凛「気が向いたときに書く1レスSS」

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凛-アイキャッチ21
1: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 20:49:02.30 ID:+s+AQ5SG.net
ぶじゅ

凛(......出しすぎた)

真姫「......」スタスタ

凛(あ、ちょうどいいところに!)

真姫「......」スタスタ

<マキチャ-ン

真姫「ん?」

凛「真姫ちゃん! 真姫ちゃん!」

真姫「どうしたのよ。凛。そんなに慌てて」

凛「手かして! 手!!」

真姫「ヴェ!? な、なんでよ!?」

凛「いいからぁ~!! 早くぅ~!!」

真姫「......はい」スッ

凛「はい、握手ー!!」

びちゃ

真姫「ひっ!? ちょっと、こら、凛!? な、なんだか冷たいんだけどこれ何よぉ!?」

グチャグチャグチャグチャ

凛「いやー、ハンドクリーム出しすぎちゃったから! おすそ分け!!」

グチャグチャグチャグチャ

真姫「お、裾分けって......手、(凛の手、柔らかいな)///」

凛「いよっし! これでオッケー!!ありがと、真姫ちゃん!!」

凛「あ、カヨチーン!!」ダッ

真姫「......」ぽつーん

真姫「......」

真姫「......全く、凛ったら」

真姫「......」

クンクン

真姫(......手が凛の匂いだ)

真姫(ふふっ///)

※ 短編集です。話によりカップリングが変わる為カテゴリーは付けていません(管理人)

元スレ: 凛「気が向いたときに書く1レスSS」

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4: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 21:05:03.42 ID:+s+AQ5SG.net
希「にこーっちぃー!」

にこ「......」スタスタスタ

希「にこっちってばぁー!」

にこ「......」スタスタスタ

ギュ

希「ねぇ、ウチのこと無視せんでよぉ」

にこ「......?」

にこ「あら、希。人の袖なんて掴んでいきなりどうしたのよ?」

希「だって、にこっちってば、ウチが何回呼んでも気づいてくれんで先に行くんやもん!
」プク-

にこ「何回も? あぁ、ごめん。今、イヤホンして音楽聴いてたのよ」

希「......えっ」

にこ「なによぉ。無視されたかと思って私の袖なんて掴んだわけ? 希も大概寂しがりやよねぇ」クスクスクス

希「うわぁー。恥ずかしっ/// にこっち、忘れて! 今のは忘れて!!」ナシナシ

にこ「はいはい。んで、何よ。なんか用があったんでしょ」

希「あ、うん。あんなー」

にこ(......本当は名前呼んで欲しくて聞こなかったフリしたなんて、ね)

希「......って、にこっち聞いてるー?」

にこ「言われなくてもちゃんと聞いてるわよ、希」
9: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 21:20:50.98 ID:+s+AQ5SG.net
凛「にゃんにゃんにゃーにゃーんにゃーん?」

花陽「ふんふん」ウナヅキ

凛「にゃにゃにゃにゃ、にゃ、にゃにゃーん!」

花陽「ふんふん」ウナヅキ


真姫「......」

凛「にゃにゃんにゃんにゃんにゃんにゃん」

花陽「......」

真姫(......幼馴染って、凄いわね。これだけで意思疎通できているなんて)ゴクリ

花陽「なるほど、わからん」

真姫「!!」
11: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 21:32:06.98 ID:+s+AQ5SG.net
海未「ことりー、帰りましょう。穂乃果は絵里と帰るらしいです」

ことり「海未ちゃん!!」

海未「はい、海未です。なんですか?」

ことり「絵里ちゃんのこと『絵里ちゃん』って呼んだって本当!?」

海未「」

海未(まずいです。一番バれてはいけない人にばれました)ダラダラ

海未「あ、あれです。先生のことを『お母さん』と間違えてしまった、というようなそんなやつです。小学生のイジリネタのレベルです」

ことり「......じゃあ、本当に絵里ちゃんって呼んだんだ」

海未「ゔっ」

ことり「ばかー海未ちゃんのばーか」プンプン

海未「......かわいい」

海未(じゃなくて、ええと。機嫌を直してもらうには......)

ことり「」プリプリ

海未「こちらに不手際があったことは謝りますから......そ、その、......ことりちゃん、一緒に帰りましょう?」///

ことり「......」


ことり「......手も繋がないとダメ。海未ちゃんから」

海未「......ぜ、善処します、、、」
12: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 22:22:04.80 ID:+s+AQ5SG.net
希「絵里ちー! 絵里ちー!」ギュゥ

絵里「いきなりどうしたのよ、希」

希「うーん。なんか、いきなり絵里ちのことギュってしたいって思ったから!」ェヘヘ

絵里「......神よ」ジ-ン

希「?」

絵里「いえ、なんでもないわ。ちょっと生きててよかったって思っただけ」

ギュ-

希「絵里ち、あったかやなぁ~」

絵里「希のせいよ」
16: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/20(火) 23:19:57.89 ID:+s+AQ5SG.net
絵里「......」モグモグ

海未「......」

絵里「......」モグ...モグ...

チラッ

海未「......」ウトウト

絵里「寝るなら肩に頭のっけてもいいわよ?」

海未「うん......いえ、......まだ、眠くないです......」ウトウト

ぐらっ

絵里「......全く」ヨッと

ぽてっ

海未「......」

絵里「あら、頭のせたのに嫌がらないのね」

海未「......」スゥスゥ

絵里「はぁ」

絵里「......少しくらい、普段から私にも寄りかかりなさいよ。寝てる時だけじゃなくて」コツン

海未「......」スゥスゥ

絵里「......」

海未「......ことり」スゥスゥ

絵里「なんてね......こっちからお断りよ、そんな役割」
20: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 00:07:14.13 ID:z7AWRb2n.net
りん「かよちーん! お祭りー!」キャッキャッ

はなよ「あ、り、りんちゃ、...ちょっとまって」

ドン

どてっ

ぱしゃっんッ

はなよ「あっ......」


りん「あれ? かよちん? どこにゃー!」タタタタッ

りん「かよちーん!!」タタタタタッ

りん「おーい! かーよーちーんー!」タタタタタッ

りん「い、いない......人が多すぎるにゃ......」

グスッ

ウェェェェン

りん「はっ」

りん「かよちん!? ど、どこから」アワアワ

りん「どこにいるの、かよちん...」

リンチャアアン

りん「.........」

りん「.........」

りん「.........こっちにゃ」ダッ


タッタッタッタッ


はなよ「ぐすっ、ひくっ......うぇぇ......ぐすっ」

りん「かよちんっ!!」

はなよ「...うぐっ......り"ん"ち"ャ"ん"......‼︎」

りん「ごめんなさいっ!! りん、お祭りが嬉しくてひとりで勝手に行っちゃって!! ごめんね、かよちん!!」

はなよ「うぇぇぇ......」ガクガク

りん(かよちん、震えてる......)

りん「怖かったね。りん、もうここにいるからだいじょうぶだよ。ひとりにしちゃってごめんね」
21: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 00:08:00.84 ID:z7AWRb2n.net
ギュ~

りん「うわっ、っと」

どてっ

りん「あたた......かよちん?」


はなよ「......り、りんちゃん...ぐすっ......ゴメンナサイ」

りん「えっ。どうしてかよちんが謝るの?」

はなよ「......ワレチャッタ、水風船。ぐすっ......りんちゃんとお揃いで買ったのに」

りん「......」

はなよ「ごめんね、はなよ、転んじゃったから......ひくっ」

りん「なんだ、だいじょうぶだよ、かよちん」

はなよ「?」グスッ

りん「りんはかよちんとお揃いのものを持つより、かよちんが一緒にいてくれることの方がとぉっーても、嬉しいんだから! 」

はなよ「......リンチャン」

りん「だからほら、泣き止んで!!ね? あっちに焼きおむすびサンド売ってたからかってみよーよ! かよちん、好きでしょ? りん、知ってるよ?」ネッ

はなよ「うん、......スキ。......だいすき」

りん「うん。じゃあ、かいにいこうにゃー! 次ははぐれないように手をつなごうね 」

はなよ「......ありがとう、りんちゃん」

ギュっ
24: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 02:36:52.27 ID:z7AWRb2n.net
ことり「ンミちゃんのラブアローシュート、ホントーにかわいいよねぇ~///」ニコニコ

ことり「ホントに好き~」

海未「」

穂乃果「ことりちゃん? 海未ちゃん隣で吐血してるよ?」ウミチャンダイジヨウブ?
25: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 02:52:21.87 ID:z7AWRb2n.net
凛「~~♪」

真姫「あ、こら、凛!」

真姫「お風呂上がりはちゃんと髪、乾かさないとダメじゃない! 風邪ひくわよ」

凛「凛の髪は真姫ちゃんが乾かしてくれるからだいじょうぶだにゃ~」ウェッヘン

真姫「......風邪でもなんでも勝手にひきなさい」プイッ

真姫「絶対看病しないからっ」

凛「うぉおああん!? ご、ごめんにゃー、真姫ちゃぁーん!? 自分でちゃんと乾かすからぁー!」



ブォー

凛「真姫ちゃんが髪乾かしてくれるの好き~~♪」

真姫「ま、前向きなさいよっ! こっち見ないでっ」

凛「えへへ~♪」
26: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 10:13:05.08 ID:z7AWRb2n.net
希「にこっち、じゃがりこ食べる?」

にこ「何味?」

希「ジャーマンポテトってやつ」

にこ「......いただくわ」

希「じゃあ、......」んっ

にこ「なんのつもりよ」

希「はやくー、ふやけるやん」

にこ「今日、ポッキーの日じゃないんだけど」

希「なら、じゃがりこの日。今決めた」フフ

にこ「......」

希「ほら、早くしないと食べてしまうよ?」

にこ「......まぁ、希がいいなら、それでいいけど」スッ

カプッ
27: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 11:15:26.66 ID:z7AWRb2n.net
希「にこっち~」

にこ「今日は何よ」

希「なぁ、やっぱ付き合ってよ~」

にこ「......嫌よ」

希「あぁー、またにこっちに振られたー」ガクッ

にこ「......」

希「なら、5分間だけ、付き合おうやん?」

にこ「......何よそれ」

希「今から5分間だけー、ウチとにこっちは恋人どーしやー」

にこ「......」

ガラッ

絵里「あ、いたいた。希。生徒会の時間よ。ほら、早く急いで」

希「...あ、......忘れとった......」

チラッ

にこ「......」

にこ「......はぁ」

ガタンッ

にこ「じゃあ、お別れね。さようなら」スタスタスタ

希「......」

絵里「話の途中でだったかしら、ごめんなさいね」

にこ「別に」プイッ

スタスタスタスタ

絵里「今のって、......たしか矢澤さんだったかしら」

希「うん......。生徒会いこか、絵里チ」


スタスタスタスタスタ

にこ「.........」

にこ「大変ね、アイドルって」
28: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 20:43:53.82 ID:z7AWRb2n.net
小雨がパラパラと街に降り注いで
普段は薄汚れた空気もネオンも
こんな時だけは、なんだかとてもきれいに思えた

1つの傘の中で黙って歩いて
耳にはトントンと雨のノックする音を聞いていた

ねぇ、こんなに2人の片側の肩は濡れているのに
ねぇ、こんなにお互いに緊張が伝わるくらい冬の凍てつく寒さの中で
身体から舞い上がった熱が真っ白に冷めていくのに

私たち、端からはどう見えているのかしら


希「生徒会室の傘、借りてしまったね」

絵里「いいのよ、別にどうせ誰も使わないのなら有効活用しないと」

希「ふふっ、絵里チ。それ職権乱用って言うんよ? 知ってた?」

絵里「たまには、いいじゃない。生徒会長も雑用ばかりでは、気が滅入るわ」

細かい小雨が空中に舞っていて、それを行き交う車のライトが貫いていた
まるで映画館の映写機からスクリーンに伸びているみたいに

希「調子がいいなぁ~。うちの生徒会長は」

そう言って、笑う希の暗闇の中で
車道から伸びたライトが照らし出されていて

まるで映画館で幼い頃に観た映画のワンシーンのようなそれがあまりにもきれいで

端から見たらそれでも私たち2人はきっと切なくて



スッと息をのむ想いをした
30: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 22:59:18.98 ID:z7AWRb2n.net
「自分の彼女放ったらかしてアイドルのライブに行くだなんていい度胸ね」

とキレる真姫ちゃんの眼、マジで怖かったにゃん。

でもね、真姫ちゃん。
にこちゃんのライブくらい行くの許して?

いつもは凛の生活全部、
真姫ちゃんのライブだから。
31: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 23:28:30.87 ID:z7AWRb2n.net
穂乃果「μ'sの中で今度の夏に17歳になる人は誰でしょーか!」

花陽(え、27歳になる人なんていたっけ......)

花陽「......」

花陽「......えっ、にこ...ちゃん?」

穂乃果「えっ」
32: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 23:35:49.85 ID:z7AWRb2n.net
穂乃果(にこちゃんって永遠の17歳だったんだ...ほのか、知らなかったよ!!でも、アイドル通の花陽ちゃんが言うんだからそうなのかもしれない......!!)

穂乃果「せ、正解!! にこちゃんだよ!!」


花陽(えぇぇえええええーーにこちゃんって今26歳なのォォオオオオオオオオオ!?!!!?!)


穂乃果「じゃあ、次ね!! これは簡単だよ!!真姫ちゃんと希ちゃんの間にいる人は誰でしょーか!!」
33: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/21(水) 23:52:33.86 ID:z7AWRb2n.net
花陽「えぇー。さっきよりむずかしいような......」ウ-ン

穂乃果「スゥサァイトだよ!」

花陽「身長順だと真姫ちゃんの次が希ちゃんだから間に誰もいないし......」ウ-ン

花陽「順番......番号......胸のサイズ?」

花陽「いや、胸のサイズだと真姫ちゃんと希ちゃんの間には私と絵里ちゃんとことりちゃんの3人が...」ブツブツ

穂乃果(花陽ちゃん、みんなの胸のサイズ把握してるんだ......)

穂乃果(てことは、私のも......)

穂乃果(......///)カァァア

花陽「ん? (穂乃果ちゃんの顔がお日様みたいに赤く。なにかあったのかな?)」

花陽(......あれ、お日様......太陽......)

花陽「あ、わかった! 」

花陽「ズバリ、ことりちゃんだね!」

穂乃果「は、はーい! 正解、です!」///

花陽(あれ? 穂乃果ちゃんなんだか元気がない? 体調でも悪いのかな?)

穂乃果(なんだか、色々知られているって思ったら花陽ちゃんの顔見るの恥ずかしくなってきちゃった////)ウワァ~
36: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 00:11:09.18 ID:D0leEe9S.net
花陽「でも、穂乃果ちゃん。μ'sの中でならことりちゃんしか当てはまらないからことりちゃんって答えられたけど、本当は答えは2人いるはずだよね?」

穂乃果「あ、バレタ?まぁそうなんだよね。問題が悪かったかな、はは」ゴメンゴメン

花陽(あ、いつもの穂乃果ちゃんに戻った!)ホッ

穂乃果(やっと落ち着きを取り戻してきた......)フゥ

穂乃果「じゃあ、次に会う人には問題を変えて出してみようかなぁ」
38: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 00:19:36.01 ID:D0leEe9S.net
穂乃果「あ、海未ちゃーん。いいところに!」

海未「穂乃果。どうしたんですか?」

穂乃果「海未ちゃんに問題があります!」

海未「いえ、私は正常ですけど......」

穂乃果「あぁん、もう!そういう事じゃなくて!! クイズ!!クイズするの!!」

海未「穂乃果が私にクイズですか!! あの穂乃果がっ!?!?」えぇえええええええ

穂乃果「......なんだかバカにされてる気がしないでもないけど、問題いうね」イイ?

海未「是非、受けて立ちましょうとも!!」

穂乃果「では、問題です! 朝は希ちゃんが持っていて、昼はことりちゃん。夕方は真姫ちゃんが持ってるけど、夜は誰も持っていないものはなんでしょーか?」

海未「むむむ。意外とマトモな問題みたいで、園田驚きました。これ穂乃果が1人で考えたのですか?」

穂乃果「うん、そうだよ! ちょっと問題文直したりしたけど!!」

海未「そうですか。穂乃果が自分で考えて、自分で改良を......。大きくなりましたね、穂乃果」ヨヨヨ

穂乃果「あれ? なんか海未ちゃんが泣き出しちゃったゾ☆」ナンダコレ
39: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 01:14:48.33 ID:D0leEe9S.net
海未「......(よ、よし、今日こそは)」ムン

海未「こ、ことりっ」

ことり「ん?どうしたの、海未ちゃん。いきなり袖なんて掴むとか、めずらしいね」

海未「え、えと、そ、そ、のその、ですね、......あの、......あの......あのっ!」

ことり「んー? 海未ちゃん、とりあえず、深呼吸、深呼吸!」

海未「し、深呼吸...」

ことり「はい! ことりもするから! ほら、スーハースーハー」

海未「すぅー、はぁー、......すぅー、はぁー...」

ことり「落ち着いた?」

海未「...えぇ、なんだかすみません、ことり」

ことり「ううん、全然大丈夫だよ! それで、海未ちゃんなァに? 」

海未「はっ!!そうでした!!」

海未「あ、あのですね......ことり、その
......私、ことりのこと......こ、ことりの......こここここ、ことりをを!!......だっ......!」

ことり(がんばってー)

海未「ぎ、ギュッとだ、っ、抱きしめたいんですがっ......、いいですかっ////」カァァアアアア

ことり「......え、えへへ。うん、いいよー!!」///

海未「え、ほ、本当に本当にいいんですか!? だ、抱きしめますよ!?」

ことり「うん。海未ちゃんなら、いいですよ」

海未「......」ウ、ウワァアアア

海未「で、では......」

ギュッ

海未「......」

ことり「......」

海未(......顔が見えないけど)

ことり(見えなくてよかった......)

海未(これは....ニヤけてしまう......)///

ことり(うう、嬉しいなぁ......)///
45: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 21:22:49.52 ID:VSe1LPoP.net
にこ「私より背、高いんだからコギなさいよ」

真姫「......」

にこ「ほら、早く! 真姫ちゃんが跨らないと私が荷台に乗れないじゃない」

真姫「......無理」

にこ「は? なんで?」

真姫「......ない」

真姫ちゃんがいつものように髪の毛を右手でクルクルしながらつぶやいた

にこ「えっ......もしかして真姫ちゃん、チャリ乗れないの?」

真姫「!? っ、ち、違うわよっ!? 自転車ぐらい乗れるわ!?」


そう私につっかかるも、なかなかチャリに乗ろうとしない真姫ちゃん

にこ「なら、早くしなさいよ。特売の卵売り切れちゃ元も子もないんだから」ホラホラ

真姫「......」

私がそう急かすと、あぁもうっ! と言いながらチャリに跨ってペダルに足を乗せた

にこ「うわ......ママチャリ似合わなっ......」

真姫「私がママチャリ似合うわけないでしょ!?」

にこ「はいはい、わかったわよ。なにをそうカッカッしてるのか知らないけど」

通学バッグの取っ手を両腕に通してリュックみたいに背負う

置き勉とかよゆー
アイドルの通学バッグの中なんてからっぽの方が夢詰め込めるのよっ

真姫ちゃんの両肩に両手を置くと、真姫ちゃんの身体がかすかにビクッとした

そのまま地面を蹴って、荷台に跨った


にこ「よし、ほら!行くわよー! 今日はオムライス作るって約束してるんだからっ、さぁ!!」

馬のように真姫ちゃんの肩を右手でペシペシ叩いた

真姫ちゃんがチャリを観念したかのように漕ぎ出して
私はそれに合わせて

にこ「よぉっしぃー! スーパーに向けてれっつつらごぉおおおおおお、おおお!? って真姫ちゃん!? フラフラ!?!? チャリでそんな千鳥足を再現されてもォォオオオおおああああああああああああ!?!?」

ガッシャーンと音を立てて出発地点からわずか数メートル進んで私と真姫ちゃんは道に情けなく倒れた
46: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 21:52:05.73 ID:VSe1LPoP.net
カラカラカラ

にこ「......」

カラカラカラ

真姫「......」

カラカラカラ

にこ「なによ、今の」

カラカラカラ

真姫「......だ、だか......乗ったこともしたこともないのよっ......」

カラカラカラ

真姫「自転車も。友達と、自転車の二人乗りも」

カラカラカラ

私はあっけにとられて、膝の痛みも忘れる
真姫ちゃんは申し訳なさげに、
いつもの自信も地面に叩きつけられた時にどっかに落としちゃったみたいに顔を下げてた

カラカラカラ

動力を失ったチャリのタイヤが人知れず
カラカラカラと廻り続ける

カラカラカラ

そうか、真姫ちゃんはそういうやつだったわね

カラカラカラ

一人っ子で、意地っ張りで

カラカラカラ

きっとピアノ付けの毎日で

カラカラカラ

習い事としての運動はしても

カラカラカラ

転んで走り回って親には言えない膝の傷の痛みとか知らない子だったはずよね

カラカラカラ

高校生にもなって、出来ないことがあるだなんて他人はそんな真姫ちゃんを見て笑うかも知れないわ

カラカラカラ


にこ「でも、宇宙No.1アイドルの、このにこにーが、新しいことを始める人を笑うなんてありえるわけないでしょ」
47: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 21:53:00.26 ID:VSe1LPoP.net
カラカラカラ

オレンジの夕日がそんな真姫ちゃんに影をおとして
なにやら青春ドラマみたいなキラキラ感を演出していたけど

カラカラカラ

馬鹿じゃないの?
そんなキラキラはこっちから願い下げよ

カラカラカラ

同情なんてこの場に相応しくないじゃない

カラカラカラ

真姫ちゃんに相応しくないじゃない

カラカラカラ

うるさく廻る倒れた自転車を立てかけた
48: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/22(木) 21:53:13.26 ID:VSe1LPoP.net
うつむいて気まづそうに顔を伏せる真姫ちゃんに私は優しくも明るくもなく
いつも通りの口調を通す

にこ「ほら、立ちなさいよ。卵の特売終わっちゃうじゃない。仕方ないから今日はにこにーの漕ぐチャリの荷台に乗せてあげるわよ」

真姫「......荷台」

にこ「言っとくけど、荷台でバランス取るの、難しいんだからねっ」

真姫「......」


バッグを真姫ちゃんの分ともママチャリのカゴにつっこんだ

サドルに乗るとしっくりくる

真姫ちゃんの身長じゃ、ちょっと漕ぎにくかったかしらね......

