曜「特別な日には」梨子「特別なことを」

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梨子「——はい、曜ちゃんお待たせー」

曜「わぁ、ハンバーグだ! すごい、おいしそう!」

梨子「えへへ、今日はちょっと張り切っちゃった……曜ちゃんの為に、頑張ったんだよ?」

曜「梨子ちゃん……嬉しいよ、ありがとう!」

梨子「だって今日は曜ちゃんの誕生日だし……ちょっと"特別"だしね?」

曜「えっへへ、なんか照れくさいなぁ……こういう誕生日、ちょっと久しぶりかも?」

梨子「うふふ、それじゃ早速食べちゃおうか? せっかく作ったから温かいうちに食べてほしいし」

曜「うん、そうだね。私も早く食べたいし! それじゃ、いただきま——」

梨子「あーちょっとその前に! まだ用意するものあったんだった……」

曜「……うん?」

梨子「——はい! 今日の為に用意した、ちょっと変わったビール! いろいろ買ってきたよ?」

曜「やっぱりか……」

pixiv: 曜「特別な日には」梨子「特別なことを」 by PAX@SS書き

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梨子「あ、ごめん……やっぱりお祝いごとにはお酒かと思って……ビールじゃまずかった?」

曜「いや、梨子ちゃんらしいなと思って……結構たくさん買ってきたんだね」

梨子うん、曜ちゃんにおいしいビールを飲んでほしいなって思って……色んな国のビールを集めてみました!」

曜「へぇ〜色んな国のかぁ……結構オシャレなボトルが多いんだね」

梨子「そうそう、結構ボトルのデザインを見るだけでも楽しかったりするんだぁ……あっ、そうだ! もう1つ用意してるものがあるんだった! ちょっと待っててー」

曜「……?」

梨子「——はいこれ。今日はお酒飲むだろうなと思って、作ってみました!」

曜「これは……なめろう?」

梨子「そう! 果南ちゃんから良いアジが手に入ったよって、送ってもらったんだ。せっかくだから何か作ってみようと思ったんだけど……うまくいってるかな?」

曜「すごいおいしそうだよ、これ! お酒にもすごい合いそうだし……早く食べたい!」

梨子「ふふっ、じゃあ料理もそろったし、改めていただきますしようか?」

曜「そうだね。それじゃ——」


「「いただきます」」


梨子「……それから」


「「かんぱ〜い!」」




—————




梨子「——ぷはぁーっ!」

曜「——ぷはぁーっ!」

梨子「あーおいしい! ……でもにがーい!」

曜「? ビールって普通苦いものなのでは?」

梨子「これはその中でも特に苦いビール、IPAってやつなの。物凄い飲みごたえはあるけどねー」

曜「ふぅん……逆に私のはそんなに苦くないなぁ……すごい飲みやすいよ?」

梨子「それは所謂ベルジャンホワイトってやつだね! 白ビールの1種で、スパイスなんかで香りが良くなってるんだよ?」

曜「クンクン……確かに爽やかな香りがする」

梨子「私、そのタイプのビールは好きなんだよねぇ……他にも色んなスタイルがあるんだけどね、これとか、これとか、日本のビールとはまた違った味わいとか香りで……」

曜「へぇ〜……ビールの世界も広いんだねぇ。梨子ちゃんのビール、ちょっと飲んでみてもいい?」

梨子「いいけど、苦いよ?」

曜「それを承知で一口……」

梨子「はい、どうぞ」

曜「いただきまーす……」ゴクゴク

梨子「……どう?」

曜「……にが」

梨子「だから言ったじゃない! すっごい苦いって!」

曜「こんなに苦いとは思わなくて……でも苦いだけじゃなくて、どこかフルーツっぽさも感じるね。不思議なビールだ……」

梨子「それが結構クセになるんだよね……曜ちゃんのも、ちょっとちょうだい」

曜「うん、いいよー」

梨子「……ゴクゴク」

曜「……どう? 梨子ちゃんのやつと比べるとだいぶ違うでしょ?」

梨子「うん、おいしい……あと、ちょっと曜ちゃんの味がする」

曜「ぶふーーーっっ!」

梨子「うわぁっ! 曜ちゃん汚いよー!」

曜「いやいやいや! だって梨子ちゃんが変なこと言うからでしょ! 私の味ってどういう……」

梨子「いやだって……間接キス、だったから……」

曜「あ、ああー……まぁ、確かに……間接キス……」

梨子「……」

曜「……」

梨子「……口に出して言うとすっごい恥ずかしいね」

