【SS】 吾輩はネコである

シェアする

穂乃果-アイキャッチ14
1: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:11:11.64 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
【前回のラブライブ!】

いろいろあって、ことりちゃんを悲しませ、海未ちゃんを失望させてしまった穂乃果ちゃん!
自室で我と我が身を振り返ってタメイキをつく穂乃果ちゃんのところに、かしこいかわいい生徒会長が慰めにきたよ!

元スレ: 【SS】 吾輩はネコである

スポンサーリンク
2: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:12:50.48 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
―――穂乃果の部屋

絵里  「絵里です。
     穂乃果、入ってもいいかしら?」

穂乃果 「どうぞ」

絵里  「ことりと海未から、訊いたわよ。
     ことりのチーズケーキを間違って食べちゃったんですって?」

穂乃果 「そうなの。
     サイテーだよ、わたし」

絵里  「どうして、そういうことになっちゃったのかしら?」

穂乃果 「ラブライブのことで頭がいっぱいで、周りが見えなくなってたの。
     周りが見えなくなっていたせいで、わたしのイチゴショートケーキと、ことりちゃんのチーズケーキを見間違えるほどに」

絵里  「ミスは誰にでもあるわ。
     だから、思いつめる必要はないのよ」

穂乃果 「でも、わたし、ことりちゃんを悲しませちゃった。
     それにきっと、海未ちゃんもわたしに失望してるよ」

絵里  「そんなことないわ。
     ふたりとも、チーズケーキを食べられたくらいでは、そんなふうに思わないわよ。
     むしろ、ふたりとも、あなたのことを心配してたわ」
3: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:13:29.81 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「でも……わたしがラブライブのことで頭をいっぱいにしてなければ、こんなことは起こらなかった。
     だからわたし、思ったんだ。
     こんどは、誰も悲しませないことがやりたいな、って」

絵里  「……」

穂乃果 「自分勝手にならずに済んで、でも楽しくて、
     たくさんの人を笑顔にするためにがんばることができて……」

絵里  「穂乃果、あなた……」

穂乃果 「そんなもの、あるのかな。
     ずっと部屋で考えてたけど、なかなか見つけられなくて……」

絵里  「いいえ、誰もあなたのこと自分勝手だなんて思ってないわ。
     むしろ私は、あなたに救われ……」

穂乃果 「でも、ついに、思いついたんだ。
     そうだ、百合小説を書こう! って」

絵里  「ん? 今のは私の聞き間違いかしら?」
4: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:16:06.45 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「そんなわけで、訊いてください」

絵里  「え? え?」

穂乃果 「題して、『吾輩はネコである』」

絵里  「ちょっと」

穂乃果 「吾輩はネコである。
     吾輩の彼女はタチである。
     いつからベッドの中に入っているか、とんと見当がつかぬ。
     何でも温かいフカフカしたところでニャンニャンしていたことだけは記憶している。
     吾輩はここで初めて百合の迷路というものを見た……」

絵里  「ちょっと待って、穂乃果」

穂乃果 「待つよ」
5: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:16:37.42 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
絵里  「ごめんなさい、ちょっと話に追いつけないわ」

穂乃果 「あ、ごめんごめん、解説が必要だったね。
     ネコとタチというのは、一般に同性愛において、受動と能動……」

絵里  「いや、そこじゃなくて……まあそこも解説が必要かもしれないけど」

穂乃果 「さらにいえば、ニャンニャンという隠語が表しているのは、一般に……」

絵里  「はいストップ。みなまで言わなくても大丈夫よ」

穂乃果 「じゃあ絵里ちゃんは、何を解説してほしいのかな?」

絵里  「穂乃果が、その……そういう小説を書こうと思ったのかという理由を、
     私にも分かるようにもう少し詳しく教えてくれないかしら」
7: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:17:56.26 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「うーん……うまく説明できるかな。
     もしかしたら、さっき言ったことの繰り返しになるだけかもしれないよ。
     わたしがやろうと思ったのは、誰も悲しませないことだからだよ」

絵里  「百合小説を書くことは、誰も悲しませずに済むということね」

穂乃果 「そうそう。
     むしろ、みんなを愉しませることができるかなって」

絵里  「楽しませることができるのね」

穂乃果 「うん、愉しませることができるんだよ」

絵里  「喜ばせたりもできるのかしら」

穂乃果 「そうだね、悦ばせることもできるかもしれないね」

絵里  (何だかさっきから、漢字の使い方が噛み合ってない気がするけど……まあいいか)
    
