花陽「もしかして、おにぎりの力では解決できない事件があるんですか……!?」

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花陽-アイキャッチ11
3: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/09/28(月) 00:55:03.69 ID:+E5sr5TP.net
 事件は迷宮入りしようとしていた。

花陽(名探偵)「……おにぎりの力では解決できない事件があるんですか……!?」

 名探偵小泉花陽は一人ごちながら天を仰いだ。
 雲の形がおにぎりのような正三角形であった。正三角形の雲など自然界にはたぶん存在しないが、なんら伏線ではない。

穂乃果(被害者)「死ーん」

 被害者は老舗の和菓子屋穂むらの女主人、高坂穂乃果である。名探偵小泉花陽の学生時代の友人であった。

ことり(女警部)「かよちゃん――そんなに自分を責めたりしないで。これは、呪いなんだ……そう、タナトスの呪い――」

 わけのわからないことを言うことり警部は男であれば誰もが下半身を押さえ付けなければならぬようないやらしいスカートを履いていた。
 こんないやらしい格好をした警部がいるものか。いや、いる。ここにな。

りん(探偵の飼い猫)「ニャーン」

 りんは花陽を慰めるようにペロペロと頬を舐めた。文章だと分かりにくいが飼い猫というのは比喩であり、れっきとした人類である。
 ただいつからかニャーンとしか喋れなくなり、夜な夜な花陽をペロペロすることしか出来なくなっていたので、まあ猫である。ネコである。

にこ(なんてっ探偵アイドル)「穂乃果……いったいどうして、でも誰がこの密室で穂乃果を」

 名探偵小泉花陽の敬愛する先輩でありアイドル探偵である矢澤にもまた、事件の謎は見抜けないようだった。
 頭を抱え、ショッキングピンク色の脳細胞をフル稼働しても、その目に映るのはだらしなくおなかをパンパンにした穂乃果の姿であった。

海未(穂乃果の内縁の妻)「ああ……穂乃果……穂乃果……」

 泣きじゃくりながら穂乃果に縋る海未。女性同士の結婚が認められない社会であるからして、妾であることを選んだ海未。
 もしかしたらそこに何か歪んだ殺人の動機があったのかもしれない、と花陽は思うが、それが友人を疑う最低の考えであると打ち消す。

絵里(怪盗エリーチカ)「ハラショー……」

 何故冬の山荘に怪盗エリーチカがいるのかについて説明するのは難しい。温泉に入りたかったとのことであるが、真意はさだかではない。
 そもそも怪盗ってなんだ。21世紀だぞ。

希(謎の占い師)「タナトスの呪いや……これは……」

 水晶球を3つ持った(※比喩)謎の占い師も、なにやら中二病めいた単語を口にした。
 ちなみにタナトスは、今8人がいる山荘「タナトス荘」からなんか連想したと思われる。誰だ、そんな恥ずかしい名前をつけたのは。

真姫(金持ちの医者)「私よ、花陽」

 お前かよ。
 真姫ちゃんは髪の毛をくるくる巻きながら、穂乃果のパンパンになったおなかを見つめていた。

 いったい誰が犯人なのか。閉ざされた雪山の山荘、8人と1匹しかいないクローズドサークルで、穂乃果しか鍵を持っていなかった部屋。
 この中に犯人が居るに決まっているのだ。
 穂乃果ちゃんに外傷はない。ただ、おなかだけがパンパンであり、机の上には山のようなおにぎりが積まれている。

元スレ: 花陽「もしかして、おにぎりの力では解決できない事件があるんですか……!?」

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21: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/09/28(月) 21:05:58.46 ID:+E5sr5TP.net
花陽「犯人は真姫ちゃん!」

 名探偵小泉花陽のビシッとした指差しが決まったが、しかしここでヴェエるほどチョロい、かつての西木野真姫ちゃんではない。
 高校時代チョロロンティヌスと呼ばれ、暴虐の王エリチカスに歯向かった親友ニコスの身代わりとなり処刑されるほどチョロかった西木野真姫ちゃんは死んだのだ。

真姫「親友を犯人扱いするからには、それなりの根拠があるのでしょうね、花陽」

花陽「親友だからこそ、罪を犯したときは正さなくちゃいけないと思うんだ」

 真姫ちゃんは困惑した。なぜなら全く覚えがないからである。
 そもそも穂乃果は食べすぎが死因であるし、更に言えば真姫ちゃんの見立てでは穂乃果は死んですらいない。
 ただ食べ過ぎて寝ているだけである。
 じつに恐るべきことに、そのことに気付いているのは真姫ちゃんだけである。もしかすると、μ'sはアホしかいないのではないか。

真姫「聞こうじゃない、推理を」

 真姫ちゃんは言った。事件など起きてすらいないというのに、何故そんなことを言ったのか定かではないが、恐らくノリだった。
 アホをのぞく時、アホもまたこちらをのぞいているのだ。その言葉を果たして真姫ちゃんは知っているか。

花陽「――この中で犯人たりえるのは、真姫ちゃんだけなんだ。だってこれは探偵小説だもの。ノックスの十戒、ヴァン・ダインの二十則に従わなくちゃいけない」

真姫「ふん、なんだかうみねこの声が聞こえてきそうだわ。ここは雪山だというのにね」

 名探偵花陽はぐるりと部屋を見回した。

花陽「まず、探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。だから、探偵役のわたしとにこちゃん、警察官のことりちゃんは犯人たりえない」

 ことり警部はホッと息をついた。息をついてもエロい。譲崎ニコは当然よねという顔をしていた。

花陽「それから、プロの犯罪者を犯人にするのは避けなくちゃいけない。だから怪盗エリーチカは犯人たりえない」

 エリーチカはプロの犯罪者と言われた途端、照れたように鼻の頭を掻いた。褒められたと勘違いしたようですごく嬉しいらしい。

花陽「それから、スピリチュアルな中国人を犯人にしてはいけない。だから希ちゃんも犯人たりえない」

希「ちょっと待って?」

 花陽は無視した。

花陽「これは横溝の法則になるけど、未亡人が犯人というのはあまりにもありがちだから海未ちゃんもありえない」

花陽「そうなると残りは真姫ちゃんとりんちゃんだけど、りんちゃんは昨晩ずっとわたしと一緒にいたからアリバイがある」

 りんは照れたようにニャーと鳴いた。誰もツッコミを入れなかった。
 しんとなる部屋。誰もが花陽の推理を信じ込み、真姫ちゃんを疑念の目で見つめていた。

真姫「…………」

花陽「……」

 いや、それは疑念の目などではない。それは期待の目であった。実はみんな真姫ちゃんが思うほどアホではなかった。
 みんな待っているのだ。姫の帰還を。高校生だったあの日、チョロンティック・ウォーリアーだった頃の西の姫の帰還を。
 真姫ちゃんは、泣きそうになりながら言った。

真姫「…………ヴェエエ!?」

 みんながにっこり笑った。穂乃果も笑っていた。
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