善子「苦手の理由」

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善子-アイキャッチ37


果南「ほら、善子。こっち来なよー」

善子「私は、良いわよ」

果南「ええ、せっかく海に来たんだから。ほらほら」グイグイ

善子「ちょ、ちょっと……わぁ」ザブーン

果南「あはは……大丈夫?」

善子「もーう、果南ってば! このっ。このっ」バシャバシャ

果南「お、やったな」

果南「だったらこっちも!」バシャバシャ

善子(浦の星女学院三年生、松浦果南。私はこの人が苦手だった)

善子(えっ? どうして苦手な人と海にいるのかですって)

善子(それにはね、とても深い理由があるのよ)



pixiv: 善子「苦手の理由」 by あめのあいまに。

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果南「ほら、善子ー。遅れてるよ」

善子「ひっ、ひ……もう無理ぃ」クター

果南「そんなんじゃライブで最後まで踊りきれないよ」

果南「私も付き合ってあげるから、もうちょっと頑張ろ?」

善子「果南さんとは基礎体力が違うから……」

果南「それをつけるための特訓でしょ」

善子「そうだけど、でも……」

果南「……分かった。やめよっか」

善子「え、いいの?」

果南「うん。だって、私が間違ってたよ」

果南「善子ってプライドは高いけど、それは自分への自信と、けして諦めない不屈の精神に裏打ちされてるんだと、そう思ってた」

果南「でも違ったみたいだね。ヨハネだなんだって言っても、善子もか弱い女子高生だもんね」

果南「残念だなあ。私、善子ってもっと骨のある子だと思ってたのに」

善子(なっ、言わせておけばこの人は)

善子(ヨハネをそこらにいる人たちと一緒にしてもらっちゃ困るわ)

善子「そこまで言われて黙ってはおけないわ」

善子「良いでしょう。ヨハネの本気、見せてあげる」

果南「本当? それじゃ、この先の海岸まで全力ダッシュ!」ダッ

果南「私より五分以上遅れたらもう一本追加だからねー」

善子「ちょっと、待ちなさいよー」

善子(はっ、しまった。完全に果南さんに乗せられてしまった)

善子(やるわね、果南さん。このヨハネを術中にはめるだなんて)

善子「って、もう見えなくなってるし」

善子「もう一本追加なんてされたら本当に死んじゃう。急がないとっ」



善子「……」ゼェハァ

果南「お疲れー、善子」

善子(もう、駄目……堕天しそう)コヒュー

善子(果南さんに付き合ってたら、いくら体があっても足りないわ)フヒュー

果南「あはは、ちょっと飛ばしすぎちゃったかな」

果南「でも、偉いね。ちゃんとついてこれたじゃん。はいこれ」ピトッ

善子「ひゃふん! 冷たっ……な、なに」

果南「ラムネだよ。ご褒美に一本あげる」

善子「ありがとう……」プシュ

善子「んくっ……ふぅ、おいしい」

果南「そう? 良かった」ストン

果南「はあ、私も一休みしよう」プシュ

果南「……あぁ、最高。やっぱ夏といえばラムネだよね」エヘヘ

善子(なによ……馬鹿みたいに締まりのない顔しちゃって)

善子(本当、子供みたいな人なんだから)

果南「ね、善子。また今度さ、こうやって一緒に特訓しようよ」

果南「体を動かすのって、健康にも良いし。私もたまには誰かと一緒にやりたいしさ」

果南「……もし善子が、嫌じゃなかったらだけど」

善子(普段はマイペースなくせに、こういう時だけ不安そうにしないでよ)

善子「……つに」

果南「え? なに」

善子「別に、良いわよ。それくらい」

善子「付き合ってあげるって、言ってんの」

果南「本当!? やったー! 善子、大好き」ハグッ

善子「もー、暑いんだから離れなさいよ」

果南「もうちょっとだけ、もうちょっとだけこうしてたい!」

善子「いーやー!」

善子(ヨハネはもっと、孤高で、不遜で、絶対不可侵な存在のはずなのに)

善子(この人といると、そんな自分を保てなくなる)