穂乃果 「自分勝手にならずに済むし」

絵里  「まあニャンニャンという行為が互恵的な行為であるかぎりにおいては、そう言えるわね」

穂乃果 「でも書いてる本人も、愉しくて」

絵里  「そうね。
     相手を楽しませるだけではなくて自分も楽しむというのは、たいせつなことよね」

穂乃果 「たくさんの人を笑顔にするためにがんばることができて」

絵里  「そうね。笑顔にできるというのも、重要ね。
     みんなを笑顔にできて、かつ、自分も笑顔になれる。
     そういうことのためにがんばれるなら、それは、とっても素敵なことだと思うわ」

穂乃果 「そのような行為として、官能的百合小説を書くよりも適切な行為があるでしょうか、いやない」

絵里  「うん……うん、まあ筋は通ってるわね。
     何だか私も、そんな気がしてきたわ」
9: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:21:30.12 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「漱石が探求した近代的エゴイズムの止揚は、まさにこの点に存していると思うわけだよ」

絵里  「驚いたわ、穂乃果。
     チーズケーキを間違えて食べたことへの反省が、はからずも、あなたを文学少女にしたのね」

穂乃果 「そのような探求の第一歩は、漱石においては、『吾輩はネコである』の執筆だったんだよね」

絵里  「飼い主の日常を傍観する猫の目は、己を省みる漱石自身の目でもあったというわけね」

穂乃果 「そうだね。
     わたしも、『吾輩はネコである』を呼んだときに、こんなふうに思ったんだ。
     『なるほど、漱石はネコだったのか』と」

絵里  「あー、ネコってそっちの……」
10: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:22:35.47 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「言われてみれば、いかにもそんな感じがするよね」

絵里  「まあ、分からなくはないけど」

穂乃果 「鴎外はタチっぽいよね」

絵里  「あなた、国語の授業をそんなふうに受けてたのね」

穂乃果 「漱×鴎か、鴎×漱か……それが問題だよね、絵里ちゃん」

絵里  (エリチカ、おうちにかえってもいいかな)
11: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ニククエ 9474-63EK) 2015/10/29(木) 20:24:58.46 ID:SgkkvFNp0NIKU.net
穂乃果 「まあとにかく、わたしの辿りついた結論は、百合小説を書けばみんなハッピーだということなのでした」

絵里  「なるほど……うん、なるほど」

穂乃果 「だからわたし、官能的百合小説家(ハッピー・メイカー)になる! なるったらなる!」

絵里  「うん……私は、穂乃果がやりたいことを応援するわ」

穂乃果 「嬉しいよ!」

絵里  「そんなわけで、穂乃果が書いた小説の続きを聞かせてもらってもいいかしら」

穂乃果 「わーい、絵里ちゃん、ありがとう! 
     それじゃあ読むね!」

絵里  (穂乃果……幼馴染を悲しませたショックで少々混乱しているようだけど、
     今の私には、あなたを見守ることしかできないわ)

穂乃果 「吾輩はネコである」

絵里  (でも、小説を書くことでうまく立ち直れそうで、よかったわ。
     これなら、ことりと海未に会わせても問題なさそうね。
     ふふふ、何なら小説をことりと海未に聞かせてあげてもいいかも……)

穂乃果 「名前はまだない……、いやある。
     思いだした思いだした、吾輩の名前は園田海未」

絵里  (……前言撤回。聞かせられないわぁ)
18: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:20:51.00 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「そして吾輩の想い人の名前は、南ことり」

絵里 (まさか、幼馴染をカップリングした百合小説を書くとは思わなかったわ。
    第一作目にしては業が深すぎやしませんか、高坂先生)

穂乃果「ちなみに彼女はバリタチである」

絵里 「ちょ」
19: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:22:10.60 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「大丈夫だよ、絵里ちゃん。
    これはあくまでフィクションだからね」

絵里 「そ、そうよね」

穂乃果「実在の人物、団体等には、一切関係ございませんからね」

絵里 「……信じてもいいのね」

穂乃果「ちなみに吾輩の趣味は登山である」

絵里 「あれ、よく似た趣味をもっている同姓同名の実在の人物を、ひとり知ってるわ……」

穂乃果「今日も吾輩は登山リュックを背負い、こう呟く。

    『山頂アタックです』

    そう、登山とは山頂アタックであり、弓道とはラブアロー・シュートなのだ。
    由緒正しき舊家の娘にも、カタカナ語によるグローバリゼーションの波は及んでいるのだ」

絵里 「その言葉づかいは、グローバルというよりローカル……
    ていうか、使ってるのは海未だけよね」
20: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:22:47.61 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「山路を登りながら、こう考えた。
    痴に働けばナニが立つ」

