矢澤にこが高校生活を最初からやり直せるSS

シェアする

ことにこ-アイキャッチ1
1: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 08:55:22.94 ID:lmD5aFn/.net
【あなたは何も気付いていない】


にこ(…おかしい…!な、何がおこっているの…!?

私は、音ノ木坂学院の3年生で、μ'sの一員として活動してたハズ

…なのに…!

今、私の目の前で信じられない事が起こっているんだけど…!?)



アイドル部員A(ショートの方)「でさー、私達のグループ名だけど、何にしよっか?」

アイドル部員B(ロングの方)「せっかくならインパクトの強い名前が良いよね!」


にこ(…こいつら、1年の時にアイドル部辞めたじゃない…
て、ていうか、なんで私ら皆1年生の青いリボン付けてんの…!?)


アイドル部員A「ねえ、矢澤さん!聞いてる?」

アイドル部員B「矢澤さんはどんな名前が良いと思う?」


にこ(ど、どういうこと…?こいつら、何言ってんの…!?
え、えーっと、ちょっと待って…。落ち着いて状況整理しなきゃ…

確か、私は今日普通に登校して…)

元スレ: 矢澤にこが高校生活を最初からやり直せるSS

スポンサーリンク
2: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 08:57:56.04 ID:lmD5aFn/.net
ーアイドル研究部室ー

にこ「…今日は朝練休みのハズだけど、何してんのアンタ」

ことり「あっ、にこちゃん。えっとね、今部室にある
衣装を整理してたの。私達の衣装もかなり多くなって
きちゃったから、ちゃんとお手入れしておかなきゃ」


そう、確か今日最初に会話したのはことりだったわ。
季節は11月。ハロウィンイベントも無事に終わって
ラブライブ!最終予選に向けて練習が活発になる中、
久々に朝練がお休みだったんだ。


にこ「たまの休みなんだから、部室に来ることもないのに…」

ことり「でも、にこちゃんだってこんな朝早くから来てるよね♪」

にこ「わっ、私は部長だから?
休みの日にもちゃんと部室に顔出す義務があるのよ!」


正直、私はこの『南ことり』って女の子の事が苦手なのよね。
思考の不一致っていうか、どうにも相性が悪い気がしてならないのよ。


ことり「あっ、それでね。衣装のチェックしてたら、
ダンボール箱の中から見慣れない服を見つけたんだけど…。」

にこ「見慣れない服?」

ことり「うん、私が作ったのじゃない衣装なんだけど…」


そう言って、ことりは『その』衣装を広げて私に見せた。


にこ(…………げっ!!)
3: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 08:59:25.55 ID:lmD5aFn/.net
ことり「これ、にこちゃんの昔の衣装?」

にこ「ち、ちょっ!!勝手に見ないでよっ!!!」


慌ててたせいで、ことりからひったくるようにして
「その」衣装を取り上げた。ちょっと乱暴だったわね…。


ことり「あっ…!ご、ごめんね…」

にこ「……こ、この衣装は外に出さずに、しまっておいて。お願い。」

ことり「………それ、大事な衣装なんだね。私、知らなくて……」

にこ「……私も教えてなかったから、もう良いわよ……」

ことり「……そ、その衣装、スカートの部分破けてるね。」

にこ「ッ………!!」


ことりが見つけ出したのは、私がスクールアイドルになって
初めてのステージで着た衣装だった。
まだ、一人ぼっちになる前の。3人お揃いの色違いのステージ衣装。
その、私用に作ったピンク色の衣装は、ことりの言う様に
スカートの一部が少し破けていた。


ことり「…どこかに、引っ掛けちゃったみたいな破け方だね。」

にこ「……べつに、どうだって良いでしょ。そんなこと」
4: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:01:29.34 ID:lmD5aFn/.net
ことり「……そのスカート、私直そうか?」

にこ「………いいわよ、そんなことしなくても」

ことり「にこちゃんの大事なものなんでしょう?
私、頑張って元通りになるように直すから…」

にこ「良い加減にしてよ!!しなくていいって言ってるでしょ!!!」

ことり「ッ!!………ご、ごめん……」

にこ「………余計なお節介はやめて。
アンタの作った衣装じゃないんだから関係ないでしょ……」

ことり「………でも、私にこちゃんの……」

にこ「………この際だから、ハッキリ言っておくわ。
ことり、別に同じμ'sの仲間だからって、
全員と仲良くしなくちゃいけないわけじゃないのよ。」

ことり「えっ……、それって、どういう…」

にこ「アンタも、薄々勘付いてるんじゃない?
おそらく、私とアンタ。あんまり相性良くないわよ」

ことり「そ、そんな………」

にこ「………少なくとも、私はことりの事、苦手よ」

ことり「………にこちゃん……」


そう、私はことりが苦手。
だからって、それをことりに真正面から投げつけるのは
ただの言葉の暴力でしかなかった。
ことりは、純粋な好意から衣装直しを申し出てくれたのに……。

私は、完全に冷静さを失ってた。
5: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:03:34.03 ID:lmD5aFn/.net
確かそのあと、予鈴が鳴ってことりと別れて…
そのまま昼休みまで普通に過ごしてたんだったわ。

授業中、この後練習でことりと顔を合わせるの気まずいなー、とか
やっぱ言い過ぎたから、謝った方が良いかなー、とか

そんなことを考えてたらあっと言う間に昼休みになって…


にこ(たまには屋上でお弁当食べようかな…

…って、あら?あそこに居るのはことり…?誰かと話してる…?)


そう、屋上に続く階段の踊り場で、ことりが数名の生徒と
話してるのを見つけたのよ。話してた相手は……


3年生A「μ's、最近凄いよね!3年生の間でも大人気よ!」

ことり「あ、ありがとうございます~!」

3年生B「衣装って、南さんが作ってるんでしょ?可愛いよねー!」


にこ(げげっ……!あ、あいつらなんでことりと話してんの……?)


3年生C「でもさ、μ'sの中にさ、3年の矢澤にこっているじゃん?
実際のとこ、どうなの?」

にこ(…っ……!!)

ことり「えっ…、どうって…?」
6: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:05:18.46 ID:lmD5aFn/.net
3年生A「そうそう、矢澤にこって性格悪いってウワサしか聞かないよ。
3年生の中でも、μ'sは人気だけど矢澤にこだけ評判悪いもの」

ことり「そ、そんな……」


にこ(ぐぬぬ…!な、なに好き放題言ってくれちゃってんのよ!
ていうかそれをことりに言うこと無いでしょ~~!!)


3年生B「知ってる?この子らさ、1年生の時、
矢澤に凄い嫌な仕打ち受けたんだよ?ね、そうでしょ?」

元部員A「えっ…、そ、それは…その」

元部員B「………ま、まあ………」


にこ(!!…………あの子たち……)


……最悪だった。
なんで、よりによって元アイドル部員達がことりと喋ってんのよ……。


3年生C「この子らさ、矢澤の横暴に耐え兼ねてアイドル部辞めたんだよ。
矢澤の自己中アイドル活動についていけなかったんだって」

ことり「………」


にこ(な………なに言ってんのあいつら……
やめてよ……ことりには関係ないじゃない……)


私は、物陰でその会話をじっと聞いてた。
…ていうか、その場から動くことができなかった。
7: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:06:50.89 ID:lmD5aFn/.net
3年生A「ねえねえ、やっぱ今も矢澤にこって自己中なの?
ひょっとして、ことりちゃんとか虐められてたりするんじゃないの?」

ことり「………」

3年生B「ていうかさ、アイツってアイドル部の部長だから
お情けでμ's入れてもらってるだけでしょ?
ウザいよね~そういう上級生いるとさー。他の子がかわいそう~」

3年生C「ねえ、ことりちゃんにもっと教えてあげなよ。
二人がアイツから受けた酷い仕打ちをさー。」

元部員A「あっ……あの、でも……」

元部員B「私達は……べつに、もう……」


にこ(………何よ………なんなのよ………
アンタらに、何がわかるってのよ………
私……私は……………!!!)


ことり「にこちゃんは、私達の大切な仲間です。」

「!?」


にこ(…………えっ)


ことり「にこちゃんの、アイドルへの想いは、
μ'sの誰よりも一番強くて…すっごくすっごく頑張り屋さんなんです。
……私、そんなにこちゃんのことが大好きです!」

元部員A・B「………」


にこ(な…………な…………)


気付いたら私は、我を忘れて物陰から飛び出していた。


にこ「なんでよ!!ことり!!!アンタ何言ってんの!!??」

ことり「えっ!?に、にこちゃん!?」
9: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:09:14.07 ID:lmD5aFn/.net
にこ「私っ…、私は……!アンタに朝あんな酷い事言ったのに!!
アンタ何私の事庇ってんのよ!!そいつらの言う事鵜呑みにして
陰口叩けば良いじゃないのよ!!」

ことり「でっ……でも、私、……本当の事だもん!」

にこ「私は!!アンタにそんな優しくしてもらう筋合いは無い!!
私はアンタの事が苦手だって言ったんだから、
ことりも私に優しくなんてしないでよ!!!」

ことり「あっ、にこちゃん!!!」


私は…自己嫌悪とか恥ずかしさとか、色んな感情に
耐えられなくなってその場から立ち去ろうとして……


<ガクッ>

にこ「……………えっ」


……思いっきり、下り階段で足を踏み外して……


にこ(あ………これヤバい)


ことり「にこちゃん!!!!!!!!!!」


ことりが私の名前を叫んで……

その後の事は、全く覚えてない。
11: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:10:51.73 ID:lmD5aFn/.net
保健医「あ、起きたわね。どう?まだ具合悪い?」

にこ「……えっと、ここは……?」


目が覚めると、私は保健室のベッドの上で寝ていた。


保健医「ここは保健室。あなた、気を失って倒れていたのよ。
軽い貧血だと思うけど…あまり悪いようなら
お医者様呼びましょうか?」

にこ「……え、貧血?そ、そんな軽いもんだったっけ……?
なんか、とんでもない大事故だったような……?」


貧血なんかじゃない。私は確かに階段を踏み外して、
盛大に転げ落ちて気を失ったハズなのに……

けど、この後、そんな事がどうでもよくなるような話を
保健の先生から聞かされた。


保健医「えーっと……1年生の矢澤にこさんね。
どう?もう高校生活には慣れた?」

にこ「………………は?」

保健医「…って言っても、まだ4月だし。そんな早くは慣れないわよね」

にこ「あ、あの……私、確かにこんな見た目ですけど、
これでも高校3年生なんですが…。ていうか4月って…?」

保健医「えっ?でも、あなたのリボンの色……」

にこ「えっ……?」


私の制服のリボンは、3年生の緑色じゃなく
何故か1年生の青いリボンになっていた。


にこ「………………えっ……?」
12: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:13:28.99 ID:lmD5aFn/.net
<ガラララッ>

アイドル部員A「あっ!矢澤さん起きた!大丈夫?心配したよ!」

にこ「うぇっ!!??あ、あなた達なんで…!?」

アイドル部員B「なんでって、今日はアイドル研究部の
活動初日じゃない!皆で一緒にグループ名決める予定でしょ?」

にこ「………………はぁ!?」

保健医「あ、ちょっと待ってあげて。
矢澤さん、まだ起きたばかりでちょっと混乱してるみたいなのよ。」

にこ(ちょっとどころじゃなく盛大に混乱してるんですけど!?
え、なに!?これは何がどうなってんの!!??)

