ダイヤ「雨の日は雨戸を閉めなさいと何度も」

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ダイヤ-アイキャッチ12


鞠莉「〜〜♪」


今日は生憎の雨模様。天気予報をチェックし忘れていたことを悔やむ。

だけれど、どうも鞠莉さんは機嫌よろしく縁側にちょこんと座って鼻歌を歌っていますの。


ダイヤ「ねぇ鞠莉さん…その…」

鞠莉「ん?なにダイヤ?」

ダイヤ「当初入っていた予定ですが…」

鞠莉「あぁ、デートね、気にしないでいいのよ。」


そう、今日は互いに多忙な日々を送っている2人の、偶然休暇が被った日なのです。

昨夜は明日はどこに行って何をしよう、お昼はどこでいただいて、その後に…などなど、久しぶりのデートに心を弾ませていたのですが…

雨どいに流れる雨水の音が文字通り、皮肉なものね。

pixiv: ダイヤ「雨の日は雨戸を閉めなさいと何度も」 by 朝霧ユウ

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ダイヤ「どう埋め合わせをすればいいのか…申し訳ありません…」

鞠莉「なによぉ、どうして謝るの?」

ダイヤ「だって、鞠莉さんは今日のデートをとても楽しみにしてらしたでしょう?」

鞠莉「まぁね、こんなに大雨じゃなければ相合傘もいいなって思ってたわ。」

ダイヤ「だから…あの…楽しみにしていた時間がなくなってしまったのが申し訳なくて…」


わたくし自身、人よりは忙しいと自負していますけれど…鞠莉さんはそれ以上に多忙を極めていますし、埋め合わせをしようにもどうすれば…


鞠莉「はぁん…?掴めてきたわ♪」

ダイヤ「…?」

鞠莉「おいで?」


そう言うと、自分の隣をトントンと叩き、目を細めて微笑みかける。──いつもこうやって鞠莉さんに呼ばれるのが好き──でも、何事でしょう?

貴女の甘い声と向こうの雨音に誘われるがまま、隣に腰を下ろす。


鞠莉「あれ?膝枕じゃなくていいの?」

ダイヤ「はっ?!誰がそんな…!」

鞠莉「あれぇ、好きだったはずなんだけどなぁ…?」

ダイヤ「そんなことより!本題はなんですの?」

鞠莉「ん、そうねぇ、ちょっと耳を澄ましてみて。」


それだけ残して、長い睫毛がよく目立つ目をゆっくりと閉じた。

仕方がないので…わたくしも。


先ほどから目立つ雨どいの水が往く音、大粒の雫が水溜りに落ちる音、たまに吹く強い風で騒ぐ家鳴り、そして、絶え間なくわたくしたちの頭上を打ち、降る雨。

それで、音に耳を澄ましてどうなるというのでしょう?確かに、人は自然の中にいると思うとリラックスしたり柔らかな気持ちに…柔らかな…

ん…?何やら柔らかなものが唇に触れたような…このヘアスプレーの香り……


ダイヤ「……なっっっ!!!ちょっと!!!」

鞠莉「へへへ、ビックリした?」


慌てて目を開けてみればおどけた様子でこちらを伺う瞳が。いきなりキスをしておどかす魂胆でしたか…まったく…


ダイヤ「もう、声を荒げる気にもなりませんわ…」

鞠莉「雨の日くらいはダイヤも大人しくしてね?毎日青筋立ててたら早死にしちゃうわよ。」

ダイヤ「失礼なことを…それで?鞠莉さんは何を話そうとしてたんですか?」

鞠莉「えー、何を話そうってわけでもないんだけど…だってダイヤが拗ねてるから…」

ダイヤ「──は?わたくしが拗ねてる?」


一体どういう了見で?


鞠莉「私はね?ダイヤと久しぶりにこうやってお話出来てるからすっごく嬉しいの。」

鞠莉「でもダイヤったら、大雨が降ってるって気付いた時からしょんぼりつまらなさそうにしてるでしょ?」

ダイヤ「それは、鞠莉さんとの約束がおじゃんになってしまったのが…」

鞠莉「うーん女々しい。さすが硬度10。」

ダイヤ「あ?」

鞠莉「やっといつもの調子ね♪」

ダイヤ「はぁ…続けてくださいな。」

鞠莉「うん、デートの予定がなくなっちゃったのは残念だけど、こうやって雨の音を聞いてたら、そのままこうやって外を眺めるのも悪くないなぁって思って。」

ダイヤ「雨が入るので雨戸は閉めていただきたいですけれど。」

鞠莉「はいはい。それで、しばらくこうしてたんだけど、ダイヤったらお茶をズズッと啜りながらまだ拗ねてるから、仕方ないからこっちおいでーって、ね。」

ダイヤ「…それで呼ばれはしましたけど、わたくしは別に拗ねているわけでは…」

鞠莉「いや、絶対拗ねてる。」

ダイヤ「わたくしはただ!申し訳ないと思っているだけで…」

鞠莉「それを拗ねてるって言うのよ。」

ダイヤ「くっ…」


どうしてか、こういうときの鞠莉さんにはどれだけ口で食ってかかっても負かされてばかりなのですが。


鞠莉「ダイヤはね、気にしすぎなのよ。久しぶりのデートだってことばっかり気にしすぎ。」

ダイヤ「…」

鞠莉「べつに毎日デートしたって、一年に一度しかデートしなくたって、私はそのときダイヤといられればステキなの。そう思わない?」

ダイヤ「まぁ…それなりには…」

鞠莉「埋め合わせをするのはいいけど、今はそんなこと気にしないでほしいな。私と一緒にいるんだから、今のわたしだけを見てて?」

ダイヤ「あっ…」

鞠莉「あっ!今絶対ちょっと可愛いなって思ったでしょ?図星でしょ?」

ダイヤ「っっおだまらっしゃい!!」


本当、なんでも見透かされているんですのね…

言われて気付くとは、わたくしもまだまだ未熟。


鞠莉「そういうわけだから、今日はずっと雨の縁側でのんびりしない?」

ダイヤ「…そうですわね、そういたしましょうか。」

鞠莉「うんうん!じゃあ〜この前ダイヤがおススメしてくれた本読もう!一緒に!」

ダイヤ「雨戸を閉めてくださらないと本が濡れるんです。」

鞠莉「仕方ないなぁ…じゃあダイヤが閉めておいて?」

ダイヤ「なぜわたくしが…!雨戸を開けて床板の色を変えてるのは誰だと思って…」

鞠莉「今閉めてくれたらマリーの膝枕付きだけど。」

ダイヤ「……」

鞠莉「……」

ダイヤ「先に本を持ってきます。それからにしますわ。」

鞠莉「ふっ…昔より素直になったわね?」

ダイヤ「…ばか。」

鞠莉「ごめんごめん。──ねぇダイヤ、好きよ?」

ダイヤ「──えぇ、わたくしも、お慕いしております。」


どちらからともなく、ふふっと笑ったあと、耳に微熱を残して書斎へと。


雨はまだ、止まないようですわ。
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2018年5月26日
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