果南「ワン・ツー・スリー・フォー、ワン・ツー・スリー・フォー」

果南「はいっ、ストップ! そこまで」

果南「皆お疲れ。初めの頃に比べたら、動きも大分良くなってきたね」

果南「特に善子、見違えたよ」

善子「ふっ、ヨハネにかかればこのくらい造作もないことよ」

ルビィ「流石善子ちゃん!」

花丸「むむむ、マルも頑張らないと……」

果南「いやいや、マルだって十分頑張ってるよ。だから無理しない程度に、ね」

花丸「うん。果南ちゃんがそういうなら」

果南「さっ、帰るの遅くなっちゃうし、部室に戻ろうか」



曜「善子ちゃーん。そろそろ帰るであります」

曜「って、まだ着替えてなかったの」

善子「ごめん。ちょっとボーっとしてて」

曜「ええ、バス来ちゃうよ。早く早く」

善子「あっ、私ったら教室に忘れ物しちゃったんだった。悪いけど先行ってて」

曜「そうなの? でも、大丈夫? これ逃したら、次のバスまで大分時間あるけど」

善子「平気よ。最悪、儀式とかして時間潰すから」

曜「そっか。でも出来たら同じバスで帰ろうねー」バイバイ

善子「ええ」フリフリ

善子「……」

善子「さて、っと」キョロキョロ

善子「誰もいないわね。よし」

善子「この時間になると、いつも騒がしい校舎も寂しいもんね」テクテク

善子「はあ、屋上はこの時間でも暑いわね」ガチャ

善子「日陰にスマートフォンをセットして、っと」

善子「録画開始。立ち位置はこの辺かしら」

善子「サビ終わりから間奏のステップとリズムが怪しいのよねえ」

善子「うーん、録画と音楽再生が同時にできれば良いのに」

果南「それじゃあ、私が自分のスマフォで撮っておいてあげようか」

善子「本当? 助かるわ……」

善子「って、果南さん!?」

果南「やっほ」

善子「どどど、どうしてここに」

果南「いや、曜から善子のこと頼むって言われちゃってさ」

果南「教室覗いてもいなかったから、なんとなくここかなって」

善子(もしかしてエスパーなのかしら)

果南「水臭いなあ。言ってくれれば練習くらい付き合うのに」

善子「別に……私はちょっと屋上で儀式の様子を撮影しようと思っただけよ」

果南「ふふっ、素直じゃないね」

果南「私はさ、善子のことそんなに知らないけど」

果南「でも、やるからには妥協しないで、誰よりも熱心に努力してること、知ってるよ」

果南「だから私に、その手助けをさせてほしいな」

善子「果南さん……はあ、しょうがないわね」

善子「そこまで言うなら、特別にヨハネの儀式を手伝わせてあげる」

果南「あっ、その設定は続くんだ」

善子「設定言うな! でも、これは二人だけの秘密よ。もし他人に漏らしたら、きっと恐ろしい呪いが降りかかるでしょう」

果南「の、呪い!? もう、絶対言わないから冗談はよしてよ」

果南「そうそう。私のこと、わざわざさん付けで呼ばなくても良いよ」

果南「千歌や曜みたいに、もっとフレンドリーに接してくれて構わないから」

善子「そう? でも、千歌たちとは幼馴染なわけでしょ。年季が違うわけだし」

果南「もう。時間の長さなんて関係ないよ。だって私たち、もう十分強い絆で結ばれてる、でしょ?」

善子「……っ」フイッ

善子(よくもまあ涼しい顔で、そんな恥ずかしいことを言えるわね)

善子(聞いてるこっちの顔が熱くなっちゃう)

善子(まあでも)

善子「分かったわ、果南。ここはいう通りにしてあげる」

善子「これから、改めてよろしくね。その、練習も……」スッ

果南「うん、こっちこそよろしく!」ギュッ

善子(この人に言われると、なんとなく流されてしまうのは、不思議よね)

善子(きっと果南って、前世は凄い魔法使いだったに違いないわ)



果南「ねえ、善子」

善子「なに」

果南「私、もっと善子のことが知りたい」

善子「どうしたのよ、急に」

果南「いやさ、私って最近善子といることも増えて、千歌からも、最近果南ちゃんって善子ちゃんと仲良いよねー、なんて言われるようになったんだけど」

善子(えっ、そんな風に思われてるの。別に仲悪いわけじゃないけど、傍からそう見られてると思うと若干恥ずかしいわね)

果南「でも、それは良いんだけど。私、善子のこと全然知らないなって」

善子「うーん、プライベートとか趣味のこととか? でも、別に良いんじゃないの」

果南「良くない! 私はもっと善子のこと理解して、もっと仲良くなりたいし」

善子(今日の果南はやけにしつこいわねえ。こうなったらもう、何を言っても無駄か)

