Aqoursで怪談大会!

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千歌-アイキャッチ14
―――千歌の部屋

千歌「始まりました!Aqours怪談大会!!司会は私、高海千歌が務めさせていただきます!ではでは、どんどん始めていきましょー!」



pixiv: Aqoursで怪談大会! by ヅラ○

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曜「ちょ、千歌ちゃん…もう少し静かにしないと美渡さんに怒られちゃうよ?」

梨子「そうだよ、千歌ちゃん?」

千歌「あ、うん…わかった。美渡ねぇうるさいもんね。…では声量を下げて…それではさっそく…」

ダイヤ「お待ちなさい。わたくしたちは千歌さんの歌詞が書き終わらないからと集められたはずではなかったですか?」

千歌「ギクッ…そ、それは…」

ダイヤ「それがなんで怪談大会になるんですか?まったく、あなたはいつも…」

鞠莉「ダイヤはやっぱりお堅いわねぇ…これくらいはいいんじゃない?だってこれ、絶対に面白いわよ!怪談大会なんて滅多にできないんだから、エンジョイしないなんて損よ!ね、ダイヤ?」

ダイヤ「鞠莉さんはお黙りなさい。それはあなたが楽しみたいだけではないですか!大体、夜更かしはスクールアイドルにとって…」

果南「ストップストップ!ダイヤ落ち着いて。これも歌詞のため、そうだよね?千歌?」

千歌「へ?…あぁ!勿論だよ!この怪談大会の経験を生かして歌詞をバリバリ書いちゃうよ!」

ダイヤ「怪談大会の経験を生かした歌詞なんて、絶対にブッブー!ですわ!適当なことを言うのはおやめなさい!」

ルビィ「ま、まぁまぁお姉ちゃん…千歌ちゃんを信じよう?それにお姉ちゃんも声が大きくて迷惑かけちゃうよ?」

ダイヤ「ハッ…!そうですね、わたくしとしたことが…」

善子「ま、たまにはこういうのもいいんじゃない?それに怪談大会なんて…クックックッ…ヨハネの堕天使としての力が…」

花丸「善子ちゃんは怖がりなんだから正直になるずら」

善子「怖がり違うわ!あとヨハネ!」

ルビィ「大丈夫だよ善子ちゃん。ルビィも怖いけど一緒に頑張ろうね?」

善子「だから怖がり違うって!あとヨハネよ!」

梨子「はいはい、ちょっと黙ってなさい」

善子「なによこの扱いは!」

ダイヤ「…で、千歌さん?怪談大会というのは、一体誰から話すのですか?」

鞠莉「結局ダイヤも乗り気じゃな~い!」

ダイヤ「鞠莉さんはお黙りなさい!」

千歌「順番か~…うーん…」

ダイヤ「であれば、わたくしが一番最初に話させて頂いてもよろしいでしょうか?」

果南「おー…珍しいね、ダイヤがこういう時に先陣を切っていくなんて。あんまり怖いのはやめてね?」

ダイヤ「最初というのは難しいでしょうから、三年生であるわたくしが率先してやるというだけの話ですわ。…そういえば果南さんは怖いものは苦手でしたのにこの怪談大会は反対しないのですね?」

果南「怖いものは苦手だけど…こういうのをやれるのも今しかないからね。これもひとつの経験かなって。…本当に怖すぎるのはやめてね?」

ダイヤ「ふふ…保証は出来ませんが至って普通の話ですから、きっと大丈夫ですわよ」

千歌「よし、じゃあ三年生、二年生、一年生の順番で話していこう!最初はダイヤさんで、そこからは学年内で決めるって感じで!では、どんどん行ってみましょー!」

ダイヤ「では、始めさせて頂きますね」



~第一話~「ストーカー」



これは半年ほど前の出来事ですわ。

生徒会の事務で学校に残り、一人で帰宅していた時のこと。

その帰り道でふと、背後に気配を感じたのです。

怪訝に思いながら背後を振り返ると、電柱に素早く隠れる影が見えました。

そこでわたくしは「ああ、これは不埒な輩も居るものですね…」と思い、少し遠回りをして途中で振り切ろうと考えたのです。

この時のわたくしは気がつきませんでした。

地の利は長らくこの地に住んできたわたくしにある…この考えが甘かったことに。

その時のわたくしは、背後の人物が男性であれば、たとえ走って逃げても追いつかれてしまうのは間違いないと考えましたわ。

これを恐れたわたくしは、気持ち早い程度の速度で歩きながら狭い路地を抜け、背後の人物がわたくしを見失うように仕向けました。

幸運にも背後の人物は速度を上げて走ってくることはなかったので、いきなり襲われる心配はないと多少の安心はありました。

しかしながら、どこまでも追いかけてくるのです。

どんなに狭い路地を通っても、角をどんなに曲がっても、背後には何かを感じるのです。

わたくしは焦っていましたわ。

いくら地の利があるとはいっても、ここまで追いかけられてしまっては、相手もこの地をある程度知っている人物であるのは間違いない。

それにどんなに遠回りしても限界はあります。

元々学校に残っていたことで日が落ち暗くなり始めていましたし、家にも近づいていましたから。

そこでわたくしは意を決して「やめてください」と言う事に決めましたわ。

こちらが真摯な態度をとれば相手も清く引いてくれるだろう、と思ったのです。

そしてわたくしは見通しの良い海沿いの道に出ました。

隠れる場所の少ない広い道路であれば、確実に背後の人物の姿を見ることが出来ますからね。

わたくしは足を止め背後の人物に向けて声をかけました。

「いい加減になさい。わたくしは既に気が付いていますわ。正直に出てくるのであれば不問に致しましょう」

そう言って振り返った時、わたくしは歩みを止めてその場で立ち止まったこと、遠回りをしてすぐに家に帰らなかったことをひどく後悔しました。

ゆらゆらと揺れる黒い不定形な体で、福笑いで作られたかのようなバラバラな顔。

暗い闇の中で、そんな何かが鋭く光る赤い瞳でわたくしのことをじっと見ていたのです。

それを見た瞬間、わたくしは走り出していましたわ。

本能で危険を感じ取ったのかもしれませんわね。

また、走り出したわたくしを背後にいたモノは追っては来ませんでした。

そして、この日以降に背後に同じ気配を感じたことは一度もないのです。

あれは一体何をしたかったのでしょうか?