にこ「ほら、早く!乗りなさいよ、荷台に。横向きに座ったらイイわ。最初だし」

静かにぎしっと荷台に軽く重みがかかった

にこ「んで、ほら、腕をにこのお腹あた......」


言い終わる前に真姫ちゃんの両腕が私のお腹に巻きついて、グッと温かいのが背中に押し付けられた

それがちょっと冷たいとも思えるのはきっと、夕方の風のせいよね

いいのよ、最初なんてこんなので
私だって半熟のオムライスもどき
どれだけ食べたと思ってるのよ

にこ「さぁて、飛ばすわよ!! 私の半熟オムライス、サイコーなんだからね!!」

にこ「しっかり捕まりなさいよっ」


そう言うと

後ろで、グジュグジュと

トマトケチャップたくさんかけたい

と背中に響くものだから、

いつもより1人分だけ慎重に
だけど、力強く
グッと、ペダルに力を込めた
66: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 14:31:05.38 ID:pWoghBoU.net
「ことりが欲しいです」


と勇気を出して言ってみたところ

次の日から毎朝1つことりから

「どれかは有精卵だよっ」

と、うずらの卵をもらっています
67: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 23:17:24.64 ID:pWoghBoU.net
.
『昔、昔、あるところにとても賢くてかわいいお姫様が住んでいるお城がありました

毎日、お姫様を一目見ようと大勢の人が城の前に押しかけていました

最初は400~600人だった人の集まりが、
そのお姫様の美貌が噂によって国に広がることで少し、また少し大きくなっていきました

お姫様は賢くてかわいかったので

「私の美貌を世界に知らしめるためには、このお城の高さでは認められないわ」

と、人の集まりが大きくなるにつれて、城の高さを段々と高くしていきました

お姫様の美貌を見ようと国じゅうから人が集まれば集まるほど

城はそれに比例してどんどん高くなり、お姫様の姿は米粒のように小さくなっていきました

「まだまだ低いはずよ 私の美貌に釣り合うようにもっともっと城を大きく高くしなさい」

城の人だかりはやがて1000万人を超え

それでも、お姫様を一目見たいと毎日毎日新しい人だかりがお姫様の高い高いお城の前で出来ては消えていくのでした』
68: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 23:27:39.85 ID:pWoghBoU.net
『ある時から急にお姫様の姿を見ようとした人の群れで

お姫様を見ようと上を向いていた人が1人、また1人と急に意識を失って倒れるということが起こるようになりました

倒れた人はそれまでに健康に特に異常はなく

倒れた原因はまるでわかりません

人々はあまりにもお姫様が賢くてかわいかったために

その美貌にあてられてしまったが故の信者の末路であるとして

この城の前で意識を失うことを「エリーチカ王女の呪い」と呼ぶようになりました


毎日、必ず100000人は意識不明になっていたので証拠は十分でした

ひどい時は、意識不明のまま亡くなってしまう人も現れました

「お姫様を見ていた人は意識を失う」という「エリーチカ王女の呪い」の噂は次第に広がり

それはお姫様の耳にも入る流れとなりました


お姫様は、自分の美しさのせいで人が死んでしまうなんて、と嘆き悲しみ

部屋の中に閉じこもってしまいました

お姫様が姿を見せなくなり

お城の前の人の群れは1日、また1日と日を追うごとに少なくなっていき

ついには誰もお姫様の高い高いお城の前には現れなくなりました』
69: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 23:32:27.21 ID:pWoghBoU.net
穂乃果「っていう話を小学生ぐらいの時に図書館で読んだんだ~」

真姫「へぇ。......意識不明ねぇ。昔のことだし、それが本当の出来事かどうからわからないけど、面白い話ではあるわね」

穂乃果「でっしょー! で、真姫ちゃん、私ね、ずぅ~っと、ずぅ~~~っと気になってたのっ!!」

真姫「......なによ。まさか『どうして意識不明になったのか原因を考えろ』とか言い出すんじゃないわよね?」

穂乃果「そのまさかですっ!」エヘェ-
70: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 23:39:27.53 ID:pWoghBoU.net
真姫「はぁ......。全く......。と言いたいところだけど、実はその話、私も読んだことがあるのよ、小さい時に」

穂乃果「えっ!? そうなの!? じゃあ小さい時に私たち、同じ本読んでたのかな?!」

真姫「......残念だけど、多分同じ本ではないわね。穂乃果のは、ええっと......おそらくヨーロッパの伝記とかそういう本だったんじゃないの?」

穂乃果「えー、うーん、......う、うーん......」

穂乃果「わかんない!! 忘れた!!」

真姫「あは、は」

真姫「まぁ、どんな本だったか、なんて今はどうでもいいわね」

穂乃果「うん! それで、真姫ちゃん!! どうしてお姫様の姿を見ようとした人は倒れちゃったの?」
71: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/23(金) 23:56:02.91 ID:pWoghBoU.net
真姫「穂乃果、お姫様の住んでいたお城ってどんなものだったか覚えてる?」

穂乃果「お姫様のお城は......高くて高くて、とってもたっかぁーいやつだよね?」

真姫「正解。 じゃあ、穂乃果、高いところを見るにはどうしたらいい?」

穂乃果「真姫ちゃんっ!穂乃果それくらいはわかるよっ!! 高いところを見るには、こうやって......上を向くしかないでしょ!」

真姫「そうね。でも、今はまだ部室の棚の上ぐらいを見ているけど、賢いかわいいお姫様の住んでいたお城はもっともっと高かったはずよ。ほら、もっと高いところを見るようにしてみて」

穂乃果「えっ...ほっ、......も、もういい!?真姫ちゃん!! 」グぐらいをグッ

真姫「まだまだよ、そんな高さじゃ真姫ちゃんは認められないわア」ホラホラ

穂乃果「ちょ......これ以上は首が......グフッ...って、おわっ」グラッ

真姫「あ、危ないっ!?」

どてっ

穂乃果「あたた~。上向きすぎて尻餅ついちゃったよぉ~......」ハッ

真姫「だ、大丈夫?」

穂乃果「そうか、わかったよ、真姫ちゃん!!」ガバッ

真姫「ヴェェ!? そんな急に肩を掴まないでよっ!?」

真姫「って、えっ、な、何が?」

穂乃果「お姫様を見てた人は今の穂乃果みたいに上を向きすぎて倒れちゃったんだ!! それで穂乃果みたいに後ろに倒れたけど、頭から倒れちゃったから頭を打って意識を失っちゃったんだね!!」

真姫「あ、穂乃果......」

穂乃果「あー、スッキリしたぁ! 穂乃果、小学生の時からずっとこれ気になってたから凄い満足したよっ!!」

真姫「......」

穂乃果「これで私の『エリーチカ王女の呪い』も溶けちゃったかなぁ!」いやースッキリ!

真姫「......穂乃果、えっとね」

穂乃果「あぁー、いっけない!! 生徒会の用事があったんだった!? また海未ちゃんに怒られる!? ごめん、真姫ちゃん、今日はありがとう!! それじゃ」

真姫「......えぇ。生徒会がんばって」

穂乃果「うん! じゃあ、また明日!!」ダッ

真姫「......」

真姫「......」

真姫「......」
72: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 00:06:27.26 ID:5JNFqsif.net
真姫「まぁ、本人がそれで納得しているなら別にいい、のかしら」ウ-ン


真姫(本当は『上を見ることで頚椎動脈の血流が悪くなり、そのことで血栓が形成されるから一時的に意識不明に陥ったりする』だなんて穂乃果に言ってもわからなかっただろうし......)

真姫(なにより、私が小さい頃サンタクロースについて調べようとパパの書斎の本を漁っていたことも言わないといけなかったものね)

真姫「......終わりよければ、全てよし。......かな」ガタッ

真姫「ピアノでも弾きに行こうっと」キィィィ


バタンッ


パタン
75: ◆oAOfno6Lv. (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 10:08:31.88 ID:+hRg0iQQ.net
凛「いただきまーす」モグッモグッ

真姫「......マス」モグ...モグ...

凛「......」モグモグ

真姫「......」ネムッ

凛「真姫ちゃんって」

真姫「ん? なによ」ゴクッ

凛「朝マックくっそ似合わないね」モグッモグッ

真姫「......それ、喜んでいいの?」モグ

凛「うん、褒めてるから」モグモグ

真姫「そう......」モグッ

凛「あたたかいりんご好き? 甘いの苦手そうだけど」

真姫「......」

真姫「凛と食べるならね、ある程度はなんでも美味しいのよ」モグッ

凛「そっ......そっかぁ」ニャ-

真姫「......あからさまにニヤけんな」

凛「えへへ」
78: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 13:48:19.03 ID:Olse0L2i.net
希「......うーん、と」カキカキ

希「ここは......こうして......」カキカキ

だきっ

希「......軽音部の人数が......」カキカキ

希「.........で、バトン部が......」カキカキ

希「......」

絵里「......」

希「絵里ちーどしたん? 後ろから抱きつかれたら作業しにくいよー?」クスクス

絵里「.....なんでリアクションすぐしてくれないのよ、希っ」ムスッ

希「だって。ここ生徒会室やし。それにちょっと寒かったから......いいかなぁーって思って」で、ブラス部が......カキカキ

絵里「寒かった? 言ってくれたらエアコンつけるのに。今からでもつける?」

希「んー...。でも、うちと絵里ちの2人だけやしなぁ。なんかエアコンつけるの遠慮してしまうわー」

希「あぁー、でも絵里ちが寒いなら遠慮しないでエアコンつけて?」

絵里「......私は

絵里「もっと別のことであったまりたいかなぁー、なんて。希と」

希「......せーとかいちょー、ここがっこーよー。わかっとるー?」

絵里「あたたまりたい時が、あたたまるべき時よ」コッチムイテ

希「うちが一般生徒なら、こんな生徒会長すぐリコールもんやん」クスクス

絵里「それはそれで、希のことだけ考えてればいいからいいかも」ハイ、オクチトジテ-

希「このせーとかいちょー、ばか......やん」
85: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 20:08:44.05 ID:Olse0L2i.net
海未ちゃんと喧嘩しちゃった。
昨日、ことりのお部屋でせっかくいい雰囲気だったのに

海未ちゃんったら

「ことりもいつかは私から離れて普通に結婚とかしてしまうんでしょうね」

とか言うんだもん

さすがのことりでも、怒るよ
海未ちゃんはわかってないんだ

どれだけ、ことりが海未ちゃんのこと好きかって

本当はことりだけが海未ちゃんのこと好き勝手したいんだって

今日は朝、待ち合わせ場所に行ったら海未ちゃんはちょっとぎこちなく、
でもちゃんとことりに
「おはようございます」って言ってくれた

そうな風に普通にされたら、、、
穂乃果ちゃんすら気づかないくらいいつも通りを装われたら
ことり、どうしていいのかわかんないよ
海未ちゃん、こんな時くらい、
「いつも通り」なんて枠からはみ出しちゃえばいいのに

ことりのこと、海未ちゃんはそこまで好きじゃないのかな?
海未ちゃんは、ことりのこと、ことりが海未ちゃんのこと想ってるくらいに独り占めとか、したくないのかな

3人で、穂乃果ちゃんを真ん中に並んで通ういつもの通学路が
穂乃果ちゃんを挟んで見える海未ちゃんの横顔が
今日はいつもより灰色に見えちゃってた
86: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 20:30:34.89 ID:Olse0L2i.net
教室は海未ちゃんの後ろの席

いつもは海未ちゃんの後ろ姿みられるの
すごく嬉しいのに
今日はなんだか見てるのがツライ

1限目の数学はなんだか頭がボンヤリしたまま終わっちゃった

世界は、教室はまだ灰色のまま

海未ちゃんがいないと
ことりの世界には彩りがないよ

海未ちゃんは一生懸命ノートとったり
後ろから見てもわかるくらいに先生の話にうなづいてたり

本当、真面目さんだなぁ......

2限目は国語で古文

今は伊勢物語をやってて
先生に当てられた子が教科書を読んでる声と
先生が黒板に本文を板書しているチョークが黒板に打ち付けられる音が
交差して響いてた

海未ちゃんはこの話を読んで
なにを思うのかな......

私は


私は

海未ちゃんとのことをものすごく考えて
それだけで切なくなっちゃうんだけどな


音読はまだ終わりそうになくて
先生の板書もまだ続きそうで

この空間が永遠に続くような気がした

そんなこと、あるわけないのにね
87: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 20:35:51.40 ID:Olse0L2i.net
目の前にある背中に右手の人差し指をくっつけた

海未ちゃんの身体がビクッとしたのがわかって
思わず笑いを堪えるので必死になる

海未ちゃんは、やっぱりはみ出さなくて
授業中だから、後ろが私でも
私だからこそ? 振り向かない

その背中にススっと指を走らせる
制服のツルツルとした感触が指先で気持ちいい

『うみちゃんの ばーか だいっきらい』


そう書いたら海未ちゃんが息をのむのが伝わった



ことり、きらいなんだ

日常からはみ出してくれない海未ちゃん

いつか他の誰かと結婚するとか勝手に想像して落ち込んでる海未ちゃん


でも、ね

それでもやっぱりどこかで信じてる

この空間が永遠に続かないことをわかってるのと同じくらい

確信してる


いつか、海未ちゃんは必ず私を鬼から守ってくれるって

鬼が来ても私のこと、振り返って見ててくれるって

身動き一つしなくなった海未ちゃんの背中にまた指でなぞる

『でも だいすき そんなうみちゃんだから だいすき』
88: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/24(土) 20:36:17.21 ID:Olse0L2i.net
2回目の『き』を書き終わった途端
海未ちゃんが ゴンッて 音を立てて
机に頭を叩きつけてた

と思ったら
ものすごい勢いでシャーペンを走らせてことりの方を振り返った

驚きすぎて、声が出なかった

海未ちゃんはそのまま

「私もです」

って書いたノートの切れ端をことりに見せた

ほら、やっぱり

海未ちゃんは振り返ってくれる

だからきっと大丈夫

これから先
鬼が訪れることがあっても
ことりも海未ちゃんも

きっと大丈夫

海未ちゃんの長い髪からいい感じに
はみ出した耳が真っ赤っかになってるのが見えて

ことりの世界に彩りが戻った
103: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/26(月) 01:04:39.34 ID:TUpULu+d.net
引っ越しするたびに何もかもリセットされて

その度に自分自身がリセットされた気分になった

何回も何回もネトゲでアカウントを作っては消して作っては消してを繰り返してる感じ

ネトゲってしたことないけど、この例えなら伝わりやすい?

自分の中に積み重ねたものがないって結構人としてやばいんだなって今はわかるよ

自分の内側で自分自身を守るためのレベルはどんどん高くなってくのに

自分の外側で他人に接する(コミュニケーション力って今は言うんやろ?)レベルは
低空飛行のまま

だから、そんなうちだから
なんだか、にこっちって羨ましかったんよ

家族はいるし
ずっと同じ東京って場所にいるし

そら、にこっちにだって色々あるってのはわかるから(深くはまだ聴けんけど)

にこっちの全てが羨ましいわけじゃないんやけどね

羨ましいなんて言葉使ったら怒るの知ってるのにごめん
使ってしまって

でも、やっぱ、にこっちがいたから

にこっちと会えたから

うち、東京が好きになったんよね

最初はあんまり好きじゃなかったんだけど

見せかけだけの鮮やかさ、とか

人目につくために無理してそうなとこ、とか

でも、いつの間にか好きになってた

にこっち。

そんなうちのこと、おかしいって思う?
104: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/26(月) 01:05:39.08 ID:TUpULu+d.net
「......なんで、にこなのよ」

にこっちがにこっちだからだよ


にこっちは仏頂面のまま

マフラーから少し出たほっぺたを少し赤くして

制服のポケットに両手を突っ込んで

うちから目を逸らした

何見てるんかなぁ

全然わかんない

にこっちの考えてること

無言で帰ってしまうのかと思ったら

「私も......希と友達になれてよかったわ」

って返事を、にこっちは返してくれた



そういうとこ、やっぱ好き




「......ポイント稼いでも私は恋愛ゲームじゃないのよ」

せやねー

でも恋愛ゲームならにこっちの攻略めっちゃ楽そう


「ケンカうってるの?」

めっそうもない......やん?


「なんで最後疑問系なのよっ」

えへへ

全く、とつぶやいてからにこっちは右手で頭をかきながら


「あー...。チビたちにご飯作るから帰るけど......希、あんた暇ならご飯食べくる?」

と誘ってきた

「どうせ家帰ってもぼっちなんでしょ? おうどんさん? 作ってもいいわよ。一人分増えたって手間はかかんないんだし」
105: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/26(月) 01:05:54.70 ID:TUpULu+d.net
......

......


照れ臭そうににこっちは言う

......やっぱ好き

思わず、後ろから抱きしめてしまった

にこっちは、驚いたけど拒むことはしてくれなくって

スッポリと腕の中に収まったまま

「うちのおうどんさん、関東風だけど残したら許さないからね」

にこっちが作ったならなんでも美味しいもん


「.....希の舌オンチ」


違うよ、うちはにこっち中毒なんよ


「なんでそう言う台詞サラッと言うのよ......」

にこっちになら、なんでも言えるよ

「あっそ......。まぁ、いいわ。ほら、帰るわよ。おなかすいたでしょ?」

そう言ってうちの腕の中から歩き出し

東京の景色に溶け込むにこっちの背中を

私は

とてもとても愛おしいと思った
106: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/26(月) 01:59:22.98 ID:TUpULu+d.net
凛「真姫ちゃーん 、大好きー」

真姫「そう」

凛「真姫ちゃんは凛のこと好きー?」

真姫「そうね。 私は、真姫ちゃんのことがだーいっ好きな凛のことが好きだわ」

凛「うわっ、真姫ちゃんは本当ナルシストにゃー マジナルにゃー」

真姫「はぁ?」

凛「『真姫ちゃんのことが好きな凛が好き』とか、そんなの凛に嫌われた時のために予防線張って自分のこと守ってるだけじゃん」

真姫「ちょっと......りん」

凛「結局、真姫ちゃんは自分が一番可愛いだけなんじゃ」

真姫「」ムカッ

ぐにぃー

凛「いた!? ちょっと、まきちゃ!? むごんでほっへたつねるほひゃめへー」

真姫「.....ふふっ、凛.変な顔」グリグリグリグリグリ

凛「ウゴゴゴゴ、両方のほっぺを引っ張って回すとかほっぺたのマッサージにゃ......」

グルグルグルグルグルグル

グルグルグルグルグルグル

グルグルグルグルグルグル

凛「真姫ちゃん、ちょ......ま、まわしすぎ......」

真姫「......」

凛「......ま、真姫ちゃん? ひょっとしてガチ怒った? それなら凛謝るからそろそろ......」

真姫「......私だって、ちゃんと凛のこと好きよ」

凛「えっ」

ぐいっ

凛「......んん!?」


真姫「ふぅ。......ね?」ドヤァ

凛「......ちょ、ちょちょ~、ちょっと////」ドキドキドキドキドキドキ

真姫「なによ?」

凛「いきなり素直になるの、卑怯///」

真姫「......私に惚れてる凛が悪いっ」
107: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/26(月) 23:29:02.54 ID:TUpULu+d.net
穂乃果「やはり私の青春ラブコメが幼馴染によってまちがっている」



海未「ほ、ほのかぁ。き、今日はど、どんなパンツを履いているんですかぁ?」ドキドキ

穂乃果「えっと......朝から照れながらする質問がキツイよ、海未ちゃん」

ことり「ハノケちゃん! 体育終わった後の体操服はことりが洗っておくからねっ!」

穂乃果「ことりちゃんに渡すと毎回新品になって戻ってくるから不思議だよねー」アハハ
108: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/27(火) 00:05:30.06 ID:CDU4o93v.net
希のブラウスのボタンを1つ1つ外しながらふと思う

