【SS】μ’s主演 西部劇『No brand girls』

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1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:15:29.39 ID:K7kA2a+2.net
はじめに

【注意事項】

・この作品には男性エキストラ(セリフ有)が登場します。

・一部、不適切な表現がございますが、時代背景を考慮し、当時のポピュラーな表現として使用しています。

・この物語はフィクションです。実際の人物・団体・事件等とは関係ありません。

元スレ: 【SS】μ’s主演 西部劇『No brand girls』

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2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:17:08.56 ID:K7kA2a+2.net
登場人物

ホノカ…自称・最強最速の賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)。リンとコンビを組んでいる

リン…賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)。ホノカの相棒

エリー…連邦保安官。通称『ショットガン・エリー』

ウミ…連邦保安官。騎兵隊聯隊大隊長・ソノダ将軍の娘

マキ…連邦保安官補。エリーとウミの元で研修中

ノゾミ…新聞記者。特ダネに敏感

ニコ…探偵。ノゾミの護衛

コトリ…ワシントンD.C.からやって来たという身なりの良い女性

ハナヨ…コトリの使用人

A-RISE…西部最強と呼ばれる3人組。懸賞金2万ドル。 UTX 強盗団を率いる
3: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:19:45.97 ID:K7kA2a+2.net
時は開拓時代……アメリカ西部の街、オトノキ・タウン。

ある乾いた夏の日、連邦保安官のエリー・ウミ・マキの3人は非常招集を受け、オトノキ・タウンへやってきた。

事務所を留守にしていた街の保安官を探していると、騒ぎが起きているバーを見つける。

騒ぎを収めようと近づくと、店の中から男が転がるように飛び出してきた。

男「勝手にしろっ、バカヤロー!」

男は吐き捨てるように叫ぶと逃げて行った。

只ならぬ様子に、エリーは腰の散弾銃を抜くと、バーへ踏み入り、天井へ威嚇射撃をして叫ぶ。

エリー「大人しくしなさいっ! 全員牢屋にブチ込まれたいのっ!」

銃声に驚き、全員が動きを止めてエリーを見る。だが、1人だけエリーに近づいてくる者がいた。
5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:25:04.58 ID:K7kA2a+2.net
ホノカ「ちょっとちょっとぉ、最近の保安官(シェリフ)は字も読めないの?(クイクイ)」

指さす先の壁には、

『店内銃禁止』『銃はカウンターへ』

エリー「フン、……あなた名前は?」

ホノカ「私はホノカ! 最強最速の賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)よ!」

リン「ポーカーで負けるのも最速だけどね(ボソッ)」

ホノカ「何か言った? リン~(グリグリ) あ、こっちは相棒のリンよ。」

リン「痛い痛い、ホノカちゃん本気で痛い~」

エリー「あなたに言っておくことがあるわ。一つ、私は保安官(シェリフ)じゃない。連邦保安官(マーシャル)よ。」

エリー「二つ、無法者(アウトロー)の言うことを聞く気はない。」

エリー「三つ、私は賞金稼ぎ(バウンティー・キラー)は嫌いなの!」

ホノカ「はぁ……やっぱり判事の犬はどれも同じね。ユーモアってものが無いの?」

エリー「こっちだって、最速だなんだって喚いてる早撃ち狂(ガン・クレイジー)には飽き飽きよ。」
8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:30:50.11 ID:K7kA2a+2.net
2人がいがみ合ってると、後ろでヒソヒソと声が上がる。

客1「おい、あの銃見ろよ。極端に銃身を切り詰めたウィンチェスター……『乱れ撃ちのエリー』(ショットガン・エリー)だぜ。」

客2「ってことは、後ろの黒髪はソノダ将軍の娘か。」

客3「こりゃヤベえな……ズラかろうぜ。」

コソコソと逃げようとする客たち。すると、

ターンッ!

一瞬でエリーの左手に拳銃が現れ、放たれた銃弾が、逃げようとする客の帽子を弾き飛ばす。

エリー「そこっ! そのフザけたあだ名で呼ばないで頂戴。」

エリー「それに、私の弾は百発百中。狙いは外さないわよっ。」

そう言って銃口から立ち上る硝煙を吹き消すと、拳銃をくるりと回してホルスターに仕舞うエリー。

2度目の銃声に危険を感じた客たちは、我先にと逃げ出して行く。
9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:32:51.78 ID:K7kA2a+2.net
ホノカ「だからバンバン撃つなって言ってるでしょっ!」

エリー「フンッ、知ったことじゃないわ。」

睨み合う2人。しかし、そこに割って入る、身なりのいい女性。

コトリ「待ってください! その人は私たちを助けてくれたのです。」

コトリ「私はコトリ。こちらは使用人のハナヨ。先日、ワシントンD.C.の方から来ましたの。」

ハナヨ「ハナヨと申します。こちらへは少々お伺いしたい事があって立ち寄ったのですが……」

ハナヨの説明によると、このバーに入って男に絡まれたところをホノカに助けられたのだが、

その後、いつの間にか乱闘騒ぎになっていったとの事。

ホノカ「そうよ、むしろ私は良いことをしたのよっ。」

リン (いや、ポーカーで負けてたのを、ウヤムヤにしようと暴れたに決まってるね)

エリー「分かったわ。今回はそこのお嬢さんに感謝することね。行っていいわよ。」

ホノカ「言われなくったって出ていくわよ。 サヨナラッ、『メクラ撃ちのエリー』(ショットガン・エリー)さん!」

そう言い捨てると、エリーの怒号が出るより早く逃げて行くホノカとリン。
10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:34:34.39 ID:K7kA2a+2.net
エリー「クッ……アイツ、次会ったら見てなさいよ。」

