穂乃果「穂乃果は飽きた」

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穂乃果-アイキャッチ2
1: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:25:20.08 ID:MAfiVdg6.net
――『穂むら』 居間

穂乃果「飽きた」

雪穂「何が? このおまんじゅう?」モグモグ

穂乃果「ちがうよー。私は穂乃果に飽きたの!」

雪穂「え? いきなり何言ってんのお姉ちゃん」

穂乃果「あのね、私はもう毎日毎日『高坂穂乃果』やるの正直飽きたんだよー。たまには他の人になりたいの!」

穂乃果「リーダーとか生徒会長とか! 私より向いてる人がいると思う!」

穂乃果「だから『高坂穂乃果』は他の人にゆずって、穂乃果じゃない別の人になりたい!」

元スレ: 穂乃果「穂乃果は飽きた」

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2: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:25:47.82 ID:MAfiVdg6.net
雪穂「わけわかんないよ。そもそも他の人にって……なれるわけないじゃん……」

穂乃果「なれるよ! なろうと思えば何にだってなれる!」バン!

雪穂「わっ! いきなりテーブル叩くのやめてよびっくりするじゃん!」

雪穂(ヤバい……お姉ちゃんが壊れた)

雪穂「お姉ちゃんスクールアイドルと生徒会で疲れてるんだよ、きっと。毎日遅いし。ね、今日はもう寝よ?」

穂乃果「はー……考えてみればμ’sってみんな魅力的な子ばっかりだよねー! なりたいって憧れるのは自然なことだよ」

雪穂「聞こうよ妹の話」

穂乃果「なーなななーななーりたいなー!」

雪穂「それお姉ちゃんの歌じゃないでしょ?」

穂乃果「だって可能性感じたんだ!」

雪穂「自分の歌ならいいってものでもないよ!?」

穂乃果「そうだーススメー! よーし! そうと決まれば早速行動だよ!!」ダッ

雪穂「あっ!? お姉ちゃん!? ……行っちゃった……」
4: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:26:54.56 ID:MAfiVdg6.net




テクテク

穂乃果「さて張り切って飛び出してきたものの。どうしよう」

穂乃果「うーん……」テクテク

穂乃果「流石にこんなお願いを叶えてくれそうな人はいないよね。神様でもなければ……、あ」

穂乃果「そうだ! 困った時の神頼みだよ!!」
5: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:27:32.73 ID:MAfiVdg6.net
――神田明神

希「ん? ああ、穂乃果ちゃんやん」

穂乃果「希ちゃんやっほー!」

希「やっほー。穂乃果ちゃんはいつも元気やねぇ。今日はどうしたん?」

穂乃果「あ、うん。神様にお願いしようかなーって思って」

希「お願い?」

穂乃果「うん! ちょっと大変なお願いなんだけど、神様ならもしかしてって思ったんだ」

希「ふーん? よくわからないけど、お参りするなら歓迎するよー」

希「穂乃果ちゃんのお願いが何かは分からないけど、叶うとええね」

穂乃果「ありがとー希ちゃん! よーし気合入れてお願いするぞー!!」

希「ふふ、がんばってなー」
7: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:29:13.14 ID:MAfiVdg6.net
穂乃果「……よし! 気合入れていくぞー!」

穂乃果「お賽銭お賽銭……。うーん……よし! ここは奮発して……! えーい!!」500円玉

チャリーン

ペコ ペコ パン パン

穂乃果「ランチパック買おうと思ってとっておいた穂乃果のお小遣い! 神様これでどうかどうか……!」

穂乃果「穂乃果のお願いを聞いてください……!」

ペコリ

穂乃果「……」

シーン

穂乃果「…………」

シ――ン

穂乃果「………………やっぱりだめかぁ」
9: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:31:15.08 ID:MAfiVdg6.net
穂乃果「ちょっと期待はしてたんだけどなー。……ん?」

ヒラリ ヒラリ

穂乃果「あれ? 何か落ちてくる。何だろう……よっと」パシ

穂乃果「紙……?」

穂乃果「なんかおふだみたいだけど。うーん、変な模様みたいな字みたいなのが書いてある……でも読めないや」

ピラ

穂乃果「あ、裏にも何か書いてある……ええと」

『このおふだを まくらのしたにおいてねると あなたがなりたいと おもっているひとに なることができます』

穂乃果「なりたい人に……なれる?」
11: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:36:41.86 ID:MAfiVdg6.net
――『穂むら』

ガララ

穂乃果「たっだいまー!」ドタドタ

雪穂「あ、お姉ちゃんおかえり。ねえさっきの話だけど」

穂乃果「雪穂ごめんねー! 今から私寝るからー!」ダダダダ

雪穂「寝るっ!? た、確かにそう言ったけど!! もう!?」

穂乃果「それじゃ雪穂、起こさないでねー!!」

雪穂「えっ? あっ!? おねえちゃん!? 夕飯はーっ!?」

ガチャバタン

穂乃果「よっし! 寝るぞー!」

穂乃果「えっと、このおふだを枕の下に入れて……」ゴソゴソ

穂乃果「おっと着替え着替え。そしてカーテンを閉める!」シャッ
13: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:38:53.71 ID:MAfiVdg6.net
穂乃果「よーし準備万端! おやすみ~……」

穂乃果「えへへ……。次に目が覚めたら『穂乃果』じゃない新しい私かぁ~……。わくわくしちゃうね」

穂乃果「確か、私が『なりたい』と思ってる人になれるんだよね」

穂乃果「なりたい人、かぁ。でも改めて考えると、誰だろ……。やっぱりμ’sのメンバーかなぁ」

穂乃果「でも、それだけでもみんな魅力的で……私にはないもの、いっぱい持ってて……すごく素敵で……ふぁ……」

穂乃果「なってみたい、なぁ……。みんなに……」ウトウト

……………zzz
14: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:39:53.16 ID:MAfiVdg6.net




……!

(ん……)

……! ……さ………!!

(んぅ……なに……)

…………り! お……く…………い!

(誰……ねむいよ……)

こ……り! ……きて……く……だ……!

(この声……海未ちゃん? なんで……穂乃果の部屋に……? それに……)

……こと……! 

(誰かのこと呼んでるけど……もうちょっと寝てたい……)

海未「……起きてくださいっ!! ことり!!!!」
15: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:42:35.36 ID:MAfiVdg6.net
「うわぁっ!?」ガバァ

海未「ひゃっ!! ……ふぅ、ようやく起きましたか」

「海未ちゃん! いくらなんでも耳元でそんな大声出されたらびっくりするよ!」

海未「あ、すみません……。ことりが全く起きる気配がなかったので……」

「そうなんだ……。あれ? 海未ちゃんだけでなくことりちゃんまでいるの?」

海未「……? いるじゃないですか。まだ寝ぼけているのですか? まったく、居眠りなんてらしくないですよ」

「ふぅん? ことりちゃん居眠りしてたんだ?」

海未「え? ええ。確かに珍しいですよね。疲れでも溜まっていたのですか、ことり?」

「ねぇ海未ちゃん。海未ちゃんも疲れてるんじゃないの? ことりちゃんと間違うなんてさ」

海未「……これはかなり重症のようですね。ことり、今日はもういいですから、早めに帰って休んでください」

「そうだよことりちゃん! よくわかんないけど無理しちゃだめだよ?」

海未「…………あの、ことり」

「そう言えば、なんでさっきから海未ちゃんは私のこと見ながらことりちゃんって言うの?」

海未「え、あの……だって貴女が、南ことりじゃないですか」
16: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 22:45:17.34 ID:MAfiVdg6.net
「……あ、あはは。もう、海未ちゃんが冗談なんて言うと思わなかったからびっくりしたよ?」

海未「いえ、冗談でもなんでもないのですが」

ことり「ま、まだ言うの? 私がことりちゃんだなんて……そんなはず……」

(窓に映る私……じゃなくてことりちゃん……)

ことり「え」

海未「あの? どうかしましたか?」

ことり「……もしかして、私、ことりちゃんになってる?」

海未「…………もしかしても何も、貴女はことりですが」

ことり「…………」

海未「こ、ことり?」

ことり「えぇぇぇぇ!? ど、どういうことぉ――――っ!?」
18: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/19(日) 23:06:00.27 ID:MAfiVdg6.net
海未「…………」ジーッ

ことり「はっ!?」

海未「ことり」

ことり「な、なに海未ちゃん!?」

海未「変なことを聞きますが。……貴女、ことりですよね?」

ことり「あ、ええっと。あはは……。や、やだなぁ。どこからどう見てもことりだよ?」タラリ

海未「そうですか? そうですよね……」

ことり「そ、そうだよ! そうに決まってるじゃん!!」タラタラ

海未「? やはり……どうにも今のことりと話していると、違和感がぬぐえないのですが……」

ことり「そ、それは海未ちゃんの気のせいじゃないかなぁ~」ダラダラ

海未「そうでしょうか。どうにも、今のあなたは南ことりというよりも……別の誰かを感じさせるような」

ことり?「だ、誰かって……? 私、じゃなかった、ことりが別の誰かのはずないよぉ?」

海未「ええ、分かってます。分かっているのですが……」ジィー

ことり?「ね、ねぇ海未ちゃん。あんまり見られると気になるんだけど」

海未「あ、すみません。ですがやはり今日のことりはどこか……そう、まるで中身が別の人のような……」

ことり?「あ、あははは……な、何を言い出すの?」ダラダラダラ

海未「そう言いながらも、顔色がよくないようですが? ことり」

ことり?「う」

海未「……正直に話した方が、いいのではないですか?」

ことり?「あっ! わた、ことり用事があるんだった! 急いでいかないと!」バッ

海未「あっ!? ことり!?」

ことり?「海未ちゃんごめんねーっ! またあとでーっ!!」ガチャ ダダダダッ

海未「あっ、待ち…………行ってしまいました」

海未「ことり、何かあったのでしょうか……」
29: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 09:19:02.57 ID:VVCH+/OD.net
――トイレ

パタン

ことり?「はぁ、はぁ、はぁ……は――っ」

ことり?「思わず逃げ出してきちゃったけど……こ、ここまで来れば一安心、かな」キョロキョロ

ことり?「あ、鏡。さっきは驚いてあんまりちゃんと見れなかったけど……」ヒョイ

ことり?「わぁー! すごい、本当にことりちゃんだ……!」

ことり?「ことりちゃん、髪長いよねー。この髪型も似合ってるし。すごい、さらさら……」

ことり?「ほっぺたもぷにぷにだぁ……」ペタペタ

ことり?「くるっとくるっと回ってみたりして」クルクル

ことり?「……やっぱりかわいいなぁ」

ことり(穂乃果)「そっかぁ。今は私――穂乃果じゃなくて、ことりちゃんなんだ……」

ことり(穂乃果)「じゃあ、あのおふだ……本当に本物だったんだ……」

ことり(穂乃果)「ふーむ」

ことり(穂乃果)「やんやんっ、おくれそうですっ♪」

ことり(穂乃果)「穂乃果ちゃんっ♪」ニコ

ことり(穂乃果)「えへへ……なんか自分のはずなのに自分じゃないから、照れるね」

ことり(穂乃果)「あ、そう言えば、ここ、音ノ木だよね……。どう見ても穂乃果の部屋じゃないし」

ことり(穂乃果)「私、自分の部屋で寝てたはずなんだけど……どうしてなんだろう?」

ことり(穂乃果)「もしかして……夢なのかなぁ」ツネリ

ことり(穂乃果)「いたた」

ことり(穂乃果)「痛かった……じゃあ、夢じゃないのかな?」

ことり(穂乃果)「あ、ことりちゃんのほっぺが赤くなっちゃった」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんねことりちゃん!? って今は私だっけ」

ことり(穂乃果)「……」

ことり(穂乃果)(ちょっと涙目でこっちを見つめてくることりちゃん、可愛いかも……)ドキドキ
32: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:38:46.59 ID:VVCH+/OD.net
ことり(穂乃果)「はぁー…………満足したぁ!」

ことり(穂乃果)(なんだか楽しくなってきて、いろんなポーズとったり、いろんな表情してみたりしちゃった)

ことり(穂乃果)「写真に残せなかったのが残念だよお」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんに知られたら怒られるかなぁ? で、でも大丈夫だよね! 今は私がことりちゃんなんだし!!」

ことり(穂乃果)「……後で何か御馳走しよう……うん。だからもうちょっとだけ、ことりちゃんを楽しんでもいいよね?」ビクビク

ことり(穂乃果)「うん。そうしよ。けってーい」

ことり(穂乃果)「さてとーあとは」

ことり(穂乃果)「んー……ことりちゃんになったわけだけど、いざなってみると……どうしようかな?」

ことり(穂乃果)「せっかくだしライブ……って言ってもいきなりは無理かなぁ。うーん……」

ことり(穂乃果)「いざなってみると、意外と思いつかないね」

ことり(穂乃果)「ゆっくり考えよっと」

ことり(穂乃果)「そうだ、慌てて海未ちゃんからも逃げちゃったから、さっきの説明もしておかないと……」

ことり(穂乃果)「でもどう言えばいいんだろう。『あのね海未ちゃん、私、ことりちゃんじゃなくて穂乃果なんだ!』」

ことり(穂乃果)「……こんなこと言っても信じてもらえそうにないよぉ……」

ことり(穂乃果)「誤魔化したままの方がいいのかなぁ。『ごめんね海未ちゃん。やっぱりちょっと寝ぼけてたみたい』とか」

ことり(穂乃果)「でもことりちゃんの振りをしてみんなをだまし続けるのも、なんだか……」

ことり(穂乃果)「あ。そう言えば今は私がことりちゃんってことは、本当のことりちゃんと、穂乃果はどうなってるんだろう?」

ことり(穂乃果)「うむむ……でもこんなこと、誰にも聞けないよねぇ」

「あっ、ことり?」
33: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:41:50.13 ID:VVCH+/OD.net
ことり(穂乃果)「えっ?」

絵里「こんなところでどうしたの?」

ことり(穂乃果)「あ、絵里ちゃん。うん、ちょっとね」

絵里「海未が探してたわよ? いきなり生徒会室を飛び出していったからって。……大丈夫なの?」

ことり(穂乃果)「そ、そっか。大丈夫。ごめんね、絵里ちゃんにも心配かけちゃって」

絵里「いいのよ。ことりに何もなければそれで」

ことり(穂乃果)「えへへ……ありがとう」

絵里「うふふ、どういたしまして。元と現生徒会長同士じゃない? 私がことりのことを気にするのは当たり前よ」

ことり(穂乃果)「あ、うん……? って、ちょっとまって。現生徒会長って……? 私のこと?」

絵里「そうよ。それ以外にいないでしょ?」

ことり(穂乃果)「な、なんで分かったの!? だって今の私はことりちゃんなんだよ?」

絵里「……何言ってるの? 分かるも何も、現生徒会長はことり、貴女だけでしょ」

ことり(穂乃果)「……え」
34: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:43:13.32 ID:VVCH+/OD.net
絵里「忘れたの? 私の後の生徒会長は、南ことり、ってちゃんと決まったじゃない」

ことり(穂乃果)「あ、そうなんだ? ……じゃなくて! そんなはずないよ!」

絵里「そんなはずない?」

ことり(穂乃果)「そうだよ! ことりちゃ……ことりは確かに生徒会だけど、会長はわた……じゃなくて穂乃果ちゃんでしょ!?」

絵里「穂乃果って……ええと、あなたの友達のことかしら?」

ことり(穂乃果)「……え? 穂乃果だよ? 高坂穂乃果! 絵里ちゃん知ってるでしょ!?」

絵里「あら、違った? ごめんなさい。私、その高坂さん?とはあまり話したことないから……」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……、何それ……だって絵里ちゃんと私は……」

絵里「ことりの友達なら、その子も海未みたいに生徒会に入ってくれればよかったんだけど。まあ、仕方ないわね。無理強いはできないもの」

ことり(穂乃果)「ま、待って待って……穂乃果、生徒会に入らなかったって……絵里ちゃんともあんまり話してないって……」

絵里「ことり、大丈夫? 真っ青よ?」

ことり(穂乃果)「なんで……? だ、だって穂乃果と絵里ちゃんは生徒会以外でもμ’sで……」

絵里「みゅー、ず? 石鹸……のこと?」

ことり(穂乃果)「も、もう……やめてよ絵里ちゃんそんな冗談……。μ’sだよ! スクールアイドル! 私たち9人の!」

ことり(穂乃果)「みんなで頑張って、いっぱいライブして……音ノ木坂の廃校だって阻止したじゃん!!」

絵里「スクールアイドル? ええと、ごめんなさい。ことりの言っていることがよくわからないのだけど」

ことり(穂乃果)「……うそ、だよね」

絵里「確かに、音ノ木坂の廃校を認めたくない気持ちは分かるわ。でも、もうどうしようもないことなの」
35: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 11:47:07.56 ID:VVCH+/OD.net
ことり(穂乃果)「え……廃校? 待って……なに、それ……そんな」

絵里「ことりや海未が一生懸命頑張ってくれたことは私も知ってる」

絵里「もちろん、私と希、それに学院の皆も。理事長……あなたのお母さんも、誰もが存続のために、精一杯努力してたわ」

ことり(穂乃果)「やめて……やめてよ……」

絵里「私も自分の母校がこんな形でなくなるのは悲しい」

絵里「でも、ことりたちが『それでも最後まで、音ノ木坂学院として、ちゃんとやりたい』って生徒会を継いでくれて、嬉しかったの」

ことり(穂乃果)「やだ、やだよ……」

絵里「だから、最後くらい、私も精一杯やりたいようにって。素直にあなたたちを応援することにしたのよ」

ことり(穂乃果)「やだ……最後なんて……そんなの、聞きたくないよ……」

絵里「そうね……。私も、辛いわ。もしかしたら、学院を続ける方法がなにかあったかもしれない、って思うこともある」

ことり(穂乃果)「…………じゃあ」

絵里「でも、きっと何かが足りなかったのよ。だから、失敗した。それに、もう……」

ことり(穂乃果)「…………」

絵里「ごめんなさいね。あなたたちはとっても頑張ってくれたのに、今更こんな話」

ことり(穂乃果)「ううん。私こそ、ごめんなさい……」

絵里「ことりが気にすることじゃないわ。廃校が決まったって言っても、今はまだ、私たちは音ノ木坂学院の一員よ」

絵里「最後の最後まで、残された貴重な時間を精一杯過ごしましょ。いつか、いい思い出になるように」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「じゃあ、私は行くわ。またね、ことり」スタスタ

ことり(穂乃果)「うん……じゃあね、絵里ちゃん」

絵里「でも……スクールアイドル、か……」ピタ

絵里「今更だけど、なんだかそういうのも面白そうだったかもね」

絵里「もし生徒の誰かがそんなことを言い出してたら……いいえ、今更言うことじゃないわね」

ことり(穂乃果)「あ……」

絵里「じゃあね。ことり、あなたのせいじゃないんだから、あまり気にしすぎないようにね?」

ことり(穂乃果)「……」
39: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:43:28.94 ID:VVCH+/OD.net
ことり(穂乃果)「……」

「ちょっとあんた、大丈夫? 顔色悪いけど……」

ことり(穂乃果)「う、うん……平気。……あ」

にこ「何だ、誰かと思えば生徒会長じゃない」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「にこちゃん? 何? 生徒会長とはいえ、あんた下級生でしょ? にこ、三年なんだけど」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめんなさい。にこちゃ……矢澤さん」

にこ「ま、いいけどね。前の会長もあんたも、にこの部活、廃部にしないでくれたし……気にして何度も見に来てくれたし」

ことり(穂乃果)(そうだ。μ’sができなかったから、にこちゃんも……)

にこ「まったく。希か、あんたくらいよ、あの部室に来るのなんて」

ことり(穂乃果)「ご、ごめん」

にこ「はぁ、別に怒ってるわけじゃないわよ。……衣装作るの、好きなんでしょ?」

ことり(穂乃果)「あ、え? う、うん……」

ことり(穂乃果)(って言っても、穂乃果じゃなくてことりちゃんが、だけど……)

にこ「……本当、感謝はしてるのよ? 実際に使うことはなかったけど、何着も衣装、作ってくれて……」

にこ「あんたの作る衣装、とってもかわいくて……着てると、本当にアイドルになったみたいで」

ことり(穂乃果)「そうなんだ……」

にこ「そうよ。それに悪乗りした希とあんたと一緒に衣装を着て、こっそり三人で歌ったりしたのは……楽しかったし……」

ことり(穂乃果)(やっぱりにこちゃん、アイドル好きなんだ……やりたかったんだ……)
41: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:54:16.49 ID:VVCH+/OD.net
にこ「あ、今のなし! 忘れなさい! いいわね?」

ことり(穂乃果)「は、はい!」

にこ「よし! でもま、感謝してる、ってのは本当だから。それは忘れなくていいわ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「ってまた呼び方……。いや、もういいわ。あんたの好きなように呼べば」

ことり(穂乃果)「ありがと……」

にこ「で?」

ことり(穂乃果)「え?」

にこ「何しょぼくれてんのよ。って言っても、大体わかるけどね。学院のことでしょ?」

ことり(穂乃果)「う、うん……廃校って……」

にこ「そうね。仕方ないことなんだろうけど……でもやっぱ、それで納得できるかって言ったら、ね……」

ことり(穂乃果)「ねぇ、にこちゃん?」

にこ「何よ生徒会長」

ことり(穂乃果)「もし、もしね? 誰かが『学院をなくさないために、一緒にスクールアイドルやろう!』って言ってたら……」

にこ「スクールアイドル? A-RISEみたいな?」

ことり(穂乃果)「うん。それで、音ノ木坂に生徒を集めるために、活動するの。そんなことを誰かが言ったら、一緒にやってくれた?」

にこ「…………そうね。まあ、そいつがどれだけ真剣かにもよるけど。もしかしたら、ね」
42: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:55:38.82 ID:VVCH+/OD.net
ことり(穂乃果)「じゃ、じゃあ」

にこ「でもね生徒会長。もう遅いわ。にこも卒業するし、今からじゃアピールの時間も場もないわ」

にこ「そもそも、ぽっと出が一年ちょっとでA-RISEレベルになるなんて夢も夢、奇跡みたいなもんよ。スクールアイドルって言葉でいうほど簡単じゃないのよ」

にこ「何より今から廃校の決定を覆すのは無理よ。大人の、決定だもの……」

ことり(穂乃果)「そんな……」

にこ「ああもう! あんたのせいじゃないんだから、泣くんじゃないわよ!!」

ことり(穂乃果)「ぐす……でも……」

にこ「にしても、意外だったわ。あんたがスクールアイドルに興味があったなんてね」

ことり(穂乃果)「え、あ、それは……」

にこ「いや、いまさらか。なるほど、だからアイドル衣装にも興味があったわけね。納得したわ」

ことり(穂乃果)「? うん」

にこ「……惜しかったかな……それに早く気づいていれば、アイドル研究部に勧誘できたかも……?」ブツブツ

にこ「……そうよね、この子ルックスもいいし……声も可愛い。にこには勝てないにしても、結構いい線行くんじゃない?……」ブツブツ

にこ「にこと生徒会長、そして希辺りも面白がりそうだし……ユニット行けたんじゃない、これ……」ブツブツ

ことり(穂乃果)「あの、にこちゃん?」
43: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 12:56:39.31 ID:VVCH+/OD.net
にこ「ぴぃーっ!? な、なに生徒会長!?」

ことり(穂乃果)「わ!? い、いやなにぶつぶつ言ってるのかなーって」

にこ「ななな何でもないわよ!?」

ことり(穂乃果)「そう……、なんか勧誘とかユニットとか……」

にこ「何でもないったら! ほらほら、あんた生徒会長なんだから忙しいんじゃない? もう行った行った!」

ことり(穂乃果)「わっ、わっ!? お、押さないでよ~!」

にこ「いいからもう行く! こんなところで突っ立ってても邪魔でしょ! にこも忙しいんだから」

ことり(穂乃果)「わ、分かったよぉ! いく、行くから~!」

にこ「……生徒会長。ことり、だっけ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

にこ「暇だったら、また部室来なさいよ……。あんたのファッションモデル位、いつでもやってあげるから……」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……」

にこ「これでも先輩なんだから、アドバイスくらい、できるかもしれないし……さ」

ことり(穂乃果)「う、うん……ありがとう」

にこ「じゃあね。生徒会長」
48: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 17:31:20.14 ID:VVCH+/OD.net
――生徒会室

ことり(穂乃果)「戻ってきちゃった……。ま、まだ海未ちゃんいるかな?」

ことり(穂乃果)「しつれいしまーす……」

キィィ

ことり(穂乃果)「あ……誰もいないや。海未ちゃんも帰ったのかな?」

ことり(穂乃果)「ひとり、だね。立ってても仕方ないし……座ろっか……」

ことり(穂乃果)(改めて見回すと、何だか生徒会室も見慣れない部屋に感じる。一人だから? それとも……)

ことり(穂乃果)「私がことりちゃんになったって、お願いがかなったなんて、そんな気持ち、すっかり冷めちゃったよ」

ことり(穂乃果)(暗くなりはじめた窓に、泣きそうなことりちゃんが映る)

ことり(穂乃果)「夢ならいいのに……。μ’sは無くなってて、学院も……」

ことり(穂乃果)(穂乃果がことりちゃんになったから……? だから、誰もスクールアイドルをやろうって言わなかった?)

ことり(穂乃果)(だから……μ’sも無くなっちゃった。みんなとの思い出もなくなって)

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院も……無くなっちゃう……」

ことり(穂乃果)「こんな、こんなのないよ……。こんな世界なんて、ひどい、ひどすぎるよ……」

ことり(穂乃果)(なんでこんなことに? 誰のせい?)

ことり(穂乃果)「分かってる。私のせいだ……」

ことり(穂乃果)「私が穂乃果をやめちゃったからだ……」

ことり(穂乃果)「穂乃果をやめたいなんて言って……他の誰かになっちゃったから……」

ことり(穂乃果)「多分、この世界には穂乃果がいない……。それだけで、何もかも違っちゃったんだ……」

ことり(穂乃果)「私は、そんなつもりじゃなかったのに……」

ことり(穂乃果)「ごめん、みんな……。ごめんなさい、穂乃果、ことりちゃん……」ポロ

ことり(穂乃果)(あ、何だか……ことりちゃんを泣かしちゃった、みたい、だね……)

ことり(穂乃果)「な、泣いちゃだめだ。そんなのダメだよ」ゴシゴシ

ことり(穂乃果)「そうだ。なんとかしないと。でも、どうすれば……」
49: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 17:41:40.07 ID:VVCH+/OD.net
ガチャ

ことり(穂乃果)「あっ」

希「ことりちゃん、ここにいたんやね」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……。う、うん」

希「浮かない顔やね。生徒会長がそんな顔じゃあかんよ。それに、せっかくの可愛い顔が台無しやん」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい」

希「まあ、分からなくはないけど……学院が、無くなっちゃうって聞いたら、ね」

ことり(穂乃果)「う、うん」

希「でも、本当の理由は、それじゃないんやない?」

ことり(穂乃果)「え……?」

希「音ノ木の生徒はみんな、廃校のことで悲しんでる」

希「でも、もうどこかで諦めて、次第に仕方ないことだって思い始めてた」

希「えりちやうち、海未ちゃんもそう。そして……それはことりちゃんもそう」

希「それが悪いことなんやない。多分、それは当たり前のこと」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……」

希「でも、『今の』ことりちゃんの表情はそうやない」

希「まるで今日、初めて廃校のことを知ったみたいやよ。それだけやない、全部自分のせいだ、って顔やん」

ことり(穂乃果)「そ、そんな顔してるかな……私。分かんないよ」

希「うちでもなくても一目瞭然よ。多分、えりちや海未ちゃんでもそう思うんやないかな」

ことり(穂乃果)「そう……なんだ」

希「ことりちゃん、誰のせいでもないんよ。だから、気にせんでも……」

ことり(穂乃果)「ううん、違うよ。これは……私のせいなんだ」

希「ことり、ちゃん」
50: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:06:49.11 ID:VVCH+/OD.net
希「そうか……もしかして、とは思ったけど。やっぱり、そうなんやね」ジッ

ことり(穂乃果)「希ちゃん?」

希「あなたは……ことりちゃんじゃないんやろ? 違うか……ことりちゃんだけど、心か魂が別の人……そうやね?」

ことり(穂乃果)「わ、分かるの!?」

希「当たりみたいやね? ふふん、うちを甘く見たらあかんよ?」

ことり(穂乃果)「で、でも……こんなお話みたいなこと」

希「まあ普通なら信じられないやろうけど、ね。ことりちゃん、すっごく深刻な顔しとるし。嘘や冗談なんかやないんやろ」

ことり(穂乃果)「う、うん……」

希「それにね……スピリチュアルなことなら、うちにまかしとき♪」

ことり(穂乃果)「あはは……やっぱり希ちゃんは、希ちゃんだね……」

希「ふふ、やっと笑ったやん。やっぱりことりちゃんは、笑ってた方がかわええよ?」

ことり(穂乃果)「あっ、う……」

希「お、照れとるん? それにしても、あなたがいた場所にもうちがいるんやね。なんか、不思議な感じやん」

ことり(穂乃果)「うん……とっても優しくて、いつも助けられてたよ」

希「そ、そっか……。なんかあらためて言われると、恥ずかしいね……」

ことり(穂乃果)「えへへ。さっきのお返しだよ」

希「う。ご、ごほん。それで……あなたの知ってるうちとは違うかもしれないけど、話してみない?」

ことり(穂乃果)「うん。私も、聞いて欲しい……」
53: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:23:17.24 ID:VVCH+/OD.net




希「ふむふむ……それで、別の人になりたい、って思って、気が付いたらことりちゃんになってたんやね」

ことり(穂乃果)「う、うん……そう」

希「高坂、穂乃果さんか……。うーん、うちも知らない子やね」

ことり(穂乃果)「やっぱり、ここに穂乃果はいないんだね」

希「ほらほら、そんな顔したらあかんって。逆に言えば、あなたにはあなたがいるべき場所があるってことやん」

ことり(穂乃果)「いるべき、場所」

希「そうそう。だから、あなたは元の場所に帰らなあかんよ」

希「きっとその世界のうちやえりち、海未ちゃん、そしてことりちゃんはあなたを待ってる」

ことり(穂乃果)「うん」

希「にしても、高坂……高坂、か。どこかで……ああ、確かえりちの妹さんの友達に、高坂さんって子がいたかも」

ことり(穂乃果)「亜里沙ちゃんの? ならその友達って、雪穂のことかな」

希「亜里沙ちゃんのこと知っとるん?」

ことり(穂乃果)「うん。よく知ってるよ」

希「へぇ、やっぱりことりちゃん……違った、ええと高坂さんか。あなたの世界とほとんど一緒なんやね」

ことり(穂乃果)「そうなのかも」

希「うちはその雪穂さんとは会ったことないけど。確かに、そんな名前だったかも。和菓子屋さんの一人娘さんやっていうし」

ことり(穂乃果)「一人娘……じゃあ、やっぱり穂乃果はいないんだ……」

希「ほらほら、そんな顔したらあかんよ。何とかして元いた世界に戻るんやろ」

ことり(穂乃果)「う、うん。そうだね。でも、どうしたら……」
54: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 18:39:31.67 ID:VVCH+/OD.net
希「ねえ、ことりちゃ、じゃなくて高坂さん」

ことり(穂乃果)「あ、ことりちゃんでいいよぉ。希ちゃん、呼びづらいでしょ?」

希「そう? 確かに、うちはことりちゃんのことを高坂さん、って呼んでるのを誰かに聞かれたら困るか……」

ことり(穂乃果)「あ、そうだよね。今は私がことりちゃんだもんね。別の名前で呼んだらおかしいもんね!」

希「え、気付いてなかったん? てっきり」

ことり(穂乃果)「そこに気付くなんてすごいね希ちゃん!!」

希「……うん。うちもなんとなく、あなたのことが分かってきた気がするわ。でも、そういう子の存在って、大切なんかもしれんなぁ」

ことり(穂乃果)「?」

希「ああ、こっちの話やから、気にしないで。それじゃ、ことりちゃん、って呼ばせてもらうね」

ことり(穂乃果)「うん。でもやっぱり、ちょっと変な感じ」

希「あはは、それは慣れてもらうしかないなぁ。で、ことりちゃん。もう一度聞きたいんやけど」

ことり(穂乃果)「う、うん。何?」

希「別の人になりたい、って思っただけで、あなたはことりちゃんになったん? 何か、特別なことをしたんやない?」

ことり(穂乃果)「特別なこと……?」

希「そう。おまじないとか、そういうの。たぶん、何かあると思うんやけど……」

ことり(穂乃果)「おまじないって言っても……私は、寝て起きたらことりちゃんに……あっ」

希「何か思い出したん?」

ことり(穂乃果)「そうだ……! 私、お参りの時に拾ったおふだを……!!」

希「おふだ?」

ことり(穂乃果)「うん! あのおふだだ! あのおふだを……! そうだよ!」ガタッ

ことり(穂乃果)「穂乃果の部屋だ……! 行かなきゃ!!」ダッ

希「あっ、ことりちゃん!? ちょっと待ち!?」
63: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 20:44:24.15 ID:emLwwpZK.net
――『穂むら』

ことり(穂乃果)「はぁっ、はぁっ、着いた!」

ガララッ

ことり(穂乃果)「ただいまー!!」

雪穂「いらっしゃ……」

ことり(穂乃果)「雪穂!」ガタッ

雪穂「えっ!? あの?」

ことり(穂乃果)「私の部屋ってあるよね!! 入るよ!!」

雪穂「ちょ、ちょっと待ってください! 困ります! 勝手に上がられては!」ガシッ

ことり(穂乃果)「邪魔しないで!」グググ

雪穂「何なんですか!? やめてください! 人を呼びますよ!!」

ことり(穂乃果)「雪穂、お願い! 大事なことなの!」

雪穂「わけが分かりませんよ! そもそもあなた、誰なんですか!?」

ことり(穂乃果)「え……?」

ことり(穂乃果)「わ、私だよ? 雪穂、分かるでしょ?」

雪穂「すみませんが、初めてお会いする方だと。その制服、音ノ木坂学院の生徒さんですよね?」

雪穂「確かに、音の木坂の生徒で知っている人はいますが。あなたとお会いした記憶はないんですけど」

ことり(穂乃果)「そんな……だって、雪穂は……私、は……」

雪穂「……? ともかく、営業の邪魔です。申し訳ありませんが、お引き取りを」

ことり(穂乃果)「雪穂……」

雪穂「まだ、何か?」
64: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 20:45:18.68 ID:emLwwpZK.net
ガララ

希「はあっ、はぁっ、追いついた! ことりちゃん!!」

ことり(穂乃果)「希ちゃん……」

希「その様子だと、間に合わなかったみたいやね……。ことりちゃん、それじゃダメなんよ。だって今のあなたは……」

ことり(穂乃果)「え、あ……」

雪穂「あの、あなたは?」

希「あ、ごめんね。うちは東條希。この子……南ことりちゃんと同じく、音ノ木坂学院の生徒やよ」

雪穂「はぁ、その東條さん……と南さんが、うちに何かご用でしょうか?」ジロ

ことり(穂乃果)「……」

希「実はね、うちの友達に絢瀬さんって子がいるんやけど。その子が妹さんから頼まれてね?」

雪穂「絢瀬……妹……? もしかして、亜里沙のことですか?」

希「そうそう。亜里沙ちゃんが前に高坂さんのところに遊びに来た時に、落とし物をしたらしくて。それを探してほしいって頼まれたんよ」

希「でも、そのお姉さん……絵里さんっていうんやけど、彼女はなかなか忙しくって。うちと、ことりちゃんにお願いされたんよ」

希「代わりに、高坂さんの家に行って探してきてくれないか、って」

ことり(穂乃果)「え……」

希「ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「あっ、そ、そうなんだよ! それで急いできたものだから」

希「ことりちゃん、一生懸命になるあまりちょっと慌てちゃったみたいなんよ。だから、迷惑かけちゃったかもしれんけど」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい。雪穂……ちゃん」

雪穂「……そういうことだったんですか。はぁ、それならそうとちゃんと言ってくださいよ」

希「ごめんね」

雪穂「いえ、こちらこそ事情も知らずにすみませんでした。ですから、もういいですよ」

雪穂「私は店番があるのでお手伝いできませんが、私の部屋は上にありますから」

希「ありがと。じゃあ、ちょっとお邪魔させてもらうね」

希「ほら、ことりちゃんも」

ことり(穂乃果)「う、うん。お邪魔……します……」
67: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:12:27.05 ID:emLwwpZK.net
――公園

ことり(穂乃果)「…………」

希「ことりちゃん……」





――ここだよ! ここが私――穂乃果の部屋なんだ!

――希ちゃん、ほら、どうぞ!

――えへへ、本棚とね、机と、ベッドがあるだけの普通の部屋だから、つまらないかもしれない……けど……。

――……え?

――な、なに……これ……。ここが、穂乃果の部屋のはずなのに……。

――私の部屋、こんなじゃなかった。これじゃ、物置みたい……。

――ここにあったはずの……ベッドも……ない……。

――お、おふだは……? あのおふだがないと、私は……。ほ、穂乃果に戻れないよ……?

――ねえ、どこ? どこに……あるはずでしょ? あるはずだよ、そのはずだよね!?

