穂乃果「ちっぽけな夢」『SS』

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1: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:01:42.00 ID:8t5ztELj.net
また上司に怒られた。
悪いのはわかってるけど、頭ごなし過ぎて、逆にこっちが頭に来る。

でも悪いのは、ミスをしてしまった私。

穂乃果「す、すみません!」

だから、謝る。

元スレ: 穂乃果「ちっぽけな夢」『SS』

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2: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:02:08.36 ID:8t5ztELj.net
今日も残業。
それから帰る。

穂乃果「はあ……」

肩が痛い、なんてことは、もう当たり前になってしまった。
もともと、今までパソコンにこれだけの時間、向かい合うということがなかったからなのもあるだろうけど。

穂乃果「……コンビニで…いや、今日くらい何か作って食べよう……」
3: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:02:30.23 ID:8t5ztELj.net
残業をしてきたとはいえ、いつもよりは早く帰れている。

普段はコンビニのお弁当やお惣菜を適当に買ってテキトーに食べて……。そんな日々だ。

これはいけないと思い、疲れていても、時間があるならば、なるべく自分でつくるようにしているんだ。

穂乃果「……冷蔵庫に何かあったっけ」

まあ、最悪の場合は。
卵かけご飯だ。
4: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:03:13.33 ID:8t5ztELj.net
アパート(なんとお隣には凛ちゃんがいた。高校で体育の先生やっているんだと)に帰ると、疲れがどっと、押しつぶさんとばかりに、溢れる。

穂乃果「うぁあ〜……お風呂……」

シャワーだ。ちなみにトイレと一緒の
5: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:03:38.08 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「ふう……」

一日のリフレッシュが出来る時間。
大事だ。こういう時間は、本当に。

シャワーを終えて、私はとりあえず冷蔵庫をあけて適当に材料を取り出し、料理をはじめる。

穂乃果「……」

一人分を作るのは、ちょっと面倒なのと同時に。
ちょっと寂しい。
6: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:04:04.75 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「……いただきます」

何も返ってこない。
そりゃそうだ。

穂乃果「……」モグモグ

最近は面白いテレビ番組もない。学生の頃は、面白いと感じていたものが、何一つ面白く感じない。

面白く感じる、余裕がないのなもしれない。
7: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:04:29.89 ID:8t5ztELj.net
明日は久しぶりの休日。
どこかに行こうかとも思うが、なんだかだるく思ってしまう。

穂乃果「……なんだかなー」カシャカシャ

食器を洗う時も、考えてはみたけれど、やっぱり面倒だ。
休んでおきたいのた。
8: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:05:02.42 ID:8t5ztELj.net
食器を洗い終えて、やる事がなくなる。
趣味がないのも、考えものだね。
私は携帯電話の電源をつけて、LINEを開く。

『あの頃』つくった、μ'sのグループには、新しい発言は来ていなかった。

穂乃果「……」

μ'sをおしまいにして。
言ってしまえば、スクールアイドルでもなんでもない学生に戻って。それはそれで、放課後の練習がなくなったから、みんなで遊ぶ時間は増えた。けど。
9: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:05:31.74 ID:8t5ztELj.net
何かを追うような、必死になれるものは、無くなっていた。
絵里ちゃん達三年生とは、会う機会が少しずつ減ったけれど、たまに遊びにも行っている。

でも、本当に減った。
毎日のように会っていたのに。
10: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:06:02.97 ID:8t5ztELj.net
と、そう思っていると、インターホンが鳴った。

穂乃果「ん……はーい」ガチャッ

凛「やっほ」

凛ちゃんだった……凛ちゃんは最近、髪をほんのすこしだけ伸ばしている。高校で生徒に『先生、ポニテとか似合うんじゃないんですか?』と言われ、試しにやってみたら、評判が良すぎて引くレベルだったらしい。

やめるとブーイングが来て授業が出来なくなるらしいので今じゃポニーテールがオーソドックスになっている。とのこと。

22歳、って若さもあるから、人気なんだろうね。
11: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:06:35.85 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「凛ちゃん、どうしたの?」

