善子「ふたりのヨハネの日常」

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善子-アイキャッチ25
2: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:15:52.42 ID:6WMZ26n5
~ベランダ~


善子「我が名は堕天使ヨハネ。今宵も現世に────」

善子「────降臨!」ギラン

善子「ククク……月は満ち、暁は【星々の輝き(スタァライト)】によって照らされ────」

善子「そして、新たな導きをここに!」

善子「さあ月よ! 古より空に浮かびし力の象徴よ! いまこそ、いまこそ!」

善子「この『鏡』に新たなる魔力を……!!」

善子「……」ムムムム…

善子「……」グヌヌ…!

鏡「」シーン

善子「全然出来ないじゃない! ちゃんと教えられた通りにしてるのに~!」

善子「魔法陣の形は……間違ってないでしょ? 触媒の綺麗に洗った河原の綺麗な丸い石もある」

善子「ちゃんと事前にチェックしてもらってオーケーももらったのに……」

善子「どうして魔法が発動しないの~!」

「やっぱり善子には魔法の才能はなかったのかしら?」

善子「なんでよ!?」

※ 前作記事へのリンクです(管理人)

善子「ふたりのヨハネ」

元スレ: 善子「ふたりのヨハネの日常」

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3: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:16:38.80 ID:6WMZ26n5
「だって、この私が魔法の集大成! 私を超える魔法なんてこの世には存在しないのだから!」ギラン

善子「それこそなんでって話よ! あなたはマジックアイテムの効果で生まれたヨハネトークンでしょ!」

「ククク、違うわよ善子? 私はその効果によってデッキから特殊召喚された真なるヨハネ。紛い物のあなたとは違うの」

善子「もともと私がヨハネなんだからね!? 今はあなたに名前を貸してあげてるだけで……っていうか、服を着なさいよ!」

ヨハネ「あら、失礼」

ヨハネ「でもね善子? 私が服を着ないことには意味があるの」

善子「はぁ~?」

ヨハネ「月夜に肌を晒すことで、微量ながらも月の魔力をこの身に蓄えることが!」

善子「それ私が今やろうとしてたやつじゃない!」

ヨハネ「うふふ、ええ、その通り。その通りだから……理解できるでしょう?」

善子「な、なによ……」

ヨハネ「私にはその魔法が使えるということよ! しかもそんな鏡などではなく、我が身に直接!」

善子「!!!」
4: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:17:27.68 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「さあ刮目なさい! 我が魔法を!」

ヨハネ「月の魔力……カモン!」


キラキラキラ…


ヨハネ「ああ、全身に清らかな魔力が蓄えられていくのがわかるわ……!」

善子「ぐぬぬ……」


【魔力吸収】
これぞ新たに生み出した魔法!
微量だけれど、空気中、大気中に漂う魔力を我が身に吸収することができるの!
特に満月の夜は少し多めに魔力を分けてもらえるの! ヨハネの身体はみんなからのエールで出来ているっ!


善子「どうして私には出来ないのよぉ……」

ヨハネ「あの詠唱が良くなかったんじゃない? お月様が機嫌を損ねたのかも」

善子「まじで!?」

ヨハネ「冗談よ」
5: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:18:20.48 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「でもほら、別に魔法なんか使えなくたっていいじゃない? あれはきっと、あのとき限定だったのよ」

ヨハネ「ほら、そのとき不思議なことが起こった!ってやつ」

善子「え~! いやよ、私も魔法使いたい! この魔力を集める魔法だけでも使えるようになりたい!」

ヨハネ「なんでその魔法にはこだわるのよ? 空飛んだり透明になったり、体内の魔力を全身に効率よく回して身体の動きをよくすることだって立派な魔法よ?」

善子「それはそうだけど」

ヨハネ「そんなのより、もっと堕天使っぽい魔法いっぱいあるのに……なんでそれにこだわるの?」

善子「っ……べ、別にたいした意味はないわよ? ほかの魔法を使うときのために取っておくの!」

善子「言ってみればバッテリーよ! モバイルバッテリーみたいなもの!」

ヨハネ「ふうん……?」

善子「なによ」

ヨハネ「……ま、いいけど」

ヨハネ「さあもーいっかい!」

善子「お月様!満月様! どうかこの鏡に魔力をお与えください~!」<(_ _)>ガバッ

ヨハネ「土下座!?」
8: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:20:16.79 ID:6WMZ26n5
・・・


善子「うんともすんとも言わなかった……」

ヨハネ「もういいじゃない……その鏡、もうなんの効果もないわよ? あなたの中の影……私を生み出す時に使い果たしたんだから」

善子「でも、また溜め込むことはできるんでしょ? リカさんだって出来るって」

ヨハネ「そうだけど、なぁに? もうひとりヨハネを生み出すつもり?」

善子「あんたがこれ以上増えたら地獄よ」

ヨハネ「そこまで言わなくたって……」

善子「とにかく、私はこの鏡に魔力を補充したいの! 私に魔法の才能はないけど……」

ヨハネ「……あの人だって言ってたでしょ、あなたは魔法の才能はすごいわ。まだ目を閉じてるだけで」

ヨハネ「だから、そんな無理しないでもいいじゃない? あなたは消えた私を、そのままの状態で呼び戻してくれた」

ヨハネ「それに、魔力をただ使うだけだった私に、魔力を生み出す機関まで」

ヨハネ「あなたはもう、最強レベルの魔法を使った後なんだから」

善子「……もう使えないのかしら」

ヨハネ「かもね……」

善子「……むう」
9: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:22:00.90 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「まあ、少しずつ練習すればいいじゃない! リカさんにも見てもらって」

善子「そうね……うん、私たちが一緒なら」

ヨハネ「そう、私たちが一緒なら無敵よ」

善子「よし! 今日はおわり! ゲームするわよゲーム!」

ヨハネ「受けて立つわ!なにやる?」

善子「そうね……マリオテニスとか?」

ヨハネ「いいわね! スイッチの新作ね!」

善子「負けたら罰ゲームね!」

ヨハネ「いいわよ!」

善子「そうね……負けた方が明日学校で授業を受ける!」

ヨハネ「はあ!?」

ヨハネ「あんたサボりたいだけじゃないの!」

善子「さあどうするの? まさか負けるのが怖いの?」

ヨハネ「は?」カチーン

ヨハネ「ふぅ~ん? そんな子供みたいな煽りに乗るつもりはないけどね……ゲームで挑まれた戦いはゲームで返すわ!」

ヨハネ「行くわよ善子!」

善子「ええ!」

よしヨハ『デュエル!』
10: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:22:42.92 ID:6WMZ26n5
~翌朝~


ヨハネ「いってきます……」

善子「いってらっしゃ~い」

ヨハネ「くっ……ギリギリ届かないところばっかり狙って……!」

善子「勝てばいいのよ勝てばぁ~」

ヨハネ「むっかつく~!!」

善子「とりあえずあんた、みんなに迷惑かけないようにしてよね」

ヨハネ「かけないわよ善子じゃないんだから!」

善子「私だって……か、かけてないし」

ヨハネ「ほら自信持って言い返せてない」

善子「と、とにかくあんたがヨハネだってばれちゃダメだからね!」

ヨハネ「なんでよ」

善子「生徒会長に2人揃って怒られたいのかしら……」

ヨハネ「……ひぃ」

善子「ほら行く! バス間に合わないわよ!」

ヨハネ「飛べばすぐなのに……」

善子「私1人なのにバス乗らないっておかしいでしょ?」

ヨハネ「細かいわね……はいはい、いってくるわ」

善子「いってらっしゃい!」フリフリ


バタン


ヨハネ「……なんで私が」
11: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:23:30.20 ID:6WMZ26n5
~バス停~


ヨハネ「くぁ……んむ……」←あくび

ヨハネ「はー……いつも飛んで登校してるからこの時間はまだ家にいていいのに。バスって面倒ね」

ヨハネ「なんで学校に行くまで1時間ちょっとバスに揺られなきゃならないのかしら……みんなよくやるわ」

ヨハネ「その点、善子には感謝されてもいいんじゃないの? この私がいるおかげでバスに1時間も揺られる必要ないし、この時間でも寝てて許されてるわけだし」

ヨハネ「……おなかすいた。先にコンビニで朝ごはん買えばよかった……」

『ヨーソロー!』

ヨハネ(この声は……)

曜「おはよー善子ちゃん! 今日はバスなんだね?」

ヨハネ「ヨハネよ……」

曜「いつにもまして眠たそうな顔だね……」

ヨハネ「いつもこの時間はまだ寝てるもの……」

曜「あー、そっかぁ。ヨハネちゃんに送ってもらってるもんね」

ヨハネ「曜センパイも空飛んでみる?」

曜「んー……そうだなー」

曜「ちょっと気になるよね! この沼津の海を空から眺めたら、きっと綺麗なんだろうな~って」
12: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:24:04.13 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「ふふ、とっても綺麗よ! 今度抱えて飛んであげるわ」

曜「ん……? なんで善子ちゃんが?」

ヨハネ「あっ……え、えっと、ってヨハネに頼んであげるってこと! どうせあの子、Aqoursメンバーの頼みなら全部二つ返事でオッケー出すと思うし!」アタフタ

ヨハネ(自分で自分のことこんな風に言うの嫌~!)

曜「ほんと~? 嬉しいな、やった!」

ヨハネ「あ、あは……あははは……」


グー…キュルルル


ヨハネ「……おなかすいた」

曜「あれ、朝食べてないの?」

ヨハネ「ギリギリまで寝てたから……」

曜「仕方ないな~」ゴソゴソ

曜「曜ちゃんセンパイが朝ごはんを提供してあげよう!」

ヨハネ「!」
13: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:25:32.72 ID:6WMZ26n5
曜「じゃーん! あくまのおにぎり!」

ヨハネ「悪魔!!」

ヨハネ「……って、ここに来る前にローソン行ったの?」

曜「いきました! 3個買ったから1個プレゼントしちゃうよ!」

ヨハネ「曜センパイ……ううん、もう名前で呼ぶ! 曜!」

曜「お、おにぎりだけで名前呼ばれるくらいになったんだ……」

ヨハネ「大好き!」ガバッ

曜「!?」

ヨハネ「ありがとうありがとうありがとう~!」

曜「ちょ、ちょちょちょっ……///」

ヨハネ「?」

曜「あれ……善子ちゃん胸大きくなった?」

ヨハネ「えっ!?」バッ

曜「……」

ヨハネ(やば……『変身』で色々身体いじったままにしてた……あとで戻さないと)

曜「んー……成長期かな! まだまだ1年生だもんね!」

ヨハネ(助かった……)ホッ
14: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:26:29.26 ID:6WMZ26n5
曜「まあまあ、とりあえず食べてみてよあくまのおにぎり。結構おいしいんだ~」

ヨハネ「へえ……じゃあ、いただきます」ガサガサ

ヨハネ「はむ」モグ

ヨハネ「ん~ん~ん~!」

曜「どう!」

ヨハネ「んまい!」

曜「だよね! ほんのり感じる天つゆの味がいいよね!」

ヨハネ「これ、やばいわ……何個でも食べられそう。ちょっと私もひとっ飛びローソンに行こうかしら……」

曜「え、でももうバス来ちゃうよ?」

ヨハネ「大丈夫よ、空飛んでいけば間に合う……」

曜「でもヨハネちゃんいないでしょ?」

ヨハネ「……そうでした」

ヨハネ(ばれちゃダメって難しい~!!)
15: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:27:24.04 ID:6WMZ26n5
~バス内~


ブロロロ…

曜「んー……やっぱりコンビニおにぎりは和風ツナマヨに限るね」モグモグ

ヨハネ「わかるわ……しょうゆ味のお米にツナマヨがほんと美味しいのよね」

曜「そうそう! ツナマヨの味が濃いから満足感も高いし」

ヨハネ「おなかすいた……練習終わったらコンビニに行く……」

曜「だから学校の近くにコンビニないって……」

ヨハネ「くっ……」

ヨハネ(空さえ飛べれば……っ)

曜「あ、そうだ」

ヨハネ「?」

曜「千歌ちゃんにお願いしてみる? 千歌ちゃんちのすぐ近くにセブンイレブンあるよ」

ヨハネ「ほんと!?」

曜「じゃあラインしてみるね!」ススッ
17: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:28:36.73 ID:6WMZ26n5
【Aqours!】


YOU:おはヨーソロー! ちかちゃん起きてる?


ヨハネ「これグループじゃないの?」

曜「あっ」

ヨハネ「……」

曜「まあいっか!」

ヨハネ「いいんかい」


チカ:おきてるよー


曜「返事きた!」

ヨハネ「さすがリーダー……」


YOU:もう準備できてる?

チカ:全然!

YOU:そっかー


曜「ダメそうだね」

ヨハネ「……まあ予想通りね」


桜内梨子:どうかしたの?


曜「あ、梨子ちゃんがいた!」

ヨハネ「リリー……!」
18: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:30:14.95 ID:6WMZ26n5
YOU:あのね! いま善子ちゃんとバスに乗ってるんだけど、善子ちゃんご飯忘れちゃったみたいで! もし時間に余裕があったらコンビニで何か買ってあげて欲しいんだ

桜内梨子:そうなんだ

桜内梨子:いいよ、私が買いに行ってくるよ


曜「梨子ちゃん優しいね」

ヨハネ「リーダーとは大違いね」

曜「いやいや、千歌ちゃんも優しいから……」

ヨハネ「肝心な時に役に立たないリーダーなんて……」

曜「あ、言いつけちゃおう」

ヨハネ「ごめんなさい冗談です」


桜内梨子:何がいいかな? おにぎりとか、パンとか、揚げ物もあるよ


曜「どうする?」

ヨハネ「そうね……おにぎり食べたい。あとお茶ね」

曜「ヨーソロー」


YOU:おにぎり食べたいって言ってるからおにぎりと、お茶買ってあげて!

桜内梨子:わかったよ

桜内梨子:おにぎりいくつ食べるかな?


ヨハネ「んー……3個」


YOU:3個だって!

桜内梨子:はーい

桜内梨子:スタンプを送信しました

スタンプ:https://i.imgur.com/waVf00G.jpg


曜「これで安心だね」
19: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:31:15.15 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「ありがと、曜」

ヨハネ「あとでリリーにお礼言わなきゃね」

曜「いい子だね~」ナデナデ

ヨハネ「き、急に撫でないでよ……///」

曜「あれ? いつもなら『撫でないで!』って怒るのに」

ヨハネ「えっ……そうなの?」

曜「え?」

ヨハネ「え、あ、いや……た、たまたま今日は撫でられてもいい気分なだけよっ」

曜「お、そっか~! じゃあ今日はのんびり撫でさせてもらおうかな!」ナデナデ

ヨハネ(あの子、素直じゃないのね……)
20: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:32:22.40 ID:6WMZ26n5
・・・


るびまる『おはようございます!』

曜「おはよー! ……って、あれ?」

曜「ダイヤさんは?」

ルビィ「お姉ちゃんは一足先に学校に……」

曜「あれ……私たちの乗ったバスって始発だったよね……」

ヨハネ「そのはずよ……」

ルビィ「おうちの人に車で送ってもらっていました……」

ヨハ曜『なるほど……』

花丸「ところで」

ヨハネ「?」

花丸「どうしてヨハネちゃんがいるずら?」

ヨハネ「!!」

ようるび『!?』
21: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:33:25.69 ID:6WMZ26n5
ヨハネ(な、なんかヤバイ空気! 機転をきかせろ私、ばれちゃダメだとよ私!」

ヨハネ「だからヨハネ! ……って正解じゃない!」

ヨハネ(これはうまくいったでしょ!)

曜「あ、そういうことかー」

ルビィ「び、びっくりした~……」

花丸「ううん、善子ちゃんじゃなくてヨハネちゃん……でしょ? おらには分かるずら」

ようるび『えっ』

ヨハネ「そ……そうよ? 我が名はヨハネ、漆黒の堕天使! 善子などという名前ではないわ!」

花丸「そ、そうじゃなくて~……」

ヨハネ「花丸、ちょっと」グイッ

花丸「うわわっ」

ヨハネ『あとで話すから静かにしてて』※テレパシー

花丸「!」

ヨハネ『わかったら頷いて』

花丸「……」コクン

ヨハネ『いい子ね』
22: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:34:20.99 ID:6WMZ26n5
曜「け、結局どういうこと……?」

ルビィ「ルビィ、よくわかんなくなっちゃった……」

ヨハネ「我が真名はヨハネ! 花丸はリトルデーモンとして、あなたたちより一歩先の世界へと進んだのです!」

曜「いやあ、私たち別にそこまで進みたくは」

ルビィ「ルビィはヨハネ様が大好きなので、もっと進みたいなっ」

曜「ルビィちゃんはヨハネちゃん好きだね」

ルビィ「はい! カッコいいです!」

ヨハネ「うふふ、ルビィはとてもいい子ね」ナデナデ

ルビィ「えへへ~」

花丸「じー」

ヨハネ「な、なによ花丸」

花丸「別に、おらは何も言ってないずら」

花丸(……善子ちゃんこれはサボりってことだね)
23: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:35:00.95 ID:6WMZ26n5
・・・


千歌「おはよー!」

梨子「おはようみんな。善子ちゃん、頼まれてた朝ごはんだよ」

ヨハネ「ありがとうリリー!」

ヨハネ「はあ~……おなかすいた……」ガサガサ

ヨハネ「いくら魔力製造機関が体内に作られたとはいえ、魔力で出来てる身体だとおなかすいておなかすいt……」

みんな『……魔力?』

ヨハネ「って、よ、ヨハネがね! ほら、私ヨハネと契約してるから、あの子が元気に動き回るだけで私も体力持っていかれちゃうのよ~あははははは」

曜「へー、やっぱ大変なんだねえ」

千歌「まりょくって、どんな風に出来てるの?」

梨子「あ、それ、私もちょっとだけ気になるな」

ルビィ「ルビィも! ヨハネ様のパワー、もっと知りたい!」

花丸「じー」

ヨハネ「ヨハネのパワー?」イタダキマス

ヨハネ「えっと……そうね」モグ
26: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:36:48.29 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「魔力は、言うなれば自然に存在するエネルギーよ。この世界に芽生える全ての生命がその内に秘めている、生きる力……生命エネルギーとでも言えばいいのかしら」

千歌「せーめーえねるぎー……」

ヨハネ「だからどうやって出来てるかと言われると……ご飯食べたり、休んだり、瞑想したりすると効率よく生成される……かしら」

ヨハネ「ドラゴンボールの『気』とか、ナルトの『チャクラ』と同じようなものと思えばわかる?」

千歌「わかる!」

梨子(わかんない……)

曜「ってことは、私たちにも魔力はあるの?」

ヨハネ「ええ、もちろん! でも普通の人間や生物は、その魔力を自分が活動するためのエネルギーでしか活用できないの」

ヨハネ「それを超自然的な現象としてこの世界に具現化させる……えっと、魔力を使って火を起こしたり、空を飛んだりすることね」

ヨハネ「それが魔法と呼ばれるもので、自分の魔力を自由自在に操って色んなことをする人を魔法使いと呼ぶの」

千歌「へー! じゃあヨハネちゃんは魔法使いなの?」

ルビィ「魔法使い……カッコいい……」

ヨハネ「ヨハネは魔法使いではなく堕天使。そこ、間違えるんじゃないわよリーダー」

千歌「お……ご、ごめん」
27: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:39:27.07 ID:6WMZ26n5
ヨハネ「まあ……でも今の定義で言えば魔法使いで間違いないわね。空も飛べるし透明になれるしビームも出せるし」

曜「すごいな……」

梨子「ほんとになんでもできちゃうね」

ヨハネ「でも、ヨハネが魔法を使えるのは副産物みたいなものよ」

千歌「ふくさんぶつ……干物のこと?」

曜「それは乾物」

ヨハネ「ヨハネの存在が、そもそも魔法によって生み出された存在だということ。私の身体は普通に人間の身体に見えるだろうけど、実は魔力によって形づくられてるの」

ヨハネ「つまり、ヨハネそのものが魔法なのよ」

ルビィ「魔法で……」

ヨハネ「だからヨハネは、その副産物として魔法が扱える。ただヨハネ自身が魔法だから、ヨハネは普段の生活をするだけで魔力を大量に使ってしまうのよ」

ヨハネ「お腹もすくわ、すぐバテるわ、よく寝るわ……全くえらいご身分よね」

ヨハネ(自分で言ってて辛くなってきたわ……なんかごめん、善子……)
28: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:40:13.57 ID:6WMZ26n5
千歌「なるほどねー……だから、その魔力がなくなっちゃって、一回消えちゃったんだね」

ヨハネ「……まあ、そういうことね」

みんな『……』

ヨハネ「でも、よs……私とみんなのおかげでヨハネが帰ってこれたんだもの」

ヨハネ「しかも今度は絶対に消えない保証つき! もう……みんなと離れ離れになるなんてことはないわ。ずっと一緒にいられる」

ルビィ「うん、うんっ! うれしいね善子ちゃん!」

ヨハネ「そうね、ルビィ! でもヨハネよ」

ルビィ「えへへ~」

曜「でも、ちゃんと覚えてるの? 消える前のこと」

ヨハネ「ええ、もちろん。私のきおk……覚えてる限りのことを聞いて確認したもの」

ヨハネ(念入りに確認されたもの……)

曜「なるほどねー」

千歌「じゃあねじゃあね、今度みんなで遊びに行こうよ! 10人で!」

ヨハネ「……いいの?」

千歌「え、なんでダメなの? ヨハネちゃんもAqoursの仲間だよ! ね、みんな?」

ルビィ「うんうん!」

梨子「そうだね……っていうか、消える消えないのときにその話はしたと思うけど……」

千歌「あれ~? そだっけ?」

曜「忘れたの千歌ちゃん……」

花丸「まるも、それはとってもいい案だと思うずら。ね、善子……ちゃん?」

ヨハネ「……ありがとう」

ヨハネ「ヨハネにも伝えておくわ!」
29: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:41:42.33 ID:6WMZ26n5
~学校、トイレの前~


花丸「みんなにトイレに行くって抜けてきたのはいいんだけど……」

花丸「それで、善子ちゃんは?」

ヨハネ「……えっと、私がヨハネだってことは」

花丸「ひとめで分かるずら」

ヨハネ「よね……」

花丸「まるには、昔からちょっと不思議なものが見えるのです、えへん」

ヨハネ「あなた、お寺生まれだものね……寺生まれは何か不思議な力を持っててもおかしくないわよね……」

花丸「それで、善子ちゃんだよっ!ヨハネちゃん!」

ヨハネ「えっと、たいした理由はないのよ? ゲームして負けたから、学校に来ることになっただけで」

花丸「……というと、罰ゲームってこと? 学校が?」

ヨハネ「……まあ、そういうこと。負けた方が学校に行くってやつね」
30: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:42:30.47 ID:6WMZ26n5
花丸「善子ちゃん……そんなに学校に来るのが嫌だったの?」

ヨハネ「別にそんなわけないんじゃない? 花丸からはそんな風に見えた?」

花丸「見えなかったから悲しいずら~……」

ヨハネ「ま、誰にだって行きたくない日くらいあるでしょうけど……」

ヨハネ「別に、あの子が嫌になったわけじゃないと思うわよ?」

花丸「ヨハネちゃん……」

ヨハネ「だって私はあの子で、あの子も私なんだから」

ヨハネ「考えが違うなんてこと、絶対にないわ」

ヨハネ「だから花丸、お願い。今日は私を善子として扱ってくれる? あの子には明日からちゃんと学校に行かせるから」

花丸「……うん、わかったよ。善子ちゃん」

ヨハネ「ありがと、花丸」
31: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:43:30.57 ID:6WMZ26n5
花丸「……ヨハネちゃんはすぐにありがとうとごめんなさいが言える素直な子だけど、善子ちゃんは全然言わないからなぁ……」

ヨハネ「恥ずかしがり屋なだけよ。私だって、自分が分身だって自覚がなかったら多分言わないわよ?」

花丸「どうして?」

ヨハネ「人のふり見て我がふり直せ……ってわけじゃないけど、私は善子を幸せにしてあげたい」

ヨハネ「だったら、素直になれない善子を受け止めてあげられて、さらにあの子の分も素直になろうって思ったのよ」

花丸「ヨハネちゃんはいい子ずら」

ヨハネ「善子と同じ性格だって言ったでしょ? あの子だって素直になればこんな感じよ」

花丸「想像もつかない……」

ヨハネ「ええー……」

花丸「冗談ずら。ふふ、はやく練習いこっ!」

ヨハネ「えー……まあ、いいけど。ちょっと待ちなさいよー」


~その頃の善子~

善子「……あいつちゃんと学校行ってるのかしら」

善子「誰かにバレたりしてない……わよね?」


ヨハネのことが気になっていた
32: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:46:03.28 ID:6WMZ26n5
~屋上~


ダイヤ「どうしたんですの?善子さん」

ヨハネ「いやあ、ええと……」※正座

ダイヤ「昨日練習したステップですよ? なぜ全て忘れてるんですか!」

ヨハネ「はい……」

ヨハネ(だってそんなの一言も聞いてないんだもの! いつもは練習見てるけど昨日はたまたま見てなかったし!)

ダイヤ「はい……ではなくて!」

果南「ラブライブまで気が抜けないんだから、しっかりしてよー?」

ヨハネ「すみません……」

ヨハネ(善子のやつ、帰ったらひん剥いてやるからね……)

ダイヤ「まったく……ヨハネさんが戻ってきて嬉しいのは分かりますが、こっちにも気合を入れていただかないと」

ヨハネ「気をつけます……」

ヨハネ(……私の知らない善子の気持ちを聞かされるの照れるんだけど)

果南「よし、じゃあまた最初から教えるから、ちゃんと覚えるんだよ?」

ヨハネ「ありがとう果南センパイ……生徒会長も、ごめんなさい」

果南「……!?」

ダイヤ「……!!」

ヨハネ「えっ……なに?」
33: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:47:15.66 ID:6WMZ26n5
果南「い、いや……善子が私に、ありがとうって……?」

ダイヤ「ごめんなさいまで……!」

ヨハネ「私そんな言わない!?」

果南「うん、言わない」

ダイヤ「夢でも見ているのかしら……」

果南「ね……」

ヨハネ「」

果南「でも、善子、そのありがとうっていう顔、とっても可愛いからいっぱい言ったほうがいいよ」

ヨハネ「えっ……///」

ダイヤ「やはり礼節はきちんとすべきですからね。ほら、善子さん、わたくしにも」

ヨハネ「……ありがとうダイヤ?」

ダイヤ「……///」キュン

ヨハネ「……」

ヨハネ(善子、あなた普段どんな態度なのよ……)

ヨハネ(いや分かれる前の私か……あ、そういえばそんなだったかも)
34: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:48:19.81 ID:6WMZ26n5
~教室~


教師「私は思うんですよ。であるからして、なんていう教師なんていないって」

教師「でも漫画とかドラマだと、必ず言うでしょ? であるからして」

教師「だから私もちょっと使ってみようと思います」

教師「であるからして、問3は公式2を使って……」

ヨハネ「……」カリカリ

ヨハネ「……」

ヨハネ(数学……前はあんなに嫌いだったのに今はなんか楽しく授業受けられてるな……)

ヨハネ(……結構学校って楽しかったんだ。毎日来てるとわからないけど、しばらく離れると……やっぱり来たくなるものなのね)

ヨハネ(……でも暇)


教師「そういえば昨日、彼女とデートしたんですよ! で、私も彼女も両方女なんですけど~」


ヨハネ(先生脱線多いし……)
35: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:49:15.89 ID:6WMZ26n5
ヨハネ『花丸』

花丸「!」

ヨハネ『念じるだけで会話できるわ。おはなししない?』

花丸『念じる……こ、こう?聞こえてる?』

ヨハネ『聞こえてる聞こえてる。ねえ、暇でしょ?』

花丸『授業中だよ……』

ヨハネ『だって先生、脱線多いし』

花丸『でも、まる、まだ問3が解けてないし……』

ヨハネ『問3は公式2を使って、図2のやり方で解けばすぐよ』

花丸『ほんと? これをこうして、こうで……んー……』

花丸『あ、解けたずら~!』

ヨハネ『ね!』

花丸『ありがとずら~』

ヨハネ『じゃあ雑談タイムね』

ヨハネ『昨日、いいお月様だったでしょう? それで善子と夜空のデートに行ったんだけど~……』
36: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:49:42.92 ID:6WMZ26n5
・・・


キーンコーンカーンコーン


ルビィ「おひるだよ~!」

花丸「ずら~」

ヨハネ「はー……」

ルビィ「善子ちゃん今日珍しいね!寝てないなんて」

ヨハネ「ま、まあ……たまにはね」

ルビィ「ふーん?」

ヨハネ「それより、お昼でしょ? 2人はお弁当?」

るびまる『うん!』

ヨハネ「じゃあ私、購買に走ってくるわ」

ルビィ「あれ、朝買って来なかったんだ」

ヨハネ「買ってたら朝ごはん、リリーに買ってもらったりしてないわよ」

ルビィ「それもそっか」

花丸「待ってるずら」

ヨハネ「いいわよ、先に食べてて」タッ
37: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:50:57.14 ID:6WMZ26n5
~購買兼食堂~


鞠莉「あら」

ヨハネ「マリー?」

鞠莉「ハァイ♪ こんなところで会うなんて奇遇ね善子?」

ヨハネ「何してるの?」

鞠莉「学校の食堂の味を知っておくのも理事長のお仕事でしょ?」

ヨハネ「……そうなの?」

鞠莉「そうなの! lunchを用意してないってわけじゃなくって」

ヨハネ「ふうん、ないんだ」

鞠莉「そういうヨハネこそじゃないの?」

ヨハネ「まあね。購買で済ますなら、私たちと一緒に食べる?」

鞠莉「私たち?」

ヨハネ「ルビィと花丸」

鞠莉「んー……せっかくの可愛いsisterのお誘いだし、お受けしちゃおうかしら♪」

ヨハネ「じゃあ急いで買って行きましょ? あの子たちも待ってるし」

鞠莉「OK♪」
38: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:51:27.93 ID:6WMZ26n5
~1年の教室~


鞠莉「ま~る~! るびぃ~!」

るびまる『!?』

ルビィ「な、なんで鞠莉さんが……?」

鞠莉「ひとりは寂しかったから来ちゃった☆」

ヨハネ「捨てられた子犬みたいな顔してたから拾ったの」

鞠莉「ちょっとヨハネ、マリーはそんな顔してないんだケド?」

ヨハネ「似たような感じでしょ」

鞠莉「ふっふっふ……そんなこというヨハネは~」ガバッ

鞠莉「えいっ!」モニュ

ヨハネ「んひゃっ!?///」

るびまる『!!』
39: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:52:15.79 ID:6WMZ26n5
鞠莉「あれぇ~? ヨハネ、ちょっと大きくなったでしょ~」ムニッムニュッ♡

ヨハネ「ちょ、ちょっ……な、にしてんのよお~!」

鞠莉「……善子のおサボり、黙っててあげるから♡」ボソッ

ヨハネ「!」ビクッ

鞠莉「そうでしょう?my sister♡」

ヨハネ「……」

鞠莉「はいっ」パッ

鞠莉「それじゃ、ご飯にしましょ♡」

ルビィ「鞠莉さん、教室でそれは大胆です……」

花丸「びっくりしちゃったずら……」

鞠莉「そう? ふたりもやってあげよっか」

るびまる『!!』ブンブン

ヨハネ「……」

ヨハネ(終わったわ善子……)


~その頃の善子~


善子「あーーもーー……なんの連絡もないとか心配するじゃないの!」

善子「ヨハネのやつ、ちゃんとしてるのかしら……?」

善子「……ぐぬぬ」


めちゃくちゃ不安になっていた
40: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:53:44.78 ID:6WMZ26n5
~教室~


花丸「今日はあったかいねぇルビィちゃん」

ルビィ「そうだねぇ……」

鞠莉「教室でlunchなんて、2年ぶりデスネ……」

ヨハネ「マリーは……理事長になってから授業は受けてないの?」

鞠莉「受けてないよ? 留学で高校生で習う範囲は終わってるし」

ヨハネ「大学は……?」

鞠莉「それは内緒」

ヨハネ「ええ……」

ルビィ「鞠莉さんしゅごい……」

花丸「ま、まるに数学を……」

鞠莉「いいわよ~! どんな教科もマリーにお任せ!」

ルビィ「ほんと!?」

鞠莉「of course! ルビィは何が苦手なの?」

ルビィ「……ぜんぶ?」

鞠莉「あら、それは腕が鳴りそう」
41: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:55:03.62 ID:6WMZ26n5
鞠莉「で、ヨハネはどうなの?」

ヨハネ「え、私?」

鞠莉「うん」

ヨハネ「私は……」

ヨハネ(いや、善子か……善子は……)

ヨハネ「……ルビィと同じかしら?」

鞠莉「ほんとに? 英語とか、国語も?」

ヨハネ「国語と英語が少しマシなくらいね。かっこいい漢字とか言葉の言い回しは、いっぱい調べてるから。それだけは強いと思うわ」

鞠莉「じゃあ理系科目をメインね! まるも理系科目でしょ?」

花丸「はい」

鞠莉「OK♪ ルビィは一緒にやりながら得意と苦手を見つけていきましょ!」

ルビィ「おねがいしますぅ~……」

鞠莉「といっても、マリーが見るって言ったらダイヤが怒りそうだけど」

ルビィ「お姉ちゃん、お勉強見てくれるけど怖いから……」

鞠莉「ふふ、じゃあマリーと一緒にやろうね」

ルビィ「おねがいします!」

鞠莉「やだ~! sisterが4人増えちゃった♡」

花丸「4人?」

鞠莉「まる、ルビィ、善子の3人と、前から sisterのヨハネよ♡」

ルビィ「じゃあルビィも、鞠莉さんのことお姉ちゃんって呼ばなきゃ……」

鞠莉「いっぱい呼んで♡」

ルビィ「お姉ちゃん!」

鞠莉「もっともっと!」

ルビィ「おねえちゃーん!」
42: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:56:32.07 ID:6WMZ26n5
~3年の教室~


ダイヤ「……もぐ?」

果南「どうしたの?」

ダイヤ「……ごくん」

ダイヤ「今、ルビィに呼ばれたような……」

果南「1年の教室とどれだけ離れてると思ってんのさ……」

ダイヤ「で、ですよね……お、おほほほ」

果南「ところでダイヤ」

ダイヤ「なんです?」

果南「今日の善子、変じゃない?」

ダイヤ「……いつものことでは?」

果南「そうじゃなくて、様子っていうか……昨日と別人っていうか」

ダイヤ「たしかに……昨日のステップを全く知らない様子だったり、名前の訂正がいつもより多めだったような」

果南「……まさかヨハネが入れ替わったりしてないよね」

ダイヤ「まさか! ……まさか」

果南「ないよね、うん」

ダイヤ「そ、そうですわ! どちらにしたって善子さんですし!」

果南「……」

ダイヤ「……」

果南「お説教かなん?」

ダイヤ「ですわね」

果南「あんま怒んないであげてよ? まだ決まってないし、もしそうだとしても……なんか理由があるのかもしれないし」

ダイヤ「納得いく理由であれば、認めて差し上げます。よほど納得できる内容であれば、ですが」

ダイヤ「ただし、サボる代わりに行かせたなどと言い出したらダイカイガンですわ」

果南「オオメダマね」
43: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:57:09.87 ID:6WMZ26n5
~その頃の善子~


シャーッ

善子「ふう、ふう、ふう……」

善子「なんでこの時間バスないのよー!」


自転車で学校に向かっていた
44: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:57:58.06 ID:6WMZ26n5
~放課後~


ヨハネ「おわった~……っ!」٩(*´꒳`*)۶

ルビィ「放課後の練習!」

花丸「ずら~」

ヨハネ「さ、部活よ部活!」

ルビィ「善子ちゃん今日は元気だね~」

ヨハネ「そう? なんだか久しぶりに学校来たら楽しくて」

ルビィ「久しぶりに……? 昨日も来てたよね?」

ヨハネ「あ、なんでもない。なんでも」

ルビィ「う、うん?」

花丸『失言ずら』

ヨハネ『わかってるぅ……』

ヨハネ「ま、まあまあ……とりあえず部室行きましょ? 私、飲み物買っていくから先行ってていいわよ」

るびまる『はーい』

ヨハネ「……さてと」
45: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/27(火) 23:58:36.32 ID:6WMZ26n5
~校門前~


善子「うえぇ……やっと、やっとついた……」

善子「やまみち、きつすぎでしょ……」フラフラ

「大丈夫?」

善子「むりぃ……」

「仕方ないわねえ……ほら、こっちよ」グイッ

善子「あぅ」ポフ

善子「……ん?」

ヨハネ「いらっしゃい」ナデナデ

善子「! よ、ヨハネ!」バッ

ヨハネ「ほら、喉乾いたでしょ。お茶飲む?」

善子「……飲む」
46: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:00:33.60 ID:mM9sqOUe
・・・


ゴッキュゴッキュ

善子「ぷはぁ……生き返った……」

ヨハネ「もしかしてアレできたの?」


自転車←アレ


善子「……それ以外ないでしょ」

善子「それより、ヨハネこそなんで?」

ヨハネ「善子が居るところくらい分かるわよ。私はあなただもの」

善子「……へー」

ヨハネ「で、普通に自分で朝から来たほうが疲れなかったんじゃないの?」

善子「ん……1人で家にいたらあんたが心配で不安で仕方ないわもう」

ヨハネ「あら、私の心配? 嬉しい」

善子「違うから! あんたが変なことしてないかとか、みんなにバレてないかとかよ!」

ヨハネ「えー……?」

善子「で、どうなの? バレてない?」

ヨハネ「んー……」

ヨハネ「花丸とマリーにバレた」

善子「なんで!?」

ヨハネ「朝あったら見抜かれたわ。マリーも多分最初から」

善子「うそでしょ……あのふたりどうなってんよ……」

ヨハネ「花丸は寺生まれだし、マリーは本当に人をよく見てるし」

善子「うぐぐ……怒られる……」

ヨハネ「ま、ズルはしない方がいいってことね」
47: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:01:01.09 ID:mM9sqOUe
善子「……うぅ、怒られる……」

ヨハネ「ちょ、ちょっと……なんで泣きそうになってるのよ……」

善子「だってぇ~……!」

ヨハネ「もー……」ナデナデ

ヨハネ「ほら、元気出しなさいよ。部活行かないとそれこそ怒られちゃうし」

善子「……わかったわ」

ヨハネ「どうする? 部活だけ自分で出る?」

善子「ん……」

善子「今日、楽しかった?」

ヨハネ「楽しかったわよ?」

善子「じゃあ、あんたが出たらいい」

ヨハネ「そう?」

善子「だから、私だけ先に屋上に送り届けて……」

ヨハネ「はいはい……♪」
48: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:01:40.49 ID:mM9sqOUe
~屋上~


善子「ヨハネ、見参!」

ルビィ「ヨハネ様!」

善子「ルビィ!」

ダイヤ「あら、来たのですか」

善子「待たせたかしら、この私の登場を……!」

ダイヤ「うふふ、朝から大変でしたよ? 昨日のステップを忘れていると来たのですからねぇ……ヨハネさん?」

善子「そ、そうなんだ……」

善子(記憶共有しとくんだった……っ)

ダイヤ「ふふふふ」

善子「……」

ダイヤ「あなた善子さんでしょう?」

善子「ひぃっ!? な、なななななんでそうなるのぉ!?」

ルビィ「えっ……ヨハネ様、善子ちゃんなの……?」
49: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:02:13.36 ID:mM9sqOUe
ダイヤ「わかっているんです! さあ白状なさーい!」

善子「ち、違うわよー! ヨハネだもん!」ダッ

ダイヤ「こら、なぜ逃げてるんですか~!」ダッ

善子「たすけてー!」

ダイヤ「こらあ!善子さん!」

ルビィ「善子ちゃんどういうことなの~!」

花丸「結局バレてるずら」

ヨハネ「来なきゃよかったのにね」

花丸「でも、ヨハネちゃんのこと心配してたんでしょ?」

ヨハネ「ん……そうみたいね。なんかむず痒いわ」

花丸「ふふふ、仲良しさんずら」

ヨハネ「当たり前でしょ? 私と善子なんだから」

花丸「いいな~? まるも仲良しの姉妹が欲しかったです」

ヨハネ「ふふ、善子はあげないわよ?」

花丸「善子ちゃんは別に結構です」

ヨハネ「……あそう」
50: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:03:13.96 ID:mM9sqOUe
千歌「おっはよー……お! ダイヤさんと善子ちゃん……じゃなくてヨハネちゃんかな?! 鬼ごっこしてるの? チカも混ぜてー!」

曜「千歌ちゃん!?」

梨子「たまにほんとに子供みたいになるよね……みんな」

果南「いいんじゃない? 私たちっぽくて」

鞠莉「そうそう! みんな揃ってるし♪」

鞠莉「ほら、善子! とろとろ走ってたらダイヤに捕まっちゃうよー♪」

善子「だ、だからヨハネよ~……」フラフラ

ダイヤ「お、おまちなさあ~い……」フラフラ

ルビィ「ぴぃ、ぴぃ……」グッタリ

千歌「え、もう疲れてるの!? はやいよー!」

果南「……あの3人体力なさすぎない? 今週は体力作りメインにしたほうがいいかな」

曜「じゃあみんなで持久走しようよ! 沼津までマラソン!」

梨子「曜ちゃん、それみんな死んじゃうよ……」

曜「えー? そうかなぁ……」
51: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:03:51.11 ID:mM9sqOUe
ヨハネ「……ふふ」

果南「ん、どうしたの?」

ヨハネ「ううん……楽しいな、と思って」

梨子「たのしい?」

ヨハネ「うん、とっても楽しい」

梨子「……ふふ」

曜「そっか!」

ヨハネ「よしこー!」

善子「善子言うなー!」ビシッ

ヨハネ「ありがとー!」

善子「えっ」

ヨハネ「ふふん」

善子「……」

善子「ま、まあ……別に……これくらい、どうってこと……」


ガシッ


善子「……!!」

ダイヤ「吐きましたわね…………善子さん…………」

善子「ぴっ……ぴぎゃぁああぁあああ!!!!!!」
52: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:04:26.32 ID:mM9sqOUe
~かえりみち~


シャーッ

善子「……めっちゃ怒られたわ」

ヨハネ「面白かったわよ?」

↑二人乗り

善子「もう学校をネタに罰ゲームはしません……」

ヨハネ「あらあら、すっかり弱気になっちゃって」

善子「うるさいわい……」

ヨハネ「でも、私は楽しかったわよ?」

善子「……」

ヨハネ「久しぶりに学校に行って、みんなと授業受けて、お昼食べて、部活して」

ヨハネ「とっても楽しかったわ」

善子「……そう」

ヨハネ「花丸、心配してたわよ? 学校嫌になっちゃったのか、って」

ヨハネ「ぜーんぜんそんなことないのにね?」

善子「わ、わかったようなこと言わないで」

ヨハネ「分かるわよ。だって私はあなただもの」

善子「……ふん」
53: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:05:38.18 ID:mM9sqOUe
ヨハネ「明日も学校行っていい?」

善子「え、あんたも授業受ける気?」

ヨハネ「もちろん」

善子「……まあいいけど」

ヨハネ「明日もバスで行きましょうよ」

善子「えー……ばすぅ?」

ヨハネ「いいじゃない、みんなとおしゃべりしながら行きましょ?」

善子「……あんたなんか楽しいことでもあったの?今日」

ヨハネ「ええ、とっても! 今日の全てが」

ヨハネ「バス停で曜とおしゃべりして、リリーに朝ごはん買ってきてもらって、みんなと喋りながら登校して」

ヨハネ「一緒に勉強して、お昼食べて、ダンスして」

ヨハネ「今日の全てがとっても楽しかったわ!」

善子「……ふーん」

善子「……そっか」
54: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:06:07.88 ID:mM9sqOUe
ヨハネ「そんな寂しそうな顔しないで」ギュウッ

善子「ちょ、抱きつくなっ!?///」

ヨハネ「ね、一緒に」

善子「っ……わかった、一緒にバスね」

ヨハネ「やった♡」

善子「っていうか、あんた、いま曜センパイのこと名前で呼ばなかった?」

ヨハネ「そうよ? 朝ね、おにぎりを恵んでもらったの。そんなことされたらもう名前で呼ぶじゃない」

善子「……そう?」

ヨハネ「そうなの! だから明日、あなたも曜って呼んであげるのよ?」

善子「えー……」

ヨハネ「いーいーかーら!」ユサユサユサユサ

善子「ああもう揺らすな揺らすなー!」


シャーッ…
55: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/11/28(水) 00:07:22.28 ID:mM9sqOUe
~翌朝~


曜「おはよーそろー! 今日はふたりともお揃いだね!」

ヨハネ「おはよ、曜」

曜「……ヨハネちゃん?」

ヨハネ「そう、我が名はヨハネ! 魔の力を宿す漆黒の堕天使!」ギラン

善子「……」

曜「あはは、エンジン全開だね! 善子ちゃんもおはよ!」

善子「あ、……お、おはよ」

ヨハネ「ほら、善子」ツンツン

善子「う、うるさいわね……///」

曜「?」

善子「……ん、んん」

善子「お……お、おは……よ、曜」

曜「!」

曜「善子ちゃんが名前で呼んでくれたー!」ギュウッ

善子「うわ、ちょっ!?」

曜「やったー! 曜センパイからの卒業だねー!」

善子「ちょ、っこら……重たい! 抱きつくな、こらっ!///」

曜「嫌であります! 今日はもう善子ちゃん離さないぞ~!」ムギュースリスリ

善子「も、もおー!」

ヨハネ「……ふふ」

ヨハネ「ちょつと、私も仲間に入れなさいよ!」ガバッ

善子「なんであんたまで!!?」

曜「よーし! 今日はふたりとも離さないぞ~!」

善子「ぎゃー!」

ヨハネ「あははははっ!」


#1 ヨハネと学校 完
92: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:38:00.48 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「海!」1カメ

ヨハネ「海!!」2カメ

ヨハネ「海!!!」3カメ

ヨハネ「海ーー!!」4カメ

善子「……」

果南「いらっしゃい、ふたりとも」

善子「……おはよ、センパイ」

果南「また朝から眠たそうだねー」

善子「いちおうエナドリ飲んできてるけどね……昨日、夜中までゲームのイベントで本気出しちゃって」

果南「なにしてんのさ……朝早いよって言ってたのに。楽しみで眠れなかった?」

善子「そういうわけじゃないけど」

果南「でもあっちはすっごく楽しみにしてたっぽいけど」

ヨハネ「善子善子!海、海!」ブンブン

善子「はいはい……」ヒラヒラ
93: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:38:38.84 ID:G+H1hkrF
果南「……ヨハネって善子なんでしょ?」

善子「そうよ」

果南「海ってそんな珍しい?」

善子「そんなわけないじゃない……多分あれよ。ヨハネがヨハネとして私から分裂してから、初めて来る海……ってことじゃないのかしら」

果南「でも学校行くとき毎日見てない?」

善子「見るんじゃなくて、来るの」

善子「……まあ、私、結構海好きだし」

果南「ふうん……じゃあ今のそのさっぱりした態度は私の前だから恥ずかしがってるってわけだ」

善子「ち、違うけど!?」

果南「あはは、善子って気難しいと思ってたけど、ヨハネのおかげで分かりやすくなったよ」ナデナデ

善子「な、撫でないで!」パシッ

果南「およ、怒らせちゃった」

善子「別に怒ってもないわよ!」

果南「あはは、そっか~」
94: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:39:00.57 ID:G+H1hkrF
善子「そんなことより、バイト、どうしたらいいの?」

果南「ん、ダイビングに来たお客さんの相手だよ。善子とヨハネはライセンスないから、店で雑用って感じかな」

善子「雑用…………」

善子「……筋肉がいるやつじゃ」

果南「もちろん!」d('∀'*)

善子「ひぇぇ……」サアァァ※青ざめる音

果南「大丈夫大丈夫! ちょっと重たいボンベをいっぱい運ぶくらいだから!」

善子「もうなんか気が遠くなりそう……」

果南「へーきへーき! 明日は千歌と曜も来てくれるから!」

善子「……がんばります」
95: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:40:48.68 ID:G+H1hkrF
~3日前~


善子「え、日雇いのバイト!?」

果南「そう! 善子、週末の連休空いてないかな……」

善子「べ、別に用はないけど……でも、バイトって……?」

果南「うちのショップの手伝い! 連休で団体のお客さんが来てて……」

果南「私とおじいの2人だけじゃ手が回んないんだよ~……」

善子「それって、私よりマリーやダイヤのほうがいいんじゃ……?」

果南「全員に声かけてるんだけど、梨子と鞠莉とダイヤたちとマルにはもうダメって言われちゃって……」

果南「千歌と曜は2日目3日目は来てくれるからいいんだけど、あとふたり! 善子とヨハネに来てほしいの!」

果南「本当にお願い! ね、給料は弾むしご飯も出すから~!」

善子「わ……わかったからそんな顔しないで……」

果南「ほんと!? ほんとに!」ギュウッ

善子「ほ、ほんとだからそんな強く手を握らないで……」

果南「ありがとう!」

善子「~~っ……」

善子(あんな風に頼まれると、弱い……)
96: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:41:49.86 ID:G+H1hkrF
~現在~


果南「じゃ、こっちだよ」

善子「うわ……これ全部酸素ボンベ?」

果南「そだよ。ああ、でも呼び方は注意ね。酸素ボンベだけど、タンクって呼んでるから」

ヨハネ「分かるけど、どうしてボンベじゃダメなの?」

果南「なんか爆弾の意味のボムに聞こえるからってのと、実際に中に入ってるのが酸素じゃないから……かな」

善子「酸素じゃないの?」

果南「酸素じゃなくて、普通の空気をすっっっっっごく圧縮して入れてるんだよ」

善子「へえ……酸素じゃなくて、空気」

果南「そ! ダイビングするには酸素だけより、普通の空気のほうがいいんだってさ。だから酸素ボンベじゃなくて、タンク」

ヨハネ「なるほど……」

果南「わかったかな? えっと、こっちがお客さんが使った後のやつで、向こうが使用前」

果南「お客さんが使った後に回収したタンクはとりあえずここに置いといて、後でまとめてあっちの機械で空気を入れるの」

果南「んで、入れ終わったらこっちに移動って感じ」

ヨハネ「ふんふん」

善子「ウェットスーツも貸してるの?」

果南「そりゃもちろんだよ。それは向こうの部屋で……」
97: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:42:25.54 ID:G+H1hkrF
・・・


果南「とりあえずそんな感じかな」

善子「説明だけでくたびれたわ……」

果南「あはは、覚えること多いからね。ま、無理しないでゆっくりやってよ」

ヨハネ「それより善子が憂鬱なのは筋肉の問題でしょ?」

善子「そう、それ!」

果南「えー……そんなにかなあ」

善子「だってセンパイの筋肉って、ここ手伝ってて鍛えられたんでしょ?」

果南「うん」

善子「私そんな筋肉ないわよ!」

果南「大丈夫だって~」

ヨハネ「不安になりすぎよ善子」

善子「あ、あんただって筋肉ないでしょ!」

ヨハネ「ふ、バカね善子」

善子「え……?」

ヨハネ「この私、堕天使ヨハネには必殺の魔法があるのよ!」

善子「……!」

果南「?」

ヨハネ「魔力を使えば筋力、膂力を底上げできるのよ!」

善子「ぐぬぬぬ……」

果南「……どゆこと?」

ヨハネ「初歩的な魔法のひとつよ。身体の一部分に魔力を集中させることで、簡易的な筋力増強ができるの」

ヨハネ「速く走ったり、重いものを持ち上げたりね」

果南「……ドラゴンボールでいうと?」

ヨハネ「ギニューと戦う時にやった殴る瞬間だけ戦闘力をあげる……みたいな?」

善子「ちょっと違うでしょそれ……」

果南「うーん、よく分かんないけどなんとかなるならいいよ! 3日間よろしくね、善子、ヨハネ!」

よしヨハ『はーい』
98: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:43:14.11 ID:G+H1hkrF
・・・


果南「善子、タンク!」

善子「は、はい!」グッ

善子「ふ、ぬっ……ぐぐぐぐ……」ギギギギ…

善子「っは……全然持ち上がんない……」

ヨハネ「そっち貸して貸して」ヒョイ

善子「なんであんただけ……」

ヨハネ「魔法ってべーんり♪」

善子「ぐぬぬ……」

善子(やっぱり私に魔法は使えないのかしら……)

ヨハネ「果南センパイ、タンクもってきたわ」

果南「ありがと、そこ置いといて。善子は……そだな、スーツ貸出の方に回ったほうがいいかな! 待ってもらってるお客さんいるから!」

善子「は……はーい!」タッタッ

善子(なんでこんな忙しいのよダイビングショップ~!)