部員A「えっ、そうなの?ゴメンね矢澤さん!」

部員B「じゃあ今日はもう家に帰って休んだ方が良いかな?」


にこ(………はは~ん。わかった。さてはこれは夢ね?
そうよ、本当の私は今、お姫様の様な優雅な寝顔で
グッスリ寝ているんだわ!そうに違いない!)


部員A「じゃあグループ名決めはまた明日にしよっか?」

にこ「そ、そうねー。今日はちょっと具合悪いから、
また明日にしてもらえるかしら~?」

部員B「うん!矢澤さん、お大事にね!」

にこ(家に帰って寝たら、夢も覚めるわよね)


…今思えば、なんて安直で楽観的な考えだったんだろう。
14: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:17:18.29 ID:lmD5aFn/.net
【あなたの最初の誤ち】


ー翌日・アイドル研究部室ー

部員A「さーって!今日こそグループ名決めましょう!」

部員B「どんな名前が良いかなー?」

にこ(いやいやいやいや。なんで!?なんで夢が覚めないの!?
それともこれは夢じゃないっての!!??
私、このまま1年生からまたやり直しなの!!??)


結局、冷静に思い返してみたところで、
何も変わらなかったわ…。
ただ一つハッキリしてることは、私は今、高校1年生だという事。
そして、今でも高校3年生までの記憶を覚えているという事。


にこ(…………うーん。そっか、よくわかんないけど、
楽観的に考えれば私はこれから何が起こるか知ってる上で、
また1年生からやり直せるって事よね…?
うまくやれば、あの惨めなぼっち時代を無かったことにできて、
自分の理想の高校生活を送れる…?)

部員A「ねえ、矢澤さん!聞いてる?」

部員B「矢澤さんはどんな名前が良いと思う?

にこ「っ……あ、ああゴメンゴメン!名前よね!
そうねぇ、やっぱり出来の良い名前が良いわよね……」


なんでまた1年生からやり直せることになったのか。
これが現実なのか、夢なのか。全然わかんないけど、
ハッキリと今まで過ごした3年間の事を覚えているという事実が
私をちょっと前向きにしてくれていた。


にこ(…どうせ夢でも、いつか覚めるまで好き勝手に
もう一度1年生をやり直して見るのも
悪くないかもしれないわね…!)


部員A「……ど、どうしたの矢澤さん…急にニヤニヤし出して…」

にこ「あっ、べ、別に何でも無いわ!!」
15: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:19:20.86 ID:lmD5aFn/.net
部員B「うーん、いざグループ名を決めるとなると、
なかなか思い浮かばないものねー」

にこ「あ、それなら!私良い名前を知ってるわよ!
ステキな仲間がたくさん集まってくる、魔法の名前よ!」

部員A「えっ!なになに!?」

部員B「そんな凄い名前考えたの!?」

にこ「ふっふっふ…これよ!!」


私は、大学ノートのページいっぱいに
「その」名前をデカデカと書いて2人に見せた。


部員A「………えーっと……ゆ、ゆーず?」

にこ「違うわ、『ミューズ』よ!」

部員B「ミューズ?石鹸?それとも洋楽?」

にこ「これはね、えーっと…確か音楽の女神様の名前なのよ!
この名前で活動してるとね、

凄く元気でパワフルな子とか
歌詞を書くのが得意な子とか
作曲能力に秀でた子とか
ダンスの才能に溢れた子とか
アイドルへの強い情熱を持った子とか
スピリチュアルなお色気ボディを持った子とか
ロシア人のクォーターとかがドンドン仲間になるのよ!

そ、それと……凄く、可愛い衣装を作ってくれる子なんかも、
きっと仲間になってくれるわ!」
16: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:21:02.44 ID:lmD5aFn/.net
部員B「……な、なにその根拠は……。まるで仲間になるのが
決まってるみたいに言うのね……」

部員A「……でも、字体もオシャレで良いかも、『μ's』!」

にこ「で、でしょー!?この名前を付ければきっと、
ううん!絶対素晴らしいアイドルグループになるんだから!」


μ'sのメンバー9人のうち、まだ私しか居ないのに、
この名前を付けても良いものかちょっと躊躇ったけど……
どうせ後から皆入部してくるんだし、
いつ名前を付けても変わらないわよね。

………何か、名前の由来で大事な事を忘れてる気もするけど……


にこ「じゃあ、グループ名は『μ's』で決定ね!」

部員A「わああ!なんか、アイドルグループの一歩を
踏み出した感じがするね!」

部員B「よーし!まずはμ'sの1stライブに向けて頑張らなくっちゃ!」


…私は、覚えてる。この子らは、厳しい練習があまり好きじゃなく、
放課後の練習もサボりがちになる事を……
そして、私はそれが許せなくて、厳しく接してしまった事も。
でも、最初からそれを知っていれば色々対策も練れるわ!


にこ「アイドル研究部の活動は、あくまで
『楽しく!時に厳しく!』よ!
目標は高く持ちつつ、皆でめいっぱいアイドルを楽しみましょう!」

部員A「!!うん!なんか良いね、それ!」

部員B「楽しいのが一番大事だもんね!」


どうせ1年生からやり直すなら、穂乃果達が入部してくるまでに
アイドル研究部を今よりもっともっと大きくしてやるわ!!
そうすれば、もうお情けで入れて貰ってるだの
μ'sのお荷物だの、好き勝手に言わせないんだから!!
19: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:32:59.50 ID:lmD5aFn/.net
アイドル研究部の活動が始まって1ヶ月が過ぎた。
この頃になると、メンバーそれぞれクラスに仲の良い友達が出来て
案の定、放課後に遊びに行きたいって欲に負けて
練習をサボり出す奴が出てきた。


部員B「…ご、ごめ~ん!今日、家族の用事で
どうしても練習出れないのよ…!」

部員A「わ、私も……、今日は、外せない用事があって、
早く帰らなきゃいけなくって……」

にこ「……そっか……」


知ってるわよ!アンタら、この後クラスの奴らと一緒に
映画見に行く約束してたでしょ!!嘘ばっかり。
(わ…私も誘ってくれても良いじゃない………)

……そう、それで、確かこの時に、
私は初めてこいつらを怒ったんだ。

にこ『1stライブが近いのに何甘い事言ってるのよ!!
練習ちゃんとしないと、恥をかくだけじゃない!!』

………さて、どうしよう。ここで怒鳴ったら、
また同じ事の繰り返しよね。
……そうね、こんな時、穂乃果なら………


にこ「………うん!仕方ないよね!!
今日は私一人で練習するから、また明日から一緒にガンバろっ!!」

部員A「ッ………!うん……」

部員B「ほ、ホントにゴメンね……」

にこ「いいのいいの!その代わり、明日は厳しくいくわよ~?」

部員A・B「……う、うん!」

にこ(おっ。これはなかなか良い返しだったんじゃないかしら?
相手の罪悪感を煽って、健気に頑張るにこにー!
これなら、明日は練習出てきてくれるかな?)


私の思惑通りに、次の日は二人とも練習に出てきてくれた。
でも、その後もやっぱりちょくちょくサボる癖は無くならなくて……。

そんなこんなで、1stライブ当日を迎えてしまった。
20: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:39:13.14 ID:lmD5aFn/.net
ー1stライブ終演後ー

部員B「ご、ごめん……あそこで私がミスっちゃったから……」

部員A「……ううん。悪いのは私だよ……。
私がもっとちゃんと踊れてたら……」

にこ(なぁ~~~に言ってんのよ!アンタら二人がちゃんと練習出ないから
全員動きバラバラで良いところ無しだったんじゃない!!)


まあ、結果は以前と同じようにボロボロ。
当たり前よね。練習量が全然足りて無かったもの。
でも、私がこの時二人に言い放った言葉が決定打になって、
この二人は退部することになるのよね…

にこ『アンタらがもっとマジメに練習しないからじゃない!!
その癖に何いっちょまえに落ち込んでんのよ!!
後悔するくらいなら最初から練習頑張れば良いじゃないのよ!!
中途半端な気持ちでやるなら、アイドル研究部辞めて!!』

そう……そして、確かこの時……
怒ってその場を後にしようとした時……


<ビリィッ!!>
にこ『ッ……!!』


ステージ袖にある大道具から出ていた釘に勢い良くスカートを引っ掛けて、
破けちゃったのよ。

その後も、自分で衣装を直して、一人でライブに挑んだりもしたけれど……
直し方が甘かったせいで、結局また破れちゃったんだわ。
21: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:42:07.44 ID:lmD5aFn/.net
………穂乃果なら………


にこ「……ううん、違う。悪かったのは全員よ!
私も二人にちゃんと合わせられなかった……でも、
まだ最初だもの!失敗しちゃったのも仕方ないよ!
次は絶対成功するように、皆でまた頑張ろう!!」

部員A「ッ……!や、矢澤さん……!」

にこ「………それより………」

部員B「……え?」

にこ「……二人とも、今日はありがとう!!
私、初めてアイドルとして皆とステージに立てて、
とっても嬉しかったよ!!」

部員A「……あっ………!!」

にこ「私、またこの3人でステージに立ちたい…!
だ、だから、また明日から一緒に頑張ろうよ!」

部員B「……矢澤さ……ぐすっ……
ごめ……ごめんね…私…わたし…」

部員A「……や、矢澤さん…….!うん、私、次は頑張るから……!
……ひっく……ごめんね……ごめんね……」


………なんだ。

こんな、こんな簡単な事だったんだ……。
これなら、仮にもしこの後二人が辞めちゃっても……
あんなに辛い思い出として残る事も無かったんだ……。

……穂乃果、アンタやっぱ凄いわ。
22: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 09:45:02.18 ID:lmD5aFn/.net
【あなたの思い上がり】


次の日から、二人の部員は変わった。
もしかしたら、やっぱり退部届を持ってくるかも…
なんて思ってたけど、ちゃんと練習に出てくれるようになった。


部員A「目指すは、アキバNo.1アイドルだよね!」

にこ「ううん!もっともっと!宇宙No.1アイドルよ!」

部員B「あははっ!にこちゃんは目標が高いね♪」


二人とも、前以上に打ち解けて……
私たちは、本当の意味での『仲間』になれた。

うん!今のところ良い調子じゃない!?
これなら1年生のうちからたくさんアイドル活動できて、
来年の新入生勧誘にも希望が持てるわ!