凛「ん、いやね、実は明日、久しぶりにみんなで集まりたいなー、って思って」

穂乃果「……!」

凛「どうかな? 」

穂乃果「いいね、いいと思う!」

疲れてるのに。
その日一番元気になった瞬間だった。
12: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:07:18.29 ID:8t5ztELj.net
ーーー

海未「……集まるのも、久しぶりですね」

海未ちゃんは凛ちゃんと逆に、髪を切っていた。ショートカット、ショートカット。

みんな忙しいけれど、偶然、奇跡的、ラッキー、そんないろいろな何かが混ざって今日集まれた。

ことり「せっかくの休日なんだし、楽しもう。……発案してくれた凛ちゃんに感謝だね!」

凛ちゃんも先生になって、まとめる事が増えたからか、そういう事に慣れているのかな。

絵里「……お待たせ、ごめんごめん、遅れちゃって」

穂乃果「ううん、大丈夫大丈夫」

希「ほな、これで全員やね」

9人……と、いいたいけど。

花陽「……真姫ちゃんとにこちゃんは…」

凛「真姫ちゃんは無理だったー、流石に医者の卵、ほいほい休みますって言って出てこれないってさ」

穂乃果「まあしょうがないよ……今度、誘おう」

医者の卵。
病院をつぐため、真姫ちゃんは、たぶん、わたし達の中で一番奮闘してる。
この前、よほど疲れていたのか、すれ違っても気づかれなかった。
13: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:10:21.00 ID:8t5ztELj.net
そして、にこちゃん。

『待望の2ndシングル、8月3日発売!予約受付中……』

穂乃果「……」

絵里「高いところに、行ったわね、にこは」

……にこちゃんの姿だけは、ほぼ毎日見ている。テレビで。
最初はずたぼろに落とされたらしい。でも、あのにこちゃんだ。諦めなかった。
なにより、年齢的にどうかと思われるかもしれないけど、にこちゃんはあのとおり、童顔でちっちゃいから。

その結果がこれなんだから、すごいと思う……。

穂乃果「……」

ことり「……?穂乃果ちゃん?」

穂乃果「え……あ、ううん、なんでもない。……行こっか」
14: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:11:22.02 ID:8t5ztELj.net
苦悩に塗れて、何かを手に入れることを、にこちゃんは成し遂げた。

ずっと、あの部室を守ってきたにこちゃん。一人で。……でも、今は、『プロの』アイドルとして、ユニットのメンバーとも仲良くやっている……私達も、それを喜んだ。良かったね、って心から思った。けど。

『μ'sを捨てたのか、にこにー』
『結局他のメンバーなんて誰でもいいんだ』

……そんな声もある。
15: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:11:44.41 ID:8t5ztELj.net
あの場所に立っているのは、にこちゃんの強さだと思う。

にこ『こんな程度で嫌になるならアイドルになんかならないわよ』

その強さは、どこから出てくるの。
私には、ないものだ。
そして、欲しいものだ。
16: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:13:24.96 ID:8t5ztELj.net
みんなどうして、どうやって、道を目指すの。
決められない。決められなかったから、今、こうして特に好きでもない、面白くもない、お金を貰うためだけの仕事して。

穂乃果「……」

いけない……こんな時にまで……。
今は、楽しい時間なんだ。
17: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:13:45.83 ID:8t5ztELj.net
――久しぶりの外出はそれなりに楽しかったと思えた。

面白い事もあったし、たくさん笑った。絵里ちゃんはドジっ子なんだから。
希ちゃんは途中で、家でやる仕事の残りを終わらせるために、一足先に帰る。

希「またね」

そう言って希ちゃんは駅に向かった。
18: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:15:28.18 ID:8t5ztELj.net
希ちゃんは学生の頃から変わらず、一人暮らし……と、思っていたけど、今は絵里ちゃんと一緒に生活しているらしい。