善子「あ、ああえっと……お、お待たせしました! こっちで採寸しますので並んで……」

善子「……はい、それではMサイズの貸し出しになりますので、かけてあるものを取って更衣室へお願いいたします」

善子「次のお客様ー!」

善子(10人1組を果南センパイと、そのおじいちゃんで2組ずつ担当って……)

善子(ダイビングってこんな感じなの……?)

果南「タンク2個おねがーい!」

ヨハネ「ただいまー!」セッセッ

善子(あいつも走り回ってるわね……)

善子(私も負けてられない……)

善子「クックック、少女よ。我に採寸されること喜ぶがいい……」

「は、はあ……?」

果南「そこ、普通にやる」

善子「測りますので動かないでくださいねー」ジャッ
99: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:43:50.34 ID:G+H1hkrF
・・・


善子「はあ……午前の部、終了……」

ヨハネ「きっつ……そりゃ2人じゃ足りないわよね……」

善子「果南センパイとおじいちゃんはそれぞれ大型の船でダイビングポイントまで行ったけど……」

ヨハネ「その間に私たちは店の片付けね。タンクに空気を詰めるのは許可がどうとかで私たちにはできないし」

善子「私たちあんまり要らないんじゃ……」

ヨハネ「そんなこと言わないの。一気に20人も来られたら、センパイとおじいちゃんだけじゃ、てんてこ舞いだわ」

善子「……まあそうだけどね」

ヨハネ「ほら、あと30分もしたら帰ってくるんだから片付けするわよ! 次のお客さんも来ることだしね」

善子「そうね……よし、やりましょうか」

ヨハネ「えーっと、次のお客さんはライセンス講習だっけ?」

善子「だったっけ……今日と明日の講習で取れるんだって。意外と簡単なのねダイビングのライセンス」

ヨハネ「さあ、どうなのかしら。実際やってる側はめちゃくちゃ辛いかもよ?」

善子「……ありえるわね」

ヨハネ「って、やばいやばい! のんびりしてられないわよ善子!」

善子「わ、わかってる!」
100: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:44:38.98 ID:G+H1hkrF
~16:00~


果南「それでは本日はおしまいです! ありがとうございましたー!」

『ありがとうございました~』


・・・


善子「つかれた……暑い……」グッタリ

ヨハネ「おなかすいた……暑い……服脱ぎたい……」グデーン

善子「ぜったいやめろ……」

果南「おつかれ~」

善子「なんでセンパイそんな涼しい顔なのよ……」

果南「んー? 海に入ってたから?」

善子「そうじゃなくてぇ……」

ヨハネ「全然疲れを感じさせないわね……」

果南「ああ……ふふふ。私はもう慣れっこだからさ」

果南「とりあえず今日のお客さんはさっきの人たちでおしまいだから、あとはもう片付けして明日の準備で終わりだよ」

ヨハネ「え……でもまだ営業時間でしょ?」

果南「ダイビングの道具の販売はしてるけど、潜るのはおしまい。そろそろ陽も沈むし、波も高くなるからね」

善子「そうなの?」

果南「2人くらいなら見れるけど、10人以上になると流石にね」

善子「ナルホド…………って!」

善子「そういえば今日私たち休憩なかったんだけど!?」

ヨハネ「そーいえば……」

果南「うん……それは、本当にごめん! 初日から休憩なしで働かせちゃって……」

ヨハネ「でもまだ営業終了じゃないし、まだ大丈夫でしょ」

善子「……まあそうだけど」

果南「あはは、ありがとヨハネ」
101: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:45:05.80 ID:G+H1hkrF
果南「今日はみんな働きっぱなしだったし、休憩がてら、今からご飯作るってことでなんとか……なんない?」

ヨハネ「ごはん……! なに!」

果南「私特製のわかめうどん。千歌と曜も好きなんだ」

善子「ふーん……」

果南「……気に入らない?」

善子「……ううん、たべたい」

果南「ほんと? よかった~!」

果南「じゃあすぐ作ってくるから待っててよ!」パタパタパタ

ヨハネ「わかめうどんだって」

善子「そーね」

ヨハネ「もうほとんど夕方ね」

善子「そうね」

ヨハネ「ちょっと楽しかったわね」

善子「……そう? 私は別に」

ヨハネ「ふふ、嘘ばっかり」

善子「……うっさい」

ヨハネ「ねえ、ちょっと海見よ」

善子「えー……私もう動きたくない……」

ヨハネ「じゃあ抱っこしてあげましょうか? おんぶでもいいけれど」

善子「……されるくらいなら自分で行くわよ」

ヨハネ「ふふ、じゃあ行こ!」グイッ

善子「ああもう引っ張らないでよ……行くから、行くから……」
102: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:47:22.11 ID:G+H1hkrF
~デッキ~


ヨハネ「わぁ……だいぶ陽が沈んでるわね」

善子「そうね」

ヨハネ「夕陽が沈む海って……とっても綺麗。私、この景色好きよ」

善子「……私も、まあ、嫌いじゃないわ」

ヨハネ「沖の方まで行けば、もっと綺麗な景色になるのかしら」

善子「まあ……余計なブイとか旗は無くなって見栄えは良くなると思うけど」

ヨハネ「……そうね」

善子「……」

ヨハネ「にしても、よくあなたが果南センパイの頼みを受けたわね。一番面倒くさがりそうなお願いなのに」

善子「それは……でも、断る理由ないじゃない。果南センパイにはいつも助けてもらってるし、優しくしてくれてるし」

善子「力になれるなら……なりたいし、あそこまで必死に頼まれたら断れないし……」

ヨハネ「なんだ、善子、結構果南センパイのこと好きなんだ」

善子「……き、嫌いならここまで来てないでしょ」

善子「Aqoursのみんなは……みんな好きだし。そりゃ果南センパイだって、好きに決まってるじゃない」

ヨハネ「ふーん……妬けちゃうわね」

善子「なっ……///」

ヨハネ「ふふ、なんてね」
104: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:50:40.91 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「……そういうことみたいよ、果南センパイ?」クルッ

善子「……」

善子「えっ!?」バッ

果南「いやあ……あはは、なんかムズムズしちゃうね!」

善子「き、聞いてたの!?///」

果南「うどん出来たよって呼ぼうと思ったら……なんか、喋ってたから声かけづらくて」

善子「うぐ……ヨハネ、あんた気づいてたわね……!!」

ヨハネ「もちろん♪」

ヨハネ「センパイが真っ赤になって善子の話聞いてるの面白かったわ」

果南「も、もお……人が悪いよヨハネ……///」

善子「ほ、ほんとに最悪! わざわざ言わせたわねあんた!」

ヨハネ「さあ、なんのこと? ヨハネ分かんなーい☆」

善子「マリーの真似してんじゃないわよムカつく……」

ヨハネ「ふふん」

果南「ま、まあほら、とりあえずご飯食べようよ。おにぎりも作ったよ」

ヨハネ「ごっはん!ごっはん!」テテテーッ

善子「あ、ちょっと!」

果南「ふふ、よっぽどお腹空いてたんだね」
105: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:51:50.85 ID:G+H1hkrF
善子「……センパイ、全部聞いてた?」

果南「……まあ、うん」

善子「うぐぐ……」

果南「ふふ、あんな風に思ってくれてたんだね」

善子「……まあ」

果南「普段から私たちってあんまり話したり一緒に過ごしたりしないから、どうかなってちょっと不安だったりしたんだけど」

果南「思い過ごしだったかな!」

善子「それは……ほら、私がこんなだから……自分から話しかけたりしないだけで……」

善子「センパイにステップ見てもらったり、一緒にゲームしたりするの、好きよ私」

善子「だからせっかくの3連休もここで潰すの! わかった!? わかったらもう恥ずかしいからいいわよね!?///」

果南「う、うん……わかった」

善子「じゃあ私もご飯食べるから!」

果南「あ、私も行くよ」

善子「……」

果南「どしたの?」

善子「……たまになら頭撫でてもいいから」

果南「……!」

☆果南特製わかめうどん☆
1.市販の讃岐うどんの麺をいい感じに茹でます。
2.お汁は和風だしのもと。わかめから塩分がよく出るので味付けはいらないよ!by果南
3.あとは獲ってきたわかめをたくさん入れて、一口大に切った鶏肉をお汁と一緒に火を通します。
4.盛り付けて完成!

☆果南お手製おにぎり☆
1.お米を炊きます。
2.具に焼きタラコと鮭フレークを用意します。
3.愛を込めてにぎります。力加減大変なんだよね~ by果南
4.盛り付けて完成!

3人『いただきまーす』
106: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:52:39.21 ID:G+H1hkrF
~浴室~


ザパッ

バシャー…

よしヨハ『はぁあ~…………生き返る~……』

ヨハネ「お風呂さいこう……」

善子「果南センパイの家のお風呂がこんなに大きいなんてね……」

ヨハネ「家族みんなで入りたいっておじいちゃんが作ったんだって」

善子「ふーん……あの全然喋らないおじいちゃんが」

ヨハネ「でもカッコいい感じ」

善子「……まあ」

ヨハネ「暇な日は漁協の人たちと漁の手伝いとかするんだって。センパイがよく干物くれるけど、それで獲った魚使ってるんだってさ」

善子「あんたよく知ってるわね」

ヨハネ「店番の時に喋ったから」

善子「喋ったの!? あの人……」

ヨハネ「面白かったわよ」

善子「……あとで記憶共有しましょ」

ヨハネ「ふふ、はいはい」

『ふたりとも、お湯加減どう?』

よしヨハ『だいぶいい感じ~……』

『よーし、じゃあ』ガチャッ

果南「私も入ろっかな♪」

善子「なーーっ!?」
107: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:53:33.91 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「いらっしゃーい……」ポカポカ

果南「ん、ダメ?」チャプ ザプッ

善子「だ、ダメ……って、いうか……ちょ、見ないで///」ササッ

ヨハネ「……善子、私の後ろに隠れたって無駄でしょ。私とあなた同じなんだから」

善子「自分が直接見られるよりはマシなの!」

ヨハネ「……あそう」

果南「そういえば善子、1年と3年で温泉行った時も出てこなかったっけ」

善子「うぅ……は、肌を見せるのは苦手なのよ!」

ヨハネ「恥ずかしいのよね」

善子「うるさいわね!」

果南「どうして? 真っ白で綺麗だと思うけど……まあ、もう少し焼けたほうが健康的な気はするけど」

善子「焼けたら痛いじゃない……」

ヨハネ「だからわざわざ長袖のローブとかマントとか羽織ってるのよね」

善子「ほんと黙って」

ヨハネ「その点、ヨハネは魔法で日焼けしないように細工できるから全く気にすることはないわ!」o(`・ω´・+o) ドヤァ…!

善子「こいつぅ……」

果南「あはは、羨ましい限りだよ。私も仕事柄よく海に潜るけど、日焼け止めは欠かせないなー」

善子「ん……センパイ、そういうの気にしないタイプだと思ってた」
108: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:54:17.04 ID:G+H1hkrF
果南「スクールアイドルやるまではね、全然気にしてなかったよ」

善子「……なるほど、やっぱり人に見せることは意識してるんだ」

果南「そりゃあねー……色々雑な私だけど、そこだけはちゃんとしないとって思うかな」

ヨハネ「センパイも頑張ってるのね」

果南「あはは、ヨハネだってやるんだからね」ギュウッ

ヨハネ「え、私まで!?」バシャ

善子「あ……盾が奪われた……」

果南「ヨハネもAqoursの一員でしょ」

ヨハネ「……でも、私、舞台には」

果南「どうして? 双子ユニットって面白そうじゃん」

ヨハネ「い、いや……でもAqoursは9人で、私はその外の人間だから……そこに入るわけには……」

果南「善子はどう思う?」

善子「……私は、別に」

果南「別に?」

善子「……一緒にいればいいんじゃないの」

ヨハネ「……」

果南「だってさ?」

ヨハネ「……ぅ」

ヨハネ「か……考えとく」

果南「うん、前向きにね!」

果南「さてと、善子とヨハネ、体洗ってあげるよ~」

善子「い、いらないから! なんでいきなり!」

果南「あれ、千歌と曜なら絶対喜ぶのに……おかしいな」

善子「おかしくないから! というか、あのふたり、いつも洗ってもらってるの!?」

果南「小さい頃からいつもそうしてるよ?」

善子「幼馴染怖い……」
109: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:54:40.64 ID:G+H1hkrF
果南「まあまあ遠慮しないでさ、おいでおいで」

善子「い、いかないってば……///」

ヨハネ「ふぅん……ふふ、それでは私が洗われてあげましょう」

善子「!?」

果南「お、いらっしゃい」シュコシュコ

ヨハネ「言っておきますけれど、ヨハネの身体はとても繊細で神秘的な神より賜りし究極の造形美。あまり手荒な洗い方は」

果南「素手とめちゃくちゃ柔らかいスポンジで使い分けるから安心していいよー」ヌルッ

ヨハネ「ふひゃっ!」チベタイ…

果南「おお、すべすべだ」ヌリュヌリュ

ヨハネ「く、ふっ……く、くすぐったい……っww」ビクッビクッ

果南「本当に綺麗な肌。私とは大違いだな~」ワシャワシャ

ヨハネ「ゃ、そこは……ぁ、だめっ……んっ……///」

善子「ぁ、あわわ……わ、っ……///」

善子「なにしてんのよーーーーー!」

果南「えー!?」ニュルニュル

ヨハネ「ゃら、っあ……んぁ、っ……♡」

善子「あんたもそんな声出さないで!?」

ヨハネ「だ、っ……て、センパイの手が、良すぎて変な声出ちゃ……っ」

善子「センパイ!」

果南「普通に洗ってるだけなんだけどな……」


※普通に洗ってるだけです!
110: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:55:37.76 ID:G+H1hkrF
・・・


果南「はい、目閉じてー」

ヨハネ「んーっ」

バシャーッ

ヨハネ「……んん」ブルブル

ヨハネ「気持ちよかった……センパイ、髪洗う才能あるわ」

果南「あはは、ありがと。喜んでもらえて嬉しいよ」

果南「じゃ、つぎは善子ね」

善子「えぇ……ほんとにやるの……?」

果南「ヨハネはやったよ?」

善子「うー……」

果南「じゃあジャンケンしよ! 善子が勝てば私は何もしないよ」

善子「……サンシャインジャンケンね」

果南「よし!」

かなよし『最初はラブ! サンサンサンシャインでジャンケン……』

善子「ポン!」ヨハネチョキ

果南「ほい」グー

善子「ぁぁぁぁぁぁあぁぁああああ」

ヨハネ「普段からそればっかり出してるからよ」

善子「ハメラレタ……」

果南「はいこっちー」

善子「ぐぬぬぬ……へ、変なことしたらぶん殴るわよ!?」

果南「善子が本気出しても私にあたるかなぁ」シュコシュコ

善子「くっ……」

果南「洗うよー」ワシャワシャ

善子「ぅ、ぅ……ん」

善子(あ、思ってたより良い……)
111: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:56:51.08 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「あら? 善子、あら善子? あらあら善子?」

善子「……なに」

ヨハネ「思ってたより気持ちいい……♡ って顔になってるわよ?」

善子「だまりなさい……!」

果南「ほら、目閉じとかないと痛いよ?」

善子「そっちはそっちで子供扱いしすぎ!!」

果南「妹みたいなもんだし」

ヨハネ「生徒会長の新たな敵ね」

果南「そんなつもりじゃないけど……まあ、せっかく知り合えたならいっぱい仲良くなりたいじゃん?」

果南「私は今まで周りに年下しかいなくて、ずっとお姉ちゃんだったから……こんなやり方でしかコミュニケーションできないんだ」

善子「……不器用ね」

果南「まあ善子には負けるけどね」

善子「なによ!もう!」

果南「あはは、ごめんごめん」ナデナデ

善子「む~……」

果南「今日、つらくなかった?」

善子「めっちゃくちゃ大変だったわよ……」

ヨハネ「でも、結構楽しかったわよね」

善子「……まあ」
112: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:57:15.58 ID:G+H1hkrF
果南「ほんと? 明日も平気?」

善子「大丈夫よ」

果南「……そっか、そう言ってもらえてホッとしたよ~」ナガスヨー

善子「でも、これがあと2日……って思うと、少し気が遠くなりそう」ン

果南「昨日も言ったけど、明日明後日は千歌と曜も来てくれるからかなり楽だと思うよ?」バシャー

善子「だといいけど……」ブルブル

果南「明日は子供のお客さんも多いし、うまくやってね?」

ヨハネ「子供……ってことは」

善子「じゃあ堕天使ムーブしてもいい!?」

ヨハネ「したい!」

果南「それはダメ」

よしヨハ『ブーブー!』

果南「あれ、子豚の鳴き声がする。今夜は焼き豚かな?」

よしヨハ『ひぃぃぃ……』

果南「よし終わり」ポンポン

善子「……ん」

果南「さてと、夕飯食べて帰るでしょ?」

善子「えっ……でも」

果南「いいじゃんいいじゃん、せっかくだし」

善子「でも、うーん……」チラッ

ヨハネ「!」←食べたい! という視線

善子「……わかったわ、それじゃあお言葉に甘えてもいいかしら、センパイ」

果南「うん! ありがとう!」

善子「な、なんでそっちが……」

果南「誘いに乗ってくれて嬉しかったから……?」

善子「お、おう……」

果南「じゃ、あがったら晩御飯作るの手伝ってもらうね!」

善子「え、ええ」

ヨハネ「ヨハネの腕前、見せて差し上げましょう!」ザパッ!

善子「た、たちあがるなーー!///」
113: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:58:26.01 ID:G+H1hkrF
~台所~


果南「あ、おじい。いまからご飯作るから待っててねー」

おじい「」コクン

善子「なに作るの?」

果南「んー……明日のために力つけてもらわないとだから、中華にしようと思って」

果南「食べれないものある?」

善子「中華……ううん、大丈夫よ」

ヨハネ「餃子に唐揚げ、麻婆豆腐、青椒肉絲……お腹すいてきた」

果南「ふふ、そりゃよかった。んじゃたくさん作るね」

善子「たくさんって、どれだけ作るつもりなのよ」

果南「んー……餃子は冷凍のやつがあるからそれを焼いて、あと唐揚げに春巻き、麻婆豆腐、エビチリ……」

善子「え、なにそれ……めちゃくちゃ多いじゃない……」

果南「ん、あはは、私たちだけならね」

善子「私たちだけなら……?」

ヨハネ「……ああ、なるほど。そういうことね」

善子「え、なに?どういうこと?」

果南「え、わかったの?」

ヨハネ「もう来るわよ」


ピンポーン


ヨハネ「ほら」

果南「あーなるほど」

善子「???」

善子「え、なに?でなくていいの?」

果南「いいのいいの」

果南「勝手に入ってくるから」

ガチャッ

善子「えっ……」
114: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 01:58:55.37 ID:G+H1hkrF
『わーたーしーたーちーがー!』


ドタバタドタバタ

バン!


ようちか『泊まりに来たーーー!』ババーン


善子「」

果南「いらっしゃい、来ると思ってたよ」

千歌「さすが果南ちゃん! 連絡しなくてもわかってくれてる~!」

曜「あ、ご飯作ってる。なにするの?手伝うよ」

果南「中華だよ。今日は善子たちもいるからたくさん作るつもり」

曜「おお、ふたりとも頑張ったみたいだね!」

ヨハネ「ええ、まあ……かなり疲れたけど」

曜「あはは、でしょ? GWとかもっとヤバいから覚悟しといたほうがいいよ」

ヨハネ「えっ……GWも頼まれるの私たち!?」

果南「もちろん」

千歌「うちの手伝いも頼むよ!」

ヨハネ「」

千歌「あ、おじーちゃん! お世話になりまーす!」ペコリ

曜「なりまーす!」

おじい「」コクン

果南「千歌もこっち来て手伝ってー」

千歌「うんー!」

果南「豆腐切ってくれる?」

千歌「はーい」
115: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:00:04.39 ID:G+H1hkrF
善子「……はっ」

善子「あんまり驚いたから魂抜けてた……」

ヨハネ「……私も」

果南「大丈夫? ちょっと横になっとく?」

善子「そ、それは平気よ。お料理するから」

果南「じゃ、鶏肉の処理お願い」

善子「わかった」

果南「ヨハネはお米8合洗って炊いといて」

ヨハネ「はーい……って8合!?」

果南「おじいと私、千歌、曜に善子とヨハネ」

果南「6人もいたら8合なんてすぐ終わっちゃうよ」

曜「足りるかなぁ」

果南「足りなそうだったら、おひつに移して早炊きしたら間に合うと思うし」

曜「そだね」

千歌「お豆腐切れたよー」

果南「ありがと、そっちの鍋に移しといて。あとで麻婆豆腐にするから」

千歌「おー! ……辛くありませんかね果南ちゃん」

果南「食べれないほど辛くはしないって~」

千歌「ほっ……」
116: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:00:38.62 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「……あ、そうだ」

ヨハネ「曜たちなんで今来たの?」

曜「ん?」

善子「あ、そうよ……明日からじゃないの?」

曜「お手伝いは明日からだけど……もう私も千歌ちゃんも暇だから泊まって朝から頑張ろうって思って」

千歌「果南ちゃんちのお手伝いに来るときはいつもそうしてるのだ! ね、よーちゃん!」

曜「うん!」

果南「早朝から来てもらうのも迎えに行くのも大変だからね」

善子「なるほど……」

千歌「私はただ泊まりたいだけだけど!」

果南「千歌は何もなくても泊まりにくるからね~」

千歌「曜ちゃんもだけどね!」

曜「迷惑じゃない?」

果南「何年続いてると思ってるのさ……私たち、もう家族でしょ」

曜「……果南ちゃんそういうとこあるよ」

果南「え?」

千歌「そう、私たちは生まれながらの家族なのだ!」

果南「うんうん、家族だね~」

曜「……照れ臭いなぁ、もぉ」
117: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:01:09.95 ID:G+H1hkrF
善子(天然タラシ……)

ヨハネ『善子もタラしこまれてた』

善子『は!? されてないし!』

ヨハネ『そうかしら? 結構誑かされてると思うけど』

ヨハネ『ふふ、私の善子取られちゃうわね』

善子『だ、だからそんなことないってば! 私はどこにも行かないっての……ずっとあんたといるわよ』

ヨハネ『……善子もそういうとこある』

善子『え?』

ヨハネ『なんでもない』

ヨハネ「お米おっけーよ。コンロ借りるわね」

果南「はいはーい」

善子「……???」

果南「善子、鶏肉の処理できた?」

善子「あ、ああ……うん、できたわ」

果南「んじゃ唐揚げ粉で味付けね」

善子「ええ」

善子(変なヨハネ……)

果南「曜、千歌とエビの殻剥いて」

ようちか『ヨーソロー!』

善子「仲良いわね」

ようちか『もちろんであります!』
118: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:01:52.55 ID:G+H1hkrF
・・・


みんな『できたー!』

果南「唐揚げとエビチリ、麻婆豆腐、餃子、春巻き」

果南「今日のごはんは豪勢だよおじい」

おじい「」コクン

曜「私おじいちゃんのとーなり!」

千歌「曜ちゃんおじーちゃん好きだねー」

曜「おじいちゃんと曜ちゃんは仲良しなのであります!」

果南「はいはい、ちゃんと座ってねー」

ようちか『はーい』

ヨハネ「私は善子の隣」

善子「じゃあ私は果南センパイの」

ヨハネ「えっ……」

善子「……冗談よ」

ヨハネ「……♪」

果南「じゃあ私がそっちにいこっかな」

みんな『いただきまーす』
119: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:02:15.67 ID:G+H1hkrF
~食後~


善子「はー……お腹いっぱい」

ヨハネ「魔力すごい使ったからすごい食べちゃった……太るかも」

善子「え、マジ?」

ヨハネ「嘘。全部魔力に変換される」

善子「くっ……!!」

果南「デザートあるよー」

善子「デザート!」

ヨハネ「なに!」

曜「それは~」

千歌「もちろん~」

ようちかなん『おいしいみかん!』

よしヨハ『いやーー!』
120: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:02:56.58 ID:G+H1hkrF
・・・


おじい「」モグモグ

千歌「んま~」モグモグ

曜「いい感じに熟しててすごい甘いね」モグモグ

果南「いつもありがとー千歌」

千歌「おすそ分けおすそ分け~」

善子「……」モグモグ←もともと持っていたチョコを食べています

ヨハネ「……」モグモグ←善子と同じチョコを食べています

果南「みかんおいしいのに」

善子「昔に食べ過ぎちゃって、もう食べたくないのよ」

千歌「それ言い出したら生まれてからこれまでずっとみかんしか食べてないよ?私」

善子「嘘も甚だしいわ」

曜「でも、そんなに飽きちゃうかなあ?」

善子「まあ、個人差だってあるでしょ?」

曜「まあ、そうだけど」

ヨハネ「まあまあ、トッポあげるからみんな落ち着きなさいよ」

千歌「あ、食べる~」

曜「いただきまーす」

果南「私もいいの?」

ヨハネ「もちろん」

果南「ありがとっ」
121: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:03:54.10 ID:G+H1hkrF
善子「あ、やば。もう11時過ぎてる」

ヨハネ「ほんとだ。帰って寝ないと時間ないわね」

果南「ん?」

善子「ごめんセンパイ、明日寝坊できないしもう帰るわ」

ヨハネ「ごはん、美味しかったわ。ごちそうさま、また明日ね」

曜「えーもう帰るの?」

千歌「寂しいよう」

善子「帰らないと死ぬでしょ明日」

果南「泊まるでしょ?」

よしヨハ『え?』

曜「あ、着替え取りに帰るんだ」

千歌「なるほどー! じゃあお部屋に布団敷いて待ってるね!」

善子「ちょっと待って!?」

果南「?」

善子「……泊まるの?私たち」

果南「うん」

ヨハネ「さ、さすがにごはんまで食べさせてもらって泊まるのは……」

曜「え、でも私たちも泊まるよ?」

ヨハネ「それは……曜は沼津から時間かかるし」

曜「ヨハネちゃんたちもじゃん」

善子「私とヨハネは飛べるから」

千歌「ねぇ……ギュッ

善子「な、なによ……」
122: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:05:01.29 ID:G+H1hkrF
千歌「……千歌たちとお泊り……やだ?」

善子「ぅっ……そ、そんな目で見るのは反則よ……」

千歌「ヨハネちゃん……」

ヨハネ「……はぁ」

ヨハネ「わかったわかった、泊まらせてもらうわ」

千歌「! やったー!」

善子「ずるいわよ、リーダー……それ」

曜「千歌ちゃん必殺のおねだり攻撃だからね……あれを受けてただで済んだ人はいないと思う」

千歌「えへへ~」

善子「ぐぬぬ……」

ヨハネ「仕方ないわね……でも、一旦着替えだけは取りに帰らせてもらえる?」

千歌「ちゃんと帰ってくる?」

ヨハネ「善子置いてくから」

善子「私を担保にしないで!?」

ヨハネ「ちゃんと迎えにくるわよ♪」

ヨハネ「でも、お部屋大丈夫なの? すごい人数だけど」

果南「ちゃんとみんなで一緒に寝れる部屋があるんだ。安心していいよ」

曜「うんうんっ! あの部屋ならみんな一緒であります!」

善子「あの部屋……?」
123: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:06:14.57 ID:G+H1hkrF
~果南の部屋~


善子「ここがセンパイの部屋……」

果南「何もないでしょ」

善子「カエルやイルカのぬいぐるみあるけど」

果南「気にしない気にしない」

善子「でも、ここじゃ無理よ? 5人はつらいわよ」

千歌「心配ご無用だよ! いくよ!」ガラガラガラ

善子「か、壁が……開いた!」

曜「なんと果南ちゃんの部屋はひとつの大きな部屋を壁で区切っているのでした!」

千歌「だから、5人でも全然眠れちゃうんだよ!」

善子「確かにこれなら……しかも、壁……別れる……」

善子「秘密基地みたいでかっこいい……!」

果南「私の部屋なんだけど」

千歌「だよねだよね! ここを私たちはシークレットルームと呼んでいる!」

善子「シークレットルーム!」

曜「実はこの部屋の隅の段ボールに隠れて持ち込んだ非常食のお菓子が……」

善子「非常食……おかし……!」

果南「私の部屋で何してんの……」

千歌「あとね、こっちのクローゼットは果南ちゃんの服がいっぱいあるんだけどー」

千歌「その下着入れの引き出しのそこには果南ちゃん秘密の日記gぐえっ!」グッ

千歌「う、うぐぐ……がなん、ぢゃ……」

果南「ち~か~!!」

千歌「ごべんなざぃ……」

果南「ったく……」パッ

果南「ふたりとも、私の部屋で遊びすぎ!」

曜「えへへ~」
124: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:06:53.15 ID:G+H1hkrF
千歌「こっそり教えちゃうけど、果南ちゃんのおっぱいは結構」

果南「ち、ちか! いい加減に……!」

千歌「あはは、ごめ~ん」

果南「もぉ……///」

善子(……結構……何?)

果南「これ以上遊ぶんなら2人だけ帰すからね!」

ようちか『やだ~!』

果南「じゃあ布団敷くのちゃんとやれる?」

ようちか『やります!』

果南「よろしい。さあ取りかかれ!」

ようちか『あいあいさー!』

善子(手懐けてる……これが幼馴染ってやつなのね)

善子(……仲良し幼馴染、かぁ)

善子(…………私には、そこまでの仲って言える人……いるのかな)

善子(自分の中で線引きして、他人とは若干距離あけて……)

善子(偏屈になりすぎてるのかしら……みんな、私に歩み寄ってくれて……)

善子(……そういえば、ここまで仲良くしようとしてくれた子って……初めてなんじゃ)

果南「ほーら、なにボサッとしてんの!」ポイッ

善子「え、わっ……ちょ、っ」ボフッ

善子「……いきなり布団投げないでよ」

果南「1人だけサボろうったってそうはいかないよ~? 善子も布団敷くの手伝ってよ」

善子「わ、わかってる! あとヨハネよ!」

千歌「善子ちゃん一緒に寝よー! 私の隣に布団を敷くのだ!」

善子「え、なんで私と!?」

千歌「ふっふっふ、一緒の布団で寝たらもう仲良しの証……この連休で私たちは親友になるんだよ!」

善子「し、んゆう……///」

果南「あ、いいな~? じゃあ私はヨハネもらお~っと」

善子「!?」
125: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:07:35.97 ID:G+H1hkrF
曜「え、ちょっと待ってそれ私ひとりになるやつじゃない!? 誰か一緒に入れてよ!」

果南「どうしよっかな~?」

千歌「かな~?」

曜「いじわるしないでよ~!」

善子「そ、それじゃあ……」



善子
千歌
ヨハネ
果南


善子「この並び方なら……みんなそれぞれ私かヨハネの隣にはなるわよ?」

千歌「あ、私おいしいとこだ!」

曜「端っこかー」

果南「私真ん中になりたいなー? いつも千歌と曜、私を真ん中にしてたし」

曜「……これは、真ん中争奪じゃんけんだね」

千歌「サンシャインじゃんけんだ!」

善子「……場所は好きにしていいわよ」

バサバサバサッ

善子「あ、ヨハネ帰ってきた」
126: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:09:22.52 ID:G+H1hkrF
・・・


善子「結局……」


千歌
善子
果南
ヨハネ



善子「こうなったのね」

果南「電気消すよー?」

千歌「いいよー」

曜「はーい」

カチカチ

……シーン

果南「はー……明日は5時起きだから寝坊しないようにね」

善子「うげ……私が寝る時間……」

果南「え、嘘」

善子「ほんと」

千歌「すごい時間まで起きてるねー」

千歌「私、もう眠たくなってきちゃってるよ」

曜「私も~……」

ヨハネ「曜、朝は強いのに夜は弱いのね」

曜「船乗りは早寝早起きが基本でありますゆえ」

ヨハネ「なるほどね……」
127: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:10:32.72 ID:G+H1hkrF
果南「明日のスケジュールは……5時起きで、6時にご飯」

果南「7時には店で準備始めて、8時に営業開始ね。あとは昨日と同じ流れでダイビング体験のお客さんがいっぱい来るから、みんなお相手よろしく」

みんな『はーい』

千歌「分かんないことあったら私と曜ちゃんに聞いてね?」

善子「わかったわ」

善子(まあ、今日のである程度わかってるけど)

曜「明日もお泊まりするよね?」

ヨハネ「そう言われると思って、2日分の着替え持ってきてるわ」

曜「さすがヨハネちゃん! 漆黒の堕天使!」

ヨハネ「フッ! やっとヨハネの恐ろしさを理解したようね」ギラン

千歌「真っ暗闇の中で喋ると、どっちが善子ちゃんでどっちがヨハネちゃんか分かんないや」

善子「クックック……見破ることができるかしら? 私たちふたりのヨハネによるブラックサーカスを」

千歌「あ、今の善子ちゃんでしょ」

善子「なんでわかるの!?」

千歌「隣で声が聞こえたから」

善子「ぐっ……」

果南「あはは、ブラックサーカス破れたり~……だね」

善子「そんな罠があったなんて……!」

曜「普通気づくと思うけど……zzz」

ヨハネ「曜は寝るみたいね」

曜「おきてぅ……zzz」

ヨハネ「よしよし、ヨハネが夢の中へと誘ってあげるわね……♡」ナデナデ

曜「ぁぅー……zzz」

果南「……ヨハネと曜が出来てるかもしれない」

善子「は!?」

ヨハネ「なんでよ!?」

曜「ぐぅ……zzz」
128: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:10:57.53 ID:G+H1hkrF
千歌「じゃあ善子ちゃんと果南ちゃんは千歌がもらう!」

果南「私たち3人で仲良くしようね~」

善子「えぇ……」

ヨハネ「ちょっとぉ~!」

善子(こんなんで明日起きれるのかな……)

善子(私の不安も心配も虚しく、そんな感じで夜中まで騒いで─────)
129: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:12:37.83 ID:G+H1hkrF
~翌朝~


曜「おっはよーー! いい朝だよーー!」

千歌「……よーちゃん元気だね」

果南「ね……」

善子「ねむい……」

ヨハネ「……zzz」

曜「あれ、みんなどーしたの? 元気ないよ、ほら、お腹から声出して! ヨーソロー!」

4人『よぉそろ……』

曜「ありゃりゃ……本当にやばそう」

善子「よはね……もんえなとちょこ……」

ヨハネ「昨日の帰りに買ってきて冷蔵庫に入れてる……」

善子「ありがと……」

曜「そんなのに頼っちゃダメだよ若いのに!」

善子「のまなきゃやってらんないわ……」

千歌「……zzz」

果南「おきてちかー……」ユサユサ

千歌「おきてぅ……」

ヨハネ「昨日寝る前の曜みたいなこと言ってるわよ……」

曜「仕方ないなー……朝ごはん私が作るからね!」

善子「ようそろ……」

果南「よろしくぅ……」

善子「……」

果南「……」

ヨハネ「……」

千歌「……zzz」

みんな「……zzz」
130: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:13:35.05 ID:G+H1hkrF
~営業開始~


果南「それでは、スーツの貸し出しと採寸をするのでそっちに並んでくださーい」

千歌「こっちでーす!」

善子「こ、こっちもやってますから並んでくださーい!」

果南「今のうちに私たちは人数分のタンクを移動させるよ」

ヨハネ「ラジャー!」

曜「ヨーソロー!」
131: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:14:59.73 ID:G+H1hkrF
千歌「はい、Mサイズですね! スーツをとって更衣室へどーぞ!」

善子「採寸が済んでない方はいらっしゃいますかー?」

善子「まだでしたらこちらへ……ん?」

「……」

善子「どうしたの?」

「ぅぇっ……ぅ、」

善子「!?」

「うぇーん! ままぁあ~!」

善子「ちょ、なっ……ど、どうしたのよ! ママいないの?」

「ままぁ~!!」

善子「ど、どうしよ……よはn……」

善子「りーだー……」

千歌「えっとー……スーツは濡れたら縮むので少し大きいほうがが良くてー……」

善子(ヨハネいないし……リーダーは別の人の接客中……)

善子「……スー……ハー……」

善子「ママが見つからないの?」

「ぅ、ぅゆ……ぐす、っぐす……」

善子「どこではぐれたか分かる?」

「さっきまで、ここ……いた」

善子「そっか」
132: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:16:07.28 ID:G+H1hkrF
善子「じゃあ多分、ママはいまお着替えしてるところなの」

「おきがえ……?」

善子「そうよ。あなたも水着でしょ? ママも今から水着になってくるの」

「ぅう……まま……」

善子「んー……そうだわ」ゴソゴソ

スッ

善子「これあげる」

「……なあにこれ?」

善子「チョコレートよ。チョコ好き?」

「すきー!」

善子「ふふ、私も好き。これはね、私が一番好きなチョコレートなの」

善子「ママを待てるいい子に、これをあげる。あなたはママを待てるかしら?」

「まつ!」

善子「よしよし、いい子ね」ナデナデ

善子「それじゃあチョコレート、あげる」

善子「これ食べて待ってたらすぐに来るからね」

「ありがとー!」

善子「うん、よしよし」

「ああ、すみません!」

善子「ん?」

「まま!」

「ごめんね1人にして……すみません、ご迷惑を」

善子「大丈夫です。でも、とっても寂しかったみたいなので、ちゃんと見ててあげてくださいね」

「はい、すみません……じゃ、海行こっか」

「うん! またねーおねーちゃん!」

善子「うん、またね」フリフリ

善子「……ふう」

千歌「じー」

善子「!」ビクッ
133: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:16:35.40 ID:G+H1hkrF
千歌「いいなーチョコ」

善子「……見てたの」

千歌「そりゃー、ね? すぐ目の前だし」

善子「……果南センパイたちに言わないでよ」

千歌「なんで? 褒めてくれるよ、きっと」

善子「それが恥ずかしいからよ」

千歌「褒められたら恥ずかしいの?」

善子「……得意じゃないもの、褒められるのは」

千歌「そうかなぁ。私は、褒められたら嬉しいよ? 調子乗っちゃうよ?」

善子「調子は乗らない方がいいと思う」

千歌「てへ」

善子「とにかく、内緒にしてよね」

千歌「どーしよっかなぁ」

善子「リーダー……!」

千歌「私にもチョコちょーだい?」

善子「……はい」

千歌「ありがとー♡」

千歌「これで内緒にしててあげるねっ」

善子「……」

善子(なんかチョコたかられただけなんじゃ……)

千歌「お返しに善子ちゃんにこれあげる」スッ

善子「なにこれ?」

千歌「みかんアメ」

善子「いらないわよ!」
134: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:17:33.53 ID:G+H1hkrF
千歌「おいしいのに!? 私の好物なのに!」

善子「みかん嫌いなの知ってるでしょ!?」

千歌「でも食べれるんでしょ?」

善子「食べれる、けど……」

千歌「私は善子ちゃんから、善子ちゃんの大好きなものをもらったから」

千歌「私も善子ちゃんに、私の大好きなものの味を知ってほしいんだ」

善子「私が嫌いなものでも構いやしないって?」

千歌「うん! 遠慮されるの嫌いでしょ?」

善子「……まあね」

千歌「まあ食べてみてよ! おいしいから」

善子「……あとでね」

千歌「えー!!」

千歌「いまたべてよ!」

善子「いや!」

千歌「なんで!」

善子「嫌なものはいや!」

千歌「むむむ……」

カランカラン

ちかよし『!』

千歌「いらっしゃいませー!」
135: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:18:26.62 ID:G+H1hkrF
・・・


千歌「はあーちかれたー……」

千歌「あ、今のは疲れたのと千歌をかけたー」

善子「言わなくていいから……いてて……」

善子「……腰が……っ……」

曜「ふはー……久しぶりに疲れたー!」

果南「おつかれさま! 今日はなに食べたい~?」

曜「……すき焼き?」

千歌「カニ鍋!」

善子「……さわやか」

曜「はーい私さわやかに変更!」

ヨハネ「ヨハネもさわやか!」

果南「はい残念でしたカレーライスにしますー」

4人「えー!」

果南「人数多いからカレーライスにするよ。楽だし」

千歌「楽って言った……!」

果南「なぁに千歌?」

千歌「なんでもなーい」

善子「カレー……ならチョコを入れましょう」

千歌「ちょこ?」

曜「コクが出るっていうね」

果南「でも、あったかなチョコなんて」

善子「私の秘蔵のチョコを提出するわ」
136: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:20:22.26 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「あ、それ昨日私が買ってきたやつじゃない! ヨハネまだ食べてない!」

善子「仕方ないわね、1枚あげる」

ヨハネ「あーん」

善子「……は?」

ヨハネ「あーん!」

善子「……はい」

ヨハネ「はむっ……ん~♪」

果南「……仲良いね?」

善子「……そう見えるだけでしょ」

ヨハネ「え、仲悪いの私たち!?」

善子「めんどくさいわねあんた!」

千歌「やっぱり仲良いよね」

曜「うんうん」

果南「とりあえずカレーは1人で作れるしお風呂はいっといで」

曜「わたし手伝うよ」

果南「いいの?」

曜「2人の方が早いって!」

果南「ありがとっ」

ヨハネ「それなら3人の方がもっと早いわ」

果南「悪いね」

千歌「じゃあ私たちはお風呂に行こー」

善子「え、リーダーと?」

千歌「え、嫌なの!?」

善子「嫌じゃないけど……あんまり見ないでよ?」

ヨハネ「恥ずかしいのよ、肌を見られるの」

善子「言わなくていいっ!」

千歌「じゃあ千歌お姉ちゃんが身体を洗ってあげよー」

善子「だから見ないでって言ってるし、洗われるのはもう間に合ってるわよーー!」

ヨハネ「こうして夜は更けていく……」

善子「え、なに? 唐突のナレーション!?」
137: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:21:07.38 ID:G+H1hkrF
~夜明け~


善子「……ん」モゾモゾ

善子「さむ……トイレ……」

善子「うぅ……」ペタペタ

善子「……ん?」

千歌「ぐー……」←廊下で寝る千歌

善子「えー……」

善子「ちょっと起きて、ほら……リーダー」ユサユサ

千歌「うー…………んー……」

善子「なーにしてんの」

千歌「果南ちゃんもう少し寝させて……zzz」

善子「いや風邪ひくって……しかも果南センパイじゃないしじゃないし」

善子「……あ、そうだ」

善子「千歌、早く起きないと……ハグしちゃうよ?」(精一杯のモノマネ)

千歌「うー……起きる……」

善子(起きるんかい)

千歌「……あれ、善子ちゃん?」

善子「そうよ」

千歌「今、私のこと千歌って」

善子「言ってないから起きなさいよそろそろ時間よほら行って行って私トイレ入るから廊下で寝ないでほんと邪魔だから(略」

千歌「う、うん……はぁい」ムクッ

千歌「おかしいなぁ……」トテトテ

善子「……ほっ」

善子「……初めて名前で呼んだかも」

善子「……悪い感じはしないわね」

善子「千歌……か」
138: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:21:49.13 ID:G+H1hkrF
・・・


ヨハネ「ねえセンパイ」

果南「?」

ヨハネ「3日目、めっちゃくちゃ暇なんだけど」

果南「まあ、連休最後だしね。午前で終わりだよ」

善子「いいのかしら……5人全員、デッキで休んでて」

果南「いいんじゃない? お客さんみんな帰ったし」

果南「もう今日の予約ないし」

曜「あれ、じゃあ私たち帰ってもいいやつじゃないの?」

果南「帰るの?」

曜「帰らないけど」

千歌「泊まるー」

果南「千歌はいいけど、曜たちは帰らないとまずいよね?」

善子「さすがにね」

ヨハネ「ヨハネはやることないから泊まれるけど、善子が帰るなら帰るわ」

曜「私も泊まりたい……けど、泣く泣く帰るしかないのであります……」
139: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:22:09.55 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「曜、帰るなら私が空のお散歩に招待してあげるわよ?」

曜「帰る!」

果南「あはは、そういえば私も飛んでみたいかも」

ヨハネ「果南も言ってくれればいつでも!」

果南「ほんと? 嬉しいな、またお願いするよ」

ヨハネ「ええ、任せといて!」

善子「……ん? いま名前で」

ヨハネ「ええ、さすがに同じ場所で働いてご飯食べて寝て喋れば名前で呼ぶわよ?」

果南「ふふん」

曜「ふふん!」

千歌「あー!果南ちゃんずるーい!」

果南「ヨハネにお願いしてみたら?」

千歌「ヨハちゃんお願い♡」

ヨハネ「リーダーはまだね」

千歌「そんな~……」
140: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:23:53.73 ID:G+H1hkrF
善子「……」

善子「……ふん」

善子「別にそいつが呼ばなくたって平気でしょ千歌。私が呼んであげるんだから」

千歌「……ん?」

善子「果南も、私の分身に名前で呼ばれたくらいで喜ぶんじゃないわ!」

果南「……お?」

曜「いま、名前で」

千歌「善子ちゃんいま千歌って!」

果南「果南って!」

ヨハネ「……善子が自分から」

ヨハネ「……ふふ♡」

善子(……こんなに、歩み寄ってくれる人たちだから)

善子(私と仲良くしようって、本気でぶつかってきてくれる人たちだから……)

善子「……そうよ」

善子「私、好きな人のことは名前で呼ぶようにしているの。わかった? 千歌、果南、曜」

ようちかなん『わかった!』

善子「よし! じゃあ帰るわよヨハネ!」

ようちかなん『帰るの!?』

善子「これ以上この場所にいたら恥ずかしくて死ぬッ!!」

ヨハネ「こんな善子をこれからもよろしくお願いします……」

ようちかなん『こちらこそ……』

善子「ちょっと!」

ヨハネ「あと営業終わるまで帰れないからね」

果南「バイト代出さないよ」

善子「ぐぬぬぬ……」
141: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:24:32.92 ID:G+H1hkrF
~夜、善子の家~


善子「やっぱり自分の部屋が最高……!」

ヨハネ「……ねえ善子」

善子「ん?」

ヨハネ「あっという間に終わったわね、この3連休」

善子「全然休めなかったけどね」

ヨハネ「あーあ……私もダイビング体験しとけばよかった」

善子「どうして?」

ヨハネ「私、ヨハネとして現世に降臨してから海に入ってないのよ」

善子「当たり前でしょ。あなたが生まれたの、冬だったし」

ヨハネ「うん……」

ヨハネ「夏はAqoursで海の家の手伝いしたり、夏休みは曜センパイに誘われまくって海三昧だったし」

ヨハネ「けっこう海で遊んだ記憶はあるんだけど……この『私』は無いんだなって思ったら、少し寂しくて」

ヨハネ「果南センパイが誘ってくれたの……ちょっと嬉しかったな」

善子「私も……まあ、楽しかったかもね」

善子「夏が来たら、海水浴行きましょ」

ヨハネ「ほんと!? ほんとに!?」

善子「ほんとよほんと。Aqoursのみんなも呼んで」

ヨハネ「やった! 善子大好き」

善子「……軽々しく大好きとか言うな、バカ」
142: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:25:14.75 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「うふふ、2人っきりでもいいのよ?」

善子「私も別にそれでもいいけど……みんな居た方が楽しいでしょ?」

ヨハネ「ふふ、そうね。そういうことにしといてあげる」

善子「……ふん」

ヨハネ「それにしても……2人も名前で呼ぶなんてね」

善子「果南はあんたのせいでしょ」

ヨハネ「どうして?」

善子「あんたは……私の心の中の割と素直な部分なんでしょ?」

ヨハネ「そうね」

善子「そのあんたが名前で呼ぶんだったら、私も呼ばないと」

善子「私の心の素直な部分が認めたってことなんだから」

ヨハネ「ふふ、不器用な人ねほんとに」

ヨハネ「でも、リーダー……千歌はどうして? ふたりきりの時に何かあったの?」

ヨハネ「具体的に言うと、2人で入ったお風呂で」

善子「別になにもないわ」

ヨハネ「千歌の優しさに心を掴まれたの?」

善子「うるさいわよ……」
143: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/02(日) 02:26:03.23 ID:G+H1hkrF
ヨハネ「ふふ、今更そんなことないわよね。だってあなたはもう、Aqoursに誘われた時から────」

善子「うるさいわよ」

ヨハネ「……ふふ♡」

ヨハネ「ねえねえ」

善子「なに?」

ヨハネ「明日はなにして遊ぶ?」

善子「いや、明日は学校だから」

ヨハネ「……」

善子「あんたも行くでしょ?」

ヨハネ「いくけど」

善子「……ふふ、早く明日にならないかしら」

ヨハネ「……どうしたの善子、なにかあったの? 風邪? 頭悪くなった?」

善子「特になにもないわよ。でも」

ヨハネ「でも?」

善子「早くみんなに会いたい……のかもね」


#2 ヨハネとバイトとお泊りと 完
166: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:40:59.81 ID:t0Ln4hGa
~ある休日の朝食~