曜「うん……普通のキスだってしてるのにね……」

梨子「今すっごい恥ずかしいこと言ってるよ、曜ちゃん……」

曜「うん……言って後悔した……」




—————




曜「じゃ、じゃーそろそろ料理の方に行こうかなー? 冷めちゃうといけないし……」

梨子「う、うん、そうだね! 私もそろそろ食べたいと思ってたし! じゃ、じゃあ早速ハンバーグから……あーん」

曜「うん、じゃあハンバーグを……って、え?」

梨子「あーん……」

曜「……え?」

梨子「ほら曜ちゃん……あーんしてよ」

曜「え、あの……これは……」

梨子「いいから、早く……意外とこのポーズで待ってるの辛いから……」

曜「え、ええい……じゃあ……!」パクッ

梨子「……ど、どう?」

曜「……う、うん、おいしいよ」

梨子「ホント? よかったぁ……じゃあ次はこっちのなめろうも……」

曜「こ、こっちも?!」

梨子「ほら、あーん……」

曜「あ、あーん……」

梨子「……ど、どうかな?」

曜「……お酒が欲しくなりました」

梨子「じゃ、じゃあお酒も……はい、あーん……」

曜「それはさすがに無理でしょ! どうしたのいきなり……?」

梨子「だ、だって……今日は曜ちゃんの誕生日だし……ちょっと張り切ってみようかなって」

曜「気持ちはありがたいけど……誰も見てないはずなのにすっごい恥ずかしかった……」

梨子「私だってすごい恥ずかしかったです! でも……今回の誕生日は"特別"だから……」

曜「はぁ、"特別"ねぇ……?」

梨子「……? どこか腑に落ちないって顔だね。どうしたの?」

曜「うーん……さっきも梨子ちゃん言ってたけど、何が"特別"なのかなって思ってさ。いやまぁ誕生日だから特別と言えばそうなのかもしれないけど……」

梨子「……え?」

曜「……え?」




—————




梨子「……」

曜「え……あの……梨子ちゃん……?」

梨子「いやだって……"特別"でしょ?」

曜「ま、まぁ特別といえば……特別?」

梨子「……意味分かってないでしょ」

曜「えっ!? あの……なんかごめん」

梨子「……」

曜「えっと……それで、意味を教えていただけるんでしょうか……?」

梨子「ふんっ! ニブチン曜ちゃんには教えませんっ! 胸に手を当てて、よーく考えてください!」

曜「えぇ……困ったな……こういうの苦手なんだけど……」

梨子「思い出すまでビール開け続けるから!」

曜「地味にやめてほしい!? えーと、えと、特別かぁ……何が特別……うぅ……」

梨子「——ぷはーっ! よーし1本空いたー! 次開けるよー」

曜「ええ、ちょっと早い……! え、えーと……ひ、ヒント! ヒントください!」

梨子「ヒントは、『〇〇してから初めて』……だよ?」

曜「むぅ……『〇〇してから』……あ、そうか! あれか!」

梨子「っ! わ、分かってくれた?」

曜「うん、ずばり……お酒を飲み始めてから初めての誕生日だから特別! ……とか?」

梨子「……違うんだけど」

曜「……だ、だよね」

梨子「よーし、じゃあもう1本いきまーす!」

曜「あ、ちょっと! ちょっと待って……」




—————




梨子「——くぁーっ! やっぱこの黒ビールも美味しい! この泡がたまらないわぁ〜」

曜「あーあ……ほとんどビール開けちゃったじゃん……」

梨子「だって曜ちゃんが答えられてないから……ねぇ、本当に思い浮かばない?」

曜「うーん……さっぱり……」

梨子「……はぁ、私たちって、こんなもんだったのね……」

曜「え、ちょ……そんなこと言わないでよ……」

梨子「曜ちゃんが正解しないのがいけないんですー! まったくもう……曜ちゃんのヘタレヨーソロー!」

曜「ヘタレと関係あるの!?」

梨子「はぁ……この件はもういいから、おしまいにしよ、おしまい」

曜「えー?! すっきりしないよぉ……教えてよ梨子ちゃん……」

梨子「ちゃんと曜ちゃんに思い出してほしいの!」

曜「うーん、そこまで言うならもうちょっと頑張ってみるけどさ……」

梨子「じゃあさ、先にお風呂入っててくれない?」

曜「それはまた急だね……なんでお風呂?」

梨子「実はさ……この後お待ちかねのプレゼントがあるわけなんだけど」

曜「あ、そうなんだ。それ先に言っていいんだ……」

梨子「でね、それを曜ちゃんに渡すためにはちょっと準備が必要なの。あんまりそのところを見られたくないから、曜ちゃんには思い出しついでにお風呂で時間を使ってほしいというか……」