…と、そんな事を考えていると


「ちょっと良いかしら?」


それは私がよく知っている声だった。


部員B「あっ……あなたは生徒会の……」

にこ「………絢瀬絵里……さんよね」

絵里「ええ、こんにちは。アイドル研究部の皆さん。」


今の、私の知っているのよりちょっと背の低い
まだ冷たい表情の絵里がそこに立っていた。
24: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:12:49.27 ID:lmD5aFn/.net
絵里「実は、今度のオープンキャンパスで、
アイドル研究部にステージを披露してもらいたいって
生徒会から要望が出ているのよ。」

にこ「えっ!?」

部員B「お、オープンキャンパスで私達が!!??」

絵里「今、スクールアイドルっていうのが全国的に
流行ってきているみたいなの。それで、
音ノ木坂にもスクールアイドルが居るって事を
アピールしたいんですって。」


オープンキャンパス!?
ま、まさか1年の時からこんな大役が回ってくるだなんて……!!
これは、これは本当に全てが上手く回り始めている……!?


絵里「どうかしら?受けてもらえる?」

にこ「もっ……もちろん!!是非やらせて!!皆も、いいわよね!?」

部員A「う、うん!!ちょっと緊張するけど、
今度はちゃんとしたステージを見せれるように頑張るよ!!」

部員B「わ、私も!!折角私達の活動をアピールできる
チャンスだもん!精一杯やるわ!」

絵里「ありがとう。決まりね。じゃあ、私は生徒会長に
報告に行くから、また改めてお願いに来るわね。」


そう言うと、絵里は私達の前から去ろうとして…
25: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:14:42.63 ID:lmD5aFn/.net
希「おっ、エリち。交渉は成立した?」

絵里「ええ、大丈夫よ希。快諾してもらえたわ。」

にこ「あっ……」


1年生をやり直し始めてから3ヶ月近くが経っていた。
やっぱり、いつも顔を付き合わせていたμ'sの皆が居ないのは
ずっと、ずっと心細くて……

でも、今また、ようやく『繋がり』が生まれた!!


にこ「絵里!希!!」

絵里「えっ……?」

希「えっ……と……矢澤さん?」

にこ「あっ……ご、ごめんなさい。唐突に。
あ、あの。」

部員A「ど、どうしたの?にこ」

部員B「にこちゃん、何かあの二人にまだ用が?」

にこ「……あの、二人とも!!アイドルに興味ない!?
良かったら、私達と一緒に、アイドルやらない!?」


「!?」


絵里「私達が……?」

希「アイドル……?」
26: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:16:35.90 ID:lmD5aFn/.net
部員B「ち、ちょっと!突然どうしたのにこちゃん!!」

部員A「た、確かに凄い見映えのする二人だとは思うけど、
いきなりすぎだよぉ!」

絵里「……ごめんなさい。折角のお誘いだけれど、
私達は生徒会の仕事が忙しいから部活は無理よ。」

にこ「……そう。そうね。ごめんなさい。」

希「……堪忍な。でも、アイドル研究部の皆のこと、応援するよ!」

にこ「…のぞ、……東條さん、ありがとう!」


やっぱまだ、このタイミングで引き入れるのは無理かー。
仕方ないわよね。あの二人が入るのは、
実際はもっと先のことだもん。
でも、今は、またあの二人と会話をすることが出来たのが
何より嬉しかった。


にこ「あっ、ごめん!二人とも!ちょっと夢中になって……」

部員A「もう、突然勧誘するもんだからビックリしたよー!」

部員B「でも、確かにあの二人がμ'sに入ったら、
一気に人気増えそうだよね!」

にこ(あはは……そりゃまあ、μ'sきっての
ナイスバディ2トップだもんね……)


そんなこんなで、私達の活動は軌道に乗り始めた。
オープンキャンパスか…上手くいけば、知名度が急上昇しそうね!
なんとしても、成功させなきゃ!!
27: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:21:48.85 ID:lmD5aFn/.net
ー矢澤家ー

にこ「ただいまー。」

にこ母「おかえりなさい。今日もお疲れ様」

にこ「ママ!今日は仕事早かったのね!チビ達は?」

にこ母「皆、昼間に遊び疲れて寝ちゃってるわ。
にこも、毎日頑張ってるわね。どう?高校は楽しい?」

にこ「うん!毎日とっても充実してるわ!!
あのね!今度オープンキャンパスで私達、
ライブ披露することになったの!!」

にこ「あら!凄いじゃないの!おめでとう!!」

にこ「えへへ~~……あれ?」


私は、ここ最近、帰宅する度に自分の家の中の様子に違和感を覚える。


にこ「………いや、これが普通なのよね……?」

にこ母「どうしたの?」

にこ「……ううん、なんでもない!」


私の家の壁……こんなに殺風景だったっけ……?
そんな違和感が、毎日、毎日襲ってくる。
なんだろう……、この家の壁には、なんか
私にとって大事で、辛い思い出があった様な……
31: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:29:36.91 ID:lmD5aFn/.net
その後、オープンキャンパスでのライブで
私達μ'sは大成功を収めて、知名度も一気に増えた!


部員C・D「よろしくお願いします!!」

にこ「こちらこそ、よろしく!皆で頑張りましょう!!」


アイドル研究部の部員も新たに2人増えて、年が明ける頃には
私達『μ's』はアキバでは知らない人のいないくらい
人気のあるスクールアイドルグループになった!
ああ~~!!これよこれ!!これこそが憧れてた
私の理想の高校生活よ!!

そんなこんなで、気付けば1年生としての生活も
もうすぐ終わろうとしていた。


部員A「春になったら、1年生勧誘頑張らなきゃね!」

部員B「うん!アイドル研究部をもっともっと賑やかにしよう!」


この調子なら、真姫や凛や花陽が入学する頃には
ものすごく大きなアイドルグループになってるかも……!
ぐふふ…!なんだか、ワクワクしてきたわ…!!


部員B「出来れば、もっとちゃんとした衣装担当が欲しいよね。」

部員A「そうだねー。私達だけじゃ、限界があるし…」

にこ「!!なら、良いアテがあるわ!!
この4月に入学する子なんだけど、凄い子がいるのよ!!」


まずは、この4月に入学する『あの3人』を
なんとしても1年生のうちに入部させなきゃ!!
絵里や希はともかく、穂乃果ならちょっとそそのかせば1年のうちから
入部してくれるハズ!
そうすれば、海未やことりだって入部してくれるハズよね!
33: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:33:10.23 ID:lmD5aFn/.net
穂乃果「ごめんなさい矢澤先輩!!私、海未ちゃんと一緒に
剣道部に入部することにしたんです!!」

にこ「……………へ?」


4月。
意気揚々と新入生の教室へ勧誘に来た私に
穂乃果の口から信じられない言葉が告げられた。


穂乃果「中学の時から決めてたんです。
高校に入ったら、海未ちゃんと一緒に剣道部に入って、
全国制覇をめざすって!!ね!海未ちゃん♪」

海未「ええ。ですから、すみませんが…アイドル研究部へのお誘いは
お断りさせていただきます。」

にこ「……そ、そう……それなら、仕方ないわよね……」


そ、そんなバカな……!?
海未はともかく、穂乃果は1年生の時は何も部活に入らず
ダラダラ過ごしてたって聞いたわよ!?
なんで!?なんで剣道部!?ていうか海未は弓道部じゃないの!?


穂乃果「あっ、でも!アイドル研究部のライブは
是非見に行かせて下さい!」

にこ「!!え、ええ!もちろん!!凄く楽しいから絶対見に来てね!」


……一応、アイドルに興味はあるみたいね。
そもそも、穂乃果がアイドル始めたきっかけは廃校を救う為だったわ。
なら、心配しなくても来年になれば自然と
アイドル研究部に入ってくれるのよね!


新入生A「ねえねえ、今年の音ノ木坂の新入生の数、
去年より増えたんだって!」

新入生B「へー!廃校のウワサあったけど、それなら大丈夫かな?」


……………し、心配ないわよね?
35: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:37:16.89 ID:lmD5aFn/.net
【そしてあなたは気付きはじめる】


ことり「あっ……あの、先輩!」

にこ「……えっ」


穂乃果と海未の勧誘に失敗して、ガッカリしながら部室に戻ろうとした私を
呼び止めたのは、ことりだった。


ことり「あの……アイドル研究部って、衣装とかも自分達で
作るんですか?」

にこ「………も、もちろん!!で、でも最近部員も増えて……。
素人の私達だけじゃ大変になってきてるのよ!」

ことり「!!そ、それなら、私、お洋服作るの好きなので……
よ、良かったら、入部させて貰えませんか!?」

にこ「ほっ、ホント!!??いいの!!??」

ことり「はい!アイドル研究部の衣装担当、
是非やらせてください!」


やった!
穂乃果が勧誘出来なかった時点で、全員諦めてたけど、
まさかことりだけ入部してくれるなんて!!