――嘘。どこにも……無い……そ、そんな……。





ことり(穂乃果)「あ、あはは……よく考えれば、当たり前……だよね……」

ことり(穂乃果)「ここには穂乃果はいないんだもん。穂乃果の部屋があるわけ、ない……よね……」ポロポロ

ことり(穂乃果)「雪穂も……私とは姉妹でも……ひっく、なんでも……ないんだ……」

希「……」

ことり(穂乃果)「この世界では、私はことりちゃんだから……。本当は穂乃果なのに……穂乃果のことは、誰も知らないんだ……」

希「!」

ことり「穂乃果は……一人ぼっちなんだ……!」
68: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:14:10.28 ID:emLwwpZK.net
希「ことりちゃん。ううん、穂乃果ちゃん!」ギュッ

ことり(穂乃果)「のぞみ、ちゃ……?」

希「ごめん、うちは今の穂乃果ちゃんの気持ち、本当の意味では分かってあげられないかもしれない」

希「でも、うちは知ってるから。あなたが、あなたは本当は『高坂穂乃果』ってこと。うちは知ってるから……」

ことり(穂乃果)「あっ……」

希「だから、あなたは一人じゃない。大丈夫、大丈夫だよ……」ギュウゥ

ことり(穂乃果)「あり、がとうっ……うぅ、あ……のぞ、み、ちゃん…………」ギュゥ

希「つらいよね。悲しいよね……でも、うちがいるよ。うちは、穂乃果ちゃんの味方やから……!」

ことり(穂乃果)「う……あ……あぁ……うわあぁぁぁぁぁん……! あああぁぁぁぁぁん……!」

希「穂乃果ちゃん……」ナデナデ

希「大丈夫、うちがついてる。きっと、大丈夫だから……」
69: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 21:45:55.25 ID:emLwwpZK.net
希「落ち着いた?」

ことり(穂乃果)「……うん」

希「なら、よかった。でも、無理しちゃあかんよ?」

ことり(穂乃果)「……大丈夫。ありがとう、希ちゃん。ごめんね。迷惑、かけちゃった」

希「ええんよ。一人ぼっちで不安になる気持ちは、うちも分かるつもりやし。それに、ことりちゃんのかわいい泣き顔、見せてもらったしね」

ことり(穂乃果)「の、希ちゃん!!」

希「ふふ、ごめんごめん。うん、でもやっぱりことりちゃんには泣き顔は似合わないんよ。元気に笑ってる顔が一番。きっとそれは、『穂乃果ちゃん』もそうやん?」

ことり(穂乃果)「……うん。そうかも。……そうだね。私も、みんなに笑顔でいて欲しい、って思う。そしてみんなも……そうだった」

希「せやね。うちもそう。周りのみんなに、いつも笑っていてもらいたい。だから穂乃果ちゃん、つらいときこそ、笑顔を忘れたらあかんよ」

ことり(穂乃果)「うん。ありがとう、希ちゃん。希ちゃんがいてくれて、よかった」

希「どういたしまして。ことりちゃんも……穂乃果ちゃんも二年生なら、ウチの後輩やもん。先輩のこと、どんどん頼ってええんよ?」

ことり(穂乃果)「あはは……言われなくても、もう、いっぱい頼っちゃってるかも」

ことり(穂乃果)(やっぱり……この世界でも、希ちゃんは希ちゃん、なんだね……。なんだか、安心する……)

希「さて……それじゃ、これからどうするか、やね」

ことり(穂乃果)「どうするか、って言っても……。穂乃果の部屋が無くなって、あのおふだも無いんじゃ、もう……」

希「そこなんやけどね。元々、この世界には『穂乃果ちゃん』がいないなら、あの部屋におふだがある可能性は低いと思うんよ」

ことり(穂乃果)「え、どういうこと……?」

希「つまりね、そのおふだが一番最初から『穂乃果ちゃんの部屋』にあったっていうならともかく、そうじゃないならまだ可能性はあるんよ」

ことり(穂乃果)「???」

希「ことりちゃん、さっき言ってたやん、『拾った』って。向こうの世界では、『穂乃果ちゃん』はおふだを何処かから自分の部屋に持ってきたんやろ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

希「なら、こっちの世界でも、その『元々あった場所』におふだがあるとは考えられん?」

ことり(穂乃果)「あ……! そ、そっか!!」

希「ね? ちょっと希望が見えてきたやん?」

ことり(穂乃果)「うん! うん!! そうだよ! きっとそうだ!!」

希「ふふ、元気出て来たみたいやね。それじゃことりちゃん、おふだを拾ったって場所、行ってみよう?」

ことり(穂乃果)「うん! 行こう希ちゃん、神田明神へレッツゴーだよ!!」
70: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:06:54.06 ID:emLwwpZK.net
――神田明神

希「はぁー、しかし、まさかこことはねぇ。さっき聞いたときもそうだったけど、やっぱりびっくりやん」

ことり(穂乃果)「どうしたの、希ちゃん?」

希「ん? えっと、そっちの世界のうちはどうかわからないけど。うち、ここで時々巫女さんやってるんよ」

ことり(穂乃果)「あ、やっぱりそうなんだ」

希「やっぱりってことは、そっちのうちも巫女さんやっとるんやね。他人とは思えないなぁ……って、当たり前か」

希「そもそも『穂乃果ちゃん』からすると、うちも、そっちの世界のうちも、同じ『東條希』って感じやろうしね」

ことり(穂乃果)「よくわからないけど、多分そうだと思うよー。希ちゃんは希ちゃんだもん」

希「ありがと。まあ、深く考えても仕方ない問題やね。……と、ここをくぐれば、境内やね」

ことり(穂乃果)「んー、あんまり人がいないね……」

希「平日の夕方やしね。うちらにとっては、探し物しやすくて好都合かもしれんね」

ことり(穂乃果)「うん、そうだね」

希「ことりちゃん、そのおふだ、どこで拾ったん?」

ことり(穂乃果)「ええと……お参りをして、帰ろうとしたときに、空から落ちてきて……」

希「ふむふむ……。落ちてきた、ってことは……どこか高いところに貼ってあったんかもしれんね」

ことり(穂乃果)「なるほど。確かにそうかも」

希「屋根とか、柱とか……建物だけでも結構あるし、一つ一つ見て回ろっか」

ことり(穂乃果)「了解だよ! 希隊長!」

希「希隊長……ふふ、よし! ではことり隊員! 調査開始や!!」
71: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:40:54.87 ID:emLwwpZK.net




希「うーん……建物に、柱、鳥居、植木まで、全部確かめたと思うんやけど……」

ことり(穂乃果)「それらしいのは、見つからなかったね……」

希「見落としたんかなぁ……」

ことり(穂乃果)「うぅん……しっかり見たつもりなんだけど」

ことり(穂乃果)「やっぱり、元々おふだなんてないのかなぁ……」ジワ

希「ことりちゃん、諦めたらあかんよ。無いと決まったわけじゃないんやし」

ことり(穂乃果)「でも、これだけ探して見つからないんじゃ、もう……」

希「ほら、俯いちゃダメやって。そうだことりちゃん、そのおふだって、どんなやつなん?」

ことり(穂乃果)「う、うん。えっとね。白くて長細い紙に、よくわかんない模様みたいな文字みたいなのが書いてあって」

希「ふむふむ……よくわかんない模様かぁ、まさに呪文とか、まじないの札っぽいやん」

ことり(穂乃果)「だよね。私もそう思ったんだ」

希「普通に買えるおふだとは違うんよね?」

ことり(穂乃果)「うん」

希「ふーむ……あ、じゃあ、あそこの女の子が持ってるやつみたいな感じ?」

ことり(穂乃果)「え、どれどれ……? あ、そうそう!! ちょうどあんな感じ……って」

ことり(穂乃果)「あ――――っ!! あ、あれ! あれだよ!!」
72: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/22(水) 22:45:37.18 ID:emLwwpZK.net
希「あれって……えっ!? まさか」

ことり(穂乃果)「そう! 私が拾ったのはあのおふだだよ!」

希「や、やったやん! それじゃ、あのおふだを……ね、ねぇ!! あなた――!」

ことり(穂乃果)(よかった……これで……穂乃果は……)

ことり(穂乃果)「あ、あれ……?」

ことり(穂乃果)(何だろう……よく見たら、あの、女の子……。どこかで、見たような気が……)

希「あれ、聞こえてないんかな? あ、行っちゃう? おーい、そこのあなたー! ちょっと待ってー!!」

ことり(穂乃果)(私の知ってる人? 友達、とか……ううん、ちょっと違うような……でも、何だか妙な感じが……)

ことり(穂乃果)(あの後姿……髪の色、髪型……。黄色い、リボン? あれ……? あれって……、まさか……)

ことり(穂乃果)「……ほの、か?」

???「……!」ダッ

希「えっ? あっ!! 何で、ちょ、待ってー! 逃げないで―っ!!」

ことり(穂乃果)「なんで……なんで、穂乃果が……」

希「あかん……見失った。……? ことりちゃん、どうしたん?」

ことり(穂乃果)「あの子……穂乃果だった……」

希「えっ? それって……。本来の『穂乃果』ちゃん、ってこと?」

ことり(穂乃果)「う、うん。さっきの子が……私の、本当の姿……。でも……」

希「『穂乃果』ちゃんは、いま、ことりちゃんになってるんよね」

ことり(穂乃果)「うん。私は間違いなく『高坂穂乃果』だよ。でも、ならどうして……この世界には、穂乃果は、いないはずじゃ……」

希「なんだか……スピリチュアルやね、って言ってる場合じゃ、なさそうやね……」

ことり(穂乃果)「あの子は……いったい……?」
80: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 19:48:04.89 ID:tHSaatDP.net
――ことりの部屋

希「お邪魔しまーす」

ことり(穂乃果)「お、お邪魔しまーす」

希「ことりちゃん、ここ自分の部屋なんやろ。それ、なんか妙やん?」

ことり(穂乃果)「あはは……、そうなんだけど。でも、やっぱりここはことりちゃんの部屋で、穂乃果の部屋じゃないから、なんとなく」

希「ふぅむ。自分じゃない誰かになるっていうのは、いろいろ大変なんやね……」

ことり(穂乃果)「……そうだね。自分がなってみて、よくわかったよ」

希「でもことりちゃん。中に入ってからはうちの想像よりも落ち着いてるというか、慣れてるって感じやん」

ことり(穂乃果)「あ、私、ことりちゃんの部屋には何度も遊びに来てるしね」

希「そうなん? 仲良しさんなんやね」

ことり(穂乃果)「うん。あとはちょっと置いてあるものが違ったりするくらいで、私の記憶の中の部屋とあんまり差がないからかも」

希「なるほど。そう言われれば、ことりちゃんの家までも迷いなく歩いてたもんね」

ことり(穂乃果)「うん。学院とか、街は穂乃果の世界とまるっきり一緒だったから、迷わなくてすんでよかったよー」

希「せやねー。もし記憶と街並みが違ってたら……。高校二年生にもなって、迷子になったら恥ずかしいもんね」

ことり(穂乃果)「うぅ……本当に、そうならなくてよかったです……」

希「ふふっ、もしそうなったら、海未ちゃん辺りが心配で飛んできそうやね」

ことり(穂乃果)「その後怒られそうだよぉ……『何やってるんですか!!』って」

希「でも、海未ちゃんならそのあと安心して泣いちゃいそうやん?」

ことり(穂乃果)「そうかなぁ?」

希「うん。きっとそんな感じやよ」
81: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 20:04:01.07 ID:tHSaatDP.net
希「さて、それじゃ本題に入ろか」

ことり(穂乃果)「うん。あのおふだと、さっき神社で見かけた子のこと、だよね」

希「せやね。まず、あの子が持って行っちゃったけど……あのおふだが『穂乃果ちゃん』がことりちゃんになっちゃった原因なんやね?」

ことり(穂乃果)「そう。あのおふだを枕の下に置いて寝ると、他の人になれるって。それで、やってみたんだけど」

希「ふぅむ……にわかには信じられんけど、現に『穂乃果ちゃん』がことりちゃんになっとるのを考えると……本当みたいやね」

希「まさか、うちがバイトしとる場所にそんなスピリチュアルなものがあったなんて。びっくりやん」

ことり(穂乃果)「私も驚いたよー。目が覚めたら、ことりちゃんになってるんだもん」

希「……なら。もう一度あのおふだを手に入れて同じようにすれば、ことりちゃんは『穂乃果ちゃん』に戻れるかもしれんね」

ことり(穂乃果)「そうだね! だけど……あの子、どっかいっちゃったよ?」

希「ううん、問題はそこなんよね。あそこで見失っちゃったのは痛かったなぁ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね? 私がぼーっとしてたから」

希「ことりちゃんのせいやないよ。でもあの子、なんで逃げちゃったんやろ?」

ことり(穂乃果)「急に走って行っちゃったよね。別に私たち、何にもしてないのに……」

希「そう言えば。ことりちゃん、あの子のこと『穂乃果ちゃん』って言ってたけど」

ことり(穂乃果)「うん。遠かったけど、あの子は間違いなく、私――『高坂穂乃果』だよ」

希「うちは『穂乃果ちゃん』の本当の姿は知らないから、何とも言えないんやけど。本人がそう言うなら、確かなんやろうね」

ことり(穂乃果)「でも、なんでこの世界に私が? さっき、穂乃果の家に行った時も、雪穂は『穂乃果』のことは何も言わなかったし」

希「雪穂ちゃんの部屋はあったけど、『穂乃果ちゃん』の部屋はなかったよね。おそらく、雪穂ちゃんにお姉さんがいないんは間違いない」

希「あ、ごめん……ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「大丈夫だよ、希ちゃん。この世界には『穂乃果』がいないなら、あの子は穂乃果のそっくりさん、なのかなぁ」
82: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 20:08:42.44 ID:tHSaatDP.net
希「確かに、世の中には同じ顔の人がいる、なんて言うけど……どうも違う様な気がするんよ」

ことり(穂乃果)「?」

希「上手く説明はできないんやけどね。それに、このタイミングで『穂乃果ちゃん』のそっくりさんが出てくるなんて、タイミングが良すぎるやん?」

ことり(穂乃果)「それは確かに、そうかも」

希「ううん……何か、引っかかっとるんやけど……」

ことり(穂乃果)「あうぅ……考えれば考えるほどわかんなくなっちゃうよぉ!」

希「仕方ない。ひとまずあの子の正体については置いておこうか」

希「まずはどうにかしてあの子を捜しだして、おふだを譲ってもらわんと」

ことり(穂乃果)「うん!」

希「とはいったものの、どうしたらええんやろ。流石に街をしらみつぶしに探すわけにはいかんし……」

ことり(穂乃果)「会えても、また逃げられちゃうかもしれないしね」

希「そうやね。何とか、向こうから会いに来てくれるようなきっかけがあればいいんやけど」

ことり(穂乃果)「向こうから……」

希「流石に、こんなことお巡りさんに相談しても無理そうやし……。呼びかけるにしても、どこにいるかもわからんし……」

ことり(穂乃果)「きっかけ……呼びかける……。……!!」

希「うぅん……難しいなぁ」

ことり(穂乃果)「あの、希ちゃん。ちょっといいかな?」

希「うん? ことりちゃん、何か考えがあるん?」

ことり(穂乃果)「えへへ。ちょっと、思いついたんだけどね?」
84: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:06:41.24 ID:tHSaatDP.net
―― 翌日 音ノ木坂学院 生徒会室

ガチャリ

絵里「失礼します」

ことり(穂乃果)「あ、絵里ちゃん! 来てくれたんだね、ありがとう!」

希「お、えりち来たね」

絵里「ことりが大事な話があるっているからね。それで、何かしら? って、希もいるのね」

希「うん、うちも一枚噛んでるんよ」

絵里「希も……? まさか、ろくでもないことじゃないでしょうね?」

希「うわえりち、いくらなんでもそれはひどいやん。うち傷つくよ?」

絵里「はいはい。じゃあ、何なの? まあことりの発案なら、悪ふざけなんかじゃないんでしょうけど……」

ことり(穂乃果)「えへへ。ちょっと待ってね。来てくれるようにお願いした人が、まだいるの」

絵里「他に? 誰かしら」

ガチャ

にこ「しつれいしまーす、来たわよー」

ことり(穂乃果)「あ、にこちゃん! 待ってたよぉ!」

にこ「あー、生徒会長、にこに何か用な……げっ!?」

希「わー、にこっち、うちの顔見るなりそれはないやん?」

にこ「な、なんで希がここにいるのよ!?」

絵里「あら。ええっと、あなたは確か……矢澤さん?」

にこ「うぇえ!? ちょっと生徒会長!? 元生徒会長までいるじゃない!?」

にこ「にこ、何もしてないわよ!? 何なのよこの集まり!?」

希「まぁまぁにこっち。何もとって食べようってわけじゃないんやし。落ち着こ、ね?」

にこ「この状況で落ち着けるわけないでしょうがっ! ことりっ! 早く説明しなさいよっ!!」

ことり(穂乃果)「もうちょっとだけ待って? 呼んだのはあと、一人だから」

希「そうそう」

絵里「希は知ってるみたいね。私も知ってる人?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよぉ。あ、来たみたい」
85: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:08:43.82 ID:tHSaatDP.net
コンコン

ことり(穂乃果)「どうぞ~」

ガチャ

海未「失礼します」

海未「ことり、急に生徒会室に来てほしいだなんて……何かあったのですか?」

ことり(穂乃果)「ごめんね海未ちゃん。ちょっと、聞いて欲しい事があるんだぁ」

絵里「最後の一人は海未だったのね」

希「これで全員やね」

海未「絢瀬先輩と、東條先輩もですか。ええと、そちらの方は……? 三年生、ですよね?」

にこ「微妙に引っかかる言い方なんですけど……。あんたは、確か生徒会よね。ことりの友達だっけ?」

海未「はい、二年の園田海未といいます」

にこ「……三年の矢澤にこよ。で、こと……生徒会長? 全員そろったみたいだけど」

ことり(穂乃果)「うん、みんな、来てくれてありがとう! 実は今日は、みんなに聞いてもらいたいことがあるんですっ!」

絵里「さっきもそう言ってたわね。何かお願い?」

ことり(穂乃果)「うんっ、とっても大事なお願いなの!」

絵里「何かしら……。希は内容、知ってるのよね?」

希「ふふ、えりち。うちに聞かんでもすぐわかるよ」

海未「私たちに手伝えることなのですか?」

にこ「生徒会の仕事なら、にこ、いる意味ないんじゃない……? 帰りたいんですけど」

希「まぁそう言わないで、ことりちゃんの話、聞いてあげて?」

ことり(穂乃果)「お願いっていうのはぁ……、音ノ木坂学院で、ライブをしちゃいたいんですっ!!」

「「「……………」」」




「「「えええぇぇぇぇっ!!?」」」
86: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:44:29.97 ID:tHSaatDP.net
にこ「ちょ、ちょっと!? ライブって、アイドルとかがやるあのライブ!?」

ことり(穂乃果)「そうだよぉ」

にこ「そうって……じゃあことり、あんた本当にスクールアイドルやる気なの!?」

ことり(穂乃果)「うん!」

絵里「す、スクールアイドルって……? ええっ、ちょっとことり、どういうこと? なんでまたいきなり!?」

海未「そうです! ことり、どういう風の吹き回しなんです!? 本気なんですか!?」

ことり(穂乃果)「本気も本気だよぉ。ちょっとね、思うところがあったの」

海未「思うところが、って……それだけで」

にこ「そうよ! 前にも言ったでしょ!? スクールアイドルって、そんな簡単なもんじゃないのよ!?」

絵里「生徒会の仕事もあるでしょ!? スクールアイドルって、部活みたいなものよね? 無理よ!」

ことり(穂乃果)「無理じゃないよぉ。だってことり、スクールアイドルと生徒会を両立させて頑張ってた人、知ってるもん」

希「ふふ、せやね」

絵里「希、何笑ってるのよ?」

海未「気のせいか、私も東條先輩の視線を感じるのですが」

希「気のせい気のせい」
87: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:45:51.22 ID:tHSaatDP.net
ことり(穂乃果)「それでね? みんなにも手伝ってもらいたいんだぁ」

絵里「手伝う、って……衣装とか、舞台作ったりとか?」

海未「絢瀬先輩、いいんですか? いつの間にかライブする流れになってますが……」

希「あ、うちは元から賛成やからね」

絵里「希……」

希「一応言っておくけど、発案者はことりちゃんやからね。うちがたきつけたんやないんよ?」

ことり(穂乃果)「そうだよっ! これは正真正銘、ことりのアイディアなのです!」

絵里「なんでまた突然こんな……」

ことり(穂乃果)「……だって、このままじゃ、オトノキは無くなっちゃうんだよ?」

海未「ことり……?」

ことり(穂乃果)「確かに、廃校は決まっちゃったかもしれない。でも、だからってみんな悲しそうなままでいるなんて、私は嫌だな」

絵里「……それは」

ことり(穂乃果)「うん、今からじゃどうしようもないことかもしれない。可能性なんて、無いかもしれない」

ことり(穂乃果)「でも。だからって何もしないでいいってことは、無いんじゃないかな。奇跡じゃなきゃ無理かもしれないけど、でもやってみなければ分からないよ?」

にこ「……」

ことり(穂乃果)「それに……絵里ちゃん言ったでしょ? 私たちはまだ、音ノ木坂学院の一員だって」

絵里「あ……」

ことり(穂乃果)「だから、証を残したいんだ。今ここに、『私たちがいた』って、確かな証を」

海未「証……ですか」
88: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 21:51:04.78 ID:tHSaatDP.net
ことり(穂乃果)「うん。みんなの心にいつまでも残るようなライブができたら。きっとそれは……いつになっても、色褪せない思い出になると思うの」

ことり(穂乃果)「いつか、思い出してもらえる……ううん、いつまでも忘れないでいられるような、そんな証。学院が無くなっても、どこに行っても、思い出は消えないでしょ?」

海未「そう……ですね」

ことり(穂乃果)「それにね? 私たちの歌で、みんなを笑顔にできたら……きっと、どんな悲しみも乗り越えられると思うんだ」

ことり(穂乃果)「知ってる? アイドルは、みんなを笑顔にさせるんだよ。そんなすごい力があるんだよ?」

にこ「! 笑顔に……させる……」

ことり(穂乃果)「……たとえ、奇跡が起きなくても。笑顔でみんな、オトノキから旅立っていってほしい。それが、音ノ木坂学院の一員である、私の想いだから」

ことり(穂乃果)「いつでも、笑顔でいて欲しい。これは、どんな時も変わらない、私の願い。だから」

希「ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「……それにあの子……泣きそうだった。……だから、穂乃果も……」

絵里「え?」

ことり(穂乃果)「ううん。だからね? ライブをしたいの!」

海未「ことりの考えは、分かりました……」

にこ「……」

絵里「それで改めて聞くけど、ことり。私たちに何をしてほしいの?」

にこ「にこ、なんとなく、分かっちゃったけど……」

ことり(穂乃果)「うん、みんなにはね? ことりと一緒にスクールアイドルになってほしいのです!」

「「「す、スクールアイドルにぃ――――っ!!!???」」」
89: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:10:46.69 ID:tHSaatDP.net
ことり(穂乃果)「あ、あれ? そんなに驚くことかなぁ」

希「あはは、いやまあ、普通はこういう反応やろうね」

絵里「ちょっとことり、いきなりすぎるわよ!! 私たちにもスクールアイドルやれなんて!! できっこないでしょう!?」

海未「無理です! いくらことりのお願いでも無理です! あ、あんな破廉恥な衣装を着て歌って踊るんでしょう? 無理ですぅ! は、恥ずかしいぃ……!」

ことり(穂乃果)「できるよぉ、無理なんかじゃないよ?」

絵里「簡単に言うけどね……」

ことり(穂乃果)「だって絵里ちゃん、バレエやってたでしょ? ダンスは得意だって言ってたよね?」

絵里「え、ええ……確かに、そうだけど……」

希「ふふ、実はうちも踊りはちょーっと得意なんよ?」

絵里「えぇ? 本当かしら……?」

希「あっ、えりち。信じとらんね? まあ、すぐに信じるやろうけど」

ことり(穂乃果)「うんうん。希ちゃん、本当に踊り上手なんだよ?」

絵里「ことりまで……」

ことり(穂乃果)「それに海未ちゃんも、日舞やってるでしょ? 海未ちゃん運動得意だし、歌も上手だもん。アイドルも出来るよ!」

海未「確かに、運動は得意ですが……。それとこれとは……」

ことり(穂乃果)「違わないよぉ。衣装だって、海未ちゃん一人じゃなくて、ことりやみんなと一緒なら、恥ずかしくないでしょ?」

ことり(穂乃果)「みんなと一緒のライブなら、きっとうまくいくよぉ」

海未「そうでしょうか……。まあ、私一人じゃないのなら……。ことりが真剣なことは、分かりましたし……」

希「大丈夫。海未ちゃん、うちもしっかりサポートするから」

海未「東條先輩……。はぁ、仕方ありませんね……」

絵里「まぁ、私も廃校には納得いってない部分もあるしね……。正直、不完全燃焼、って気もしないでもないから……」

希「お、えりちも乗り気になってきたやん?」

絵里「そ、そんなんじゃないわよぉ」

にこ「……にこは反対よ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん」

希「にこっち……」
90: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:33:59.16 ID:tHSaatDP.net
にこ「生徒会長……ことりの気持ちは、にこも分かるつもり。正直言えば……にこだってスクールアイドル、やりたい気持ちもあるわ」

希「なら……一緒に」

にこ「でも。これでもにこはアイドルってものにプライドを持ってるの。いきなりライブ? 中途半端で無様を晒すのはごめんだわ」

にこ「ことりが真剣なのは、にこにも伝わってきた。でもね、気持ちだけではいいパフォーマンスはできないのよ?」

絵里「それは、そうよね……」

海未「確かに……」

にこ「昨日今日思いついたくらいの考えで、スクールアイドルを、ライブをやろうなんて、ふざけてるにもほどがあるわよ」

にこ「もっとも、全校生徒の前でみっともない姿を見せたいのなら、別だけど」

絵里「矢澤さん……」

海未「流石に、言い過ぎでは……」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり、あまり気にしない方が……」

にこ「何よ、にこは間違ったことは言ってないわ」

希「……」

絵里「希、あなたからもことりに何か言ってあげないの……? これじゃ、いくらなんでもことりが……」

ことり(穂乃果)「にこちゃん」

にこ「……何よ」

ことり(穂乃果)「もし今、私がにこちゃんを納得させるだけのものを見せられたら、にこちゃんも、スクールアイドルやってくれる?」
91: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/23(木) 22:35:03.82 ID:tHSaatDP.net
にこ「……今? 練習も無しに?」

ことり(穂乃果)「うん。流石に場所は、ここじゃ狭いかもしれないけど……」

希「あ、なら講堂……はいきなりだと無理やね。じゃあ、屋上ならどう?」

絵里「ちょ、ちょっと希?」

海未「東條先輩!? 何言ってるんですか?」

にこ「にこを納得させるだけのものが、あんたに見せられるわけ? こんないきなりで?」

ことり(穂乃果)「うん」

海未「ことり!? 無茶です! 準備も練習も無しにダンスなんて……」

にこ「いいわ。見せてもらおうじゃない」

絵里「矢澤さん!」

ことり(穂乃果)「約束だよ? 私が、にこちゃんを納得させるだけのものを見せられたら」

にこ「二言はないわ。あんたと一緒にスクールアイドルでもなんでもやってあげる。でも、ちょっとでも無様なものを見せたら、二度とこの話はしないで」

ことり(穂乃果)「分かったよ」

絵里「ことり、いいの? こんな無謀な……。希、あなたも何で止めないのよ」

希「えりち、大丈夫」

絵里「大丈夫、って……」

ことり(穂乃果)「それじゃ、行こう?」

にこ「ええ、いいわよ。見せてもらおうじゃない、あんたの実力とやらをね」
98: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:48:41.95 ID:7eHl3kHm.net
――音ノ木坂学院 屋上

ガチャ バタン

にこ「屋上か。ここ、あんまり来たことなかったけど。結構いい場所ね」

絵里「風が気持ちいいわね……」

ことり(穂乃果)「だよねっ! それじゃ、この辺でいいかな」

希「そうやね。踊るのに十分な広さもあるんやない?」

海未「東條先輩、ことりも……本気ですか?」

絵里「そうよ、いくらなんでも……」

海未「ことり、今からでも遅くありません……。せ、せめて練習の時間を」

にこ「ダメよ、これはことりから言い出したことよ」

海未「矢澤先輩。ですが……」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん、いいの」

にこ「ほら、当人がこう言ってるわ」

にこ「それに、今、にこを納得させるくらいのパフォーマンスができないようなら、結局は同じよ」

にこ「付け焼刃でライブなんてどのみちうまく行かないわ」

絵里「それは、そうかもしれないけど……」

ことり(穂乃果)「ありがとう、絵里ちゃん。大丈夫だよ、海未ちゃん」

にこ「その自信がどこから来るのか知らないけど。言っておくけど、にこの目は厳しいわよ? 下手なダンスをお情けで許すつもりもないから」

ことり(穂乃果)「当然だよ。アイドルを見続けてきたにこちゃんに認められなきゃ、意味ないもん」

にこ「言うわね。じゃあ、いつでもどうぞ」

希「ことりちゃん、準備は?」

ことり(穂乃果)「いつでもいいよ。って言っても、音楽が無いから、アカペラだけどね」

希「分かった。しっかりね。うち、応援しとるから」

ことり(穂乃果)「うん、ありがとう、希ちゃん」
100: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:53:24.65 ID:7eHl3kHm.net
ことり(穂乃果)(……よし。この世界での、私のスクールアイドルとしての、第一歩だね)

ことり(穂乃果)(やろう、ことりちゃん。穂乃果に、力を貸して。一緒に、踊ろう?)

ことり(穂乃果)(もう一度、最初から。奇跡を目指して……!)

絵里「本当に、やる気なのね」

海未「無謀にもほどがあります。どうしたというのですか、ことり……」

希「……ことりちゃん、ここが正念場やよ……」

にこ「ふん……」

ことり(穂乃果)(出し惜しみなんか無しだよ。今までのすべてを込めて。私が出せる精一杯を!)

ことり(穂乃果)(にこちゃんに認めてもらう。でもそれだけじゃない。にこちゃんに、みんなに、あの楽しい時間を過ごしてもらうために)

ことり(穂乃果)(例え、世界が違っても。何もかも、終わっちゃうとしても。みんなの幸せを願う、この想いは、消さない!)

ことり(穂乃果)(もう一度、一緒にスクールアイドルを……そして、学校のため、みんなのため……そして、『あの子』にも笑顔を届けるために)

ことり(穂乃果)(私は……いくよ!)

ことり(穂乃果)「聞いてください。『STRAT:DASH!!』」
101: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 18:57:25.74 ID:7eHl3kHm.net
絵里「……聞いたことない曲名ね」

海未「オリジナル、でしょうか。でも、いつの間に」

希「始まるよ、みんな」

にこ「……!」

 ―― I Say……

 ―― Hey,Hey,Hey,STRAT:DASH!!

絵里「え……こ、これは……!?」

ことり(穂乃果)(また、この曲を絵里ちゃんたちの前でやる日が来るなんて、夢にも思わなかったな)

 ―― うぶ毛の小鳥たちも いつか空に羽ばたく

海未「まさか……? ことり……?」

ことり(穂乃果)(あの時は、穂乃果と、ことりちゃんと、海未ちゃんで踊ったよね)

ことり(穂乃果)(今は、穂乃果/ことりちゃん、だけだけど……想いは、一緒だよ)

海未「気付きましたか? 絢瀬先輩」

絵里「ええ。……きっと、本来は複数で踊る構成よね、これ……。それを、一人用にアレンジしてる……?」

海未「ことりが練習をしているところは、私も見たことがありません。即興のはずです……。ですが、この完成度は……」

にこ「……どういう、ことよ……。こんなの、初心者ができることじゃない」

にこ「音楽こそないけど、アカペラでもわかる歌唱力の高さ……半端なレベルじゃないわ……! この子……一体……!?」

 ―― 君も感じてるよね 始まりの鼓動

希「がんばれ、ことりちゃん……!」

ことり(穂乃果)(伝わるよ、希ちゃんの想い。希ちゃんが応援してくれる。穂乃果は、一人じゃない!! だから、何だってできる!!)

 ―― 眩しい光に照らされて変われ……START!!

にこ「う、嘘よ……こんなの……こんなライブ、にこだって、出来ない……! この子……まさか、A-RISE、レベル……?」

ことり(穂乃果)(ううん、できるよ、にこちゃん。だって、にこちゃんは誰よりもアイドルが好きで、アイドルのことを知ってるもん)

ことり(穂乃果)(だから、また一緒に)

海未「ことり、あなたは……」

絵里「すごい、すごいわ……!」

にこ「そんな……本当、に……?」

希「ことりちゃん……すっごく、輝いとるよ……!」

 ―― きっと(きっと)君の(夢の)チカラ(いまを) 動かすチカラ

 ―― 信じてるよ……だから、START!!
105: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:00:56.31 ID:7eHl3kHm.net




ことり(穂乃果)「はぁ、はぁ……」

ことり(穂乃果)(……出し切った、かな……。私、ちゃんとできた、かな……?)

ことり(穂乃果)(ありがとう、みんな……。ありがとう、ことりちゃん……)

ことり(穂乃果)「ありがとう、ございました……」

希「……」

海未「……」

絵里「……」

にこ「……」パチ……

海未「あ……」パチ……パチ

絵里「……!!」パチパチパチ

ことり(穂乃果)「あっ……みんな……?」

希「ことりちゃんっ」

ことり(穂乃果)「希、ちゃん?」

希「やったやん、ことりちゃん! ほら!!」

パチパチパチパチパチ……!

絵里「ハラショー!! 素晴らしかったわ、ことり!!」

海未「驚き、ました……」

ことり(穂乃果)「え、あ……、ありがとう……」

絵里「本当、感動したわ! すごいわね、スクールアイドルって!! 私も、やってみたくなっちゃったわ!!」

希「そうやね。うちも、何だか泣きそうになっちゃったし。想像と、実際見るのじゃ迫力も大違いやん」グス

海未「あなたの想い、伝わりましたよ。とても、素晴らしかったです……。それしか、言葉がありません……」

ことり(穂乃果)「よかった……。みんなに、楽しんでもらえたなら、ことりは、嬉しいよ……」

にこ「生徒会長……いえ、ことり」

ことり(穂乃果)「あ……にこ、ちゃん」
106: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 20:03:19.83 ID:7eHl3kHm.net
にこ「……お疲れ様。よかったわよ」

ことり(穂乃果)「う、うん。ありがとう」

にこ「でも、やっぱり舞台が飾り気のない屋上じゃね。衣装も制服のままだし、音楽だって用意しなきゃ」

にこ「ライブまでやること、山積みよ? そこんところ、ちゃんと考えておきなさいよね」

ことり(穂乃果)「そ、そうだよね……って、それじゃ?」

にこ「あー……その……ああ、もう。すごかったわよ! 圧倒されたわ! あんたに! にこだって感動したわよっ! 悪い!!」

絵里「別に悪くはないんじゃない?」

希「にこっち、素直やないなぁ」

にこ「うるさいっ!」

ことり(穂乃果)「にこちゃん、じゃあ、ことりと一緒に」

にこ「聞かなくてもスクールアイドルやるわよ、二言はないって言ったでしょっ!」

にこ「ふんっ! 何よ、こんなすごいことができるなら、最初っからにこと一緒にスクールアイドルやりなさいよ! 宝の持ち腐れじゃない!!」

絵里「まあ、確かにこれだけのものを見たら、ね。眠らせておくのはもったいないわよね」

にこ「ほんとよ。なんで今頃」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……それは、いろいろありまして……」

にこ「でもねことり! にこはやられっぱなしじゃないからね! すぐにあんたに追いついて、抜かしてあげるわよ!」

にこ「その時は、あんたもにこのファンにしてあげるんだから!!」

ことり(穂乃果)「うんっ! ことりもにこちゃんと一緒にアイドル出来るの、すっごく嬉しいよっ!」

絵里「あら、ことり。にことだけなの?」

ことり(穂乃果)「もちろん、絵里ちゃんも一緒にだよっ!!」

絵里「うふふ、ありがとう。ことり、あなたのダンス、すごかったわ。でも、私も負けないわよ」

希「おっと、うちを忘れてもらっちゃ困るやん。うかうかしてると、うちがみんなを負かしちゃうよ?」

絵里「言うわね。希こそ、私を甘く見てもらっちゃ困るわ」

にこ「ちょっと、スーパーアイドルにこにーを舐めないでよね? すぐに誰が一番か教えてあげるわ」

ことり(穂乃果)「ふふ、みんなと一緒なら、ことりももっともっと頑張っちゃうよぉ」

海未「……」

希「海未ちゃん? どうしたん?」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん?」

海未「ことり……いえ、あなたは……誰、ですか……?」
109: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:26:18.02 ID:7eHl3kHm.net
ことり(穂乃果)「えっ……?」

絵里「海未? いきなり、何を?」

希「海未、ちゃん……何、言ってるん?」

にこ「そうよ。そもそも、この子はどこからどう見てもことりじゃない。学年も生徒会も一緒なあんたが分からないわけないでしょ?」

希「そうやよ。ことりちゃんのことは、海未ちゃんが一番知ってるやん?」

海未「だからこそ、です」

にこ「どういうことよ」

絵里「海未、詳しい説明が聞きたいわ」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「あくまで私の感じたことによる推測から、ですが。今のことりは、私が知ることりとは違います」

絵里「それはまあ、いきなりライブやりたいとか、スクールアイドルやりたいとか言い出したしね」

海未「確かにそれもありますが、そういうことではありません。もっと根本的な部分から、異なっているように思う……いえ、感じるのです」

にこ「根本的な? 何よそれ」

希「……」

海未「自分でもこんな非現実的なことを言うのはどうかと思うのですが……」

海未「あえて言うのなら、ことりの中に入っている精神が『ことりのものではない』、そんな気がしてならないのです」

ことり(穂乃果)「……!」
110: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:28:30.91 ID:7eHl3kHm.net
絵里「ちょっと待って。精神が、ことりのものではない? それって、心が別人、ってこと? 誰かと入れ替わったとか?」

にこ「そんなわけないじゃない。それじゃまるで漫画よ」

海未「ですが、そうでもなければ説明がつきません」

海未「絢瀬先輩や矢澤先輩も、おかしいと思いませんでしたか。いくらなんでも、さっきの歌やダンスは完成度が高すぎます」

にこ「それは……そうだけど」

絵里「たまたま私たちが目にする機会がなかっただけで、ことりの才能が埋もれてたって可能性も……」

海未「万に一つ、そうだったとしても。加えて、技術的なことを抜きに考えても、先ほどのパフォーマンスから感じる印象は『ことりらしく』ありません」

にこ「印象?」

海未「そう……まるで、太陽のような。温かくも力強いそれは、優しさこそ同じでも、ことりのそれとは似て非なるものです」

絵里「言われて思い返せば、確かにそうね」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり、いえ。『あなた』が誰かはわかりませんが、少なくともことり自身や、私たちのことをよく知ってはいるのでしょう」

海未「だから、私や絢瀬先輩のことも知っていたし、ことりそっくりに振舞えていたのでしょう?」

海未「少しばかり突飛なことを言い出したとはいえ、先ほどの部室では私も含め、皆があなたをことり本人だと思っていましたし」

海未「あまりことりのことを知らない人なら、違和感すら覚えなかったでしょうね」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「答えてください。あなたは、誰なんですか? ことりの姿を使って、何が狙いなのです?」
111: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:29:16.42 ID:7eHl3kHm.net
絵里「海未、そんな言い方! ことりも、なんで黙っているの?」

希「えりち……」

絵里「希、あなたは何か知っているの……? なら、教えて」

希「それは……」

にこ「……ことり」

ことり(穂乃果)「にこちゃん、絵里ちゃん……海未ちゃん。隠していて、ごめんなさい」

海未「!」

にこ「ことり、本当なの?」

絵里「嘘よね? 冗談、なんでしょ、ことり……」

にこ「希、あんた……」

希「ごめんにこっち。でも、みんなも信じて欲しい。あの子は、決して悪い子やないんよ」

にこ「……それは、分かってるけど」

海未「…………」

ことり(穂乃果)「話します、私の――『高坂穂乃果』の、こと」
112: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:51:27.70 ID:7eHl3kHm.net




海未「……高坂、穂乃果。それが、あなたの名前ですか」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「別の、世界から……心だけが……」

にこ「にわかには信じがたい話だけど、信じざるを得ないみたいね……」

絵里「あなたの世界と、私たちの世界はほとんど一緒なのね。だから、私たちのこともよく知っていた……」

ことり(穂乃果)「はい。みんなとは、とても仲良しだったんです」

にこ「にこたちに対するあんたの自然な態度を見てれば、それは分かるわ。本当に、仲が良かったって」

海未「あの、東條先輩」

希「うん。ことりちゃん……『穂乃果ちゃん』は、嘘は言ってないんよ」

絵里「希、あなたは全部知ってたのね。だから……こんなことを」

ことり(穂乃果)「ごめんなさい。全部、私がお願いしたことなんです。黙っててもらうのも。だから、希ちゃんは悪くないの」

希「ううん。うちだってみんなを騙してたようなもんやん。『穂乃果ちゃん』だけが悪いわけやないよ」

にこ「ま、あんたの気持ちも分かるわ。いきなり別人になった、なんてこと言われて、信じられるかっていったらね?」

海未「……」

絵里「それに、部室でのことり、真剣そのものだった。さっきのダンスや歌も」

絵里「何より、音ノ木坂のことを大切に想ってくれている。それが伝わったから、私はあなたのことを信じられるわ」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……」
113: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/24(金) 21:52:23.62 ID:7eHl3kHm.net
にこ「にこもね。信じるっていうか、信じたいのよ。あんなすばらしいライブができる、あんたって子をね」

希「うちも、信じてるよ。『穂乃果ちゃん』、うちはあなたの味方やからね」

絵里「私もよ。あなたの世界でも、私は先輩だったのよね。なら後輩の困りごとですもの。あなたが自分の世界に戻れるように、力を貸すわ」

ことり(穂乃果)「にこちゃん……、のぞみ、ちゃん……えり、ちゃ……あり、がとう……ぐすっ」

にこ「ちょ、ちょっと何泣いてんのよ!?」

ことり(穂乃果)「だ、だって……なんだか……ひっく……嬉しくって……」

にこ「あーもう! わけわかんないわね!? あああ、涙で顔ひどいことになるわよ? ほらハンカチ!」

ことり(穂乃果)「ぐしゅぐしゅ……ふぁりがほぉ……」

絵里「ふふ、こんな泣き虫な子が、悪いことなんてできっこないわね」

海未「…………」

絵里「だから、海未も。信じてあげても、いいんじゃない? ことりの……『穂乃果』の、こと」

海未「ですが……。なら、私は……私の知っている、幼馴染の、ことりは……?」

ことり(穂乃果)「ごめん、なさい。それは、私も分からないんだ……」

海未「そんな……」

ことり(穂乃果)「私が気が付いたら、もう『ことりちゃん』の姿になっていて……だから……ごめんなさい、海未ちゃん」

海未「……っ!」タッ

絵里「海未!? どこへ!?」

ことり(穂乃果)「あっ、待って! 海未ちゃん!!」ダッ

にこ「こと……じゃなくて、えっとほのか、だっけ……? ああもうわかりづらい!! 待ちなさいよことりっ!!」

絵里「矢澤さん!? 私も行くわ!!」

希「あっ、みんな!?」
122: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:47:19.50 ID:MmCoQW0+.net
――公園

ことり(穂乃果)「やっぱり、ここだね」

海未「……」

ことり(穂乃果)「……見つけたよ、海未ちゃん」

海未「……ことり。いえ……高坂さん、でしたか……?」

ことり(穂乃果)「うん。今は、ことりちゃんの姿をしてる、けどね」

海未「……改めて話すと、やはり別人ですね。同じ声をしていても、ことりとはまるで違って聞こえます」

ことり(穂乃果)「そっか……。やっぱり海未ちゃんには分かっちゃうんだね」

海未「幼馴染、ですからね」

ことり(穂乃果)「……ごめんね」

海未「なぜ、謝るのですか? あなたもこうなるとは分からなかったのでしょう? なら高坂さんが悪いわけでは」

ことり(穂乃果)「ありがとう、海未ちゃん。それでも、私の身勝手なお願いが、すべての原因だから。だから、ごめんなさい」

海未「…………」

海未「それにしても」

ことり(穂乃果)「え、うん」

海未「私がここにいると、よく、分かりましたね……」

ことり(穂乃果)「あはは……小さい時から、ここではよく遊んだからね。ことりちゃんと海未ちゃんと……穂乃果で」

ことり(穂乃果)「私にとってもことりちゃんと、海未ちゃんとの思い出がいっぱいある場所だから」

海未「思い出の場所、ですか」

ことり(穂乃果)「うん。だから、海未ちゃんもそうなのかなって」

海未「そうですね。確かに私にとっても、ここは……ことりとの思い出が詰まった場所です」

海未「幼い頃、誰にも声を掛けられずにいた私が、はじめての友達――ことりと出会った場所……」

ことり(穂乃果)「そっか……」

海未「そう言えば、高坂さんは先ほど、私とことりとあなたで一緒に遊んだ、という風なことを言いましたね?」

ことり(穂乃果)「そうだよ。小さい頃は、いつも私たち三人は一緒だったから」

海未「ですが、あいにく私にそんな記憶は……」
123: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:48:47.94 ID:MmCoQW0+.net
ことり(穂乃果)「あ、うん。海未ちゃんにとっては、そうだと思う」