何かを伝えたかった?それとも、何かを探していた?

真実は闇の中…ですわね。

皆さんも、背後の気配にはお気をつけくださいまし。

そこには何が居るのかわかりませんから…ね。



~第一話~「ストーカー」 了



ダイヤ「こんなものですわね。どうでしたか…って、果南さん?」

果南「怖すぎるのはやめてって言ったじゃん…!ダイヤぁ…」

鞠莉「もう、怖くて抱きつくのはいいけど痛いわよ果南!」

果南「あ、ごめん…」

花丸「善子ちゃんも震えてるのバレてるずらよ」

善子「ふ、震えてないわ!あとヨハネ!そしてヨハネにはこの程度だ、大丈夫、よ…?」

ルビィ「善子ちゃん手、繋ごうか?」

善子「ヨハネよ!で、それは…お願いします…」

ルビィ「それにしても、お姉ちゃんが急いで帰ってきた日があったのはよく覚えてるな。あれだけ急いで家に帰ってきたお姉ちゃんは見たことなかったもん」

ダイヤ「あの時はとにかく焦っていましたからね。形振り構わず走ったせいで息も絶え絶えでしたわ」

鞠莉「ダイヤが走って帰ってくるなんてそうそうなさそうだものね。見たら絶対忘れないこと間違いなしね!私も見てみたかったわ~!」

ダイヤ「鞠莉さんはお黙りなさい!」

鞠莉「オゥ、ソーリー!じゃ、次の二年生は誰が話すのかなー?」

千歌「いやぁ、予想を超えてきたから次は緊張するねぇ…」

曜「どうしようか?じゃんけんでもする?千歌ちゃん、梨子ちゃん」

梨子「うーん…なら私が先に話してもいいかな?むしろダイヤさんの後だからちょうどいいかなって。あんまり話すのに自信ないから…」

曜「なら、梨子ちゃんにお願いしようか。いいかな、千歌ちゃん?」

千歌「よし、じゃあ梨子ちゃん次お願い!」

梨子「わかった。じゃあ、始めるね」



~第二話~「ノイズ」



夏休みが終わる頃の出来事でした。

私は普段から時間があればピアノに触れてるんだけど、調子が良いときはその音を録音してるの。

歌詞を考える時にメモを取るのと同じで、良いメロディーを録音して次の作曲に生かす為にね。

その日もなんとなく思いついたメロディーを録音してたの。

三十分くらい弾いてたのかな?一旦休憩を挟むために録音を止めて音源の確認をし始めたんだ。

そして、その音源を聞いていた時に違和感を覚えたのがきっかけだった。

録音した音源に何か小さいノイズのようなものがずっと流れていたの。

普段から録音した音源に多少なりともノイズが混ざっているのは自然なことなんだけど、この音源のノイズは何故かとても気になってしまって…。

よく耳を澄ませてそのノイズの音を聴いたの。

するとわかったのは、そのノイズは音ではなく声だということ。

人の声が何か言葉を呟いているっていうところまではわかったけれど、何を言っているのかまではわからない。

ただ、この時点でおかしいことだとは思わない?

人の声が録音中に混ざることはあるかもしれない。

実際、千歌ちゃんの声が録音した音源に混ざって聞こえたこともある。

でも、この音源は三十分もある。

つまりこのノイズの正体である声の人物は、三十分間も声を出し続けていたことになる。

どう考えても普通じゃない。

この時点で私は身を引くべきだったんだと思う。

ただ、調子良くピアノを弾けていたこともあってテンションの上がっていた私はその声に耳を傾けてしまった。

恐怖心よりも好奇心が勝ってしまったわけね。

それで、私はその音源の音量を最大にして流してみたの。

そうしたら声の正体はハッキリと聞こえたわ。

そして同時に後悔したわ。

やっぱり、この音源には関わらないですぐに消したほうがよかったってね。

女性の声がずっと呟いてたの。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

泣きながら急いでその音源を消したわ。

みんなも好奇心に負けて不思議なことに首をつっこむのはダメだよ。

そして、街を歩いていたりする時に不思議な音を見つけても気にしすぎないこと。

もしかしたらその音の正体は音ではない、誰かの声かもしれないのだから…。



~第二話~「ピアノ」 了



果南「うわあああああ!!!」

鞠莉「ちょっと!痛いから!ギブよギブ!果南!!!」

果南「あ、ごめん…」

ダイヤ「まったく果南さんは…。それにしても、不思議な体験でしたわね。好奇心は猫をも殺す、と言いますから、引き際が重要だということでしょう」

梨子「そうですね…。今でも録音はしてるんですけど、あまり深くまでは聴かないようにしてます。また何かが聴こえてきて、それを聴いてしまったら…。次はどうなるかわかりませんからね」