絵里 「智に働いて立つのは角よ、ナニではないわ。
    ていうかナニって何よ」

穂乃果「情にサオ挿せば流される」

絵里 「うん、竿さすというのは、合わせるとか従うとかいうことを表す比喩表現よね。
    けっしてやらしい意味ではないわよね」

穂乃果「流されて、ついに吾輩は百合の迷路に辿りついた。
    サオを挿したのに百合の迷路とは、これいかに」

絵里 「知らんがな」
21: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:24:35.31 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「百合の迷路を彷徨っていると、吾輩は秘密のブランコを見つけた」

絵里 「……何だろう、希とデュエットした曲のことが思いだされてならないわ」

穂乃果「吾輩はさしたる感興もなくブランコに腰掛けた」

絵里 「あら、海未はブランコを漕ぐの、好きじゃないの?」

穂乃果「なぜだかわからないが、すべてが空しかった。
    いや、実際のところ、空しい理由は、かんたんなことだったのだ。
    吾輩は、ただ、ひとりでいることが寂しかったのだ」

絵里 「海未……」

穂乃果「しかし寂しいとは何だろう?
    それはおそらく、悲しみを慰めてくれる人が傍にいないときに感じる気もちなのだ。
    では、寂しさを紛らすには、どうすればよいのだろう?」

絵里 「どうすればよいのかしら?」

穂乃果「そこで吾輩は思いついた。
    自分で自分を慰めればよいのだ」

絵里 「!?」
22: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:25:21.19 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「要するに、自分で自分を気持ちよく……」

絵里 「こ、高坂先生」

穂乃果「何かな」

絵里 「ご乱心ですか」

穂乃果「いや、わたしはいたって冷静だよ。
    むしろこれから乱れるのは、小説の中の海未ちゃ……」

絵里 「海未が何をするというのよ!」

穂乃果「ナニをするんじゃないかな」

絵里 「……なるほど、うん、なるほど。
    プライベートな空間でナニをする権利は、万人に与えられているものね。
    でも誰が通りかかるか分からない屋外でソレに耽るというのは、ちょっと賢くないわよ」

穂乃果「大丈夫、コトが済んだら賢者になるから」

絵里 「そういうことじゃないわ」
23: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:27:04.68 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「まあとにかく、朗読を続けるね」

絵里 「……ええ、話の腰を折ってごめんなさいね」

穂乃果「そこで吾輩は、さっそく慕わしい人の顔を思い浮かべた。
    そう、彼女の名は南ことり、吾輩の幼馴染であり……吾輩の想い人である」

絵里 (フィクションよね)

穂乃果「秘密のブランコをひとり揺らしながら、吾輩は切なく呟いた。

    『ハアハア、ことり、ことり……』」

絵里 (海未……あなた小説の中でハレンチなことになってるわよ)

穂乃果「そこに通りかかるひとりの少女。
    かの女は怪訝そうに、後ろから吾輩に声をかけた。

    『海未ちゃん、いまわたしの名前呼んだ?』」

絵里 ’(まさか)

穂乃果「驚きのあまり、迷える羊(ストレイ・シープ)のように震える吾輩。
    そんな吾輩に不敵に微笑み、かの女はこう告げた。

    『つづけて、いいよ』」

絵里 (ことりちゅん!?)
24: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:28:03.52 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「吾輩はかの女の言葉に唖然とし、愕然とし、ついには茫然とした。

    『いや、でも私……』

    かの女は何食わぬ顔である。

    『ほら、つづけてよ、わたしの目の前で』

    『できません、恥ずかしすぎます……』

    『ふふふ、海未ちゃんは変態さんなんだね』

    『ゆるしてください……』

    『大丈夫だよ、海未ちゃんが気もちよくなるまで、見ててあげるから……』」

絵里 (高坂先生、これもうR18ですよ、怒られちゃいますよ)
25: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:30:31.74 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「吾輩は魅入られた猫のように怖気づき、懇願した。

    『でも私、どうしてもできません、人前で、そんな……』

    かの女はそんな私を見下ろして、淡々と言葉を返した。

    『大丈夫、できるよ、海未ちゃんなら』

    『でも……』

    『さあ、私に見せて。
     海未ちゃんが……』」

絵里 「わああ、高坂先生、これ以上はいくらなんでも満ち足りたLonely……」

穂乃果 「『五本指ソックスを脱ぐところ』」

絵里 「あれ?」
26: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:31:57.66 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「どうしたの、絵里ちゃん?」