曜「プレゼントに準備? ……ってのはよく分からないけど、そういうことならとりあえず先に入っちゃうよ」

梨子「うん、ありがとう。……プレゼント、楽しみにしててね?」

曜「ちょっと怖いけど……うん、楽しみにしてる。じゃあお先に」

梨子「はーい」

ガチャン

梨子「……」




—————




曜「ふぃー……体に染み渡るー……って、なんかおじさんみたいだな。変な疲れ方しちゃった……」

曜「……今日のお風呂、梨子ちゃんが好きな入浴剤が入ってる。良い香りだぁ……」

曜「確か入浴剤とかは梨子ちゃんがこっちに来た時、持ち込んできてくれたんだっけ……女の子だよなぁ、梨子ちゃん。それから自分も買うようになったんだっけ」

曜「……お酒もそうけど、梨子ちゃんと暮らすようになってからいろいろ始めたんだよなぁ……あれからどれくらい経つんだっけ……?」

曜「……それにしても梨子ちゃんの言う"特別"って本当に何のことだろう……梨子ちゃんには申し訳ないけど全然思い浮かばないや……どうしよう」

梨子『曜ちゃん、お湯加減どう?』

曜「わわっ、梨子ちゃん!?」

梨子『そんなにびっくりしないでよ。ちょっと聞きにきただけなんだから』

曜「う、うんごめん……お湯はいい感じだよ。この入浴剤、梨子ちゃんが入れてくれたんでしょ?」

梨子『うん、良い香りでしょ?』

曜「うん、すごい落ち着く感じ……」

梨子『それで? 思い出した?』

曜「それは……まだ、です」

梨子『……そっか』

曜「う……なんかすいません……梨子ちゃんの方は準備、進んでるの?」

梨子『うーん、後ちょっとってところかな。あ、お風呂は別に急がなくていいから、ゆっくり入ってね』

曜「うん、じゃあそうする……」

曜「——梨子ちゃんのプレゼントの気になるな。準備ってことは結構大がかりなのかな……なんか怖いな」

曜「……とりあえず、そろそろ身体洗おうかなー」

ガチャ

曜「……え?」

梨子「曜ちゃん、お待たせ」

曜「……はい?」

梨子「?……どうしたの曜ちゃん?」

曜「いやあの……え……え?」

梨子「曜ちゃん、体洗うんでしょ?」

曜「いやそうだけど……でもなんで梨子ちゃんがお風呂に……」

梨子「何でって……曜ちゃんの身体洗うから」

曜「……え?」

梨子「曜ちゃんの身体、洗ってあげるから」

曜「……えぇー!?」




—————




曜「いや、あの、その……な、なんで急に!?」

梨子「なんでって……これもプレゼントの1つだから、かな?」

曜「プレゼント……?」

梨子「うん、曜ちゃんの身体を綺麗にしてあげるプレゼント♪」

曜「な、なんだってー!?」

梨子「そんな驚くこと?」

曜「いやだって……それがプレゼントだとは普通思わないでしょ!」

梨子「まぁいいからいいから、早く座って座って。たっぷりサービスしてあげるから♪」