ノゾミ「なぁなぁ、アンタほんまにショットガン・エリーなん?」

ノゾミ「ウチはノゾミ、新聞記者や。ちょっと取材ええか?」

エリー「え? あ、ごめんなさい、今はちょっと……。」

ニコ「そうよ、ノゾミ。今はそれどころじゃないでしょ。さっさと次の店に行くわよ。」

ウミ「貴女は? 新聞記者には見えませんが。」

ニコ「ニコ。探偵(*)よ。」

*注)この時代の探偵(Detective)は諜報や推理をするものではなく、荒事の担当として警備や用心棒、

資本家の私兵等として雇われたり、探偵社から派遣されるのが一般的だった。

参考検索用語:ピンカートン探偵社、ホームステッド・ストライキ等
11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:37:06.81 ID:K7kA2a+2.net
そしてノゾミ、ニコが出ていくのに合わせて、コトリとハナヨも店を去り、残ったのはエリー達3人だけとなった。

エリー「はぁ…どっと疲れた。ねぇマスター、私たちこの街の保安官を探しているんだけど、知らないかしら?」

マスター「アンタらと入れ違いに出て行ったのがそうだよ。」

エリー「Oh, my god...」

エリーは天を仰いだ。
12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:39:37.06 ID:K7kA2a+2.net
その後、何とか保安官を見つけたエリー達は、今回の緊急招集について説明を受けた。

先日、南北戦争時に南軍ゲリラが使っていた廃墟から、隠し資金だったと思われる金塊が見つかった。

その額、およそ50万ドル。これを明日の朝一番に出る列車で輸送するので、その護衛をするという任務だった。

しかし、ここにきて問題が2つ持ち上がった。

一つは、極秘だった金塊発見の報が漏れ、西部最強と言われる無法者「A-RISE」率いる UTX 強盗団が狙っている事。

もう1つは、その A-RISE の妨害によるものか、他の町からも来るはずの保安官たちが来ない事。

しかし予定に変更は無い。安全な大金庫も無いこの街に置いておくより、列車で輸送してしまう方が街に危険が及ばないという考えである。

足りない人手は、街の者たちを勧誘して集めて欲しいと言われ、エリーはこの件を一任されたのであった。

短い時間で何とか手分けして勧誘する3人だが、 A-RISE 襲撃の噂のせいで全く集まらない。

とりあえず参加者は明日の朝、駅前の広場に集まるよう各所に伝言を残して3人は宿へ引き上げた。
13: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:42:57.20 ID:K7kA2a+2.net
そして翌日、広場に集まった者の数は……ゼロだった。

木箱に座り、うつむくエリー。

と、そんなエリーの前に差し出される1本の手。

ホノカ「何て顔してんのよ。……弾代は出るんでしょうね?」

リン「ご飯代もね。」

コトリ「遅れてごめんなさい。わたくしも同乗よろしいかしら? 先の町へ急用がありますの。」

ハナヨ「お役に立てるか分かりませんが、精いっぱいお手伝いさせて頂きます。」

ニコ「全く、今回の依頼人様は無茶が過ぎるわ。」

ノゾミ「こんな特ダネを逃す手はないやん? ……さて、9人や。ウチも入れて。」
15: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:45:36.17 ID:K7kA2a+2.net
エリー「みんな…………ありがとう! それじゃ早速列車に――」

ホノカ「ちょーーーーーっと待った! 大事なこと忘れてない?」

ホノカ「戦いの前はね、円陣を組むんだよ!」

リン「そしてディキシィを歌うの!」

ニコ「どこの田舎の風習よ?」

ノゾミ「おもしろそうやんっ!」

マキ「ナニソレ? イミワカンナイ!」

ウミ「南部の歌……ですか?」

ハナヨ「は、恥ずかしい。」

コトリ「まぁまぁ皆さん、ここはホノカさんの言う通りにしましょうじゃありませんか。」

エリー「…………分かったわよ。時間がないから歌は無しでね。」
16: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:47:29.63 ID:K7kA2a+2.net
ホノカ「じゃあ時計回りにいくよっ!」

ホノカ「1!」

リン「2!」

コトリ「3!」

ハナヨ「4!」

ノゾミ「5!」

ニコ「6!」

マキ「7!」

ウミ「8!」

エリー「9!」

ホノカ「よし、行こうっ!」
18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/24(月) 22:49:20.17 ID:K7kA2a+2.net
汽車に乗り込んだ9人はエリーの采配で、各車両に振り分けられた。

銃に不慣れなコトリとハナヨは、金庫番として最前列の金塊輸送車に同乗してもらい、

後方の客車部にホノカ、リン、ニコ、ノゾミ。

中央付近の貨物車部にエリー、ウミ、マキが待機する布陣である。

そして、出発した汽車が街を離れてしばらくすると、UTX 強盗団 の襲撃が始まった。
21: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/25(火) 23:27:13.91 ID:1aFRnutN.net
\前回の No brand girls!/(by エリー)

緊急招集を受け、オトノキ・タウンにやってきた私たち『クラッシーヴィ』の3人は、街で騒ぎを起こしていたホノカ達と出会ったの。

ホノカ「私はホノカ! 最強最速の賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)よ!」

エリー「私は賞金稼ぎ(バウンティー・キラー)は嫌いなの!」

騒ぎを収め、街の保安官を見つけると、言い渡された任務の内容は、50万ドルの金塊の輸送。

しかし、その金塊は西武最強の賞金首 A-RISE に狙われていて、応援も来ないという。

足りない人手を集めようとする私たちだったけれど、A-RISE 襲撃を恐れて1人も集まらない。

少しだけ、心が挫けそうだった私に手を差し伸べてくれたのは、ホノカ達だった。

ノゾミ「9人や。ウチも入れて。」

そして円陣を組み、仲間となった9人を乗せた列車が遂に出発する。

ホノカ「よし、行こうっ!」
22: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/25(火) 23:39:07.60 ID:1aFRnutN.net
列車の減速ポイントを狙って、アンジュとエレナを先頭に客車部を狙う UTX 強盗団。

