希「あじさいの花言葉」

シェアする

希-アイキャッチ3
1: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:38:31.66 ID:IDM8ufsH.net
のんたん誕生花おめでとう

短めです

元スレ: 希「あじさいの花言葉」

スポンサーリンク
3: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:39:02.51 ID:IDM8ufsH.net
…なんや、今日は雨かぁ。

絵理ちの家で勉強会なのに、嫌だなぁ。

ザーザーと、強めの雨が窓を叩く。まるで、砂嵐の雑音のようだ。

「はぁー…」

ついため息が漏れる。私は、雨があまり好きではない。

6月生まれだけど、梅雨の時期になると憂鬱になる。
4: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:39:27.61 ID:IDM8ufsH.net
「…準備しよ」

ベッドの上で独り言ちていてもしょうがない。ベッドからぴょん、と飛び降りて、クローゼットから着替えをひったくる。

…あんまりお洒落しなくてもいっか。雨だし、ただの勉強会だし。

雨が降ってるから、タイツはやめとこう。靴下の替えも持っていかなくちゃ。

履き古したスニーカーを履いて、のそのそと玄関を出る。

…やっぱり、結構降ってるなぁ。急にやまないかなぁ。

小さな期待は、灰色の雨雲に飲み込まれていった。
5: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:39:54.51 ID:IDM8ufsH.net
うわぁ、ちょっと歩いただけでもうびしょびしょ。絵理ちの家に着いたら、足を洗わせてもらおう。

…うぅ、靴の中がぐじゅぐじゅして気持ち悪い。だから雨は嫌いなんよ。

ふと、道端に目をやる。

「わぁ…」

思わず声が出てしまった。

そこにあったのは、鮮やかな紫色をした、あじさいの花。

葉っぱはみずみずしい緑色で、雨粒が当たって揺れて、まるで踊っているみたい。
6: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:40:29.06 ID:IDM8ufsH.net
梅雨は嫌いだけど、あじさいの花は大好き。

紫、ピンク、水色、白。どの色も素敵。でもやっぱり1番好きなのは、紫のあじさいかな。

それに、あじさいは6月の誕生花。6月生まれの私には縁のある花だ。

ちなみに、あじさいの花言葉は…

「あれ?希ちゃん!何してるのー?」

ふいに後ろから名前を呼ばれて振り返る。

「わー!綺麗なあじさいだにゃー!」

雨雲も吹き飛ばしてしまいそうな元気の良さ。

黄色い傘が、まるで太陽みたいに見える。

雨と太陽って、なんだかおかしな組み合わせだけど。
8: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:41:10.76 ID:IDM8ufsH.net
「こんなところで、何してるの?…へー、そうなんだ!これから勉強会にねぇ。雨なのにご苦労様にゃ」

それはそうだけど、天気の良い日に勉強会ってのも、嫌じゃない?

「ふむ、一理あるね。…凛?凛はお散歩だよ」

「え!?雨なのに散歩!?って顔してるね?」

ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む凛ちゃん。

悔しいけど、図星なんだよなぁ。

「実はね…ほら!これ!」

ニカッと顔を綻ばせて、片足をひょいと上げる仕草。

むむ、これは長靴ですかな?

「ふふふ、ちょっと違うんだなぁ。これは『レインブーツ』だよ!」

…なんだ、言い方変えただけで、同じじゃん。

「そうだけど、『レインブーツ』って言ったらオシャレでしょ?」

うーん、確かにそうかもしれへんね。

「梅雨に備えて買ったんだけど、全然雨降らないから、履けなくて」

「次、雨が降ったら、これ履いて散歩しようと思ってたんだ!」

じゃあ、雨が降るのを楽しみにしてたってこと?変なの。

「変とは失礼な!確かに、凛も晴れてる方が好きだけど、雨は雨で好きだよ」

へえ、意外。どうして?

「それはね…あ、海未ちゃん」
9: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:41:59.31 ID:IDM8ufsH.net
「希、凛。何をしているのですか?」

道端のあじさいの花の前に、待ち合わせをしていたかのようにlilywhiteが勢ぞろい。

「すごい偶然ですね。こんなところでみんなに会うなんて」

「…おや、あじさいの花ですね。綺麗な紫色です」

「凛知ってるよ!あじさいの花って、ドジョウの『ぴーえいち』によって変わってくるんだよね!」

わあ、凛ちゃんは物知りなんやねぇ。

「…『ぴーえいち』じゃなくて『ぺーはー』じゃないですか?」

「ど、どっちも一緒だよ!」

海未ちゃんも散歩しとるん?