善子「分かったわ」

果南「やった!」

善子「でも、そんなに面白いもんでもないから。その辺はあんまり期待しないようにしてよね」

果南「うんうん。大丈夫だって」ワクワク

善子(本当に分かってるのかしら)



果南「お待たせ、善子」

善子「全然待ってないわよ。まだ十分も前じゃない」

果南「あはは、善子とデートって思ったら、居ても立っても居られなくて」

善子「デ……そんなんじゃないでしょ、馬鹿」

果南「ああ、照れてる。可愛いなあ、善子は。それに善子だって、私より早く来てたじゃん」

果南「私と遊ぶのが、楽しみだったりしたのかなん?」

善子「べ、別に……私も今来たとこだから」

善子「さ、くだらない話は不要よ。今日はあなたを二度と戻れぬ混沌の魔道へと導く第一歩なんだから」

果南「お手柔らかに……」

善子「まあ別にとって食おうってわけじゃないから、そんな固くならなくて良いわよ」

善子「とりあえず最初は行きつけの魔道具店へ行きましょう」

果南「そんなとこ沼津にあるんだ」

善子「ええ、分かりにくい場所にひっそりと」

善子「ネットで買った方が手軽だし品揃えも良いんだけど、雰囲気があるから私は好きよ」

善子「まあ、他に客がいるとこ見たことないけど」

果南「それって、お店としてやっていけるのかなあ」

善子「わかんないけど。きっと通販とか副業とか、あるんじゃないかしら」

果南「ふぅん」

善子「さ、ここよ」

果南「確かに、なんか外側からして雰囲気が他と違うね」

善子「でしょ? 中はもっと凄いわよ。じゃあ、入りましょうか」ギィィ

果南「わぁ……」

果南「なんか、凄いね」

果南「言葉では上手く言い表せないけど、別世界に来ちゃったみたい」

善子「ふふ、気に入ってもらえたかしら。それじゃ適当に見て回りましょ」

果南「今日は何か買うの?」

善子「うーん、どうだろ。よほど惹かれるものがあれば買うかもしれないけど、今日はあなたに私の日常を知ってもらうのがメインだから」

果南「そっか。でも、あんまり私のことは気を遣わなくて良いよ」

果南「ほら、これとか善子好きそうじゃない?」

善子「あら、流石私のリトルデーモン。お目が高いわね」

善子「でも、お生憎様。それは既に持ってるのよ」

果南「いや、リトルデーモンではないけど……でも、そっかあ。既に持ってたかあ」

善子「まあね。でも、最初にそれを引き当てるなんて、果南もなかなか素質があるんじゃない?」

果南「本当? 善子にそう言ってもらえると、なんか嬉しいな」

果南「……あれ、あっちは?」

善子「ああ、あっちは衣装コーナーよ。見てみる?」

果南「うん。じゃあせっかくだし、ちょっと」

果南「へえ、いろんなのがあるんだね。ゴスロリってやつ?」

善子「それだけじゃないけど、だいたいそうね。私もたまに買ってるわ」

果南「へえ……」

善子「興味ある? なんなら着てみたら?」

果南「えっ? 無理無理、私なんか全然似合わないって」

善子「そんなことないわよ。ほら、私のこと理解したいなら、同じことやってみるのも大事よ」

果南「いやいや、それは違うと思うけど」

善子「いーいーかーらー」グイグイ

果南「わわっ、もう……」

善子「ほら、これとこれ着てみて」

果南「う、うん……こんな感じ?」

善子「やっぱり! とっても似合ってるわよ。私の目に狂いはなかったわね」

果南「うう、恥ずかしい」

善子「果南はもっと自分に自信を持ちなさい。そんだけ可愛いのに弱気になっちゃって。謙遜も過ぎれば罪よ、罪!」

果南「わ、分かったから……そんな大きな声で可愛いって言わないで」

善子(照れて縮こまっちゃって……こういう果南も、アリね)