曜「……何故か身の危険を感じるんだけど」

梨子「気のせいじゃない? 普通に洗うだけだよ?」

曜「ほ、本当かなぁ……?」

梨子「今日の為にいい香りのするシャンプーとか揃えてきたんだから、むしろ期待してほしいなぁ」

曜「う、うん……分かったよ」

梨子「ふふ、じゃあまずは頭から洗うね?」

曜「なんか緊張するなぁ……」




—————





梨子「〜〜♪」

曜「……」

梨子「……どう曜ちゃん?」

曜「うん……結構いい感じかも……」

梨子「よかったぁ……ふふ、どこかかゆいところはありますか?」

曜「えーと……じゃあこの辺とか……」

梨子「うーんと、ここ? じゃあこんな感じで……」

曜「ふわぁぁ……すごい気持ちいい……」

梨子「曜ちゃん変な声出てる」クスクス

曜「あぅ……き、気持ちよくてつい……梨子ちゃん、洗い方上手だね」

梨子「髪のお手入れとかはよくやってるから、かな? 曜ちゃんも綺麗な髪なんだから、普段から大事にしてあげないと」

曜「あんまり自分の髪のことをそう思ったことはないんだよね……」

梨子「そんなことないよ! 曜ちゃんの髪ツヤツヤだし、私は好きだよ?」

曜「私は梨子ちゃんの髪の方が綺麗だと思うし、好きだなぁ……なんかいつ見てもちゃんと手入れしてるなって思うし、そういうところは見習いたいなぁって思う」

梨子「髪長いからお手入れは大変なんだけど、そうやって褒めてくれると嬉しいな。……曜ちゃんって、私の髪のことよく褒めてくれるよね?」

曜「うん、だって本当に好きだし、良い匂いするし……」

梨子「良い匂いはシャンプーのおかげかな? 使うシャンプーも、気分によって変えたりするんだよ?」

曜「へぇ〜……梨子ちゃんのそういうたまに女の子らしいところ、好きだなぁ」

梨子「……たまには余計じゃない?」

曜「あはは、ごめんごめん。でもいつも私のまで気にしてくれて助かってるよ、本当に」

梨子「それはどういたしまして。それじゃ、頭は流しちゃうね?」ザパーッ

曜「ありがとー。……ふぅー、気持ちよかったー」

梨子「よし、じゃあ次は身体を洗おうか? こっち向いてくれる?」

曜「えっ?」

梨子「えっ?」




—————




梨子「えっ? って何曜ちゃん、えっ? って」

曜「え、あの……頭だけじゃないの?」

梨子「そりゃあ……当然身体も洗うよ」

曜「いやまぁ……確かにそうだよね、身体も洗うよね、うん……」

梨子「……どうしたの?」

曜「いやそのぉ……何と言うか、心の準備ができてないというか……」

梨子「別に恥ずかしいことじゃないでしょ? 私たち……そういう関係、なんだし」

曜「そうかもだけど……やっぱりなんか緊張しちゃうなぁって……しかも身体ってなると……」

梨子「……?」

曜(……梨子ちゃんの身体もばっちり見えちゃうわけで……)