……で、でも……


ことり「……先輩、どうかしました?」

にこ「あっ…!な、なんでもないわ!さあ、部室に行きましょ!」


私は、確かこの子に以前凄く酷い事を言ったまま、
謝らずに1年生からやり直す事になったのよね……。
当然、今のことりは全く関係無いわけだけど、
やっぱ、どうにも負い目を感じちゃうわ……。
37: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:41:00.96 ID:lmD5aFn/.net
ことり「あっ、自己紹介がまだでした。
私、南ことりって言います♪」

にこ「…あっ、そっか。そうよね。
私の名前は矢澤にこ。にこで良いわ」

ことり「よろしくお願いします。にこ先輩!」


さーて、どうしたもんかしら…。
私はこれから、穂乃果や海未抜きでどうやって
ことりと接していけば良いのかしら……


「……………………」


にこ「……えっ?」

ことり「?ど、どうかしましたか、にこ先輩。」

にこ「……いえ、今なんか……」


何か、妙な視線を感じた。
けれど、振り向いた先には誰も居なかった。
……ただの気のせいかしら?


にこ「ご、ごめん。なんでもないわ!
あ、そう言えば、アイドル研究部は『先輩禁止』だからね!」

ことり「……せ、先輩禁止……ですか?」

にこ「そ。敬語もダメ!だから、「にこちゃん」って呼んで?」

ことり「………にこ……ちゃん……。
………な、なんか緊張しますね……!」


わ、私も、呼ばれなれてるハズなのに
なんだかくすぐったいわ……!
40: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:56:16.18 ID:lmD5aFn/.net
ーアイドル研究部室ー

にこ「新入部員10名!?そ、そんなに集まったの!!??」

部員A「凄いんだよ!勧誘するまでもなく、
あれよあれよと言う間に入部希望者が来て…」

部員B「みんな、去年の私達の活動を見てくれて、
入部を決めてくれたんだって!!」

にこ「……!そう……!!そうなの……!!ううっ…」

部員B「ッ!!に、にこちゃん!泣いちゃダメだよ!!」

にこ「……だって……だって……!!
わ、私達のやってきた事、間違って無かったんだって……ぐすっ…」


感無量で、うっかり涙が溢れてしまった。
ずっと、私が望んでいた事。
私のアイドル活動が認められて、
仲間がたくさん増える事。
ひとりぼっちだった頃に……どんなに、どんなに憧れた事か。
それが今、現実になってるのね……!!


ことり「あ、あのぉ……」

にこ「!?あ、ご、ゴメン!!皆!私も新入生連れて来たわ!
なんと!待望の衣装担当よ!!」

部員A「ホント!?この子が前に言ってた!?」

部員B「わぁー!!やったね!!」

ことり「あっ……、み、南ことりです。
皆さん、これからよろしくお願いします!!」


凄い……!
アイドル研究部が、私の想像をどんどん超えていく……!!
μ'sが、どんどんおっきくなっていく……!!
活動が増えて、もっと盛り上がれば、
きっと来年を待たずに穂乃果や海未、絵里や希だって
仲間になってくれるに違いないわ!!
41: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 10:58:45.11 ID:lmD5aFn/.net
それから、新入生総勢11名を迎えて練習の日々が始まった!
……流石に、これだけの人数をまとめるのは骨が折れたけど……。
でも、みんなで一致団結して、夏になる頃には
結束も深まって、ライブも次々に成功させる事が出来た!


ことり「それでね、にこちゃん。次の衣装なんだけど……」


そんな中で、私とことりは、
衣装の打ち合わせを進めるうちにとても親しくなった。


部員A「おやおやぁ~?今日も矢澤さんはことりちゃんに
ご執心ですなぁ~♪」

部員D「熱いねえお二人さん!」

にこ「ちょっ!!アンタら、からかうんじゃないわよ!!」


……最初は、以前酷い事を言った負い目から
ことりに甘く接しちゃってたんだけど……
ことりの、衣装作りへの情熱を聞くうちに
ことりの事がだんだん身近に感じられる様になっていった。


ことり「私ね、将来は衣装デザイナーになりたいんだ。」

にこ「ことりなら、きっと有名なデザイナーになれるわよ!」

ことり「うん!ありがとう、にこちゃん♪」


……まったく、人間ってわからないもんだわ。
あんなに相性が悪いと思ってたことりと、
こんなに仲良くなるなんて……。
48: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 11:14:31.11 ID:lmD5aFn/.net
ある日の部活からの帰り。
もうすっかり暗くなった校舎をことりと一緒に出ようとした時、
同じく部活帰りの穂乃果と海未に出会った。


ことり「……あっ」

穂乃果「あ……こ、ことりちゃん!…今帰り?」

ことり「う、うん!穂乃果ちゃん達も?」

海未「……ええ。これから帰る所です。」

ことり「……ご、ゴメンね。こないだ試合見に行けなくて……」

穂乃果「あ…、こっちこそゴメンね!
μ'sのライブ、なかなか見に行けなくて……」


私がよく見知った3人からは、想像もつかないくらい余所余所しい。
ケンカでもしたのかしら……?


穂乃果「あっ、次の日曜日なんだけど、試合見に来れる!?」

ことり「……ゴメン、その日もμ'sはライブが……」

穂乃果「…………そっか……」

海未「仕方ありませんね…こう予定がぶつかってしまっては……」


うう……気まずい……。
な、なんなの。なんでこいつらこんな空気重いのよ……。
どうも、すれ違いによってギクシャクしてるみたいだけど…


……まさか、原因は私?

私がこの3人を引き離したっての?
50: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 11:20:22.16 ID:lmD5aFn/.net
学校からの帰り道、ことりは申し訳なさそうに私に言った。


ことり「ゴメンね、にこちゃん。なんか気を使わせちゃって。」

にこ「良いわよ、ホラ。ジュース奢ってあげるわ。」

ことり「ありがとう……。」

にこ「……アンタら3人、幼馴染よね。何かあったの?」

ことり「……ううん。何も、何も無かったの。
高校入るまで、3人でいつも一緒だったのに……。
別々の部活に入って、一緒にいる時間が減っちゃって……。」

にこ「……そっか……」

ことり「……最初にね。私が、剣道部の試合を見に行くって約束を
破っちゃったのがキッカケなの。
衣装製作がどうしても終わらなくて……。
それで、その後、穂乃果ちゃん達も私達のライブ見に来ることが
出来なかったりして……」


やっぱりか……。
新しい生活が始まって、それまで仲良かった子と疎遠になるのは
よくある話だけど……。
この3人の関係がギクシャクするのは、私もあまり気持ちが良くない。
なにより、『本当のμ's』の始まりは、この3人からなのに……。


ことり「……でもね。良いんだ。別にケンカしたわけじゃないし…。
今はこうして、にこちゃんと仲良くなれたんだもん。
…穂乃果ちゃんや海未ちゃんとも、もっともっと遊びたいって思うけど……
でも、にこちゃんの事も凄くすごく大事なの!」

にこ「……ことり……」


なんで私は、この子の事を苦手だなんて思ってたんだろ…。
こんな良い子の事を……。

……ううん、良い子過ぎるから苦手だったのかもしれないわね。
52: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 11:24:10.42 ID:lmD5aFn/.net
ことり「……私、あの時アイドル研究部に入って良かったよ。
にこちゃんと、一緒にアイドルやるのとっても楽しいもん!」

にこ「……な、何よ。照れるじゃない……!」


ことりは、私と親密になる代わりに、
穂乃果や海未との関係はギクシャクしちゃった…。
私も、ことりと仲良くなれたことは嬉しいけど……。


でも、本当に、これで良かったのかな……。


「……………………」


にこ「ッ……!?」

ことり「に、にこちゃん!?」

にこ「今、また……!」


また、あの『妙な視線』を感じた。
ある日から、度々感じる、『妙な視線』…。
何?誰か私らをコソコソ付け回してるの?
ま、まさかストーカー!?


にこ「……き、今日はそろそろ帰りましょ!
あんまり遅くなると危ないわ!!」

ことり「う、うん……。にこちゃん、ありがとう。」


そうお礼を言うと、ことりは私の右手を両手で強く握った。


にこ「わっ!!べ、…別にお礼なんて良いわよ!!」


私は、顔がニヤけるのを必死に押し殺した。
53: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 11:27:31.66 ID:lmD5aFn/.net
ことりと別れて家に帰る途中…、
ふと、希の事を思い出した。


にこ(あれ……そういえば、本来ならもうこの時期には、
私と希って顔見知りになってたハズよね……?
な、なんで今はほとんど接点無いのかしら……!?)


ことりが穂乃果や海未と疎遠になっただけじゃない。
私自身も、希との交流のキッカケを失っていた事に
ようやく気が付いた。


にこ(……そっか、確か希は……)


希『部員が一人だけだと、部活として認めることが出来ないみたいなんよ。
けど、矢澤さんがまだアイドル続けたいっていうなら、
ウチがなんとかごまかしといてあげるな♪
時間稼いどくから、はよ新入部員見つけるんやで!』


にこ(そっか……この世界では、希に頼らなくても大丈夫なんだ……)


確かに、アイドル研究部としてはこの上ないほどに順風満帆。
だけど、私の中でどんどん現状に自信が持てなくなっていった。

本当に……これで良かったのかな……?


にこ「……で、でも!まだ2年生だし!!
これから取り戻せばまた元通りになるわよね!
穂乃果も海未も!希も絵里もμ'sに入れば、
きっと全て丸く収まる……!!