ボタンを外しながら、実際に外しているものは自分の理性か何かだとしたら

どうしようって

そんな経験ないから

私はこのままじゃ、私が何をするのか想像ができない

希「絵里ち......ちょっと待って......恥ずかしい......」

って息絶え絶えに言う台詞も
とっても遠くから聞こえているような気がした

でも、どうしてだかボタンを外す手を止められない

1つ、、、また1つ、、、ボタンをブラウスから外すたび

希と私が、日常からかけ離れていく

こういうのは、私、嫌かもしれない
でも、今更止め方がわからない

指は慣れているようにスルリスルリとボタンを外す

どうしようか、どうしようか
どうすればこの手は止まってくれるかしら

こういうの、途中で止めたら女の子って傷つくものかしら

学校の教科書にそんなこと書いてなんてなかったから

全くわからない
109: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/27(火) 00:15:47.54 ID:CDU4o93v.net
途端に、額にペシっと痛みが広がって我にかえる

ハッと前を向いたら

希の左手でできたキツネと目があった



キツネ「絵里ち、......ちょっと今日は強引なんやない?」


そう言ってクスッと笑うと
中指と薬指がパクパクと上下した


「ごめんなさい......少し、自分勝手すぎたわ」

ボタンを外す手を止めて
そのまま左手のキツネに自分の右手を絡ませた

希「謝らなくてもいいんやけど、その......」

「?」

希「......もう少しゆっくり、大人になろうやん、絵里ち」



責めとも支えとも取れるその言葉に

私は自分を掛け直された思いがした


「......そうね。ごめんね、希」

顔を上げ、ゆっくりとキスをした


別に焦らなくていいのか、希とは

希は私との関係の結末を知ることを望んでいるわけではないんだ

きっと、過程を楽しむことを望んでいるんだ


そう思うと、ドッと安心が身体に降り注いできて

希と離れるのが惜しくなったから

その日はずっとキスだけ続けることにした

11月の生徒会室の窓に、テシテシと雫が当たりはじめる

希越しに見るその光景に

帰りには、土砂降りかなとボンヤリ思った
110: ◆oAOfno6Lv. (SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/27(火) 01:02:51.98 ID:CDU4o93v.net
自室からスクールアイドル矢澤にこちゃんの抱き枕カバーが出てきて
母親に問い詰められる西木野真姫ちゃん

ママ「真姫ちゃん? あなたこれは一体なんなの?(怒)」

真姫「勝手に部屋に入るなんて シンジラレナアイッ!!」

ママ「ママの質問に答えなさいっ」

真姫「......オコトワリシマァス」

ママ「真姫ッ!!?」

真姫「」ビクッ

真姫「......」

ママ「......」

真姫「......よっ」

ママ「聞こえないわっ。もっと大きな声で言いなさい、真姫ちーーー」

真姫「それは私の嫁よぉぉおおおおお!!!!」
112: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2015/01/27(火) 13:06:50.62 ID:p47X0tYJ.net
ママ「よ、嫁っ!? 」

真姫「......」

真姫「よ、嫁っていうか、......彼女っていうか、、、」

ママ「真姫ちゃん、......あなたこの子と付き合ってるの?」

真姫「つ、付き合ってるっていうか......ユニットメンバァ? 」

ママ「ユニット?のメンバー......? 付き合っているの?」

真姫「......せ、先輩というか、友達」

ママ「付き合ってないの?」

真姫「......よ、嫁」

ママ「......」

真姫「......」

ママ「現実に......存在はしているのよね? nic....このにこって子は」

真姫「やめて、ママ。私は正常よ。そんな言い方しないで」
113: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/27(火) 18:21:20.07 ID:CDU4o93v.net
希「にこっち~、手ェつないで帰ろ~!」ヤン

にこ「絶対いやー! ノーセンキュー!!」ムリ-

希「なんでやーん。にこっち手繋ごーやー!!」

にこ「にこの手は安売りしてないの!!」

希「なんそれぇ。......あ、わかった。にこっち照れとるんやろ!? うちと手繋ぐの恥ずかしいからそんな風なリアクションしかできないんやろ!!」

にこ「んなっ!? なにを言ってんのよ!? 本当に嫌なのよ!!」

希「はいはいー! わかったわかったー!」

ぎゅー

にこ「だから、手はつながないって言ってるじゃない!? 離しなさいよ!?」

希「い~や~や~♪ はなさんもーんっ♪」

絵里「......」

海未「......」

絵里「......」チカァ

海未「......」

海未「絵里、...そのっ」

絵里「......?」チカァ

海未「私とでよければ繋ぎますか?」

絵里「......いいの?」チカァ

海未「きょ、今日だけ、特別にいい......ですよ」スッ

絵里「......」

ぎゅ

絵里「ありがたし......ありがたし......」

海未「ハラショーじゃないんですか、そこは......」

ことり(わかる。わかるよ、絵里ちゃん。海未ちゃんと手をつなぐと武士がうつるよねっ!)
116: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/28(水) 00:44:11.40 ID:9EX0w2cO.net
ことり「弓道部だから仕方ないけど、たまにはこういうのも...ね?」ヌリヌリ

海未「は、はぁ......」

ことり「♪~」ヌリヌリ

海未(こうしてネイルを塗られていると、なにやら私が犬でことりにお手をしているみたいですね)フフッ

海未(私はこういうものに疎いですが、ことりがそういうのを穂乃果や私に先立って自分の中に取り入れることで)

海未(私たち3人はなんだかんだ上手くやってきたのですよね)

ことり(今日は海未ちゃんが素直に言うこと聞いてくれて大人しいなぁ)

ことり(きっと海未ちゃんもネイルとかしてみたかったんだね!)

ことり(今度からもうちょっと海未ちゃんを積極的に可愛くしよう!)

ことり「おわりー!じゃあ、次は左の手ね。うみちゃーん」

海未「わかりました」スッ

ことり「お手♪」

海未「......あはは」
118: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/28(水) 20:32:12.39 ID:9EX0w2cO.net
真姫(うーん、自分が普段聴かない音楽も聴かないと作曲の幅が広がらないかしら)

真姫(他のメンバーに、普段どういう音楽を聴いてるのか聞いてみよう)ウン

真姫(まずは......ことりかしら)フム

真姫「ことり」

ことり「? どしたの真姫チャン」

真姫「かくしかでことりが普段聴いている音楽を教えてくれない?」

ことり「」ニャニャ

真姫チ 「な、なにニヤニヤしてるのよっ!?」

ことり「真姫チャンは頑張り屋さんだねぇ」

真姫「はぁ!? べ、別にィ。これが普通の真姫ちゃんだしィ」カミノケクルクル

ことり「うーん。そうだなぁ。ことりはどっちかっていうと1クールごとに聴く曲変わるからなぁ」

真姫(わんくーる? 何のことなのかしら。初めて聴く単語だわ)

ことり「とりあえず明日、今聴いてるCD持ってくるね」

真姫「そう。助かるわ」
119: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/28(水) 20:32:31.95 ID:9EX0w2cO.net
次の日の夜自室

真姫「さて、ことりからCD借りたし。聴きまきちゃん」

真姫「なんというか、明らかにジャケットがアニメ絵のものがあるわね。意外だわ」

真姫「ことりのことだからaikoとかそういう系を聴いているのかと思いきや......」

真姫「なんていうバンドなのかしら。凛として......しぐれ? 」ヘッドフォンスチャ

再生中

真姫「......声高っ」

真姫「初めて聴いたけど、私の心にマッチするような歌詞ね。なにやら惹きつけられるわ」

真姫「他のも聴きましょう......」

再生中

真姫「......こ、これが萌えって気持ちなのかしら」キュンキュン

真姫(ふむ......)






次の日

真姫「ことり。CDありがとう。返すわ」

ことり「あれ、もう全部聴いたの? もう少しゆっくりでよかったのに」

ことり「どうだった?」

真姫「えぇ。最初はちょっと驚いたけど、こういう音楽もあるんだな、って再発見よ。クラシックにはない遊び心が随所にもりこまれていて、キュンキュンしたわ」

ことり(あの真姫ちゃんが顔色一つ変えずに、キュンキュンした、とか言ってくるなんて......!!)萌

ことり「なんていうか、アニソンとか真姫ちゃんは嫌いそうって思いながら貸したからちょっとびっくりしたかも」

真姫「そう...かしら」

ことり「真姫ちゃんは頭がカチコチじゃないんだねぇ~。すごいなぁ」エヘヘ

真姫「なによ、カチコチって。私は自分が凄いと思ったものは凄いと素直に認められるわよっ!」

ことり「ふふっ。新曲楽しみにしてるねー!」
123: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/28(水) 21:23:57.60 ID:9EX0w2cO.net
真姫「アニソンを聴いてなんだかサッパリしたわね」

真姫(μ'sの曲ももっと遊び心があってもいいのかもしれないわ)

真姫(あのことりが外見の可愛さに反してまさかアニソンを50枚も一度に貸してくるなんて予想だにしていなかったものね......)フフッ

真姫「......ギャップかぁ」

真姫(たしか海未がこないだくれた曲候補の中の歌詞に面白そうなものがあったわね)えーっと

真姫「あ、あった」ペラッ

真姫「......」

真姫「......うん。テーマもいい意味でいつもの海未らしくない。これなら私も新しいことできるかも」


真姫(......よし、やってやりまきちゃん!)
124: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/28(水) 21:46:41.57 ID:9EX0w2cO.net
海未「エスカルゴ~♪」フンフフ-ン

真姫「海未」

海未「ひゃあああ!?」ビクッ

真姫「な、なによ。そんなに驚かなくてもいいじゃない!?」

海未「あ、い、いえ、な、ななななななんのようでしょうか!?(う、歌聞かれた!? 聞かれましたかこれは!?あばばばば)」

真姫「そんなに動揺しなくても。ほら、これ。こないだの歌詞に曲つけてみたから...。き、聴いてみて欲しいんだけどッ」カミノケクルクル

海未「なんですと!? あの歌詞っていいますともしかして......」

真姫「なんかネバネバしてたやつ」

海未「おうっ////」

真姫「な、なによ!? 海未が渡してきたんでしょう!? 今更恥ずかしがってるんじゃないわよっ!?」

海未「いえ、うー。確かに私が書きましたけど、うーぅー。なんといいますか、夜中のテンションで書いたので、遊んでしまったのでちょっとどうにかあの日の自分にゲンコツビンタを食らわせにいけないものかと反省してたんです」

真姫「そ、そんなこと思ってたのね。でも、まぁ、そういうことなら今回は私もフザケちゃったからお互い様よっ」フフッ

海未「?」

真姫「ま、まぁ。とにかく聴いて感想、聴かせてよねっ」ジャッ


その夜、園田海未は自室のベッドで悶えまくったという

海未「......ら、ラブノベルス......真姫、か、かわいいです......くはっ////」
127: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/29(木) 20:57:29.52 ID:iImP9yh7.net
がらっ

海未「ただいま戻りましたー!」

海未母「お帰りなさい。海未さん。今日のお稽古はどうされますか?」

海未「今日はあまり疲れていないので、すぐにお願いします」

海未母「わかりました。では、私は先に行っておりますからね」フフッ

海未「はい! 準備ができたらすぐに行きます!!」




海未母「では、今日はこれくらいにいたしましょうか」

海未「ありがとうございました」ペコ

海未母「さて、お腹も空いた頃でしょうから、ご飯にしましょう。準備ができたらお呼びしますね」ニコッ

海未「わかりました。では、一度部屋に戻ってます」ニコッ

スタスタスタ

スタスタスタ

スタスタスタ

海未(ふぅ。負担ではないのですが、学校で授業を受けて、放課後にダンスの練習。帰宅してから日舞のお稽古は少し、キますね)フゥ

がちゃっ

ばたんっ



穂乃果「zzz」

海未「......」
128: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/29(木) 21:01:17.02 ID:iImP9yh7.net
海未(さて。とりあえず着替えて、宿題でもしておきますか)ヌギヌギ

穂乃果「zzz」スャ-

海未「おっと。練習着を洗濯に出しておかないと」

海未「......」

海未「穂乃果のも一緒に出しておきますか」

ゴソゴソ

穂乃果「zzz」

がちゃっ

ばたんっ

スタスタスタ

「オカアサン、センタクモノダシタノデオネガイシマス」

「ハ-イ。ワカリマシタ。ゴハンモウスグデキマスカラネ」

「アト、ホノカガキテタノデ、ホノカノブンモオネガイシマス」

「アラ、ソウナノッ。ワカリマシタ、ホノカチャンノモジュンビシテオキマスカラネッ」

「アリガトウゴザイマス」

スタスタスタスタ

がちゃっ

ばたんっ

穂乃果「zzz」

海未「......ふぅ」

ビ-ビ-

海未「? メールですか。......雪穂から」


[お姉ちゃん来てる?]
129: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/29(木) 21:06:25.94 ID:iImP9yh7.net
海未(なんだか、毎回まるで飼い猫の行方探しですね)フフッ


[はい。部屋で寝ていたので夕飯はこちらで食べると思います。宿題をやらせたら帰らせますので、お母様にそうお伝えください]ソウシンット


穂乃果「zzz」

ビ-ビ-

海未「返事はやっ」


[わかったー(o`・ω・)ゞ]


海未「まぁ、これでよしっと」スタスタスタ

穂乃果「zzz」

海未「ほら、穂乃果。起きてください。ご飯ができるまで宿題しますよ?」ユサユサ

穂乃果「...z....あと、15時間....」ゴロンッ

海未「学校の時間ですよそれ」ホラッ

穂乃果「んー......マブシっ......」ヤダァ

海未「穂乃果」

穂乃果「......」ポンポン

海未「......宿題」

穂乃果「......」ポンポン

海未「......」



ごろんっ

海未「......」

穂乃果「......」
130: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/29(木) 21:26:10.54 ID:iImP9yh7.net
穂乃果「なんだかんだで海未ちゃんも寝っ転がってるジャーン」クスクス

海未「......」

穂乃果「上向いてないでこっちむいてよー」

海未「......」

ゴロンっ

穂乃果「おおっ、素直」

海未「......」

つまみっ

穂乃果「なんへいきなひはなつまむのさァ~」

海未「な、なんとなくです......」

穂乃果「まったくもう......海未ちゃんはぁ~」フフッ

ぎゅー

海未「......」

穂乃果「......あら、反応なし」

海未「流石にちょっと慣れました......」

なでなで

海未「......」

なでなで

海未「......穂乃果だっていきなり頭撫でるじゃないですか」

なでなで

穂乃果「うーん? 穂乃果は海未ちゃんみたいになんとなくじゃないもーんっ」

なでなで

海未「......なんでですか?」

なでなで

穂乃果「『海未ちゃん今日もおつかれさま~。よく頑張りました~』って気持ちになったから、頭を撫でてるんだよぉ~」

なでなで

海未「......」
131: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/01/29(木) 21:26:46.77 ID:iImP9yh7.net
穂乃果「海未ちゃんはがんばりやさんですよー」エヘヘ

なでなで

海未「......あ、ありがとうございます」

なでなで

穂乃果「明日もまた頑張ろうね。みんなでならきっとできるよ」エヘヘ

なでなで

海未「ですね。私もそう思っています」クスッ

とんとんっ


海未母『海未さん、穂乃果ちゃん。ご飯ができましたよ』

穂乃果「はーいっ!! やったー!! 今日は何かなぁー!!」ガバッ

海未「さっき見た感じではピーマンがあったような......」ヨイショ

がちゃ

穂乃果「えー、なら海未ちゃん穂乃果のも食べるといいよ」

海未「なんでですかっ。自分の分は自分で食べてくださいっ」

海未母(ふふっ。穂乃果ちゃんがくると海未さんが元気でとても嬉しいですね)

穂乃果「楽しみだっ楽しみだっ」タッタッタッ

海未「穂乃果っ、廊下は走ってはダメです!!」

ばたんっ


スキップモダメデス!

ウミチャンノケチ-
139: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/02(月) 18:09:36.35 ID:aIVSXw28.net
希「」モゴモゴ

絵里「希が飴舐めてるってなんだか珍しいわね」

希「そう? 最近ののど飴って色々種類でてるから、つい買ってしまうんよね」モゴモゴ

絵里「ハマってる時ってそればっか買ってしまうわよね。わかるわぁ......」

希「」モゴモゴ

希「」モゴモゴ

希「」モゴモゴ

絵里(.....かわいい)

希「ん?さっきからこっち見てどしたん?」

絵里「あ、いえっ。な、なんでもないわっ!(バレてた///)」

希「あぁ、えりちも舐めたいんやろ?」

絵里「そ、そう!? もしよかったら飴私にもくれないかしら!!」

希「ええよー」スッ

希「んっ」ンベッ

絵里「......えっ、希、ちょ、ちょっと......」

希「んっ!」

絵里「......」

ぺろ

絵里「......」モゴモゴ

希「その味美味しいやろ?」

絵里「......うん」モゴモゴ

絵里「......」モゴモゴ

絵里「......」モゴモゴ







絵里「希の味がする」
140: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/02(月) 18:22:27.42 ID:aIVSXw28.net
海未「絵里をダメにするソファー役の園田海未と申します」

絵里「もう少し胸にオプションをつけるチカ」

海未「は?」

絵里「いやー、なにこのフィット感! むしろフラット感といっても問題ないわぁ! 」

海未「ふふっ。所詮、胸とは脂肪の塊なんですよ」


海未「って、ごまかされますか」バシンッ

絵里「痛っ!? 頭にチョップは反則よっ!?」

海未「フラット感とかいうあなたがいけないんですを全くもう......」ハァ

絵里「でも、その、、その分海未とこんなに直で触れていられると思えば......ねっ?」エヘヘ

海未「......」

海未「上を見上げられながら微笑むとか......反則です///」ギュウウウウ

絵里「ふふっ。海未のおかげで背中があったかいわ」

海未「私も胸の中がとても暖かいです。絵里のおかげで」ニコッ

絵里「......」

絵里「////」

海未「? どうしました、絵里」

絵里「えっ、あ、いえ、なんでもない、なんでもないのよ」

絵里(うぐぐ......なんで不意にそういうこと照れないで言うのよ///)キュキュキュ-ン
145: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/03(火) 15:05:23.93 ID:bdGVVF4A.net
プルルルルル

ガチャ

希「やほー」

海未『こんにちは......希。相談があるのですが、今お時間よろしいですか?』

希「うん、大丈夫! どしたん? 深刻そうな声だして」

海未『単刀直入に言うのですが、私、どうも絵里と真姫と話をするときに緊張してしまい上手く言葉が出てこないんです』

希「ほぅ。それはなんていうか......どして?」

海未『......おそらく、絵里と真姫が綺麗すぎて、私が今まで関わってきた女の子とはちょっと異なるタイプだからだと思うんです』

希「確かになぁ。穂乃果ちゃんもことりちゃんも綺麗というよりは、かわいいってタイプやもんね」

海未『はい。このまま慣れずに2人の見目にふりまわされていては、ミューズとしてやっていく資格がないと私は考えるんです』

希「えりちとも真姫ちゃんともダンスと曲関係で絡みあるもんなぁ.....そんなに悩んでたんなら、海未ちゃん。ソルゲの時は胸中穏やかじゃなかったんとちゃう?」

海未『はい......。もうお2人に囲まれて、「私はこんなに目も耳も幸せで良いのだろうか」「これは地獄に堕ちるフラグでも立っているのでは」と蜘蛛の糸を掴む準備として真姫の肩に掴まるのが精一杯でした』

希「おう。なんか重症やんこ」

海未『希、私はどうしたら良いのでしょうか。こんな風に悩みを抱える俗物にどうか手を差し伸べてください』

希「せやなぁ......。言い方がアレやけど『キャバ嬢のお姉さんと話をしてる』ぐらいの気持ちでええんやない?」

海未『......キャバ嬢とは?』

希「うん、なんでもない。今のは聞かなかったことに」

海未『は、はい......』

希(それにしても、海未ちゃんのこの悩み、なんかムカムカしてきた)

希「なぁ、海未ちゃん。うちとはしゃべってても大丈夫なん?」

海未『えっ...。それはどういう』

希「だから、うちとしゃべってるときは緊張せーへんのっ? って!!」

希(どうせうちは眼中にないとか言うんやろっ。こうして電話かけてくる時点で失礼やん、海未ちゃん!)