海未「どういうことですか?」

ことり(穂乃果)「その……こっちの世界には、『穂乃果』はいないから……」

海未「え……?」

ことり(穂乃果)「私もちゃんと分かってるわけじゃないんだけどね。この世界には、元々『高坂穂乃果』って子は、存在してなかったみたいなの」

海未「ま、待ってください……。存在、していなかった……? な、なら、あなたは、ここに、あなたを知る人は……」

ことり(穂乃果)「そう、だね」

海未「……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんも、海未ちゃんも。私の世界では、幼馴染だったけど……ここでは、私が一方的に知っているだけの人、なんだよね」

ことり(穂乃果)「そんな『よく知らない人』が、自分の大事な幼馴染の身体を取っちゃったら、怒るのも当然だよね」

ことり(穂乃果)「だから、本当に、ごめんなさい」

海未「謝らないでください。私は、よく知らずにあなたに酷い態度を……」

海未「あなただって、つらいのに……」

ことり(穂乃果)「やっぱり、海未ちゃんは優しいね」

海未「損なことは……。というか、やっぱり? あなたの世界の私も、同じような感じなのでしょうか」

ことり(穂乃果)「うん。真面目で、かっこよくて、かわいくて、優しくて……とっても素敵な、私の幼馴染なんだ」

海未「……なんででしょうか。別の世界の私のことだと分かっているのに、恥ずかしくなってきますね……」

ことり(穂乃果)「ふふっ、海未ちゃん真っ赤だよ?」

海未「高坂さんのせいでしょう! はぁ、そうやって私をからかうところは、どことなくことりにも似ていますね」

ことり(穂乃果)「そうかなぁ?」

海未「あなたの世界では、あなたとことりとは幼馴染というのですから、どこか影響されているのかもしれませんね」

ことり(穂乃果)「うーん、私には分からないや」
124: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:50:02.49 ID:MmCoQW0+.net
海未「……高坂さん」

ことり(穂乃果)「うん」

海未「正直なところ、私はまだ……あなたについて、考えと気持ちを整理できていません。ですから、すぐに先輩たちのように出来るとも、言えません」

ことり(穂乃果)「……うん。それは、仕方ないよ」

海未「ですが、先ほどの屋上での歌とダンス。そして部室で語ったあなたの想い。それは本物だとは、分かっています」

海未「大切な幼馴染である『ことり』、そして、この世界でたった一人でも、音の木坂と私たちのことを想ってくれている『穂乃果』」

海未「私は、あなたをどう受け止めていいのか、分からないのです……」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「ひどいことを言っているとは、思います。ですが……きっと、心を決めて、あなたのことを、受け入れますから……。だから、今は……」

ことり(穂乃果)「気にしないで。私は、大丈夫だから」

ことり(穂乃果)「私こそ……。海未ちゃん、私がもう少しだけ、あなたの大切な幼馴染――『ことりちゃん』でいることを、許してくれますか?」

海未「私にそんな権利はありませんよ。それに……あなたがことりの姿で良からぬことをしようなどとは、今更思いません」

海未「きっと、ことりも……あなたになら、許してくれるはずです」

ことり(穂乃果)「ありがとう、海未ちゃん……」
125: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 22:53:25.58 ID:MmCoQW0+.net




にこ「はぁ……。何よもう。散々探して、やっと見つけたと思ったら、なんかもう終わってるじゃない」

希「まあ、ひとまず何とかなったみたいやね」

絵里「私たちが慌てて追いかけるまでのことじゃなかったのかもしれないわね」

希「海未ちゃんもことりちゃんもいい子やからね」

にこ「あーもう、心配したのが馬鹿みたいよ」

絵里「まぁまぁ」

希「何はともあれ、一段落やね」

絵里「全部が解決したわけでは、なさそうだけどね」

にこ「ま、そこは仕方ないんじゃない? 海未の気持ちも分からなくはないしね。いきなり答えが出るような問題でもないし」

絵里「でも矢澤さん、あなた、結構あっさりことりのこと、受け入れてたんじゃないの?」

にこ「う、うるっさいわねぇ! いいじゃない! 大体、元生徒会長だって同じようなもんでしょ!!」

絵里「あ、う。ほ、ほら。さっき言ったでしょう? ことりの音ノ木坂学院への想いは本物だと伝わったから、あの子を信じられたのよ!」

にこ「にこだってそうよ! あの屋上でのことりのパフォーマンス、あんなすごいのをできる子が悪いヤツなわけないじゃない!!」

希「はいはい。喧嘩しちゃあかんよ。うちらはみんなことりちゃん――『穂乃果ちゃん』の味方、それでいいやん」

絵里「ん、そうね」

にこ「ま、おんなじスクールアイドルグループやるんだしね。敵になるつもりはないわよ」

絵里「それじゃ、ことりと海未も連れて、戻りましょっか」

希「やるべきことは山積みやしね」

にこ「ライブを成功させるためにも、時間は無駄にはできないものね」

絵里「ええ! さぁ、忙しくなるわよ~!」
127: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/25(土) 23:59:12.02 ID:MmCoQW0+.net
――『アイドル研究部』

絵里「さて、それじゃ私たち『音ノ木坂学院スクールアイドルグループ(仮)』の当面の目標と、課題の確認よ」

ことり(穂乃果)「えっと、ライブだよね?」

海未「確かにそうですが、その前に考えなければならないことがたくさんあります」

にこ「ことり、屋上でにこが言ったこともう忘れたの?」

ことり(穂乃果)「ええとぉ……なんだっけ?」

海未「はぁ、まずは曲です。ちゃんとしたライブをやりたいのなら、ちゃんと曲を用意しなければ」

絵里「ダンス……曲に合わせた振り付けも考える必要があるわ。もちろん、メンバー全員合わせての練習もしなきゃね」

にこ「衣装もよ。制服でパフォーマンスをするのも確かに一つの手だけど、折角のアイドルなんだから見た目にもこだわらないと」

希「それから、舞台もやね。学院の中でやるなら、講堂か体育館あたりが候補になりそうやね。これは他の使用予定を避けて、あらかじめ申請しておけば問題ないはず」

ことり(穂乃果)「そ、そっかぁ……。そうだよね、準備にもいろいろあるんだよね」

海未「そんなことで本当に大丈夫なのですか、ことり……」

希「多分、元の世界でもこんな感じだったんやろうなぁ……」

にこ「あのすごいパフォーマンスを見せたのが本当にこの子だったのか、にこ自信なくなってきたわ……」

ことり(穂乃果)「うぅ……そんなに言わなくてもぉ……」

絵里「はいはい、みんな、ことりをいじめないの」

ことり(穂乃果)「えーん、絵里ちゃぁーん!」ダキ

絵里「よしよし」ナデナデ
128: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:02:03.31 ID:kwSE68pu.net
海未「絢瀬先輩、あまりことりを甘やかさないでください!」

絵里「ねぇ海未」

海未「何ですか?」

絵里「ことりは私のこと、名前で呼んでるんだし。その『絢瀬先輩』っていうの、止めない?」

希「お、えりちなかなかいいこと言うやん。うちもことりちゃんみたく、『希ちゃん』って呼ばれたいなぁ」

絵里「私も海未に名前で呼んでもらいたいのよね。その方が何だか、お互いの距離が縮まりそうじゃない?」

海未「な……し、しかし……先輩方を二年の私がそんな風に呼ぶのは……」

にこ「別にいいんじゃない? にこも、ことりには自由に呼ばせてるし」

ことり(穂乃果)「うん、『にこちゃん』って呼んでいいって言ってくれたもんね!」

にこ「いいっていうか……うん、まあそんな感じよ」

絵里「あ、じゃあ矢澤さん。私も『にこちゃん』って呼んでいい? それとも『にこにーちゃん』の方がいいかしら?」

にこ「……お願い、呼び捨てでいいから『にこ』にして。にこもあんたのこと『絵里』って呼ばせてもらうから」

絵里「そう? ちょっと残念ね……。まあ、いいわ。さあ海未。『絵里ちゃん』って呼んでみましょう!」

海未「ええ!? ちょっと待ってください、絢瀬先輩!」

絵里「ちがうでしょ。『絵里ちゃん』!!」

海未「え、えりちゃ……えり、えりち……」

希「なんかうちの呼び方になってるやん」

海未「えり、ち……ちゃ……」

絵里「いい感じよ、海未!」

ことり(穂乃果)「ファイトだよっ! 海未ちゃん!」

海未「えり……えりち……えり……無理です! こんなの無理ですぅ!」

絵里「えぇ!?」

海未「これならまだ呼び捨ての方がましですぅ~!」

にこ「そっちの方が失礼な気がするけど。海未の中での基準がよくわからないわね……」

希「まぁ、無理強いするもんやないし。ええんやない?」

絵里「そんな……」

ことり(穂乃果)「大丈夫だよ! 私は『絵里ちゃん』ってちゃんと呼ぶからね!」

絵里「ありがとう、ことりぃ~!」ダキ

ことり(穂乃果)「よしよし」ナデナデ

にこ「何この茶番……」
129: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:36:31.57 ID:kwSE68pu.net
絵里「さて、気を取り直して、さっきあげた課題を見ていきましょうか」

希「あ、舞台の確認と使用申請はうちがやっておくよ。第一候補が講堂で、無理なら体育館でどう?」

海未「いいのではないでしょうか? 私も希と一緒に舞台を押さえておきます。生徒会の私がいた方が、話が進みやすいかもしれませんし」

にこ「そうね。じゃあ、そっちは頼んだわよ」

絵里「振り付け担当は、私とことりでどう?」

にこ「異議なし。バレエの経験がある絵里と、あのダンスを見せたことり。あんたたちなら任せられるわ」

ことり(穂乃果)「うん! 絵里ちゃんとならすごくいいのができそうだよ!」

絵里「とはいえ曲が決まらないとどうしようもないわね。曲のあてはある?」

希「ことりちゃんが屋上でやったのは、『穂乃果ちゃん』の世界で作った曲やね?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ。作ったのは私じゃないけどね。他にもいっぱいあるけど、大体作曲は同じ人かな」

にこ「流石のことりも作曲まではできなかったのね。なんかちょっと安心したわ」

絵里「でも、それじゃあどうするの?」

にこ「んー……ここが『穂乃果の世界』と同じなら、この世界にもことりが言う『曲を作った人』がいるんじゃない? その人に頼めば?」

ことり(穂乃果)「そ、そうだよ! にこちゃんナイスぅ!」

海未「ですが、ことり。その人はあなたのことを知らないのでは?」

ことり(穂乃果)「うーん、きっとそうだけど……でも、大丈夫だよ! あの子、本当は音楽大好きなんだもん!」

海未「その根拠のない自信はよくわかりませんが、他に当てもありませんし、仕方ないですね」

希「それじゃ、曲作りができる人を探すのは、ことりちゃんの担当やね」

ことり(穂乃果)「任せてっ! すっごくいい曲、作ってもらうから!!」

絵里「ふふ、期待してるわよ」
130: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/26(日) 00:37:38.84 ID:kwSE68pu.net
ことり「あ、そうだ。衣装はどうしよう……? いつもはことりちゃんが作ってくれたけど、今は私だから……」

希「そっか、その問題もあるんやね……」

海未「少しくらいなら、私たちも手伝えると思いますが……」

希「にこっち、何かいい案ある?」

にこ「うーん……一応部室には、『ことり』が作ってくれたアイドル用の衣装があるけど……」

にこ「にこと、希と、ことり用だけなのよ」

海未「それを使ったとしても、数が足りませんね……サイズの問題もありますし……」

絵里「ねぇ、ことり」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん、どうしたの?」

絵里「あなたの部屋に、『ことり』が使ってたアイディアノートみたいなもの、あるかしら?」

ことり(穂乃果)「たぶん。ことりちゃんの部屋だから、あんまりよく見てないけど……あると思うよ」

絵里「なら。『ことり』には悪いけど、探して持ってきてくれないかしら?」

にこ「なんでよ?」

絵里「一から作るのは無理だけど、デザインが決まってる衣装なら、私が作るわ」

希「ああ、そっか。えりち衣装つくるの得意やもんね」

ことり(穂乃果)「ええ~!? 絵里ちゃんすごーい!!」

海未「絵里にそんな特技が……知りませんでした」

絵里「ふふ、自分で言うのも何だけど、結構自信あるのよ? 『ことり』には勝てないかもしれないけど、期待して?」

にこ「オッケー。絵里、衣装づくりはにこも手伝うわ。アイドル研究部部長の意見、役に立つはずよ」

絵里「ありがと、にこ。じゃあ、お願いするわね」

海未「これで大体の分担は決まりましたね」

にこ「そうね。それじゃ各自、行動開始。いいわね?」

絵里「時間は限られてるわ。みんな、しっかりね」

ことり(穂乃果)「じゃあみんな、はりきっていこう!」

「「「「おーっ!!」」」」
136: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:55:14.26 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「よし! みんなそれぞれ頑張ってるんだ。私も任されたことをしっかりやらないと!」

ことり(穂乃果)「まずは、曲を作ってくれる人を探して、お願いするところからだね!」

ことり(穂乃果)「えへへ。私たちの曲なら、当然あの子以外にはいないよね!」

ことり(穂乃果)「それじゃ、早速一年生の教室へいこう!」

ことり(穂乃果)「あ……」

♪~

ことり(穂乃果)「これ……ピアノの音だ」

ことり(穂乃果)「そっか。この世界でも、同じなんだ」

ことり(穂乃果)「行ってみよう」

――『音楽室』

カララ……

ことり(穂乃果)「しつれいしまーす……」

ことり(穂乃果)「いたいた。ピアノを弾いてるあの赤い髪の子は……」

ことり(穂乃果)(うん、間違いない。真姫ちゃんだ)

♪~♪♪~

真姫「~♪」

ことり(穂乃果)(音楽に合わせて、身体が揺れてる……ふふ、なんだか、楽しそう)

ことり(穂乃果)(気持ちよさそうに演奏してるし、邪魔しちゃ悪いよね……)

ことり(穂乃果)(やっぱり、音楽好きなんだね)

ことり(穂乃果)(あ、歌い出した……。やっぱり、真姫ちゃんの歌、いいなあ……)
137: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 00:58:28.06 ID:d3NRzTvv.net




真姫「……ねぇ、そこのあなた」

ことり(穂乃果)「え? あ、私?」

真姫「他に誰もいないじゃない。さっきからずっといるけど、何か用なの?」

ことり(穂乃果)「あっ……演奏、いつの間にか終わってたんだね。とっても上手で、聞き入っちゃってたよ」

真姫「あ、ありがと……。って、そうじゃなくて。盗み聞きみたいな真似、趣味悪いわよ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい」

真姫「べ、別にそこまで怒ったわけじゃないけど……。……誰かに聞かせたの、はじめてだけど、褒めてくれたし……」

ことり(穂乃果)「え? ごめん、聞こえなかった」

真姫「な、何でもないわよっ。そんなことより、わざわざ私のピアノが終わるまで待っていたでしょ? 何か、用があるんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「う、うん。実は真姫ちゃんにお願いが……あ、その前に自己紹介しなきゃだね」

ことり(穂乃果)(そうだよ、海未ちゃんが言ってたっけ)

――『ことり、今のあなたはともすれば勢い任せに行動しがちです』

――『あなたの世界とこの世界はほとんど同じかもしれませんが、あなたの記憶と違う部分もあることを忘れないでください』

――『特に、人間関係に関しては。あなたは知っていても、相手はあなた――ことりのことを知らない、ということもありますからね』

ことり(穂乃果)(そうだ。この世界の真姫ちゃんは穂乃果のことはもちろん、多分ことりちゃんとも会ったこと無いよね)

ことり(穂乃果)「危ない危ない。また、雪穂の時みたいになっちゃう所だった」

真姫「何ぶつぶつ言ってるのよ」

ことり(穂乃果)「な、何でもないよっ!? ええっと、そうだ自己紹介。私、二年の南ことり! 多分はじめまして、だよね?」

真姫「直接話すのは初めてだけど、名前は知ってるわ。それにあなた、生徒会長でしょ」

ことり(穂乃果)「あっ、知っててくれたんだ。じゃあ、真姫ちゃんには必要なかったね」

真姫「そんなことはないけど。むしろ、生徒会長が私のことを知ってた方が意外だわ」

ことり(穂乃果)「あはは。まあ、ちょっとね」
138: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 01:01:49.91 ID:d3NRzTvv.net
真姫「それはそれとして、さっきから、初対面なのに名前呼び?」

ことり(穂乃果)「あっ、もしかして、嫌だった!?」

真姫「……別に、いいわよ。あなたの方が先輩なんだし」

ことり(穂乃果)「そんなの気にしなくていいのに。私のことも『生徒会長』じゃなくて、名前でいいよ!」

真姫「あいにく今日初めて会話した人、それも上級生をいきなり名前で呼ぶ気は私にはないわ」

ことり(穂乃果)「えぇぇ……」

真姫「ちょっ、そんな泣きそうな顔しないでよ! ま、まずは『南さん』……からで」

ことり(穂乃果)「うぅ……でも真姫ちゃん、慣れたらちゃんと名前で呼んでね?」

真姫「わ、分かったわよ……」

ことり(穂乃果)「約束だからね!」

真姫「はいはい、ちゃんと守るわよ。……それで?」

ことり(穂乃果)「あ、うん、実はね」

真姫「ああ、待って。こちらから用件を当ててあげましょうか」

ことり(穂乃果)「え? 分かるの?」

真姫「大体はね。……私にライブ用の曲を作ってほしい、ってとこでしょ?」

ことり(穂乃果)「すごーい! 正解だよ! ねぇねぇ、なんで? なんで分かったの!?」

真姫「ちょ、ちょっと!? 南さん、近いわよ!」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめん……」

真姫「ふぅ……南さん、私が思ってたのとずいぶん性格が違うのね。まあいいわ」

真姫「それで、なんで分かったか、よね。簡単よ。あなたたち、スクールアイドルやるんでしょ?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ。真姫ちゃん、知ってたの?」

真姫「まぁね。たまたまクラスの子が噂してたの、聞いたのよ」

真姫「それで、私のところに来るなら、おそらく作曲関係だと思ってね」

ことり(穂乃果)「それなら話が早いね!」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん! 改めてお願いします、ことりたちのライブ用の曲を、作ってほしいの!」

真姫「悪いけど、お断りするわ」
143: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 20:30:33.95 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「えっ……そ、そんな……」

真姫「ごめんなさい。でも、何を言われようと、そんな気はないの」

ことり(穂乃果)「な、なんで……?」

真姫「……ピアノも歌も、ただの息抜き。暇つぶしにやってるだけだから」

真姫「作曲ともなれば、時間もかかるでしょ。正直、そこまで力を入れてやるつもり、ないの」

ことり(穂乃果)「そんな……そんなの、嘘だよ。だって、真姫ちゃん音楽好きなんでしょ? なら……」

真姫「……あなたが私の何を知ってるのかは知らないけど。私のことは私が決めるわ」

ことり(穂乃果)「……真姫ちゃん……でも」

真姫「しつこいのと、強引な人は嫌いよ。いくらあなたが上級生で、生徒会長だからって、私のことに口出ししないで」

ことり(穂乃果)「あ……」

真姫「悪いけど、私も忙しいの。南さん、曲作りなら私以外にもできる子はいるはずよ」

ことり(穂乃果)「……」

真姫「ライブ用の曲は他の誰かに頼んで。もう行くわ。それじゃ」

ガララ……ピシャ

ことり(穂乃果)「……他の人じゃ、ダメだよ。μ’sの曲は、真姫ちゃんじゃなくちゃ……」

ことり(穂乃果)「でも……。無理やりじゃだめだよね。どうすればいいんだろう……
144: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 20:34:37.34 ID:d3NRzTvv.net




キーンコーンカーンコーン

――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「うぅぅ……結局、真姫ちゃんを説得するアイディアなんて浮かばなかったよ……」

ことり(穂乃果)「にこちゃんの時みたいに認めてもらうには……勝負、とか?」

ことり(穂乃果)「あうぅ……ダメだぁ、そもそもピアノじゃ真姫ちゃんには勝てないし……歌でも勝てるかどうか……」

ことり(穂乃果)「みんなに相談してみようかな……」

ガチャ

ことり(穂乃果)「ねぇ、みんな。ちょっと相談が……あれ?」

ことり(穂乃果)「誰も、いないや……あ、メモがある」

『 ことりへ。各自の今日の予定です。
 
  絵里:衣装制作のため買出し

  希 :ライブ舞台確認、その後使用申請交渉に職員室

  にこ:絵里に付き添い

  海未:生徒会室。学院への提出用資料作成      』

  
ことり(穂乃果)「そっか。みんな、頑張ってくれてるんだ」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよね! 私も頑張らないと! ファイトだよっ!」

ことり(穂乃果)「って言っても、どうしよう……。やっぱり、もう一度真姫ちゃんと話してみようかな」

ことり(穂乃果)「でも、強引なのは嫌い、って言ってたし……ううん」

ことり(穂乃果)「……ん? なんだろう、あのロッカー……何か、挟まってる」

キィ

ことり(穂乃果)「あ、これ……にこちゃんが言ってた、『ことりちゃん』が作ったっていう衣装……?」

ことり(穂乃果)「わぁ……すごい! 穂乃果が知ってるのとはちょっと違うけど、すっごくかわいい!!」

ことり(穂乃果)「えっと、こっちがにこちゃん用だね。こっちが、希ちゃんかな?」

ことり(穂乃果)「じゃあこれがことりちゃん用だよね。うん、二人のに負けないくらいかわいいっ!」

ことり(穂乃果)「ちょっと、着てみたいかも……」ウズウズ

ことり(穂乃果)「ことりちゃん用の衣装……今の私なら、着れるよね? 着てもいいよね、ことりちゃん?」

ことり(穂乃果)「うん! いいよぉ、穂乃果ちゃんっ」

ことり(穂乃果)「よしっ! ありがとうことりちゃんっ!」グッ
145: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 21:18:25.65 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「新しい衣装を着るときって、何だかドキドキするねっ!」

ことり(穂乃果)「一応、カーテン閉めて……っと」シャッ

ことり(穂乃果)「えっと……鏡鏡……よし」

ことり(穂乃果)「ではっ! ごめんね! 脱ぐね、ことりちゃん!」

シュル……ゴソゴソ……パサ……

ことり(穂乃果)「あっ、脱いだ服、掛けておかないと皺になっちゃうかな」カチャ

ことり(穂乃果)「改めてみると、ことりちゃんって意外とスタイルは穂乃果と似てる……かな?」

ことり(穂乃果)「うーん。でも雰囲気とかは全然違うよねー。はあ、ことりちゃん可愛くてうらやましいな~」

ことり(穂乃果)「…………」

ことり(穂乃果)「……なんだろ、今は一応、自分の身体なんだけど……」

ことり(穂乃果)「鏡に映ってることりちゃんの下着姿に、ちょっと罪悪感が……」ズキ

ことり(穂乃果)(でもちょっと困り顔のことりちゃんも可愛い……)ドキドキ

ことり(穂乃果)「はっ、そんなことやってる場合じゃなかった! 着替え着替え」

ことり(穂乃果)「えっと……これを着て……こっちが上着? あ、このスカート、中にパニエがあるんだね」

ことり(穂乃果)「このリボンを……、あと、アクセかな? ……よしっ! かんせーい!」

ことり(穂乃果)「うわぁ……っ!」

ことり(穂乃果)「すっごい! 実際に着たら想像よりも何倍もかわいいよっ!!」

ことり(穂乃果)「デザインだけじゃなくて、縫製もすごく丁寧で……」

ことり(穂乃果)「こっちの世界のことりちゃんも、衣装づくり好きなんだって伝わってくるね……」

ことり(穂乃果)「こんなに可愛いんだもん。すぐ脱ぐのももったいないなぁ」

ことり(穂乃果)「ちょっと、歌いたくなってきちゃったかも」
147: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:05:41.73 ID:d3NRzTvv.net
 ―― だって……ぎゅっとー らぶでせっきーん……!

海未「……?」

 ―― ふだんより、そーわそわぁ…… いつもよりぃかぁわいく~

希「これ……? そっか、ふふ……っ」

 ―― そして! 純情はせーいぎ! じゅーんすいよ! キミよふりむいてぇ

「なんだか楽しそうにゃー♪」

「うんっ、それにとっても上手だねっ! 誰が歌ってるんだろう?」

 ―― 見せて 見せてっ どうか見せてっ

 ―― うんとがんばっちゃ~う!

真姫「この歌声……? どこから……? あ……っ」

 ―― つかまえて ぎゅっと もっと 私を……見て……





ことり(穂乃果)「ふぅ。結局、一曲歌いきっちゃった……」

ことり(穂乃果)「みんなライブに向けて頑張ってるのに、何だか私だけ遊んじゃってて悪い気が」ズーン

カチャ キィ

ことり(穂乃果)「わっ!? ご、ごめんなさいっ! かわいい衣装があったから、つい!!」

ことり(穂乃果)「さ、さぼってなんかいませんっ! す、すぐ私も出かけちゃいますっ!」

真姫「……何慌ててるのよ。イミワカンナイ」

ことり(穂乃果)「ふぇ!? 真姫ちゃん?」

真姫「……」カミノケクルクル
148: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:25:35.80 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「な、なんで真姫ちゃんがここに!?」

真姫「その……何だか楽しそうな歌声が聞こえてきたから、つい……」

ことり(穂乃果)「え? あ……そ、そう言えば気分が乗ってきたから、窓開けて歌っちゃってた……」

真姫「ええと……邪魔、だった?」

ことり(穂乃果)「う、ううん! そんなことないよ! いらっしゃい、真姫ちゃん!!」

真姫「うん……」クルクル

ことり(穂乃果)(自分じゃ分からなかったけど、真姫ちゃんに聞こえたってことは、結構大きな声だったんだろうな……)

ことり(穂乃果)(皆に聞かれたよね? うぅ……なんか、今更恥ずかしくなってきちゃった……)

ことり(穂乃果)(さっきの音楽室での真姫ちゃんも、こんな気持ちだったのかな)

真姫「ねぇ」

ことり(穂乃果)「はっはい!? なに、真姫ちゃん!?」

真姫「南さんが来てるそれ……アイドルのライブ衣装ってやつ?」

ことり(穂乃果)「う、うん」

真姫「そう……。似合ってるわよ」

ことり(穂乃果)「あ、ありがとう」

ことり(穂乃果)(褒めてもらえるのは嬉しいけど……ちょっと照れるね)

真姫「それにあなた……歌、うまいのね……。正直、驚いたわ」

ことり(穂乃果)「えへへ……、みんなにいっぱい教えてもらったからね」

真姫「そう、なんだ……。友達、多いのね」

ことり(穂乃果)(あ……、この世界の真姫ちゃんは、花陽ちゃんや凛ちゃんとまだ友達じゃないのかな……)

真姫「ねぇ、南さん。あなたは……なんで、いつもそんなに楽しそうなの?」
150: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 22:42:01.01 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「え? 楽しそう?」

真姫「ええ。あなたの目、いつもキラキラしてるわ」

ことり(穂乃果)「そうなの? 自分じゃ分からないや」

ことり(穂乃果)「でも、楽しそうに見えたなら……それはきっと、夢に向かって、好きなことに一生懸命、だからかも」

真姫「好きなことに……」

ことり(穂乃果)「うん。私は歌が好き、スクールアイドルが好き。そして、この音ノ木坂学院と、メンバーの皆が大好き」

ことり(穂乃果)「だから、スクールアイドルで、ライブでその素晴らしさをみんなに伝えたい。もちろん、真姫ちゃんにも」

ことり(穂乃果)「そう、想って。願いが叶うように、悔いを残さないように、いつも全力で走ってるんだ。みんなと一緒に」

ことり(穂乃果)「だからいつもわくわくして、とっても楽しいって感じてるのかも」

ことり(穂乃果)「ほんとのこと言うと、真姫ちゃんにも、この楽しさを知ってほしい……かな」

真姫「……」

ことり(穂乃果)「あっ! でもね。無理にとは言わないよ。だって、好きなことだからこそ一生懸命になれるんだもん」

ことり(穂乃果)「楽しいはずのことが、我慢してるうちに楽しくなくなっちゃうなんて、そんなの、つらいから」

真姫「……あなたは……好きなことを、素直に好きって言えるのね。……ちょっと、羨ましいわ……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん?」

真姫「ううん、何でも」

ことり(穂乃果)「そっか。あ、ごめん。長々とお話ししちゃったね」

真姫「べ、別に……気にしてないわ」

ことり(穂乃果)「ありがと、真姫ちゃん。私、そろそろ行くね?」

真姫「え……」

ことり(穂乃果)「みんなライブのために頑張ってくれてるから、私だけ遊んでたら怒られちゃうし」

真姫「でも……楽曲、無いんでしょう?」

ことり(穂乃果)「そうだけど……、それは何とかするよ! 大丈夫!!」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、また気が向いたら、アイドル研究部に遊びに来てね!」

真姫「あ……」

ことり(穂乃果)「歓迎するから! じゃあね!」

真姫「待って!!」
151: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/27(月) 23:07:10.48 ID:d3NRzTvv.net
ことり(穂乃果)「……真姫ちゃん?」

真姫「その……前に、音楽室で言ってた、作曲のことなんだけど」

ことり(穂乃果)「う、うん」

真姫「……えっと……やっぱり……手伝っても、いいわよ……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん……!」

ことり(穂乃果)「嬉しいけど……でも、いいの? 無理は、しなくても……」

真姫「無理なんてしてないわ」

ことり(穂乃果)「でも」

真姫「嘘や冗談なんかでもない。私が、やりたいのよ。それとも……今更、迷惑?」

ことり(穂乃果)「そんなことないよ! 真姫ちゃんが曲を作ってくれるって、すっごく嬉しい!!」

真姫「そ、そう……。その……あんなに歌がうまいのに、楽曲がないなんて……もったいないって、思ったから……」

真姫「……それに……あなたみたいに、自分の気持ちに素直になれたら……私も、変われるかな、って……」ボソ

ことり(穂乃果)「?」

真姫「何でもないわ。でも、流石アイドルね。衣装を着て、歌ってるあなた、すごくかわいかったわ」

ことり(穂乃果)「そ、そっかな……ありがとう。えへへ……なんか、そう言われると照れちゃうね」

真姫「くすっ、南さん、耳まで真っ赤よ」

ことり(穂乃果)「うぅ……、い、言わないでよぉ……」

真姫「何だか生徒会長どころか、上級生とも思えないわね。……ことりさん、って」

ことり(穂乃果)「あっ、真姫ちゃん、いま……!」

真姫「あっ、う。や、やっぱり変だった?」

ことり(穂乃果)「ううん! でもね、真姫ちゃん。私には『さん』付けもいらないよ?」

ことり(穂乃果)「そのまま、名前で呼んでほしいな」

真姫「ヴェエエ!? それって呼び捨て? だ、だって私は一年生で、あなたは上級生よ? いくらなんでも呼び捨ては……」

ことり(穂乃果)「大丈夫! 私は気にしないし、慣れてるから! メンバーの皆も、誰も気にしないしね!」

真姫「慣れてるって、何よそれ……本当、イミワカンナイ」

ことり(穂乃果)「えへへ。それじゃ、改めて、よろしくね! 真姫ちゃん!」

真姫「ええ。よろしく……ことり」
163: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 21:54:03.11 ID:d3lmVxt7.net
――翌日 一年生教室

キーンコーンカーンコーン

教師「――それではホームルームの連絡は以上だ。日直、号令」

「きりーつ、礼」

<ネェネェ ブカツイコー?
<シッテル? アタラシイオミセ,デキタンダヨ~
<ホントウ!? ミニイキターイ

ガヤガヤ……

「かよちーん! 一緒に帰ろうにゃー!」

「うん。あ、あれは……?」

真姫「……」

タタタ……

「ん? あ、西木野さんだにゃ。なんか走ってっちゃったね」

「うん。なんだか珍しいね、あんなに急いで。どこ行くんだろう……?」

「そういえば、西木野さん、朝からそわそわしてたような……アイドル研究部が、どうとか……」

「かよちん?」

「ううん。何でもない。凛ちゃん、帰ろっか」

「うん! ねぇねぇ、帰りにラーメン食べていこうにゃ~」

「えぇ~!? またなのぉ!? あんまり食べると、夕ご飯、食べられなくなっちゃうよぉ?」

「平気平気! それじゃ、いっくにゃー!」

「わゎっ!? ひ、引っ張らないでぇっ!? ……だ、ダレカタスケテェ~!!」



165: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:00:11.70 ID:d3lmVxt7.net
――『アイドル研究部』

コンコン

「あっ、来た来た! はーい! どうぞー!」

ガチャ

真姫「し、失礼します……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、待ってたよー!」

希「へぇ、この子がことりちゃんの言ってた子やね。あ、中入って入って」

海未「ようこそ、アイドル研究部へ。ええと……」

真姫「あ……西木野、真姫です。よろしく、お願いします」

絵里「ハラショー! 歓迎するわ! またにぎやかになるわね!」

にこ「ちょっとことり、この子一年生じゃない。本当に曲作りできるの?」

ことり(穂乃果)「大丈夫! 真姫ちゃんの曲はどれもいい曲なんだよ!」

にこ「ふぅん。ま、ことりが言うなら大丈夫なんだろうけど」

海未「にこ、いきなりそれは失礼ですよ。すみません、真姫」

真姫「別に、気にしていません。それより、ことりの言う通り、本当に先輩後輩気にしない呼び方なんですね」

絵里「ええ。私たちは同じスクールアイドルって仲間でしょ? だから真姫も先輩とか気にしないでいいのよ」

希「そうそう。敬語もいらないんよ。ま、誰かさんは難しいみたいやけど」

海未「な、なんでこっちを見るんですか希! 仕方ないでしょう! こればかりは今更変えられません!」

ことり(穂乃果)「確かに敬語じゃない海未ちゃんって、想像できないかも……」

海未「ことり!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめぇんっ!」

真姫「……くす。本当に、ことりの言う通りね。仲いいのね、あなたたち」
166: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:06:26.45 ID:d3lmVxt7.net
ことり(穂乃果)「うん! みんな私のとっても大事な人で、大好きだから! あ、もちろん真姫ちゃんもだよ!」

真姫「ちょ、ちょっと止めてよ……いきなり何言ってるのよ……」

にこ「あらぁ~? ひょっとして真姫ちゃんってば、嬉しいの? 照れてるのぉ?」

真姫「なっ、何よそれ! イミワカンナイ!」

にこ「またまたぁ、ことりに大好きって言われて、嬉しいんでしょ? 頬真っ赤にしちゃてぇ~」

真姫「し、してないわよっ!」

絵里「うふふ、真姫も思ったよりすぐに打ち解けてくれそうね」

希「そうやね。舞台の申請も通ったし、これで楽曲もOK。練習、本格的に始められそうやね」

絵里「ええ。ふふ、いよいよダンスの練習もできるわ。腕が鳴るわね」

海未「絵里、楽しそうですね」

絵里「まあね。やっぱり私、踊るの好きなのかも」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんのダンス、すごいもんね! 私も頑張らなきゃ!」

海未「私もです。日舞とは違うとはいえ、負けていられませんからね」

真姫「……ねぇ。そういえば、さっきことりが『どれもいい曲』って……どういう意味?」

真姫「私、まだ一つも曲作ってないんだけど……」
167: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 22:17:05.31 ID:d3lmVxt7.net
ことり(穂乃果)「えうっ!? そ、それは……」

にこ「きき聞き間違いじゃないの?」

絵里「そうそう! たぶん緊張してたから変な風に聞こえたのよ!! ねぇことり!」

ことり(穂乃果)「うんうん! そうだよ真姫ちゃん!!」

真姫「そう? ……そうかしら?」

にこ「……ちょっとことり……『あんたのこと』、教えてないの?」ボソ

ことり(穂乃果)「ご、ごめん。まだ……」ボソ

にこ「まぁ……事情が事情だしね……。話したとこで信じられるかってこともあるし……」ボソボソ

真姫「二人して、何こそこそ話してるのよ?」

ことり(穂乃果)「なっ、なんでもないよぉっ!?」

真姫「? それと、あなたたち、ライブ用の曲がないって話だったわよね?」

ことり(穂乃果)「あ、うん。そうなんだ」

海未「それで困っていたんです」

真姫「でも、それって変じゃない? ほら、ことりが歌ってた歌とかあるんでしょ?」

真姫「それをライブでもやればいいんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「ええと……それはその……」

海未「実はですね……。ことりが歌う歌は、どれもちゃんとした曲ではないんです」

海未「歌詞とメロディーはあるのですが……」

真姫「??? よくわからないけど……。それじゃあ、ライブ用の曲っていっても、一から作曲するんじゃなくて」

絵里「ええ。ことりの歌を編曲する……というか、ちゃんとした曲をつけてあげて欲しいのよ」

真姫「なるほどね。それなら、そんなに時間はかからないと思うけど」

希「良かった。恥ずかしい話だけど、うちらにはそういうことできる人がいなくてね~」

にこ「本当、ことりってそういうとこ抜けてるんだから……」

ことり(穂乃果)「うっ……返す言葉もないです……」

ことり(穂乃果)(……でも。真姫ちゃんを誘ったのは……それだけじゃないんだ)

ことり(穂乃果)(ライブでやるのは、『向こうの真姫ちゃん』の作った曲だけど……)

ことり(穂乃果)(こっちの真姫ちゃんにも……曲作りの楽しさと、この素敵なみんなを知ってほしかったから……)
168: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/28(火) 23:16:44.60 ID:d3lmVxt7.net
真姫「……ことり?」

ことり(穂乃果)「あっ、ご、ごめん。それじゃあ、今日はどうする?」

絵里「そうね。今日はことりと真姫はライブ用と練習用に歌を録ってきて。明日から、それをもとにダンスの練習も始めましょ」

にこ「それまでにこは絵里と衣装作成を進めておくわ。材料は揃えておいたから」

希「それでええんやない? ならうちは明日からの練習場所を探しておくんよ」

海未「私はどうしましょうか。学院への資料は提出しましたので……」

にこ「なら、衣装の方手伝ってくれない?」

海未「わかりました。絵里やにこほどの腕はありませんが……」

にこ「そんなの気にしないわよ。海未が手伝ってくれるだけでありがたいわ」

にこ「そうだ、折角だし真姫ちゃんの分も追加しとく?」

絵里「それはいいアイディアだわ! 流石にこね!」

真姫「ええっ? ちょ、ちょっと! 作曲はするけど、アイドルやるとまでは言ってないわよっ!?」

希「まぁまぁ。いいんやない?」

真姫「待ってよ!? ことりっ、あなたからも言ってやってよ!」

ことり(穂乃果)「えっと、私も……真姫ちゃんといっしょにやれたら嬉しい、かな」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、どう……?」

真姫「ことりっ!? で、でも……私が、アイドルなんて……」

ことり(穂乃果)「もし本当に嫌なら……これ以上は、言わないけど」

真姫「~~~~っ! ずるいわよっ、そんな顔!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね」

真姫「……ちょっとだけ、時間を頂戴。すぐには……決心できないから」

ことり(穂乃果)「……うん」



にこ「……いぇーい!」

絵里「ハラショー!」

ハイタッチ パァン!

