真姫「初夏の風に乗せて」

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真姫-アイキャッチ36
1: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:31:23.16 ID:vecUrqYSo
・書き溜めあり

サクッと行きます

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元スレ: 真姫「初夏の風に乗せて」

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2: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:31:51.45 ID:vecUrqYSo
その日は、朝から暑いなーとは思ってた。

日本の夏らしいジメジメした暑さ。

なんとなく頭がぼーっとして、あんまり体調は良くなかったんだけどね。

でもやっと梅雨が終わりに近づいて、久々の晴れの日の練習だったからかな。

いざ練習となるとちょっぴり張り切りすぎちゃったみたい。
3: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:32:38.28 ID:vecUrqYSo
「はっ……はっ……」

「真姫!遅れてますよ!」

「くっ……はいっ!」

思うように体が動かなくて、テンポが遅れちゃう。

なんでだろう、いつもならどうってことないのに。
4: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:33:07.59 ID:vecUrqYSo
ムキになればなるほど、体の動きは遅くなるような感覚。

周りの動きもどんどんスローになってきて……。

あ、これ……やばい。

くらっ。

そう思ったときにはもう遅くて。
5: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:33:39.03 ID:vecUrqYSo
「真姫!?」

慌てたエリーの声が聞こえる。

他のみんなの心配する声も聞こえるけど、反応できない。

みんなの聞き慣れた声を聞きながら、気づけば私は意識を手放していた。
7: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:35:09.20 ID:vecUrqYSo
―――

「……~♪」

鼻歌が、聞こえる。

とっても優しい音色。

聞いてると頭がふわふわするような、優しい声。

どこか懐かしい感覚。
9: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:36:17.89 ID:vecUrqYSo
ふっと目を開けると。

額に、氷嚢が乗ってる。

まだちょっぴり熱を持った頭にその冷たさが心地いい。

「マ、マ……?」

無意識にそんなことを口走っていた。
10: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:36:58.94 ID:vecUrqYSo
そうだ。ここはどこ?

「ママ?ふふ……真姫ちゃん、目が覚めた?」

どうやら私はベッドに寝かされているみたい。

目線を横にやると、いつも通りの柔らかな笑顔でことりが座ってる。

手には作りかけの衣装。
11: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:37:38.19 ID:vecUrqYSo
「あ、ことり……ここは?」

「保健室だよ。真姫ちゃん練習中に倒れちゃって……覚えてる?」

「ん……なんとなく」

「具合はどう?どこか痛かったりしないかな?」

ちょっと頭がぼーっとするくらいだけど、どこにも痛みはないみたい。
12: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:38:07.65 ID:vecUrqYSo
「うん、大丈夫みたい……ちょっとぼーっとするけど」

「保健室の先生が言うには、軽い熱中症だって。今日蒸し暑かったもんねえ」

医者の不養生……というかなんというか。

私としたことが、こんなヘマをするなんて。

「そっか……悪いわね、ことり」
13: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:38:35.00 ID:vecUrqYSo
「ん?何が?」

気にも留めない様子でことりは聞き返してくる。

「わざわざお世話させちゃって……」

「そんなの気にしないでいいよー」

あはは、と笑う。
14: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:39:01.83 ID:vecUrqYSo
ことりはいつも本当に優しい。

ふわふわした雰囲気だけど、どこか包み込んでくれるような。

そんな性格だと思う。

「みんなもすごく心配しててね、みーんな私が私がって看病したがってたんだけど」

「目に浮かぶようね」

くすくす、と笑い合う。
15: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:39:45.45 ID:vecUrqYSo
心配かけちゃったなあ。

「特に海未ちゃん、すっごく落ち込んでたからあとで声かけてあげてね」

「海未が?どうして?」

「『厳しくしすぎたのでしょうか……ちゃんと様子を見ていればこんなことには』って」

「何それ、モノマネ?ふふ、全然似てない」

「だよね、ふふ」
16: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:40:28.50 ID:vecUrqYSo
そっか。でも海未にはちゃんと謝っておかないと。

私の自己管理がなってなかっただけだもの。

「真姫ちゃん、喉乾いてない?」

「あ、ちょっと乾いてるかも……」

「待ってて、今持ってくるね」
17: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:41:07.56 ID:vecUrqYSo
ぱたぱた、と備え付けの冷蔵庫から水を持ってきてくれる。

冷えた水がちょっと火照った体に心地いい。

「ありがと」

「ううん、ここに置いとくね」

ことりと話していると、なんだか安心する。
18: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:41:46.71 ID:vecUrqYSo
ゆっくりと時間が流れるようで。

陽だまりみたいな人だな、なんて。

「ふぁ……」

「真姫ちゃん、眠い?」

「少しだけ……」
19: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:42:21.95 ID:vecUrqYSo
思えば、疲れも溜まっていたのかも。