「まさか。こんな日に散歩なんてしませんよ」

「む。聞き捨てならんにゃ」

「…へぇ、レインブーツ履きたさに雨の日に散歩を。ふふ、凛らしいです」

雨の中、あじさいの前に女子高生が3人で井戸端会議。

こんな光景、滅多に見られないだろうな。

「これから、ことりと真姫と新曲の打ち合わせです。」

新曲かぁ。どんな曲が出来上がるか、楽しみやね。

「あ、海未ちゃんもレインブーツだ!」

海未ちゃんの足元を見ると、確かにエンジニアのレインブーツ。
10: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:42:28.97 ID:IDM8ufsH.net
…なんや、うちだけ仲間外れみたいやん?

「希ちゃんも、レインブーツ買ったら雨の日が好きになるかもよ!」

「靴が濡れると、気が滅入りますもんね。乾かすのも時間が掛かりますし」

海未ちゃんも雨は嫌いじゃないん?

「そうですね…割と好きかもしれません」

ええー…うちからすると、信じられへんわ。

「雨粒の音を聞いていると、なんだか気持ちが落ち着きませんか?」

ああ、それは少しだけ分かるかも。
11: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:43:03.84 ID:IDM8ufsH.net
「しとしとと、情緒があって良いですよ」

「それに、暗くなってから雨の街を歩くと、水たまりに光がきらきらと反射して、まるで違う世界にいるみたいです」

「海未ちゃん、夜の街なんて歩いてるの?イケナイ子だにゃー」

「なっ、違います!断じていかがわしい意味ではありません!」

…そっかぁ。今まで、雨の日って憂鬱なイメージしか無かったけど、色んな楽しみ方があるんやね。

「あ!かたつむりが居るよ!可愛いにゃー」

あじさいの葉っぱの陰に、小さなかたつむりが1頭。

雨宿りしてるのかな。
12: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:44:29.00 ID:IDM8ufsH.net
「かたつむりも、雨宿りをするんですね」

「…もうこんな時間ですか。私はそろそろ行きますね」

うちも、絵里ちを待たせとるんやった。

「…なんか、凛だけ暇人みたい」

ぷくーっと、頬を膨らませていじける仕草がいじらしい。

絵里ちをほっといて、凛ちゃんとお散歩しちゃおうかな?

…なんてね。

浮気はいけません。

「大丈夫、凛は1人のお散歩も好きだから!じゃあ、また学校で会おうね」

「はい。また明日」
13: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:45:04.61 ID:IDM8ufsH.net
さーて、私も絵里ちの家に行かなきゃ。にこっちはもう着いてるらしいから、ちょっと急がなきゃな。

綺麗なあじさいに別れを告げ、歩き出す。

なんとなく、家を出たときより足取りは軽い。

雨音に耳を澄ませてみる。

ザーザーという砂嵐のような雨音の中にも、ばらばら、ぱたぱた、ぴちゃぴちゃと、色んな雨音が混じっているのが分かる。

それはまるで、オーケストラみたい。

雑音にしか聞こえなかった雨音が、今では1つの音楽のようだ。

色んな音があるけど、どの音も良い。
14: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:45:46.13 ID:IDM8ufsH.net
しばらく歩いていると、また別のあじさいの株を見つけた。

今度は、可愛いピンク色。紫のあじさいも綺麗やけど、ピンクも良い感じ。

「…優柔不断やなぁ、うち…」

ぽつり、と呟く。どうせ、雨音でかき消されるんだから良いよね。

6月の誕生花は、あじさい。

花言葉は、「浮気、移り気」。

好奇心旺盛で、好きなものがたくさんある私にぴったりな花言葉だ。

…あんまり良い意味では使わないけどね。

凛ちゃんに浮気しそうになったことは、絵里ちやにこっちには内緒にしとかなきゃ。
15: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/06/09(火) 13:46:36.77 ID:IDM8ufsH.net
そんなことを考えているうちに、雨はいつの間にか弱まり、雲の隙間から青空が覗きはじめてきた。

…なんや、今日はお空も移り気なんやなぁ。

せっかく、雨の良さが分かり始めてきたところなのに。

勉強が早く終わったら、レインブーツを買いに行こうかな。

ふふ、がんばろーっと!

はやる気持ちを抑えきれず、走り出す。

まだ水気を帯びた地面が、ぱしゃ、ぱしゃ、と小気味の良い音を鳴らす。

次に雨が降った時は、聞こえる音も増えてるのかな。

見える景色も違ってくるのだろうか。

あんなに嫌いだった雨が、今ではとても楽しみになってしまった。

移り気なのは、お空だけじゃないみたい。

雨粒が太陽の光を反射して、世界をきらきらと輝かせている。

私は、ぐっ、と踏み出す足に力を入れて、小さな水溜りを大きくジャンプしたのだった。



おわり
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

『希「あじさいの花言葉」』へのコメント

コメントの投稿には初回のみDisqusへのアカウント登録が必要です。Disqusの登録、利用方法を参考に登録をお願いします。
表示の不具合、カテゴリーに関する事等はSS!ラブライブ!Disqusチャンネルにてご報告下さい。