海未『......えっ、いや、えっ、その。だって、希』

希「なん?」

海未『これ......電話じゃないですか。電話じゃくて面と向かってならそれは希とだっー』

ピッ

希「......」

希「/////////」

希「あかん。やられた///////」
149: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/05(木) 17:15:53.82 ID:1ApXkOtf.net
穂乃果「絵里ちゃん、次のお休みにどっか行こうよぉ~~」

絵里「私、受験生だから勉強しないと」

穂乃果「そそそそ、そっかぁー! そうだよ、ね。穂乃果、気が利かなくてゴメン」ショボン

穂乃果「......」ショボン

絵里「ほ、穂乃果。その。ちょうど新しい参考書が欲しいと思ってたから、本屋なら一緒にどう?」

穂乃果「!!」パァアアア

穂乃果「絵里ちゃぁああん」がばっ

絵里「そういうのはいいから」ひょい

穂乃果「ぁあああああッガード硬いぃぃいいい!! でもそこがいぃいいいいい!!」

絵里「.................まったく」

穂乃果「お出かけ嬉しいなぁ~」エヘヘ

絵里「(そんなに嬉しそうにして)私のどこがそんなにいいのかしら」ボソッ

穂乃果「!」ピクッ

穂乃果「ことりちゃんのようなあからさまな優しさでもないが、たまに垣間見える優しさっ!」

穂乃果「これぞデレの要素!!」

穂乃果「海未ちゃんのように大声を立てずとも穂乃果のことを的確に叱ってくれ、なおかつそれは決して穂乃果のことが嫌いというわけではないという」

穂乃果「まさしくツンの要素!!」

穂乃果「絵里ちゃんは穂乃果にとって最高のツンとデレのバランスを兼ね揃えた女の子なのですっ!!」

絵里「......冷静な分析やめなさい」

穂乃果「絵里ちゃんと会えるの、ずっと待ってたよ!!」

穂乃果「きっと絵里ちゃんと出会うために穂乃果、生まれてきたんだよ!!」

穂乃果「絵里ちゃんと一緒に居るといつもこんなに嬉しいって思うから、絶対そう!!」

穂乃果「会いたかったよ!! 絵里ちゃん!!」

絵里「......」

絵里「......そ、そう」

穂乃果「うん!!」

絵里(なんだか急に恥ずかしくなってきたわ////)

穂乃果「じゃあ、待ち合わせして、お昼もどこかでたべよぉよぉ~」

絵里「そうね....。お昼くらいなら(穂乃果といると調子が狂う......////)」
151: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/05(木) 20:01:05.75 ID:1ApXkOtf.net
真姫「パルプンテ唱えて」

凛「?」

真姫「パルプンテ唱えて」

凛「パルプンテ」

真姫「ふざけないで」

凛「?? 真姫ちゃんついにバグったかにゃ?」

真姫「」ムカッ

バッチーン

凛「いったー!?」

真姫「凛のばか」

凛「い、一体なんだったにゃ???」






「パルプンテ...っと」カタカタッッタ-ン

「......」

「......?」

「最大級の謎を秘めた呪文......」

「......最大級の謎......それを真姫ちゃんは凛に唱えてと......」ニャ?









「ふむ......」
152: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/05(木) 20:01:20.50 ID:1ApXkOtf.net
真姫「凛」

凛(きたにゃ)

真姫「パルプンテ唱えて」

凛「それは凛が唱えていいの?」

真姫「......」

真姫「......私の場合、凛じゃないとダメなのよ」カミノケクルクル

凛「......」

凛「真姫ちゃん」

真姫「なによッ」

凛「いつからかはわからないし、なんでだかわからない。凛にとって最大級の謎を唱えてあげる」

凛「凛は真姫ちゃんが大好きだよ」

真姫「......」

ぎゅ

凛「呪文あってた?」エヘヘ

真姫「......正解」
154: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/07(土) 09:40:53.58 ID:SnflU2JR.net
凛「今日はにこちゃんとケーキ食べにきたにゃー」

にこ「やっぱ旬なだけあって、いちごのケーキが多いわね」

凛「凛は無難にアップルパイにするにゃ


にこ「あんた、私の話、ガン無視ね。マイペースすぎるわよ」

凛「マイペースとか、凛の長所の一つに過ぎないにゃ」

にこ「振り落とされそうなスピードでポジティブにならないで」

凛「んなこといいからはやくにこちゃんもケーキ決めるにゃ」

にこ「そうね。う、うーん。どれも美味しそうで悩むわぁ......」

にこ「まぁ、どのケーキもにこが食べたらそれだけで美味しくなるんだけどネッ☆ ケーキの味すら引き立てちゃうにこ、マジで女子力高いぃ~☆」

凛「......アップルパイ冷めるからはやく決めて」

にこ「あ、はい。なんか、、さーせん」

凛「ん」
156: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 13:25:12.24 ID:9S7RJVyK.net
その高校で「ハイヒールが一番似合うのは?」という質問を生徒にしたら、
その座を獲得するのは言わずもがな
「綾瀬絵里さん」であった。

金髪、ブルーアイズのロシアンクォーター。
頭の賢さもさることながら、その容姿の端麗さは同性ですら目を奪われるほどである。

生徒会の長として彼女はその役割を堅実に果たし、学校が廃校の危機に晒されると今度は自身の身を削って、廃校を阻止しようと躍起になったのだ。

そんな綾瀬絵里さん、ことエリチカさんであったが
実際、彼女が履くことを強いられたハイヒールは彼女あまりにも高すぎて、
歩くたびに足首がクニクニしていた。
自身の役割を悟っていた彼女は足首のクニクニなど誰にも気付かれないように歩いていたのだけど。

彼女、本当はポンコツだったのだ。
ハイヒールなどそれまで履いたこともなく、自分の身体がそんな細い軸とつま先の2点だけで支えられているという現実に恐れおののいていた。
しかし、彼女がハイヒールを履くタイミングを計っていると

『生徒会長だからね。リアルも潤ってるんだろうなぁ~』
『やっぱ頭のいい人は違うよ! 期待してる!!』
『綺麗な人は羨ましいよ~! モデルとかしてみたら?』

知らない間に彼女の履いているハイヒールはどんどん高くなっていく。
それに気がついたときにはもう彼女には自分一人の力でハイヒールを脱ぐことはできなかった。


そんなエリチカさんの様子を見かねて、
ある日、希ちゃんが言った。
希ちゃんはスピリチュアルだから、
エリチカさんの足首クニクニをスピリチュアルに察していた。
スピリチュアルやね。

希ちゃんが「えりち、えりちにはそんなハイヒール似合わんよ。ほら、えりちに似合うんはこっち」

そう言って、希ちゃんがエリチカさんに差し出したのはミューズ。薬用石鹸ではない。
158: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 13:38:33.41 ID:9S7RJVyK.net
大人ぶって強がっていたエリチカさんは
素直になれなかった。
本当は嬉しかった。
小さい頃にやっていたバレエが瞬時に頭をよぎった。

バレエシューズとハイヒール。
一体、いつの間にこんなに変わっていってしまったのか。
あの頃の、足先の一点だけで体全体を支えていても少しも怖いものなんてなかった
あの頃の私は一体どこに行ってしまったのか。

自分はどうして身の丈に合っていないハイヒールを履きこなすことに必死になって、
足の痛みを堪えているのか。

エリチカさんの眼の揺れに希ちゃんは気がついたけど、何も言えなかった。

心がカチコチに凝り固まっていて、
スピリチュアルな希ちゃんの言葉さえ、
そのコリを癒してあげるには温度が足りていなかった。

希ちゃんは別れ際につぶやく。

「今のえりち。URでもSRでも、Rですらない。Nやで」

去っていく希ちゃんの背中が少しずつ小さくなっていく。

エリチカさんは希ちゃんを追いかけたかった。

だけど、走れない。

ハイヒールは走るためのものではないから。
159: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 13:51:52.68 ID:9S7RJVyK.net
エリチカさんはうみほのピーに言った。

「認められないわぁ」

3人のしかめっ面を見て
エリチカさんは自分の中に嫌な泥が溜まっていく感じがした。


うみほのピーは
それでも頑張った。
認められるために。
そして廃校を阻止するために。

屋上で練習をしているのを知った。
どういうわけか、1階の生徒会室からは屋上がよく見えるのだ。

希ちゃんが「素直じゃないなぁ、うちの嬢王様は」

と窓際でつぶやいた。

希、私が小さな頃なりたかったのは嬢王様じゃない。
踊り子なのよ。


言えなかった。黙って、目の前にある書類に目を通した。
それはうみほのピーが出した講堂の使用許可書だった。

黙って、ハンコを押した。


桜の花びらとともに3人が配るビラが風に舞って、エリチカさんの足元に落ちた。

泥にまみれ、そのビラは汚れていた。

エリチカさんがそのビラを拾うことはない。
高すぎるハイヒールで屈むとバランスを崩してしまう。


同じ目的なはずなのに
どうして私たちと彼女は泥だらけになる、そのやり方が違うのかしら


3人の初舞台。
エリチカさんは歩くたびにカツカツという足音を立ててしまうため
会場に入ることはできなかった。
仕方なく、会場の外で壁にもたれかかる。
160: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 14:03:17.01 ID:9S7RJVyK.net
観客が誰一人としていない講堂で
3人は何を思うだろう。

「認められないわぁ......」

せめて、私が見ていてあげる。

そして、ビデオにでもとってユーチューブにでもあげとけば、ニコニコでもいいけど、

この子たちの頑張りが本物ならば
それはきっと誰かに届くわよね
誰かに届くならば、そのまた誰かにもきっと届くはず。
感動は連鎖反応だから。
誰かの感動は誰かに感動は伝染するものだから。

エリチカさんは信じたかった。
ハイヒールを履き、人よりは高い場所にいるものだから言うことは出来ないけど。

誰の元にもスポットライトは当たっているということを。

たとえそれが、コンクールに負けた敗者であったとしても。

エリチカパパに借りた少し型の落ちたデジタルカメラで動画を撮影した。
盗撮ではないことを祈りながら。

音がやむ。

エリチカさんは泥だらけな気分になりながら、カツカツと音を立ててその場を立ち去った。

だから、エリチカさんは知らない。
あの講堂で2つの掌が打ち合わされた音が1つ鳴り響いたことを。
161: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 14:17:34.81 ID:9S7RJVyK.net
エリチカさん、驚く。

うみほのピーがいつの間にか
うみほのピーまきりんぱなになっていた。

「一気に2倍になっているなんて......認められないわ」

希ちゃんはそんなエリチカさんの横でニコニコしていた。

「えりち、ミューズ入らん?」

「希......まだそんなことを言っているの」

希ちゃんはため息をつく。
この子のこの強がりは一体どこからきてるんやろうなぁ、と思う。

希ちゃんはエリチカさんが挙げた動画をいち早くスピリチュアルに見つけていた。

その動画をあげていたuser名でもここで告げたら
えりちはハイヒールを履くことを止めることができるのかな。

自分でもそれは暴力的なやり方だな、と思って希ちゃんはやめておいた。

user名:泥だらけなハイヒールを履いた元踊り子のための薬用石鹸

「ちょっと心の中、穏やかじゃなさすぎて周りが見えてないんとちゃう? えりち」

「何を言ってるのよ、希。私が履いているハイヒールは誰よりも高いのよ」

「見渡せない場所なんて、この学校にはないわよ」


この学校、と範囲を限定しているところにエリチカさんの冷静さを感じた希ちゃんは
それ以上、エリチカさんにこの件のことを問い詰めることをやめようと違う話題を振った。

「そういえばな、えりち。矢澤にこっておるやん」

「矢澤にこ......。いつも希が話かけているクラスメートのちんちくりん?」

「ちんちくりんやって。にこっちが聞いたら怒るからそれ本人の目の前で言ったらあかんよ~?」

「本人の目の前って......。私、矢澤さんとはクラスメートだけど話したこともないし。これからも話す機会はないでしょう」

希ちゃんは、さぁどうかな、と持っていたファイルで口元を隠してエリチカさんに微笑んだ。
163: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 14:56:34.99 ID:9S7RJVyK.net
ロンリーハートで蕾ですらない現状にいた矢澤にこにーは
気取ってお高くとまっていらっしゃるエリチカさんの眼中になかった。
彼女はエリチカさんの眼中の下にいた。

ハイヒールガールなエリチカさん、
その高さゆえに死角ができていた。

その死角のデッドスペースで人目を気にせずまったり安らぎ空間を演出し
部室と言う安全性を保証されたラベリングがなされ、ただのアイドル趣味全開の部屋に堕ちた魔界の中で薬用石鹸の効力に本当はおののいていたが、
あまりにもひねくれすぎた自尊心ゆえに石鹸叩きを行っていたのが何を隠そう
矢澤にこにーであった。

彼女はアイドル研究部の部長であり、この春にも部活動の予算会議でエリチカさんと顔を合わせている。

それにも関わらず、エリチカさんはにこにーを認識してはいなかった。

希ちゃんは優しいからそういうの、追求とかしない。

「覚えてないとは思ってたけど、ほんまに覚えてないとはー。まぁ、やりやすくてええけど」

希ちゃんの横で短いが、手入れの行き届いたツインテールが風に揺れる。

「何独り言言ってんのよ、春の日差しにでもやられたの?」

「ううん。スピリチュアルやな、って思って」

にこにーは、何やら希ちゃんがよくないことを企んでいそうで、そのムズムズさに思わず口に咥えていたストローを噛んだ。



矢澤にこにーは、エリチカさんの眼中下に存在する盲点である。

彼女はこれから、うみほのピーまきりんぱなに出会う。

それは彼女が望んでいる以上の出会いとなり彼女を変える。

希ちゃんはそれを望んでいたから、ロンリーハートで蕾ですらなかったにこにーが
蕾になる瞬間に立ち会えて心がニコニコになる。

矢澤にこにーは盲点であった。
が、それ以上に、エリチカさんがポンコツなのかもしれない。
164: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 17:31:58.84 ID:9S7RJVyK.net
エリチカさんは、内心とても動揺している。

放課後、夕日に照らされたベンチに、
あまり日本に精通していない妹と、
生活環境が日本文化そのものである、そのだうみと腰を下ろすことになったのだから当然である。

亜里沙が渡したおでん缶にそのだうみは驚いた表情を浮かべたものの、その行動をけして笑いはしなかった。

そのことにエリチカさんは胸を撫でおろした。

亜里沙へカフィーとコゥコゥアを買ってくるように言い聞かせ、この場から立ち去らさせた。

妹には自分自身のハイヒール姿なんて見せたくないものである。

やたらと珈琲と香楜阿の発音が良かったが、ロシアンクォーターならそれもそうか、とそのだうみは心の中で思った。


「あなたは......バレエをやっていらしたのですね」

「希から聞いたの......?」

「いえ。ユーチューブを漁っていたら、にこがとあるバレエダンスの動画を見つけまして」

「ど、動画......どういうことなの......」

そのだうみは無言でエリチカさんにスマートフォンを手渡した。

目の前にある機械はユーチューブに繋がれていた。
そして開かれた動画に映っているのは

紛れも無い、見間違えることもないほどに見慣れている
幼い頃のバレリーナ姿の自分自身だった。

「再生数こそ少なかったですが、あれは幼い頃のあなただろうと、ある方が言っていました」

エリチカさんは頭をフル回転させる。
矢澤にこと私は接点を持っていない。
なぜ、矢澤にこが私の動画を......。

そもそもその動画は一体どうやって。
誰がどうやって手に入れたと言うのだろう。



希......あなた、まさか。
165: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 21:32:32.37 ID:9S7RJVyK.net
「希、あんた一体何考えてるのよ」

「なに? にこっちなんか怒っとる?」

「別に怒ってはいないけど...。 手の内が見えなくてイライラしてるだけよ」

「そういうの、世間様じゃ『怒ってる』ってカテゴリーに入れても過言でもないよ?」

口が下手なわけではない。
1年生の頃から周りの自分へのマイナスな態度には全て口で返してきた。
手を出した方が負けだ、とにこにーは思っていた。
だから、手よりも先に口を出す。
さっさと自分の考えを相手に伝えてしまった方が
グダグダと自分の中で思いを煮込ませて悩み込むよりもラクだという思いがあるからだ。

でも、希との会話はいつもラチがあかない。

矢澤にこにーは会話を諦め、このやり取りに終止符を打つべく上半身を回して前を向いた。
置かれたパソコンモニターに映るのは、ハイヒールガール、エリチカさんが踊るバレエシーン。

何回も見てにこにーは思う。

こいつ、踊り上手ね.....ついつい魅入いらされる。

にこにーはアイドル研究部なだけあって、アイドルヲタであった。

私には観察者としての経験がある。
私にはアイドルの質を見極める眼がある。
私にはダンスの良し悪しの区別ができる。
私には本物を見分ける力がある。




そんな自負はにこにーを、孤独な高みへと押しやっているだけであったのだが。

希ちゃんはどこからか持ってきた動画を「これ、見て」とにこにーに押し付けた。

普段はにこにことして、よくわからないスピリチュアルな雰囲気が漂う彼女が
にこに初めて眼光をまっすぐに光らせて言うものだから。

にこにーはそれを見る以外の選択を選べなかった。

胡散臭さが漂うそのデータを、半信半疑で観たにこにーは、
まるで脳天を分厚い辞書でぶん殴られたような衝撃を受ける。
166: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 21:35:05.56 ID:9S7RJVyK.net
眼が釘付けになった。

それだけで、エリチカさんへの評価は十分だった。

見れば見るほど、こけし落としのようににこにーの中で何かが下がっていく思いがする。

幼いが、その表情は今の彼女にはない何かがある。

彼女は、一体どうして踊りをやめてしまったのか。
こんなにも。

にこにーは思った。
認めなければならないもの、これはたぶん、認めなければならないものだ、と。
アイドル研究を貫き、磨き上げてきた自分の勘がそう告げていた。

ただ、自分の中にもう一つ卑しく醜い感情が広がっていくことも同時に実感していた。

「こんなの、認めなくない......」

希ちゃんは優しいから、やっぱりにこにーのそんな部分にも何も言わない。

「でも、うちがミューズにえりちを入れたい理由、わかったやろ?」




少し考えさせて、とにこにーが希ちゃんの横を通り抜け、
部室のドアが勢いよく閉まり、クラシックの、
その余韻の中で優雅に踊る幼いエリチカさんの動画が希ちゃんだけが残った部室の中で流れ続けるのは、
それから2分後のことである。
167: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 22:33:09.59 ID:9S7RJVyK.net
にこにーが去ってから、希ちゃんは反省していた。
やり方がスピリチュアルではなかった、と。

あんな風に自分の中にながい時間をかけて築き上げてきたものをコケ落としされては、
にこっちでもなくても、まきちゃんとかならゲキ怒りされているだろうと、反省していた。

その反省の念は、希ちゃんをその場に止まらせて、歩を立ち止まらせた。

「にこっちに嫌われたかな......?」

希ちゃんの後悔は、彼女から関西風味のアクセントを奪っていた。





あの2分後からさらに小一時間経ったぐらいの時間がその部屋に訪れるその瞬間、部室の扉が不躾な音を立てて開かれた。

希ちゃんはその音に驚いて振り返る。
そしてさらに驚いた。

「にこっち......どうして......」

「聞きなさい、希」

にこにーは希ちゃんの眼をまっすぐに見て言った。
その瞳の輝きに希ちゃんは釘付けになった。

「考えたのよ。このにこにーが頭をこねくり回して考えたわよ」

「......なにを?」

「にこにーのくだらない感情に振り回されて、今後ミューズに引き起こされる物事の損害よ」

「おいくらになりました?」

希ちゃんに何らかの違和感を持ったにこにーだったが、その正体がわからない。

「......少なくとも、にこには払えそうにはなかったわ」

その言葉に隠された意図に、希ちゃんは震えそうになった。

「そ......それなら、それなら、にこっち......もしかして......」


照れ隠しでため息をつきながら、にこにーは伝えた。
168: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 22:35:11.06 ID:9S7RJVyK.net
「認めるわ。認めないと、そんなのアイドル研究部部長にこにーとして生き恥をさらすことになるからね......うわっぷ!?」

希ちゃんが感極まってにこにーに抱きつく。
にこにーの身体に一瞬にしてかかったその衝撃が、その圧力が、その暖かさが、希ちゃんの気持ちから発するものを表していた。

にこにーは頑張って、よろめきながらも希ちゃんから受け取ったものを全て抱きしめた。

「にこっち...ありがとう。ありがとう......私、わたしっ......にこっちにひどいことしちゃったから嫌われたと思って......それで......それで......!!」

にこにーは、先ほどの違和感に気がついて、ふふっと笑った。

「あぁ。あんた、私って何よ。普段の一人称どこいったのよ。それにエセ関西人までどこいったのよ」

「だ、だって......私、にこっちがされたら嫌なことをしちゃったから.....そんなことされたら嫌だろうってわかってたのに」

にこにーはそんな風に自分を責め出す希ちゃんをさらに優しく抱きしめた。

「バカねぇ。私があんたからもらったものと比べたら、あんなの傷にもなってないわよ。むしろ視界が開けたわ。ううん。視界が低くなったというべきかしら」

「低く?」

「知らない間に高いところに行きすぎて、もう一人じゃ降りれなくなってたのよ」

「だから、今度はにこが今もなお華麗にハイヒール役をこなしているもうひとりのポンコツに一発食らわせて、引きずり下ろしてやるわよ」


希ちゃんはにこにーの左手に小銃が握られているのに気づいた。

「覚悟しなさいよね。綾瀬絵里......!!」

「それはなんとも......」


スピリチュアルやね

希ちゃんの決め台詞が部室に響き渡った。
169: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/08(日) 23:44:20.40 ID:9S7RJVyK.net
エリチカさんは自室のベッドの上でボンヤリしていた。

先ほどまで妹と妹の友達の前で、高校のプレゼン原稿を読み反応を見ていたのだが、
途中で寝だしてしまった彼女たちに怒りもわかないくらいだった。

「当然よね......魅力がなくて、アピールするどころか、その歴史をツラツラと並べているだけだなんて」

左手を部屋の電灯に伸ばす。

指の間から光が漏れて、眩しい。

ホロホロと理想が溢れ落ちていく。
掴み取りたいのに、自分の意思とは裏腹に、掴み取れない。

うんざりして、伸ばした手でそのまま眼を覆った。

小さい自分のバレエのダンスをこんな風にして再び見ることになろうとは、あの頃のエリチカさんは思ってもみなかった。

「あの頃は、こんな気分の時でも私にはお祖母様の手が頭を撫でてくれていた......」

エリチカさんがそのだうみから見せられた動画は、エリチカさんが最後に臨んだバレエのコンクールのものだった。

あの日エリチカさんは帰ってきてから、幼い頃のビデオテープが保管されている棚を調べた。
どれもこれも角がピシャッと揃えて並べられ、かすかにホコリを被っていたが、
該当するビデオテープだけが少し飛び出ていて、ホコリが拭き取られているらしく、まるで新品のように黒々とした輝きを放っていた。

エリチカさんは妹を問い詰めることはしなかった。
希ちゃんにも、この話題をすることをしなかった。

希のことだ、きっとこの行動には何かしらの意味があるのだろう

そして、その意味に私は薄々気が付いている......