日々の勉強に作曲、μ’sの練習。

どれも必要なことで、決して苦痛ではなかったんだけどね。

特に作曲と練習は楽しいし。

けど、張り切りすぎは良くないわね。
20: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:43:22.31 ID:vecUrqYSo
「いいよ、寝ちゃって?ことりはしばらくここにいるから」

「そんな、悪いわよ」

「真姫ちゃん、結構疲れてるでしょ?」

「うぐ……」

ふわふわしてるようで、ちゃんと人のことは見てるのよね。
21: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:43:48.72 ID:vecUrqYSo
「ほらほら、ことりお母さんが子守唄歌ってあげるから♪」

「なにそれ、意味分かんない」

思わず笑い合ってしまう。

さっきの寝言……というか呟きは聞かれちゃってたみたいね。

もう、恥ずかしい。
22: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:44:19.57 ID:vecUrqYSo
「でもまあ、確かにことりはいいお母さんになりそうよね」

「えぇっ?そうかなあ?」

とっても優しくて、包容力があって。

お菓子作りや裁縫も上手。

子どもも好きそうだしぴったりね。
23: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:44:52.33 ID:vecUrqYSo
「ところで、その衣装は次のライブの?」

「うん、これは真姫ちゃんのだよー」

まだ未完成の衣装を見せてくれる。

いつも通り、とっても可愛い。

「ことりって、ホントすごいわね」
24: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:45:25.01 ID:vecUrqYSo
思わず、呟いてしまう。

「そんな、全然すごくなんて……これくらいしかできないから」

「ことりはいつもそう言うけどね」

思わず苦笑いしてしまう。

どうしてこんなに自信がないんだろう、この子は。
25: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:45:52.47 ID:vecUrqYSo
「ことりは私にはないもの、たくさん持ってるじゃない」

「誰にでも優しくできるし、一緒にいると安心するし」

「衣装作りなんて、センスの賜物よ?私には無理」

「きっとみんな、ことりには感謝してるわよ」

私も含めて、ね。

ことりの繊細な優しさとか心配りにどれだけ助けられてることか。
26: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:46:20.27 ID:vecUrqYSo
「そんなに褒められるとくすぐったいよー」

ことりは珍しく顔を赤くしてそんなことを言う。

意外に褒め殺しに弱いタイプ?

たまには私から攻めるのも悪く無いわよね。
27: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:46:51.73 ID:vecUrqYSo
「あとは、スタイルもいいし、顔もとっても可愛い」

「いつもオシャレだし、誰よりも女の子っぽいし」

エトセトラ、エトセトラ。

どんどんことりの良いところをあげつらっていく。

言う度にことりの顔は赤くなっていって。
28: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:47:18.07 ID:vecUrqYSo
「他にはねえ……」

「もう、真姫ちゃんは病人なんだから寝てなさい!」

「ふぐっ」

枕を押し付けられる。

「もう!」

珍しくちょっぴりご立腹した様子で。
29: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:47:44.08 ID:vecUrqYSo
「……ごめんね?ことり」

「知りませんっ!」

顔を赤くしたままツンツンしてる。

全然怖くないのが可愛い。

「もう、そんなにことりのこと褒めて真姫ちゃんはことりをどうしたいの?」
30: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:48:20.92 ID:vecUrqYSo
「……食べちゃいたい?」

「ぴぃっ!?」

ことりは自分の体をぎゅっと抱きしめて。

「ちょっと、本気にしないでよ……」

「じ、冗談……?」
31: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:48:58.70 ID:vecUrqYSo
目をウルウルさせて、上目遣い。

可愛いわね、もう。

もうちょっとイタズラしてみようかしら……?

「……試してみる?」

「え、ち、ちょっと真姫ちゃん?」
32: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:49:34.91 ID:vecUrqYSo
体を起こして、ことりに近づいていく。

「いや、あの、ことり、心の準備が……」

「いいから、じっとして……」

やだ、なんか変な気分になってきちゃった。
33: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:50:01.58 ID:vecUrqYSo
そんなつもりはなかったのに、冗談だったのに。

ことりの潤んだ瞳を見てたら、なんだか……。

「真姫ちゃん、ちょっと、あの……」

「ことり……」

ことりの顎に指を這わせて、ちょっとだけ顔を上げさせる。
34: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:50:32.99 ID:vecUrqYSo
ことりは顔を真っ赤にして、目は潤んでて。

「いい……?」

「真姫、ちゃん……」

やばい、止まらない。

ホントに、ただのイタズラのつもりだったのに……。

あ、唇、当た……。
35: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:51:02.67 ID:vecUrqYSo
「……きゅう……」

きゅう?

「もう無理ぃ……」

ぱたん。

「ちょ、ことり?ことり!?」
36: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:51:30.87 ID:vecUrqYSo
今度はことりが気を失ってしまった。

や、やりすぎた……というか、私が悪いわね。

途中から本気になりかけてた……ていうかなってたし。

女の子同士なのに、あり得ない。うん、あり得ない。

この真姫ちゃんが。
37: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:51:59.55 ID:vecUrqYSo
でも彼氏じゃないし、アイドル的にはアリ……?