ホノカ達も応戦するが、遂に客車に乗り込まれてしまう。

ニコ「どんだけいるのよ、雑魚共のクセにっ。(バン!バン!)」

リン「いくら撃ってもキリがないよー!(バン!バン!)」

ノゾミ「全くやわ~。ズルいことはしちゃダメって、パパやママに教わらなかったんかな~?(カリカリ)」

ニコ「あんたは書いてないで戦いなさいよっ!(バン!バン!)」

ホノカ「ノゾミちゃん、私の事はカッコ良く書いてねっ。(バン!バン!)」

リン「じゃあリンは、ババーン!って感じで頼むよ。(バン!バン!)」

ノゾミ「ウチに任しとき!(カリカリカリカリ)」

ニコ「この状況で、よくそんな余裕があるわね、アンタ達…」

ホノカ「ニコちゃん、こんなのまだまだ。かたいきいろだよ。」

リン「イエローだよぉ!」
23: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/25(火) 23:40:53.33 ID:1aFRnutN.net
ホノカ(そうよ……)

ホノカ(肝心のリーダー、ツバサの姿がまだ見えない…………もしかして)

ホノカ「3人とも、ここは任せたよっ!」

そう言うと、前車両へ駆け出すホノカ。

ニコ「ちょっ、どこ行くのよ!? ホノカ!」

ニコ「もうっ……ほら、ノゾミもいいかげん戦いなさいよっ!」

ノゾミ「そんなこと言われても、ウチ銃なんて持ってへんし~。」

ニコ「ホノカが行っちゃったんだから、仕方ないでしょ。何でもいいから投げなさい!」

ノゾミ「しゃあないな~。ほな不思議なパワーでお手伝いしよか。(ゴソゴソ)」

ノゾミ「ノゾミパワー、た~っぷり注入! はーいプシュッ!」

ノゾミが、手帳を仕舞った懐から腕を一閃すると、悲鳴を上げ、次々と銃を取り落す襲撃者たち。

ニコ「ス、投げナイフ(スローイングダガー)? いや、ペ……ペン!!?」

ノゾミ「ペンは銃より強し!なんてな~。」

ニコ「あんた一体――」
24: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/25(火) 23:43:25.61 ID:1aFRnutN.net
ガゴン!!

その時、不気味な振動が車両を揺らした。

異常を感じて、窓から外を見たリンが叫ぶ。

リン「大変! 客車が切り離されてる!」

車両の切り離しを受けて、勢い付く UTX 強盗団。

エレナ「ツバサ、上手くいったようね。」

アンジュ「これであの娘たちは孤立無縁……完全にフルハウスね。」

ニコ「う、嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」

ニコの叫びが木霊した。
25: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:28:54.38 ID:Iv8X6T0z.net
一味を囮に、単独で列車に乗り込んだツバサは、客車を切り離すと、貨物車部を前へと進んでいく。

アルパカの馬匹車を抜け、また一つ扉をくぐると、

エリー「そこまでよっ! 賞金首 A-RISE のツバサね。」

ウミ「銃を捨てて、大人しく投降して下さい。」

マキ「あなたの企みもお終いです。」

エリー達が立ちふさがる。しかし、余裕の表情のツバサ。
26: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:32:31.88 ID:Iv8X6T0z.net
ツバサ「囮に引っかからなかったのね。残念。」

エリー「オクラホマ、カンザス、コロラド……他を囮に、一人で仕上げをするパターン。」

ツバサ「あら、よく知ってるわね。私のファン? …基本群れるのはキライなのよ。」

ウミ「それも、もう終わりです。3対1、勝ち目はありませんよ。」

ツバサ「そうかしら? やってみる?」

ツバサが不敵に笑ったその時、

ホノカ「見つけたっ!」

ツバサの後からホノカが現れた。

ツバサ「ッ!?」

エリー「ホノカ!? どうしてここに…いえ、いいわ。そいつを捕まえて――」
27: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:37:44.00 ID:Iv8X6T0z.net
ホノカ「みんな逃げてっ!!!」

ホノカには見えていた。

ツバサが後ろ手に隠し持った、火の点いたダイナマイトが。

ツバサ「時間よ…I make it, baby!」

爆発寸前のダイナマイトを、エリーたちへ放り投げるツバサ。

ホノカの言葉と、投げられたダイナマイトを目にしたエリーは、反射的に荷物の隙間に飛び込む。

ウミは固まっているマキを突き飛ばすと、手近の木箱を引き倒し、壁を作ってマキに覆いかぶさる。

ホノカは入ってきたばかりの扉から外へ出ると、連結部のステップへ逃げる。

そしてツバサは……前へ出た。

自分の投げたダイナマイトを追い越すと、銃を抜き、前方の扉の留め具を撃ち壊す。

走る勢いはそのままに扉を蹴破ると、前車両へ飛び込む。そして――


ズドン!!!
28: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:41:17.01 ID:Iv8X6T0z.net
激しい爆発が車両を揺らす。

煙が立ち込める中、瓦礫を押しのけて立ち上がるエリー。

エリー「ゲホッゲホッ……ウミ、マキ、ケガはない!? 無事?」

ウミ「ケホッ…ええ無事です。マキも大丈夫のようですね。」

マキ「あの女、イカレてるわ。こんな所でダイナマイトを使うなんて……下手したら全員死、死んでたかも――」

恐怖に震えるマキ。その時、

ガゴン!!

本日2度目の振動。ツバサが、今度はエリーたちのいる車両を切り離した音だった。

何が起きたのか察知し、エリーは前部の扉へ駆け寄る。そこには遠ざかる車両と、エリー達を嘲笑うツバサの顔。
29: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:47:29.01 ID:Iv8X6T0z.net
エリー「待ちなさいっ!」

ツバサの元へ飛び移ろうとするエリー。だが、ウミによって引き止められる。

ウミ「無茶です! エリー、落ち着いて!」

エリー「クッ!」

離れていく車両を見て歯噛みするエリー。すると、

ガン!ガン!ガン!ガン!

頭上から響く、足音。

ホノカ「ぅゎぁあああああああああああああああ!」

ホノカだった。
30: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/26(水) 00:49:01.56 ID:Iv8X6T0z.net
爆発前、車両の外へ逃げる直前、前へ駆け出したツバサを見たホノカは、

ツバサを追う一心で屋根へ登ると、駆け出していたのだ。

ホノカ「あああああああああああああああああ…………ったぁぁぁぁぁぁ!!!」

屋根の縁を力強く蹴り付けると、ホノカは跳んだ。

ツバサ「お馬鹿さん」

しかし、空中のホノカを、格好の標的とばかりに笑うツバサが銃を抜く。

ターンッ!

