【SS】絵里「夢の中の話」

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絵里-アイキャッチ6
1: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 20:11:11.67 ID:Zq2rPp9S.net
昨晩、夢を見たの。

一人ぼっちのかわいそうな女の子と遊んでるだけの話だけど、

起きたとき、私は泣いていた。

なぜ泣いていたのか?

相手の女の子は誰だったのか?

私はそれを思い出したくて、これから話をしていこうと思う。

時間とか場所とか、そんなのはさっぱりわからないわ。

だって夢の中の話だもの。

ゆっくりだけど、話をしていきましょうか─────

元スレ: 【SS】絵里「夢の中の話」

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4: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 20:17:35.91 ID:Zq2rPp9S.net
夢の始まりはいつだって突然。

穂乃果がスクールアイドルをやり始めるきっかけくらい、唐突だったわ。

見たことのない団地をウロウロしていたの。

理由なんて知らないけど、無理やり理由を付けるとしたら、使命感かしら?

そう、ここでその女の子から声をかけられたの─────

???「お姉ちゃん、ひとり?」

……この子を知っている。

けど知らない。

詳しく言うなら、『まだ』知らない頃かしら。

絵里「ええ、一人よ。貴女も一人かしら?」

???「うん、わたしもひとり」

???「いつもひとりだから、もう慣れた」
6: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 20:21:14.29 ID:Zq2rPp9S.net
─────なんとも答えづらいわね。

絵里「そうなんだ。家の人とかは?」

???「お仕事でいない」

絵里「それじゃあ、ご兄弟は?」

???「いない。いつもひとり」

絵里「ええと、」

お友達は、と聞こうとしてやめた。

いるんなら、『いつもひとり』だなんて言わないでしょうし。

絵里「─────お姉ちゃんと、遊びましょうか?」
8: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 20:27:34.87 ID:Zq2rPp9S.net
女の子は小さく頷き、丁寧に束ねられた二つのお下げを揺らす。

ぼんやりとしてた人影だったけど、くっきりと思い出すことができた。

─────希。

私と出会う前。

小学校から中学校にかけて転勤族だった親のおかげで全国各地を転々として、

友達と言える人はいなかった、と聞いている。

だからって、私の夢の中なんだし、もう少し明るい子で登場して欲しいものだけど……

悟られないよう小さくため息を一つ吐き、

絵里「それじゃあ何して─────」

希「名前」
10: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 20:35:19.88 ID:Zq2rPp9S.net
希「お姉ちゃんのお名前は?」

……このタイミングで言うの?

それとも、元々は無口だったからコミュニケーションの取り方がよくわかってないの?

絵里「……そうね、名乗っていなかったわね」

絵里「私は絢瀬 絵里。そうね─────えりち、って呼んでほしい、かな?」

希「えり……ち?」

絵里「そうよ。ロシアのクォーターで、あっちにいた頃は『エリーチカ』って呼ばれたわ」

絵里「その名前を少しあだ名っぽくして、『えりち』」

希「えりち。えりち─────うん。覚えた。わたしは……」

絵里「貴女のことは知っているわ。東條 希さん、よね?」

イタズラっぽくウィンクする。

希の顔が無表情から、眉が少しあがる。

……驚いた、ってこと?

希「えりち、すごい……!!」
11: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:03:48.47 ID:Zq2rPp9S.net
絵里「ロシアにいた頃は、『かしこいかわいい エリーチカ』なんて呼ばれていたこともあったわ」

自分で言うと少し気恥ずかしいものの、年下にはなんとなく見栄を張りたい─────

特に相手は、希なんだし。

絵里「それじゃ、何して遊ぼうか。遠慮なくなんでも言って?」

希「……ええと、鬼ごっこ、してみたい……」

してみたい、ということは……したことがないのかしら。

余計な詮索は禁物ね。

絵里「いいわよ。どっちが鬼やる?」

希「……!!それじゃあ、えりちが鬼ね!」

パアッと、一気に顔が明るくなる。

絵里「10数えるから、それまでにちゃんと逃げなさいよー?」

希「うん!」

その無邪気さに、少し胸が痛くなる。
12: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:11:47.54 ID:Zq2rPp9S.net
絵里「はぁ、はぁ……子供って、案外すばしっこいのね……」