絵里「新鮮な気分よ」

絵里ちゃんはそういう。
帰る場所も同じ、というのは、そういう気分になるのかな?
私も言ってしまえば凛ちゃんとは帰る場所は同じだけど。

ーーー

そしてそろそろ日も落ちきって、明日の事を考えないといけない頃。

海未「……では、そろそろ解散ですかね」

海未ちゃんのその言葉で、今日はお開きとなった。
19: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:15:50.60 ID:8t5ztELj.net
私は家に帰る途中で、凛ちゃんとスーパーに向かう。…少し遅かったけど、まだ開いてて助かった。
そして、今は凛ちゃんと一緒に食べるご飯の材料を買いに来ている。

凛「……何にするの?」

穂乃果「うーん、そうだね、お肉と野菜炒めて……サラダとか」

穂乃果「……あ、豚肉やっすい。買お」
20: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:17:23.70 ID:8t5ztELj.net
『ーーーー円です』

穂乃果「……あ、凛ちゃん。12円貸して」

凛「はいはい」チャリン

穂乃果「ありがと」

〜〜〜

一人暮らしを始めてから自炊ができるようになった。
最初はひどかったけど、失敗しながらどうすればいいのかを覚えていった。それは凛ちゃんも同じようだった。

学生の頃は、全部お母さんがしてくれていたから。
21: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:17:49.18 ID:8t5ztELj.net
穂乃果/凛「いただきます」

穂乃果「……ところで凛ちゃん。高校の先生ってのは、最近どんな調子?」

凛「ん……そだね」モグモグ

凛「やっぱりみんなヤンチャだね。なかなか言うこと聞いてくれない」

穂乃果「そっか……」

凛「……22歳で、本当、免許とって即教員になれたのは嬉しかったちゃあ嬉しかったけど……年の差がね」

穂乃果「体育教師って最低何歳からなれるの?」

凛「22歳」
22: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:18:18.68 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「ほへー……」

つまり凛ちゃんは本当に、すぐに体育教師になった、って事か。

穂乃果「すごいね、凛ちゃん」

凛「これからだよ。…まずは舐められすぎないようにしないと……あくまで『教師』と『生徒』なんだから」

凛「踏み込んではいけない部分があるし、踏み込ませちゃいけない部分があるんだから」

穂乃果「……うん」
23: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:18:48.16 ID:8t5ztELj.net
凛「――教師になって分かった事があってね、まず私達……あ、名前呼びはもうやめたんだ。さすがにね。……それで、まずね、『高校生は全然大人なんかじゃない事』。大人として、見てわかった。やっぱりちゃんと、ここで軌道修正してあげないといえないんだ。教師が」

穂乃果「……凛ちゃん」

凛「ん?」

穂乃果「……大人に、なったね」
24: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:20:31.45 ID:8t5ztELj.net
凛「……そうかな」

穂乃果「うん。なにより、ちゃんとやりたい事を、達成出来てて、すごいと思うよ」

……私も早く、見つけたいな。

穂乃果「……凛ちゃん」

凛「ん」

穂乃果「……これ、美味しいね」

……迷う暇は、ない、か。

〜〜〜

穂乃果「おはようございます!」

出社。
……そうだ、グダグダ悩むのも、私らしくもない。
いつだって、あの頃は、いつだって…………。



あの頃は、どんな事だって……。
25: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:21:03.49 ID:8t5ztELj.net
『どんな事だって乗り越えられる!!』

穂乃果「…………」

今の私は……乗り越えられる?

穂乃果「……」

そうだ……。
超えられないなら……壊せばいい。
どれだけ高い壁でも……超えられなくても……壊す事は出来る。壁は壊せるものだ。

穂乃果「なんちって」

本来、壁って、そういうものじゃない?
26: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:22:10.81 ID:8t5ztELj.net
ーーーー

穂乃果「……」

今日は夕方に退社できた。
……いつもより早いから、帰って、何かが出来る時間ができた。

……趣味、水泳とシール集め。
……。

穂乃果「……帰ろう」

何か始めようともがいても、もがいた労力で挫ける。

馬鹿みたい。
27: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:22:36.34 ID:8t5ztELj.net
その、馬鹿みたいな行動力は、どこに行っちゃったんだろう。いつも私が持っていた、それは、どこに……。

