理亞「仲間」

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理亞-アイキャッチ4
「善子ちゃんに至っては、図書室どころか学校にも来なかったずら」

花丸がさらっとそんなことを口にした

それって、不登校ってこと?

「いちいち言わんでもええわい!てかヨハネー!」

目の前で善子は厨二病全開なことを大声で叫んでる

そんな人目を気にしなさそうな目の前の女の子が不登校だったなんて、正直信じられなかった

pixiv: 理亞「仲間」 by 大豆粉

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元々ルビィと私だけで準備するものだと思ってたから、あの2人とも一緒に作業するなんて全く考えてなかった

さすがに静岡に追い返そうなんて思わなかったけれど、それでも接しづらいという気持ちは拭えない

そんな中、思いもよらなかった言葉は勿論気になったけれど今は姉様に成長を見せることに集中しなきゃと思ってできるだけ気にしないようにした

けれども、夜寝る時にどうしても1度考えてしまうのだった

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その後はなんとなく善子の言動が気になってしまっていた

といっても、大抵の場合変なポーズをとってるか、なんだかよく分からないことを言って花丸に突っ込まれるかだったが

…まあ、たまに礼儀正しい時もあるけど

そんな様を見てるとますます不登校だったなんて想像つかない

私自身人付き合いは苦手だけどちゃんと学校には通ってたから来ない人のことはよく分からない

けれども、不登校の人は周りの人が怖いとか心に闇を抱えてるとかそんなイメージだった

それが善子には当てはまらない、むしろ闇を抱えてるなんて言ったら喜んで厨二病を発動しそうに見える

そんな事を考えてる内に曲が完成し、全ての準備が整った

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理亞「………」

理亞「寝れない…」

いよいよ明日、姉様に私の、私達の成長を見せる時だ

それなのに、いや、それだからこそ寝れない

寝不足で調子が出ないなんて絶対避けたかったけどそう思えば思うほど目が冴えてきた

ルビまる「……」スゥスゥ

宿代がバカにならない為私の部屋に寝泊まりしている花丸とルビィはぐっすり眠っている

花丸はとにかく、ルビィも眠れているのが少し悔しかった

あれ?善子は?