果南「ひ、ひぃぃぃぃぃ…」

鞠莉「だから痛いわよ!」

果南「あ、ごめん…」

曜「そんな大変なことが梨子ちゃんに起きてたなんてね」

梨子「うん…本当に好奇心には気をつけないとなって思ったよ」

千歌「うんうん!みんな気をつけてね!」

曜「いや、多分千歌ちゃんが一番気をつけないといけないと思うよ…」

千歌「え?」

梨子「うん、それはね…」

千歌「ええ!?」

ダイヤ「全会一致という奴ですわ。では、次の一年生に順番を回しましょうか」

千歌「え?あれ?なんだかさっきから私司会進行できてなくない?」

梨子「大丈夫、大丈夫だから」

千歌「え、えええ~…」

花丸「じゃあ、順番はどう決めるずら?」

ルビィ「どうしようか?じゃんけんでもしてみる?」

善子「クックック…一年生のスタートはこのヨハネが担当させてもらうわ!」

ルビィ「え?大丈夫なの善子ちゃん?」

善子「ええ、私から話させてもらってもいいかしら?あとヨハネよっ!」

ルビィ「じゃあお願いしちゃおうかな?大丈夫?花丸ちゃん」

花丸「うん、大丈夫だよルビィちゃん。善子ちゃん、お願いするずら」

善子「ええ、任せて!あとヨハネよっ!…じゃあ、始めるわよ」



~第三話~「生放送」



これはいつ頃の出来事だったかしら…。

蝉が鳴き始めて蒸し暑かったのを覚えてるから、多分それくらいの時期ね。

練習が終わって帰ってきてから、毎週の定期放送をしていた時のことよ。

その日の放送では、珍しく視聴者からの凸待ち放送をしていたの。

凸待ちっていうのは、簡単に言えば電話がかかってくるのを待つってことね。

で、私はそこで凸して来た人の悩みを聞いて解決していたわ。

ただ、時間の関係上全ての悩みを聞くのは不可能よね。

だから私は放送の開始時に「五人まで」という制限をかけたわ。

リトルデーモン達には可哀想だったけれど…時間は有限だもの。

そうして始まった凸待ち放送。

私は様々な悩みを華麗に解決していき、とうとう五人目になったの。

五人目は女性だったわ。

その人の悩みは、想い人にこの想いを伝えたいけれど、どうしたらいいのかわからない…とのことだった。

私はこう答えたわ。

「クックックッ…堕天使ヨハネがリトルデーモンに答えを授けるわ…!簡単なことよ!まず第一にその人に会いに行くこと!」

「そして次にその想いを言葉にすることよ!この二つが出来ればきっとあなたの恋も間違いなしよ!応援してるわね」

これを聞いた後、女性はこう言って通話が切れたわ。

「やはりそれが一番ですわね。これからはあの方と会ったときの為に…想いを伝える練習をしておきますわ」

そして通話が切れた後、私は満足げに「今日もリトルデーモンを導いてしまったわ…」と放送の終わりの挨拶を始めたわ。

すると、六人目から凸の通話が来たのよ。

私は既に五人目の相談を終えたわけだから、「本日の凸待ち人数は五人までと言ったはずです…今日の凸待ちは終了するわ」と、こうリトルデーモン達に伝えたの。

ここからが不思議な話よ。

流れてきたコメントではこういう風に言われたわ。

「ヨハネ様、先ほどから放送が止まっていたのでまだ四人しか悩みを聞いていただいておりません」

「先ほどからヨハネ様の声が消えて、今復活したばかりですが…」

「コメントも流れなくなったので、ヨハネ様に何かあったのではないかと心配しておりました…」

おかしな話よね?私は間違いなくこの耳で五人目の悩みを聞いたわ。

でも、リトルデーモン達が嘘をついているわけではないのよ。

放送後にアーカイブが残るから、私自身で確認したんだけど…。

その五人目の相談を聞いていた数分間、音声もコメントも画面も何もかもが止まっていたわ。

一体、あの女性は何者だったんでしょうね。

ただ、彼女もリトルデーモンの一員だから…。

詳しいことはわからないけれど、彼女の願いが成就しますように…ってところかしら。

じゃあ、私の話を終わらせてもらうわ。



~第三話~「生放送」 了



ルビィ「とっても不思議な話だね…その女の人はどうなったんだろう?」

善子「さあ、わからないわね。その放送以降、その人から凸が来ることはなかったから」

ルビィ「そうなんだ…うーん…」

花丸「…」

ルビィ「…?どうしたの花丸ちゃん?」

花丸「いや、なんでもないずら。二回目の凸…?がないって、善子ちゃんのリトルデーモンにも薄情な人が居たものだなぁって」

善子「それは違うわ!みんないい人達よ!た、たまにおかしな言動をしてる人は居たりするけど…」

梨子「おかしな言動をしてるのは自分じゃないの?」

善子「なっ!リリー!?」

梨子「リリーとか呼ばないの!…まったく…」

千歌「ははは!いやぁ、盛り上がってますなぁ…」

曜「そうだね!いろんな話が聞けて面白いよ。それで、次は誰が話すのかな?」

ダイヤ「そうですわね、鞠莉さんか果南さんですが…って、果南さん?」

鞠莉「果南なら話の途中で倒れてたわ…ほら、起きて!果南!」

果南「へっ!?え、私倒れてた…?」

ダイヤ「はぁぁぁ…もう、次は果南さんがお話しなさい。そうしたほうがずっと倒れていられて安心でしょう」

果南「え…?あ、ああ…そうかもしれないね…」

鞠莉「じゃあ、次は果南ね?ファイトよ、果南!」

果南「あ、うん…怖いかはわからないけど…話すね?」



~第四話~「海沿いにて」



私はいつも日課として朝ランニングをしてるんだけど…って、みんな知ってるか。

その日は海沿いを走ってたの。

海の近くって暑い日でも涼しい風が吹くから朝走るとちょうど良いんだ。

それで、家を出て十五分くらい走ってたんだけど…前方でダイヤが走ってたんだよ。

あれ?って最初は思ったよ。

普段から走ってるけど、ダイヤに会ったことは一度もないしね。

でも髪型も一緒だし、運動用のウェアも一緒だからダイヤだなって思ってさ。

それで、こんな時間に珍しいなーって思いながら後ろから声をかけたの。

「おーい!ダイヤー!おーい!」

って感じでね。

でも、反応がないんだ。

だからもう一回声をかけたの。

「おーい!ダーイーヤー!」

また反応はなくて。

まあその時は、割と距離があるから聞こえないのも仕方がないのかなーって思ってたよ。

それでもって、仕方がないからペースを上げて追いついて横に並んだんだけど…びっくりしたよ。

ダイヤの顔がないんだ。

いや、正確にはないわけじゃなくて、口だけしかないんだよ。

私驚いたせいか腰が抜けちゃってさ。

その場で倒れちゃったんだ。

その瞬間、走って行ったダイヤが止まったと思ったら方向転換して、私の目の前まで来て言ったの。

「どうしましたか?果南さん?私がどうかいたしましたか?」

私パニックでさ、何も答えられなくて口をパクパクしてるだけだったよ。

そしたら、またダイヤが喋りだしてさ。

「ああ、もしかして…嫌ですわ、顔が足りてないではないですか。これでは、驚かせてしまうのも仕方がありませんね。気をつけませんと。では、失礼して」

そう言ってポケットから何かを取り出したと思ったら、ダイヤの手には鼻が握られてたんだ。

「少々お待ちくださいまし。今から直しますわ。…あ、もしよろしければお手伝いをお願いします。ほら、この鼻からお願いしますわ」

「ほら、早くお願いしますわ。ほら、早く、早く、早く」

「どうしたのですか?早くお願いします。ほら、ほらほら」

私が答えられないのをいいことに、捲くし立てるかのようにダイヤが話しかけてくるの。

私もう我慢できなくてさ、大声で叫んだんだよ。

「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

ってね。

それで気がついた時にはベッドの上だった。

つまり…悪夢ってやつ?