善子「え、1人部屋?」

善子母「そ、ヨハネも善子も同じ部屋じゃ狭いでしょ。いくらあんたたちが同じで細いからって」

ヨハネ「私は平気よ? 2人で寝たらあったかいし」

善子「それはあんただけ」

ヨハネ「えっ」

善子母「うん、まあ……なんていうかね?」

善子母「どんな事情があるとしても、お母さん、女の子が同じ部屋でしかも同じベッドで一緒に寝るのはどうかと思うわけ」

ヨハネ「……まあ」

善子母「だから、小さいけど空いてる部屋あるじゃない?」

善子「半物置になってる部屋ね」

善子母「私の着替え部屋でもあるけど、寝室に姿見買ったから」

善子母「あの部屋片付けてヨハネの部屋にしたらどうかと思ったのよ」

ヨハネ「……なるほど」
167: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:41:30.73 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「1人部屋……」

善子母「元々はあんたも善子……だったわけだし、いきなり2人になって、いきなり1人部屋が2人に……っていろいろ戸惑ったと思うから」

ヨハネ「別にそんなことはないけど」

善子母「……」

善子母「うちも4人家族になったわけだし、ちゃんと部屋くらい用意してあげないと親としてどうかと思ったわけよ」

善子(スルーした……)

ヨハネ「……ありがとうママ」

善子母「だから今からベッド見に行くよ」

善子「今から!?」

善子母「何?なにか用事あるの?」

善子「ないけど……唐突ね」

善子母「今日見て気に入ったのがあれば買って、帰ってすぐ片付けして部屋にするわよ」

ヨハネ「行動早いわね……」
168: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:42:33.89 ID:t0Ln4hGa
~某家具屋~


善子「……ひっろ」

善子母「当たり前でしょ、家具屋なんだから」

善子母「ベッドは……2階ね。あんたたち好き勝手に動かないでよ?」

ヨハネ「わかってるわ」

善子「ソファほしい」

善子母「あんた自分のお金でなんか買ってたじゃない。あのクッションみたいな大きいやつ」

ヨハネ「堕天使をも駄目にするソファね。あれはゲームするときに大活躍してるわ」

ヨハネ「取り合いになるけど」

善子「もう一個欲しくない?」

ヨハネ「欲しい」

善子母「え、なんで? 一個あれば十分でしょ」

善子「……ちっ」

ヨハネ「くっ……」
169: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:42:58.15 ID:t0Ln4hGa
善子母「2人で仲良く1個を使いなさい」

善子「1人用なのに……っ」

ヨハネ「なんて残酷な仕打ち……」
170: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:44:10.14 ID:t0Ln4hGa
・・・


ヨハネ「天蓋付き! 真っ黒なレース! 漆黒のフリル! かっこいい!」

善子母「ダメ」

ヨハネ「なんで!?」

善子母「うちの部屋の高さと広さを考えてみなさい」

ヨハネ「ギリギリ大丈夫じゃない」

善子母「そう、ギリギリね。こんなの入れたらクローゼットもタンスも全部開けられないくらいギリギリね」

ヨハネ「くっ……そんなもの私の魔法で空間をちょこっと歪めれば余裕なのに……」

善子母「家でそんなことするの本当にやめて……」

善子「あ、このサイドテーブルいいかも」

ヨハネ「あ、ママこれ欲しい」

善子「ちょっと!? 私が欲しいって言ってるのに!」

ヨハネ「ふふん」

善子母「ベッド決まったらね」

ヨハネ「むっ……」

善子「ふん」
171: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:45:17.36 ID:t0Ln4hGa
善子母「早く選べば他の家具も見る時間できるわよー」

善子「ベッド先に見る必要ある……?」

善子母「まず寝る場所じゃない」

善子「布団でもいいじゃないの」

善子母「布団もないから」

善子「マジで……」

ヨハネ「お客さんとかきたらどうするのよ……」

善子母「その時はその時」

善子「これが教師でいいのかしら……」

善子母「何か言った?」

善子「別に何も言ってないわよー」
172: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:46:54.79 ID:t0Ln4hGa
・・・


ヨハネ「あ、リトルデーモンのクッション!」

善子「なんで家具屋にこれが……」

善子母「あら、かわいいわね。部屋に飾る?」

ヨハネ「飾る!」

善子「え、ずるい。私も欲しい!」

善子母「あんたは我慢」

善子「なんで!?」

善子母「あとは……なにが必要かしら」

善子「クローゼットは? そろそろ私の服から卒業しなさいよ」

ヨハネ「嫌」

善子「なんで……?」

ヨハネ「あれ私のでもあるし」

善子「はあ?」

善子母「そういう善子だって、この子が来てからずっと嫌な顔せず貸してあげてるじゃない」

善子「ぐっ……」

善子母「ほんとは嫌じゃないんでしょ?」

善子「い、嫌に決まってるわよ! 当たり前でしょ!」

善子母「ふーん?」
173: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:47:40.39 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「……それなら、クローゼットもお願いしようかしら」

善子母「服も買わなきゃね」

ヨハネ「そうね」

善子「ったく……やっと自分の服を自分だけで着られるわ」

ヨハネ「善子のと全く同じやつ買うけど」

善子「うそでしょ……」

善子母「ちょっとやめてよそれ……洗濯大変なのよ?」

ヨハネ「いいじゃない! ヨハネはあれが着たくて買ったの!」

善子母「外でそれやめなさいってー……ああ、あんたヨハネだったわ」

ヨハネ「ママひどい!?」

善子「ねえ、それよりあっち見ない? 私も棚が欲しくて」

善子母「棚? 本棚にするの?」

善子「それと、あとゲーム用の」

善子母「遊ぶものなら自分で買いなさい」

善子「なんでよ!いいじゃない!」

善子母「というか、あんたそういうの自分で買ってたでしょ? 動画? のお小遣いで」

善子「……むう」
174: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:48:26.22 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「ママ、善子はちょっとママに甘えたいだけなのよ。私ばっかり買ってもらってるから」

善子「は、はあ!? 別にそういうわけじゃないわよ!」

善子母「……もお、本当に……」

善子母「あとで2人揃ってあの……なんだっけさっきのクッション。コウモリ?」

よしヨハ『リトルデーモン』

善子母「ああ……うん、それね。それお揃いで買ってあげるから本棚は勘弁して……」

善子「……ふん、仕方ないわね。我慢してあげる」

善子母「はいはい……」

ヨハネ「ねえ善子、お揃いだって」

善子「だから何? 今までだってお揃いみたいなもんでしょ」

ヨハネ「だから、新しいお揃いが増えるの。嬉しくない?」

善子「別に……何、嬉しいの?」

ヨハネ「当たり前よ! 堕天使ヨハネは常に善子と共にある存在……すなわちパートナー、相棒、バディと言えるでしょう?」

ヨハネ「であれば、あなたが所有する全てを私も所有したいというもの。そう……あなた自身もね♡」

善子「ちょ、っ……ち、近いって……///」

善子母「……その辺でやめてくれる?」

善子母「はあ……うちの娘ってなんでこう……」
175: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:50:20.06 ID:t0Ln4hGa
・・・


善子「ふん~ふふん~♪」パタパタ

ヨハネ「ご機嫌ね善子。ベンチに座ってリトルデーモンクッションを抱きしめて鼻歌なんて」

善子「えらい説明口調ね……」

善子「そういうあんただって、すごい笑顔だけど」

ヨハネ「うふふ、そう? だってすっっごく可愛いじゃないこのクッション♡」

善子「……可愛い」

ヨハネ「はー……今日はこれ抱いてゲームする!」

善子「いいわね、私もそうしよ」

ヨハネ「あら、真似するの?」

善子「なに言ってるの? 私はもともとそうするつもりだったわよ」

ヨハネ「私もそうしよ、って言ったと思うんだけど?」

善子「あら聞き間違いじゃないのかしら? ヨハネ、魔法使いすぎて他の機能低下してそうだし」

ヨハネ「なに、喧嘩するの?」

善子「こっちは絶賛大安売りよ」

ヨハネ「いいわね。今日はボコボコにしてあげる」

善子「ふん、私に連敗してるくせによく言うわ」

ヨハネ「まだ2連敗。それに135勝133敗で勝ち越してるのは私。まずは追い越してから言ってもらえます?」

善子「じゃあ今日新たな伝説をみせてあげる。私が真のヨハネだという証明のね」

ヨハネ「ふふ、上等」
176: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:51:51.61 ID:t0Ln4hGa
善子「当然罰ゲームあり」

ヨハネ「負けたらどうする?」

善子「そうね、どうしよ……」

善子母「負けたら1週間ゲーム禁止」

よしヨハ『そんな~!!』

善子母「くだらない喧嘩をこんなところでしないでくれる!? 恥ずかしい……」

ヨハネ「ぐぬぬ……負けたらジュースおごりね」

善子「それでいいわ……」

ヨハネ「もう手続き終わり?」

善子母「ええ、あとは家に届けてくれて、組み立てもやってくれるから」

ヨハネ「魔法で簡単に作れるのに」

善子母「こういうのはプロにしてもらうのがいいのよ」

ヨハネ「……まあ、そうね」
177: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:52:54.02 ID:t0Ln4hGa
善子母「じゃ、お洋服も見に行きましょ」

ヨハネ「堕天使ヨハネが纏し漆黒の外套を……!」

善子母「えーっと……ユニクロ近くにあったかしらねぇ」

ヨハネ「せめてZARA!」

善子母「どっちでも一緒でしょ……しまむらにする?」

ヨハネ「LOWRYS FARM……」

善子「GLOBAL WORKならサントムーンにあるけど」

善子母「あら、すぐ近くじゃない」

ヨハネ「そこにしましょ!」

善子母「はいはい」

善子「その近くにユニクロもあるし」

善子母「だってさ。ユニクロにする?」

ヨハネ「安く済ませたいようねママ……だけどヨハネはちょっといいものを着たい! ジーンズはユニクロ最強だけど!」

善子母「ところで、善子」

ヨハネ「無視しないで!」

善子「なに?」

善子母「その大きな箱は?」

善子「……私の欲しいもの。自分で買ったわ」

善子母「いつの間に買ったのあんた」

善子「さっきちょっとね」

善子母「あとで領収書渡しなさい。出してあげるから」

善子「大丈夫よ」

善子「私から、だから」

ヨハネ「?」

善子母「……そ」

善子母「じゃあお昼食べてお洋服見にいくわよー」

よしヨハ『はーい』
178: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:53:51.02 ID:t0Ln4hGa
~善子の家~


3人『ただいまぁ~……』

善子「つっかれた……」

善子母「じゃ、片付けするわよ」

善子「え、今から!?」

善子母「じゃあいつやるのよ。明日にはベッド来るんだから」

善子「うぇえ……」

ヨハネ「つかれたぁー……」

善子母「は・や・く・や・る」

よしヨハ『はい……』
179: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:54:42.27 ID:t0Ln4hGa
よしヨハ『』(´°ω°)チーン

善子母「おつかれさま」

善子母「意外と物多かったわね……」

善子「あとはこれ捨てて……終わり?」

善子母「そうね。明日に家具届くから、それを設置したらヨハネの1人部屋の完成」

善子母「善子の部屋に比べたら少し狭いけど……どうせあんたたち、基本的に一緒にいるんでしょう」

ヨハネ「まあね」

善子「えー……」

ヨハネ「だめ?」

善子「……まあ、いいけど」

善子母「ほんと仲良いわね……」

善子「別に良くはないわよ!」

善子母「嘘でしょ……」

善子母「まあいいわ……お母さん、ご飯作るからのんびりしてなさい」

よしヨハ『はーい』

善子「……さて」

善子「ヨハネ」

ヨハネ「なに?」

善子「……これ、あげる」ドン

ヨハネ「……そういえば気になってたけど、なにそれ」

善子「開けたらわかるわ」

ヨハネ「えー……」ゴソゴソ

バリッ

ヨハネ「……あ」

ヨハネ「これ……」

善子「そう……それは我が家に隠されし宝具のひとつ。荒れ狂う神、魔獣を懐柔させ……我ら堕天使すらも虜にしてしまう魅了の魔」

善子「その名も!」

善子「堕天使をダメにするソファ!!」
180: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:56:15.68 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「これ……さっきママにダメって」

善子「だから自分で買ったの」

ヨハネ「……どうして?」

善子「分かるでしょ!? これで2人でゲームするとき取り合いしなくて済むじゃない!」

ヨハネ「……」

ヨハネ「え、なに、もしかしてプレゼント!?」

善子「そ、そういうわけじゃなくて……その、ほら、あれよ」

善子「私の部屋からの卒業祝い」

ヨハネ「それはつまりプレゼントじゃないの」

善子「……」

善子「いらないならハードオフに売る」

ヨハネ「使う!」モフモフ
181: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:56:41.81 ID:t0Ln4hGa
・・・


ヨハネ「ソファを並べて……リトルデーモン抱えて」

ヨハネ「ぼふっと」ボフッ

ヨハネ「はぁ~……快適……」

善子「……いや自分の部屋でやりなさいよ」

ヨハネ「2人で……したいな?」

善子「……いいけど」ボフッ

ヨハネ「ふふ♡」

善子「あんたがきて、どれだけ経ったっけ」

ヨハネ「まあ……数ヶ月?」

善子「えらく雑ね」

ヨハネ「サザエさん時空だから」

善子「メタいメタい……」
182: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:57:41.91 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「……私、幸せよ」

善子「え……なによいきなり」

ヨハネ「あなたから分かれてから、いろいろあったけど」

善子「消えたりね」

ヨハネ「まあ、それもだけど……親も友達も、みんな私を受け入れてくれて」

ヨハネ「善子も、ずっと私といてくれてる」

ヨハネ「すごく幸せ」

善子「なにそれ、またいなくなるみたいなセリフね」

ヨハネ「居なくならないわよ。私を構成する魔力は、自分で作り出せるようになったし」

ヨハネ「食べたり寝たり、あなたに抱きついたりすることで回復もするし」

善子「そうね……食べたり寝たり抱きついたり……」

善子「……」

善子「は? あんた今なんて」

ヨハネ「キスすればもっと回復できるけど……奪いすぎちゃうから」

善子「だ、だから今……抱きついたりって!?」

ヨハネ「……寝てる間に♪」

善子「あ、あんた……!」

ヨハネ「なによ、どうせ気づいてなかったんでしょ?」

善子「……」

善子(気づかないわけないでしょ……)
183: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:59:12.10 ID:t0Ln4hGa
善子「まあ……そうだけど」

ヨハネ「ならいいじゃない。翌日に支障が出ない程度にしてるし」

善子「……ったく」

ヨハネ「だから、これからもずーっと一緒にいられるわ」

ヨハネ「ずっとね」

善子「……ふんっ///」

ヨハネ「ふふ、照れちゃって。嬉しいの?」

善子「て、照れてないわよ! 別に嬉しくもないしっ」

ヨハネ「わかりやすいわねー」

善子「うるさーい!」

ヨハネ「……まあ、でもこれから1人部屋だし」

ヨハネ「それも無くなるのかしら」

善子「……ん」

ヨハネ「ふふ、ちょっと寂しいわね」

善子「……別に、隣だし平気でしょ」

ヨハネ「そうね、ゲームはこの部屋でするし」

善子「あんたも自分の部屋にテレビとか買いなさいよ。オンラインでできるわよ」

ヨハネ「私、オンラインあんまり好きじゃないの。分かるでしょ」

善子「まあね」

善子「……ご飯までまだ時間あるでしょ」

善子「ひとっ走り付き合いなさいよ」

ヨハネ「マリオカート?」

善子「勝負よ。負けたらジュース」

ヨハネ「いいわね」

善子「また負かしてあげる」

ヨハネ「ふん、今日で連敗記録も終わり。さあ、振り切ってあげる」

善子「ノーコンティニューで……クリアするわ」

ヨハネ「いやマリオカートの対戦にコンティニューとかないでしょ」

善子「雰囲気!!」
184: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 01:59:42.31 ID:t0Ln4hGa
~夜~


善子「……」

ヨハネ「……」

善子「思えば、ずっと同じベッドで寝てたわね」

ヨハネ「そうね……消えそうになってた時とか、善子がずっと私を抱きしめるものだから、夜中にトイレすら行けなくって」

善子「……あの時は若かったのよ」

ヨハネ「つい数ヶ月前じゃない」

善子「……」

善子「だって、嫌だったんだもの」

善子「少しでも目を離したら……あなたがいなくなる、なんて」

ヨハネ「ふふ……そっか」

ヨハネ「なんだか湿っぽい」

善子「誰のせいよ」

ヨハネ「私のせいね」

善子「だから、そうね……明日から出来る自分の部屋への楽しみを話しましょ」

ヨハネ「んー……そうね」

ヨハネ「1人部屋なら何をしても見られる必要はないし」

ヨハネ「……ね♡」

善子「ねえちょっといまエロいこと考えたでしょ」

ヨハネ「考えてないわよ? 苦手なステップの練習をしても誰にも笑われたりしないって思ったの」

善子「嘘でしょ」

ヨハネ「ふふふ」

善子「……」
185: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:00:14.58 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「けれど……」

ヨハネ「……なんだか、2人になる前みたいになるわね」

善子「騒がしくなったからね……2人になって」

ヨハネ「今まで1人だと部屋では動画撮る時しか喋らなかったしね」

善子「儀式の時も喋ってたわよ!」

ヨハネ「……それもそうだわ」

善子「うそでしょ……」

ヨハネ「ふふ、それだけ2人でいた時間が濃かったんでしょうね」

善子「……かもね」

ヨハネ「毎日ゲームしたり遊んだり儀式したり……楽しかったわね」

善子「……ま、楽しくないと言えば嘘になるわね」

善子「まあ遊びに来たらいいじゃない。どうせ同じ家の隣の部屋だし」

ヨハネ「もちろん」

ヨハネ「……本当に部屋別れるだけなのに、なんでこんな湿っぽい空気になるのかしら」

善子「……さあ?」

ヨハネ「これは良くないわね……」
186: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:04:04.04 ID:t0Ln4hGa
善子「変にこじれる前に、もう寝ましょ」

ヨハネ「えー、もう?」

善子「今更喋ることないじゃない……」

ヨハネ「むう」

ヨハネ「じゃあ……今日は抱きしめてもいい?」

善子「……だいたいいつも抱きついて寝てるんでしょ」

ヨハネ「じゃあ、今日は善子も抱きしめて?」

善子「嘘でしょ……」

ヨハネ「マジよ」

善子「……ん」

ヨハネ「やったっ」ムギュウ

善子「……あつい」

ヨハネ「我慢して」

善子「あーつーいー」

ヨハネ「がーまーん」

善子「あーーつーーーいーーー」

ヨハネ「我慢してよもう!」コチョコチョ

善子「ひゃわっ!? ちょ、やめっ……あ、っは……ははは! ひ、ゃめっ……こらぁっ!!」

ヨハネ「じゃあ早く抱きしめなさいよー!」

善子「いーやーー!」

ヨハネ「はーやーくー!」

『うるさいわね!何時だと思ってんの!!」ドンドン

よしヨハ『……ごめんなさい』

善子「……あんたのせいで怒られた」

ヨハネ「……ごめん」

ヨハネ「……ぷっ」

善子「ふふっ……あははっ」

ヨハネ「あはははっ♪」

・・・
・・
187: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:04:36.44 ID:t0Ln4hGa
~翌日、ヨハネの部屋~


ヨハネ「……これが1人部屋の世界なのね」

ヨハネ「善子の部屋よりは狭いけど……自分のベッドもあるし、机もあるし、クローゼットもあるし……」

ヨハネ「善子にもらったソファも置けるし」

ヨハネ「あと、リトルデーモンのクッション♡」ムギュウ

ヨハネ「……」ボフッ

ヨハネ「んー……」ゴロン

ヨハネ「……」

ヨハネ「天井の景色は同じ……まあ、当然だけど」

ヨハネ「すー……はー……新しいベッドの匂い。買いたての匂い」

ヨハネ「……」

ヨハネ「……クローゼットには、新しい私だけの服」

ヨハネ「善子のやつとほとんど同じだけど」

ヨハネ「……これで双子コーデでお出かけできるのかしら」

ヨハネ「それはちょっと……してみたいけど」

ヨハネ「……ふふ、善子は嫌がるかしら」

ヨハネ「でも、あの子、素直だし……嫌がりながらもしてくれるかも」

ヨハネ「……」
188: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:05:27.04 ID:t0Ln4hGa
・・・


善子「……」

善子「……私の部屋ってこんな広かったっけ」

善子「なんか……なんか、こんな広かったっけ……」

善子「……私、今までこんな広い部屋で1人で過ごしてたのね……」

善子「んー」

善子「よし」

バサッ

善子(漆黒のローブ装着)「今宵、やっと1人になれたということですし」

善子「闇の儀式を始めましょうか」

善子「今宵はどのような儀式をする? ふふ、そうね……今日も月は明るく世界を照らしている」

善子「ならば、先日は失敗に終わりましたが……この鏡に魔力を蓄える儀式、それを行いましょうか」

善子「……月よ、古より空に浮かぶ巨星よ」

善子「静かなる闇の魔力を称えし夜の番人よ」

善子「今こそ、その力をこの鏡に……」

善子「……」

善子「……」

善子「……無理ね、なんか気分が乗らないわ」

善子「寝よ」
189: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:07:13.94 ID:t0Ln4hGa
カチ

ボフッ


善子「はー……」

善子「……ベッド、広いわ」

善子「はー……こんなに体を伸ばしても邪魔されないって最高!」ノビー

善子「……落ち着かないわね」

ヨハネ「わかるわー」モゾモゾ

善子「ね……いきなり部屋が広くなっても困りものよね。今まで2人で使ってたんだし」

善子「私は別にね。1人になってちょっと寂しくなるくらいなら……分けなくても良かったかも、なんて思うんだけど」

ヨハネ「ほんと、いきなり1人部屋って言われてもね。たしかにプライベートな空間があるのは素敵だけど」

善子「今さら私たちにプライベートも何も……」

善子「なんでいんの!!??」

ヨハネ「……来ちゃった♡」

善子「いや、なんで……」

ヨハネ「なんでって……まあ、あなたが今言った通りでしょ」

善子「……むう」
190: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/05(水) 02:08:13.09 ID:t0Ln4hGa
ヨハネ「というわけで、今日もここで寝るから」ギュウッ

善子「えぇ……嘘でしょ……」

ヨハネ「嘘じゃないわ」

善子「……まあいいけど」

ヨハネ「やっぱり、一緒がいいわ」

善子「……はぁ、せっかく1人部屋になったと思ったのに」

ヨハネ「ふふ、残念でした。ヨハネと善子は離れることは許されない間柄なの」

ヨハネ「そういう契約なのよ」

善子「……厄介な悪魔と契約したものね、私も」

ヨハネ「そうよ? 片時も離れることは許されない」

ヨハネ「だから今日も朝まで抱きしめて魔力吸い上げるから」

善子「ちょっと……マジで言ってるの?」

ヨハネ「マジよ」

善子「……」

善子「明日、学校あるんだからね」

ヨハネ「はいはい♪」

善子「……ったく」

善子「……結局、1人部屋作った意味ないじゃない」

善子(…………ま、いいけどね)ギュウッ


#3 ヨハネと1人部屋 完
211: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:41:18.34 ID:Wss6tzm2
千歌「はー……今日も終わった終わったー!」

梨子「新しいステップもいっぱい入ってきたし、ちょっと疲れちゃったね」

千歌「でも明日はおやすみ! 今夜はみんなでパーっと遊ぼう!」

梨子「いいけど……また千歌ちゃんのおうちでお泊まりする?」

千歌「いいですなぁ……でも、物足りないかなあ」

梨子「物足りない?」

千歌「いっつも私の家じゃん! たまには違う人の……うん、曜ちゃんそして善子ちゃん!」

善子「えっ……なんで私まで」

曜「はい、お呼びでしょうか高海千歌軍曹!」

梨子「軍曹なんだ……」

千歌「うむ!」
212: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:41:52.78 ID:Wss6tzm2
千歌「いま桜内二等兵と話していたんだが……渡辺曜一等兵のおうちにお泊まりすることが決まった!」

千歌「津島一等兵も同行を許そう!」

善子「え、なんで私まで」

梨子「私、二等兵なの……? 一番下なの……?」

曜「私の家でありますか、軍曹!」

千歌「うむ」

梨子「さすがにいきなり押しかけるのはやっぱりダメ、だよね……?」

曜「いいよ!」

梨子「いいんだ……」

善子「いやだからなんで私まで」
213: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:43:30.85 ID:Wss6tzm2
千歌「よーし!じゃあ一旦家に帰って準備して沼津に向かおう!」

曜「おー!」

善子「無視すんじゃないわよ!」

千歌「えー」

曜「いいじゃんヨハネちゃんいないときはいつも一緒に帰ってるんだから、その道連れってことで」

善子「えらく説明口調ね……」

曜「でも、さすがに5人は無理だよ私の家も」

善子「ほら」

千歌「気合いで!」

曜「私たちの中だと、一番部屋が広いの千歌ちゃんだし」

千歌「……ぐぬぬ」

千歌「じゃあせめて夕飯一緒に食べよう! 沼津のやっすいファミレスあるから!」

曜「ああ、あそこかぁ」

梨子「曜ちゃんちに遊びに行くときによく利用するお店だね」

善子「なんで説明口調なのよ……」

千歌「じゃ、ヨハネちゃんも呼んでおいてね!」

善子「まあ、いいけど……」
214: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:45:16.75 ID:Wss6tzm2
~サイゼリヤ~


ヨハネ「なんでサイゼリヤなのよ!」

善子「安いからでしょ」

ヨハネ「私、今日はサイゼリヤの気分ではないんだけど」

梨子「そうなの……?」

千歌「えー! いいじゃんサイゼリヤで!安いし!」

ヨハネ「安けりゃいいってもんじゃないのよ! 味が大事なの!」

千歌「む……なるほど、確かにサイゼリヤは安いけどめちゃくちゃ美味しいわけでも……」

曜「お、美味しいから! 私は結構好きだからサイゼリヤ、よく来るから!」

曜「ね、梨子ちゃん!」

梨子「私は、みんなとお出かけするときくらいしか外食しないから……」

曜「今日の梨子ちゃんは非協力的だ……っ」
215: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:45:42.89 ID:Wss6tzm2
善子「文句言うんじゃないわよ、あんたドリンクバー好きでしょ?」

ヨハネ「すきだけど……」

善子「ほら、ヨハネスペシャル作ってあげるから」

ヨハネ「うー……でも……」

千歌「よはねすぺしゃる?」

善子「ミックスジュースよ。ドリンクバーで混ぜるやつ」

千歌「なるほど」

梨子「ヨハネちゃんは他に食べたいところあるの?」

ヨハネ「そうね……いきなりステーキとか行きたいわね。肉!」

千歌「たーかーいー!」

ヨハネ「ステーキよ!? ステーキの値段考えたら安いでしょ!」

千歌「でも学生だけで行くには高いよ! 敷居も値段も!」
216: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:48:20.84 ID:Wss6tzm2
梨子「他には、ないのかなぁ?」

ヨハネ「じゃあ魚がし鮨!」

曜「ヨハネ少尉! お言葉ですがわたし、お刺身ダメであります!」

ヨハネ「そうだったわね!」

梨子「ヨハネちゃんがいちばん偉いんだ……」

ヨハネ「じゃあ浜松まで行ってうなぎを」

千歌「遠すぎるよ! 何時間かかると思ってるの!?」

ヨハネ「私が魔法で乗り物作ればすぐよ! ワープスターみたいなやつ!」

千歌「ぐっ……でも、やっぱり高いよ!」

ヨハネ「わがままね……」

千歌「ヨハネちゃんがわがままなんだよ!」

ヨハネ「それは違うわ、千歌。私は美味しいものを食べたいだけよ!」

曜「グルメさんだなぁ……」

千歌「じゃあもうさわやかでいいじゃん! 近いし安いし美味しいし!」

ヨハネ「さわやかいいわね!」

曜「さわやか! ひゃっほー! やった! うれしい!」

善子「はしゃぎすぎよ曜」

梨子「さわやかでいいんだ……」
217: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:48:43.73 ID:Wss6tzm2
~さわやか~


千歌「うっわぁ……めっちゃ混んでるよ……」

善子「ヨハネ、名前書いてきて」

ヨハネ「わかったわ」

善子「……にしても、私たちまで誘ってよかったの?」

千歌「え?」

善子「いや、もともと私関係ないじゃない」

千歌「迷惑だった?」

善子「そ、そんなことはないけど」

曜「じゃあいいでしょ! 曜ちゃん先輩と一緒にいたことが善子ちゃんの運の尽きだよ!」

千歌「そうなのだ!」

梨子「みんな、善子ちゃんたちともっと仲良くなりたいんだと思うよ?」

善子「……ありがと」
218: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:50:41.47 ID:Wss6tzm2
テクテク


ヨハネ「どうしたの?」

善子「ううん、別に」

曜「ヨハネちゃんなに食べる?」

ヨハネ「ん、そうねえ……やっぱり王道を行くげんこつハンバーグね!」

曜「わかってるねぇ!」

千歌「むしろさわやかに来てそれ以外食べるかなぁ」

梨子「私、野菜ミートドリアにしようかな」

千歌「さわやかに来て食べるかなぁ!?」

梨子「えっ……だ、だめかな……」

千歌「だーめじゃないけどぉ」

ヨハネ「やっぱりさわやかに来たならハンバーグでしょ!」

曜「でしょ!」

千歌「だよ!」

梨子「ぇえぇぇ~……」

善子「いや好きに食べさせてあげなさいよ……」
219: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:51:08.72 ID:Wss6tzm2
ヨハネ「あーでも確かにさわやかステーキもありね……」

曜「ステーキ好きだね……?」

千歌「グルメさんなのかそうじゃないのか……難しいお年頃だ……」

梨子「ミートドリアだめかな……安っぽい子って思われちゃうかな……?」

善子「好きに食べていいのよリリー……ファミレスに来てる時点でみんな安い子だから……」

『えー……5名様でお待ちの』

千歌「あ、私たちだ」

『だ、だっ……堕天使ヨハネさまぁ~……?』

よしヨハ『あ、はい』

曜「いや、そこは自分の名前書こうよ……」

おわり
220: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/06(木) 21:51:50.49 ID:Wss6tzm2
>>219
¶cリ˘ヮ˚)|「最後につけるの忘れてたわ」


#3.5 ヨハネちゃんはグルメさん? 完
227: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/08(土) 03:10:55.60 ID:WPok+wCN
ねえ、ルビィ────知っている?

わたくしには、とても愛らしい妹がいるんですよ?

わたくしにはあまり似ておらず、昔から本当に姉妹なのかとよく間違えられましたが……れっきとした、本当に血の繋がった妹です。

可愛い可愛い、とても可愛い……大好きな妹。

ええ、あなたよ……ルビィ。

金剛石の名をいただいたわたくしと、紅玉の名をいただいたあなた。
228: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/08(土) 03:11:26.41 ID:WPok+wCN
わたくしたちは小学生の頃に知ったスクールアイドル……μ'sが大好きで。

ふたりでジュエルシスターズ……なんて、アイドルの真似事をしたこともありましたね。

ふふ、覚えているの? 嬉しいですわ。

しかし、そんなわたくしは……あなたから一時的にとはいえ、スクールアイドルを奪ってしまいました。

わたくしの勝手なわがままで、奪ってしまいました。

そして、何よりも楽しみにしていた出来事も。

────奪ってしまいました。
229: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/08(土) 03:14:37.25 ID:WPok+wCN
そんなことない、ですか? ふふ、本当にあなたは優しいわね。

……それから2年が経ち、わたくしとルビィは、また互いにスクールアイドルを愛することができるようになりましたね。

とても嬉しいことですわ。

今まで出来なかった分、たくさんのお話をしましたね。

μ'sのライブ映像を見て夜明けまで語ったり、自分の推しで議論をしたり。

けれど……お姉ちゃんはずっと後悔しているんですよ。

ルビィから奪ってしまったスクールアイドルを、取り戻さなくては……って、ずっとそう思っているの。

だって、だってね……一番大好きだったスクールアイドルは、あなたから奪ってしまった直後に、解散してしまったから。

あなたが行きたがっていた最後の舞台を、見られなかったから。
230: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/08(土) 03:15:35.39 ID:WPok+wCN
今日は9月21日。

あなたの誕生日。

今年は、あなたに……今までで最高のプレゼントを贈ってあげたいの。

そう……これまでの時間を取り戻せるように。

……でも、過ぎてしまった時間はもう戻らない。

それはこの世の真理というもので、神様が定めたことですわ。

けれど……ね、ルビィ。

お姉ちゃん……あなたを連れて行ってあげたいと思ったの。

どんなことをしてもね。

あなたから奪ってしまったものを……改めて、プレゼントしてあげたいの。

それがお姉ちゃんの心からの想い。

だから、受け取ってちょうだいね。お姉ちゃんの気持ち。

愛しているわ、ルビィ。


#ネクストプロローグ 完
240: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:52:37.94 ID:1PJE8z7H
~例によって休日~


善子「んぐぅ……zzz」

ヨハネ「すぴー……zzz」ギュウッ

善子「んぅ……」ムギュー

ヨハネ「んー……zzz」


ピンポーン


ヨハネ「んぁ……?」

ヨハネ「……このかんじは」

ヨハネ『せーとかいちょお……ね』

『!!』

ヨハネ『鍵空いてるから入ってらっしゃい。善子の部屋だから。ロビーは……なんか適当に開けるから』

『お、おじゃまします……!』

ヨハネ「……zzz」バタリ
241: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:53:34.80 ID:1PJE8z7H
カチャ


ダイヤ「し、失礼いたします……」コソコソ

ダイヤ「善子さん……ヨハネさん……」

ダイヤ「ごめんくださいませ! ええと、黒澤ダイヤと申しますが……ど、どなたかいらっしゃいませんか……?」

ダイヤ「……いらっしゃらないのかしら」

ダイヤ「お邪魔してよいものか……しかし、ヨハネさんはテレパシーでお伝えしてくださっていましたし……」

ダイヤ「お邪魔しますね……?」パタパタパタ

ダイヤ「ええと、善子さんのお部屋は……」ガチャッ

ダイヤ「ああ……よかった、善子さんヨハネさん、おはようg……!!???」

ダイヤ「ピギャぁぁぁあああああああああ!!!!!!」

善子「ぁぁああああああなになになになに!!!???」ガバッ

ヨハネ「ああおはよ生徒会長いらっしゃい」

ダイヤ「ぁ、あわわわっ……ひ、ゃわっ……あわわわわ……///」

善子「えっ……生徒会長……? なんで……」

ヨハネ「なんか来たから入れたのよ……くぁ、む……」

善子「そ、そう……」

ダイヤ「な、なんで落ち着いてるんですか!? ふ、ふたりとも裸……なんですよ!///」

善子「えっ」

ヨハネ「ん?」
242: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:54:19.81 ID:1PJE8z7H
善子「……えっ」

ヨハネ「ああ……昨日、ちょっと頑張り過ぎちゃったのよね」

ダイヤ「が、がんばっ……ぁ、ぅう……///」

善子「……あんた、何してんのよーー!!」

ヨハネ「もー……そんな大声出さないでよ……」
243: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:55:10.96 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「どういうことか説明なさい! い、いくら……そ、その……家庭のこととはいえ、あの、そ……ようなっ……///」

善子「そうよ! び、びっくりしたんだからね!?///」

ヨハネ「昨日はちょっと魔力を使い過ぎちゃったから、肌を密着させて魔力を分けてもらってたの」

ヨハネ「ほんとは……R18な行為まで行けばいちばん効率よくもらえるけど、我慢して裸で同衾するだけで済ませたんだから許してよ」

ダイヤ「ど、どうきっ……ん……///」

善子「あんた、ほんとに……///」

ヨハネ「ふふ、喜びなさい善子」

善子「な、なにをよ」

ヨハネ「寝てるあなたの胸、たくさん揉んどいてあげたからあ痛ーーーーーー!!!?」

善子「な、なな、っ……なにしとんじゃあ!」

ヨハネ「思いっきり殴ったわね!!?」

善子「当たり前でしょ! ひ、ひとを裸にさせてっ……しかも、胸まで……!」

ヨハネ「減るもんじゃないでしょ!? どうせ私たちお互いのこと大好きなんだからいいじゃない!」

善子「それとこれは別でしょ!!?///」

ヨハネ「私は善子だったら全部見せてもいいと思ってるわよっ!」

善子「はぁぁあーーー???///」

ダイヤ「おだまらっしゃーい!!」

よしヨハ『』

ダイヤ「……まず、服を着てくださいあなたたち!」

よしヨハ『……はい』
244: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:56:56.17 ID:1PJE8z7H
善子「……」※正座

ヨハネ「……」※正座

ダイヤ「……朝から訪ねたわたくしも、わたくしですわ」

ダイヤ「ですが、ふたりとも……そんな佇まいで迎えられては流石に驚くでしょう?」

ダイヤ「しかもっ……よ、ヨハネさんは今でこそ違う名を名乗っているとはいえ、もともとはと言えば善子さんではないですか!」

ヨハネ「え……それはそれよって感じだけど。生まれた時点で、私と善子は同じだけど違う存在として認識してた。本当に同じ顔で同じ性格で同じ思考で99%同じだけど、私とこの子は圧倒的に1%違うってね」

ダイヤ「は、はあ……?」

ヨハネ「それは私が堕天使ヨハネであり、迷える子羊こと善子を救うために生まれたという事実!」ギラン

善子「……」

ダイヤ「……なるほど」

ダイヤ「では、善子さんはいかがなんですか? あなたもまさか、同じことは言い出しませんよね?」

善子「……」

ダイヤ「……善子さん?」

善子「ぐう……zzz」

ダイヤ「」

ヨハネ「朝は弱いのよ」

ダイヤ「よ~し~こ~さ~ん~!!」ユサユサ

善子「すぴー……zzz」

ダイヤ「……はああ……」

ヨハネ「とりあえずコーヒーでも飲む?」

ダイヤ「ああ、ええと……では、いただきます」
245: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:57:52.85 ID:1PJE8z7H
~リビング~


ヨハネ「そこに座ってて」

ダイヤ「はい、失礼いたします」

ヨハネ「朝ごはん食べた?」

ダイヤ「ええ。もう10時ですし」

ヨハネ「まだ10時か……普段ならもう少し寝てるわよ」ジャー

ダイヤ「レッスンのない日こそ体のリズムを整えるべきでは……と思いますけどね」

ヨハネ「まあ……いったん覚醒したら強いから、善子は」ガシャン

ダイヤ「無理をしていないといいのですが」

ヨハネ「ありがとう。あなたが善子を心配してくれるなら、私も安心だわ」カチッ ボボボボ…

ダイヤ「とは言いますが……わたくしだけは、まだ彼女との距離を縮め切れていませんから」

ダイヤ「ルビィを通して心配を伝えることしか……」

ヨハネ「……たしかに」

ヨハネ「私も生徒会長って呼んでるしね」

ダイヤ「ええ……そうです」

ダイヤ「もうあなたはヨハネさんですし……この際、はっきりと言いますが」

ダイヤ「先日、果南さんや千歌さんたちが名前で呼ばれているのを聞きました」

ダイヤ「そこで思ったのです……あれ、名前で呼ばれてないのわたくしだけじゃないの……? と」

ヨハネ「……」

ヨハネ「かもしれない……」

ダイヤ「ですよね……」
246: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 10:58:36.42 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「結構ショックだったんですからねわたくし。鞠莉さんには堅物と呼ばれ、Aqoursのファンの方々からも硬度10などと言われたりもしますが……」

ダイヤ「わたくし、結構ショックなんですからね!」ガタッ

ヨハネ「わ、わかったから落ち着いて……どうどう」

ダイヤ「ぅ……し、失礼いたしました。わたくしとしたことが……」

ダイヤ「……ともかく、そろそろ、そろそろ出会ってそれなりに時間も経ちますし」

ダイヤ「名前で呼んでほしいなあ、なんて……思うのです、わたくしも」

ヨハネ「ふうん……」

シュンシュンシュン…

ヨハネ「それで……今日訪ねてきた理由はそれ?」

ダイヤ「あ、この話とは全く無関係ですわ」

ヨハネ「関係ないんかい」
247: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 11:05:41.23 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「……今、何月だかご存知ですか?」

ヨハネ「え……9月でしょ? サザエさん時空だし」

ダイヤ「反応に困ることは言わないでいただきたいのですが……その通り、今は9月です」

ダイヤ「そして再来週は……ルビィの誕生日」

ヨハネ「リリーの誕生日もあるわね」

ダイヤ「ええと、それはそうなんですが……ルビィの誕生日じゃないですか」

ヨハネ「うん」

ダイヤ「それで、あの子への誕生日プレゼントの相談なのですが……」

ヨハネ「え、その相談!?」

ダイヤ「……はい」

ヨハネ「いや……なんで善子? 花丸の方が知ってるでしょ絶対」

ダイヤ「それは確かに、ルビィのことをより知ってる相手となれば、花丸さんに軍配が上がりますよ?」

ダイヤ「けれど、わたくしが彼女に贈りたいもの……それは知っている、知らないの問題ではないのです」

ヨハネ「なんか複雑そうね……分かったわ、ちょっと善子起こして……」

ダイヤ「いえ……それには及びません」

ヨハネ「え?」

ダイヤ「わたくしがご用があるのは……あなたなんです。ヨハネさん」
248: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 11:07:50.74 ID:1PJE8z7H
ヨハネ「……私?」

ダイヤ「ええ、そうです」

ヨハネ「……」

ピーーーー…

カチ

ヨハネ「私に用、ね……」コポポポ…

ヨハネ「はい、コーヒー。チョコもあるから食べて」コト

ダイヤ「ありがとうございます」

ギシッ

ヨハネ「私にねえ……」

ヨハネ「……魔法で何かして欲しい?」

ダイヤ「……」

ダイヤ「このような頼り方は……許されたものではないと理解しています。もし、別の方がわたくしがこんな方法であなたを頼ったと聞いたら怒ります」

ダイヤ「……ですが、わたくしは」

ヨハネ「御託はいいわ」

ダイヤ「っ……」

ヨハネ「要件を聞きましょうか」

ダイヤ「……はい」
250: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:24:32.43 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「……」

ダイヤ「わたくしは……ルビィを……連れていってあげたいんです」

ヨハネ「どこに?」

ダイヤ「……μ’sのファイナルライブ」

ヨハネ「μ’s……」

ダイヤ「はい。覚えていらっしゃいますか? まだあなたがいなかった頃……音ノ木坂学院に訪れたことを」

ヨハネ「ええ、もちろん。リリーがもともと通っていた学校で、昔、そこを卒業した伝説のスクールアイドル」

ヨハネ「あなたとルビィが愛している……でしょう?」

ダイヤ「……はい」

ヨハネ「それのファイナル? どういうこと?」

ダイヤ「μ’sは3年生が卒業したら、そこでおしまいになりました。その……最後のライブ」

ダイヤ「……わたくしは、ルビィに、彼女たちの最後舞台を見せてあげたいんです」

ヨハネ「どうして?」
251: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:25:33.58 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「……これまで、わたくしはあの子に辛い生活を強いてきました」

ダイヤ「わたくしと果南さんと鞠莉さんのトラブルが原因で……あの子の、スクールアイドルが大好きという気持ちを抑圧してしまった」

ダイヤ「そのせいで……あの子が楽しみにしていた、μ'sの最後の舞台も、諦めさせてしまった」

ダイヤ「……あの頃、まだルビィは中学2年生。とても辛かったと思います」

ダイヤ「今でこそ、あなたたちと共にAqoursで活動しているから、笑顔でいてくれていますが……あの時は本当に、辛そうでした」

ダイヤ「わたくしと……一緒に行こうって楽しみにしていたんです」

ダイヤ「それを見せてあげられなかった」

ダイヤ「今更になって、それがとてもわたくしの胸を抉るんです。あの子に、あの子が何より愛していたものを一時は奪ってしまった」

ダイヤ「その事実が……わたくしを……」

ヨハネ「……要するに後悔してるってことね」

ダイヤ「はい」

ヨハネ「それで、私にどうしろと?」

ダイヤ「あなたは、あらゆる魔法が使えますよね」

ヨハネ「ええ。正直、不可能なことは無いに等しいわ。限界はあるけど」

ダイヤ「では……時間を超える魔法は」

ヨハネ「……あるには、あるわ」

ダイヤ「……」
252: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:26:48.59 ID:1PJE8z7H
ダイヤ「もしこの世界に、そんなものがあるのだとしたら……それが使えるのだとしたら、わたくしはルビィを……」

ダイヤ「あの子を、あの子が何よりも見たがっていた最高の景色をプレゼントしてあげられるのではないか……そう、思ったんです」

ヨハネ「……なるほどね」

ヨハネ「じゃあ私が、その、【過去に戻る魔法】を使えばいいと?」

ダイヤ「いえ」

ヨハネ「?」

ダイヤ「……曜さんから聞きました。あなたの……『魔力』というものは、わたくしたち普通の人間にも備わっているものだと」

ヨハネ「ええ……って、まさか」

ダイヤ「はい」

ダイヤ「もしそれを使うことができれば……ルビィを、あの子を……あの舞台に連れて行ってあげられる」

ダイヤ「そう、思ったんです」

ダイヤ「お願いします────過去に戻る魔法をわたくしに教えてください。魔法を、使うすべを……お教えください」ペコリ

ヨハネ「────」
253: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:28:14.59 ID:1PJE8z7H
ヨハネ「んー……」

ダイヤ「……だめですか?」

ヨハネ「だめ、じゃないけど……生徒会長」

ダイヤ「はい」


ヨハネ「……あなた、死ぬ覚悟はある?」


ダイヤ「……!!」

ヨハネ「そう簡単に魔法を使う、というけれどね。あなたは魔法をただの便利なものだと思っているの?」

ヨハネ「それは魔法を舐めた発言だからやめたほうがいいわ。簡単に魔法を使いたいなんて言わないで」

ダイヤ「……」

ヨハネ「ひとくちに魔法を使いたいというけどね」

ヨハネ「魔法を使うには、まず体内に魔法を使うための、魔力を自分で作り出す必要がある」

ダイヤ「……」

ヨハネ「誰にも魔力はある、というけどね……まず普通の人にはただの生命エネルギー。魔法使いはそれを『魔力』という別の力に変換させて使っているの」

ダイヤ「変換……」

ヨハネ「魔法使いはまず、その変換するための回路を体内に形成する。その回路自体は誰にでもあるけれど、最初は閉じているの」

ヨハネ「それを修行して開放することで、魔力を通すことができるようになる」

ダイヤ「……」
254: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:30:08.47 ID:1PJE8z7H
ヨハネ「わかるかしら……車で例えるわよ」

ヨハネ「魔力はガソリンで、回路がそれを通すパイプ。最初はそのパイプは固く閉ざされているから、バルブを使って開放しなくちゃいけないというわけ」

ヨハネ「魔法使いは魔力を、大気中や体内から集め回路に通し、それを体内のエンジンのような機構で増幅し、力とすることで魔法を扱う」

ヨハネ「……簡単じゃないのよ、魔法を使うといっても」

ダイヤ「……はい」

ヨハネ「ここまでで、まず血の滲むような特訓が必要よ。本当に、キツイでしょうね」

ダイヤ「はい……わかっています。そう簡単ではないことも」

ヨハネ「ええ、そうね……じゃあまずあなたの身体をスキャンさせてもらうわ。手を出して」

ダイヤ「はい」スッ

ヨハネ「……」ギュウッ

ヨハネ「……」

ヨハネ(……ああ、やっぱりそうよね)

ヨハネ「わかったわ」

ダイヤ「……いかがですか?」

ヨハネ「ざっと見積もって3年」

ダイヤ「え……」

ヨハネ「3年は修行をする必要があるということよ」

ダイヤ「そ、それでは間に合いません! ルビィの誕生日まで2週間なんですよ!?」

ヨハネ「ええ、そうね。だから最初に言ったでしょう? 簡単に魔法を使うなんて言うなって」

ダイヤ「では、わたくしは……」
255: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:31:10.32 ID:1PJE8z7H
ヨハネ「そんな時間がないあなたに、いいお知らせと悪いお知らせがあるわ」

ダイヤ「え……?」

ヨハネ「いいお知らせは、今すぐあなたに魔法を使えるようにしてあげる」

ダイヤ「……!!」ガタッ

ヨハネ「悪いお知らせは……さっきも言ったわね」

ヨハネ「下手をするとあなたは死ぬ」

ダイヤ「ぁ……っ」

ヨハネ「私があなたにしてあげられる方法は二つ」

ヨハネ「ひとつは……私の知り合いの魔法使いにあなたを紹介し、修行をつけてもらう。私の見立てでも3年は確実にかかるから、かなり大変な修行になるでしょうね」

ヨハネ「もうひとつは、私が魔法であなたの神経を無理矢理こじ開ける」

ヨハネ「これがものすごい賭けでね? どんな熟練の魔法使いだとしても、安全にこじ開けさせることは難しいわ」

ヨハネ「だから被験者にはかなりの負担がかかるの。生きたまま背中を切り開かれて神経を指でいじくられるようなものだもの」

ダイヤ「……ぅ、ぉぇっ」ガタッ

ヨハネ「トイレは廊下に出て右よ」

ダイヤ「っ……ぐっ……」ダッ

バタバタバタ

バタン!!
256: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:32:34.47 ID:1PJE8z7H
ヨハネ「……」

善子「脅してどうするつもり?」

ヨハネ「起きてたんだ」

善子「まあね」

善子「それで?」

ヨハネ「まだ序の口よ。そのあとには、過去に戻るなんていう大魔法を使うんだから」

ヨハネ「それこそ、代償がどうなるか分からない。下手をすればルビィごと時間の流れから取り残されてしまうかもしれない」

ヨハネ「これはまだいい方ね。最悪、時間という概念から除外され、老いることも死ぬこともできず、永遠にありとあらゆる時間、世界を彷徨い続けることになるわ」

善子「……ヨハネ」

ヨハネ「わかってる。そんなことにはさせないわよ」

ヨハネ「あなたが一番わかってるでしょ?」

ヨハネ「ふふ、善子にも手伝ってもらうわよ?」
257: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/09(日) 12:33:11.71 ID:1PJE8z7H
バタン