そうよね、そうに決まってる……!」


鏡も無いのに自分の表情なんて、わかり様がないけれど…
今の私は、もの凄く弱々しく笑ってるんだと思う……。
70: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 13:47:16.20 ID:lmD5aFn/.net
【あなたの後悔】


季節は秋になって、新生徒会長には絵里が就任した。
当たり前の様な出来事が、この色々様変わりした世界だと
凄く安心しちゃうわね……。

μ'sはと言うと、相変わらずどんどん人気を増やしていって、
その頃大ブレイクし始めたUTXのA-RISEと
関東で人気を二分するまでになっていた。


部員A「凄いね、A-RISE……!今や全国区だよ……!」

部員B「私達も負けてられないよね!」

にこ「…….うん、そうよね!これからが本番だもの!
スクールアイドルのイベントもどんどん増えてきてるし、
来年には、物凄い大会も開かれるってウワサよ!!」


刻一刻と、近づいてくる「ラブライブ!」の存在……。
だけど、依然として今のμ'sに元のメンバーは
私と、ことりの2人しか居なくて……。
私は、焦りと不安に追われて毎日を過ごしていた。

そんな中……その知らせは舞い込んできた。


絵里「アイドル研究部の皆さん、おめでとう。
あなた達の活躍のおかけで、去年まで廃校になるかもしれなかった
この学校が、危機を脱する事が出来たみたいなの。
それで、理事長があなた達に新部室をプレゼントしたいんですって。」


部員一同「わあっ……!!」


……喜びの声を上げる他の部員達とは対照的に、
私は顔面から血の気が引くのを感じた。

ち、ちょっと待って……。
ここで、廃校免れちゃったら、穂乃果は……!?
71: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 13:50:29.42 ID:lmD5aFn/.net
希「アイドル研究部の他に、剣道部も今年の全国大会で好成績を
収めて、それも廃校阻止の追い風になったんやって!」


私には、その事実が追い打ちになった……!
ど、どどどどうしよう!これじゃぁ、穂乃果も海未も
μ'sに入ってくれないかもしれないじゃない!!


にこ「じ、冗談じゃないわよ!!」

<ガタッ!!>

部員A「えっ!?に、にこ!?」

部員B「ちょっと、にこちゃん!どこ行くの!?」


無我夢中で、私は部室を飛び出した。
と、とりあえず、もう一度穂乃果と話をしなきゃ……!!


「……………………」


にこ「ッ!!!!!!!」


…また、『あの視線』。


にこ「………誰よ。一体誰が私のことを付け回してるのよ!!
隠れてないで出てきなさいよ、卑怯者!!!!」

??「……卑怯者は、あなたの方でしょう?」

にこ「!!だ、誰!?どこにいるのよ!!」


辺りを見渡しても、誰かがいる気配が無い。
だけど、その声は、どこかで聞いたことのある声だった。

……そして、どこか寂しげな声だった。
72: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 13:52:17.71 ID:lmD5aFn/.net
??「あなたは、本来の自分を捻じ曲げてこの世界を作り上げた。
『μ'sの発起人』という立場を、高坂穂乃果から奪ってね。
それが卑怯じゃないなら、なんだっていうの?」

にこ「うっ……!で、でも私はμ'sをより大きくする為に……!!
……そうよ!この世界は私の理想の世界なのよ!!!
アンタに何がわかるっていうのよ!!」

??「……なら、どうしてあなたはそんなに不安そうな顔なの?
望み通りの世界になっているのに、何故そんなに焦っているの?」

にこ「そ、それは……!」

??「……この世界が望んだものだと言うのなら、
その結末を見届けなさい。
あなたが全ての誤ちを受け入れた時…。
私はあなたの前に姿を見せるわ。」

にこ「な……何言ってるのよ……!アンタ一体何者なのよ……!!」

「……………………」


それっきり、その『声』は聞こえなくなった。

誰だったのよ…一体……
ていうか、私がもう一度高校生活をやり直している事を知ってる…?


希「あの、や、矢澤さん?大丈夫?」

絵里「誰かと話していた様だけど……」

にこ「…………何でもないわ。ごめんなさい。」
73: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 13:54:00.62 ID:lmD5aFn/.net
12月。
秋葉原で東京初の、スクールアイドルの大会が開かれた。
ラブライブよりは規模が小さいけれど、
業界の注目が集まる大会だった。


司会「第一回、『東京スクールアイドルアワード!』
栄えある初代優勝チームは……!!」

「ごくっ………!」

司会「音ノ木坂学院、『μ's』の皆さんです!!!」


ワアアアアアアアアアアア!!!!!


部員B「にこちゃん!にこちゃん!!私達だよ!!!」

部員A「μ'sが……!μ'sが一等賞だよ!!!」

にこ「………う、うそ………ホント!?
ホントに……私達が!!??」

司会「そして、最優秀スクールアイドルに選ばれたのは
μ'sリーダー!矢澤にこさん!!!」


ワアアアアアアアアアアア!!!!!


にこ「ッッッッーーーー!!!」

ことり「すごぉぉい!!にこちゃん!おめでとう!!!」


し、正直信じられなかった……!!
わ、私が!?私がそんな凄い賞貰っちゃって、良いの!?
74: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 13:57:30.12 ID:lmD5aFn/.net
ツバサ「おめでとう、矢澤にこさん!
でも、次は負けないからね!」


A-RISEの綺羅ツバサが…私に握手を求めてる……!!


にこ「あ………ありがととうございましゅっ!!!」

部員C「おーい噛んでるよー、最優秀アイドルさーん!」

部員D「いよっ!トップスクールアイドル、矢澤にこっ!!」


にこちゃーん!!おめでとー!!
にこー!!大好きだよー!!
矢澤さーん!!おめでとぉー!!


鳴り止まない歓声……。
まだ、これが私に向けられたものだって信じられない……!!
でも……でも、これは現実なのよね……!!

……やっぱり、この世界は、私が望んだ『理想の世界』そのもの!!
私は……私は、間違ってなんか無かったんだわ………!!!


…………………なのに


ことり「…………にこちゃん……?」


……なんで……なんで寂しい気持ちが消えないの……?
87: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:21:09.84 ID:lmD5aFn/.net
私は、その後も何度も何度も穂乃果と海未を勧誘に行った。
けれど、当たり前だけど応じてもらえなくて…。
聞けば、穂乃果と海未は1年生にして剣道部のエースらしい。
全国大会出場も、穂乃果と海未の活躍あってこその結果なんだって…。

私は、目の前が真っ暗になった。
今や大人気スクールアイドルになれたっていうのに……。

そうこうしてるうちに、2年生も終わり、
とうとう3年生の、高校生活最後の4月がやってきた。


にこ「いっ…1年生……!まさかの5クラス編成…!?」

ことり「な、なんでも今年の受験者数、去年の2倍に増えたらしくて…」

にこ「……みんな、ゴメン!ちょっと私用事があるから、
入部希望の生徒の相手、お願い!!」

部員A「えっ!?ち、ちょっとにこ!!」


そんな…!
今年の1年生にまで、影響が及んでるなんて……!
とりあえず、あの3人をなんとしても入部させなくちゃ…!!


にこ「……今の時間なら、ひょっとしたら……!」


私は、1年生の教室の前にまず音楽室へ向かった。
88: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:23:56.01 ID:lmD5aFn/.net
音楽室へ行くと、思った通り。
綺麗なピアノの音が聞こえてきた。
ドアの窓から中を覗くと、よく見知った顔が
楽しそうにピアノを弾いてる。


にこ「真姫……!」

<ガララッ!>

真姫「っ!?だ、誰!?」

にこ「あっ、ゴメンなさい!あなた、1年の西木野真姫さんよね?」

真姫「………そうだけど……あなたは?」

にこ「私はアイドル研究部3年、矢澤にこよ!
アナタをアイドルグループ、μ'sに誘いに来たの!」

真姫「………なにそれ、意味わかんない」


くぅ~!これよこれ!なんか懐かしいやりとりだわ!!
なんて、真姫との感激の再会を喜んでいたのも束の間、
真姫から告げられた思いもよらない言葉によって、
私の目の前は更に真っ暗になった。


真姫「………悪いけど、私は勉強が忙しいから、
部活動をすることはできないの。ごめんなさい。」

にこ「………えっ?」

真姫「この学校、今年から新入生増加に伴って
進学クラスが出来たのよ。私はその生徒の中でも、
色んな大人達から期待されちゃってるの。
有名な医者の娘だからって事でね。
だから、部活動にかまけて学業を疎かにする事は出来ないわ。
たまにこうして、ピアノを弾くことくらいは出来るだろうけど…」


真姫が、何を言っているのか理解出来なかった。
部活動が出来ない…?そんな、そんな事って……!
89: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:27:03.82 ID:lmD5aFn/.net
にこ「………そんなの、勿体無いわよ!
アナタは凄い音楽の才能を持ってるのに!!」

真姫「えぇっ!?な、何を言ってるの?
なんで、アナタにそんな事がわかるのよ!!」

にこ「わかるわよ……!だって、ずっとそばで見て来たもの……!」

真姫「は、はぁ!?言ってる意味がよくわかんないわ…!
とにかく、私は部活動なんてやってる暇無いから。
他をあたってちょうだい。」

にこ「………嘘よ……なんで……なんでよ………!」


私は、泣きそうになるのを必死で堪えて音楽室を飛び出した。
こんなの絶対におかしい。

……そうだ、凛と花陽……!
あの二人がμ'sに入れば、まだ希望は……!!


ことり「あっ、にこちゃん!!大変だよぉ!!」

にこ「ことり!?ど、どうしたの!?」

ことり「アイドル研究部の入部希望者が多過ぎて、
今年は希望者の中から抽選で選ぶ事になったんだって!!」

にこ「………っ!?」


私の頭の中は、嫌な予感でおしつぶされそうになっていた。
90: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:29:10.69 ID:lmD5aFn/.net
アイドル研究部室に戻ると、多勢の入部希望者で部室の前が
大盛況になってた。
新入生だけじゃなく、在校生も居る。
全部でざっと、50人は居そう…!