曜「あ、あのとりあえずさ! まずは背中からお願いしてもいいかな? 背中から!」

梨子「背中? うん、まぁいいけど……」

曜「う、うんよろしく、その間に心の準備しちゃうから、うん」

梨子「変な曜ちゃん……じゃあまずは背中からね?」

曜「う、うん、よろしくー」




—————




梨子「——んしょっ……んしょっ……」ゴシゴシ

曜「……」

曜(……背中洗ってもらってる間に抜け出す方法でも考えようと思ったけど……)

梨子「ふぅー……意外と大変だね、背中洗うのって」

曜(思いのほか気持ちよくて何も考えられてない……)

梨子「よいしょ……よいしょっと……」ゴシゴシ

曜「うぁ……な、なんかくすぐったい……」

梨子「く、くすぐったい? ごめん、変な感じだったかな?」

曜「ああ、いや大丈夫。人に背中洗われたこととかあんまりないから、慣れてなくて……」

梨子「そうなの? 千歌ちゃんとかにはしてもらってるのかと思った、小さいころとかに」

曜「うーん、そういうのはなかったかなぁ……旅館のお風呂借りて一緒に入ったりはしたけど……」

梨子「へぇ〜、そうだったんだぁ……じゃあ私が初めてなんだね、曜ちゃんの背中を洗うのは」

曜「パパとかママは子供の頃に洗ってもらったことあるけどね」

梨子「そういえばそうか! 悔しい!」

曜「何もそんなことで悔しがらなくても……」

梨子「ふっふっふ……でもいいんだ。”今の”曜ちゃんの背中を独り占めできるのは、私の特権だから!」

曜「何だその特権……」

梨子「つまり……こういうことができるのだーっ!」ダキッ

曜「うわぁっ!?」




—————




曜「ちょ、ちょっといきなり抱き着かないでよ!」

梨子「ふっふっふ……言ったでしょ? 今の曜ちゃんを独り占めできるのは、私の特権だって」

曜「うぅ……だからってこの体勢は……」

曜(梨子ちゃんのが思いっきり背中に当たってるわけで……)

曜「……っていうかちょっとお酒臭いよ梨子ちゃん」

梨子「そりゃあさっきまでたくさんお酒飲んでたし、ちょっと臭いかもね〜」

曜「ちょっとじゃないんですけど……あんまりお酒飲んでからお風呂入るの、よくないんだよ? 脱水症状になりやすいって言うし」

梨子「こういう時でも私のこと心配してくれる曜ちゃん好きぃ〜」

曜「だったら離れてくれると嬉しいんだけどな……」

梨子「嫌で〜す♪ 観念して梨子ちゃんに背中を堪能されなさい!」

曜「……はいはい」

梨子「ふふ〜ん♪ 曜ちゃんの背中大きいなぁ」

曜「お、大きい? そんなことないと思うけど……」

梨子「うーん、大きいというよりは、逞しいっていう感じかな? 曜ちゃん飛び込みとかやってるから、それで鍛えられてるのかも?」

曜「うーん、そうなのかな……そんなこと言われたのも初めてだよ」

梨子「……でも柔らかい」プニプニ

曜「うひゃぁっ!? へ、変な触り方しないでよ!」

梨子「だって触り心地いいんだもん……曜ちゃんの背中、筋肉ついてて弾力があるし」プニプニ

曜「ひゃっ!? だからやめてってば……」

梨子「そんなかわいい反応されるともっと触りたくなっちゃうな〜」

曜「ちょ、ちょっといい加減離れてよ……」

梨子「えぇーいいじゃん別にぃ……それに、この体勢なら……ほら!」モミモミ

曜「ふわぁっ!? 梨子ちゃん何してっ……!」

梨子「曜ちゃんの立派なビーチボールも堪能できるのだ!」

曜「その言い方、やめ……ひぃっ!」

梨子「……本当に曜ちゃん、成長したよね……」モミモミ

曜「ちょ、やめ……変な手つきで触るなぁっ!」

梨子「いいじゃない! 私のだって背中に当ててるでしょ?」

曜「分かってるならやめてよー!」

梨子「私のじゃ満足できないっていうの?! 確かに曜ちゃんほどじゃないけど……私だって、一応は成長してるもん!」

曜「いやそういうわけじゃなくてさ……ていうか押し付けないでー! と、ともかくいい加減にしてよーっ!」

梨子「——えっ」

曜「——あらっ?」

バッターン!