いやいや。

「というか、そんな場合じゃないわね。寝かせてあげないと」

顔を真っ赤にしたまま硬直してることりを私の寝ていたベッドに寝かせてあげる。

「ごめんね、ことり……」

あとで謝ろう。
38: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:52:26.77 ID:vecUrqYSo
何やってるんだか。

しっかりしなさい西木野真姫。

でも、ことりの寝顔を見てたらなんだかこっちも眠くなってきちゃった。

ことりの横で寝てもいいかな?

でもさっきの状況からするとそれはまずいわね。

主にことりが。
39: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:53:11.31 ID:vecUrqYSo
ことりが先に目を覚ましたらまた気絶しちゃいそうだし。

でも、眠い……。

ちょっとくらい、いいわよね。

「失礼するわね、ことり……」

ベッドに潜り込む。

なんだかとっても暖かい。
41: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:53:51.72 ID:vecUrqYSo
ことりのいい匂いがする。

寝ていることりをぎゅーっと抱きしめてみると、すごく抱き心地が良くて。

「ことり抱きまくら……か」

……か。じゃないわよ、暑さのせいでどうかしてるんじゃないの私。

でも、すごい安心感。

ことりの人柄、かな。
42: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:54:23.34 ID:vecUrqYSo
そのまま、すーっと眠りに落ちる。

「おやすみ、ことり……」

気持ちよさそうに眠っていることりの顔を見つめながら、私はまどろみに身を任せた。
43: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:55:24.51 ID:vecUrqYSo
―――

「……ちゃん、真姫ちゃん」

誰かに揺すられて、ゆっくりと目を開ける。

すると、目の前にはことりの顔。
44: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:55:55.31 ID:vecUrqYSo
「ことり……?」

「ことりです」

「おはよう……」

「おはようございます」

なんだかことりの様子がおかしい。

笑ってるのに声が怖いような。
45: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:57:05.47 ID:vecUrqYSo
「なんかご立腹?」

「ご立腹です」

「どうして?」

「自分の胸に聞いてください」

私、何かしたっけ?
46: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:57:33.21 ID:vecUrqYSo
「?」

「首かしげないでよー!ベッドでことりに何したのー!」

顔を真っ赤にしたことりがぽかぽかと叩いてくる。

「ちょ、痛い痛い。何もしてないってば」

「だって起きたら真姫ちゃんに抱きしめられてるし、記憶では真姫ちゃんに迫られてたし……」
47: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:58:02.06 ID:vecUrqYSo
ああ、なんだか今にも泣き出しそう。

「ちょ、ちょっと。ホントに何もしてないわよ?ことりは気を失って、私も眠くなったから横で寝かせてもらっただけで……」

「ホントに?」

「はい」

「もう……びっくりしたんだからね?」

「ごめんってば」
48: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:58:31.17 ID:vecUrqYSo
でも余裕をなくしてることりってなんだか新鮮で。

「もう……ことりの気持ちをどうしてくれるのかな真姫ちゃんは」

私はボソボソと何事か呟いてることりに声をかける。

「ねえことり、そろそろ帰らない?いい時間だし」

「あ、そうだね……帰ろっか」
49: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:59:11.61 ID:vecUrqYSo
気づけば日が暮れて、下校時刻。

結構寝たみたいだし、体調もだいぶいい。

「さっきのお詫びに何か奢るわよ」

「ホント?じゃあクレープ食べてこ♪」

なんて、他愛のない話をしながら。

2人で学園を出て、並んで歩く。
50: ◆PNFDLOCdao 2014/06/21(土) 23:59:38.26 ID:vecUrqYSo
ことりの横顔を見てるとなんとなくドキドキするのはさっきの暴走のせいかな、なんて。

今はこの胸の高鳴りの正体には気づかないふりをする。

空はどこまでも高く、初夏の温い風が2人の間を吹き抜ける。

「まさか、ね」
51: ◆PNFDLOCdao 2014/06/22(日) 00:02:22.01 ID:QHS+jSVfo
「ん?真姫ちゃん何か言った?」

「……ううん、何も」

私の呟きは風に乗って、空に溶けていった。

今年の夏は、なんだか暑く、熱くなりそう。
52: ◆PNFDLOCdao 2014/06/22(日) 00:02:49.39 ID:QHS+jSVfo
ふっと後ろを振り向けば2人の影はどこまでも伸びてくっついて。

まるで手を繋いでるみたいだな、なんて。

それだけで私の胸はちょっぴり躍って。

ああ、本当に……。

熱く、なりそう。
53: ◆PNFDLOCdao 2014/06/22(日) 00:04:02.31 ID:QHS+jSVfo
以上です。

ウルフ西木野と攻められことりちゃんが書きたかっただけです。

読んでくださってどうもありがとうございました。

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