自問自答する。

今の私はあんな風に誰かのために踊れるかしら

そして、何よりも自分自身のために踊りたいかしら




「無理よ......そんなの。私はもうあの頃のような私じゃない......今の私は」

今のエリチカさんは、
誰よりも高いハイヒールを履いている。

「踊れないわぁ......今のこんな私じゃ......」

そしてなにより、
今のエリチカさんはミューズにとって、
誰よりも完成度の高い悪役になってしまっていた。

「ハイヒール......。確かにこの学校でそんなものが似合うなんていうのは」

私ぐらいしか、いないのかもね。
170: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 00:25:15.25 ID:Ra/cezS7.net
エリチカさんは、躊躇っている。

朝学校に来たら

「にこっちがえりちに話しがあるからちょっと時間もらえないかって」

と、希ちゃんが話をしだしたから無理もない。

思わず、窓際の方に目をやる。
右手で頬ずえをついたにこにーがエリチカさんの視線に気づいて慌てて窓の外に視線を向けてるところだった。

私がハイヒールだとしたら、
そう。矢澤にこ。
あなたが私に抗う正義の味方役なのね......。

「だとしたら、矢澤さんが履いているものは一体なんなのかしら」

エリチカさんがボソッとつぶやいた。

希ちゃんは、頭にはてなを浮かべながら

「学校なら、そら、にこっちだって、上履きなんやない?」

とすんなり答えた。



放課後。

すでに人がいなくなった教室で
エリチカさんと、希ちゃん、そして矢澤にこにーの席だけがいまだに埋まっていた。

エリチカさんは、矢澤にこにーの案件に応えようとして、矢澤にこにーの出方を伺っていただけなのだが、
思いの外、矢澤にこにーが動きを見せないので、教室から立ち去ることを躊躇していた。

3人以外のクラスメートが教室から出ていってから1分後、にこにーは椅子をガガガと言わせ、おもむろに席を立ち、
エリチカさんの席に歩いてきた。

場が整うのを待っていたのか、
ならば、私はここにいて正解だったようね。

エリチカさんは自身の行動の確かさに安堵した。

のもつかの間、エリチカさんの席に近づいた矢澤にこにーの左手に掴まれたものに気づいてギョッとした。

矢澤にこにーの左手には小銃が握られていたからだ。


おもちゃに決まっている。
そんなわかりきっていることに動揺するだなんて、私らしくないわ。


「単刀直入に言うわ。綾瀬絵里」
171: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 00:28:10.10 ID:Ra/cezS7.net
矢澤にこにーはエリチカさんの目を据えて言った。まっすぐに言う。

ゴクリと喉がなった。
誰かに自分の名前を呼び捨てにされるのは、希のあだ名を差し引いては久しぶりのことだった。

チャキッと音がして、右のコメカミに銃が突きつけられる。

エリチカさんは突きつけられたものの正体によって、瞳をそらすことができなかった。

希、あなたはわたしにこんな結末を用意するためにわざわざあの動画をみんなに見せたの......?

希ちゃんを一瞥する。
希ちゃんの表情にはエリチカさんを心配するようなものも、にこにーの行動を咎めるようなものも浮かび上がっていなかった。

そう。あなたはそっち側の人なのね。
別に裏切られたとは思わないけど。

これが希が描いた物語なら、私は心からヒール役になれそうよ

エリチカさんはにこにーに向けてまっすぐニコっと微笑んだ。

にこにーはその笑顔に当てられて、眉をしかめた。

「綾瀬絵里」

「なにかしら」

私もここまでかしらね、なんて柄にもなく思う。
高校も廃校になって、希も取られてしまう。

さっさと、ミューズを認めておけばよかった。

「ミューズに入りなさい。いや、はいれ。これは決定事項よ」

ゴクリとまた喉がなった。
その発言元が矢澤にこにーのもさることながら、その内容に驚いている。

周りの音が消えて、心臓が途端にばくばくとした。

どうして、なぜ、あなたは、そんなことをいうの

よりにもよって、ハイヒールになれすぎている、わたしに

「認められないわ......そんなこと......」

「認めなさい。あなた、本当は踊りたいんでしょう?」

にこにーの言葉に思わず身体がビクッと反応した。

なに、今の......いえ、私はそんな、踊りたいだなんて...そんなことを思っているわけが、
そんなこと、あるわけがないじゃない
ハイヒールを履いたやつが、踊りたいだなんて、それこそ、認められる、わけがない

「何をバカなこと言っているの。私は踊りたくもないし、そもそもミューズの存在を認めていないわ。スクールアイドルだなんて、そんなもの、......そんなもので学校が救えるのなら既に」

その言葉の先に続くセリフにエリチカさんは息を飲んだ。

私は一体、何を言おうとしていたのか

「すでに、何よ」
172: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 01:05:10.68 ID:Ra/cezS7.net
言葉を繋げない。
口の中がただ、無性に乾いていた。

にこにーはその間もエリチカさんを黙って見つめている。

「1つ提案があるわ」

「な、なにかしら」

「私は今、左手に小銃を持っている」

「ええ、そうね。本来ならば生徒会長としてすぐにでも没収したいくらいの代物だわ」

「生徒会長として......ね。綾瀬絵里。あなたはこんな時でも自分の役割に正しくあろうとするのね。そういうとこ、にこ、ほんっとそんけーしちゃうカモっ☆」

「全然尊敬なんてしてないくせに」

「あったりまえでしょ」

にこにーの秒単位でコロコロと変わる声色と表情にエリチカさんは、なにやら感動すらしていた。
こんな風に迷いなく自分を変えられたらどれほど楽なのだろう。

「あんた、ポンコツだから、言ってやるけどね。自分の役割に正しくあろうとし過ぎなのよ」

「自分に与えられた役割に忠実になって悪い?」

「悪いわよ。何言ってんの?人に迷惑かけなければ何してもいいとでも思ってるの?
言っとくけどね、あんたの行動、ニコたちにとってスッッッッゴク迷惑かかってるんだからね」

面と向かって言われる事実に、グッと息が詰まった。
今更どうしたのよ、私。
これしきの言葉で心を揺らしてはいけない。
迷惑がかかるなんて、あたりまえでしょ?
私はヒール役なのだから。

「そう。迷惑よね。でも、学校が廃校の危機に晒されているのにスクールアイドルで救えるだなんて考えの方が迷惑よ」

その言葉に、にこにーは思わずクククッと笑いを漏らしてしまった。

「あんた、本当、上手ね、ハイヒール。もう自分でも脱げないんでしょう。高すぎて引き下がれないんでしょう、1人じゃもう降りれないんでしょう」

それって同化の一歩手前よね


エリチカさんは耳までカッと赤く、熱くなる。

「あなたに一体なにがわかるのよっ!?」

エリチカさんの右拳が机に叩きつけられる。
その衝撃音に希ちゃんが顔を歪ませた。

「わかるわよ。にこもそうだったもの」
173: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 01:06:45.85 ID:Ra/cezS7.net
「えっ.........」

「そういう風に強がりなところまで、似てなくてもよかったのに。スガタカタチはこんなにも違うのに、本当、自分を見ているみたいだわ」

「前置きが長くなったけど、提案よ、綾瀬絵里」

右のコミカミ辺りで、カチャッと、弾丸が装備される音がした。

「ヒール役は正義の味方に殺されるってベタだけど、やっぱり素敵な物語の運びだと思わない?」


にこにーは、ニコっと笑う。
その笑い方を、エリチカさんは、とても正義の味方に相応しくない笑い方だと思った。
174: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 01:30:38.76 ID:Ra/cezS7.net
パンっという破裂音が耳元で鼓膜をつんざく。

一瞬、目の先がチカチカとして、星が飛んだ。

それくらいの音量だった。


周りに火薬の臭いが立ち込める。


「はい、死んだー。これでハイヒール役の生徒会長は死にましたー! 正義の味方役の矢澤にこちゃんの大勝利っ☆ やったねっ!!」

にこにーが右手で作ったVサインをエリチカさんに突きつけた。

エリチカさんは、状況を理解できてない。

「えっ、えっ......私打たれたけど、......死んでないわよ?」

「はぁ!? 何ポンコツなこと言ってんのよ。この小銃が本物なわけないでしょ! いやよ、にこ。人殺しなんて前科背負うの。どうせなら年の瀬にNG大賞とか貰った方がまだマシよ」

「......でも、こんなに火薬臭いし。すっごい音がして今も鼓膜痛いし」

右耳がジンジンして、手のひらで耳を覆った。

「あんた、ロシア住んでたから知らないだろうけどね、日本の駄菓子屋とかには、火薬だけでめちゃくちゃ音のなる無害なおもちゃの小銃とか売ってるのよ?」

「そんなの、知るわけないじゃない......」

「でしょうね。あなたはきっと外を駆けずり回って遊び疲れるような子供じゃなかったんだろうし。むしろ、1日中バレエで回りすぎて足先とか痛くさせてたのでしょう?」

幼い頃の日々が、にこにーの言葉でフラッシュバックした。

バレエが好きだった。
踊ることが好きだった。
コンクールで賞を取ることに一生懸命だった。

なにより、自分が踊ることで
お祖母様に笑ってもらえることが嬉しかった。

「なんなのよ......。あなたは一体なんなのよ。私をどうしたいのよ......」

「いや、だから、ミューズ入れって言ってるでしょ。勉強はできるのに、本当、ポンコツすぎるっての」

エリチカさんは口を真一文字に結んだ。

いまさら、私がスクールアイドルだなんて、できるわけがない
散々他人の行動と熱意を否定しておいて、そんな私がいまさら、自分が誘われたからって、ノコノコとハイヒールからシューズに履き替えられるわけがないじゃない。

「そんなこと、誰も許してくれないわ」

「うちらは許してるよ、えりち」

「希......」

希ちゃんは優しくエリチカさんの左手を、その両手で包み込んだ。

「許す許さないの問題にすり替えたいのなら、そうね。許されたいのなら、あなたはやっぱりスクールアイドルとして踊りなさいよ。
高みの見物されてても腹が立ってしょうがないわ。私たちはあなたのお抱えの踊り子なわけじゃないんだから」

「踊る......私が......スクールアイドルとして......」
175: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 02:11:02.09 ID:Ra/cezS7.net
複数の足音がして、エリチカさんは後ろを振り向いた。

そこには、うみほのピーまきりんぱなの6人が並んで立っていた。

こうさかほのかがゆっくりとエリチカさんの方へ歩いてくる。

「ってことなんだけど、どうかな、綾瀬先輩」

「いいの?」

「いいんですよっ。むしろ、ーーー絵里ちゃんじゃないとダメなの」

そう言って笑うこうさかほのかを、エリチカさんは、とても眩しく思った。

スッと手を差し出される。

その迷いのなさにエリチカさんの瞳が揺れた。

沈黙が続く。
エリチカさんの中で後悔と戸惑いが螺旋のように渦を巻く。

手を伸ばせない。掴めない。

ハイヒールを脱ぎ捨てた、私は、綾瀬絵里はこんなにも臆病者のポンコツだったなんて。

希ちゃんの両手がエリチカさんの左手をから解かれ、そのまま肩にポンっと手を置かれた。

「えりち。大丈夫。こわくないよ」

「希。......でも、だって、私は、これまでみんなに」

「ええこと教えてあげるよ、えりち」

希ちゃんはスピリチュアルに優しく笑って言った。





「ミューズは最初から9人なんよ。えりちを入れて」
176: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 02:16:44.45 ID:Ra/cezS7.net
エリチカさんは、目頭が熱くなった。
それを希ちゃんには見られたくなくて前を向いた。
目の前には差し出された手のひら。

迷いはもうなかった。


「ミューズに入り......ます......」


手を掴む。
こうさかほのかのてのひらは暖かく、
すぐにエリチカさんの左手を掴み返してくれた。

「うん。ーーーここにいる全員が認めました!!!」

履いていたハイヒールを正義の味方にこにーにぶち殺されたエリチカさん、こと、綾瀬絵里はこうしてミューズに加入した。

1人の人間が長年積み上げてきたものは、
このように時を経て誰かによって壊され、
その高度を下げられてしまうものなのかもしれない。

それでも。
177: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 02:17:11.41 ID:Ra/cezS7.net
帰り道。

すっかり目の赤くなった綾瀬絵里は希ちゃんにこう尋ねた。

「どこからどこまでが希に作られたストーリーなのか、わからなくなっちゃったわ」

「ふふっ。そんな、作られたストーリーだなんて。ただうちは、本心からやりたいことをして笑うえりちの傍にいたいなって思っただけやん」

桜は既に葉桜と化し、梅雨は明け、外の木々では蝉が歓喜の声をあげていた。

「スピリチュアルやろ?」

希ちゃんが綾瀬絵里にいじわるっぽく問いかける。

そうね。
綾瀬絵里は照れ隠すために、空を覆い尽くすほど高く、積もりに積もった入道雲を仰ぎ見た。

泥だらけのハイヒールを脱いだ今となってはとても空が、全てが、高く、遠くに見える。

手を伸ばしても掴めないかもしれない。

それでも、たとえそうだとしても。

私の手を掴んでくれる人たちが私と同じ目線で、私の傍にいてくれる。

それはきっと


「とっても、ハラショーなことね」


前の方から矢澤にこが

「絵里! 希! 歩くの遅いわよっ!! ほら、早くっ!! 置いてかれるわよ!!」

と2人を呼ぶ声が夏の空に響いた。
178: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/09(月) 02:18:54.91 ID:Ra/cezS7.net
>>156->>177

user名:泥だらけのハイヒールを履いた元踊り子のための薬用石鹸
185: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/10(火) 00:23:25.67 ID:aJCTCTZx.net
久しぶりのデートをすることになったのですが、ことりから、どうせなら普段しないことをしてみたい、との提案がありました。


ことり『いつも家から一緒にお出かけすると、なんだかデートって感じが薄れちゃうと思うんだよね』

海未『う、薄れる......なら、どうしましょうか。なにかいい案でも?』

ことり『うん。あのね、いつも海未ちゃんが家に迎えに来てくれるのも嬉しいんだけど、ことり、映画館の前で待ち合わせるってデートしてみたいなぁ』

海未『えぇ......そんな、映画館の前でだなんて......』

ことり『海未ちゃんは嫌?』

海未『嫌です......』

ことり『なんで?』

海未『あの辺りは......人が多いです』

ことり『そうだねぇ。あの映画館の前はお店色々あるからね』

海未『嫌です......』

ことり『?......他に嫌なことあるの?』

海未『だって......』

ことり『......だって?』

海未『......じゃないですか』

ことり『...んっ、なに? 海未ちゃんもっと大きな声で言ってくれないと聞こえないよぉ』

海未『...ひっ、人が多いところでことりを1人にさせたら、絶対ナンパとかで連れてかれちゃうじゃないですかっ!!』

ことり『えぇ......。そ、そんなことないと思うけどなぁ......』

海未『いいえ、絶対ナンパされてしまいます!! 』

ことり『えっ、えっ、どしたのう、う、海未ちゃん!?』

海未『ことりは自分がどれくらい可愛くて他人から見て魅力的なのかわかってないからそういうことが言えるんです......!!』フシュ-フシュ-

ことり『うわわわわわわ!? お、お、おちついて/////』
186: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/10(火) 00:25:58.04 ID:aJCTCTZx.net
海未『落ち着いていられませんよっ!? だって、絶対ナンパされちゃいますもん...!!! ことり訳のわからない人に連れてかれちゃいますもん......!!!』フシュ-フシュ-フシュ-

海未『......あぁ、もう嫌です、そういうの、嫌なんですぅ!! 想像しただけで、本当に嫌なんですっー!!』フシュ-フシュ-

ことり『......えっと、はい......なんと言いますか/// えっと///』

海未『......うぅう』フシュ-

ことり『//////』

海未『......』フ....シュ-....

ことり『//////』

海未『.........』

海未『~っ~~!?/////』

ことり『お、落ち着いた?/////』

海未『.は、はい//// すみません』

海未『と、と、取り乱しました//////』

ことり『いいよ。ちょっと恥ずかしいけど、海未ちゃんに言われるのなら』

海未『うわっ......///』

ことり『///』

海未『~~///』

ことり『......///』チラッ

海未『~~///』チラッ

ことり『......目、合っちゃったね///』エヘヘ

海未『はっ、はい......///』ハハッ

ことり『海未ちゃん、このままキスでもしませんか?///』

海未『.....』

海未『おっ、お手柔らかに......お願いします///』
187: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/10(火) 00:26:58.59 ID:aJCTCTZx.net
ことり『たまには海未ちゃんからっ!お願いっ!!』

海未『ええっ~~///』

おわり
191: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/11(水) 14:23:51.04 ID:8VxhxugK.net
穂乃果がネトゲにハマったので最近付き合わされています。

穂乃果「私のサブ垢あげるからっ。海未ちゃんおねがぁい」

海未「ことりの真似したからって、私が簡単に引き受けるとは限りませんよ」

穂乃果「うぅ、この海未ちゃん、チョロくない......」

海未「いつだって私はチョロくないですっ」マッタク

穂乃果「......うーん。じゃあ、他の人をあたろうかなぁ」

海未「......ェ」

穂乃果「誰にしようかなぁ~。ことりちゃん...いや、絵里ちゃんでもいいなっ」チラッ

海未「......」ソワソワ

穂乃果「あーん、希ちゃんと凛ちゃんと真姫ちゃん、それに花陽ちゃんも捨てがたいっ」チラッ

海未「ほ、穂乃果。他のみんなを誘ったら、穂乃果のことだから迷惑かけて大変なことになりますっ」ソワソワ

穂乃果「えぇ~でも、みんな優しいからすぐ引き受けてくれるだろうなぁ~。穂乃果困っちゃう~誰にしようかなぁっ」チラッチラッ

海未「~~っ~~!!」

海未「ああもう!! やります!! 私がやりますからっ!! 他の方は誘わないでくださいっ!!」

穂乃果「わーいっ!! 海未ちゃんありがとー!!」ギュ

海未「ま、全く......し、仕方ないですね。穂乃果は......」テレテレ

穂乃果(......ちょろい)
192: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/11(水) 14:29:14.27 ID:8VxhxugK.net
ーーー
ーー



UMIMI『だからってなんで、私男のキャラなんですかっ。しかも名前っ!UMIMIって!』

UMIMI『私は海未ですっ』クワッ

JASHIN『居た居た! あはは! まぁ、細かいことは気にしないでいいんだよっ!!』ヤホ-

UMIMI『......』

JASHIN『あれ? いきなりしゃべらなくなった?』

UMIMI『.......』

JASHIN『UMIMIくーん』

UMIMI『......』

穂乃果「海未ちゃんもしかして」デンワプルルルル


ガチャ


海未『ふぉ、ふぉのかぁあああ!? 』

穂乃果「穂乃果だよっ」

穂乃果「じゃなくて、海未ちゃんいきなりしゃべらなくならないでよ」

海未『いや、その。なんだかJASHINっていう妙に煌びやかな女の子キャラの人に話しかけられたので、どうしたら良いのかと、考えていまして』

穂乃果「(やっぱり) ......それ穂乃果だからふつーに話しかけて。大丈夫、怖いことはしないから」

海未『はっ!? この方穂乃果なんですかっ!? うえっ、ちょーーーー』

ピッ

穂乃果「ふぅー。やっぱり勘違いしてたよ。さすが穂乃果。海未ちゃんのことわかってるぅ!!」

JASHIN『というわけで、よろしくねっUMIMIくんっ』

UMIMI『........先が思いやられます』

JASHIN『じゃあ、最初だしとりあえずランクの低いイベントでもやってみようか』

UMIMI『私、今夜はもう床に入りたいのですが』

JASHIN『ダメッ』

UMIMI『そう言われましても、もう夜の10時ですし、朝練に響いてしまいますよ』
193: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/11(水) 14:29:54.18 ID:8VxhxugK.net
JASHIN『ダメッ。イヤっ。それに一人称も「私」じゃなくて「俺」じゃないとダメッ』