善子「眠れないの?」

理亞「うわっ!」

善子「静かにしなさいよ、2人が起きたらどうするの」

理亞「う、うん…」

善子は隣にいた

2人とは違って横にすらなっていない、体育座りで壁によりかかっていた

理亞「あなたも眠れないの?」

善子「まあね」

理亞「…緊張してるの?」

善子「……」

善子「早く寝すぎた」

理亞「あぁ…」

そう言えば、今日はライブの最終調整の後、前日に疲れをためるのはよくないからと自由時間を多めにとったんだった

確か善子は夕食の後すぐにお風呂に入ってすぐに眠りについていた、早すぎないかとはおもったが『疲れてたんだろうし起こすのも悪い』ということでそのまま寝かしていた

それが裏目に出たということか

善子「…まあ、起きてても明日の事が気になってじれったいから早く寝たんだし、あながち間違いでもないかもね」

善子「あなたこそ緊張してるの?」

理亞「私は…うん」

別に隠すこともないだろう

前なら強がって否定したかもしれないが、ずっと一緒に行動してたからだろうか、正直に言うことに迷いはなかった

善子「まあ、そうでしょうね」

善子「私や花丸が部外者とまでは言わないけど、でもあなたとルビィはあなた達の姉に立派な姿を見せなきゃいけないんだから」

理亞「…」

言葉にされると余計に緊張してきた

姉様に立派な姿を見せなきゃ、安心させてあげなきゃ

善子「もうちょっと楽にしなさい」

理亞「でも…」

善子「…分かったわ、ヨハネがとっておきの黒魔術をかけてあげる」

理亞「…え?」

そう言うやいなや、善子は(音をたてないように静かに)立ち上がって何か唱えながらいつもの変なポーズをとった

善子「さあ、これで明日の成功は約束されたわ」

善子「だから安心して寝なさい」

理亞「いや、えっと…」

善子「何よ、ヨハネの力が信用出来ないって言うの?」

理亞「それはそうだけど」

善子「ちょっと!」

これもいつもの流れだ、ただ今回は2人に配慮してか叱る声も小さい

私に黒魔術をかけたとか、2人を起こさないようにとか痛いことをする中にもちょっとした優しさが見えるのが少し可笑しかった

理亞「何でもない、おやすみ」

善子「ふん、さっさと寝なさい」

理亞「善子もね」

善子「…まあ、寝れたらね」

そうして私は再び目を閉じる

さっきのやりとりで力が抜けたのだろうか、今度は眠れそうな気がした

理亞「…ありがとう」

善子「…ん」

2人しかいない今不登校のことについて聞いてみようかと思ったが、それよりも前に心地よい眠気が襲ってきた

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ライブは無事大成功、姉様もルビィのお姉さんである黒澤ダイヤも喜んでくれたようだ

そうして、ルビィ達が帰る日、ルビィがこんな提案をしてきた

「LINE交換しない?」

…ずっと一緒に作業してきたんだから普通だったらとっくにしているものなのかもしれないが、私達は皆あまり自分からそういう事を言うタイプではないので今までしていなかった

多分ルビィも勇気を振り絞ったんだろう、ただ…

理亞「……」

ルビィ「嫌、かなぁ…?」

理亞「嫌って訳じゃないんだけど…なんというか」

理亞「その、AqoursとSaint Snowはライバルって関係がいいかなっていうか…」

そう、私達はライバルなのだ、だから馴れ合いは避けるべきなんだと、なんとなくそんな考えがあった

考えはあったけど決心がつかない、そんな時

善子「いいんじゃない?私達だけなら気にしなくて」

理亞「え?」

花丸「そうずら」

花丸「確かにグループとしてはライバルかもしれないけど、でも私達はそれとは別に一緒にライブを成功させようって頑張ってきた仲間ずら」

理亞「花丸…」

仲間

Saint Snowは姉様と一緒にやってきたけど、姉様は姉様であって仲間とはまた違ったものな気がする

だから仲間という言葉はとても新鮮だった

それでも私は迷っていた、すると

聖良「いいんじゃないですか?仲間なら」

理亞「姉様…!」

聖良「もっと素直になっていいと思いますよ、LINE交換したいって顔に出てます」クスクス

理亞「え…?」

その場に鏡は無かったが、目の前の姉様と3人の仲間が皆笑っていた

こうして、私のLINEの友だち欄に新しい友だちが3人増えた

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LINE上とはいえ会話をするのは気恥ずかしかったが、取り敢えずお礼を言っておこうと思った

もちろん本人達には直接言ったが、なんというか慣習のようなものだ

既読はすぐについた

ルビィはSNS上では性格が変わるタイプなのかもしれない、字面だけ見るといつもオドオドしてるとは到底思えない、活発な子という印象だ

花丸はまだスマホに慣れていないのかひらがなが多かったり誤字脱字があったり、性格どころか年齢が70年くらい変わっている

善子は…まあいつも通りだ

ここで、再びあのことが頭によぎる

…LINEなら聞けるんじゃないか?

顔を合わせずに話すにはデリケートな問題なのかもしれない、けれども、これを逃したら次の機会はないのではないか、そんな気がして


理亞:不登校だったって本当?


聞いてしまった

もう後戻りはできない、一瞬後悔したがすぐに既読がついたから覚悟を決めた

しかし、すぐには返信が来なかった

やはり触れるべきではなかったのか?そんな心配をして不安な時間を過ごしていた

やがて、返信が来た

ヨハネ:そうよ

…本当だったんだ

出来れば詳しく聞きたい、でも聞いていいのか?そっとしておくべきなのか?でも…

ヨハネ:中学の時にね、所謂厨二病ってやつだったのよ

ヨハネ:当時は自分のやってることを全く恥ずかしいなんて思ってなかった、むしろ人と違うことを誇らしく思ってた

ヨハネ:でも中学校を卒業してから、それは黒歴史になったわ

ヨハネ:だから浦の星に入学した時、自分はあの頃と決別する、普通の女子高生として生活するって誓った

ヨハネ:それなのに自己紹介で早速その誓いを破ることになって、クラスの皆からどう思われるか怖くて学校に行ってなかった時期があるの

…なるほど

でも、その割には今の善子は厨二病を抑えようとしていないように思える、何かあったのだろうか?

