ルビィ「ルビィは悪い子」

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ルビィ-アイキャッチ8
ルビィには大好きなお姉ちゃんがいます。

お姉ちゃんは勉強が出来て、堂々としてて、駄目なものはハッキリ駄目って言えるような人で、ルビィとは大違い。

だからなれっこないなぁとは思っても、やっぱり憧れちゃうんです。

少しでもお姉ちゃんに近付きたくて、お姉ちゃんと同じものを好きになったり───まあ、好きになったせいでお姉ちゃんのものを勝手に食べて怒られたりしちゃうんだけど。

pixiv: ルビィ「ルビィは悪い子」 by ゆっきー

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そんなルビィだから、お姉ちゃんと付き合ってる鞠莉ちゃんのことを好きになってしまうのもしょうがないと思う。

好きになったものを勝手に食べたくなっちゃうのもしょうがないことだよね……?







「今日はどうしたの?」

みんな予定があるとかで練習が休みになった放課後、ルビィは理事長室に来ていた。

「んー、用とかあったわけじゃないけど鞠莉ちゃんと話したいなって思って」

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」

「それでお姉ちゃんとはどこまでいったの?」

「前言撤回」

呆れたと言わんばかりに手をヒラヒラと振り、残念な子を見るような目でこっちを見てきた。

鞠莉ちゃんってこういう表情も出来るんだ、ってちょっとした発見が嬉しくてついにやにやしちゃう。

「教えてよぉ」

「嫌よ。何で恋人との恋愛事情を恋人の妹に話さないといけないのよ……」

「妹としてお姉ちゃんのことを知る義務があると思う」

「姉にもプライバシーがあります」

「むぅ」

簡単に教えてもらえるとは思ってなかったけど、まさかここまで頑なだとは思わなかった。

鞠莉ちゃんはその辺オープンだと思ってたんだけどなぁ……。

……ってあれ?もしかして……?

「まだキスすらしてなかったり……?」

「キスはしたわよ!」

キス"は"、ねぇ……。ふーん……。鞠莉ちゃんとお姉ちゃんってまだそういうことしてないんだぁ……。

「なによそのにやけた顔は」

「ねぇ、鞠莉ちゃんは何でルビィがお姉ちゃんのプリンを勝手に食べてるのか知ってる?」

「はあ?いや知らないけど」

「お姉ちゃんの好きなものを好きになっちゃうからっていうのももちろんあるんだけどね、勝手にお姉ちゃんのもの食べたら怒られるでしょ?」

「そりゃ当然じゃない」

「それで、怒られてる時ってお姉ちゃんの目にも頭の中にもルビィしかいないの。それって凄く幸せなことだと思わない?」

「中々に歪んでるわね……」

「そうかな? 大好きな人の視線を独り占めしたいと思うのも、大好きな人にずっと自分のことを思ってて欲しいと思うのも普通のことだと思うよ」

「やり方ってものがあるでしょうに」

鞠莉ちゃんだってお姉ちゃんの視線を、思考を独り占めしたいと思ってるはずなんだけどなぁ。

視線を向けてもらうには、愛情だけじゃなくて怒り、憎しみみたいな負の感情でも良いわけで、というかそちらの方が確実に手っ取り早いことではある。

その後の関係性を考えたら、負の感情を向けられないに越したことはないのだけれど。

「ていうかいきなりどうしたのよ」

「お姉ちゃんって鞠莉ちゃんのこと大好きでしょ?」

「ふぇっ!?ま、まあそうなんじゃないかしら……?」

「そんなお姉ちゃんの大好きなものを先に食べたらお姉ちゃんはどうなるかな?って」

「は?先に食べ───んぅっ!?」

動揺してる鞠莉ちゃんに強引にキスをする。お姉ちゃんを怒らせるためとは言え、ルビィも鞠莉ちゃんのことは大好きだし、ぽわぽわとした幸せな気持ちになる。

「ふふっ、どう?ルビィの唇はお姉ちゃんの味がするでしょ?お姉ちゃんと同じリップを使ってるんだよ?それにシャンプーとかも全部一緒だから匂いもお姉ちゃんと同じ」

「ル、ルビィ……!?」

「お姉ちゃんって奥手だからキスの先どころかキスすらそこまでしてもらえてないんじゃないの?ほら、お姉ちゃんの味と匂いだよ?」

恋愛経験のないルビィにはキスの上手な仕方とか分からないから、とにかく全身の至るところにキスをしていく。

出来ればキスマークをつけてみたいのだけど、つけ方が良く分からないからそれは諦めることにした。

「ルビィ……、やめ……!」

「やだ」

静止を振り切って何度も何度もキスを浴びせる。反応が良かった耳やうなじや脇腹等を重点的にキスすると、嫌がる素振りをしながらも時折甘い声が漏れる。

「駄目……、だって……!」

「あはっ♡ 鞠莉ちゃん可愛い♪」

必死に声を抑えようとして、それでもたまに抑えれずに甘い吐息が漏れる鞠莉ちゃんが可愛くて、その甘い吐息さえも欲しくなって口に貪りつき、口内をひたすら口で侵して犯す。

「ゃ……、もうやめ…………」

「えー、でも鞠莉ちゃん。とっても幸せそうな顔してるよ?」

「っ……!?」

鞠莉ちゃんに喜んで貰えてるんだって分かるから、さらにキスをしていく。

やっぱり好きな人が幸せな気分になってくれると嬉しいよね?