UMIMI『一人称......私でよくないですか?』

JASHIN『ヤダっ。俺がいいっ!!』

JASHIN『せっかく男の子キャラにしたんだから勿体無いっ』

UMIMI『勿体無いって』

JASHIN『はい! UMIMIくん! say 俺っ!』

UMIMI『.......お、俺』

JASHIN『......』

JASHIN『......』

JASHIN『......』

UMIMI『あ、あれ? ほ、穂乃果......?』オ-イ

UMIMI『何か言ってくださいよ......。は、恥ずかしいじゃないですか』


穂乃果「くぅぅぅ......////////」

穂乃果「お、思ってたより、胸に来た....../////」

穂乃果「えっ、なんだろ、すっごいドキドキするっ//////」ドキドキドキドキ


UMIMI『?』

UMIMI『もう、穂乃果だって喋らなくなるじゃないですか。俺もう、寝ますからねっ』


穂乃果「ひやぁ~っ~~/////」ジタバタジタバタ


UMIMI『穂乃果も早く寝るんですよっ。では。おやすみなさい』


--UMIMIがログアウトしました--
194: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/11(水) 14:30:15.80 ID:8VxhxugK.net
穂乃果「......」

穂乃果「.....ハマっちゃったかも////」ドキドキドキドキ


疑似恋愛 おわり
197: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/13(金) 00:26:25.74 ID:U8V6DlCT.net
にこっちは言う。

こういう話題になるたびに、毎回も言う。

にこ「いや、別にそういう風に好きってわけじゃないし、希が絵里と話ししてても別ににこにはカンケーないし」

上履きを履いた右足のつま先をトントンってしながら、視線はちょっと斜め右を向いて。


トントンっていう規則正しく鳴らされる音が、なんだか猫の尻尾みたいだなぁって思うとちょっと微笑ましい。

希「でも、うちとえりちが喋ってたらなんかブスっとしとるやん。3人で喋ろうとしても、にこっちが勝手に機嫌悪くして黙ってしまうからうちとえりちが喋っとるだけなんよ?」

にこ「そ、っそれはそのっ......」

トントントンの速度が上がって、にこっちの言葉が詰まる。

希「なぁ、もう、いい加減認めてしまえば楽になれるんやないの?」

にこ「な、何をよっ!?」

カッと口を開いて、すぐに突っかかってくる。

予想通りの反応すぎて、扱いやすいなぁと思ってしまうけど、ここで笑ってしまったら更ににこっちの機嫌を損ねてしまうから、笑うのを堪える。

希「にこっちは、うちのこと、好きやろ? そういう意味で」

にこっちの顔が台詞を言い終わらないうちにカァっと耳まで紅くなる。

にこ「はぁっ!? だ、だから、好きじゃないってばぁ!!? 何言ってるのよっ!!何回違うって言わせるのよっ!!」

ブレザーの両ポケットに両手を突っ込んで、必死に肩幅を大きく見せようとしているのが野生動物の威嚇みたいで。

でも、にこっちがやるとそれすらかわいいと思ってしまう。

希「にこっちってさ、今まで人を好きになったことないやろ」

にこ「.....」

にこっちが黙ってしまった。

でも、靴でトントンとするのはやめていない。スローペースで、その音は弱々しく、でも絶え間なく響いている。

だらしなく座って、背中をドップリと背もたれに浸からせてるにこっちの、パイプ椅子がたまにギシッと鳴って、なんだか、たまらなくなる。
198: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/13(金) 00:27:10.24 ID:U8V6DlCT.net
にこ「ないわよ......ないからどうだっていうのよ。恋愛経験がないのに恋愛の歌歌ってるのをバカにする気?」

希「いや、別にバカにする気はないんやけど、その......」

にこ「......その?」

希「人を好きになったことがないなら、自分の中にある気持ちが『恋愛感情』って気づくの、大変やろうなぁって思って」

にこ「......」

にこっちと2人で部室にいることになるといつもこういう時間が流れる。

にこっちがなんだか機嫌が悪くって、その理由を聞いても本人もわかってなくて、でも、だからってうちもにこっちも悪くって。

それは仕方のないことなのだと、思う。

だって、にこっちは自分が今やってることが、ヤキモチを妬く、ってこういだってことすら気づいてないから。

こころあちゃんとこたろうくんに対して、そういう感情って、にこっちは持ったことないのかな?


希「ねぇ、人を好きになるってさ、にこっちの中ではどういうことだと思ってるん?」

にこ「どういうことって......」

希「もうラチがあかんから、ちょっと説明してみてよ」


そう催促すると、にこっちは顔を真っ赤にしながらポツリポツリとつぶやいた。

誰かにその人を取られたくなくて、
その人を染められたくなくて、
何でかわからないけど気になって、
いつでもいいから声が聞きたくなって、
他の誰とでもなく、
その人とじゃないと嫌で、
その人と一緒にいろんなことをしてみたくなる

にこ「こっ、こういう事なんじゃないの......人を好きになるって、 希」

トントンというリズムは変わらないけど、にこっちは少し真面目な顔をしてた。

本当に悩んでいたのだろうな、ずっと自分の中でケリがつかなくてモヤモヤして辛くって、
そういう日々を繰り返して、
やっと気持ちを言葉にできたんだろうな、
っていうくらい、
その紅い眼には憂鬱な影が落ちていた。

希「それって......」

そこまで突き詰められててまだ気づかないんだ......。

聞いてるこっちが逆に恥ずかしくなる。

希「その『その人』って、誰?『その人』って言ってる時、にこっちは誰を想像してたん?」
199: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/13(金) 00:27:44.42 ID:U8V6DlCT.net
にこ「......」

にこっちは黙ってしまって、話が止まる。

沈黙をさっきよりも速々とした靴音が埋める。

少し経って、にこっちがイタズラを見つかって怒られるのを怖がってる子供みたいにボソッと言う。

にこ「......の、...のぞみ」

自分の心臓の音が早くなっていくのがわかる。

希「じゃあ、やっぱりうちのこと」


にこ「でも、好きじゃないんだってばっ!!」



希「......」

にこ「......」

トントンって、それでも聞こえてくるけど、でも、それはこいじゃないって言う。

希「にこっちって、ズルいなぁ」

にこ「......な、なにがよ」

そういうの、聴いてしまったら、
いつか、にこっちがその気持ちに名前をつけられるようになったら、
その時は、そばに居て、真っ先にそれを聴けたらいいな、とか、思ってしまう。

希「ううん。......なぁんもないよ」

にこ「?」

トントンといつも平行線で、トントンとにこっちの靴音はやっぱり止まない。
200: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/13(金) 00:28:31.79 ID:U8V6DlCT.net
でも、そうやって、にこっちがまたどんどん好きになっていく。

こいのっく おわり
205: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 11:56:22.35 ID:ajGb8wJQ.net
ことり「ふぅ。今日も練習頑張ったー」

ことり(たまには1人で自主練もいいものだねぇ~)

ことり(あー、空キレェ)ボケェ-

「隣、いいかしら」

ことり「えっ、ま、真姫ちゃん!?」ビクッ

真姫「......そんな驚くことないでしょ? はい、これ」

ことり「あ......、ありがとう。お、お金っ」

真姫「いいわよ別に。私が好きで買ってきたんだしをたしかいつもスポドリそれ飲んでたわよね?」ゴクッ

ことり「う、うん。よく知ってるね」

真姫「まぁ......一緒に練習してたらそりゃねぇ」

ことり「......」ゴクッ

真姫「......」

ことり「......真姫ちゃんも練習?」

真姫「んー、まぁ、......そんなところね。私はピアノの方だけど」

ことり「そっかぁ。真姫ちゃんは頑張り屋さんだもんねぇ」

真姫「衣装作って生徒会もしてることりに言われてもねぇ......」アハハ

ことり「私は衣装作るの好きでやってるとこ、あるから」

真姫「そう......。ねぇ、聞いてみたかったことがあるんだけど」

ことり「んー? なに?」

真姫「左ひざはもう大丈夫なの?」

ことり「......」

真姫「......」

ことり「......なんで知ってるの?」

真姫「私のママ、あの病院の整形外科医なの。だからその......」

ことり「......」

ことり「......あぁ。そっか。私の手術してくれたのって、もしかして」

真姫「うん、ママよ」

ことり「そっか......そうなんだね。こんなことってあるんだぁ......」

真姫「......」
206: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 11:56:54.67 ID:q57qL3bp.net
ことり「そうなんだ......。左ひざはね、もうすっかり大丈夫だよ。ちょっと色々あったけど、それももう......えへへ」

真姫「......気に障ったことを聞いちゃったかしら」

ことり「えっ。ううん!? そうじゃないよ。ただ、真姫ちゃんとも、もし小さい頃に出会ってたら幼馴染だったのかもしれないなぁって思って」

真姫「......」

ことり「......あれ、真姫ちゃん?」

真姫「幼馴染、そうね。そうなってたかもしれないわね」

ことり「うん。真姫ちゃんが幼馴染だったら私、妹みたいに可愛がってたかもなぁ」エヘヘ

真姫「.....そうね。そしたら、私の方が先にことりを元気づけることができてたかしらね」ボソッ

ことり「えっ......?」

真姫「......。そろそろ戻るわ。ことりも練習頑張ってね」

ことり「あっ、うん。飲み物ありがとねっ」

真姫「......じゃあまた」
207: 名無しで叶える物語(ふく)@\(^o^)/ 2015/02/16(月) 11:57:46.14 ID:ajGb8wJQ.net
真姫「......会ったこと覚えてないなら時間が戻ったってどうしようもないわね」フフッ

真姫「幼馴染かぁ......」


いつかどこかでであったふたり おわり
211: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:26:54.53 ID:2TTStWzC.net
ある日、海未ちゃんが箱に入ったまま出てこなくなりました

穂乃果「ねぇ、海未ちゃーん。どうしちゃったの一体。箱から出てこようよぉ~」

[海未]『......』

ことり「海未ちゃん。それだとスクールアイドルできないよぉ」

[海未]『......それは困りますね』

穂乃果「海未ちゃんがスクールアイドルできなくなったら、穂乃果つまんないよぉ。みんなも悲しむよ」

[海未]『......ちょっとそれは対処します』


次の日、海未ちゃんは頭からダンボールを被って(ただし、足だけでてる)、移動可能になってました

[海未]『これで移動はできますから、学校にもいけますし、踊れます。マイクをつければ歌も歌えます。オールライッです』

私とことりちゃんは顔を見合わせて、とりあえず海未ちゃんを見守ることにしました
212: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:36:24.09 ID:2TTStWzC.net
ダンボールの中はなんだかよくわからないですが、居心地がいいらしく、
最初はクラスのみんなどころか学校中が[海未]ちゃんにザワザワしましたが、そんなことも一週間もしたらみんな慣れました
環境に対する適応能力の高さはうちの高校の生徒の取り柄だと思いました

にこ「海未ちゃんさぁ、それ弓道の時はどうしてるにこ?」

[海未]『......そりゃこのまま弓道してますよ。腕が出せるように穴開けましたし』

凛「あ、本当だ。いつの間にかなんかかっこいい穴が空いてるにゃ」

[海未]『ふふふ......。流石に弓道をお休みすることはできませんからね。ダンボールに穴を開けることなど痛くもかゆくもないです』

真姫「ならダンボールから出てきた方が色々とラクなんじゃないの? よく知らないけど」ペラッ

[海未]『真姫、それとこれとはまったくまったく別問題なのです......』

真姫「そう......。別に好きにすればいいんだけど、ソルゲ歌う時はそれ取りなさいよね」ペラッ

[海未]『......善処します』

凛「雑誌からまったく目を離さない友達いない歴ピー年JKとダンボール被ったJKの会話が見れるのはアイドル研究部だけにゃ」

にこ「私も何気に傷を負う言い方やめなさい、凛」


曲のラインナップからソルゲがいつの間にかなくなったのはこの頃からです
214: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:42:41.23 ID:2TTStWzC.net
[海未]ちゃんがダンボールを新調するため、薬局によるということなので、私はことりちゃんとその日は2人で帰りました


穂乃果「.....ダンボールに拘りがあるなんて知らなかったよ」

ことり「よくよく思えば『ムーニーマン』とか『マミーポコパンツ』とかって、オムツ関連のダンボールだったもんね」

穂乃果「オムツが好きなのか、それともダンボールの大きさがちょうどいいからなのか」

ことり「......幼馴染としては後者がいいけど」

穂乃果「......うん......[海未]ちゃんだからなぁ......」

私とことりちゃんはそのままため息を同時に着きました
きっとそんなことも知らないで、[海未]ちゃんは明日には新調したダンボールを私とことりちゃんに見せ場らかしてくるのだろうけど

幼馴染の謎の、よくわからない成長に私もことりちゃんも戸惑っていました
216: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:52:35.60 ID:2TTStWzC.net
ステージの上で、[海未]ちゃんの投げキッスは健在なんですが
ステージのある日に限って、海未ちゃんの顔あたりによくわからないキャラクターが印刷されているダンボールを被ってきます

なので、海未ちゃんが投げキッスをすると、[海未]ちゃんというか、そのよくわからないキャラクターに投げキッスされてる状態になっていて

撮影した動画をあとで見返してるととてもシュールです

でも、そのシーンをカットしたり踊ってる[海未]ちゃんにモザイクを入れることはとても可哀想なので(1回本当は試しにモザイク入りでPV作ったんだけど、花陽ちゃんが『こんなの可哀想だよぉぉおおおおお』って泣き叫んだのでやめました)
私たち、μ'sのPVはなんていうか、ダンボールが踊ってみた、みたいなPVになってます
217: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 21:59:31.16 ID:2TTStWzC.net
ある日、思い切って聞いてみました

穂乃果「ねぇ、なんでダンボール被ってるの?そろそろ穂乃果、海未ちゃんの顔が見たいよ」

思えば海未ちゃんの顔を見ずに過ごした3ヶ月間なんて生まれて初めてです

[海未]『......』ズズズッ

[海未]ちゃんはお茶をいい感じに慣れた手つきでダンボールの境目から中に入れて飲み、
しばらくのだんまりの後、穂乃果にいいました

[海未]『ちょっと考えたんです。これまでの私......』

穂乃果「う、うんっ!」

[海未]『......頑張り方が違ったかなって』ズズッ

穂乃果「うっ......ううん?」

私の、困った顔を見てか(というか、どうやって海未ちゃん外の世界の様子、見てるんだろう。ダンボールにお面みたいに穴空いてないんだよね、目のところ)

海未ちゃんは、あはは、と渇いた笑いを放って、シーンとその笑いが私と[海未]ちゃんの間を通り過ぎたあと言いました

[海未]『.....少し、疲れてしまったんです』
218: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:10:27.94 ID:2TTStWzC.net
私は[海未]ちゃんのその一言に、なんていうか全身が痺れてしまいました

「にゃ~」って凛ちゃんみたいに気の抜けた声を出しそうになったし

「わけわかんない」って真姫ちゃんみたいに髪の毛クルクルして目をそらしたくもなったし

「認められないわぁ」って絵里ちゃんみたいに[海未]ちゃんを全面的に否定したくなったし

「ちょっと待ってて」って花陽ちゃんみたいに言ってこのことを自分の中で考えるために時間の猶予を貰いたくなったし

「ニッコニッコ二ー」ってにこちゃんみたいに......うん、にこちゃんだし

「スピリチュアルやね」って希ちゃんみたいにのほほんと言って[海未]ちゃんのことをこのまま丸ごと受け入れてしまいたくなったし

「おねがぁい」ってことりちゃんみたいになんでも言うことを聞いてくれる優しい[海未]ちゃんにお願いをしてみたくもなった

でも、私は、
私は今の海未ちゃんに


「ファイトだよ」


っては、その一言だけは言えなくなってました
219: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:19:58.72 ID:2TTStWzC.net
[海未]ちゃんは続けました


[海未]『......なんというか、疲れてしまって。カラダに力がまったく入らないんです。
やる気が起きなくて。
でも毎朝朝練に行くために起きなくてはいけないですし、
皆勤賞とか狙ってるわけではないですが学校にも行かないと勉強が遅れてしまいますから』

[海未]『......身体、ダルいですけど、練習をサボってしまうとみなさんに迷惑がかかってしまいますからねぇ。
今休むわけにはいかないですし。
弓道も......ぁあ弓道は練習しないとすぐに結果に出てしまいますから、どうしてもサボれませんね。ダルいですが』

私の目の前のダンボール
220: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:23:06.34 ID:2TTStWzC.net
私の目の前のダンボールはそんな感じのことをいつも通りにハキハキと言いました

声に気だるさは感じられなくて、声を聞いてる限りではいつもの、海未ちゃんでした

めっちゃ元気そうでした
今にも穂乃果のことを怒ってきそうなくらいいつも通りの海未ちゃんの声でした

でも、ダンボールのせいで海未ちゃんがどんな表情でそれを言っているのかは私にはまったくわかりません

まったくわからない

あぁ、だから海未ちゃんはダンボールを被って[海未]ちゃんになっちゃったのか



それに気づくと、なんだか涙が止まらなくなりました
222: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:39:15.93 ID:2TTStWzC.net
[海未]『......穂乃果、どうしたんですかいきなり泣いて』

ズサッズサッとダンボール同士が擦れる音がして、[海未]ちゃんが私のすぐ近くに駆け寄ってくれました

こんな状態になっても海未ちゃんは本当、優しいです

穂乃果「うん、うん......海未ちゃん、ごめんね。本当にごめんね」

[海未]『ど、どうしたんですか......謝られている理由がわからないのですが......』

穂乃果「やっとどうして海未ちゃんがダンボール被ったのか、わかったからだよ。
ごめんね。私、自分のことしか考えてないから、海未ちゃんが優しいから、てっきりこれまで通りに海未ちゃんに甘えておけばスクールアイドルもなんとかなると思ってた......」

[海未]『......穂乃果に甘えられるなら、本望ですよ』

穂乃果「ううん。そんなことない。そんなことないよ、海未ちゃん。たとえ本当に甘えてくれて嬉しいとか思ってるかもしれないけど、心のどこかで海未ちゃんはそれをツライと思ってるんだよ」


[海未]『......そんなことは』

穂乃果「なら、今すぐダンボール脱いでみてよ、海未ちゃん」

[海未]『......』

[海未]『......』

[海未]『......』

穂乃果「......」

[海未]『......』

穂乃果「......」

そのまま部屋には私と海未ちゃんのすすり泣く音が聞こえるばかりでした

いつからだろう
海未ちゃんが私たちに頼れなくなったのは
いつからだろう
海未ちゃんの居心地の良い場所が私とことりちゃんではなくダンボールの中になってしまったのは

いつからだろう
いつからだろう
いつからだろう

穂乃果の言葉が、海未ちゃんを追い詰めていたのは
223: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/18(水) 22:51:16.27 ID:2TTStWzC.net
ある日、[海未]ちゃんに誘われました

[海未]『......うみを見に行きたいんですが、良かったら穂乃果、一緒に行ってくれませんか?』

穂乃果「一緒に? いいの?」

ダンボールを被っている理由がわかった日以来、私は[海未]ちゃんを受け入れるようにするよう努めました
スクールアイドルにせよ、弓道にせよ、学校にせよ、海未ちゃんが頑張らないといけないことは山ほどあります
[海未]ちゃんがいつか海未ちゃんに戻ってくれる日が来るのなら、
その時に[海未]ちゃんであったことが、海未ちゃんの負担にならないように

私は[海未]ちゃんを無理に海未ちゃんに戻すことを諦めました
ことりちゃんにも理由をいい、2人で[海未]ちゃんをサポートしていこうと約束をしました


そんな矢先に、私は[海未]ちゃんに、うみに誘われました

[海未]『もちろん......。穂乃果ならいいかなって』

穂乃果「ことりちゃんは?」

[海未]『......ことりとももちろん、今度ふたりでどこかに行きます』

[海未]『......でも、その前に穂乃果とうみに行きたいのです』

[海未]ちゃんの声はやっぱり元気で、どんな表情で言っているのかまったく私にはわかりません

穂乃果「......わかった、行こっか!! うみ!!!」

にっこりと笑ってくれたんでしょうか

でも、やっぱりダンボールのせいでわかりません

[海未]『ふふっ。よかった......なら、次の休みに。また連絡します』

そう言って、[海未]ちゃんは弓道部に顔を出しに行きました
224: 名無しで叶える物語(わたあめ)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 04:39:35.12 ID:c4D+J5q/.net
[海未]ちゃんとうみに行く日のは予想外にも早く来ました
というか、μ'sの練習も弓道部の練習も何もない日の授業と授業の間の休み時間に突然
(しかもことりちゃんがトイレに行ってていない時を見計らって)

[海未]『穂乃果......今日、うみ行きますよ』

と言われました

あ、休日じゃないんだ
ほ、放課後なんだ

すんなりとそう思ったのでそう伝えました

穂乃果「えっ。今日?確かに天気は晴れてるけど。てっきりお休みの時に行くのかと思ってたよ」

[海未]『......私も休日の方がいいのですけど。今日は私と穂乃果には何もなくて、でも、ことりは用事があるでしょう?』

穂乃果「う、うん。ことりちゃんは今日、にこちゃんと花陽ちゃんと衣装に使う布地を買いに行くって言ってたね」

[海未]『......えぇ、だからちょうどいいかな、と思いまして』

穂乃果「......そっか。なら、今日でいいよ」

[海未]『はい......それでは、また放課後に』

そう言って、[海未]ちゃんはズルズルと自分の席に戻っていきました

私たち3人の幼馴染のバランスの取り方はなんだか難しいというか
それが3人という奇数の仕方のないところなんだろうけど

少しでもお互いに仲間はずれな感じを持たせないように
裏でコソコソ努力と気配りをしている関係のような気がします

小学生の時は3人で何も考えずに遊んでいればそれだけでよかったのにな
中学生になってから、お互いにどうもそういうことに気が回るようになっちゃって
難しいよね、女の子同士って
225: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 04:50:58.25 ID:yfbxy9vO.net
放課後になって、にこちゃんと花陽ちゃんにことりちゃんを預けた後
私と[海未]ちゃんは黙々と駅までの道を歩きました