—————




梨子「——ん? あれ? 今いったい何が……って、え?」

曜「う、うぅ……いてて……」

梨子「曜ちゃん?! わ、私何で曜ちゃんに抱えられて……」

曜「す、滑って転びそうになっちゃったから……大丈夫、梨子ちゃん? 頭とか打ってない?」

梨子「だ、大丈夫だけど……さっき、大きな音がして……」

曜「ああ……ちょっと……私が頭打っちゃったかな……?」

梨子「よ、曜ちゃん……もしかして私のこと庇って……!」

曜「だ、大丈夫だよ、私は……大丈夫……」

梨子「ご、ごめんなさいっ! 私が調子乗ったばっかりに……」

曜「大丈夫だよ、梨子ちゃん……私は……梨子ちゃんが、無事でよかっ……た……」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「……」

梨子「ちょっと曜ちゃん!? 曜ちゃん!? 曜ちゃーん!?」




—————




曜「——ん……まぶし……」

梨子「っ!? 曜ちゃんっ!?」ギュウッ

曜「……梨子ちゃん——んぐっ!?」

梨子「よかったぁ! 曜ちゃん起きてくれて……もう心配で心配で……」

曜「うぐっ……お、起きたから、起きたから離して……」

梨子「あっ、ご、ごめん! ……本当に私ってば、さっきからもう……」

曜「んん……私、寝てたの?」

梨子「あのね、お風呂場で私がふざけたせいでね、2人で滑って転んじゃって、それを曜ちゃんが、曜ちゃんが……」

曜「お、落ち着いて梨子ちゃん……」

梨子「ともかく! 曜ちゃんが私を庇って頭打って……それで気を失って……」

曜「あ、あー、そういえばそんなことが……倒れてたってことか、私」

梨子「ねぇ、本当に大丈夫? まだ痛みとか残ってるんじゃない?」

曜「確かにちょっと頭に違和感は残ってるけど、もう大丈夫だと思う……それよりも、この頭の感触は……?」

梨子「あ、ごめん……少しで曜ちゃんの近くにいたくて……良くなかったかな?」

曜「ああ、いやそんなことはない、けど……」

梨子「……」

曜「あ、あのあのっ! むしろ気持ちいいなーと思ってさ、そしたら梨子ちゃんの膝だったのかぁ、って感じで……あははー……」

梨子「……」

曜「……あ、あの、梨子ちゃん?」

梨子「……ごめんなさい」

曜「……梨子ちゃん」

梨子「ごめんなさい……曜ちゃんの誕生日だったのに……"特別な"、誕生日だったのに……」

曜「……そういえば、その"特別"って結局思いつかなかったや……私もごめん……」

梨子「ううん、曜ちゃんは悪くないの! 私が勝手に、意識してただけだから……」

曜「……それで結局、梨子ちゃんの言う"特別"っていったい……」

梨子「……私と曜ちゃんが同棲を始めてから……恋人になってから初めての、誕生日」

曜「あー……」




—————




梨子「あのね……私と曜ちゃんって、お付き合い、してるんだよね?」

曜「う、うん……そのはず、だけど」

梨子「うん、そうだよね……恋人、だよね……でもさ、私たち、何だか恋人らしいことができてない気がするの」

曜「恋人らしいこと?」

梨子「うん……って言っても、私も具体的に何をすればいいから分からないんだけど……でも、恋人との誕生日だったらいつもより踏み込んだことするのかなって、そう思って……」