夏とはいえあれだけ寝汗をかいたのは初めてだったかも。

ただの夢で本当に良かったよ。

じゃ、これで私の話はおしまい。



~第四話~「海沿いにて」 了



ダイヤ「果南さん…?あなたはわたくしを一体なんだとお思いなのですか…?」

果南「い、いや夢なんだから仕方ないでしょ…?そんな怒らないで?」

鞠莉「そうデース!お堅いダイヤにはそれくらいファニーな特技があったほうが面白いわ!ちょっと今外したりとか出来ないの?」

ダイヤ「そんなことを人間が出来るわけがないでしょう!」

ルビィ「で、でも夢でよかったね果南ちゃん?」

果南「いや、本当に夢でよかったよ。まぁ次にダイヤに会ったときはビクビクしてたけどさ」

善子「夢は夢でしょ?」

果南「そりゃ勿論わかってるけどさ…」

千歌「それにしても結局夢オチってどうなのさ果南ちゃん!」

果南「許してよ…怖い経験なんてそうそうないもん。ま、今までの話を聞いてからだと、こんな話が一つくらいあっても良いんじゃない?」

千歌「えー?…そうかなぁ?」

曜「はは…仕方ないよ千歌ちゃん。私は十分怖かったと思うよ?」

梨子「そうね。いい怖さでしたよ、果南さん」

果南「ふふ、ありがとう、二人とも」

千歌「うーん…ま、いいか。じゃあ、次の二年生へ…」

美渡「おいバカ千歌!さっきからうるさいよ!志満ねぇにも怒られるよ?」

千歌「げえっ、美渡ねぇ!?」

美渡「まったくもう…」

ダイヤ「それは大変申し訳ございませんでした。もう少し静かにいたしますわ。そうですね、千歌さん?」

千歌「はーい…」

美渡「ま、ならいいわ。それじゃ、邪魔しちゃってごめんなさいね」

ダイヤ「いえ、大丈夫ですわ。こちらこそ申し訳ございませんでした」

曜「いやー…怒られちゃったね。どうする?やめる?千歌ちゃん?」

千歌「やめない!声の音量を下げて続けてこう」

ダイヤ「まったく…千歌さんはこう言い出したら絶対に諦めませんものね」

曜「なら次の順番は二年生だから私か千歌ちゃんになるけど…どうしようか?」

千歌「それなら私が先に話しちゃってもいいかな?なんかみんなの聞いてたらウズウズしちゃって」

曜「うん、別に私は大丈夫だよ」

千歌「よーし!じゃあ私が話すね!始めるよー!」



~第五話~「千歌は良い子」



最近ね、私よく褒められるの!

そりゃあ勿論普段の行いが良いからなんですけど…ってみんなその顔は何!?

まったく…!失礼しちゃうよ。

それでね、その褒められることなんだけど本当に先月くらいから増えててさ。

それはもう、前までとは全然違うの!

美渡ねぇや志満ねぇは勿論、お母さんにお父さん、お客さんにも褒められるんだ。

でもつい最近気がついちゃったんだよね。

褒められて嬉しいんだけどさ…。

実際、そんなに私褒められるようなことしてなくない?って。

例えば十千万での手伝いだって、するにはするけどAqoursの活動を始めてからは昔より頻度は落ちてるしね。

だからお客さんと会う機会は昔より少ないんだ。

でもさっきも言った通り、お客さんにも褒められるんだよ。

私不思議でさ、この前褒めてくれたお客さんに聞いてみたんだ。

「私のどこが良かったですか?」ってね。

そしたらそのお客さんはこう言ったんだ。

「一昨日、お昼を食べに行きたいんですけど良いお店はないですか?って聞いたときに、答えるだけじゃなくて案内してくれたのが嬉しかったです」

これを聞いたら、褒められてもおかしくないことしてるでしょ?

でも、おかしいんだよね。

一昨日はAqoursの練習が午前からあったから、私は絶対に十千万に居るわけがないんだ。

だから私はそのお客さんを案内なんかしてないんだよ。

その人は誰に案内してもらったんだろうね?

お客さんの勘違いなのかな?

ま、褒められるのは悪い気がしないから良いんだけどね。

別に悪いことをしてるわけじゃないし。

というわけで、こういうのは褒められ得ってことで気にしない!