ダンボール姿の[海未]ちゃんはとても人目に付きます
歩いていると「あれなに?」「ダンボーの真似?」「隣にいるの高坂穂乃果じゃね?」とか聞こえますが
私も[海未]ちゃんもそういう反応にはもう慣れっこになっていた部分があったので
なんかそういう感じのPVでも撮ってるイメージをどうにか頭の中でこしらえてその場をやり過ごしました

こういうやっかみを言ってくる人たちは、ボソボソとつぶやくだけで
直接私たちに話しかけてくるようなことはしないので正直助かります

[海未]ちゃんのことを人に説明することは辛いから
[海未]ちゃんのことを人に説明するということは
私が、いかに海未ちゃんを追い詰めてしまったのか、を説明するということになるから

下を向き、自分の左右の足が入れ替わるのを見ながら歩いていると
不意に右手を掴まれて、ドキッとしました


[海未]『......穂乃果』

名前だけを呼び、海未ちゃんは弓道用に開けたかっこいい穴から腕を伸ばし
私の右手をギュッと掴んでくれていました

こんなことになっても海未ちゃんはやっぱり海未ちゃんのままで

私は恥ずかしいような責められているような、でも繋いでくれている手のぬくもりが嬉しいようなこそばゆいような気持ちに胸が満たされながら

そのまま手をつながれて、やっぱり黙々と駅までの道を歩きました
226: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 05:13:43.78 ID:yfbxy9vO.net
電車に乗って近場のうみに向かいました
ダンボール姿のままの[海未]ちゃんと隣同士で座席に座れるのかどうか不安だったけど
今日海未ちゃんが被っていたダンボールはどちらかといえば体積よりも運動性を重視したダンボールみたいで
普段の[海未]ちゃんよりも今日の[海未]ちゃんは横幅が狭かったため
2人で並んで座ってもさほど窮屈さを感じませんでした

普段の生活にはない揺れを体に感じながら
並んで座っている私と[海未]ちゃんは
まるで千と千尋の神隠しの映画の中で千尋と、そしてア、ア、ア、って言っている黒いキャラ(名前をど忘れしちゃった)のように見えているんじゃないかな、と思いました


ガタンガタンと電車が揺れるたび
電車の中の吊り広告がワンテンポ遅れてブラブラと揺れます

慣性の法則ってやつ

みんな自然とその法則に従って、その流れに身を任せてる
(もちろん生活の中で身を任せてる法則はそれ一つじゃないけど)

日常から少しはみ出してしまってて、どこかしらの不自然さに
はたから見ればチャンチャラおかしい馬鹿みたいな真面目さを持ち合わせてる

だけど、それが今の[海未]ちゃんで
そしてそれが今の私と海未ちゃんの自然な法則でした

ガタンガタンを数十分繰り返すと
次第に窓の外の景色が街が町になっていって
電車の中も人が少なくなってきました

駅のホームにたどり着くまでに何度か扉が開いてはしまってを繰り返して
その度に外の冷たい空気と中の温かい空気が入れ替わりました

私は寒くなるとダンボールから出ている海未ちゃんの左手を自分の右手で掴んで
温かくなると放すを繰り返しました

そういうものに頼らなければ、海未ちゃんに触れない

私は弱い
227: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 05:29:39.98 ID:yfbxy9vO.net
ようやく目的地のうみに着きました
というか、着いたらしいです

[海未]『穂乃果......起きてください、穂乃果』

私はいつの間にか眠っていたらしく
[海未]ちゃんにユサユサ体を揺さぶられてようやく目を覚ましました

穂乃果「はへぇ.....海未ちゃん......ここ......どこぉ......?」

[海未]『ちょっと寝ぼけられてると扉が閉まってしまうので......すみません、穂乃果』

穂乃果「んあぁ......!? 」

突然肩と膝にガッと[海未]ちゃんの両腕が触れたと思ったら、フワッと身体が浮きました

穂乃果「ちょ、ううううう海未ちゃん!?」

思わずジタバタと身体を動かして抵抗しました
まぁ、鍛えてる[海未]ちゃんの力に穂乃果が勝てるわけないんだけどね

[海未]『ほ、穂乃果!......う、うごかないでっ!』

そのままヒョイヒョイと電車から穂乃果を担いだまま[海未]ちゃんはホームに飛び降りました
その瞬間にプシューと背後で音がして扉が閉まってしまいました

ガタンガタンと電車が遠ざかります

その音が遠ざかるのを聞きながら
[海未]ちゃんから地面に下ろしてもらってホームのコンクリートの硬さとか、でこぼこを靴底の下に感じた時には
なんだか謎の恥ずかしさで頬が赤くなりました
幼馴染の女の子にされるお姫様だっこがこんなに恥ずかしいものだったなんて......


穂乃果「ご、ごめん。[海未]ちゃん......穂乃果、重かったよね?」

[海未]『......いえ、そんなことないです。穂乃果は軽いですよ。大丈夫。弓道の弓の方が重いくらいです』

弓道の弓の重さが私にはわからないので、そのフォローが穂乃果の中ではイマイチ、フォローになってはいなかったし
[海未]ちゃんがやっぱり普段通りの声の調子でそういうものだから
私はやっぱり悲しくなりました
228: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 05:49:31.32 ID:yfbxy9vO.net
ちなみに今更だけど、どうしてこれを「ですます」調で書いているかというと

あれです、これは海未ちゃんの真似

海未ちゃんの真似して書いてみたらなんか海未ちゃんの気持ちがこんな馬鹿な穂乃果にもちょっとはわかるのかなぁって思って
そういう感じです
(たまに「私」じゃなくて「穂乃果」って書いちゃってるけど、間違い直すのめんどくさいからそのままにしてる)

書いててちょっと思ったけど、というかテストの時とか結構思うんだけど
「穂乃果」って書き数多い
「海未」もそれなりに多いけど
「高坂穂乃果」と「園田海未」なら圧倒的に穂乃果の方が書くの面倒だよね

とか、考えてたら「南ことり」ってテストの時すごい楽じゃない?って思ったよ
「南」でちょっとなんか羊っぽいのごにゃって書いた後にひらがなで「ことり」でしょ
ことりちゃんが名前書き終わってる頃に穂乃果、多分まだ穂の字ぐらいなんじゃないかな
そう考えると「高坂穂乃果」って書いてるだけでタイムロス?ん?ロスタイム?
どっちでもいいけど、とにかく時間をなんだか無駄にしちゃってる気持ちになるよね


そういう風に普段無駄に無駄な時間重ねて過ごしている穂乃果だけど
ダンボール被った[海未]ちゃんとうみを見に来たことはこれっぽっちも無駄に無駄な時間を重ねて過ごしたなんて思ってないんです

これはこれで大切な時間なんだって
あれはあれで穂乃果と海未ちゃんには
それはそれで一種の加害者と一種の被害者には

なくてはならなかった時間なのではないなぁとか、なんとか後から意味を付け加えちゃったりなんかしてます

海未ちゃん、そこんとこ、オッケー?
オッケーじゃなくてもオッケーにしてね?
229: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 21:38:28.10 ID:yfbxy9vO.net
うみに着くと、季節のせいなのかその海岸にはだぁーーれもいませんでした

ザバザバと波が返しては寄せるっていう表現をよくされてるように動いていて、
所々には海水っぽいものが打ち上げられてたり、
夏の名残なのか、缶ジュースの空き缶とかが埋まってたり、
向こうの方では波の流れに合わせてよくわからない木の棒が浮いては沈んでを繰り返していました

穂乃果「うっわぁ。ひとっこひとりいないよ、海未ちゃん。干物とかも干してない。こんなうみみたの初めてかもっ」

[海未]『......冬のうみですからねぇ。私も初めてきましたが、これはなかなか』

ザッザッザッと[海未]ちゃんが砂の上を軽快に歩く音がします

穂乃果はそんな、砂の上とか走りなれてるマキバオーとかじゃないんで

穂乃果「おぉわっ!? ま、待ってよ海未ちゃん!! あるくの早いよ」

と言いながら、無様に必死に海未ちゃんについて行こうと跡を追いました
230: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 21:53:58.39 ID:yfbxy9vO.net
しばらく海未ちゃんが歩いていくのについていきました

耳には左側からザバザバとした音が響いていて、ちょっと心地よかったけど
冬の海風がコートを着ていてもその布の隙間から入り込んでくるようで
次第に肌がピリピリとしているような気がしました

海未ちゃんについていくので必死で、心臓の方はドクドクと脈をいつもより速めに打って
私の身体中に熱い血液を送り出しているみたいでした
耳が外気と体温の温度差でジンジンと痛み出し、手が寒さでチリチリと凍え始めたころ
ピタッと海未ちゃんが歩くのをやめて立ち止まりました

[海未]『穂乃果......ちょっと座って休憩でもしましょうか』

穂乃果「そ、そうだね。 穂乃果、ちょっと......てか、結構疲れたかも」

[海未]ちゃんがそのままストンと砂の上に腰を下ろしました
いつもなら、そういう風に制服、スカートでそういう風に砂の上に真っ先に座ったりするのは私で、
いつもの海未ちゃんなら、そんな私のことを

「こら、穂乃果。スカートで砂の上にそんな乱暴に座ってはダメですよ」

とか怒りそうなのに

その日は[海未]ちゃんが真っ先に座りました

穂乃果は何も言えず、[海未]ちゃんの横にオズオズと、できるだけスカートにシワがつかないように気をつけて座りました

[海未]『......』

穂乃果「.......」

[海未]『......夕日、おっきいですね』

穂乃果「だねぇ......」

私たちが座った真ん前ではちょうど
うみの水平線にまん丸で真っ赤な太陽が形を歪ませながら真っ黒なうみに沈んでいるところでした
231: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 23:19:42.76 ID:yfbxy9vO.net
ゆっくりとゆっくりとうみと接している太陽の下の部分がブニブニと歪んでいきます
うみは太陽の輝きすらその深くて冷たいうみの底に吸い込ませてしまっていて
沈んでしまった太陽はまるで腐った果実みたいに見えました

[海未]『......沈みますね、太陽』

穂乃果「うみに丸呑みにされちゃってるみたいだね......すごい」

[海未]『......えぇ、本当』

海未ちゃんが、すごい、とボソリとつぶやいて、それから箱のかっこいい箱から出した左手で穂乃果の右手をつかみました

その手は私の手より暖かく、その暖かさが凍てついた手の先を包み込んでギュっと温めてくれました
でも、その指先は湿っていて
そのことが余計に私の手よりも心を暖かくさせました

その時の穂乃果は[海未]ちゃんだって、まだこんなにきれいな夕日を見て、感動するんだ、ということにちょっとホッとしていたんです
何も言わなくても、きれいな景色を見たら自然と涙が流れてくる

そういう[海未]ちゃんに安心を感じていたのだと思います

2人でしばらくそうしていました
あんなに大きかった太陽は意外にもそれから5分も経たないうちに全てをブニブニにしてどす黒い色へと様変わりしたうみの中へと沈んでしまいました
232: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 23:31:20.49 ID:yfbxy9vO.net
穂乃果「太陽......完全に沈んじゃったね」

[海未]『......』

気づけば辺りは相当暗くなっていて、スカートの布越しに砂の冷たさが皮膚に伝わっていました

穂乃果「そろそろ帰ろっか。海未ちゃん。 帰りの電車......あるのかな、あはは......」

[海未]『......』

[海未]ちゃんは私が話しかけても何も返事を返してくれなくて、ただボーッと(恐らくはそのダンボールの下で)さっきまでの太陽があった辺りを見続けていました

身動き一つしない
いつの間にか私の指先を握ってくれている[海未]ちゃんの手に力が入っていなくて、私の指先を冬の海風が再び凍えさせていきます

[海未]『......』

穂乃果「えっと、う、うみちゃん? 大丈夫......? 具合でも悪くなった? その。そのダンボールの中ってもしかしてすっごく寒かったとか」

[海未]『......』

[海未]『......』

[海未]『......』

[海未]『......』

穂乃果「......あはは」

何も言わないうみちゃんに少し、恐怖すら感じて冬の寒さではないなにかが私の背筋を震わせました

落ち着こう、落ち着くんだ
とりあえず、今は何時なのか確認しないと

うみちゃんと手を繋いでいる方のコートのポケットに私はケータイを入れていたので
ケータイをとって時間を確認しようと
うみちゃんと繋いだ手を離してしまいました

その途端

うみちゃんが、ものすごいスピードでうみに駆け出しました
233: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 23:38:29.06 ID:yfbxy9vO.net
穂乃果「えっ!? ちょっと、う、うみちゃん!? ど、どしたの!? えっ!? ま、まってよ......。 まっ、待ってよ!?」

慌ててうみちゃんを追いかけます
が、砂浜はやっぱり走りづらくてマキバオーのようにうまくスピードに乗れません

その間にもうみちゃんはズイズイと砂浜を駆けていき、そのままうみに入って行きました

穂乃果「うみちゃん、うみちゃん!? いやだよ、やだよ!? なんでっ!? どうしてそんなことするの!! うみちゃん!? 止まって!? とまってよぉおおおお!!!」

こっちから見ると大きめのダンボールがズンズンと真っ黒なうみに垂直に進んでく画像ですけど
そんな画を目の前で繰り広げられて

私の心はもうパニックでした

なんでそんなことをするのか
さっきまでの安心感とか一体なんだったのか
なんでうみちゃんはうみに入って行ってるのか
なんで私といるときに
なんで私の目の前で

グルグルとそんな疑問が頭の中でとぐろを巻いて絡み合っていきます
234: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/20(金) 23:43:50.65 ID:yfbxy9vO.net
ようやく波打ち際にまで来て、少しだけ躊躇しました
ローファーの足先を試しに海水に浸してみます
ジンとすぐさま足先が凍るような冷たさに覆われました

穂乃果「ええっ、いや、ちょっとさぁもう!! 穂乃果冷え性なの知ってるでしょ!?うみちゃん!! 冷え性なの知ってるからそんなことするの!!? 穂乃果のこと、試してるのっ!? ねぇ、うみちゃんってばぁああああ!?」

[海未]『......』

ジャブジャブと海水がダンボールの側面に当たる音だけが響き渡っているだけでした


穂乃果「そ、そんなっ......ヒッ......こんな、つ、つ、冷たいのに入ったら......ひっく......ぐすっ」

穂乃果「うみちゃん......死んじゃうよぉぉおおおおお!!!!」


穂乃果「そんなの、いやだ......ひっく、......うみちゃん、うみちゃん、うみちゃんうみちゃんうみちゃん......うみちゃん!!!!」


[海未]『......』








穂乃果「うわぁああああああああああああああああああああんん!!!!!」
235: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 00:00:29.13 ID:PSti6keq.net
海水の冷たさだとか、今が冬だとか、これが制服だとか、替えの服持っていないとか、さっきケータイ砂浜に放り投げたままだとか、帰りの電車のことだとか

そんなことがシュンと頭の中から消え去って


気づいたら私は海の中をジャボシャボと泳いでうみちゃんに追いつき

そして、[海未]ちゃんの、そのダンボールにしがみついていました

穂乃果「海未ちゃん!! やめて!! 帰ろう!! 帰ろう!! やだよ!! こんなのいやだよ!! 海未ちゃんだって嫌でしょ!?」

穂乃果「ねぇ、謝るから、穂乃果、謝るから!!海未ちゃんが許してくれるまで謝るからさぁ!! 謝って済むことじゃないってわかってるけど、海未ちゃんのことずっと傷つけてきたってわかってるから、ねぇ、やめてよ!! こんなのやだよ!! 海未ちゃん!! 海未ちゃん!!」

[海未]『......穂乃果』

[海未]『すみません......でも、私はもう疲れてしまって、これしか綺麗に終われる方法が思いつかなくて』

[海未]『どうにかしようとしてダンボール被ったんですけど......それでももうどうにもできなくて』

[海未]『......すみません、穂乃果』


[海未]『......穂乃果は悪くないですから』

穂乃果「うぅ......ひぐっ......海未ちゃぁあん、そんなこと言われたって穂乃果全然嬉しくない! 救われないよ、そんな、そんな、うぅ......こんなになるまで頑張らせてごめんね!! でも、うぅ、......穂乃果はそれでも」

穂乃果「もう頑張れなんて言わないからぁあああ......もう、ファイトだよなんて無責任にいわないからぁぁあああ......う、う!海未ちゃんに、海未ちゃんに生きててほしいんだよぉおお......うぇぇえええん」


私の情けない叫び声が辺りに響き渡ってはジャブジャブと洗い流されて水面に消えました

もう身体に感覚はなくて、上と下の歯がガチガチと自分の意思とは裏腹に音を立てました

海水が染み込んだダンボールは重たく、そしてそのダンボールの重みと、
穂乃果をくっつけてでもまだ前に進もうと踏ん張りを効かせている海未ちゃんの力を
穂乃果の力だけではもう止められなくなっていました

私も足を踏ん張ってみようと思うけど
下のゴツゴツした岩面をローファーで思うこと捉えることができず、足に力がうまく入りません

[海未]『......穂乃果、もう離してください。あたなまで寒さで凍えてしまいます。もう、いいですから。私は大丈夫になりますから』

それを聞いて、穂乃果の中のなにかがバチンと音をたてて切れました


穂乃果「全然、よくないよぉ!! こんなの、よくないよぉ!! いい加減にしてよ海未ちゃん!!!!?」
236: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 00:16:55.01 ID:PSti6keq.net
[海未]『......ほ、穂乃果?』

穂乃果「ねぇ、綺麗に終われるって言ったけどそれならどうして穂乃果を連れてきたの?! ねぇ!! どうして!? 綺麗に終わりたいなら1人でひっそり来たなら確実だったんじゃないの!?」

[海未]『...そっ、それは......』

穂乃果「ねぇ、知ってる? 穂乃果の知ってる海未ちゃんは......穂乃果の大好きな海未ちゃんはいつだって最善でことが運べるようにがんばってるけど」

穂乃果「でもね! !土壇場のギリギリになってスカートの丈が短いからってジャージを用意して1人だけ逃げ道を作っておく、臆病者なんだよ!?」

[海未]『......穂乃果』

穂乃果「穂乃果の言いたいことわかるよね、海未ちゃん!! 今回の穂乃果はジャージ役だったんだ!! 」

穂乃果「海未ちゃんにとって、今回のこの計画から逃げ出す最後の奥の手が穂乃果なんでしょ!?」

穂乃果「だから、連れてきたんだよね......ひっく......穂乃果と一緒に......穂乃果をうみに誘ってくれたんだよね......あのまま、電車の中で穂乃果のこと置き去りにして1人でうみに来ても良かったのに
海未ちゃんはお姫様だっこまでして穂乃果とうみに来たがったんだもん」

[海未]『......』

穂乃果「これからのこととかよくわかんないよっ。......怖いよ......また海未ちゃんに重荷を背負わせて、追い詰めちゃうかもしれない......うぅ......嫌だけどさそういうこと、しちゃうかもしれない......ごめんね」

穂乃果「でも、穂乃果は、海未ちゃんが期待してくれた穂乃果の役割を......果たすよ......ぐすっ......」

[海未]『......』

穂乃果「うう、こうやって話ししてても全然前に進む力、抜いてくれないとか、もう海未ちゃん、穂乃果笑えてくるよ......あははは......もうさ、ファイトだよなんて言ってる場合じゃないね」

穂乃果「海未ちゃん、今回だけセリフ借りるね? ......ぐすっ」

[海未]『......セリフを借りるって?』

そう言って振り返ったダンボールの中心に向かって、私は右腕を目一杯めり込ませた




穂乃果「あなたは......最低です......だよ、海未ちゃん」

[海未]『......ッ...な、なるほど...』



グラッしてダンボールがもたれかかってきて、私はそれをギューっと抱きしめて離しはしなかった
237: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 00:50:13.67 ID:PSti6keq.net
気がつくと、真っ白い天井が目の前に広がって居ました

「ここは......一体......私は......」

よくわかりませんがどうやら私は助かったみたいです

ゆっくりと上半身だけを起こしてみました

右腕には点滴が繋がれていて
よく見てみると、薄い青い色の病院着みたいなものを着せられていました

頭のなかがモヤモヤとしていて、
目が明るさに慣れていないらしく
見ているようで見ていないような感じで
状況は把握できたのですがしばらくそのままボーッとしていました

すると、どれくらいの時間が経ったのでしょうか
ガチャっと音がして、いつもの見覚えのある顔をひょっこりと拝むことができました

目のピントが合い、それをことりだと認識する前にことりが飛びついてきました

ことり「よ、よかった......海未ちゃぁああああん」

海未「おわっ!? ちょ、ちょっと、こ、ことり!?」

ことり「もうあんなことしちゃダメなんだからねえっ!!! 穂乃果ちゃんも海未ちゃんも心中なんて......最低だよぉ、本当、本当によかった......助かってよかったよぉぉおおお」

海未「こ、ことり......心配かけてしまってすみません......」

ぎゅーっときつく抱きしめられて、身動きができない上半身への違和感

あぁ、私はダンボールを脱ぐことができたんだ

海未「ことりと、こうやって顔を合わせるのも久しぶりですね。すみません、本当に心配をおかけしてしまって」

ことり「ほっ、ほんとうだよぉ......うぇぇん。......穂乃果ちゃんと海未ちゃん......一緒に無くしちゃったらことり、どうしたらいいか......よかった......本当......本当によかった......」

ことりが抱きついてくる力がさらに強くなって、肩が涙と鼻水で湿っていきましたが
それはけして心地の悪いものではなく
むしろ、ジワジワと心に染み渡っていく暖かさを私の皮膚に伝えていました

海未「っと、ところでことり......穂乃果は......一体......」

私がそう訊ねると、ことりはグイッと私の肩を掴んでいた腕に力を入れ、私から離れました

そして

ことり「......あのね、驚かないで聞いて欲しいんだけど......実は......穂乃果ちゃん......は」

ことりの言い淀んだ感じから
もしかして穂乃果が私の身代わりになって死んだのではと一瞬にして不安になりました

冬の海、着ていたのはコートと制服だけ
いくら穂乃果でも......そもそも穂乃果は寒さにそこまで強くない......

