん、太陽さん、人魚姫さんに恋したんだってね?」

鞠莉「ええ!あんなに素敵なお姫様、初めて見たの!」

ダイヤ「そうですの。どうにかわたくしたちの想いを伝えたい、そう思いまして、通りがかった桃太郎さんたちに相談していたのです。」

梨子「あっ、えっと…そういうことです!」


花丸「本当にアドリブなのかな…??」

千歌「わりと綺麗に進んでるよね…?」

果南「これ、最後私も出なきゃいけないのか…」


曜「そっかぁ…ってことは告白のために財宝を使ったんだね!それなら問題なーし!!」

善子「我が君!?宜しいのですか……??魔族としての誇りを…」

曜「魔族も恋はするでしょ?その為に全力なら鬼さんも許してくれるって!」

善子「我が君がそう言うのであれば……」

梨子「納得していただけてありがとうございます…!」

鞠莉「ねぇ?折角なら今行っちゃいましょう?いいでしょ北風?」

ダイヤ「まり…あぁ、太陽?それはいくらなんでも早いというか…」

曜「全速前進……ヨーソロー!!みんなまとめて海底にご招待だ〜〜っ!」ビシッ

ウミイロゲ-ト ウェルカム!

ルビィ「えっと…乙姫さまの一声で、海が少しずつ裂けていき、海底まで道が伸びていきました!」


千歌「ヨーソロードだ!」

花丸「また恋になりたいAQUARIUM…」


果南「ようこそ!ここは私のお城だよっ!」スタッ


千歌「おっ、果南ちゃんも遂に…!」


果南「大勢さんでどうしたのかなん??」

梨子「あのっ!この2人の話を聞いてくれませんか!?」

ダイヤ「突然ですけれど、貴女の為に…着てほしい衣装があるのですわ。」

鞠莉「私たちが着せてあげるから、いかがかしら?」

果南「衣装って…本当に着るの?」

曜「あ、うん!それは用意してあるから、着てみてもらえる?」

ルビィ「果南ちゃん、こっちこっち!」

花丸「お色直しだね。」

鞠莉「一旦着替えてもらうから、皆少し休憩してていいわよ!」

善子「ふっ…このままでも構わないのよ?」

梨子「善子ちゃん、せっかくなら休憩しましょ?」

ダイヤ「鞠莉さん?私も行くのですか?」

鞠莉「えぇ、ダイヤがいなくちゃ始まらないのよ?」

果南「はは…どうなっちゃうんだろ?」

鞠莉「びっくりするわよ?果南に絶対似合うように作ってあるから!」


………


鞠莉「ほら…見てこれ!」

ダイヤ「んま…!」

果南「おぉ…かっこいい……」

鞠莉「ンンッ、かっこいいだけじゃないのよ?」

鞠莉「果南?髪解いて?」

ダイヤ「髪を?どうするんですの?」

果南「一応解いたけど…?」シュル...

鞠莉「ダイヤ、これ持っててね?」ハイッ

ダイヤ「これ…!なるほど…!」

鞠莉「じゃ、綺麗に変えてあげるっ♪」

果南「ちょっ、自分で着るから!!」

………

鞠莉「よしっ、綺麗に髪も巻けたし…ダイヤは左側結んで?」

ダイヤ「はい、この辺りで結んでおきましょうか。」

果南「ねぇこの髪型照れるんだけど…」

鞠莉「とっても可愛いわよ!自信持って!」

ダイヤ「果南さんを見たら皆さん驚きますわよ?ふふっ♪」

鞠莉「よしっ、こっちも結べた!」ポンポンッ

果南「鏡見ていい?」

ダイヤ「はい、どうぞ♪」スッ

果南「わ………私じゃないみたい…!」

鞠莉「その顔が見たかったのよ…!ね、果南?」

果南「ん、なに?」

鞠莉「誕生日、おめでとう!」

ダイヤ「誕生日、おめでとうございますわ!」

鞠莉「これからもずっとずっと…」

果南「……?」

鞠莉「ずーーっと!私たちのこと、よろしくね?」

ダイヤ「一緒にいようとは言いませんわ、お互いそれぞれの道で…でも、お互いを想っていましょうね。」

果南「もう…湿っぽいなぁ……泣いちゃうよ?」ウルッ

鞠莉「あっダメよ!?化粧崩れちゃうし、可愛い果南を皆に見せてから!」

ダイヤ「そろそろお披露目にしましょうか?」

鞠莉「そうね、行きましょ果南?」

果南「ね、鞠莉、ダイヤ。」トントン

ダイヤ「…?」

果南「大好きのハグッ!!」ギュッ!!

鞠莉「わっ!?…ふふ♪」ギュ--ッ

ダイヤ「果南さん…♪」ギュッ

果南「よしっ、じゃあ行こっか!…折角だから手を繋いで!」

鞠莉「そうね!これから劇も大団円にまっしぐらよ?」

ダイヤ「踊り出してしまうのも面白いかもしれませんわね?」

果南「ん、いいよ!やってみたい!」

鞠莉「えぇ?なら私もやるっ!!」

ダイヤ「ちょっ、3人では踊れないでしょう!?」

果南「いや、出来るかもよ?私たちなら!」

鞠莉「やるったらやるのよ?いいでしょダイヤ!」

ダイヤ「まったく…いつもこうなんですから…」

果南「とか言いながら笑ってるけど?」

ダイヤ「似た者同士ってことですわ。」

カッ カッ カッ

千歌「あ!みんな、果南ちゃんたち来たよ〜!」


鞠莉「さぁ果南?」

ダイヤ「果南さん?」

果南「うん、一緒に行こうっ!」


果南(わたしにはどんな時も私のことを思ってくれる友達がいる。)

果南(わたしには、何処へでも手を取って連れて行ってくれる友達がいる。)

果南(それがどれだけ幸せなことかって、たまに忘れちゃうけど…今、すっごく実感してるんだ。)

果南(わたしたちがこうしていられるのはあとほんの少し。でも、ギリギリまで、全力で楽しまなくちゃね?)

果南(ありがと。一生の思い出だよ♪)

果南「よーし、みんなーーっ!ご機嫌いかがかなんっ??」
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『果南「私がお茶会の正客さん?」』へのコメント

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2018年5月26日
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