ヨロヨロ


善子「……大丈夫?」ガシッ

ダイヤ「ぁ……よはねさん」

善子「……ヨハネよ」

ダイヤ「……失礼しました。善子さんでしたか」

善子「顔、やばいくらい青いわよ」サスリサスリ

ダイヤ「すみません……」

ヨハネ「よく考えておいて、生徒会長。あなたの気持ちが本気なら、私はいつでも準備があるわ」

ダイヤ「……はい」

ヨハネ「少し眠ったほうがいいわね。善子、私の部屋に連れてってあげて」

善子「あんたの部屋でいいの?」

ヨハネ「見られて困るものはないもの」

ダイヤ「そ、それには及びませんわ! 大丈夫……もう、平気ですから」

ヨハネ「ダメよ。一度寝て、頭をスッキリさせたほうがいいわ」

ヨハネ「さあ、おやすみ」フッ

ダイヤ「ッ……」クラッ

善子「おわっ……!」ギュウッ

ダイヤ「……すう、すう……」

善子「……催眠術?」

ヨハネ「まあそんな感じ? 少しは疲れがとれるわ、寝かせてあげて」

善子「はいはい……」
273: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:19:26.98 ID:S2a4hxI4
~2時間後~


ダイヤ「ぅ、うう……」モゾモゾ

ダイヤ「あ、ら……? ここは……」

善子「起きたのね」

ダイヤ「よしこさん……?」

善子「覚えてる? 生徒会長、朝から私の家に来たのよ」

ダイヤ「……ぁ」

善子「ん、覚えてるようで何よりね」

善子「もうお昼だけど、食べれる?」

ダイヤ「……いえ」グー

ダイヤ「……///」

善子「焼きそばだけど、いいわよね」

ダイヤ「……いただきます///」
274: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:20:14.69 ID:S2a4hxI4
・・・


ダイヤ「……」

善子「んー……」ジュー

善子「味付け、薄めと濃いめどっちがいい?」

ダイヤ「では……薄めで」

善子「ん」ジュー

ダイヤ「あの、ヨハネさんは」

善子「スーパーよ。お茶がなかったから買いに行ってもらってるの」

ダイヤ「……そうですか」

善子「……ヨハネから聞いた。魔法を教わりたいんですって?」

ダイヤ「……はい」

善子「そこまでして……ルビィに償いたいの?」

ダイヤ「あの子には、今まで我慢ばかりさせてしまいましたから……」

ダイヤ「今まででいちばんのプレゼントをして、喜んでほしいんです」

善子「……ふうん」
275: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:21:20.03 ID:S2a4hxI4
善子「お姉ちゃんしてるのね」

ダイヤ「当然ですわ。お姉ちゃんという生き物はね……常に妹の幸せを願っているものなの」

ダイヤ「だから……そのためなら」

善子「死んでもいいの?」

ダイヤ「……」

ダイヤ「そうですね」

善子「……そう」

ダイヤ「でも、死ぬ気はありません。生き延びます」

ダイヤ「わたくしは生きて、あの子をあの日に連れて行ってあげなくてはいけませんから」

善子「……」ジュー

善子「できたわ」


ガチャッ

タダイマー


善子「ヨハネも帰ってきたみたいね。ちょうどいいからみんなで食べましょ」

ダイヤ「……はい」
276: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:22:47.24 ID:S2a4hxI4
・・・


『いただきます』

善子「……で、どうするの?」

ダイヤ「……むぐ?」モグモグ

ヨハネ「それは会長のやる気次第よ?」

ダイヤ「……ん、んく」ゴクン

ダイヤ「先程もお伝えしましたが……わたくし、やりますわ」

ヨハネ「ええ、それも聞いてるわ」

善子「そうじゃなくて……その、時を超える魔法? 簡単に使えるものなの?」

ヨハネ「どういうこと?」

善子「ルビィの誕生日まであと2週間……そんな短期間で覚えられるものなのかってこと」

ダイヤ「……」

善子「回路を開くだけじゃ魔法は使えないでしょ? まず魔力を作れるようにならないと」

ダイヤ「……そうですね。パイプはあっても、ガソリンを作れなければ……」

ヨハネ「善子は数ヶ月練習しても魔力すら作れないもんね」

善子「うるさいわよ」
277: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:23:43.32 ID:S2a4hxI4
ヨハネ「2週間……」

ヨハネ「まず3日で魔力を作り出すところまで行くわよ生徒会長」

ダイヤ「3日で……」

善子「……できるの?」

ヨハネ「善子よりは見込みあるし」

善子「ぶん殴ってやりましょうかあんた……」

ヨハネ「ふふふ」

ヨハネ「生徒会長」

ダイヤ「は、はい」

ヨハネ「いつから始める? 今日?明日?明後日?」

ダイヤ「それは……」

ヨハネ「本当にやるなら覚悟が決まるまでいつまででも待ってあげる。そしてルビィの誕生日までに必ず過去に行く魔法を使わせてあげる」

ヨハネ「私はいつでも準備オーケーよ? あとはあなたの覚悟次第」

ヨハネ「さあ、あなたの覚悟はいつ決まるのかしら? 明日? 明後日? それともその焼きそばを食べ終わるまで?」

ダイヤ「……」

ダイヤ「……!」ズルズル

善子「え、なに……」
278: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:25:27.22 ID:S2a4hxI4
ダイヤ「チュルン……モグモグ」

ダイヤ「……ごちそうさまでした」

ダイヤ「ヨハネさん」

ヨハネ「なあに?」

ダイヤ「わたくしの覚悟は、すでに決まっています」

ヨハネ「いいわね────それ♡」

ヨハネ「ここでまた選択肢よ」

ヨハネ「死ぬほど痛いし辛いけど一晩苦しめば魔術回路が開くAコース」

ヨハネ「こっちもまあまあ苦しいけど寝てる間にゆっくり開いて3日後には開いているであろうBコース」

ヨハネ「前者は身体が痛みに耐えきれずその場で体内の血液が逆流して爆発四散する」

ヨハネ「後者は体内を異物が、ゆっくりゆっくり這いずり回る感覚に耐え続けなくちゃいけないし、開ききるまでは衰弱し続ける」

ヨハネ「さあどうする?」

ダイヤ「当然Aコースですわ!」

ヨハネ「上等……!」
279: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:26:14.01 ID:S2a4hxI4
ダイヤ「どうしたんです?」

善子「いいの? 本当に……そこまでして、やりたいことなの……?」

ダイヤ「……ええ」

ダイヤ「そこまでして、やりたいことなのです」

善子「……そう」

ヨハネ「あなたの覚悟は受け取ったわ。それじゃあ食後、私の部屋で始めましょ」

善子「またあんたの部屋で?」

ヨハネ「ええ、そこで開くための儀式を行うわ」

善子「……」

ダイヤ「わかりました。……ええと、家には」

ヨハネ「そうね。今日は帰れないと連絡したほうがいいわ」

ヨハネ「もしかしたら、明日も明後日も帰れないかもしれないけどね」

善子「ヨハネ、あんた」

ダイヤ「ご心配なく。大丈夫ですわ」

善子「……」
280: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:34:43.96 ID:S2a4hxI4
~ヨハネの部屋~

ヨハネ「さてと、始めましょうか」

ダイヤ「……」

善子「こんな狭い部屋でできるの?」

ヨハネ「それには及ばないわ。すぐに広くなる」パチンッ


ズズズズ…


ダイよし『!!』


ググ……ズニューン……


ダイヤ「へ、部屋の壁が……」

善子「伸びて、る……?」

ヨハネ「部屋の空間を魔法で広くしたの。ちょーっといじっただけよ」

ダイヤ「ちょ、ちょっと……ですか、これが」

善子「ね……体育館くらいの広さよこれ」

ヨハネ「平気よ平気。外から見ても普通に何も変わってないから」

ダイヤ「こ、これが……魔法」

ヨハネ「ふふ、この程度は朝飯前だけどね?」
281: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:35:35.31 ID:S2a4hxI4
・・・


ヨハネ「さて、着替えてきたわね」

ダイヤ「ええ……と、本当によろしいのですか?」

善子「いいわよ。汚れてもいい服ならいくらでもあるし」

ヨハネ「儀式の道具作るために用意したジャージがわんさかね」

善子「うるさいわよ」

ダイヤ「それで、わたくしは……」

ヨハネ「この石を飲んで」

ダイヤ「……石、ですか」

ヨハネ「ただの石じゃないわよ? 魔力の塊だから」

ヨハネ「これを飲み込んでもらうことで、体内から魔力を暴発させて無理やり回路を開くの」

ダイヤ「……随分と手荒なやり方ね」

ヨハネ「ふふ、言ったでしょう? 死ぬわよ、って」

善子「……会長」

ダイヤ「構いません。わたくしがお願いしたことです」

善子「どうしてそこまで……」

ダイヤ「……2年です」

善子「……え?」
282: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:36:52.27 ID:S2a4hxI4
ダイヤ「わたくしとルビィが離れてしまった時間です」

ダイヤ「……果南さんと鞠莉さんとも同じ時間、離れていましたが……」

ダイヤ「誰よりとも近くにいて、誰よりも愛していた妹とこれほど離れてしまっていたんです」

ダイヤ「……それを取り戻したいと願うのなら、命をかけても足りないかもしれません」

ダイヤ「本来であれば……死んだところで取り戻せるものではないですから」

善子「会長……」

ダイヤ「ふふ、ご心配なく。わたくしは黒澤ダイヤですわよ? お任せくださいな」

ダイヤ「善子さん、ひとつだけお願いがあります」

善子「なに……?」

ダイヤ「お泊まりさせていただくので……明日は一緒に朝食を作りませんか? わたくしもお手伝いいたします」

善子「……わかった。じゃあ、絶対一晩で終わらせてよ」

ダイヤ「はい、もちろんですわ」

ヨハネ「……本当にいいのね?」

ダイヤ「もちろん」

ヨハネ「じゃあ……飲んで」スッ

ダイヤ「……」

ダイヤ「……いきます」グイッ

ダイヤ「っ、んく……っ」ゴクッ

ダイヤ「っ……んん、っけほ、けほっ……」

ダイヤ「はあ、はあ……飲めました……」

善子「……」サスリサスリ

ダイヤ「ありがとう、ございます……」

ヨハネ「……確かに飲み込んだわね」
283: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:38:09.90 ID:S2a4hxI4
ヨハネ「今から私がその石に込められた魔力を暴走させる。その瞬間からあなたは体内から自分の身体が作り変わる感覚に晒され続けるわ」

ヨハネ「それはとても痛くて、つらくて、気持ち悪くて、きっと死んでしまいたくなるほど苦しい」

ヨハネ「……今ならまだ吐き出せば踏みとどまれる」

ヨハネ「どうする?」

ダイヤ「何度確認するつもりですか」

ヨハネ「……そうよね。しつこすぎたわ、謝る」

ヨハネ「それじゃあ始めるわ。お腹に意識を集中して」ポッ…

バチバチバチ…

ダイヤ「……」ドクッ…ドクン…

ダイヤ「……」

ダイヤ「──────ぁ、」ズグッ!!

ダイヤ「は、っあ……っぐぅぅっ……!!!」バタッ

善子「!!」

ダイヤ「ゔあ、っ……ぎ、ぁ……ッ!!」ズキンズキン

善子「ヨハネ……会長が!」

ヨハネ「……覚えてる? あなたが私を助けようとした時の……あの痛み」

善子「え……?」

善子「あ、ぁあ……覚えてるわ。もう2度と味わいたくない、死ぬほど痛いのに死ねなくて……」

ヨハネ「……この人はいま同じ痛みを受けてるのよ」

善子「……!」
284: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:39:26.14 ID:S2a4hxI4
ヨハネ「魔法を使うとはこういうことよ。今はあなたに出来ることは何もないわ……そこに居るか、見るのが辛いなら部屋を出ていなさい」

善子「……」

ダイヤ「ぁ、ぁあぁぁああっ……!! げほ、っ……ぶはっ! ごふ、げほっ……」

善子「!! ヨハネ……血、血が……」

ヨハネ「うるさいわ、こっちだって集中してるのよ……!」

ヨハネ「拒否反応が出てるんだわ……つらい時間はまだまだこれからよ。耐えなさい、会長」

ダイヤ「ぁぁぁあああ──────!!」

善子「っ……」

善子「ねえ……どうして、会長はそこまでするのよ」

ヨハネ「……あなたと同じよ」

善子「え?」

ヨハネ「この人は、何をしてでも取り戻したいのよ。ルビィとの時間を……ルビィとの約束を」

ヨハネ「だからこんなになってまで頑張ってる。それだけのことよ」

善子「……」

善子「バカよ……死んじゃうかもしれないのに」

ヨハネ「ほんとに、あなたが言えることじゃないからね?」

善子「……」

善子「私、部屋を出てるわ」

ヨハネ「……ええ」

ガチャッ

パタン

善子「……はあ」

善子「っ、う……会長…………っ」
285: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:40:44.52 ID:S2a4hxI4
ブーッブーッ

善子「!」

善子「すー……はー……」ゴシゴシ

善子「……もしもし」

『あ、もしもし……善子ちゃん?』

善子「ええ、ルビィ」

ルビィ『お姉ちゃんが今日、善子ちゃんのおうちにお世話になるってメールが来てたから』

善子「ああ、そのことね」

ルビィ『びっくりしちゃったよ~! お姉ちゃんと善子ちゃんがお泊まりなんて』

善子「……ふふ、私もよ。いきなり訪ねてくるんだもの」

ルビィ『え、そうなの? お姉ちゃんが……』

善子「びっくりよね」

ルビィ『一体なんのご用事だったの?』

善子「ん、ちょっとした相談よ。あなた関係のね」

ルビィ『……それ、ルビィに言わない方が良かったんじゃないのかな』

善子「あなたにだけ特別隠し事が苦手な会長よ? 私が黙ってたところでいずれバレるわ」

ルビィ『それは……まあ、そうかもだけど』
286: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:41:38.63 ID:S2a4hxI4
善子「あなたも心配して私にかけてくるあたり、ほんと会長が好きね」

ルビィ『そ、それは……もちろんだよ。ルビィのたったひとりのお姉ちゃんだもん、大好きに決まってるよ』

善子「ふうん……なら、会長に恋人ができたらどうする?」

ルビィ『えっ!? できたの……? もしかして善子ちゃん……』

善子「違うわよバカ。たとえ話」

ルビィ『……ルビィがその相手の人をテストします』

善子「うわ、こわ」

ルビィ『だ、だってルビィの大事なお姉ちゃんをあげなくちゃダメなんだよ……? ルビィが納得できる人じゃないと、ヤダ』

善子「……ふふ、本当に好きね、あんた」

ルビィ『えっへん』

善子「ま、とりあえず心配しなくていいわ。会長はいまヨハネと二人で仲良く話してるから」

ルビィ『いいなぁ……ルビィも誘ってくれないお姉ちゃんはおばかさんだよ』

善子「だから相談って言ったでしょ? あなたがいたら意味ないじゃない」

ルビィ『まあそうだけど……ルビィも行きたかった』

善子「今度二人で泊まりに来なさいよ。歓迎するわ」

ルビィ『うん! ありがと!』

ルビィ『それじゃあお姉ちゃんのこと、よろしくおねがいします』

善子「ええ、また何かあれば連絡するわ」

ルビィ『うん! じゃあまたね!』


プツ


善子「……」

善子「……終わったらあんたのこと、もっと色々教えなさいよ……ダイヤ」
287: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:42:10.13 ID:S2a4hxI4
~夜~


善子「……」

善子「……まだ出てこない」

善子「ダイヤ……」

善子(あの断末魔のような声が、耳の奥でずっと響いてる)

善子(口から、目から、耳からも……血が噴き出して……全身が引き裂かれるような痛みに悶える、あの姿が)

善子「……」

善子(やめさせなければ、と思う)

善子(けれど……あの人の気持ちは、理解できてしまうから……私には、止められない)

善子(なぜなら────あれは私だから)

善子(ヨハネが消え、それを取り戻そうともがき、足掻いた私の姿そのものだから)

善子(私は……人の手助けがあったから、少し上手くいっただけ)

善子(それでも全身を突き刺す痛みで心は折れそうだった。死んでもおかしくないレベルの痛みを受けているのに、死ねない苦しみから逃れられなかった)

善子(……あれは私なんだ)

善子(私と同じ……何かを取り戻すために、自分の全てを投げ打とうとしてる)

善子(それをどうして私が止められようか)

善子(だから……)

善子「……早く終わって、ご飯食べましょうよ。ダイヤ」
288: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:42:57.12 ID:S2a4hxI4
・・・


善子「すう……すぅ……」

ガタガタガタ

ガチャッ

バタン

善子「!」ガバッ

善子「……いまのって」

善子「ダイヤ!」ダッ

ガチャッ

善子「ぁ……だい、や」

ダイヤ「……」

善子「ダイヤ、ダイヤ!しっかりして!」ユサユサ

ダイヤ「ぅ、あ……っ」

善子「ぁ……あ、あ……いきてる、いきてる……っ」

善子「よかった……っ」ギュウッ

ダイヤ「よし……こ、さ……っ」

善子「! な、なに!どうしたの!」

ダイヤ「はぁ、っぐ……ぅぅっ……」

善子「ダイヤ!?」

ダイヤ「はあ、ふっ……ぅ、あぁ……」

善子「どうしたのよ! ダイヤ、ダイヤ!」
289: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:43:23.38 ID:S2a4hxI4
ダイヤ「……よしこ、さん……」

善子「うん……、うん……ここにいるから! どうしたの、何か言って……」

ダイヤ「……おなかがすきました」グーキュルルル

善子「……」

善子「は?」

ヨハネ「はー……疲れた疲れた」

善子「……ヨハネ」

ヨハネ「大成功! 後遺症もないし怪我も治したし、これで会長も魔法使い見習いの第一歩よ!」

善子「……そう」

ヨハネ「おなかすいたわね。ママは?」

善子「寝てるわよ……今何時だと思ってるの」

ヨハネ「え、知らないわよ時間なんて見てる余裕なかったんだし」

善子「……あそう」

ダイヤ「うう、おなかが……」ギュルル

ヨハネ「私もおなかペコペコ」グゥゥ

善子「……はあ」

善子「コンビニでなんか買ってくる」

ヨハネ「やった!」

善子「その間にダイヤをお風呂に入らせて、それから着替えさせておいて」

ヨハネ「わかったわ。……って、いまダイヤって」

善子「そ、それはいいから! ……あんたも風呂入りなさいよ。すぐに沸くから」

ヨハネ「はいはーい。えっと……だ、ダイヤ? いくわよ」

ダイヤ「は、はぃ……」フラフラ

パタパタパタ

ガチャッ

……パタン

善子「……」

善子「ほんとに、よかった……っ」グスッ
290: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:45:29.18 ID:S2a4hxI4
~数時間後、朝~

ヨハネ「ぐう……すう……」

ダイヤ「……zzz」

善子「……zzz」

カチャ

パタパタパタ…

善子母「はぁあ……ん」

善子母「……なにこれ?」

善子母「ちょっと善子、どういうこと? 何この食べ散らかしたゴミ! こら起きなさい善子!」
291: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:56:06.94 ID:S2a4hxI4
~さらに数時間後!~


ヨハネ「それじゃあ修業開始────」

ダイヤ「はい!」

ヨハネ「の前に」

ダイヤ「!?」

ヨハネ「ちゃんと回路が通っているか、最後の確認よ」ナデナデ

ダイヤ「わ、わかりました……うう、素肌の背中を撫でられるのはくすぐったいです……」

ヨハネ「がまんがまん」

善子「ダイヤ……本当に身体はもう……」

ダイヤ「ええ、わたくしの身体に異常はありません。むしろ凝り固まっていた部分がほぐされたような感覚ですわ」

ダイヤ「……って、あら? 善子さん、今、わたくしのこと……」

善子「いいの気にしなくてほら続けて」

ダイヤ「は、はあ……」

ヨハネ「……うん、大丈夫ね。これでもかってくらい綺麗に開通してる」

ヨハネ「あとは魔力を生成するやり方を覚えないとね」

ダイヤ「まりょく……」
292: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:56:46.67 ID:S2a4hxI4
ヨハネ「まあ、魔力を作るだけじゃ何の実感もできないから……簡単な魔法も覚えましょう」

ダイヤ「ま、魔法……」

ヨハネ「それじゃあ……善子、あの鏡貸して?」

善子「……え、なんで?」

ヨハネ「それ使うの。ほら、善子がやろうとしてた魔力を移す魔法」

善子「…………」

善子「嫌」

ヨハネ「は?なんでよ」

善子「あれは……だって、私のだもの。いくらダイヤでも貸せないわ」

ヨハネ「なにこだわって……」

ダイヤ「な、なぜ喧嘩を……! 落ち着きなさいふたりとも、わたくしは別にそれでなくても……」

ヨハネ「もう……どうしたのよ」

善子「……嫌なの」

ヨハネ「わかったわよ……仕方ないわね。それじゃあモノを浮かせる魔法にしましょ」

ダイヤ「それならばわたくしも知っていますわ! ハリーポッターで拝見したことがあります!」

善子「ダイヤってハリーポッター見るのね……」

ダイヤ「ルビィが、好きなものですから」

善子「……なるほど」
293: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/10(月) 23:59:36.36 ID:S2a4hxI4
ヨハネ「ふむ、イメージも出来てるってわけね? なら成功率も高いかな」

ダイヤ「そうなのですか?」

ヨハネ「ええ、魔法を使う上で大事なのはイメージ。そのイメージが強ければ強いほど魔法は成功しやすいの」

善子「イメージ……」

ダイヤ「ふむ……そういうものなのですか」

ヨハネ「そういうものなの。まあ得意不得意はあるものだから、イメージすれば誰でもできるわけではないわよ?」

ヨハネ「とりあえず、まず魔力を生成しながら魔法を使ってみましょうか。その羽を浮かせてみるの」

善子「どこから出てきたの羽」

ヨハネ「私の翼からちぎった」

善子「うそでしょ……」

ダイヤ「……ええと、その……魔法を使ううえで、呪文のようなものは?」

ヨハネ「そうね。私は呪文無しでスイッチの切り替えができるから使わないけれど、普通はあったほうがいい」

ヨハネ「呪文は自己暗示のようなもの……要するに、自分に今からこの魔法を使うぞ!って思い込ませるわけ」

ヨハネ「特定の流派に属する魔法使いなら、そこで決められた呪文があるけど……私はそんなのないから適当でいいわ」

ダイヤ「て、適当って……そんなもので大丈夫なのかしら……」

ヨハネ「ようは自分の中でイメージを固められれば問題ないから、そう難しく考えなくていいわよ。計算式のようなものだと思いましょ? 手順を自分の口で唱えながら、魔法としてもその工程を組み立てていく」

ヨハネ「そうやってひとつの魔法を組み上げて、発動する……って感じね」

ダイヤ「……なるほど」
294: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 00:00:16.53 ID:MP72Doy9
ダイヤ「では、この羽を浮かび上がらせるためには」

ヨハネ「まず体内の回路をオンにして、魔力を生成、体内を循環させて増幅し、呪文とともに魔法として組み上げ発動」

ヨハネ「簡単にお手本をしてみるわ。百聞は一見にしかずでしょ」

ダイヤ「……はい、お願いします」

ヨハネ「すう、はあ……」

ヨハネ「────闇より出でし究極の絶望よ。堕天使ヨハネの名の下に、今ここに我が望みを現出せよ」

ヨハネ「荒れろ暴風! そして羽を吹き飛ばせ!」ゴオッ!!

ダイヤ「きゃっ……!」

善子「うわっ!?」

羽「」フワフワ~

ダイヤ「……」

善子「……」

ダイヤ「ほんとに浮いてます!?」

ヨハネ「どーよ!」

善子「めちゃくちゃ必殺技のノリじゃないの今の呪文」

ヨハネ「今のは出力を絞っただけ。その気になればほんとに暴風を起こして家ごと吹っ飛ばすなんて造作も」

善子「ママに怒られろ」

ヨハネ「だからやらないって言ってるでしょ!?」
295: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 00:01:23.77 ID:MP72Doy9
ダイヤ「……すごいですわ! 今まで何度も魔法を見せていただいたことはありますが……わたくしも本当にこれを……!」

ヨハネ「ええ、やってみて。魔力の練り方はさっき伝えたみたいにね」

ダイヤ「は、はい……」

ダイヤ「じゅ、呪文呪文……」

ダイヤ「……す、すいっちおん……!」

善子「!?」

ヨハネ「……」

ダイヤ「く、黒澤ダイヤが命じます! 羽よ……少しだけでいいのでどうか浮かび上がってくださいまし!」ゴオッ!

羽「」シーン

ダイヤ「む~!」

羽「」シーン

ダイヤ「むうう~!!」

羽「」

ダイヤ「動きませんわぁ……」

善子「……どうだったの?今の、魔力できてたの?」

ヨハネ「……ぜんぜん」

ダイヤ「な、なんですって!?」

ヨハネ「ほんとに教えた通りにやった?」

ダイヤ「やりました!」

ヨハネ「……まあ、善子が数ヶ月練習してもぜんぜん才能開かないし」

善子「うるさいわね……」

ヨハネ「反復練習よ! ちゃんと回路は通ってる、あとは体内のエネルギーを基に、外界からも少しずつ魔力を集めて魔法を組み立てましょう」

ダイヤ「は、はい!」

善子「────」
296: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 00:02:24.28 ID:MP72Doy9
・・・


善子「こうして、ダイヤの魔法の特訓が開始した」

善子「何度も何度も、微妙にダサい呪文を唱えながら羽とにらめっこする数時間」

善子「結局、その日は何も起こらずダイヤは家路に着いた」

善子「その翌日からも特訓は続く。学校で、帰り道で、夜の海岸で(私たちが出向いてね)」

善子「繰り返し繰り返し、繰り返し続けるうち────特訓開始から3日後、ダイヤの身体に異変が起こる」

善子「なんと微妙に、少しだけだけど魔力が生成されたという」

善子「その感覚を一度掴んでからの上達は早く、特訓開始から1週間経つ頃には全身の回路を活用して魔力の生成が出来るようになっていた」

善子「さすがは完璧最強生徒会長黒澤ダイヤと言ったところかしら」

善子「私が何ヶ月かけても出来なかったことを1週間足らずでできるようになるなんて忌々s……げふんげふん」

善子「けれど、本当に大変なのはこれからで────」
306: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:25:19.88 ID:MP72Doy9
~ルビィの誕生日まで残り1週間、ヨハネの部屋~


ダイヤ「ヨハネさん……わたくし、もう時間がないんですよ!?」

ヨハネ「分かってるわ! だからこれから1週間で急ピッチで固めるわよ!」

ダイヤ「はい!」

ヨハネ「まずは時間の遡行……時間という概念をどのように自分の中で掴むかのイメージから始めなくちゃいけないわ」

ヨハネ「私の場合、時間は縦軸状に存在していて、そのポイントごとに過去の世界、現在の世界、未来の世界として仮定することで異世界として認識している」

ヨハネ「そこを扉のようなもので移り行くことで過去と未来を────」

ダイヤ「ふむふむ……」メモメモ

善子「……私、ルビィと約束あるから出かけるわね?」

ヨハネ「ええ、こっちは進めとくからルビィのことはよろしくね」

ダイヤ「善子さん、申し訳ありませんがよろしくお願いいたします」

善子「わかってるわ」

ガチャッ

パタン

善子「さて……」
307: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:26:19.81 ID:MP72Doy9
~沼津駅~


ルビィ「よしこちゃ~ん!」トテトテ

花丸「おまたせずら~」テッテッテッ

善子「ん。私もさっき来たとこよ」

ルビィ「あ、デートのときに言われてみたいセリフのやつだ」

花丸「ほんとだ……善子ちゃんの格好もぱんつるっくだから、ちょっとかっこいい……かも?」

善子「かもってなによ! 可愛いでしょ!?」

ルビィ「うんうん、とっても! 善子ちゃんのカッコいいスタイルにもぴったり!」

花丸「外国人さんみたいずら~!」

善子「だから可愛いって……まあ、いいけど」

花丸「満更でもなさそうだね善子ちゃん」

善子「いちいち言わなくていいわよっ!」

善子「それより早く行きましょ。リリーの誕生日プレゼント選ばないと」

ルビィ「うんっ」
308: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:30:58.62 ID:MP72Doy9
ルビィ「でも、なんだか申し訳ないなぁ……」

善子「なんで?」

ルビィ「ルビィが梨子ちゃんと近い日だから、みんなにお手数かけちゃうなぁ、って」

善子「別に誕生日が近いことくらいで迷惑に感じたりしないわよ。むしろ二人のこと、同じくらい盛大にお祝いしないとってみんなで張り切ってるんだから」

花丸「……それ内緒だよ善子ちゃん」

善子「どーせバレバレよ」

ルビィ「あ、あはは……うん、バレバレ……」

花丸「そ、そんな!? うまく隠せてると思ってたのに……」

ルビィ「だってまるちゃんもお姉ちゃんも分かりやすいんだもん」

善子「ほんと、ダイヤもずらまるも、ルビィに対して限定で嘘つくの下手なんだから」

花丸「返す言葉もないです……」

善子「だから、もう開き直ってルビィが喜びそうなものを本人の目の前で選んでやるっていうちょっと恥ずかしくなる遊びをしてやろうって思うわけ」

ルビィ「そ、それほんとに恥ずかしいよ~……///」

善子「ふふ、まあ見てなさいよ。まず仲見世商店街でランジェリーを……」

ルビィ「ほ、ほんとに恥ずかしいからやめて~!!///」ガバッ

善子「あ、こら! 髪引っ張らないでよせっかくセットしてるのに!」

ルビィ「善子ちゃんが恥ずかしいことしようとするからだよぅ!」ポカポカ

花丸「あはは……って、そういえば」

よしるび『?』
309: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:36:06.25 ID:MP72Doy9
花丸「今日はヨハネちゃんは?」

善子「ああ……」

ルビィ「お姉ちゃんとお出かけ、なんだよね?」

善子「……そうよ」

花丸「ダイヤさんとヨハネちゃんが……?」

善子「ええ」

ルビィ「何か企んでるみたいだけど……それだけは教えてくれなくって」

善子「聞き出そうとするんじゃないわよ……」

ルビィ「だって気になっちゃって」

善子「私は言わないわよ」

ルビィ「善子ちゃん……」ウワメヅカイ

善子「駄目」

ルビィ「ぷぅ」⌒°(●`ω´●)°⌒プクー

善子「可愛い顔してもダメ」

ルビィ「ざーんねん……」

花丸「さすがのルビィちゃんも善子ちゃんには勝てなかったずら……」
310: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:38:37.42 ID:MP72Doy9
ルビィ「善子ちゃん、ヨハネちゃんや千歌ちゃんには勝てないのに」

善子「相手が悪かったわね。ルビィとずらまるには絶対負ける気がしないわ。私がヒロインのギャルゲーは攻略難度高いわよ」

ルビィ「千歌ちゃん呼ぼっか」

善子「待ってそれはダメほんとにやめて」

ルビィ「……弱み見つけたかも?」

花丸「こうりゃくのいとぐち、です」

善子「こいつら……っ!」

花丸「うふふ、とりあえずお昼ご飯にしませんか? やば珈琲の鉄板なぽりたんが食べたいな~」

ルビィ「あ、ルビィも食べたい!」

善子「それならどうせ仲見世商店街の中だし、いいわね。いきましょっか」

るびまる『わーい!』
311: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:40:11.62 ID:MP72Doy9
・・・

善子「さてと、お腹も膨れたことだしリリーの誕生日プレゼントを選ぶわよ」

ルビィ「女の子が、膨れるなんて言い方したら可愛くないよ?」

善子「じゃあなんて言えばいいのよ」

ルビィ「んー……おなかがぺこちゃん?」

善子「それお腹空いてるじゃない」

ルビィ「あ、ほんとだ。それじゃあ……ぽんぽこりん」

善子「……幼稚園児を相手にしてんじゃないんだから」

ルビィ「むむむ……」

花丸「お腹いっぱいずら~」

善子「……ふふ」

ルビィ「あははっ」

善子「あれでいいじゃない」

ルビィ「そうだねっ」

花丸「?」
312: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:42:07.40 ID:MP72Doy9
・・・

善子「あ、ねえ。Aqoursみんなでお揃いのバングルにするとかどう?」

花丸「梨子ちゃんのお誕生日なのに?」

善子「……もうちょいAqours全体の記念のほうがいいか」

花丸「だと思うなぁ」

ルビィ「ねえねえ、これは? わんちゃんさんのマグカップ!」

善子「ライラプス……」

花丸「あっ」

善子「らいらぷす…………」

花丸「しっかりするずら。もう善子ちゃんには育てるべき大事なお姉ちゃんがいるでしょ?」

善子「ヨハネは姉じゃないし! むしろ私の方が姉でしょ!」

るびまる『えー』

善子「なんで、えー、なの!?

ルビィ「だって、ねえ?」

花丸「ねえ?」

善子「ぐぬぬぬ……」

ルビィ「見た目もヨハネ様の方がおっきいし」

善子「それはあいつの魔法でしょ!」

花丸「善子ちゃんの弱い部分も受け止めて優しく解きほぐしてくれてるところも」

善子「それは……あ、あいつがなんか、達観してるっていうか……」

花丸「それがお姉ちゃんなんだよ?」

ルビィ「うんうん」

善子「……ふん」

花丸「この機会に日頃のお礼とかしたらどうかな?」

ルビィ「そうだよ! いい案だよ!」

善子「そ、そんな余裕はないのっ! いいからリリーのやつ決めてルビィで遊ぶんだから!」

ルビィ「あ~またそんなこと言う~!」
313: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:42:40.78 ID:MP72Doy9
花丸「ルビィちゃんはそのマグカップにするの?」

ルビィ「あ、うん。そうしようかなって!」

花丸「ううー……おらはどうしよう……」

善子「私も……うーん」

花丸「とりあえずルビィちゃんにはもう決まってて」

ルビィ「え、なになに? 教えてほしいなぁ♡」

善子「やめなさいって、このサプライズブレイカー」ペシ

ルビィ「あぅ……」

善子「ルビィの誕生日はリアルな犬の置物ね」

ルビィ「ぴっ……ご、ごめんなさいだからやめてください……」

善子「ったく……」
314: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:46:27.52 ID:MP72Doy9
花丸「あ、千歌ちゃん」

善子「!!?」ビクッ

花丸「うそだよ~」

善子「ぐぬぬぬ……」

ルビィ「もしかして千歌ちゃんのこと苦手なの?」

善子「は?なんで」

ルビィ「だって、千歌ちゃんの名前出すと毎回そんなだから……」

善子「べ、別に……苦手なわけないでしょ」

ルビィ「ふーん?」

善子「ただ、あの目に見られたら……リズムが崩れるの。堕天使ヨハネとしてのベールを剥がされてしまうのよ」

花丸「つまり素直にならざるを得ないってことずら?」

善子「説明しなくていい!」

ルビィ「かわいいねー善子ちゃん♡」

善子「うるさいわね……」

花丸「まるたちにもそれくらい素直になってくれてもいいのに」

善子「……うるさいわね」

ルビィ「でも意外と分かりやすいよねっ」

花丸「まあ、そうかも」

善子「うるさいってっ……///」
315: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:50:36.28 ID:MP72Doy9
・・・

ルビィ「んー……」

善子「ん、まだ悩んでんの?」

ルビィ「あ、ううん。梨子ちゃんのはさっきので決めたよ?」

善子「じゃあ何を探してるのよ」

ルビィ「えっと、お姉ちゃんにね」

善子「……自分の誕生日直前に姉に何かプレゼント?」

ルビィ「プレゼントなんて大きなものじゃないけど……それこそさっきまるちゃんが言ってた……日頃の感謝、かな」

善子「ふーん……」

ルビィ「あ、パワーストーンとかいいかも」

善子「パワーストーン!」ギラン

ルビィ「あ、善子ちゃんのスイッチが」

善子「パワーストーンなら少しかじったことがあるわ。任せて」

ルビィ「んー……おむかいにパワーストーンの雑貨屋さんがあるからそこで聞くからいいよ」

善子「なんでよ!」

ルビィ「だってお姉ちゃんとルビィの気持ちを、繋げる効果ってないでしょ」

善子「繋げる……?」

ルビィ「うん! 卒業しちゃって、離れ離れになっても一緒だよって……」

善子「……じゃあ、キャストライトって石とか」

ルビィ「?」

善子「多分置いてるわ────ほら、早く来て」

ルビィ「あ、待って待って」トテトテ
316: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:51:47.33 ID:MP72Doy9
~パワーストーンのお店~

カランカラン…


「いらっしゃいませ」

善子「えーっと……あの、キャストライトってありますか?」

「それでしたらこちらに」

善子「ありがとうございます────ルビィ、これこれ」

ルビィ「ぅゆ……んんん?」

ルビィ「これぇ?」

善子「そうよ」

ルビィ「……想像してたのと違う」

善子「あんた、パワーストーンがみんなキラキラ輝く宝石だとでも思ってたの?」

ルビィ「ちがうの?」

善子「ちがうわ」

善子「パワーストーンは宝石の他に、希少な石がそう呼ばれてる。効果は結局ジンクスみたいなもの……だから、持つ人の信じる心次第になるけど」

善子「ほら、岩塩とかもパワーストーンなのよ?」

ルビィ「ほええ……さすが善子ちゃん物知り」

善子「ヨハネよ」

ルビィ「久しぶりに聞いたかも、それ」

善子「……」

ルビィ「ごめんごめん、そんな顔しないで~」

善子「ったく……で、このキャストライト」

ルビィ「うん」

善子「これは誠実な愛を築くとか、二人の絆を強くする……とか、対人関係を安定させる効果があるわ」

善子(恋愛運に近い方向だけど)

ルビィ「ほんと!?」

善子「ええ、よく知らないけど、この十字に刻まれた模様が、線と線の交わりってことでそういう意味になったのかなって思ってるけど」

ルビィ「……素敵!」
317: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:52:41.93 ID:MP72Doy9
「んー……このキャストライト、お嬢さんには少し大きいかな」

ルビィ「え?」

「パワーストーンは、その人にあった大きさがあるの」

「だからいつもお客さんに見てもらって、適正な大きさに加工するんです」

ルビィ「……」

「だからお嬢さんにはふたつ分くらい大きいかな……」

ルビィ「そ、そうなんですか……」

善子「どうする?」

ルビィ「ふたつぶん……」

善子「?」

ルビィ「あ、あのっ」
318: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:54:09.36 ID:MP72Doy9
・・・

ルビィ「……か、買っちゃった……!」

善子「しかもふたつ分ね」

ルビィ「だって……ふたつ分なんだもん。片方だけ捨てられちゃうなんて……嫌だもん」

ルビィ「だからふたつに分けてもらって……ひとつはお姉ちゃんで、もうひとつはルビィなの」

ルビィ「ふたりの関係を繋いでくれる石なんでしょ? だったら、同じ石をふたりで持ってる方が効果はあっぷあっぷだよっ」

善子「ふふ、そういうの……私好きよ」

ルビィ「えへへ~」

ルビィ「それで一緒に買ったパーツで頑張って作ります!」

善子「教えてもらえてよかったわね。普通はあの場で作るのに」

ルビィ「よかった~」

花丸「じー」

よしるび『……はっ!!』

花丸「まるを置いてどこ行ってたずら」

善子「え、えっと……そこのパワーストーンの雑貨屋さんに……?」

ルビィ「え、えっとねまるちゃん! ルビィがパワーストーンを見たいなって言ったら、善子ちゃんが色々教えてくれて……」

花丸「なんでまるだけ置いてけぼりにしたの」

善子「ご、ごめんって……そばにいなかったから……」

花丸「すぐ後ろの棚でプレゼント見てたずら!」

善子(そうだったのね……)

花丸「うぅぅ……気づいたら2人ともいないし、びっくりして商店街の端まで探しにいっちゃって……」

よしるび『……』

花丸「まるはお茶が飲みたいです!」

善子「る……ルビィ! 松月いくわよ!」アタフタ

ルビィ「う、うん! ルビィ、まるちゃんに松月で食べてもらいたいケーキがあるんだ~!」アセアセ

花丸「梨子ちゃんへのプレゼントは決まったの?」

善子「……あっ」

花丸「……先にそれ選んでからにするずら」

善子「はい……」
319: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 21:58:40.57 ID:MP72Doy9
・・・

花丸「それじゃあまた明日、学校で」

ルビィ「また明日ねー! 夜更かししちゃダメだよ~!」

善子「……はいはい、また明日」フリフリ

善子「……」

善子「さて、帰ろっと」クルッ

テクテク

善子「……」

善子(ルビィとダイヤ)

善子(あの二人の間には……私には想像できないくらい、強い絆がある)

善子(それはきっと、距離ができてしまった2年間くらいじゃ綻びすらできないくらい)

善子(だけど、ダイヤはその過去が怖くて)

善子(ルビィはいつか訪れる未来が怖くて)

善子(お互いがお互い、絆を確かめ合うように……お互いに何かを贈ろうとしてるなんて)

善子(なんか……ちょっと羨ましくなった)

善子(私は……別にそんな相手は、特にいない……いや、いなかった)

善子(もちろんAqoursのみんなは大切だし、ずっと一緒にいたい……いたいわよ、当たり前じゃない)

善子(でも、卒業したからって離れ離れ……今までの絆が消えてしまう、なんて私は思わない)

善子(思わないし、一部のやつらは卒業しても暇があれば遊びに誘ってきそうだし)

善子(千歌とか曜とか果南とかマリーとか、それに引っ張られてくるリリーもね)

善子(だから私はルビィみたいな未来への心配は……)

善子「……」

善子「まったくない……わけじゃ、ないのよね」

善子「はあ……めんどくさいやつね私」ポリポリ
320: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 22:00:18.38 ID:MP72Doy9
ガチャッ

バタン


善子「ただいまー」

ヨハネ「ああ、おかえり善子」

ダイヤ「おかえりなさい」

善子「ダイヤ、まだいたのね」

ダイヤ「あら……そうですか、善子さんはわたくしがいることは不満でしたか」

善子「違うわよ……時間、平気なのかと思っただけよ。いたいなら好きなだけいていいわよ?」

ダイヤ「では、本日も泊めていただくかもしれません」

善子「……そうなの?」

ヨハネ「ちょっと間に合わなくなりそうだから……」

善子「……そう」

ダイヤ「ご迷惑をおかけします……」

善子「私は大丈夫……だけど」

善子「ルビィは大丈夫なの?」

ダイヤ「……」

善子「あの子、寂しがってたわよ」

ダイヤ「……そう、ですわね」

ダイヤ「ルビィ…………」

ダイヤ「すみません、ヨハネさん。時間がないのはわたくし自身、理解していますが……」

ヨハネ「ん……今日はここまで。根詰めすぎても良くないわ。早く帰ってルビィを抱きしめてあげなさい」

ダイヤ「べ、別に抱きしめたりなどはしませんが……///」

善子「絶対してるでしょ」

ヨハネ「してるわね」

ダイヤ「そ、そこまで……し、しすこん? というものではないです!」

善子「ふーん……」

ヨハネ「ふーん……」

ダイヤ「な、なんですか……///」
321: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 22:02:54.93 ID:MP72Doy9
善子「ダイヤって意外と分かりやすいのね」

ヨハネ「あ、やっと善子も分かった? よく観察してると、すごく分かりやすいのよ」

ダイヤ「あ、ぁぅあぅ……///」

善子「ふふ、ほんとにそうみたいね」

ダイヤ「っ……し、失礼いたします! 明日は……1日、家にいようと思います」

ヨハネ「ええ。でも魔法の鍛錬は忘れないでよ? 慣れ始めたばっかりなんだから、感覚を覚えさせておかないと」

ダイヤ「はい……では、これで」

善子「あれ、荷物は?」

ヨハネ「ある程度はここに置いててもいいでしょ?」

善子「いいけど」

ダイヤ「すみません……邪魔になる前にまた回収に来ます。では、また」

善子「ええ、気をつけて」

バタン

ヨハネ「ふー……」

善子「……どうなの? 進捗は」

ヨハネ「羽を浮かせる魔法は完璧」

善子「肝心の……タイムトラベルは」

ヨハネ「微妙ね。当日は悟られないように私が手伝う必要があるかも」

善子「あんたは出来るの? 過去に戻る魔法」

ヨハネ「できる……のは出来るけど、成功率は低いわよ」

善子「失敗したらどうなるの?」

ヨハネ「私は魔力だけ消費して、何も起こらない」

善子「他にもパターンがあるの?」

ヨハネ「そりゃあね。一番分かりやすいのだと、思い通りの時間に飛べないとか」

善子「……」

ヨハネ「あとは片道だけ……とかね」

善子「片道……」
322: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 22:05:34.43 ID:MP72Doy9
ヨハネ「魔法の成功率はイメージの強さに比例する……って言ったわね」

善子「うん」

ヨハネ「私はそもそも過去に戻りたいなんて思うことがないし、そんな執着もないから時間遡行の魔法に対するイメージが弱い」

ヨハネ「だから成功率は低いし、そもそも試す気がない」

善子「でも、ダイヤは」

ヨハネ「そう、ダイヤはその時間に執着を強く持ってる。だから飛びたいポイントへのイメージは問題ない」

善子「じゃあ……」

ヨハネ「肝心の魔法が発動しない……」

善子「……」

ヨハネ「これはそもそも適性がないか、魔力が足りていないか……」

ヨハネ「……こればかりは私にはどうしようもない」

ヨハネ「魔法は時に、術者の力をはるかに超えた効果を発揮することがあるけれど……あなたのようにね」

善子「……」

ヨハネ「だけど、それは本当に賭け。想いの強さで、ダイヤとルビィが二人で過去に行けたとして」

ヨハネ「……もう帰ってこれない可能性だってある」

善子「……そんな、そんな危険なこと……!」

ヨハネ「そうさせないために私がついてるのよ! 一緒に練習して……少しでも成功率を上げようとしているの」

ヨハネ「……だから、あなたはダイヤを信じてあげて」

善子「……ヨハネ」

ヨハネ「大丈夫……堕天使ヨハネは最強無敵なんだから」
323: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 22:07:33.29 ID:MP72Doy9
ヨハネ「……」

善子「……」

善子「ヨハネ」ギュウッ

ヨハネ「……善子?」

善子「あんたこそ、根詰めすぎよ。少しくらい落ち着いて、息抜きしなさい」

ヨハネ「でも、私が手を抜いたらダイヤは……」

善子「その時はあんたが手伝うんでしょ? なら、大丈夫……私もついてる」

善子「最強無敵のヨハネがふたりいれば、完全無欠でしょ?」

ヨハネ「……善子」

ヨハネ「……」ギュウッ

ヨハネ「全部、私にかかってるから……」

善子「だからって自分を追い詰めなくていいの。ヨハネはヨハネで全力を出して、ダイヤとルビィのためになろうとしてる」

善子「私がそれを知ってる……もちろんダイヤもね」

善子「だから大丈夫よ。魔法の成功率はイメージの強さなんでしょ?」

善子「それなら……私がイメージしてあげる。ダイヤの成功を、あなたの成功を」

善子「……ね?」

ヨハネ「……」

ヨハネ「善子……」

善子「ん?」

ヨハネ「……キスしていい?」

善子「ん……んん!!?」
324: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 22:09:29.23 ID:MP72Doy9
ヨハネ「なんかめちゃくちゃかっこいいこと言ってて腹立つからキスさせて」

善子「い、いやよ!なんでそうなるわけ!?」

ヨハネ「いいでしょ減らないし」

善子「おかしいでしょ!? じ、自分自身じゃないほら!」

ヨハネ「私にその手は通用しないわ」

善子「うがっ……」

ヨハネ「ほら、目、閉じて」

善子「な、なんっ……だ、だめなのにぃ……///」

ヨハネ「はーやーく」ズイッ

善子「っ、ん……」ギュッ

……チュッ♥︎

善子「……」

ヨハネ「……ふふ、残念でした。ほっぺたよ」

善子「……///」

ヨハネ「……」

ヨハネ「え、そんななんかガチ照れされたら私まで照れるんだけど……///」

善子「う、うるさいわね……ば、ばかっ! おなかすいた、ごはん!」バッ

ヨハネ「あっ」

ヨハネ「……///」

ヨハネ「……ヘタレたああ~~!!」

ヨハネ「善子のくせに……ちょっとときめいたじゃない」

ヨハネ「いつか口にしてやるからね……!」

バタバタバタ!!

善子「~!! すんな!///」

ヨハネ「なんで聞いてんのよ!」
329: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:29:20.87 ID:MP72Doy9
・・・


善子「それから、1週間」

善子「ダイヤは約束のために鍛錬に鍛錬を重ねた」

善子「ヨハネ曰く徐々に成功率は上がってるらしく、リリーの誕生日パーティをするころには、すでに時間遡行は可能性が見えるくらいにはなっているらしい」

善子「私は練習に立ち会っていないからどんな風に鍛錬してるのかは知らないけれど」

善子「可能性が見えるってことは……すごい、ことよね」

善子「私の預かり知るものではないけれど、きっと」

善子「1週間足らずでそこまで来れたのは、ダイヤの想いの強さがそうさせたのか────」

善子「もう心配はない」

善子「ルビィの誕生日前日────最後の鍛錬を終わらせたダイヤは心強い笑顔でそう答えていた」

善子「だから、私は心配しない」

善子「ダイヤを信じる。そしてヨハネを」

善子「あのふたりの頑張りを、私が信じないでどうするのよ」

善子「そう、だから私はただふたりを信じて、ルビィの誕生日当日を迎えるだけ」

善子「そして────訪れる、当日」
330: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:30:13.21 ID:MP72Doy9
~9月21日、部室~


みんな『ルビィちゃん誕生日おめでとう~!!』

パン!!パパン!パーン!