海未「えっ、そ、そんな、穂乃果は......ことり......そんな......まさか」

その次の言葉をことりに投げつけようとした時、再びガチャっと病室の扉が開き

そして
238: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 00:58:29.22 ID:PSti6keq.net
扉の向こう側から、ダンボールが入ってきました

海未「えっ」

[穂乃果]『......やっほ! 海未ちゃん!! 元気になったみたいでよかったよー!!』

ことりに説明を求めるべく、目を合わせます

ことり「実は、海未ちゃんを引きずって海から出て、砂浜に落ちてたケータイ電話で穂乃果ちゃんが救急車呼んでね。2人とも一緒にこの病院に担ぎ込まれたんだけどその」

ことり「『海未ちゃんを追い詰めたのは私だから、私のせいだから』って今度は穂乃果ちゃんがダンボール被っちゃって」

海未「......なんと」



[穂乃果]『......あはは、海未ちゃん、ダンボールって結構快適だねぇ~!』いぇーい

[穂乃果]『......というか、助かってよかったよ、ほんと、あはは。あそこで死なれたら穂乃果、ほんと、ダンボール被るどころじゃすまなかったかも』いぇーい

海未「あはは......」

私の目の前でピースをし、いぇーいと言いながら、普段の口調でなにやら絶望的なことを言う、ダンボールが目の前に1つ

今度は穂乃果をダンボールから出すために、なにやらしばらく果ての戦いが続きそうな予感を私は感じずには入られませんでした
239: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/21(土) 01:00:13.07 ID:PSti6keq.net
ことり「最後は私かもしれないよっ?」ちゅん

[穂乃果]『......ありえそうで怖いね』

海未「......はい」


箱の中のうみ おわり
246: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 14:08:11.56 ID:iuWPwBfX.net
絶対にウソをつかないと信じられているこの矢澤にこにーが小泉花陽ちゃんに炊飯器を手渡して

にこ「開けてごらんなさい、花陽。あると思ってなかった新米が入っているわよ」

と言いました。

花陽ちゃんはしばらくの間、この炊飯器の中には本当に新米が入っているのかどうかわからなくて困り果ててしまいました。

そこに凛ちゃんが現れて

凛「かよちん! そろそろ真姫ちゃんの家にランチ食べに行くにゃー。もう行かないと約束の時間に遅れるにゃー」

と花陽ちゃんに言いました。

花陽ちゃんは

花陽「そうだった!! にこちゃんこれ返すねっ!! 行こっ!! 凛ちゃん!!」

と、にこちゃんに炊飯器を戻して凛ちゃんと真姫ちゃんの家にランチを食べに行きました

その花陽ちゃんの背中ににこちゃんは叫びました

にこ「......ちょ、ちょっと!? 花陽!! この中に新米があるかどうか気になんないのっ!?」

走りながら振り返る花陽ちゃん

花陽「うん!! 気になんないっ!!」

いい笑顔でした
247: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/23(月) 14:09:03.08 ID:iuWPwBfX.net
仕方がないので矢澤にこにーも炊飯器を持って真姫ちゃんの家にランチを食べに行くことにしました

論よりランチ おわり
249: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 11:25:42.82 ID:wM4Tf/It.net
真姫「......」

花陽「......」

凛「......」



真姫「いっせーのーで」

真姫「にっ!」スッ

凛「......ふふふ」スッ

花陽「へへ......」スッ

真姫「くっ......」
250: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 11:27:03.47 ID:wM4Tf/It.net
真姫「......」

花陽「......」

凛「......」



花陽「いっせーのーで」

花陽「よんっ!」スッ

凛「......」

真姫「.....足りないわね」フフッ

花陽「うう......」
251: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 11:28:43.88 ID:wM4Tf/It.net
真姫「......」

花陽「......」

凛「......」



凛「いっせーのーで」




凛「ひゃくっ!」スッ



真姫「......」

花陽「......」




真姫「ちょ、ちょっと、待って......んふふ、り、凛......ふふっ」クスクス

花陽「ひゃ、ひゃくって......」クスクス 👀
252: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/26(木) 11:31:37.16 ID:wM4Tf/It.net
凛「あ、多すぎたにゃー」テヘヘ


クスクス

リンチャン オカシ-

クスクス

チョット ハリキリスギタニャ-

クスクス

マキチャン ワライスギニャ-

ゴ、ゴメッ ツボッタワ


まきぱなりん おわり
256: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 20:45:34.81 ID:dX7thYO2.net
私には1人娘がいる。
高校生にもなって未だにサンタクロースを信じている娘で、
てっきり中学生には私のサンタクロースもお役目御免となるものであるかと思っていたのだが、
彼女は私の想像よりも遥かに純粋に育ってくれたらしい。

娘とは言ったものの私は自分の職業がてら、
彼女とはあまり顔も会話もあまり交わす機会を持つことができるような生活を送ってこなかった。
父親面をする資格がないような生活を送ってきている。
もちろん、その資格と引き換えに金に不自由になるような暮らしをさせていないことが唯一の救いだ。

私が起きる頃に彼女は寝ており、私が寝る頃に彼女が起きている。
そのような時間を過ごすことしかできなかった。

いつの間にか彼女は寝返りをうち、その二本の足で立ち上がり、言葉を発し、会話をし始めていた。

私がそれを知るのはいつも夜遅くに帰った私を寝ずに待っていてくれる妻からのその日の出来事の報告によってであった。

それでもたまに取れた休みに娘と過ごすことは私にとってささやかな幸せであった。
普段学会や手術により、摩耗された私の神経をこうも癒してくれるものがこの世に存在するものか、と私は娘の髪を撫でる度、娘と手を繋ぐ度、その安らかな寝顔を見る度に思ったものである。

時の流れは早いもので、私の膝下ぐらいしかなかった娘の背丈は、気づけば私の肩ほどにまで伸びていた。
257: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 20:46:16.13 ID:dX7thYO2.net
そのことに気づいた時にふと思い出したのは、遠い昔、小学生の頃の夏休みに育てた朝顔のことであった。
毎日朝早くに水をやり、毎日その姿を拝んで成長をこの目に映していたはずなのに、
ある時はっと気がつくと朝顔はそのツタを伸ばしに伸ばしに、私の背丈ほどになっていた。

毎日何気なく見ているものほど、その変化は捉えにくいものなのだろうか。

娘は元気をその身体に持て余した女の子から、思春期特有の陰鬱とした雰囲気を纏った気難しい少女に変わっていた。

中学生の彼女を支えていたものは一体何だったのだろう。
その頃には彼女の母親である私の妻も職場に復帰し、彼女は家に1人でいることが多くなっていた。
妻が時折「最近あの子が何を考えているのかわからないの」と私に言う回数が増えるようになっていった。
しかし、私は妻以上に彼女との接点を持つことが少なくなっていたのだ。
そんな私に、彼女の一体何が理解できるというのだろうか。
朝、たまに食事の席で顔を合わせることがあったが、私は彼女がいつからブラックコーヒーを飲めるようになったのかすらわからない。
父親、という役割に全ての責任を押し付けるわけではないが、
どうしてこう、父親というものは、その、娘と上手く生きていくことができない人生設定を背負わされているのだろう。

夜中にこっそりと娘の部屋に入り、寝顔を見る。
窓から差し込む月明かりにだけ照らされたその寝顔は私の記憶の中の彼女の幼さを確かに残していて、頭を撫でるとその柔らかさに私の方が慰められるのだった。


中学生になった彼女はピアノを弾くことが多くなった。

幼少の頃から、何かと習い事はさせていたのだが、そこに彼女の意思はない。
私と妻とでほぼ押し付けのように習わせてしまったそれのなかで、彼女が唯一、自分の意思で続けていたもの、それが音楽だった。

夜帰宅すると、娘の姿は見えなくてもピアノの音がかすかに家の中に響いている。
私は日毎に変わる演奏曲に耳をすませながら、彼女の心情を想像することを日常のようにした。

物悲しい曲調の曲を弾いている時、やたらと軽快な曲を弾いている時、まるで自分自身を虐めているようなほどアップテンポな曲調の時。

私とは異なった個体が、しかしそれでいて私と血の繋がっているそれが、患者とはまた違った側面で私の興味関心をひいていた。
258: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 20:46:57.45 ID:dX7thYO2.net
私と娘の数少ない接点の中で特に重要なものがクリスマスであった。

幼い頃から娘はサンタクロースの存在を信じてやまず、それなのにサンタクロースに欲しいものをリクエストするようなことはなかった。
娘に「サンタクロースに何を欲しいか伝えてあげるから教えてくれ」と言っても
娘は「サンタクロースさんがくれるものならなんでもいい」と欲のないことを言って私を困らせた。

私は若い研修医にサンタクロースの衣装を買ってきてもらったり、今の子供の流行りのおもちゃなどを聞いたりして、なんとか娘へのプレゼントを用意した。

朝、目覚めて靴下の中を確認し歓喜の悲鳴をあげる娘の姿は、私にとって最高のプレゼントだった。

しかし、さすがに娘の成長とともに私も娘の好みにあったプレゼントを用意することが難しくなっていき、
私は娘に「サンタクロースにプレゼントして欲しいものを手紙で書いて知らせてあげよう」と伝えた。

娘はその年からサンタクロースに手紙を書くようになり、娘の希望に沿ったプレゼントを用意することはとても楽になったのだが、やはり、娘の好みをあれこれ思索して自分で選んだプレゼントを娘に用意していた頃もそれはそれで私は楽しかったと今なら思う。


娘は誕生日に友達を家に招くということがなかった。
春の生まれだし、確かに考えてみると出会いと別れの最中、他人の誕生日を祝う余裕というものは学生にはないものだ。

私は彼女の生まれた日に病室から見た桜の花びらの散る美しい光景に惚れ惚れしたものだが、4月という生まれは彼女にとって、苦痛でしかなかったかもしれない。

娘はもしかしたら友達がいないのではないか、と思っていたのだが
娘が高校生になり、それは杞憂であるということがわかった。

彼女の雰囲気が変わったのは彼女の16回目の誕生日が終わる頃だったろうか。
259: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 20:47:25.53 ID:dX7thYO2.net
娘にはいつの間にやら大切な仲間がいて、他の何とも掛け替えも引き換えもできない時間を過ごせているらしい。

私が帰宅すると聴こえてくる曲が知らないものであることが増えていった。
しかも、それまでのクラシックではなくなにやら明るいポップな曲が多い。
彼女のはなうたもかすかに聴こえてくることが増えた。

私の娘は私の知らないところで、大切な何かを学んでいる。
いつもそういう風に世界はできている。
親の目の届かないところでこそ、子は育つのだ。
世の中は正しいことばかりではない。
むしろ、目を背けたくなることのほうが多い。
闇に捕らわれ自身を見失い人生を狂わせたものを私は何人も見てきている。

しかし、彼女とともにそれでも明るい道を進んでくれる友がいるのなら、
それは父親として、とても幸せなことではないか、と私は娘の煎れてくれた苦いコーヒーを啜り、彼女のピアノとはなうたを聴きながらそっと思うのである。

ただ、そろそろサンタクロースのことを誰か娘に教えてやってくれないか、と密かに思っている。
260: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/02/27(金) 20:47:46.00 ID:dX7thYO2.net
他人にとってどんなに美しく育とうと、どんなに素直ではない性格であろうと、

彼女に真実を伝えられないほどには、私にとってまだ彼女は十分に幼くかわいい娘であるのだ。


娘のはなうた おわり
266: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 22:20:47.78 ID:VcAAauUK.net
中学2年生の夏休みのなんでもない日ふらっといつものように穂乃果が家に泊まりに来た。

穂乃果はいつものような雰囲気で何にも変わりがなく見えた。

いつものように夕食の席で私の母と父と楽しげに会話を交わして場を盛り上げ、
私はそれを微笑ましく見ていた。

穂乃果が家に来るときはいつも、そういう何気無い風景を見るのが好きだった。
まるでTVの中のドラマのワンシーンを見ているような気分になれる。

暖かくて、目に見えるはずはないのに家族の信頼がまるで電灯の灯りの下でカーテンのように天井からぶら下がっているように思えた。
確かに自分もそのカーテンの中に入っているにはいるのだけど、
主役は穂乃果で。
主役は穂乃果がよくて。
私は楽しそうにしゃべっている穂乃果を見ているのがやはり気持ちがよかったから。


一緒にお風呂に入って、お風呂上がりには穂乃果を見習って普段の自分ならしないようなグダッとしただらしのない格好で冷たい床に寝そべったりとかもした。

穂乃果といると楽しい。
自分の知らなかった自分をどんどん発見できる。
穂乃果を見ていると優しい気持ちを抱く。
穂乃果が私の中にいる知らない私を引っ張り出してくれるのか、
それとも穂乃果が、素直に出せない私のコンクリートのようにカチカチになってしまった胸の中の何かに働きかけてフルーチェみたくヤワヤワに柔らかくしてしまうのか、
私にはわからない。

でも、原因も手段も方法もわからなくても、
穂乃果といると楽しいことは私の中で揺らがない。
267: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 22:22:37.01 ID:VcAAauUK.net
夜眠るときは一緒の布団で眠る。

一応穂乃果の分の布団をベッドの横に並べて敷くけど、穂乃果は寂しがって
私の布団に入ってくる。

豆電球のほのかな灯りの下で、
部屋中の全てのものが薄暗いオレンジに染まって、穂乃果みたいな温かみを持つ。

夏のうっとおしい、じとっとした湿気の中に穂乃果の匂いがかすかに混じって、
息を吸うと、私を満たそうとしてくる。

一緒の布団に入ると私は少しドキドキとして、穂乃果のことを直視できない。
でも、そんなことを思うことがとても穂乃果に対して悪いことのように思えて、
私はいつもの自分を思い出しながらなんでもないように穂乃果と穂乃果が言い出すなんでもないことを話す。

仄暗いオレンジの中で穂乃果がクスクスと笑うと私はにやけてしまいそうになる反面、
何故だかものすごく穂乃果のことが愛しくなって、穂乃果のことをものすごく抱きしめたくなって、
穂乃果と一緒にいるこの瞬間がたまらなく憎らしくなる。

そばにいるのに
手を触ったら、抱きしめたら
穂乃果を傷つけてしまいそうで
穂乃果を傷つけてしまったことで
私自身も傷つけてしまうことで
そうなることでこの空間も、
あの夕食のひと時も
母と父の笑い声も笑顔も無くなってしまうのが嫌で
何より穂乃果に嫌われたくなくて
でも、抱きしめたくて
そのやり方がわからなくて
私はついつい穂乃果に背を向けて
寝返りを打つようにして
穂乃果から遠ざかる。

そうすると、穂乃果は
私の名前を呼んで
ふざけて戯れて私の中背中に抱きついてくる。


振り返りたくて
その温もりを抱きしめたくて
振り返りたくてたまらなくなる。

でも、私は振り返れなくて

今日もまた寝たふりをしてしまう。
268: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 22:24:00.89 ID:VcAAauUK.net
暑苦しさに目をさますと
やけに明るく思えてしまうオレンジ色の中で
寝たふりがいつの間にか本当になっていて
手の甲で額の汗を拭いながら
隣で寝息を立てている穂乃果の頭が
胸のすぐ近くにあって
穂乃果の顔が驚いて心拍数が一気にあがる。


手のひらに、身体全体に
夏の暑さのせいにはできない汗をかき始めて
嫌な気分に追い詰められる。


穂乃果が寝ていることを確認して
できれば起きてこの行動を止めて欲しくて
でもこの心臓の音の大きさを聞かれたくないから
やっぱり寝ていて欲しくて
それでもこの思いに気づいて欲しくて


恐る恐る穂乃果の背中に手を回す
触れるか触れない程度で手が震えてしまう
そこで一旦止めて穂乃果の、寝息が、私のパジャマの、胸の辺りを揺らしていることを確認してから

ぐっと自分の方に穂乃果を引き寄せた。

穂乃果は、ううん、と声をあげて
私は恐怖で震え上がりそうになった
でも、緊張で穂乃果を抱きしめる手を、腕を動かせない。

穂乃果はムニャムニャとした後にまたすぴーと寝息を立て始めて

私は、明日の朝、穂乃果になんて言い訳をしようかな、とかそういう卑怯なことを考えながら

穂乃果を抱きしめる手を離せないで
眠って起きたら
本当になっていればいいのに
と、思いながら

私がこんな風になってしまうのは全部、やっぱり穂乃果のせいだと、
私の知らない私を穂乃果が引っ張り出しているせいで、
私の押しつぶしている気持ちを柔らかくして表面まで持ち上げてきてしまう穂乃果のせいなんだと

そう、つぶやいて、目を瞑る。
269: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 22:25:58.53 ID:VcAAauUK.net
目蓋の裏側は薄暗いオレンジで、
私のこんなところまで穂乃果なんだ、と呆れながら、それもそうだ

そうでなければ、私ではない

となんだか納得してまた眠りについた。


本当になる おわり
271: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:25:16.78 ID:GUwtvrn2.net
絵里「海未聞いて聞いてー!」

海未「聞くので後ろからぎゅーしてください」

ぎゅー

絵里「昨日チョコを買ったのだけど、タダでさらにもう一つチョコを貰えたのー!」ほらこれ

海未「ほぉー。よかったじゃないですか。あの、もっとゆったりと包みこむような感じで」

絵里「こう?」

海未「です」
272: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:25:45.79 ID:GUwtvrn2.net
絵里「なんだか一鳥二石な気分になったわ」

海未「一石二鳥、でしょう。鳥、転んで石割れてるじゃないですか。あとその場に私もいましたから。てか、手繋いでましたから」

絵里「そう?」

海未「です」

絵里「海未といることがが日常になっていてすっかり忘れていたわ」

海未「ふ、ふーんっ」
273: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:26:16.15 ID:GUwtvrn2.net
海未「あの、もっとさりげなく私を抱きしめてください。
いつも絵里はあざといんですよね。
私がμ'sのメンバーの前でどれだけ恥ずかしいのかわかっていないでしょ、絵里は」

絵里「海未ちゃん厳しい......。そんなこと言われてエリチカ悲しい」ぐすん

海未「......でも初めて会った時よりはハグ上手くなったじゃないですか」

絵里「流石にほぼ毎日ハグの仕方でダメだしされたら上手くもなるわよ......」

海未「そう?」

絵里「です」
274: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:26:42.87 ID:GUwtvrn2.net
絵里「それはそうとして......たまには海未から抱きしめてほしいなぁー。なんて」ぼそっ

海未「......」くるっ

絵里「ふぇっ」どきっ

ぎゅー

海未「こう?」

絵里「......です///」

海未「......」

絵里「......」

海未「慣れないことはするものではないですね////」かぁぁ

絵里「そんなことないわよ。私は嬉しいわ」なでなで

海未「うぅぅ......///」ぎゅー
275: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:27:14.74 ID:GUwtvrn2.net
ぐらっ

絵里「ほへっ」

どさっ

絵里「あたたた......ちょっと、海未、抱きつきすぎよ。後ろ倒れちゃ」

ちゅ

絵里「......」

海未「......1ハグ1キスです」

絵里「......」

ちゅ
276: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:27:42.92 ID:GUwtvrn2.net
海未「......」

海未「1ハグ2キスですか」

絵里「さっきの私のハグの分、お返しよ」えへへ

海未「......」

ぎゅー

絵里「海未?」

海未「これだと何回分くらいでしょうか......」

絵里「......海未そういうのどこで覚えてくるの?」

海未「えっ......覚え......?」

絵里(......この無自覚タラシめ)

海未「えっと......その......絵里。明日は休みなので久しぶりに......」

絵里「あら、やけに素直ね」なでなで

海未「今日は手加減できそうにないので......すいません」ぐいっ

絵里「私は、その方が嬉しいわ」

海未「なら、......良かったです」
277: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/03/03(火) 19:28:28.84 ID:GUwtvrn2.net
絵里「海未がこんなにムッツリだったとは......んっ...」

海未「......絵里にだけ、ですよ」

絵里「そう?」

海未「です」




絵里「そう?」 海未「です」おわり
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