それじゃ、これで千歌の話を終わるね。



~第五話~「千歌は良い子」 了



ダイヤ「不思議なこともあるものですね…」

千歌「そうだなぁ…あのお客さんは美渡ねぇと私を間違えたりしたのかな?」

ダイヤ「いえ、そうではなく」

千歌「へ?」

ダイヤ「千歌さんがそんなに人に褒められることをするなんて…」

千歌「えっ!?そこ!?」

梨子「私にも作詞を早く終わらせて偉いって千歌ちゃんを褒めさせてもらえないかな?」

千歌「いや、あの、それは…善処します…」

梨子「はぁ…」

果南「それにしても褒められるか~…最近ないなぁ…」

鞠莉「あら、果南褒められたいの?私はいつでも褒めてあげるわよ?」

果南「いや、そういうのじゃないから…」

鞠莉「もう…いけずね、果南ったら~!」

善子「まーた始まったわよあの二人は…で、次一年生でしょ?どうするの?」

ルビィ「うーん…どうしようかな?花丸ちゃん?」

花丸「………」

ルビィ「花丸ちゃん?」

花丸「あ、ごめん。考え事してたずら。次は一年生だからマルかルビィちゃんだよね」

ルビィ「そうなんだけど…私が話してもいいかな?」

花丸「いいずらよ。マルも色々考えたいことがあるから」

ルビィ「わかった、ありがとう花丸ちゃん」

曜「それじゃ、次はルビィちゃんが話すってことでいいのかな?」

ルビィ「うん、私が話すよ」

曜「頑張ってルビィちゃん!楽しみにしてるよ」

ルビィ「ありがとう曜ちゃん!それじゃ、始めるね?」



~第六話~「おまじない」



これはルビィが酷い熱を出して寝込んだ時の話です。

厳しい残暑が続いている中でのことだったから、本当に辛かったのを覚えています。

それで、今日話すのはその日の不思議な夢についてなんです。

その夢ではルビィは子供の頃の姿で、同じく子供の頃の姿のお姉ちゃんを追いかけて走っていました。

昔はこうやってお姉ちゃんと走ることが本当に楽しかったのをよく覚えています。

勿論ルビィはお姉ちゃんに追い付けないんですけど…いつもお姉ちゃんは途中で止まってくれるんです。

そしてルビィがお姉ちゃんに追い付くと、こう優しく言ってくれます。

「よく追い付けましたわね。偉いですよ、ルビィ」

ルビィはいつもそれが嬉しくて…頑張って走っていました。

でも、その夢ではお姉ちゃんはまったく止まってくれなくて…ずっと走っているんです。

ルビィとお姉ちゃんの距離は遠退くばかりでした。

そのまま走り続けて、どれくらい走ったかわからなくなった頃…とうとうルビィは立ち止まって泣き始めてしまいました。

「お姉ちゃん…お姉ちゃん…」

お姉ちゃんに置いていかれた寂しさや悲しさ、追いつけなかった悔しさだとか…色々なものが溢れてしまったからだと思います。

すると、前にいたはずのお姉ちゃんがルビィの前まで走ってきてこう言ってくれました。

「ルビィ、大丈夫ですか?泣かないで」

でも、そう言われてもルビィは泣き止まなくて…お姉ちゃんも困った顔になってたと思います。

「そうですわ!」

お姉ちゃんが突然何かを閃いたかと思うと、ルビィの頬にキスをしてくれました。

「これはおまじないですわ。これで私達はずっと一緒です。離れることはありません」

ルビィが目をぱちくりさせていると、お姉ちゃんがさらに言いました。

「これで大丈夫です。もう安心です」

その言葉を聞いた瞬間、ルビィは目覚めました。

そして、何故か今までの熱が嘘だったかのように体が軽くなっていました。

わけもわからず周りを見渡すと、隣で座ったまま壁に寄りかかってお姉ちゃんが寝ていました。

それで、ルビィは思いました。

これはきっとお姉ちゃんが助けてくれたんだ…って。

ルビィが大変だと夢にまで出て来て助けてくれるなんて。

お姉ちゃんはやっぱり凄いなって思ったよ。

って、これじゃ怖い話じゃないかな?

えへへ…とりあえずこれでルビィの話は終わるね?



~第六話~「おまじない」 了



ダイヤ「あの時は本当にルビィが心配で…看病していた最中に寝てしまったのですわ。ふふふ…まさか夢に出ていたなんて思いもしませんでしたが」

ルビィ「えへへ…ありがとう、お姉ちゃん!」

果南「いやー…良い話だとは思うけど…」

鞠莉「それにしても…ねぇ?」

ダイヤ「?なんですか?鞠莉さん?」

鞠莉「妹の頬にキスってどうなのさ、ダイヤ?」

ダイヤ「えっ…?」

果南「いや、そんな顔されても…」

曜「もしかしてダイヤさんってシスコンじゃ…?」

梨子「それ以上はいけないわ」

千歌「?曜ちゃんそれ何?」

曜「あ、千歌ちゃんシスコンっていうのはね?」

梨子「それ以上はダメ!曜ちゃんも説明したらダメ!」

ダイヤ「まったく!皆さんお忘れのようですが、これはあくまでもルビィの夢の話です!わたくしが実際にやったわけではありませんわ!」

ルビィ「そうだよ!実際のお姉ちゃんは頬じゃなくておでこにキスしてくれたもん!」

花丸「あぁっ…それは…」

善子「あーあ…ダイヤが頭を抱え込んじゃったわ…」

鞠莉「さて、ダイヤがシスコンなのは置いておいて…次は私の番ね」

ダイヤ「誰がシスコンですか!」

鞠莉「オゥ!あんまりアングリーしないで?じゃ、始めるわよ~!」



~第七話~「夕日に照らされて」



これは二年前、ダイヤと果南と私がスクールアイドルを始めたばかりの頃よ。

私達は新曲のMVを撮影するために、地元を色々と歩き回っていたの。

どこかいい場所はないかな?ってね。

それで、歩き回っているうちに日が暮れてきちゃってさ…そろそろ帰ろうかなって話をしていたのよ。

でも私が「夕日に照らされた海辺の道なんて素敵に違いないわ!」って言って…二人を連れて強引に海辺の広い道に出たの。

景色はとても綺麗だったわ。

夕日に染まる空と、それを反射して輝く海の眩しさは今でも忘れられないもの。

「やっぱりいいじゃない!どうよ、果南、ダイヤ?」

それを見た私がしたり顔でこう言うと、二人も喜んでいてくれたわ。

ただ、夕日が見えるってことはもうそろそろダイヤの門限が近いってことになるから、急いで帰ろうって話になったのよ。

それで話しながら歩いてたんだけど…ふと振り返ったダイヤが立ち止まってこう言ったわ。

「な…なんなんですの…あれは…?」

私と果南も、つい不思議に思って振り返った。

そして私と果南の視線の先に居たものは…人の形をした何かだった。

これは絶対に触れちゃいけないものだって本能でわかったんでしょうね。

声もあげずに私達三人は走り出していたわ。

でも、今日一日歩き回っていた疲れからか…ダイヤが転んでしまったの。

「ダイヤ!」

私はそう名前を叫ぶのが唯一出来たことで…足がすくんで他に何も出来なかったのを覚えてる。

そんな不甲斐ない私と違って、果南は走り出してダイヤの前に飛び出して化け物に向かってこう叫んだわ。

「ダイヤは絶対に渡すもんか!」

まるで正義のヒーローよね。

かっこよかったわよ、果南!