真姫「そこっ!! まっ、まだ入るって言ってないわよっ!!」

希「まぁ、もう加入したようなもんやん?」

真姫「希っ!!」
174: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:34:48.04 ID:Y62o9cua.net
 ――何だかんだ言いながらも……メンバーとして真姫ちゃんも加わり、私たちはライブに向けて本格的に動き出した。





真姫「ひとまず、練習用の、だけど、ことりの歌を基に曲をつけてみたわ」

ことり(穂乃果)「おぉ~! 真姫ちゃんさっすがぁ!」

にこ「へぇ、こんなすぐにできるなんて、なかなかやるじゃない」

真姫「まぁ……メロディーが最初からあったからね」

真姫「それに、ことりの歌う歌って、不思議と私のフィーリングに合うのよ。どうしてなのかしら?」

ことり(穂乃果)「あはは……不思議だよね……」

ことり(穂乃果)(だって、『真姫ちゃん』が作った曲だからね……同じセンスの持ち主だから、当然だよね)

絵里「ねぇねぇ、早速聴いてみましょうよ!」

希「あっ、ずるいよえりち。うちも聴きたい!」

にこ「ちょっと! ここは部長のにこが優先でしょ!?」

海未「あっ……その、私も……」

真姫「もう、慌てなくても曲は逃げないわよ……」

ことり(穂乃果)「っていうか、イヤホンじゃなくてスピーカーから流せばよかったんじゃ……」
175: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:35:21.74 ID:Y62o9cua.net




海未「ダンス自体の練習も大切ですが、ライブを踊り切るには大前提として、スタミナがなければなりません」

海未「ということで、まずは体力の向上を目指してトレーニングです!」

絵里「確かに一理あるわね。具体的には?」

海未「そうですね……まずはランニングでもしてみましょうか。始まったばかりですし、軽く10kmくらいですかね」

希「じゅ、じゅっきろ!? 海未ちゃん、そ、それはちょっと……」

にこ「に……にこはぁ、スーパーアイドルだしぃ? そんなことしなくても大丈夫にこっ」

真姫「そ、そうよそうよ。それにまだ私はやるって決めたわけじゃ……」

海未「何か言いましたか? 希、にこ、真姫?」

のぞにこまき「「「な、何でも……」」」

海未「では、行きますよ!」

絵里「なんだか海未、楽しそうね? っと、ボーっとしてないで私も続かないとね」

ことり(穂乃果)「あはは……実はちょっと、こうなる気はしてたんだよね……この世界でも、海未ちゃんの厳しさは同じ、かぁ」





タッタッタッ……

絵里「はっ……はっ……見慣れた街でも、こうしてみんなと走るとなんか新鮮ね」

ことり(穂乃果)「だねっ、はっ、はっ、なんだかこういうの、楽しいよね!」

絵里「ええ! よし、ゴールまでもうちょっとね。ふふ、ことり、負けないわよ~?」ダッ

ことり(穂乃果)「あっ、絵里ちゃんずる~い! なら私だって!!」ダッ

海未「ことり、絵里! ああ、もう、これは競争じゃないんですよ!?」ダッ

にこ「ひぃ……ひぃ……なんなのよ、あの子たち……化け物なの……?」

希「えりちや海未ちゃんはともかく、ことりちゃんまであんなに体力があるなんて……」

真姫「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

にこ「ま、真姫ちゃん? 大丈夫なの?」

真姫「ぜぇ……いみ……ぜぇ……わかん……な……」ガクリ

にこ「ちょっとぉぉぉ!?」

希「あ、あかん!? メディック! メディーック!!」
176: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:35:54.04 ID:Y62o9cua.net




絵里「みんな、衣装ができたわよ!」

海未「おお、ついにですね!」

にこ「ふふっ、デザイン自体は『ことり』の案だけど、にこたちの努力の結晶、とくと見なさい?」

ことり(穂乃果)「どんな衣装なんだろう、ドキドキするね!」

真姫「……なんでことりが知らないのよ」

希「まぁまぁ、デザインと実物じゃ別物、ってのはよくあることやん」

海未「そ、そうですよ」

絵里「それじゃ、お披露目よー。……じゃーんっ!」

ことり(穂乃果)「わぁ……っ!!」

希「ええやん! 流石えりちやん!」

にこ「ちょっとぉ! にこも手伝ったのよ!? にこのことも褒めなさいよ!」

絵里「ええ、にこがいたからこそ、出来た衣装だものね。ありがとう、にこ」

にこ「ふ、ふんっ! す、スーパーアイドルたるもの衣装もしっかりしてないといけないから! それだけだから!」

真姫「な、なかなかいいんじゃないの……? か、可愛いし、いいと思うわよ……?」クルクル

海未「で、ですが……ちょっとスカートが短くありませんか? わ、私はもうちょっと長めのを……」

ことり(穂乃果)「ダメだよ海未ちゃん! 一人だけロングスカートじゃ合わないでしょ?」

にこ「ことりの言う通りよ。諦めなさい。……下にジャージなんて、許さないわよ?」

海未「うっ!? な、何故それを……!」
177: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 21:50:38.99 ID:Y62o9cua.net




ことり(穂乃果)「どうしたのにこちゃん。みんなを集めて」

真姫「そうよ。練習しないの?」

にこ「ちっちっち。甘いわねあんたら」

にこ「練習も大切だけど、アイドルにはそれと同じくらい大切なことがあるのよ!」

にこ「特に、ライブを成功させるためにはね?」

絵里「何かしら……準備はしっかりやっていると思うけど……」

海未「ええ、練習も順調に進んでいます。もちろん、まだまだ課題は残っていますが」

にこ「まったく、絵里も海未もダメね。はぁ、にこがいなかったらどうなってたやら」 

ことり(穂乃果)「ねぇねぇ、にこちゃん。それって何なの?」

真姫「そうよ。勿体付けないで教えなさいよ」

希「あっ、うちなんとなくわかったかも」

ことり(穂乃果)「本当? 希ちゃんすごい! ねぇねぇ、何なの?」

希「ふふふ……アイドル、そしてライブの成功に大切なもの! それは……」

絵里「それは……?」

海未「ごくり」
 
希「ずばり! 宣伝! アピール! プロモーションやん!」

ことり(穂乃果)「おぉ~! そっか! そうだよね!」

真姫「確かに、私たちのことをもっと知ってもらわなきゃいけないものね」

希「うちらだってアイドルなんやから、PV撮って動画サイトにアップするとかもありやん?」

絵里「いいわね! あ、じゃあライブ告知のチラシやポスター作ったりとかも!」

ことり(穂乃果)「みんなにチラシを配って、私たちのこと知ってもらうんだね!」

海未「そういうことなら、生徒会室にいくつか使えそうなものがあったはずです」

真姫「まぁ……チラシ配りはともかく、ポスター作りとかなら、私も手伝わないでも無いわよ」

ことり(穂乃果)「よーし、それじゃ早速やろう!」

絵里「ええ、ほらにこ、ボーっとしてるとおいてくわよ?」

にこ「……ぬぁんでよ!!」
178: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:23:21.61 ID:Y62o9cua.net




凛「それでねー? そのラーメン屋さん、ちょっと見つけにくいけどすごくおいしくって」

花陽「へぇ~……そうなんだ。よかったね、凛ちゃん」

凛「うん! 今度かよちんも一緒にいこ! そこはライスもね、とってもおいしいんだよ!」

花陽「そうなの!? もちろんだよぉ」

凛「やった! 楽しみにゃー!」

花陽「ふふ……っ、凛ちゃん、本当に好きなんだね。……あれ?」

凛「どうしたのかよちん? あ、何だろあそこ。人だかりができてるにゃー」



<よろしくおねがいしまーす!」
<みなさん、見に来てくださいねー!



生徒「がんばってねー!!」

ことり(穂乃果)「ありがとーっ!」

にこ「にこたちの活躍ぅ、ぜひぜひ、見に来てにこっ!」



花陽「あ、あの人……生徒会長さんだよ」

凛「でも、一緒にいる人は、リボンを見ると三年生にゃ。凛と同じくらいちっちゃいけど」

花陽「凛ちゃんそんなこと言っちゃダメだよぉ。でも、何やってるんだろう」

凛「何か配ってるみたいだにゃー。かよちん! 貰いにいこ!」

花陽「あっ、凛ちゃん!?」
179: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/29(水) 23:27:57.05 ID:Y62o9cua.net
絵里「よろしくお願いしまーす! 音ノ木坂学院スクールアイドルグループ(仮)でーす!」

真姫「……ねぇ。やっぱりその名前何とかしない?」

絵里「でも、『これ!』っていう、いいアイディアが浮かばないし……」

海未「とはいえ、いつまでも(仮)というのも不味いのは確かです」

希「ライブまでに何か考えないとやね」



花陽「スクール、アイドル……? それに、ライブ、って……」

凛「あっ、あれ西木野さんだにゃ! でも何で生徒会長さんや先輩たちと一緒に?」

花陽「もしかして、西木野さんがお昼休みや放課後に行ってたのは……」

凛「なるほどー。先輩たちと遊んでたってことかにゃ」

花陽「そっか……」

凛「……かよちん?」

花陽「何でもないよ。……凛ちゃん、いこっか」

凛「あっ、かよちん!?」
185: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 16:55:13.38 ID:SQZYn7AW.net
海未「ふぅ……チラシ配りというのも、なかなか簡単ではないのですね」

にこ「まぁ、みんながみんなアイドルやライブに興味があるってわけじゃないからね」

にこ「むしろ、そういう人にいかに興味を持って貰うか、魅力を知ってもらうかが、アイドルの腕の見せ所ってこと」

真姫「にこちゃんのキャラ作りも、こういう時には人目を引くから強いわよね」

にこ「当然でしょ。でもぉ、にこにーはぁ、銀がナンバーワンだだからぁ、何もしてなくても人を集めちゃうにこっ!」

真姫「急に変わるのやめてよ。キモチワルイ」

にこ「なによぉっ!!」

絵里「ふむふむ、チラシ配り一つでも……奥が深いわね……」

ことり(穂乃果)「でも、頑張ったおかげでたくさんの人が貰ってくれたよ! 応援してくれる人もいたし!」

希「そうやね。期待に応えられるように、ますますしっかりやらんとね」

真姫「ええ。あら、あれは……」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん? どうしたの?」

真姫「あそこ、同じクラスの子がこっち見てたのよ。確か、小泉さんと星空さん、だったわね」

希「んー、でも行っちゃうみたいやね。残念だけど、あんまり興味ないんかな?」

ことり(穂乃果)「……そんなはずないよ!」

絵里「ことり?」

ことり(穂乃果)「私、ちょっと行ってくる! 興味ないなんて、そんなはずないもん!」

にこ「あっ、ちょっと待ちなさいよ!?」

真姫「ことり!? いきなりどうしたのよ……!?」
186: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 16:57:48.19 ID:SQZYn7AW.net




凛「かよちん、よかったの?」

花陽「え? 凛ちゃん、何?」

凛「さっきのチラシ貰わなくて。かよちん、アイドル好きでしょ?」

花陽「うん。それは、そうなんだけどね」

凛「ならどうして……?」

花陽「……」

<おーい! ちょっとまってぇ~!

凛「にゃ?」

花陽「あっ……」

ことり(穂乃果)「はぁはぁ、よかった追いついて~」

凛「ああっ、さっきチラシ配ってた人だにゃ!」

花陽「生徒会長さん……」

ことり(穂乃果)「あ、やっぱり生徒会長として知られてるんだね。じゃあ、改めて初めまして。南ことりです」

凛「初めまして! 一年の星空凛です!」

花陽「小泉、花陽です……」

花陽「それで……何か、ご用でしょうか?」

ことり(穂乃果)「うん。ええっと、さっき聞いてたかもしれないけど、今私、みんなとスクールアイドルやってるんだ!」

ことり(穂乃果)「今度ライブやるの! もしよかったら、見に来てほしいな。これ、どうぞ!」

凛「あっ、これがチラシかにゃ?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ! 見てみて!」

花陽「……」

凛「へぇぇ……すごいにゃ。あっ、メンバーのなかに西木野さんもいる!」

ことり(穂乃果)「ふふ、そうなんだ! 真姫ちゃんもね、一緒にスクールアイドルやってくれてるの!」

花陽「本当に、メンバーなんだ……」

凛「意外だにゃー。凛、西木野さんのことはあんまり知らないけど、アイドルやるイメージなかったにゃ」

ことり(穂乃果)「確かに一見するとそう思うかもしれないけどね。真姫ちゃん、すっごく音楽好きなんだよ。ピアノも上手だし!」

凛「そうなの!? 知らなかったにゃー!」
187: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 17:02:52.42 ID:SQZYn7AW.net
真姫「ちょっと……本人のいないところで勝手に何言ってるのよ」

ことり(穂乃果)「わぁ!? 真姫ちゃん!?」

凛「まさかのご本人登場だにゃ!」

花陽「西木野、さん」

真姫「ごめんなさいね、小泉さん。うちのリーダーが迷惑かけたでしょ?」

花陽「そ、そんなことないよ」

真姫「まったく。ことり、小泉さんはおとなしい子なんだから、あなたみたいに勢い任せに迫られたら困っちゃうでしょ」

凛「あれ? 凛の心配は?」

真姫「……星空さんはその、気にしなさそうだし……むしろ似た者同士って気がするから、大丈夫かなって」クルクル

凛「何気に酷いにゃ! 多分合ってるけど!」

真姫「それはそうと、ことりのことだから、大方ライブに無理やり誘ったりしたんじゃないの?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、私、そんなことしてないよぉ」

真姫「本当かしら? 海未もよく言ってるわよ、『ことりはすぐ周りが見えなくなるんですから』って」

ことり(穂乃果)「えええ!? いくらなんでもそんなことない……はずだよ……ね?」

真姫「そこで言い切れない辺り、自覚はあるのね……」

花陽「……西木野さん、生徒会長さんと仲良いんだね」

真姫「ヴェエエ? あっ、これは違うのよ? その、なんていうか……」

花陽「……なんで……」

真姫「えっ?」

花陽「…………なんで、西木野さんは……」

真姫「小泉さん?」

花陽「っ! な、何でもないんですっ、ごめんなさいっ!」タッ

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんっ?」

凛「あっ、待ってかよちん! 凛も行くね! 生徒会長さん、西木野さん、それじゃっ!」タタタ

真姫「行っちゃったわね。小泉さん、急にどうしたのかしら……?」

ことり(穂乃果)「……花陽ちゃん」
189: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:50:38.36 ID:SQZYn7AW.net
――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「うぅーん……」

ガチャ

絵里「あら? まだ唸ってるの? ことり」

ことり(穂乃果)「うん? あ、絵里ちゃん」

絵里「チラシ配りから帰ってきてからずっとそんな調子じゃない。みんな心配してるわよ」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんなさい……」

絵里「あの一年生たちを追いかけた後で、何かあったの? トラブルとか」

ことり(穂乃果)「ううん、そういうわけじゃないんだけど……」

絵里「でも、あなたには気になることがあったのね」

ことり(穂乃果)「うん……」

絵里「ふぅむ。秘密にしなきゃいけないことじゃないなら、話してみたら? 何か力になれるかもしれないわよ?」

絵里「私たち、同じスクールアイドルじゃない。それに言ったでしょ? 私はあなたの味方だって」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……」

絵里「私の方が先輩ですもの。後輩の悩みの解決を手伝うのも、先輩の役目よ」

ことり(穂乃果)「ありがとう、絵里ちゃん。実はね……」
190: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:57:03.49 ID:SQZYn7AW.net




絵里「なるほど……。その子は本当はアイドルに興味があるはずなのに、そっけない態度を取ったから腑に落ちない、か」

ことり(穂乃果)「うん。花陽ちゃんは、にこちゃんに負けないくらい、アイドルが大好きな子なんだ」

ことり(穂乃果)「だから、ライブにも興味持ってくれると思ったんだけど……」

絵里「とはいえ、それは『向こう』のその子のことで、『穂乃果』だから知っていることなのよね」

絵里「『こっち』のその子はあなたのことをよく知らないはずだし、ことりが無理に迫ったところで、多分ダメだと思うわ」

ことり(穂乃果)「そうだよね……。もしかしてこっちの花陽ちゃんは、アイドル好きじゃないのかなぁ……」

絵里「うーん……、でも今まで『向こう』と『こっち』で性格が大きく違う子はいなかったんでしょ?」

ことり(穂乃果)「うん。みんな私が知っている性格のままだったよ」

絵里「なら、きっと本当はアイドルに興味があるんじゃないかしら。それとも、アイドル、嫌いみたいだった?」

ことり(穂乃果)「ううん、そんなことないと思う。でも……」

絵里「ねぇことり。どうして、そこまで気にするの? その子のこと」

絵里「こういう言い方はよくないけれど、その子だけがファンなわけではないでしょう? 他にも応援してくれる人はいるし……」
191: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 18:58:02.30 ID:SQZYn7AW.net
ことり(穂乃果)「……花陽ちゃんは、『私たち』の最初のファンになってくれた人だったんだ」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんがいなかったら、私たち、きっと最初のライブでくじけちゃってた」

ことり(穂乃果)「そして、私たち三人だったグループにも入ってくれて……そこから、μ’sはさらに大きくなっていったの」

絵里「μ’sって、あなたが前に言っていた……」

ことり(穂乃果)「うん。私たちのグループの名前、そして、私たちの絆……」

絵里「……そう。その子はあなたにとって、大切な人なのね」

ことり(穂乃果)「うん。メンバーでもあり、ファンでもある。とっても大切な人の一人だよ」

絵里「そういうの、素敵ね。それにしても、ファン第一号、か。ふふ、それじゃあこの世界では、私たちがそうなのかしら?」

絵里「あの屋上でのことりの歌とダンス、あれにすっかり心を奪われて、一緒にスクールアイドルやることになったんだものね」

ことり(穂乃果)「あはは、そうかも」

絵里「……ことりはその子たちにも、グループに入ってほしいのね?」

ことり(穂乃果)「うん。皆でまた一緒に出来たら、きっと……楽しいと思うんだ。花陽ちゃんも凛ちゃんも、そして私たちも」

絵里「じゃあ……もう一度、会ってみたら? でも、無理矢理とか、強引に誘うはダメよ」

絵里「私たちスクールアイドルの、そしてあなたの想い、しっかり伝えるの」

絵里「あなたの本気はこうして私やにこ、海未に伝わったのよ? ちゃんと向き合えば、きっと、その子も応えてくれると思うわ」

絵里「それにね? こうして唸ってるだけなんて、らしくないわよ?」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……うん! そうだよね! 当たって砕けろだよ!」

絵里「その意気よ!」

ことり(穂乃果)「ありがとう絵里ちゃん! それじゃ、行ってくるね!!」

絵里「がんばりなさい。ことり」
192: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 20:37:54.82 ID:SQZYn7AW.net
―― 一年生教室

凛「今日も西木野さんは授業終わるなり出て行っちゃったにゃー」

花陽「……そうだね」

凛「ねえかよちん、気になってるんでしょ?」

花陽「何のこと?」

凛「アイドル研究部の人たち。かよちんアイドル好きなんだし、西木野さんと一緒に見てきたら」

花陽「いいんだよ、凛ちゃん。もう、いいの」

凛「かよちん……?」

花陽「……」

生徒「小泉さん? 二年生の人が来てるよ? 呼んできてほしいって」

花陽「二年生が?」

凛「だれかにゃー? かよちん、何か約束とかしたの?」

花陽「……ううん。特にそんな覚えはないけど……。あっ」

ことり(穂乃果)「こんにちは」

凛「わっ、生徒会長さんだにゃ!」

花陽「な、なんで一年生の教室にぃ!?」

ことり(穂乃果)「二人とも……ちょっと、お話、いいかな?」

凛「お話?」

花陽「それって……?」
193: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 20:41:10.24 ID:SQZYn7AW.net
――中庭

ことり(穂乃果)「ごめんね? 突然。びっくりしたよね」

凛「本当にゃ! 生徒会長さんが凛たちの教室に来るから、何か怒られるのかと思ったにゃ」

花陽「凛ちゃん! 生徒会長さん相手にだめだよぉ! そもそも上級生だよぉ!?」

凛「あっ、ご、ごめんなさい」

ことり(穂乃果)「ううん。凛ちゃんも花陽ちゃんも、上級生とか気にしなくていいよ?」

凛「生徒会長さん、なんか思ったより大雑把にゃー」

花陽「凛ちゃん!」

ことり(穂乃果)「あはは。でも、その方がお話しやすいでしょ? 先輩後輩じゃなくて、仲のいい友達みたいな感じで!」

凛「そうかも!」

ことり(穂乃果)「あ、あと『生徒会長』じゃなくて、名前で呼んでいいよ~。私はもう、名前で呼ばせてもらってるしね!」

花陽「ええっ、生徒会長さんのことを、名前で!?」

凛「ますます上級生とは思えないにゃー! でも凛は、そっち生徒会長……じゃなくて、ことりちゃんの方が好きかも!」

ことり(穂乃果)「ふふっ、ありがと、凛ちゃん!」

花陽「それで、えっと……お話っていうのは、やっぱり……ライブのことですか?」

ことり(穂乃果)「うん。まあ、分かっちゃうよね?」

凛「ねえかよちん。折角ことりちゃんが誘いに来てくれたんだよ? 見に行かない?」

花陽「凛ちゃん……でも……」
194: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 21:27:54.80 ID:SQZYn7AW.net
ことり(穂乃果)「ねぇ、花陽ちゃん。歌は、好き?」

花陽「えっ……歌、ですか……。はい、好きですけど……」

凛「かよちん、アイドル好きだもんね! 歌もよく歌ってるにゃ!」

花陽「あっ、それは、そのぅ……」

ことり(穂乃果)「よかった! じゃあせっかくだし、私の歌、聴いてもらっていいかな?」

花陽「えええっ!?」

凛「いきなり過ぎるにゃー!」

ことり(穂乃果)「ふふっ、そうかも。でもね、私はアイドルだから。いろんな人に歌を聴いて欲しいの」

ことり(穂乃果)「上手く言えないことも、言葉に出来ない気持ちも、歌を通してなら伝わるって思うから」

花陽「……歌を、通して……気持ちを……」

ことり(穂乃果)「じゃあ、歌うね?」

凛「なんだかドキドキするにゃー! 楽しみにゃー!」

花陽「凛ちゃん、静かにしないと……あ」

 ―― だからしゅーんとーしーなーいでー♪
 
 ―― ねぇーはーなしきーくよー♪

花陽「……!」

 ―― 好きになるとわーかるー♪

 ―― ステキなものわーかるからー♪

凛「なんだか元気になる歌にゃー。凛、この歌好きになりそう!」

 ―― いつもほーんきー そんなのはー おーたがいおーなじー♪

 ―― ずーっとー いっしょだとー おーもうんだー♪

花陽「この歌……ことりちゃんからの……メッセージ……?」

 ―― すごいことがしーたいー♪
 
 ―― あたらしさをみーたいよねー♪

凛「ことりちゃん、ダンスもすごいにゃー! なんだか凛までうずうずしちゃう!」

花陽「なんだろう……。ことりちゃんの歌、聴いているだけで、胸が……」ジワ

凛「かよちん?」

花陽「ご、ごめんね。何でもないの、でも……」ゴシゴシ

 ―― そう、だーいじょうぶだよ!
195: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:00:41.76 ID:SQZYn7AW.net




ことり(穂乃果)「……ありがとうございましたっ!」ペコ

ことり(穂乃果)(伝わったかな……私の、想い)
 
凛「……すっごい!」

花陽「凛ちゃん?」

凛「ことりちゃんすっごいにゃ! 凛、感動したにゃ! ブラボーにゃ!!」

花陽「……うん! その、とっても良かったです! 歌もダンスも、すごい上手で!」

ことり(穂乃果)「えへへ……ありがと! でも、まだまだ練習しないといけないんだけどね」

花陽「ええぇ!? あんなに上手なのに?」

ことり(穂乃果)「うん。まだまだ目標は遠いからね……」

花陽「そうなんですか……」

凛「本当、すごすぎにゃ! なんだかかよちんがアイドル好きな理由、ちょっとわかった気がするにゃ!」

凛「あんなに楽しそうなことりちゃんを見てたら、凛も踊りたくなってきちゃったもん!」

ことり(穂乃果)「うん、スクールアイドルってすっごく楽しいんだよ!」

ことり(穂乃果)「歌もダンスも、もちろんだけどね」

ことり(穂乃果)「なによりみんなで一緒に歌って、踊って、夢に向かって頑張るのが、楽しいんだ!」

凛「へぇぇ……ねぇねぇことりちゃん! それって、凛も一緒に出来る?」
196: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:02:31.93 ID:SQZYn7AW.net
花陽「凛ちゃん!?」

凛「かよちん! かよちんも一緒にやろう?」

花陽「ええっ!? わ、私も?」

凛「うん! その……凛は可愛い服は似合わないかもしれないけど、かよちんには似合うにゃ! だから」

ことり(穂乃果)「凛ちゃん! 自分に似合わないなんて、そんなこと言っちゃだめだよ!」

ことり(穂乃果)「凛ちゃんもとってもかわいいんだから!」

花陽「そうだよ凛ちゃん」

凛「そう……? でも凛、髪も短いし、男っぽいし……スカートだって、変だし……」

ことり(穂乃果)「それ以上言っちゃダメ! 凛ちゃん、自分で自分の可能性をなくしちゃダメだよ!」

凛「自分の……?」

花陽「……可能性……」

ことり(穂乃果)「うん。みんな、自分の中には無限の可能性があるんだよ」

ことり(穂乃果)「それを信じていれば、なくさなければどこまでもいけるの。どんな夢だって、叶えられるんだよ」

凛「不思議にゃ……ことりちゃんのダンスを見た後だと、本当にそんな気になってくるにゃ」

ことり(穂乃果)「ふふ、ちょっとでもそう思ってもらえたなら、嬉しいな」

花陽「……でも。もう、西木野さんが」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん?」

花陽「西木野さんがいるなら、もう、私なんかが入っても……迷惑じゃ……」

ことり(穂乃果)「? なんで?」

花陽「その……あんな綺麗で、ピアノも歌も上手な人がいるんなら、私の居場所なんて、ないんじゃないかなって」

花陽「それに、私はことりちゃんみたく踊りも歌も上手くないし。気も弱くて、声も小さいですし……」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん」

花陽「はっ、はい!」

ことり(穂乃果)「アイドルってさ、最初から歌もダンスも上手な人しかやっちゃいけないの?」
197: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:03:15.15 ID:SQZYn7AW.net
花陽「えっ……それ、は……」

ことり(穂乃果)「私もね、最初は歌も踊りも、ダメダメだったんだよ?」

凛「ええっ? あんなに上手だったのに」

ことり(穂乃果)「でも、みんなが教えて……いつも支えてくれたから、今の私になれたの」

ことり(穂乃果)「いいじゃない。最初はうまくいかなくたって。ちょっとずつでも、変わっていけたなら」

花陽「……変わって……」

ことり(穂乃果)「かわいい衣装を着て、いつもと違う自分になって。みんなに想いを伝えて、みんなの想いを受け取って」

ことり(穂乃果)「そうやって、一歩ずつでも進んで、いつか理想の自分に並んで、追い越せたら」

ことり(穂乃果)「それって、すっごく素敵だと思わない?」

凛「……うん」

花陽「……はい」

ことり(穂乃果)「それができるのも、スクールアイドルなんだよ?」

花陽「スクールアイドル……」

ことり(穂乃果)「って、花陽ちゃんには今更こんな話、するまでもなかったかな?」

花陽「いいえ。ことりちゃんのおかげで、思い出しました……」

花陽「私、やっぱりアイドルが好きだってこと。私も『ああなりたい』って想ってたこと」

花陽「ことりちゃんたちと一緒に、スクールアイドルをしてる西木野さんにあこがれて……先を越されたって勝手に嫉妬して」

花陽「勇気を出せなかった私自身を嫌いになって……大好きだったアイドルまで、嫌いになっちゃうところでした」

ことり(穂乃果)「そっか」

花陽「でも……今なら、勇気を出せる気がするんです。ことりちゃんの、歌のおかげで」

花陽「お願いします! 私も一緒に、アイドル、やりたいですっ!!」

凛「うん、凛はやっぱり、こっちのかよちんが好きにゃー!! あっ、凛も! 凛もかよちんと一緒にやりたいにゃー!!」

花陽「……どう、ですか?」

ことり(穂乃果)「もっちろん!! 大歓迎だよっ!!!」
199: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:41:36.64 ID:SQZYn7AW.net
>>198 ミス ことり(穂乃果)のセリフに抜けあったので再度


――『アイドル研究部』

ことり(穂乃果)「という訳で! 新メンバーのおしらせです!」

凛「一年の星空凛です! よろしくお願いするにゃー!」

花陽「こっ、小泉花陽です! よろしくおねがいしましゅっ!」

真姫「噛んだわね」

希「それを指摘する真姫ちゃんもなかなかの鬼やね」

花陽「うぅ……いきなり失敗しちゃったよぉ……」

凛「かよちん、大丈夫?」

花陽「うん、平気……」

海未「舌を噛んだりしてませんか? 無理はしないでくださいね?」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん、ファイトだよっ!」

にこ「しかしまあ……増えたわねー」

絵里「ハラショー!! いいわね! うーん、なんかこう、充実してきたわ!」

にこ「はいはい。絵里ちょっとうるさい」

希「って言いながらも、にやけてるにこっち」

にこ「にっ、にやけてなんかいないわよぉっ!」

希「うんうん。そうやね。アイドル研究部がいきなりこんな賑やかになったんやもん、嬉しいよね」

にこ「違うっての! ちょっと希! その顔やめなさいよ!!」
200: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:45:05.48 ID:SQZYn7AW.net
真姫「しかし……八人か、結構な大所帯になったわねー」

絵里「花陽と凛の分の衣装も大急ぎで作らないとね。そうだ、振り付けとフォーメーションも見直さないといけないか」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんね絵里ちゃん」

花陽「す、すみません……」

絵里「ほーら、そんなことで謝らないの。花陽も凛もことりにとって大事な人だったんでしょ?」

絵里「なら、その二人が加入してくれたのは私たちにとって大きなプラスになるはずよ」

ことり(穂乃果)「……絵里ちゃん……。ありがとう……」

絵里「その分、練習は厳しくなるわよ~? しっかりね」

ことり(穂乃果)「うん!」

花陽「はっ、はい!」

凛「頑張るにゃ!」

海未「さて、花陽たちが加入したばかりですが、そろそろ決めた方がいいのではないでしょうか?」

真姫「そうね。ちょうどいい区切りかもしれないし」

花陽「? 何の話だろう?」

ことり(穂乃果)「さぁ……」

にこ「この子は本当に……すぐ重要なことを忘れるわね……」

希「まぁ、それが今のことりちゃんやし」

ことり(穂乃果)「えへへ……」

海未「ことり……褒められていませんよ……」

真姫「決めなきゃいけないってのは、私たちのグループ名よ。いつまでも(仮)なんて、恥ずかしくてライブどころじゃないわ」

海未「ええ」

ことり(穂乃果)「あ、そっか」

絵里「それなんだけどね……?」

海未「絵里、何か案があるのですか?」

絵里「ええ! みんな、きっと気に入ると思うわ」

にこ「へぇ? どんなの?」

絵里「うん……」
201: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:46:34.96 ID:SQZYn7AW.net
「「「「「「『μ’s』!?」」」」」」



ことり(穂乃果)「絵里ちゃん、それって……」

絵里「うふふ」ウインク

希「『μ’s』かぁ……確か、芸術の女神さんたちのことやね」

絵里「そ。私たちにぴったりじゃない?」

海未「確かに……。いいのではないでしょうか?」

花陽「私たちが、め、女神……あわわ……」

にこ「スーパーアイドルにこにーにはぴったりにこ!」

凛「よくわかんないけど、なんか素敵な響きにゃー!!」

真姫「でも、それって本来は9柱じゃなかった? 私たちは8人じゃない?」

絵里「いいのよ、それは。ね、ことり?」

ことり(穂乃果)「! 絵里ちゃん、もしかして……」

真姫「? いいって何がよ。イミワカンナイ」

にこ「ま、他にアイディアがある人もいないみたいだしね。賛成の人ー」

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」

にこ「にこも賛成。ってことで、全員異議なしで決定ね」

絵里「ええ! 今日から私たちは『μ’s』よ!!」



ことり(穂乃果)(無くなっちゃったと思ってた『μ’s』が、また……ここでも……)ジワ

ことり(穂乃果)(ありがとう、みんな……)
202: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:49:40.05 ID:SQZYn7AW.net
――二年生教室

キーンコーンカーンコーン

ことり(穂乃果)「よぉっし! 授業終わりー! 海未ちゃーん! 練習いこーっ!!」

海未「はい。ライブも近づいてきましたからね。ですがことり、もう少し授業も真面目にですね……」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……みんなとの練習が楽しくて、それを考えたら、つい……」

海未「まったく……。とはいえ、その気持ちは私も分かりますが……」

ことり(穂乃果)「だよねっ! だから授業中から放課後が待ち遠しくてさ~」

生徒1「あっ、南さん。ライブやるんだって? 応援してるからね!」

生徒2「私も! 見に行くよー、がんばってねー!」

生徒3「楽しみにしてるからねっ、ことりちゃん!」

ことり(穂乃果)「ありがとーっ! 私、精一杯がんばるからねーっ!」

海未「ほら、ことり。いつまでも手を振っていないで。部室に行くんでしょう?」

ことり(穂乃果)「えぇ~。でもぉ、ファンは大切にってにこちゃんが……」

海未「それはそうですが、練習に遅れてしまうではないですか」

ことり(穂乃果)「ふふふ~、なんだかんだ言ったって、最近は海未ちゃんも結構ノリノリだよね~」

ことり(穂乃果)「歌にも踊りにも、衣装にも段々抵抗なくなってきちゃってるし」

海未「なっ、そ、そんなことは……」

ことり(穂乃果)「もう、素直じゃないなぁ~」

ことり(穂乃果)「認めちゃった方が楽だよぉ? ほらほら。本当はかわいい衣装、着たいんでしょ?」

海未「い、いい加減にしてください、ことり! ……こ、こんな場所で……そんな」
203: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/30(木) 22:50:30.78 ID:SQZYn7AW.net
生徒1「やっぱり……。園田さんもだけど、特に南さんって雰囲気変わったよね」

生徒2「うん。でも悪い意味じゃないよね」

生徒3「そうそう。生徒会長って堅いイメージだけど、南さんは明るくて、親しみやすいよね」

生徒2「どっちかっていうと前は穏やかな雰囲気だったよね。今は元気が溢れてる、って感じ?」

生徒1「だよねぇ。でも、ここまで変わると、まるで別人じゃない?」

生徒3「本当に別人だったりして!」

生徒2「そんなわけないじゃない」

生徒1「だよねぇ~」



ことり(穂乃果)「あっ……」

海未「どうしました? ことり」

ことり(穂乃果)「あ、うん。何でもない。行こう、海未ちゃん」

海未「ええ。絵里たちが待ってますしね」

ことり(穂乃果)(そうだよ……。忘れてた。この世界の私は『高坂穂乃果』じゃない。『南ことり』なんだ)

ことり(穂乃果)(この世界でも、みんなと友達になって、スクールアイドルやれて、μ’sができて、つい、気にしなくなってたけど)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんの性格は、穂乃果とは違う……。『私』は、ことりちゃんじゃない……。)

ことり(穂乃果)(私が、『私らしく』振舞ったら、『ことりちゃん』が消えちゃうってことになるんじゃないかな……)

ことり(穂乃果)(でも、ことりちゃんになろうとする私は……本当の、私じゃない……)

ことり(穂乃果)「……私は…………」
209: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:18:14.96 ID:4Zm6my+V.net
――屋上

絵里「……ストップ! ことり、テンポがずれてるわよ!」

ことり(穂乃果)「ご、ごめん絵里ちゃん」

にこ「またぁ? 今日何度目よ?」

凛「ことりちゃんが失敗するの、珍しいにゃ」

真姫「本当ね。いつもならこれくらい簡単にこなすのに」

絵里「どうしたのよことり。あなたにとっては特別難しいところでもないでしょ?」

希「具合悪いの?」

ことり(穂乃果)「ううん、大丈夫……」

花陽「こ、ことりちゃん、無理しちゃだめだよ?」

真姫「そうよ。あなたは私たちμ’sのリーダーなんだから」

凛「凛たち、まだ入って日が浅いし、ことりちゃんに引っ張ってもらってるしね」

希「そうやね。ことりちゃんがうちらの要、って言っても過言じゃないからね」

花陽「は、はい! 歌もダンスも上手で、いつも明るいことりちゃんは、私の目標なんです!」

花陽「だから私は、ことりちゃんにいつも元気でいて欲しいです」

ことり(穂乃果)「……元気な、私……」

海未「……ことり?」

にこ「ふっふっふ。これはチャンスよ。ことりが不調の間に、このにこにーが一気に差を詰めてあげるわ!」

希「わーにこっち卑怯ー」

にこ「うっさいわよ! ことりっ! にこに負けたくなかったらしっかりすることね!」

にこ「うかうかしてると、リーダーだって、センターだって奪っちゃうんだから!」

ことり(穂乃果)「うん……」

にこ「……ちょっと……」

希「これは……重症やね……」

花陽「ことりちゃん……」
210: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:21:00.02 ID:4Zm6my+V.net
絵里「ふぅ……まぁ、ことりだって調子が良くない時もあるわよね。時間もちょうどいいし、今日はこの辺にしましょ」

凛「えぇ~、もう終わり? 凛、もっと踊りたいにゃー」

海未「ふふっ、凛、やる気があるのはいいことですが、無理は禁物ですよ」

希「ライブも近いし、怪我でもしたら大変やからね」

絵里「ええ。それじゃ、各自整理運動をして終わりね。にこ、このあとちょっといい? 衣装を少し修正したいの」

にこ「ん、いいわよ。じゃあ、着替えたら部室に行くわ」

真姫「あ……花陽、よかったら一緒に帰らない?」

花陽「うん、いいよ。凛ちゃんもいい?」

凛「もっちろんにゃー! かよちんと真姫ちゃんと一緒に帰るの、凛も楽しみにしてたんだー!」

凛「真姫ちゃんにも凛のおすすめラーメン屋、教えてあげるね!」

真姫「なによそれ……、もう……」

希「さて、うちはどうしよっかな。って、しまった! 色々切らしてた! 買い物に行かないとあかんやん!」

海未「ことり、私たちも帰りましょうか」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり?」

ことり(穂乃果)「あっ、ごめん。海未ちゃん、何?」

海未「いえ、一緒に帰りましょう、と」

ことり(穂乃果)「う、うん。帰ろっか」

海未「……やはり、どこか具合が悪いのではないですか?」

ことり(穂乃果)「大丈夫っ、ほら、いつも通りだよっ」

海未「なら、いいのですが……」
211: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:27:20.80 ID:4Zm6my+V.net
……ちゃん……

ことり(穂乃果)「……ん……」

……か、ちゃん……

ことり(穂乃果)「んぅ……ん……」

……のか、ちゃん……

ことり(穂乃果)「誰か……呼んでる……?」

……ほのか、ちゃん……

ことり(穂乃果)「はぁ~い……私は、ここだよぉ……」

……穂乃果ちゃん……

……のか……ちゃ

……か……

ことり(穂乃果)「え……何で、いっちゃうの……? 私は、ここにいるのに……」

……

ことり(穂乃果)「待ってよ! 行かないで! 私は……、穂乃果は、ここだよ!」
212: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:28:25.07 ID:4Zm6my+V.net
ことり(穂乃果)「あ、そこの人っ!」

「どうかしたの?」

ことり(穂乃果)「教えて! さっき私のことを呼んでた人、どこに行っちゃったの!?」

「あなたのことを呼んでた人? うーん、分からないや。ごめんね」

ことり(穂乃果)「そんな……だって、確かに穂乃果のことを」

「穂乃果の? あれ? 私、呼ばれたかなぁ?」

ことり(穂乃果)「えっ……? あ……。あなた、は……!」

穂乃果「どうしたの? そんなびっくりして。あっ、もしかして穂乃果の顔に何かついてる?」

ことり(穂乃果)「な、なんで……? なんで、私がいるの?」

穂乃果「? どういう意味?」

ことり(穂乃果)「え、だって……私は、ここにいるのに……なんで、私が?」

穂乃果「??? それじゃさっぱりわからないよぉ! もう、今日のことりちゃん、変だよ?」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん、って……。だ、だって、私は」

穂乃果「ことりちゃん、何言ってるの? だって、『穂乃果』は私なんだよ?」

穂乃果「それに、あなたはどこからどう見ても『南ことり』でしょ?」

ことり(穂乃果)「でっ、でも! 私は!」

穂乃果「今更ずるいよ。穂乃果は飽きたんでしょ? 穂乃果はやめたんでしょ?」

穂乃果「他の誰かになりたくて……だから、あなたはことりちゃんになったんでしょ?」
213: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 21:32:39.50 ID:4Zm6my+V.net
ことり(穂乃果)「それは……」

ことり「そうだよぉ。だってもう、みんながあなたを『南ことり』って言ってるんだよ?」

ことり「もう、私じゃなくて、あなたが『ことり』なんだよぉ」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん!?」

ことり「一生懸命頑張って、スクールアイドルを作って、みんなを連れてきて」

ことり「ことりじゃできなかったことをやれたんだよね。そんなあなたを、みんな『ことり』として見てる」

ことり「だからもう、元々の『ことり』はいなくなっちゃったんだぁ。みんな、あなたに取られちゃった」

ことり(穂乃果)「ち、違うよ! そんな、つもりは……」

穂乃果「じゃあさ。あなたがことりちゃんじゃないなら、あなたは……誰なの……?」

ことり「穂乃果ちゃんなの? でもおかしいよね。あの世界には、『高坂穂乃果』なんて子はいないもん」

ことり(穂乃果)「私は……」

穂乃果「『高坂穂乃果』? それとも『南ことり』? ねぇ、答えてよ。誰なの?」

――あなたは、誰なの?





ことり(穂乃果)「わぁっ!?」

ことり(穂乃果)「あ……」

ことり(穂乃果)(この天井……ことりちゃんの、部屋だ……じゃあ)

ことり(穂乃果)「夢……」

ことり(穂乃果)(鏡に映るのは、もうすっかり見慣れた……自分/ことりちゃんの顔……)

ことり(穂乃果)「目が覚めても、私はまだことりちゃんのまま……。そう、だよね……」

ことり(穂乃果)「汗ぐっしょりだ……。気持ち、悪い」

ことり(穂乃果)「シャワー……浴びよう……」

ことり(穂乃果)(私は……『高坂穂乃果』でいて、いいのかな……。それとも『南ことり』に……?)