ツバサ「ッツ!」

しかし、一瞬早くエリーの放った銃弾がツバサの銃を弾き飛ばす。そして、

ダダン!ダン!

危なげながらも車両の屋根に着地するホノカ。

そして、ホノカはゆっくり立ち上がると振り返り…………笑って、親指を立てた。


エリー「ホノカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
38: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:18:46.62 ID:4xMv+64V.net
\前回の No brand girls!/(by ウミ)

列車を襲撃する UTX 強盗団。応戦するホノカ達だけれど、遂に乗り込まれ、撃ち合いになる。

リン「いくら撃ってもキリがないよー!(バン!バン!)」

ノゾミ「ノゾミパワーた~っぷり注入! はーいプシュッ!」

しかし、それは罠だった。味方ごと客車を切り離すツバサ。

アンジュ「これであの娘たちは孤立無縁……完全にフルハウスね。」

ニコ「う、嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?」

一方、単独で車両に乗り込んだツバサは、待ち構えていた私たち3人と対峙する。

ウミ「3対1、勝ち目はありませんよ。」

ツバサ「そうかしら? やってみる?」

直後、ホノカの乱入を切っ掛けに、ツバサは隠し持っていたダイナマイトを起爆させる。

意表を突いた奇策で、包囲を突破したツバサは再び、今度は私たちのいる車両を切り離す。

離れていく車両を見て歯噛みするエリー。

だが、ツバサを追うホノカは屋根を駆けると、

ホノカ「あああああああああああああああああ…………ったぁぁぁぁぁぁ!!!」

決死の大ジャンプで、走行車両へ飛び移ることに成功したのであった。

エリー「ホノカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
39: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:21:04.76 ID:4xMv+64V.net
ホノカ達の車両が見えなくなり、貨物車を降りるエリー達。

マキ「どうするんですか、エリーさん? こんな山の中で、馬も無いし…」

エリー「決まってるわ! 追いかけるのよ、たとえ走ってでも!! そうでしょう、ウミ!?」

ウミ「……………………」

エリーの問いかけに答えず、ぼーっと空を見上げるウミ。

エリー「ウミ?」

ウミ「……ック、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

エリー「う、ウミ!? どうしたの? 私そんなに変なこと言った?」」

マキ「もしかして、さっきの爆発で頭を打ったんじゃ……?」

ウミ「ハーッ、ハーッ……すいません、別にエリーを笑ったわけでもないし、頭も打ってませんよ。」

ウミ「ただ、こんな奇跡のようなことが起きるなんて……そう感じたら、無性に可笑しく思えてきて。」

首をかしげるエリーとマキ。

ウミ「エリー、マキ。……私たちは、ツイています!」

そう言って、空を指さすウミ。

2人も釣られて空を見上げるが、そこには何もない。
40: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:23:27.11 ID:4xMv+64V.net
だが…………




…にー(パー) …こにー(パラパー) …っこにこにー(パパッパー)

エリー「!? Jesus……これは」

マキ「騎兵隊の、突撃ラッパ!!?」


ニコ「ちょっとぉ! あたしを無視しないでくれるっ!?」

線路の彼方から現れたのは、ニコ・ノゾミ・リンの3人と騎兵隊の一団だった。

ウミ「反撃開始です!」
41: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:27:50.01 ID:4xMv+64V.net
エリー「ウミ、この人たちは一体…?」

ウミ「実は昨夜、父に電信を打っておいたんです。私の銃を届けてもらおうと思って。」

ウミ「A-RISEが相手と聞いて、間に合うか分かりませんでしたが、念のために。」

ウミ「ただ……どうして隊の皆さんが? 2、3人で十分なはずなのに。」

軍曹「いえ、お嬢の電信を受けて、誰が行くかで揉めていたら、将軍に『全員で行って来い!』ってドヤされまして…。」

ノゾミ「まぁそのおかげでウチらも助けてもらえたわけやし、結果オーライやん。」

リン「切り離されて囲まれた時は、絶体絶命だと思ったよ~。」

マキ「あ、あの…ちょっと待ってください! 列車は行ってしまったし、馬でも追いつけないですよ?」

ウミ「あぁそうでした、急がないと。エリーはマキと一緒に先行してください。」

ウミ「列車はこの山の先を、北に大きく回り込んで西へ向かいます。」

ウミ「2人はここから真っ直ぐ、西の谷を抜けてください。馬でも渡れる吊り橋があります。」
42: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:30:26.03 ID:4xMv+64V.net
マキ「いやいや、それでも追い付けるかどうか…………それに、ウミさんはどうするんですか?」

ウミ「私は…………列車を止めます。」

エリー「『アレ』をやるのね? ウミ。」

ウミ「はい。」

エリー「分かったわ! マキ、行くわよ!」

マキ「ヴェエエエエエ…」

騎兵隊から馬を借りて走り去る2人。そして、

ウミ(ツバサ……次の作戦 見てなさい 私は本気)

ウミ「では私たちも出発しましょう……山頂アタックです!」
43: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:34:58.09 ID:4xMv+64V.net
谷沿いの道をひた走るエリーとマキ。

マキ「あの…エリーさん、ウミさんは何をするつもりなんですか? 列車を止める、って。」

エリー「そういえば、マキはまだ知らなかったわね。…ウミはね、狙撃手(スナイパー)なのよ。」

エリー「彼女の愛銃は特注のスペンサー、『ソノダ・スペシャル』。」

エリー「その超長身の銃身から放たれる特製弾は、1マイル(1,600m)先の標的をも狙い撃つそうよ。」

マキ「1マイル!? イミワカンナイ!」

エリー「フフッ…それにね、超長距離から発射された弾丸は、音速を超えて、無音で着弾するの。まるで矢の様に。」

エリー「だから彼女の狙撃は、『ラブ・アローシュート』と呼ばれているわ。」

マキ「……い、色々とギャップのある名前ですね。」

エリー「そんな訳だから、私たちは安心して急ぐわよっ!ハイヤッ!」

マキ「あ、待ってください。エリーさ~ん…」
44: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:37:11.43 ID:4xMv+64V.net
一方、狙撃ポイントへ向かうウミ達。