善子「そろそろ小腹が空いたわね」

果南「じゃあ、お昼にしようか」

善子「なら、とっておきの場所があるわ」

果南「ここは……ラーメン屋?」

善子「そう、四川風激辛麻辣麺で有名なの」

果南「うわあ。メニューの写真、スープが真っ赤だ。見るからに辛そう」

果南「善子はこれ食べるの?」

善子「ええ。今日は辛さ三倍に挑戦するわ」

善子「でも、辛くないメニューもあるから安心して」

果南「うーん、でも私も同じのにするよ。流石に三倍にはしないけど」

善子「平気? 相当辛いわよ」

果南「せっかくだもん。私も善子と同じのが食べたい」

果南「それに、同じことやってみるのも、大事なんでしょ?」

善子「分かったわ。そこまで言うなら止めない。でも、無理は禁物よ」

果南「うん」

善子「すみません、麻辣麺二つ。辛さ三倍と一倍で。あと茹で野菜と玉子も」

果南「それにしても暑いね」

善子「まあ、目の前調理場だし。外もあんな天気だし」

善子「でも、暑い時にこそ熱いものを食べて汗を流す。王道じゃない?」

果南「おおっ、善子からそんな熱血な台詞が聞けるなんて」

善子「その後クーラーのガンガンに効いた部屋で冷たいアイスを食べると尚良し」

果南「お腹壊すよ」

善子「平気よ。堕天使に人間界の常識は通用しないわ」

ヘイオマチ

果南「お、きたきた……わぁ、香りがもう、辛い」

善子「目に入ったら一貫の終わりよ。くれぐれもスープのついた手で目をこすったりしないようにね」

果南「それ、やったの?」

善子「一回だけ」

果南「うわぁ……痛い痛い」

善子「あの時は本当の地獄を見たわ。はい、エプロン」

果南「ありがと。それじゃ」

「「いただきまーす」」

果南「って、辛っ! これ、想像以上に辛いな」

果南「善子は……」

善子「……」ズズー

果南「凄い、一心不乱に食べてる」

果南「私も負けてられない。ゆっくりでも、食べよう」フーフー

果南「……うん。辛いけど、美味しい」

果南「コクもあって、麺にも具にもしっかり味が絡んで」

果南「でも辛い!」

善子「お困りのようね」

果南「善子!」

善子「辛くて箸が進まない。そんな時は卓上の調味料を使うと良いわ」

善子「お酢と胡麻でマイルドにしつつ味も変えることができるから」

果南「おお、確かに食べやすくなったかも」

善子「さらに追加で頼んでおいたこの野菜と玉子を入れることで、辛さを抑えることができるわ」

果南「これ、使っていいの?」

善子「もとより、こうなることを見越して頼んでおいたから」

果南「善子……ごめん」

善子「別に、良いのよ。私と同じことがしたいって言われて……ちょっと嬉しかったし」

善子「でも、人の身でいきなり堕天使と同じ域に立つことはできないわ」

善子「それが分かったら、今度からは身の丈にあった生き方をすることね」

果南「うん。ありがとう」



果南「ふぅ、食べた食べた」

果南「さて、腹ごなしもしたことだし、次はどうしようか」

善子「そうねえ。ゲームセンターにでも行きましょうか」

果南「ゲーセン! いいね」

善子「果南は結構行くの?」

果南「いや、あんまり。家の近くにはないしね」

果南「でも、だからこそ憧れてたんだ」

善子「そう。それなら今日はたっぷり堪能してちょうだい」

果南「だね。といっても、まずは何をやれば良いのか」

善子「まあ、無難にUFOキャッチャーで良いんじゃない?」

果南「ああ、確かにゲーセンっぽい」

善子「そうね。ほら、やり方はわかる?」

果南「ボタン押せばアームが動くんでしょ。流石にそれくらいは知ってるよ」

果南「お金を入れて、っと」チャリン

ウィーン

果南「……」

果南「ここだ!」

スーッ、ガシッ

果南「やった!」

善子「いえ、喜ぶのはまだ早いわ」

ポトッ

果南「ああっ! もう一回」チャリン

果南「……うーん」チャリン

果南「むむむっ」チャリン

果南「駄目だぁ」

善子「貸して見なさい。堕天使ヨハネの本気、見せてあげる」

善子「……」

善子「……ここね」

果南「ええっ、アームがタグの紐の中に入って……」

果南「すごい! 善子、一発で取っちゃった」

善子「ま、私にかかればこんなもんよ」

果南「善子って手先も器用だしセンスもあるし、ついでに美人だしで、私とは大違いだよ」

善子「美人は関係ないでしょ。おだてても何も出てこないわよ」

善子「それに果南だって十分凄いじゃない。運動神経抜群で体力もあって」

果南「私はただ、泳ぎ続けてきただけだから」

善子「はいはい。卑下しないでって言ったでしょ」

善子「継続することが大事なのよ。それが好きなことであってもね。それに果南だって可愛いんだから」

果南「かわっ……うぅ」

善子「はい、これは果南にあげるわ」

果南「良いの?」

善子「ええ。今日付き合ってくれたお礼よ。いらないなら、押し付けたりはしないけど」

果南「ううん。とっても嬉しい! 大事にするよ。ありがとう、善子」ニコッ

善子「どーいたしまして……」

善子(またそうやって、無邪気に笑っちゃって)