絵里 「それだけ?」

穂乃果「これだけだよ」

絵里 「ナニをアレするんじゃないの?」

穂乃果「うん。
    ナニ(五本指ソックス)をアレする(脱ぐ)んだよ」

絵里 「海未が自分で自分を慰めるんじゃないの?」

穂乃果「うん、自慰に耽るんだよ」

絵里 「一人で気もちよくなるんじゃないの?」

穂乃果「五本指ソックス、気もちいい」

絵里 「まあ、それはそうだけど……」

穂乃果「えへへ。
    履いてるあいだも気もちいいけど、
    脱ぐときに足の指のそれぞれから布が抜けてく感触もたまらないよね」

絵里 「で、でも……
    それだけなら別に恥ずかしがる必要ないじゃない!」

穂乃果「海未ちゃんは大和撫子だから、
    靴下を脱いで脚を見せるのも恥ずかしがるんだよ。
    最初のライブのときも、たいへんだったんだから」

絵里 「靴下を脱ぐだけで賢者になるの?」

穂乃果「五本指ソックスを脱いだばかりの状態では、
    あまりのエクスタシーゆえに、性別に関係なく賢者になるんだよ」
27: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:32:41.15 ID:Udw7hAZ+0.net
絵里 「なるほど、そういうものなのかな」

穂乃果「ていうか絵里ちゃん、ほかにナニを想像してたの?」

絵里 「そりゃまあ、ナニをアレするところを……」

穂乃果「いやーん、絵里ちゃんのエッチ!」

絵里 「官能的百合小説家を自称するあなたに言われたくないわ!
    ……まあ、また話の腰を折ってしまったという点では、私が悪かったわ。
    先をつづけてもらえるかしら」
28: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:36:14.44 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「うん、それでは続きを読むね。

    ……戸惑う吾輩にしびれをきらし、かの女は吾輩の靴下に手をかけた。

    『脱ぎ方がわからないなら、わたしが脱がせてあげる』」

絵里 (ことりちゅん?!)

穂乃果「そう言うやいなや、かの女は私の五本指ソックスを引きずり下ろした。
    ああ、めくるめく官能の世界が今開かんとしているのだ!
    快楽に身を震わせ、吾輩は一羽の小夜啼鳥になった。

    『あはーん』」

絵里 (海未……)
29: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:37:24.27 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「かの女は息を切らす吾輩を見つめ、嬉しそうに言った。

    『まだまだだよ、海未ちゃん。
     靴下はもう一本あるからね』

    嗚呼!
    エロティシズムとはサディズムとマゾヒズムの交錯である。
    要するに、五本指ソックスを脱がせてもらうのはエクスタシーなのだ。
    かの女にもう片方の靴下を引きずり下ろされたとき、ふたたび硝子の花園に切ない声が響いた。

    『うふーん』」

絵里 (海未……あなた、小説の中でえらいことになってるわよ)
30: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:41:32.67 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「かの女は、そんな吾輩のあられもない姿を見て、嬉しそうに言葉を続けた。

    『ふふふ、海未ちゃん、かわいいな。
     まるでハチワレの猫みたい』

    『ことり、私、もう……』

    『まだ終わりじゃないよ。
     もっと聞かせてほしいな、私の猫さんの啼き声を』

    こうしてハチワレの猫は、五本指ソックスをニャンニャンしつづけたのだった。
    そう、吾輩はネコである」

絵里 (タイトル無事回収……
    ていうか要するに、海未がことりに靴下を脱がせてもらったというお話よね)

穂乃果「めでたし、めでたし」
31: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:41:56.75 ID:Udw7hAZ+0.net
絵里 「あら、これでおしまいなの?」

穂乃果「ハッピーエンドでしょ」

絵里 「でも私、これからきっと穂乃果も登場するんだと思ってたわ」

穂乃果「その必要はないよ。
    硝子の花園はふたりきりのものだからね。
    わたしは、ふたりの物語に出てくる必要はないんだよ」

絵里 「……」
32: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:42:52.20 ID:Udw7hAZ+0.net
穂乃果「わたしが出てきても、ふたりを悲しませたり、失望させたりするだけだよ。
    わたしの物語に、ふたりを巻き込む必要はないんだよ。
    ……ううん、もちろん、ふたりだけじゃない。
    絵里ちゃんも、希ちゃんも、にこちゃんも、花陽ちゃんも、凛ちゃんも、真姫ちゃんも。
    みんな、わたしの物語から自由になるときが来たんだよ」