軍曹「あの、お嬢。我々は本当にこちらでよろしかったのでしょうか? エリーさん達のサポートに行った方が…」

ウミ「ええ、それはそうなんですが、出来ればもう少しだけ……手を出さないでおいて欲しいんです。」

ウミ「この任務、私たち9人でやり遂げたいんです。最後まで。」

軍曹「9人? 他にもお仲間が?」

ウミ「はい、彼女たちは今も戦っています……私の最高の、仲間です!」

そう言うと、ウミは馬を止めた。

ウミ「さぁ着きましたよ。私の銃をください。」
45: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:39:34.23 ID:4xMv+64V.net
ウミは愛銃を受け取ると、線路を見下ろす丘の上に腹ばいになって構える。

軍曹「来ました!あの列車ですね。」

ウミ(チャンスは1度……絶対に、外さない!)

呼吸を整えると、慎重に照準をつけ、タイミングを計る。

ウミ(…………今!)

ズキューーーーーーン!!

通常よりも大きい発射音と共に放たれた弾丸が列車に迫る……数秒後、

ギギンッ!キキーーーーーーーーッ!

一瞬、列車全体が大きく揺れると、派手なブレーキ音を立てて停車する。

軍曹「HIT! 少々、貨車が跳ねたようですが、脱線はない模様。停車しました。」

軍曹(この距離から、走行中の機関車の、ピストンと動輪を繋ぐ主連棒を、狙って撃ち抜くなんて……神業だ)

ウミ「…………あとは頼みましたよ。2人とも。」
46: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/28(金) 01:43:57.65 ID:4xMv+64V.net
今日はここまで。次回、最終回(予定)。

寝る。おやすみ。
48: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 00:45:03.87 ID:oIF3U7+k.net
\前回の No brand girls!/(by マキ)

列車を切り離され、打つ手の無くなった私たちは途方に暮れる。

だけど、そんな私たちの元へ現れたのは、騎兵隊を引き連れたニコちゃん達3人だったの。

ウミ「実は昨夜、父に電信を打っておいたんです。私の銃を届けてもらおうと思って。」

任務を続行しようとするウミさんが立てた作戦は、とんでもないものだった。

ウミ「エリーはマキと一緒に先行してください。」

ウミ「私は…………列車を止めます。」

エリー「『アレ』をやるのね? ウミ。」

そして私たちは二手に分かれ、ウミさんは超長距離狙撃『ラブ・アローシュート』を敢行する。

ウミ(…………今!)

ズキューーーーーーン!!

ギギンッ!キキーーーーーーーーッ!

見事に狙撃は成功し、列車を止めることに成功したわ。
49: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 00:46:21.94 ID:oIF3U7+k.net
時は少々遡り……

列車に残ったホノカは、屋根から降りて貨物車内でツバサと対峙していた。

ホノカ「初めまして、ツバサさん。私はホノカ、バウンティー・ハンターよ。」

ホノカ「随分と強いそうじゃない? 西部最強とか呼ばれているくらい。」

ツバサ「自分じゃ強いかどうかは分からないけれど……」

ツバサ「銃を向けられるたび5セントもらってたら、今ごろ大金持ちだわ。」

ホノカ「ヒュー 言うねぇ。じゃあ、その5セントで勝負しましょ。」

そう言って、ポケットから5セント硬貨を取り出すホノカ。

ツバサ「背中には50万ドルがあるってのに、その5セントに命張るっていうの?」

ツバサ「さっきのジャンプといい、あなた最高だわ!」

ホノカ「それはどうも。……それで受ける? 受けない?」

ツバサ「もちろん受けるわ。落ちてるお金は拾う主義なの。」

ホノカ「そう簡単に行くだなんて、思わないことね…………それじゃ、いくわよ!」
50: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 00:49:56.82 ID:oIF3U7+k.net
右手にコインを乗せると、親指で弾くホノカ。

ピィィィィン!

甲高い音と共に2人の緊張が一気に高まり、回転するコインが放物線を描いて床へ着地する。

チン!

走行する列車の中では微かな音だったが、2人には他の一切の音は聞こえなかった。

ツバサとホノカは同時に銃を抜く…………その瞬間、

ギギンッ!キキーーーーーーーーッ!

ウミの狙撃である。

急制動が掛かり車両全体が大きく揺れる。

足を踏ん張り、なんとか転倒を防ぐ2人。

だが、あまりの揺れに、崩れた荷物が銃に当たり、ホノカは銃を取り落としてしまう。

しかし、それはツバサも同じだった。

列車が停止し、2丁の銃はカラカラと音を立てて床を滑ると…………車両中央で並んで止まった。
51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 00:54:48.80 ID:oIF3U7+k.net
取り落した銃の行方を目で追っていた2人は、並んだ銃から視線を上げ顔を見合わせる。

そして互いに一笑すると、同時に駆け出した。

目いっぱい全身を伸ばして飛びつき、自らの銃を手に取るツバサとホノカ。

2人は全く同時に銃を手にすると、身体を捻って振り返り、そして――

ホノカ「私が最速よ」

ホノカの銃が火を噴いた。
52: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:02:37.72 ID:oIF3U7+k.net
C A S T

ホノカ…高坂 穂乃果 (μ’s)

リン…星空 凛 (μ’s)

エリー…絢瀬 絵里 (μ’s)

ウミ・ソノダ…園田 海未 (μ’s)

マキ…西木野 真姫 (μ’s)

ノゾミ…東條 希 (μ’s)

ニコ…矢澤 にこ (μ’s)

コトリ…南 ことり (μ’s)

ハナヨ…小泉 花陽 (μ’s)

ツバサ…綺羅 ツバサ (A-RISE)

エレナ…統堂 英玲奈 (A-RISE)

アンジュ…優木 あんじゅ (A-RISE)

アルパカA…茶アルパカ (音ノ木坂学院厩舎)