ルビィ「ぅゅ……え、えへへ……ありがとう、みんなっ///」

千歌「ルビィちゃんもこれで16歳だね!」

果南「おめでとうルビィ」

ルビィ「ちかちゃん、かなんさん……ありがとうございます!」

果南「ふふ、16歳かぁ。千歌も追い越されちゃうかな~?」

千歌「ぬお!? さ、先に私より果南ちゃんに近づくの!? やだよそんなの!」

果南「あはは、千歌も頑張りな~」

ルビィ「どうやって追い越すんだろう……」

善子「やっと私に追いついたわねリトルデーモン4号!」

ルビィ「あ、善子ちゃん! 善子ちゃんは追い抜いちゃうかも~」

善子「え、どうやって!?」

ルビィ「……がんばって?」

善子「アバウトすぎよ!」
331: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:30:56.08 ID:MP72Doy9
曜「ヨーソロー!」ムギュー

ルビィ「わっ……曜ちゃん!」

曜「ルビィちゃんの若い力を吸収であります……」

ルビィ「ひゃぁあ! と、とらないで~!!?」

鞠莉「Hi ルビィ! 曜とばっかり遊んでないでこっちにもきてよっ」

ルビィ「あ、はい! 曜ちゃんちょっとごめんねっ」

曜「あールビィちゃん取られた……」

鞠莉「sorry☆」

鞠莉「梨子とほぼ同じ時期の誕生にということで飾りつけは使い回し……なんて妥協は一切nothing! 4日前とは違うレイアウトと飾り付けでお迎えだよ~!」

鞠莉「いろんな所変わってるから、その違いも楽しんで☆」

花丸「まると梨子ちゃんと鞠莉さんで考えたずら~!」

ルビィ「まるちゃん、まりさん……りこさん……」

梨子「私の時は素敵な誕生日にしてもらったから、今度はルビィちゃんも素敵な誕生日にしなくちゃって思って……張り切っちゃった♪」

ルビィ「えへへ、なんか、嬉しいけど照れ臭くなっちゃうね……///」
332: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:32:35.49 ID:MP72Doy9
ヨハネ「リトルデーモンルビィ」

ルビィ「ヨハネ様!」

ヨハネ「これであなたも結婚ができる年になったわね!」

ルビィ「え、えぇぇっ!?///」

ヨハネ「ふふふ、ルビィの素敵な人は誰かしら? あ、善子はあげないから」

ルビィ「と、取りません~!///」

ダイヤ「そうですわ。ルビィを嫁に出す予定など今のところありません!」

ルビィ「お姉ちゃん!」

ヨハネ「む……ダイヤ」

ダイヤ「ふふ、おめでとうルビィ。いいですかヨハネさん、ルビィは私の目の黒いうちは嫁に出すなんてありえません」

ヨハネ「過保護お姉ちゃんねあなた!」

ダイヤ「ぐっ……」

ルビィ「よ、ヨハネ様……!」

ヨハネ「ん?」

ルビィ「お嫁に行くのがダメなら……来てもらえばいいんだよね?」

ダイヤ「!?」
333: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:33:22.64 ID:MP72Doy9
ルビィ「……ね、ヨハネ様♡」ギュウッ

ヨハネ「……はえ?」

ダイヤ「よ~は~ね~さ~ん~……? それは一体、どういう……」

ヨハネ「え、待って!? なんのこと、知らないんだけど! ちょっとルビィ! ルビィ!」

ダイヤ「こらー!」

ヨハネ「ぎゃー!」ダッ

バタバタバタ

善子|ω・`)チラッ

善子「ちょっと、私を盾にしないでよ!?」

ダイヤ「はぁ……まったく、油断も隙もない方ですわ」

ヨハネ「私、善子以外に手ェ出さないし」

善子「私にも出すんじゃないわよ……」

ルビィ「ふたりは仲良しさんだね~」

善子「ヨハネが擦り寄ってくるだけよ」

ルビィ「嫌なら思いっきり振りほどいて私を怪我させてもいいのよ」

善子「いちいち言い方がオーバーすぎんのよ……」

ルビィ「ふふふっ」
334: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/11(火) 23:37:07.55 ID:MP72Doy9
~すべておわって~


ルビィ「はあ……楽しかったぁ」

善子「そうね。いいわね、いっぱいプレゼントもらったじゃない」

ルビィ「うん! 善子ちゃんもありがとねっ」

善子「……ふんっ」

ルビィ「それと、お片づけまで手伝ってもらってごめんね」

善子「ん? それは全然……むしろダイヤも酷いわよ。主役に片付けさせるなんて」

ルビィ「祝っていただいたのですから、そのお礼も兼ねて自分で片付けなさい……って、お姉ちゃんらしいけどね」

善子「まあ、そうだけど」

ルビィ「それに、まだ何かあるんでしょ?」

善子「……」

ルビィ「だってお姉ちゃんからプレゼントもらってないし」

善子「……はぁ」

善子「ルビィ、あんた本当によく見抜くわね」

ルビィ「えへへ~」

善子「……そろそろ頃合いかしら。行くわよ」

ルビィ「行くって?」

善子「屋上」

善子「そこでダイヤが待ってるわ」

ルビィ「……うん」
339: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:24:37.67 ID:TepVC2oN
~屋上~


ガチャッ

善子「……おまたせ」

ルビィ「お姉ちゃん……?」

ダイヤ「……いらっしゃい、ルビィ」

ヨハネ「待ってたわよ~」

ルビィ「えっと……」

ダイヤ「ルビィのことでしたから……きっと、わたくしが色々と企んでいることも知っていたでしょう」

ダイヤ「すみません、お待たせしました。今から、あなたへのプレゼントを渡します」

ルビィ「……お姉ちゃん?」

ルビィ「その服、何……?」

ダイヤ「えっ……や、何かおかしいかしら? ヨハネさんのローブをお借りしたのですが……」

ルビィ「あ、そうなんだ…………え、どうして?」

ルビィ「お姉ちゃん、もしかして堕天使に目覚めちゃったの!? ぅゅ……ど、どうしよう、お姉ちゃんまで善子ちゃんみたいになっちゃったら……」

善子「それどういう意味よ」

ルビィ「わ、悪い意味じゃないよ! その……でも、お姉ちゃんが……」

ダイヤ「違います、ルビィ」

ルビィ「えっ……」

ダイヤ「お姉ちゃんは堕天使ではなく、魔法使いになったのよ」

ルビィ「もっとヤバい方向だったよーーーー!!!」
340: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:26:41.25 ID:TepVC2oN
ダイヤ「な、ルビィ!?」

ルビィ「お、おねっ……お姉ちゃんが魔法使いになっちゃったよーーーー!!」

ダイヤ「ほ、ほんとうなんです! わたくしのプレゼントを贈るためには……ま、魔法を習うしかなくて……」

ルビィ「えっ……どういうこと……?」

ダイヤ「覚えているかしら……わたくしたちがまだ小さかった頃」

ダイヤ「二人でよく、スクールアイドルの真似事をして遊んでいたわね」

ルビィ「……うん」

ダイヤ「グループ名、覚えてる?」

ルビィ「も、もちろんだよ! ……ジュエルシスターズ。今でも、ルビィの宝物」

ダイヤ「……嬉しい」

ダイヤ「けれど、高校生になってわたくしは果南さんと鞠莉さんと本物のスクールアイドルになり……いざこざがあって、半壊」

ダイヤ「その八つ当たりとでも言わんばかりに、あなたに一切のスクールアイドルの話題を禁じました」

ルビィ「……うん」

ダイヤ「一緒に行こうと約束していた、μ'sのファイナルライブにも、結局行けませんでした」

ルビィ「そう……だったね」
341: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:31:28.45 ID:TepVC2oN
ダイヤ「わたくし、まだ……あの時のことを謝れていませんでした。本当にごめんなさい、ルビィ」ペコリ

ルビィ「ぇ、えっ……や、やめてよ! お姉ちゃんは悪くないよ……!」

ルビィ「そ、そりゃあ……あの時はびっくりしたし、悲しくて泣いちゃったこともあるけど……今は、事情もわかってるから」

ルビィ「それにね、ルビィ、今はお姉ちゃんと大好きなスクールアイドルのお話がいっぱいできて嬉しいもん! だからもう謝らなくてもいいよっ」

ダイヤ「……でも、わたくしはどうしても後悔してしまうんですよ。あなたが何より楽しみにしていた、何よりも愛していたμ'sの……最後の舞台を観られなかった」

ダイヤ「わたくしの八つ当たりで、あなたに観せてあげられなかった」

ダイヤ「……謝っても許してもらえることではありません。最後を見届けられないほど、悔しく辛いものはないのですから」

ルビィ「……お姉ちゃん」

ダイヤ「これで償いになるとは思ってはいませんが……あなたとの過去を取り戻したくて、わたくしはプレゼントを決めたんです」

ダイヤ「たった2年でも、あなたと心が離れてしまった……それがわたくしには耐えられなくて」

ダイヤ「これで取り戻せたら、と……」

ルビィ「お姉ちゃん……」
342: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:32:37.37 ID:TepVC2oN
ルビィ「……お姉ちゃん」

ルビィ「右手、出して」

ダイヤ「え……?」

ルビィ「いいから早くっ」

ダイヤ「は、はあ……」スッ

スッ……チャラ

ダイヤ「……え、こ……これは?」

ルビィ「えへへ……///」

ダイヤ「ルビィ……?」

善子「ルビィから、大好きなお姉ちゃんへの贈り物よ」

ダイヤ「……贈り物?」

善子「ルビィが心を込めて選んだパワーストーンのブレスレット。私だって協力してるんだから」

ダイヤ「……」

ルビィ「その石は……なんだっけ善子ちゃん」

善子「キャストライト」

ヨハネ「ふうん」

ダイヤ「……不思議な模様ですね。十字の線が、石の中で……」

ルビィ「うん! それの効果は────」

ヨハネ「あ、やば! ダイヤ!時間ないわよ!」

ダイヤ「!」

ルビィ「?」

ダイヤ「ルビィ、すみません……その話は後で必ず聞かせてください」

ダイヤ「今はわたくしと……行ってくださいますか?」

ルビィ「い、行くって……どこに?!」

ダイヤ「……2016年の、μ'sのファイナルライブに!」

ルビィ「えっ……え、えぇえぇええぇええええ!!???!」
343: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:35:19.66 ID:TepVC2oN
ダイヤ「わたくしが今、ここでこのような格好をしているのはあなたと共にファイナルライブへ行くためです」

ダイヤ「あの、行けなかったμ'sのファイナルライブに、あなたを連れて行きたかったから」

ダイヤ「あなたに……大好きなμ'sの最後の舞台を、観せてあげたかったから」

ダイヤ「だから、ここにいるの」

ダイヤ「……お願いします、一緒に行ってくださいますか?」

ルビィ「え、えっと……でも、ど、どうやって……?」

ダイヤ「ふふ、お姉ちゃん、魔法使いだって言ったでしょう?」

ルビィ「……え?」

ダイヤ「ヨハネさんの力をお借りして、過去へと戻る魔法を学んだんです。この、ただ一度限りの魔法ですが……今日、あなたの誕生日に贈りたくて」

ダイヤ「受け取っていただけますか……? この、チケット」ペラ

ルビィ「……これ」

ダイヤ「……実は、取っておいたんです。あの時のチケット────今まで、綺麗にして」

ダイヤ「ルビィ」

ルビィ「……お姉ちゃん」

ルビィ「……ぐす、っ」

ダイヤ「る、るびぃ!?」

ルビィ「お姉ちゃん、おね、ちゃん……ぅ、ぅうう」ギュウッ

ダイヤ「……ルビィ」ギュウッ

ルビィ「ぐ、すっ……いぐ、っ……いくよ、ルビィ」

ルビィ「お姉ちゃんのぷれぜんと……喜んで、お受けします……っ」

ダイヤ「……ありがとう」

ダイヤ「愛しています、ルビィ」
344: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:36:35.36 ID:TepVC2oN
ダイヤ「ヨハネさん」

ヨハネ「ええ、今宵は満月────そして今、月は一番輝く天辺に!」

ヨハネ「月の魔力は今が最高潮! ダイヤ、いくわよ!」

ダイヤ「はい!」

ダイヤ「ルビィ……少しの間、目を閉じてお姉ちゃんに抱きついていてね」

ルビィ「ぅ、うん……っ」ギュウッ

ダイヤ「……すう、はあ」

ダイヤ「善子さん、ヨハネさん……あとはお願いします」

善子「……うん」

ヨハネ「楽しんでいらっしゃい」

ダイヤ「……」コクン

ダイヤ「……すいっちおん!」

ダイヤ「────黒澤ダイヤが命じます! 時の扉よ……わたくしたちを、あの場所へ、あの時間へとお導きください」

ダイヤ「わたくしたちの約束の地へ、μ'sの最後の舞台へ────!」

善子「っ……これが、ダイヤの魔法……!」

ヨハネ「いける、これなら……!!」

────────!!!
345: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:39:44.15 ID:TepVC2oN
────2016年 3月31日 東京ドーム


ダイヤ「……ルビィ、ルビィ」

ルビィ「ぅ、うー……あたまがぐわんぐわん……」

ダイヤ「着きましたよ」

ルビィ「ほぇ……?」

ルビィ「……ぁ、え……」

ルビィ「ここ、ほんとに……?」

ダイヤ「ええ、そうです────あの日の、東京ドーム。わたくしたちが来れなかった……場所です」

ルビィ「ほんとに、ルビィ……お姉ちゃんとここに……」

ルビィ「ぁ……穂乃果ちゃんのシャツ。凛ちゃんのうちわ……あはは、すごいよあの人。カバンにいっぱいバッチつけてて……」

ルビィ「ルビィも、ルビィも……自分で作った花陽ちゃんのグッズ、あったのに……」

ダイヤ「ルビィ」

ルビィ「?」

ダイヤ「これ、どうぞ」

ルビィ「……これ、ルビィのはなよちゃん」

ダイヤ「あなたの応援グッズは全て持ってきています。ついでに、わたくしのものもですが」

ルビィ「おねぇ、ちゃん……っ」

ダイヤ「もうすぐ開演時間ですわ、ルビィ。わたくしたちが、ついに叶わなかった……μ'sの最後が」

ルビィ「……うん!」

ルビィ「あ」

ダイヤ「?」

ルビィ「あの……ぶ、ブレード……買ってもいい?」

ダイヤ「うふふ、もちろんです」
346: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:49:12.56 ID:TepVC2oN
~現在~


シュウゥゥ……

善子「……」

ヨハネ「……」

善子「……ねえ、成功したの?」

ヨハネ「……そのはずよ」

善子「こっちからじゃ、もう連絡は」

ヨハネ「取れないわ」

善子「……ちゃんと、帰ってくるのよね」

ヨハネ「ライブが終われば、帰ってくるはずよ」

善子「ちゃんと……この時間に帰ってくるのよね」

ヨハネ「数時間ほど、前後の誤差はあるはず……だけど、帰ってくるはずよ」

善子「過去に飛んですぐに出て来ないってことは……今より前の時間には戻ってきてないってことよね」

ヨハネ「……そうね」

善子「……帰ってくるかな」

ヨハネ「……」ギュウッ

善子「ルビィとダイヤ……帰ってくるかな」

ヨハネ「帰ってくるわよ。私が魔法を教えたんだもの……だから、信じましょ」

善子「……うん」
347: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:50:04.06 ID:TepVC2oN
ヨハネ「……あっちは今頃、ライブを楽しんでるわ。μ'sの最後の二日間を……全力で、最後まで」

善子「……そう、よね。きっとたのしんで……」

ヨハネ「そうよ。本気で楽しんでる……だから私たちは待ちましょう」

ヨハネ「私、コンビニまで飛んで夜食買ってくるから。善子はここに」

ギュッ

ヨハネ「……善子?」

善子「ごめん……今は一人になりたくない。一緒にいて」

ヨハネ「……わかったわ。隅に座りましょう」

テクテク

ポスッ

善子「……」

ヨハネ「……」

善子「……もたれていい?」

ヨハネ「え……善子が?めずらしいわね」

善子「こういう時は、いいよって言うの」

ヨハネ「……いいわよ」

善子「……」モフッ

善子「……」

ヨハネ「……よしよし」ナデナデ

善子「だめね、私」

ヨハネ「ん」
348: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:51:47.16 ID:TepVC2oN
善子「あの二人にとって大切な時間なのに……私、不安でたまらない。今もダイヤとルビィは、憧れのスクールアイドルを観に行って楽しんでいるのに」

善子「私……怖いの。ちゃんと帰ってくるか、また会えるか……」

ヨハネ「……そうね」

ヨハネ「2016年に行くのは……成功した。必ず、成功してる……私にはその確信があるわ」

善子「……そうなの?」

ヨハネ「ええ。月の魔力を借りることができたからね」

善子「……待ってよ。じゃあ帰りは」

ヨハネ「ライブの日から数日後に満月がある。だから、そこから飛んでもらうしかない」

善子「じゃあ二人は」

ヨハネ「その間は、どうにか過ごしてもらうことになってる。それだけの資金も用意してる」

ヨハネ「あとは……ダイヤひとりで、魔法を発動できるかどうか」

善子「それ、って……じゃあ、万が一失敗したら……!」

ヨハネ「発動すらしないなら、それでいい。ただ……私たちより2年歳上になったふたりが帰ってくるだけ」

ヨハネ「最悪なのは……時間の枠から外れて、死ぬことも老いることも眠ることもできず、永遠にどこにでいるしどこにもいない状態になってしまう」

善子「そんな、そんなの……」

ヨハネ「この説明は最初にしたわよ」

善子「っ……」

善子(そうだった……)

ヨハネ「そうならないためにも補充用の魔力も渡してあるし、何かあった時のために私がまだスタンバイしてる」

善子「……うん」

ヨハネ「大丈夫、大丈夫よ」ナデナデ

善子「……」

ヨハネ「……ルビィが教えてくれた元気が出るおまじない、してあげようか?」

善子「え……?」
349: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:52:48.47 ID:TepVC2oN
ヨハネ「……目、とじて」

善子「……またキスするつもりでしょ」

ヨハネ「……ばれたか」

善子「バレバレよ」

ヨハネ「したら……ダメ?」

善子「な、なんでそんな……」

ヨハネ「ちょっとだけよ。味見するだけだから」

善子「も、もお……なんで今日はそんなしつこいのよ……っ///」

ヨハネ「だってさっき、手伝って魔力いっぱい使っちゃったんだもの。だから善子から補充しようかなって」

善子「はっ……!?///」

善子「ば、ばかぁっ……ほんとに、そんな……それ、私、もう……ぅうぅ……///」

ヨハネ「ふふ、冗談。最初からおでこにするつもりだったわよ」スッ

善子「んっ……///」

チュッ♥︎

善子「……ぅー」

ヨハネ「元気でた?」

善子「わかんない……けど、無いよりはマシ」

ヨハネ「少しは出たなら上々」
350: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:54:30.03 ID:TepVC2oN
ヨハネ「んー……でも、魔力供給の観点で言うと、おでこじゃまったく吸えないのよねぇ……やっぱり粘膜同士の接触が」

善子「このエロ堕天使!」ベシ

ヨハネ「あいたっ!」

善子「そ、そういうのはしないってあんたが言ってたんじゃないの!」

ヨハネ「でも、善子は私が魔力切れで死にそうだった時、キスでもなんでもするって言ってくれてたでしょ?」

善子「そ、それは……でもあんた、今そこまでへばってないでしょ!?」

ヨハネ「まあね?」

善子「ほらあ!」

ヨハネ「……まあ、今は寄り添うだけで勘弁してあげる。これでも少しは回復するしね……」コテン

善子「……うん」

善子「……星、綺麗ね」

ヨハネ「そうね……ダイヤたちも同じ空を見てるのかしら」

善子「むこう4月でしょ? しかも東京だし……ここまで綺麗に見えないんじゃないの」

ヨハネ「……そっか」

善子「眠い?」

ヨハネ「ちょっとね……」

善子「やっぱり魔力使いすぎたのね」

ヨハネ「まあ……思ってたよりはね。あんまり使いすぎるとセーブモードになるから嫌なのよね」

善子「セーブ? パソコンみたいね」

ヨハネ「本当にそんな感じ……だけど、多分ずっと寝てるだけよ。数日くらい」

善子「……ちゃんと目、覚ますよね」

ヨハネ「当たり前でしょ。寝て魔力回復させてるだけなんだから」

善子「なら、いいけど」

ヨハネ「まあ、そんな事態にはそうそう────」

バチッ

よしヨハ『────!!』
351: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 19:56:24.46 ID:TepVC2oN
バチバチバチッ…

バシューン……!!


「ぅあ゛っ……!」ゴロン


ゴロゴロゴロ…


善子「────」

善子「る、ルビィ────!!」ダッ

ルビィ「ぁ、っはあ……はあ、っ……」ググ…

ルビィ「ぉ……ねえ、ちゃん!!!」

ヨハネ「!!」

ルビィ「お姉ちゃん、おねえちゃん! おねえちゃん!!」バシッバシッ

ヨハネ「や、やめなさい! 魔法陣を叩いたって意味は……!!」


バチバチ…

シュウゥゥ……


ルビィ「ぁあ、っ……ぁああ……」

ルビィ「おねえちゃぁああああん!!!」

善子「ルビィ、ルビィ! 落ち着いて、ルビィ……!!」ギュウッ

ルビィ「よ、しこちゃん……おねえちゃんが! おねえちゃんが帰ってこれなくて……ルビィだけひとりで行きなさいって、それでおねえちゃんだけ残って、ひとりでルビィ気づいたらここで……」

ヨハネ「落ち着きなさいルビィ!」ピシッ

ルビィ「ぁっ……」

善子(催眠術……いや、精神安定……?)

ヨハネ「何があったのか教えてルビィ」

ルビィ「……ご、ごめんなさいヨハネ様」

ルビィ「おねえちゃんが、おねえちゃんが戻ってこれないの……!」

善子「……!!!」

ヨハネ「っ…………」
352: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:24:56.38 ID:TepVC2oN
・・・


ルビィ「ルビィとお姉ちゃんは、ドームの公演を2日間最後まで見たんだ」

ルビィ「楽しくて、最高の二日間だった。改めてμ'sが大好きだって思ったし、ずっと終わらないで欲しいっていっぱい泣いちゃった」

ルビィ「お姉ちゃんもいっぱいいっぱい泣いてて……ふたりで、お互いの涙を拭いたりして、μ'sみたいに頑張ろうってお話ししたの」

ルビィ「それで……帰るのに満月の日じゃないとダメっていうから、ホテルやネットカフェでその日を待って……」

ルビィ「それで満月の日になった」

ルビィ「お姉ちゃんとルビィは、最初に来た場所……東京ドームに戻って、来た時みたいにお月様がてっぺんに来るまで待ってたの」

ルビィ「その間、ふたりでずっとμ'sのお話をしたり……これからのAqoursのことを話したり」

ルビィ「……ルビィとお姉ちゃんは相思相愛だねって笑ったりしてたんだ」

ルビィ「なのに……帰るのはルビィだけだって」

ルビィ「お姉ちゃんはこっちに残るから、2年後に会いましょうって」

ルビィ「ルビィだけ、ルビィだけお姉ちゃんの魔法で飛ばされて……っ」

ルビィ「おね、えちゃん……っ」
353: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:26:54.19 ID:TepVC2oN
・・・


ヨハネ「────」

善子「…………」

ヨハネ「やっぱり、魔力が足りてなかった……? それともイメージが……いや、現にルビィは戻って来てる」

ヨハネ「なら魔力が足りていないと考えるのが妥当ね……」

善子「どう、するの……ヨハネ……」

善子「ダイヤが……ダイヤが取り残されて……っ!!」

ヨハネ「大丈夫よ」

善子「何が大丈夫なのよ!!」

ヨハネ「私を誰だと思ってんの」

善子「……ヨハネ」

ヨハネ「そうよ。私は堕天使ヨハネ、あなたのヨハネよ」

ヨハネ「ルビィ、連れ戻しに行くわよ」

ルビィ「……ほん、と……?」

ヨハネ「ええ。でもそれにはあなたの力が必要なの」

ルビィ「ルビィの命で、お姉ちゃんが助かるなら……っ」

ヨハネ「バカ言わないの。誰も命まで取らないわよ」

ルビィ「……じゃあ……?」
354: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:27:35.69 ID:TepVC2oN
ヨハネ「ルビィの、ダイヤへの強い想いがいるの。悪いけど私の時間遡行の魔法は成功率がめちゃくちゃ低くてね」

ヨハネ「あなたの強い気持ち、心、想いがあれば……きっとダイヤのもとまで跳べる。魔力は月と私で賄うから────あなたが魔法を使うのよ」

ルビィ「ルビィ、が……まほうを……?」

善子「……ルビィが」

ヨハネ「お願い、ダイヤのために」

ルビィ「で、でも……ルビィ、魔法なんて使えないし……っ」

ヨハネ「任せなさい! 回路と魔力は全部私がフル活動で賄うわ。だからあなたは魔法に必要な想いの力を貸して」

ヨハネ「あなたのお姉ちゃんへの気持ち、想い……イメージ」

ヨハネ「それがあれば、きっと奇跡は起こるから……!!」

ルビィ「っ……わかった」

ルビィ「ルビィが出来るなら……ルビィが助けられるなら……」

ルビィ「……ルビィ、やるよ」

ルビィ「お姉ちゃんを助けたい! お姉ちゃんがいないと絶対に嫌だもん!」

ヨハネ「よし!」
355: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:29:25.41 ID:TepVC2oN
ヨハネ「月がすこし降りてる……魔力の波動が足りないわ」

善子「えっ……どうするの、それ……」

ヨハネ「補充用の魔力を家に取りに戻るしか……」

善子「でも時間が……!」

ヨハネ「……そうね。やりたくないけど、色んなものから魔力を集めるしか……」

善子「…………あっ」

ヨハネ「え?」

善子「……魔力ならここにあるわ!」

ヨハネ「……善子?」

善子「私にキス……すれば、魔力を渡せるでしょう?」

ヨハネ「な、なに言ってるの!? それは、だけど……あなたが嫌がってたことじゃ……」

善子「大事な友達の危機なのよ! ……キスくらいでゴネてられない」

善子「……私は、準備できてるから」

ヨハネ「……」

ヨハネ「……あとから怒らないでよ」

グイッ

ルビィ「ひゃぁっ……!!?///」

チュッ♡

善子「、っ……ん、むっ……」

ヨハネ「は、むっ……ん、ぢゅ……ちゅる、っふ……」

善子「ん、っ……んふ、ちゅ……っむ、ぁっ」

善子「はあ、はあっ……」ヨロッ

善子「っう……こ、こんなに体力持ってかれるものなのね……魔力、とられたら……っ」

ヨハネ「ヨハネのキスは特別なのよ───ごめん、ありがと。これだけあれば……大丈夫!」

善子「……はあ、はあっ……そ、う……れ

ヨハネ「……善子」

善子「?」

ヨハネ「やっぱり思ってた通り、美味しかった。私の好みな味だわ」

善子「ば、ばかっ……///」ゴシゴシ
356: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:33:02.48 ID:TepVC2oN
ヨハネ「よし……魔力は充分!これでいけるわ!」ゴオッ!

ヨハネ「ルビィ、手を」スッ

ルビィ「う、うん……」ギュウッ

ヨハネ「私の言葉を復唱して」

ルビィ「はい!」

ヨハネ「……黒澤ルビィが命じます」

ルビィ「く、黒澤ルビィが……命じます」

ヨハネ「時間の扉よ、開け」

ルビィ「時間の扉よ……開け」

ヨハネ「わたしを、お姉ちゃんの元へ」

ルビィ「ルビィを……お姉ちゃんの元に連れて行ってください……!!」

ヨハネ「……!」ゴオッ!!


バチバチバチッ!!


善子「……風が、すごい……っ」

ヨハネ「まだよ、まだ想いが足りてない! ルビィ!」

ルビィ「ぅ、ぅゆ……」

ルビィ「お姉ちゃん、お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん……っ」

ルビィ「お願いします、お姉ちゃんを助けたいの! ルビィはお姉ちゃんが大好きで、お姉ちゃんがいなくちゃ何もできないダメダメな子だけど……っ」

ルビィ「お願いします……! これからはお姉ちゃんを助けられるように、頑張ります! だから、だから……っ!!」


バチバチバチ…


ヨハネ「っ……ダメ、足りない……! このままじゃ変なとこに跳ぶ……!

ルビィ「そ、そんな……っ」
357: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:33:32.13 ID:TepVC2oN
ルビィ「ど、どうしたら……こんなに、思ってるのに……もう、どうしていいの……!?」

善子「ルビィ!!」

ルビィ「!!」

善子「あなたがお姉ちゃんに贈ったもの……あれの効果って、なんだっけ……!」

ルビィ「ぁ……キャストライトの、パワー……」

ルビィ「……」ギュウッ

ルビィ「……ルビィの、何より大切なお姉ちゃんの元に連れて行って」

バチバチバチ!!

ヨハネ「……っ!」

ヨハネ「…………行ってくるわ、善子」

善子「!」


バシューン……!!

シュウゥゥ…
358: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:41:48.75 ID:TepVC2oN
~???~

ダイヤ「……ルビィは、行きましたか」

ダイヤ「ふふ、まさか……お月様の力を借りて、ひとりが限界とは」

ダイヤ「ヨハネさんに怒られてしまいますでしょうか」

ダイヤ「……わたくしが彼女たちに会えるまで、2年」

ダイヤ「……あと2年ですか」

ダイヤ「短いようで、とても長く感じてしまいます」

ダイヤ「また、ルビィと離れていた時間だけ……みんなと離れてしまうのね」

ダイヤ「出会う頃には、わたくしは……もう、大人になってしまいます」

ダイヤ「それはそれで面白いかもしれません。すこし大人になって帰ってきた黒澤ダイヤの魅力、伝えられるでしょうか」

ダイヤ「……なんて、うふふ」
359: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:44:28.96 ID:TepVC2oN
ダイヤ「────ルビィ」

ダイヤ「ルビィ……あなたはちゃんと、帰れましたか?」

ダイヤ「楽しかったわね、μ'sのファイナルライブ。いっぱい声を出して、いっぱい汗をかいて、いっぱい泣いて……」

ダイヤ「ルビィ……あなたに今まで寂しくさせた時間を償えたでしょうか」

ダイヤ「わたくしの罪は……あなたを寂しくさせてしまったことは、償えたでしょうか」

ダイヤ「ルビィ……あなたは未来で、強く生きてください」

ダイヤ「必ず、一番にあなたに会いに行きますから」

ダイヤ「ルビィ……愛しています」

ダイヤ「あなたを、誰よりも……心の底から」

ダイヤ「わたくしの命よりも大切なルビィ」

ダイヤ「……ルビィ、ルビィ……2年、頑張りますから。あなたに会える時……謝れるように、頑張って、大きくなりますから……っ」

ルビィ「ルビィ……ルビィぃい……会いたいですわルビィ~~!! うぅぅぅ……!!」

「お姉ちゃん!!」

ダイヤ「あぁ……わたくしとしたことが、幻聴が……」

「おーねーえーちゃーん!」

ダイヤ「おかしいですわ……幻視まで……これほどルビィを愛していたのね……」

ダイヤ「さっき未来に帰したはずのルビィが目の前に……」

「お姉ちゃんの……おばか~~~!!」ダッ

黒澤家秘伝奥義!

正突
拳き

ダイヤ「ぐふぅっ!?」

ベシャ

ドタバタゴロゴロゴロ……

ダイヤ「い、いたたた……な、何が……」

ルビィ「……」

ダイヤ「え……る、びぃ……?」
360: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:45:31.07 ID:TepVC2oN
ダイヤ「ルビィ? ルビィ!? な、なぜルビィがここに!? まさか自力でまたここまで!?」ガバッ

「必殺ァつ!!!」

ダイヤ「!?」

「堕天鳳凰縛ーー!!」ガシッ

ギリギリギリギリ!

ダイヤ「ぴぎゃあぁーーーー!!! いたたたたたたた!!! な、なんですの!!誰ですか!」

パッ

ダイヤ「ぁいたたた……」

ヨハネ「ふん!」

ダイヤ「……善子さん?」

ヨハネ「ヨハネよ!!」

ルビィ「ヨハネ様だよ!」

ダイヤ「ヨハネさん!?」

ダイヤ「な、なぜあなたたちがここに……まさかここはもう2018年でわたくし、気づかぬうちに2年を……」

ヨハネ「ここは2016年だし2年も過ごしてない! 帰ってきたルビィ引っ張って弾丸で迎えにきたの!」

ダイヤ「……」

ダイヤ「えっ」

ルビィ「えっ……じゃないよお姉ちゃん! 勝手に、かってに……るびぃだけ、かえらせて……ひとりにするなんて……!」

ルビィ「そんなの、お姉ちゃんとお喋りできなかった2年間より嫌だよ……」

ルビィ「お姉ちゃんと同じ時間を生きられないなんて……やだよ……!」

ダイヤ「る、ルビィ……」

ヨハネ「ったく……心配してたのよ。ダイヤが失敗する可能性は魔力不足かイメージ不足」

ヨハネ「結局魔力不足で跳べないなんて……だから言っていたのよ補助用の魔力を用意しとけって」

ダイヤ「……言われた覚えがないんですが」

ヨハネ「言ったわよ描写されてないとこで!」

ダイヤ「す、すみません……」

ヨハネ「はぁぁ……もう、ほんとバカねあなた……」
361: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:46:21.39 ID:TepVC2oN
ダイヤ「ですが、わたくしはなんとしてもルビィだけは……」

ルビィ「ルビィは……そんなことになるくらいなら、ここでお姉ちゃんといたほうがいいもん」

ダイヤ「な、何を言ってるんですか!? ルビィ、あなた今自分が何を……」

ルビィ「分かってる! 分かってるもん……!」

ダイヤ「ルビィ……」

ルビィ「ルビィは……お姉ちゃんがいないのが嫌。何より嫌、死んでも嫌! ……だからそのブレスレットを送ったんだよ?」

ダイヤ「……あ」チャラ

ダイヤ「……これを持っていたから、わたくしを?」

ルビィ「うん……そうだよ」

ルビィ「その石の名前は、キャストライト」

ルビィ「効果は、誠実な愛……二人の絆をつなぐ」

ルビィ「お姉ちゃんとルビィがずっと一緒に……何があっても一緒に入られますようにってお願いを込めて作ったんだよ」

ダイヤ「────、」

ルビィ「お姉ちゃんの誕生日プレゼント、とっても嬉しかったよ? でも、それは……お姉ちゃんがいたから」

ルビィ「お姉ちゃんがいないと……ルビィはこれからどんな楽しいことも楽しいと思えなくなっちゃう」

ルビィ「お姉ちゃん……言ったでしょ。ルビィのこと、もう二度と突き放さないって! さっきのことは無しにしてあげるから、一緒に帰ろっ」

ダイヤ「っ……」

ダイヤ「……っ、っ……る、び……っ……」フルフル

ルビィ「……大好きなお姉ちゃん」ギュウッ

ルビィ「ルビィは出来損ないで、ぐずで、のろまかもしれないけど」

ルビィ「お姉ちゃんを大好きな気持ちだけは、誰にも負けないの」

ルビィ「ちっちゃなルビィの、ちっちゃなハート……受け取ってくださいっ」

ダイヤ「るっ……るび、ぃ……ルビィ……ぅ、っく……うぁ、ぁぁぁあっ! ぅあああああ!」ギュウッ

ヨハネ「……」

ヨハネ「……一件落着……かなっと」フラッ

ヨハネ「やば……魔力使いすぎ。身体、重過ぎ……」

ヨハネ「……さてと、帰らないとね……」
362: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:50:32.20 ID:TepVC2oN
~現代、1週間後~


ダイヤ「……」

ルビィ「……」

千歌「……ねえねえ善子ちゃん」

善子「?」

千歌「なんか、最近あの二人……ダラけてない? 私の気のせいかな……チカがダラけてるからそう見えるのかな?」

善子「……二人は確かにダラけてるし、千歌は毎日いつでもダラけてる」

千歌「そんなー……」

善子「……まさかμ'sロスをこっちで引っ張るなんてね」

千歌「みゅーずろす……?」

善子「うん」

ルビィ「はなよちゃん……」

ダイヤ「エリーチカ……」

ルビィ「お姉ちゃん……」

ダイヤ「ルビィ……」

ルビィ「もう一回見に行けないかな……」

ダイヤ「もう魔法は使えませんわ……」

ルビィ「どうして……」

ダイヤ「ヨハネさんにはもう魔法は使わせないと、言われてしまいましたから」

ルビィ「そんなぁ……」

ダイヤ「そもそもわたくしの手に余る力……持っていてはいけなかったのです」

ルビィ「そっかあ……」

ダイヤ「はい……すみません、ルビィ」

ルビィ「大丈夫……帰ったらライブBD見ようね」

ダイヤ「はい、もちろん……」

千歌「ふたりはいったい何を話してるのやら……千歌には難しい内容なのであった」

善子「なに語り部っぽい喋り方してるのよ」
363: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:52:44.28 ID:TepVC2oN
・・・


善子「動乱の9月……誕生日でした、ってね」

善子「ヨハネもルビィもダイヤも帰ってきたし、一件落着」

善子「さっき本人も話してたけど、ダイヤは魔法の力を失ったらしい」

善子「ヨハネに閉じられたとか言うけど、本当は強すぎる魔法を使ったせいで回路が機能を停止しただけみたい」

善子「魔法使いにはよくあることらしくて、普通はそこからリハビリすることで回復、ついでにパワーも底上げされるんだって」

善子「まるでサイヤ人みたいな特性ね、魔法」

善子「でもそれをダイヤに伝える気はないみたい。魔法使いを狙ったエージェントから守るためらしいわ」

善子「私もこれでいいと思う。一度限りだからこそ、ダイヤも強く想いを持てたんだろうし」

善子「で、ルビィとダイヤはμ'sロスを引きずったままだけど、今まで以上に二人仲良くしている」

善子「……姉妹の一線超えたりしてないわよね?」

善子「大丈夫よね、うん……多分。おそらく」

善子「さて、ヨハネはというと……」
364: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/12(水) 20:54:09.62 ID:TepVC2oN
~ヨハネの部屋~

善子「……帰ったわよ」

ヨハネ「すう……すう……」

善子「……まだ寝てるのね」

善子(……セーブモード、だっけ)

善子(魔力を使いすぎた結果の、充電期間。冬眠って言った方が良さそうだけど)

善子「ほんとに回復してるのかな……」

善子「……」

善子「帰ってきて、もう1週間よ」

善子「……いつになったら目を覚ますのよ、バカ」

善子「いつまでひとりで居させるつもりなのよ……」

善子「……」

善子「……今からやるのは、治療行為だからね。そういう、あれじゃないから」

善子「ねぼすけの眠り姫……そろそろ起きる時間よ」


……チュッ


#4 ヨハネとジュエルシスターズ 完
377: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:44:46.17 ID:depO6Fxp
~ミスド~


千歌「やってきたぞミスタードーナツ!」

梨子「千歌ちゃん店内で騒がないで……」

千歌「だって久しぶりなんだも~ん!」

曜「内浦の方にはないもんね」

千歌「梨子ちゃんも嬉しいでしょ? 17歳になってはじめてのミスドだよ! 感慨深いってもんだよね!」

梨子「と、特に感慨深くはないけど……そういえば、私も久しぶりかな?」

千歌「え、そうなの? 梨子ちゃん、東京にいた頃には毎日行ってるもんだと思ってた!」

梨子「そんな毎日行くほどお金はありません……」

梨子「それに、東京にはどこにでもあったから」

千歌「どこにでもあるから逆に行かないだってぇ!? 梨子ちゃんめ、沼津を田舎扱いして!」

梨子「えぇっ!? そ、そんなことは言って……」

千歌「どーせ田舎だよ悪かったなちくしょー!」

梨子「えぇぇえ……」
378: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:45:51.03 ID:depO6Fxp
曜「まあまあ怒らない怒らない」

千歌「だって田舎だもん! 田舎に田舎って言うのは悪口だよ! 田舎なんだもん言い返せないよ!」

曜「田舎田舎連呼しないで……」

千歌「ぐぬぬぬ……こーなったらやけ食いだよ! 曜ちゃん、片っ端から全部買ってきて! 梨子ちゃんのおごりで!」

梨子「なんで私なの!?」

曜「はいはい、自分で買って食べようね」

千歌「ちぇー……」

梨子「もお……」
379: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:47:15.56 ID:depO6Fxp
・・・


千歌「席確保ー!」

千歌「わたしはオレンジジュースとポンデリング!」

曜「わたしはりんごジュースとダブルチョコレート」

梨子「わたしはリンゴとカスタードのパイとロイヤルミルクティ……」

千歌「パイ!? パイですとな梨子ちゃん!」

梨子「えっ!? だ、だめだったかな……」

千歌「はー……梨子ちゃんはやっぱり東京っ子だね」

梨子「え、なんで……?」

千歌「だってパイだよ? ミスドの商品の中でも単価の高いパイだよ?」

千歌「それを注文できるなんて、やっぱり梨子ちゃんは東京の女だね。やっぱり東京の女はやばいね」
380: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:48:01.41 ID:depO6Fxp
梨子「東京関係ないと思うんだけど……」

千歌「いいやあるね! 私たち田舎の農民達は少ないお小遣いを頑張って頑張ってせこせこ貯めて、やっとの思いでこのミスタードーナツに来るんだよ」

曜「いや私たち農民じゃないし、そこまで少なくないよねお小遣い」

千歌「だから私、ポンデリングだよ? 税込108円だよ?」

千歌「曜ちゃんのはなんだっけ」

曜「え、私はダブルチョコレート……税込129円」

千歌「ほらリーズナブルだよ!」

千歌「梨子ちゃんのアップルパイはおいくらか!」

梨子「えっと……税込216円、だね」

千歌「はー! これだからトーキョーの女は!」

梨子「そんなにだめかなあ……」

千歌「んー……じゃあ飲み物は?」

梨子「飲み物?」

千歌「その紅茶の値段!」

梨子「えっと……税込302円」

千歌「300!!」

梨子「で、でもこれは……!」
381: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:48:55.47 ID:depO6Fxp
千歌「さんびゃくえんですってよーちゃん! 私たちのジュースは税込259円なのに!」

曜「あんまり変わらないような……」

千歌「変わるよ! ドーナツの差が108円! ドリンクで42円!」

千歌「合計150円! もう一個ドーナツ買えるよ!」

千歌「かーっ! やっぱトーキョーの女だねえ梨子ちゃんは! 羨ましいご身分だよ! いっつもこんないいやつばっか食べてるんだよね!」

梨子「……」

曜「ち、千歌ちゃんもうやめなって! 梨子ちゃん泣いちゃうよ!」

千歌「え、ほんと? ごめん!」

梨子「……お代わりできるもん」

ようちか『……え?』

梨子「このロイヤルミルクティ……お代わりできるもん」

梨子「そのジュースは一杯で終わりだけど……おかわり自由なんだよ。何回でも飲めるもん。一回だけの楽しみじゃないんだよ何回でも楽しめるもん!」

千歌「お、おぅ……」

曜「梨子ちゃんが怒った……」

梨子「そ、そりゃあ……久しぶりに友達と来るから嬉しくてちょっと奮発しちゃったけど……」

梨子「私だって毎回毎回高いもの食べてるわけじゃないもん……」

梨子「東京の女の子だって、少ないお小遣いを頑張って貯めたり、日々の自由な時間を削ってアルバイトして頑張ってお金貯めて、そんな自分にご褒美でちょっとだけいいもの食べてるんだもん!」

梨子「わかりましたか、千歌ちゃん!」

千歌「は、はいわかりましたごめんさい!!」

曜「……梨子ちゃんって怒るんだ」

梨子「曜ちゃんも!」

曜「え、私!?」

梨子「ちょっとくらい助けてよ……」

曜「あー……うん、ごめん」

曜「やりとり的に口を挟んだらよくないかなって……空気を読んでしまいました」

梨子「うぅぅ……」
382: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:50:47.79 ID:depO6Fxp
梨子「はあ……もう、ふたりとも……」

梨子「……じゃ、食べよっか。ナイフとフォーク借りてきたから、二人にも分けてあげるね」

千歌「え、なんで!?」

梨子「え? 普通そうじゃないの?」

曜「……そんなこと考えたこともなかった」

梨子「あはは、そうなの? 3人で違うものを頼めば、みんなで分けて一緒に食べられる……かな、って思って」

千歌「……梨子ちゃん」

梨子「?」

千歌「あなたが私の女神でしたか……」

梨子「えぇっ!?」

曜「またオーバーな……」

千歌「じゃあ私のポンデリングも分けてあげるよ! モコっとしてるとこ1個!」

曜「セコいな……」

曜「でも、分けて食べたら確かに色んな味が楽しめるもんね。私のも3分の1わけるよ」

千歌「わーい!」

曜「千歌ちゃんも3等分だよ」

千歌「うっ……はーい」

曜「露骨にテンション下げないで……」

千歌「あれー?」

ようりこ『ん?』

千歌「あれ、善子ちゃんとヨハネちゃんじゃない?」

梨子「え?」
383: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:52:35.01 ID:depO6Fxp
曜「あ、ほんとだ。やっと目ぇ覚ましたんだねヨハネちゃん」

千歌「昨日はまだ居なかったし、今日起きたのかな?」

梨子「流石に起きてすぐ来れないと思うし……昨日には起きてたんじゃないかなぁ」

梨子「善子ちゃん、ヨハネちゃんのことになると過保護だし。ほら……腕組んで来てるよ。まるで恋人みたいだね、同じ顔なのに」

曜「梨子ちゃんものすごいこと言うね」

千歌「まあ、どっちでもいいんだけど……よかったね、ちゃんと起きてくれて」

曜「うんうん、みんな心配だったからね。特にダイヤさんとルビィちゃんは胃に穴があくんじゃないかってくらい憂鬱そうだったし」

千歌「にしても、こんなところで二人でミスドデートですか……羨ましいですな」

曜「ここにいるのは……普通に考えたら、当たり前のことなんだけどね? 家からすぐだし」

梨子「沼津だもんね」

千歌「なに選んでるんだろう……」

梨子「あんまり見ない方が……」

千歌「えー? でも気にならない?」

曜「……なるかも」

梨子「ならないで……」
384: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:53:31.08 ID:depO6Fxp
・・・

善子「なにするの?」

ヨハネ「いや……え、ほんとにいいの?」

善子「なんでそんなひいてんの……」

ヨハネ「だ、だって善子が自分から私にミスド奢るなんて……」

ヨハネ「しかも、なんでも好きなだけ!? おかしいでしょ!」

善子「いらないなら、私とママの分だけ買って帰る」

ヨハネ「いるけど!」

ヨハネ「……いいの?」

善子「いいの。……あんたがちゃんと起きてくれたから、プチ祝いみたいな感じ」

ヨハネ「……ほんとに寝てただけだから納得いかないんだけど」

善子「いいから、私がしたいのよ」

ヨハネ「……」

ヨハネ「じゃあポンデリングとゴールデンチョコレートとストロベリーリングと……」

善子「ん」ヒョイヒョイヒョイ

ヨハネ「全部2個ずつ……」

善子「よく食べるわね」ヒョイヒョイヒョイ
385: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:54:09.79 ID:depO6Fxp
ヨハネ「……まだ買っていいの?」

善子「え、いいわよ?」

ヨハネ「……何か企んでるんじゃ」

善子「そろそろ怒るわよ」

ヨハネ「……」

ヨハネ「ハニーチュロ」

善子「はい」

ヨハネ「……エンゼルフレンチ」

善子「ん」

ヨハネ「アップルパイ」

善子「よく食べるわねあんた……」

ヨハネ「フレンチクルーラー、オールドファッション、チョコファッション、ハニーディップ」

善子「はいはい」

ヨハネ「……もう満足」

善子「そう? じゃあ全部持ち帰りで……」

ヨハネ「あ」

善子「ん?」

ヨハネ「……店内で、どれか食べない? せっかくふたりきりでお出かけしてるんだし」

善子「ん……そうね、じゃあ席取っといて。飲み物はホットティーでいい?」

ヨハネ「……うんっ!」テテテーッ
386: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/13(木) 20:55:35.38 ID:depO6Fxp
・・・


千歌「……」

曜「……」

梨子「……」

ようちかりこ『めっちゃ食べるじゃん……』

千歌「え、嘘でしょ……何個食べるのひとりで」

曜「か、家族で食べるのかもよ? ほら、持って帰って」

梨子「家族で食べるにも多すぎるよねあれは……しかも席取りしてるよ? もしかしてここで食べるんじゃ……」

曜「……まさかふたりで?」

梨子「……ま、まさか……」

曜「だ、だよね……あはは、ははは……ね

千歌「私たちの争いが子供の喧嘩に見えてきちゃったよ」

千歌「ごめんね梨子ちゃん……やっぱり東京の女より沼津の堕天使の方がやばいみたい」

梨子「あ、あはは……大丈夫だよ、うん」


#4.5 「やっぱり東京の女より」 完
400: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:15:10.55 ID:NXgd03UP
~夜中~


善子「……」ボケー

カチャ…

キイィ…

ヨハネ「おじゃまし……げっ、起きてる」

善子「ん……ヨハネ」

ヨハネ「お、おぅ」

善子「こっち来て」ポンポン

ヨハネ「……どうしたの?」トテトテ

ドサッ

善子「なんか眠れなくて」

ヨハネ「エナドリの飲みすぎじゃないの?」

善子「飲んでないわよそんなの」
401: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:15:52.29 ID:NXgd03UP
善子「あんたは? また夜這い?」

ヨハネ「べ、別にそんなわけじゃないわよ? ただ……なんか、人肌恋しいなー……なんて?」

善子「ふうん」

ヨハネ「ほんとに大丈夫?」

善子「もたれていい?」

ヨハネ「いいけど」

ポスッ

善子「ん……落ち着く」

ヨハネ「……」ナデナデ

善子「ねえ」

ヨハネ「ん?」

善子「もし、私がね」

ヨハネ「うん」

善子「いなくなったらどうする?」

ヨハネ「……それは、私に対する何か? 文句みたいなものを遠回しに言ってる?」

善子「そうじゃなくて、どうするのか純粋に聞きたいだけよ」

ヨハネ「……まあ、そりゃあ探すわよ。何があっても見つける。私にはあんたが必要だし」

善子「魔力の供給源だから?」

ヨハネ「愛する我が半身だから」
402: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:16:20.11 ID:NXgd03UP
善子「……」

ヨハネ「何かあった?」

善子「……ちょっと外散歩しない?」

ヨハネ「え、夜中なんだけど」

善子「いいじゃない。どうせこのままでも眠れないし」

ヨハネ「私も行くの?」

善子「私ひとりで行かせるの?」

ヨハネ「そりゃあ、善子ひとりにするわけにはいかないけど」

善子「……じゃあいきましょ」

ヨハネ「着替えないと」

善子「ジャージでいいじゃない」

ヨハネ「せめて防寒具。外、寒いわよ」

善子「冷たい風に当たりたいわ」

ヨハネ「冷たいの限度を考えなさいよ限度を」

善子「へーきへーき」パタパタ

ヨハネ「あ、ちょっと……」

ガチャッ

ヒュー…

善子「うっわ……さむ」

ガチャッ

ヨハネ「先に行かないでって」

ヨハネ「ほら、首出して」

善子「ん」

ヨハネ「ったく、マフラーくらい巻いていきなさいよ」ファサッ

シュッ

善子「ありがと」
403: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:17:04.85 ID:NXgd03UP
ヨハネ「普段はおしゃれに気を使うくせに」