曜「……それであれがプレゼントってことか」

梨子「今更ながらプレゼントになってるか分からないし……本当は、もっと曜ちゃんに喜んでほしかったのに、私だけ空回っちゃって、おまけに曜ちゃんに怪我させちゃったし……ダメ、だよね、ホントに」

曜「梨子ちゃん……」

梨子「大切な人の誕生日なのに最悪だよ。私……恋人失格だね……」

曜「……そんなことないよ」

梨子「……え?」

曜「……そんなことない!」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「私もさ、恋人らしいことってよく分かんないけど……今日の梨子ちゃんの気持ち、すっごい嬉しかった。料理も作ってくれたし、一緒にお酒飲んだり……身体洗われるのは恥ずかしかったけど、でも凄い嬉しかったのも本当なんだ」

梨子「……怪我、させちゃったのに?」

曜「こんなの全然平気、怪我のうちに入らないよ! それにさ……」

梨子「……それに?」

曜「……私は、梨子ちゃんがいつもそばに居てくれるだけで十分幸せだなって感じるんだ。それが私にとっての、最高のプレゼントかも」

梨子「曜ちゃん……」

曜「えへへ、だからこれからもずーっと一緒にいてくれると幸せ、だよ? ……はは、今ちょっと恋人っぽいこと言ったかな?」

梨子「曜ちゃんっ!」ダキッ

曜「り、梨子ちゃんっ?」

梨子「あぁ……もう私、曜ちゃんのこと本当に大好きなの! 大好きすぎて……いろいろ大変かもしれないけど、それでも一緒にいていいかな?」

曜「うん……そうしてもらえると嬉しいかな」

梨子「うぇぇん……曜ちゃぁん……」

曜「え、え? ちょっと泣かないでよ……」

梨子「だってぇ……曜ちゃんが優しすぎてぇ……」

曜「おー、よしよし……」




—————




梨子「ぐず……ぐず……」

曜「……落ち着いた?」

梨子「うん……お陰様で。曜ちゃんももう、起きて大丈夫なの?」

曜「うん、もうだいぶ良くなったかな。梨子ちゃんに膝枕もしてもらえたし……もう平気!」

梨子「ごめんね、本当に……あ、そうだ! 改めて、曜ちゃんに何かプレゼントしたいんだけど、いいかな? 今度はちゃんとした物にするから!」

曜「ええっ、そんないいよー。もう十分受け取ったと思うし……」

梨子「そうしないと私の気が済まないの! ねぇ、何か欲しいものとかない、曜ちゃん?」

曜「う、うーん、急に言われてもなぁ……」

梨子「これはさすがに! ってのでもいいからとりあえず言ってみて!」

曜「え、えーそうだなぁ……お願い、とかでもいいの?」

梨子「何かしてほしいこととか? もちろんOKだよ、今日のお詫びも含めて、なるべく叶えてあげたいから……」

曜「そっか、お願いでもいいんだ。じゃあね……」

梨子「うんうん……」

曜「……梨子ちゃんが、全部欲しい、かな」

梨子「……え?」

曜「……」

梨子「……」

曜「ななななーんちゃって! 冗談冗談! えーと、欲しいもの欲しいもの——」

梨子「——いいよ」

曜「……へ?」

梨子「曜ちゃんになら……全部あげてもいいよ」

曜「え……梨子ちゃ……」

梨子「……」

曜「……」

梨子「……な、なーんて嘘ウソ、冗談です! よ、曜ちゃんが変なこと言うから〜」

曜「そ、そーだよね! そりゃそうだよね! あはは——」

チュッ

曜「——え?」

梨子「……」

曜「……梨子ちゃん?」

梨子「あの……今は嘘かもしれないけど、いずれは……ね?」

曜「……」

梨子「だ、だから今はこれだけで……んっ——?!」

曜「んんっ……」

梨子「ん……ん……?」

曜「——っはぁ……ごめん梨子ちゃん……私、我慢できないかも」

梨子「え……曜、ちゃん……?」

曜「……いいよね? 今、梨子ちゃんのこと貰っても……」