ことり(穂乃果)「もう……わかん、ないよ……穂乃果、ことりちゃん……」
214: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:08:10.58 ID:4Zm6my+V.net
――屋上

ガチャ

ことり(穂乃果)「おはよぉー」

絵里「おはようことり。早いわね」

ことり(穂乃果)「えへへっ、ちょっと、早く目が覚めちゃったんだぁ」

絵里「そう。早起きはいいことだけど、夜更かししたりしてないわよね? ちゃんと眠れてる?」

ことり(穂乃果)「だいじょうぶ。ちゃーんと早寝早起きしてますっ」

絵里「ならいいけど……。ねぇ、ことり」

ことり(穂乃果)「なに、絵里ちゃん?」

絵里「ええと、なんだか今日のあなた……」

ガチャ

ことり(穂乃果)「あっ、凛ちゃん。おはよぉ~!」

凛「おはよー! みんな早いにゃー! 凛、一番かと思ったのにー!」

花陽「はぁ、はぁ……凛ちゃん走るの早いよぉ……」

真姫「まったく、無駄に朝から元気なんだから」

希「おはよ~。ふふっ、みんなやる気満々やね」

にこ「ま、それくらいじゃないと困るわよ。本番までできることはやらないとね」

海未「確かに、にこの言うことも一理ありますね。時間は無駄にはできませんし」
215: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:08:56.46 ID:4Zm6my+V.net
ことり(穂乃果)「あっ、みんなおはよぉ。今日も練習、がんばろうねっ!」

希「おはよう。って……」

花陽「ことりちゃん、だよね?」

凛「なんか……ちょっと感じが違うにゃ」

ことり(穂乃果)「え? そうかなぁ? いつも通りのことりだと思うよぉ?」

にこ「あんた……」

ことり(穂乃果)「ほらほら、そんなことより練習しちゃおう? チャイム、なっちゃうよ?」

絵里「……まあ、いいわ。時間が限られてるのは確かだものね」

絵里「それじゃ準備運動をしたら、早速昨日の続きからね」

ことり(穂乃果)「うんっ! 海未ちゃん、一緒に柔軟しよっ?」

海未「……」

ことり(穂乃果)「……海未ちゃん?」

海未「あ、すみません。ええ、始めましょうか」
216: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:36:29.20 ID:4Zm6my+V.net
――放課後 通学路

ことり(穂乃果)「すっかり遅くなっちゃったねぇ。海未ちゃん、早く帰ろっ?」

海未「……ええ」

ことり(穂乃果)「でも、みんなすっごく上手くなったよねぇ」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんと海未ちゃんが、練習メニューをちゃんと考えてくれてるおかげかも?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃんが曲を作ってくれて、希ちゃんのおかげで舞台も準備できてるし」

ことり(穂乃果)「にこちゃんの知識とアイディアで、演出とかの計画も出来てきたね~」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんも凛ちゃんも、みんなに負けないようにって頑張ってるし」

ことり(穂乃果)「メンバー以外の子も、いろいろ手伝ってくれてるよね」

ことり(穂乃果)「これなら、ライブも上手く行くんじゃないかな? 何だか今から楽しみだよぉ」

海未「……そう、ですね」

ことり(穂乃果)「……海未ちゃん? どうしたの?」

海未「ことり」

ことり(穂乃果)「う、うん」

海未「やはり何か……無理、していませんか?」

ことり(穂乃果)「えっ? そ、そんなことないよぉ? ほら、ことりは元気だよ?」

海未「……嘘ですね」
217: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/07/31(金) 22:39:42.99 ID:4Zm6my+V.net
ことり(穂乃果)「嘘、なんて……」

海未「まるわかりですよ、ことりの嘘は。それに……時間は短くても、私たちは、いつも一緒にいたでしょう?」

海未「いまさら隠し事は無しですよ。それとも……私には話せませんか?」

ことり(穂乃果)「そんなこと、ないけど……。本当に、何でもないんだよ? 海未ちゃん……」

海未「なら、私の目を見て、同じことが言えますか?」

ことり(穂乃果)「…………」

海未「ことり。……いえ、『穂乃果』」

ことり(穂乃果)「あ……」

海未「何か、迷っているのでしょう? 悩んでいるのでしょう? ……話してください」

ことり(穂乃果)「で、でも……」

海未「私たちは、同じスクールアイドル……μ’sでしょう?」

海未「あなたはいつも誰かの助けになってきた。あなたがいたから、私たちはつながった」

海未「だから、今度は私が……あなたの助けになりたいのです」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」
226: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:31:13.23 ID:rCyuM4rB.net
――公園

海未「あ……、いつの間にか、またここに来てしまいましたね」

ことり(穂乃果)「うん……」

海未「もう夕方ですし、遊んでいる子もいませんね。みんな家に帰ったのでしょうか」

海未「誰もいないですし、話をするにはちょうどいいかもしれません。ことり、少し、座っていきませんか?」

ことり(穂乃果)「……うん、いいよ」

海未「小さな公園ですが、もう、何度来たのでしょうか……。数えきれませんね」

海未「ふふ。楽しい思い出がいっぱい詰まった場所だから、辛いとき、悲しい時につい、惹かれてしまうのかもしれません」

海未「あなたも、自分の世界ではそうだったのではないですか?」

ことり(穂乃果)「どう、だったのかなぁ……。よく、分からなくなっちゃったよ……」

海未「ことり……」

ことり(穂乃果)「ことり、か。ねぇ、海未ちゃん。私は……誰、なのかなぁ?」

海未「え……?」

ことり(穂乃果)「なんだかよく、分からなくなっちゃった」
227: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:33:17.67 ID:rCyuM4rB.net
海未「分からなく、とは……?」

ことり(穂乃果)「そのままの意味だよ。私は、誰なのかなって」

ことり(穂乃果)「私が最初にこっちの世界に来て、海未ちゃんに怪しまれた時、誤魔化して逃げちゃったでしょ?」

海未「そういえば、そんなこともありましたね」

ことり(穂乃果)「その時はね、ことりちゃんのふりをした方がいいのかなぁ、って思ってたんだ」

ことり(穂乃果)「でもその後、絵里ちゃんたちは、今の私の心が『高坂穂乃果』のものだって知って……」

ことり(穂乃果)「私がいつしか自然に、『穂乃果』らしく振舞っても、気にしないでくれてた」

海未「ええ、そうですね。私もいつの間にか、そうなっていました」

ことり(穂乃果)「でも」

ことり(穂乃果)「事情を知らない人からしたら、そうじゃないんだ」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんが、まるで別人になったみたい、って思っちゃうんだよ」

海未「それは……誰かが、教室で言っていた……」

ことり(穂乃果)「ねぇ、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)「この顔も、身体も、立場もことりちゃん……『南ことり』のもの、なんだよね?」

ことり(穂乃果)「幼馴染の海未ちゃんから見たら、よく知ってる人でしょ?」

海未「え、ええ……」

ことり(穂乃果)「じゃあ私のことを知らない人から見たら、私は? やっぱり『穂乃果』じゃなくて、『ことり』だよね?」

海未「それは……」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院の二年生で、生徒会長で、海未ちゃんの幼馴染で……」

ことり(穂乃果)「穏やかで、優しくて、でも時には強くて、衣装づくりが大好きな、そんな女の子……」

ことり(穂乃果)「みんなそうやって、『私』……『南ことり』のことを見るはずだよね」

ことり(穂乃果)「なら、それにふさわしくなくちゃ」

海未「で、ですが……」

ことり(穂乃果)「確かに、今の私の心は『ことり』とは違う、別の人のものだよ」

ことり(穂乃果)「でも、その心は……『高坂穂乃果』っていう、この世界には、元々いなかったはずのもの」

ことり(穂乃果)「いないはずの人が、本来いた人のことを塗りつぶして、消しちゃうなんて……許されないよ……」

海未「そんなことは……」
228: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:35:04.91 ID:rCyuM4rB.net
ことり(穂乃果)「ううん。最初から、私が願ったことだもん。『穂乃果』じゃなくて『別の誰か』になりたい、って」

ことり(穂乃果)「それで、願いがかなったんだもん。だから、ちゃんと、『この世界』のことりにならなくちゃ……」

ことり(穂乃果)「みんなが知ってる、ことりでいなくちゃって……」

海未「だから、ですか」

ことり(穂乃果)「うん。私はことりちゃん……ううん、『ことり』にならなくちゃいけないの」

海未「……」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんや希ちゃん、にこちゃん。それに……海未ちゃんが知っている、『本当のことり』に……」

ことり(穂乃果)「だから私は、『穂乃果』でいちゃ、いけないんだよ……」

海未「……ふぅ……」

ことり(穂乃果)「海未、ちゃん?」

海未「一体どんな悩みかと思えば、そういうことですか」

ことり(穂乃果)「そっ、そんな言い方ないよっ! 海未ちゃん! ことり、これでもすっごく考えたんだよぉ!?」

海未「まったく。あなたに一言忠告をしておきましょうか」

ことり(穂乃果)「えっ、忠告?」

海未「ええ。確かに、あなたの世界では幼馴染なだけはあって、あなたのことりのふりは上手ですよ」

海未「ですが、私は『あなたが本当は高坂穂乃果だと知っている』以上……あなたがどれだけ上手にことりになりきっても……」

海未「決して『本当のことり』にはなれませんよ」

ことり(穂乃果)「そ、そんな……じゃあ、ことりは……、私、は……どう、すれば」

海未「簡単なことです。無理なんてしないで、ありのままのあなたでいればいいんですよ」

ことり(穂乃果)「だ、だってそれじゃ……『ことりちゃん』が、消え」

海未「消えませんよ」

ことり(穂乃果)「えっ……」
229: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:36:28.22 ID:rCyuM4rB.net
海未「私が、覚えています」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

海未「見損なってもらっては困りますね。ちょっとあなたと一緒にいた位で、『幼馴染のことり』のことを忘れるわけがないでしょう」

海未「絵里や希、にこもきっとそうです」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんたちも……」

海未「ええ。『今のことり』であるあなたに接しているからといって、それで『昔のことり』を忘れるわけではないはずですよ」

ことり(穂乃果)「そうかな……」

海未「それに……。ことり、いえ『穂乃果』」

海未「前に、私が言ったことを覚えていますか?」

ことり(穂乃果)「え?」

海未「最初にあなたのことを知った時には、私はあなたをどう受け止めていいか、分かりませんでした」

海未「姿形は、私の記憶と寸分たがわない幼馴染の少女。当たり前ですよね。身体は、当人のものなのですから」

海未「ですが、その内に宿した心は……別の世界の、私の知らない人」

ことり(穂乃果)「……」

海未「混乱していたとはいえ、その時は、あなたにずいぶんとひどいことをしました……」

ことり(穂乃果)「ううん、気にしてないよ」

海未「……ありがとうございます。あの時、私は約束しましたね」

――きっと、心を決めて、あなたのことを、受け入れますから……

海未「今なら、ちゃんと言えます。あなたは……『高坂穂乃果』ですよ」ギュ……

ことり(穂乃果)「あ……」

海未「このぬくもりを感じている心は、紛れもない『あなたの心』でしょう?」

海未「誰よりも音ノ木の、みんなのことを考え、走ってきた『穂乃果』の心でしょう?」

ことり(穂乃果)「う、ん……」

海未「それに、人は、自分以外の誰かの代わりをすることなんて、出来ないんですよ。例え、不思議な力で別の人の姿になっても」

海未「今まで歩いてきた道は、あなたが歩いた道。『高坂穂乃果』だからこそ、歩んでくることができた道です」

海未「自信を持ってください、『穂乃果』。他の誰でもない、あなただからこそ、その想いに動かされ、私たちは集まった」

海未「そして、一つになった」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」
230: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/01(土) 23:39:40.19 ID:rCyuM4rB.net
海未「それにですね? まだ何一つ目標は達成できていませんよ? ライブだって、これからなんですから」

海未「こんなところで悩んでる時間なんて、ありますか?」

ことり(穂乃果)「……そう、だね」

海未「とはいえ、本当の意味で『穂乃果』の辛さを分かってあげられる人は、誰もいないのかもしれません」

海未「私のこの言葉も、結局は気休めでしかないのかもしれません」

ことり(穂乃果)「そっ、そんなことないよ!」

海未「ふふ、ありがとうございます。それでも、これだけは信じてください。私はいつでも、あなたの味方でいますよ」

海未「ことりだけでなく『穂乃果』のことも、大切な友人として想っています」

海未「だから『穂乃果』。あなたは迷わず、まっすぐ、あなたらしくいてください」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……ありがとう……」

ことり(穂乃果)(まっすぐ、私らしく、か……)

ことり(穂乃果)(そうだよね。穂乃果は他の誰かになる、なんてそんな器用なこと、出来ないもん……)

ことり(穂乃果)(どんな姿になっても、どんな世界でも、どこまで行っても、穂乃果は穂乃果なんだ)

ことり(穂乃果)(こんな当たり前のこと、わかんなかったなんて……)

ことり(穂乃果)(でも、それを教えてくれる人がいる。私……μ’sのみんなと、海未ちゃんと出会えて……よかった)

ことり(穂乃果)「……よぉっし!」

海未「ようやく、いつもの『今のことり』……『穂乃果』の顔に戻りましたね」

海未「凛のセリフではないですが、やはり私はそちらの『ことり』の方が好きですよ」

ことり(穂乃果)「あっ、うぇ!? す、好きって……」

海未「あっ、今のは無し、無しです! 口が滑ったといいますか……」

ことり(穂乃果)「えへへ……。うん! 私……『穂乃果』も、みんなが……海未ちゃんが、大好きだよっ!!」
238: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:14:15.46 ID:QOrlqyrH.net
――音ノ木坂学院 講堂

ことり(穂乃果)「……よし! みんな、ばっちりだね!」

絵里「ええ。リハーサルで一通りやってみたけど、特に問題なさそうね。あとは、本番を待つだけよ」

希「照明や音響も有志の子たちが手伝ってくれるしね。本当、みんなには感謝しなきゃやね」

海未「曲も衣装も間に合いましたし、フォーメーションも何とか形になりましたか……。凛、花陽。よく頑張りましたね」

花陽「はっ、はい! ありがとうございますっ!」

凛「えへへっ、凛たちがみんなの足を引っ張っちゃいけないもんね!」

真姫「ことりや絵里たちのおかげね。一生懸命なあなたたちについていこうって、そう思えたから練習もがんばれたし」

花陽「うんっ! ことりちゃん、元々上手だったけど、なんだか最近、ますます素敵になったみたいです!」

希「確かに。流石はことりちゃんやね」

ことり(穂乃果)「そっ、そうかなぁ? えへへ……」

海未「そうですよ。あなたがあなたらしくいる。だからこそ、みんなあなたに惹かれて、ついていけたのだと思いますよ」

ことり(穂乃果)「海未ちゃん……」

にこ「うふふっ、ついにスーパーアイドルにこにー伝説の幕開けにこ。あー、もう、今から待ちきれないぃ~!」

凛「凛も、その気持ちわかるにゃー! 早く踊りたくてうずうずしっぱなしにゃー!」

真姫「さっきまで練習で散々踊ったのに何言ってるのよ。それに本番は明日でしょ」

ことり(穂乃果)「でも、なんだか早く明日にならないかなぁって思うよね!」

凛「うんうん!」

希「ふふ、みんなやる気十分やね。うちも負けへんよー」

絵里「はいはい。それじゃ、本番直前の、最後の確認をしておきましょう?」

にこ「まあ、今更だけどね。みんなもう一度、ポジションについておさらいするわよ」

にこ「まず、センターはことりね。まあ、悔しいけど今はあんたが頭一つ抜けてるわ」

絵里「そうね。今の実力から言うと、順当な場所ね」

希「うちらのリーダーやし。それにμ’sはことりちゃんから始まったんやもんね」

にこ「言うまでもないけどセンターは一番目立つ場所で、ライブの顔と言っても過言ではないわ。しっかりやんなさいよ!」

ことり(穂乃果)「うんっ! 頑張るよ!」

絵里「それで、二列目からは……」
239: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:15:08.14 ID:QOrlqyrH.net




絵里「それじゃ、今日はこれでおしまいね。みんなしっかり休んで、明日に備えること!」

にこ「真姫ちゃん、大丈夫~? 緊張して眠れなかった、なんてことやめてよ~?」

真姫「なっ、そんなことあるわけないじゃない! にこちゃんこそ、寝坊して遅刻したりしないでよねっ!」

にこ「こっ、このにこが遅刻なんてするわけないでしょっ!」

希「ほらほら、本番直前にけんかしたらあかんよ」

花陽「でっ、でも、なんだかどきどきして不安になってきちゃいました……」

凛「だいじょうぶにゃ! 凛知ってるよ、かよちん、練習いっぱい頑張ってたもん!」ギュ

海未「そうですよ。自信を持ってください、花陽」

花陽「あっ……うん。凛ちゃん、海未ちゃん。ありがとう」

絵里「みんな忘れ物無いようにねー。あと、最後の人は戸締りしっかりね」

希「にこっち、えりち。せっかくだし、どこか寄って行かない?」

にこ「別にいいわよ。それじゃどこ行く?」

絵里「そうね……あんまり遅くなってもいけないし、なら……」

凛「ねぇねぇかよちん! 今日はお泊りしない?」

花陽「えっ!? お泊りって、いきなりなのぉ!?」

凛「うん! だって一緒なら、安心して眠れそうな気がするにゃー! あっ、真姫ちゃんもどう?」

真姫「ヴェエ!? 私も!? ちょ、ちょっと待って! ママに聞いてみるから……」

ガヤガヤ……
240: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:40:07.25 ID:QOrlqyrH.net
ことり(穂乃果)(いよいよ明日はライブ、かぁ……。ようやく、ここまで来たんだね)

ことり(穂乃果)(って、まだ始まってもいないのに、感動するのは気が早いよね)

ことり(穂乃果)「……ふふっ」

ことり(穂乃果)(最高のライブにするためにも、頑張らなきゃ! だからことりちゃん、もう少しだけ、力を貸してね……)

ことり(穂乃果)「……よしっ!」

海未「ことり、みんな出てしまいましたよ。私たちもそろそろ行きましょう?」

ことり(穂乃果)「あ、うん。ごめん海未ちゃん。でももうちょっとだけ、いいかな」

海未「何か問題でもありましたか?」

ことり(穂乃果)「ううん。そういうことじゃないんだけどね。もうちょっとだけ……ここを見ていたいの」

海未「……仕方ないですね。私は外で待っていますから。あまり遅くならないようにしてくださいね」

ことり(穂乃果)「うん。ありがとう、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)(場所は同じでも、『向こう』のμ’sのファーストライブは、私と海未ちゃんとことりちゃんの三人で)

ことり(穂乃果)(お客さんも、たった一人だったな……)

ことり(穂乃果)(それが、同じファーストライブでも、今度は八人で、絵里ちゃんや希ちゃんまでいて)

ことり(穂乃果)(こんなに違うなんて……なんだか、不思議だね……)
241: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/02(日) 23:44:14.27 ID:QOrlqyrH.net
ことり(穂乃果)「あ、あそこの扉、開けっ放しだ。ちゃんと閉めておかないと……あれ……?」

ことり(穂乃果)「扉のところに、誰か……。あ、あの後姿……もしかして!」

???「……」スッ

ことり(穂乃果)「あっ、待って! ――穂乃果っ!?」

???「……!」タッ

ことり(穂乃果)(行っちゃう! なんで!?)

ことり(穂乃果)(って、今はそんなことより!)

ことり(穂乃果)「あのっ!!」

???「……」ピタ

ことり(穂乃果)(止まった……? やっぱり穂乃果なの? ……それとも? ううん、考えるのは後!)

ことり(穂乃果)「私たち、明日ここでライブをやるの!! あなたにも、ぜひ見に来てほしいなっ!!」

???「…………」

タタタ……

ことり(穂乃果)「行っちゃった……。でも、私の声、聞いてくれたんだよね?」

ことり(穂乃果)(ライブ、あの子も来てくれるかな……。ううん、きっと来てくれる。そんな気がする)

ことり(穂乃果)(すべては、明日だね……)
247: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 21:48:11.52 ID:pr/HwpiF.net
―― ライブ当日 更衣室

ガチャ

絵里「もうすぐ出番よ。みんな、そろそろ着替えは終わった?」

ことり(穂乃果)「うん! 私はオッケーだよ!」

ことり(穂乃果)(やっぱりことりちゃんの衣装は素敵だな……すっごくかわいくて、着てるだけで幸せになれるよ)

ことり(穂乃果)(みんなもとっても似合ってる。それに、とってもかわいくて……なんだか、楽しそうで……)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんが衣装作りが好きな理由、分かるような気がする……)

にこ「こっちもばっちりよ! んー、着てみて改めて思うけど、やっぱりこの衣装デザインいいわねー。流石ね」

希「うんうん。そう言えばうちとにこっち、ことりちゃんの衣装は元からあったけど。みんなと合わせるためにちょっとだけ手直ししたんよね」

にこ「ええ、時間もないし苦労したけど、その甲斐はあったわね。絵里や海未が手伝ってくれたおかげよ、手間かけさせて悪かったわね」

絵里「そんなでもないわよ。ほんのちょっと、手を加えただけだし」

海未「そうです。それに私は手伝ったといっても本当に少しだけですし」

にこ「それでも、よ。ありがと……」

絵里「うふふ、どういたしまして」

希「前にこの衣装を着た時は、なかばおふざけだったけど……まさか今度はみんなに見せることになるなんて……思いもしなかったんよ」

にこ「にこもよ。今度は部室でのアイドルごっこじゃない。正真正銘のスクールアイドルとして、みんなの前に立つわ」

にこ「……そのきっかけをくれたことりには、感謝しないとね……」

希「にこっち……」

凛「かよちん、り、凛……変じゃないかにゃ? リボン、曲がってない? 帽子、ずれてないかにゃ?」

花陽「大丈夫! どこもおかしくないよ。凛ちゃん、すっごく素敵だよ!」

ことり(穂乃果)「そうそう! 自信もっていこう! 今の凛ちゃん、とってもかわいいよ!!」

凛「にゃ、にゃ……そんな、凛、かわいい……? えへへ……ありがと、ことりちゃん」

花陽「うん! 私も見蕩れちゃうくらいにかわいいよっ! 凛ちゃん!」

凛「にゃぁ……。そ、それはかよちんの方もにゃ! すっごくかわいくって、凛、ほれぼれしちゃうにゃ!!」

花陽「は、はうぅ……そ、そんな、恥ずかしいよぅ……」

凛「あははっ、かよちん真っ赤にゃ! そんなかよちんも可愛くて好きにゃー!」ギュッ

花陽「も、もう! 凛ちゃん!!」
248: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 21:52:24.64 ID:pr/HwpiF.net
真姫「まったく……いつまで騒いでるのよ。ライブ、始まっちゃうわよ?」

海未「そうです。見に来てくれた方や、手伝いのみんなの準備も完了しています。あまり待たせては悪いですよ」

絵里「ふふ、主役が遅れたら、話にならないものね。それにしても……私がスクールアイドル、か。本当、まさかこんな日が来るなんて、ね」

海未「私もですよ、絵里。もしもこのことを以前の私に言ったら、とてもじゃないですが信じないでしょうね」

真姫「それ、私も同じだと思うわ。今でもちょっと、夢かなって思ってる」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん……。ううん、夢なんかじゃないよ!」ギュッ

真姫「きゃっ!? ことりっ! いきなり抱き付かないで!」

ことり(穂乃果)「えへへ、ごめんね。でも、なんだかドキドキして……抑えられないんだ」

絵里「ふふ、それ、私もよ。もしかして、みんな同じじゃないかしら」

希「せやね。うちも同じやよ。でも、ことりちゃんでもドキドキするんやね」

花陽「わ、私もですっ! 緊張して、目が回りそうですぅ!」

にこ「ふんっ! ライブ前で緊張するなんて、みんなまだまだねっ!」

真姫「とか言っちゃって、にこちゃんだって膝がくがくしてるじゃない」

にこ「ちっ、違うわよっ!? こっ、これは武者ぶるいよ!!」 

凛「凛もドキドキしてるけど、同じくらいわくわくしてるにゃー!」

海未「そうですね。私も不安がないわけではないですが、それ以上に楽しみに感じています」

ことり(穂乃果)「おぉー! まさかあの恥ずかしがり屋の海未ちゃんが!!」

絵里「これは意外だったわね……」

希「うんうん、成長の証やね。ミニスカもちゃんと穿けるようになって……」

ことり(穂乃果)「慣れさせるために練習でもさんざん着せた甲斐があったね……」

にこ「にこたちの苦労、報われたのね……」

海未「か、からかわないでくださいっ!!」

ことり(穂乃果)「あはは、ごめんね? でも海未ちゃん、その衣装がとっても似合ってるのは本当だよ!!」

海未「う……、そ、そんなこと言うのは卑怯です……。それに、ことりだって、とても似合っていますよ」

ことり(穂乃果)「うん……ありがとう、海未ちゃん」

ことり(穂乃果)(ことりちゃん……。いよいよだよ。あなたに恥じないように……私は全力を尽くすよ!)

ガチャ

生徒「ことりちゃん、みんな。そろそろ時間だよ! ステージで待機お願い」

絵里「時間ね。それじゃ、いきましょう?」

ことり(穂乃果)「うんっ!」
249: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 22:18:45.73 ID:pr/HwpiF.net
――講堂 ステージ

ことり(穂乃果)(……始まるよ。私たちのライブが)

ことり(穂乃果)(最初は、もう一度『あの子』に呼びかけるきっかけになれば、って思ってた)

ことり(穂乃果)(でも、思い返せば……やっぱりそれだけじゃなかったんだ)

ことり(穂乃果)(私はやっぱりオトノキが好きで、スクールアイドルが好きで、みんなを好きなんだって、改めて分かった)

ことり(穂乃果)(だから、私はまた、μ’sとして、みんなとここにいる)

ことり(穂乃果)(穂乃果の世界みたいに廃校を阻止する、そんな奇跡を起こせるかなんて、正直分からない)

ことり(穂乃果)(それでも、この想いは本物だから)

ことり(穂乃果)(オトノキに、みんなに。私たちの想いを……笑顔と、幸せを、届けるために)

ことり(穂乃果)(穂乃果は、穂乃果らしく……精一杯、歌うよ)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんと……。だから……穂乃果と、一緒に……)

真姫「いよいよ、ね……」

にこ「この幕が開いたら……にこたちのステージが始まるのね」

花陽「お、お客さん……来てくれてるのかなぁ?」

希「幕のせいで聞こえ辛いけど、声はするし、結構入ってくれてるみたいやね」

絵里「出来たばかりのグループなのに……みんなには感謝しないといけないわね」

凛「うぅ、凛、やっぱり不安になってきちゃったにゃ……」

海未「だ、だらしないですよ凛。こ、ここまで来たら覚悟を決めてですね……」

絵里「海未、あなたの方が大丈夫なの? 震えてるわよ?」

海未「す、すみません……ですがいざとなるとやはり……」

にこ「ちょ、ちょっとしっかりしてよ!」

真姫「不味いわね……凛と海未を見てたら、緊張がぶり返してきたわ」

ことり(穂乃果)「みんな……」

希「このままじゃあかんよ。ことりちゃん……」

絵里「ことり、何か緊張を和らげる方法は……」
250: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 22:20:16.65 ID:pr/HwpiF.net
ことり(穂乃果)「あ……! そうだ!! みんな! 『あれ』、やろうよ!」

にこ「あれ? あぁ、あれね。いいんじゃない?」

希「そうやね。景気づけにはぴったりやん」

凛「賛成にゃー! 凛、あれ大好きにゃー!」

花陽「うん! なんだか勇気が湧いて来るもんね!」

真姫「仕方ないわね……。ほら、やるならさっさとやりましょ」

海未「ですね。やりましょうか」

絵里「それじゃ、みんな輪になって」

ことり(穂乃果)「みんな、いくよっ!」

ことり(穂乃果)「1!」

希「2!」

絵里「3!」

にこ「4!」

海未「5!」

真姫「6!」

凛「7!」

花陽「8!」

ことり(穂乃果)(さあ、ことりちゃん。穂乃果と一緒に……行こう! 『9!!』)

ことり(穂乃果)「幕が……上がる……!」
252: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 23:43:52.07 ID:pr/HwpiF.net
にこ「え……」

真姫「嘘……」

希「これって……」

\わあああああああぁぁぁぁ…………っ!!!!!!/

絵里「まさか……」

海未「私たちを見に、こんなに……!?」

<μ’sーっ!!

<素敵だよー!! 応援してるよーっ!!

花陽「は、はわぁ……ま、満員だよぉ」

凛「すごいにゃ……!」

<みんなー! かわいいよーっ!!

<がんばってー!!

ことり(穂乃果)「……みんな、来てくれたんだ……!」

絵里「私たちの努力は……無駄じゃなかったのね」

海未「ええ……みんなが、私たちを……」

にこ「μ’sのライブを、待ってた……!」

真姫「……本当、夢、みたい……」

凛「かよちん……」ギュ

花陽「凛、ちゃん……」ギュッ

希「あかんよ、こんなん……もう、泣きそうやん」ジワ

にこ「み、みんな……な、何泣いてんのよ」ウルウル

にこ「ほら、アイドルは笑顔笑顔! ステージの上ではにっこり笑顔、にこっ!」

ことり(穂乃果)「うん……そうだよね」ゴシゴシ

絵里「さぁ、ことり。まずはμ’sのリーダーから一言、よ。がんばって」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃん……うん!」
253: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/03(月) 23:44:53.89 ID:pr/HwpiF.net
ことり(穂乃果)「ええっと! 初めまして! 音ノ木坂学院スクールアイドルグループ、『μ’s』です!!」

ことり(穂乃果)「今日は私たちのライブに集まってくれて、どうもありがとう!!!」

ことり(穂乃果)「こんなにたくさんの人が、私たちのライブを見に来てくれて……私は、とっても嬉しいです!!」



ことり(穂乃果)「……皆さんも知っていることとは思いますが、この音ノ木坂学院は、廃校の危機に瀕しています」

ことり(穂乃果)「皆さんの多くが、そのことで悲しい思いや寂しい思いをしていると、私は感じていました」

ことり(穂乃果)「でも! だからって、いつもみんなが悲しい顔をしているのは、とても辛いことだと思うんです」

ことり(穂乃果)「だから、私は……私たちμ’sは、みんなに笑顔を届けられれば、と思って、活動を始めました」



ことり(穂乃果)「この学院の未来のことは、正直、分かりません。仮に廃校を阻止するとしたら、それは奇跡のようなものが必要かもしれません」

ことり(穂乃果)「でも、音ノ木坂学院は、まだここにあります! そして私たちは、まだ音ノ木坂学院の一員です!」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院が今ここにある。私たちが確かにここにいる、その証を残したい。いつになっても、消えない思い出をみんなと作りたい」

ことり(穂乃果)「そんな想いを込めて、願いを込めて、このライブを決めました」

ことり(穂乃果)「私たちのライブが、私たちの歌が……私たちの想いが。皆さんの心に少しでも残ったなら」

ことり(穂乃果)「いつか旅立つときに、皆さんを笑顔にする……そんな思い出になれたなら」

ことり(穂乃果)「それは、とっても素敵なことだと思うんです」

ことり(穂乃果)「そして、私たちが少しでも、みんなを幸せにできたなら……きっと、奇跡だって、起こせると思います」

ことり(穂乃果)「だから、聴いてください。私たちの、想いを」

――μ’s!! ミュージック……スタートッ!!
262: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:20:41.95 ID:ZgG5k45p.net




ことり(穂乃果)「終わったんだね……私たちの、ライブ」

ことり(穂乃果)「なんだかあっという間だったなぁ……」

ことり(穂乃果)「まさか、はじめてのライブであんなたくさんのお客さんが来てくれるなんて」

ことり(穂乃果)「すごかったなぁ。みんなびっくりしてたし。私も本当に、夢の中にいるみたいだったよ」

ことり(穂乃果)(でも胸に手を当てるとまだ、熱が残っているみたい……)

ことり(穂乃果)(それに、目を閉じると、応援してくれるみんなの姿が、精一杯踊るみんなの姿が……はっきりと見えるよ)

ことり(穂乃果)(私たち、上手く……やれたかな)

ことり(穂乃果)「ふふっ、このライブのことをあっちのみんなが聞いたら、どう思うかな?」

ことり(穂乃果)「初ライブで、満員にしたんだよって言ったら、信じてくれるかな? にこちゃんあたりは、悔しがったりしそうかも」

ことり(穂乃果)「『ふんっ! スーパーアイドルにこにーなら、それくらい楽勝よ!』なんて言ったりしてね」

ことり(穂乃果)「でも……さっきまで、あんなに人がいたのに。もう、すっかりがらがらだね」

ことり(穂乃果)「なんだか、ちょっと寂しいな……」

ことり(穂乃果)「凛ちゃんがもっともっと踊ってたかった、っていう気持ちがよくわかるよ」

ことり(穂乃果)(凛ちゃんも花陽ちゃんも、真姫ちゃんも、短い練習時間だったのに、一生懸命頑張ってくれて)

ことり(穂乃果)(絵里ちゃんと希ちゃんとにこちゃんは、いつもみんなのことを気にかけていてくれて)

ことり(穂乃果)(そして海未ちゃんは、私が迷ったときに、支えてくれて……)

ことり(穂乃果)(そして、ことりちゃん……。今は、穂乃果が『ことりちゃん』を借りちゃってるけど……)

ことり(穂乃果)(ことりちゃんが、穂乃果と一緒に、踊ってくれた気がしたんだ……だから)

ことり(穂乃果)「みんながいたから、あそこまで、やれたんだよね」

ことり(穂乃果)(やっぱり私、みんなが好きだなぁ……)

ことり(穂乃果)(学院がこれからどうなるのか、未来は分からないけど……)

ことり(穂乃果)(でも、このライブを喜んでくれたなら。私たちの歌で、みんなが何かを感じてくれたら……嬉しいな……)

コツ

ことり(穂乃果)「あっ。あなたも、来てくれたんだね……」

「……うん。すごく、よかった……」

ことり(穂乃果)「そっか……えへへ。ありがとう……穂乃果」
264: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:55:21.79 ID:ZgG5k45p.net
ことり(穂乃果)(改めてしっかり見ると、この子……本当に……穂乃果だ)

ことり(穂乃果)(まさかとは思っていたけど……やっぱりびっくりするなぁ。正直、まだちょっと信じられないよ)

穂乃果「どうかした?」

ことり(穂乃果)「あっ、ううん! 何でもない!」

ことり(穂乃果)(自分自身の姿に戸惑ってた、なんて言えないし……言っても、理解できないよね)

ことり(穂乃果)(そう言えば穂乃果の声って、あんな感じなんだね。こうして聞くと、何だか変な感じ……)

ことり(穂乃果)(って、今はそんな場合じゃなくて!)

ことり(穂乃果)「えっと、ちゃんと会うのは初めまして、だよね?」

穂乃果「うん、そうだね」

ことり(穂乃果)「それじゃ、まずは自己紹介からだね」

ことり(穂乃果)「音ノ木坂学院二年生、生徒会長とスクールアイドル『μ’s』やってます、南ことりです」

ことり(穂乃果)「ええと……もしよければ、あなたの名前も教えて欲しいな」

穂乃果「…………」

ことり(穂乃果)「だめ、かな?」

穂乃果「………………くすっ」

ことり(穂乃果)「?」

穂乃果「ふふっ……あははっ」

ことり(穂乃果)「へっ?」

穂乃果「そっかぁ。そうだよね、今はあなたが『南ことり』だもんね。自己紹介って、そうなっちゃうよねっ」

ことり(穂乃果)「えっ、あれっ? 私、何か変なこと言った?」

穂乃果「ううん、ふふ……どこも変じゃないよぉ」

ことり(穂乃果)「で、でも……」

穂乃果「あっ、ごめんね? 笑っちゃって。でも、自分自身の自己紹介を聞いてたら、なんだかおかしくなっちゃったんだぁ」

ことり(穂乃果)「? ど、どういう意味……? って、『自分の自己紹介』? それって……まさか」

穂乃果?「うんっ、流石にわかっちゃうよね? じゃあ、私も自己紹介させてもらうね?」

穂乃果(ことり)「音ノ木坂学院二年生、生徒会長……だけど、今はこの体を借りちゃってますっ、『この世界の南ことり』、です」

穂乃果(ことり)「初めまして、だねっ。ことりちゃん……ううん、『穂乃果』ちゃんっ」

ことり(穂乃果)「…………えぇぇぇぇぇぇっ!!??」
268: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 00:00:19.96 ID:M0ioUtY7.net
ことり(穂乃果)「えっ、えっ!? 今目の前にいる穂乃果はことりちゃんで、ことりちゃんが穂乃果で、私はことりちゃんだけど穂乃果で穂乃果なのにことりちゃん!?」

穂乃果(ことり)「わっ、穂乃果ちゃん、落ち着いてぇ!?」

ことり(穂乃果)「うわぁ穂乃果が穂乃果の心配してる!? あれっ、じゃあ私が穂乃果で、ことりちゃんは……どっちだっけ……!?」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんねっ!? ことりが変なこと言ったから! 『ことり』は私だよぉ! あなたが『穂乃果』ちゃんだよっ!」

穂乃果(ことり)「だ、だからしっかりしてぇ! 穂乃果ちゃぁ~ん!!」





穂乃果(ことり)「お、落ち着いた? 穂乃果ちゃん?」

ことり(穂乃果)「う、うん。大丈夫。ごめんね、ことりちゃん」

穂乃果(ことり)「ううん、ことりこそごめんね。突然変なこと言って、混乱させちゃったよね」

ことり(穂乃果)「そんなことないよ。むしろ、私の方が心配かけちゃってごめんね」

ことり(穂乃果)「それにしても……」ジィー

穂乃果(ことり)「? どうしたの? ことりの顔に、何かついてる?」

ことり(穂乃果)「あ、ううん。そういう訳じゃなくて、自分を外から見るのって、不思議な感じだなーって」

穂乃果(ことり)「そうかも。ことりもね、お話ししながら自分ってこんな顔なんだぁ、って思ってたんだぁ」

穂乃果(ことり)「鏡で見るのとは全然違うよねっ」

ことり(穂乃果)「うんうん! でもこうして自分と向かい合って話すって、ちょっとくすぐったい感じかも」

穂乃果(ことり)「その気持ち、ことりも分かるよぉ。普通に鏡で自分の顔を見ることあっても、お話はしないもんね」

ことり(穂乃果)「だよねっ。でも、見た目は穂乃果だけど……話してるとやっぱり『ことりちゃん』なんだなぁ、ってわかっちゃうね」

ことり(穂乃果)「海未ちゃんが前に、『同じ声でもことりちゃんとは違って聞こえる』って言ってたことが、分かる気がするよ」

穂乃果(ことり)「そっかぁ。確かにことりも、今こうして目の前にいるあなたは、自分とは違うなぁって感じるかも」

穂乃果(ことり)「本当に、まさか……こんなことになるなんて……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん?」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃん、ごめんなさい。ことりの……せいなの」
274: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 21:58:27.33 ID:M0ioUtY7.net
ことり(穂乃果)「えっ……?」

穂乃果(ことり)「本当に、ごめん、なさい……」

ことり(穂乃果)「ま、待ってことりちゃん! ことりちゃんは悪くないよ! むしろ穂乃果のせいで……!」

穂乃果(ことり)「ううん、違うの……」

ことり(穂乃果)「違わないよ! だ、だって穂乃果が『他の誰かになりたい』ってお願いして、おふだを使ったからで!」

ことり(穂乃果)「そのせいで、穂乃果がことりちゃんの身体を取っちゃって!」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんに迷惑かけたのは穂乃果の方だよ! だから謝らなきゃいけないのは私で……」

穂乃果(ことり)「違う! 違うんだよ、穂乃果ちゃんっ! そうじゃないのっ!」

穂乃果(ことり)「全部……全部ことりが悪いの! 一番最初に、『お願い』したのはことりなのっ!!」

ことり(穂乃果)「一番、最初に……? それって……?」

穂乃果(ことり)「ねぇ、穂乃果ちゃん」

ことり(穂乃果)「う、うん」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃんも、この学院が廃校になっちゃうってことは、知ってるよね?」

ことり(穂乃果)「うん……。『ことりちゃん』になったばっかりの時に、絵里ちゃんに聞いたよ」

穂乃果(ことり)「そう。それでね、私たちみんな、音ノ木坂学院を何とか守ろうって、頑張ったんだぁ」

穂乃果(ことり)「みんなに呼びかけて、いっぱいお願いして……絵里ちゃんたちとも何度も話し合って、どうにか出来ないかなって」

穂乃果(ことり)「でも、ダメだった。ダメだったんだぁ……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん……」

穂乃果(ことり)「どんなに頑張っても、上手く行かなくて。みんな、だんだん諦めていっちゃって……」

穂乃果(ことり)「友達も、先生も、お母さんも……誰もが仕方ないことだよって言って」

穂乃果(ことり)「そのうち、絵里ちゃんも、希ちゃんも、生徒会を辞めなきゃならなくて」

穂乃果(ことり)「でも、誰も廃校になる学校で、生徒会をやろうなんて人はいなくて……」

穂乃果(ことり)「だから、ことりが海未ちゃんと一緒に生徒会を引き継いで、ちゃんとやろうって」

穂乃果(ことり)「そう思って、最後の最後まで頑張ろうって……」

穂乃果(ことり)「それなのに……ことりは……ことり、は……」

穂乃果(ことり)「いつの間にか……諦めちゃったんだぁ……」
275: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 21:58:53.47 ID:M0ioUtY7.net
穂乃果(ことり)「なんで、上手く行かないのかなぁ。なんで、みんな音ノ木坂を守ってくれないのかなぁ」