アルパカB…白アルパカ (音ノ木坂学院厩舎)
53: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:04:59.95 ID:oIF3U7+k.net
この事件を描いたノゾミの記事、『No brand girls』は人気を博し、各地で話題となった。

しかし時は開拓時代、日々さまざまな事件が起こり、混沌の加速する西部で、人々の目を引き続けることは容易ではなかった。

そして、後に伝説と呼ばれる数々の事件・人物によって上書きされ、事件は歴史の流れに押し流されていった。

銃口から爆ぜる火花は一瞬の輝き。たなびく硝煙は細く薄く、後には微かに香りが残るのみ。

飛び出した弾の行方は誰にも知れない…………これは、そんな時代の物語である。
54: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:16:55.86 ID:oIF3U7+k.net
腰縄で繋がれ、連行されて行く A-RISE の3人。ツバサの肩には赤い染みが出来ている。

エリー「訂正しなくちゃね。初めて会ったとき、あなたをバウンティー・キラーって呼んだこと。」

ホノカ「別に気にしてないよ。こっちも似たようなこと言っちゃったし。お互い様だよ。」

ホノカ「それより早く行こう。列車が出ちゃう。」

2人が駅のホームに着くと、そこには既に仲間たちが集まっていた。
55: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:18:45.41 ID:oIF3U7+k.net
マキ「それにしても急ぎすぎじゃない? 着いて早々、乗り換えで出発するなんて。」

リン「そうだよ! もっと、ゆっくりしていけば良いのに!」

ハナヨ「本当に申し訳ございません。先を急ぎますので。」

ニコ「人にはそれぞれ事情ってモノがあるのよ。仕方ないじゃない。」

ノゾミ「あれ~? ニコっち、泣いてるん?」

ニコ「そ、そんなワケないでしょ!?」

ホノカ「でも本当に残念だよ~。もうお別れだなんて。」

コトリ「私もです。今度、会う時はゆっくりとお茶でも致しましょう。」

ホノカ「約束だからねっ。」

コトリ「……ねえ、ひとつだけ聞いていい? 私のこと…」

ホノカ「うん?」

コトリ「いいえ、やっぱり何でもありませんわ。」
56: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:21:03.34 ID:oIF3U7+k.net
ウミ「2人とも、お体には気を付けて。」

エリー「本来なら報告書の提出とかあるんだけど、後のことは任せて。」

発車のベルが鳴る。

コトリ「それでは皆様、ごきげんよう。」

ハナヨ「こんなに良くして頂いて……皆様のご厚意は決して忘れません。ありがとうございました!」

ホノカ「じゃあね~! 約束、忘れないでよーっ!!」

2人を見送ると、ニコとノゾミは新聞社へ、リンは A-RISE の懸賞金を受け取りに保安官事務所へ向かった。

ホノカも少し遅れてリンの後を追おうとすると、1人の男が駆け寄って来る。

保安官「エリーさん、ウミさん、大変です! こちらへ来てください!」

慌てた様子の保安官に呼ばれ、付いて行くエリーとウミ。何事かと、マキとホノカも後を追う。
57: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:26:36.76 ID:oIF3U7+k.net
案内された先は、金塊を輸送していた車両だった。

保安官「中を見てください。」

そう言って保安官が扉を開けると、

エリー「っ!? 金塊が……無い!!?」

ウミ「そんな!」

全員で中に入って隈なく見回すが、金塊を入れた木箱は疎か、何も無い。蛻(もぬけ)の殻である。

マキ「ああーっ!! エリーさん、これ…」

マキが入り口の壁を指差し叫ぶ。そこには、

エリー「鳥(・8・)と花*の……絵?」

マキ「これはアレですよ! 『フラワー・バード』 のマーク!!」

ウミ「フラワー・バード…って、まさかあの?」

マキ「はい。偽造、成りすましから金鉱詐欺まで、何でもござれの天才詐欺師コンビ!」

マキ「そして極め付けは、公になってはいませんが、先月、D.C.で大統領選挙資金の裏金、100万ドルを―それも両陣営から―騙し取った、ぶる~べりぃ とれいん事件!」

エリー「あの2人が……嘘でしょ……」

ホノカ「つまりアレだ。アンタは泥棒に金庫番を任せてたってわけだ。ぷぷっ、これはノゾミちゃんに教えてあげなくちゃ。アハハハハハ!」
58: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:29:08.77 ID:oIF3U7+k.net
ホノカが笑い転げていると、血相を変えたリンが飛び込んで来た。

リン「ホノカちゃん、大変! 今、A-RISE の懸賞金を取りに行ったら、もう支払われてるって。コトリちゃんが代理で受け取ったって…」

ホノカ「え゛……?」

リン「それにリン達の荷物も無くなってるんだよ!」

あまりの出来ごとにへたり込み、呆然とするホノカとエリー。

マキ「あ、あのエリーさん。どうするんですか?」

ウミ「そうですエリー。とにかく今は動かないと。」

エリー「え、ええ、そうね。とりあえず……」

頭を抱えながらも立ち上がるエリー。
59: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:41:15.32 ID:oIF3U7+k.net
その時、

ホノカ「そうだっ! リン、コトリちゃんを追いかけるよ! 今捕まえれば252万ドルだ!!」

そう叫び、勢いよく立ち上がると、リンの手を引いて飛び出すホノカ。

エリー「ちょ、何言ってるの、待ちなさい!」

ホノカを追ってエリーも駆け出す。

ウミ「今度は何ですか!? 私も行きますっ。」

マキ「ヴェエエエエエ ……2人とも待ってくださ~い!」
60: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 01:43:21.19 ID:oIF3U7+k.net
5人は駅を飛び出し、街の大通りを駆け抜ける。

ノゾミ「あれは、ホノカちゃん達? 何したんや?」

ノゾミ「(ピキーン)これは特ダネの予感! なになに~? 教えて~!」

ニコ「ちょっとノゾミ!?……やれやれ、行って確認してみるしかなさそうねっ。」

ホノカを先頭に連なって走る7人。

リン「ホノカちゃん、みんな追いかけてくるよ~!」

ホノカ「フフッ…………よーし、みんな続けーっ!!!」



おしまい
62: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:41:17.16 ID:oIF3U7+k.net
以下、蛇足覚悟の小ネタ集。
63: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:43:30.57 ID:oIF3U7+k.net
練習中の一コマ