梨子「曜、ちゃん……」

曜「梨子ちゃん……」


ピンポーン


梨子「……あ」

曜「……へ?」


ピンポーン
スミマセーン オトドケモノデスー


曜「えと……あの……」

梨子「……わ……」

曜「……わ?」

梨子「わわ、私が見てくるからー!」

曜「……」

曜「…………な、なな」

曜「……なんてことしてるんだ私はー!!」ジタバタ




—————




梨子「曜ちゃんお待たせー……ってどうしたの? なんかすっごい疲れた顔してるけど……」

曜「ああ、いや何でもないよ……それより、何か届いたの?」

梨子「あ、そうそう……これ、鞠莉さんからだって! 何だろう……開けてみるね?」

曜「……これは」

梨子「……ワインセット? なんか高そうなワインが何本も入ってる……」

曜「うん……あ、手紙が入ってるよ?」

梨子「本当だ、読んでみるね。なになに……『曜、お誕生日おめでとう! お祝いにこのリッチでゴージャス! な、ワインセットを贈るわ! もしかしたら梨子の方が喜んでるかもしれないけど……ぜひ比べながら飲んでみてね!』だって」

曜「ワインセットか……私も嬉しいけど、確かにこれは梨子ちゃんの方が嬉しそうだよね」

梨子「だって高級ワインだよ? いいなぁ……私の誕生日にもお願いしてみようかな?」

曜「あはは、今度鞠莉ちゃんのお礼言わなくちゃだね」

梨子「うん……あれ、手紙の続きがある……『P.S 誕生日だからっておイタはほどほどにね♪』……だって」

曜「おイタって……あっ……」

梨子「っ……! ま、鞠莉さんってば……本当、いつもこういうことばっかりなんだから……」

曜「あはは……こ、困っちゃうよねーホント……」

梨子「だ、だよねー……」

曜「……」

梨子「……」

曜「……」

梨子「……で、でもさぁ! さ、さすが鞠莉さんのプレゼントってだけあって、高そうなお酒が揃ってるね。……いったい幾らぐらいのお酒なんだろうね?」

曜「う、うん、そうだね、高そうだよね……それに、凄いオシャレなボトル。これ、本当に開けていいんだよね?」

梨子「それはもちろん、誕生日プレゼントですから。もしかして、開けちゃう?」

曜「うん、早速だけどこれで飲み直そうかな? せっかくのプレゼントだし、ありがたく頂いちゃおっと」

梨子「あぁ〜いいなぁ曜ちゃん。羨ましい……」

曜「え、えーっと……なんかおつかみなかったけかなー……」

梨子「……」ジーッ

曜「……」

梨子「……」ジーッ

曜「……梨子ちゃんも、一緒に飲む?」

梨子「い、いいの!? 一緒に飲んでいいの?」

曜「うん。せっかくだし、今日は付き合ってくれると嬉しいかな? ……"特別な"、誕生日だしね」

梨子「曜ちゃん……うんっ、今日は曜ちゃんが潰れるまで付き合うからね!」

曜「先に梨子ちゃんの方が潰れちゃいそうだけどね……」

梨子「今日は頑張っちゃいます!」

曜「あはは、無理しないでねー」



曜「——じゃあお互いにお酒もそろったところで、また乾杯しますか!」

梨子「うん……あ、その前に、ちゃんとこれも言わせて?」

曜「うん?」

梨子「曜ちゃん……お誕生日、おめでとう。これからもよろしくね?」

曜「……ありがとう、梨子ちゃん。こちらこそよろしく。……えへへ、やっぱ照れくさいや」

梨子「ふふ、じゃあ乾杯、しよ?」

曜「……うん!」

梨子「では改めて、曜ちゃんの誕生日を祝して……」


「「かんぱ〜い!」」



この後、曜ちゃんが酔った梨子ちゃんを介抱するのは、またいつも通りのお話である。
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2018年5月26日
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