雪穂「いつまでもアイドル」

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雪穂-アイキャッチ1
1: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:04:50.31 ID:dxtx9+cG.net
穂乃果「ふふふ、ねぇ、雪穂。見て見て」

雪穂「どーしたの?」


お昼時。お姉ちゃんが写真を持ってきた。


穂乃果「学生のときの写真」

雪穂「学生? どれどれ。……ああ、高校生のときの」

穂乃果「懐かしいねぇ、雪穂。何歳くらいかなぁ、これ」

雪穂「えーっと……って、卒業写真なんだから、18に決まってるでしょ。横の私は16歳」

穂乃果「ああ、そっか。えへへ」


お姉ちゃんは年不相応な、昔と変わらない笑顔を浮かべた。

元スレ: 雪穂「いつまでもアイドル」

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2: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:05:52.68 ID:dxtx9+cG.net
穂乃果「お次はー」

雪穂「あ、たくさん持ってきたんだね」

穂乃果「あの子がねぇ、私の昔の写真、見たいって」

雪穂「……ん。そういえば、あの子、見当たらないけど」


キョロキョロと周りを見渡して、お姉ちゃんのひ孫、私にとっては曾姪孫のあの子の姿を探す。


穂乃果「遊びにいってる」

雪穂「ああ、そっか。」

穂乃果「うん。それでね、色々探してるうちに、懐かしいなぁって思って」

雪穂「ほんとだね。あ、これは大学生のときだ」


私が指を指したのは、とある学校の校門の前で撮った写真。

幼なじみ三人が、笑って立ってる写真。
3: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:06:34.82 ID:dxtx9+cG.net
穂乃果「海未ちゃん」


お姉ちゃんが、愛おしそうに写真を撫でる。


穂乃果「ことりちゃん」


ああ、私はこういうとき、どんな顔をすればいいんだろ。

お姉ちゃんが愛したこの町。

私が愛したこの町。


雪穂「みんな、若いなぁ…」


変わらない、時が止まったようなこの町の中で、私たちだけが変わっていく。

海未ちゃんも、ことりちゃんも、今はいない。

最期の時まで、お姉ちゃんと二人は、良き親友だった。
4: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:07:19.30 ID:dxtx9+cG.net
穂乃果「見てこれ。可愛い服だねぇ」

雪穂「懐かしい。これ、私が撮ったんだよ」


穂むらの前で、和服を着て、髪を綺麗に結った三人。

成人式の朝、撮った写真だ。


穂乃果「こんなの、今は着れないねぇ」

雪穂「あはは。そんなこと、無いと思うけど」


大学を卒業して、三人はそれぞれの道を歩いた。

老舗和菓子屋を継いだ私たち。由緒ある家柄の海未ちゃん。

海外留学を経て、デザイナーとして花開いたことりちゃん。


お姉ちゃんたちは、大人になって、昔のように頻繁に遊ぶことがなくなったあとも、その理想的な関係を続けていた。
5: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:08:23.58 ID:dxtx9+cG.net
ことりちゃんのデザインした服が大のお気に入りのお姉ちゃんの娘。

海未ちゃんの下で武道を学んだお姉ちゃんの孫。

ことりちゃんと海未ちゃんは晩年まで、彼女たちのことを、本当に可愛がってくれた。


雪穂「………」


幼馴染みたちがいなくなって、「私もそろそろだね」なんて呟きながらも長生きしてるお姉ちゃん。

お姉ちゃんは、町でも評判の美しいお婆ちゃんになった。

すっかり白くなった髪を横で結び、訪れたお客に「可愛い」と言われては、照れて笑うのだ。
6: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:12:02.47 ID:dxtx9+cG.net
穂乃果「あ、お父さんとお母さんだよ、雪穂」

雪穂「若いなぁ……懐かしい」

穂乃果「ふふ、雪穂、そればっかり言ってる」

雪穂「だってさ、ほんとのことだもん」

穂乃果「うん。そうだね…お母さん、きれい」

雪穂「二人の写真、まだある?」

穂乃果「うん。たくさんある」


お父さんとお母さんが映った写真を、お姉ちゃんはテーブルに広げる。

ああ、きっとお姉ちゃんは写真をいくつか探すうちに寂しくなって、私に見せにきたんだね。
7: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:14:22.38 ID:dxtx9+cG.net
写真の中の二人は、どれも笑っていた。

二人が亡くなって、もうどれくらい経ったかな。

私もすっかり、しわが増えたんだ。


穂乃果「今でも、信じられない」

雪穂「分かるよ。私も、そう」

穂乃果「今でもあの奥から、「この忙しいときに、少しは手伝えーっ!」なんて声が、聞こえそうなの」

雪穂「まだまだ、それじゃ駄目だって。最後までお父さんに言われたな、私」

穂乃果「そうなの? 雪穂は良い娘に育ってくれた、これで任せていけるって、言ってたよ?」

雪穂「ほんと?」

穂乃果「ふふ、本当。お父さん、雪穂のこと、大好きだったんだよ」
8: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:22:35.41 ID:dxtx9+cG.net
雪穂「し、知ってるよ」


照れるからやめて。本当に、年甲斐もないからさ。


穂乃果「ああ、でも、本当にきれい」

雪穂「……」


写真の中のお母さんはどれも思いっきり笑っているせいで、顔中シワだらけだ。

お父さんも必要以上に眉間にシワを寄せていて、二人ともキレイな顔とは言えない。


雪穂「うん。きれい」


けれども何より愛おしくて、尊いお父さん、お母さん。


そろそろ、私もそっちに行くから、また昔みたいな笑顔で迎えてね。
9: 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:24:04.76 ID:sce1K1yb.net
この町で育って、この町で老いた私とお姉ちゃん。


私はきっと、この町で人生を終える。


あの優しかった両親のように。幼なじみたちのように。


そして海を渡っていった親友のように、満足して、私は逝くのだ。


穂乃果「雪穂は、私より長生きしてね」

雪穂「うん。もちろん」


愛しい世界。愛しい町。


愛しい家族。


愛で溢れた私の人生は、もう少しだけ続く。
10: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:24:52.65 ID:dxtx9+cG.net
「いらっちゃいまちぇ! ふぁいとだよー!」


あの子の声が聞こえた。

いつの間にか、帰ってきてたみたい。


穂乃果「あの子ったら、またお客さんに変な挨拶してる」


よっこらしょ、とお姉ちゃんが立ち上がる。


私以上に、愛ある人生を歩んだお姉ちゃん。


腰は曲がってしまったけれど、足取りはまだまだ軽い。


お姉ちゃんの人生も、きっともう少しだけ、続いていくのだろう。
11: 名無しで叶える物語(おいしい水)@\(^o^)/ 2016/04/04(月) 10:25:27.32 ID:dxtx9+cG.net
おわり
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