いつの間に、なくしてしまったんだろう。

穂乃果「……」

立場ってものがあるから。
後先を考えないといけなくなった。
そう考える度に思うんだ。


私はわたしをどこに置いてきちゃったんだろう。
28: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:23:03.69 ID:8t5ztELj.net
ーーー

海未「穂乃果は穂乃果ですよ」

海未ちゃんはそう言うけれど、私はそう思えない。

海未「……根本的なものは変わっていませんよ。だから、そんなに悲観的になることもありませんよ」

海未ちゃんは園田流道場を継いでいる。人に教えることもあるんだろう、話し方が妙に優しい。

穂乃果「……悲観的っていうか、単に、今のままでいいのかなって」

海未「……なにか、やりたいことが?」

穂乃果「ないから……困ってるんだ」
29: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:23:30.21 ID:8t5ztELj.net
海未「…」

穂乃果「……なんかね、怖いんだ」

穂乃果「みんな、それぞれの、目指してたものに向かってて、でも、穂乃果は……」

海未「……穂乃果、それは、誰もが同じです」

海未「自分が望んでいる道に、進められる事が、どれだけ望ましいかなんて……私だって……そういう意味では、穂乃果と同じですよ…」

海未「……?海未ちゃんは、園田流道場を……」

海未「……いえ、なに」

海未「もし、あのまま、μ'sが、スクールアイドルだけにとどまっていなかったら……なんて、戯言ですね」

穂乃果「……海未ちゃん」

海未「……」

ーーー
30: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:23:58.89 ID:8t5ztELj.net
……レールの上の人生。
私にはそれがないだけ、マシなのかもしれない。
いやもしかしたら……私にはそういうものがあった方が、気楽だったかもしれない。
きっとそうだったろう。むしろ、『わーい!お店継ぐなら受験勉強とかしなくていいんだ!』とか思っていたかもしれない。そんなことはなかったけど。

穂乃果「……」テコテコ

穂乃果「……レールの上の、人生か……」

…明日、会いに行ってみようかな。

ーーーー
31: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:24:30.85 ID:8t5ztELj.net
真姫「……で?どうしたの?今日はなにもなかったからいいけど、連絡もなしに家に来るなんて…」

真姫ちゃんも一人暮らしを始めていた。……私よりもいい部屋、むむむっ……。

穂乃果「……いや、これと言って用はないんだけど……ちょっと久しぶりに話したくなって」

真姫「話……いいわよ」

穂乃果「……真姫ちゃんは、さ。西木野総合病院を継ぐって話じゃない?」

真姫「……そうね」

穂乃果「どんな気持ち、なの?」

真姫「……」

真姫ちゃんは髪の毛をくるくると指で巻く。……そういえば少し髪が伸びている。

真姫「……どうも、なにも。私は私の進む道を進んでいるだけよ」

穂乃果「……それは、本望なの?」

真姫「…………」

真姫ちゃんは黙る。
32: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:25:23.37 ID:8t5ztELj.net
真姫「……」

穂乃果「……ごめん。変な事訊いちゃったね。……でも、なんか安心した」

真姫「……?」

穂乃果「…真姫ちゃんでも、何もかも、上手くはいかないんだなって」

……劣等感に耐えられる。
そう思っておけば、劣等感に耐えられる。……浅ましいかな。でも悲しいね、これ、本心。

穂乃果「……真姫ちゃん、どっか出かけない?この前の埋め合わせ、ってことじゃないけど」

真姫「……いえ、構わないわ。行きましょう」

ーーー

もしかしたら真姫ちゃんと二人だけで出掛けたのは、これが初めてかもしれなかった。
でもやっぱり、慣れていたのか、普通に楽しめた。

真姫「……ふう。今日は楽しかったわ……いい休日だった」

穂乃果「うんっ」
33: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:25:44.73 ID:8t5ztELj.net
それから私は真姫ちゃんと別れた。家に帰る途中、凛ちゃんと鉢あった。