善子「夜中は誰も見てないから、いいかなって思わない?」

ヨハネ「思うわよ? 思うけど……せめて、コートまでは言わないけど少しは気を使いなさいって」

善子「私が適当でもヨハネがちゃんとしてくれるでしょ」

ヨハネ「……最近私のこと頼りすぎじゃない?」

善子「そう? なんやかんや打ち解けてきたのかもね」

ヨハネ「え、今更? 打ち解ける云々って今更なの?」

善子「ただの冗談よ」

ヨハネ「いやわかってるけど……」

善子「……手」スッ

ヨハネ「んー……今日は腕を組みたい気分」ギュウッ

善子「……まあいいけど。自分より背の高い人に腕を組まれるのってバランス悪くない?」

ヨハネ「じゃあ善子が組めばバランス良くなる?」

善子「……じゃあそうする」ギュウッ

ヨハネ「ほんとに珍しいわね……大丈夫? 熱とか」

善子「ないから」
404: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:17:40.24 ID:NXgd03UP
ヨハネ「……まあ熱があるならすぐに帰るだけだしね。それじゃあ行きましょ」テクテク

善子「どこに行こうかしら」テクテク

ヨハネ「散歩でしょ? 別に行き先とか決めずにダラダラ歩けばいいじゃない。遠くまで行ったら、私が飛べばいいし」カチ

ピンポーン

【1階へ参ります】

ヴーン…

善子「なんかエレベーター、電球白いからちょっと怖くない?」

ヨハネ「そう?」

善子「ホラー映画のテイストを感じるというか」

ヨハネ「あー……なるほどね」

ピンポーン

【1階です】

ウィーン

ヨハネ「さてと、マンションも出たことだし」

善子「おさんぽラリーのスタートね」

ヨハネ「さて、行ける方向は……沼津駅方面と、その逆と、橋を渡って向こう側ね」

善子「そうね……じゃあ適当に」

善子「この悪魔の杖の向いた方向にでもいきましょうか!」ビシッ

ヨハネ「……そんなのどこで拾ったのよ」

善子「さっきそこで」

ヨハネ「ふうむ」
405: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:18:10.95 ID:NXgd03UP
善子「ヨハネ、投げて」

ヨハネ「え、私?」

善子「うん」

ヨハネ「いいけど……」ポイッ

コロコロ…

ヨハネ「橋を渡って向こう側ね」

善子「ん」

テクテク

トテトテ

善子「……マンションの裏の広場」

ヨハネ「思い出すわね。私が消える消えないって言い合いになったところ」

善子「あの後、すぐ自転車飛ばして魔法堂まで行ったのよね」

ヨハネ「懐かしく感じるわね」

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「大丈夫よ、私はいなくなったりしないから」

善子「………………わかってるわよ」
406: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:19:04.63 ID:NXgd03UP
善子「夜中のこの橋、ライトが点灯してて綺麗よね。私、前に遠くからこの橋を眺めたときに見惚れちゃった」

ヨハネ「ああ……オレンジの街頭のおかげで映えるわよね」

善子「ついでに星も見えるし」

ヨハネ「何も関係ないわよねそれ」

善子「……」

ヨハネ「適当に言ったでしょ」

善子「し、知らない」

ヨハネ「……」

善子「……今ここで川に飛び込もうとしたらどうする?」

ヨハネ「止めるに決まってんでしょ」

善子「もしそれを振り切ってジャンプしたら?」

ヨハネ「すぐに私も飛んで助けるわよ」

善子「……ま、そうよね」

ヨハネ「……?」

善子「寒い……見て、ちょっと息が白い」

ヨハネ「────ほんとね」

善子「もう冬なのね……」

ヨハネ「言ってるうちにクリスマスね。我が宿敵ジーザス・クライスト……」

善子「クリスマス……Aqoursでパーティするのかしら」

ヨハネ「いいわね。私も行きたい」

善子「もちろん。心配しなくても、ヨハネの参加は決まってるから」
407: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:19:50.40 ID:NXgd03UP
ヨハネ「何するのかしら……まずターキーね。マリーの家のコックは最強レベルで腕がいいから」

善子「ターキー……」

ヨハネ「それにたくさんフルーツがのった大きなケーキ。イチゴにメロンにブドウに……」

善子「みかん」

ヨハネ「いらないわよ……」

善子「みかんがないと怒る人がいるもの」

ヨハネ「ああ、善子のお気に入りね」

善子「いや別に気に入ってないし」

ヨハネ「でも、あの人が堕天使ヨハネを救ってくれたのよ?」

善子「まあ……それには感謝してるわ。今も私が堕天使ヨハネとして現世に降臨できているのは、千歌のおかげだから」

善子「ほんとに、感謝してもしきれない」

ヨハネ「ふふ、あなたって心底Aqoursのメンバーが好きよね」

善子「はあ? 何よいきなり……」

ヨハネ「だって救世主の千歌に、気さくに絡んでくれる曜と果南、いつも優しく微笑んでくれる梨子、我が弟子ダイヤ、親友のルビィと花丸」

ヨハネ「そして、私たちのお姉ちゃん────鞠莉」

善子「私は別にお姉ちゃんなんて認めたわけじゃ……」

ヨハネ「いいのよ、マリーがそう言って引かないんだし」

善子「……面倒な人だわ」

ヨハネ「でも大好きでしょ?」

善子「まあ」

ヨハネ「でも、一番好きなのはヨハネよね?」

善子「うん」
408: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:20:35.37 ID:NXgd03UP
ヨハネ「もお、そこは、うんって答えるところ…………は!?」

善子「?」

ヨハネ「いや、そこ……普通、絶対私って言わない流れでしょ」

善子「……ああ、確かに」

ヨハネ「善子……あんたほんとに何があったのよ。素直すぎない?」

善子「……別に、今は素直なだけ」

ヨハネ「珍しいわね」

善子「スーパーレアよ」

ヨハネ「いつも素直ならいいのに」

善子「ほんとに思ってる?」

ヨハネ「うーん、いつも素直だとそれはそれで調子崩れて無理かも」

善子「無理ってあんた……ぶっ飛ばすわよ」

ヨハネ「ふふ、怖い怖い」

善子「はあ……寒い」

ヨハネ「そうね……」

ヨハネ「次、どっち行く?」

善子「悪魔の杖に聞きましょ」

ヨハネ「次は善子が投げるのよ」

善子「ん」ポイッ

コロコロ……

善子「あっち」

ヨハネ「お、やったわね。この方向にはセブンイレブンがあるわ」

善子「不幸は私たちにしては、ついてるわね」
409: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:21:38.34 ID:NXgd03UP
ヨハネ「そういえばあのコンビニ、花丸と二人で買い物に来たっけ」

善子「ああ、ルビィとずらまるに紹介したときね」

ヨハネ「あの時、こっそり二人で肉まん食べたのよ」

善子「は? 聞いてないんだけどそれ」

ヨハネ「内緒にしてたもの」

善子「私も食べたかった」

ヨハネ「いま食べましょ」

善子「置いてるかしら」

ヨハネ「ここなら置いてる」

ガチャッ

ピロリロリロ♪

エアロスミスー

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「どしたの」

善子「眩しくて……」

ヨハネ「こっちよ」

善子「ん」

ヨハネ「紅茶買う?」

善子「ん……肉まん食べるならお茶がいい」

ヨハネ「じゃあお茶ね」

善子「あ、チキン」

ヨハネ「食べる?」

善子「ぐっ……夜中にチキン……暴力だわ……」

ヨハネ「肉まんとチキンと、これください」

善子「あー!?」

ヨハネ「どーもー」

ムラオコシクルスタンハンセーン
410: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:22:13.68 ID:NXgd03UP
・・・


ヨハネ「あち、あちち…」ムシッ

ヨハネ「はい」

善子「ありがと……あっつ」

善子「いただきます」

ヨハネ「いただきます」

善子「うわ、熱気すご……ふう、ふう……」

善子「はむ、ふほ……はふ、ほふほふ……」モグモグ

善子「んはあ……うまぁ……♡」

ヨハネ「はふ、んむ……ほふ、ふは……♡」

パキャッ

ゴクッ…

ヨハネ「ぷはあ……あったまるわ……」

ヨハネ「ほら。肉まん頬張った後にお茶飲むとやばいわよ」

善子「ん……コク」

善子「あ゛~……」

ヨハネ「ね?」

善子「あったかい……おいしすぎ……」

善子「あ、間接キス」

ヨハネ「今更でしょ」

善子「あんたとのキスに慣れてはいけない気がする……」

ヨハネ「まあ、とっておきだからね」

善子「……///」

ヨハネ「照れてるの?」

善子「あ、当たり前でしょ……///」

ヨハネ「ふふ、ウブなのね」

善子「うるさいわよっ!」
411: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:23:12.29 ID:NXgd03UP
ヨハネ「ヨハネお姉ちゃんがリードしてあげましょうか? 優しく、気持ちよく♡」ギュウッ

善子「囁くな息吹きかけるな腰に手を回すな~!」

ヨハネ「あ、ほっぺに餡ついてるわよ」

善子「え、ほんと?」

ヨハネ「ほんと。……ちゅぅ」

善子「……!!?」

ヨハネ「ペロリ……んふ、おいし」

善子「……ぁ、ぅ……///」

ヨハネ「あら、固まっちゃった」

善子「ぅ、あぅ、あぅぁ……」

ヨハネ「……ちゅ」

善子「ん、むっ!!?」

ヨハネ「んむ、っふ……はむ」

善子「ちゅ、む……ん、んーっ!」グイッ

ガオォォーン…!!

ヨハネ「ぷは」

善子「っ……な、なにすんのよぉ!!?///」

ヨハネ「え、口にもしてほしそうだったから」

善子「ほ、……ほ、ほしくなんかないわぁ! っていうか今のなんかすごい音出してた車に見られたでしょ!!」

善子「……み、見られた……ぅぅ、ヨハネにキスされたとこ見られたぁぁ……///」

ヨハネ「いいじゃない、もっと見せつけてあげれば」

善子「そ、そういうもんじゃないでしょ……きす、って」

ヨハネ「……///」キュンキュン♡

ヨハネ「善子、ほんとに可愛いわねもう……肉まんの味だったけど」

善子「ぶ、ぶっとばすわよ!?」

ヨハネ「次はもっと激しいヤツしてあげる♡」

善子「しなくていいからっ!!」
412: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:23:36.57 ID:NXgd03UP
ヨハネ「あ、チキン冷めちゃう」ガサガサ

善子「ちょっと話逸らさないでよ! 私はまだ怒って────」

ヨハネ「どうどう」グイッ

善子「むぐっ……」モグモグ

ヨハネ「チキンおいしい?」

善子「むぐぐ……おいひぃ」

ヨハネ「ヨハネのキスとどっちが美味しい?」

善子「黙れ」

ヨハネ「あら怖い」

善子「ん、かじっちゃったけど半分あげる」

ヨハネ「ありがと」ハム

ヨハネ「んー……ちょっと冷めてる」モグモグ

善子「夜中だし仕方ないわ」

ヨハネ「そうねえ……」

ヨハネ「ちょっと温まったらすっきりしてきた」

善子「ん、そうね。私も気分はマシ」

ヨハネ「そう? ならいいんだけど……結局なにがあったのよ」

善子「ちょっと、うん……」

善子「いや、結果的には何もなかったんだけど」

ヨハネ「?」
413: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:24:16.34 ID:NXgd03UP
善子「えっと……」

善子「ヨハネが、いなくなる夢見ただけ」

ヨハネ「……ああ」

善子「目を覚ましたらね……ヨハネがいないの。いつも私の隣に寝てるはずなのに」

善子「リビングにもいないし、トイレにもいないし。あんたの部屋は前の物置のまま」

善子「ママに聞いたら、また変なこと言ってって怒られた」

善子「Aqoursのみんなも、ヨハネは私だって。あんたの存在が消えた……ううん」

善子「多分……それはあんたが生まれなかった世界なのかもしれない。そこに私が迷い込んだのかな……」

善子「……なに言ってんのかしら、寝ぼけてて支離滅裂ね」

ヨハネ「……それでもいいわよ、全部聞くから」

善子「うん……」

善子「で……あんたのことを知ってる人は私だけなの。もちろん私はその世界でも堕天使ヨハネとして君臨してるんだけど」

善子「……ヨハネは私だけなの。あんたはいない」

善子「それが、とても怖くて、つらくて……寂しくて」

善子「私、あんたがいないともうダメなんだなあ……って思った」

ヨハネ「……」

善子「……」ギュウッ

ヨハネ「そう……善子はもうヨハネの魅力の虜になってしまったのね?」

善子「……そういうことみたいね」

ヨハネ「……調子狂うわ」

善子「明日にはいつも通りの善子だから」

善子「今夜は、許して」ギュウ

ヨハネ「……たまになら許してあげる」ナデナデ

善子「……」モフ
414: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:25:19.45 ID:NXgd03UP
ヨハネ「……あったかいわね、善子」

善子「ヨハネもね」

善子「……ねえ」

ヨハネ「ん?」

善子「そろそろ冬が来るわね」

ヨハネ「そうね」

善子「冬……ってことは、あの人たちが来る」

ヨハネ「?」

善子「北の国から、二人の刺客が」

ヨハネ「北の国から……?」

ヨハネ「……」

ヨハネ「子供がまだ食べてる途中でしょうがー!」

善子「ぶはっ……ww 似てなっ」

ヨハネ「似せる気はないわよ別に」

善子「びっくりするわ……どの部分のモノマネよ」

ヨハネ「るーるるるー」

善子「キタキツネなんか釣れないわよ」

ヨハネ「善子が釣れるなら上々」

善子「私をペットみたいに扱わないで」ムギュー

ヨハネ「……ほんとに、なんかルビィみたいに甘えん坊よ」

善子「今宵のヨハネは甘えたいモードなの」

ヨハネ「ヨハネは私よ……ったく」ナデナデ

ヨハネ「寂しそうな顔してたら、またキスするからね」

善子「……いいけど」

ヨハネ「……んー?」

善子「いいって言ったの」

ヨハネ「……」
415: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:25:59.43 ID:NXgd03UP
ヨハネ「……ま、まあやりすぎも良くないし!」

善子「そうなの」

ヨハネ「魔力吸いすぎて善子が倒れても良くないから!」

善子「まあ、それはそうね」

ヨハネ「だから、まあ……また、今度ね」ナデナデ

善子「……ん」

善子「ヘタレた?」

ヨハネ「っ……///」ピクッ

善子「ヘタレたんだ」

ヨハネ「へ、ヘタレてなんかないけどぉ!?///」

善子「ふうん……」

ヨハネ「ほ、ほんとよ!」

善子「そういうことにしといてあげる」

ヨハネ「ぐぬぬ……」

善子「ねえヨハネ」

ヨハネ「な、なによ」

善子「これあげる」ズイッ

ヨハネ「……なにこれ?」

善子「パワーストーンのブレスレット」

ヨハネ「……ルビィのパクリ?」

善子「そうじゃないわよ! ……結果的にはそうだけど」

ヨハネ「……紫に輝いてる」

善子「アメジスト」

ヨハネ「……アメジスト」

善子「綺麗でしょ?」

ヨハネ「うん……すごく綺麗。もらっていいの?」

善子「いらないなら川に捨てる」

ヨハネ「そういう言い方、よくないわよ」

善子「じゃあ石だけとって売る」

ヨハネ「同じじゃない……」
416: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:26:39.87 ID:NXgd03UP
ヨハネ「……大切にする。ありがと」ギュウッ

ヨハネ「ねえ、アメジストの効果は?」

善子「さあね」

ヨハネ「えっ……知らないのに用意したの?」

善子「さあね」

ヨハネ「……なるほどね、自分で調べろってこと」

善子「……さあね」

ヨハネ「こっちの水色は?」

善子「ラマリーって言うんだって。二つ組み合わせると、ある効果を発揮するみたい」

ヨハネ「それも調べろと」

善子「さあね」

ヨハネ「……ふふ、ありがたくいただくわ。善子が私にくれた、3つ目のものね」

善子「え、もっとあげたでしょ。ミスドとか」

ヨハネ「あれは食べたらなくなるでしょ? 無くならない、ずっと大切にできるものよ」

善子「そんなにあげたかしら」

ヨハネ「ええ、もらったわ」
417: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:27:18.40 ID:NXgd03UP
ヨハネ「ひとつめは、思い出ね」

善子「……」

ヨハネ「あなたがなんとなく買った鏡の魔法で生まれたから、得られたもの」

ヨハネ「Aqoursのみんなとの思い出」

ヨハネ「ママとの思い出」

ヨハネ「何より、善子との思い出」

善子「そんな大層なもんじゃないでしょ」

ヨハネ「宝物よ。あなただってそうでしょ?」

善子「……さあね」

善子「ふたつめは?」

ヨハネ「ふたつめは、私のこの身体ね」

ヨハネ「消えた私を、取り戻しに来てくれたこと。自分が死ぬかもしれないのに、その危険を冒して、並みの魔法使いでは引き起こせないくらいの奇跡を叶えてくれたこと」

ヨハネ「だから、ずっとあなたと一緒に居られる。みんなと居られる。これからも思い出を作っていけるの」

善子「……よくそんな恥ずかしいことをペラペラ喋れるわ」

ヨハネ「善子に言われたくないけどね」

善子「なによ」

ヨハネ「ふふ、だから……そうね」

ヨハネ「いつか、私もお礼しないといけないわね」

善子「……別に、私はあんたがそこにいてくれれば、それで」

ヨハネ「それなら、私も同じよ。善子のそばに居られればそれでいい……でも、あなたはわざわざ気持ちを形にしてくれた」

ヨハネ「なら、私もそれに応える形で返さないと」

ヨハネ「クリスマスは期待してなさい」

善子「……ん」
418: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/14(金) 16:28:14.65 ID:NXgd03UP
ヨハネ「……むぎゅー」ギュウッ

善子「ぐぇ……」

ヨハネ「善子はあったかい……♡」スリスリ

善子「く、くるしぃ……」

ヨハネ「……善子」

善子「ん……なによ」

ヨハネ「愛してる」ササヤキ

善子「……」

善子「……はっ!!?///」

ヨハネ「うふふ♡」

善子「ちょ、なっ……いま、なに……っ///」

ヨハネ「あ・い・し・て・る」

善子「ぁ……、ぅ」

ヨハネ「そろそろ帰りましょうか! さすがにトイレに起きたママにバレたらやばいし」

ヨハネ「さっさと寝ましょ」

善子「……ぅ、ん」

ヨハネ「早く行くわよ?」グイッ

善子「ぁ、はい……行く、行くから引っ張らないで……!」

ヨハネ「じゃあ……お姫様抱っこね」ギュウッ

善子「わ、ちょっと! パンツ見える!」

ヨハネ「ジャージのくせになに言ってんの。飛ぶわよ、愛しいお姫様?」バサッ

善子「ちょ、待ってこの寒い中飛んだらめちゃくちゃ寒」


バシューン!


善子「さむいーーーーーーーーー!!」

※このあと二人でめちゃくちゃ暖かくして寝た。


#5 ヨハネと深夜徘徊 完
427: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:49:14.71 ID:uO6tUK6b
#5.5


~曜の部屋~

曜「……zzz」

着メロ『もう、受験がぁ……もうあと何日があって、あぁどうしよう本当に……』

着メロ『あら、どうしたの?』

着メロ『ぇっとその、最近受験勉強とかがあって、それでなんかもう切羽詰まってて……』

着メロ『あるよねぇそういうこと。ある、わかる。わかるけど……おい後ろうるせえぞ!後ろうるせえぞ! ……そんなに頑張りすぎても良くないんじゃないかしら』

着メロ『は、はいぃ……』

着メロ『私、自分よりすごい家庭教師の人、知ってるのよね……』

着メロ『えっ!その人は誰ですか!?』

着メロ『その人の手にかかれば、あなたの頑張りも報われるわよ……?』

着メロ『じゃあその家庭教師の人を呼んでくださいよ!』

着メロ『来てちょうだい!!!』


pi


曜「ぁぃ……」

『シャイニー☆』
428: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:49:46.73 ID:uO6tUK6b
曜「ぁい……」

『もしかして寝てた?』

曜「ぇぃ……」

『もしもーし? 曜ちゃーん? 起きてるー?』

曜「……zzz」

『おーきーてー! よーうー! よーそろー!』

曜「っ……ぁひ……おきぅ……」

『ほんとに? 私が誰かわかる?』

曜「……まぐろ」

『うん、全然違うね。最初の文字だけ合ってるけど、違うね』

『ほら、ま! ま~?』

曜「……MARVEL」

『それじゃあアメコミの会社よ! もう、寝ぼけてるの?』

曜「あぃ……」

『私よ? わ・た・し』

曜「……」

曜「……まきちゃん」

『まきちゃん』

曜「まきちゃん」

『……』

『おーい』

曜「へぃ……」

『板前っぽくなったわね……』
429: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:51:35.67 ID:uO6tUK6b
『マリーよ?マリー』

曜「まりちゃ……」

鞠莉『Yes! I'm マリー!』

曜「おやすみ……」

鞠莉『寝ないで待って!』

曜「ぁに……こんな夜中に……」

鞠莉『ねえ、ドライブしない?』

曜「しない。おやすみ」

鞠莉『えー! しよーよ、みんな電話かけたけど曜以外出てくれなかったの!』

曜「私も寝させてよ……明日も学校だしさぁ」

鞠莉『むむむ……じゃあダメ元でちかっちと梨子にもう一回かけようかな』

鞠莉『曜が遊んでくれなかったからって言って』

曜「悪いの鞠莉ちゃんだし……」

鞠莉『うぐっ……ちかっちなら引っかかってくれるのに……』

曜「後輩に絡め手を使わないで……」

鞠莉『むう……ほら、近くに善子もいるじゃない』

曜「確かに家は近いけど」

鞠莉『車出すからドライブしよ? 善子たちも起こして』

曜「やめなよ……」

鞠莉『しゅん……』

曜「……」
430: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:53:33.38 ID:uO6tUK6b
鞠莉『しゅーん……』

曜「……」

鞠莉『しゅんしゅんしゅーん……』

曜「わかったよ行くよ……」

鞠莉『ほんと!!?』

曜「ほんと。でも迎えに来てくれる? 淡島まで流石に行けないし」

鞠莉『えへへ、曜ならそう言ってくれると思ってたわ! 家の前で待ってるからすぐ降りてきて!』

曜「……え?」

鞠莉『ほら、カーテン開けて』

曜「……」

シャー

鞠莉「」フリフリ

曜「……」
431: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:57:44.12 ID:uO6tUK6b
・・・


曜「さむ……」

鞠莉「はあいおはよっ」ムギュー

曜「あぅ……くるしいよまりちゃん……」

鞠莉「眠たいところを頑張ってきてくれた曜に愛をおすそ分け♡」スリスリモフモフ

曜「うぐぅ……ぁ、ありがとぅ……」

鞠莉「hot teaも用意してあるからね」

曜「あー……寒い日にはありがたいでありますなぁ」

鞠莉「それじゃ行こっか! 新しい車買ったの~!」

曜「……」

曜「え、なにこれすごいかっこいい……!」

鞠莉「でしょ? Audi S5!」

曜「ほえー……スポーツカーって感じだね」

鞠莉「もちろん速いわよ? そのへん走ってる軽トラなんてすぐmirrorの点にしちゃうんだから」

曜「すごいね……でもこの辺でしないでね、住宅街だから」

鞠莉「わかってるわかってる。それじゃ、善子呼びに行こっか」

曜「ほんとに行くんだね」

鞠莉「すぐそこだし」

曜「私知らないからね……」
432: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 03:58:52.82 ID:uO6tUK6b
・・・

鞠莉「電話でなーい!」

曜「寝てるんだよ」

鞠莉「いま何時?」

曜「深夜2時」

鞠莉「絶対起きてる」

曜「……起きてるね」

鞠莉「100%起きてるよこの時間だったら」

曜「ということは?」

鞠莉「PS4のログイン履歴もないし……Switchでスマブラやってるか、善子もヨハネとお出かけかな?」

曜「うーん」

鞠莉「探しましょう!」

曜「えー……」

鞠莉「乗って乗って」

曜「お、おじゃまします……」

バタン

キュルルル

ゴオォオオオッ!!

曜「うわ、音すごい……」

鞠莉「いくわよー!」グッ

ガオォォーン!

曜「ぅっ……!」

曜「お、押し付けられるぅ……」

鞠莉「ヒャッホー!」
433: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 04:00:41.41 ID:uO6tUK6b
キュルルル!!

ガオォォーン!

鞠莉「橋のあたりはいないわね! じゃあそのまま橋を越えてコンビニまでレッツゴー!」グォオオオーーン!!

曜「うわぁあぁあああーーーーーー!!!」

鞠莉「そのまま内浦の方向に突っ走っていくわよー! 曜、よーく周りを見てて! 善子とヨハネを見つけたらすぐにgetだから!」

曜(あ、私死ぬ…………と思った、そんな夜でした)


#5.5 「自分よりすごい家庭教師の人」 完
439: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:05:51.43 ID:uO6tUK6b
~函館~


聖良「いらっしゃいませ! こちらのお席へどうぞ」

聖良「ご注文はお決まりですか? ……はい、くじら汁おひとつと白玉パフェがおひとつですね!」

聖良「それではしばらくお待ちください!」

聖良「理亞、4番さんくじら汁と白玉パフェです!」

理亞「はい!……姉様、3番あがってる」

聖良「はい、受け取ります」


パタパタパタ


聖良「お待たせいたしました、こちらがくじら汁単品と……くじら汁とおにぎりのセットになります。ごゆっくりどうぞ」

聖良「……ぉ」

聖良「ああ、はい! 私はSaint Snowをやっている……」

聖良「写真ですか? ええ、構いませんよ。でも……空いている時だけですからね♪」

理亞「姉様サービスはあとにして!!」

聖良「はいごめんなさい」
440: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:06:37.03 ID:uO6tUK6b
・・・


理亞「……疲れた」

聖良「お疲れ様です、理亞」

理亞「姉様も、お疲れ様」

聖良「はい……オレンジジュース飲みますか?」

理亞「いいの?」

聖良「はい、開いたボトルですから」

理亞「じゃあ、もらうけど……姉様も半分飲んで」

聖良「ふふ、ありがとう」


ドルルルル……カコン

ブォーーン


理亞「郵便?」

聖良「そのようね。見てきますから、入れていてください」

理亞「わかった」


パタパタパタ

カラカラ……

カチャ


聖良「……む?」

聖良「……あら」
441: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:07:44.67 ID:uO6tUK6b
・・・

理亞「……」トポトポトポ

理亞「これで半分、完璧。誰も文句は言わないはず」

聖良「理亞! 理亞!」

理亞「姉様……オレンジジュース、綺麗に半分に────」

聖良「沼津から、挑戦状です……!!」

理亞「!」


『せいんとすのーのおふたりへ。
こんにちは、お久しぶりです。
今年のクリスマス、沼津に遊びにきませんか?
もしお暇でしたら、ぜひこちらに来て一緒に遊びましょう!
チケットを添えておきますので、それで来てください。
P.S.プレゼント交換もするのでご用意いただけると嬉しいです。
あとこのP.S.ってプレステのPSと思っちゃいますよね。
でも私的にGCの方がいいと思うんだよ。DSでもいいんだけどさー? なんでSONYなんだろうね!任天堂の方が楽しいゲームいっぱいあるし持ち運びできるしこっちの方がいいよね。
聖良さんのおうちにPS4はありますか? あるなら今度遊びに行った時にハンマーで壊させてくださいね』

聖良「……ね?」

理亞「いや、普通に旅行に誘われてるだけだと思う。というか私のPS4壊されるんだけど、何この人怖すぎ……」
442: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:10:34.37 ID:uO6tUK6b
聖良「何を言ってるんです! これはもう果たし状、喧嘩です!」

理亞「喧嘩って、わざわざチケットまでくれてるのに……?」

聖良「そうです。ここを見てください」

理亞「?」

『せいんとすのーのおふたりへ』

理亞「……?」

聖良「ひらがなでしょう」

理亞「……ああ」

聖良「アルファベットで書けますよね!!?」

理亞「めんどくさかっただけだと思うけど……私もたまに書き間違えるし」

聖良「これは喧嘩です。あなたもあとでお仕置きです」

理亞「えぇ……」

聖良「ここまで舐められては行かないわけにはいきませんよ」

理亞「え、私……はこだてクリスマスファンタジー行きたかった……」

聖良「来年にしましょう!」

理亞「……」

聖良「Aqoursの方々も驚くようなプレゼントを用意して参戦です!」

聖良「というわけで明日は早朝から出かけますよ。ちょうどお休みですし」

理亞「プリキュアが見れない……」

聖良「録画しておきなさい!」

理亞「いつもしてるけど、リアルでも見たい……」

聖良「あ、仮面ライダーの録画、お願いします。井上正大さんが明日も出ますから」

理亞「仮面ライダーなんて子供っぽい」

聖良「プリキュアがいいますか」
443: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:11:38.42 ID:uO6tUK6b
~小樽~


聖良「来ましたね……小樽!」

理亞「疲れた……もう車も電車も乗りたくない……」

聖良「理亞は寝ていただけじゃない」

理亞「バスじゃ寝れない……おしりの肉がボロボロとれる夢を見るの」

聖良「まあ……デレクターがうなされたらしいですからね」

理亞「北海道をバスで旅するのは大泉くんたちに任せとけばいいと思う」

聖良「でも、憧れませんか道民として」

理亞「……一度して見たかったけど、もうやりたくない」

聖良「次はカントリーサインの旅ですね」

理亞「ほんとに無理……」

聖良「そうだ!」ポム

理亞「?」

聖良「沼津まで行くの、サイコロで。そう、我らが道民名物サイコロの旅です!」

理亞「絶対嫌! 勘違いされるから名物なんて言わないで!」
444: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:13:49.24 ID:uO6tUK6b
・・・


聖良「ふむ……やはり小樽のガラス細工は良いものが揃ってますね、理亞」

理亞「でも、姉様がそれにするなら私は別のにしたい……」

聖良「……じゃあなんでついてきたの?」

理亞「それはひどすぎる」

聖良「では……理亞は鮭とばにでもしておきますか」

理亞「誰が喜ぶの、それ」

聖良「黒澤家の……お父様とか?」

理亞「黒澤ダイヤかルビィが取らない限り誰も幸せにならない……」

聖良「ダイヤさんルビィさんも幸せになりませんしね……」

理亞「毛ガニ詰め合わせ……高いな」

聖良「とりあえず私は、予算2万円程でガラス細工の……ペンとインクにします」

聖良「前から私が欲しかったものですけどね」

理亞「……ぐぬぬ」

理亞「どうしよう……」
445: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:16:39.53 ID:uO6tUK6b
~沼津~


理亞「どうしよう……」

聖良「まだ悩んでたんですか!?」

理亞「姉様……これは、まずい」

聖良「いや、流石に決まってるものかと思って……え、ほんとに?」

理亞「うん……」

聖良「……近くの雑貨屋で可愛いものでも見つけたらどう?」

理亞「そうするしかない……このへんに穴場の店はないかな……」スマホスマホ

理亞「……むむむ」

聖良「どうします? バスまで、まだ時間はあるけれど」

理亞「…………このへんといえば、善子」

聖良「ああ、津島善子さん」

理亞「あいつに聞けば……このへんの店事情には詳しいはず……」

聖良「けれど、善子さんにはバレてしまいますね」
446: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:19:11.49 ID:uO6tUK6b
理亞「私は別にそこまで隠す気はないからいいけど……あいつに何かを頼むのが私のプライドが許さない……」

聖良「ここに来てそんな事を言いだすんですか……」

理亞「善子より下に思われたくない……私はあの1年たちの中で1番なんだから……」

聖良(理亞のプライドの高さには困ります……)

聖良「でも、早くしないとバスの時間に間に合わないんじゃない?」

理亞「ぐぬぬ……姉様、先に行ってて。私はひとりでこの辺りを駆け回ってみる」

聖良「……大丈夫? 迷子になったり……」

理亞「しない。私はもう沼津に2回も来てるから」

聖良「確か……アニメとドラマCDで一度ずつ」

理亞「だから平気。このあたりの地理は完璧に頭に入ってる。私は常に成長しているの」

聖良「……そう?」

聖良「分からなくなったらすぐに電話するのよ。いい?」

理亞「任せて」

聖良「それじゃあ、先に黒澤家に行っています」

理亞「うん、気をつけて」
447: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:19:40.95 ID:uO6tUK6b
理亞「……迷った」

理亞「まずい……これじゃ本当に姉様に電話をしなくちゃいけない……」

理亞「せっかく色々あれから進化した私をAqoursに見せつけるチャンスなのに……これじゃ成長してないと思われる……」

理亞「どうせなら、プレゼントも進化した私を見せられるものがいい。北海道や沼津という枠にとらわれない、スペシャルな私……」

理亞「……そのためにはまず、迷子になったこの状況を打破する必要がある」

理亞「まずは歩いてきた道を確認、反芻」

理亞「沼津駅をまっすぐ行って左に曲がったり右に曲がったり色々歩き回ったから……」

理亞「……だから迷ってるんだ私。現実を認めるのは成長の証、私えらい。前までじゃ意固地になってたはず」

理亞「じゃあ、次は見えるものの把握……大きな橋とマンション」

理亞「……確か、あのマンションは善子の家だって前に言ってたはず。なら、まだ打開策はある」

理亞「あれを目指して歩けば善子に会える……助かる」

理亞「大丈夫、まだ助かる。あれが見える範囲から出なければ迷うことはない……はず。大丈夫。大丈夫だ、私」
448: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/15(土) 21:20:16.00 ID:uO6tUK6b
テクテク


理亞「……なんか変な道に入っちゃった。暗い……」

キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ

理亞「……変な路地。こういうところに隠れた名店があるってゴローさんも言ってた」

理亞「よし、何事も挑戦が成長につながる。行こう」


コソコソ


理亞「……本当に暗い。ビルとビルの間だから、光が差してない……」テクテク

理亞「……ん? なに、あれ……店?」

理亞「汚い看板……だけど、名前……ま、まほ…………ううん、だめ。汚すぎて本当に読めない」

理亞「でも善子とか好きそうな感じ……もしかしたらあいつ知ってるのかな」

理亞「まあ、いいか。色々商品あるだろうし、その中からいいものを探せば」

理亞「店内、すごく暗そう……で、でも大丈夫! 進化した私なら、成長した私なら怖くない怖くない……」

理亞「……よし、行こう」


ガチャッ

キイィ……


「ひっひっひ……いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ」

「よほど切実な願いがあると見える────」


ネクストプロローグ 完
506: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:02:48.61 ID:Xz0ITT8n
~12月23日、淡島ホテル~


千歌「走れそりよ~♪」

果南「風のように~♪」

曜「雪の中を~」

ダイヤ「軽く早く~♪」

梨子「笑い声を~」

花丸「雪にまけば~♪」

ルビィ「明るい光の花になるよ~」

鞠莉「Oh, Jingle bells, Jingle bells♪ Jingle all the way♪」

善子「なんでいきなり英語なのよ! 分からなくなるじゃない!」

鞠莉「えー?ダメ?」

果南「まあまあ、そうカッカしないしない~」ナデナデ

善子「な、撫でないでっ!」

鞠莉「ねえダイヤ? マリー、ダメだった?」

ダイヤ「まあ……ここまで日本語で歌っていたものですし、いきなり英語になるのは確かにおかしいかもしれません」

鞠莉「そっかー……」
507: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:03:53.71 ID:Xz0ITT8n
千歌「説明ありがとう曜ちゃん。その通り、元はと言えば私がやり始めました!」

鞠莉「せっかく楽しく歌ってたのに……善子のせいで」

善子「え、私のせいなの!?」

鞠莉「善子のけーち! もううちにGameやりに来ても善子だけmacaronだしてあげないからね!」

鞠莉「あとスマブラ入れてあげない!」

善子「なんでよ!後輩にそんなめんどくさい絡み方するんじゃないわよ!」

鞠莉「ふーんだ善子なんてしりませーん許してほしかったらChristmas presentいいのちょーだい! present交換とはまた別で」

善子「絶対それが目的よね!? ひとりだけ得しようとしてるわよね!」

鞠莉「むう、ああ言えばこう言うってやつ?」

善子「それこっちのセリフよ……」

ダイヤ「はいはい」パンッパンッ

よしまり『む』

ダイヤ「遊んでいないで、早く飾り付けをしてくださいな。聖良さんたち、今日こちらに来るんですからね」

ルビィ「また、聖良さんと理亞ちゃんに会えるね」

花丸「そうだねルビィちゃん。嬉しい?」

ルビィ「うんっ」
508: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:04:33.39 ID:Xz0ITT8n
善子「ククク……リトルデーモン10号……あれからどれほどの進化を遂げたか、この私が直々に確認してあげましょう」

花丸「そういえば善子ちゃん」

善子「ヨハネよ」

花丸「善子ちゃん、あのね」

善子「……はい」

花丸「どうして理亞ちゃんがリトルデーモン10号なの?」

善子「え?」

花丸「1号は千歌ちゃんで、順番にAqoursメンバーが番号をもらってるんでしょ?」

善子「そうよ」

花丸「で、Aqoursは9人でしょ?」

善子「うん。だから理亞を入れて10番目」

花丸「いや、それはおかしいずら善子ちゃん」

善子「なんで?」

花丸「だってAqoursは、善子ちゃんをのぞいたら8人ずら」

善子「……」
509: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:06:22.93 ID:Xz0ITT8n
花丸「善子ちゃんは堕天使ヨハネだから、リトルデーモンじゃないでしょ?」

花丸「だったら、リトルデーモン……9人目は、誰?」

善子「……」

善子「…………」

梨子「普通に数え間違えただけじゃ……」

善子「ち、違うわよ! 9人目……い、いるわよ」

みんな『え!?』

善子「え、えってなに!えって!」

ルビィ「……いるの? ヨハネ様じゃなくて、だよ?」

善子「い、いるわよ! 9号……すっごく小悪魔な感じの9号が! 堕天使ヨハネに匹敵するレベルの魔力を持つ最強のリトルデーモンがね!」

みんな『……』

千歌「続きやろー」

曜「そだねー」

ダイヤ「花丸さん、このフリフリをそこから掛けたいので、持っていてもらえますか?」

花丸「はぁい」

善子「ほんとなんだからー!」
510: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:08:23.65 ID:Xz0ITT8n
梨子「よしよし……」ナデナデ

善子「うぅっ……りりー……」

梨子「そのくらいにして、早く飾り付けしよう?」

善子「リリーまで信じてくれない……うわぁぁん!」

梨子「え、えっ!? よ、よっちゃ……あの、わたし……」アタフタ

千歌「あー! 梨子ちゃんが善子ちゃん泣かした!」

果南「え、何してんの梨子……どうしたの?」

鞠莉「大丈夫? マリーお姉ちゃんに言ってみて?」

梨子「そ、そんなぁ~……」メイ*´•̥ ω •̥リ

曜「梨子ちゃんまで泣いちゃった……果南ちゃん!」

果南「え、私!?」

千歌「果南ちゃんが梨子ちゃん泣かした!」

ダイヤ「果南さん何したんですか……」

果南「え、ほんとに? 嘘でしょ……」

ルビィ「全部千歌ちゃんの申告が原因だと思うんだけど……」

花丸「ここは動物園ずら……」
511: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:10:29.54 ID:Xz0ITT8n
・・・


ダイヤ「ふう……これで大方の飾り付けは出来上がりかしら」

鞠莉「Thank you! みんなのおかげでステキなChristmas partyになりそう!」

鞠莉「この階はChristmas当日まで、party用に貸切にしてあるから! 気兼ねなくのんびりしていいよ!」

果南「毎年派手だね~……」

鞠莉「中学までは果南とダイヤとルビィを呼んでやってたけど、今年はAqoursみーんなもいるからね♡」

ダイヤ「ふふ、懐かしいですわ。ね、ルビィ」

ルビィ「うんっ」

梨子「そっか、ルビィちゃんは前のAqoursでもお手伝いしてたから、鞠莉さんとも知り合いだったんだね」

ルビィ「うんっ」

ダイヤ「知り合い程度ではありませんわ」

梨子「へ?」

ダイヤ「この子、わたくしと喧嘩した時は必ずどちらかの家に家出していたんです」

ルビィ「お、ぉねいちゃん!!?」

梨子「えぇ……」
512: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:11:32.91 ID:Xz0ITT8n
ダイヤ「『ルビィ、まりちゃんがおねえちゃんのほうがいい!』(全力のモノマネ)などと言い出す始末……わたくし、追い返されて一人で泣きながら家まで戻りましたから」

ルビィ「おねえちゃ~ん……!///」

花丸「ルビィちゃん……」

善子(そういえば……誰でもお姉ちゃんにしたがる、なんて前に言ってたような……)


※前スレ参照


鞠莉「ま、そんな感じだから!」

鞠莉「今年はAqoursとSaint Snowの2人を読んで11人で楽しく過ごしましょ?」

鞠莉「みーんなの部屋も用意してあるから♡ シングルでもツインでも……ふふ、特別仲良くなりたいカップルにはダブルもご用意してあげる♡」

梨子「だ、ダブル……///」

千歌「特別仲良く???」

梨子「はわわわわわ……///」
513: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:12:58.73 ID:Xz0ITT8n
ダイヤ「鞠莉さん、あなたいい加減に……」

鞠莉「あらダイヤ! Angryはお肌の敵よ? ほんとに硬度10になっちゃうわ!」

ダイヤ「ふざけていますね? わかりました、お説教が必要ですか」

鞠莉「……ま、マリー忘れ物あったんだって☆ ちょっとおうちまで取りに行ってくるね♡」

ダイヤ「あなたの家はここでしょう!!」

鞠莉「いやーんダイヤこわーい!!」ダッ

ダイヤ「お待ちなさい鞠莉さん!!」ダッ

果南「ねえ、遊んでたら片付け進まないよー?」

鞠莉「だってダイヤがー!」

ダイヤ「鞠莉さんが!」

果南「もー……仕方ないなぁ。ルビィと花丸、2人で箒とちりとり持って床のゴミ集めてくれる?」

るびまる『あい・さー!』

果南「千歌と曜はまとめてあるゴミ袋を捨ててきて」

ようちか『はーい!』

果南「梨子は善子と次のゴミ袋の用意ね」

梨子「はい、わかりました」

善子「果南は何するの?」

果南「あそこで遊んでる2人を止める」

善子「……よろしく」

果南「いい加減にしろ~ふたりとも~!」

ダイまり『だってこの人が!』

果南「うるさいよ~! も~!」
514: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:21:41.92 ID:Xz0ITT8n
・・・


千歌「ゴミ全部捨ててきた!」

梨子「お部屋の片付けも完璧ですよ」

ダイヤ「飾り付けも完了……あとは時間を待つだけですわ」

鞠莉「楽しいね、ダイヤ」

ダイヤ「そうですわね」

鞠莉「ところでダイヤ?」

ダイヤ「なんですの?」

鞠莉「セラりんが来るのって、何時だっけ?」

ダイヤ「……ええと」

ルビィ「15時にうちに着くって連絡きてたよ!」

ダイヤ「あら、本当に? 気づいていなかったわ……そろそろお迎えに行きませんと」

鞠莉「それじゃあマリーのAudi S5を出すわ!」

曜「いやいや、あれじゃ大人数は乗れないから……」

鞠莉「むう……じゃあヴォクシーにする」

ダイヤ「それでお願いします。聖良さんと理亞さんも乗りますし……ルビィも行きますね?」

ルビィ「うん!」
515: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:23:07.60 ID:Xz0ITT8n
果南「私たちはここで待ってよっか」

千歌「うん!」

善子「あ……私はヨハネを呼びに一旦帰るわ」

千歌「電話で呼べばいいんじゃない?」

善子「あんまり電話でないのよ」

千歌「なんと……」

鞠莉「それなら、ダイヤの家まで乗る? そこから先はバスになるけど、バス代ちょっと浮くよ?」

善子「そうね……お願いするわ。それなら電話してダイヤの家まで来させるわ」

鞠莉「OK! それじゃあ行きましょ♪」

ダイヤ「では、少し失礼しますー

ルビィ「いってきまーす!」

善子「またあとで」

みんな『いってらっしゃい~』
516: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:27:49.03 ID:Xz0ITT8n
~鞠莉's car~


ブロロロ…

鞠莉「AT楽しくない……」

ダイヤ「わたくしとしては、この車の方が運転が荒くないので助かります」

鞠莉「ええ!? マリー、安全運転だよ? ちょっとアクセルの踏み込みが深いだけで」

ダイヤ「それが良くないと言っているんです!」

ルビィ「あ、あはは……」

善子「……さてと」

ルビィ「どうしたの?」

善子「ヨハネにライン入れるのよ」

ルビィ「なんて書くの?」

善子「ん……普通よ。ダイヤの家に来いって」


YOHANE:ダイヤの家で待ってるからそこまで来てくれる?


善子「よし」

ルビィ「お返事くるかなあ」

善子「さあね……来ないなら来ないでホテルまで直接来させればいいだけだし」

ルビィ「でも、善子ちゃんは一緒に行きたかったんでしょ?」

善子「え、なんで?」
517: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:28:41.09 ID:Xz0ITT8n
ルビィ「だって最初からホテル集合にすればいいのに、わざわざ迎えに行こうとしてるんだもん」

ルビィ「一緒に行きたいのかなあ、って」

善子「殴るわよ」

ルビィ「わー怖い」

ダイヤ「ひとの妹に何をするつもりですか」

善子「ルビィ可愛いなぁって♡」

ダイヤ「なんですかそのぶりっ子は……ルビィはあげませんわよ」

善子「いらないわよ!」

ダイヤ「なっ!? ルビィがいらないですって!?」

善子「めんどくさいわよ生徒会長!」

ダイヤ「な、ぁっ……ま、また生徒会長……」

ダイヤ「まだ、壁が……? わたくしと善子さんの壁は、そこまで厚く高いものだったのですか……」

善子「ち、ちがっ……本当にめんどくさいわねこの人……」

鞠莉「わかるー」

鞠莉「でも、そこがダイヤの魅力♡」

善子(よくわからん……)

ルビィ「大丈夫だよお姉ちゃん、善子ちゃんはお姉ちゃんのこと大好きだよ?」

ダイヤ「ほんとですの……善子さん?」

善子「え……」

ルビィ「ね?」

善子「……まあ、好きよ。そりゃ」

ダイヤ「ぅ、ぅう……サファイア……」

善子「いや誰」
518: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:30:38.26 ID:Xz0ITT8n
ダイヤ「ルビィ……善子さんはもうわたくしの妹、サファイアですわ。いいですねルビィ」

ルビィ「いいよ!」

善子「よくないわよ!」

鞠莉「じゃあマリーはダイヤのお姉ちゃんでアメジストね!」

ダイヤ「鞠莉さんはお友達です」

鞠莉「ひどくない?」

ダイヤ「鞠莉さんとは……そういう形の家族にはなれません」

鞠莉「む……マリー嫌われちゃった」

ダイヤ「違います。もっと……ね?」ナデナデ

鞠莉「……ダイヤ♡」

善子「……え、2人ってそういう関係なの?!」

ダイまり『違う(います)よ?』

善子「じゃあ何そのやりとり」

ダイヤ「いつもの冗談です」

鞠莉「イッツジョーク」

ルビィ「心臓に良くないよねえ、このやりとり」

善子「……そうよね」

鞠莉「ふふ♡」

ダイヤ「うふふ♡」
519: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:35:49.41 ID:Xz0ITT8n
~黒澤家~


鞠莉「とーちゃっく!」

ダイヤ「ルビィ、お着替えしてきなさい。あと荷物も」

ルビィ「はーい!」

トテトテ

善子「ダイヤはいいの?」

ダイヤ「わたくしは既に荷物を運んでありますから」

善子「そうなんだ」

ダイヤ「なので、あとは聖良さんたちを待つだけで……ああ、もうバスが来ますわね」

鞠莉「oh! ナイスタイミング!」

プー

ガシャン

聖良「あ、みなさんお揃いで」

ダイヤ「お待ちしていました。いらっしゃい聖良さん」

聖良「ええ、数日、お世話になります」ペコリ

鞠莉「あら? りあっちは?」

聖良「ああ、理亞は…………」

聖良「……あれ?」

善子「あ、お久しぶりですお姉さん」

聖良「あの、善子さん……なぜここに?」

善子「え、みんなと集まって作業してたからですけど……」

聖良「……」

聖良「少し、こちらへ」チョイチョイ

善子「?」トテトテ
520: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:56:32.33 ID:Xz0ITT8n
聖良「実は理亞、いま沼津駅周辺で買い物をしていまして」ボソボソ

善子「え……大丈夫なんですか? その、あの子……沼津はあんまり慣れていませんよね」

聖良「そうなんです。それであなたに理亞と行動してもらえないか、お願いしたかったんですが……」

善子「……なるほど」

善子「それじゃあ今から沼津の方に行ってみます」

聖良「すみません……このお礼は、必ず」

善子「いえ、そんな……理亞は私にとっても大切な友人です。それにお姉さんからのお願いなんて、断れませんよ」

聖良「……ありがとう、恩に着ます」

聖良「理亞はまだまだ小さいですし、子供っぽいところもありますから……心配で」

善子「そんなに心配しなくても……もう、理亞も高校生ですし、信頼してあげても……」

聖良「もちろん信頼しています。ですが、これはまた話が別。あの子はまだ、私がついていないとダメですから」

善子「そう……ですか」

ダイヤ「……」

鞠莉「……」
521: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:57:03.43 ID:Xz0ITT8n
聖良「あら、お二人ともどうかしたんですか?」

ダイヤ「い、いえ……善子さんに、そんな言葉遣いができるのかと意外に思っていただけで……」

鞠莉「まさに外行きのfaceね……」

善子「あ、あはは、先輩たち何言ってるんですかぁ? 私、いつもこんな感じじゃないですか~」

ダイまり『』( ゚艸゚;)

善子「何よその顔!」

聖良「とりあえず、理亞の位置情報を共有したいので、ラインを教えてくれますか?」

善子「あ、はい」

フルフル

聖良「……よし、これでいいですね」ピコン

善子「はい、きました」

聖良「では……よろしくお願いします。理亞が移動すれば、その情報も逐一更新されますので」

善子「はい、わかりました」
522: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:59:16.18 ID:Xz0ITT8n
~バス~


ブロロロ……

ルビィ「理亞ちゃんに会えるの楽しみだねっ」←ついてきた

善子「そうね」

善子(……さてと)

善子(お姉さんはマリーたちと先にホテルへ)

善子(私とルビィは理亞を探しに沼津行きのバス)

善子(ヨハネからの連絡は無い。結局自分の家まで戻らなきゃいけないのかな、なんて)

善子(若干の面倒臭さを感じつつ、理亞の現在の位置情報を確認)

ルビィ「理亞ちゃんどこにいるんだろね」

善子「今見てるわ」

善子(沼津の……特に私の家の近くにいるみたいね。バス停から降りて少し移動し、路地に……)

善子(……え?)