…それで、果南が飛び出した後なんだけど…その化け物が止まったのは一瞬だけだったわ。

そして、ダイヤと果南から視線を外したと思った一瞬の間に…私の目の前にその化け物が現れたの。

今度ばかりは果南も助けにこれないし、私も驚いて尻餅をついちゃって。

万事休すか…って時に、突然怒声が響いたの。

「そこで何をしている!」

その瞬間、目の前に居たはずの化け物が消えたわ。

「大丈夫か、君たち?」

尻餅をついていた私に、そのおじいさんは手を貸してくれたわ。

私達はすぐ感謝の気持ちを伝えたのだけれど…そのおじいさんはそっけない返事だったわね。

「いや、なんということはない。たまたま通りかかっただけのことよ。まあ、こんな化け物が居ては孫娘が心配だからな。それじゃほら、すぐ帰りな!」

…なんというか、ビッグスケールな人だったわ。

それで、言われた通りその日はすぐ自分の家に帰ったわ。

そしてそれ以降、私はその場所に行くことはなかったんだけど…。

後から聞いたら、どうやらそこは昔車の衝突事故があった場所らしくて…女子高校生が巻き込まれたらしいの。

犯人はすぐ逮捕されたけど、巻き込まれた女子高校生は即死。

車と電柱に挟まれて見るも無惨な姿になってしまったとのことよ。

…私は思うの。

あの化け物がもしその女の子なら…とても可哀想だって。

きっと彼女は生きたかったはずよ。

夢や希望もあったと思う。

だからね…私は彼女と変わる代わりに、少しでもそういう夢や希望を…輝きを見せてあげたいと思う。

それが…私に唯一出来る彼女への手向けだと思うから。

…それじゃ、これでマリーの話は終わりよ!



~第七話~「夕日に照らされて」 了



ルビィ「なんだか悲しいお話だね…」

善子「ええ…」

花丸「……」

鞠莉「ま、あの化け物の正体が本当にその女の子かどうかはわからないから。ダイヤの言葉を借りるなら、真実は闇の中…ってやつね」

ダイヤ「……そうですわね」

鞠莉「なんか難しい顔してるけど…どうかしたの?」

ダイヤ「…いえ、なんでもありません。それにしても、あの時のおじいさんは二度と忘れられませんわね」

果南「確かにあのおじいさんは凄かったね。もう一生忘れられないかも」

千歌「へ~…千歌も会ってみたいかも!」

曜「でも千歌ちゃん、同じようにお化けと会っちゃうかもよ?」

千歌「それはやだ!」

梨子「わがままね…」

千歌「あと、果南ちゃんはやっぱり凄いよ!本当にヒーローみたい!」

鞠莉「そうね!あの時の果南はヒーローそのものだったわ!」

果南「もう、そんなにヒーローとか言わないで…恥ずかしいし…」

鞠莉「え~?せっかく褒めてるのに~」

果南「まったくもう…じゃあ、もうそろそろ次行っちゃう?次、曜でしょ?」

曜「そうだね。私が二年生ラストか~…緊張しちゃうな」

梨子「ごめんね、私がわがまま言って最初に話しちゃったから」

曜「大丈夫!問題ないのであります!」

千歌「曜ちゃん頑張って!」

曜「ありがとう!それじゃ、話し始めるね!」



~第八話~「千歌ちゃん」



千歌ちゃん、だいぶ前のことなんだけど…覚えてるかな?

千歌ちゃんが私の家まで走ってきて練習に誘ってくれた…あの日のこと。

バスもない時間だったのにね。

本当に嬉しかったんだよ?千歌ちゃん!

…それでね、今日話すのはなんと…そんな千歌ちゃんのお話です!

いや、正確に言うと千歌ちゃんではないんだけどね?

つい最近…大体一ヶ月前くらい前かな?

晩御飯を食べた後自分の部屋で数学の宿題を解いてたんだけど、なんだか窓の外から声が聞こえたんだ。

「曜ちゃーん!曜ちゃーん!」

千歌ちゃんの声だった。

急いで窓から外を覗くと玄関の前にいる千歌ちゃんの姿が見えてね。

結構大きな声だったから急ぎの用事かな?と思ってさ。

だから窓を開けて私も手を振って千歌ちゃんのことを呼んだの。

「千歌ちゃん!今日はどうしたの?」

「曜ちゃーん!曜ちゃーん!」

でも、千歌ちゃんはずっと私の名前を呼んでるだけで反応してくれなくて。

おかしいな?って思って直接会いに行くことにしたの。

「今行くからちょっと待っててね千歌ちゃん!」

「曜ちゃーん!曜ちゃーん!」

それで急いで階段を下りて玄関まで行ったらお母さんに声をかけられてさ。

どうしたの?ってね。

それで、千歌ちゃんが今外から呼んでるから会いに行ってくるねって伝えたんだけど…。

お母さんがこう言うんだよ。

「そうなの?何も聞こえなかったけど」

え?って思ったよ。

だってこの話をしている今も私を呼ぶ千歌ちゃんの声が聞こえてるんだもん。

「曜ちゃーん!曜ちゃーん!」

っていうね。

「お母さん嘘でしょ?今も呼んでるじゃん」

「いや、何も聞こえないけど…」

「曜ちゃーん!曜ちゃーん!」

「ほら、今も聞こえてる!」

「だから聞こえないって…」

お母さんイタズラ好きみたいなところがあるからさ、これもからかってるのかな?と思ってね。

「もう、からかってるの?とりあえず行ってくるね!」

そう言って玄関の扉を開けたんだけど…。

開けた瞬間呼ぶ声が消えたんだ。

それで、外を見渡しても誰の姿もなくて。

あれ?って思って千歌ちゃんに電話したんだ。

…で、電話して千歌ちゃんが出たんだけど…。

今どこに居る?って聞いたら家に居るって言うの。

それ、今日ずっと?って聞いてもうん、って帰ってきて。

うーん…って思いながら電話を切って玄関を閉めたんだ。

そしたらその瞬間。

また声が聞こえたんだ。

「曜ちゃーん!」

今までで一番声は大きかったかな。

そしたらもう、怖くなっちゃって…。

急いで布団を被ってベッドに居たらなんと…!