そのまま一緒に帰ることになったんだけど、凛ちゃんが何やら相談があるそうで、家に(隣同士だけど)あがった。

凛「えっとね。単刀直入に言うとね。……生徒の男の子から告白されたの」

お茶ふいた。

凛「ぎゃーー!?」

穂乃果「あ、ごめんごめんげほっ……」

凛「驚きすぎだよ……」

穂乃果「だ、だって……それで、なんて返したの」

凛「そりゃ、ごめんね、って」

まあ、そうだよね。
34: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:28:33.24 ID:8t5ztELj.net
凛「問題は…その後、その子、学校に来なくなっちゃって……」

穂乃果「あらー…」

凛「自惚れるわけじゃないけど、……たぶん、り……私が原因じゃん?」

穂乃果「いいよ、私の前なら凛で」

凛「ん……でね、凛、どうしたらいいのかなって……こんな事、他の教員の人にも言えないし……」

穂乃果「そうだね……」

……私に相談するのか……頼られるような感じじゃないと思うけど……ああ、となりだからかな。

穂乃果「……時間が解決してくれる事を祈ろうよ」

凛「うーん……そっかぁ」

ーーー

あれから数週間がたった頃。
その例の男子生徒に彼女が出来たらしい。

凛「心配損だよ……」

穂乃果「はは……」
35: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:29:12.14 ID:8t5ztELj.net
『高坂さん、最近頑張ってるじゃない?』

穂乃果「……!そ、そうですか?」

『そのまま、維持してくれると助かるね』

穂乃果「……はい!」

ーーー

我ながら単純だと思う。
まあいいけどさ。

穂乃果「……♪」

……あ、あれは。

にこ「……」コソコソ

穂乃果(……にこちゃん)

にこちゃんは変装のつもりなのか、いつぞやの、う○ちみたいな帽子をかぶっていた。
そりゃ今や大人気アイドルユニットのセンターが……ねぇ……?

そんな帽子被ってるとか誰も思わないよね……。

穂乃果「……にこちゃん」

にこ「っ!?……あ」

ーーー

にこ「びっくりさせないでよ……」

穂乃果「いやこっちがびっくりしたよ。なんであんなのかぶってんの」

にこ「変装よ」

穂乃果「やめておこう……」

にこ「うん……」
36: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:30:14.38 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「……お仕事終わり?」

にこ「ん、そうね。今日は珍しく……っても、明日の朝っぱらから収録だけどね。『おめざめテレビ』あるじゃない?あれに出るの」

穂乃果「へえ……」

にこ「まああれよ。今度出る2ndシングルの宣伝よ」

穂乃果「ああ、あれ……タイトルなんだっけ」

にこ「『まほうつかいはじめました!』よ」

穂乃果「そうそれ」
37: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:30:37.74 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「……にこちゃんはすごいねぇ、夢叶えて。穂乃果とは大違いだ」

にこ「……何言ってんのよ。私がここまでこれたのは、ある意味じゃ、あんたのおかげなのよ、穂乃果」

穂乃果「……?」

にこ「あんたが、私をμ'sに入れてくれたから、今の私があるのよ」

にこ「……何回言わせるのよ、これ」

穂乃果「……でも、ここまでの存在になれたのは、全部、にこちゃんの…」

にこ「…………あんた、なんか皆にも、そうやって辛気臭い顔して自虐していってるって?」

穂乃果「え……」

にこ「あんたはいつまで高校生のつもりよ」

にこ「いい加減、他人と、自分は違う、だから差があるし、環境も違う、結果が違うのも当たり前だってことに気づきなさいよ」
38: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:33:03.83 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「……」

にこ「あんたが今苦しんでるのもわかる、私も挫けそうになったわ……でも、どうして、あんたの言う『今』があると思うの?」

穂乃果「……どうして」

にこ「自分を信じたからよ」

にこ「……私なら、この道を進んでも、大丈夫だって」

穂乃果「……!」

にこ「今あんたが、自分のやりたい事がない、そしてそのせいでみんなに劣等感を持っているって言ったわよね?」

にこ「なら何よりも先にやりたい事を見つけて見なさいよ。劣等感を持つのはそれが『うまくいかなかった』時よ。してもないのに劣等感よなにもないわ」

穂乃果「!」

にこ「ふう……あ、ごめん、今からD子ちゃんとディナーなの、ディナー。そう、ディナーよディナー。ふふん。……じゃ、またね、穂乃果。今度、暇が出来たら、連絡するわ。その時、どこかに行きましょう」