穂乃果(ことり)「なんで、こんなに頑張っているのに……みんな、力を貸してくれないのかなぁ……」

穂乃果(ことり)「ことり、いつの間にか……そんなことを考えるようになっちゃって」

穂乃果(ことり)「にこちゃんや、絵里ちゃんや、希ちゃんの顔にも、諦めが浮かんで見えて」

穂乃果(ことり)「海未ちゃんも、ことりを手伝ってくれながらも……どこかで諦めちゃってるみたいになって……」

穂乃果(ことり)「会うたびに、みんなその色がどんどん濃くなっていって……」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「そして……ことり自身もね? ある時、気付いちゃったんだぁ」

穂乃果(ことり)「もう『どうにもならないんじゃないのかな』って思っちゃってる、自分がいることに」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「そうしたらね? 何だか、疲れちゃったの」

ことり(穂乃果)「疲れ、ちゃった……?」

穂乃果(ことり)「うん。もう何をやってもダメなら、なんでこんなにつらいことしてるんだろうって」

穂乃果(ことり)「なんでことりが、やらなきゃいけないのかなぁって……」

穂乃果(ことり)「もう、ことりもこんなこと辞めちゃおうかなって」

ことり(穂乃果)「そんな……」

穂乃果(ことり)「身勝手、だよね。『ことり』は他の誰かに任せて……私はそんなこと気にしないでいい、そんな人になりたいなぁって……」

穂乃果(ことり)「そう、想っちゃうなんて」

穂乃果(ことり)「でも……ことりは、願っちゃったんだぁ……」
276: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 22:00:34.44 ID:M0ioUtY7.net
穂乃果(ことり)「そうしたらね? 不思議な夢を見たの」

ことり(穂乃果)「夢……?」

穂乃果(ことり)「うん。その夢では、オトノキは廃校になんてならなくて、みんな楽しそうで……」

穂乃果(ことり)「でも、その夢に出てきた女の子は、自分でいることに飽きたって、他の誰かになりたいって……。そう言ってて」

ことり(穂乃果)「それって……その子、って、もしかして……私?」

穂乃果(ことり)「うん。その時は、分からなかったけどね」

穂乃果(ことり)「だから、つい……『じゃあ、ことりと代わってくれてもいいよね?』って思ったら……」

ことり(穂乃果)「……私が、ことりちゃんに……なった……。ことりちゃんが、穂乃果と、入れ替わった……」

穂乃果(ことり)「……うん。私も、目が覚めたらびっくりしたんだぁ」

穂乃果(ことり)「夢だと思ってたのに、全く知らない……ううん、夢の中で見た、女の子になってて」

穂乃果(ことり)「そして、気が付いたら……手には見たことも無いおふだを握りしめてた」

ことり(穂乃果)「それ、って」

穂乃果(ことり)「それを見て、すぐ分かったの。私のお願いが、叶っちゃったんだって。このおふだが、私とこの子を入れ替えちゃったんだって」

穂乃果(ことり)「実を言うと、最初はね? ちょっとだけ、わくわくしたの」

穂乃果(ことり)「夢の中で出てきたその子はとっても可愛くて、いつも明るくて元気な子で。ちょっと、憧れてたところもあったから」

穂乃果(ことり)「不思議な感じがして、その子――穂乃果ちゃんにでいることが楽しくて」

ことり(穂乃果)「それ……分かるよ。私も、ことりちゃんになったことが分かって、ちょっとわくわくしちゃった」

穂乃果(ことり)「ふふっ……そっかぁ。穂乃果ちゃんもそうだったんだぁ」

ことり(穂乃果)「うん……ごめんね? ことりちゃん。その……」

穂乃果(ことり)「謝らないでいいよぉ。ことりも、一緒だから」

穂乃果(ことり)「でも。すぐにね、すごく怖くなっちゃったの」
277: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 22:02:01.69 ID:M0ioUtY7.net
ことり(穂乃果)「怖く? どうして?」

穂乃果(ことり)「だって、ことりの勝手なお願いで、穂乃果ちゃんに迷惑かけちゃったと思って」

穂乃果(ことり)「こんなのダメだよって思って、すぐにおふだを使ったの。でも、元には戻らなかった」

穂乃果(ことり)「だから、『ことりになった子』に会って、おふだを渡して、その子にもう一度使ってもらえば、って思ったんだけど」

穂乃果(ことり)「いざ、『ことり』の姿をした穂乃果ちゃんを目にしたら……」

穂乃果(ことり)「ぐすっ……怒られ、るんじゃ……ない、かなぁって……」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』って、呼ばれたら……うっ……ぐす……あたま、真っ白になっちゃって……」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃんに、つらい思いを……っ、ひっく…………いっぱい、させ、ちゃって……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん、そんなことないよ。私は、全然気にしてない。大丈夫、大丈夫だから……」

穂乃果(ことり)「うぅ……ごめん、なさ……ぐすっ、ごめん……なさい……穂乃果、ちゃん……!」

ことり(穂乃果)「いいの。もう、いいんだよ……ことりちゃん……」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんこそ、つらかったでしょ? 誰にも言えずに、一人で。……もう、大丈夫だから」

ことり(穂乃果)「今は私が……側にいるから……」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃん……ごめん、なさい…………ありがとう……」
278: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 22:26:23.51 ID:M0ioUtY7.net




ことり(穂乃果)「大丈夫?」

穂乃果(ことり)「ぐすっ……う、うん。ご、ごめんね穂乃果ちゃん。恥ずかしいところ、見せちゃったよね?」

ことり(穂乃果)「ううん。平気、その……気にしないで?」

穂乃果(ことり)「? 穂乃果ちゃん……? どうしたの? や、やっぱりことりのこと……」

ことり(穂乃果)「あっ、ううん! そうじゃないのっ! 全然迷惑だなんて思ってないよ! 本当本当!!」

穂乃果(ことり)「で、でも……。なんだか、難しい顔してるよぉ……?」

ことり(穂乃果)「そ、それはその……、自分が泣きじゃくってるのを慰めるって、冷静になって考えたらすごく恥ずかしいような気が……」

穂乃果(ことり)「あっ、あぅ……。そういえば、ことりも……。自分自身に抱き付いて、撫でてもらってたんだね……」

ことり(穂乃果)「い、言わないでよぉ……」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「……」

ことり(穂乃果)「ね、これについては、あ、あんまり考えないようにしよう。それがいいよっ!」

穂乃果(ことり)「そ、そうだよねっ!」

ことり(穂乃果)「うんうん! そうしよう! ねっ?」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「……」

ことり(穂乃果)「……ぷっ」

穂乃果(ことり)「……くすっ」

「「あはははははっ」」
279: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 22:39:51.79 ID:M0ioUtY7.net
ことり(穂乃果)「あははっ、なんだかおかしいね」

穂乃果(ことり)「そうだねっ、ふふっ、やっぱり変な感じだよぉ」

ことり(穂乃果)「本当だよっ、だって穂乃果がことりちゃんみたいなしゃべり方してるんだもん」

穂乃果(ことり)「それはこっちのセリフだよぉ。だってことりとは思えないくらい、元気いっぱいなんだもん」

ことり(穂乃果)「えぇ~? でも穂乃果の方が変だよっ」

穂乃果(ことり)「そんなことないよぉ。ことりの方が変ですっ」

ことり(穂乃果)「……ふふっ」

穂乃果(ことり)「……くすくす」

ことり(穂乃果)「止めよっか。なんだかどっちのこと言ってるのか、分からなくなってきちゃった」

穂乃果(ことり)「あはは、そうだねっ。それじゃ、これでおしまいっ」

ことり(穂乃果)「……よかった。ことりちゃん、ちょっと元気出たみたいだね」

穂乃果(ことり)「そうかな……? そうだとしたら、穂乃果ちゃんのおかげかも」

ことり(穂乃果)「へっ? 私?」

穂乃果(ことり)「うんっ♪ 穂乃果ちゃんはやっぱりすごいよ」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃん――今はことりの姿だけど――を見ているとね、一緒にいるとね……元気が湧いてくるんだよっ♪」
280: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/06(木) 22:40:20.49 ID:M0ioUtY7.net
ことり(穂乃果)「そ、そうなの? 特に何かしてるわけじゃないんだけど」

穂乃果(ことり)「ううん。穂乃果ちゃんはいつも一生懸命で、まっすぐに前を見て……精一杯、やろうって……」

穂乃果(ことり)「だから、みんなも力を貸してくれて……みんな、心を動かされて……あんなにすごい、ライブができたんだと思うよ」

ことり(穂乃果)「そう、かな。でも、そうなら、嬉しいかな……」

穂乃果(ことり)「穂乃果ちゃん、ライブの前に言ってたでしょ?」

穂乃果(ことり)「ちゃんと、届いたよ。ことりの心にも、穂乃果ちゃんの……μ’sのみんなの想いが」

穂乃果(ことり)「だから……ことりも。また、頑張ってみようって、思えたの」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん……」

穂乃果(ことり)「正直言うとね? ちょっとだけ、自信はないかも。だって、『ことり』になってる穂乃果ちゃん、すごすぎだったんだもんっ」

ことり(穂乃果)「そんなことないよっ! 私の世界のことりちゃんは穂乃果なんて比べ物にならないくらいすっごいんだよ! だから、ことりちゃんも!」

穂乃果(ことり)「えへへっ。そう言われると別の自分のことなのに、なんだかくすぐったいよぉ」

穂乃果(ことり)「でも、そうだねっ、私も穂乃果ちゃんや、あなたの世界の私に負けないように、頑張らなくっちゃ!」

穂乃果(ことり)「お手本は見せてもらったもん。同じには出来ないかもしれないけど……ことりはことりらしく、だよねっ!」

穂乃果(ことり)「だってまだ、終わってなんかいないんだもん! 諦めなければ、願い続ければ……奇跡だって、起きるかもしれないよねっ!」

ことり(穂乃果)「うんっ! 今のことりちゃんなら、きっと上手く行くよっ!」
287: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 22:05:11.36 ID:NrvJmYfk.net
海未「……それで、話は終わりましたか? 二人とも」

ことり(穂乃果)「ひゃっ!? う、海未ちゃん!? いつからそこに……」

海未「さあ、いつからでしょうか? まったく、着替えもせずにどこで何をやっているかと思えば……」

海未「話に花を咲かせるのは構いませんが、時と場所を考えてください。もうみんな撤収してしまいましたよ」

海未「折角ライブを成功させたというのに、μ’sのリーダーがそんなことでは……」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……。ごめんなさいっ! だ、だからお説教は……!」

穂乃果(ことり)「あ……あの……」

海未「それで、そちらの方は……?」

ことり(穂乃果)「あっ!? そうだ! 海未ちゃん、あの、えっとこの子はね?」

海未「ふむ……初めてお会いする方のようですが」ジロ

海未「ファンの方ですか? ですが、流石に終演後まで居残ってというのは……」

穂乃果(ことり)「あ、う」ビク

ことり(穂乃果)「ちっ、違うの海未ちゃん! この子は」

海未「……くすっ、分かっています。普段からかわれているおかえしに、ちょっとからかっただけですよ」

ことり(穂乃果)「え?」

海未「……ふぅ。それにしても、こうして直に目にしてもいまだに信じがたいですね……」

穂乃果(ことり)「ふぇ?」

海未「顔に見覚えはありません。初めて会う方のはずです」

海未「ですが……雰囲気や話し方が、確かに私の記憶の中の彼女と、確かに重なりますね」

海未「で、あれば、間違いないのでしょう」

ことり(穂乃果)「も、もしかして海未ちゃん……この子のこと……」

海未「ええ、分かりますよ。分からないはずがないではないですか」クス

穂乃果(ことり)「え……、え!?」

海未「その姿では初めまして、ですね。いえ、やはりここはこう言うべきでしょうか」

海未「久しぶりですね。そして――『おかえりなさい、ことり』」
288: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 22:06:08.69 ID:NrvJmYfk.net
穂乃果(ことり)「……海未、ちゃん……海未ちゃぁん!!」バッ

海未「おっと。ふふ……姿が変わっても、こういうところは同じですね」ギュ

穂乃果(ことり)「ただいま……海未ちゃん……。ことりの……ことりのせいで……大変だったよね? いっぱい、心配かけちゃったよね……?」

穂乃果(ことり)「ごめん、ごめんね……」ギュゥ

海未「もう、いいんですよ……。あなたに会えて、またこうして、話ができた。それだけで……」ナデナデ

ことり(穂乃果)「ことりちゃん……、海未ちゃん……よかった……」グス



海未「さて、ことり……?」

穂乃果(ことり)「何? 海未ちゃん」

ことり(穂乃果)「どうしたの? 海未ちゃん」

「「あっ……」」

海未「ああ、そうですね。これだとどちらに声をかけたのか分かりませんか」

ことり(穂乃果)「ご、ごめんねことりちゃん? 私も『ことり』ちゃんの名前で呼ばれるのに、すっかり慣れちゃったから……」

穂乃果(ことり)「ううん、気にしないでいいよぉ。それだけ、『ことり』として頑張ってくれたんでしょ?」

ことり(穂乃果)「ことりちゃん……ありがとう……」

海未「しかし、このままでは少々不便なのも確かです。そうですね……。私たちだけの時は、心の方の名前で呼びましょうか」

海未「『ことりの心が入っている穂乃果』を『ことり』、『穂乃果の心が入っていることり』を『穂乃果』」

海未「これでどうですか?」

ことり(穂乃果)「うん、いいよ」

穂乃果(ことり)「ことりもそれで大丈夫だよっ」

海未「ありがとうございます。では、話を戻しますが……」

海未「『穂乃果』から聞いた話によれば、『ことり』……あなたは今の状況を引き起こした原因を、持っていますね?」
289: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 22:10:23.72 ID:NrvJmYfk.net
穂乃果(ことり)「う、うん。そうだ、それじゃこれ、渡さないと」ゴソゴソ

穂乃果(ことり)「はい、『穂乃果』ちゃん……これ……」

ことり(穂乃果)「あっ、これ……! あの、おふだ……!?」

穂乃果(ことり)「うん。ことりが使っても元には戻れなかったけど……」

穂乃果(ことり)「きっと必要になるって思って。無くさないようにって、ずっと持ってたんだよっ」

ことり(穂乃果)「そ、そうだ! これだよ! 確かにこんな感じだった! よくわかんない模様みたいな文字みたいなの!」

海未「ふむふむ。話には聞いていましたが、確かに奇妙な紋様ですね……文字のようでもありますが、まるで理解できません」

穂乃果(ことり)「うん。ことりも何とか調べてみようとしたけど、さっぱりだったよぉ」

ことり(穂乃果)「私もそうだったよー。裏に使い方が書いてなければ全然だったもん」

海未「仕組みは分かりませんが、世界を越えて心が入れ替わってしまうほどです。そう考えれば、理解など出来ないのも当然なのかもしれませんね」

ことり(穂乃果)「よかった……これで……私は、『穂乃果』に戻れる……」

穂乃果(ことり)「ごめんね、『穂乃果』ちゃん。もっと早くに、こうしていればよかったんだけど……。一度は、逃げちゃったし……」

ことり(穂乃果)「そんなの全然気にしてないよっ! だって、『ことり』ちゃんはちゃんとこうして来てくれたもん!」

穂乃果(ことり)「……ありがとう、『穂乃果』ちゃん」
291: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 22:20:16.92 ID:NrvJmYfk.net
ことり(穂乃果)「さってと……」

ことり(穂乃果)「前と同じように、このおふだを枕の下に敷いて寝れば、きっと元に戻れるんだろうね」

ことり(穂乃果)「理屈は分からないけど……なんだか、そう感じるよ」

穂乃果(ことり)「そっかぁ……やっぱり、『穂乃果』ちゃんじゃないとダメだったのかもね。『穂乃果』ちゃんすごいよぉ♪」

海未「何の根拠もないのですが、不思議と信じてしまうのですよね。『穂乃果』の直感は」

ことり(穂乃果)「えへへ……、そっかな?」

海未「ええ、きっとあなたは理屈抜きに、いつも正しいことを選べるのでしょう。そんな人、なのですよ」

ことり(穂乃果)「あはは……海未ちゃんにそう言われると、なんだか照れちゃうよぉ……」

穂乃果(ことり)「ふふっ……今の『穂乃果』ちゃんの顔、真っ赤だねっ♪」

ことり(穂乃果)「で、でもそれってことりちゃんの顔じゃ……? まぁいいか」

ことり(穂乃果)「それじゃ……『ことり』ちゃん、会えたばかりだけど、『穂乃果』はもどるね」

穂乃果(ことり)「うん……ちょっと寂しいけど、それがいいよね」

海未「二人とも、本来あるべき姿に。それが正しいことなのですからね……」

ことり(穂乃果)「そう、だよね……。じゃあ、海未ちゃん。『ことり』ちゃん……さよな」

ガタ

ことり(穂乃果)「えっ?」

海未「今の音は……?」

真姫「ことり……? ねぇ……今の、どういう、意味なの……?」
299: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 09:43:25.89 ID:FhNs1K7r.net
穂乃果(ことり)「あ、あなたは……えっと、μ’sの……」

海未「ま、真姫!?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん!? な、なんでここに……」

真姫「その……ことりがいつまでも着替えに来ないし、海未も探しに行ったまま戻ってこないから、気になって」

真姫「そ、そんなことより、答えてよ」

真姫「さっきの、言葉。意味が分からないんだけど……あなたは『ことり』でしょ? 『穂乃果』って誰? 『もどる』って?」

ことり(穂乃果)「うっ、え、えっと……私、そんなこと言ったかなぁ? 真姫ちゃん、聞き間違えたんじゃないかな?」

海未「そ、そうですよ真姫。それに私もいましたが、ことりはそんなこと、一言も言っていませんでしたよ?」

真姫「ここまできて、誤魔化す気?」

ことり(穂乃果)「そ、そんなこと……」

凛「真姫ちゃんの言ってることが正しいよ。聞き間違えなんかじゃない、だって凛も聞いたもん」

海未「り、凛?」

花陽「わ、私もそう聞こえました」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃんまで!?」

花陽「ご、ごめんなさいっ! 盗み聞きするつもりはなかったんです。でも、どうしても気になって……」

凛「ねえ、そっちの子のことを『ことり』って呼んで、ことりちゃんのことを『穂乃果』って呼んでたよね?」

花陽「それに『穂乃果はもどる』って、確かに言ってました。どういう意味かは、分からないですけど……」

真姫「やっぱり、そうよね。ことり、海未、どうして嘘を吐くのよ?」

花陽「私たち『穂乃果』ちゃんって名前は聞いたことないし、その子もはじめて見る人です。でも、海未ちゃんはずっと前から知ってたみたいな……」

凛「ねぇ、ことりちゃん、海未ちゃん。凛たちに、何を隠してるの?」

海未「それは……」

穂乃果(ことり)「……」

真姫「話せないことなの? そう……。私たちは、あなたたちにとってその程度なのね」

凛「凛たち、同じμ’sの仲間じゃ……なかったの?」

花陽「信じて、もらえないんですね。すごく……悲しい、です……」
300: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 09:43:53.63 ID:FhNs1K7r.net
海未「そ、そんなことは! ですが……」

真姫「もういいわ。そこまで秘密にしたいってことは、考えてみればよっぽどのことなんでしょ」

真姫「無理に聞き出そうとして。悪かったわね」

穂乃果(ことり)「真姫、ちゃん……」

真姫「……。行くわよ、凛、花陽」

花陽「う、うん……」

ことり(穂乃果)「待って! 真姫ちゃん!!」

海未「こ、ことり!?」

真姫「……話す気になったの?」

ことり(穂乃果)「……うん。ごめんなさい、もっと早くに言うべきだったよね」チラ

ことり(穂乃果)「……穂乃果ちゃん、ううん、『ことり』ちゃん、いい?」

穂乃果(ことり)「うん。『穂乃果』ちゃんが決めたことなら。ことりはそれがいいと思うよ」

真姫「!」

凛「や、やっぱりっ!?」

花陽「でも……それっていったい、どういうことなのぉ!?」

ことり(穂乃果)「信じられないかもしれないけど、話すよ。だから聞いて、私の……私たちの、こと」
301: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 10:07:31.26 ID:FhNs1K7r.net




花陽「そ、そんな……じゃあ、こっちのことりちゃんは……」

ことり(穂乃果)「うん。身体は『南ことり』だけど、心は……『高坂穂乃果』」

真姫「それで、この子の身体が、あなたの本当の身体なのね、高坂さん」

凛「でも今、中に入ってるのは……」

穂乃果(ことり)「うん。私の心が、今までこの世界で生徒会長をやってた、『ことり』なんだ……」

海未「……」

真姫「確かに、にわかには信じがたい話ね。でも、そう考えれば納得のいく部分もいくつもあるわ」

真姫「私が元々持っていたことりのイメージとかけ離れた性格、経験者の絵里たち以上の抜きんでた実力」

真姫「初対面のはずなのに私たちのことをよく知っているようだったし。かと思えば、自分でデザインした服のことなのに知らなかったり」

凛「そっか……だって、ことりちゃんとは別人……そもそも別の世界の人、だから。考えてみれば、当然だよね」

ことり(穂乃果)「うん……」

花陽「海未ちゃんは、知ってたんだよね?」

凛「もしかして、三年生たちも知ってたにゃ?」

海未「はい……、絵里たちも、このことは知っています。すみません……ですが、決して凛たちをのけ者にするつもりはなかったのです」

ことり(穂乃果)「ライブ前で、大変なときだったから……。動揺させたく、なかったの」

真姫「だからって……!」

ことり(穂乃果)「うん。そうだよね……言い訳でしかないよね。本当に、ごめんなさい」

穂乃果(ことり)「原因の私が謝っても、許してもらえないかもしれないけど……ごめんなさい!」

真姫「……」

花陽「でも……ことりちゃんたちの気持ちも、ちょっと分かるかな」
302: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 10:08:43.44 ID:FhNs1K7r.net
凛「かよちん?」

花陽「きっと、ライブの前だったら私は悩んで、こんなにうまくできなかったと思うの」

花陽「ことりちゃん……『穂乃果』ちゃんは、いつも私たちのことを大切に想って、考えてくれてたから……」

凛「うん……。凛のことをかわいいって、無限の可能性があるって、言ってくれたにゃ……」

凛「練習でも、一番最後に入った凛たちをいつも気遣ってくれて……。優しさは、伝わってきてたにゃ」

真姫「それは……。それは、私も分かるけど……」

花陽「別の世界で、別の人になっちゃって、元に戻れるかもわからないのに……」

花陽「本当に一番大変なのは、つらいのは『穂乃果』ちゃんのはず、だから」

花陽「それに……遅くなったかもしれないけど、こうしてちゃんと話してくれた、でしょ?」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん……」

花陽「だから、このことに関しては、私は怒りません。自分だったら、きっと『穂乃果』ちゃんみたくできなかったと思うし」

真姫「そうね……」

花陽「でも」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん?」

花陽「私は……ずっと今のことりちゃんのままで、いて欲しいです……!」
303: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 10:23:48.94 ID:FhNs1K7r.net
ことり(穂乃果)「えっ……!? 今の、ままで……」

穂乃果(ことり)「!!」

海未「花陽!? 何を言うのですか!?」

花陽「ごっ、ごめんなさい! 勝手なことを言ってるって……分かってます……」

花陽「でも! それでも……私にとって、μ’sの……私を必要としてくれた、『ことり』ちゃんはあなたなんです!」

凛「り、凛も……凛も、今のことりちゃんと、お別れなんてしたくないにゃ……」

凛「もっと……これからもずっと……一緒に踊って、ライブ、したいにゃ……」

ことり(穂乃果)「花陽ちゃん、凛ちゃん……。で、でも……私は」

真姫「『本当のことり』じゃないって? 違うわ。花陽が言ったでしょ。私たちにとっては、今のあなたこそが『ことり』なの」

真姫「私たちのことを見て、声をかけて、手を差し伸べてくれたのは、他でもないあなたなのよ」

ことり(穂乃果)「だ、だけど……私は、この世界は……私の居場所じゃ……」

真姫「ごめんなさい。私も、わがままだってよくわかってるわ。あなたが自分の世界に戻りたいのは当然だもの」

真姫「でもね……。やっぱり、お別れは、寂しいのよ……」ジワ

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん……」

真姫「それに」チラ

穂乃果(ことり)「あっ……」

真姫「途中で何かを諦めてしまうような人に、あなたの代わりが務まるの? μ’sとしてやっていけるの?」

穂乃果(ことり)「そ、それは……」

海未「『ことり』……」

真姫「もし、それでもことり……『穂乃果』が元の世界に戻るのなら、私は……μ’sを辞めるわ」
304: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 10:45:58.48 ID:FhNs1K7r.net
ことり(穂乃果)「真姫ちゃんっ!? そんなのダメだよっ!!」

真姫「どうして? もうあなたには関係のない話でしょう? だって言葉通り、住む世界が違うんだから」

真姫「この世界の私たちがどうなろうと、いいじゃない。気にせず自分の世界に帰りなさいよ」

ことり(穂乃果)「……っ!」

海未「真姫! だからってそんな言い方は!!」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……。ことりは……」

花陽「私も……『穂乃果』ちゃんがいないμ’sなら、続けていく自信はありません……」

海未「花陽!?」

花陽「ごめんなさい、海未ちゃん。でも」

凛「凛も……」

海未「凛まで、何を言うのですか……」

凛「だって凛がμ’sに入ったのは……『今のことりちゃん』がいたからだもん。かよちんも、μ’sのみんなも大好きだけど……」

凛「一番最初にやりたくなったのは、『今のことり』ちゃんが見せてくれた、あの楽しそうなダンスなんだにゃ」

凛「それを見て、凛もやりたくなったんだにゃ。だから……いなくなっちゃうのなら……」

ことり(穂乃果)「そんな……二人、とも……」

海未「……」

ことり(穂乃果)(このままじゃ……μ’sが壊れちゃう)

ことり(穂乃果)(『ことり』ちゃんも、もう一度やる気になったのに……みんなでなら奇跡を、起こせるかもしれないのに……)

ことり(穂乃果)(せっかくここにもμ’sが出来て、ライブをやれて……なのに、こんなのはダメだよ……)

ことり(穂乃果)(私が、ことりちゃんのままで、この世界に残ればいいの? でも、それじゃ……)

ことり(穂乃果)(だからって、みんなをこのままにして、元の世界に帰るなんて……できないよ)

ことり(穂乃果)(どうしよう……私は、どうすればいいの……?)
310: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 23:54:26.71 ID:FhNs1K7r.net
海未「真姫、花陽、凛。どうしても、ですか……?」

真姫「ええ。悪いけどね」

花陽「ごめん、なさい、海未ちゃん……」

凛「凛も……続けられないよ……」

海未「で、ですが……」

穂乃果(ことり)「……」

ことり(穂乃果)(こんなことに、なるなんて……)

ことり(穂乃果)(私の、せいなのかな……。今は『ことり』なのに――『穂乃果』じゃないのに――『穂乃果らしく』してきたから……?)

ことり(穂乃果)(みんなが私を想ってくれるのは嬉しい。でも、元々『穂乃果』はこの世界にはいないんだ)

ことり(穂乃果)(投げ出すつもりなんかない。でも、『穂乃果』が自分の世界に戻っちゃったら、結局は同じこと)

ことり(穂乃果)(じゃあ、私は何をすれば。何を残していけるんだろう……?)

ことり(穂乃果)(例え『穂乃果』がいなくなっても。μ’sを、続けてもらうためには……何を)

穂乃果(ことり)「……ねぇ、『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃん……?」
311: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 23:54:59.02 ID:FhNs1K7r.net
穂乃果(ことり)「ライブの時に言ってたよね。『穂乃果』ちゃんは、私に会うためだけじゃない、みんなのためにμ’sを作ったって」

ことり(穂乃果)「う、うん……。世界が違っても、私は音ノ木坂学院が、みんなが好きだったから……みんなに笑顔でいて欲しいって思って」

穂乃果(ことり)「そして、μ’sのライブはその願いを叶えた。なら……今度はその想いを、ことりが受け継がなきゃいけないよね」

穂乃果(ことり)「みんなには笑顔でいて欲しい。だってそれは私の想いと一緒だもん」

穂乃果(ことり)「あのライブを見て、もしかしたら、奇跡が起きるかもしれないって思えたのに」

穂乃果(ことり)「なのに……ことりのせいで、何もかもダメになっちゃうなんて、いやだよ」

穂乃果(ことり)「それに。今度こそ、諦めないで……やりたいの」

ことり(穂乃果)(ことりちゃん……すごいよ。やっぱり、この強さ『こっちのことりちゃん』も同じなんだ)

ことり(穂乃果)(そうだよね。ことりちゃんは、今度こそ諦めない、って言ってた。なら、廃校を阻止する可能性だってゼロじゃない)

ことり(穂乃果)(そのためにはきっと、μ’sは必要になる。それに、μ’sは私たちの絆。だから、こんな形で無くしちゃダメなんだ)

ことり(穂乃果)(……まずは、みんなに『ことりちゃん』の想いを、認めてもらわなきゃ……!)

ことり(穂乃果)(『ことりちゃん』が、みんなと一緒にμ’sをやっていくために……!)
317: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 14:03:29.35 ID:izpeeri8.net
ことり(穂乃果)(みんなに認めてもらう。受け入れてもらう。そのためには……もし私なら……)

ことり(穂乃果)(難しいことなんてできない。私には、まっすぐ想いを伝えることしか思い浮かばない)

ことり(穂乃果)(そして、想いを伝えるなら……やっぱりその方法は)

穂乃果(ことり)「……『穂乃果』ちゃん、いいかな?」

ことり(穂乃果)「あっ、ごめんね? 何?」

穂乃果(ことり)「ことりね……ちょっと、やってみたいことがあるの」

ことり(穂乃果)「やってみたいこと? もしかして、『ことり』ちゃんも……私と同じことを?」

穂乃果(ことり)「うんっ! きっと、『穂乃果』ちゃんが考えてることと一緒だよっ♪」

ことり(穂乃果)「そうだね。やっぱり、それしかないかも」

穂乃果(ことり)「力を……貸してくれる?」

ことり(穂乃果)「もちろん! ファイトだよっ! 『ことり』ちゃん!!」

穂乃果(ことり)「ありがとう、『穂乃果』ちゃんっ! ことり、頑張ってみるねっ!」

海未「? 『ことり』、『穂乃果』、さっきからなんの話を?」

穂乃果(ことり)「あの……っ!」

真姫「何? ええと……あなたの方が『ことり』……さんでいいのよね?」

穂乃果(ことり)「うん、そうだよぉ。あっ、さん付けもいらないよ? 他のみんなみたく呼んでくれるとうれしいな」

真姫「わ、わかったわ……。えっと、『ことり』。それで?」

穂乃果(ことり)「うん。まずは……ごめんなさいっ!!!」

花陽「ピャァ!?」

真姫「ちょ、ちょっと。いきなり大声出さないでよ!?」

凛「び、びっくりしたにゃー。『ことり』ちゃん!? いきなりどうしたの!?」

穂乃果(ことり)「あ、えっとね。まずは、ことりのわがままで、みんなに迷惑を掛けちゃったことを謝りたかったんだ」

穂乃果(ことり)「ことりが途中で諦めちゃった。自分から逃げちゃった。それは確かに、真姫ちゃんの言う通りです。言い訳はしません」

穂乃果(ことり)「でも! 今度は……今度こそは、諦めないで最後までやりたいんですっ! みんなと一緒に!」

花陽「『ことり』ちゃん……」
318: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 14:05:12.88 ID:izpeeri8.net
真姫「……言葉だけなら、何とでも言えるわ」

凛「真姫ちゃん、何もそんなこと言わなくても……」

穂乃果(ことり)「ううん、真姫ちゃんの言うことは当然だよね」

真姫「なら、どうするの?」

穂乃果(ことり)「証明、させてほしいんだ。私の想いを。本気だってことを」

花陽「証明って……でも、どうやって」

穂乃果(ことり)「花陽ちゃん、凛ちゃん。『穂乃果』ちゃんは、歌とダンスで、二人の心を動かしたんだよね?」

凛「うん、そうだけど……」

真姫「もしかして」

穂乃果(ことり)「うん。ことりに『μ’sのみんなのためのライブ』をやらせてもらえないかな?」

真姫「私たちのために、ライブを? あなたが? なるほどね……」

海未「『ことり』!? いきなり何を言い出すんですか!?」

穂乃果(ことり)「ごめんね海未ちゃん。でも、これしか思い浮かばなかったんだ」

花陽「確かに、『ことり』ちゃんがどれだけ真剣なのかを見せてもらうには、それが一番いいのかも……」

凛「なんだか楽しみになってきたにゃ」

穂乃果(ことり)「それで、ことりの想いが……みんなの心に届いたなら」

穂乃果(ことり)「……一緒にμ’sをやらせて欲しい。みんなも、μ’sを続けて欲しいの」

穂乃果(ことり)「そして……『穂乃果』ちゃんを、自分の世界に帰らせてあげて、くれないかな……?」

真姫「いいわ。あなたがどれだけ本気か、しっかり見せてもらおうじゃない。上級生相手だろうと、採点は厳しくいくわよ」

花陽「私も……公平に……『ことり』ちゃんの想い、ちゃんと確かめさせてもらいます」

凛「凛もにゃ!」
319: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 14:12:04.12 ID:izpeeri8.net
海未「い、いくらなんでも無茶です! あなたは、『穂乃果』と違って素人なんですよ!!」

海未「せ、せめて準備期間を!」

真姫「そうね。なら二週間後、放課後にここ、講堂でどう?」

真姫「『ことり』のライブで私たちを認めさせられれば、あなたの言うとおりにするわ」

真姫「ああ、それからもちろん、練習とかは『穂乃果』や絵里たちに手伝ってもらってもいいわよ」

ことり(穂乃果)「本番で、私が一緒に踊るのは?」

真姫「それくらいはいいけど……でも、あくまで条件は『ことり』が私たちを納得させられるかどうかよ」

花陽「『穂乃果』ちゃんが、いくら素晴らしいライブにしても……主役の『ことり』ちゃんが、私たちの心を動かせなければ」

凛「認められないにゃ」

ことり(穂乃果)「分かってる。他に条件は?」

花陽「私からは、特にはないよ」

凛「凛も、それでいいにゃ」

真姫「最後に一つだけ。もし、私たちが『ことり』を認められなかったら、どうするの?」

穂乃果(ことり)「……真姫ちゃんたちの、思う通りにしていいよ。それについては、もう何も言わないって約束する」

真姫「ま、当然の条件よね」

花陽「も、もし……だけど、『穂乃果』ちゃんに、もどらないでほしい、って言ったら……?」

穂乃果(ことり)「うん、その時は」

ことり(穂乃果)「私は……このまま……この世界に残るよ」

真姫「……!」

凛「え、ええっ!? それって!?」

海未「!? な、何を馬鹿なことを言っているんですか!? 『穂乃果』、『ことり』!!」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……、いい?」

ことり(穂乃果)「うん。それでいいよ。『ことり』ちゃんならできる、信じてるから」

穂乃果(ことり)「ありがとう……、私、頑張るからねっ!」

真姫「決まったわね。それじゃ、本番、期待しているわ」

花陽「あの……私がこういうことを言うのは、変かもしれないけど……がんばって、ください」

凛「……楽しみにしてるにゃ」
321: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 21:36:45.37 ID:izpeeri8.net
海未「真姫たちは行ってしまいましたか。まさか、ライブの後にこんなことが起きるとは」

穂乃果(ことり)「……はぁ~……っ、緊張したよぉ~」ペタリ

海未「『ことり』!? し、しっかりしてください!」

ことり(穂乃果)「だ、大丈夫『ことり』ちゃん!?」

穂乃果(ことり)「へ、平気だよぉ。ちょっと気が抜けちゃっただけ」

海未「なら、いいのですが……。これ以上、あまり心配を掛けないでください」

穂乃果(ことり)「えへへ、ごめんね?」

海未「しかし、よかったのですか? あんな約束をして」

穂乃果(ことり)「うん。ことりがみんなに認めてもらうためには、あれくらい出来なきゃだめだって思う」

穂乃果(ことり)「本当のこと言っちゃうと、不安もあるけど……」

ことり(穂乃果)「大丈夫! 私がついてるよ、『ことり』ちゃん!」

海未「ああまで言った以上、今更後戻りも出来ませんからね。真姫たちを納得させられるよう、私も力を尽くしますよ」

ことり(穂乃果)「そうだ、絵里ちゃんたちにも話さないとね」

穂乃果(ことり)「あっ、そうだよね。ちゃんと説明して、手伝ってもらわなきゃ」

海未「約束は二週間後。はっきりいって、時間はそれほどありません。大変ですよ」

ことり(穂乃果)「そうかもしれないけど……大丈夫! 『ことり』ちゃん、『穂乃果』と海未ちゃんがついてるよ!」

ことり(穂乃果)「私たちが三人揃えば、無敵なんだからっ!」

穂乃果(ことり)「うんっ! 『穂乃果』ちゃんがそう言うと、なんだか何でもできそうな気になってくるねっ♪」
322: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 21:39:08.51 ID:izpeeri8.net
海未「はぁ……まったく、楽観的というか何というか……。そもそも私の知っている『ことり』はこんな無謀ではなかったはずですが……」

海未「『ことり』、『穂乃果』の身体になったせいで、知らず知らず穂乃果に染まってしまったのではないでしょうね?」

ことり(穂乃果)「ええっ! 海未ちゃんそれはひどいよぉ!」

穂乃果(ことり)「あははっ、もしかしたらそうかもっ♪」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃんまでっ!?」

穂乃果(ことり)「でも……だからこそ、かなぁ。あんなこと、今までのことりじゃ言えなかったけど……」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃんに勇気をもらったから、踏み出せたのかも♪」

ことり(穂乃果)「こ、『ことり』ちゃん……、そんな、私はなにも……」

海未「そうかもしれませんね。知らず知らずのうちに誰かを支える、勇気をくれる、『穂乃果』はそんな人ですから……」

ことり(穂乃果)「も、もう……海未ちゃんまで何言ってるの! ほ、ほら! 絵里ちゃんたちに説明しに行かなきゃ! でしょ!」

ことり(穂乃果)「急がないと、みんな帰っちゃうよ!!」タタタ

穂乃果(ことり)「ふふっ、『穂乃果』ちゃん、真っ赤だったねぇ」

海未「今はことりの顔ですけどね。さて、私たちも行きましょうか」
323: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 22:25:54.50 ID:izpeeri8.net
――翌日 『アイドル研究部』

絵里「ふぅむ……」

にこ「はぁ~……」

希「スピリチュアルやね」

穂乃果(ことり)「え、ええとぉ……?」

ことり(穂乃果)「あの~、もしもし? にこちゃん? 絵里ちゃん?」

にこ「ん? ああ、ごめん。昨日も聞いたし、事情は知ってたけど……」

絵里「改めてこうして見ると、やっぱり不思議ね」

希「以前うちもちょっとだけ見たけど、まさか穂乃果ちゃんの身体に『ことり』ちゃんの心が入っていたなんてね」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんね希ちゃん。あの時はびっくりして、逃げちゃって……」

希「気にしないでいいんよ。とはいえ、二週間後にライブ、かぁ」

にこ「ライブするなら、準備にやらなきゃいけないことはいろいろあるわよ?」

絵里「私たちに出来ることがあれば、もちろん力を貸すけど……」

希「うちもね。最初に言った通り、うちは『穂乃果』ちゃんの味方やから。もちろん、『ことり』ちゃんの味方でもあるよ?」

穂乃果(ことり)「希ちゃん……ありがとう」

にこ「はぁ、しょーがないわねぇ~。μ’sのにこにー伝説をこんなところで終わりにしたくはないからね」

にこ「にこも手伝ってあげるわ」

ことり(穂乃果)「にこちゃんっ! ありがとうっ!」ギュー

にこ「ああもう抱き付かない! とはいえ、『穂乃果』とちがって、こっちの『ことり』は初心者でしょ? 大丈夫なの?」
324: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 22:26:44.15 ID:izpeeri8.net
海未「ええ、ですからダンスに関しては『穂乃果』と私が毎日みっちり練習をみます」

ことり(穂乃果)「うんっ、『ことり』ちゃん、びしびしいくからねっ!」

穂乃果(ことり)「あ、はは……、お、お手柔らかに……」

絵里「無理だけはしないようにね。私も、可能な限り練習を手伝うわ」

穂乃果(ことり)「ありがとう、絵里ちゃんっ!」

海未「絵里のダンスレッスンの効果は花陽や凛、真姫のレベルアップでも実証済みですからね」

穂乃果(ことり)「そうなんだ……。え、絵里ちゃんっ、よろしくお願いしますっ!」

絵里「うふふ。ええ、任せて」

ことり(穂乃果)「あ、絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん。それとは別に、お願いがあるんだけど……」

にこ「お願い? 何よ?」

希「うちらで出来ること?」

ことり(穂乃果)「うんっ、実はね……?」
333: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 22:55:18.75 ID:L/cIdAFd.net
――神田明神 境内