善子「果南はあっちの方が向いてるかもね」

果南「あれって……」

善子「ダンスゲームよ。床にマークの描かれたマス目が引いてあるでしょ」

善子「降ってくるマーカーに合わせて、リズムよく同じマークの床を踏めば良いのよ」

果南「楽しそう!」

ミュージック、スタート

果南「……えいっ、はっ……ほっ、はい」

果南「うーん、普段のダンスとはまたちょっと違う感じだね」

善子「そうね。あくまでゲームだし。でも、なかなか筋が良いんじゃない」

善子「初めてにしては上出来よ」

果南「そうかな……? なんとなくコツも掴めたし、もう一回だけやって良い?」

善子「どうぞ。別に他に人も並んでないしね」

果南「やった」

善子「ちなみに最初の画面で曲を選べるから、別の曲にしてみても面白いかもね」

果南「星が難易度だよね? だったら、さっきより難しいのにしてみよ」

ミュージック、スタート

果南「……はっ」

善子(凄い。さっきの今で、完璧に動きを理解してる)

果南「……たっ……ふっ」

善子(今のところオルパフェだし、運動に関しては流石ね)

善子(それにしても――)

果南「……はっ……えいっ」

善子(果南が激しく動く度、ポニーテールと胸が揺れて)

善子「えっろ」

果南「よっし! ふぅ、終わったぁ」

善子「凄いじゃない。店内スコア更新よ!」

果南「本当? 夢中になってて点数とか見てなかったけど。でも、楽しかった」



善子「今日はどうだったかしら」

果南「うん。おかげで善子のこと少しは分かった気がする」

果南「それにとっても楽しめたしね」

善子「それは何よりよ」

果南「また今度、こうやって一緒に遊びたいね」

善子「それなら次は、果南が私に教えてよ。果南のことを、もっとね」

果南「分かった! それじゃ次は、海に行こうね」

善子「ふふっ、楽しみにしてるわ」



善子(そして今に至る、と)

果南「いやあ、楽しいねー」

善子「いやいや、どうしてくれるのよ。びしょびしょじゃない」

果南「水着でしょ?」

善子「パーカーごと濡れたわよ!」

果南「あはは、ごめんごめん。でも、そこら辺に干せばすぐ乾くって」

善子「もう、無茶苦茶なんだから」

果南「さっ、パーカーが乾くまでもうひと遊びしよ」

善子「ええ、まあ。仕方ないわね」

果南「じゃああの島まで競争! よーい、どん」

善子「ちょ、あそこって大分距離あるわよ。ちょっと、待ちなさいってー」



善子「ふわぁ……あ」

果南「大分お疲れみたいだね」

善子「そりゃ、あんだけはしゃげばね。むしろ果南が元気そうなのにビックリよ」

果南「私はほら、鍛えてるから」

善子「私だって大分体力ついたけど、あなたと比べるとまだまだね」

果南「だったらもっと、鍛えようか」

善子「パス。私はもっと、身の丈にあった生き方をするわ」

果南「えぇー。堕天使ヨハネの名が泣くよ?」

善子「そんな雑な煽り効かないわ」

善子(ガタゴトと揺れるバスの中で、夕陽の色に染まる果南の顔を見る)

果南「どうしたの?」

善子(いつもみたいに、にこにこと笑う果南を見て、やっぱり思う)

善子(私、この人苦手だ)

善子(この人の前だといつも心が揺らいで、自分が自分で無くなるみたいで)

善子「……別に」

善子(でも、きっと)

果南「眠くなっちゃった? ほら、おいで」

善子(この人といる時の私は、とっても幸せだ)

善子(寄りかかった私を支えるように優しく腕を回す果南の温もりを感じながら)

善子(私はゆっくり、目を閉じた)

おしまい
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2018年5月26日
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