希「えーりちー!こっちこっちー!!」

絵里「いっくわよー!」

童心に返り、私も時間を忘れて一緒に遊んでしまう。

鬼ごっこの後にかくれんぼ、缶けりを終わった頃に、

希「えりちえりち、ケイドロってどうやるの?」

絵里「うーん、ルールは知ってるけど、4人以上いないとできないのよねぇ……」

しまった、と口を噤んだ時には遅かった。

いつも一人で遊んでいるというのに、4人以上なんて……

希「そっか。それなら、しょうがないよね」

そんな、辛そうな笑顔を作らせてしまった。

見た目は子供だけど、中身は結構大人びているというか、落ち着いているというか……

少し、子供の無邪気さが足りない。

わがままが足りない。

駄々こねて「ケイドロやりたいのー!」なんて喚くものかと思っていたのに……
13: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:16:25.94 ID:Zq2rPp9S.net
しょうがない、なんて言葉で片付けて欲しくない!

絵里「待ってて、今誰か呼ぶから!」

希「無理だよ」

走り出した足を止め、希の方へ振り向く。

─────どういうこと?

希「だって、ここはいつもひとり」

希「誰もいないし、誰も来れない」

希「えりちは、どうしてここに来れたの?」

それは、私の夢だから……

って、そんな返答ができるわけないじゃない……

希「えりちは、わたしのなに?」
14: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:23:31.52 ID:Zq2rPp9S.net
絵里「友達よ」

希「うそ。だってわたしは転校ばっかりで、友達なんてひとりもいない」

絵里「本当のことよ」

希「うそ。わたしに友達なんて─────」

絵里「貴女は私の友達なのよ!」

絵里「孤独だった私を救ってくれた、」

絵里「いつまでも踏ん切りのつかない私の背中を押してくれた、」

絵里「私の最高の友達じゃないのよ!!」

なんで子供相手に、こんなにも激昂して話してるんだろう。

大人気ないなぁ、なんて思うけど、でも一度溢れた感情は止められない。

絵里「『あの時』から、貴女は私の理解者で、私は貴女の理解者で、」

希が初めて声をかけてくれた時のことを思い出し、胸が熱くなる。

絵里「─────これからも、ずっと友達じゃない……」
15: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:33:15.28 ID:Zq2rPp9S.net
希「─────わかんない。それ、なんの話?」

絵里「そうね、多分まだ貴女にはわからない話よ」

希「まだ、って……いつになったらわかるの?」

絵里「そうね。高校生になれば、きっとわかるわ」

だって、私と希はそれから知り合った。

だからこの夢の中の出会いはなかったことになる。

けれど─────

絵里「忘れないで」

ギュッ、と小さい希を抱きしめる。

腕の中にすっぽりと収まる、小さな女の子。

絵里「私と希は必ず出会う。必ず友達になる」

絵里「それまで希は一人かもしれない」
16: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:39:40.87 ID:Zq2rPp9S.net
絵里「でも、貴女は『ずっと』一人なんじゃない。出会う日まで、『その時まで』一人なの」

なかったことになる出会いだけど、忘れて欲しくない出会い。

矛盾しているけれど、本当の気持ち……

希「─────うん、わかった。それまで、待ってる」

あ、時間だ、と気がつく。

……目覚めの時間。

もう時間がない。

体を離し、面と向かって告げる。

絵里「希っ!貴女とは、この時から友達よ!忘れないで、絶対に─────」

希「忘れへんよ」
17: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:44:37.91 ID:Zq2rPp9S.net
希だ。

私と友達になった時点の、『今の』希がそこにいた。

希「ウチには、こんな昔っから、大事な友達がいたんやね」

涙を浮かべ、抱きしめてくれる。

希「ありがと、えりち。ずっと、友達でおってな?」

絵里「なによ、声が震えてるじゃない」

そういう私の声も震えている。

絵里「当たり前よ……私たち、ずっと友達─────」





けたたましくなる目覚ましを止める。
18: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 21:50:23.24 ID:Zq2rPp9S.net
……涙で頬が濡れているのがわかる。

全く、夢で泣くなんて─────


一人ぼっちの女の子、泣いていた理由。

全部思い出した。

なんとなく、スッキリとした気分。

もしこのことを希に話したら、笑われるかしら?

それとも、実はこのことを覚えていてくれるかしら?

─────クスクス。

話すにしても話さないにしても、希に会うのが楽しみが楽しみね。

そんな、ちょっとした夢の話でした。



終わり
24: 名無しで叶える物語(WiMAX)@\(^o^)/ 2014/09/14(日) 23:20:08.39 ID:Zq2rPp9S.net
今日昼寝してて、実際に見た夢をちょっと脚色したものでした。

起きたら泣いててハラショーwwww
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