穂乃果(ことり)「わぁ……! ここで練習していいの?」

絵里「ええ、ちゃんと許可を取ってあるからね。でも、他の参拝客の方の邪魔になってはダメよ」

海未「まさか練習場所として、一部とはいえ境内を貸してもらえるとは……話をつけてくれた希には感謝ですね」

絵里「さあ、時間を無駄にはできないわ。早速練習するわよ!」

海未「ライブでやる曲は、既に選定済みです。『ことり』は振り付けを覚えるところからですね」

ことり(穂乃果)「じゃあ、まずは私がやってみるね。『ことり』ちゃん、よく見ててね!」

穂乃果(ことり)「うんっ! みんな、よろしくねっ!」





海未「『ことり』、指先まで気を抜かないで! 全身隅々まで意識を持ってください!」 

穂乃果(ことり)「は、はいっ!!」

絵里「つなぎが雑になってるわよ! もっとスムーズに! 次を考えてから動いてるから、ワンテンポ遅れるの!」
 
穂乃果(ことり)「は、はいぃっ!!」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃん、顔がこわばっちゃってるよ! 笑顔笑顔!」

穂乃果(ことり)「は、はいぃぃ~……!!」

海未「そこ! 今のステップは違いますよ! もう一度です!!」

穂乃果(ことり)「は、はひぃぃ~……!!!」





穂乃果(ことり)「ひぃ~……、も、もう限界だよぉ……」グッタリ

海未「何を言っているのですか、だらしない! ほら、立って続きですよ!」

穂乃果(ことり)「ひぃぃ……! 向こうの海未ちゃんより厳しすぎるよぉ~! 『穂乃果』ちゃぁ~ん……!」
334: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 22:57:21.26 ID:L/cIdAFd.net
ことり(穂乃果)「ま、まぁまぁ海未ちゃん。ちょっと休憩しようよ」

絵里「そうね、流石にいきなり飛ばし過ぎたかも。焦ってもいいことはないし、怪我したら元も子もないしね」

海未「仕方ありませんね……。確かに、少々無茶が過ぎたかもしれません。すみません、『ことり』」

穂乃果(ことり)「はぁ……はぁ……、謝らないで、海未ちゃん。それだけ、真剣に私のことを考えてくれたってことでしょ?」

海未「『ことり』……ありがとう、ございます」

穂乃果(ことり)「絵里ちゃんも、『穂乃果』ちゃんも。こんなに一生懸命になってくれて、『ことり』、嬉しいよっ♪」

絵里「ふふ、だって、『ことり』はμ’sに入ろうと頑張ってるんでしょ? 未来の仲間のためだもの、一生懸命にもなるわ」

ことり(穂乃果)「うんうん、当然だよっ! それに『ことり』ちゃんだけじゃなくて、私の問題でもあるからね」

穂乃果(ことり)「で、でも……まさか実際に踊るのが、こんなに大変だったなんてぇ~……」

海未「元々スクールアイドルをしていた『穂乃果』の身体のせいか、体力面ではそこまで問題はなさそうですが……」

絵里「ダンスを踊るっていうのには、体力だけあればいいわけじゃないしね。魅せ方とかもあるし、慣れないうちは神経使うでしょうからね」

ことり(穂乃果)「ううむ……なかなか大変だね~」

海未「だからあなたがそれを言いますか……いや、もう今更ですね……」
335: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 23:01:24.83 ID:L/cIdAFd.net
希「どう、みんな、がんばってる~?。これ、うちからの差し入れよ」

ことり(穂乃果)「あっ、希ちゃん! わぁ! ジュースだ!」

希「ちょうど休憩中みたいやね。みんなの分買ってきたから、好きなの選んでな~」

絵里「悪いわね、希。いただくわ」

海未「ありがとうございます。では、私はお茶を……」

穂乃果(ことり)「希ちゃん、ありがとぉ~! う~ん、冷たくておいしぃ~♪」

希「調子はどうなん? ライブ、何とかなりそう?」

海未「体力的には、及第点といったところですね。少なくとも、一曲踊り切るのに問題はなさそうです」

絵里「それに『ことり』の呑み込みが早いから、振り付けを覚えるのは、すぐだと思うわ」

希「ほぇぇ……すごいんやねぇ」

ことり(穂乃果)「さっすが『ことり』ちゃん!」

穂乃果(ことり)「え、えへへ……。なんだか照れるよぉ。それに、まだまだだもん」

絵里「まあ……そうね。普通に踊れるだけでは、真姫たちを納得させるのは難しいでしょう」

海未「確かに。完成度を上げていくのは当然ですが、単に踊るだけではなく、心を動かすようになれなければ」

穂乃果(ことり)「そうだよねぇ……」

ことり(穂乃果)「大丈夫、まだまだ始まったばかりだもん。ここからだよっ、ことりちゃん!」

希「そうそう。こんなところで音を上げたらあかんよ。うちも応援しとるから」

穂乃果(ことり)「ありがとう、『穂乃果』ちゃん、希ちゃんっ!」

絵里「私たちも、しっかりサポートするからね」

海未「ええ、手を抜いたりしませんから。任せてくださいね」

穂乃果(ことり)「あ、あはは……、頼もしいけど……ちょ、ちょっとだけ……力を抜いて、欲しいかなぁ……?」
344: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 22:31:08.68 ID:VYFNKZVX.net
ことり(穂乃果)「んく……んく……はぁ~……生き返るよぉ~」

穂乃果(ことり)「ほんとだねぇ。普通のスポーツドリンクなのに、疲れた時ってなんでこんなにおいしいのかなぁ」

希「ふふ、よろこんでもらえたようでなにより。また差し入れに買ってくるからね」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんね希ちゃん。居候させてもらってる上に、差し入れまで……」

希「気にしないでいいんよ。今の状態じゃ自分の家に帰るのはまずいやろうし」

ことり(穂乃果)「むしろ私がごめんなさい……『ことり』ちゃんの家で寝泊まりしちゃってて……」

穂乃果(ことり)「それこそ気にしないでよぉ。だって、今は『穂乃果』ちゃんが『南ことり』なんだもん」

穂乃果(ことり)「逆に、ことりの姿をした『穂乃果』ちゃんが家に帰ってこなかったら大騒ぎになっちゃうよ」

ことり(穂乃果)「そう言われれば、確かに……。でも、やっぱりごめんね」

海未「……ふぅ。そういえば……『ことり』?」

穂乃果(ことり)「うん? 海未ちゃん、何?」

海未「先ほど妙なことを言っていましたね? 『向こうの私』がどうとか……」

絵里「ああ、確かに言ってたわね。『ことり』、それってどういうことなの?」

ことり(穂乃果)「あ、それ私も聞きたいなー。『向こう』ってひょっとして、私がいた世界のこと?」

穂乃果(ことり)「うん、そうだよぉ」

海未「別の世界の私ですか……以前、『穂乃果』に少しだけ話は聞きましたが……」

希「『穂乃果』ちゃんの世界にも、うちらはいるんよね。見た目も性格も、ほとんど同じらしいやん」

穂乃果(ことり)「うん、そんな感じだったかなぁ。だから、別の世界の人って感じがしなかったんだぁ」

絵里「改めて聞くと、不思議な感じね……」

海未「そう言えば『ことり』、今までどうしていたんですか? その……この世界には、『高坂穂乃果』は……」

ことり(穂乃果)「あっ、そうだよ! 『穂むら』にも穂乃果の部屋はなかったし……ま、まさか野宿とか!?」

穂乃果(ことり)「それなんだけど……実はね? 私、何度か、穂乃果ちゃんの世界に行ってたんだよぉ」
345: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 22:32:23.43 ID:VYFNKZVX.net
ことり(穂乃果)「え、ええぇぇっ!?」

海未「ちょ、ちょっと待ってください!? え、それって、別の世界にってことですか?」

穂乃果(ことり)「うん。どうしてか、とかどうやったかは自分でもよくわからないんだけど……そうみたい」

希「本当、スピリチュアルやね……」

穂乃果(ことり)「私も、最初に穂乃果ちゃんになった時には、別の世界だなんて気付かなかったんだけど……」

穂乃果(ことり)「知らない人が私のことをよく知っていたり、オトノキが廃校になってなかったり、いろいろ違ってたし」

穂乃果(ことり)「極め付けにはね? 私とは別の『ことり』がいたりしたから、ここは自分の知ってる世界じゃない、夢で見た世界だって分かったの」

ことり(穂乃果)「ふぇ~。別の自分に会うって、どんな感じなんだろう。私は別の『穂乃果』には会わなかったからなぁ」

絵里「し、しかし『ことり』、ならばあなたは一体どうやってこちらの世界に戻ってきたのですか?」

ことり(穂乃果)「そうだよ。ことりちゃん、どうやったの?」

穂乃果(ことり)「ごめんなさい。方法は……ことりも分からないの」

海未「分からない、とは……?」

穂乃果(ことり)「一度目にこっちに戻ってきた時はね、『穂乃果』ちゃんの身体を取っちゃったことに怖くなって」

穂乃果(ことり)「会って、元に戻らなきゃって思ってたら……いつの間にか……としか」

ことり(穂乃果)「そうだったんだ……。それが、初めてここで会った時なんだね」

穂乃果(ことり)「うん。でも、いざことりになってる『穂乃果』ちゃんを目にしたら、また怖くなって……」

穂乃果(ことり)「逃げ出して、無我夢中でいたら……もう一度、向こうの世界にいたの」

希「ふ~む。うちらが見失った理由はそれだったんやね」

絵里「別の世界に逃げられたら、見つかるはずないわよね」

ことり(穂乃果)「じゃあ、二回目……ライブの時には、どうやったの?」

海未「やはり、こちらの世界に来なければ、と強く思ったからですか?」
346: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 22:34:51.34 ID:VYFNKZVX.net
穂乃果(ことり)「……うん。向こうの世界でね、みんなが励ましてくれたんだ」

穂乃果(ことり)「『不安な気持ちは分かります。ですがちゃんと話をして、ちゃんと謝れば許してくれますよ』」

穂乃果(ことり)「『いつまでも逃げているなんて……『ことり』らしくも、『穂乃果』らしくもありませんよ』」

穂乃果(ことり)「『それとも、あなたが夢で見た女の子は、反省している子を責めるような人でしたか?』って」

絵里「あ、私それを言ったの誰だかわかったわ」

希「そうやね。そんなことを言いそうなのは……」

ことり(穂乃果)「うんうんっ。一人しかいないよねっ」

海未「何でこっちを見るんですか……」

穂乃果(ことり)「あはは。でも、みんなの言葉に勇気をもらって、もう一度会おう、会ってちゃんと謝ろう、って」

穂乃果(ことり)「そう強く思って……気が付いたときには、またこの世界にいたんだぁ」

ことり(穂乃果)「へぇぇ……『ことり』ちゃん、すごいんだねぇ~」

穂乃果(ことり)「ううん、『ことり』がすごいんじゃないよ。すごいんだとしたら、みんなかな?」

ことり(穂乃果)「みんな?」

穂乃果(ことり)「うん。向こうのみんなのおかげで、ちゃんと、『穂乃果』ちゃんと会えた、あのライブを見れた……」

穂乃果(ことり)「そして、こっちのみんながμ’sを作って、ライブをしてくれたから、もう一度、諦めずにやり直そうって思えた」

穂乃果(ことり)「だから、ことりは向こうのみんなにも、こっちのみんなにも、すっごく感謝してるんだよっ♪」
347: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 22:36:14.21 ID:VYFNKZVX.net
ことり(穂乃果)「そっか……」

絵里「なんだか……照れるわね」

希「うん。うちらのやってきたことが、誰かの助けになるって……素敵やね」

海未「ですが、まだまだこれからですよ。私たちも、『向こうのμ’s』のように、廃校を阻止するという奇跡を目指さなければ!」

絵里「ええ! 同じ私たちができたことですもの。こちらでもできないはずがないわ」

希「ふふ、そうやね。話を聞いたら、ますますやる気が湧いてきたやん!」

絵里「しかし、別の世界への移動か……。本当に、SFみたいね」

海未「とはいえ、当の『ことり』でも分からないのでは、その方法の解明はお手上げでしょうけどね」

希「そうやね。考えられるのは、『ことり』ちゃんが例のおふだを持ってたから、ってことくらいやし」

穂乃果(ことり)「うん……ことりもよくわかってないけど……やっぱり、あのおふだのせいだと思う」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんね? あんまり役に立てなくて……」

ことり(穂乃果)「ううん、気にしないで? それに今は、『穂乃果』も元の世界に帰ってる場合じゃないし!」

ことり(穂乃果)「この世界のμ’sのために、私の全力を尽くす方が大事だもん!」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……」

絵里「……そうね。さあ、休憩はそろそろおしまい! 続きやるわよー!」

海未「ですね。それじゃ、もう一度曲の頭からいきましょう。『ことり』やれますか?」

穂乃果(ことり)「うんっ! 頑張るよっ!」
349: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 23:21:22.10 ID:VYFNKZVX.net



コソコソ……

にこ「……そんなところに隠れてないで、出てきて見学したら?」

花陽「ピャァ!?」ガサッ

にこ「……いや、茂みに頭突っ込んでも身体が隠れてないわよ?」

花陽「に、にこちゃん!? あ、あわわ……」

にこ「何よ。そんな慌てて逃げようとすることないでしょ」

花陽「だ、だって……私と、にこちゃんたちは……」

にこ「あんたたちは『ことり』の敵で、にこは味方だからって? そんなの関係ないわよ、まったく」

花陽「え……?」

にこ「あのね。そもそもにこや絵里や希と、あんたや凛や真姫は同じμ’sのメンバーでしょ?」

にこ「仲間内で敵だ味方だ、なんて馬鹿馬鹿しいじゃない」

花陽「あぅ……で、でも……」

にこ「まぁ、あんたたちの気持ちも分からないでもないわよ」

にこ「ほんのちょっとは……『穂乃果』がこのままμ’sに残って、一緒にやれたらって考えないわけでもないわ」

にこ「それに、『ことり』が一度は諦めちゃった、ってことには、少なからず思うとこもあるしね」

花陽「じゃ、じゃあ、にこちゃんは……どうして……?」

にこ「『ことり』と『穂乃果』の手助けをしてるかって? そんなの当り前じゃない」

にこ「目の前に困ってる人がいるのよ? 見て見ぬふりなんて、できっこないわ」

花陽「……そう、だよね」

にこ「それにね? 考えてみなさいよ」

花陽「?」

にこ「別の世界の人間の力を借りなければ……私たちだけじゃ、奇跡を起こせない……なんて思われたら心外じゃない!」

にこ「『穂乃果』なんていなくても、μ’sは無敵なのよ! な・ぜ・な・ら! この銀河ナンバーワンスーパーアイドルにこにーがいるからにこっ!」

にこ「だからあいつは、何も気にせず自分の世界に戻ればいいのよ。そっちで待ってる人が、いるんだから……」

花陽「にこちゃん……」
350: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 23:22:14.89 ID:VYFNKZVX.net
にこ「ま、そうはいっても難しいわよね。特にあんたや凛、真姫は『穂乃果』に惹かれてμ’sに入ったってとこもあるし」

にこ「その憧れがいなくなっちゃう、ってなったら、引き止めたいってのは当然だとも思うわ」

花陽「うん……」

にこ「でも……花陽も、本当は分かってるんでしょ?」

花陽「え……?

にこ「『ことり』がどれだけ真剣に、μ’sを……みんなのことを、考えているかってこと」

にこ「『穂乃果』がいるべき場所が……戻るべき世界があるってこと」

花陽「それ、は……」

にこ「って、こんなのはにこが言うようなことじゃないわね。頭では分かってても、納得できるかってのは別だし」

にこ「ともあれ、二週間後に見せてもらいましょ。あの子の『想い』ってやつが、どれほどのものかを、ね」

花陽「……そうだね。どんなライブを見せてくれるのか……期待して、まってます」

花陽「……そう、『ことり』ちゃんたちに、伝えてもらっていいですか?」

にこ「自分で言いなさいよ、って言いたいとこだけど、まあいいわ。伝えておいてあげる」

にこ「そっちも、にこたちがいないからってサボるんじゃないわよ?」

にこ「次のライブもあるんだし、絵里から指示された練習メニュー、しっかりやっときなさいよね?」

花陽「はっ、はい! それじゃっ!」

にこ「行っちゃったか。……ん? このビニール袋……お茶と、おにぎり?」

にこ「はぁ。まったく……しょーがないわねぇ……」

にこ「後輩がこれだけ応援してるんだから……がんばんなさいよ? 『穂乃果』『ことり』……」
361: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:31:13.55 ID:hRgI15+S.net
――数日後 神田明神 境内

絵里「はい、そこまで」

穂乃果(ことり)「ふう……っ!」

ことり(穂乃果)「やったね、『ことり』ちゃん! 今のは一度も失敗しなかったよっ!」

絵里「うん、振り付けも覚えて、曲を通しで踊れるようになったし……、何とかここまでで、形にはなったわね」

海未「ですね。この短期間でよくぞここまで。がんばりましたね、『ことり』」

穂乃果(ことり)「えへへ……。みんなのおかげだよぉ」

絵里「あとは繰り返し練習して、完成度を上げていくだけね」

海未「そうですね。ライブ当日まで時間もあります。この調子なら、かなりいいものになるのではないかと」

穂乃果(ことり)「そ、そう?」

絵里「ええ。お世辞抜きで、初心者とは思えないわよ。本番も自信もっていいんじゃない?」

海未「残りの時間を苦手な部分の練習に充てれば、完璧に近くできそうですしね」

穂乃果(ことり)「……そう、かなぁ?」

海未「『ことり』、どうしました? 何か問題でも?」

穂乃果(ことり)「ううん、そう言うわけじゃないんだけど……」

穂乃果(ことり)「このままで、大丈夫かなぁって」

絵里「? ええっと……それって、ダンスの難易度をもっと上げた方がいいか、ってこと?」

穂乃果(ことり)「えっと、そういうのじゃなくて……上手く言えないんだけど……」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「ごめん、変なこと言っちゃったね。練習の続き、しよっか?」

海未「そうですね。まだまだ改善すべき点はありますし」

絵里「不安を感じるのは無理もないからね。本番でしっかりできるよう、練習で自信をつけておきましょ」

穂乃果(ことり)「うんっ!」
362: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:33:35.60 ID:hRgI15+S.net




海未「それじゃ、今日はここまでにしましょうか」

穂乃果(ことり)「はぁ……、はぁ、あ、ありがとうございましたぁ~……」

ことり(穂乃果)「お疲れ様、『ことり』ちゃん。はい、タオル」

穂乃果(ことり)「ありがとう、『穂乃果』ちゃん」

絵里「疲れてるだろうけど、ストレッチはしっかりね」

海未「汗もしっかり拭いて、身体も冷やさないようにしてくださいね」

穂乃果(ことり)「はぁ~い」

海未「では、すみませんが私は一足お先に上がらせていただきますね」

絵里「ああ、日舞のお稽古? 大変ね」

海未「そうでもないですよ。もう、生活の一部みたいなものですからね」

絵里「そう言えるのは流石ね……。と、私も行くわ。亜里沙と夕飯の買い物に行く約束があるの」

穂乃果(ことり)「二人ともごめんね? 忙しいのにことりのために、毎日……」

海未「それは言いっこなしですよ」

絵里「そうそう。私たちが好きでやってることだし。それに……μ’sの、オトノキのためだから、ね?」

穂乃果(ことり)「ありがとう……二人とも」

絵里「ふふ、その言葉はライブの後まで取っておきなさい。じゃあ、私たちは帰るわね」

海未「二人も気をつけて。遅くならないうちに戻ってくださいね」

ことり(穂乃果)「うん、それじゃ海未ちゃん、絵里ちゃん、また明日ね~」

絵里「ええ、また学校で」

穂乃果(ことり)「本当……どれだけ感謝しても、し足りないなぁ」

ことり(穂乃果)「そうだね。この世界でも、μ’sのみんなと会えて、本当によかった」

穂乃果(ことり)「うん……。みんなの想い、無駄にはできないね」

ことり(穂乃果)「……さ、『ことり』ちゃん、私たちも支度しよ」

穂乃果(ことり)「そうだね。帰ろっ、『穂乃果』ちゃん」
363: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:41:02.39 ID:hRgI15+S.net




――帰り道

テクテク

ことり(穂乃果)「そういえば、『ことり』ちゃんと二人っきりで帰るのって、あんまりなかったかも」

穂乃果(ことり)「そうなの?」

ことり(穂乃果)「うん。わたしが元いた世界では、海未ちゃんとことりちゃんと一緒が多かったし」

ことり(穂乃果)「こっちに来てからは、海未ちゃんと二人だったから。なんだか新鮮」

穂乃果(ことり)「そうなんだぁ。ことりも海未ちゃんと一緒に帰ることが多かったから」

穂乃果(ことり)「今度は海未ちゃんも誘って、一緒に帰ろうね」

ことり(穂乃果)「うん、そうだねっ」

穂乃果(ことり)「考えてみれば、三人で帰るっていうのはなかったかも。ふふっ、今から楽しみだよぉ」

穂乃果(ことり)「その時は、帰りにいろんなとこ寄ろうねっ♪」

ことり(穂乃果)「だねっ、その時はぜひ『穂むら』もごひいきにっ」

穂乃果(ことり)「あっ、『穂乃果』ちゃんの家の和菓子屋さんだよね。おまんじゅう美味しかったよ!」

ことり(穂乃果)「そっか、『ことり』ちゃんは向こうの世界にも行ってたんだっけ」

ことり(穂乃果)「う~ん、確かに美味しいけど、私はちょっと飽きちゃったかな」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃんダメだよぉ。そんなこと言っちゃ!」

ことり(穂乃果)「あはは……ごめんね?」
364: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:41:51.61 ID:hRgI15+S.net
穂乃果(ことり)「もう! 『穂乃果』ちゃんのお父さんもお母さんも、雪穂ちゃんもみんないい人だったんだから」

ことり(穂乃果)「あ、雪穂にも会ったの? って、当たり前かぁ」

穂乃果(ことり)「うん。『穂乃果』ちゃんの妹さんって、あんな感じなんだねぇ。すごいしっかりしてて、びっくりしたよぉ」

穂乃果(ことり)「スクールアイドルやりたいって言ってたけど、その気持ちも分かるなぁ」

穂乃果(ことり)「だって、こんなにすごいお姉ちゃんが身近にいるんだもん。憧れるのも当然だよね」

ことり(穂乃果)「そ、そんなことないよぉ。私なんてみんなに比べたらまだまだで……」

穂乃果(ことり)「ううん、そんなことないよ。『穂乃果』ちゃんは、すごいよ……」

ことり(穂乃果)「…………」

ことり(穂乃果)「ね、『ことり』ちゃん」

穂乃果(ことり)「何? 『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「もしかして、今のままじゃ……ダメだって思ってる?」

穂乃果(ことり)「どうしたの? 急に……」

ことり(穂乃果)「これじゃ、真姫ちゃんたちを納得させられない、って感じてるんでしょ?」

穂乃果(ことり)「……」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「…………やっぱり、分かっちゃう、かぁ」
365: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 21:12:42.68 ID:hRgI15+S.net
ことり(穂乃果)「うん。なんとなく、だけどね」

穂乃果(ことり)「……不思議だね。『穂乃果』ちゃんとは会ってから、まだそんなに経っていないのに」

穂乃果(ことり)「ずっと昔から、一緒にいたみたいな気がするよ」

穂乃果(ことり)「……お互い、入れ替わってるから、なのかなぁ? だから、隠し事もできないのかな」

ことり(穂乃果)「もしかしたら、そうかも。でも、それだけじゃないよ」

穂乃果(ことり)「え?」

ことり(穂乃果)「例え別の世界でも、『ことり』ちゃんは私にとって、大切な人に変わりはないから」

ことり(穂乃果)「悩んでいるなら、力になってあげたいんだ」

ことり(穂乃果)「だから……きっと、伝わるんだと思う」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……」

ことり(穂乃果)「絵里ちゃんや海未ちゃんが言ってた通り、『ことり』ちゃんは十分上手くなってる」

ことり(穂乃果)「私も、そう思うよ。でも、それだけじゃダメだって感じてるんだよね?」

穂乃果(ことり)「うん……」

穂乃果(ことり)「練習で、だんだん上達してるっていうのは、ことりも感じてるの」

穂乃果(ことり)「難しい振り付けも、間違わないで踊れるようになったし……」

穂乃果(ことり)「みんなには及ばないかもしれないけど、ちゃんとは……出来てると思う」

ことり(穂乃果)「うん。今日の練習でも、ノーミスだったもんね」

穂乃果(ことり)「でも……心のどこかで、これじゃだめだと思ってるんだ」
366: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 21:37:48.52 ID:hRgI15+S.net
穂乃果(ことり)「μ’sの、『穂乃果』ちゃんのライブは、本当にすごくて……ことりも、感動したの」

穂乃果(ことり)「見ているだけで、勇気が湧いてきて、悩みも消えて。『穂乃果』ちゃんに会おうって……ちゃんと、謝ろうって」

穂乃果(ことり)「そして……もう一度、諦めないでやってみようって思えるくらいの、すごいパワーをもらったんだ」

ことり(穂乃果)「それ……ライブの後、話してくれたことだよね」

穂乃果(ことり)「うん。同時にね、すごい、憧れたんだぁ」

穂乃果(ことり)「だから、私もあんなライブができたら……って」

穂乃果(ことり)「それなら、真姫ちゃんたちもきっと分かってくれる、って思ったんだけど……」

穂乃果(ことり)「自分で踊ってみて、分かったの。『穂乃果』ちゃんとは、何かが違うって」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「やっぱり無理だったのかなぁ……って。ことりが『穂乃果』ちゃんみたいになるなんて……」

穂乃果(ことり)「入れ替わっても、『穂乃果』ちゃんの身体を使っても、私じゃ……」

ことり(穂乃果)「……ねぇ『ことり』ちゃん」

穂乃果(ことり)「? 何、『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃんは、『穂乃果』になりたいの?」
367: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 22:24:33.70 ID:hRgI15+S.net
穂乃果(ことり)「えっ……?」

ことり(穂乃果)「私のライブを見て、憧れてくれたのはすっごく嬉しいよ」

ことり(穂乃果)「だけど、『ことり』ちゃん、間違えちゃだめだよ」

穂乃果(ことり)「で、でも……μ’sは、あのライブは『穂乃果』ちゃんがいたから……」

ことり(穂乃果)「ううん。私だから、『ことり』ちゃんを……みんなの心を動かしたんじゃない」

ことり(穂乃果)「みんなを笑顔にしたい。その想いを伝えようと、精一杯頑張ったから」

穂乃果(ことり)「想いを……伝えようと」

ことり(穂乃果)「うん。私だけじゃない、μ’sのみんながその想いを持って、ひとつになって……」

ことり(穂乃果)「大好きな学院のみんなのために。その幸せを願ったライブだからこそ、みんなに伝わったんだと思う」

穂乃果(ことり)「じゃ、じゃあ……ことりは、どうすれば……」

ことり(穂乃果)「簡単だよ! もう一度、思い出してみて。 どうして、ライブをしようと思ったのか」

穂乃果(ことり)「あ……」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃんにもあるはずでしょ? 歌うための理由が。譲れない想いが。伝えたいものが」

ことり(穂乃果)「だから、ライブをしたいって思ったはずだよ」

ことり(穂乃果)「難しいことは考えないでいいんだよ。その胸の想いを、素直に表すの」

ことり(穂乃果)「必要なのは技術じゃない。大切なのは、本気で何かを伝えようとすること。心で、心を動かすこと」

穂乃果(ことり)「心で、心を……」
368: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 22:25:17.22 ID:hRgI15+S.net
ことり(穂乃果)「うんっ! 『ことり』ちゃんの心を、歌と、ダンスに乗せて、みんなに届けるの」

ことり(穂乃果)「無理に『穂乃果』みたいになろうとしないで、『ことりちゃん』らしく、ね。そうすれば、きっと伝わるよ」

ことり(穂乃果)「だって、真姫ちゃんたちの願いも、『ことり』ちゃんと……きっと一緒だから」

ことり(穂乃果)「みんな……学院が、学院のみんなが大好きなんだから!」

穂乃果(ことり)「そう、かな……? そう、かも……。うん……なんだか、そんな気がしてきたかもっ」

ことり(穂乃果)「そうそう! だから『ことり』ちゃん、ファイトだよっ!」

穂乃果(ことり)「うん。ありがとう、『穂乃果』ちゃん! ことり、頑張っちゃいますっ♪」

ことり(穂乃果)「その意気その意気!」

ことり(穂乃果)「って偉そうなこと言っても……私も一度、見失ちゃってたんだけどね」

穂乃果(ことり)「そうなの?」

ことり(穂乃果)「うん。『ことり』ちゃんにならなくちゃって思って……でも、海未ちゃんが思い出させてくれたんだ」

ことり(穂乃果)「『私は私らしく』って、一番大切なことを……」

穂乃果(ことり)「……そっかぁ」

ことり(穂乃果)「だから、『ことり』ちゃんも! 他の誰かになろうとしないで、『ことりちゃんらしく』、だよっ!」

穂乃果(ことり)「ことり……らしく……」

ことり(穂乃果)「うん! きっとそれが、一番だと思うよ!」
379: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/15(土) 14:44:34.13 ID:evk4S2/g.net
凛「あれっ? ことりちゃんたちだにゃ!」

ことり(穂乃果)「あ、やっほー凛ちゃん!」

穂乃果(ことり)「こんにちは、凛ちゃん。今帰りなの?」

凛「やっほー穂乃果ちゃん! うん、そうだよ」

ことり(穂乃果)「一人? 花陽ちゃんたちと一緒じゃないって珍しいね」

凛「うん。かよちんも真姫ちゃんも用があるからって。ことりちゃんたちは練習の帰り?」

ことり(穂乃果)「そうだよ~、終わって帰るとこ」

凛「そっか~。ねえねえ、凛も一緒に帰っていい?」

ことり(穂乃果)「いいよ~。『ことり』ちゃん、いい?」

穂乃果(ことり)「うん! もちろんっ」

凛「あっ、そっか。今は二人とも入れ替わってるんだよね」

穂乃果(ことり)「うん、私が『南ことり』」

ことり(穂乃果)「私は『高坂穂乃果』だよ。もしかして凛ちゃん……忘れてた?」

凛「あ、ええっと……ごめんなさい」

穂乃果(ことり)「気にしないで、凛ちゃん。確かにこんがらがっちゃうよねぇ」

ことり(穂乃果)「うんうん、私も『ことり』ちゃんに初めて会ったとき、自分が誰だか分からなくなりそうだったもん」

穂乃果(ことり)「あはは……流石に、それは……」

凛「『穂乃果』ちゃんはすごいのかすごくないのか、時々わからなくなるにゃ」

穂乃果(ことり)「ふふ、そうかも」

ことり(穂乃果)「ううっ!? 二人とも、いくらなんでもそれはひどいよぉ~」

穂乃果(ことり)「ご、ごめんね?」

ことり(穂乃果)「どうせ私はすごくないですよぉ~だ」

凛「いじけたにゃ」
380: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/15(土) 14:44:59.30 ID:evk4S2/g.net
ことり(穂乃果)「ふーん……どーせ穂乃果は自分が誰だか分からなくなっちゃう子だも~ん」

穂乃果(ことり)「ど、どうしよぉ……。あ、そうだ! 後でお菓子、作ってあげるから……」

ことり(穂乃果)「ほんとっ!? じゃあじゃあ、何がいいかなぁ~」

穂乃果(ことり)「ほ、『穂乃果』ちゃんの目が輝いてる……」

凛「『穂乃果』ちゃん、ちょろすぎにゃ……」

穂乃果(ことり)「あっ、そうだ。せっかくだし凛ちゃんたちの分も作るね? その時にはみんなで食べて?」

凛「えっ、でもそんな……。悪いにゃ」

穂乃果(ことり)「気にしないで? まだ、ことりがみんなにしてあげられるのはそれくらいだし……喜んでもらえたら、嬉しいから」

凛「……『ことり』ちゃん……」

凛「こっちの『ことり』ちゃんも、優しいにゃ……」

凛「……凛は……」

穂乃果(ことり)「凛ちゃん?」

凛「あ、ううん、何でもないにゃ」

穂乃果(ことり)「そう……?」

ことり(穂乃果)「ねえ凛ちゃん」

凛「何? こと……じゃなくて、『穂乃果』ちゃん?」

ことり(穂乃果)「アイドル、楽しい?」
381: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/15(土) 14:46:24.99 ID:evk4S2/g.net
凛「うん。かよちんや真姫ちゃんと一緒に練習するの、楽しいよ!」

凛「ライブの衣装は……まだちょっと自信なくて、恥ずかしいけど」

凛「でも、凛があんなに可愛い服を着て、ダンスして……みんなが喜んでくれて、すっごく嬉しかった!」

ことり(穂乃果)「そっか。すごかったもんね、ライブ」

凛「うんっ! だから早く、次のライブしたいなぁ~って。練習の時もわくわくしてるんだ~」

凛「新しいダンスはまだちょっと失敗しちゃうけど、それでも、これをうまく踊れたらどうなるんだろうって考えると、なんだかどきどきするの!」

穂乃果(ことり)「くすっ、凛ちゃんは本当に、アイドルが好きなんだね」

凛「えへへ……かよちんもびっくりしてたにゃ。『凛ちゃんがここまでハマっちゃうなんて』って」

凛「本当に、『ことり』ちゃんの言うとおりだったよ! 凛の中にこんな可能性が眠ってたなんて!」

ことり(穂乃果)「でしょ? 凛ちゃんの可能性は無限大なんだから! これからもっともっとすごいアイドルになるよ!」

穂乃果(ことり)「そうだねぇ。ことりも、凛ちゃんはきっともっと可愛くなると思うよぉ」

凛「そ、そうかな……? なんだか、照れるにゃ」
382: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/15(土) 14:47:21.37 ID:evk4S2/g.net
凛「あのね……。凛、スクールアイドルやってみてよかった、って思うんだにゃ」

ことり(穂乃果)「そっか。そう言ってもらうと、誘ったかいがあったよ」

凛「だから……もっともっと、続けていきたい」

ことり(穂乃果)「うん……」

凛「真姫ちゃんはどう考えているかは分からないけど……。凛は、μ’sが好きにゃ」

凛「今のことりちゃん……『穂乃果』ちゃんがいなくなっちゃうのは、寂しいし、いなくならないで、って思うけど……」

凛「みんなと一緒に踊って、ライブをできなくなるのも、すっごく悲しい」

穂乃果(ことり)「…………」

凛「それに、『ことり』ちゃんがすっごい頑張ってるってことは、かよちんにも聞いたの」

穂乃果(ことり)「花陽ちゃんに?」

凛「だから、『ことり』ちゃん。次のライブで凛たちを、絶対に納得させて」

凛「そうしたら、頑張って……笑顔で……『穂乃果』ちゃんと、お別れ、するから……」

ことり(穂乃果)「凛ちゃん……」

凛「お別れの寂しさも、悲しさもなくなるくらい……『ことり』ちゃんと一緒に、楽しいμ’sにするから……」

穂乃果(ことり)「……約束するよ、凛ちゃん。きっと、認めてもらう」

穂乃果(ことり)「ううん、そうじゃないね」

穂乃果(ことり)「凛ちゃんたちが、一緒にやりたくなるような、笑顔になるような、すごく楽しく思えるような……そんなライブにするねっ!」

凛「……うんっ! 楽しみにゃ!」
404: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/17(月) 18:58:49.58 ID:3Zkit2tI.net
―― ライブ前日 神田明神 境内

~♪

穂乃果(ことり)「こ、こんな感じなんだけど……」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「えっと……。ど、どうかなぁ?」

ことり(穂乃果)「……」

穂乃果(ことり)「あの、『穂乃果』、ちゃん?」

ことり(穂乃果)「……いい」

穂乃果(ことり)「え?」

ことり(穂乃果)「いい!! すっごくいいよ!!!」

穂乃果(ことり)「わっ!?」

穂乃果(ことり」「び、びっくりしたよぉ~。もう、『穂乃果』ちゃん、いきなり大きな声出すんだもん」

ことり(穂乃果)「あ、ご、ごめんね」

ことり(穂乃果)「でも……本当にすごかったよ『ことり』ちゃん!! 歌もばっちりだったし、振り付けのミスもなかったし、完璧だよ!」

穂乃果(ことり)「そ、そう? まだちょっと不安だったんだけど、『穂乃果』ちゃんがそう言ってくれると、なんだか安心できるよぉ」

ことり(穂乃果)「大丈夫! すっごく素敵だったよ! 今の『ことり』ちゃん、穂乃果よりずっと上手かったよ! だから明日の本番も自信もって行こう!」

穂乃果(ことり)「それは言い過ぎだよぉ~。まだまだことりじゃ『穂乃果』ちゃんとは比べ物にならないもん」

ことり(穂乃果)「そんなことないって! だって穂乃果が見とれるくらいだもん! ラブライブ出場……ううん、優勝だって夢じゃないよ!」

穂乃果(ことり)「も、もう『穂乃果』ちゃん、お世辞にしても大げさだよぉ! こ、ことりちょっとのど渇いたなぁ? ジュ、ジュース買ってくるね?」タタタ

ことり(穂乃果)「あっ、ことりちゃん」

ことり(穂乃果)「……行っちゃった。うーん、でもお世辞なんかじゃなくて、本気でそう思ったんだけどな~」
405: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/17(月) 19:13:33.08 ID:3Zkit2tI.net
コツ

真姫「まったく……何やってるのよ」

ことり(穂乃果)「えっ、あっ!?」

真姫「本番は明日でしょ。そんな調子で、本当に大丈夫なの?」

ことり(穂乃果)「真姫ちゃん!? どうしたの、こんなところに。何か、用事?」

真姫「ええ、まぁ、ちょっとね」

ことり(穂乃果)「そっか」

真姫「……」

ことり(穂乃果)「……」

真姫「……いよいよ、ね」

ことり(穂乃果)「……うん」

真姫「落ち着いているのね。そんなに自信があるの?」

ことり(穂乃果)「どうかな……分からないよ」

真姫「分からないって、あなた」

ことり(穂乃果)「でも」

真姫「え?」

ことり(穂乃果)「きっとすごく素敵なライブになる、そんな予感がするんだ」

真姫「……そう」

真姫「『穂乃果』がそう言うのなら……期待できそうね」
406: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/17(月) 19:14:01.52 ID:3Zkit2tI.net
ことり(穂乃果)「真姫ちゃん、それって」

真姫「勘違いしないで。まだ、答えが出たわけじゃない。明日の出来次第では……」

ことり(穂乃果)「うん。分かってる」

真姫「なら、いいわ」

ことり(穂乃果)「あの、真姫ちゃん、私ね――」

真姫「ストップ」

ことり(穂乃果)「えっ?」

真姫「今は、言わないで。どんな言葉でも……今聞いたらきっと、私、ちゃんと受け止められないと思うから」

真姫「冷静に、公平に……ライブを見て、判断する。そう決めたから」

真姫「だから私も、今は何も言わないわ。全ては明日。『ことり』のライブ次第よ」

ことり(穂乃果)「うん……そうだね」

ことり(穂乃果)「ごめん、真姫ちゃん。今のはちょっと、フェアじゃなかったよね」

ことり(穂乃果)「明日、ステージの上で……ライブで伝えるよ、この胸の想いは」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃんと、一緒に」

真姫「そう」

タッタッタ……

真姫「……あ」

――ほのかちゃぁ~ん! おまたせぇ~!