花陽「こんなに良くして頂いて…いただい…頂いて……はぁ、演技って難しいね。」

凛「大丈夫! かよちんならきっと最高の天才詐欺師になれるニャ!」

花陽「あはは…凛ちゃん、本当に詐欺師になるわけじゃないよ~。」

凛「凛は、かよちんになら騙されても後悔しないニャ。」

花陽「そんな…私、凛ちゃんを騙したりなんて、絶対しないよ。」

凛「かよちん……。」

花陽「凜ちゃん……。」

真姫「何やってるのよ、あんた達。」

凛「あ、まきちん保安官の取り調べはオコトワリシマス!」

真姫「ちょっと、何よそれ!?」

凛「だって~、勉強会の時みたいになりそうで、ちょっと怖いんだも~ん。」

真姫「それは、凛がふざけたりするからでしょー。」
64: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:46:16.21 ID:oIF3U7+k.net
穂乃果「……………………………………。」

穂乃果「ことりちゃん! 私、ことりちゃんになら騙されても後悔しないよっ。」

ことり「そんな…私、穂乃果ちゃんを騙したりなんて、絶対しないよ。」

海未「……穂乃果、向こうのマネはいいですから、今は台本に集中してください。」

海未「あと、ことりも穂乃果のペースに乗らない。」

ことり「はぁい。」

穂乃果「も~、海未保安官はノリが悪いな~。」

海未「穂乃果がちゃんとセリフを覚えれば、いくらでも付き合ってあげますよ。」

穂乃果「だって、台本って文字ばっかりで疲れるんだもん。漫画みたいになってれば読みやすいのに。」

ことり「穂乃果ちゃん。はい、栄養補給…まかま~か マカロン。」

穂乃果「ありがとう、ことりちゃん。(モグモグ)よーし、やるぞーっ!」

海未「その意気です、穂乃果。」
65: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:48:35.88 ID:oIF3U7+k.net
希「……………………………………。」

希「えりち! ウチ、えりちになら逮捕されてもええんやでっ。」

絵里「は? 急にどうしたの、希?」

希「…………何でもないんや、忘れて。」

絵里「ヘンな希ね。」




にこ(暇だわ………………。)


練習中の一コマ おしまい
66: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:52:26.94 ID:oIF3U7+k.net
エリーの問いかけに答えず、ぼーっと空を見上げるウミ。

エリー「ウミ?」

ウミ「……ック、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


メガホン「カーット! 園田さん、そのままもう一回!」

海未「はい、すみません。……ック、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

メガホン「もう一回!」

海未「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

メガホン「もう一回!」

海未「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

メガホン「もう一回!」

海未「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

メガホン「もう一回!」

海未「あの……一体――(クルッ)」

メガホンにこ「もう一か……あ゙。」

にこ「てへっ、バレちゃったニコ。」

海未「に~こぉ~……」

にこ「逃っげろー!」

海未「待ちなさいっ! こらー!」

逃げ回るにこと、追いかける海未

ことり「あの2人、仲良いよね。(ニコニコ)」

希「ジー(録画中)」

希(ことりちゃんには、どないな風に見えとんのやろ? スピリチュアルやわ~。)

練習中の一コマ その2 おしまい
67: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 22:56:23.23 ID:oIF3U7+k.net
ホノカ「じゃあ時計回りにいくよっ!」

ホノカ「1!」

リン「2!」

コトリ「3!」

ハナヨ「4!」

ノゾミ「5!」

ニコ「6!」

マキ「7!」

ウミ「8!」

エリー「9!」

ホノカ「ミューーーズ!!」

全員「「「ミュージック・スタート!!!」」」

絵里「って違うわよっ! 穂乃果!?」

穂乃果「いや~ごめんごめん。つい……」

海未「つい……じゃありません。しっかりして下さい、穂乃果。」

凛「そういう海未ちゃんも、しっかり釣られてたにゃ~」

海未「そ、それは…」

花陽「穂乃果ちゃんが言うと、釣られちゃうんだよね。」

真姫「仕方ないわよ。穂乃果ってば、間違えるのも全力なんだもの。」

希「緊張も解けて、ちょうど良かったやん。」

ことり「こういうの、穂乃果ちゃんらしいよねっ。」

にこ「本番ではキチッとしてよ?」

穂乃果「大丈夫、大丈夫。任せてよ。」

確かに本番では間違えなかったが、穂乃果、セリフを噛んだためリテイク。

練習中の一コマ その3 おしまい
68: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/29(土) 23:57:34.11 ID:oIF3U7+k.net
穂乃果「みんな~、差し入れだよ~! ウチのお饅頭だけど。」

穂乃果「はい、A-RISE の皆さんもどうぞ。」

ツバサ「ありがとう、高坂さん。頂くわ。」

英玲奈「高坂さんのお家、お饅頭屋さんなのね。美味しそう。」

あんじゅ「いただきまーす。」

にこ(し、しまったー! 私としたことがA-RISEへの差し入れを忘れるなんて!!?)

にこ(差し入れは初日が肝心。な、何かない?…………そうだ、アレなら!)
69: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/30(日) 00:00:07.02 ID:oIF3U7+k.net
10分後


ツバサ「高坂さんのお饅頭、おいしかったわね~。」

英玲奈「老舗の味、というものだな。」

あんじゅ「今度みんなで買いに行く?」

にこ「あ、あの皆さん! これ私から、差し入れのリポDですっ!」

にこ「今、コンビニでキャンペーン中で、私たちのコップも付いてるんで、どうぞっ!」

ツバサ「あ、ありがとう……折角だけど、後でいただくわね。本番前にカフェインとかの刺激物は避けたいから…」

にこ(し、しまったーっ!ライブの差し入れとは勝手が違うんだったーっ!)