絵里 「……だから、スクールアイドルをやめて、官能的百合小説家になろうと思ったの?」

穂乃果「……うん。
    わたしの物語に付き合わせて悲しい思いをさせるかわりに、
    みんながそれぞれ幸せになる物語を描こうと思ったの」

絵里 「その物語には、あなたが出てこなくてもいいの?」

穂乃果「うん、いいよ。
    だってわたしは、今日から物語の主人公をやめて、物語の作家になることにしたから」

絵里 「それがあなたの、結論なのね」

穂乃果「そうだよ」

絵里 「あなたはみんなの物語を叶えてくれるのに、あなたの物語は、誰にも叶えてもらえなくていいの?」

穂乃果「……」
33: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:43:42.09 ID:Udw7hAZ+0.net
絵里 「……ねえ穂乃果、それは、傲慢というものよ」

穂乃果「傲慢?
    どうしてそうなるの?
    むしろわたし、傲慢になるのがいやで、できるかぎり自分というものを引っ込めようとしたのに」

絵里 「あなたが出てこないと、ほかのみんなの物語は、叶わないからよ」

穂乃果「そんなのうそだよ!
    わたしが出てきたら、またみんなに迷惑をかけちゃうよ」

絵里 「ふふふ、そんなことあるわけないでしょ」

穂乃果「どうして?」

絵里 「わたしたちの物語は、みんなで叶える物語だからよ」

穂乃果「絵里ちゃん……」
34: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:45:33.19 ID:Udw7hAZ+0.net
絵里 「ねえ高坂先生、あなたの官能的百合小説、若干ハレンチな部分もあったけど、ステキだったわ。
    あなた、これをことりと海未に読ませて、喜んでもらおうと思ったのね」

穂乃果「うん」

絵里 「それは、とっても素晴らしい思いだわ。
    でもね穂乃果、きっと二人は、それより先に、あなたと直接会って話がしたいんじゃないかしら」

穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃん、怒ってないかな?」

絵里 「ふふふ、怒ってるわけないじゃない」

穂乃果「仲直り、できるかな?」

絵里 「あなたが、そうしたいと思うなら、いつでもできるのよ」

穂乃果「絵里ちゃん、ありがとう!
    わたし、ふたりに言わなきゃいけないこと、思いだしたよ!」

絵里 「ふふふ、それじゃあ、行ってらっしゃい」
35: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:46:30.52 ID:Udw7hAZ+0.net
――――その後、近所の公園にて

穂乃果「ことりちゃん!」

ことり「あ、穂乃果ちゃん!
    ずっと海未ちゃんと探してたんだよ!
    急に出て行くから、心配で心配で……」

穂乃果「間違えてチーズケーキ食べちゃって、ごめんなさい!」

ことり「ふふふ」

穂乃果「ことりちゃん、どうしたの?」

ことり「謝ることなんか、ぜんぜんないのに」

穂乃果「でも、伝えたかったの」

ことり「ありがとう」

穂乃果「これからも、友達でいてくれる?」

ことり「あたりまえでしょ」

穂乃果「どうして、あたりまえなの?」

ことり「穂乃果ちゃんがいないと、わたしの物語は、叶わないからだよ」

穂乃果「どうして、笑いながら泣いてるの?」

ことり「穂乃果ちゃんが、あたりまえのことを訊くからだよ」
36: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ (ワッチョイ 9474-63EK) 2015/10/30(金) 04:48:33.02 ID:Udw7hAZ+0.net
――――その頃、穂乃果の部屋

海未 「穂乃果、入ってもいいですか?」

絵里 「あら海未、ちょうど入れ違いだったのね。
    穂乃果は、今ちょっと席を外してるわ」

海未 「そうですか。
    ことりと手分けして探していたのですが……」

絵里 「大丈夫よ。
    きっと今ごろ、ことりと話をしてると思うわ」

海未 「それならよかった。
    ふふふ、穂乃果ったら、ケーキを間違えて食べたちゃったくらいで、大げさなんですから」

絵里 「ふふふ、でも穂乃果らしいでしょ。
    ちょっと待っててね。
    いま穂乃果に電話してみるから」

海未 「ありがとうございます。
    ……おや、このノートは何でしょう」

絵里 「……もしもし、穂乃果?
    いまちょうど海未があなたの部屋に来たわ。
    ……え、どんな様子かって?
    あ、官能的百合小説家の高坂先生のノートを開きました。
    『ハレンチです』とか『吾輩はネコではござらぬ』とか呟きながら、ノートを読んでます。
    それで、耳まで真っ赤になって、こちらに歩いてきました……
    あああああ落ち着いて海未いいいいい!」




おわり
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

『【SS】 吾輩はネコである』へのコメント

コメントの投稿には初回のみDisqusへのアカウント登録が必要です。Disqusの登録、利用方法を参考に登録をお願いします。
表示の不具合、カテゴリーに関する事等はSS!ラブライブ!Disqusチャンネルにてご報告下さい。