…朝になってました。

それであーよかったーって思って昨日入り損ねたお風呂に入ってて気がついちゃったんだけどさ。

最後に聞こえた私を呼ぶ声。

あの声、よくよく考えたらさ…。

……私の真後ろから聞こえてたんだよ!

……。

……。

あれ、これでオチじゃだめだった?

一応、終わりです…。



~第八話~「千歌ちゃん」 了



曜「え、なんでみんな何も言わないの?ダメ…だった?」

千歌「いや、なんていうか、その…ねぇ?」

梨子「ええ…」

曜「?何?」

善子「あんたの話、怖すぎるのよ!馬鹿!」

曜「なっ!馬鹿とは何さ!怪談大会なんだから怖くて正解じゃん!」

善子「限度があるのよ!果南なんて気絶してるわよ!」

曜「えっ!?」

ダイヤ「そうですね、かなり早い段階で倒れていましたわ」

鞠莉「もうハグする気力もなかったのね…今回は痛くないわ」

果南「…ハッ!あれ?みんなどうしたの?」

曜「果南ちゃん…」

ルビィ「ル、ルビィは怖かったけど曜ちゃんのお話、良かったと思うよ!」

花丸「ルビィちゃん、このタイミングでのその言葉は同情になっちゃうずら…」

曜「なんというかその…ごめんなさい」

千歌「まーまー千歌も自分が出てきてビックリしちゃったけどさ、今の話良かったと思うよ?」

曜「千歌ちゃん…!」

千歌「でも限度があるからね?」

曜「はい…」

梨子「…じゃあ、もう次でラストになるわけね」

ルビィ「そうだね…!花丸ちゃん頑張ルビィだよ!」

花丸「うん!頑張って話してみるね!」

善子「ま、頑張りなさいよ!」

花丸「うん!じゃあ始めるずら!」



~第九話~「おばけ」



マルは昔からじいちゃんにこう言われて育てられてきたずら。

「おばけには絶対に関わっちゃいけない」

「声をかけられても絶対に無視しなきゃいけないし、視界に入ってもすぐに目をそらさないとダメだ」

これらは本当におばけに対して重要なことずら。

それを痛感した話を今日はするね。

ある日のことだったずら。

マルが学校から帰っていると、一人の女の子とすれ違ったんだ。

これだけなら普通なんだけど…違和感を覚えたんだ。

この女の子、何かがおかしいなって。

でも確かめようがないからそのまま歩いてたんだけど…。

「あの、すみません」

こう突然背後の女の子から話しかけられてね。

それでついついマルは振り返って答えちゃったんだ。

「どうかしましたか?」

ってね。

そうしたら背後には誰も居なくて。

マルはハッ…としたずら。

これは失敗したなって。

もしも女の子がおばけだったら、マルは声をかけられて返事をしてしまったことになるずら。

それはつまりじいちゃんとの約束を破ったことになるからね。

それでどうしようかなって思ってたんだけど…また背後から声をかけられたんだ。

「かわってください」

勿論無視したずら。

じいちゃんとの約束をまた破ったらどうなるかわからなかったからね。

それで歩き続けてたんだけど…。

普段なら五分も歩けば家が見えてくるのに、歩けど歩けど家が見えてこなかったんだ。

これはもう絶対おかしいと思って、じいちゃんの話を必死に思い出したずら。

「おばけと会話してしまったら?うーむ…その場合は基本的にはどうしようにもないな」

そう、基本的に解決策はないんだ。

マルじゃどうしようにもないずら。

でも、そういう時のためにじいちゃんは色々と用意してくれてたんだ!

それは、じいちゃんから預かったお守りと御札。

この二つを握り締めて、その場で目を瞑って立ち止まったずら。

でも、声は止まらず何度も聞こえてきたずら。

「かわってください」

「かわってください」

「かわってください」

消えて!って心の中で願っていたけど…結構長い時間だったと思うな。

何十回と聞いているうちに頭がおかしくなるかと思ったもん…。

それで、待ってるうちにだんだんと声が小さくなっていって聞こえなくなったんだ。

よし、大丈夫かな…?と思って目を開けると…。

「かわってください」

目の前には血まみれの女の子が居たずら。

思わず悲鳴を上げちゃったよ。

しかも腰が抜けてその場から震えて動けなくなっちゃって…。

そのまま頭を抱えながら目を瞑ってたんだ。

そしてどれくらいか時間が経ったかって時に肩を叩かれてね?

恐る恐る顔を上げたら…それはじいちゃんだったんだ。

辺りを見渡すとなんとそこは家の目の前で。

どうにかおばけから逃げることは出来たんだよね。

本当に良かったよ…。

で、その…。

……。

あー…。

なんというかつまり、その…。

みんなもおばけには気をつけようって感じずら!