にこ「すみません!ちょっと通して下さい!!」

新入生A「あっ!μ'sの矢澤にこちゃん!!」

新入生B「す、すごーい!!ホンモノだぁ~!!」

新入生C「すみません!あ、握手してもらって良いですか!?」

にこ「あああー!!ご、ゴメンありがとう!!
今ちょっと忙しいから、また後でね!!」

部員A「にこ!!どこ行ってたのよ!遅いようー!!」

部員B「今皆に順番で福引きやって貰ってるんだけど、
人が多過ぎて大変なのよー!」

にこ「ご、ゴメン!!あの、それで、
新入生の中に、栗毛のセミロングでメガネかけてる
大人しそうな女の子、見かけなかった!?」

部員C「え?さ、さぁ~?何せ、人が多過ぎて顔覚えてられないよー」

部員D「あ、その子かどうかわからないけど、
似た様な子がついさっき抽選ハズれて帰って行ったよ。」


にこ「……うそ……」
91: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:31:45.68 ID:lmD5aFn/.net
部室から慌てて飛び出して周囲を見渡す。
そして、今まさに曲がり角を曲がろうとしている
見覚えのある女生徒の後ろ姿を見つけた。


にこ「花陽ぉー!!!!」

花陽「ひぁっ!?」

にこ「見つけた……!あなた、小泉花陽さんよね!?」

花陽「あっ………あわわわ!!み、μ'sの矢澤にこさん!!??」

にこ「ご、ゴメン!突然名前呼び捨てたりして!
それより……、抽選外れたって、本当!?」

花陽「えっ………!………あ………」


力無く、花陽は頷いた。


にこ「………!だ、ダメよ!アナタはμ'sの一員になるの!」

花陽「……で、でも。抽選で外れちゃったから……」

にこ「そんなのナシよナシ!!私はアナタにμ'sに入って欲しいの!!」

花陽「矢澤さん………。」


もう、なりふり構ってられなかった。
ズルだろうがなんだろうが、この子を……
花陽を、なんとしてもμ'sに入れなきゃ……!!
93: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 15:34:24.74 ID:lmD5aFn/.net
花陽「………どうして、そんなに私を気にかけてくれるんですか…?」

にこ「えっ!?そ、それは……その……!」

花陽「………お気持ちは嬉しいですが、やっぱりズルはダメですよ。」

にこ「ッ………!で、でも……!」

花陽「……元から、私にアイドルなんて向いてなかったんです。
私、内向的で声も小さいし、自分から率先して前に出るなんてことも
出来ないし…。それでも、もしかしたら変われるかもと思って、
入部希望を出してみたけれど……。
運にも、見放されちゃいました。…えへへっ…….」


花陽は、力無く笑って見せた。


にこ「……そんな事……そんな事無いっ!!
アナタは……アイドルに必要な、大切な想いを持った子よ!!
私……、私は知ってるもの!!」

花陽「………ありがとうございます……。
矢澤さんの、その気持ちだけで十分、私は幸せです……!」


ペコリ、と頭を下げると、花陽はそのまま
私の前から去って行った。


……何を舞い上がってたんだろう……私は………


希との繋がりを捨てて……

ことり達の仲を引き裂いて……

花陽の夢を奪って……


にこ「ううっ………うあああああ………ッ!!!」


目から涙が溢れて止まらなかった。

私は……周囲の人の目も気にせずに声を上げて泣いた。
110: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 17:42:52.22 ID:lmD5aFn/.net
数日後、アイドル研究部は新入部員15名を加えて
新年度のスタートを切った。
他の部活も、それぞれ新体制で活動を始めていた。


生徒A「ねえ、知ってる?陸上部に凄い1年生が入ったんだって。」

生徒B「それ、変な語尾で喋る子でしょ?
めっちゃ脚速いらしいねー!」


放課後、廊下を歩いてる途中、そんな会話が耳に入った。
凛だわ。
でも、もう全部手遅れ。
私は…、私の作り直したアイドル研究部は、
元の『μ's』を修復不能になるまでバラバラに砕いてしまった。


ことり「あっ、に、にこちゃん。…どうしたの?
顔色悪く見えるけど…?」

にこ「………ごめん、ことり。ちょっと一人にさせて。」

ことり「えっ……、ちょっと、にこちゃん…?」


ことりにそう言って、私は屋上へと向かった。
113: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 17:47:49.69 ID:lmD5aFn/.net
屋上で一人、元の世界での練習風景を思い出しながら
私は立ち尽くして泣いていた。

何が、悪かったんだろう。
私はただ、アイドル研究部を、μ'sを、
より良くしようと頑張っただけなのに……!


にこ「……違う。そっか……μ'sって名前は……。」


今更、大切な事を思い出した。
μ'sって名前は、あくまで『9人の女神』の名前。
それを、私が勝手に使っちゃったりしたから、
本当の、『あのμ's』は、消えて無くなってしまったんだ…!


にこ「……私……バカだ……大バカだわ……。」

??「ようやく気付いたみたいね」

にこ「!?……その声は……!」


一時期、私を付け回していた『妙な視線』
そいつの声が、再び私の耳に響いた。


にこ「……出て来なさいよ。私は、間違いを全部受け入れたわ!
姿を見せる約束でしょ!?」

??「落ち着いて、とっくにあなたの後ろにいるわ。」

にこ「ッ!!」


振り向いた先に居たのは、私にとって信じられない人物だった。


にこ「…………わ、私………!?」


ニコ「そうよ。お久しぶり、矢澤にこ。」
116: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:00:43.88 ID:lmD5aFn/.net
【あなたの理想の場所】


にこ「な……なんで……!?なんで私がもう一人居るの……!?」

ニコ「落ち着いて。私はあなたであり、あなたでは無いわ。」

にこ「なに……何言ってるのか全然わかんない……
………あ、あれ?」


私の目の前に居るのは、確かに『私』
でも、ちょっとどこか様子がおかしい。
見た目がほんの少し、幼い様な……

あと、それ以上に気になる点が一つ。


にこ「……なんで、アンタ、1stライブの衣装を着てるの?
オマケに、それスカートが破けてるやつじゃない。」

ニコ「……そうよ。だって、私の時間はあの時から
止まったままだもの。」

にこ「……一体全体何がどうなってんのよ……」

ニコ「いい?落ち着いて聞いて。私は、あなたが
元の世界でアイドル活動を辞めた時に捨てた『理想の矢澤にこ』なのよ。」

にこ「……アンタが、私の理想!?ふざけないでよ!
私の『理想の私』が、そんな辛気臭い顔して破れたまんまの衣装に
身を包んでるわけ無いでしょ!?」

ニコ「そう、だから捨てられたの。あの時……。
あなたが一人ぼっちになってからの、最後のライブを終えた時に。
現実に打ちひしがれたあなたは『理想の私』を諦めた。」

にこ「………うっ……!!」
119: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:10:40.25 ID:lmD5aFn/.net
ニコ「……私は、捨てられた後も、あなたの事をずっと見ていた。
時には、部室の衣装部屋から。
時には、家の壁に貼られたポスターから。」

にこ「……ポスター……?」

ニコ「元の世界の自宅に貼ってあった、
雑なコラージュのポスターよ。」

にこ「ひっ……!あ、あのポスター、
アンタが取り憑いてたっての!?」

ニコ「あなたの夢の残骸という残骸、至る所に私は居るわ。」

にこ「……な、ナンマイダ~ナンマイダ~!!
早く成仏してちょーだい!!」

ニコ「落ち着いて。ユーレイじゃないから」

にこ「似た様なものじゃない!!そんで!?
なんでその理想の私とやらが姿を現したってのよ!
この世界とアンタ、なんの関係があるのよ!!」

ニコ「……わからない?私は『あなたが捨てた理想の矢澤にこ』であり、
この世界は、『あなたが捨てた理想の世界』なのよ。」

にこ「……!こ、この世界も、私が捨てた……理想……!?」

ニコ「そ。つまり、私とこの世界、
両方あなたの理想が生み出した存在なのよ。」


……マジ電波過ぎてついていけない……!
目の前に居るのが自分と同じ姿をしているって事が
どうでもよくなるくらいに意味がわからないわ……!!
121: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:17:37.22 ID:lmD5aFn/.net
ニコ「あなたが一度捨てた『この世界』に再びやってきた時、
私もまた、あなたに必要として貰えるって思ったの。
チャンスだとおもったわ。」

にこ「わ……私に必要として貰えるって……?」

ニコ「……私は、いつかあなたがまた私を拾ってくれるって、
そう想い続けてあなたを見てきた。
ひとりぼっちで過ごした2年生の時も…ずっと。
いつかまた、アイドルとして、『理想の矢澤にこ』である
この私を必要としてくれると信じて…。」

にこ「…………」

ニコ「でも、あなたは私を再び拾ってくれる事は無かった。
でも代わりに、また違う『矢澤にこ』が生まれたのよ。」

にこ「……また違う『矢澤にこ』……?」

ニコ「…今のあなた。『本来のμ'sの一員である矢澤にこ』よ。」

にこ「えっ……」

ニコ「……あなたは、私を必要としなくても、
輝ける場所を見つけたの。
正直……悔しかった。今度こそ、本当に私は
捨てられたんだと思ったわ。」

にこ「………………」
123: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:21:56.06 ID:lmD5aFn/.net
ニコ「……でもね、それ以上に嬉しかったのよ。
また、あなたの楽しそうな顔を見ることができて。
私は、あなたの理想だもの。あなたが、その理想を飛び越えて
新しい仲間達と一緒に、日に日に輝きを増していくのが
私は凄く嬉しかったの。」

にこ「…………アンタ………」

ニコ「……それなのに、あなたはそれを、この世界で壊してしまった。
μ's9人で作り上げた輝きを、その手で壊してしまったの。
私は……この世界のあなたを見てる時が、一番辛かった……。
…私も最初は、また陽の目を浴びれる事を期待していたけれど、
あなたがこの世界と、本来のμ'sの狭間で苦しんでいるのを見て、
耐えられなくなった…。」

にこ「……し、仕方ないじゃない!こんな事になるなんて
知らなかったんだもの!!そ、そりゃあ自分がオイシイ思いしたいって
気持ちも、確かにあったけれど……。でも!!
私は、元のμ'sよりもっと良くなる事を願って……!!」

ニコ「……でも、あなたは理想を追い求めながらも、
『本来のμ'sの一員である自分』に固執した。
その結果、あなたは『理想の世界』であるはずの
この世界を不安に思う様になったのよ。」

にこ「……そんな……」

ニコ「もう、気付いてるでしょ?理想通りの世界が
必ずしも『今のあなた』を幸せにするとは限らないのよ。」
124: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:27:36.93 ID:lmD5aFn/.net
にこ「……そんな……そんな事、今更言われたって……!
私は……私は………!」

ニコ「……元の世界に帰りたい?」

にこ「…………えっ?」

ニコ「帰れるわよ?元の世界。あなたは、今でも『9人のμ's』に固執して、
この世界の住人になりきれていないもの。」

にこ「……ほ、本当!?本当に帰れるの!?」

ニコ「ええ、でも、一つ条件があるのよ。」

にこ「……な、なによ、条件って……」

ニコ「あなたが、元の世界へ戻ったその瞬間、
この世界は『完全に無かったことになる』。
あなたが2年かけて作り上げた、この『理想の世界』に、
あなたは2度と戻ってくる事が出来なくなる。」

にこ「…………え………!?」

ニコ「……どう?それでも、元の世界に戻りたい?