善子「この路地って……そうよね。このビルとビルの間に挟まれた場所って…………」

ルビィ「ん? どこか知ってるの?」

善子「ああ、ちょっと……」

prrrrr...

善子「!」
523: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 18:59:40.85 ID:Xz0ITT8n
pi

善子「もしもし、ヨハネ?」

ヨハネ『善子今どこ?』

善子「今、沼津行きのバスに乗ってるとこ。ダイヤの家あたり」

ヨハネ『わかった。沼津についたら魔法堂に来て』

善子「……え? マジ?」

ヨハネ『マジ。待ってるから』

ブツ

プーップーッ

善子「……まさか、理亞に何か……」

ルビィ「えっ!?」

善子「ルビィ……今から行くところ、騒いだらダメよ」

ルビィ「う、うん……!」
524: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:00:34.67 ID:Xz0ITT8n
~鞠莉's car~


鞠莉「街を飛び出せピーポーピーポー♪」

鞠莉「空に向ーかってぴーぽーぴーぽー♪」

ダイヤ「急なお誘いで、申し訳ありません。来ていただけて、とても嬉しいですわ」

聖良「ええ、ちょうど冬休みですし……実家のお店は、アルバイトの方々でなんとかしてくださるそうなので」

聖良「せっかくのお誘いでしたから、これからも仲良くしたいという気持ちも込めて遊びに来させていただきました」

聖良「それに……あんな風に書かれて来ないわけにはいきませんから」

ダイヤ「あんな風に……?」

聖良「いえ、こちらの話なので気にしないで」

ダイヤ「あ、はい」

聖良「……それにしても、やっぱりこちらは暖かいです」

ダイヤ「そうですね……地形と気候に恵まれていると思います。お陰で冬でも過ごしやすくて」

聖良「北海道は、この時期はもう一面雪景色ですね」

ダイヤ「雪……北海道で見た以来ね」

鞠莉「White Christmas! ちょーっと期待しちゃうわね♪」

聖良「ふふ、北海道に来れば毎年ホワイトクリスマスですよ? その代わり、雪かきで地獄を見ますけど」

鞠莉「……遠慮しときまーす」
525: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:01:15.03 ID:Xz0ITT8n
聖良「ふふ、今年はこちらにお呼ばれしているので、雪かきしなくて済みます。ありがとう」

鞠莉「それは感謝してネ♡」

聖良「わざわざこちらまでの旅費まで出していただいて……」

鞠莉「それはぁ~……遠いところからわざわざ来い、なんて言うからには、ね?」

ダイヤ「ええ、忙しい時期、なおかつ急な誘いですから……流石に旅費くらいは、という話になりまして」

聖良「……おかげで、ここに遊びに来させていただきました。ありがとうございます」

聖良「あとで理亞と合流したら、あの子にもお礼を言わせますので」

ダイヤ「ふふ、お構いなく」

聖良「お土産とプレゼント、楽しみにしていてください」

鞠莉「wao! 一体なにかしら! ダイヤ、鮭とばだったらどうする?」

ダイヤ「鮭とば……でしたら、果南さんに頼んで料理していただきましょうか」

鞠莉「アリだね……!」

聖良「え、鮭とばで喜ぶんですか!?」

鞠莉「なんで? おいしいよ?」

聖良「いえ、知っています! 知ってます……たまに我が家でも、父が食べたりしますし」

聖良「私と理亞も、少しもらいますし……」

ダイヤ「鮭とばと言えば、北海道の名産品。しかもなかなか手を出しにくいお値段です」

ダイヤ「それをいただいて、喜ばない人はいませんわ。特に、この港町沼津に暮らすのであれば」

鞠莉「曜はちょっとno thank youカモだけど」

ダイヤ「……干物が食べれるんです、おそらく平気でしょう」

聖良「鮭とばは生の鮭を干した干物ですよ……」

ダイヤ「ほら、でしたらきっと大丈夫ですわ」
526: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:02:39.82 ID:Xz0ITT8n
ダイヤ「……わ、わかっていましたよ?ええ」

聖良「え、ショック受けてますか?!」

鞠莉「ま……まっさけ~?」

聖良「動揺が隠しきれてませんよ!? 鮭が顔を出してますよ!」

鞠莉「salmon……」

聖良「やっぱり食べたかったんですね……」

鞠莉「でも、りあっちも大変だね。あとで合流するにも心配されちゃうなんて」

聖良「すみません……ひとりで買い物をすると言って聞かなくて……心配です」

聖良「理亞はまだ小さくて……あの子がちゃんと迷子にならず合流できるか、不安で仕方ありません」

ダイヤ「……そこまで心配なさらずとも、大丈夫ですよ。沼津は暖かい街ですわ。困っている人がいれば、きっとどなたかが助けてくださるでしょう」

聖良「それでも、あの子の性格を考えると……素直に助けられてくれるとは思えません。そうでなくても、おっちょこちょいで人と接するのが苦手ですし……」

聖良「ルビィさんとふたりでのライブを成功させて、確かに成長している姿を見せてはくれました。……ですが、まだまだひとりで生きていく力はありません」

聖良「優しくていい子なんですが……その分プライドも高くて、自分の世界に絶対の自信を持っていて」

聖良「……本当に、いい子なんですが」

鞠莉「……」

鞠莉「ねえ、セラりん────」

聖良「はい?」

鞠莉「ううん。りあっち、ちょっと苦しいかもね」

聖良「……え?」
527: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:03:17.68 ID:Xz0ITT8n
~魔法堂~


タッタッタッ

善子「ふう、ふう……はあ」

善子「……ついた」

ルビィ「こ、ここが……魔法堂……」

善子「そう……ヨハネが生まれた鏡を買った店」

善子(来るのは久しぶりね……いつ以来かしら)

善子(ヨハネを助けてから、2回くらいしか来てないけど……相変わらず汚い店構え)

善子(まあこの不気味な感じ、私は好きなんだけど)

善子「……入ろ」

ルビィ「う、うん」

キイィ…

「いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ……って、なんじゃ。オマエか小娘」

善子「お久しぶり」
528: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:03:50.53 ID:Xz0ITT8n
「待っておったぞ。そっちのは誰じゃ?」

善子「友達のルビィです」

ルビィ「こ、こんにちは」

「おぉ、いらっしゃい。ようこそ魔法堂へ、よほど切実な願いがあると見える」

ルビィ「えっ!?」

善子「この子はお客じゃないですから……それで、ヨハネは?」

ヨハネ「こっち」

善子「ああ……いたの」

ルビィ「ヨハネ様!」

ヨハネ「やっほルビィ。それと、理亞もいるわ」

理亞「……」

ルビィ「理亞ちゃん!」
529: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:04:58.18 ID:Xz0ITT8n
善子「……理亞、どうしたの?」

ヨハネ「自分で喋りなさいよ、ほら」ポンポン

理亞「ぅっ……た、叩かないで」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「……えっと」

ヨハネ「理亞?」

理亞「わ、わかってる……わかってるけど……」

よしルビ『……?』

理亞「……」

ヨハネ「帽子、とって」グイッ

理亞「!? ま、待って! これは……っ」グッ

ヨハネ「隠しても意味ないのよ!?」

理亞「わ、かっ……てるけど!」

ヨハネ「みんなに現状を見てもらわないといけないんでしょうが!」

理亞「だ、けど……こ、こんにゃの誰も……っ」

よしルビ『……にゃ?』

理亞「はっ…………」

ヨハネ「……はあ」
530: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/24(月) 19:05:40.43 ID:Xz0ITT8n
理亞「ぅぐ……」

善子「……にゃって、何?」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「べ、別に……にゃんでも」

ルビィ「……理亞ちゃん」

理亞「……」

ルビィ「帽子とろっか」

理亞「る、ルビィ……待って」

ルビィ「待ちませんっ!」グイッ

理亞「にゃーーー!!!!」


ピョコッ


よしルビ『なっ……』

ルビィ「り、りあちゃんの……」

善子「頭の、それって……」

ピョコピョコ

よしルビ『猫耳だーーーーーー????!!!!』

理亞「っ…………///」
543: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 01:48:08.41 ID:2AKvQ8NM
・・・

善子「……な、なに、それ……ww」

ルビィ「……り、あちゃん……コスプレ……?」

理亞「ち、違う!! ほん……もの」

善子「触っていい? ねえ、触っていい?」

理亞「だめ」

ルビィ「……理亞ちゃん」

理亞「だ、だめ!」

ルビィ「理亞ちゃんっ……」

理亞「……ち、ちょっとだけよ」

ルビィ「やったぁ!」

善子「えぇ……」
544: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 01:48:40.28 ID:2AKvQ8NM
ルビィ「……ふむふむふむ」フニフニ

理亞「ぅ、あぅ……っ///」

善子「わ、私も」

理亞「え、ちょっ」

善子「お……おお」フニフニ

理亞「ひ、っや……ぅっ///」

ルビィ「気持ちいい……」

善子「こんな感触なのね……」

理亞「も、もういいでしょ! ほら、やめて!」

よしルビ『はぁい』

善子「……で、これってどういうこと?」

ヨハネ「それが……」

善子「?」

「うむ。それはわしが説明しよう」

善子「……はい」

「そいつが来たのは1時間くらい前でな……」

善子「あ、回想入るやつね」
545: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 01:50:05.13 ID:2AKvQ8NM
~回想~


「いらっしゃい。ようこそ、魔法堂へ。よほど切実な願いがあると見える」

理亞(……変な店)

理亞(それに……変なものばっかり置いてある)キョロ

理亞(これは……杖か。あれは武器っぽい。ブレスレット、ペンダント、鏡……カチューシャ?)

理亞(品揃えに節操がない……ブックオフでももう少し揃えてる気がする)

「おい」

理亞(でも、ここなら何かプレゼント交換に使えそうなものがあるかも。あのブレスレットとか、割と可愛いし)

「おーいそこの小娘」

理亞(あ、これ……ハリーポッターの杖みたい。パチモン……か、転売? 胡散臭い店かも)

「おいなに無視しとんじゃ!」

理亞「ぉ」

「ぉ、ではないわ! 何度も話しかけとるのに無視するとは、まったく子供は好かん!」

理亞(……なにこの人。店員?)
546: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 01:57:52.13 ID:2AKvQ8NM
「……まあよい。オマエ、何か願いがあるな?」

理亞(……願い? なんだろ……ニンテンドースイッチが欲しいとか?)

「それも、自分の人生に関わる重大な願い。今後のオマエの振る舞いがかかっておるな」

理亞(え……なに?)

「構わん構わん。何も言うな。まずはその、どんな願いも叶える魔法のペンダントを買うことを勧めよう」

理亞(……胡散臭い)

「それに願えば、どんな願いも必ず叶う。だが願いの大きさは考えることじゃ。大きな願いには必ず見返りが存在するからな」

理亞(見返り……)

「例えば誰かのけがを治す魔法は自分に返ってくる。呪いも同じじゃな。助ける代わりに自分が傷つき、呪いは成功すればよいが、失敗すれば己に戻る」

「このような代償が存在する。だが……それでも、そのペンダントの効果は保証するぞ? オマエの悩みであれば、そのペンダントでたちまち解決じゃ……ひっひっひ」

理亞(……私の願い)

理亞「あの」

「なんじゃ?」

理亞「私の願いって何?」

「がくっ」
547: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:00:17.32 ID:2AKvQ8NM
理亞「い、いきなり……そんな風に言われても、理解できない。わ……わたしは、自分の願いとか、言われても分からない」

「……」

「本気か?」

理亞「」コクン

「……」

「なら言うが……オマエ、姉のことを鬱陶しく思っておるじゃろ」

理亞「は!?」

「自分を信じていない。いつまでも子供扱いする。ただ出かけるのですら姉がついてくる」

理亞「……!」

「気に入らんのじゃろう? 姉が自分を信じてくれぬことが。どこまでも子供扱いをしてくる姉が」

「今もきっと仲間に言っておるんじゃろうなぁ? 妹は一人で買い物するにも大変で迷子になるかもしれない、だから迷惑をかけるかも……とか」

理亞「姉様をバカにしないで! 姉様はそんなこと……」

「バカになどしておらんわ。オマエの深層意識に眠る悩み、恨み、姉を不愉快に思う気持ちを代弁してやっただけじゃ」

理亞「わ、たしは……そんなこと……っ」

「姉を見返したいんじゃろう? 姉に認められる自分になりたいんじゃろう」

「完璧な自分に、なりたいんじゃろう?」

理亞「……完璧な私に」

「そのペンダントであれば、必ずなれる。完璧なオマエにな」

理亞「……これを、使えば」

「ああ、どんな願いでも叶う。オマエが払う代償は、それに見合ったものになるがな」
548: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:01:36.74 ID:2AKvQ8NM
理亞「例えば、その代償は……」

「そうじゃなぁ。例えば……完璧を求める貴様の意識と、本来の精神が摩耗を起こして廃人になる……とか」

理亞「!? そ、そんなの言われたら使えるわけがない!」

「ひひ……そうか? まあ構わんが……姉を見返すチャンスは失われてしまうな」

理亞「……いい。私は私の力で姉様を驚かせる」

「ふむ。まあ、それも人間の常套句じゃな」

理亞「私は本気」

「そうか。で……何か買っていくかね?」

理亞「……」

「ふむ、クリスマスプレゼントか」

理亞「……」

「やはりその魔法のペンダントは良いぞ。誰が手にしても嬉しいものじゃ」

理亞「きつい見返りのあるものなんて贈れない」

「願いの大きさによるんじゃがなぁ」

理亞「……善子なら喜ぶか」

「……今、なんと?」

理亞「え?」
549: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:02:03.88 ID:2AKvQ8NM
「いま言ったやつの名前じゃ」

理亞「……善子?」

「…………あやつの知り合いか、オマエ」

理亞「善子を知ってる……の?」

「はぁ……そうか、そうか……」

「いらんことせんとこ……」

理亞「?」

「いや、こっちの話じゃ」

理亞「はあ」

「じゃあそのペンダントは無しじゃ。オマエには売らん」

理亞(なにこの人……意味がわからない)

「そうじゃな……あとは魔除けのブレスレットとかどうじゃ?」

理亞「……ブレスレット」

「あとは食ってもなくならん肉とか」

理亞「……うそくさ」

「くっ……なら、その自分の心を映し出す鏡なんてどうじゃ!」

理亞「……心を映す?」

「お、食いついたな?」
551: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:14:31.11 ID:2AKvQ8NM
>>550
訂正

理亞「どういう意味?」

「うむ。それは小さな丸鏡だが、効果は本物でな。その鏡を己に映すと、おのれの心が現れる」

「自分の心の闇、というやつじゃな」

理亞「心の闇……」

「自分の深層意識に眠る悩み、苦しみを現実に現し、オマエに見せてくれる」

「これが本来の効果じゃが……うむ、たまに自分の心がもう一人の自分として現れたりするから気をつけるんじゃぞ」

「まあどうせ現れたところで、そのうち魔力が切れて消え去るが」

理亞「……はあ」

理亞「自分の心……」

理亞「私の、心……」キラッ

「あ、おいやめろ!いま映すな!」

理亞「え?」

カッ!

理亞「っっ……まぶしい……っ」


─────……
552: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:15:27.07 ID:2AKvQ8NM
理亞「…………」

理亞「……ぅぅ」

理亞「……な、なに……なにも起きてない?」

「……オマエ」

理亞「え?」

「……その頭、なんじゃ……?」

理亞「え?」ピョコ

理亞「……」サワサワ

理亞「鏡……」

理亞「え!?」

理亞「なにこれ……み、耳が……ねこみみ? 猫耳が生えてる……?!」

「……オマエの心、どうなっとんじゃ……!?」

理亞「なに……どういうこと、えっ……嘘でしょ……!?」

理亞「あなた、私に何したの! 元に戻して!」ガッ

「そ、それは魔力によって作られたものじゃ! だから魔力が切れれば……消えるはず」

理亞「……まりょく?」

「と、とりあえず……あやつに連絡しておくから待っとれ。話のわかる方に……」

理亞「……?」
553: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:17:20.41 ID:2AKvQ8NM
・・・


ヨハネ「……それで私が呼ばれたわけですね」

「うむ。オマエ、ちょっと見てやれ」

ヨハネ「ふむ……」

理亞「……善子」

ヨハネ「あー……私が会うのは初めてよね」

理亞「は?」

ヨハネ「私はヨハネ。善子がその鏡を使って生まれた、あの子の心の具現」

理亞「……は?」

ヨハネ「まあ、あとで善子も来るように言ってあるから見たらわかるわ」

理亞「……はあ」
554: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:18:27.59 ID:2AKvQ8NM
理亞(いつも以上に善子の言ってる意味が理解できない……)

ヨハネ「とりあえず触るわよ」サワサワ

理亞「ひ、ゃんっ……」

ヨハネ「……本物ね。ちゃんと定着してる」

「どう思う」

ヨハネ「理亞の心……の、なにかが猫になりたがってるとか」

理亞「なわけない! ……猫は好きだけど」

ヨハネ「よね……」

ヨハネ「うん、私にもわかりません。まだ何らかの変化をしそうな気はするけど、今はわからないわ」

「じゃな……経過を見るしかないな」

ヨハネ「そうですね。まあ私がついていれば大丈夫でしょ」

「なら任せる」

「ところでオマエ、時越えを使ってそうじゃな。なぜわしに声をかけんかった?」

ヨハネ「……面倒なことになるからですよ。ただでさえ時間を超える魔法は禁忌なんですから、そんなものを使える人をあなたが知ったら放っておかない」

ヨハネ「私の大切な人をそんな目に合わせるわけにはいかなかったんです」

「ふぅむ……貴重な人材だというのに、惜しいことをしたもんじゃ」

ヨハネ「普通の人にとっては、魔法なんてものはない方が幸せなんですよ」

「うむ、それには同意じゃ。違いない」

「じゃが、その大切な人が帰ってこれなくなりかけてたが」

ヨハネ「結果オーライってことで」

「フン、随分と調子のいいやつじゃ」
555: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:19:25.55 ID:2AKvQ8NM
理亞「……善子」

ヨハネ「なに?」

理亞「……この耳じゃ、外に出られない」

ヨハネ「ああ……そうね、キャスケット帽でも買ってくるわ。それなら耳も隠せるし」

理亞「うん……ありがとう」

ヨハネ「いいのよ。友達のピンチだし」

理亞「……善子」

ヨハネ「ヨハネよ」

理亞「いつもより否定が激しい……」

ヨハネ「最初にちゃんと言ったじゃない」

理亞「あれ、ほとんど分からなかった」

ヨハネ「そうよね……」

「なんじゃ、オマエの知り合いじゃないのか?」

ヨハネ「友達よ。 善子の、だけど」

「……知らんだけか」

理亞「なに?」

ヨハネ「えーっと……」
556: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:20:18.81 ID:2AKvQ8NM
~堕天使説明中~

ヨハネ「わかった?」

理亞「善子が私と同じ鏡の効果で……心が現れて、あなたが生まれた……?」

ヨハネ「だいたいそんな感じ。だからあなたの……その耳に現れたのがどういうものなのか、分からないなってこと」

理亞「……耳」ピコピコ

ヨハネ「猫みたいにのんびり気ままに過ごしたいとか?」

理亞「私が? まさか。むしろスクールアイドルとして、より高みに登るために努力しないと」

ヨハネ「……じゃあただの猫好き」

理亞「2つ目から雑すぎ。猫は嫌いじゃないけど」

ヨハネ「だって分からないんだもの……でも、似合ってるわよ? その猫耳」

理亞「余計なお世話。私はこんなの誰かに見られたら死ぬ」

ヨハネ「……でも、善子とルビィはこっちに来てるみたいよ?」

理亞「は!? 帽子、帽子早く買って来て!」

ヨハネ「はいはい……5分で戻るわ」

理亞「もっと早くして!」

ヨハネ「これ以上は無理よ!」
557: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/12/27(木) 02:21:34.67 ID:2AKvQ8NM
~回想終了~


善子「……それで猫耳が」

ルビィ「でも、それなら時間が経てば元に戻るんだよね?」

ヨハネ「ええ。かつて私が消えたように、その猫耳を形成してる魔力が消えればね」

理亞「……それっていつなの?」

善子「いつなの?」

ヨハネ「魔法使いまくってた私が消えたのが2ヶ月くらいだから……理亞はもっとかかるかも」

理亞「え!? そんなの困る、早く消して!」

ヨハネ「そ、そんなこと言われても……」

「魔力を吸い出してやることはできるが」

理亞「じゃあやって!」

「それでも、あまり大きな効果はないと思うぞ? 下手をすれば小娘の体力ごと奪いかねん」

理亞「そ、それでも……それでも消えるのが早くなるなら、いい」

「ふむ……」

理亞「お願い、します」

「仕方ない。おい、オマエがやってやれ」

ヨハネ「私が? いいですけど」

「わしはそいつの魔力を吸い出したところで使い道もないんでな。オマエの方がいいじゃろ」

ヨハネ「じゃあやってあげるわ」

「それが終わったらさっさと帰れ。これ以上厄介ごとを持ってこんでくれ。それに営業の邪魔じゃ」

ルビィ「ここってお客さん来るの……?」

「余計なお世話じゃ!」

ルビィ「ピィッ!? ご、ごめんなさい……」
610: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:07:43.80 ID:Fanuq3zX
~バス~


ブロロロ…

理亞「……」キョロキョロ

ヨハネ「警戒し過ぎよ……」

理亞「誰が見てるか分からない……」

善子「帽子かぶってるんだから大丈夫でしょ」

理亞「何かの拍子で取れたらお笑いにもならないから」

ルビィ「可愛い帽子に猫耳さん♪ 理亞ちゃん可愛いよ~」ギュウッ

理亞「る、ルビィ……///」

善子「ちょっろ」

ヨハネ「ちょろ」

理亞「そこの双子、うるさい!」

よしヨハ『双子じゃないわよ!』

理亞「ふん」
611: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:08:21.50 ID:Fanuq3zX
善子「……でも、大したことないみたいでよかったわ。理亞まで2人になったら大変だったし」

ヨハネ「そうねぇ……特にその理亞が小悪魔全開でAqoursのみんなを誑かしたりしたら」

理亞「な、なに言ってんの!? そんなこと、私はしないし……そもそもしたくない!」

ヨハネ「でも、深層意識はどうか分からないわよ? もしかしたら、何か抑圧された感情が煮えくり返ってるかも」

理亞「そ……そんな、もの……ない」

ルビィ「理亞ちゃん……?」

理亞「ほんとに、本当にない。私は健全」

善子「……でも、なんで猫なのかしら」

理亞「知らない……本当に知らない」

ヨハネ「尻尾はないみたいね」

理亞「し、尻尾まで生えたら……それも困る」

善子「まるで萌えアニメじゃないんだから……変化して猫耳だけ、ってのもおかしい話でしょ」

ヨハネ「そうね。この手の変化系は中途半端に変化することはないはずよ」

ルビィ「耳だけの猫……尻尾の無い猫?」

善子「尾の無い猫……」

みんな『うーん……』
612: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:08:57.36 ID:Fanuq3zX
理亞「ねえ、これ本当に消える?」

ヨハネ「それは保証するわ。少し時間はかかるかもしれないけど、必ず消える」

ヨハネ「私が出来るだけ早く消えるように魔力を吸い出してあげるから」

ルビィ「き、きっすはダメですからね!!」

理亞「は、はぁあ!?///」

ヨハネ「しないわよ!?」

ルビィ「それは絶対ダメですからねヨハネさま……!」

ヨハネ「し、しないから……! 触ればそこから吸収できるから……!」

善子「は!? じゃあ私はなんで……」

ヨハネ「効率考えたらそれは粘膜接触になるからであって……」

ルビィ「ヨハネ様!」

ヨハネ「しーなーいーかーらー!」

理亞「……うるさ」
613: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:09:41.45 ID:Fanuq3zX
~淡島ホテル~


鞠莉「I'm home♪」

千歌「おかえりー」

曜「おかえりなさーい」

ダイヤ「さあどうぞ、入ってくださいな」

聖良「はい。失礼します」

千歌「聖良さん!」

果南「いらっしゃーい」

花丸「お久しぶりです…!」

梨子「ようこそ!」

曜「よーそろ!」

梨子「ちょっと違うよそれ」

曜「あ、ごめん」

聖良「か、歓迎されて……ます?」

千歌「もちろんですよ! さあさあどーぞどーぞ、びっぷ席へ」

聖良「VIP席!?」
614: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:10:07.69 ID:Fanuq3zX
千歌「そりゃあもう、わざわざ遠路はるばる来ていただきましたお二人はもうびっぷ待遇でございまして……」

千歌「あれ? 理亞ちゃんがいないね」

聖良「ああ、理亞は……」

聖良「……」

千歌「聖良さん?」

聖良「あ、いえ……理亞は別行動しているだけです。あとでこちらに来ますから」

千歌「そっか!」

聖良「……」


────セラりんは……りあっちのこと、信じてあげていないのね』


聖良「……」

ダイヤ「聖良さん」

聖良「ぁ……は、はい」

ダイヤ「善子さんから連絡がありました。合流して、こちらへ向かっているそうです」

聖良「……そうですか、よかった」
615: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:10:58.80 ID:Fanuq3zX
ダイヤ「理亞さんが到着しましたら、お部屋にご案内いたします。鞠莉さんが手配したいいお部屋ですから」

聖良「ありがとうございます鞠莉さん」

鞠莉「No problem! Friendが遊びに来るんだもの、最高のおもてなしをするのが沼津流なの。ね、ちかっち」

千歌「うんうん、そうだよ! 明日のクリスマスイブパーティも最高のパーティにしちゃうよー!」

曜「飾り付けも完璧だしね!」

梨子「ま、まあ……私たちだけでこんなに広い部屋を使わせてもらうのも勿体ない気もするけど……」

鞠莉「いいのいいの♪」

果南「鞠莉は昔から暴れたがるからねー」

鞠莉「あら果南? こっちだって、チキン片手に走り回ってたの覚えてるんだからね」

果南「……私も若かったなぁ」

千歌「え、そんなことしてたの!? 私もやる!明日やろう果南ちゃん!」

果南「えぇっ!? や、やるの……?」
616: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:13:30.58 ID:Fanuq3zX
曜「不肖この渡辺曜軍曹も参加いたします!」

千歌「よかろう! 明日は戦争だ!」

曜「チキンは全て我ら松浦軍のものだー!」

果南「私、リーダーにされちゃった……」

梨子「あ……暴れちゃダメだよぉ……」

聖良「ふふっ」

ダイヤ「騒がしいでしょう? すみません」

聖良「いえ、これがAqoursの力の源なんだなと思わされます。私たちSaint Snowにはない……団結の力、友情と呼ぶべきつながり」

聖良「まさにあなたたちの憧れたμ'sのようです」

ダイヤ「……お恥ずかしいですわ。まだまだわたくしたちは、μ'sのようにはなれません。いえ、μ'sのようになろうなどと、おこがましいにも程がありますが」

聖良「ふふ、その姿勢でいるからこそ、あなたたちは強いんだと思います」

ダイヤ「……そうでしょうか」

聖良「見習わせてもらうつもりで、私もはしゃいでみようかな……なんて、うふふ」

ダイヤ「え、はしゃぐんですか?」

聖良「え、はい……少し、やってみようかな、と」

鞠莉「みんな聞いたー? セラりんもチキン戦争に参加したいって~!」

聖良「え!?」

ダイヤ「ここでそんなことを言うと、こうなりますが……」
617: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:15:36.20 ID:Fanuq3zX
千歌「それじゃあ聖良さんも我ら松浦軍に入隊だね!」

聖良「え、えええっ!?」

花丸「待つずら!」

梨子「まるちゃん!?」

花丸「そっちにはもう果南ちゃんがいる……なら、聖良さんまでそっちに行ってしまったら戦力差が歴然としてしまいます! だから聖良さんは、まるたち黒澤組に入門するのがいいと思うずら!」

千歌「く、黒澤組……!」

聖良「えぇぇ……」

ダイヤ「ちょ、ちょっと待ちなさいマルちゃん! なぜわたくしが対抗組織の長みたいな扱いに……というか我が黒澤家はそのような家ではありませーん!」

鞠莉「どうしますか組長! セラりんを取られればウチらは弱体の一途をたどることになっちまいます!」

ダイヤ「鞠莉さんまで乗らないでくれますぅ!?」

聖良「え、ええと……では、私は黒澤組ですか?」

花丸「はい! まると梨子ちゃんとダイヤさん、鞠莉ちゃん、聖良さんで黒澤組ずら!」

千歌「ずるい! 私たちは曜ちゃんと果南ちゃんの3人じゃん!」

鞠莉「そっちには善子とルビィをあげるわ!」

鞠莉「理亞とヨハネはこっちね!」

千歌「戦力差!!!」
618: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:17:30.43 ID:Fanuq3zX
花丸「まるたちが確実にちきんをいただきます!」

曜「むむむ……果南元帥、どうしましょう!」

果南「……よし、私が全員叩き潰す」

花丸「ひぃっ……」

梨子「私まで……どうして……」

ガチャッ

善子「ただいまー…………って、何事?」

ヨハネ「?」

ルビィ「?」

千歌「あ、よしコンビ!」

善子「ヨハコンビよ!」
619: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:18:14.75 ID:Fanuq3zX
千歌「よしコンビも松浦軍に入隊だよ!」

善子「は?」

鞠莉「ヨハネはこっちだって言ってるのに!」

ヨハネ「はい?」

千歌「善子ちゃんとヨハネちゃんは2人で1人の善子ちゃんだからこっちだよ!」

ヨハネ「……なにこれ?」

曜「ルビィちゃんもこっちね!」

ルビィ「は、はひっ!?」

花丸「理亞ちゃん、聖良さんはこっちだから理亞ちゃんもこっちに来るよね?」

理亞「え、何が?」

花丸「ちきん戦争ずら! 松浦軍と黒澤組の両軍が戦争して勝った方がちきんを独り占めできるのです!」

理亞「えぇ……バカらしい遊び」

花丸「がーん!?」

理亞「ていうか、あなたそんなキャラだっけ……」

花丸「え、いっ……いや、それはその……」

理亞「くだらない」

花丸「うううっ……まるのこころはずたぼろずら……もう輝けない……」orz
620: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:21:42.64 ID:Fanuq3zX
聖良「理亞、せっかくみなさんが盛り上げてくれてるのに……」

理亞「今来たばっかりにいきにゃり言われても……」

聖良「……ん? 理亞、いま噛みました?」

理亞「はっ……ぁ、う、うん、噛んだ。噛んだだけだから気にしにゃいで」

聖良「また……」

理亞(あ、あぶっ……気をつけ……な、いと……)

ダイヤ「ともかく、理亞さんも到着したことですし、まずはお部屋へ案内してはいかがです?」

鞠莉「そーね! それじゃあセラりん、りあっち、Come on!」

聖良「いきましょう、理亞」

理亞「……うん」

理亞(帽子で隠してるけど……大丈夫? 耳……)

果南「私たちも一旦解散するよー」

千歌「はーい。今日はお部屋でゆっくり休んでね、聖良さん!理亞ちゃん!」

聖良「ありがとうございます。明日のパーティ、楽しみにしてますね」

ルビィ「ルビィたちは、あとでお部屋に遊びに行くね、理亞ちゃん!」

理亞「う、うん」
621: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:22:47.48 ID:Fanuq3zX
~夜、聖雪ルーム~


ヨハよしルビ『おじゃましまーす』

理亞「ん」

ルビィ「……聖良さんは?」

理亞「そっちの3年生たちと温泉に行ってる」

ルビィ「そっかぁ……」

善子「それの様子、どう?」

理亞「今は、平気。まだ姉様にもバレてにゃい」

ヨハネ「……でも、時間の問題っぽいわね」

理亞「耳は隠せても……言葉がどうしても隠せないい。時間が経つにつれて、にゃが出てくる」

理亞「……気をつけても、にゃを抑えられなくなってきてる」

ヨハネ「うーん……どうなってるのかしら」

ルビィ「ヨハネ様にもわからないんですか……?」

ヨハネ「あの鏡の効果は、使用者によって変わるから……私にもわからないの」

ルビィ「そんな……」
622: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:23:10.25 ID:Fanuq3zX
善子「でも、猫化が進んでるってことよね」

理亞「……私、どうにゃるの?」

ヨハネ「分からない」

理亞「……」

ヨハネ「でも、あの鏡に込められた魔力が切れれば、理亞の変化も消えるはず」

ヨハネ「だからそれまで待つしかないわね」

理亞「待つって……どれくらい待てばいいの? 明日には消える? 元に戻るのはいつ?!」

ルビィ「理亞ちゃん落ち着いて……」

理亞「……ごめん」

善子「理亞……」
623: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:24:56.16 ID:Fanuq3zX
ルビィ「もう、みんなに話した方が……」

理亞「そ、それはダメ!」バッ

パサッ

ルビィ「ぅゅ……」

善子「……ぁ、帽子が」

ヨハネ「……」ヒョイ

理亞「……」ピコピコ

理亞「姉様に、心配をさせるのは……ダメ。ただでさえ、姉様は私のことで心配をかけてるから」

善子「……でも、お姉さんの過保護にはあなたもうんざりしてるんじゃ……」

理亞「い、いい。してにゃいから……心配してもらえるのは、嬉しいことだから」

ルビィ「理亞ちゃん……でも、理亞ちゃんはもう一人で大丈夫だよって、思ってほしいんじゃ……」

理亞「っ……ルビィににゃにが分かるの!?」

ルビィ「!」

ヨハネ「ちょっと……」
624: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:25:26.57 ID:Fanuq3zX
理亞「私だって……姉様に分かってほしい。一人でもできるって、ひとりでも大丈夫だって……」

理亞「でも、姉様はそれを許してはくれにゃい……頭では分かってるんだと思う。私を独り立ちさせようと促してはくれる」

理亞「けど、言葉の端々から私を心配してる気持ちが見えてくる。今日、ひとりで沼津を歩き回るって言っただけで、すごく心配された」

理亞「迷子ににゃらにゃいか、とか……ひとりで平気か、とか」

理亞「……私だってひとりでできる。姉様に心配されてるばかりの私じゃにゃい……」

ルビィ「……理亞ちゃん」ギュウッ

理亞「……ごめん、ごめん」

善子「大丈夫よ。お姉さんは……まあ、確かに過保護なとこもあるけど、いいお姉さんでしょ?」

理亞「……当たり前。姉様は世界に誇れる最強の姉様にゃから」

ヨハネ「……」

善子「どうしたのヨハネ」

ヨハネ「いや……」

ヨハネ「理亞の猫化が一気に進んだ……ような」

善子「……え?」
625: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:26:23.67 ID:Fanuq3zX
ヨハネ「お姉さんの話を始めた途端、急に……じゃない?」

善子「……」

理亞「と、とにかく……そのうちにゃおるにゃら、いい。それまで帽子で隠すだけ」

ルビィ「りあちゃん……」

理亞「特に、姉様にだけは……絶対に見られるのはダメ。また、余計な心配をかけてしまう……」

理亞(そしたら、また……姉様は私を……っ)


ガチャッ


理亞「!!」

聖良「ただいま……ふう、とても広くて素敵な温泉でした。理亞も一緒に行けばよかったのに……」

聖良「…………え?」

理亞「ぁ、あ……っ」ゾッ

善子「ヨハネ、帽子!」

ヨハネ「え、い、いま!?」バッ

理亞「っ……」ギュウッ
626: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:27:20.56 ID:Fanuq3zX
聖良「……理亞、今の……って」

理亞「にゃ、にゃんでも……っ……」

聖良「……理亞?」スッ

理亞「や、やめて!」

聖良「理亞……」

理亞「ぁ……ごめ、姉様……っ」

聖良「……」

ルビィ「ぁ、ぁあわわわ……」

善子「あ、あの……お姉さん、今のは……」

聖良「……理亞、その帽子を取ってみせて」

理亞「っ……は」

聖良「大丈夫。私は驚きませんから……」

ヨハネ「お姉さん……」

聖良「ね……理亞、大丈夫です。私はあなたのお姉ちゃんなんですから、怖がらないで」

理亞「は……ァ、はっ……はあ、っ……はあ……っ」

理亞「嫌……っ、……嫌、イヤ……っ!」

聖良「……理亞……!?」
627: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:28:07.82 ID:Fanuq3zX
理亞「見せたら、また……姉様に、私は……っ」

聖良「理亞……?」

理亞「来にゃいで、姉様……」

聖良「……理亞」スッ

理亞「来にゃいで……!」バシッ

聖良「……!」

パサッ

ルビィ「あっ……帽子が……」

理亞「……」

聖良「……理亞、その、頭にあるのは」

理亞「は、あ゛っ…………ゔ、ぅ……」ザワザワ

善子「!?」

ヨハネ「なんか、やばいかも……理亞、落ち着きなさい!」ガシッ

理亞「ぅ、るさい……離して!」バッ

ヨハネ「ぐっ……!」

理亞「…………っ」バタリ

ルビィ「よ、ヨハネ様がふき飛ばされて……」

聖良「り、理亞!? 理亞……どうしたんですか!?」ガバッ

聖良「理亞、しっかりして! 起きてください、理亞!」ユサユサ
628: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:31:43.97 ID:Fanuq3zX
善子(姉、聖良の伸ばした腕を強く弾いた拍子に帽子が落ちて、猫耳を見られた理亞)

善子(何かを予感したヨハネが駆け寄ろうとし、しかし理亞はヨハネを強く弾き飛ばした)

善子(それと同時に、理亞は意識を失った。荒く息を途切れさせたまま、その場に……)

善子(そして、異変が起こる)

聖良「理亞、りあ…………ひっ!?」バッ

ルビィ「り、理亞ちゃんの髪が……っ」

善子(異変、変化……理亞の二つに結ばれた髪。姉と同じ濃い紫の髪が、すぅ────と)

善子(まるで血の気が引いていくかのように)

善子(まるで、生気が抜けていくかのように────)

ルビィ「真っ白になっちゃった…………っ」

善子(濃い紫から、白銀に)

善子(その髪の、色を変化させた)

善子(そして────)

理亞「……」ガバッ

聖良「!」

ルビィ「理亞ちゃん!」
629: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/11(金) 00:32:01.21 ID:Fanuq3zX
理亞「……」

善子(弾け飛ぶように起き上がった理亞────その髪は色が完全に抜け落ちて白銀に)

善子(そう、生えていた猫耳も────白銀)

理亞「……ふぅん」

聖良「り、あ……?」

理亞「おはよう、姉様……と呼んだほうがいいのかにゃ?」

理亞「やっと出てこられた。ねえ、同類。さっきはぶっ飛ばして、ごめんにゃ?」

ヨハネ「……やっぱり」

理亞「私があの鏡によって写された心……理亞の心の具現」

理亞「────よろしくにゃ♡」

善子(目の前の状況を理解できずに唖然と、呆然とする、私たちとは裏腹に)

善子(悠然に、泰然に、平然に)

善子(鏡によって生まれた────理亞の心が、顕現した)
647: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:18:50.63 ID:1VvoysYq
・・・

理亞「にゃおん」ジー

聖良「……」

ルビィ「あわわわわ……」

理亞「ふむん」ジロジロ

聖良「な、なんですか……理亞?」

理亞「いや? 姉様、にゃあ……にゃはは、にゃるほど」ニヤニヤ

聖良「……?」

善子「……あんたが、あの鏡で生まれた……?」

理亞「さっきも言ったにゃ? 同じ説明をさせるんじゃにゃい」

善子「……そうよね」

ルビィ「は、わっ……ふぅ」バタリ

聖良「る、ルビィさん!?」ガシッ

ルビィ「ぽへー……」

ヨハネ「ルビィのキャパを超えたわね……」
648: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:19:28.12 ID:1VvoysYq
聖良「……とりあえず、説明してもらえますか理亞。何がどういうわけなのか……私にはまるで理解できません」

理亞「めんどくさい」

聖良「え!?」

理亞「私は理亞じゃにゃい。だから説明はしにゃい」

聖良「り、理亞……」

理亞「にゃおん?」

善子「……」

理亞「にゃに?」

善子「あんたは理亞の、どんな心の具現なの?」

理亞「どんにゃ心、ねぇ」

善子「私のヨハネは、私の……私がもう一人いれば……って気持ちが現れた」

善子「あんたは……なに?」

理亞「────フン」

善子「?」
649: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:24:09.13 ID:1VvoysYq
理亞「誰がオマエらにゃんかに喋るかよ」

善子「……は?」

理亞「理亞のことを少しでも知ってるんにゃら、わかるだろ? そんにゃことを話すわけがにゃい」

理亞「話したところで、理亞が満足するわけじゃにゃい。私が満たされるわけでもにゃい」

理亞「話す意味がにゃいんだから、話す必要性もにゃい。ずっと自分で抱え込むんだ。それがこの鹿角理亞って人間だろう?」

聖良「……」

理亞「分かってるんにゃら大人しくしといた方がいい。私がそのぶん働いてやるだけにゃ」

理亞「だから────」

ヨハネ「だから?」

理亞「私は私の使命を果たすだけだにゃん♡」バッ

聖良「!」

ヨハネ「動かないで!」バッ

善子(理亞が猫のような挙動で姉、聖良へ向かって飛びかかる。しかしその間を割るようにヨハネが飛び入り、理亞の突撃を防いだ)

善子(同時にヨハネは魔法を発動し、理亞を拘束すべく光の縄が彼女へと襲いかかる)

理亞「フン、断る」

善子(理亞はそれを難なく回避。まさしく猫と呼ぶべき軽やかさで一回転すると、ヨハネから2m離れたベッドに着地した)
650: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:26:03.59 ID:1VvoysYq
ヨハネ「動くなって……言ってんでしょうが!」

理亞「チィ、めんどくさいにゃ……!」

善子(続けてヨハネが光の縄を理亞へと差しむける。しかし理亞の動きは素早く、猫のようにしなやか)

善子(無数の縄は、しかし理亞を捉えることは叶わない────)

理亞「邪魔をするのか、同類」

ヨハネ「あんたが説明しないからでしょう?」

理亞「……理亞がオマエらには知られたくにゃい、って言ってるんだけどにゃあ」

聖良「り、りあ……何を、何をするつもりなんですか……?」

理亞「……フン」

理亞「サクっと終わらせたかったんだが……仕方にゃい。また遊びに来てやるから、それまで待ってろよ」

理亞「────姉様♡」ピョン

聖良「あっ!」

ヨハネ「待っ……」

理亞「じゃあにゃ!」ピョン

バッ

聖良「理亞、りあッ……」

聖良「理亞────!!!」

善子(理亞は、不敵に微笑み────窓から淡島の闇へと消えていった)

善子(残ったのは────荒れた部屋と、木霊する聖良の声)

善子(そして、遠くから聞こえる理亞の高笑いだけだった)
651: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:27:28.88 ID:1VvoysYq
・・・

ガタッ

サッサッ…

善子「……よし、部屋は元通りね」

聖良「……すみません、妹が」

善子「理亞は何も悪くないんです。悪くないから……そのように言うのはやめてあげてください」

聖良「……」

ルビィ「……理亞ちゃん」

善子「……ルビィも倒れちゃうし」

ルビィ「ご、ごめんなさい……久しぶりに、パンクしちゃって……」

ヨハネ「大丈夫よ。仕方ないもの……さすがに私も焦ったし」

聖良「……あの、善子さん……の妹さん?」

ヨハネ「……ヨハネです」

聖良「え、ええっと」

善子「理亞のこと……説明しなくちゃいけませんよね」

聖良「何か知ってるんですか!?」ガバッ

ルビィ「ぴぎゃっ!?」

善子「ぉ、落ち着いてください……っ」

聖良「ぁ……す、すみません……」
652: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:28:05.25 ID:1VvoysYq
ヨハネ「私たちも多くを知ってるわけじゃない……けど、分かる範囲で説明させてもらうわ」

ヨハネ「まずは、お姉さん。私のこと、分かってましたこと?」

聖良「あ、いえ……その……ええと、善子さんって双子だったんですね。知りませんでした」

善子「違うのよ、お姉さん」

聖良「違う?」

善子「私とその子は双子じゃない、姉妹ではないの」

聖良「え……?」
653: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:30:22.18 ID:1VvoysYq
ヨハネ「……お姉さんは、魔法を信じる?」

聖良「はい?」

ヨハネ「この世界には、魔法というものが存在するの」

ヨハネ「漫画やアニメに存在する魔法、ファンタジー世界を象徴する超常の異能力」

ヨハネ「魔の力、等価交換を無視した究極の現象」

ヨハネ「それが魔法」

聖良「……それが、実在すると?」

ヨハネ「ええ、実在する」

ヨハネ「私は魔法の鏡によって生まれた、善子の心の具現化。あの子自身……だから、双子でもなければ姉妹でもないの」

ヨハネ「魔法によって生み出された、もうひとりの津島善子なんです」

聖良「……はあ」

聖良「……にわかには、信じられません」

ヨハネ「証明なら……魔法を見せることで」

聖良「いえ、それには及びません。さっきのことで、もう信じるしかなくなってしまいましたから」

ヨハネ「……ありがとうございます」
654: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:47:57.14 ID:1VvoysYq
聖良「それで、その魔法が……」

ヨハネ「理亞のあれは……あの、猫のような状態は、私と同じ存在なのよ」

聖良「……同じ」

ヨハネ「私が生まれるきっかけになった鏡と同じものを、あの子は使った」

ヨハネ「だからあの猫は、理亞の心が実体化した存在で……私と同類なの」

聖良「でも、あなたのように二人になったりしてないですよね?」

ヨハネ「あれは、使った人によって現れるものが違うの」

ヨハネ「私と善子の場合は二人に分かれた」

ヨハネ「けれど、理亞の場合は身体は一人のまま……人格として、現れたんだと、思います」

聖良「そう、なんですか……」

ヨハネ「……わかってもらえる?」

聖良「……認めるしか、ないんでしょう?」

ヨハネ「……そうね」

聖良「事情は分かりました。なぜあの子がそんなことに巻き込まれたのか……それはまた、あとで聞かせてもらいます」

ヨハネ「……うん」
655: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:48:46.55 ID:1VvoysYq
ルビィ「理亞ちゃんは、どこにいっちゃったんだろう……ヨハネ様」

ヨハネ「わからない……魔力が探知できないの。多分、自分で消してるんだと思う」

善子「気配を消す……って、まるで猫ね」

ヨハネ「そう、猫……猫よ。あの子の心の具現は猫だった」

ヨハネ「どうして猫なのかは、知らないけど……何か目的があってお姉さんを連れて行こうとしていた」

聖良「……」

ルビィ「理亞ちゃんが……? 何か、聖良さんとお話があったんじゃ……」

善子「そんな雰囲気じゃなかったわよ……」

ルビィ「ぅゅ……」
656: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:53:12.05 ID:1VvoysYq
聖良「……探さないと」

善子「え?」

聖良「理亞を探しにいきます。こんな夜中に、あの子を1人にはできません」

ヨハネ「待って、ダメよ」

聖良「なぜです!? 妹なんですよ?」

ヨハネ「……分かってるでしょ。あの子はあなたを狙った。あなたがひとりで動いたら……次はあなたがどうなるかわからない」

聖良「そんな……でも、私は……」

善子「……それより、聞きたいことがあります。お姉さん、いいですか?」

聖良「で、ですが」

ヨハネ「……なら、理亞は私とルビィで探しに行くわ。私ならあの子を捕まえる力がある」

ヨハネ「善子はここでお姉さんと居て。あいつが入れないように結界を張っておくから」

善子「わかったわ。お姉さんも、いいですね」

聖良「……わかりました」

聖良「お願いします」ペコリ
658: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/15(火) 00:58:06.96 ID:1VvoysYq
~ホテル前~


ルビィ「それで……どうやって探しますか?」

ヨハネ「地道に歩き回るしかないわ。大きな魔力は感じないから……手探りになる」

ルビィ「で、でも、この淡島ホテルの近くにいますよね……?」

ヨハネ「さあね……でも、もし魔法を使えるんだとしたら」

ルビィ「……どこにでも、逃げられる……?」

ヨハネ「……そう」

ルビィ「そ、そんな……っ」

ヨハネ「けど、そうするためにはある程度の魔力が発生する。そこまで隠し通せるわけがないから……もし遠くまで逃げようとしているなら、すぐにわかるわ」

ルビィ「ほぇ……」

ヨハネ「とにかく急ぎましょう」

ルビィ「は、はい!」
665: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 01:59:23.63 ID:Un5E3wIv
・・・

────夢を見る。

その夢の主人公は、今日はとても機嫌が悪かった。

心がざわついて、なんだか無性にいらいらして。

走っても走ってもすっきりしない。

海を飛び越え。

山を飛び越え。

どこまでいってももやもや、いらいら。

いらいらしながら、大きな建物をぴょんと越えて。

夜景の綺麗な街に着きました。

でも、いらいらは治らない。

そのいらいらが、少し後ろから見ているだけの私にも伝わってくる。

どうしてこんなにいらいらするのだろう。

生まれてからずっといらいらしているみたい。

いいこともあったはずなのに、それでもいらいら。
666: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:00:03.60 ID:Un5E3wIv
どうしてもいらいらするから、ちょっと周りに八つ当たり。

まるで猫のように、自由気ままに、八つ当たり。

気に入らないから、八つ当たり。

どうしてこんなにいらいらするのかって?