英玲奈「それにしても、すごい本数ね。私たちだけじゃ飲みきれそうにない…。」

あんじゅ「それなら、スタッフさん達に配ったら? 力仕事の人たちには、こういうの喜ばれると思うの。」

ツバサ「えーっと、矢澤さん。そういう事なんだけど、どうかしら? 私たちはコップだけで十分だから。」

にこ「そそそ、そうッスよねー。…じゃあリポDは私が配ってきますんで、コップどうぞ。」

ツバサ「本当にありがとうね。大事にするわ。」

にこ「こちらこそ、すいません、気が利かなくって……それじゃ!」

にこ(あの『ありがとう』はお世辞の『ありがとう』。差し入れ失敗よぉぉぉ!)
70: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/30(日) 00:02:34.56 ID:oIF3U7+k.net
穂乃果「あ、にこちゃん! これ差し入れのウチのお饅頭なんだけど、食べる?」

にこ「……食べるわよっ! だからアンタもこれ飲みなさい!」

穂乃果「あ、ありがとう……って、行っちゃった。」

穂乃果「(ゴクゴク)あ、これ意外とおいしいかも。」



その夜、カフェイン効果で眠れなかった穂乃果は、翌日寝坊した。



にこ「フンッ、いい気味よ。」


差し入れの一コマ おしまい
71: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/11/30(日) 00:09:14.22 ID:9pUPWqU9.net
没ネタ

ホノカ達の車両が見えなくなり、貨物車を降りるエリー達。

マキ「どうするんですか、エリーさん? こんな山の中で、馬も無いし…」

エリー「決まってるわ! 追いかけるのよ、たとえ走ってでも!!」

息巻くエリーに近づく影。

アルパカA「メ゙ェ~」

エリー「アル……パカ…?」

アルパカA「(スッ)」

エリー「もしかして……乗れって言うの? 私に?」

アルパカA「メ゙ェ」

エリー「列車に、追いつけるのね?」

アルパカA「メ゙ェッ!」

エリー「OK、行って頂戴! ウミ、後はよろしくっ。」

颯爽とアルパカに跨るエリー。

そして、彼女は風になった。


没理由…絢瀬さん、アルパカと相性悪いみたいでNGになりました。
72: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2014/11/30(日) 03:44:19.44 ID:comykHVe.net
乙!
ちなみに
コトリ「……ねえ、ひとつだけ聞いていい? 私のこと…」
これはなんて言おうとしてたんだ?
73: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/02(火) 00:11:13.96 ID:mVpAttRX.net
>>72
今回のSSを書くにあたって、デュオ・トリオ組の曲、それぞれの歌詞の一部を、セリフに組み込もうとしたのが目的だから、特に意味はないよ。



なんて言ったらガッカリされるだろうから、コトリ視点で少し考えてみた。
74: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/02(火) 00:13:27.93 ID:mVpAttRX.net
まずは彼女の生い立ちから、語らねばなるまい。

コトリはミズーリ州の出身で、連合国支持者の富豪の娘だった。

しかし、戦争で街が焼かれ、混乱の中、ハナヨと共に2人は逃げ延びた。

生きる為に、彼女が初めて犯した罪は、馬泥棒だった。

(この時、街を攻撃・占拠したのはソノダ将軍の部隊で、火を放ったのは当時将軍の部下だった A-RISE の3人。)

(A-RISEの行った放火は、命令を逸脱したもので、隊を追放された3人は無法者となり、西部へ向かうこととなる。)
75: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/02(火) 00:21:17.00 ID:mVpAttRX.net
そしてコトリたちは生きる為に、復讐の為に、他人を騙していった。

身寄りを無くした少女2人が、力に頼らず生きていくにはそれしかなかった。

幸いにと言うべきか、ミズーリは詐欺師のメッカ。師にもカモにも困らなかった。

今回の金塊窃盗も、簡単な仕事だと思った。

名うての連邦保安官だろうと最強の無法者だろうと、コトリからすれば素人同然。どんな状況になろうと、騙すのに支障はない。

しかし、貨物車のツバサとホノカの会話を密かに聞いていたコトリは、

エリー達がいなくなった今、ホノカが裏切ってツバサと共に金塊を奪いに来ると思った。

あの2人を相手にするくらいならばと、背後からホノカに銃を向けるコトリ。
76: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/02(火) 00:23:46.19 ID:mVpAttRX.net
しかし、ホノカはそうしなかった。それどころか決闘に勝った後もツバサを殺さなかった。

思えば初めて会った時も、彼女は見ず知らずの自分を助けてくれた。

金で動かず、裏切らず、殺さない。そんなホノカがコトリには眩しく見えた。強く惹かれた。

そして今、自分はそんな彼女を裏切ろうとしている。出来もしない約束をして、彼女の前から永遠に消えようとしている。

こんな秘密を抱えている自分は本当に仲間なのか? そう聞きたかった。

しかし、彼女にどんなに憧れても、自分はあの様に生きることは出来ない。きっと心から仲間になることはできない。

ならば聞かずに去ろう。そう決意し、彼女は口を噤んだのだった。
77: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/02(火) 00:25:38.83 ID:mVpAttRX.net
だが、

コトリ「また会えた時 訊こうかな……。」

ハナヨ「お嬢様、何か仰いました?」

コトリ「何でもないわ、ハナヨ。何でも、ないのよ……。」

おしまい
82: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2014/12/07(日) 23:40:18.01 ID:t6Tiuaon.net
>>80
>>81
ありがとう。


今日ゲーセンでドブってきたんで、気分転換に嘘予告書いた。


エリー達に与えられた新たな任務。

エリー「なるほど、難攻不落の要塞ってわけね。」

『クラッシーヴィ』に新メンバー加入!?

コトリ「皆さん、これからよろしくお願い致しますわ。」

メキシコの地で再会する9人。

マキ「ホノカさん!?」

ホノカ「マキちゃん!?」

襲い来る敵。

ウミ「見せてあげましょう。進化した私の銃と技……『真・ラブアローシュート』を!」

束の間の休息。

ノゾミ「みんな~、BBQの用意できたで~。」

そして…………

ツバサ「あなたに会うために、地獄の底から舞い戻って来たわよ……ホノカ!」

μ's主演西部劇 第2幕『WILD STARS』、制作の予定はありません。
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