真姫「……『ことり』が戻って来たみたいね。練習の邪魔になるし、もう行くわ」

ことり(穂乃果)「うん。じゃあ、真姫ちゃん、また明日」

真姫「ええ、また明日。学院でね、『穂乃果』」
407: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/17(月) 22:09:13.48 ID:3Zkit2tI.net
――ライブ当日 講堂

絵里「……いよいよ、か。希、ことりたちの準備は? 音響と照明を手伝ってくれる子の方も大丈夫よね?」

希「『穂乃果』ちゃんと『ことり』ちゃんはさっき更衣室に行ったやん。裏方も前回のうちらのライブで手伝ってくれた子がやってくれるし」

絵里「そう、そうだったわね。ああでも、やっぱり私も様子を見に行った方が」

希「それは海未ちゃんが行ってるやろ。えりち、少し落ち着いたら」

にこ「そうそう。もっとどっしり構えてなさいよ。あんたが踊るわけでもないんだし」

絵里「そうは言ってもね……」

にこ「ま、分からなくもないけど。とはいえ、もうにこたちができることもないし、黙って幕が開くのを待ってましょ」

希「そうやね。泣いても笑っても、このライブは……『ことり』ちゃんたち次第」

絵里「や、やなこと言わないでよ。成功するに決まってるじゃない。私と海未もみっちり練習に付き合ったんだから」

にこ「おかげでこっちは大変だったわよ。一年生組の練習見る人、いなくなっちゃったんだから」

希「あはは、でもにこっちがちゃーんと指示してくれたから、ね。それでなんとかなったようなもんやね」

絵里「あ……。そうだったの……。ごめんね、にこ」

にこ「別にいいわよ。大変なのは、『ことり』たちの方だってのはにこも分かるから」

にこ「でも、これだけにこたちもサポートしたんだから。半端なものなんて、見せるんじゃないわよ……」

希「『穂乃果』ちゃん、『ことり』ちゃん……頑張るんよ」

絵里「私たちが応援しているわ。しっかりね……」
408: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/17(月) 22:10:54.19 ID:3Zkit2tI.net
真姫「……意外ね。てっきりエリーたちは『ことり』に最後までついてると思ったんだけど」

凛「うん。海未ちゃんはいないけど、三年生はみんな凛たちと同じく、客席側にいるね」

真姫「自信……いえ、信頼の表れ、かしらね。とはいえ、あの顔からすれば不安は拭えないみたいだけど」

花陽「はうぅ……私もどきどきしてきちゃいました」

真姫「何言ってんのよ花陽。まだ幕も開いてないわよ」

凛「でも、凛もかよちんと同じにゃ。なんだか緊張してきちゃったもん」

花陽「凛ちゃんもなんだ……」

真姫「まあ、私たちμ’sの運命が決まるって言っても過言じゃないし。緊張するのもおかしくないわね」

凛「真姫ちゃんも?」

真姫「……ええ、まあ少し、ね」

花陽「そっか……真姫ちゃんもなんだね」

凛「やっぱり……『穂乃果』ちゃんも、一緒に踊るのかな?」

真姫「かもね。でも、あくまで私たちが見るのは『ことり』よ」

花陽「うん。……『ことり』ちゃんの想いがどれほど強いのかを、ちゃんと確かめさせてもらうんだよね」

凛「それで、凛たちと本当に、一緒にやっていけるのか。凛たちが、『ことり』ちゃんと、一緒にやっていきたいと思えるのか」

真姫「ええ。そして、もし『穂乃果』がいなくなっても……μ’sとして、奇跡を目指せるのか。最後までやり切れるのか」

真姫「見せてもらうわ。しっかりとね」



絵里「それにしても……もうすぐ本番だっていうのに、嫌な雲行きね」

希「本当、いつの間にか、あんなに空が暗く……」

にこ「風も強くなってきたわ。屋内とはいえ、ちょっと気になるわね」

絵里「テレビじゃ雨は降らない、なんて言ってたけど。予報、外れそうね」

希「何も起こらないといいんやけど……」
420: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 13:34:25.33 ID:eO5rt3eH.net




――講堂 更衣室

ゴロゴロ……

海未「雷が鳴りだしましたか……まだ、遠いようですが……」

ことり(穂乃果)「どうかな? 『ことり』ちゃん?」

穂乃果(ことり)「ん~……あっ『穂乃果』ちゃん、リボンちょっとずれてるよぉ。直すね?」

ことり(穂乃果)「ありがとう『ことり』ちゃん!」

穂乃果(ことり)「どういたしまして♪ ふふっ、ことりが私の姿をした子の衣装を直すって、なんか変な感じだよぉ」

ことり(穂乃果)「私も! 何だかもう一人の穂乃果にやってもらってるみたい」

穂乃果(ことり)「だよねっ。うん、できたよぉ」

ことり(穂乃果)「ありがと~っ!」

海未「用意は済んだようですね」

ことり(穂乃果)「うん、ばっちりだよ。『ことり』ちゃんは?」

穂乃果(ことり)「私も大丈夫だよぉ」

海未「もうすぐ開幕ですが、衣装は問題なさそうですね。二人とも、よく似合っていますよ」

穂乃果(ことり)「そ、そうかな? ありがとう、海未ちゃん」

穂乃果(ことり)「あっ、そういえばこれ、ことりがデザインした服だよね?」

ことり(穂乃果)「うん、そうだよ~、絵里ちゃんが作ってくれたんだ」

穂乃果(ことり)「そうだったんだぁ。絵里ちゃんって裁縫すっごく上手だね、初めて見た時びっくりしたよぉ」

ことり(穂乃果)「だよねっ。……あ。ご、ごめん『ことり』ちゃん、部屋にあったデザインのノート、勝手に見ちゃって」

穂乃果(ことり)「ううん、全然気にしてないよぉ。だって、ことりがデザインした衣装がこんな素敵になって、それを着れるんだもん」

穂乃果(ことり)「お礼を言うのはこっちだよぉ」

ことり(穂乃果)「ありがとう『ことり』ちゃん。そう言ってもらえてほっとしたよぉ」
421: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 13:36:12.47 ID:eO5rt3eH.net
海未「ほらほら、あまり遊んでいる時間はありませんよ、舞台の方の準備ももう終わるでしょうし」

ことり(穂乃果)「分かってるよぉ。あ~あ、折角なら海未ちゃんも私たちと一緒にライブ出ればよかったのに~」

海未「正直、それも考えなくもありませんでしたが……」

海未「『ことり』を認めさせるためのライブと考えたら、あまり人数を増やしても『ことり』の印象を薄めてしまうことにもなりかねませんからね」

穂乃果(ことり)「そっかぁ、それじゃしょうがないよね……」

ことり(穂乃果)「ちょっと、残念だけどね。でも、ライブはこれだけじゃないからね」

海未「ええ、そうですね」

穂乃果(ことり)「ありがとう、海未ちゃん。毎日練習を見てくれて、いまだって着替えまで手伝ってくれて……」

海未「これくらい、お礼を言われるようなことでもありませんよ。『ことり』、私に気を遣うよりも、自分のことを考えてください」

穂乃果(ことり)「えへへ、ごめんね? でも、海未ちゃんがこうして側にいてくれるから、ことりは緊張しないでいられるんだよぉ」

海未「そ、そうですか? 少しでもお役に立てているなら、なによりです」
422: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 13:37:21.59 ID:eO5rt3eH.net
穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃんも、ありがとう。『穂乃果』ちゃんがいなかったら、ことりは……きっと、ここまで来られなかったと思う」

ことり(穂乃果)「ううん、違うよ『ことり』ちゃん。確かに、私はきっかけを作ったかもしれないけど」

ことり(穂乃果)「……自分の想いを伝えたいって、一生懸命になって、ここまで頑張ってこれたのは紛れもなく『ことり』ちゃんの力だよ」

海未「そうですね。他の誰でもない、あなた自身が勇気を持ち、偽りなく努力したからこそ、ですよ」

海未「練習に付き合ってきた私が保証します。きっと、上手くいきますよ」

ことり(穂乃果)「うんうんっ! 私も精一杯サポートするからねっ! だから、ファイトだよっ!」

穂乃果(ことり)「海未ちゃん……『穂乃果』ちゃん……」

海未「ほら、本番はまさにこれからですよ。感極まるのにはまだ早すぎます」

ことり(穂乃果)「そうだよ、『ことり』ちゃん。にこちゃんがよく言ってるでしょ? 『アイドルなら、ステージの上ではにっこり笑顔』だよっ」

穂乃果(ことり)「うん……そうだよね。ごめんね?」

穂乃果(ことり)「本当に……ことりは、二人に会えて、よかった……」

ことり(穂乃果)「……うん。私も」

ことり(穂乃果)「行こう、『ことり』ちゃん」ギュ

穂乃果(ことり)「そうだね、行こっ、私たちのステージにっ♪」
423: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 14:28:56.02 ID:eO5rt3eH.net
ゴロロ……

ビュォォォ……ザァァァ……

花陽「あっ、雨……」

凛「結構降ってきたにゃ。せっかくのライブなのに……」

真姫「仕方ないわよ、こればっかりは。それより、大事なのはステージの方よ」

花陽「そうだね……あ」

凛「幕が上がるにゃ!」

ガチャッ、カッ

花陽「スポットライト!」

真姫「ついに……出てきたわね」

絵里「『穂乃果』……『ことり』……」

希「にこっち、二人はどう?」

にこ「ん~……よし。緊張はしてるんでしょうけど、ガッチガチにはなってないわね」

希「そっか。なら……一安心やね。あっ、海未ちゃんも戻ってきた」

海未「すみません、遅くなりました」

希「お疲れ様。ちょうど幕が上がったとこやよ」

海未「間に合いましたか。ここまできたら、私たちに出来ることはありませんが……」

希「ううん、一つだけ、あるよ」

絵里「一つだけ? あ」

にこ「アイドルの力の源、ファンの応援……」

にこ「私たちの想いをステージまで届けること、でしょ」

希「そう。そして信じよ? あの二人を」

海未「ええ」

絵里「そうね。二人とも、たとえステージに立っていなくても、私たちは一緒よ……」

海未「頑張ってください、『穂乃果』、『ことり』」

真姫「曲が掛かった……始まるわ」
424: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 14:51:33.89 ID:eO5rt3eH.net
 ―― 確かな 今よりも

 ―― 新しい夢 捕まえたい

海未「出だしは完璧ですね」

絵里「ええ、ミスは無いわ。練習以上にキレもある」

 ―― 眩しい明日 抱きしめにゆこう

 ―― 全部 かなえよう

凛「わぁっ……! 『ことり』ちゃん、すっごく上手になってる!」

花陽「すごい……、私たちと同じ……ううん、『穂乃果』ちゃんと比べても見劣りしないくらいかも!?」

 ―― そうだよ 信じるだけで

 ―― ぐんぐん 前に 進むよ……君が!

希「『ことり』ちゃん、頑張ったもんね……」

にこ「ふん……これくらいやれなきゃ、にこたちμ’sについてこれないわよ」

希「にこっち、素直やないんやから……」

絵里「でも」

 ―― 答えなくていいんだ分かるから

真姫「足りないわ」

花陽「えっ……?」
425: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 14:53:40.50 ID:eO5rt3eH.net
 ―― 探す ことが 僕らの挑戦

海未「ええ……確かに、『ことり』は上手くなりました。二週間前まで初心者だということを考えたら、驚異的です」

にこ「一生懸命やってる。それは分かる。どれだけ真剣に想って、練習を頑張ってきたか、それも伝わる」

 ―― ゆずらない瞳が……

真姫「でも、それは私たちも……ううん、きっとスクールアイドルならみんなそう。はじめたばかりの私でも、それは分かる」

凛「確かに、そうかも……」

花陽「でも、あんなに上手だよ、『ことり』ちゃん……」

真姫「二週間でここまでになった『ことり』は、素直にすごいと思うわ。真剣さも、私たちに負けないでしょうね」



にこ「でも、それはスタートライン」

希「にこっち……」

絵里「このままでは、不味いわ」

海未「ですが……」
426: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 14:54:53.29 ID:eO5rt3eH.net
真姫「凛、花陽。あなたたちはどう? 今の『ことり』」

花陽「それは……」

凛「うん……何か、足りない気がする……」



絵里「間奏に入ったわね」

真姫「ここから、後半ね……」

海未「真姫たちの心を動かすための最後の何か、曲の終わりまでに『ことり』たちがそれを伝えられなければ」

凛「凛たちは、『ことり』ちゃんを本当の意味で、μ’sとして認められない……?」

希「正念場やね……」

花陽「『ことり』ちゃん……がんばって」

にこ「しっかりしなさいよ、二人とも……このまま終わったら、許さないわよ……」

絵里「もうすぐ間奏が終わるわ……っ!?」

ガガァァン!!

バチンッ

にこ「なっ!?」

希「停電!? こんな時に……!」

海未「『ことり』っ!」

真姫「『穂乃果』っ!?」
427: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 18:55:37.08 ID:eO5rt3eH.net
―― ステージ

ことり(穂乃果)(『ことり』ちゃん、すごく一生懸命頑張ってる。ミスもないし、今までで一番上手)

ことり(穂乃果)(でも、一緒に踊ってるからわかる。このままじゃダメだ。一生懸命になりすぎて、大事なことを忘れちゃってる)

ことり(穂乃果)(何とか伝えてあげたいけど……)

バチンッ!

ことり(穂乃果)(――ッ!? 停電!?)

<きゃっ!? 落雷!?

<ま、真っ暗だよ!?

<ちょっと、音楽止まっちゃったよ!? どうすんの?

<電源は!?  懐中電灯探して!

ことり(穂乃果)(裏方の皆も慌ててる! このままじゃまずいよ……)

ことり(穂乃果)(いったん中止? でも、こんな形でライブを終わりになんて……できないよ!)

ことり(穂乃果)(『ことり』ちゃんは……)チラ

穂乃果(ことり)「……『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃん? 大丈夫?」

穂乃果(ことり)「うん、ちょっとびっくりしたけど……」

穂乃果(ことり)「ごめんね、『穂乃果』ちゃん」
428: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 18:56:08.96 ID:eO5rt3eH.net
ことり(穂乃果)「えっ?」

穂乃果(ことり)「ことり、やっぱりちょっと焦っちゃってたみたい」

穂乃果(ことり)「失敗しないように、上手くやろうってことばっかりで……自分が楽しんでなかったかも」

穂乃果(ことり)「凛ちゃんに、『すごく楽しく思えるようなライブをする』って約束したのに……自分が楽しんでないんじゃ、ダメだよね」

ことり(穂乃果)(『ことり』ちゃん……自分で気付いたんだ)

ことり(穂乃果)「そっか……。でも、それも無理ないよ。それに、まだ曲は終わってない、これからだよ!」

穂乃果(ことり)「うんっ、そうだよねっ!」

ことり(穂乃果)(とはいえ……まだ、電気が点かない。穂乃果たちはどうすれば……)

穂乃果(ことり)「ねぇ、『穂乃果』ちゃん……真っ暗だし、音楽も止まっちゃったけど……」

穂乃果(ことり)「さっきの続きから、やろう?」

ことり(穂乃果)「えっ、続きを?」

穂乃果(ことり)「うんっ! だって……何だか今すぐ、歌いたい気分なんだもんっ♪」

ことり(穂乃果)(『ことり』ちゃん……無理してないし、気負いもない。本当に、歌いたくてたまらない、って感じだ)

ことり(穂乃果)(これなら……)

ことり(穂乃果)「そうだね、やろう! 『ことり』ちゃん!」
431: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 21:44:33.72 ID:eO5rt3eH.net
海未「くっ! まだ、復旧しないのですか!?」

にこ「落ち着きなさいよ海未! ここで騒いでも仕方ないでしょ!?」

絵里「だけど、このままじゃ不味いわよ。二人とも、変に焦ったりしてないといいけど」

希「うん……裏方のみんなも頑張ってくれてるみたいやけど、肝心の電気が止まったままじゃ……」

海未「こんな時に、ただこうしているだけなんて……」

絵里「……何もできないのかしら……歯がゆいわね」



 ―― 泣いても空の色 変わらないし



花陽「……? 歌声……?」

 ―― いますぐに 会いたいね

凛「この声……『ことり』ちゃんだにゃ! でも、何だか……」

真姫「さっきまでと、違う……。何か、変わった……?」

 ―― 並んで 感じたい 理屈じゃなく 側にいたら
 
 ―― きもちがぐっと 近づく意味が……

絵里「なぜかしら……真っ暗で、ステージはよく見えないのに」

 ―― すぐに伝わるよ

にこ「ええ、伝わるわ。さっきよりもずっと……」

海未「音楽がなくても……二人の歌が……歌いたいという気持ちが、私たちにまで」
432: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 21:45:21.75 ID:eO5rt3eH.net
花陽「すごい、すごいです……すっごく楽しそうに踊ってる姿が、真っ暗なのに見えるみたい……!」

 ―― そうだね 誰もが ひとつ

 ―― 持ってる 勇気の 欠片は……君と……!

 ―― 一緒だってば ずっとね!!

カッ

希「電気が点いた? あっ!?」

真姫「『ことり』……踊ってる……。それも、あんな笑顔で……」

絵里「不思議ね……ダンス自体は、さっきまでと同じはず。劇的に上手くなったわけじゃない。なのに」

花陽「……何だか、目が離せない……惹きつけられます……」

 ―― 思い付きでいいから追いかけて

 ―― 心躍る場所を探そう

凛「なんだかすごく……楽しそう! 凛も、混ざりたいにゃー!」

花陽「うん……見てる私たちまで、わくわくしてきちゃうね!」

真姫「これが……本当の『ことり』、なの……?」

にこ「ふん、ようやくアイドルらしくなって来たじゃないの。まったく、気が付くのが遅いのよ」
433: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/19(水) 21:46:01.35 ID:eO5rt3eH.net
 ―― いつまでも 君といたい

 ―― 駆け抜けて 一緒に……

花陽「ぐすっ……」

凛「かよちん、泣いてる、にゃ……」

花陽「凛ちゃん、こそ……」

凛「だ、だって……『ことり』ちゃんの、歌が……すごく」

花陽「うん。あの時の『穂乃果』ちゃんと同じ……。私たちに、伝えてるんだね……」

真姫「……重なるわ、『ことり』が……あの日……部室で歌っていた、楽しそうな『穂乃果』に」

真姫「そうよ……あの楽しそうな姿に惹かれて、私も……」

 ―― 何度でも 諦めずに

 ―― 探す ことが 僕らの挑戦!

希「『ことり』ちゃん……、『穂乃果』ちゃん……うちらへの想い、受け取ったよ」

絵里「私たちも届けるわ……がんばって、『ことり』! しっかりね、『穂乃果』!」

海未「私たちがここにいます。あなたたちを見ています」

にこ「どんなときだって、μ’sは一緒よ! 心は一つよ!」

 ―― あこがれを 語る君の
 
 ―― ゆずらない瞳が……大好き……

真姫「認めざるを得ないわね……。そうよ、『ことり』、私も想いは同じ……」

真姫「私もこの学院が……みんなが……、そして、あなた達が」

 ―― 大好き!
455: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 22:56:54.19 ID:K2R8HT1Y.net




穂乃果(ことり)「はぁ……はぁ……終わった、の……?」

ことり(穂乃果)「……うん、やりきった、ね……」

穂乃果(ことり)「そっか……、私……ちゃんと、できた、かな……」

ことり(穂乃果)「……もちろんだよ。だって……『ことり』ちゃん、ほら……」

タタタタッ

海未「『ことり』っ!」ダキッ

穂乃果(ことり)「きゃっ!? う、海未ちゃん!?」

にこ「やったじゃない! すっごくよかったわよ! ま、まぁ? にこの次に、だけど!」

にこ「これなら、今日からμ’sに入っても十分やっていけるんじゃない?」

穂乃果(ことり)「にこ、ちゃん……それって」

にこ「まっ、もちろん、にこレベルになるにはまだまだだけどね~」

にこ「それでもこのにこにーに、一緒に踊るのも面白そうって思わせたんだから、しっかりやりなさいよね?」

穂乃果(ことり)「うんっ、ありがとう、頑張るねっ!」

花陽「こ、『ことり』ちゃん……本当、とっても素敵なライブで……私、私……」

凛「そうそう! 本当にすごかったにゃー! えへへ、すごすぎて、凛もかよちんもいっぱい泣いちゃった」

穂乃果(ことり)「凛ちゃん……花陽ちゃん」
456: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 22:58:59.71 ID:K2R8HT1Y.net
凛「それに……ありがと、ちゃんと約束、まもってくれたんだね」

穂乃果(ことり)「約束……、あ……」

凛「うんっ! 本当に、とっても楽しくて……泣いちゃったけど、それ以上に笑顔になるようなライブだったにゃ!」

花陽「『ことり』ちゃんの想い……ちゃんと、届きました……」

凛「見てるだけじゃ、物足りないくらいだったよ!」

穂乃果(ことり)「そっか、ことり、ちゃんと約束、果たせたんだね……。ありがと、凛ちゃん、花陽ちゃん……」

ことり(穂乃果)「『ことり』ちゃん……よかったね……」

絵里「『ことり』、『穂乃果』も、お疲れ様。流石のパフォーマンスだったわよ」

希「でも、まあ今回の主役は『ことり』ちゃんやったね。うちもまさか、停電の中ライブを続けるとは思わなかったんよ」

海未「ええ。私もびっくりしました。このライブを言い出したこともでしたが、『ことり』があんなに強くなっていたなんて……」

海未「やはり、『穂乃果』と出会えたから、でしょうか」

ことり(穂乃果)「ううん、きっとその強さは、もともと『ことり』ちゃんが持っていたものだよ」

ことり(穂乃果)「私はほんのちょっとのきっかけになっただけ。だから、これからも……『ことり』ちゃんなら、大丈夫だよ」

絵里「そうね。『穂乃果』とタイプは違うかもしれないけど……。あの子、もしかしたら本当に奇跡も起こしちゃうかもしれないわね」

希「うちもそう思う。『ことり』ちゃんと一緒なら、どんなことだってきっとやれる。そんな気がするんよ」
457: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:00:02.50 ID:K2R8HT1Y.net
海未「そうですね。ならばこそ、私たちも負けていられませんね」

絵里「ええ! μ’sの先輩として、しっかりしなきゃね」

希「せやね。μ’sはまだ始まったばかり、うちらのアイドル活動はこれからなんやから!」



ことり(穂乃果)「だから……ね?」

ことり(穂乃果)「いつまでもそんなところにいないで。こっちに来たら、どう?」

真姫「……あっ」

穂乃果(ことり)「……真姫、ちゃん」

真姫「その……『ことり』……」

穂乃果(ことり)「う、うん」

真姫「……お疲れ様。大変、だったわね」

穂乃果(ことり)「そ、そんなこと……夢中だったし……、『穂乃果』ちゃんが側にいて、一緒に踊ってくれたし」

穂乃果(ことり)「それに、みんなが応援してくれたから……」

真姫「そう……。でも、あんなアクシデントにも負けずに、ライブを完遂できるなんて、並大抵のことじゃないわ」

穂乃果(ことり)「あ、ありがと……」
458: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:00:41.08 ID:K2R8HT1Y.net
真姫「……認めるわ」

穂乃果(ことり)「えっ?」

真姫「認めるわ、『ことり』……あなたの想いは本物だった」

真姫「きっと今のあなたなら、どんなことがあっても諦めずに進めると思う……私たちと一緒に、μ’sとして」

穂乃果(ことり)「そ、それじゃ……」

真姫「ええ。あなたがμ’sに入ることに、異論はないわ。いえ、違うわね……」

真姫「私も、あなたと一緒にやりたいと思った。それくらい、楽しくて、素敵なライブだったわ」

穂乃果(ことり)「……!」

ことり(穂乃果)「やったね!! 『ことり』ちゃん!!」

絵里「ハラショー!! これで、正式に『ことり』もメンバー加入ね!」

海未「おめでとうございます、『ことり』!」

花陽「よ、よかったです~! こっ、これからよろしくお願いしますっ!」

にこ「はぁ、また部室に人が増えるわけね」

希「またまたにこっちはそんなこと言って。嬉しいなら嬉しいって言えばいいやん」

にこ「べっ、別に嬉しくなんてっ!」

希「そうなん? だってにこっち、『ことり』ちゃんが踊り終わった後、すごい優しい顔で……」

にこ「わー!? わー!! 希っ! デマ流すんじゃないわよ!!」
459: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:01:12.39 ID:K2R8HT1Y.net
凛「あっ、それ真姫ちゃんもだよ! ライブが終わった瞬間、すっごくほっとしてたもんね!」

真姫「ヴェエエ!!? ちょっと凛、何よそれ! ちっ、違うわよ! ほっとしてなんてないわよ!」

凛「してたにゃー。手を握りしめて、『ことり……やったわね……』ってさー」

真姫「し、してないわよっ! なにそれ! イミワカンナイ!」

穂乃果(ことり)「にこちゃん、真姫ちゃん……」

ことり(穂乃果)「あははは、真姫ちゃんもにこちゃんもとっても優しいもんね」

にこまき「「だからそんなんじゃないってぇー!」」

穂乃果(ことり)「あ……ありがとう、『穂乃果』ちゃん……、みんな……」

穂乃果(ことり)「夢中だったから、よく覚えてない部分もあるけど……」

穂乃果(ことり)「でも、すっごく楽しかった……。ライブ、してよかったよ……」

ことり(穂乃果)「私も。『ことり』ちゃんと一緒に踊れて、よかった」

ことり(穂乃果)「だから、私こそ。ありがとう、だよ」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……」
460: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:02:09.09 ID:K2R8HT1Y.net
海未「あ……『穂乃果』……あなたは……」

凛「そういえば……このライブが終わったら、『穂乃果』ちゃんは……」

真姫「帰る、のね」

ことり(穂乃果)「……うん」

花陽「……そう、だよね」

絵里「ほら、そんな顔しないの」

にこ「そ、そうよ。『穂乃果』には、『穂乃果』がいるべき世界があるんだから」

希「長かったようで、あっという間やったね。でも、うちは『穂乃果』ちゃんに会えてよかったと思ってるんよ」

絵里「私もよ。あなたに会えたことが、一番の奇跡かもしれないわね」

にこ「にこもね。……いろいろ、感謝、してるわ」

凛「でも……やっぱり寂しいにゃ」

真姫「凛、仕方ないでしょ……」

花陽「そう、だけど……でも、これで、お別れなんて……」

海未「花陽……」
461: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:02:31.90 ID:K2R8HT1Y.net
凛「だって……『穂乃果』ちゃんとのライブは、前回のが最後なんて……」

真姫「そ、それは……そうだけど……」

花陽「そうだよね…… 『ことり』ちゃんと『穂乃果』ちゃんとも一緒に、みんなでライブは……もう、出来ないんだね……」

穂乃果(ことり)「それは……」

ことり(穂乃果)「…………」

にこ「…………」

希「…………」

絵里「…………いいえ」

真姫「えっ?」

凛「えっ、えっ? それ、どういう意味?」

海未「希? にこ? 何ですその笑みは……」

ことり(穂乃果)「えへへ……実はね……」

ガチャッ

真姫「え?」
462: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:03:16.91 ID:K2R8HT1Y.net
<ようやく開いたよー!

<まったく、待ちくたびれちゃった~!

<早く始まらないかなぁ? 今からすっごく楽しみだよぉー!

ガヤガヤ……

海未「なっ、なっ……?」

花陽「ええええっ!? ど、どんどん人が入ってくるよぉ!? どっ、どういうことなのぉー!?」

穂乃果(ことり)「ほ、『穂乃果』ちゃん? これって、一体……?」

凛「え、絵里ちゃん!? どうなってるにゃー!?」

絵里「……『穂乃果』!」

ことり(穂乃果)「うん、ばっちりだね、絵里ちゃん!」

にこ「まーったく、苦労したんだからね?」

希「まあまあ、その甲斐はあったやん?」

にこ「ほら、『穂乃果』、マイク。しっかり決めなさいよ?」

ことり(穂乃果)「うんっ、任せてっ!」

海未「な、何を言ってるんです? にこ?」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん……?」
463: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:06:39.81 ID:K2R8HT1Y.net
ことり(穂乃果)「……」

ことり(穂乃果)「みんなーっ!! 今日はμ’sのライブに来てくれて、ありがとーっ!!」

\わああああぁぁぁぁ…………っ!!!!/

凛「にゃっ!? ら、ライブ!?」

花陽「そ、それって……」

ことり(穂乃果)「今日は、特別に『9人のμ’s』! スペシャルライブだよっ! 最後まで楽しんでいってねっ!」

海未「ちょ、ちょっと待ってください……!? 9人? それじゃ……」

真姫「も、もしかして……いえ、まさか」

希「まさかもなにも、もうわかってるんやろ? ってことで」

絵里「ほら、『ことり』。前へ前へ」

穂乃果(ことり)「えっ、えっ。や、やっぱり……そういうことなのぉ……!?」
464: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:31:51.64 ID:K2R8HT1Y.net
ことり(穂乃果)「それじゃ、まず最初に紹介するね! 今日だけの特別メンバー!! 『高坂穂乃果』さんですっ!」

穂乃果(ことり)「あっ、あの……がっ、頑張ります!」

\わあああああああああああぁぁぁぁ…………っ!!!!!!/





―― 講堂 更衣室

真姫「……そういうこと。まったく、『穂乃果』も絵里たちもやってくれるわね」

海未「通りで、練習していても妙な感じがしたわけですね……今更ながらに気付きました」

花陽「そっか、9人用の振り付けだったから……」

凛「ところどころ抜けてるように思えたのは、『穂乃果』ちゃんと『ことり』ちゃんの部分だったんだね」

真姫「ええ。今なら理解できるわ」

花陽「で、でも……それじゃあ」

真姫「ええ、初めから、こうするつもりだったってことね」

凛「三年生や、凛たちの衣装まで、ちゃっかり用意されてたにゃ……」
465: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:32:33.37 ID:K2R8HT1Y.net
真姫「まったく、『穂乃果』も絵里も、『ことり』が失敗することなんて全然考えてなかったんじゃない」

海未「本当、楽観的というか……。それにしても『穂乃果』も絵里も、人が悪いです。せめて私には教えてくれても……」

凛「でも、おかげで『ことり』ちゃんと『穂乃果』ちゃんと一緒に踊れるにゃー!」

真姫「ま、それには感謝ね。9人全員で踊るのは初めてだけど」

花陽「はい、不思議と心配はありません。なんだかうまく行くような気がしますっ」

海未「ですね。さあ、私たちも急いで用意しましょう。『穂乃果』と『ことり』……そして、みんなが待っています」

凛「うん!」

花陽「はいっ!」

真姫「ええ!」





ことり(穂乃果)「さあ、みんな! 始まるよ! 『私たちのライブ』が!!」

ことり(穂乃果)(これが正真正銘、『みんな』との最後のライブ……。永遠に消えない思い出を、私も心に刻み込むよ!)
466: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/21(金) 23:33:23.44 ID:K2R8HT1Y.net




 ―― さぁ……夢を……叶えるのは みんなの勇気

 ―― 負けない こころで 明日へ 駆けてゆこう――

(本当に、夢みたいだね……)

(信じられないようなことが起こって……つらいことも、悲しいこともあったけど……それだけじゃなかった)

 ―― 強い 強い 願い事が

 ―― 僕たちを 導いてくれた

(世界は違っても、みんなと会えて、同じ時間を過ごして……)

(また、μ’sとして、こうして同じステージに立って……)

(いっぱい、笑顔になって、幸せをもらって……)

 ―― ただの思い出 それだけじゃいやだよ

(何物にも代えがたい思い出ができた。決して消えない絆が生まれた……)

(そして、私は私らしく……そう、とっても大事なことを教えてもらった……)

 ―― さぁ……夢を抱きしめたら 上を向いて

 ―― 君の世界が 大きく 変わるよ

(大丈夫、きっとこの世界でも、奇跡は起こるよ)

 ―― そう……あの日 同じ夢を描いたんだ

(だって、ここにも……μ’sが、みんながいるんだもん)

 ―― 輝く 瞳は 明日を 信じてた

 ―― 負けない こころで 明日を 信じてた

(こんな素敵な笑顔ができるみんななら……どんな夢だって、叶えられる……!)

(そうだよ、だって……)

 ―― いまここで 出会えた奇跡

 ―― 忘れないで 僕たちの季節……
473: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:42:50.87 ID:+FYzud4P.net
――ことりの部屋

ゴソゴソ……

ことり(穂乃果)「ええっと、このおふだを枕の下に入れて……これでいいかな」

ガチャ

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん、どう?」

ことり(穂乃果)「うん、準備できたよ。『ことり』ちゃんは?」

穂乃果(ことり)「私も。っていっても、パジャマに着替えただけだけどね」

ことり(穂乃果)「そっか。穂乃果がことりちゃんのパジャマ着るとそんな感じなんだね。うーん、なんだか新鮮」

穂乃果(ことり)「うー、今の『穂乃果』ちゃんはことりの姿だから、私の服を着てもそういうのないんだよねぇ」

穂乃果(ことり)「こんなことなら、希ちゃんのパジャマ借りてくればよかったよぉ」

ことり(穂乃果)「あ、あはは……『ことり』ちゃん、まだ私のこと、着せ替え足りなかったんだ……」

穂乃果(ことり)「当然だよぉ。だって、他でもないことりをモデルに出来たんだもん♪」

穂乃果(ことり)「外から見るのって、やっぱり自分で着て鏡で見るのとは全然違うし、おかげでアイディアいっぱい浮かんできちゃった♪」

ことり(穂乃果)「そ、そうなんだ……。それなら、私も着せ替え人形になった甲斐があったよ……」

穂乃果(ことり)「えへへ、ごめんね『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「ううん、気にしないで。実を言うと私もね……ちょっとだけ、楽しかったし」

穂乃果(ことり)「そう言ってもらえるとことりも嬉しいな。ありがとう、『穂乃果』ちゃん」
474: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:43:34.07 ID:+FYzud4P.net
ことり(穂乃果)「どういたしまして。それじゃ……そろそろ、寝よっか」

穂乃果(ことり)「うん! あ、ことりのベッド、二人じゃ狭いかもしれないけど……」

ことり(穂乃果)「ん~……あっ! こうやって、手をつないで、ぴったり並べば大丈夫だよっ」ギュ

穂乃果(ことり)「うんっ! そうだねっ♪」ギュッ

ことり(穂乃果)「こうやって『ことり』ちゃんの家に泊まって、一緒に寝るのって久しぶりかも」

穂乃果(ことり)「そうなんだ。ことりは海未ちゃん以外の子がお泊りして、一緒に寝るのは初めてかなぁ」

ことり(穂乃果)「そっか。こっちの世界ではμ’sで合宿とかしてないもんね」

穂乃果(ことり)「合宿かぁ~、何だかそれも楽しそうだねっ」

ことり(穂乃果)「うんうんっ、こっちのμ’sも合宿したら、きっともっと仲良くなるよっ!」

穂乃果(ことり)「……不思議。ライブでいっぱい踊って、くたくたのはずなのに……ちっとも眠くないなんて」

穂乃果(ことり)「まだ、あの興奮が残ってるからかな……」

穂乃果(ことり)「それとも……寝ちゃったら……次に目が覚めたら、って考えちゃうからかな」

ことり(穂乃果)「……そうかも。私も、まだ眠れそうにないや」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃんもなんだ。それじゃ、ことりと一緒だね」

ことり(穂乃果)「うん……」
475: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:44:23.22 ID:+FYzud4P.net
ことり(穂乃果)「でも、ライブすごかったよね……本当に、みんなが一つになって……」

穂乃果(ことり)「……うん。ことりは絶対に忘れないよ、今日のこと……」

ことり(穂乃果)「…………」

穂乃果(ことり)「…………」

ことり(穂乃果)「ねぇ、『ことり』ちゃん」

穂乃果(ことり)「どうしたの? 『穂乃果』ちゃん」

ことり(穂乃果)「ことりちゃんでいるのも、楽しかったけれど……。私、やっぱり穂乃果が好き」

ことり(穂乃果)「私のできることがある。きっと、穂乃果しかできないことがある。……だから、私は『穂乃果』でいたい」

ことり(穂乃果)「それをこの世界で、改めて感じたよ。みんなに、教えてもらった……」

穂乃果(ことり)「……ことりも。自分じゃない誰かに……穂乃果ちゃんになれたのは不思議な体験だったけど……」

穂乃果(ことり)「向こうの世界で教えてもらったこと、こっちのみんなが私を受け入れてくれたこと……それを想うと……」

穂乃果(ことり)「やっぱり、私は『ことり』でいたいな……。『ことり』として、みんなと一緒に頑張っていきたい」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃんたちμ’sに負けないように」
476: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:44:59.91 ID:+FYzud4P.net
ことり(穂乃果)「うん、きっとこの世界のμ’sもすっごく素敵なグループになるよっ!」

ことり(穂乃果)「だからファイトだよっ! 『ことり』ちゃん!」

穂乃果(ことり)「ありがとうっ♪ 『穂乃果』ちゃんも、ファイトだよっ♪」

穂乃果(ことり)「だから、もう……穂乃果ちゃんをおかえししないと、いけないよね」

穂乃果(ことり)「『穂乃果』ちゃん、ごめんなさい」

穂乃果(ことり)「そして、本当にありがとう。あなたのおかげで、ことりはいっぱい幸せをもらいました」

ことり(穂乃果)「こちらこそ、ありがとう『ことり』ちゃん。私もとっても大切なことを、いっぱい教えてもらったよ」

ことり(穂乃果)「今なら私……『ことり』ちゃんになれて、よかったって思うよ」

穂乃果(ことり)「私も……『穂乃果』ちゃんになれて……、ことりになってくれたのが、あなたでよかった……」

穂乃果(ことり)「……それじゃ、おやすみなさい、『穂乃果』ちゃん……」

ことり(穂乃果)「おやすみ、『ことり』ちゃん……」



477: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:46:02.87 ID:+FYzud4P.net




「う……」

「ここは……」

「私の、部屋……」

「そっか。帰って、来たんだ……」

「そうだ、鏡鏡っ」

穂乃果「……あ」

穂乃果(穂乃果だ……。戻ったんだね……)

穂乃果「……うーん?」

穂乃果「何だろう、正真正銘、穂乃果の顔なんだけど……ちょっと不思議な感じ」

穂乃果「あっちじゃずーっと『ことりちゃん』でいたもんね。慣れちゃったかなぁ? 早く感覚も戻さないと」

穂乃果「あっ、そうだ」ゴソゴソ

穂乃果「あったあった。これこれ」
478: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:46:37.06 ID:+FYzud4P.net
穂乃果「……向こうのことりちゃんも、戻ったんだよね」

穂乃果「今頃……何してるのかな?」

穂乃果「もう、穂乃果には分からないけど……うん、きっと向こうも大丈夫だよね」

穂乃果「だって、向こうにもμ’sが、みんながいるんだもん」

穂乃果「だから穂乃果は、こっちで頑張っていくね!」

穂乃果「よしっ! こっちの世界も久しぶりだしっ、学院に行ってみよっ!!」

ガラッ

雪穂「も~、何騒いでんのさー?」

穂乃果「あっ、雪穂! ただいま! 久しぶり~!」

雪穂「ただいま、って……何言って……え、もしかして……ほ、本物の、お、お姉ちゃん!? 」

穂乃果「そうだよ~! あ、ごめん、私すぐ出かけるから!」

雪穂「ちょっ、ちょっとお姉ちゃん!? 出かけるってどこへ!?」

穂乃果「学院ー! それじゃ、またあとでねーっ!」

雪穂「あっ、待って!? いったい何が……。あ、行っちゃった……」
479: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:48:46.68 ID:+FYzud4P.net
――音ノ木坂学院 屋上

ガチャッ

穂乃果「とうちゃーく。うーん、久しぶりのはずなのに全然そんな感じはしないなぁ」

穂乃果「って、当たり前だよね、向こうの学院にも、毎日通ってたんだし」

穂乃果「世界が違っても……街も、校舎も、空も……おんなじか~……」

穂乃果「うーん、そのせいかなぁ。まだ何だか変な感じ」

穂乃果「ちょっと前までは私がことりちゃんだったなんて……夢だったのかもって思っちゃうな」

穂乃果「でも、あれは本当のこと、なんだよね。9人で歌って、踊ったあのライブは……夢なんかじゃなかった」

穂乃果「あのライブができたのも、このおふだのおかげ、かな……」

穂乃果「これのせいで……いろいろ大変だったけど……」

穂乃果「いい思い出には、なったかな……」

穂乃果「……このおふだは、破いて捨てちゃった方がいいのかな」

穂乃果「自分じゃない他の誰かになる、なんて。私には、荷が重すぎるよね……」
480: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:53:10.10 ID:+FYzud4P.net
「そうですね。また、こんなことがあっては困りますし」

「うんっ、私も今の、本当の穂乃果ちゃんが一番だと思うなっ♪」

穂乃果「えっ!? あっ!」

海未「あなたとはずいぶん久しぶりですね、『穂乃果』」

ことり「やっと帰ってきたんだねっ、待ちくたびれちゃったよぉ」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん!」

海未「まったく。雪穂から戻ってきたと聞いてみれば、こんなところで何をやっているんですか」

ことり「本当だよぉ。でも、また会えてよかった♪ おかえり、『穂乃果』ちゃん!」

海未「事情は『向こうのことり』からも聞きましたが……自分でいることに飽きた、などと……呆れますね」

穂乃果「あ、ええとそれは……」

海未「大体なんですか、『生徒会長もリーダーも穂乃果より別にふさわしい人がいる』などと……」

海未「まずあなたは、みんなが何を思ってあなたを選んだかをですね……」

ことり「まぁまぁ。海未ちゃん、穂乃果ちゃんもこうしてちゃんと戻ってきてくれたんだし、その辺で、ね?」

海未「ぐ……まあ、戻ってきたばかりでお説教というのも、考えてみれば流石に酷ですか……」

穂乃果「はぁ~、助かったよ~。ありがとうことりちゃん~!」

ことり「えへへ、どういたしまして♪」
481: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:53:40.79 ID:+FYzud4P.net
海未「ことりは穂乃果に甘すぎます。『向こうのことり』が穂乃果に入っていた時もですね……」

ことり「あっ、ほら、それはね……その……ごめんなさい」

穂乃果「まあまあ海未ちゃん、その辺で……」

海未「元はと言えば誰のせいですか。とにかく、もう二度と自分に飽きた、なんてことは言わないでください」

海未「それでまた、あなたがいなくなったら……」

ことり「そうだよぉ。穂乃果ちゃんの代わりなんて、誰にもできないんだからね」

穂乃果「……うん。それは、よくわかったよ。本当に、ごめんなさい」

海未「それならいいです。さて……今度はあなたから、何があったのか話してもらいますからね」

ことり「ことりも聞きたいなぁ。私になって、別の世界でどんなことをしてきたのかって」

穂乃果「うん、長くなるけど、聞いて? いろいろあったんだよ~」

海未「おっと、その前に大事なことを言い忘れていましたね」

ことり「そうだねっ、これはちゃんと言わなくっちゃね」

穂乃果「大事な、こと? 何々?」

海未「おかえりなさい、穂乃果」

ことり「お疲れ様、穂乃果ちゃんっ」

「「こうしてまた会えて、うれしいです」」

穂乃果「……うんっ、ただいまっ!! 私も、また会えてうれしいよ!!」
482: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/08/22(土) 17:54:46.34 ID:+FYzud4P.net
これにて完結です
読んでくださった方、お付き合いいただいた方、ありがとうございました
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『穂乃果「穂乃果は飽きた」』へのコメント

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