それは。

目当ての食べ物を、お預けされてしまったから。

とてもおいしそうな、お肉だったのに。

別の食べ物に邪魔をされてしまったの。

だから、おなかがすいている。

ぐうぐうおなかがなっている。

それじゃあ、食べ物を集めよう。

その子は不思議な力を持っているの。

食べ物を呼び寄せる、不思議な力。

おなかがすいた。

寄ってこい。

私の食べ物、寄ってこい。
667: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:00:39.24 ID:Un5E3wIv
呼ぶと、どんどん寄ってくる。

みんなみんな寄ってくる。

食べ物が寄ってくる。

だけど、いらいらは落ち着かない。

だってその子を嗤うから。

取り囲んで、けたけたと。

ただの食べ物のくせに、その子にいじわるをするから。

「────」

食べ物が嗤う。

くるくると、まるでパレードのように。

その子の周りを、愉快そうに囲んで歩いて。

けたけた嗤う。とても不快に、不愉快に。

食べ物が笑う。

それはまるで、待てをされているよう。

だけど、猫は待てを聞かない。

自由気ままな猫は、ごはんがあるなら我慢しない。

いじわるな食べ物には、罰を与えましょう。

手を叩いて、お菓子に変えてしまいましょう。
668: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:01:36.40 ID:Un5E3wIv
「─────!!」

逃げることは許さない。

食べ物は、食べられるためにあるのだから。

ぱちんと叩くと、食べ物は動かなくなる。

その場にうずくまって、きぃきぃ啼いている。

それを見ていると、とても気分が良くなるみたい。

さっきまでのいらいらは、もう消えていた。

食べ物が食べ物らしくしてくれる。

黙って食べられてくれる。

とても幸せ。

みぃみぃと猫は鳴く。

満足のいく食事にありつけて、とても嬉しそう。

それを見ている私も、なんだか嬉しくて。

私までお腹いっぱいになったみたい。
669: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:02:19.06 ID:Un5E3wIv
だけど。

せっかく食べたのに、まだ足りない。

もっともっと、たくさん食べたい。

寄ってこい。寄ってこい。

おいしい食べ物、寄ってこい。

あの子がご飯をいっぱい食べると、私も満ち足りた気持ちになる。

お腹が膨れて嬉しい猫。

だから、私も嬉しくて。

もう少し、その猫がお腹いっぱいになるところを見ていてもいいかな、なんて思っていると。

「────見つけたわよ」

また見つけた。

おいしそうな、たべものだ。

だけど、またいらいらする。

この食べ物は、いらいらする。

「さっきまで何も感じさせなかったくせに、いきなりデカイ魔力あふれさせるんだもの」

「何かと思えば────あんた、人を襲ったの?」

食べ物のくせに反抗的。

いらいらする。
670: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:05:05.62 ID:Un5E3wIv
人なんて、どこにいるの? これはただの食べ物でしょう?

ミートパイにスパゲッティ。ローストビーフにハンバーグ。カレーライスにオムライス。

どれを見てもただのお料理。とってもおいしい食べ物なのに。

「まさか自分から魔力を求めて街に行くなんてね……ったく、予想外よ。そんなのでその身体の持ち主が喜ぶと思ってるの?」

「……そう、あんたの意思ってわけね。それなら、いい。良くないけど」

ふぅふぅと猫が鳴いている。

とても不愉快そう。

せっかくの食事を邪魔されたから、怒ってる。

「ヨハネ様……ど、どうしよう」

「大丈夫……少し生命力を吸われただけだわ。命に別状はない、少し離れた場所へ移動させて」

「う、うん……!」

食べ物が、食べ物を盗もうとしている。

それは、ダメ。

そんなことをしたら、この子がまた────
671: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:05:51.99 ID:Un5E3wIv
「やめなさい理亞。その子はルビィなのよ!」

────理亞? なんでその猫に、私の名前で呼びかけるの?

理亞は私。

その猫は、私じゃない。

ただ私の夢に出てくる、おなかのすいた白い猫。

なのに、どうして。

「お姉さんが心配してる。早く帰りましょう? あなたは話さなくちゃいけない」

変な夢。

食べ物が、なぜ姉様を?

ルビィがいるって? わけがわからない。

食べ物のくせに、何を言ってるの?

わけがわからない。

わからない。

わからないから。

食べてしまいましょう。
672: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:06:51.29 ID:Un5E3wIv
~ホテル・聖雪の部屋~

聖良「……」

善子「……」

聖良「……理亞は見つかったでしょうか」

善子「まだ連絡はないから……まだだと思います」

聖良「……そうですか」

聖良「それで、善子さん……話というのは」

善子「……はい、理亞のことなんですけど」

聖良「はい」

善子「お姉さんは……理亞のこと、どう思っていますか?」

聖良「それは……私のパートナーです。愛しい妹であり、良きパートナー。それが理亞」

聖良「私の求めるパフォーマンスに全力で追いつこうとしてくれる、追いついてきてくれる最高の相棒ですよ」

善子「信頼しているんですね。パートナーとして」

聖良「はい。Saint Snowは私とあの子、二人でなくては完成しない……そう思っています」

善子「……」

善子「……パートナーとしての信頼は、わかりました」
673: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:07:36.88 ID:Un5E3wIv
善子「じゃあ……」

善子「妹としては、どう見ているんですか?」

聖良「……それは、どういう意味ですか。私があの子の姉として不満だと?」

善子「違う……違うわ。信頼の話よ」

聖良「……どういうことですか」

善子「あなたは……あの子を信頼している? 妹として……姉として」

善子「あの子をどれだけ認めているの? 人間として」

聖良「……」

聖良「……頼りない部分は、あると思っています」

善子「……」

聖良「理亞はたしかにパートナーとしては最高です。私にとって、これ以上ないくらい」

聖良「ですが……あの子は、理亞は人としてはまだまだ頼りない」
674: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:10:58.31 ID:Un5E3wIv
聖良「人とコミュニケーションを取るのは苦手だし、初めて一人で行った場所では迷子になる。今日だって、あんな……変なものに取り憑かれて……」

聖良「……やはり私が目を離してはだめでした。私が常にそばで見ていてあげないと、まだ理亞は……」

────セラりんは、りあっちのこと信じてあげていないのね。

聖良「……」

善子「……聖良さん」

聖良「……あなたも言うんですか?」

善子「え……?」

聖良「あなたも……私に言うんですか。理亞を信じていないと」

善子「……!」

聖良「……実は、昼間、鞠莉さんにも言われたんです。私が理亞のことを信じていない、と」

善子「マリーが……?」

聖良「そんなわけ、ないじゃないですか。私が一番あの子を理解して……あの子を信じてる。信頼しています」

聖良「けど、その言葉が私の胸に刺さって……」

善子「お姉さん……」
675: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:12:55.01 ID:Un5E3wIv
聖良「信じてます……信じていますよ? だけど、心配と信じることは別じゃないですか」

聖良「あの子のことは信じています。当たり前です。けど……心配になるんです」

聖良「理亞はもう高校生。ですけど、人と話すのは苦手ですし、完璧主義なところがあるから力を抜くことも上手くできない」

聖良「だから、あの子をそばで見て導いてあげないと、不安で仕方ないんです……」

善子「……あの子がひとりでも頑張ろうとしているのは、知ってますか?」

聖良「……はい。そうしようとしているのは、分かります。だから今日もひとりで、と頑なだったんでしょう」

善子「理亞は……お姉さんが卒業したら、ひとりでこれからを過ごしていかなくちゃいけない。お姉さんは北海道を離れるんですよね?」

聖良「……はい。だから、本当にあの子をひとりにしてしまいます」

善子「だから、不安」

聖良「……はい」

善子「……私が聞きたいこと、全部勝手に喋ってくれましたね」

聖良「そ、それは……」

善子「いいんですよ。話は早い方が助かります」
676: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:13:50.58 ID:Un5E3wIv
善子「そこまで分かってるなら、話は早いと思います。私とヨハネは多分同じ結論なんだと思うけど……あの猫が生まれたのは、あなたのせいよ」

聖良「……私の、せい」

善子「そうです。あなたが理亞に対し、心配しすぎであること」

善子「理亞のことを信頼していないのではないか、信じていないのではないか……そう感じ取られるほどに過保護であること」

善子「愛は伝わります。心も、気持ちも」

善子「それが分かってるからこそ、理亞はひとりで頑張れるところをあなたに見てもらい。あなたに信じてほしい」

善子「けれどあなたはそれを許さない。させない。心配だからと、常に自分のそばに置こうとしている」

善子「……確かに心配性の姉としては、優しくて素敵です。けれど、独り立ちを見守ってほしい、保護者としては……少し過剰」

聖良「私は、そんなつもりじゃ……!」

善子「分かってる。理亞もね」

聖良「……」

善子「だからこそ、あなたには一番に信じてほしいの」

善子「ひとりでできるというところを、信じてほしいの」
677: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:17:25.43 ID:Un5E3wIv
聖良「ですが、ですが……あの子はそう言って出来た試しがありません。だから、心配してしまうじゃないですか……」

善子「……それを信じて、背中を押してあげるのも姉なんじゃないかって、私は思います」

聖良「それは、分かりました。わかりましたが……私のせいだと言う、根拠は?」

善子「猫になった理亞は、一目散にあなたに襲いかかろうとしました」

善子「理亞の心から生まれた存在が最初に取った行動が、それです。その行動があなたを襲うことだったなら……あなたに襲いかかることに、意味があったんじゃ、と思ったの」

聖良「でも、ただ攻撃することが目的だったら? とにかくどんなものでも傷つけることが目的だったら」

善子「それなら、すでに気を失っていたルビィを叩けばいいじゃない」

聖良「……確かに、そちらの方が確実ですが」
678: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:21:47.98 ID:Un5E3wIv
善子「……猫は散歩はしても、回り道をしない。目当てのものがあるなら、それに一直線────でしょう?」

善子「だからあなたを襲うことで、きっと……今まで溜まった鬱憤を晴らそうとしたのよ」

善子「あなたが心配し続けて蓄積されたストレスを解消しようと、ね」

聖良「……信じたく、ありません。理亞が私を……」

善子「信じなくて、いいんです。どちらにせよ、そんなことはさせませんから」

聖良「……善子さん」

善子「ヨハネが理亞を見つければ、すぐに捕獲するはず。同じ魔法によって生み出された存在であっても、ヨハネが遅れを取るはずないもの」

聖良「……信じているんですね」

善子「当たり前よ。だって、私のヨハネは無敵なんだから────」
679: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:24:17.77 ID:Un5E3wIv
・・・


ヨハネ「────、ぐ、ぅ……っ」

ルビィ「ヨハネ様────────!!!」

ヨハネ「来ない、で……ルビィ!」

ルビィ「ぅ、ぅぅ……っ」

ヨハネ(まずった)

ヨハネ(『食事』を済ませた理亞が、これほどにまで────)

理亞「にゃはは、無様にゃ姿だにゃ同類。せっかくの魔法も打ち止めってところかにゃん?」

ヨハネ「は、っ……ふざけなさいよ」

ヨハネ(魔法が全く効かなかった。こいつと私は相性が悪すぎる……)

ヨハネ(まさか……“魔力を吸収する”能力を持ってるなんてね……!)

理亞「私の魔法、えにゃじーどれいん。いい魔法でしょ?」

ヨハネ「……ふん、エナジードレインなら私にも使えるわよ」

理亞「寝ぼけたことを言うにゃよ同類。オマエはあらゆる魔法を満遍にゃく使えるのがいちばんの武器にゃんだろうが、私の武器はこの一点特化」
680: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:26:05.95 ID:Un5E3wIv
理亞「とにかく吸収する。喰らうことが私の魔法。それが魔力のリソースとして扱えるものにゃら、オマエが私に差し向けた魔法だって喰らうことができる」

ヨハネ「……それで、その人たちからも魔力を奪った」

理亞「ああ、お腹が空いてはにゃんとやら、って言うしにゃ。魔力で編まれた体を持たにゃいくせに、私は燃費が悪いらしくてにゃ」

理亞「ああして食事をしにゃいと、くたびれちゃうんだにゃ。だから片っ端から魔力をもらって、命を繋がせてもらってるってこと」

ヨハネ「……けど、そこまでドレインに長けてるなら、人から奪う必要もないでしょう。大気や大地からだって」

理亞「そりゃあそうにゃんだけど────まあ、人間からもらうのが一番効率がいいからにゃあ?」

ヨハネ「……やっぱりあんたはそのままにしちゃおけないわ」

理亞「ふうん? 同類だからと奪わずにいてやったが、根こそぎ奪ってやらにゃいと我慢にゃらんって顔だにゃ。死ぬ気か?」
681: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:26:42.70 ID:Un5E3wIv
ヨハネ「それこそ、我慢ならないわね。本気で来なさいよ、駄猫」

理亞「……フン。もう後悔したって遅いんだからにゃ────!!!」

ルビィ(全身の毛を逆立たせて怒りを見せる理亞ちゃんが、鬼気迫る勢いで叫ぶ)

ルビィ(その次の瞬間────理亞ちゃんがジャンプしようと屈んだのと同時に吹き荒れた風に、一瞬だけ瞬きをした、その瞬間)

ルビィ(たった0.1秒も閉じていなかった瞼を開けた時には、もう理亞ちゃんはヨハネ様の首に爪を突き立てているところでした)

ヨハネ「いきなり、獲りにきたわね……!!」

理亞「回り道は嫌いにゃんでにゃ────」

ルビィ(ヨハネ様はぎりぎり、もしかしたら若干爪が首に刺さってたかもしれないけど……なんとか突撃を回避。そのまま流れるような動作で理亞ちゃんの空いたお腹を上に蹴り飛ばした)

ルビィ(勢いより蹴り飛ばされた理亞ちゃんは、そのまま空へと落ちていく)
682: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:27:29.49 ID:Un5E3wIv
ルビィ(ヨハネ様のような翼があるならすぐに動けるんだろうけど、理亞ちゃんにはそれがない)

ルビィ(だから空で自由なヨハネ様の次の攻撃を避けられない)

ルビィ(ヨハネ様はぶっ飛んだ理亞ちゃんにすぐに追いつくと、続けて地面に向かってかかと落としを叩き込む。ルビィはそこで、怖くなっちゃって目を閉じちゃいました)

ルビィ(なにかが地面に叩きつけられて、石畳が砕ける音がする。目を閉じているからなにが起きているのか分かりませんが、多分、理亞ちゃんが地面に落ちたんだと思います)

ルビィ(それから、ずっと目を閉じたまま、音だけを聞いています。ヨハネ様の息遣い、悲鳴。理亞ちゃんの叫び声、笑い声)

ルビィ(大きな炎の音や、電気の音。なにが起きてるのかは分からないけど……ルビィの目の前では、理亞ちゃんとヨハネ様が戦っているのです)
683: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:27:58.49 ID:Un5E3wIv
ルビィ(ルビィ、ルビィ、本当はこんなことして欲しくないよ……なんでお友達同士で傷つけ合わなくちゃいけないんだろう)

ルビィ(あの猫さんは理亞ちゃんじゃない……理亞ちゃんの深いところに眠っていた理亞ちゃん、なにかいらいらを抱えた理亞ちゃん)

ルビィ(でも、身体は理亞ちゃんのままなんだよ……? そんな激しいこと、したら……理亞ちゃんの身体が……っ)

ヨハネ「ぐっ……なに、ドレインの範囲って手だけじゃないわけ?」

理亞「まさか。私の全身に決まってるでしょう?」

ヨハネ「……あ、らら。これじゃあ本当に手の打ちようがないわ……」

ルビィ(ぶつかる音が止んで、二人の話し声が聞こえる)

ヨハネ「あんた……理亞には、それだけのストレスが?」

ルビィ(ストレス……?)

理亞「別に、そういうわけじゃにゃい」
684: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:28:36.19 ID:Un5E3wIv
理亞「まるで父でもにゃい母でもにゃい赤の他人と15年間、家に部屋も用意されにゃいまま一緒に暮らして蓄積されたストレスにゃんかと比べれば大したことはにゃい」

理亞「ぶっちゃけた話、姉様にちょっと今までの分の気持ちを込めてぶん殴りゃあ充分スッキリする程度だにゃ」

ヨハネ「……なら、どうして人を襲ったの? 私に抵抗をするの? お姉さんと話をつけるだけで足りるのなら、手荒なことをする必要はないじゃない」

理亞「分かんにゃいかにゃぁ……」

ヨハネ「……」

理亞「私だって、理亞にゃんだけどにゃあ?」

ヨハネ「……」
685: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:29:15.77 ID:Un5E3wIv
理亞「私も正真正銘の理亞にゃんだ。けど、魔力が切れれば私は死んでしまう。消えてしまう。せっかく自由ににゃれたのに、消滅してしまう」

理亞「オマエだって経験してるんだろう、同類。消えるかもしれにゃい恐怖と寂しさは、誰にも理解してもらえにゃいよにゃあ」

ヨハネ「……つまり、あんたは自分がまだ消えたくないから。暴れてるってこと」

理亞「そうだにゃ。理亞の心の救済にゃんて、その気ににゃりゃあすぐに終わってしまう」

理亞「けど、それで私は用無し。役目は終わる。さようにゃら。ばいばいきんだ」

理亞「────そんにゃの、納得いかにゃいだろ?」

ヨハネ「……理亞」

理亞「だから、もう少しくらい自由を満喫させて。明日はクリスマスにゃんだ、サンタさんにプレゼントを願ったってバチは当たらにゃいだろ?」

ヨハネ「……」
686: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:31:08.45 ID:Un5E3wIv
理亞「まあ、たしかにオマエの言う通り、人間を襲うのはもうやめといてやる。めんどくさいが、大気や大地からまにゃをいただいて食いつにゃいでおくとするよ」

理亞「私はもう行く。疲れた」

ヨハネ「待ちなさい、理亞」

理亞「にゃ?」

ヨハネ「夜は冷えるわ。私のマフラー貸してあげるから」シュル

理亞「……いいの?」

ヨハネ「あんたを心配したわけじゃないわよ。理亞の身体を心配してるの」

理亞「……フン、ありがたく受け取っていてやるにゃ」シュル

理亞「じゃあにゃ、また明日の夜にでも遊びに行ってやるから、うまそうな飯でも用意して待っててくれよ」

ルビィ(いたずらのように笑うと、理亞ちゃんは街の闇へと消えていった)

ルビィ(すでに夜中になった、沼津の闇へと────)
687: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/16(水) 02:31:34.53 ID:Un5E3wIv
ヨハネ「……ルビィ」

ルビィ「は、はい」

ヨハネ「その人たちの魔力を回復させたら、帰るわよ」

ルビィ「で、でも……ヨハネ様、怪我が……」

ヨハネ「私は平気。たくさんご飯食べて寝れば治るわ」

ルビィ「ぅゅ……」

ルビィ「りあ、ちゃんは……」

ヨハネ「明日、戻ると言った。なら……それを待ちましょう」

ルビィ「理亞ちゃん……」

ヨハネ「……はあ、お姉さんになんて言おう」

ヨハネ「憂鬱だわ……」
704: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:47:24.74 ID:Dsdd3Ahj
~翌日~


聖良「理亞と話します」

善子「お姉さん……?」

聖良「善子さん、ヨハネさんの話を聞いて……私はそうすべきだと思いました」

聖良「私の今までの行動が、あの子を知らず知らずに苦しめていたなら……話をする必要がある」

聖良「……あの子は、怒っているのでしょうか」

ヨハネ「……それは理亞にしかわからないわ。それに、猫の方もね」

聖良「……そう、ですよね」

聖良「でもあの子には会う必要があります。じゃないと……帰ってこない気がするんです」

善子「でも、一体どうやって……? 携帯は置いたままだし、魔力の追跡も……」

ヨハネ「それなら平気よ」

善子「え?」
705: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:48:59.02 ID:Dsdd3Ahj
ヨハネ「昨日、別れ際に私のマフラーを渡しといた。ちょっとしたマーカーを付けて、ね」

善子「……あんた手回し早くない?」

ヨハネ「こうなることも予測しておく。それが堕天使たるものの役目よ」

善子「ぐぬぬ……」

聖良「では、みなさんに心配をかける前に行きましょう」

ヨハネ「でも、今はやめておきましょう」

聖良「なぜですか?」

ヨハネ「お姉さんはまだ待ったほうがいい。姉なら、待っているべきよ」

聖良「それは、一体どういう」

ヨハネ「あなたが探しに行けば、また、心配をかけたって理亞は思うでしょ」

聖良「……そ、れは」

ヨハネ「あなたは何も心配していない。散歩に行った理亞の帰りを待っている……それだけでいいのよ」

聖良「……」
706: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:53:41.08 ID:Dsdd3Ahj
善子「あの」

聖良「……はい」

善子「ヨハネが言いたいのは……お姉ちゃんなんだから、どっしり構えてればいいってことだと思います」

善子「心配している……けれど、信じて帰りを待ってる……って、理亞にそう思わせてあげましょう」

善子「だって、聖良さんは……お姉ちゃんなんですから」

聖良「……お姉ちゃん、だから」

ヨハネ「そうそう、そういうこと。探しに行ったりするのは友達の仕事だもの。姉はゆっくり部屋で待ってればいいの」

聖良「……」

聖良「わかりました。では、理亞のことはお願いします。今度はちゃんと連れて帰ってきてくださいよ?」

ヨハネ「ゔっ……ま、任せといて」

聖良「ふふっ」
707: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:54:06.89 ID:Dsdd3Ahj
善子「行くとして、ルビィには連絡しなくていいのかしら」

ヨハネ「あの子はまだ家で寝てるだろうし、ラインだけ入れておきましょう」

善子「……それもそうね。昨日も帰るの、遅くてダイヤに怒られたみたいだし」

ヨハネ「あとは私たちで」

善子「……うん」

聖良「すみません、私とあの子の問題なのに……」

ヨハネ「それなら、こっちだって魔法堂が迷惑をかけたんだもの。出来るだけサポートするわ」

聖良「……はい」

コンコンコン

聖良「!」

ヨハネ「私たちは隠れとくわ!」

聖良「……」コクン
708: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:55:25.81 ID:Dsdd3Ahj
ガチャッ

鞠莉「グッモーニーン!」

聖良「ああ……おはようございます」

鞠莉「……聖良? どうしたの、その顔」

聖良「え、っと……いえ、平気です。少し眠れず」

鞠莉「それ、本当? 枕が合わなかった? それともベッドが硬い? 不満はどんどん言って、改善させるから」

聖良「あ……いえ、そうではなくて……個人的なことです。お部屋に対しての不満はひとつもありませんから、お気になさらず」

鞠莉「……そう? って、りあっちは?」

聖良「理亞は……すこし、お散歩に出てるんです。朝早くから、すこしだけ」

鞠莉「ん……そうなんだ。一人でいかせてよかったの?」

聖良「……意地悪はやめてください」

鞠莉「ふふ、そうだね。ごめん」
709: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:56:05.88 ID:Dsdd3Ahj
鞠莉「────Spare the rod and spoil the child. 大切だからこそ、ひとりで行かせてあげるのも大事なんだと思うの」

聖良「……ふふ、ひとりっこのあなたに言われるなんて」

鞠莉「あら、これでもお嬢様なんだよ? りあっちの肩身の狭さはよーく分かるつもりデス♪」

聖良「……ありがとうございます。今夜のクリスマスイブのパーティ、楽しみにしていますね」

鞠莉「of course! 明日は本番のクリスマスパーティだから、2日間続けて騒いじゃいましょーね!」

聖良「ふふ、はい」

鞠莉「それじゃあ……breakfastはどこで食べる? 部屋に運ばせるか、マリーと一緒に行く?」

聖良「では、せっかくなのでご一緒に。その、あなたがお嬢様だった頃のお話を聞かせてください」

鞠莉「む、今もお嬢様なんですけど!」

聖良「ふふ、失礼しました」
710: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:58:06.55 ID:Dsdd3Ahj
鞠莉「じゃあマリーのお部屋においでよ! とってもいい眺めなの♪ 特別に招待してあげるっ」

聖良「はい、お言葉に甘えます。すぐに支度をするので、待っていてください」

鞠莉「OK♪」

ゴソゴソ

聖良「……」

聖良(いない……消えてるのか、出て行ったのか)

聖良(理亞、あとで必ず会いに行きます。だからそれまで、待っててください。お姉ちゃんも、あなたの苦しみを知りたい)

聖良「お待たせしました」

鞠莉「全然待ってないけどね……っと、果南とダイヤも呼ぶ?」

聖良「あら、二人きりじゃないんですか? 私はてっきり、そのつもりで」

鞠莉「……じゃあデートね♪」


バタン
711: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 22:58:42.30 ID:Dsdd3Ahj
~部屋の外~

バサッバサッ

ヨハネ「ふー……」

善子「あぶな……」

ヨハネ「でも、いいんじゃない? 心配されまくって箱入りだったマリーと、心配しまくるお姉さん。意見交換すれば見えることもあるでしょう」

善子「そうね……きっと、そうだと思う」

ヨハネ「もうお姉さんのことは心配いらないわ。あとは……」

善子「ええ、あとは……」

理亞「私のこと?」

善子「……」

ヨハネ「……」

理亞「ん?」

よしヨハ『ぎゃぁあああーーー!!!???』

理亞「ちょ、揺らさないで! 落ちるでしょ!?」
712: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:02:01.24 ID:Dsdd3Ahj
ヨハネ「ひ、人の頭に乗るなって……あれ? にゃって言わない……」

理亞「は? 何言ってるの善子。バカ?」

ヨハネ「ヨハネよ! ……ごめん、ちょっと意味わからない。一旦降りるわよ」

善子「そうね、そうしましょう早く降りて早く」


・・・


理亞「おはよ」

善子「え、ええ……おはよう」

ヨハネ「……単刀直入に聞くけど、あなたはどっち? 猫なのか、理亞なのか」

理亞「半々。理亞の意識が覚醒しつつあるけど、ほとんどは私。昼間は眠たいから、省エネ」

ヨハネ「夜行性、ね」

理亞「そういうこと」
713: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:03:42.36 ID:Dsdd3Ahj
善子「なんで戻ってきたの? 夜に戻るんじゃなかったの?」

理亞「暇だったから」

ヨハネ「暇って……」

理亞「あのあと、ひとりで色んなところに行った」

理亞「夜景が見たくてビルを登ったり、いい空気を吸いたくて山に行ったり、お腹が空いたらお店に入ってご飯を食べた。財布があって助かった」

理亞「あとは、静岡以外の県にも少しだけ行った。けど特に面白そうなものもなかったから帰ってきた」

理亞「今まで姉様に心配されるから、と出来なかったこと、あと理亞自身の性格のせいでなかなか出来なかったことをやってきた」

善子「……それで、楽しかったの?」

理亞「楽しかった────とは、言い切れない。もちろん楽しくなかったわけじゃない。今まで出来なかったことをするのは新鮮で面白かった」
714: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:05:09.90 ID:Dsdd3Ahj
理亞「そういうことだから、今日の夜まで歩き回る予定だったけど、もう帰ってきた。ひとりでいても暇だから」

善子「……ストレスは?」

理亞「もう、スッキリした。明け方になるまで走り回ったから」

善子「……そう」

ヨハネ「ったく、昨日はボコボコにしてくれたわね。マフラーはどうしたのよ」

理亞「そっちもやってきたから、おあいこでしょ。なくした。ビルの屋上に登った時に落とした」

ヨハネ「嘘でしょ!?お気に入りなのに……さらにダメージを負ったわ、回復まで時間かかるわ」

理亞「そうなの? それは、ごめん」

ヨハネ「別にいいけど。じゃあもう暴れたりはしないのね」

理亞「しない。あとは、私の魔力が切れて理亞が起きれば終わり」

善子「……」
715: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:05:39.44 ID:Dsdd3Ahj
善子「でも、あなたも理亞なんでしょ? 心の奥底に抑圧させていた、我慢してた心」

理亞「……うん? 多分」

善子「なら、もうひとつだけやりましょうよ」

理亞「なにを?」

善子「お腹、空いてるでしょ」

理亞「……まあ、多少」

ヨハネ「善子?」

善子「みんなでモーニング行かない? ルビィとずらまるも誘って」

善子「ひとりはつまらないんでしょうけど、みんなと……友達と一緒なら楽しいわよ、きっと」

理亞「……」

ヨハネ「……ふふ、いい案ね。どうせいなくなってしまうんなら、ちゃんと楽しいことも経験してから行きなさいよ」

ヨハネ「猫。あなたも理亞なら、私たちの友達よ」

理亞「……ふ、ふん。……お礼は言わないわよ」

善子「完璧に理亞に戻ってない?」
716: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:05:59.39 ID:Dsdd3Ahj
理亞「も、戻ってない! ……意識っていうか、人格が表に出てるだけ。理亞のメインの心は眠ってる。猫耳だって消えてない」

善子「ふうん……まあいいわ。ほら、置いてった帽子」

理亞「……ありがと」ギュウッ

善子「あれ? いまお礼」

理亞「い、今のは違う、ノーカン!」

善子「ふーん」

ヨハネ「いいから行きましょ。ホテルのレストランでもいいけど、どうせなら阿蘭陀館でも」

善子「曜の家のそばの?」

ヨハネ「そう。いいコーヒー出すのよ」

善子「……ありね」

ヨハネ「そうと決まれば行きましょ! ……理亞」

理亞「!」

理亞「……私が表に出てる間の記憶は、理亞にはない。けど……この嬉しさだけは、残してあげたい」

善子「ふふ。覚えてなくても平気よ。何度も連れて行ってあげるから」

理亞「……うん」
717: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:06:24.83 ID:Dsdd3Ahj
~花丸の家~

花丸「ずら~!!?? り、理亞ちゃんに猫耳が……」

理亞「……」

ルビィ「理亞ちゃん」

理亞「な、なに? ルビィ」

ルビィ「恥ずかしがらなくていいんだよっ」

理亞「べ……別に、恥ずかしがってなんかない。何回も驚かれてるから、またかって思ってるだけ」

ルビィ「……ふふっ」

花丸「ほ、ほんもの……? 触っても……」( ・ω・)つ

理亞「や、やめたほうが……」

ビリッ

花丸「ふひゃっ!! び、びりって……なんかチクって……!」

ヨハネ「……えにゃじーどれいん、耳でも入るのか」

理亞「そ、それやめて!」

ヨハネ「自分で言ったくせに」
718: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:11:56.01 ID:Dsdd3Ahj
花丸「でも痛気持ちいいずら……」フニフニ

善子「低周波マッサージか……?」

花丸「な、なるほど……! じゃあちょっと肩を触ってもらって……」

理亞「こう?」チョン

ビリビリ

花丸「ぉ、ぉおお……すごい、しゅごぃじゅらぁぁああ……♡」

ヨハネ「いやいやいやどんだけなのよ」

花丸「胸が大きいと肩が凝って凝って……」

よしヨハりあルビ『……』

善子「理亞、最大出力」

理亞「ん」バチバチバチ

花丸「あ、いた、いたいよ?! 痛……ちょ、いたたたっ! な、なんで!? まる、なにか言っちゃった~!? あの、あのー!」
719: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:15:33.07 ID:Dsdd3Ahj
・・・

花丸「ずら……」グッタリ

ルビィ「まるちゃんの無自覚は犯罪っ! だよ」

理亞「……これだからズラ子」

善子「とりあえず沼津に行って朝ごはんでしょ? それからどうする?」

ルビィ「それなら久しぶりに水族館行きたいなっ! 理亞ちゃん……昨日はもう夜中だったし、こっちの水族館行ったことないよね?」

理亞「うん。けど、水族館なら北海道にも……」

ルビィ「沼津の水族館には、シーラカンスが!」

理亞「……ルビィーラカンスは」

ルビィ「あ、あれはダメだよ!?」

理亞「連れて帰る」ナデナデ

ルビィ「ぁぁああぁぁ力が抜けちゃぅぅう……」

善子「こらこらこらこら!」
720: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:16:17.76 ID:Dsdd3Ahj
~夕方~


理亞「……流石に疲れた。もうあるくきにもにゃれにゃい」

善子「だいぶ猫語が戻ってきたわね」

理亞「夜は私の時間だからにゃ」

ルビィ「にゃーにゃー?」

理亞「にゃ?」

花丸「にゃーんにゃーん」

理亞「にゃにゃん?」

ルビィ「にゃんにゃ」

花丸「にゃにゃにゃにゃーにゃんずら」

理亞「にゃんにゃーにゃにゃん」

善子「何言ってるの……」

ヨハネ「さあ……」

理亞「……」バチッ

善子「どうしたの?」

理亞「……切れかかってるだけ」

善子「……もう、なの」

ルビィ「……!」

花丸「ほえ?」
721: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:22:55.61 ID:Dsdd3Ahj
理亞「ズラ子には、説明してにゃかった。実は私は、理亞だけど理亞じゃにゃい。そこのヨハネと同じ、魔法で……」

花丸「わかってたよ?」

理亞「……」

花丸「聞かされてたわけじゃないけど……なんとなく、わかってた。でも理亞ちゃんに変わりないんでしょ?」

理亞「……うん」

花丸「それなら、まるのお友達ずら。今日1日、いっぱいいっぱい遊べて楽しかったですっ」

ルビィ「うん、ルビィも! ルビィも……とっても楽しかった!」

善子「ま、こんな素直な理亞はなかなか見れないし? 目が覚めた後のネタにはさせてもらうわ」

ヨハネ「あなたのことは、私たちが覚えてるわ」

理亞「……」
722: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:23:26.33 ID:Dsdd3Ahj
理亞「にゃら、安心。あとは……姉様と話をつけるだけにゃん」

ルビィ「それが終わったらクリスマスパーティだよ! 表には出てこなくても、理亞ちゃんの心の奥でちゃんとあなたはいるんだよね?」

理亞「もちろんにゃ。出てくるための鍵はある……から、もし魔力をもらえればいつでも出てきてやるにゃ」

ルビィ「ふふ、そっか!」

花丸「それじゃあホテルに戻ろう! バスも来ることだしっ」

善子「そうね、行きましょう。クリスマスイブのお祝いに」
723: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:24:59.42 ID:Dsdd3Ahj
~ホテル~

『メリークリスマスイブー!』

パンッパンッパパパーン!!

千歌「クリスマス1日目! 付いてきてくれますCAR?」

曜「ヨーソロー!」

梨子「そ、そんなライブみたいな煽りしないで~……!」

果南「本当のクリスマスは明日なんだから、明日が一番盛り上げなくちゃいけないんだよ?」

千歌「大丈夫だよ! 千秋楽は嫌でも盛り上がるから!」

梨子「だから、そんなライブみたいに……」

ダイヤ「そうですわ! いくらパーティとはいえ、羽目を外しすぎないように! 明日になさい!」

梨子「明日ならいいんですか……!?」

曜「よーしチキン戦争だ!」

千歌「早速かー!」

ダイヤ「明日になさい」

ようちか『はーい……』
724: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:25:30.21 ID:Dsdd3Ahj
聖良「……ふふ」

鞠莉「セラりん」

聖良「?」

鞠莉「りあっち、帰ってきてるよ?」

聖良「……ええ、知ってます」

鞠莉「おかえりって言ってあげた?」

聖良「いえ、まだですが……あとで」

鞠莉「ふふ、そっか」

鞠莉「それじゃあchampagne持って来るから! セラりん、いっぱい飲んで素直になろー!」

聖良「えっ!?」
725: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:27:46.49 ID:Dsdd3Ahj
鞠莉「えー! ブレーコーでしょ、Christmasなんだから!」

ダイヤ「それでも飲酒はいけません! 二十歳になるまで待ちなさい!」

鞠莉「えー! 海外だと18歳から飲めるとこあるのに!」

ダイヤ「ここは日本です!」

鞠莉「むー、けち!」

ダイヤ「なんですって!?」

果南「はいはい落ち着いて~」

ダイヤ「だって鞠莉さんが!」

鞠莉「ダイヤが~!」

聖良「……ふふ、ふふふっ」

善子「お姉さん」コソコソ

聖良「!」

善子「……テラスに」

聖良「……はい」
726: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:28:16.37 ID:Dsdd3Ahj
~テラス~


善子「もう、私たちがいなくても平気ですよね」

聖良「……はい」

聖良「ありがとうございます」

カチャ

キィ……

聖良「……理亞」

理亞「……」
727: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:30:10.40 ID:Dsdd3Ahj
聖良「……ごめんなさい、理亞。私は今まで、あなたがどう思っているかも知らずに、ずっとずっとあなたを苦しめていたんですね」

聖良「あなたが一人で行動しようとするのを、必ず止めたり、同行したり……ほかにも、いっぱいいっぱい肩身の狭い思いをさせてしまいました」

聖良「過保護と言われても、反論できません。その通り……私はあなたに対し、過保護であったのかもしれない」

聖良「スクールアイドルのパートナーとしてのあなたにはとても厳しくしていた。その反動でも、あったのかもしれない」

聖良「理亞……もっとあなたを自由にさせてあげれば、良かったと……」

理亞「姉様」

聖良「……はい」

理亞「私は昨日の夜から、ひとりで色々にゃところに行った」

聖良「……」
728: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:30:36.98 ID:Dsdd3Ahj
理亞「財布があったから、ひとりでファミレスに行った。ラーメン屋にも行った」

理亞「夜景が見たくてビルにも登ったし、びゅうおとかいう水門も見に行った」

理亞「見たことにゃい景色を見るのは、楽しかった。知らにゃいことばかりで、面白かった」

聖良「そう……それは、よかったです」

理亞「でもにゃ」

聖良「?」

理亞「ひとりじゃあ、そこまで楽しくはにゃかったんだにゃ」

聖良「え……?」

理亞「私はずっとひとりで行動したい、させて欲しいと思ってた」

理亞「けど、それはそれでつまらにゃかったんだにゃ」

理亞「でも、今日、朝から善子たちとお出かけした時は……楽しかった」
729: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:32:30.73 ID:Dsdd3Ahj
理亞「だから、私はひとりだとにゃかにゃか楽しめにゃかったんだにゃ。いつも姉様がついてくるのは、少し不満に感じてたけど、それでも姉様と出かけるのは楽しかったんだにゃ」

理亞「……だからにゃ、姉様、これからも私と……理亞と出かけてやってくれよ。もう理亞もそれに不満を感じたりしにゃいはず」

理亞「私はもうすぐにでも魔力が切れて、いにゃくにゃる。だから最後にこれだけ伝えておきたくてにゃ」

聖良「理亞……」

理亞「昨日は悪かったにゃ。それと、いつも心配してくれてありがとう」
730: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:33:01.72 ID:Dsdd3Ahj
理亞「……ああ」

理亞「満足、かにゃ」

聖良「え……」

聖良「ぁっ……理亞、髪の色が……」

理亞「……」スウゥ…

理亞「お別れだにゃ。私は燃費がすこぶる悪くてにゃ……魔力を補充してもすぐに使っちまう」

理亞「だから、もう私の意識はここで終わり。本当の理亞が目覚めるにゃ」

聖良「……理亞」

理亞「ふふ」

理亞「もう心配はにゃいと思うが、あんまり理亞を心配しすぎるにゃよ? また私が出てきて、今度こそ姉様を食っちまうかもしれにゃいぞ」

聖良「……はい、もうそんなことはしません。約束します」

理亞「ん! にゃら、いい」
731: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:37:07.43 ID:Dsdd3Ahj
理亞「ん! にゃら、いい」

聖良「……でも」

理亞「?」

聖良「出てきた時は、姉として歓迎します。理亞」

理亞「……」

聖良「だから、今度は二人で出かけましょう。ディズニーランドでも、USJでも、富士急ハイランドでも」

理亞「ふふ、遊園地しかにゃいのかにゃん? ま、そこまで言うにゃら行ってもいいけどにゃ」

理亞「……だから姉様。これからも私のこと、よろしく」

聖良「……」

聖良「はい、もちろんです!」
732: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:39:35.30 ID:Dsdd3Ahj
・・・

ヨハネ「……消えたわね」

善子「……そうね」

花丸「ね゛こ゛り゛あ゛ち゛ゃ゛ん゛……」ズルズルズビーッ

善子「ちょ、号泣!?」

ルビィ「……これで安心なのかな?」

善子「ええ、きっと」

ヨハネ「大丈夫よ。だってあの子、いい顔してたじゃない」

ルビィ「……そうだねっ!」

善子「……」
733: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:40:15.69 ID:Dsdd3Ahj
善子(テラスでは、聖良を抱えていた。意識を失った理亞を、これでもかと力を込めて、抱きしめていた)

善子(空は、とても綺麗な星空で)

善子(ただ、ただ、聖良は)

善子(理亞が意識を取り戻すまでの10分間、ただ、ひとりで彼女の体を抱いていた)

善子(とても寒いだろう。なんせ今日はクリスマスイブ、12月24日なのだから)

善子(ここで雪のひとつでも降ればロマンチックで、天気も空気を読んだと言ってあげたくなるけれど、そんな都合の良いことはなく)

善子(だけど、だけれど)

善子(満天の星空は────しんしんと降る雪のように散りばめられた星々は)

善子(ふたりを暖めるかのように、輝いていた)
734: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:41:27.09 ID:Dsdd3Ahj
・・・

後日談というか、今回のオチ。

その後、目を覚ました理亞は、やはり何も覚えていなかった。

聖良さんとテラスで話した内容はもちろん、私たちと出かけたこと、ひとりで沼津の街を蹂躙しまくったことも。

ヨハネをボコったことも当然。

というか、魔法堂で起きたことすら曖昧な感じだった。

理亞「だって覚えてないものは覚えてないんだし。魔法とかありえない」

とのこと。流石にびっくりよ。
735: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:42:31.22 ID:Dsdd3Ahj
まあ、それはそれとして。

聖良さんと理亞の関係も、少し変化があったらしい。聖良さんからの心配のオーラがなくて逆に心配だ、とかなんとか。

これ、今度は聖良さんが猫になったりしないわよね?

まあ、そうなったらそうなったでまた対処できるとは思うけれど。

でも確信がある。もう大丈夫。

だって、ふたりが一緒にいる時の笑顔は、何よりも輝いているのだから。

ルビィ「善子ちゃん」

善子「ん?」

ルビィ「明日のパーティも楽しくなりそうだねっ」

善子「……ふふ、そうね」

花丸「あしたはちきん戦争ずら!」

善子「げ、ほんとにするの?それ」

花丸「もちろん」
736: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:45:23.64 ID:Dsdd3Ahj
ヨハネ「ふふ、良いじゃない。どうせ私がいる方が勝つんだし」

花丸「ぐぬぬ、魔法はずるい……」

ヨハネ「なら、理亞に猫でも出してもらえば?」

花丸「むー!」

善子「……そうね、また、みんなで出かけましょ。今度は、こっちから函館に行って、さ」

ヨハネ「……ん」

ルビィ「そうだね!」

花丸「うん!」

善子「……ふふ」
737: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/21(月) 23:45:37.26 ID:Dsdd3Ahj
そう、誰にも不満や心配はある。

だけど、それを乗り越えて……受け入れて、強くなる。

理亞と聖良さんはひとつ、強くなった。

Saint Snowは、Aqours最大のライバル。

ライバルは、一緒に高め合わないとね。

さあ、遅くならないうちに帰って明日のパーティに備えましょう。

サンタさんだって来るんだし。

そう、なんせ今夜はクリスマスイブ。

明日、目を覚ませば、クリスマスなのだから。


#6 りあキャット・せいらシスター 完
745: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:19:12.48 ID:gC50MO+L
善子「あー……さぶさぶ」モゾモゾ

ヨハネ「当たり前でしょ? 12月31日なんだから」

善子「そうね……もう大晦日なのね……」

ヨハネ「早いものよね。ついこの前まで、ダイヤに魔法を教えたり理亞が猫になったりしてたのに」

善子「……」

善子「もうすぐAqoursが始まってから1年……か。厳密には4月で1年……私が入ったのは5月くらいだけど」

ヨハネ「そうね……善子、来年何年生だっけ」

善子「1年生よ」

ヨハネ「ん? 入学式は?」

善子「は? ないけど」

ヨハネ「……そっか」


※このSSはサザエさん時空です
746: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:19:43.51 ID:gC50MO+L
善子「まあそれはどうでもよくて」

善子「今年一年、色々あったわね」

ヨハネ「そうね……私が生まれて、消えて」

善子「……また、帰って来て」

ヨハネ「楽しかった」

善子「……まあまあね」

ヨハネ「素直じゃないわね善子」

善子「うるさいわね。私は毎年やってた年越し生放送ができなくてモヤモヤしてるのよ」

ヨハネ「そうなの?」

善子「……別にそうでもないけど」

ヨハネ「ふうん」
747: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:21:49.90 ID:gC50MO+L
ヨハネ「いいじゃない、年越しはしないけどあけおめはやるんでしょ?」

善子「時間があれば、明日の昼くらい。なかったら、出来たとき」

善子「どうせAqoursで何かやりそうだけど」

ヨハネ「ギラン!」

善子「……最近、あんたのせいで私ってどうやって堕天使やってたのかわからなくなってきてるわ」

ヨハネ「ククク、ついに私が本物の堕天使ヨハネであることを認めたのね?」

善子「何言ってんの!? 堕天使ヨハネは私、あんたはただ名前を騙ってるだけ!」

ヨハネ「ちーがーいーまーすー! 私がヨハネですぅー」

善子「……やめましょ、年末までそんな言い合いしても意味ないし。どうせあんたは私だし」

ヨハネ「……まあね」
748: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:23:36.09 ID:gC50MO+L
善子「なんか……誰かと年越すって初めてかも」

ヨハネ「へ? 年越し生放送してるじゃない」

善子「違うわよ。リアルで、誰かとね」

ヨハネ「ああ……そうね。Aqoursとは……」

善子「Aqoursは、まだ一年経ってないし。年越しした後で、神社に集合ってなってるわ」

ヨハネ「みんなで初詣、楽しみね」

善子「……別に私は」

ヨハネ「まぁだ言ってる」

善子「な、なによ……堕天使ヨハネはどのようなものであれ、神という存在には祈らないのよ!」

ヨハネ「でも、楽しみなんでしょ? みんなと初詣」

善子「……うん」
749: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:24:24.73 ID:gC50MO+L
善子「……そうね、楽しみよ。初めて友達と初詣に行くんだもの」

ヨハネ「ふふ、素直でよろしい」

善子「……私、みんなに感謝してるの」

ヨハネ「……うん」

善子「私、自分と同じ姿の存在が生まれるなんて、1年前は思ってもなかった。しかも、それが……堕天使ヨハネだなんて」

善子「私がずっと追い求めていた……ずっとこの身に宿していた魂が、現実に現れるなんて」

ヨハネ「……」

善子「……最初は当然驚いたし、信じられなかった」

善子「だって、堕天使なんかただの妄想。私の作り出した設定でしかなかったんだもの」

ヨハネ「……うん」
750: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:25:54.45 ID:gC50MO+L
善子「一度はそれを捨てて、普通になろうとした。でも、千歌が……Aqoursが、普通じゃない私を受け入れてくれた」

善子「そして普通じゃない私から生まれた、普通じゃないあんたも、受け入れてくれた」

ヨハネ「……そうね」

善子「Aqoursは私に、私のままでいいって言ってくれた。居場所をくれたの」

善子「だから……感謝してる。みんな、みんな大切な仲間よ」

ヨハネ「うん、そうね。大好き、だもんね」

善子「……うん」
751: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:27:30.99 ID:gC50MO+L
善子「でも、それでも私は素直になれないままで……照れ隠しに堕天使になったり、思ってることと逆のことを言って誤解されたり、色々あった」

善子「……でも、あんたが私のわりと素直な部分を引き受けてくれたおかげで、恥ずかしいけど、みんなが誤解せず分かってくれるようになった」

善子「いい子だね、って……言われるようになった」

ヨハネ「つまりは天使ヨハネね」

善子「……そんな、可愛いものじゃないわよ」

ヨハネ「ふふ、素直じゃない」
752: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:33:07.65 ID:gC50MO+L
善子「この1年、楽しかった。ほんとのほんとに、最高に」

善子「今まで過ごしてきたなかで、いちばん」

ヨハネ「Aqoursのおかげね」

善子「あんたのおかげでもあるの」

ヨハネ「……そう面と向かって言われると、恥ずかしいんだけど」

善子「ねえ、ヨハネ」

ヨハネ「……ん」

善子「あなたは、もうどこにもいかないわよね」

ヨハネ「行かないわよ。どこかのいい子のおかげでね」
753: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:33:36.90 ID:gC50MO+L
善子「……もう、Aqoursとあんたは私の中で欠けちゃいけないものになってるんだから」

善子「絶対、いなくなるなんて許さないから」

ヨハネ「はいはい、わかってるわよ。私だって、善子を幸せにするまで消えるわけにはいかないんだから」

善子「そうね。あんたがいなくなったら幸せじゃなくなるから、絶対いなくなれないわね」

ヨハネ「望むところよ」

善子「……ふふ」

ヨハネ「んふふ」
754: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:34:36.00 ID:gC50MO+L
善子「さてと、そろそろ準備しましょ? 年が明けたらすぐに神社集合なんだから」

ヨハネ「でもまだ年明けてないけど?」

善子「どうせみんな、待ちきれなくて集まってるわよ。特にうちのリーダーなんかね」

ヨハネ「……ふふ、そうね。じゃあ少し早いけど行きましょうか」

善子「ちゃんと手袋とマフラーするのよ」

ヨハネ「わかってるわよ」

善子「曜も拾うんだっけ?」

ヨハネ「こんな時間にバスはないし、内浦の神社でしょ?」

善子「じゃあライン入れとく。どうせ言えばすぐに用意できるでしょ」

ヨハネ「あの人のフットワーク軽すぎ問題ね」
755: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:35:01.54 ID:gC50MO+L
・・・


善子「……さて、できた?」

ヨハネ「できた」

善子「神社に着く頃に年明けかしら」

ヨハネ「間に合わせるように急ぐ?」

善子「別に急ぐ必要はないけど、任せるわ」

ヨハネ「なら間に合わせる」

善子「そ」

ヨハネ「さ、手を」スッ

善子「……ん」ギュウッ

ヨハネ「一気に飛ぶわよ」

善子「……ねえ、ヨハネ」

ヨハネ「ん?」
756: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:35:28.56 ID:gC50MO+L
善子「ずっと言ってなかったけど……あの時の、あの手紙の返事────ちゃんとあなたに言うわ」

ヨハネ「手紙? 返事って……え、なになにちょっと」

善子「いいから聞きなさい」

ヨハネ「いや、だって……絶対それ恥ずかしいやつじゃない! いやよ聞きたくない」
757: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:36:03.98 ID:gC50MO+L
善子「えー? せっかく年も越すんだし、精算ってことで素直な気持ちを伝えてあげようと」

ヨハネ「いい、いいから! そういうのはいい!」

善子「わがままなんだから」

ヨハネ「言わなくていいから! ほら、飛ぶから口閉じて!」バサッ

バサバサバサッ!!

ったく、素直じゃないんだから。誰に似たのかしら? ふふ♪

────ありがとう、ヨハネ。私もあなたを愛してる。


#6.5 「ありがとう」 完
758: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:38:21.84 ID:gC50MO+L
`¶cリ˘ヮ˚)|「私たちの日常はこれからも続いていくわ」

`¶cリ˘ヮ˚)|「これを読んでくれたみんなにも、ありがとう」

`¶cリ˘ヮ˚)|「もともと蛇足みたいなものだし、終わり方もこんな感じで許してね?」

`¶cリ˘ヮ˚)|「それじゃ、またどこかで」
760: 名無しで叶える物語(たこやき) 2019/01/23(水) 18:56:48.57 ID:gC50MO+L
あらためて、
ありがとうございました
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『善子「ふたりのヨハネの日常」』へのコメント

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2018年5月26日
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