ーーー

にこ「……なにも、ない、ね」

にこ「……『私達』からしたら、穂乃果にしかないもの、それが羨ましくて仕方なかったけどね」
ーーーー
39: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:33:46.53 ID:8t5ztELj.net
穂乃果「……ん?」

??「……ん、じゃあ、体には気をつけな」

凛「……大丈夫だよ。…というか、お金なんて……困ってないよ」

??「……気持ちだよ。受け取っておけ……それじゃ」

そう言って、女性は去って行った。……誰だろう。

穂乃果「……凛ちゃん、今のは」

凛「……お母さん」

穂乃果「……そうなんだ。……優しいお母さんだね」

凛「変に心配症なの」

穂乃果「ふぅん……」

ーーー

穂乃果「ふう……」ゴロン

お布団に横になって、考える。
やりたいこと。
簡単な事でいい、いつか、やっていて、楽しかった事……。

穂乃果「……誰かを笑顔にする事」

そんな単純な事。でも、それをどういうことで、実現させるか。
あの時は、歌で……今だと、何になる?
40: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:34:34.47 ID:8t5ztELj.net
私に、何が出来る?

穂乃果「……」

……何をしたい?

穂乃果「……歌いたい」

……やっぱり、私にとって、やりたい事……そして……楽しい事。

穂乃果「……歌で、誰かを笑顔にしたい」

ちっぽけな、夢。
でもそのちっぽけな夢が、いま、私の。大きな原動力になる。

穂乃果「そうと決まれば……」

ーーー

海未「……作詞の仕方?そうですね…」

ーーーー

真姫「……作曲?……あなた、楽器は……これからって…キーボード、買いなさい。話はそれからよ」

ーーーー

今回の件で、知った事。
友達って、大事。
41: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:35:33.61 ID:8t5ztELj.net
ーーー

最初はひっどいものだった。
アコースティックギターを片手に。

誰も聞いてくれやしない。
思った以上に、誰も、聞いてくれやしない。
たまに一人、立ち止まって、すぐ歩き出す。まるで私はそこにいないみたい。
――でも。

穂乃果「〜♪」

こんなの、あの時と比べたら……。ちっとも、辛くない。

穂乃果「〜〜〜♪」

私は歌い続ける。
誰かに、届くまで。

ーーー

そんな生活を続けて、数ヶ月が経った頃。

穂乃果「〜〜〜♪」ジャカジャカ

『……』

『……頑張ってください。応援します』

穂乃果「……!」

それだけ。
たったそれだけで。
私は、心の底から、嬉しくなった。

……そうだ、忘れていた。
こんな、気持ち、前にも……あった。
全てが始まったあの時と、似てる……。

……やれる。
私ならやれる。そうだ!
マイナスなんて考えるな!当たって砕けて、終わってしまったあとに、落ち込めばいい!

穂乃果「――よっっっし!やるぞぉぉおーー!!!」

ーーー
ーー
42: 名無しで叶える物語(あら)@\(^o^)/ 2016/01/12(火) 19:38:28.73 ID:8t5ztELj.net
ー数年後ー


ことり「……そろそろかな」

海未「そうですね」

真姫「……だからって、うちに集まることないじゃない」

凛「そう細かい事言わない言わない」

花陽「あはは……」

希「まあ現場には、にこっちもゲストできてるみたいなんやし、大丈夫なんやない?」

絵里「……あ、来るわよ!」


司会者『次は、最近、人気急上昇中の、女性シンガーソングライターです』

司会者『――高坂穂乃果さんで、Someday of my life』

穂乃果『……』


さあ、行こう。
みんなを笑顔にさせに行こう。
それが、私の幸せだから。


おわり
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