たったのひとこと

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曜-アイキャッチ12
「曜先輩、誕生日おめでとうございます!」
「渡辺さん、お誕生日おめでとう!」
「曜ちゃん、誕生日おめでとう!」

今日は私の誕生日。それは、私を産んでくれた両親に感謝する日であり、私、渡辺曜の新たな人生を祝う日でもある。
そう、今日は私、渡辺曜の二十歳の誕生日。世間でいう所の大人の仲間入りである。お酒だって飲めるし、タバコだって吸えてしまう。まぁ、吸わないけれど。

pixiv: たったのひとこと by 青田 樹

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それはつまり、これからの人生での選択肢が増えるとゆう事。
そんな、“大”人になった“特別な”私を周りは“特別な”言葉で飾る。
周りの誰もが私の“特別”を見て“特別”で飾る。ラブライブ優勝グループ元Aqoursの渡辺曜として、高飛び込みの強化指定選手の渡辺曜としての私を祝ってくれる。
それ自体が別に嫌なわけではない。祝われて、褒められて、嫌な人はきっといない。
けれど、誰も口々に言う“特別”はわがままかもしれないが私にとっての“特別”ではなくて。そのどれもが私には薄っぺらくて、価値のないものに感じてしまう。
それでも周りは言い続ける。『これからも頑張って』『Aqoursの頃のカッコよさもまた見たい』と。
それでも私は、

「ありがとう!みんなの期待が少し重いでありますなぁ〜」

なんて、少しおちゃらけたように笑って答える。
なんて言うと周りは「もう、曜ちゃんったら〜」とかなんとか返しをしてくる。
そんな、返しに当たり障りないように答えつつ、この地獄の様なところから早く抜けたいと帰りを急ぐ。
別に、帰りを急いだ所でおかえりと言ってくれる人はいない。なんせ、今善子ちゃんはゼミの調査とかで二週間前から一ヶ月の海外調査で家にいないから。
そんな、ただ一人になって虚しくなる家に私は帰る。

「ただいま〜……」

この癖なった言葉にいつもみたいに言葉をかえす相手はいない。

「おかえり、丁度今料理が出来たところよ。てゆうか、ハンバーグってこんなに作るの大変だったかしら……。久しぶりに作ったから台所が……。」

それなのに、目の前にはエプロン姿の善子ちゃんがいて。

「そ、それでも!今日の私は一味違うわよ!いつもの私とは思わない事ね!」

そうして気づく、私が求めてたのは誰もからの特別な言葉じゃない。

「あらためて、ハッピーバースデー曜」

ただ、1人。君からの何でないたった一言、それだけだったんだって。
そんな、なんでもない一言に心踊る私がいて。

「ありがとう、善子ちゃん!」

おまけ

「ところで善子ちゃん、なんで家にいるの?ゼミの調査で日本にいないんじゃなかったけ……?」
「え?何でって、そりゃもちろんゼミの調査サボったからに決まって………あ、」

この後、曜ちゃんにめちゃめちゃ怒られたとさ。
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2018年5月26日
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