ヨハネ:その後私は今度こそ堕天使とは決別するって、そう思ってグッズを全部捨てようとしたこともあった

ヨハネ:でも、Aqoursの皆は痛い私も受け入れてくれたの、私はこのままでいいんだって、そう言ってくれた

ヨハネ:だから私はこうやって自分がやりたいようにやっている、傍から見たら痛いかもしれないけど、でも、私はこれが好きだから

ヨハネ:…何か、変な話しちゃったわね、ごめんなさいね

………

理亞:皆、いい人達なんだね

ヨハネ:…そうね

ヨハネ:全員、私のリトルデーモンで、大切な仲間よ

仲間

私も、ルビィと花丸と、そして善子の仲間だっていってくれた

もちろんそれは嬉しい、きっと3人は純粋に仲間って思ってくれている

それでも

私は善子がAqoursのメンバーに対して使った仲間という言葉を羨ましいと、そう思ってしまった

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Aqoursがラブライブ決勝進出を決めた頃、姉様と内浦に行くことになった

ライバルであるからこそAqoursには優勝してもらいたい、心からそう思っていた、だからこそ合同練習だ

しかし、そこでは思いもよらぬ事実が待ち受けていた

「今年の春、統廃合になるの」

学校が無くなる

自分には想像もできない事だ、それにAqoursの人気があればそんな心配ないだろうとも思っていた

それでも、目の前の9人は精一杯輝こうとしている、寂しそうな表情も見えるが自棄にはなっていない

これも「仲間」がいるからだろうか

…ふと、善子の事が気になった

善子によれば、不登校になったのは新学期の自己紹介、統廃合となれば別の学校からの新しい生徒とも出会うだろう

いや、きっと大丈夫だ、彼女には大切な8人の仲間がいるんだから、彼女がありのままでいることを受け入れてくれる人がいるんだから

きっと大丈夫、そう思っているのに

私は、話しかけずにはいられなくて、善子を別の場所に呼んで

理亞「新しい学校、大丈夫?」

そう尋ねていた

善子「何よ、私のことなめてるの?」

理亞「答えて」

善子「ふん…、貴方に心配されずとも、この堕天使ヨハネに不可能な事なんてないわ…クックック…」

ほら、やっぱり大丈夫だ、私が心配せずともきっと善子はうまくやっていけ…

理亞「本当に?」

…あれ?

理亞「大丈夫だって、本心でそう思ってる?」

おかしい

善子「…やけに積極的ね、大丈夫よ、もう私は堕天使な自分を受け入れてるんだから」

理亞「違う、さっきの善子は不安を隠そうと堕天使を演じてただけ」

なんでこんなに必死になっているんだろう?

善子「…」

理亞「貴方には大切な8人の仲間がいる、それは分かってる」

理亞「でも、私だって仲間だって、そう言ってくれたでしょ?」

理亞「だから答えて、本当に不安は無いの?」

善子「不安がないかって言われればそりゃ…」

善子「…」

善子「…そうよ、不安よ」

やっぱり、そうなんだ

善子「堕天使も自分の一部、それについてはもうなんの心配もないわ」

善子「でも、統合となると、中学の頃の私を知ってる人と再会するかもしれない」

善子「全員が悪い人ってことはないだろうけど、全員いい人とも限らない」

善子「そんな人が、中学で痛かった子がアイドルやってるなんて知ったら、どう思うでしょうね?」

理亞「…」

善子「多分杞憂だけど、どうしても考えちゃうのよ」

善子「陰口をたたく人の姿をね」

理亞「…うん」

善子の話は聞いた、少し強引かもしれなかったが、確かに善子は不安を抱いていた

私はそれを知ったんだ、それならば私は…

理亞「大丈夫」ギュッ

善子「…え?」

私は、善子の手を握って、そして言った

理亞「私も、ついてる」

理亞「あなたの仲間は8人だけじゃない、遠く離れているけど、私だってあなたの仲間」

理亞「見えない所で悪口を言ってる人がいても、見えない所であなたを応援している人がいる、それを忘れないで」

善子「…」

ああ…

あの時なんで羨ましいって思ったのか、ここで分かった

善子は私を仲間と言ってくれた

でも、Aqoursのメンバーに向けて言った仲間とは何か違うと、そう感じていた

多分私は、仲間って言ってくれるだけじゃなくて

仲間として、頼って欲しかったんだ

善子「…ありがと」


おわり



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2018年5月26日
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