だからもっと幸せになってほしくて、

「……ねえ鞠莉ちゃん。そろそろ、次に進んでも良いかな♡」





濡れてべたべたになった指を舐めながら、片手でこっそり鞠莉ちゃんの写真を撮る。

なるべくやりたくは無いけど、お姉ちゃん以外の人に言われようにするための保険。

でも鞠莉ちゃんから言われた事は、全くの想定外のことだった。

「……また、お願いして良いかしら?」

羞恥心と罪悪感の入り交じったような顔でおねだりをする鞠莉ちゃん。

どうやら中々手を出してくれないお姉ちゃんにモヤモヤとかがずっと溜まっていたらしい。

「えへへ、喜んで!」

好きな鞠莉ちゃんと幸せな気分になれて、発覚すれば大好きなお姉ちゃんからこれでもかと怒られる。

ルビィにとっては一石二鳥だったので、断らない理由がなかった。

それからは、たまに練習が休みになった日とかに理事長室で逢ったり、休日に鞠莉ちゃんの家にお呼ばれしたり。

鞠莉ちゃんはいつも二人きりになるとお姉ちゃんの愚痴ばかり。

デートなのに手を繋いでくれないとか、キスしようとしても恥ずかしいからって言って避けられるとか色々。

そんな鞠莉ちゃんの愚痴を聞きながら、鞠莉ちゃんの心と身体を慰めてあげるのがルビィの仕事。

でも、そんな逢瀬の時間も思っていたより早く終わってしまった。




その日も練習が休みだからと二人で理事長室で遊んでいると、唐突に理事長室の扉が開いた。

「……鞠莉さんからルビィの匂いがすると思ったらこういうことでしたのね」

「ダ、ダイヤ!?こ、これは違っ……!」

突然現れたお姉ちゃんに慌てる鞠莉ちゃんと、やっとこの日が来たと静かに喜ぶルビィ。

鞠莉ちゃんとの逢瀬も楽しかったし、幸せだったけど、ルビィの一番の目的はお姉ちゃんに怒られること。お姉ちゃんの視線を独り占めすること。お姉ちゃんの心の中にルビィを刻み付けること。

大切な彼女が寝盗られたら絶対怒るよね?多分ルビィでも怒っちゃうもん。

つかつかとこっちに近付いてきたお姉ちゃんは、鞠莉ちゃんの上にいるルビィを払い落として、鞠莉ちゃんに掴みかかった。

「…………えっ?」

「一体どういうつもりですの」

「そ、それは……」

「お、お姉ちゃん!鞠莉ちゃんは悪く───

「あなたは黙ってなさい!」

なんで……。

「どういうつもりかと聞いているんです。早く答えなさい」

なんで鞠莉ちゃんの方を見るの……。

「ごめ……、ごめんなさぃ……」

悪いのは鞠莉ちゃんじゃなくて、誑かしたルビィなんだよ……?

「私は謝って欲しいのではなく、どうしてこういうことをしたのか聞いているんです」

ねぇお姉ちゃん……、ルビィのことも見てよ……。

「だって……、ダイヤが何もしてくれないから……」

そうだよ……。お姉ちゃんが何もしないからルビィが奪ったんだよ……。

「何もしてくれない……?」

へたれなお姉ちゃんに変わって手を出したの……。

「そうよ!デートの時だって手すら繋いでくれないじゃない!」

ねっ、ルビィのこと許せないでしょ……?

「私が……、悪いのですか……?」

違う。悪いのは全部ルビィだから、ルビィのことを叱ってよ……。

「寂しかった……。もうダイヤに愛想つかされたのかと思った……」

やめてよ……。二人で解決しないで……。

「寂しい思いをさせてごめんなさい。少し恥ずかしくて……」

その寂しい思いにルビィはつけこんだんだよ……?

「ねえダイヤ、今日泊まりに来ない?」

ルビィはもう二人から視界に入れてもらえるほどの価値が無いの……?

「……ええ、覚悟を決めさせていただきますわ」

ルビィはここにいるんだよ……? すっごい悪いことしたんだよ……? ルビィのこと叱ってよ……! ルビィのこと罵ってよ……! もっとルビィのこと考えてよ……!

願いは通じず、お姉ちゃんと鞠莉ちゃんは理事長室を後にしようとしていた。

「待って!!!」

ルビィの必死の呼び掛けにお姉ちゃんはゆっくり振り返り、冷たい目でルビィを見ながらこう言った。

「あら、貴女まだいたんですのね」

───その瞳にルビィは映っていなかった。
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