仲間達と理想の高校生活を歩んできて、

南ことりっていう親友も出来て、

矢澤にこっていうアイドルが大人気になった、

この世界を捨ててでも、元の世界に戻りたい?」


にこ「…………………」
126: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:31:27.09 ID:lmD5aFn/.net
にこ「……………戻りたい……。
戻りたいわ!!私が、私が一番居たい場所は、
μ'sの、あの8人と一緒に居る世界だもの!!」

ニコ「……ふふっ…。あなたなら、そう言ってくれると思ったわ。」

にこ「……でも、ちょっと待って!お別れを言いたい人達が居るの!
例え、この世界が消えて無くなっちゃうとしても、
ちゃんとサヨナラを言いたい人達がいるの!!」

ニコ「…………。」

にこ「お願い、この世界の、大切な人たちにお別れを言わせて。」

ニコ「……ええ、良いわ。私はこの屋上で待ってるから。
用事が全部済んだら、またここへ戻ってきて。」

にこ「……ありがとう!!ひとっ走り、行ってくるわね!!」


正直、まだ「もう一人の私」が現れた事が信じられないけど…

今はそんな事、気にしてる場合じゃない!

私は……。私は、元の世界に戻りたい!!
また、μ'sの、あの8人と一緒にアイドルがやりたい!!

人気者じゃなくたって構わない!!
陰口叩かれたって良いわ!!

私は……、

私は、あの場所に戻りたい!!

だから、まず、この世界にちゃんとお別れをしなきゃ!!
129: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:40:16.66 ID:lmD5aFn/.net
にこ「ことり!!」

ことり「えっ、にこちゃん!どこに行ってたの……?」

にこ「そんな事より、私について来て!!」

ことり「えっ、ち、ちょっと!!にこちゃあん!!」


部室へ向かおうとしていたことりの手を掴んで、
私は2年生の教室へと直行した。


<ガララッ!バァン!!>


にこ「穂乃果ァ!!海未ィ!!!」

穂乃果「ふぇっ!?」

海未「なっ!?何です!?」

にこ「穂乃果!海未!!ちょっとこっち来なさい!!」

ことり「に、にこちゃん…?何を……」

穂乃果「や、矢澤先輩と…ことりちゃん!?どうしたの!?」

海未「こ、ことり…一体何があったのです……?」

にこ「いーから!3人とも!ちょっとそこ並びなさい!!」


私は穂乃果と海未の手を強引に引っ張って、
ことりの両サイドに並ばせた。


ことり「ふえええー!?に、にこちゃん!?」
130: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 18:42:45.36 ID:lmD5aFn/.net
にこ「………ほらね。ことり、やっぱアンタにはソコがお似合いよ。」

ことり「………えっ。」

穂乃果「や…矢澤先輩……?」

にこ「穂乃果。海未。今まで、ことりの事を独占してゴメンね!
この子、ずっとアンタらと一緒に遊びたかったのよ。」

海未「………ことり……そうなのですか……?」

ことり「に……にこちゃん……」

にこ「ことり、アンタはもう私に気を使わないで
自由にやんなさい!剣道部の試合も見に行ってあげなきゃダメよ!」

ことり「………にこちゃん……ごめん……ごめんね……!」

穂乃果「……わ、私も!ことりちゃんと遊べなくて寂しかった!
ゴメンね…!これからは、また3人の時間も作ろうね…!」

海未「………私も……、ことりとずっと話がしたかったです……。
ことり、やっぱりあなたがいないと私は………!」

ことり「うん……うん……!
ありがとう、穂乃果ちゃん。海未ちゃん…!」

にこ「………仲良くやんなさいよ。3人とも。
……アッチの世界に戻ったら、またヨロシクね。」

ことり「………えっ、に、にこちゃん……?」

にこ「………バイバイ、ことり。」
141: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:23:23.81 ID:lmD5aFn/.net
ことりに別れを告げて、再び私は走り出す。
次は、アイドル研究部室。


部員A「あっ、にこ!遅いよう!!」

部員B「皆もう待ちくたびれちゃったよ!?」

にこ「ゴメン!ちょっと、アンタら2人だけに話があるの!
時間貰える!?」

部員B「えっ……?」

部員A「は、話って……?」

にこ「いーから!ちょっと廊下出て!」


2人を部室から出して、私は深々と頭を下げて言った。


にこ「…他の皆にも話すと、大混乱になっちゃうから…。
アナタ達だけに話すわね。」

部員A「どっ、どうしたの?にこ……。」

にこ「……ゴメン!!2人とも!!
私……もう皆と一緒にアイドル出来なくなっちゃったの!!」

部員A「……えっ、えええっ!?」

部員B「な、なんで!?突然どうして!?」

部員A「て、転校しちゃうとか!?」

にこ「……ま、まあ、似たような感じなんだけど……。
遠くの場所へ行かなきゃいけなくなったの…!
だから、2人にお別れを言いに来たの!」

部員B「……そ、そんな……突然すぎるよぉ……。」
143: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:30:38.70 ID:lmD5aFn/.net
にこ「ゴメン……。でも、私もう行かなくちゃ!
……こんな急なお別れで、本当に申し訳ないんだけれど……!」

部員A「えっ、もう行っちゃうの!?」

部員B「そんな…お別れすらゆっくり出来ないなんて…」

にこ「………本当にゴメン。私の、好き勝手に巻き込んで
散々振り回しておいて、酷いとは思うけど……。
でも、私、どうしても行かなきゃいけないの!」

部員A「………にこ、じゃあ最後にひとつ、聞かせて?」

にこ「………なに?」

部員A「私たちと、アイドルやれて、楽しかった?」

にこ「えっ…………」

部員B「……にこちゃん……」


にこ「……………当たり前よ……!
凄く、凄く楽しかった……!!
アナタ達と一緒にアイドルやれた事、私一生忘れない!!」


部員B「……そっか!それなら、行く前にちょっと待って!」

にこ「………え?」
144: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:32:11.63 ID:lmD5aFn/.net
部員B「………はい。コレ!
持って行って。1stライブの衣装!」


そう言って、大きな紙袋を差し出された。


にこ「………これ、持って行っちゃって良いの!?」

部員A「あったり前でしょ!にこの衣装だもの!」

にこ「………あ、ありがとう!絶対大事にするね!!」

部員B「………私も、にこちゃんとアイドルできて、楽しかったよ!」

部員A「私も……ありがとう、にこ!」

にこ「………うん………!!私こそ、ありがとう………!!」

部員B「新しい場所でも、アイドル続けてよね!
絶対見に行くから!!」

にこ「うんっ………!!絶対!!約束する……!!」

部員A「ほら、泣かないで!またきっと会えるから……!」

にこ「………うん………わかってるわよぉ………!!」


2人に別れを告げて、私は再び屋上へと向かった。
147: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:41:26.91 ID:lmD5aFn/.net
【あなたが飛べる場所】


再び屋上の扉を開けると、驚くほど豪華なステージが
視界に飛び込んできた。


にこ「なっ……!なにこれ!!一体いつの間にこんな……」


……でも、この光景、私知ってる……。
豪華なステージの周りに、いろんな色の風船がたくさん飾られてて……


にこ「……あっ……」

ニコ「……思い出した?」


そっか。そうだわ。このステージ…。
私の為に、μ'sの8人が用意してくれたステージだ……。


ニコ「さっ、衣装に着替えて、ステージに上がって。
そうすれば、あなたは元の世界に戻れるわ。」

にこ「えっ……衣装って……?」

ニコ「その手に持ってるじゃない」

にこ「!!こ、これ!?これ着なきゃいけないの!?」

ニコ「あら、嫌なら良いわよ?元の世界に帰れないけど。」

にこ「………わかったわよぉ……!ち、ちょっと向こう向いてて。」
148: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:43:18.54 ID:lmD5aFn/.net
ニコ「…ふふっ、恥ずかしがること無いのに。自分同士なんだから。」

にこ「いーから!!こっち見ないでよっ!!」

ニコ「はいはい、わかりました♪」

にこ「……ったく……。ん?あれ?」


これ……確かに1stライブの衣装って渡されたはずよね……?
でも、中に入ってたのは………


ニコ「………うん、すっごく可愛いわよ、にこちゃん!」

にこ「………この衣装も……、あなたが用意したの?」


1stライブの衣装だと渡された紙袋の中には……

このステージ用に、絵里と希が作ってくれた
天使の様な羽が付いたステージ衣装が入っていた。


ニコ「さっ、ステージに上がって。
ここは、あなたの為のステージよ。」

にこ「う、うん………」
149: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:45:39.72 ID:lmD5aFn/.net
もう一人の私に言われるがまま、私はステージの上に上がった。


にこ「……アンタは?アンタはどうするの?
一緒に元の世界に戻らないの?」

ニコ「……わかってるでしょ?私は、そのステージには上がれない。
『μ's』として輝くことが出来るのは、あなただけなのよ。」

にこ「で……でも!アンタも私なのに……!
わ、私だけそんな良い想いをするのは……。」

ニコ「…私が向こうの世界に行ったって、居場所なんて無いわ。」

にこ「……ご、ごめんね。一緒に連れて行けなくて……」

ニコ「ううん、それで良いのよ。あなたは、私が行きたかった場所へ
行くことが出来る。μ'sの皆と一緒にね。
私は、それが一番嬉しいんだから……。」

にこ「……でも、アナタの想いは……、
全部、連れて行くわ…。
大事な…、大事な私の『思い出』だもの。」

ニコ「…………ありがとう。その言葉だけで、私は十分よ。」


もう一人の私の頬に、涙が流れた。
150: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:48:42.58 ID:lmD5aFn/.net
ニコ「それじゃ、元の世界へ戻る方法を教えるわね。
それは、『ある呪文』を唱えるのよ。」