…これで終わるね。



~第九話~「おばけ」 了


千歌「いやぁ…怖かったね」

曜「私のなんかよりも怖かったよ…」

善子「最後だけはちょっと残念だったけど、それもずら丸らしいわね」

花丸「もう、善子ちゃんそこは許して…」

善子「ヨハネよっ!まぁそれを差し引いても良かったわよ」

花丸「ふふっ…ありがとう!」

千歌「…よし!それでは本日の怪談大会はこれにて終了です!みんなお疲れ様ー!」

曜「いやー…長かったね。もう二時になっちゃったよ」

梨子「そうね…明日は練習もあるんだし、早く寝ましょう?」

ルビィ「ぅゅ…今までのお話を思い出して寝れないかも…」

善子「な、なら今日は特別に一緒に寝てあげても…いいのよ?」

花丸「強がる必要はないずらよ」

善子「強がってなんかないもん!」

花丸「うんうん、わかってるずらよ」

善子「ぐぬぬ…なんか納得いかない…」

鞠莉「さーて、じゃあ私も果南と一緒に寝ちゃおうかな?」

果南「えぇ…いいよ、別に…」

鞠莉「えぇ~!いいじゃない今日くらい!」

果南「いや、だから別に…」

鞠莉「かーなーんー!」

果南「あぁ、もう…仕方ないな…」

鞠莉「やった!なら決まりね!あ、なんならダイヤもどう?」

ダイヤ「……」

鞠莉「ダイヤ?」

ダイヤ「あ、すみません。わたくしは結構ですので、お二人でどうぞ」

鞠莉「むー…!この硬度10め!」

ダイヤ「誰が硬度10ですか!…はぁ…」

花丸「…ダイヤさんも色々と大変ずらね」

ダイヤ「本当に大変ですよ…。手のかかる友人を持つとお互い大変ですわね?」

花丸「ふふっ…ですね」

ダイヤ「……」

花丸「……」

ダイヤ「あの、花丸さん。これはもしかして…」

花丸「大丈夫ずら、ダイヤさん」

ダイヤ「!」

花丸「心配しなくていいずら。だってマルはお寺の孫娘だよ?」

ダイヤ「ですが…」

花丸「大丈夫!」

ダイヤ「いや、やはり花丸さん…」

千歌「ほら、もう電気消すよー」

鞠莉「オッケーよ!」

曜「みんなおやすみー!」

ダイヤ「あっ」

花丸「おやすみなさい、ダイヤさん」

ダイヤ「…おやすみさない」

花丸(……)



~第?話~「ケレナトイヨエン、ホセテシコ」



違和感を覚えたのは三話を終えた時点だった。

でも、その時点じゃ何がひっかかっているのか自分自身わからなかった。

確証を得たのはその直後の果南ちゃんの話と、鞠莉ちゃんの話。

マルはこういうことをやる時点で気をつけてたつもりだったけど…。

果南ちゃんの話の時はさすがに驚いたずら。

あそこまでくっきりと形となって現れるとは思ってもいなかったから…。

でも大丈夫…!

こんな時のためにじいちゃんからお守りと御札を預かってきたんだもん。

常に持ち歩けとは言われていたけど…今日も持っていて良かったずら。

きっと明日の朝まで耐えてじいちゃんのところへすぐ向かえば大丈夫。

お願い、じいちゃん…。

このお守りと御札で…マルに勇気と力をください。

マルは…まだみんなと居たいもん!

お願い、お願いします…!

朝までの辛抱だから…!マルは絶対に負けたくない!



~第?話~「ケレナトイヨエン、ホセテシコ」 了



~エピローグ~「夜明け」



千歌「う~ん…あれ、もう朝…?」

曜「おはよう千歌ちゃん!」

千歌「あー…おはよう…」

果南「いやこれはもうおそようだよ、千歌」

千歌「へ?」

ダイヤ「他の人はとっくに起きていますわよ。あなたが一番最後です」

千歌「え~!みんな早いねぇ…」

梨子「声をかけてもまったく起きなかったんだよ?」

善子「まったく、ダメダメね」

梨子「自分も今さっき起きたばかりの癖に何言ってるんだか…」

鞠莉「じゃあ、みんな揃ったことだし朝御飯にしない?」

ルビィ「そうだね。千歌ちゃん、ルビィも作るなら手伝うよ?」

千歌「ありがとう!じゃあ、志満ねぇにキッチン使わせてもらえるか聞いてくるね!」

ダイヤ「起きたばかりなのに随分と忙しい人ですわね…」

梨子「ふふ…」

曜「はは…とりあえず、千歌ちゃんを追いかけようか?」

ダイヤ「ええ、そうですわね。行きましょうか」

善子「あ、ちょっと待ちなさいよ!」

ルビィ「善子ちゃん待ってー!花丸ちゃんも行こう?」

花丸「……」

ルビィ「花丸ちゃん?」

花丸「……うん、行こうか」

ルビィ「うん!…って、それ何持ってるの?」

花丸「ん?…ああ、なんでもないずら。もうマルには必要のないものだから。捨てたらすぐ行くよ」

ルビィ「そっか…。じゃあ、ゆっくり歩いてるね」

花丸「うん、ごめんね」

花丸「……」



―――高海家、リビング。

志満「あら、朝御飯かしら?」

千歌「うん、そうだよ。キッチン使える?」

志満「大丈夫よ。私も手伝おうか?」

千歌「ううん、大丈夫!みんなで準備したいから!」

志満「ふふふ…そっか」

美渡「はぁ…」

志満「あら、おはよう。まだ寝ててもよかったんじゃない?」

美渡「いやー…私もそのつもりだったんだけどね…。いつも起きてるからどうしても起きちゃうっていうか」

志満「大変ねぇ…ついさっき帰ってきたばかりなのにまた仕事でしょ?」

美渡「うん…。でも仕方ないよ。今が頑張り時だからさ」

志満「無理はしないようにね?倒れたら元も子もないんだから」

美渡「勿論!適度に休憩しながら仕事してくるよ」

千歌「…?ちょっと待って?美渡ねぇ昨日私の部屋に来たじゃん!」

美渡「はぁ?私が仕事から帰ってきたのはついさっきだしありえないんだけど?」

千歌「そんなわけないよ!千歌、絶対に美渡ねぇ見たもん!」

美渡「いや、絶対に私じゃないから。じゃ、もう出なきゃだから。いってきまーす!」

千歌「ちょっと!待って!」

美渡「待たないわよ!じゃあね!」

千歌「えぇ…?志満ねぇ、美渡ねぇの話本当?」

志満「ええ、本当よ。どうかしたの?」

千歌「ってことはあの美渡ねぇは…おばけ?」

千歌「……」

千歌「おばけが出たあああああああああ!?!?!?!?!?!?!?」



―――千歌の部屋。

花丸「……」

花丸「ふふふ…」


~Aqoursで怪談大会!~ 了
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2018年5月26日
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