にこ「ある、呪文?なにそれ、どんな呪文?」

ニコ「あなたは、それをもう知っているわ。
あなたにとって、大切な言葉。
あなたが、この世界に来て、一度も言ってない言葉……。」

にこ「……あ……」


そっか……そうだった。
私……こっちの世界で、本来の自分を曲げて
アイドル活動してたせいで、あの言葉を言わなくなってたんだ……。


にこ「……うん、わかった。やってみるね。」

ニコ「……これで本当にお別れね。にこ。
もう二度と、私に会っちゃ駄目よ。
今のあなたを大切にしてね。」

にこ「……ありがとう、ニコ。」


私は大きく深呼吸して、今まで生きてきた中で
一番の大声を振り絞って、『その言葉』を叫んだ。


にこ「にっこにっこにーーーーーーー!!!!!!」
152: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:50:55.07 ID:lmD5aFn/.net
私が叫んだ瞬間


周りに飾られていたいくつものカラフルな風船が


空へ舞い上がって行った。


そして、最後にピンク色の風船を見送ったところで、


辺りが凄く眩しい光に包まれた。



ニコ「さよなら、にこ。」



周りの景色一面が真っ白になるくらいの光の中で、



もう一人の私は優しく笑っていた。
154: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:55:39.48 ID:lmD5aFn/.net
【私の理想の場所】


気がつくと、私はどこかのベッドの上だった。

私の周りには、私が良く見知った、
私が凄く会いたかった人達が、
目玉が飛び出るんじゃ無いかってくらいに、
驚いた顔をしてこっちを見ていた。


にこ「……あれ?みんな、どうしたの?」


私はというと、何故か「にっこにっこにー」のポーズをとっていた。


穂乃果「…………にっ………にこちゃん……
にこちゃんが起きたあああああ!!!」

にこ「うわっ!!き、急に大声出さないでよ!!
びっくりするじゃない!!」

真姫「急に大声出したのはにこちゃんの方じゃない!!!」

希「さっきまで、ウンともスンとも言わんかったのに、
突然「にっこにっこにー!」って叫ぶんやもん!!!」

にこ「………えっ……?い、一体何がどうなってんの!?」
155: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:57:47.12 ID:lmD5aFn/.net
海未「ここは病院です。にこ、あなたは3日間も
意識不明のまま眠っていたのですよ?」

ことり「そうだよ…!階段から転んで落っこちちゃって、
そのままずっと眠ってたんだよ…?ぐすっ…」

にこ「………あ……。」


ああ………そっか。
私は、やっぱり夢を見てたのね。

……そりゃそうよね。高校生活を最初からやり直すなんて……
夢でもなければ、説明がつかないわ。
現実の世界では、たった3日しか経ってなかったなんて。

だけど……


にこ「…………みんな、私のことを心配して
集まってくれてるの?」

絵里「なに言ってるのよ!当たり前じゃない!!」

花陽「もう起きないんじゃないかもって、私心配で心配で…!!」

凛「で、でもにこちゃん、起きてくれて良かったよぉ~!!」
156: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 19:59:29.94 ID:lmD5aFn/.net
穂乃果「にこちゃん、まだ痛いとこ無い?」

海未「あまり無理をなさらないで下さいね?」

ことり「にこちゃん、ごめんね……私、わたし……!」

真姫「ま、まあ。無事で何よりだわ。早く元気になりなさいよね!」

凛「今度からは、階段で走っちゃダメだよ!」

花陽「でも、大きな怪我とかが無くて、ホントに良かったぁ…!」

希「にこっちが完全復帰したら、皆でお祝いパーティ開こな!」

絵里「早く退院して、また皆でラブライブ目指して頑張りましょ!」



にこ「………皆……………!!


………ひっぐ……えぐっ………


………うわああああああああん!!!!!」

ことり「に、にこちゃん!!どうしたの!?」

穂乃果「まだどこか痛むの!?」


にこ「………良かった………!!良かったよぉ………!!!」
158: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:02:27.49 ID:lmD5aFn/.net
こうして、私は元の場所へ戻ってくる事が出来た。


……って言っても、アレは夢の中の出来事で、
単に目を覚ましたってだけなんだけど……


でも、私にとっては、夢でも現実でも、

同じくらい大事な出来事で、

今、また。

こうしてμ'sの皆と一緒に居られることが
本当に嬉しかった。


幸いな事に、私は意識を失っていた事以外は、
ほとんど無傷で済んだ。

お医者さんの話によると、すぐにでも退院できるらしい。


………そう、だから。


すぐにまた、学校に戻ることができる……!

すぐにまた、μ'sの皆と一緒にアイドル活動ができる……!!
160: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:05:01.41 ID:lmD5aFn/.net
退院してすぐ、次の日には普通に登校した。

学校は、当たり前だけど全く変わりはなく……、

私も、いつも通りに朝一で部室へ向かおうとしたんだけど、


「矢澤さん」


聞き覚えのある声に呼び止められた。


元部員A「あ、あの……矢澤さん。退院、おめでとう……」

にこ「………あ、ありがとう……」

元部員B「……その、この前はごめんなさい……。
私達が陰口言ってたせいで、あんな……。」

にこ「……気にしないで良いわ。アレは私の不注意だもの。」

元部員B「……でも……!」

にこ「……それに私の記憶では、アンタらは
特に何も言わずに相槌打ってただけな気がしたけど?」

元部員A「……でも、否定しなかったら、陰口と一緒だよ……。」
161: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:06:30.65 ID:lmD5aFn/.net
にこ「……めんどくさいわねぇ。別に良いじゃない。
私が良いって言ってんだから、ラッキー!くらいに思ってれば」

元部員A「……矢澤さん、なんか変わったね……。」

にこ「…そうかしら?」

元部員B「……ねえ、矢澤さん。今、アイドル活動、楽しい?」

にこ「……………そうね。楽しいわ。当たり前じゃない。」

元部員A「……そっか。そうだよね。
あんなに良い人達と一緒なんだもん。」

にこ「なに言ってんのよ。アイドル活動は、今も昔も、
私にとってはずっと楽しいわよ!」

元部員A・B「……………!!!」

にこ「…私、アナタ達と一緒にアイドル活動出来た事、絶対忘れない。
ちょっとの間だったけど、アナタ達と一緒に活動出来て、
私は嬉しかったわ。」

元部員A「……………矢澤さん……!」

元部員B「……ありがとう……!」

にこ「……ねえ、良かったら二人とも、今度のラブライブ最終予選
見に来てよ!」

元部員B「………うん!!もちろん!!」

元部員A「絶対……絶対応援に行くよ!!」

にこ「………ふふっ。絶対、約束よ!!」
166: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:12:08.57 ID:lmD5aFn/.net
元部員の二人と別れて、私は部室へと向かった。

今日は何をしようかな。


穂乃果と一緒に熱苦しく特訓でもしようか?

海未の作詞にあれこれ意見言ったり、

花陽と一緒にアイドルの話で盛り上がったりもしたいわね。

真姫をからかいながらピアノを聴くのも良いし、

絵里にダンスレッスンをつけて貰うのもアリだわ。

凛と一緒に思いっきり走り回るのもたまには良いかもしれないし、

希と一緒に悪ふざけに興じるのも悪くない。


でも、私が一番最初にやらなきゃいけないのは………


にこ「こっ、ことり!!」

ことり「あっ!にこちゃん!おはよう!!
もう具合は良いの?」

にこ「え、ええ!おかげさまで、この通りピンピンしてるわ!」

ことり「よかったぁ♪じゃあ、今日からまた一緒に練習できるね!」
167: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:14:35.26 ID:lmD5aFn/.net
にこ「あっ……あのね、ことり……その、

………この前は………ごめん。私、言い過ぎたわ。」

ことり「えっ…………?

………あっ、ああ!
そんな、気にしないで!私こそ、にこちゃんの気持ちも知らないで、
好き勝手言っちゃってゴメンね。」

にこ「………そ、それでね。あんな事言った後で、
虫がいいとは思うんだけど…お願いがあるの。」

ことり「……?なぁに?お願いって。」

にこ「……い、一度断っといてなんだけど……。
この衣装、やっぱりことりに直して欲しいのっ!」

ことり「……えっ……」


私は、スカートの破れた私の1stライブの衣装をことりに差し出した。

………やっぱり、流石のことりも怒るかしら……?

そんな風に内心ビクビクしてると、ことりの表情が
パアッと明るくなった。


ことり「もちろんだよ!私に直させて!!」

にこ「……ことり………!ありがとう……!」
169: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:18:11.94 ID:lmD5aFn/.net
ことり「……えへへ♪にこちゃんが私の事、
個人的に頼ってくれて嬉しいな♪
でもどうして急に、この衣装を直す気になったの?」

にこ「……この衣装は、私の大切な友達の衣装なの。
出来れば、誰にも触らせたくなかったんだけれど、
ことりになら任せられるわ。」

ことり「…えっ?これ、元々にこちゃんの衣装だったんじゃないの?」

にこ「うん、私の衣装よ。」

ことり「……んん?……どういうこと?
にこちゃんの他に、この衣装の持ち主が居たってこと?」

にこ「……ふふっ。それはヒミツ♪」


……あのもう一人の私には、もう出会えないけれど、
あの子の想いは、ちゃんと『こっち』に、持ってこれている。

あの夢の中での出来事を話したら、ことりはどう思うかしら?


ことり「むぅ~!もうズルいよぉ~にこちゃーん!教えてぇ~!」

にこ「だーめ!ちゃんと直したら教えてあげるわ♪」


私とことりは、そんな会話を交わして、

なんだか可笑しくなって、向かい合いながら二人でしばらく笑っていた。


ーENDー
171: 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2014/09/15(月) 20:19:39.49 ID:lmD5aFn/.net
読んでくれた人ありがとうございました
凛ちゃん、影薄くてごめん
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

『矢澤にこが高校生活を最初からやり直せるSS』へのコメント

コメントの投稿には初回のみDisqusへのアカウント登録が必要です。Disqusの登録、利用方法を参考に登録をお願いします。
表示の不具合、カテゴリーに関する事等はSS!ラブライブ!Disqusチャンネルにてご報告下さい。